添加剤の分散方法、および樹脂組成物の押出機
【課題】細かい粒子の形態の添加剤を、凝集を生じさせることなく、樹脂中に均一に分散させる方法およびその方法を実施するための押出機を提供する。
【解決手段】混練中の樹脂に、外部から電界や磁界等を印加して、樹脂中の添加剤に外力を作用させて移動させることにより、添加剤同士が凝集するのを防止し、添加剤が均一に分散した樹脂組成物を得る。あるいは、混練中の樹脂に超音波振動を与えることにより、樹脂同士の凝集を防止し、添加剤を樹脂中に均一に分散させる。
【解決手段】混練中の樹脂に、外部から電界や磁界等を印加して、樹脂中の添加剤に外力を作用させて移動させることにより、添加剤同士が凝集するのを防止し、添加剤が均一に分散した樹脂組成物を得る。あるいは、混練中の樹脂に超音波振動を与えることにより、樹脂同士の凝集を防止し、添加剤を樹脂中に均一に分散させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤を樹脂に混合するプロセスにおいて、添加剤を樹脂中に均一に分散(または拡散)させる方法、およびバレル内側にある樹脂組成物に、外力(磁界、電界、超音波等)を加えることが可能な構造を有する押出機に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂の成形にあたっては、樹脂に所望の性質を付与し、または樹脂を成形する際の加工性を向上させる目的で、種々の添加剤が付与される。添加剤を付与した樹脂は、樹脂および添加剤の2成分を含むから、「樹脂組成物」とも称される。添加剤の一例は、難燃剤であり、難燃剤として、例えば臭素系難燃剤が広く使用されてきた。しかし、臭素系難燃剤は、RoHS指令(特定有害物質使用禁止令)で環境負荷物質に指定され、製品中の含有量が規制されている。このような背景から、環境負荷物質に指定された臭素系難燃剤の代替材料が開発されてきた。その結果、環境負荷物質である難燃剤に替わる新しい難燃剤として、粒子が非常に細かいナノテク材料を使用すると、添加量を少なくしても、従来と同等の難燃効果を発揮する樹脂組成物を得られることがわかった。また、臭素系難燃剤以外の他の添加剤(例えば、離型剤および静電剤等)も、その使用量を減らすことが、種々の理由(例えば、コスト、得られる製品の強度、および環境保護上の理由)により求められており、それらの添加剤もナノテク材料で形成することが提案されている。しかし、ナノテク材料は、凝集しやすいという性質を有する。そのため、従来の押出機を用いて樹脂に添加し、押出機で混練しても、樹脂中に均一に分散しにくい。
【0003】
ここで、従来の押出機の一例の概要を説明する。図12は、特許文献1に開示されている従来の押出機8を示す側断面図である。樹脂は、樹脂供給口11から押出機8に供給される。添加剤は、添加剤供給口10から押出機8に供給される。樹脂と添加剤は、標準送りスクリュー16と練りを強くした混練用スクリュー17によって、矢印13の方向に進行しながら、混合されて混練された後、樹脂排出口12から押し出される。押出機8には混練ゾーンが2以上設けられる。具体的には、バレル9内に練りを強くした混練用スクリュー17を2箇所に配置する。図示した押出機は、樹脂と添加剤を混練するためのものであり、混練以外の他の方法を併用して、樹脂に添加剤を分散させる機構を有していない。
【特許文献1】特開2000−037764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
押出機8は、2つの練りを強くした混練用スクリュー17を用いて、混練ゾーンを2以上形成しているものの、そのような混練だけでは、添加剤が凝集しやすいものである場合に、添加剤が樹脂中に均一に分散しない。即ち、混練ゾーンを追加する、またはスクリューの送りピッチを狭くして練りを強くする等の従来のスクリュー構成による手法では、添加剤を樹脂と混練している間に、添加剤同士が凝集し、粒子が大きくなることを防止することはできない。添加剤の粒子が大きくなると、均一に添加剤が樹脂の中に分散しにくくなる。そのため、所期の効果(例えば、難燃効果)を得るのに更に多くの添加剤が必要となる。しかし、添加剤を多く入れ過ぎると、コストが高くなり、樹脂組成物の性能が劣化するという問題点があった。そこで、本発明は、添加剤同士が凝集するのを防止し、少量の添加剤で所望の効果(例えば、難燃効果)を発揮する樹脂組成物を製造するのに有用な添加剤の分散方法、および押出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、添加剤と樹脂とを含む樹脂組成物が混練されている間に、磁界もしくは電界を印加する、または超音波振動子をバレルに内蔵して超音波振動を与える等、スクリューによる混練の際に加わる力とは異なる力を、添加剤それ自体に加えて、樹脂中に混合された添加剤を樹脂中に分散させる方法を提供する。さらに本発明は、そのような分散が実現され得る、押出機を提供する。
【0006】
具体的に、本発明の方法は、押出機において、混練されている樹脂組成物に、添加剤の種類に応じて添加剤に専ら外力を加えることにより、添加剤が細かい粒子から成る場合でも、添加剤を良好に分散させ、それにより、添加剤同士が凝集するのを防止する。外力は、具体的には、磁界を印加する、電界を印加する、あるいは超音波振動を与えることにより、添加剤に加えられる。磁界を印加すると、添加剤が特に磁性体である場合には、磁界の強さに応じて添加剤が力を受けて移動し、分散させられる。電界を印加すると、添加剤が導電体である場合には、電界の強さに応じて添加剤が力を受けて移動し、分散させられる。超音波振動を与えると、樹脂中の添加剤が動かされて、分散させられる。また、磁界による力等を外力として与える際に、2以上の方向で外力を与えることにより、添加剤をより効率的に分散させることができる。
【0007】
本発明の押出機は、細かい粒子の形態の添加剤を樹脂中に分散させることが可能な押出機であって、添加剤を含んだ樹脂組成物を混練している間に、添加剤に外力を与えることができる押出機である。具体的には、本発明の押出機として、スクリューを内部に収容するバレル本体に、バレル内で混練されている樹脂組成物に磁界を印加する磁界印加部または電界を印加する電界印加部が設けられている押出機が提供される。あるいは、本発明の押出機として、スクリューを内部に収容するバレル本体に、バレル内で混練されている樹脂組成物と接するように配置された超音波振動子が設けられ、かつ超音波振動子とバレル本体との間に、吸収材が介在している押出機が提供される。本発明の押出機は、添加剤が細かい粒子の場合でも、添加剤同士が凝集することを防止して、添加剤を均一に分散させ得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法と押出機によれば、細かい粒子の添加剤を凝集させることなく、均一に樹脂中に分散させることができる。よって、本発明の方法または押出機を用いて、例えば、ナノサイズの難燃剤のような添加剤を樹脂に混合するときには、添加剤の量を減らしても添加剤の機能を発揮させることができるので、樹脂の物性の劣化を有効に抑制して、高機能および高品質の樹脂組成物を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1は、2つの電磁石3を、適当なミキサーまたはニーダーで混練中の樹脂組成物1を挟むように、例えば、図中、上下に設置し、磁界発生装置(例えば、交流電源)4を用いて磁界を印加して、混練中の樹脂組成物1に含まれる添加剤2を分散させる方法を示す正面図である。前述のように、混練だけでは添加剤を十分均一に分散させることができないので、図1に示す方法においては、磁界を印加して、添加剤に外力として磁界による力を作用させて、添加剤を移動させることにより、添加剤を均一に分散させている。磁界による力は磁界の方向に沿って発生し、この磁界の方向に沿って、添加剤は分散する。電磁石は通常使用されているものを任意に使用することができ、添加剤の種類および量、ならびに樹脂組成物全体の量(即ち、2軸押出機の寸法)等に応じて、巻芯の種類および寸法、ならびにコイルの巻き数等が適宜選択される。一般に、磁界の強さが大きいほど、添加剤の分散性はより向上する。ここでは、電磁石を上下に配置して、上下方向で磁界が生じるようにしている。
【0010】
電磁石3に交流電源4から電流を印加することにより、交番磁界が形成される。交番磁界を形成すると、磁界の向きが電流の向きに応じて変化し、添加剤に加わる力の向きも変化するので、添加剤の分散がより良好となる。交番電界は、交流電源の電圧、電流、および周波数を適宜調整して形成することができる。尤も、交流電源の電圧および/または周波数が大きすぎると、添加剤に作用する慣性力が大きくなる及び/または磁界の向きの変化が速すぎる等の理由により、力の向きが変化しても、それに対応して添加剤が移動できず、交番磁界の印加による良好な分散が達成されないことがある。
【0011】
磁界の印加により添加剤を分散させるには、添加剤が、磁界において磁化される性質を有する材料、特に強磁性体を含むことが好ましい。例えば、添加剤は、酸化鉄、クロム酸化鉄、コバルト酸化鉄、またはバリウムフェライト等を含むことが好ましい。
【0012】
添加剤を分散させる樹脂は特に限定されず、公知の任意の樹脂、特に熱可塑性樹脂に対して、この形態を適用できる。このことは、後述する他の形態を含む、本発明の方法および押出機についてあてはまる。
【0013】
図2は、磁界を印加するための電磁石を回転可能なユニットに設置して、印加する磁界の方向を変えて、樹脂中の添加剤を分散させる方法を示す正面図である。図3は、磁界を印加するための電磁石を回転可能なユニットに設置して、印加する磁界の方向を変えて樹脂中の添加剤を分散させる方法を示す側面図である。図3に示すユニットは、樹脂組成物の周囲で、電磁石を360°回転させることが可能な構造を有している。
【0014】
図1に示す形態においては、磁界は上下方向(上下に延びる対角線と平行な向き)において印加されるので、交番磁界を与えても、樹脂中の添加剤は上下の振動を繰り返すのみであり、樹脂中に十分に分散しないことがある。図2および図3に示す形態においては、電磁石を回転させることによって、2方向以上、具体的には図において左右方向(左右に延びる対角線と平行な向き)および斜め方向にも磁界を印加することが可能となり、それにより樹脂中の添加剤の分散が改善される。磁界の向きを変えながら、磁界による力を働かせると、2方向以上、すなわち上下左右方向のみならず、それらを合成した斜め方向においても、磁力が添加剤に作用することとなり、より効率良く、均一に添加剤を分散させることができる。
【0015】
[実施の形態2]
図4は、2つの電極板6を、混練中の樹脂組成物1を挟むように、例えば、図中、上下に設置し、電界発生装置(例えば、交流電源)7を用いて電界を印加して、混練中の樹脂組成物1に含まれる添加剤2を分散させる方法を示す。前述のように、混練だけでは添加剤を十分均一に分散させることができないので、図2に示す方法においては、電界を印加して、添加剤に外力として電界による力を作用させて移動させることにより、添加剤を均一に分散させている。電界による力は電界のかかる方向に沿って発生し、この電界の方向に沿って、添加剤は分散する。電極は、導電材料(例えば金属)を使用して任意の形状および寸法を有するように作製することができる。電極の形状および寸法は、樹脂組成物に含まれる添加剤の種類および量、ならびに樹脂組成物全体の量(即ち、押出機の寸法)等に応じて、適宜選択される。
【0016】
電界の印加により添加剤を分散させるには、添加剤が、導電性を有する材料を含むことが好ましい。例えば、添加剤は、酸化インジウム(ITO)、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)、またはチタン酸バリウム(BaTiO3)等を含むことが好ましい。
【0017】
図5は、電界を印加するための電極板を回転可能なユニットに設置して、印加する電界の方向を変えて、樹脂中の添加剤を分散させる方法を示す正面図である。図6は、電界を印加するための電極板を回転可能なユニットに設置して、印加する電界の方向を変えて樹脂中の添加剤を分散させる方法を示す側面図である。図6に示すユニットは、樹脂組成物の周囲で、電極板を360°回転させることが可能な構造を有している。
【0018】
図4に示す形態においては、電界は上下方向において印加されるので、交番電界を与えても、樹脂中の添加剤は上下の振動を繰り返すのみであり、樹脂中に十分に分散しないことがある。図5および図6に示す形態においては、電極板を回転させることによって、2方向以上、具体的には図において左右方向および斜め方向にも電界を印加することが可能となり、それにより樹脂中の添加剤の分散が改善される。電界の向きを変えながら、電界による力を働かせると、2方向以上、すなわち上下左右方向のみならず、それらを合成した斜め方向においても、電界による外力が添加剤に作用することとなり、より効率良く、均一に添加剤を分散させることができる。
【0019】
ここで、上下左右という用語は、便宜的に使用されており、8つの電磁石は、混練されている樹脂組成物の断面の中心を通過し、互いに直交する2組の対角線上、およびそれらの方向を合成した方向をなす対角線上に位置しているといえる。このことは、後述する説明を含む、本明細書全体について、あてはまる。
【0020】
[実施の形態3]
図7は、樹脂組成物の周辺に8つの電磁石を設置して、上下方向(図において、上下に延びる対角線と平行な向き)、左右方向(図において、左右に延びる対角線と平行な向き)、および斜め方向(図において、上下及び左右に延びる対角線と45°の角をなす対角線と平行な向き)に磁界を印加して、添加剤を樹脂中に分散させる方法を示す。
【0021】
混練中の樹脂組成物に含まれる添加剤に、磁界による力を外力として与える際に、樹脂を中心として対角上に配置された電磁石の組み合わせのそれぞれに交番磁界を発生させる。図示するように8つの電磁石を使用する場合に、上下方向、左右方向および2つの斜め方向(即ち、4方向)の磁界の強さが同一になると、添加剤に加わる力が釣り合って零となり、添加剤が分散されない。よって、磁界をかける方向が、1方向、2方向または3方向となるように、あるいは4方向すべてに磁界をかけるときには、各方向の磁界の強さが同じにならないように、磁界の印加を制御する。
【0022】
図7に示す形態において、磁界の印加は、例えば、次の手順に従って実施することができる。最初に、上下方向に交番磁界を印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。次に、右上と左下の間で延びる対角線と平行な斜め方向の磁界を印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。次に左右方向の磁界を印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。次に左上と右下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の磁界を印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。これらの一連の動作を1周期として、これを繰り返すことによって、樹脂中の添加剤に対して、方向を変えて磁界による力を与えることが可能となる。
【0023】
あるいは、磁界の印加は、上下左右および2つの斜め方向のうち、任意の2方向の磁界を同時に印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止し、次いで、別の2方向の磁界を同時に印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する手順で実施してよい。具体的には、次の手順で磁界を印加できる。最初に、上下方向と右上と左下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の磁界を同時に印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。次に、左右方向と右上と左下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の磁界を同時に印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。次に、左右方向と左上と右下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の磁界を同時に印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。次に、上下方向と左上と右下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の磁界を同時に印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。これらの一連の動作を1周期として、これを繰り返すことによって、樹脂中の添加剤に対して、方向を変えて磁界による力を与えることが可能となる。
【0024】
図7では、8個の電磁石を設置した場合を示した。電磁石の数はこれに限定されず、より多くてもよく、またはより少なくてもよい。例えば、4個の電磁石を設置し、上下方向および左右方向の順で磁界を印加する手順、あるいは上下方向と左右方向に磁界の強さが同一にならないように同時に磁界を印加する手順で、磁界を印加してよい。あるいは、図において、斜め方向に磁界を印加する4個の電磁石を設置してよい。
【0025】
図7に示す樹脂組成物は、押出機のバレルを通過する樹脂組成物を断面図で表したものとみなすこともでき、矩形でなく、円形で示されてもよいものである。このことは、図1〜図6および図8についてもあてはまる。
【0026】
[実施の形態4]
図8は、樹脂組成物の周辺に、8つの電極板を設置して、上下方向、左右方向、および斜め方向に電界を印加して、添加剤を樹脂中に分散させる方法を示す。混練中の樹脂組成物に含まれる添加剤に、電界による力を外力として与える際に、樹脂を中心として対角上に配置された電極板の組み合わせのそれぞれに交番電界を発生させる。上下方向、左右方向および2つの斜め方向(即ち、4方向)の電界の強さが同一になると、添加剤に加わる力が釣り合って零となり、添加剤が分散されない。よって、電界をかける方向が、1方向、2方向または3方向となるように、あるいは4方向すべてに電界をかけるときには、各方向の電界の強さが同じにならないように、電界の印加を制御する。
【0027】
図8に示す形態において、電界の印加は、例えば、次の手順に従って実施することができる。最初に、上下方向に交番電界を印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に、右上と左下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の電界を印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に、左右方向の電界を印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に、左上と右下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の電界を印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。これらの一連の動作を1周期として、これを繰り返すことによって、樹脂中の添加剤に対して、方向を変えて電界による力を与えることが可能となる。又、更に任意の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に別の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。
【0028】
あるいは、電界の印加は、上下左右および2つの斜め方向のうち、任意の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止し、次いで、別の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する手順で実施してよい。具体的には、次の手順で電界を印加できる。最初に、上下方向と右上と左下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に、左右方向と右上と左下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に、左右方向と左上と右下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に、上下方向と左上と右下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。これらの一連の動作を1周期として、これを繰り返すことによって、樹脂中の添加剤に対して、方向を変えて電界による力を与えることが可能となる。
【0029】
図8では、8個の電極板を設置した場合を示した。電極板の数はこれに限定されず、より多くてもよく、またはより少なくてもよい。例えば、4個の電極板を設置し、上下方向および左右方向の順で電界を印加する手順、あるいは上下方向と左右方向に電界の強さが同一にならないようにして同時に印加する手順で、電界を印加してよい。あるいは、図において、斜め方向に電界を印加する4個の電極板を設置してよい。
【0030】
[実施の形態5]
図9は、本発明の押出機の一例として、バレル9が磁界印加部を内蔵している押出機8を、概略的に示す側断面図である。押出機8およびこれを用いる樹脂の混練の概要について説明する。樹脂は、樹脂供給口11から押出機8に供給する。添加剤は、添加剤供給口11から押出機8に供給する。標準送りスクリュー16によって、樹脂と添加剤が混合されて混練された後、樹脂は樹脂排出口12から押し出される。スクリュー16は、単軸であってよく、または二軸であってよい。なお、この押出機は、混練機とも称される。
【0031】
この押出機8は、スクリューにより送られる樹脂16に磁界を印加するために、磁界印加部として電磁石3をバレル9の中に内蔵している。電磁石3は図示していない交流電源に接続されている。図9に示されていないが、電磁石3は、標準送りスクリュー16を中心に上下方向及び左右方向等において対角となるように、バレル9の中に4個以上内蔵されることが好ましい。電磁石3を設ける位置は特に限定されないが、スクリュー16による混煉がある程度進行したときに、磁界が印加されるように、電磁石3は、スクリュー16の全長の真ん中よりも後ろの位置に設けることが好ましい。また、電磁石3の組み合わせは、バレル9の中に2列以上内蔵させてよい(即ち、図9において、符号3で示される要素の組み合わせが、樹脂供給口11側または樹脂排出口12側に、さらに1つ以上存在してよい)。
【0032】
本発明による押出機において、前述のように4個以上の電磁石3を有する場合には、対角線上にある一組の電磁石3のみを駆動して、バレル9内で混練されている樹脂組成物に含まれる添加剤に、磁力による力を与えることが可能なように構成されている。磁界の印加は、実施の形態3に関連して説明したように、磁界による力が釣合って零とならないように、常に一組の電磁石3を駆動し、各組を順次ON/OFFする動作を繰り返す手順で実施する。本発明の押出機によれば、バレル9内で混練中の樹脂組成物に含まれる添加剤を、磁界による力で均一に分散させることができる。よって、本発明の押出機は、添加剤同士の凝集を防止し、樹脂中に添加剤を均一に分散させることを可能にする。
【0033】
[実施の形態6]
図10は、本発明の押出機の一例として、バレル9が電界印加部を内蔵している押出機8を、概略的に示す断面図である。図10において、図9にて示した要素および部材と同じ要素および部材は、図9で使用した符号と同じ符号で示している。また、図10に示す押出機8における樹脂および添加剤の供給および押し出しは、図9を参照して説明したとおりである。
【0034】
この押出機8は、スクリューにより送られる樹脂16に電界を印加するために、電極板6をバレル9の中に内蔵している。電極板6は図示していない交流電源に接続されている。電極板6とバレル9はともに金属なので、電極板6がバレル9と電気的に接続されないように、絶縁材18を電極板6とバレル9の間に設けている。電極板6を設ける位置は特に限定されないが、スクリュー16による混煉がある程度進行したときに、電界が印加されるように、電極板6は、スクリュー16の全長の真ん中よりも後ろの位置に設けることが好ましい。また、電極板6の組み合わせは、バレル9の中に2列以上内蔵させてよい(即ち、図10において、符号6で示される要素の組み合わせが、樹脂供給口11側または樹脂排出口12側に、さらに1つ以上存在してよい)。
【0035】
図9には示されていないが、電極板6は、標準送りスクリュー16を中心に上下方向及び左右方向等において対角となるように、バレル9の中に4個以上内蔵されることが好ましい。本発明による押出機は、対角線上にある一組の電極板6の電源をONにして、バレル9内で混練中の樹脂に含まれる添加剤に、電界による力を与えることが可能なように構成されている。電界の印加は、実施の形態4に関連して説明したように、電界による力が釣合って零とならないように、常に一組の電極板6の電源をONにし、電極板6の各組の電源を順次ON/OFFする動作を繰り返す手順で実施する。本発明の押出機によれば、バレル9内で混練中の樹脂に含まれる添加剤を、電界による力で均一に分散させることができる。よって、本発明の押出機により、添加剤同士の凝集を防止し、樹脂中に均一に分散させることが可能となる。
【0036】
[実施の形態7]
図11は、本発明の押出機の一例として、バレル9が振動吸収材14材と超音波振動子15とを内蔵している押出機8の概略を示す断面図である。図11において、図9にて示した要素および部材と同じ要素および部材は、図9で使用した符号と同じ符号で示している。また、図11に示す押出機8における樹脂および添加剤の供給および押し出しは、図9を参照して説明したとおりである。
【0037】
この押出機8は、スクリューにより送られる樹脂16に超音波振動を与えるために、超音波振動子15をバレル9の中に内蔵している。超音波振動子15は、振動する部分が樹脂組成物と接している、即ち樹脂組成物に露出されていて、超音波振動が直接的に樹脂に与えられるように配置される。したがって、超音波振動子15は、樹脂およびそれに含まれる材料によって変質せず、また、樹脂およびそれに含まれる材料を変質させない材料から成るものである。そのような材料から成る限りにおいて、超音波振動子15は、市販品等から任意に選択することができる。
【0038】
通常、標準送りスクリュー16とバレル9とのクリアランスは小さいので、超音波振動子15から発生した振動が直接バレル9に伝わると、バレル9が振動により、スクリュー16と接触するようになり、バレル9の磨耗が著しくなる。そこで、超音波振動子15をバレル9に内蔵する際、超音波振動がバレルに伝わるのを防止する振動吸収材14を超音波振動子15の周囲に設置し、バレル9と超音波振動子15が直接接触しない構造にすることが好ましい。そのような振動吸収材14を超音波振動子15とバレル9本体との間に介在させる構成により、超音波振動子15で発生した振動をバレル9内の樹脂にのみ伝達することが可能となり、樹脂中に含まれる添加剤を均一に分散させることができる。振動吸収材14は、例えば、シリコンゴム、ウレタンゴム、またはフッ素化ポリマーから成るシートまたは成形体である。
【0039】
本発明は、以上において説明した実施の形態に限定されない。例えば、複数の形態を組み合わせてよく、具体的には、添加剤に、磁界による力を作用させた後、電界による力を作用させてよい。あるいは、添加剤に、磁界による力を作用させた後、電界による力を作用させて、さらに超音波振動による分散を実施してよい。2以上の異なる方法で、外力を加えることにより、添加剤をより良好に分散させることができる。また、磁界印加部は、電磁石に限られず、磁界を樹脂組成物に印加できるものであれば、他のものであってよく、例えば、永久磁石であってもよい。電界印加部についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の分散方法と押出機は、細かい粒子である添加剤を樹脂中に均一分散させて、高機能なプラスチック素材を製造するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】樹脂に磁界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す正面図
【図2】電磁石を設置したユニットを回転させながら磁界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す正面図
【図3】電磁石を設置したユニットを回転させながら磁界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す側面図
【図4】樹脂に電界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す正面図
【図5】電極板を設置したユニットを回転させながら磁界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す正面図
【図6】電極板を設置したユニットを回転させながら磁界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す側面図
【図7】複数の方向で磁界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す正面図
【図8】複数の方向で電界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す正面図
【図9】本発明の押出機の一例を模式的に示す断面図
【図10】本発明の押出機の別の例を模式的に示す断面図
【図11】本発明の押出機のさらに別の例を模式的に示す断面図
【図12】2つの混練ゾーンを有する従来の混練機を模式的に示す断面図
【符号の説明】
【0042】
1 樹脂
2 添加剤
3 電磁石
4 磁界発生装置
5 回転ユニット
6 電極板
7 電界発生装置
8 押出機
9 バレル
10 添加剤供給口
11 樹脂供給口
12 樹脂排出口
13 樹脂の押出し方向を示した矢印
14 振動吸収材
15 超音波振動子
16 標準送りスクリュー
17 練りを強くした混練用スクリュー
18 絶縁材
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤を樹脂に混合するプロセスにおいて、添加剤を樹脂中に均一に分散(または拡散)させる方法、およびバレル内側にある樹脂組成物に、外力(磁界、電界、超音波等)を加えることが可能な構造を有する押出機に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂の成形にあたっては、樹脂に所望の性質を付与し、または樹脂を成形する際の加工性を向上させる目的で、種々の添加剤が付与される。添加剤を付与した樹脂は、樹脂および添加剤の2成分を含むから、「樹脂組成物」とも称される。添加剤の一例は、難燃剤であり、難燃剤として、例えば臭素系難燃剤が広く使用されてきた。しかし、臭素系難燃剤は、RoHS指令(特定有害物質使用禁止令)で環境負荷物質に指定され、製品中の含有量が規制されている。このような背景から、環境負荷物質に指定された臭素系難燃剤の代替材料が開発されてきた。その結果、環境負荷物質である難燃剤に替わる新しい難燃剤として、粒子が非常に細かいナノテク材料を使用すると、添加量を少なくしても、従来と同等の難燃効果を発揮する樹脂組成物を得られることがわかった。また、臭素系難燃剤以外の他の添加剤(例えば、離型剤および静電剤等)も、その使用量を減らすことが、種々の理由(例えば、コスト、得られる製品の強度、および環境保護上の理由)により求められており、それらの添加剤もナノテク材料で形成することが提案されている。しかし、ナノテク材料は、凝集しやすいという性質を有する。そのため、従来の押出機を用いて樹脂に添加し、押出機で混練しても、樹脂中に均一に分散しにくい。
【0003】
ここで、従来の押出機の一例の概要を説明する。図12は、特許文献1に開示されている従来の押出機8を示す側断面図である。樹脂は、樹脂供給口11から押出機8に供給される。添加剤は、添加剤供給口10から押出機8に供給される。樹脂と添加剤は、標準送りスクリュー16と練りを強くした混練用スクリュー17によって、矢印13の方向に進行しながら、混合されて混練された後、樹脂排出口12から押し出される。押出機8には混練ゾーンが2以上設けられる。具体的には、バレル9内に練りを強くした混練用スクリュー17を2箇所に配置する。図示した押出機は、樹脂と添加剤を混練するためのものであり、混練以外の他の方法を併用して、樹脂に添加剤を分散させる機構を有していない。
【特許文献1】特開2000−037764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
押出機8は、2つの練りを強くした混練用スクリュー17を用いて、混練ゾーンを2以上形成しているものの、そのような混練だけでは、添加剤が凝集しやすいものである場合に、添加剤が樹脂中に均一に分散しない。即ち、混練ゾーンを追加する、またはスクリューの送りピッチを狭くして練りを強くする等の従来のスクリュー構成による手法では、添加剤を樹脂と混練している間に、添加剤同士が凝集し、粒子が大きくなることを防止することはできない。添加剤の粒子が大きくなると、均一に添加剤が樹脂の中に分散しにくくなる。そのため、所期の効果(例えば、難燃効果)を得るのに更に多くの添加剤が必要となる。しかし、添加剤を多く入れ過ぎると、コストが高くなり、樹脂組成物の性能が劣化するという問題点があった。そこで、本発明は、添加剤同士が凝集するのを防止し、少量の添加剤で所望の効果(例えば、難燃効果)を発揮する樹脂組成物を製造するのに有用な添加剤の分散方法、および押出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、添加剤と樹脂とを含む樹脂組成物が混練されている間に、磁界もしくは電界を印加する、または超音波振動子をバレルに内蔵して超音波振動を与える等、スクリューによる混練の際に加わる力とは異なる力を、添加剤それ自体に加えて、樹脂中に混合された添加剤を樹脂中に分散させる方法を提供する。さらに本発明は、そのような分散が実現され得る、押出機を提供する。
【0006】
具体的に、本発明の方法は、押出機において、混練されている樹脂組成物に、添加剤の種類に応じて添加剤に専ら外力を加えることにより、添加剤が細かい粒子から成る場合でも、添加剤を良好に分散させ、それにより、添加剤同士が凝集するのを防止する。外力は、具体的には、磁界を印加する、電界を印加する、あるいは超音波振動を与えることにより、添加剤に加えられる。磁界を印加すると、添加剤が特に磁性体である場合には、磁界の強さに応じて添加剤が力を受けて移動し、分散させられる。電界を印加すると、添加剤が導電体である場合には、電界の強さに応じて添加剤が力を受けて移動し、分散させられる。超音波振動を与えると、樹脂中の添加剤が動かされて、分散させられる。また、磁界による力等を外力として与える際に、2以上の方向で外力を与えることにより、添加剤をより効率的に分散させることができる。
【0007】
本発明の押出機は、細かい粒子の形態の添加剤を樹脂中に分散させることが可能な押出機であって、添加剤を含んだ樹脂組成物を混練している間に、添加剤に外力を与えることができる押出機である。具体的には、本発明の押出機として、スクリューを内部に収容するバレル本体に、バレル内で混練されている樹脂組成物に磁界を印加する磁界印加部または電界を印加する電界印加部が設けられている押出機が提供される。あるいは、本発明の押出機として、スクリューを内部に収容するバレル本体に、バレル内で混練されている樹脂組成物と接するように配置された超音波振動子が設けられ、かつ超音波振動子とバレル本体との間に、吸収材が介在している押出機が提供される。本発明の押出機は、添加剤が細かい粒子の場合でも、添加剤同士が凝集することを防止して、添加剤を均一に分散させ得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法と押出機によれば、細かい粒子の添加剤を凝集させることなく、均一に樹脂中に分散させることができる。よって、本発明の方法または押出機を用いて、例えば、ナノサイズの難燃剤のような添加剤を樹脂に混合するときには、添加剤の量を減らしても添加剤の機能を発揮させることができるので、樹脂の物性の劣化を有効に抑制して、高機能および高品質の樹脂組成物を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1は、2つの電磁石3を、適当なミキサーまたはニーダーで混練中の樹脂組成物1を挟むように、例えば、図中、上下に設置し、磁界発生装置(例えば、交流電源)4を用いて磁界を印加して、混練中の樹脂組成物1に含まれる添加剤2を分散させる方法を示す正面図である。前述のように、混練だけでは添加剤を十分均一に分散させることができないので、図1に示す方法においては、磁界を印加して、添加剤に外力として磁界による力を作用させて、添加剤を移動させることにより、添加剤を均一に分散させている。磁界による力は磁界の方向に沿って発生し、この磁界の方向に沿って、添加剤は分散する。電磁石は通常使用されているものを任意に使用することができ、添加剤の種類および量、ならびに樹脂組成物全体の量(即ち、2軸押出機の寸法)等に応じて、巻芯の種類および寸法、ならびにコイルの巻き数等が適宜選択される。一般に、磁界の強さが大きいほど、添加剤の分散性はより向上する。ここでは、電磁石を上下に配置して、上下方向で磁界が生じるようにしている。
【0010】
電磁石3に交流電源4から電流を印加することにより、交番磁界が形成される。交番磁界を形成すると、磁界の向きが電流の向きに応じて変化し、添加剤に加わる力の向きも変化するので、添加剤の分散がより良好となる。交番電界は、交流電源の電圧、電流、および周波数を適宜調整して形成することができる。尤も、交流電源の電圧および/または周波数が大きすぎると、添加剤に作用する慣性力が大きくなる及び/または磁界の向きの変化が速すぎる等の理由により、力の向きが変化しても、それに対応して添加剤が移動できず、交番磁界の印加による良好な分散が達成されないことがある。
【0011】
磁界の印加により添加剤を分散させるには、添加剤が、磁界において磁化される性質を有する材料、特に強磁性体を含むことが好ましい。例えば、添加剤は、酸化鉄、クロム酸化鉄、コバルト酸化鉄、またはバリウムフェライト等を含むことが好ましい。
【0012】
添加剤を分散させる樹脂は特に限定されず、公知の任意の樹脂、特に熱可塑性樹脂に対して、この形態を適用できる。このことは、後述する他の形態を含む、本発明の方法および押出機についてあてはまる。
【0013】
図2は、磁界を印加するための電磁石を回転可能なユニットに設置して、印加する磁界の方向を変えて、樹脂中の添加剤を分散させる方法を示す正面図である。図3は、磁界を印加するための電磁石を回転可能なユニットに設置して、印加する磁界の方向を変えて樹脂中の添加剤を分散させる方法を示す側面図である。図3に示すユニットは、樹脂組成物の周囲で、電磁石を360°回転させることが可能な構造を有している。
【0014】
図1に示す形態においては、磁界は上下方向(上下に延びる対角線と平行な向き)において印加されるので、交番磁界を与えても、樹脂中の添加剤は上下の振動を繰り返すのみであり、樹脂中に十分に分散しないことがある。図2および図3に示す形態においては、電磁石を回転させることによって、2方向以上、具体的には図において左右方向(左右に延びる対角線と平行な向き)および斜め方向にも磁界を印加することが可能となり、それにより樹脂中の添加剤の分散が改善される。磁界の向きを変えながら、磁界による力を働かせると、2方向以上、すなわち上下左右方向のみならず、それらを合成した斜め方向においても、磁力が添加剤に作用することとなり、より効率良く、均一に添加剤を分散させることができる。
【0015】
[実施の形態2]
図4は、2つの電極板6を、混練中の樹脂組成物1を挟むように、例えば、図中、上下に設置し、電界発生装置(例えば、交流電源)7を用いて電界を印加して、混練中の樹脂組成物1に含まれる添加剤2を分散させる方法を示す。前述のように、混練だけでは添加剤を十分均一に分散させることができないので、図2に示す方法においては、電界を印加して、添加剤に外力として電界による力を作用させて移動させることにより、添加剤を均一に分散させている。電界による力は電界のかかる方向に沿って発生し、この電界の方向に沿って、添加剤は分散する。電極は、導電材料(例えば金属)を使用して任意の形状および寸法を有するように作製することができる。電極の形状および寸法は、樹脂組成物に含まれる添加剤の種類および量、ならびに樹脂組成物全体の量(即ち、押出機の寸法)等に応じて、適宜選択される。
【0016】
電界の印加により添加剤を分散させるには、添加剤が、導電性を有する材料を含むことが好ましい。例えば、添加剤は、酸化インジウム(ITO)、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)、またはチタン酸バリウム(BaTiO3)等を含むことが好ましい。
【0017】
図5は、電界を印加するための電極板を回転可能なユニットに設置して、印加する電界の方向を変えて、樹脂中の添加剤を分散させる方法を示す正面図である。図6は、電界を印加するための電極板を回転可能なユニットに設置して、印加する電界の方向を変えて樹脂中の添加剤を分散させる方法を示す側面図である。図6に示すユニットは、樹脂組成物の周囲で、電極板を360°回転させることが可能な構造を有している。
【0018】
図4に示す形態においては、電界は上下方向において印加されるので、交番電界を与えても、樹脂中の添加剤は上下の振動を繰り返すのみであり、樹脂中に十分に分散しないことがある。図5および図6に示す形態においては、電極板を回転させることによって、2方向以上、具体的には図において左右方向および斜め方向にも電界を印加することが可能となり、それにより樹脂中の添加剤の分散が改善される。電界の向きを変えながら、電界による力を働かせると、2方向以上、すなわち上下左右方向のみならず、それらを合成した斜め方向においても、電界による外力が添加剤に作用することとなり、より効率良く、均一に添加剤を分散させることができる。
【0019】
ここで、上下左右という用語は、便宜的に使用されており、8つの電磁石は、混練されている樹脂組成物の断面の中心を通過し、互いに直交する2組の対角線上、およびそれらの方向を合成した方向をなす対角線上に位置しているといえる。このことは、後述する説明を含む、本明細書全体について、あてはまる。
【0020】
[実施の形態3]
図7は、樹脂組成物の周辺に8つの電磁石を設置して、上下方向(図において、上下に延びる対角線と平行な向き)、左右方向(図において、左右に延びる対角線と平行な向き)、および斜め方向(図において、上下及び左右に延びる対角線と45°の角をなす対角線と平行な向き)に磁界を印加して、添加剤を樹脂中に分散させる方法を示す。
【0021】
混練中の樹脂組成物に含まれる添加剤に、磁界による力を外力として与える際に、樹脂を中心として対角上に配置された電磁石の組み合わせのそれぞれに交番磁界を発生させる。図示するように8つの電磁石を使用する場合に、上下方向、左右方向および2つの斜め方向(即ち、4方向)の磁界の強さが同一になると、添加剤に加わる力が釣り合って零となり、添加剤が分散されない。よって、磁界をかける方向が、1方向、2方向または3方向となるように、あるいは4方向すべてに磁界をかけるときには、各方向の磁界の強さが同じにならないように、磁界の印加を制御する。
【0022】
図7に示す形態において、磁界の印加は、例えば、次の手順に従って実施することができる。最初に、上下方向に交番磁界を印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。次に、右上と左下の間で延びる対角線と平行な斜め方向の磁界を印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。次に左右方向の磁界を印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。次に左上と右下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の磁界を印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。これらの一連の動作を1周期として、これを繰り返すことによって、樹脂中の添加剤に対して、方向を変えて磁界による力を与えることが可能となる。
【0023】
あるいは、磁界の印加は、上下左右および2つの斜め方向のうち、任意の2方向の磁界を同時に印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止し、次いで、別の2方向の磁界を同時に印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する手順で実施してよい。具体的には、次の手順で磁界を印加できる。最初に、上下方向と右上と左下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の磁界を同時に印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。次に、左右方向と右上と左下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の磁界を同時に印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。次に、左右方向と左上と右下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の磁界を同時に印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。次に、上下方向と左上と右下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の磁界を同時に印加し、一定時間経過した後、磁界の印加を停止する。これらの一連の動作を1周期として、これを繰り返すことによって、樹脂中の添加剤に対して、方向を変えて磁界による力を与えることが可能となる。
【0024】
図7では、8個の電磁石を設置した場合を示した。電磁石の数はこれに限定されず、より多くてもよく、またはより少なくてもよい。例えば、4個の電磁石を設置し、上下方向および左右方向の順で磁界を印加する手順、あるいは上下方向と左右方向に磁界の強さが同一にならないように同時に磁界を印加する手順で、磁界を印加してよい。あるいは、図において、斜め方向に磁界を印加する4個の電磁石を設置してよい。
【0025】
図7に示す樹脂組成物は、押出機のバレルを通過する樹脂組成物を断面図で表したものとみなすこともでき、矩形でなく、円形で示されてもよいものである。このことは、図1〜図6および図8についてもあてはまる。
【0026】
[実施の形態4]
図8は、樹脂組成物の周辺に、8つの電極板を設置して、上下方向、左右方向、および斜め方向に電界を印加して、添加剤を樹脂中に分散させる方法を示す。混練中の樹脂組成物に含まれる添加剤に、電界による力を外力として与える際に、樹脂を中心として対角上に配置された電極板の組み合わせのそれぞれに交番電界を発生させる。上下方向、左右方向および2つの斜め方向(即ち、4方向)の電界の強さが同一になると、添加剤に加わる力が釣り合って零となり、添加剤が分散されない。よって、電界をかける方向が、1方向、2方向または3方向となるように、あるいは4方向すべてに電界をかけるときには、各方向の電界の強さが同じにならないように、電界の印加を制御する。
【0027】
図8に示す形態において、電界の印加は、例えば、次の手順に従って実施することができる。最初に、上下方向に交番電界を印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に、右上と左下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の電界を印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に、左右方向の電界を印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に、左上と右下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の電界を印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。これらの一連の動作を1周期として、これを繰り返すことによって、樹脂中の添加剤に対して、方向を変えて電界による力を与えることが可能となる。又、更に任意の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に別の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。
【0028】
あるいは、電界の印加は、上下左右および2つの斜め方向のうち、任意の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止し、次いで、別の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する手順で実施してよい。具体的には、次の手順で電界を印加できる。最初に、上下方向と右上と左下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に、左右方向と右上と左下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に、左右方向と左上と右下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。次に、上下方向と左上と右下との間で延びる対角線と平行な斜め方向の2方向の電界を同時に印加し、一定時間経過した後、電界の印加を停止する。これらの一連の動作を1周期として、これを繰り返すことによって、樹脂中の添加剤に対して、方向を変えて電界による力を与えることが可能となる。
【0029】
図8では、8個の電極板を設置した場合を示した。電極板の数はこれに限定されず、より多くてもよく、またはより少なくてもよい。例えば、4個の電極板を設置し、上下方向および左右方向の順で電界を印加する手順、あるいは上下方向と左右方向に電界の強さが同一にならないようにして同時に印加する手順で、電界を印加してよい。あるいは、図において、斜め方向に電界を印加する4個の電極板を設置してよい。
【0030】
[実施の形態5]
図9は、本発明の押出機の一例として、バレル9が磁界印加部を内蔵している押出機8を、概略的に示す側断面図である。押出機8およびこれを用いる樹脂の混練の概要について説明する。樹脂は、樹脂供給口11から押出機8に供給する。添加剤は、添加剤供給口11から押出機8に供給する。標準送りスクリュー16によって、樹脂と添加剤が混合されて混練された後、樹脂は樹脂排出口12から押し出される。スクリュー16は、単軸であってよく、または二軸であってよい。なお、この押出機は、混練機とも称される。
【0031】
この押出機8は、スクリューにより送られる樹脂16に磁界を印加するために、磁界印加部として電磁石3をバレル9の中に内蔵している。電磁石3は図示していない交流電源に接続されている。図9に示されていないが、電磁石3は、標準送りスクリュー16を中心に上下方向及び左右方向等において対角となるように、バレル9の中に4個以上内蔵されることが好ましい。電磁石3を設ける位置は特に限定されないが、スクリュー16による混煉がある程度進行したときに、磁界が印加されるように、電磁石3は、スクリュー16の全長の真ん中よりも後ろの位置に設けることが好ましい。また、電磁石3の組み合わせは、バレル9の中に2列以上内蔵させてよい(即ち、図9において、符号3で示される要素の組み合わせが、樹脂供給口11側または樹脂排出口12側に、さらに1つ以上存在してよい)。
【0032】
本発明による押出機において、前述のように4個以上の電磁石3を有する場合には、対角線上にある一組の電磁石3のみを駆動して、バレル9内で混練されている樹脂組成物に含まれる添加剤に、磁力による力を与えることが可能なように構成されている。磁界の印加は、実施の形態3に関連して説明したように、磁界による力が釣合って零とならないように、常に一組の電磁石3を駆動し、各組を順次ON/OFFする動作を繰り返す手順で実施する。本発明の押出機によれば、バレル9内で混練中の樹脂組成物に含まれる添加剤を、磁界による力で均一に分散させることができる。よって、本発明の押出機は、添加剤同士の凝集を防止し、樹脂中に添加剤を均一に分散させることを可能にする。
【0033】
[実施の形態6]
図10は、本発明の押出機の一例として、バレル9が電界印加部を内蔵している押出機8を、概略的に示す断面図である。図10において、図9にて示した要素および部材と同じ要素および部材は、図9で使用した符号と同じ符号で示している。また、図10に示す押出機8における樹脂および添加剤の供給および押し出しは、図9を参照して説明したとおりである。
【0034】
この押出機8は、スクリューにより送られる樹脂16に電界を印加するために、電極板6をバレル9の中に内蔵している。電極板6は図示していない交流電源に接続されている。電極板6とバレル9はともに金属なので、電極板6がバレル9と電気的に接続されないように、絶縁材18を電極板6とバレル9の間に設けている。電極板6を設ける位置は特に限定されないが、スクリュー16による混煉がある程度進行したときに、電界が印加されるように、電極板6は、スクリュー16の全長の真ん中よりも後ろの位置に設けることが好ましい。また、電極板6の組み合わせは、バレル9の中に2列以上内蔵させてよい(即ち、図10において、符号6で示される要素の組み合わせが、樹脂供給口11側または樹脂排出口12側に、さらに1つ以上存在してよい)。
【0035】
図9には示されていないが、電極板6は、標準送りスクリュー16を中心に上下方向及び左右方向等において対角となるように、バレル9の中に4個以上内蔵されることが好ましい。本発明による押出機は、対角線上にある一組の電極板6の電源をONにして、バレル9内で混練中の樹脂に含まれる添加剤に、電界による力を与えることが可能なように構成されている。電界の印加は、実施の形態4に関連して説明したように、電界による力が釣合って零とならないように、常に一組の電極板6の電源をONにし、電極板6の各組の電源を順次ON/OFFする動作を繰り返す手順で実施する。本発明の押出機によれば、バレル9内で混練中の樹脂に含まれる添加剤を、電界による力で均一に分散させることができる。よって、本発明の押出機により、添加剤同士の凝集を防止し、樹脂中に均一に分散させることが可能となる。
【0036】
[実施の形態7]
図11は、本発明の押出機の一例として、バレル9が振動吸収材14材と超音波振動子15とを内蔵している押出機8の概略を示す断面図である。図11において、図9にて示した要素および部材と同じ要素および部材は、図9で使用した符号と同じ符号で示している。また、図11に示す押出機8における樹脂および添加剤の供給および押し出しは、図9を参照して説明したとおりである。
【0037】
この押出機8は、スクリューにより送られる樹脂16に超音波振動を与えるために、超音波振動子15をバレル9の中に内蔵している。超音波振動子15は、振動する部分が樹脂組成物と接している、即ち樹脂組成物に露出されていて、超音波振動が直接的に樹脂に与えられるように配置される。したがって、超音波振動子15は、樹脂およびそれに含まれる材料によって変質せず、また、樹脂およびそれに含まれる材料を変質させない材料から成るものである。そのような材料から成る限りにおいて、超音波振動子15は、市販品等から任意に選択することができる。
【0038】
通常、標準送りスクリュー16とバレル9とのクリアランスは小さいので、超音波振動子15から発生した振動が直接バレル9に伝わると、バレル9が振動により、スクリュー16と接触するようになり、バレル9の磨耗が著しくなる。そこで、超音波振動子15をバレル9に内蔵する際、超音波振動がバレルに伝わるのを防止する振動吸収材14を超音波振動子15の周囲に設置し、バレル9と超音波振動子15が直接接触しない構造にすることが好ましい。そのような振動吸収材14を超音波振動子15とバレル9本体との間に介在させる構成により、超音波振動子15で発生した振動をバレル9内の樹脂にのみ伝達することが可能となり、樹脂中に含まれる添加剤を均一に分散させることができる。振動吸収材14は、例えば、シリコンゴム、ウレタンゴム、またはフッ素化ポリマーから成るシートまたは成形体である。
【0039】
本発明は、以上において説明した実施の形態に限定されない。例えば、複数の形態を組み合わせてよく、具体的には、添加剤に、磁界による力を作用させた後、電界による力を作用させてよい。あるいは、添加剤に、磁界による力を作用させた後、電界による力を作用させて、さらに超音波振動による分散を実施してよい。2以上の異なる方法で、外力を加えることにより、添加剤をより良好に分散させることができる。また、磁界印加部は、電磁石に限られず、磁界を樹脂組成物に印加できるものであれば、他のものであってよく、例えば、永久磁石であってもよい。電界印加部についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の分散方法と押出機は、細かい粒子である添加剤を樹脂中に均一分散させて、高機能なプラスチック素材を製造するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】樹脂に磁界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す正面図
【図2】電磁石を設置したユニットを回転させながら磁界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す正面図
【図3】電磁石を設置したユニットを回転させながら磁界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す側面図
【図4】樹脂に電界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す正面図
【図5】電極板を設置したユニットを回転させながら磁界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す正面図
【図6】電極板を設置したユニットを回転させながら磁界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す側面図
【図7】複数の方向で磁界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す正面図
【図8】複数の方向で電界を印加して、添加剤を分散させる方法を模式的に示す正面図
【図9】本発明の押出機の一例を模式的に示す断面図
【図10】本発明の押出機の別の例を模式的に示す断面図
【図11】本発明の押出機のさらに別の例を模式的に示す断面図
【図12】2つの混練ゾーンを有する従来の混練機を模式的に示す断面図
【符号の説明】
【0042】
1 樹脂
2 添加剤
3 電磁石
4 磁界発生装置
5 回転ユニット
6 電極板
7 電界発生装置
8 押出機
9 バレル
10 添加剤供給口
11 樹脂供給口
12 樹脂排出口
13 樹脂の押出し方向を示した矢印
14 振動吸収材
15 超音波振動子
16 標準送りスクリュー
17 練りを強くした混練用スクリュー
18 絶縁材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
添加剤と樹脂とを含む樹脂組成物が混練されている間に、磁界を印加することを含む、樹脂中への添加剤の分散方法。
【請求項2】
添加剤と樹脂とを含む樹脂組成物が混練されている間に、電界を印加することを含む、樹脂中への添加剤の分散方法。
【請求項3】
添加剤と樹脂とを含む樹脂組成物が混練されている間に、混練されている樹脂組成物の通路の断面の中心を通過し、互いに直交する2組の対角線に沿った方向から選ばれる1つもしくは2つの方向において、および/またはそれらの方向を合成した方向において、磁界を印加することを含む、樹脂中への添加剤の分散方法。
【請求項4】
添加剤と樹脂とを含む樹脂組成物が混練されている間に、混練されている樹脂組成物の通路の断面の中心を通過し、互いに直交する2組の対角線に沿った方向から選ばれる1つもしくは2つの方向において、および/またはそれらの方向を合成した方向において、電界を印加することを含む、添加剤の分散方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で添加剤を分散させること、および
添加剤を分散させた樹脂組成物を押し出すこと
を含む、樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
スクリューを内部に収容するバレル本体に、バレル内で混練されている樹脂組成物に磁界を印加する磁界印加部が設けられていることを特徴とする押出機。
【請求項7】
スクリューを内部に収容するバレル本体に、バレル内で混練されている樹脂組成物に電界を印加する電界印加部が設けられていることを特徴とする押出機。
【請求項8】
スクリューを内部に収容するバレル本体に、バレル内で混練されている樹脂組成物と接するように配置された超音波振動子が設けられ、かつ超音波振動子とバレル本体との間に、吸収材が介在していることを特徴とする、押出機。
【請求項1】
添加剤と樹脂とを含む樹脂組成物が混練されている間に、磁界を印加することを含む、樹脂中への添加剤の分散方法。
【請求項2】
添加剤と樹脂とを含む樹脂組成物が混練されている間に、電界を印加することを含む、樹脂中への添加剤の分散方法。
【請求項3】
添加剤と樹脂とを含む樹脂組成物が混練されている間に、混練されている樹脂組成物の通路の断面の中心を通過し、互いに直交する2組の対角線に沿った方向から選ばれる1つもしくは2つの方向において、および/またはそれらの方向を合成した方向において、磁界を印加することを含む、樹脂中への添加剤の分散方法。
【請求項4】
添加剤と樹脂とを含む樹脂組成物が混練されている間に、混練されている樹脂組成物の通路の断面の中心を通過し、互いに直交する2組の対角線に沿った方向から選ばれる1つもしくは2つの方向において、および/またはそれらの方向を合成した方向において、電界を印加することを含む、添加剤の分散方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で添加剤を分散させること、および
添加剤を分散させた樹脂組成物を押し出すこと
を含む、樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
スクリューを内部に収容するバレル本体に、バレル内で混練されている樹脂組成物に磁界を印加する磁界印加部が設けられていることを特徴とする押出機。
【請求項7】
スクリューを内部に収容するバレル本体に、バレル内で混練されている樹脂組成物に電界を印加する電界印加部が設けられていることを特徴とする押出機。
【請求項8】
スクリューを内部に収容するバレル本体に、バレル内で混練されている樹脂組成物と接するように配置された超音波振動子が設けられ、かつ超音波振動子とバレル本体との間に、吸収材が介在していることを特徴とする、押出機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−55821(P2008−55821A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−237430(P2006−237430)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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