説明

混色静電塗装装置

【課題】 導電性塗料の塗装時に廃棄される塗料の量、洗浄液体の使用量を削減し、洗浄時間の短縮、塗装効率の向上を図る。
【解決手段】 A色塗料とB色塗料とを混合したX色塗料の塗装終了後に、第1の吐出流路27,27′と第2の吐出流路30,30′に残存する塗料を、それぞれのタンク4,4′,16,16′に回収する回収弁49,49′を設けた。従って、例えば回収弁49によって加圧エアを第1の吐出流路27に供給し、この吐出流路27内の残存塗料を、第1のタンク4に回収することにより、内部を空にして絶縁状態にする。同様に、第2の吐出流路30内の残存塗料も第2のタンク16に回収する。一方、供給流路43、ポンプユニット45、塗装機62からなる塗料ライン58は、塗装終了後に洗浄弁55により洗浄する。これにより、塗料の廃棄量を削減し、洗浄する範囲を少なくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば塗色の異なる複数色の導電性塗料が混合された混色塗料に対し、高電圧を印加しつつ被塗物に噴霧するのに用いて好適な混色静電塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の車体を塗装する場合には、一般的に、下塗り、中塗り、上塗りの3つの塗装工程を経て塗装している。ここで、車体の下塗りは、電着塗装と呼ばれるもので、塗料が満たされた浴槽に車体を漬けた状態で、電気誘導によって車体に塗料を塗着させるものである。
【0003】
また、中塗りは、下塗りが施された車体に向け塗料を噴霧する下塗りと上塗りとの中間に位置する塗装工程である。この中塗りは、上塗りされる塗料(塗色)に関係なく単一色の塗料だけを用いて塗装する場合と、上塗りに使用される塗料の濃淡に応じ塗料の濃淡の度合を変えて塗装する場合とがある。
【0004】
さらに、上塗りは、中塗りと同様に噴霧塗装によって車体の最外面の塗装膜を形成する仕上げ塗装工程である。この上塗りでは、種類、塗色等が異なる種々の塗料を塗装する。
【0005】
ここで、前述した中塗りで、上塗りに使用される塗料の濃淡に応じ塗料の濃淡の度合を変えて塗装する場合には、混色塗装装置が用いられ、上塗りによる塗装仕上がりを良好にすることができる。
【0006】
この混色塗装装置とは、濃淡の異なる2種類の塗料、例えば白色系塗料と黒色系塗料とを用意し、この2種類の塗料をそれぞれの塗料供給装置から塗装機に向けて同時に供給することによる塗装をいう。このときに、白色系塗料の供給量と黒色系塗料の供給量とを調整することにより、上塗りに使用される塗料の濃淡に応じ、中塗りによる塗色の濃淡の度合を適宜に変えることができる(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開昭60−854号公報
【特許文献2】実開平7−37350号公報
【特許文献3】特開2002−292318号公報
【0008】
一方、塗装に用いる塗料は、環境等の問題によって水性の塗料が広く使用されている。しかし、水性塗料は、電気抵抗値が低い導電性塗料であるから、塗着効率を高めるための静電塗装に用いた場合には、印加した高電圧が導電性塗料を伝ってアース電位にリークしないような絶縁手段を施す必要がある。
【0009】
そこで、絶縁手段を備えた静電塗装装置を他の従来技術として説明する。この従来技術による静電塗装装置は、塗料源からの塗料を補給する補給管と静電塗装用ガンに供給する塗料を貯える供給タンクとを上,下方向に間隔をもって配置し、上方の補給管から下方の供給タンクに塗料を滴下する構成としている(例えば、特許文献4参照)。この特許文献4による静電塗装装置では、上,下方向で離れた補給管と供給タンクとの間で塗料を滴下することにより、補給管と供給タンクとの間で塗料供給経路を切り離して、電気的に切断(開成)し、塗料に印加した高電圧がアース電位にリークするのを防止している。
【0010】
【特許文献4】特開昭57−209662号公報
【0011】
さらに、他の従来技術による静電塗装装置は、塗料源からの塗料を一時的に貯える液体リザーバと、この液体リザーバから塗料を吐出するホースとからなる塗料の供給系統を2系統設け、該各ホースは、コイル選択マニホールドにより他のホースを介して静電スプレーガンに選択的に接続する構成としている(例えば、特許文献5参照)。
【0012】
【特許文献5】特開平2−2885号公報
【0013】
この特許文献5による静電塗装装置を使用して塗装する場合には、コイル選択マニホールドにより一方の液体リザーバを他のホースを介して静電スプレーガンに接続する。この状態で、一方の液体リザーバ内の塗料をホース、他のホース等を介して静電スプレーガンに供給し、該静電スプレーガンから被塗物に向けて噴霧する。
【0014】
また、一方の液体リザーバを使用して塗装しているときには、並行して他方の液体リザーバに次色の塗料を充填することができる。この場合には、液体リザーバとコイル選択マニホールドとの間のホース内等に残存した塗料を排出し、付着塗料を洗浄する。これにより、他方の液体リザーバは、一方の液体リザーバから静電スプレーガンに至る塗料供給ラインと電気的に開成(切断)できるから、塗料に印加した高電圧が他方の液体リザーバからアース電位にリークするのを防止することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、上述した特許文献4による静電塗装装置は、上方の補給管から下方の供給タンクに塗料を滴下しているから、滴状となって落下する塗料からは揮発成分が蒸発し易く、塗料が変質して塗装の仕上りが悪くなるという問題がある。
【0016】
また、特許文献5による静電塗装装置は、一方の液体リザーバと他方の液体リザーバとを切換える度に、液体リザーバとコイル選択マニホールドとの間のホース内に残存した塗料を排出しなくてはならない。しかも、ホース内に付着した塗料も切換える度に洗浄溶剤を用いて洗浄しなくてはならない。
【0017】
このために、特許文献5の静電塗装装置は、ホースから無駄に廃棄される塗料の量が増大し、洗浄溶剤の使用量も増大してしまう。これにより、洗浄作業に時間がかかる上に、洗浄溶剤の使用量も増えるから、塗装効率の低下、塗装コストの上昇を招くという問題がある。
【0018】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、塗色の異なる複数色の導電性塗料を混合し、この混色塗料に高電圧を印加して塗装作業を行うに際し、塗料の廃棄量、洗浄液体の使用量を削減することにより、洗浄時間を短縮して塗装効率を向上できるようにした混色静電塗装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の請求項1による混色静電塗装装置は、塗色の異なる複数色の導電性塗料のうち、少なくとも2種類の塗料を同時に供給する各色毎の塗料供給系統と、該各塗料供給系統から同時に供給される各色の塗料が混合された混色塗料に対し、高電圧を印加して被塗物に向け噴霧する噴霧手段とを備えている。
【0020】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記各色毎の塗料供給系統は、それぞれ塗料を貯える2つの独立した容器からなる第1,第2のタンクと、該第1,第2のタンクに塗料源からの塗料を充填する第1,第2の充填流路と、前記第1,第2のタンクに貯えられた塗料を吐出する第1,第2の吐出流路と、一端が該第1,第2の吐出流路に合流して接続され他端が前記噴霧手段に接続された供給流路と、前記第1,第2の吐出流路と供給流路とに接続して設けられ、前記第1,第2の吐出流路を供給流路に切換えて接続する吐出流路切換弁と、前記第1,第2の吐出流路に接続して設けられ、該吐出流路切換弁により一方の吐出流路から他方の吐出流路に切換えた後に前記一方の吐出流路内の残存塗料を一方のタンクに回収するために、加圧エア源からの加圧エアを前記一方の吐出流路に供給する回収弁と、前記供給流路に接続して設けられ、前記噴霧手段による塗装作業の終了後に、前記供給流路と噴霧手段とに残存する塗料を洗浄するために、加圧エア源からの加圧エアと洗浄液体源からの洗浄液体を供給する洗浄弁と、前記第1,第2のタンクにそれぞれ設けられ、塗装作業のために前記噴霧手段に向け塗料を供給している前記一方のタンクをアースに対して開成するアーススイッチとにより構成したことにある。
【0021】
請求項2の発明は、前記回収弁は、前記加圧エア源と前記第1の吐出流路との間に設けられた第1の回収エア供給弁と、前記加圧エア源と第2の吐出流路との間に設けられた第2の回収エア供給弁とを備えてなる。
【0022】
請求項3の発明は、前記第1,第2の充填流路には、前記吐出流路切換弁により前記一方の吐出流路から他方の吐出流路に切換えられた後に、前記一方のタンクに塗料を充填する充填弁と、該充填弁により前記タンクに塗料を充填するときにタンク内のエアを排出する排気弁とをそれぞれ設ける構成としている。
【0023】
請求項4の発明は、前記第1,第2のタンク内に加圧エア源からの加圧エアを供給し前記第1,第2のタンクに充填された塗料を押出す塗料押出し弁を設ける構成としている。
【0024】
請求項5の発明は、前記第1,第2のタンクは、絶縁性材料を用いた容器として形成し、該容器には、塗料流通孔を有する二室画成板によって上側の高電圧遮断室と下側の塗料収容室とに画成し、前記容器の上部側には該二室画成板の塗料流通孔を介して高電圧遮断室から塗料収容室に塗料を流入する塗料流入口を設け、前記容器の下部側には前記塗料収容室内の塗料を流出する塗料流出口を設ける構成としている。
【0025】
請求項6の発明は、一端が前記吐出流路の途中から分岐し他端が前記タンクの塗料収容室に連通した回収流路を設け、前記吐出流路には、前記回収流路の分岐位置とタンクとの間に位置して前記噴霧手段に向けて塗料を供給するときに開弁するタンク流出弁を設け、前記回収流路には、前記タンクに向けて塗料を回収するときに開弁するタンク回収弁を設ける構成としている。
【0026】
また、本発明の請求項7による混色静電塗装装置は、塗色の異なる二液型塗料の主剤のうち、少なくとも2種類の主剤を同時に供給する各色毎の主剤供給系統と、該各主剤供給系統から供給される主剤を硬化するための硬化剤を供給する硬化剤供給系統と、該各主剤供給系統と硬化剤供給系統とから同時に供給される各色の主剤が混合された混色主剤と硬化剤とからなる混色塗料に対し、高電圧を印加して被塗物に向け噴霧する噴霧手段とを備えている。
【0027】
そして、上述した課題を解決するために、請求項7の発明が採用する構成の特徴は、前記各色毎の主剤供給系統は、それぞれ主剤を貯える2つの独立した容器からなる第1,第2のタンクと、該第1,第2のタンクに主剤源からの主剤を充填する第1,第2の充填流路と、前記第1,第2のタンクに貯えられた主剤を吐出する第1,第2の吐出流路と、一端が該第1,第2の吐出流路に合流して接続され他端が前記噴霧手段に接続された供給流路と、前記第1,第2の吐出流路と供給流路とに接続して設けられ、前記第1,第2の吐出流路を供給流路に切換えて接続する吐出流路切換弁と、前記第1,第2の吐出流路に接続して設けられ、該吐出流路切換弁により一方の吐出流路から他方の吐出流路に切換えた後に前記一方の吐出流路内の残存主剤を一方のタンクに回収するために、加圧エア源からの加圧エアを前記一方の吐出流路に供給する回収弁と、前記供給流路に接続して設けられ、前記噴霧手段による塗装作業の終了後に、前記供給流路と噴霧手段とに残存する主剤を洗浄するために、加圧エア源からの加圧エアと洗浄液体源からの洗浄液体を供給する洗浄弁と、前記第1,第2のタンクにそれぞれ設けられ、塗装作業のために前記噴霧手段に向け主剤を供給している前記一方のタンクをアースに対して開成するアーススイッチとにより構成し、前記硬化剤供給系統は、一端が硬化剤源に接続され他端が前記主剤供給系統の供給流路に合流した硬化剤供給流路と、該硬化剤供給流路に設けられ、硬化剤源からの硬化剤と洗浄用の加圧エア、洗浄液体とを選択して前記噴霧手段に向け供給する選択供給弁とにより構成したことにある。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明では、まず、塗料供給系統を2系統(A系統とB系統)設けた場合を例示し、それぞれの第1のタンクを使用した塗装工程について説明する。この第1のタンクを使用した塗装工程では、A系統のA色塗料源からの塗料を第1の充填流路を通じて第1のタンクに充填する。一方、B系統のB色塗料源からの塗料を第1の充填流路を通じて第1のタンクに充填する。
【0029】
次に、A系統の第1の吐出流路を供給流路に接続するように吐出流路切換弁を切換え、B系統の第1の吐出流路を供給流路に接続するように吐出流路切換弁を切換える。この状態で、A系統とB系統では、それぞれ同時に第1のタンクから第1の吐出流路を経由して供給流路にA色塗料とB色塗料を供給する。これにより、A色塗料とB色塗料を混合してX=A+BからなるX色塗料を噴霧手段に供給し、該噴霧手段から被塗物に向けてX色塗料を噴霧する。このときに、A色塗料の供給量とB色塗料の供給量との割合を調整することにより、X色塗料の濃淡の度合を変えて塗装することができる。
【0030】
また、第1のタンクを使用した塗装工程では、それぞれの第1のアーススイッチにより第1のタンクをアース電位に対して開成(切断)し、この上で、噴霧手段から噴霧する塗料に高電圧を印加する。これにより、例えば電気抵抗値が低い水性塗料等を塗装する場合でも、塗料を伝わって高電圧がリークするのを防止でき、良好な静電塗装を行うことができる。一方、A系統、B系統の第1のタンクを使用した塗装工程では、それぞれの第2のタンクに塗料を充填することができる。
【0031】
そして、各第1のタンクに充填したA色塗料とB色塗料とを混合したX色塗料の塗装が終了したら、第1の吐出流路内を電気的に絶縁するために、A系統、B系統の第1の吐出流路に残存した塗料を回収する。この回収作業では、吐出流路切換弁により第2の吐出流路を供給流路に接続した後に、回収弁により加圧エア源からの加圧エアを第1の吐出流路に供給する。これにより、第1の吐出流路内の残存塗料は、第1のタンクに回収でき、第1の吐出流路を空にして絶縁状態にすることができる。また、この回収作業と並行し、A系統とB系統では第2のタンクに充填された塗料を供給流路に供給することにより、塗装の準備をする。
【0032】
次に、第2のタンクを使用した塗装工程では、第2のアーススイッチにより第2のタンクをアース電位に対して開成し、噴霧手段から噴霧する塗料に高電圧を印加する。この状態で、各第2のタンク内のA色塗料とB色塗料を第2の吐出流路、供給流路を経由して噴霧手段に供給することにより、該噴霧手段から被塗物に向けてA色塗料とB色塗料を混合してなるX色塗料を噴霧することができる。
【0033】
次に、塗装作業の終了後には、供給流路と噴霧手段とに残存した塗料を洗浄する。この洗浄作業では、洗浄弁により加圧エア源からの加圧エアと洗浄液体源からの洗浄液体を供給流路と噴霧手段とに供給する。これにより、供給流路と噴霧手段に残存した塗料を洗浄することができる。
【0034】
この結果、塗色の異なる複数色の導電性塗料を混合し、この混色塗料に高電圧を印加して塗装作業を行うことができるから、例えば、白色系の塗料と黒色系の塗料とを混合することにより、中塗りで好適に用いられるグレー色等の中間色を被塗物に塗装することができる。また、白色系塗料の供給量と黒色系塗料の供給量との割合を調整することにより、グレー色の濃淡の度合を変えて塗装することができる。これにより、上塗りを施した場合には、最適な中塗りによって上塗りの仕上がりを良好(鮮やかに)にすることができる。
【0035】
しかも、第1のタンクと第2のタンクを頻繁に切換えて塗装を行った場合でも、吐出流路内の塗料は、加圧エア源からの加圧エアによりタンク内に押し戻して回収することができるから、廃棄される塗料の量を削減することができる。また、洗浄する範囲は、供給流路と噴霧手段の接液面だけであるから、洗浄液体の使用量を削減でき、また洗浄時間を短縮することができる。これにより、塗装効率の向上、塗装コストの低減等を図ることができる。
【0036】
請求項2の発明では、第1の吐出流路に残存した塗料を回収する場合には、第1の回収エア供給弁を開弁する。これにより、加圧エア源からの加圧エアを第1の吐出流路に供給することができ、この加圧エアにより第1の吐出流路内の塗料を押動して第1のタンク内に回収することができる。
【0037】
また、第2の吐出流路に残存した塗料を回収する場合には、第2の回収エア供給弁を開弁し、第2の吐出流路に加圧エアを供給することにより、第2の吐出流路内の塗料を第2のタンク内に回収することができる。
【0038】
請求項3の発明では、第1,第2のタンクのうち、一方のタンクに塗料を充填する場合には、吐出流路切換弁が他方の吐出流路を供給流路に切換えた後、充填流路に設けた充填弁を開弁する。これにより、塗料源からの塗料を、充填流路を通じて一方のタンクに充填することができる。また、塗料を充填するときには、排気弁を開弁することにより、塗料の充填量に対応したエアをタンクから排出することができ、塗料の充填作業を円滑に行うことができる。
【0039】
請求項4の発明では、塗装する場合には、塗料押出し弁により加圧エア源からの加圧エアをタンク内に供給する。これにより、タンク内の塗料を加圧エアによって押出し、噴霧手段側に供給することができる。
【0040】
請求項5の発明では、塗料源からの塗料は、塗料流入口からタンク内に流入し、上側の高電圧遮断室を通り抜け、二室画成板の塗料流通孔を通って下側の塗料収容室に充填される。また、塗料収容室に塗料を収容したタンクは、絶縁性材料を用いた容器として形成している。これにより、塗料収容室に充填された塗料は、その塗料源との間を高電圧遮断室により絶縁することができ、塗料に印加した高電圧が充填流路、塗料源を介してアース電位にリークするのを防止することができる。
【0041】
また、容器内を仕切る二室画成板は、塗料収容室内の塗料が高電圧遮断室に流入するのを防止することができるから、高電圧遮断室による絶縁性能を維持することができる。そして、塗料収容室内の塗料は、下側の塗料流出口から吐出流路等を介して噴霧手段に供給することができる。
【0042】
請求項6の発明では、タンクの塗料収容室に収容した塗料を塗装する場合には、タンク流出弁を開弁し、吐出流路を介して噴霧手段に向け塗料を供給する。一方、タンク回収弁を開弁したときには、吐出流路に残存した塗料をタンク内に回収することができ、塗料の廃棄量を削減することができる。しかも、吐出流路内の塗料を回収した後は、タンクは噴霧手段側に対して電気的に切離すことができるから、タンクをアースした状態で次に使用する塗料を充填することができる。
【0043】
請求項7の発明では、選択供給弁から供給する硬化剤を顔料を含む主剤に混合することができ、二液型塗料を塗装することができる。また、選択供給弁は、洗浄用の加圧エアと洗浄液体とを噴霧手段に向け供給することにより、残存する二液型塗料を洗浄することができる。しかも、少なくとも主剤供給系統を2系統設け、該各主剤供給系統により塗色の異なる少なくとも2種類の主剤を同時に供給し、これらの主剤を混合しているから、濃淡の度合を変えて塗装することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態による混色静電塗装装置として、回転霧化頭型の塗装機を備えた混色静電塗装装置を代表例とし、添付図面に従って詳細に説明する。
【0045】
まず、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。この第1の実施の形態では、塗色の異なる2種類の塗料、即ち、A色塗料とB色塗料とをX=A+Bとして混合してなるX色塗料を、下塗り後の被塗物に中塗りとして塗装する場合を例に挙げて説明する。
【0046】
図1において、1は第1の実施の形態による直接帯電式の混色静電塗装装置を示している。この混色静電塗装装置1は、例えば水性塗料、金属顔料を含む溶剤系メタリック塗料等の導電性塗料に直接的に高電圧を印加して塗装を行うものである。ここで、混色静電塗装装置1は、後述の塗装機62に向けて供給するA色塗料とB色塗料との流量比を適宜に調整することにより、調合されたX色塗料の濃淡の度合を変えて塗装することができる。そして、混色静電塗装装置1は、後述の塗装用ロボット2、A色塗料供給系統3、B色塗料供給系統59および塗装機62等により大略構成されている。
【0047】
2は混色静電塗装装置1の動作部をなす塗装用ロボットである。この塗装用ロボット2は、基台2Aと、該基台2A上に回転可能かつ揺動可能に設けられた垂直アーム2Bと、該垂直アーム2Bの先端に揺動可能に設けられた水平アーム2Cと、該水平アーム2Cの先端に設けられた手首2Dとにより大略構成されている。
【0048】
3は混色静電塗装装置1を構成するA色塗料供給系統である。このA色塗料供給系統3は、中塗りに用いるA色塗料、例えば白色系の塗料を塗装機62に向け、後述のB色塗料供給系統59と同時に供給するものである。また、A色塗料供給系統3は、後述の各タンク4,16、各充填流路19,20、各吐出流路27,30、供給流路43、吐出流路切換弁46、回収弁49、洗浄弁55、各アーススイッチ56,57等により大略構成されている。
【0049】
ここで、各タンク4,16と、A色塗料源17と、加圧エア源23と、洗浄液体源50と、各タンク4,16に付随する後述の各充填弁33,36、各排気弁34,37、各塗料押出し弁35,38、各タンク流出弁39,41および各タンク回収弁40,42とは、塗装の邪魔にならないように塗装用ロボット2の動作範囲から外れた位置、例えば塗装ラインの壁面等に纏めて配設されている。また、後述のポンプユニット45、吐出流路切換弁46、回収弁49および洗浄弁55は、塗料や洗浄液体の無駄を抑えるために、塗装機62に近い位置、例えば塗装用ロボット2の水平アーム2C上に纏めて配設されている。
【0050】
次に、第1,第2のタンク4,16の具体的な内部構造を含む全体構成について述べる。
【0051】
即ち、4はA色塗料供給系統3を構成する第1のタンクである。この第1のタンク4は、図2、図3に示すように、後述する第2のタンク16とは独立して設けられ、A色塗料源17から供給される塗料を貯えるものである。この場合、第1のタンク4が貯える塗料の量は、例えば1台の自動車車体の外板に対し、複数台の塗装装置で分担して塗装するのに必要な1台分の貯留量、例えば200〜1000cc程度の貯留量となっている。また、第1のタンク4は、A色塗料源17側に高電圧がリークするのを防止するために絶縁性材料、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂材料、ガラス材料、セラミックス材料等を用いた容器として形成されている。
【0052】
詳しくは、第1のタンク4は、図4に示す如く、上,下方向に延びた円筒状の筒部5A、上側の蓋部5Bおよび下側の底部5Cからなる容器本体5と、該容器本体5の筒部5Aの上,下方向の中間部位を縮径して設けられた二室画成板6とにより、内部が上,下に区分けされた容器として構成されている。そして、容器本体5内は、二室画成板6により、上側の高電圧遮断室7と下側の塗料収容室8とに画成されている。
【0053】
ここで、後述するように、第1の吐出流路27内の塗料を回収するときには、加圧エアを用いているから、二室画成板6は、後述の回収塗料通路15から流入する加圧エアを含んだ塗料の中から加圧エアを分離するものである。即ち、二室画成板6は、加圧エアが分離された塗料を下側の塗料収容室8に戻し、分離した加圧エアだけを中央の塗料流通孔6Aを通して高電圧遮断室7側に流通させるものである。
【0054】
また、容器本体5の蓋部5Bには、塗料収容室8に塗料を流入させる塗料流入口9と、塗料が流入した分の空気を外部に排出する排気口10と、塗料収容室8から塗料を押出すための加圧エアを流入させるエア流入口11とが設けられている。また、蓋部5Bの下面側には、塗料流入口9から下向きに延びた充填ノズル12と、該充填ノズル12を取囲む環状突起13とが設けられている。この環状突起13は、塗料収容室8と充填ノズル12の先端との間の絶縁距離を長くし、沿面放電を防止している。一方、容器本体5の底部5Cは、中央部が下がったロート状をなし、その中央部に塗料流出口14が設けられている。
【0055】
さらに、容器本体5の筒部5Aには、塗料収容室8の上側位置で、二室画成板6の近くに回収塗料通路15が設けられている。この回収塗料通路15は、図5に示す如く、筒部5Aの内周面に接線方向で連通するように形成され、塗料収容室8に流入する塗料は筒部5Aの内面に沿って該塗料収容室8に戻すことができる。
【0056】
16は第1のタンク4と独立して設けられた第2のタンクである。この第2のタンク16は、その構成が前述した第1のタンク4と同一となっていることから、該第1のタンク4と同一の符号を付して説明を省略するものとする。
【0057】
次に、A色塗料源17、塗料制御弁18、第1,第2の充填流路19,20、第1,第2のエア排出流路21,22等の充填系統について述べる。
【0058】
17はA色塗料供給系統3に塗料を供給するA色塗料源である。また、18は該A色塗料源17から圧送供給されるA色塗料の供給圧を制御する塗料制御弁(図2、図3に「CV1」と記載)を示している。これらのA色塗料源17と塗料制御弁18は、第1のタンク4と第2のタンク16との両方に共通して用いられている。ここで、A色塗料源17から供給されるA色塗料は、例えば白色系の水性塗料であり、後述する黒色系のB色塗料と混合してグレー色等の中間色となるX色塗料を作る1つの要素である。
【0059】
19は第1のタンク4に塗料を充填するための第1の充填流路である。この第1の充填流路19は、一端が塗料制御弁18を介してA色塗料源17に接続されている。一方、第1の充填流路19の他端は、後述する第1の充填弁33を介して第1のタンク4の塗料流入口9に接続されている。
【0060】
また、20は第2のタンク16に塗料を充填するための第2の充填流路である。この第2の充填流路20は、一端が第1の充填流路19と合流して塗料制御弁18を介してA色塗料源17に接続されている。一方、第2の充填流路20の他端は、後述する第2の充填弁36を介して第2のタンク16の塗料流入口9に接続されている。
【0061】
21は第1のタンク4から空気を排出させるための第1のエア排出流路である。この第1のエア排出流路21は、一端が後述する第1の排気弁34を介して第1のタンク4の排気口10に接続され、他端が大気に開放されている。
【0062】
また、22は第2のタンク16から空気を排出させるための第2のエア排出流路である。この第2のエア排出流路22は、一端が後述する第2の排気弁37を介して第2のタンク16の排気口10に接続され、他端が大気に開放されている。
【0063】
次に、第1,第2のタンク4,16に加圧エアを供給する加圧エア源23、第1の圧力レギュレータ24、第1,第2の押出しエア流路25,26等について述べる。
【0064】
23は混色静電塗装装置1の各部位に加圧エアを供給する共通の加圧エア源である。また、24は該加圧エア源23から圧送供給される加圧エアの供給圧を調整する第1の圧力レギュレータ(図2、図3に「PR1」と記載)を示している。ここで、加圧エア源23から供給される加圧エアは、第1,第2のタンク4,16内の塗料を供給流路43側へ押出す押出しエアと、後述する第1,第2の吐出流路27,30内の塗料を第1,第2のタンク4,16に回収する回収エアと、供給流路43等を洗浄する洗浄エアとに共通して用いられている。また、加圧エア源23の加圧エアは、後述のB色塗料供給系統59と塗装機62にも共通して用いられている。また、第1の圧力レギュレータ24は、第1のタンク4と第2のタンク16との両方に共通して用いられている。
【0065】
25は第1のタンク4から塗料を押出す加圧エア(押出しエア)を供給するための第1の押出しエア流路である。この第1の押出しエア流路25は、一端が第1の圧力レギュレータ24を介して加圧エア源23に接続されている。一方、第1の押出しエア流路25の他端は、後述する第1の塗料押出し弁35を介して第1のタンク4のエア流入口11に接続されている。
【0066】
また、26は第2のタンク16から塗料を押出す加圧エア(押出しエア)を供給するための第2の押出しエア流路である。この第2の押出しエア流路26は、一端が第1の押出しエア流路25と合流し第1の圧力レギュレータ24を介して加圧エア源23に接続されている。一方、第2の押出しエア流路26の他端は、後述する第2の塗料押出し弁38を介して第2のタンク16のエア流入口11に接続されている。
【0067】
次に、第1,第2の吐出流路27,30、第1,第2の回収流路28,31等について述べる。
【0068】
27は第1のタンク4に貯えられた塗料を吐出するための第1の吐出流路である。この第1の吐出流路27は、一端が第1のタンク4の塗料流出口14に後述する第1のタンク流出弁39を介して接続されている。一方、第1の吐出流路27の他端は、後述する吐出流路切換弁46を介して供給流路43に接続されている。
【0069】
28は第1の回収流路である。この第1の回収流路28は、一端が第1の吐出流路27の分岐位置29から分岐し、第1のタンク回収弁40を介して他端が第1のタンク4に設けられた回収塗料通路15に接続されている。
【0070】
また、30は第2のタンク16に貯えられた塗料を吐出するための第2の吐出流路である。この第2の吐出流路30は、一端が第2のタンク16の塗料流出口14に後述する第2のタンク流出弁41を介して接続されている。一方、第2の吐出流路30の他端は、後述する吐出流路切換弁46を介して供給流路43に接続されている。
【0071】
31は第2の回収流路である。この第2の回収流路31は、一端が第2の吐出流路30の分岐位置32から分岐し、第2のタンク回収弁42を介して他端が第2のタンク16に設けられた回収塗料通路15に接続されている。
【0072】
次に、第1のタンク4の上部に設けられ塗料の充填と吐出を行うための各種の弁の構成について述べる。
【0073】
33は第1の充填流路19に設けられた第1の充填弁である。この第1の充填弁33は、第1のタンク流出弁39を閉弁し、第1の排気弁34を開弁した後に開弁することにより、A色塗料源17からのA色塗料を第1の充填流路19を通じて第1のタンク4内に充填するものである。なお、第1のタンク4を用いた塗装に連続して第2のタンク16を用いた塗装を行う場合、第1の充填弁33の開弁に先立ち、後述の吐出流路切換弁46により、供給流路43は、第1の吐出流路27から第2の吐出流路30に切換えられている。
【0074】
34は第1のエア排出流路21に設けられた第1の排気弁である。この第1の排気弁34は、第1の充填弁33が開弁して第1のタンク4内に塗料を充填しているときに、一緒に開弁することにより、塗料が流入した分のエアを外部に排出するものである。また、排気弁34は、第1のタンク4内に塗料を回収するときにも開弁する。
【0075】
また、35は第1の押出しエア流路25に設けられた第1の塗料押出し弁である。この第1の塗料押出し弁35は、第1のタンク4内の塗料を用いて塗装を行うときに、開弁して加圧エア源23からの加圧エアを押出しエアとして第1のタンク4に供給し、その塗料収容室8に充填された塗料を第1の吐出流路27側に押出すものである。
【0076】
ここで、上述した第1の充填弁33と第1の排気弁34と第1の塗料押出し弁35は、図1に示すように、例えば第1のタンク4の上側に纏めて配置されている。
【0077】
次に、第2のタンク16の上部に設けられ塗料の充填と吐出を行うための各種の弁の構成について述べる。
【0078】
36は第2の充填流路20に設けられた第2の充填弁である。37は第2のエア排出流路22に設けられた第2の排気弁である。さらに、38は第2の押出しエア流路26に設けられた第2の塗料押出し弁である。これらの第2の充填弁36、第2の排気弁37、第2の塗料押出し弁38は、前述した第1の充填弁33、第1の排気弁34、第1の塗料押出し弁35と同様に構成され、例えば第2のタンク16の上側に纏めて配置されている。
【0079】
次に、第1のタンク4の下部に設けられ塗料の供給と回収を行うための各種の弁の構成について述べる。
【0080】
39は第1の回収流路28との分岐位置29と第1のタンク4との間に位置して第1の吐出流路27に設けられた第1のタンク流出弁(図2に「タンク」を省略して「T流出弁」と記載)である。この第1のタンク流出弁39は、第1のタンク4の塗料収容室8に貯えた塗料を塗装機62に向けて供給するときに開弁するものである。
【0081】
40は第1の回収流路28に設けられた第1のタンク回収弁(図2に「タンク」を省略して「T回収弁」と記載)である。この第1のタンク回収弁40は、第1の吐出流路27に残存したA色塗料を第1のタンク4に向けて回収するときに、第1の排気弁34と共に開弁するものである。
【0082】
次に、第2のタンク16の下部に設けられ塗料の供給と回収を行うための各種の弁の構成について述べる。
【0083】
41は第2の回収流路31との分岐位置32と第2のタンク16との間に位置して第2の吐出流路30に設けられた第2のタンク流出弁(図2に「T流出弁」と記載)である。42は第2の回収流路31に設けられた第2のタンク回収弁(図2に「T回収弁」と記載)である。これらの第2のタンク流出弁41、第2のタンク回収弁42は、前述した第1のタンク流出弁39、第1のタンク回収弁40と同様に構成されている。
【0084】
次に、第1,第2の吐出流路27,30から塗装機62までの吐出系統について述べる。
【0085】
43は一端が第1の吐出流路27と第2の吐出流路30との合流位置44に接続された供給流路である。この供給流路43の他端は、後述のポンプユニット45等を介して塗装機62に延びている。ここで、供給流路43は、電気絶縁性の高い合成樹脂製チューブ等が用いられ、この合成樹脂製チューブの外周に金属線を編み込んでシールドアースが施されている。このシールドアースは、静電塗装中に供給流路43内を流通する塗料に高電圧を印加したときに、この高電圧が原因となって供給流路43が絶縁破壊したときに、アースに放電するものである。
【0086】
45は供給流路43に設けられたポンプユニットである。このポンプユニット45は、塗料を定量供給する容積型のギヤポンプ45A(図3に「GP1」と記載)と、該ギヤポンプ45Aと同期して開閉動作し、塗装機62の回転霧化頭62Bに対する塗料の供給と停止とを行うトリガ弁45Bとにより構成されている。また、ギヤポンプ45Aは、回転駆動用のサーボモータと絶縁性材料からなるシャフト(いずれも図示せず)を介して接続され、アース電位に接続されたサーボモータと電気的に切り離されている。
【0087】
次に、2つの塗料の供給系統を切換えるための吐出流路切換弁46について述べる。
【0088】
この吐出流路切換弁46は、第1,第2の吐出流路27,30と供給流路43との合流位置44に設けられている。この吐出流路切換弁46は、第1の吐出流路27と第2の吐出流路30の一方を供給流路43に切換えて接続するものである。そして、吐出流路切換弁46は、第1の吐出流路27に設けられた第1の弁体46Aと、第2の吐出流路30に設けられた第2の弁体46Bとにより構成されている。ここで、各弁体46A,46Bは、後述する回収弁49の各回収エア供給弁49B,49Cと各吐出流路27,30とをバイパス通路を介して常時連通している。
【0089】
次に、各吐出流路27,30内に残存する塗料をタンク4,16に回収するための回収系統について述べる。
【0090】
47は各吐出流路27,30に回収エアを供給するための回収エア流路である。この回収エア流路47は、一端が第2の圧力レギュレータ48(図2、図3に「PR2」と記載)を介して加圧エア源23に接続されている。一方、回収エア流路47の他端は、分岐位置47Aで第1のエア流路47Bと第2のエア流路47Cに分岐している。そして、第1のエア流路47Bは、回収弁49の回収エア供給弁49B、吐出流路切換弁46の第1の弁体46Aを介して第1の吐出流路27に接続されている。また、第2のエア流路47Cは、回収弁49の回収エア供給弁49C、吐出流路切換弁46の第2の弁体46Bを介して第2の吐出流路30に接続されている。
【0091】
49は回収エア流路47の分岐位置47Aに設けられた回収弁を示している。この回収弁49は、吐出流路切換弁46を介して第1,第2の吐出流路27,30に接続している。また、回収弁49は、吐出流路切換弁46により供給流路43を第1の吐出流路27に切換えた後に、加圧エア源23からの加圧エアを第2の吐出流路30に供給する。一方、回収弁49は、吐出流路切換弁46により供給流路43を第2の吐出流路30に切換えた後に、加圧エア源23からの加圧エアを第1の吐出流路27に供給する。
【0092】
そして、回収弁49は、分岐位置47Aの上流側で回収エア流路47に設けられたゲート弁49Aと、第1のエア流路47Bに設けられた第1の回収エア供給弁49Bと、第2のエア流路47Cに設けられた第2の回収エア供給弁49Cとにより構成されている。
【0093】
次に、洗浄流体切換弁52と塗装機62との間を洗浄する洗浄系統について述べる。
【0094】
50は混色静電塗装装置1に洗浄液体を供給する洗浄液体源である。また、51は該洗浄液体源50から圧送供給される洗浄液体の供給圧を制御する洗浄液体制御弁(図2、図3に「CV2」と記載)を示している。これらの洗浄液体源50と洗浄液体制御弁51は、A色塗料供給系統3の供給流路43、ポンプユニット45と、B色塗料供給系統59の供給流路43′、ポンプユニット45′と、塗装機62とに共通して用いられている。
【0095】
52は加圧エア(洗浄エア)と洗浄液体とを選択して供給する洗浄流体切換弁である。この洗浄流体切換弁52は、第3の圧力レギュレータ53(図2、図3に「PR3」と記載)を介して加圧エア源23に接続された洗浄エア供給弁52Aと、洗浄液体制御弁51を介して洗浄液体源50に接続された洗浄液体供給弁52Bとにより構成されている。
【0096】
また、54は一端が洗浄流体切換弁52に接続された洗浄流体流路である。この洗浄流体流路54の他端は、各吐出流路27,30と供給流路43との合流位置44に接続されている。
【0097】
55は洗浄流体流路54の途中に設けられた洗浄弁である。この洗浄弁55は、塗装機62による塗装作業の終了後に、供給流路43、ポンプユニット45、塗装機62等からなる後述の塗料ライン58に残存し、付着した塗料を洗浄するものである。そして、洗浄弁55は、開弁することにより、加圧エア源23からの加圧エア(洗浄エア)と洗浄液体源50からの洗浄液体を供給流路43、塗装機62等に向けて供給することができる。
【0098】
さらに、塗装作業時に第1,第2のタンク4,16をアース電位に対して開成するための第1,第2のアーススイッチ56,57について述べる。
【0099】
56は第1のタンク4に電気的に接続して設けられた第1のアーススイッチである。このアーススイッチ56は、常閉接点として構成され、外部から信号が入力されることにより開成するものである。そして、この第1のアーススイッチ56は、常時は閉成(接続)状態にある。一方、吐出流路切換弁46によって第1のタンク4が第1の吐出流路27を介して供給流路43に接続され、第1のタンク4を使用した塗装工程では開成(切断)され、この第1のタンク4をアースに対して電気的に切離した状態とする。これにより、塗装機62の本体部62Aを介して塗料に印加されした高電圧が、第1のタンク4内の塗料に伝わった場合でも、アースにリークするのを防止することができる。また、第1のアーススイッチ56は、塗装作業以外では閉成し、第1のタンク4をアースに接続することができる。
【0100】
57は第2のタンク16に電気的に接続して設けられた第2のアーススイッチである。この第2のアーススイッチ57は、前述した第1のアーススイッチ56と同様の構成と、第2のタンク16に対する同様の機能を有している。
【0101】
次に、吐出流路切換弁46,46′から塗装機62までの塗料ライン58について述べる。
【0102】
即ち、58は供給されるA色塗料とB色塗料とを混合し、この混色塗料となるX色塗料を噴霧するための塗料ラインを示している。この塗料ライン58は、A色塗料供給系統3側の供給流路43とポンプユニット45とからなるA色供給ライン58Aと、後述するB色塗料供給系統59側の供給流路43′とポンプユニット45′とからなるB色供給ライン58Bと、前記A色供給ライン58AとB色供給ライン58Bに合流部58Cで合流し、X色塗料を塗装機62の回転霧化頭62Bに向けて供給する混色供給ライン58Dと、前記塗装機62とにより構成されている。
【0103】
この塗料ライン58は、塗装時に第1の吐出流路27,27′または第2の吐出流路30,30′からの塗料を流通することにより、この塗料を塗装機62の回転霧化頭62Bから噴霧させる。一方、洗浄時には、内部に残存する塗料を洗浄エア、洗浄液体によって洗浄することができる。
【0104】
さて、次に、混色静電塗装装置1を構成するB色塗料供給系統59について述べる。
【0105】
このB色塗料供給系統59は、中塗りに用いるB色塗料、例えば黒色系の導電性塗料を塗装機62′に向け、前述したA色塗料供給系統3と同時に供給するものである。また、B色塗料供給系統59は、A色塗料源17に換えてB色塗料源60に塗料制御弁61(図2に「CV3」と記載)を介して接続されている。この点を除いて、B色塗料供給系統59は、A色塗料供給系統3と同様の構成となっている。そこで、B色塗料供給系統59では、A色塗料供給系統3と同一の構成要素に対し、同一の符号に(′)を付すことによって説明を省略するものとする。
【0106】
さらに、次に、62は塗装用ロボット2の手首2Dに設けられた回転霧化頭型の塗装機で、該塗装機62は、混色静電塗装装置1の噴霧手段を構成している。ここで、塗装機62は、内部にエアモータを備えた本体部62Aと、該本体部62Aの先端に設けられた回転霧化頭62Bとにより構成されている。この回転霧化頭62Bには、塗料ライン58の混色供給ライン58Dを経由して、X色塗料(グレー色系塗料)が供給される。また、塗装機62には、高電圧ケーブル63Aを介して高電圧発生器63(図2、図3に「HV」と記載)が接続され、これにより、塗装機62から噴霧される塗料に直接的に高電圧を印加することができる。
【0107】
第1の実施の形態による混色静電塗装装置1は上述の如き構成を有するもので、次に、混色静電塗装装置1による塗装作業と洗浄作業について、図6および図7に示すタイムチャートを参照しつつ説明する。
【0108】
この動作説明では、A色塗料供給系統3の第1のタンク4とB色塗料供給系統59の第1のタンク4′とを同時に使用し、A色塗料供給系統3の第2のタンク16とB色塗料供給系統59の第1のタンク16′とを同時に使用した場合を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこの組合せに限らず、例えばA色塗料供給系統3の第2のタンク16とB色塗料供給系統59の第1のタンク4′とを同時に使用してもよいものである。
【0109】
まず、図6のタイムチャートにおいて、各塗料供給系統3,59の第1のタンク4,4′と第2のタンク16,16′とを交互に用いた塗装作業について説明する。説明の都合上、各第1のタンク4,4′には塗料が充填されており、各第2のタンク16,16′は使用済みで空となっており、該各第2のタンク16,16′への塗料充填工程が並行して行われることを条件に説明する。また、A色塗料供給系統3とB色塗料供給系統59とは、A色塗料の供給量とB色塗料の供給量との差を除いて、全く同じ動作を行っているため、重複する説明は省略するものとする。
【0110】
そして、各塗料供給系統3,59の第1のタンク4,4′による塗装作業のうち、A色塗料供給系統3の第1のタンク4による塗装作業では、塗料の流通経路を確保するために、第1のタンク流出弁39を開弁し、吐出流路切換弁46によって第1のタンク4(第1の吐出流路27)を供給流路43に接続する。また、第1のタンク4内のA色塗料を押出すために第1の塗料押出し弁35を開弁すると共に第1の排気弁34を開弁する。さらに、第1のアーススイッチ56を開成することにより、第1のタンク4、第1のタンク流出弁39、第1のタンク回収弁40等をアース電位に対して切離した遮断状態にする。また、第1のタンク4では、高電圧遮断室7が塗料収容室8のA色塗料と第1の充填流路19(A色塗料源17側)とを電気的に遮断している。
【0111】
一方、B色塗料供給系統59の第1のタンク4′による塗装作業では、第1の排気弁34′、第1の塗料押出し弁35′、第1のタンク流出弁39′を開弁し、吐出流路切換弁46′を第1のタンク4′側に切換え、第1のアーススイッチ56′を開成する。
【0112】
また、塗装機62の回転霧化頭62Bを回転駆動し、高電圧発生器63によって塗料に高電圧を印加する。この状態で、各塗料供給系統3,59のポンプユニット45,45′のトリガ弁45B,45B′を開弁し、ギヤポンプ45A,45A′を駆動する。
【0113】
さらに、A色塗料供給系統3は、第1のタンク4から第1の吐出流路27を経由して供給流路43にA色塗料を供給する。これと同時に、B色塗料供給系統59は、第1のタンク4′から第1の吐出流路27′を経由して供給流路43′にB色塗料を供給する。このときに、塗料ライン58は、A色塗料供給系統3側のA色供給ライン58AからA色塗料を供給すると共に、B色塗料供給系統59側のB色供給ライン58BからB色塗料を供給し、各塗料を合流部58Cで合流(混合)し、混合したX色塗料を混色供給ライン58Dから塗装機62に供給する。これにより、塗装機62は、混色塗料であるX色塗料を微粒化しつつ、被塗物(図示せず)との間に形成される電気力線に沿って塗料粒子を飛行させ、被塗物を塗装することができる。
【0114】
ここで、上述した塗装工程では、A色塗料供給系統3側のギヤポンプ45AによるA色塗料の供給量と、B色塗料供給系統59側のギヤポンプ45A′によるB色塗料の供給量とをそれぞれ調整(制御)することにより、X色塗料の濃淡の度合を変えることができる。
【0115】
具体的には、一般的な中塗りで使用するグレー色塗料を塗装する場合には、A色塗料として白色系塗料を用い、B色塗料として黒色系塗料を用いる。そして、白色系塗料の供給量と黒色系塗料の供給量との割合を調整し、白色系塗料の供給量を多くすることにより、グレー色塗料を淡い色(明るい色、薄い色)にすることができる。一方、黒色系塗料の供給量を多くすることにより、グレー色塗料を濃い色(暗い色)にすることができる。
【0116】
一方、上述した各塗料供給系統3,59の第1のタンク4,4′による塗装工程と並行して行われる第2のタンク16,16′への塗料充填工程は、前回の塗装工程で塗料が減少した第2のタンク16,16′内に塗料を充填するものである。この場合、A色塗料供給系統3による第2のタンク16への塗料充填工程では、第2の充填弁36と第2の排気弁37とを開弁する。これにより、A色塗料源17からのA色塗料は、第2の充填流路20を介して第2のタンク16内に充填される。また、このA色塗料の充填時には、第2の排気弁37を開弁しており充填量に応じた空気を第2のエア排出流路22から放出できるから、塗料を短時間で効率よく充填することができる。同様に、B色塗料源60からのB色塗料は、第2の充填流路20′を介して第2のタンク16′内に充填される。
【0117】
次に、第1のタンク4による塗装工程が終了したら、第1の吐出流路27に残存した塗料を第1のタンク4に回収する塗料回収工程に移る。この第1のタンク4への塗料回収工程では、回収弁49を切換えて回収エア流路47を吐出流路切換弁46の第1の弁体46Aを介して第1の吐出流路27(第1のタンク4)に接続する。この状態で、第1のタンク回収弁40と第1の排気弁34とを開弁する。これにより、加圧エア源23から供給される加圧エアにより、第1の吐出流路27内に残存したA色塗料を第1のタンク4に向けて押動するから、A色塗料は、第1の回収流路28を通じて回収塗料通路15から第1のタンク4内に回収することができる。また、B色塗料は、第1の回収流路28′を通じて第1のタンク4′内に回収することができる。
【0118】
そして各第1のタンク4,4′内に第1の吐出流路27内の塗料を回収した後には、第1の吐出流路27,27′内には導電性の塗料が残留していないから、各第1のタンク4,4′内の塗料を、塗装機62に印加される高電圧と遮断することができる。
【0119】
この塗料回収時に、回収塗料通路15は、第1のタンク4の内面に沿って接線方向に流れるから、この内面への衝突による飛散、気泡の発生等を防止できる。また、回収される塗料には、加圧エアが混入しているが、二室画成板6によって加圧エアが分離され、塗料は塗料収容室8に流下し、加圧エアは塗料流通孔6Aを通じて高電圧遮断室7側に流出し、さらに、加圧エアは第1のエア排出流路21から外部に放出することができる。
【0120】
ここで、A色塗料供給系統3の第1のタンク4への塗料回収工程を行っているときには、並行して第2のタンク16を用いた塗装の準備工程が行われる。この第2のタンクの塗装準備工程では、吐出流路切換弁46によって第2のタンク16(第2の吐出流路30)を供給流路43に接続する。また、第2のタンク16内の塗料を押出すために第2の塗料押出し弁38と第2のタンク流出弁41とを開弁し、各ポンプユニット45と塗装機62の回転霧化頭62Bを所定時間駆動する。このことは、B色塗料供給系統59の第1のタンク4′への塗料回収工程でも同様である。
【0121】
このため、第2のタンク16,16′から供給されるA色塗料、B色塗料を、それぞれの第2の吐出流路30,30′と供給流路43,43′に供給し、塗装機62の混色供給ライン58Dを通して回転霧化頭62Bに供給する。これにより、ポンプユニット45,45′のギヤポンプ45A,45A′を駆動したときには、所定量の塗料が回転霧化頭62Bまで供給されているから、直ちに次の塗装作業を開始することができる。
【0122】
次に、第2のタンク16の塗装準備工程が終了したら、図7に示すように、第2のタンク16を用いた塗装工程を行う。この第2のタンク16による塗装工程は、前述した第1のタンク4による塗装工程とほぼ同様となっている。即ち、第2のタンク16による塗装工程では、A色塗料供給系統3において、第2のタンク流出弁41を開弁し、吐出流路切換弁46によって第2のタンク16(第2の吐出流路30)を供給流路43に接続し、第2の塗料押出し弁38を開弁する。また、第2のアーススイッチ57を開成し、第2のタンク16、第2のタンク流出弁41、第2のタンク回収弁42等をアース電位に対して切離した遮断状態にする。
【0123】
そして、塗装機62の回転霧化頭62Bを回転駆動し、高電圧発生器63によって塗料に高電圧を印加し、各ポンプユニット45,45′のトリガ弁45B,45B′を開弁し、ギヤポンプ45A,45A′を駆動する。これにより、各第2のタンク16,16′からのA色塗料とB色塗料とを混合してなるX色塗料を用いて被塗物に塗装を施すことができる。
【0124】
一方、上述した第2のタンク16による塗装工程と並行して行われる第1のタンク4への塗料充填工程では、第1の充填弁33と第1の排気弁34とを開弁し、A色塗料源17からのA色塗料を、第1の吐出流路27を介して第1のタンク4内に充填する。また、B色塗料源60からのB色塗料を第1のタンク4′内に充填する。
【0125】
次に、第2のタンク16による塗装工程が終了したら、第2の吐出流路30に残存したA色塗料を第2のタンク16に回収する塗料回収工程に移る。この第2のタンク16への塗料回収工程では、回収弁49を切換えて回収エア流路47を第2の吐出流路30に接続し、第2のタンク回収弁42と第2の排気弁37とを開弁する。これにより、加圧エア源23から供給される加圧エアにより、第2の吐出流路30内に残存したA色塗料を第2のタンク16内に回収することができる。同様に、第2の吐出流路30′内に残存したB色塗料を第2のタンク16′内に回収することができる。
【0126】
一方、第1,第2のタンク4,16を交互に用いた塗装作業が終了した場合には、前述した第2のタンク16への塗料回収工程と並行し、塗料ライン58の洗浄工程を行う。この塗料ライン58の洗浄工程では、洗浄弁55,55′を開弁し、洗浄流体切換弁52,52′の洗浄エア供給弁52A,52A′と洗浄液体供給弁52B,52B′を交互に開弁する。そして、回転霧化頭62Bとポンプユニット45,45′とを駆動する。これにより、洗浄エア、洗浄液体を用いて塗料ライン58に残存、付着した塗料、詳しくは、供給流路43,43′、ポンプユニット45,45′のA色塗料,B色塗料と、塗装機62のX色塗料とを洗浄することができる。
【0127】
なお、図6、図7に示す実施の形態によるタイムチャートでは、A色塗料供給系統3とB色塗料供給系統59の第1のタンク4,4′と第2のタンク16,16′とを1回ずつ用いて塗装を行った場合を例示している。しかし、塗装面の形状、塗装面積等に応じ第1,第2のタンク4,4′,16,16′を、2回、3回と繰返して使用した後に、洗浄工程に移ってもよいことは勿論である。
【0128】
以上のように、第1の実施の形態によれば、A色塗料供給系統3には、第1,第2のタンク4,16による塗装工程終了後に第1,第2の吐出流路27,30に残存するA色塗料を、それぞれのタンク4,16に回収する回収弁49を設け、B色塗料供給系統59には、第1,第2のタンク4′,16′による塗装工程終了後に第1,第2の吐出流路27′,30′に残存するA色塗料を、それぞれのタンク4′,16′に回収する回収弁49′を設ける構成としている。
【0129】
従って、例えば回収弁49,49′によって加圧エア源23からの加圧エアを第1の吐出流路27,27′に供給することにより、この第1の吐出流路27,27′内の残存塗料は、第1のタンク4,4′に回収することができ、第1の吐出流路27,27′内の導電性塗料を空にして電気的に絶縁状態にすることができる。同様に、第2の吐出流路30,30′内の残存塗料も、第2のタンク16,16′に回収し、この第2の吐出流路30,30′を電気的に絶縁状態にすることができる。また、塗装作業後の洗浄作業では、吐出流路切換弁46,46′よりも下流側、即ち、供給流路43,43′、ポンプユニット45,45′、塗装機62からなる塗料ライン58に残存した塗料を洗浄するだけでよい。
【0130】
この結果、A色,B色塗料供給系統3,59は、白色系のA色塗料と黒色系のB色塗料とを混合することにより、中塗りで好適に用いられるグレー色等の中間色のX色塗料を被塗物に塗装することができる。また、白色系塗料の供給量と黒色系塗料の供給量との割合を調整することにより、グレー色の濃淡の度合を変えて塗装することができる。これにより、中塗りでは、上塗りで塗装される塗料(塗色)に応じた最適な色合い(濃淡)にすることができ、上塗りの仕上がりを良好(鮮やかに)にすることができる。
【0131】
しかも、第1の吐出流路27,27′、第2の吐出流路30,30′に残存した塗料は、加圧エア源23からの加圧エアにより第1のタンク4,4′、第2のタンク16,16′内に押し戻して回収することができるから、廃棄される塗料の量を削減することができる。また、洗浄する範囲は、供給流路43,43′、ポンプユニット45,45′、塗装機62からなる塗料ライン58だけであるから、洗浄液体の使用量を削減でき、また洗浄時間を短縮することができる。これにより、塗装効率の向上、塗装コストの低減等を図ることができる。
【0132】
また、各タンク4,4′,16,16′が貯える塗料の量は、例えば1台の混色静電塗装装置1が1回の塗装作業で使用する量、例えば200〜1000cc程度と少量に設定している。これにより、全体を小型、軽量に形成することができるから、自由に設置することができ、また設計の自由度を向上することができる。しかも、各タンク4,4′,16,16′は、貯える塗料が少量であるから、帯電容量が小さく、電撃等に対する安全性を高めることができる。
【0133】
また、回収弁49は、加圧エア源23と第1の吐出流路27との間に設けられた第1の回収エア供給弁49Bと、加圧エア源23と第2の吐出流路30に設けられた第2の回収エア供給弁49Cとを備えている。従って、第1の回収エア供給弁49Bまたは第2の回収エア供給弁49Cを開弁することにより、加圧エア源23からの加圧エアにより第1の吐出流路27または第2の吐出流路30に残存したA色塗料を回収することができる。同様に、回収弁49′によりB色塗料も回収することができる。
【0134】
また、塗料を回収するときには、対応する排気弁34,34′,37,37′を開弁することにより、塗料の回収量、回収エアの流入に対応したエアをタンク4,4′,16,16′から排出することができ、内部の圧力上昇を抑制してA色塗料、B色塗料の回収作業を円滑に行うことができる。
【0135】
一方、各充填流路19,20には、それぞれのタンク4,16に塗料を充填する充填弁33,36と、タンク4,16内のエアを排出する排気弁34,37とを設ける構成としている。これにより、充填弁33,36を開弁するだけでA色塗料源17からの塗料をタンク4,16に充填することができる。また、A色塗料を充填するときには、排気弁34,37を開弁することにより、塗料の充填量に対応したエアをタンク4,16から排出することができ、内部の圧力上昇を抑制してA色塗料の充填作業を円滑に行うことができる。同様に、B色塗料源60からのB色塗料をタンク4′,16′に充填することができる。
【0136】
また、第1,第2のタンク4,16に接続して加圧エア源23からの加圧エアを供給する塗料押出し弁35,38を設ける構成としている。従って、塗装する場合には、塗料押出し弁35,38により加圧エア源23からの加圧エアをタンク4,16内に供給することにより、タンク4,16内の塗料を加圧エアによって押出すことができる。これにより、A色塗料、B色塗料を供給流路43,43′、塗装機62側に積極的に供給することができる。
【0137】
また、絶縁性材料からなる第1,第2のタンク4,16は、二室画成板6によって上側の高電圧遮断室7と下側の塗料収容室8とに画成し、上部側には塗料収容室8に塗料を流入する塗料流入口9を設け、下部側には塗料収容室8内の塗料を流出する塗料流出口14を設ける構成とした。
【0138】
従って、塗料収容室8に充填された塗料は、そのA色塗料源17との間を高電圧遮断室7により絶縁できるから、塗料に印加した高電圧が充填流路19,20、A色塗料源17を介してアース電位にリークするのを防止することができ、良好な静電塗装を行うことができる。しかも、各タンク4,16内に設けた二室画成板6は、塗料収容室8内の塗料が高電圧遮断室7に流入するのを防止することができるから、高電圧遮断室7による絶縁性能を維持することができる。また、B色塗料供給系統59においても、高電圧のリークを防止でき、絶縁性能を維持することができる。
【0139】
さらに、第1のタンク4側の系統についてみると、吐出流路27の途中から分岐してタンク4の塗料収容室8に連通した回収流路28を設け、吐出流路27には前記回収流路28の分岐位置29とタンク4との間に位置してタンク流出弁39を設け、前記回収流路28にはタンク回収弁40を設ける構成としている。
【0140】
これにより、第1のタンク4の塗料収容室8に収容した塗料を塗装する場合には、タンク流出弁39を開弁することにより、吐出流路27を介して塗装機62に向け塗料を供給することができる。また、タンク回収弁40を開弁したときには、吐出流路27に残存した塗料をタンク4内に回収することができ、塗料の廃棄量を削減することができる。さらに、第1のタンク4は、塗装機62側に対して電気的に切離すことができるから、タンク4,16をアース電位に接続した状態で次回分の塗料を充填することができ、火花放電等を防止した状態で塗料の充填作業を行うことができる。
【0141】
一方、第2のタンク16側の系統についても、前述と同様に、タンク回収弁42を開弁したときには、残存塗料をタンク16内に回収することができる。また、第2のタンク16は、塗装機62側に対して電気的に切離すことができ、また、アース電位に接続した状態で次回分の塗料を充填することができる。さらに、B色塗料供給系統59の各タンク4′,16′についても同様の効果を奏する。
【0142】
次に、図8は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、塗色の異なる3種類の塗料、即ち、A色塗料とB色塗料とC色塗料とを混合してなるY色塗料を塗装する場合を例に挙げて説明する。
【0143】
図8において、71は第2の実施の形態による混色静電塗装装置を示している。この混色静電塗装装置71は、前述した第1の実施の形態によるA色塗料供給系統3、B色塗料供給系統59に加え、3種類目のC色塗料供給系統72を設ける構成としている。
【0144】
72は混色静電塗装装置71を構成するC色塗料供給系統である。このC色塗料供給系統72は、A色塗料供給系統3によるA色塗料、B色塗料供給系統59によるB色塗料と同時に、C色塗料を塗装機62に向けて供給するものである。ここで、C色塗料供給系統72は、その各充填弁33″,36″がC色塗料を供給するC色塗料源73に塗料制御弁74(図8に「CV4」と記載)を介して接続されている点を除いて、第1の実施の形態のA色塗料供給系統3、B色塗料供給系統59と同様の構成となっている。そこで、C色塗料供給系統72では、A色塗料供給系統3と同一の構成要素に対し、同一の符号に(″)を付すことによって説明を省略するものとする。なお、C色塗料には、第1の実施の形態と同様に導電性塗料を用いることができる。
【0145】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態によれば、A色塗料とB色塗料とC色塗料との3種類の塗料を混合してY色塗料を調合しているから、例えば2色の混合では調合が困難な塗料を塗装することができる。
【0146】
次に、図9および図10は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、混色静電塗装装置により主剤と硬化剤からなる二液型塗料を塗装する構成としたことにある。なお、第3の実施の形態では、前述した第1の実施の形態による混色静電塗装装置の主要部が同じであるから、同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0147】
図9において、81は第3の実施の形態による混色静電塗装装置を示している。この混色静電塗装装置81は、顔料を含む2種類の主剤と、これらの主剤を硬化させる硬化触媒としての硬化剤とを所定の比率で混合して用いる所謂二液型塗料を塗装するものである。そこで、第3の実施の形態による混色静電塗装装置81は、前述した第1の実施の形態による混色静電塗装装置1に該当する部位の構成をD色主剤供給系統82、E色主剤供給系統84として用い、これらの主剤供給系統82,84とは別個に硬化剤供給系統86を設ける構成としている。
【0148】
82は二液型塗料のD色主剤を供給するD色主剤供給系統で、該D色主剤供給系統82は、例えば前述した第1の実施の形態によるA色塗料源17に換えてD色主剤源83に接続されている点を除いて、第1の実施の形態によるA色塗料供給系統3と同様の構成となっている。
【0149】
また、84は二液型塗料のE色主剤を供給するE色主剤供給系統で、該E色主剤供給系統84は、例えば前述した第1の実施の形態によるB色塗料源60に換えてE色主剤源85に接続されている点を除いて、第1の実施の形態によるB色塗料供給系統59と同様の構成となっている。
【0150】
なお、D色主剤供給系統82のD色主剤、E色主剤供給系統84のE色主剤としては、第1の実施の形態と同様に導電性の主剤(塗料)を用いることができる。また、D色主剤供給系統82によるD色主剤の供給量と、E色主剤供給系統84によるE色主剤の供給量との割合は、濃淡を調整するために適宜に変えることができる。
【0151】
次に、86は混色静電塗装装置81の塗料供給系統の1つをなす硬化剤供給系統を示している。この硬化剤供給系統86は、主剤を硬化させる硬化触媒としての硬化剤を、各主剤の流量に応じた所定の比率で塗装機62に供給するものである。そして、硬化剤供給系統86は、後述の硬化剤源87、硬化剤制御弁88、硬化剤供給流路89、洗浄流体切換弁90、洗浄流体流路91、硬化剤ライン92、ポンプユニット94、選択供給弁95等により大略構成されている。
【0152】
87は硬化剤供給系統86に硬化剤を供給する硬化剤源である。また、88は該硬化剤源87から圧送供給される硬化剤の供給圧を調整する硬化剤制御弁(図9に「CV5」と記載)を示している。
【0153】
89は硬化剤を塗装機62に向けて供給するための硬化剤供給流路である。この硬化剤供給流路89は、一端が硬化剤制御弁88を介して硬化剤源87に接続されている。一方、硬化剤供給流路89の他端は、後述する選択供給弁95の硬化剤弁95Aに接続されている。
【0154】
90は加圧エア(洗浄エア)と洗浄液体とを選択して供給する洗浄流体切換弁である。この洗浄流体切換弁90は、第1の実施の形態による洗浄流体切換弁52とほぼ同様に、第3の圧力レギュレータ53を介して加圧エア源23に接続された洗浄エア供給弁90Aと、洗浄液体制御弁51を介して洗浄液体源50に接続された洗浄液体供給弁90Bとにより構成されている。
【0155】
また、91は一端が洗浄流体切換弁90に接続された洗浄流体流路である。この洗浄流体流路91の他端は、後述する選択供給弁95の洗浄弁95Bに接続されている。
【0156】
92は一端が硬化剤供給流路89と洗浄流体流路91との合流位置93に接続された硬化剤ラインである。この硬化剤ライン92の他端は、ギヤポンプ94Aとトリガ弁94Bからなるポンプユニット94等を介して各主剤供給系統82,84側の供給流路43,43′と合流している。
【0157】
95は硬化剤供給流路89に接続して設けられた選択供給弁である。この選択供給弁95は、硬化剤源87からの硬化剤と、洗浄流体切換弁90からの加圧エア、洗浄液体とを選択し、塗装機62に向け供給するものである。この選択供給弁95は、硬化剤供給流路89に設けられた硬化剤弁95Aと、洗浄流体流路91に設けられた洗浄弁95Bとにより構成されている。
【0158】
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第3の実施の形態によれば、選択供給弁95は、硬化剤供給系統86からの硬化剤を各主剤供給系統82,84からのD色主剤,E色主剤に混合することができ、塗装機62から二液型塗料を塗装することができる。このときに、D色主剤の供給量とE色主剤の供給量との割合を調整することにより、二液型塗料の濃淡を調整することができる。また、選択供給弁95は、洗浄用の加圧エアと洗浄液体とを塗装機62に向け供給することにより、塗装終了後に残存する二液型塗料を洗浄することができる。
【0159】
なお、第1の実施の形態では、A色塗料供給系統3の回収エア流路47の第1のエア流路47Bを、第1の回収エア供給弁49B、吐出流路切換弁46の第1の弁体46Aを通して第1の吐出流路27に接続し、第2のエア流路47Cを、第2の回収エア供給弁49C、吐出流路切換弁46の第2の弁体46Bを通して第2の吐出流路30に接続した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば回収エア流路47の各エア流路47B,47Cを、吐出流路切換弁46の各弁体46A,46B内を通さずに、第1,第2の回収エア供給弁49B,49Cの流出側を各吐出流路27,30に直接的に接続する構成としてもよい。この構成は、B色塗料供給系統59、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【0160】
また、アーススイッチ56,57等として常閉接点をもった常閉スイッチを例示したが、常開スイッチを用いてもよい。また、半導体スイッチ、電子スイッチ、光学スイッチ等の無接点スイッチを用いてもよいことは勿論である。
【0161】
さらに、各実施の形態では、噴霧手段として回転霧化頭62Bを備えた塗装機62を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばエア霧化ノズル、液圧霧化ノズル等を備えた塗装機を噴霧手段として用いる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明の第1の実施の形態による混色静電塗装装置を示す外観図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による混色静電塗装装置を示す全体構成図である。
【図3】図2の混色静電塗装装置の一部を具体的な回路で示す回路構成図である。
【図4】第1のタンクを拡大して示す縦断面図である。
【図5】第1のタンクを図4中の矢示V−V方向からみた横断面図である。
【図6】第1の実施の形態による混色静電塗装装置の動作の前半部分を示すタイムチャートである。
【図7】第1の実施の形態による混色静電塗装装置の図6に続く動作の後半部分を示すタイムチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態による混色静電塗装装置を示す全体構成図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態による混色静電塗装装置を示す全体構成図である。
【図10】図9の混色静電塗装装置の一部を具体的な回路で示す回路構成図である。
【符号の説明】
【0163】
1,71,81 混色静電塗装装置
2 塗装用ロボット
3 A色塗料供給系統
4,4′,4″ 第1のタンク
5,5′ 容器本体
6,6′ 二室画成板
7,7′ 高電圧遮断室
8,8′ 塗料収容室
12 充填ノズル
15 回収塗料通路
16,16′,16″ 第2のタンク
17 A色塗料源
19,19′,19″ 第1の充填流路
20,20′,20″ 第2の充填流路
21,21′,21″ 第1のエア排出流路
22,22′,22″ 第2のエア排出流路
23 加圧エア源
25,25′,25″ 第1の押出しエア流路
26,26′,26″ 第2の押出しエア流路
27,27′,27″ 第1の吐出流路
28,28′,28″ 第1の回収流路
29,29′,29″,32,32′,32″ 分岐位置
30,30′,30″ 第2の吐出流路
31,31′,31″ 第2の回収流路
33,33′,33″ 第1の充填弁
34,34′,34″ 第1の排気弁
35,35′,35″ 第1の塗料押出し弁
36,36′,36″ 第2の充填弁
37,37′,37″ 第2の排気弁
38,38′,38″ 第2の塗料押出し弁
39,39′,39″ 第1のタンク流出弁
40,40′,40″ 第1のタンク回収弁
41,41′,41″ 第2のタンク流出弁
42,42′,42″ 第2のタンク回収弁
43,43′,43″ 供給流路
44 合流位置
45,45′,45″ ポンプユニット
46,46′,46″ 吐出流路切換弁
49,49′,49″ 回収弁
50 洗浄液体源
55,55′,55″ 洗浄弁
56,56′,56″ 第1のアーススイッチ
57,57′,57″ 第2のアーススイッチ
58 塗料ライン
59 B色塗料供給系統
60 B色塗料源
62 塗装機(噴霧手段)
63 高電圧発生器
72 C色塗料供給系統
73 C色塗料源
82 D色主剤供給系統(塗料供給系統)
83 D色主剤源
84 E色主剤供給系統(塗料供給系統)
85 E色主剤源
86 硬化剤供給系統(塗料供給系統)
87 硬化剤源
89 硬化剤供給流路
92 硬化剤ライン
95 選択供給弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗色の異なる複数色の導電性塗料のうち、少なくとも2種類の塗料を同時に供給する各色毎の塗料供給系統と、
該各塗料供給系統から同時に供給される各色の塗料が混合された混色塗料に対し、高電圧を印加して被塗物に向け噴霧する噴霧手段とを備えてなる混色静電塗装装置において、
前記各色毎の塗料供給系統は、それぞれ
塗料を貯える2つの独立した容器からなる第1,第2のタンクと、
該第1,第2のタンクに塗料源からの塗料を充填する第1,第2の充填流路と、
前記第1,第2のタンクに貯えられた塗料を吐出する第1,第2の吐出流路と、
一端が該第1,第2の吐出流路に合流して接続され他端が前記噴霧手段に接続された供給流路と、
前記第1,第2の吐出流路と供給流路とに接続して設けられ、前記第1,第2の吐出流路を供給流路に切換えて接続する吐出流路切換弁と、
前記第1,第2の吐出流路に接続して設けられ、該吐出流路切換弁により一方の吐出流路から他方の吐出流路に切換えた後に前記一方の吐出流路内の残存塗料を一方のタンクに回収するために、加圧エア源からの加圧エアを前記一方の吐出流路に供給する回収弁と、
前記供給流路に接続して設けられ、前記噴霧手段による塗装作業の終了後に、前記供給流路と噴霧手段とに残存する塗料を洗浄するために、加圧エア源からの加圧エアと洗浄液体源からの洗浄液体を供給する洗浄弁と、
前記第1,第2のタンクにそれぞれ設けられ、塗装作業のために前記噴霧手段に向け塗料を供給している前記一方のタンクをアースに対して開成するアーススイッチとにより構成したことを特徴とする混色静電塗装装置。
【請求項2】
前記回収弁は、前記加圧エア源と前記第1の吐出流路との間に設けられた第1の回収エア供給弁と、前記加圧エア源と第2の吐出流路との間に設けられた第2の回収エア供給弁とを備えてなる請求項1に記載の混色静電塗装装置。
【請求項3】
前記第1,第2の充填流路には、前記吐出流路切換弁により前記一方の吐出流路から他方の吐出流路に切換えられた後に、前記一方のタンクに塗料を充填する充填弁と、該充填弁により前記タンクに塗料を充填するときにタンク内のエアを排出する排気弁とをそれぞれ設ける構成としてなる請求項1または2に記載の混色静電塗装装置。
【請求項4】
前記第1,第2のタンク内に加圧エア源からの加圧エアを供給し前記第1,第2のタンクに充填された塗料を押出す塗料押出し弁を設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載の混色静電塗装装置。
【請求項5】
前記第1,第2のタンクは、絶縁性材料を用いた容器として形成し、
該容器には、塗料流通孔を有する二室画成板によって上側の高電圧遮断室と下側の塗料収容室とに画成し、
前記容器の上部側には該二室画成板の塗料流通孔を介して高電圧遮断室から塗料収容室に塗料を流入する塗料流入口を設け、
前記容器の下部側には前記塗料収容室内の塗料を流出する塗料流出口を設ける構成としてなる請求項1,2,3または4に記載の混色静電塗装装置。
【請求項6】
一端が前記吐出流路の途中から分岐し他端が前記タンクの塗料収容室に連通した回収流路を設け、
前記吐出流路には、前記回収流路の分岐位置とタンクとの間に位置して前記噴霧手段に向けて塗料を供給するときに開弁するタンク流出弁を設け、
前記回収流路には、前記タンクに向けて塗料を回収するときに開弁するタンク回収弁を設ける構成としてなる請求項5に記載の混色静電塗装装置。
【請求項7】
塗色の異なる二液型塗料の主剤のうち、少なくとも2種類の主剤を同時に供給する各色毎の主剤供給系統と、
該各主剤供給系統から供給される主剤を硬化するための硬化剤を供給する硬化剤供給系統と、
該各主剤供給系統と硬化剤供給系統とから同時に供給される各色の主剤が混合された混色主剤と硬化剤とからなる混色塗料に対し、高電圧を印加して被塗物に向け噴霧する噴霧手段とを備えてなる混色静電塗装装置において、
前記各色毎の主剤供給系統は、それぞれ
主剤を貯える2つの独立した容器からなる第1,第2のタンクと、
該第1,第2のタンクに主剤源からの主剤を充填する第1,第2の充填流路と、
前記第1,第2のタンクに貯えられた主剤を吐出する第1,第2の吐出流路と、
一端が該第1,第2の吐出流路に合流して接続され他端が前記噴霧手段に接続された供給流路と、
前記第1,第2の吐出流路と供給流路とに接続して設けられ、前記第1,第2の吐出流路を供給流路に切換えて接続する吐出流路切換弁と、
前記第1,第2の吐出流路に接続して設けられ、該吐出流路切換弁により一方の吐出流路から他方の吐出流路に切換えた後に前記一方の吐出流路内の残存主剤を一方のタンクに回収するために、加圧エア源からの加圧エアを前記一方の吐出流路に供給する回収弁と、
前記供給流路に接続して設けられ、前記噴霧手段による塗装作業の終了後に、前記供給流路と噴霧手段とに残存する主剤を洗浄するために、加圧エア源からの加圧エアと洗浄液体源からの洗浄液体を供給する洗浄弁と、
前記第1,第2のタンクにそれぞれ設けられ、塗装作業のために前記噴霧手段に向け主剤を供給している前記一方のタンクをアースに対して開成するアーススイッチとにより構成し、
前記硬化剤供給系統は、
一端が硬化剤源に接続され他端が前記主剤供給系統の供給流路に合流した硬化剤供給流路と、
該硬化剤供給流路に設けられ、硬化剤源からの硬化剤と洗浄用の加圧エア、洗浄液体とを選択して前記噴霧手段に向け供給する選択供給弁とにより構成したことを特徴とする混色静電塗装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−290047(P2008−290047A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140543(P2007−140543)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(399055432)ABB株式会社 (18)
【Fターム(参考)】