説明

混合装置

【課題】チョッパ装置のメンテナンス作業の効率化および設備コストの低減を図る上で有利な混合装置を提供する。
【解決手段】駆動モータ30のケース50と一体的に設けたフランジ部32をチョッパ装脱用開口24に着脱可能に装着すると共に、チョッパ羽根36の外径をチョッパ装脱用開口24の内径よりも小さいものとした。支持機構38を用いることにより、駆動モータ30を、チョッパ羽根36が容器12内に位置する使用位置P1と、チョッパ羽根36が容器12外に位置する取り外し位置P2との間にわたって移動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類の被処理物を粉砕して混合し、あるいは、複数種類の被処理物を混合しつつ高分散化および微粒子化させる混合装置が提供されている(特許文献1、2参照)。被処理物は、粉体、粒体、液体あるいはそれらの混合物を含むものである。
この種の混合装置は、被処理物が投入される容器と、容器内の被処理物を撹拌する撹拌羽根と、撹拌羽根を回転駆動する駆動モータと、容器内の被処理物を粉砕するチョッパ装置とを備えている。
従来、チョッパ装置は、駆動モータと、チョッパ羽根などを有している。
チョッパ装置の駆動モータは、撹拌羽根用の駆動モータとは別に容器に着脱可能に取り付けられている。この駆動モータの回転軸は、容器の壁部を貫通しその先部が容器の内部に位置している。そして、チョッパ羽根は、容器の内部において、回転軸の先部に回転軸と一体に回転するように着脱可能に取着されている。
そして、容器内で撹拌羽根により被処理物を撹拌しつつチョッパ羽根を高速回転させて被処理物を粉砕し、これにより被処理物を高分散化しあるいは微粒子化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−62210号公報
【特許文献2】特開2008−12449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、チョッパ羽根のメンテナンス作業を行う際には、作業者が容器の内部に入って、回転軸からチョッパ羽根を取り外し、チョッパ羽根を容器の外部に持ち出すことが行われる。
また、駆動モータのメンテナンス作業を行う際には、作業者が容器の内部に入って、回転軸からチョッパ羽根を取り外し、その後、駆動モータをチェーンブロックを用いて容器から取り外すことが行われる。
したがって、チョッパ装置のメンテナンス作業を行う場合、容器の内部における作業者の作業環境を確保するために、予め容器内部の洗浄作業を行わなくてならず、メンテナンス作業に多大な時間と手間がかかる不利があった。
また、駆動モータを取り外すにはチェーンブロックが必要となることから、混合装置の上方にチェーンブロックを設置しなければならず、設備コストがかかる不利があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的はチョッパ装置のメンテナンス作業の効率化および設備コストの低減を図る上で有利な混合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の混合装置は、被処理物が投入される容器と、前記容器内の被処理物を撹拌する撹拌羽根と、前記容器内の被処理物を粉砕するチョッパ装置と、前記容器に設けられたチョッパ装脱用開口とを備え、前記チョッパ装置は、前記容器の外部に設けられた駆動モータと、前記駆動モータのケースと一体的に設けられ前記チョッパ装脱用開口に着脱可能に装着されることで該チョッパ装脱用開口を閉塞するフランジ部と、前記フランジ部を貫通し前記駆動モータにより回転駆動される回転軸と、前記回転軸の先部に設けられ前記回転軸と一体に回転し前記チョッパ装脱用開口の内径よりも小さい外径のチョッパ羽根と、前記フランジ部で前記チョッパ装脱用開口を閉塞し前記チョッパ羽根が前記容器内に位置する使用位置と、前記フランジ部が前記チョッパ装脱用開口から外され前記チョッパ羽根が前記容器外に位置する取り外し位置との間にわたって前記駆動モータを移動可能に支持する支持機構とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の混合装置では、駆動モータのケースと一体的に設けたフランジ部をチョッパ装脱用開口に着脱可能に装着すると共に、チョッパ羽根の外径をチョッパ装脱用開口の内径よりも小さいものとした。
そして、支持機構を用いることにより、駆動モータを、チョッパ羽根が容器内に位置する使用位置と、チョッパ羽根が容器外に位置する取り外し位置との間にわたって移動させるようにした。
そのため、混合装置のメンテナンス作業を行うにあたって、作業者が容器の内部に入って、回転軸からチョッパ羽根を取り外し、チョッパ羽根を容器の外部に持ち出す必要が無い。
また、駆動モータを吊り下げるためのチェーンブロックも不要となる。
したがって、チョッパ装置のメンテナンス作業を行う際に、容器の内部の洗浄作業を省略でき、メンテナンス作業に要する時間と手間を大幅に削減することができ、メンテナンス作業の効率化を図る上で有利となる。
また、駆動モータを取り外すためのチェーンブロックが不要となるため、設備コストの低減を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】混合装置10の平面図である。
【図2】チョッパ羽根36の使用位置P1を示す混合装置10の側面図である。
【図3】チョッパ羽根36の取り外し位置P2を示す混合装置10の側面図である。
【図4】チョッパ装置16の側面図である。
【図5】図4のAA線断面図である。
【図6】図4のBB線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次の本実施の形態の混合装置10について図1乃至図6を参照して説明する。
図1に示すように、混合装置10は、容器12と、撹拌羽根14と、チョッパ装置16と備えている。
図1、図2に示すように、容器12は、水平方向に延在する筒部12Aと、筒部12Aの延在方向の一端である前端を閉塞する前壁12Bと、筒部12Aの延在方向の他端である後端を閉塞する後壁12Cとを有している。
筒部12Aの上面の中央に供給口が設けられ、この供給口に被処理物を容器12の内部に投入するための供給管18が連結されている。
筒部12Aの下面の中央に、高分散化されあるいは微粒子化された被処理物を容器12の外部に排出する排出口が設けられ、この排出口に開閉バルブを内蔵した排出管連結用のフランジ20が設けられている。
【0009】
図1に示すように、撹拌羽根14は、回転軸14Aと、この回転軸14Aに取着された複数の羽根体14Bとを有している。
回転軸14Aは、その軸心を容器12の軸心上に位置させて延在し、両端が前壁12Bおよび後壁12Cにより回転可能に支持されている。
撹拌羽根14は、後壁12Cに取着されたモータ22により回転駆動される。
【0010】
図4に示すように、筒部12Aの側面にチョッパ装脱用開口24が設けられている。
本実施の形態では、チョッパ装脱用開口24は筒部12Aの長手方向に間隔をおいて2つ設けられている。
より詳細に説明すると、チョッパ装脱用開口24が設けられる箇所に、環板状のフランジ部26が膨出形成されており、このフランジ部26の内周面がチョッパ装脱用開口24となっている。
チョッパ装脱用開口24は、後述するチョッパ羽根36が挿脱できるように、チョッパ羽根36の外径よりも大きな内径で形成されている。
【0011】
また、図4に示すように、各チョッパ装脱用開口24の上方の筒部12Aの箇所に、チョッパ装置16を取り付けるための側板28が突設されている。
【0012】
図2、図4に示すように、チョッパ装置16は、駆動モータ30と、フランジ部32と、回転軸34と、チョッパ羽根36と、支持機構38とを有する。
【0013】
図4、図5、図6に示すように、支持機構38は、フレーム40と、スライド部材42と、送りねじ44とを備えている。
フレーム40は、側板28にボルトを介して連結され、これによりフレーム40は容器12に支持されている。
フレーム40の下部にはガイドレール46が設けられ、ガイドレール46は容器12に対して離間接近する方向に直線状に延在している。
送りねじ44はガイドレール46と平行する方向に延在しフレーム40に回転可能に支持されている。
この送りねじ44の端部に、スパナなどの工具が係合される係合部48が設けられている。この係合部48にスパナなどの工具の係合部を係合させ、工具を回転操作することにより送りねじ44が回転駆動される。
なお、送りねじ44の端部にモータなどの動力源を連結し、動力源により送りねじ44を回転駆動するようにしてもよい。
また、送りねじ44の回転を制動するブレーキ機構を設けることにより、送りねじ44の回転速度の安定化を図るようにしてもよく、その場合には、工具を用いて係合部48を回転操作する際の作業性の向上を図る上で有利となる。
【0014】
図4に示すように、駆動モータ30はケース50を有し、ケース50の前端に容器12のフランジ部26に液密および気密に結合されるフランジ部32が設けられ、それらフランジ部26、フランジ部32はボルトを用いて着脱可能に結合される。すなわち、フランジ部32を容器12のフランジ部26に結合した状態でチョッパ装脱用開口24は閉塞され、フランジ部32を容器12のフランジ部26から外した状態でチョッパ装脱用開口24は開放される。
図2に示すように、駆動モータ30の回転軸34は、フランジ部32の内部を通ってケース50から突出しており、回転軸34の先部にチョッパ羽根36が取着されている。
チョッパ羽根36は回転軸34と一体に回転しチョッパ装脱用開口24の内径よりも小さい外径で形成されている。
【0015】
また、図4、図5、図6に示すように、ケース50の上部でケース50の長手方向の中間部には、ガイドレール46にスライド可能に係合されたスライド部材42が設けられている。
また、図4、図6に示すように、ケース50の上部でケース50の長手方向の中間部には、送りねじ44に螺合する雌ねじ部材52が設けられている。
したがって、作業員が工具により送りねじ44を回転操作すると、ガイドレール46、スライド部材42、雌ねじ部材52を介して駆動モータ30はチョッパ装脱用開口24に対して離間接近する方向に直線移動する。
これにより駆動モータ30は支持機構38により、図2に示す使用位置P1と、図3に示す取り外し位置P2との間にわたって移動可能に支持されている。
すなわち、駆動モータ30の使用位置P1は、図2に示すように、フランジ部32でチョッパ装脱用開口24を閉塞しチョッパ羽根36が容器12内に突出する位置である。
また、駆動モータ30の取り外し位置P2は、図3に示すように、フランジ部32がチョッパ装脱用開口24から外されチョッパ羽根36が容器12外に退避する位置である。
【0016】
次に混合装置10の使用方法について説明する。
予め、図2に示すように、駆動モータ30は使用位置P1に位置し、フランジ部32が容器12のフランジ部26に結合されることでチョッパ装脱用開口24が閉塞されているものとする。
被処理物が供給管18を介して容器12内に投入される。
次いで、モータ22により撹拌羽根14が回転駆動されると共に、駆動モータ30によりチョッパ羽根36が高速で回転駆動される。
これにより、回転駆動される撹拌羽根14により被処理物が撹拌され、同時に、高速で回転駆動されるチョッパ羽根36により被処理物が粉砕され、これにより被処理物は高分散化されあるいは微粒子化される。
高分散化されあるいは微粒子化された被処理物は、排出管連結用のフランジ20を介して容器12から排出される。
【0017】
次に、チョッパ装置16のメンテナンス作業について説明する。
チョッパ羽根36のメンテナンス作業を行う際には、容器12の内部を空にした後、フランジ部26、32を連結するボルトを緩めて取り外す。
次に、工具により送りねじ44を回転操作することで、駆動モータ30を図2の使用位置P1から図3の取り外し位置P2に移動させる。
駆動モータ30が取り外し位置P2に至ると、チョッパ羽根36は容器12外に位置する。ここで、作業者は容器12の外部で、チョッパ羽根36を回転軸34から取り外して必要なメンテナンス作業を行う。
メンテナンス作業が終了したならば、チョッパ羽根36を回転軸34に先部に取り付け、工具により送りねじ44を回転操作し、駆動モータ30を図3の取り外し位置P2から図2の使用位置P1に移動させる。
次に、フランジ部26、32をボルトにより連結し、チョッパ装脱用開口24を閉塞する。
以上で作業が終了する。
【0018】
次に、駆動モータ30のメンテナンス作業を行う際も、上記の場合と同様に、容器12の内部を空にした後、フランジ部26、32を連結するボルトを緩めて取り外す。
次に、工具により送りねじ44を回転操作することで、駆動モータ30を図2の使用位置P1から図3の取り外し位置P2に移動させる。
次に、駆動モータ30に対して必要なメンテナンス作業を行う。
メンテナンス作業が終了したならば、工具により送りねじ44を回転操作することで、駆動モータ30を図3の取り外し位置P2から図2の使用位置P1に移動させる。
次に、フランジ部26、32をボルトにより連結し、チョッパ装脱用開口24を閉塞する。
以上で作業が終了する。
【0019】
以上説明したように本実施の形態によれば、駆動モータ30のケース50と一体的に設けたフランジ部32をチョッパ装脱用開口24に着脱可能に装着すると共に、チョッパ羽根36の外径をチョッパ装脱用開口24の内径よりも小さいものとした。
そして、支持機構38を用いることにより、駆動モータ30を、チョッパ羽根36が容器12内に位置する使用位置P1と、チョッパ羽根36が容器12外に位置する取り外し位置P2との間にわたって移動させるようにした。
したがって、チョッパ羽根36のメンテナンス作業を行うにあたって、作業者が容器12の内部に入って、回転軸34からチョッパ羽根36を取り外し、チョッパ羽根36を容器12の外部に持ち出す必要が無い。
また、駆動モータ30のメンテナンス作業を行う際には、作業者が容器12の内部に入って、回転軸34からチョッパ羽根36を取り外した後、駆動モータ30をチェーンブロックを用いて容器12から取り外す必要が無い。
そのため、チョッパ装置16のメンテナンス作業を行う際に、予め容器12の内部の洗浄作業を行う必要がないため、メンテナンス作業に要する時間と手間を大幅に削減することができ、メンテナンス作業の効率化を図る上で有利となる。
また、駆動モータ30を取り外すためのチェーンブロックが不要となるため、設備コストの低減を図る上で有利となる。
【符号の説明】
【0020】
10……混合装置、12……容器、14……撹拌羽根、16……チョッパ装置、24……チョッパ装脱用開口、30……駆動モータ、32……フランジ部、34……回転軸、36……チョッパ羽根、38……支持機構、50……ケース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物が投入される容器と、
前記容器内の被処理物を撹拌する撹拌羽根と、
前記容器内の被処理物を粉砕するチョッパ装置と、
前記容器に設けられたチョッパ装脱用開口とを備え、
前記チョッパ装置は、
前記容器の外部に設けられた駆動モータと、
前記駆動モータのケースと一体的に設けられ前記チョッパ装脱用開口に着脱可能に装着されることで該チョッパ装脱用開口を閉塞するフランジ部と、
前記フランジ部を貫通し前記駆動モータにより回転駆動される回転軸と、
前記回転軸の先部に設けられ前記回転軸と一体に回転し前記チョッパ装脱用開口の内径よりも小さい外径のチョッパ羽根と、
前記フランジ部で前記チョッパ装脱用開口を閉塞し前記チョッパ羽根が前記容器内に位置する使用位置と、前記フランジ部が前記チョッパ装脱用開口から外され前記チョッパ羽根が前記容器外に位置する取り外し位置との間にわたって前記駆動モータを移動可能に支持する支持機構とを有する、
混合装置。
【請求項2】
前記支持機構は、
前記容器に支持されたフレームと、
前記フレームに支持され前記容器に対して離間接近する方向に直線状に延在するガイドレールと、
前記駆動モータに一体的に取着されると共に前記ガイドレールに該ガイドレールの延在方向に沿って移動可能に支持されたスライド部材と、
前記ガイドレールと平行する方向に延在し前記フレームに回転可能に支持されるとともに前記スライド部材に螺合する送りねじとを備え、
前記支持機構による前記駆動モータの移動は、前記送りねじが回転されることによりなされる、
請求項1記載の混合装置。
【請求項3】
前記支持機構は、前記送りねじの回転を制動するブレーキ機構をさらに備える、
請求項2記載の混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−92845(P2011−92845A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248416(P2009−248416)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】