添加剤を用いることによるマイクロエマルション中での界面活性剤の効果向上方法、温度枠の拡張方法、層状メソ相の抑制方法、並びにマイクロエマルション
本発明は、添加剤を用いることによる、マイクロエマルション中での界面活性剤の効果向上、温度枠の拡張、層状相の抑制、並びにマイクロエマルションに関する。
本発明では、少なくとも一つの水溶性単位及び少なくとも一つの疎水性単位を有する添加剤をマイクロエマルションに添加する。
疎水性単位の数平均分子量に対する水溶性単位の数平均分子量の比率は2〜1000であり、この際、添加剤が少なくとも一つの水溶性単位からなるポリマーであり、この水溶性単位が、少なくとも一つの疎水性単位を少なくとも一つの鎖端上に有し、及び/または非終端置換基として疎水性単位を有し、及び/または前記ポリマーの水溶性単位の間に挿入された少なくとも一つの疎水性単位を有する。
本発明では、少なくとも一つの水溶性単位及び少なくとも一つの疎水性単位を有する添加剤をマイクロエマルションに添加する。
疎水性単位の数平均分子量に対する水溶性単位の数平均分子量の比率は2〜1000であり、この際、添加剤が少なくとも一つの水溶性単位からなるポリマーであり、この水溶性単位が、少なくとも一つの疎水性単位を少なくとも一つの鎖端上に有し、及び/または非終端置換基として疎水性単位を有し、及び/または前記ポリマーの水溶性単位の間に挿入された少なくとも一つの疎水性単位を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤を用いることによってマイクロエマルションにおいて温度枠を拡張する方法、界面活性剤の効果を高める方法、層状メソ相を抑制する方法、並びにマイクロエマルションに関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤の効果、特にマイクロエマルション及びエマルション中での界面活性剤の効果を高めることができる方法が従来技術において知られている。この方法では、異なるブロックA及びBを有するABブロックコポリマーである添加剤が添加される。独国特許出願第198 39 054.8-41号は、層状メソ相を同時に抑制しながら界面活性剤の効果を向上する方法、油−水−界面活性剤混合物の単層域の温度位置の安定化方法、マイクロエマルション中の乳化された液体粒子の構造寸法を増大する方法、並びに油−水混合物の界面張力を減少する方法であって、水溶性ブロックAと水不溶性ブロックBを有するABブロックコポリマーを添加する前記方法を開示している。上記ポリマーは、水溶性ブロックA及び水不溶性ブロックBから構成される。A及びBの分子量の下限は500g/モルである。上記方法はマイクロエマルションに適している。
【0003】
独国特許出願第10 2004 058 956.9号は、添加剤を加えることによって、エマルション及びマイクロエマルション中での界面活性剤及び乳化剤の効果を向上させる方法であって、水溶性ブロックA及び油溶性ブロックBを有するポリアルキレンオキシドブロックコポリマーを添加剤として界面活性剤または乳化剤に加えることを特徴とする前記方法を記載している。A及びBの分子量の下限は1,000g/モルである。
【0004】
独国特許出願第10 2005 023 762.2-43号は、シリコーン油を含むマイクロエマルション中での界面活性剤の効果を、ABブロックコポリマーを用いて高める方法を記載している。このABブロックコポリマーは、水溶性ブロックAと、ブロックBから構成され、この際、前記ブロックBは、モノマー構成要素中に少なくとも4つのC原子を有するポリアルキレンオキシド、またはポリジエン、または部分的にもしくは完全に水素化されたポリジエン、またはポリアルカンのいずれかである。A及びBの分子量の下限は500g/モルである。
【0005】
ドイツ特許出願公開第103 23 180 A1号明細書は、界面活性剤及び共界面活性剤を含む混合物であって、二つまたはそれ以上の側鎖が結合している主鎖を有する両親媒性櫛状ポリマーが共界面活性剤として使用され、この際、前記側鎖が互いに異なるものであるか及び/または前記主鎖の側鎖が両親媒性の性質に関して異なるものであることを特徴とする前記混合物を記載している。この共界面活性剤は、マイクロエマルション中での効果向上に適している。
【0006】
しかし、マイクロエマルションを工業的に調製する際には、望ましくない層状のメソ相がしばしば生ずる。層状メソ相は、光学的異方性、高められた粘度及び相の分離をまねく恐れがある。
【0007】
重合体不含の非イオン性界面活性剤系では、 効果が大きくなるほどに、層状相は、不均化的に強く、より低い界面活性剤濃度側にシフトする[M. Kahlweit, R. Strey, P. Firman, J. Phys. Chem., 90, 671 (1986)./ R. Strey, Colloid Polym. Sci., 272, 1005 (1994).]。効果の高い系では、これは、単相マイクロエマルション全体と殆ど重なる。それで、水−n−オクタン−トリエチレングリコールモノオクチルエーテルの系(n−オクタンに対する水の体積比=1)中では、層状の相は34重量%の界面活性剤濃度で初めて始まり、そして20重量%のフィッシュテールポイントまでこの系には単相マイクロエマルションが存在する。より効果の高い界面活性剤であるペンタエチレングリコールモノドデシルエーテルでは、5重量%で既にフィッシュテールポイントに到達し、しかし、これと同時に、この系では層状の相が7重量%で既に始まる。この例では、単相マイクロエマルションの領域は非常に僅かである。
【0008】
効果向上のための既存の方法は、高分子量のポリマー性疎水性セグメントを有する添加剤が使用されるという点を特徴とする。これは、ポリマーの製造の際に、コストを増加させる多段階プロセスが使用されるということを意味する。更に、上記の添加剤は、生分解性が比較的難である。これは、特に、生分解性に関して一層厳しくなる法規制の故に重要な事柄である。更に、公知の添加剤は、全ての油に万能に使用することはできない。
【0009】
それゆえ、
− 簡単に製造可能な添加剤を使用し、
− 生分解性が可能な限り良好な成分を使用し、
− 汎用することができ、それによって添加剤中の疎水性成分を使用する油に適合させる必要がない、
方法の提供に要望がある。
【0010】
この方法は、特に、それら自体で良好な生分解性を有する炭化水素、シリコーン油、“極性”油、例えばエステルに適しているべきである。加えて、界面活性剤を節約しながらも、従来技術から既知の添加剤を用いた場合と少なくとも同等に良好な調合物を得たいという要望もある。また、界面活性剤の節約は、コスト面での理由の他、生態学的または健康上の理由からも有利である。シリコーン油マイクロエマルションでは、上記の要望は特に顕著である。なぜならば、この場合使用されるシリコーン系界面活性剤は非常に高価であるためであるかまたは慣用の界面活性剤を非常に高濃度で使用しなければならないからである。
【0011】
界面活性剤の節約の更に別の利点は、界面活性剤がマイクロエマルションの使用の際に障害となる場合に与えられ得る。例えば、界面活性剤の皮膚ダメージ作用の故に界面活性剤の含有率をできる限り低くしなければならないボディケア製品を挙げることができる。更に別の例は、できるだけ耐水性であるべきフィルムを漂白するために使用されるマイクロエマルションである。
【0012】
それ故、本発明の課題は、マイクロエマルション中での界面活性剤の効果を高めるための方法を提供することである。マイクロエマルション領域の温度枠を拡張することも狙いである。この方法を用いることにより、層状相を抑制しそして界面張力を低下させることも狙いである。
【0013】
請求項1の前提部から出発して、上記の課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴を用いて本発明により解決される。更に、上記の課題は、請求項34〜45に記載のマイクロエマルションによって解決される。
【0014】
今や、本発明の方法及び組成物を用いることによって、界面活性剤の効果を高め、温度枠を拡張し、層状相を抑制し、かつ界面張力を低下させることが可能である。
【0015】
効果の向上は、水と油との間の界面張力の減少と水ドメイン及び油ドメインの大きさの増大とに因果関係を伴って現れる。
【0016】
本発明の有利な態様は、下位の請求項に記載される。
【0017】
図には、本発明に従い使用されるポリマーの挙動についての例を示す。
【0018】
本発明においては、上記の課題の解決のために、少なくとも一つの疎水性単位を少なくとも一つ鎖端に有するか及び/または非末端置換基として疎水性単位を有するか及び/またはポリマーの水溶性単位の間に挿入された少なくとも一つの疎水性単位を有する、少なくとも一つの水溶性単位を含んでなるポリマー性添加剤が使用される。
【0019】
該ポリマー性添加剤全体では、親水性の性質が優勢である。前記の一つまたはそれ以上の疎水性単位の故に、該ポリマーは水中では好ましくはミセルを形成する。
【0020】
該ポリマー性添加剤の水溶性単位は、それらの態様においては、特定のタイプの構造には限定されず、むしろ、本発明においては、より大きな水溶性単位と、一つまたはそれ以上の疎水性単位の組み合わせが重要である。
【0021】
該ポリマーの水溶性単位は、好ましくは線状であるが、例えば図1に例示として示すように星状、分枝状または他のタイプの構造も可能である。線状とは、鎖の骨格を形成する原子が線状単位であるポリマーと理解される。図1には、疎水性単位は太線で、そして水溶性単位はジグザグの線で示される。
【0022】
水溶性単位は、非イオン性かまたはイオン性、すなわち高分子電解質であることができる。電荷は、該ポリマーの水溶性成分の任意の部分に存在することができる。また、少なくとも一つのイオン性部分及び少なくとも一つの非イオン性部分から構成される構造も考えられる。
【0023】
限定はされないが、例としては、水溶性単位は、以下に挙げるモノマーまたは少なくとも二種の成分からなるこれらの混合物、すなわちエチレンオキシド、ビニルピロリジン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸及びアクロレインからなることができる。
【0024】
該ポリマー性添加剤の水溶性部分は、好ましくはポリエチレンオキシドまたはポリエチレングリコールである。更に別の例は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドからなるコポリマー、ポリアクロレイン、ポリビニルアルコール、及びこれらの水溶性誘導体である。更に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリ無水マレイン酸、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、及びこれらの水溶性塩も好適である。
【0025】
水溶性単位は好ましくは線状である。重量平均分子量と数平均分子量との比率によって定義される水溶性単位の分子量分布は好ましくは≦1.2である。
【0026】
該ポリマー性添加剤の水溶性単位の数平均分子量は、好ましくは、500〜100000g/モル、好ましくは2000〜20000g/モル、特に好ましくは3000〜10000g/モルである。
【0027】
該ポリマー性添加剤の水溶性部分の場合と同様に、疎水性単位の態様は、特定のタイプの構造に限定されない。むしろ、単純に、この単位の疎水性または非水溶性の性質が重要である。
【0028】
前記疎水性単位の好ましい分子サイズは、80〜1000g/モル、特に好ましくは110〜500g/モル、特に好ましくは110〜280g/モルである。
【0029】
この疎水性単位は非水溶性の基からなる。これは、好ましくはアルキル基、好ましくは6〜50個の炭素原子、特に好ましくは8〜20個の炭素原子を含むアルキル基である。また、この基は、芳香族基または炭素二重もしくは三重結合を含むことができ、これらは線状または分枝状であることができる。炭化水素基の他に、他の任意の疎水性有機基も使用可能であり、これは、例えば、酸素、窒素、フッ素またはケイ素原子を含む。疎水性単位は、重合体であることもできる。
【0030】
疎水性単位は、規定の構造及び分子量を有する基、例えばアルキル基であることができる。また、例えば工業製品の場合のような混合物も可能である。しかし、これは、ポリブチレンオキシドなどのようなポリマー性の基であることもできる。
【0031】
該ポリマーの水溶性単位は、少なくとも一つの鎖端に疎水性単位を有する。任意の鎖末端上に二つ以上の疎水性単位も可能である。
【0032】
該ポリマーの水溶性単位は、鎖端ではない位置に疎水性単位を有してしてもよい。
【0033】
更に、該ポリマー性添加剤の疎水性単位は、該ポリマーの水溶性単位が疎水性単位によって中断されるように、各水溶性単位の間の少なくとも一つの位置に挿入されていることができる。
【0034】
上記のタイプの構造の全ての組み合わせが可能である。
【0035】
疎水性部分の分子量に対する水溶性部分の分子量の比率は2〜1000、好ましくは5〜200、特に好ましくは10〜50である。
【0036】
好ましい形では、該添加剤の水溶性単位は線状ポリマーであり、そして一つの鎖末端に疎水性単位を有する。
【0037】
例えば、以下の本発明によるポリマー性添加剤を挙げることができる。
− C8〜C20アルコールのエトキシル化によって得られるアルキルエトキシレート、
− C10〜C201,2−ジオールのエトキシル化によって得られるアルキルエトキシレート、
− C8〜C20α,ω−ジオールのエトキシル化によって得られるアルキルエトキシレート、
− 両鎖端において疎水変性されたポリエチレングリコール、これは例えばポリエチレングリコールをC8〜C20イソシアネートまたはC8〜C20酸塩化物と反応させることによって得ることができる;
− 1,2ブチレンオキシド及びエチレンオキシドからなるABジブロックコポリマー、ABAまたはBABトリブロックコポリマー。
【0038】
疎水性単位の故に、該添加剤は水中で好ましくはミセルを形成する。
【0039】
態様の一つでは、水溶性単位の各両端部に疎水性単位が存在する。
【0040】
本発明による添加剤としては、一つの鎖端上のみに疎水性単位を有する線状水溶性ポリマーが好ましい。これらのタイプの構造の中で、高いエトキシル化度を有するアルコールエトキシレートが好ましい。これらの物質は、疎水性アルキル基を有するポリエチレンオキシドとしてか、または長鎖もしくは親水性乳化剤として見なすことができる。疎水性の成分としては、例えば、(好ましくは炭素原子数が8〜20の)脂肪族アルコールまたはアルキルフェノールを使用することができる。上記アルコールエトキシレートは、アルコール1モル当たり、好ましくは25〜500モル、特に好ましくは50〜200モルのエチレンオキシドを含む。一例は、Uniqema社製の商業的に入手可能な化合物Brij 700である。
【0041】
該ポリマー性添加剤においては、疎水性単位と結合してない水溶性単位の割合はできるだけ少なく、すなわち例えば≦20重量%であるのがよい。
【0042】
限定はされないが、例えば、以下の界面活性剤及びこれらの混合物を、本発明の添加剤と共に使用することができる:
アルコキシル化されたアルコールの部類の非イオン性界面活性剤、例えばアルキルエトキシレート、及び狭い分子量分布及び/または少ない残留アルコール含有率を有するアルキルエトキシレート、並びにアルキルフェノールエトキシレート。
【0043】
ソルビタンエステル及びエトキシル化ソルビタンエステル。
【0044】
アルキルポリグルコシド(APG,“糖界面活性剤”)の部類の非イオン性界面活性剤と疎水性共界面活性剤との組み合わせ。
【0045】
シリコンポリエーテル界面活性剤。
【0046】
陰イオン性界面活性剤、例えばアルキルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエーテルスルフェート、スルホスクシネート、アルキルエーテルカルボキシレート、ホスフェート及びカルボン酸塩。前記陰イオン性界面活性剤は、好ましくは、それらのLi+、Na+、K+またはアンモニウム塩の形で使用される。
【0047】
陽イオン性界面活性剤、例えばテトラアルキルアンモニウム化合物。
【0048】
両性界面活性剤、例えばスルホベタイン類、ベタイン類、アンフォアセテート類、アンフォプロピオネート類。
【0049】
複数種の界面活性剤の混合物、特に、非イオン性/陰イオン性界面活性剤または非イオン性/陽イオン性界面活性剤またはシリコン界面活性剤と非ケイ素含有界面活性剤との混合物。
【0050】
本発明に従い使用されるポリマー性添加剤は、マイクロエマルションに使用される界面活性剤と同じタイプの構造を有することができるが、該ポリマー性添加剤の親水性水溶性単位の分子量は、前記界面活性剤の親水性成分の分子量よりも大きくなければならない。該ポリマー性添加剤の水溶性単位の分子量が、上記界面活性剤の親水性成分の分子量よりも少なくとも2倍、特に好ましくは少なくとも5倍または少なくとも10倍大きいことが好ましい。
【0051】
該マイクロエマルションの水性相は、添加剤、例えば塩または水溶性有機化合物、例えばグルコール類を含むことができる。
【0052】
油相も添加剤を含むことができるが、この添加剤はマイクロエマルションを破壊しないことが求められる。
【0053】
例えば、水性成分の屈折率を油成分のそれに合わせるためにグリセリンを水に加えることができる。それによって、効果が向上された光学的に濁ったマイクロエマルションが再び透明になる。この方法は、特に、化粧料、ヘアケア製品及びボディケア製品の分野に使用されるマイクロエマルションに重要である。
【0054】
本発明のマイクロエマルションは原則的に液状である必要はない。熱力学的な意味でマイクロエマルションである限りは、ゲル様乃至固体の混合物も包含される。それ故、この固体の形態は、例えば、水性及び/または油様の成分に添加剤を加えるかまたはマイクロエマルション中に存在するメソ相によって得ることができる。
【0055】
該マイクロエマルションは、例えば油相の固化によって、低温下に固体となり得る。油相に対する水性相の体積比は、例えば0.01〜100、好ましくは0.1〜10または0.3〜3である。
【0056】
界面活性剤−添加剤混合物中でのポリマー性添加剤の質量割合は、例えば好ましくは0.01〜0.3、特に好ましくは0.05〜0.15である。
【0057】
マイクロエマルション中の界面活性剤/添加剤混合物の質量割合は、好ましくは0.01〜0.3、特に好ましくは0.05〜0.2である。より広い温度枠では、マイクロエマルション中においてより多い界面活性剤/添加剤混合物の質量割合がしばしば必要である。
【0058】
また、本明細書に記載の物質的な特徴を有するマイクロエマルションであって、該ポリマー性添加剤を含み、この際、界面活性剤+添加剤に対するポリマー性添加剤の質量比が≦0.2であり、そして油に対する界面活性剤+ポリマー性添加剤の質量比が≦0.5であることを特徴とする前記マイクロエマルションも本発明に包含される。
【0059】
更に、前記マイクロエマルションが、界面活性剤+ポリマー性添加剤に対するポリマー性添加剤の質量比が≦0.15または≦0.10であることを特徴とすることも好ましい。特に好ましくは、油に対する界面活性剤+ポリマー性添加剤の質量比は≦0.33である。
【0060】
本明細書に記載のポリマー性添加剤を含む更に別の本発明によるマイクロエマルションは、界面活性剤とポリマー性添加剤の合計に対するポリマー性添加剤の質量比が≦0.2であること、及びポリマー性添加剤が、分子中の一つの位置に一つまたはそれ以上の疎水性単位を有することを特徴とする。
【0061】
この際、界面活性剤とポリマー性添加剤の合計に対するポリマー性添加剤の質量比が≦0.15または≦0.10である場合に有利である。また、油に対する界面活性剤+ポリマー性添加剤の質量比が≦1であるか、または油に対する界面活性剤+ポリマー性添加剤の質量比が≦0.5、好ましくは≦0.33であることが更に好ましい。
【0062】
効果の向上、温度枠の拡張及び層状相の抑制は、界面活性剤−添加剤混合物中でのポリマー性添加剤の質量割合並びに水溶性単位の分子量に依存する。
【0063】
一般的に、効果の向上は、界面活性剤−添加剤混合物中でのポリマー性添加剤の質量割合が増える程、及び水溶性単位の分子量が大きくなる程に高まる。しかし、分子量の増加に伴う効果向上の増大は、ある分子量から低下し始める。この分子量は、場合に応じて水溶性単位当たり4000〜20000g/モルであり得る。
【0064】
一般的に、温度枠の拡張は、界面活性剤−添加剤混合物中のポリマー性添加剤の質量割合が大きくなる程及び水溶性単位の分子量が大きくなる程大きくなる。しかし、分子量の増加に伴う温度枠の拡張の増大は、ある分子量から低下し始める。この分子量は、場合に応じて水溶性単位当たり4000〜20000g/モルであり得る。これは、特に、界面活性剤濃度が高いほどにそうである。
【0065】
層状相の抑制は、一般的に、界面活性剤−添加剤混合物中でのポリマー性添加剤の質量割合が増える程及び水溶性単位の分子量が大きくなる程に強まる。この抑制は、界面活性剤−添加剤混合物中のポリマー性添加剤の質量割合が15%〜25%の間の値を超えると弱くなる。
【0066】
上記の値は概ね妥当である。しかし、使用したポリマー性添加剤、界面活性剤、油または他の添加剤に依存してずれが生じうる。
【0067】
油に対する水の比率が大きい場合は、好ましくは、水中油形の液滴状マイクロエマルションとなる。油に対する水の比率が小さい場合には、好ましくは油中水型の液滴状マイクロエマルションとなる。水と油の比率がバランスがとれている場合には、好ましくは両連続型(bikontinuierliche)マイクロエマルションとなる。
【0068】
本発明においては、水−油−界面活性剤混合物に本発明のポリマー性添加剤を加えることによっても、界面活性剤混合物の効果が大きく高められ、温度枠が拡張され、層状メソ相がマイクロエマルション中で抑制され、そして界面張力が低下する。加えて、マイクロエマルションは、それに特徴的な性質を、それの構造の大きさを増大させながらも維持する。それで、乳化された構造は、約2000オングストロームまでの大きさを有する。乳化された液体粒子の大きさは、本質的に界面活性剤濃度に依存する。
【0069】
単相領域の温度位置は、本発明によるポリマー性添加剤によって変化する。この変化は、驚くべきことに予測可能である。非イオン性界面活性剤を使用する場合は、単相領域の位置はより高温側にシフトし、イオン性界面活性剤を使用する場合は、概してより低温側への変化が起こる。適当な界面活性剤を選択することによって、望ましい温度領域に調節することができる。
【0070】
以下に、幾つかの用語を定義する:
マイクロエマルションとは、水相及び/または油相中に水、油及び界面活性剤、場合によっては及び添加剤を含みそして熱力学的に安定している混合物と解される。
【0071】
水と不混和性の液体が油と理解される。これは、常圧下ではガス状である加圧下に液状化可能なガスまたは超臨界液体であることもできる。高められた圧力下でのマイクロエマルションも本発明に包含される。
【0072】
マイクロエマルションには、しばしば炭化水素油が油として使用される。しかし、他の油、例えばエステル油またはシリコーン油を含むマイクロエマルションも知られており、これも本発明方法に使用することができる。
【0073】
界面活性剤の効果は、所定の割合の油を水中にまたはそれとは逆に所定の割合の水を油中にマイクロエマルションの形に混合するために必要な界面活性剤の量として表される。この効果は、単相マイクロエマルションを得るために必要な最小の界面活性剤濃度として定量化される。最小界面活性剤濃度及びその際の温度によって特徴付けられる相図における点がフィッシュテールポイントと称される。
【0074】
効果の向上とは、本発明のポリマー性添加剤の添加によってフィッシュテールポイントが、より少ない総界面活性剤濃度側にシフトすることを意味する。界面活性剤または界面活性剤混合物がマイクロエマルションを形成しないが、本発明によるポリマー性添加剤の添加によってマイクロエマルションが形成する場合にも効果の向上は存在する。
【0075】
温度枠の拡張とは、同じ総界面活性剤濃度において、本発明によるポリマー性添加剤の添加によって、単相マイクロエマルションが存在する温度領域がポリマー性添加剤無しの場合よりも広くなることと理解される。
【0076】
層状相の抑制とは、ポリマー性添加剤を含むマイクロエマルションにおいて、相図における界面活性剤濃度軸及び温度軸上でのフィッシュテールポイントに対する層状相の広がりが、ポリマー性添加剤を含まない同等のマイクロエマルションの場合よりもより小さくなることと理解される。
【0077】
本発明に従い使用されるポリマー性添加剤を用いることによって、水と油との間の界面張力が低下する。層状メソ相の発生は抑制される。マイクロエマルションの効果は向上し、そしてマイクロエマルションが安定状態を保つ温度枠は拡張される。
【0078】
可能な用途としては、ヘアケア用品及びボディケア用品、及び化粧料、例えばデオドラント、スキンケア剤、サンクリーム、ローション、シャンプー、シャワージェル、浴用添加剤、潤滑剤、スリップ剤、離型剤、植物保護剤、薬剤、食品、食品添加剤、繊維材料の手入れ用の剤及び助剤、皮革及び毛皮用の手入れ剤、乗り物の手入れ剤、クリーナー並びに艶出し剤、家庭用品、産業用製品及び工業用製品、作動液、消毒剤、ラッカー及び着色塗料、建築補助材、印刷インキ、爆薬、並びに家庭用、産業用及び工業用の洗浄剤などが挙げられる。それによって、乳化された液体粒子の大きさが、エマルションのそれに相当するマイクロエマルションを製造することができる。該マイクロエマルションの安定性の温度枠は、シリコーン油が添加されている場合でも、同じ界面活性剤含有率において拡張される。
【0079】
本発明のマイクロエマルションは反応媒体としても使用することができ、またこれらは、例えば洗剤または洗浄剤として使用する場合は、疎水性の汚れを吸収することができるか、または疎水性の汚れを吸収することによって生じ得る。更に、本発明のマイクロエマルションは、疎水性の成分を放出するか及び/または固形もしくは液状の表面を濡らすこともできる。本発明のマイクロエマルションは、濃厚物の形で存在することもでき、これは、例えば水で希釈した後でもなおマイクロエマルションである。本発明によるマイクロエマルションは、二相または三相系であることもでき、この際、マイクロエマルション相は、過剰の油相及び/または水相と一緒に存在する。しかし、本発明の添加剤を加えることによって、添加剤を含まない混合物と比べると、マイクロエマルション相の割合は多くなる。
【0080】
該マイクロエマルションは、多大なエネルギーを入力せずとも製造することができる。各成分を任意の順序で混合することができ、この際、該ポリマー性添加剤の概して良好な水溶性のために、ポリマーを水中に予め溶解するか、または水−油−界面活性剤混合物中に直接加えることが有利である。
【0081】
本発明に従い使用されるポリマー性添加剤は、界面活性剤との混合物として供することもできる。
【0082】
本発明に従い水溶性ポリマーを加えることによって製造されるマイクロエマルションは、エマルションのそれに相当し得る乳化された液体の体積を有する。
【0083】
効果の向上には、マイクロエマルションが熱力学的に安定している温度間隔の拡張がしばしば伴う。これは特に、広い温度領域にわたって安定性を保証しなければならない工業的な用途に有利である。
該添加剤の利点
− 該ポリマー性添加剤は、既に商業的に入手することができ、また低コストで製造することができる。それの最も簡単な態様では、これは高度にエトキシル化されたアルコールである。一つの例はBrij 700(Uniqema社)である。
− 該ポリマー性添加剤は、概して、長鎖疎水性セグメントを含むポリマーよりもより良好に生分解可能である。このことは、ますます厳しくなる生分解性についての法規制の故に特に重要である。
− 該ポリマー性添加剤は、水溶性が良好で、そしてマイクロエマルションの水性前駆体中に問題なく溶解することができる。
− 該ポリマー性添加剤は汎用的に使用し得る。すなわち、油の化学的構造に依存しない。それ故、同添加剤は、非常に様々な油を含むマイクロエマルションに使用することができる。これとは反対に、疎水性成分として高分子量のポリマー性単位を含む添加剤では、より以上に疎水性添加剤成分と油との相溶性に注意を払わなければならない。例えば、油としてシリコーン油を含むマイクロエマルションには、決まった疎水性ブロックを含むブロックコポリマーしか適さない。
【0084】
上記の利点は、ブロックコポリマーとして存在するポリマー性添加剤についても大体当てはまる。なぜならば、疎水性単位が短鎖だからである。
【0085】
本発明に従い使用される水溶性ポリマーは、両連続型の油中水型または水中油形のマイクロエマルションに適している。該ポリマーは、油成分として炭化水素を含むマイクロエマルションに適しているが、油成分として極性の油、例えばエステル油、シリコーン油または超臨界流体を含むマイクロエマルションにも適している。
【0086】
該ポリマー性添加剤は、非常に高い温度下に単相領域を形成するイオン性界面活性剤を含むマイクロエマルションに特に適している。該ポリマー性添加剤を加えることによって、単相領域の温度領域がより低い温度側に下がる上に、拡張される。また、該添加剤は、疎水性非イオン性界面活性剤、例えば低度にエトキシル化されたアルコールを含むマイクロエマルションにも特に適している。これらの界面活性剤は、非常に低い温度下にマイクロエマルションを形成する。該添加剤を加えることによって、単相領域の温度範囲がより高い温度側にシフトする上に、拡張される。イオン性の界面活性剤だけではなく、疎水性非イオン性界面活性剤の場合にも、単相領域の温度範囲を、用途にとってより重要となるようにシフトさせることができる。
【実施例】
【0087】
以下の例で使用したポリマー性添加剤としてのC8E90、C12E90、C12E190、C12E480、C18E80、C18E180、C12(E90)2は、ベースとなるアルコールのエトキシル化によって製造された。アルコールとしては、C8E90には1−オクタノール、C12E90、C12E190及びC12E480には1−ドデカノール、C18E80及びC18E180には1−オクタデカノール、そしてC12(E90)2には1,2−ドデカンジオールを使用した。これらのアルコールは全て線状の非分枝状アルコールである。
【0088】
ポリマー性添加剤としてのC8E90、C12E90、C12E190、C12E480、C18E80、C18E180、C12(E90)2は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって特徴付けした。上記ポリマー性添加剤の数平均分子量Mn及び分子量分布Mw/Mnは、ポリエチレングリコール標準を用いて得た検量線に基づいて計算した。Mw/Mnの測定値は全て1.1未満であった。以下の表は、測定された分子量を示す。アルコールの化学式から計算された疎水性単位の分子量(M(疎水性))、並びにMn(GPC)とM(疎水性)の差から計算した水溶性単位の数平均分子量(Mn(水溶性))も示す。エトキシル化度は、(Mn(水溶性))を44(エチレンオキシド単位の分子量)で割ることによって求めた。
【0089】
【表1】
【0090】
加えて、以下の更に別のポリマー性添加剤を使用した。
Berol EP 35(Akzo Nobel Surface Chemistry AB)。これは、一分子あたり平均して35個のエチレンオキシド単位を有するC8−アルコール−エトキシレートである(製造者の仕様書による)。その化学構造から計算した平均分子量は、疎水性単位は113g/モル、水溶性単位は1560g/モルである。
Tergitol 15-S-30(Union Carbide)。これは、一分子あたり平均して30個のエチレンオキシド単位を有するC11〜15−アルコール−エトキシレートである(Handbook of Industrial Surfactants, 第二版, Gower Publishing, ISBN 0-566-07892-9)。その化学構造から計算した平均分子量は、疎水性単位は180g/モル、水溶性単位は1340g/モルである。
Brij 700 (Uniqema)。これは、一分子あたり平均して100個のエチレンオキシド単位を有するステアリルアルコール−エトキシレートである(製造者の仕様書による)。その化学構造から計算した平均分子量は、疎水性単位は250g/モル、水溶性単位は4400g/モルである。
Igepal DM 970 (Rhoene-Poulenc)。これは、一分子当たり平均して150個のエチレンオキシド単位を有するジノニルフェノール−エトキシレートである(Handbook of Industrial Surfactants, 第二版, Gower Publishing, ISBN 0-566-07892-9)。その化学構造から計算した平均分子量は、疎水性単位は330g/モル、水溶性単位は6600g/モルである。
【0091】
上記のポリマー性添加剤は、C12(E90)2は除いて全てが、一つの端部に一つの疎水性単位を有する線状水溶性ポリマー鎖のタイプの構造である。C12(E90)2のポリマー性添加剤は、鎖の中央部に一つの疎水性単位を有する線状水溶性ポリマー鎖のタイプの構造である。
【0092】
以下の例では、次の界面活性剤及び油を使用した。テトラエチレングリコールモノデシルエーテル(C10E4); IMBENTIN AG 100/040、平均して4個のエチレンオキシド単位を有するC10アルコールエトキシレート(製造者の仕様書による)(Kolb, Schweiz); 平均して5個のエチレンオキシド単位を有するHoesch T5イソトリデカノレート(Julius Hoesch GmbH & Co. KG, Dueren); ナトリウムビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート (AOT); ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル終端型ポリジメチルシロキサン 分子量550〜650g/モル 50%(CH2-CH2-O) (MCR-C13,Gelest Inc. Morrisville, PA, USA)(C4D3E8); n−デカン; オクタメチルトリシロキサン(MDM); Hydroseal G232H、C13〜C15脂肪族炭化水素の混合物、沸点範囲235〜265℃、引火点102℃ (Julius Hoesch GmbH & Co. KG, Dueren); ナタネ油メチルエステル(Biodiesel/ADM-Oelmuehle Hamburg AG/ADM-Oelmuehle Leer Connemann GmbH + Co. KG)。
【0093】
図2〜17に示した温度−濃度(T/γ)相図は、他に記載がなければ、1:1の一定の水/油体積比(φ=0.5)を有する系についての図であり、これらについては以下に説明する。
【0094】
以下に、幾つかの用語を説明する。
C= 任意の界面活性剤または乳化剤、例えば陰イオン性、陽イオン性、非イオン性界面活性剤または糖界面活性剤、並びに少なくとも二種の界面活性剤を含む混合物。
D= 本発明に従い界面活性剤Cに添加される添加剤。
γ= C及びDの以下の式の総界面活性剤濃度(質量分率):
【0095】
【数1】
【0096】
[前記式中、
m=質量(g);
γ=無次元の質量分率;
mges=mwater+moil+m(C)+m(D)の総質量]
δ= 以下の式に相当する、界面活性剤C+添加剤Dの混合物中での添加剤Dの質量分率。
【0097】
【数2】
【0098】
[式中、
m=質量(g)、
δ=質量分率(無次元)]
グラフには、各δ値の単相領域の境界を特徴付けする各δ値の曲線を示す。各々の曲線の先端がフィッシュテールポイントである。この際、記号1は、単相マイクロエマルションの領域を示し、記号2(下線付き)は、油相と共存している水中油型マイクロエマルションを示し、そして2(上線付き)は、水相と共存している油中水型のマイクロエマルションを示す。図では、層状相は記号Lαで示し、これが無い場合には、試験した範囲において層状相は発生していない。以下の相図は、界面活性剤濃度γ及び温度Tに依存するマイクロエマルション相の広がりを表す。
【0099】
図2は、ポリマーC12E90を加えることによって、水−n−デカン−C10E4の系中での単相マイクロエマルションの効果がどのように大きくなるかを示す。界面活性剤の10%をC12E90で置き換えると(δ=0.10)、フィッシュテールポイントがγ=0.13からγ=0.05にシフトする。すなわち、可溶化に必要な界面活性剤が半分以上減少する。この例では、効果の向上には低粘度の層状相の形成が伴う。しかし、効果の向上の故に、マイクロエマルション領域のほぼ全体が層状相で占められてしまうことが予期されるのに反して、層状相の範囲は単相領域の僅かな部分しか覆わない。フィッシュテールポイントに対して、温度軸上での層状相の広がりは、ポリマーが添加されていない界面活性剤の場合と比べてより小さい。マイクロエマルション相の温度枠の幅は大きく広がり、そしてポリマーの添加によってフィッシュテールポイントの温度はごく僅かにだけより高い温度側にシフトする。全体では、フィッシュテールポイントの温度位置は約5〜7℃高まる。
【0100】
界面活性剤全体の効果は、図3に示した水−n−デカン−C10E4の系においても、ポリマー性添加剤C12E190の添加によって増大する。この際、効果の向上及び単相エマルションの広がりは、図2に示した系の場合よりも若干良好である。しかし、より大きいポリマーであるC12E190を選択することによって、試験した範囲における層状相の形成は非常に効果的に抑制される。
【0101】
図4は、水−n−デカン−C10E4の系中でのポリマー性添加剤C12E480の効果向上を示す。この例では、フィッシュテールポイントの位置に関しての効果向上は、図2及び図3に示した水−n−デカン−C10E4 - C12E90の系または水−n−デカン−C10E4 - C12E190の系の場合よりも若干より良好である。しかし、γ≧0.10での温度枠の拡張は、図2及び3に示した系の場合よりもそれほど顕著ではない。しかし、このより大きな親水性ポリマーは、この場合においても、層状相の形成を阻止する。
【0102】
しかし、水−n−デカン−C10E4 - Tergitol 15S30の系について図5に示すように、より小さな親水性ブロックを有するポリマーも使用することができる。この例では、ポリマー不含の系(δ=0)を、界面活性剤混合物中に10%のポリマー性添加剤を含む系(δ=0.100)及び20%のポリマー性添加剤を含む系(δ=0.200)と比較した。効果の向上はなるほど上記の例の場合よりも小さいが、それでもなお、特にδ=0.200ではマイクロエマルション領域の大きな拡張が得られる。しかし、これには、ポリマー不含系と比べるとマイクロエマルションの温度範囲について約15℃の上昇が伴う。δ=0.100の場合にはポリマー不含系と比べて層状相はフィッシュテールポイントに対してほぼ一定して変わらないが、δ=0.200の場合には、層状相はより強く顕著となる。
【0103】
図6〜8では、C12基の代わりに、より疎水性の高いC18炭化水素基を使用する。
【0104】
図6は、δ=0及びδ=0.102での水−Hydroseal G232H -IMBENTIN AG 100/040 - Brij 700の系を示す。この際、フィッシュテールポイントは、γ=0.12からγ=0.08にシフトする。温度枠は大きく拡張され、そして転相温度はT=44℃からT=68℃に上昇する。この温度の向上は、望ましい温度範囲において、より疎水性が強いが効果的な界面活性剤を得るためにも利用することができる。例えば、エトキシル化度の低い界面活性剤は、エトキシル化度がより高く及び同じ疎水性基を有する匹敵する界面活性剤と比べて、より低い温度にあるマイクロエマルション領域を有する。加えて、低エトキシル化界面活性剤は、高エトキシル化界面活性剤よりも若干効果が高い。それゆえ、望ましい温度範囲ではエトキシル化度が低すぎる界面活性剤を使用し、そして該ポリマー添加剤によって温度領域を高めることが有意義であり得る。
【0105】
この例では、水−Hydroseal G232H -IMBENTIN AG 100/040 - Brij 700の系における効果の向上には、低粘度の層状相の形成が伴う。大きな効果向上の故に、マイクロエマルション全領域が、層状相によってほぼ占められることが予期された。
【0106】
図7は、水−n−デカン−C10E4の系の相挙動に対するC18E80ポリマー中のより強い疎水性の基の影響を示す。この際、その相挙動及び効果向上は、図1に示した水−n−デカン−C10E4−C12E80と同等である。また、この例においても、ポリマーを含まない系の場合と比べるとフィッシュテールポイントに対してそれほど顕著でないが、低粘度の層状相の形成が効果向上に伴う。この場合も、効果向上の故に、マイクロエマルションの全領域が層状相によってほぼ占められることが予測された。
【0107】
層状相の完全な抑制は、図8の水−n−デカン−C10E4 - C18E180の系において達成される。フィッシュテールポイントは、ポリマー含有系(δ=0.104)ではγ=0.03であり、それゆえ、ポリマー不含の系(δ=0)の場合よりも約4倍低い。
【0108】
C12よりも疎水性が低い基も、本発明のポリマー性添加剤の疎水性単位として使用することができる。これを図9に示す。水−n−デカン−C10E4の系の効果は、10%(δ=0.104)のBerol EP35を加えることによって向上されるが、この場合、効果の高い界面活性剤系にしばしば生ずる層状相が発生しない。温度枠も拡張される。
【0109】
図10は、水−n−デカン−C10E4の系においてC8E90ポリマーを添加した際の効果向上を示す。この界面活性剤の10%をC8E90に置き換えることによって、界面活性剤の必要量がγ=0.13からγ=0.07に半減する。この際、単相マイクロエマルションの温度の広がりも同様に大きくなり、試験した系において層状相は生じない。
【0110】
図11は、δ=0.113において、水−n−デカン−C10E4からなる混合物中にポリマーとしてIGEPAL DM970を加えることによって、界面活性剤全体の効果がどのように高まるかを示す。この場合、ポリマーを添加したマイクロエマルション中に層状相は生じない。この系においても、転相温度は、より高温度側に約5℃シフトされる。前記の例と同様に、φ=0.5の一定の水/油比が使用された。
【0111】
図12は、δ=0.104において水−n−デカン−C10E4からなる混合物にポリマーとしてC12(E90)2を加えることによって形成に必要な総界面活性剤量がどのように減少するかを示す。この際、転相温度は、僅かに約4℃だけより高温側にシフトし、基本的な相挙動は、ポリマーの添加によっては変化しない。試験した範囲においては層状相は発生しない。
【0112】
温度枠のなお一層大きい拡張及び効果の向上を、イオン性界面活性剤AOTを含む本発明のポリマー性添加剤の使用の下に観察することができる。
【0113】
図13は、水/NaCl(1%)−n−デカン−AOT−Brij 700の系において、様々なポリマー濃度δに依存する上記の拡張及び向上を示す。この際、ポリマー添加量δが多くなるほど、転相温度が、大概の用途に好適な範囲を可能するほどに低下し、これに対し、ポリマー性添加剤を加えない場合には、マイクロエマルションは、それほど重要でない温度範囲において生ずる。これと同時に、ポリマーの割合が増すと、必要な最小界面活性剤量及び単相マイクロエマルションの領域が明らかに増大する。δ=0.15の場合にも、最小の層状孤立領域しか存在しない。
【0114】
新規の部類の該ポリマーは、エステル油などの極性油を含むマイクロエマルションにも非常に良好に適している。これを、水/NaCl(1%)−ナタネ油メチルエステル−AOT−Brij 700の系について図14に示す。ポリマー不含系(δ=0)では、たった一つの測定点しか測定できなかったが、実際のマイクロエマルション領域は図に示した領域にほぼ相当し、約90℃にある。28%の高い界面活性剤の割合の場合でさえ、相の下限は80℃である。界面活性剤の14%をBrij 700と置き換えると(δ=0.144)、20℃〜80℃の幅広いマイクロエマルション領域が、20%未満の界面活性剤の割合で得られる。それゆえ、油成分としてのナタネ油メチルエステルの使用は、低い界面活性剤濃度において、Briji 700ポリマーで補助するだけで可能である。本発明のポリマー性添加剤の代わりに、Hoesch T5などの非イオン性界面活性剤を同じ濃度で使用すると、単相マイクロエマルション相は形成しない。
【0115】
シリコーン油もマイクロエマルションの油成分として好適である。図15は、δ=0.05において、水−MDM−C4D3E8からなる混合物にポリマーとしてBrij 700を加えた際に界面活性剤全体の効果及び温度枠がどのように増大、拡張するかを示す。この系では、界面活性剤混合物中にBrij 700(δ=0.05)を使用することで、界面活性剤の最小必要量がγ=0.14からγ=0.10にシフトする。この際、必要な界面活性剤の総割合は、約30%減少する。この試験した系では、層状相は発生しない。
【0116】
新規の部類の該ポリマーの効果向上作用は、油の割合が少ない系においても観察することができる。図16は、水−n−デカン−C10E4 − Brij 700からなる混合物中でのo/wマイクロエマルションを示す。一定の界面活性剤/水比γAは0.053であり、そしてこのプロットでは、混合物全体中の油の割合WBを温度に依存して変える。この際、ポリマーを含む系(δ=0.109)では、ポリマーを含まない系と比べて、かなりより多い割合の油を可溶化することができる。この際、油の最大割合WBの質量分率はWB=0.07からWB=0.18に増大する。効果の向上の他に、温度枠の大きな拡張も観察することができる。ポリマーを含む系(γ=0.109)において層状相が生じるが、それの広がりにおいては、その効果から予測されるよりも小さい。
【0117】
図17は、水の割合が少ないw/oマイクロエマルション中での新規の部類の該ポリマーの効果向上作用を示す。一定の界面活性剤/油比γBは、0.052であり、そしてこのプロットでは、水−n−デカン−C10E4−Brij 700からなる混合物全体中での水の割合WAを温度に依存して変化させる。界面活性剤の10%をBrij 700に置き換えると、単相マイクロエマルションの温度枠が大きく拡張され、そして系の効果が向上する。この試験した系では、層状相は発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】図1は、ポリマー性添加剤の可能な構造を示す。
【図2】図2は、水−n−デカン−C10E4−C12E90の系の相挙動を示す。
【図3】図3は、水−n−デカン−C10E4−C12E190の系の相挙動を示す。
【図4】図4は、水−n−デカン−C10E4−C12E480の系の相挙動を示す。
【図5】図5は、水−n−デカン−C10E4−Tergitol 15S30の系の相挙動を示す。
【図6】図6は、水−Hydroseal G232H−IMBENTIN AG 100/040−Brij 700の系の相挙動を示す。
【図7】図7は、水−n−デカン−C10E4−C18E80の系の相挙動を示す。
【図8】図8は、水−n−デカン−C10E4−C18E180の系の相挙動を示す。
【図9】図9は、水−n−デカン−C10E4−Berol EP35の系の相挙動を示す。
【図10】図10は、水−n−デカン−C10E4−C8E90の系の相挙動を示す。
【図11】図11は、水−n−デカン−C10E4−IGEPAL DM 970の系の相挙動を示す。
【図12】図12は、水−n−デカン−C10E4−C12(E90)2の系の相挙動を示す。
【図13】図13は、水/NaCl−n−デカン−AOT−Brij 700の系の相挙動を示す。
【図14】図14は、水/NaCl−ナタネ油メチルエステル−AOT−Brij 700の系の相挙動を示す。
【図15】図15は、水−MDM−C4D3E8−Brij 700の系の相挙動を示す。
【図16】図16は、水−n−デカン−C10E4−Brij 700の系の相挙動を示す。
【図17】図17は、水−n−デカン−C10E4−Brij 700の系の相挙動を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤を用いることによってマイクロエマルションにおいて温度枠を拡張する方法、界面活性剤の効果を高める方法、層状メソ相を抑制する方法、並びにマイクロエマルションに関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤の効果、特にマイクロエマルション及びエマルション中での界面活性剤の効果を高めることができる方法が従来技術において知られている。この方法では、異なるブロックA及びBを有するABブロックコポリマーである添加剤が添加される。独国特許出願第198 39 054.8-41号は、層状メソ相を同時に抑制しながら界面活性剤の効果を向上する方法、油−水−界面活性剤混合物の単層域の温度位置の安定化方法、マイクロエマルション中の乳化された液体粒子の構造寸法を増大する方法、並びに油−水混合物の界面張力を減少する方法であって、水溶性ブロックAと水不溶性ブロックBを有するABブロックコポリマーを添加する前記方法を開示している。上記ポリマーは、水溶性ブロックA及び水不溶性ブロックBから構成される。A及びBの分子量の下限は500g/モルである。上記方法はマイクロエマルションに適している。
【0003】
独国特許出願第10 2004 058 956.9号は、添加剤を加えることによって、エマルション及びマイクロエマルション中での界面活性剤及び乳化剤の効果を向上させる方法であって、水溶性ブロックA及び油溶性ブロックBを有するポリアルキレンオキシドブロックコポリマーを添加剤として界面活性剤または乳化剤に加えることを特徴とする前記方法を記載している。A及びBの分子量の下限は1,000g/モルである。
【0004】
独国特許出願第10 2005 023 762.2-43号は、シリコーン油を含むマイクロエマルション中での界面活性剤の効果を、ABブロックコポリマーを用いて高める方法を記載している。このABブロックコポリマーは、水溶性ブロックAと、ブロックBから構成され、この際、前記ブロックBは、モノマー構成要素中に少なくとも4つのC原子を有するポリアルキレンオキシド、またはポリジエン、または部分的にもしくは完全に水素化されたポリジエン、またはポリアルカンのいずれかである。A及びBの分子量の下限は500g/モルである。
【0005】
ドイツ特許出願公開第103 23 180 A1号明細書は、界面活性剤及び共界面活性剤を含む混合物であって、二つまたはそれ以上の側鎖が結合している主鎖を有する両親媒性櫛状ポリマーが共界面活性剤として使用され、この際、前記側鎖が互いに異なるものであるか及び/または前記主鎖の側鎖が両親媒性の性質に関して異なるものであることを特徴とする前記混合物を記載している。この共界面活性剤は、マイクロエマルション中での効果向上に適している。
【0006】
しかし、マイクロエマルションを工業的に調製する際には、望ましくない層状のメソ相がしばしば生ずる。層状メソ相は、光学的異方性、高められた粘度及び相の分離をまねく恐れがある。
【0007】
重合体不含の非イオン性界面活性剤系では、 効果が大きくなるほどに、層状相は、不均化的に強く、より低い界面活性剤濃度側にシフトする[M. Kahlweit, R. Strey, P. Firman, J. Phys. Chem., 90, 671 (1986)./ R. Strey, Colloid Polym. Sci., 272, 1005 (1994).]。効果の高い系では、これは、単相マイクロエマルション全体と殆ど重なる。それで、水−n−オクタン−トリエチレングリコールモノオクチルエーテルの系(n−オクタンに対する水の体積比=1)中では、層状の相は34重量%の界面活性剤濃度で初めて始まり、そして20重量%のフィッシュテールポイントまでこの系には単相マイクロエマルションが存在する。より効果の高い界面活性剤であるペンタエチレングリコールモノドデシルエーテルでは、5重量%で既にフィッシュテールポイントに到達し、しかし、これと同時に、この系では層状の相が7重量%で既に始まる。この例では、単相マイクロエマルションの領域は非常に僅かである。
【0008】
効果向上のための既存の方法は、高分子量のポリマー性疎水性セグメントを有する添加剤が使用されるという点を特徴とする。これは、ポリマーの製造の際に、コストを増加させる多段階プロセスが使用されるということを意味する。更に、上記の添加剤は、生分解性が比較的難である。これは、特に、生分解性に関して一層厳しくなる法規制の故に重要な事柄である。更に、公知の添加剤は、全ての油に万能に使用することはできない。
【0009】
それゆえ、
− 簡単に製造可能な添加剤を使用し、
− 生分解性が可能な限り良好な成分を使用し、
− 汎用することができ、それによって添加剤中の疎水性成分を使用する油に適合させる必要がない、
方法の提供に要望がある。
【0010】
この方法は、特に、それら自体で良好な生分解性を有する炭化水素、シリコーン油、“極性”油、例えばエステルに適しているべきである。加えて、界面活性剤を節約しながらも、従来技術から既知の添加剤を用いた場合と少なくとも同等に良好な調合物を得たいという要望もある。また、界面活性剤の節約は、コスト面での理由の他、生態学的または健康上の理由からも有利である。シリコーン油マイクロエマルションでは、上記の要望は特に顕著である。なぜならば、この場合使用されるシリコーン系界面活性剤は非常に高価であるためであるかまたは慣用の界面活性剤を非常に高濃度で使用しなければならないからである。
【0011】
界面活性剤の節約の更に別の利点は、界面活性剤がマイクロエマルションの使用の際に障害となる場合に与えられ得る。例えば、界面活性剤の皮膚ダメージ作用の故に界面活性剤の含有率をできる限り低くしなければならないボディケア製品を挙げることができる。更に別の例は、できるだけ耐水性であるべきフィルムを漂白するために使用されるマイクロエマルションである。
【0012】
それ故、本発明の課題は、マイクロエマルション中での界面活性剤の効果を高めるための方法を提供することである。マイクロエマルション領域の温度枠を拡張することも狙いである。この方法を用いることにより、層状相を抑制しそして界面張力を低下させることも狙いである。
【0013】
請求項1の前提部から出発して、上記の課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴を用いて本発明により解決される。更に、上記の課題は、請求項34〜45に記載のマイクロエマルションによって解決される。
【0014】
今や、本発明の方法及び組成物を用いることによって、界面活性剤の効果を高め、温度枠を拡張し、層状相を抑制し、かつ界面張力を低下させることが可能である。
【0015】
効果の向上は、水と油との間の界面張力の減少と水ドメイン及び油ドメインの大きさの増大とに因果関係を伴って現れる。
【0016】
本発明の有利な態様は、下位の請求項に記載される。
【0017】
図には、本発明に従い使用されるポリマーの挙動についての例を示す。
【0018】
本発明においては、上記の課題の解決のために、少なくとも一つの疎水性単位を少なくとも一つ鎖端に有するか及び/または非末端置換基として疎水性単位を有するか及び/またはポリマーの水溶性単位の間に挿入された少なくとも一つの疎水性単位を有する、少なくとも一つの水溶性単位を含んでなるポリマー性添加剤が使用される。
【0019】
該ポリマー性添加剤全体では、親水性の性質が優勢である。前記の一つまたはそれ以上の疎水性単位の故に、該ポリマーは水中では好ましくはミセルを形成する。
【0020】
該ポリマー性添加剤の水溶性単位は、それらの態様においては、特定のタイプの構造には限定されず、むしろ、本発明においては、より大きな水溶性単位と、一つまたはそれ以上の疎水性単位の組み合わせが重要である。
【0021】
該ポリマーの水溶性単位は、好ましくは線状であるが、例えば図1に例示として示すように星状、分枝状または他のタイプの構造も可能である。線状とは、鎖の骨格を形成する原子が線状単位であるポリマーと理解される。図1には、疎水性単位は太線で、そして水溶性単位はジグザグの線で示される。
【0022】
水溶性単位は、非イオン性かまたはイオン性、すなわち高分子電解質であることができる。電荷は、該ポリマーの水溶性成分の任意の部分に存在することができる。また、少なくとも一つのイオン性部分及び少なくとも一つの非イオン性部分から構成される構造も考えられる。
【0023】
限定はされないが、例としては、水溶性単位は、以下に挙げるモノマーまたは少なくとも二種の成分からなるこれらの混合物、すなわちエチレンオキシド、ビニルピロリジン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸及びアクロレインからなることができる。
【0024】
該ポリマー性添加剤の水溶性部分は、好ましくはポリエチレンオキシドまたはポリエチレングリコールである。更に別の例は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドからなるコポリマー、ポリアクロレイン、ポリビニルアルコール、及びこれらの水溶性誘導体である。更に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリ無水マレイン酸、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、及びこれらの水溶性塩も好適である。
【0025】
水溶性単位は好ましくは線状である。重量平均分子量と数平均分子量との比率によって定義される水溶性単位の分子量分布は好ましくは≦1.2である。
【0026】
該ポリマー性添加剤の水溶性単位の数平均分子量は、好ましくは、500〜100000g/モル、好ましくは2000〜20000g/モル、特に好ましくは3000〜10000g/モルである。
【0027】
該ポリマー性添加剤の水溶性部分の場合と同様に、疎水性単位の態様は、特定のタイプの構造に限定されない。むしろ、単純に、この単位の疎水性または非水溶性の性質が重要である。
【0028】
前記疎水性単位の好ましい分子サイズは、80〜1000g/モル、特に好ましくは110〜500g/モル、特に好ましくは110〜280g/モルである。
【0029】
この疎水性単位は非水溶性の基からなる。これは、好ましくはアルキル基、好ましくは6〜50個の炭素原子、特に好ましくは8〜20個の炭素原子を含むアルキル基である。また、この基は、芳香族基または炭素二重もしくは三重結合を含むことができ、これらは線状または分枝状であることができる。炭化水素基の他に、他の任意の疎水性有機基も使用可能であり、これは、例えば、酸素、窒素、フッ素またはケイ素原子を含む。疎水性単位は、重合体であることもできる。
【0030】
疎水性単位は、規定の構造及び分子量を有する基、例えばアルキル基であることができる。また、例えば工業製品の場合のような混合物も可能である。しかし、これは、ポリブチレンオキシドなどのようなポリマー性の基であることもできる。
【0031】
該ポリマーの水溶性単位は、少なくとも一つの鎖端に疎水性単位を有する。任意の鎖末端上に二つ以上の疎水性単位も可能である。
【0032】
該ポリマーの水溶性単位は、鎖端ではない位置に疎水性単位を有してしてもよい。
【0033】
更に、該ポリマー性添加剤の疎水性単位は、該ポリマーの水溶性単位が疎水性単位によって中断されるように、各水溶性単位の間の少なくとも一つの位置に挿入されていることができる。
【0034】
上記のタイプの構造の全ての組み合わせが可能である。
【0035】
疎水性部分の分子量に対する水溶性部分の分子量の比率は2〜1000、好ましくは5〜200、特に好ましくは10〜50である。
【0036】
好ましい形では、該添加剤の水溶性単位は線状ポリマーであり、そして一つの鎖末端に疎水性単位を有する。
【0037】
例えば、以下の本発明によるポリマー性添加剤を挙げることができる。
− C8〜C20アルコールのエトキシル化によって得られるアルキルエトキシレート、
− C10〜C201,2−ジオールのエトキシル化によって得られるアルキルエトキシレート、
− C8〜C20α,ω−ジオールのエトキシル化によって得られるアルキルエトキシレート、
− 両鎖端において疎水変性されたポリエチレングリコール、これは例えばポリエチレングリコールをC8〜C20イソシアネートまたはC8〜C20酸塩化物と反応させることによって得ることができる;
− 1,2ブチレンオキシド及びエチレンオキシドからなるABジブロックコポリマー、ABAまたはBABトリブロックコポリマー。
【0038】
疎水性単位の故に、該添加剤は水中で好ましくはミセルを形成する。
【0039】
態様の一つでは、水溶性単位の各両端部に疎水性単位が存在する。
【0040】
本発明による添加剤としては、一つの鎖端上のみに疎水性単位を有する線状水溶性ポリマーが好ましい。これらのタイプの構造の中で、高いエトキシル化度を有するアルコールエトキシレートが好ましい。これらの物質は、疎水性アルキル基を有するポリエチレンオキシドとしてか、または長鎖もしくは親水性乳化剤として見なすことができる。疎水性の成分としては、例えば、(好ましくは炭素原子数が8〜20の)脂肪族アルコールまたはアルキルフェノールを使用することができる。上記アルコールエトキシレートは、アルコール1モル当たり、好ましくは25〜500モル、特に好ましくは50〜200モルのエチレンオキシドを含む。一例は、Uniqema社製の商業的に入手可能な化合物Brij 700である。
【0041】
該ポリマー性添加剤においては、疎水性単位と結合してない水溶性単位の割合はできるだけ少なく、すなわち例えば≦20重量%であるのがよい。
【0042】
限定はされないが、例えば、以下の界面活性剤及びこれらの混合物を、本発明の添加剤と共に使用することができる:
アルコキシル化されたアルコールの部類の非イオン性界面活性剤、例えばアルキルエトキシレート、及び狭い分子量分布及び/または少ない残留アルコール含有率を有するアルキルエトキシレート、並びにアルキルフェノールエトキシレート。
【0043】
ソルビタンエステル及びエトキシル化ソルビタンエステル。
【0044】
アルキルポリグルコシド(APG,“糖界面活性剤”)の部類の非イオン性界面活性剤と疎水性共界面活性剤との組み合わせ。
【0045】
シリコンポリエーテル界面活性剤。
【0046】
陰イオン性界面活性剤、例えばアルキルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエーテルスルフェート、スルホスクシネート、アルキルエーテルカルボキシレート、ホスフェート及びカルボン酸塩。前記陰イオン性界面活性剤は、好ましくは、それらのLi+、Na+、K+またはアンモニウム塩の形で使用される。
【0047】
陽イオン性界面活性剤、例えばテトラアルキルアンモニウム化合物。
【0048】
両性界面活性剤、例えばスルホベタイン類、ベタイン類、アンフォアセテート類、アンフォプロピオネート類。
【0049】
複数種の界面活性剤の混合物、特に、非イオン性/陰イオン性界面活性剤または非イオン性/陽イオン性界面活性剤またはシリコン界面活性剤と非ケイ素含有界面活性剤との混合物。
【0050】
本発明に従い使用されるポリマー性添加剤は、マイクロエマルションに使用される界面活性剤と同じタイプの構造を有することができるが、該ポリマー性添加剤の親水性水溶性単位の分子量は、前記界面活性剤の親水性成分の分子量よりも大きくなければならない。該ポリマー性添加剤の水溶性単位の分子量が、上記界面活性剤の親水性成分の分子量よりも少なくとも2倍、特に好ましくは少なくとも5倍または少なくとも10倍大きいことが好ましい。
【0051】
該マイクロエマルションの水性相は、添加剤、例えば塩または水溶性有機化合物、例えばグルコール類を含むことができる。
【0052】
油相も添加剤を含むことができるが、この添加剤はマイクロエマルションを破壊しないことが求められる。
【0053】
例えば、水性成分の屈折率を油成分のそれに合わせるためにグリセリンを水に加えることができる。それによって、効果が向上された光学的に濁ったマイクロエマルションが再び透明になる。この方法は、特に、化粧料、ヘアケア製品及びボディケア製品の分野に使用されるマイクロエマルションに重要である。
【0054】
本発明のマイクロエマルションは原則的に液状である必要はない。熱力学的な意味でマイクロエマルションである限りは、ゲル様乃至固体の混合物も包含される。それ故、この固体の形態は、例えば、水性及び/または油様の成分に添加剤を加えるかまたはマイクロエマルション中に存在するメソ相によって得ることができる。
【0055】
該マイクロエマルションは、例えば油相の固化によって、低温下に固体となり得る。油相に対する水性相の体積比は、例えば0.01〜100、好ましくは0.1〜10または0.3〜3である。
【0056】
界面活性剤−添加剤混合物中でのポリマー性添加剤の質量割合は、例えば好ましくは0.01〜0.3、特に好ましくは0.05〜0.15である。
【0057】
マイクロエマルション中の界面活性剤/添加剤混合物の質量割合は、好ましくは0.01〜0.3、特に好ましくは0.05〜0.2である。より広い温度枠では、マイクロエマルション中においてより多い界面活性剤/添加剤混合物の質量割合がしばしば必要である。
【0058】
また、本明細書に記載の物質的な特徴を有するマイクロエマルションであって、該ポリマー性添加剤を含み、この際、界面活性剤+添加剤に対するポリマー性添加剤の質量比が≦0.2であり、そして油に対する界面活性剤+ポリマー性添加剤の質量比が≦0.5であることを特徴とする前記マイクロエマルションも本発明に包含される。
【0059】
更に、前記マイクロエマルションが、界面活性剤+ポリマー性添加剤に対するポリマー性添加剤の質量比が≦0.15または≦0.10であることを特徴とすることも好ましい。特に好ましくは、油に対する界面活性剤+ポリマー性添加剤の質量比は≦0.33である。
【0060】
本明細書に記載のポリマー性添加剤を含む更に別の本発明によるマイクロエマルションは、界面活性剤とポリマー性添加剤の合計に対するポリマー性添加剤の質量比が≦0.2であること、及びポリマー性添加剤が、分子中の一つの位置に一つまたはそれ以上の疎水性単位を有することを特徴とする。
【0061】
この際、界面活性剤とポリマー性添加剤の合計に対するポリマー性添加剤の質量比が≦0.15または≦0.10である場合に有利である。また、油に対する界面活性剤+ポリマー性添加剤の質量比が≦1であるか、または油に対する界面活性剤+ポリマー性添加剤の質量比が≦0.5、好ましくは≦0.33であることが更に好ましい。
【0062】
効果の向上、温度枠の拡張及び層状相の抑制は、界面活性剤−添加剤混合物中でのポリマー性添加剤の質量割合並びに水溶性単位の分子量に依存する。
【0063】
一般的に、効果の向上は、界面活性剤−添加剤混合物中でのポリマー性添加剤の質量割合が増える程、及び水溶性単位の分子量が大きくなる程に高まる。しかし、分子量の増加に伴う効果向上の増大は、ある分子量から低下し始める。この分子量は、場合に応じて水溶性単位当たり4000〜20000g/モルであり得る。
【0064】
一般的に、温度枠の拡張は、界面活性剤−添加剤混合物中のポリマー性添加剤の質量割合が大きくなる程及び水溶性単位の分子量が大きくなる程大きくなる。しかし、分子量の増加に伴う温度枠の拡張の増大は、ある分子量から低下し始める。この分子量は、場合に応じて水溶性単位当たり4000〜20000g/モルであり得る。これは、特に、界面活性剤濃度が高いほどにそうである。
【0065】
層状相の抑制は、一般的に、界面活性剤−添加剤混合物中でのポリマー性添加剤の質量割合が増える程及び水溶性単位の分子量が大きくなる程に強まる。この抑制は、界面活性剤−添加剤混合物中のポリマー性添加剤の質量割合が15%〜25%の間の値を超えると弱くなる。
【0066】
上記の値は概ね妥当である。しかし、使用したポリマー性添加剤、界面活性剤、油または他の添加剤に依存してずれが生じうる。
【0067】
油に対する水の比率が大きい場合は、好ましくは、水中油形の液滴状マイクロエマルションとなる。油に対する水の比率が小さい場合には、好ましくは油中水型の液滴状マイクロエマルションとなる。水と油の比率がバランスがとれている場合には、好ましくは両連続型(bikontinuierliche)マイクロエマルションとなる。
【0068】
本発明においては、水−油−界面活性剤混合物に本発明のポリマー性添加剤を加えることによっても、界面活性剤混合物の効果が大きく高められ、温度枠が拡張され、層状メソ相がマイクロエマルション中で抑制され、そして界面張力が低下する。加えて、マイクロエマルションは、それに特徴的な性質を、それの構造の大きさを増大させながらも維持する。それで、乳化された構造は、約2000オングストロームまでの大きさを有する。乳化された液体粒子の大きさは、本質的に界面活性剤濃度に依存する。
【0069】
単相領域の温度位置は、本発明によるポリマー性添加剤によって変化する。この変化は、驚くべきことに予測可能である。非イオン性界面活性剤を使用する場合は、単相領域の位置はより高温側にシフトし、イオン性界面活性剤を使用する場合は、概してより低温側への変化が起こる。適当な界面活性剤を選択することによって、望ましい温度領域に調節することができる。
【0070】
以下に、幾つかの用語を定義する:
マイクロエマルションとは、水相及び/または油相中に水、油及び界面活性剤、場合によっては及び添加剤を含みそして熱力学的に安定している混合物と解される。
【0071】
水と不混和性の液体が油と理解される。これは、常圧下ではガス状である加圧下に液状化可能なガスまたは超臨界液体であることもできる。高められた圧力下でのマイクロエマルションも本発明に包含される。
【0072】
マイクロエマルションには、しばしば炭化水素油が油として使用される。しかし、他の油、例えばエステル油またはシリコーン油を含むマイクロエマルションも知られており、これも本発明方法に使用することができる。
【0073】
界面活性剤の効果は、所定の割合の油を水中にまたはそれとは逆に所定の割合の水を油中にマイクロエマルションの形に混合するために必要な界面活性剤の量として表される。この効果は、単相マイクロエマルションを得るために必要な最小の界面活性剤濃度として定量化される。最小界面活性剤濃度及びその際の温度によって特徴付けられる相図における点がフィッシュテールポイントと称される。
【0074】
効果の向上とは、本発明のポリマー性添加剤の添加によってフィッシュテールポイントが、より少ない総界面活性剤濃度側にシフトすることを意味する。界面活性剤または界面活性剤混合物がマイクロエマルションを形成しないが、本発明によるポリマー性添加剤の添加によってマイクロエマルションが形成する場合にも効果の向上は存在する。
【0075】
温度枠の拡張とは、同じ総界面活性剤濃度において、本発明によるポリマー性添加剤の添加によって、単相マイクロエマルションが存在する温度領域がポリマー性添加剤無しの場合よりも広くなることと理解される。
【0076】
層状相の抑制とは、ポリマー性添加剤を含むマイクロエマルションにおいて、相図における界面活性剤濃度軸及び温度軸上でのフィッシュテールポイントに対する層状相の広がりが、ポリマー性添加剤を含まない同等のマイクロエマルションの場合よりもより小さくなることと理解される。
【0077】
本発明に従い使用されるポリマー性添加剤を用いることによって、水と油との間の界面張力が低下する。層状メソ相の発生は抑制される。マイクロエマルションの効果は向上し、そしてマイクロエマルションが安定状態を保つ温度枠は拡張される。
【0078】
可能な用途としては、ヘアケア用品及びボディケア用品、及び化粧料、例えばデオドラント、スキンケア剤、サンクリーム、ローション、シャンプー、シャワージェル、浴用添加剤、潤滑剤、スリップ剤、離型剤、植物保護剤、薬剤、食品、食品添加剤、繊維材料の手入れ用の剤及び助剤、皮革及び毛皮用の手入れ剤、乗り物の手入れ剤、クリーナー並びに艶出し剤、家庭用品、産業用製品及び工業用製品、作動液、消毒剤、ラッカー及び着色塗料、建築補助材、印刷インキ、爆薬、並びに家庭用、産業用及び工業用の洗浄剤などが挙げられる。それによって、乳化された液体粒子の大きさが、エマルションのそれに相当するマイクロエマルションを製造することができる。該マイクロエマルションの安定性の温度枠は、シリコーン油が添加されている場合でも、同じ界面活性剤含有率において拡張される。
【0079】
本発明のマイクロエマルションは反応媒体としても使用することができ、またこれらは、例えば洗剤または洗浄剤として使用する場合は、疎水性の汚れを吸収することができるか、または疎水性の汚れを吸収することによって生じ得る。更に、本発明のマイクロエマルションは、疎水性の成分を放出するか及び/または固形もしくは液状の表面を濡らすこともできる。本発明のマイクロエマルションは、濃厚物の形で存在することもでき、これは、例えば水で希釈した後でもなおマイクロエマルションである。本発明によるマイクロエマルションは、二相または三相系であることもでき、この際、マイクロエマルション相は、過剰の油相及び/または水相と一緒に存在する。しかし、本発明の添加剤を加えることによって、添加剤を含まない混合物と比べると、マイクロエマルション相の割合は多くなる。
【0080】
該マイクロエマルションは、多大なエネルギーを入力せずとも製造することができる。各成分を任意の順序で混合することができ、この際、該ポリマー性添加剤の概して良好な水溶性のために、ポリマーを水中に予め溶解するか、または水−油−界面活性剤混合物中に直接加えることが有利である。
【0081】
本発明に従い使用されるポリマー性添加剤は、界面活性剤との混合物として供することもできる。
【0082】
本発明に従い水溶性ポリマーを加えることによって製造されるマイクロエマルションは、エマルションのそれに相当し得る乳化された液体の体積を有する。
【0083】
効果の向上には、マイクロエマルションが熱力学的に安定している温度間隔の拡張がしばしば伴う。これは特に、広い温度領域にわたって安定性を保証しなければならない工業的な用途に有利である。
該添加剤の利点
− 該ポリマー性添加剤は、既に商業的に入手することができ、また低コストで製造することができる。それの最も簡単な態様では、これは高度にエトキシル化されたアルコールである。一つの例はBrij 700(Uniqema社)である。
− 該ポリマー性添加剤は、概して、長鎖疎水性セグメントを含むポリマーよりもより良好に生分解可能である。このことは、ますます厳しくなる生分解性についての法規制の故に特に重要である。
− 該ポリマー性添加剤は、水溶性が良好で、そしてマイクロエマルションの水性前駆体中に問題なく溶解することができる。
− 該ポリマー性添加剤は汎用的に使用し得る。すなわち、油の化学的構造に依存しない。それ故、同添加剤は、非常に様々な油を含むマイクロエマルションに使用することができる。これとは反対に、疎水性成分として高分子量のポリマー性単位を含む添加剤では、より以上に疎水性添加剤成分と油との相溶性に注意を払わなければならない。例えば、油としてシリコーン油を含むマイクロエマルションには、決まった疎水性ブロックを含むブロックコポリマーしか適さない。
【0084】
上記の利点は、ブロックコポリマーとして存在するポリマー性添加剤についても大体当てはまる。なぜならば、疎水性単位が短鎖だからである。
【0085】
本発明に従い使用される水溶性ポリマーは、両連続型の油中水型または水中油形のマイクロエマルションに適している。該ポリマーは、油成分として炭化水素を含むマイクロエマルションに適しているが、油成分として極性の油、例えばエステル油、シリコーン油または超臨界流体を含むマイクロエマルションにも適している。
【0086】
該ポリマー性添加剤は、非常に高い温度下に単相領域を形成するイオン性界面活性剤を含むマイクロエマルションに特に適している。該ポリマー性添加剤を加えることによって、単相領域の温度領域がより低い温度側に下がる上に、拡張される。また、該添加剤は、疎水性非イオン性界面活性剤、例えば低度にエトキシル化されたアルコールを含むマイクロエマルションにも特に適している。これらの界面活性剤は、非常に低い温度下にマイクロエマルションを形成する。該添加剤を加えることによって、単相領域の温度範囲がより高い温度側にシフトする上に、拡張される。イオン性の界面活性剤だけではなく、疎水性非イオン性界面活性剤の場合にも、単相領域の温度範囲を、用途にとってより重要となるようにシフトさせることができる。
【実施例】
【0087】
以下の例で使用したポリマー性添加剤としてのC8E90、C12E90、C12E190、C12E480、C18E80、C18E180、C12(E90)2は、ベースとなるアルコールのエトキシル化によって製造された。アルコールとしては、C8E90には1−オクタノール、C12E90、C12E190及びC12E480には1−ドデカノール、C18E80及びC18E180には1−オクタデカノール、そしてC12(E90)2には1,2−ドデカンジオールを使用した。これらのアルコールは全て線状の非分枝状アルコールである。
【0088】
ポリマー性添加剤としてのC8E90、C12E90、C12E190、C12E480、C18E80、C18E180、C12(E90)2は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって特徴付けした。上記ポリマー性添加剤の数平均分子量Mn及び分子量分布Mw/Mnは、ポリエチレングリコール標準を用いて得た検量線に基づいて計算した。Mw/Mnの測定値は全て1.1未満であった。以下の表は、測定された分子量を示す。アルコールの化学式から計算された疎水性単位の分子量(M(疎水性))、並びにMn(GPC)とM(疎水性)の差から計算した水溶性単位の数平均分子量(Mn(水溶性))も示す。エトキシル化度は、(Mn(水溶性))を44(エチレンオキシド単位の分子量)で割ることによって求めた。
【0089】
【表1】
【0090】
加えて、以下の更に別のポリマー性添加剤を使用した。
Berol EP 35(Akzo Nobel Surface Chemistry AB)。これは、一分子あたり平均して35個のエチレンオキシド単位を有するC8−アルコール−エトキシレートである(製造者の仕様書による)。その化学構造から計算した平均分子量は、疎水性単位は113g/モル、水溶性単位は1560g/モルである。
Tergitol 15-S-30(Union Carbide)。これは、一分子あたり平均して30個のエチレンオキシド単位を有するC11〜15−アルコール−エトキシレートである(Handbook of Industrial Surfactants, 第二版, Gower Publishing, ISBN 0-566-07892-9)。その化学構造から計算した平均分子量は、疎水性単位は180g/モル、水溶性単位は1340g/モルである。
Brij 700 (Uniqema)。これは、一分子あたり平均して100個のエチレンオキシド単位を有するステアリルアルコール−エトキシレートである(製造者の仕様書による)。その化学構造から計算した平均分子量は、疎水性単位は250g/モル、水溶性単位は4400g/モルである。
Igepal DM 970 (Rhoene-Poulenc)。これは、一分子当たり平均して150個のエチレンオキシド単位を有するジノニルフェノール−エトキシレートである(Handbook of Industrial Surfactants, 第二版, Gower Publishing, ISBN 0-566-07892-9)。その化学構造から計算した平均分子量は、疎水性単位は330g/モル、水溶性単位は6600g/モルである。
【0091】
上記のポリマー性添加剤は、C12(E90)2は除いて全てが、一つの端部に一つの疎水性単位を有する線状水溶性ポリマー鎖のタイプの構造である。C12(E90)2のポリマー性添加剤は、鎖の中央部に一つの疎水性単位を有する線状水溶性ポリマー鎖のタイプの構造である。
【0092】
以下の例では、次の界面活性剤及び油を使用した。テトラエチレングリコールモノデシルエーテル(C10E4); IMBENTIN AG 100/040、平均して4個のエチレンオキシド単位を有するC10アルコールエトキシレート(製造者の仕様書による)(Kolb, Schweiz); 平均して5個のエチレンオキシド単位を有するHoesch T5イソトリデカノレート(Julius Hoesch GmbH & Co. KG, Dueren); ナトリウムビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート (AOT); ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル終端型ポリジメチルシロキサン 分子量550〜650g/モル 50%(CH2-CH2-O) (MCR-C13,Gelest Inc. Morrisville, PA, USA)(C4D3E8); n−デカン; オクタメチルトリシロキサン(MDM); Hydroseal G232H、C13〜C15脂肪族炭化水素の混合物、沸点範囲235〜265℃、引火点102℃ (Julius Hoesch GmbH & Co. KG, Dueren); ナタネ油メチルエステル(Biodiesel/ADM-Oelmuehle Hamburg AG/ADM-Oelmuehle Leer Connemann GmbH + Co. KG)。
【0093】
図2〜17に示した温度−濃度(T/γ)相図は、他に記載がなければ、1:1の一定の水/油体積比(φ=0.5)を有する系についての図であり、これらについては以下に説明する。
【0094】
以下に、幾つかの用語を説明する。
C= 任意の界面活性剤または乳化剤、例えば陰イオン性、陽イオン性、非イオン性界面活性剤または糖界面活性剤、並びに少なくとも二種の界面活性剤を含む混合物。
D= 本発明に従い界面活性剤Cに添加される添加剤。
γ= C及びDの以下の式の総界面活性剤濃度(質量分率):
【0095】
【数1】
【0096】
[前記式中、
m=質量(g);
γ=無次元の質量分率;
mges=mwater+moil+m(C)+m(D)の総質量]
δ= 以下の式に相当する、界面活性剤C+添加剤Dの混合物中での添加剤Dの質量分率。
【0097】
【数2】
【0098】
[式中、
m=質量(g)、
δ=質量分率(無次元)]
グラフには、各δ値の単相領域の境界を特徴付けする各δ値の曲線を示す。各々の曲線の先端がフィッシュテールポイントである。この際、記号1は、単相マイクロエマルションの領域を示し、記号2(下線付き)は、油相と共存している水中油型マイクロエマルションを示し、そして2(上線付き)は、水相と共存している油中水型のマイクロエマルションを示す。図では、層状相は記号Lαで示し、これが無い場合には、試験した範囲において層状相は発生していない。以下の相図は、界面活性剤濃度γ及び温度Tに依存するマイクロエマルション相の広がりを表す。
【0099】
図2は、ポリマーC12E90を加えることによって、水−n−デカン−C10E4の系中での単相マイクロエマルションの効果がどのように大きくなるかを示す。界面活性剤の10%をC12E90で置き換えると(δ=0.10)、フィッシュテールポイントがγ=0.13からγ=0.05にシフトする。すなわち、可溶化に必要な界面活性剤が半分以上減少する。この例では、効果の向上には低粘度の層状相の形成が伴う。しかし、効果の向上の故に、マイクロエマルション領域のほぼ全体が層状相で占められてしまうことが予期されるのに反して、層状相の範囲は単相領域の僅かな部分しか覆わない。フィッシュテールポイントに対して、温度軸上での層状相の広がりは、ポリマーが添加されていない界面活性剤の場合と比べてより小さい。マイクロエマルション相の温度枠の幅は大きく広がり、そしてポリマーの添加によってフィッシュテールポイントの温度はごく僅かにだけより高い温度側にシフトする。全体では、フィッシュテールポイントの温度位置は約5〜7℃高まる。
【0100】
界面活性剤全体の効果は、図3に示した水−n−デカン−C10E4の系においても、ポリマー性添加剤C12E190の添加によって増大する。この際、効果の向上及び単相エマルションの広がりは、図2に示した系の場合よりも若干良好である。しかし、より大きいポリマーであるC12E190を選択することによって、試験した範囲における層状相の形成は非常に効果的に抑制される。
【0101】
図4は、水−n−デカン−C10E4の系中でのポリマー性添加剤C12E480の効果向上を示す。この例では、フィッシュテールポイントの位置に関しての効果向上は、図2及び図3に示した水−n−デカン−C10E4 - C12E90の系または水−n−デカン−C10E4 - C12E190の系の場合よりも若干より良好である。しかし、γ≧0.10での温度枠の拡張は、図2及び3に示した系の場合よりもそれほど顕著ではない。しかし、このより大きな親水性ポリマーは、この場合においても、層状相の形成を阻止する。
【0102】
しかし、水−n−デカン−C10E4 - Tergitol 15S30の系について図5に示すように、より小さな親水性ブロックを有するポリマーも使用することができる。この例では、ポリマー不含の系(δ=0)を、界面活性剤混合物中に10%のポリマー性添加剤を含む系(δ=0.100)及び20%のポリマー性添加剤を含む系(δ=0.200)と比較した。効果の向上はなるほど上記の例の場合よりも小さいが、それでもなお、特にδ=0.200ではマイクロエマルション領域の大きな拡張が得られる。しかし、これには、ポリマー不含系と比べるとマイクロエマルションの温度範囲について約15℃の上昇が伴う。δ=0.100の場合にはポリマー不含系と比べて層状相はフィッシュテールポイントに対してほぼ一定して変わらないが、δ=0.200の場合には、層状相はより強く顕著となる。
【0103】
図6〜8では、C12基の代わりに、より疎水性の高いC18炭化水素基を使用する。
【0104】
図6は、δ=0及びδ=0.102での水−Hydroseal G232H -IMBENTIN AG 100/040 - Brij 700の系を示す。この際、フィッシュテールポイントは、γ=0.12からγ=0.08にシフトする。温度枠は大きく拡張され、そして転相温度はT=44℃からT=68℃に上昇する。この温度の向上は、望ましい温度範囲において、より疎水性が強いが効果的な界面活性剤を得るためにも利用することができる。例えば、エトキシル化度の低い界面活性剤は、エトキシル化度がより高く及び同じ疎水性基を有する匹敵する界面活性剤と比べて、より低い温度にあるマイクロエマルション領域を有する。加えて、低エトキシル化界面活性剤は、高エトキシル化界面活性剤よりも若干効果が高い。それゆえ、望ましい温度範囲ではエトキシル化度が低すぎる界面活性剤を使用し、そして該ポリマー添加剤によって温度領域を高めることが有意義であり得る。
【0105】
この例では、水−Hydroseal G232H -IMBENTIN AG 100/040 - Brij 700の系における効果の向上には、低粘度の層状相の形成が伴う。大きな効果向上の故に、マイクロエマルション全領域が、層状相によってほぼ占められることが予期された。
【0106】
図7は、水−n−デカン−C10E4の系の相挙動に対するC18E80ポリマー中のより強い疎水性の基の影響を示す。この際、その相挙動及び効果向上は、図1に示した水−n−デカン−C10E4−C12E80と同等である。また、この例においても、ポリマーを含まない系の場合と比べるとフィッシュテールポイントに対してそれほど顕著でないが、低粘度の層状相の形成が効果向上に伴う。この場合も、効果向上の故に、マイクロエマルションの全領域が層状相によってほぼ占められることが予測された。
【0107】
層状相の完全な抑制は、図8の水−n−デカン−C10E4 - C18E180の系において達成される。フィッシュテールポイントは、ポリマー含有系(δ=0.104)ではγ=0.03であり、それゆえ、ポリマー不含の系(δ=0)の場合よりも約4倍低い。
【0108】
C12よりも疎水性が低い基も、本発明のポリマー性添加剤の疎水性単位として使用することができる。これを図9に示す。水−n−デカン−C10E4の系の効果は、10%(δ=0.104)のBerol EP35を加えることによって向上されるが、この場合、効果の高い界面活性剤系にしばしば生ずる層状相が発生しない。温度枠も拡張される。
【0109】
図10は、水−n−デカン−C10E4の系においてC8E90ポリマーを添加した際の効果向上を示す。この界面活性剤の10%をC8E90に置き換えることによって、界面活性剤の必要量がγ=0.13からγ=0.07に半減する。この際、単相マイクロエマルションの温度の広がりも同様に大きくなり、試験した系において層状相は生じない。
【0110】
図11は、δ=0.113において、水−n−デカン−C10E4からなる混合物中にポリマーとしてIGEPAL DM970を加えることによって、界面活性剤全体の効果がどのように高まるかを示す。この場合、ポリマーを添加したマイクロエマルション中に層状相は生じない。この系においても、転相温度は、より高温度側に約5℃シフトされる。前記の例と同様に、φ=0.5の一定の水/油比が使用された。
【0111】
図12は、δ=0.104において水−n−デカン−C10E4からなる混合物にポリマーとしてC12(E90)2を加えることによって形成に必要な総界面活性剤量がどのように減少するかを示す。この際、転相温度は、僅かに約4℃だけより高温側にシフトし、基本的な相挙動は、ポリマーの添加によっては変化しない。試験した範囲においては層状相は発生しない。
【0112】
温度枠のなお一層大きい拡張及び効果の向上を、イオン性界面活性剤AOTを含む本発明のポリマー性添加剤の使用の下に観察することができる。
【0113】
図13は、水/NaCl(1%)−n−デカン−AOT−Brij 700の系において、様々なポリマー濃度δに依存する上記の拡張及び向上を示す。この際、ポリマー添加量δが多くなるほど、転相温度が、大概の用途に好適な範囲を可能するほどに低下し、これに対し、ポリマー性添加剤を加えない場合には、マイクロエマルションは、それほど重要でない温度範囲において生ずる。これと同時に、ポリマーの割合が増すと、必要な最小界面活性剤量及び単相マイクロエマルションの領域が明らかに増大する。δ=0.15の場合にも、最小の層状孤立領域しか存在しない。
【0114】
新規の部類の該ポリマーは、エステル油などの極性油を含むマイクロエマルションにも非常に良好に適している。これを、水/NaCl(1%)−ナタネ油メチルエステル−AOT−Brij 700の系について図14に示す。ポリマー不含系(δ=0)では、たった一つの測定点しか測定できなかったが、実際のマイクロエマルション領域は図に示した領域にほぼ相当し、約90℃にある。28%の高い界面活性剤の割合の場合でさえ、相の下限は80℃である。界面活性剤の14%をBrij 700と置き換えると(δ=0.144)、20℃〜80℃の幅広いマイクロエマルション領域が、20%未満の界面活性剤の割合で得られる。それゆえ、油成分としてのナタネ油メチルエステルの使用は、低い界面活性剤濃度において、Briji 700ポリマーで補助するだけで可能である。本発明のポリマー性添加剤の代わりに、Hoesch T5などの非イオン性界面活性剤を同じ濃度で使用すると、単相マイクロエマルション相は形成しない。
【0115】
シリコーン油もマイクロエマルションの油成分として好適である。図15は、δ=0.05において、水−MDM−C4D3E8からなる混合物にポリマーとしてBrij 700を加えた際に界面活性剤全体の効果及び温度枠がどのように増大、拡張するかを示す。この系では、界面活性剤混合物中にBrij 700(δ=0.05)を使用することで、界面活性剤の最小必要量がγ=0.14からγ=0.10にシフトする。この際、必要な界面活性剤の総割合は、約30%減少する。この試験した系では、層状相は発生しない。
【0116】
新規の部類の該ポリマーの効果向上作用は、油の割合が少ない系においても観察することができる。図16は、水−n−デカン−C10E4 − Brij 700からなる混合物中でのo/wマイクロエマルションを示す。一定の界面活性剤/水比γAは0.053であり、そしてこのプロットでは、混合物全体中の油の割合WBを温度に依存して変える。この際、ポリマーを含む系(δ=0.109)では、ポリマーを含まない系と比べて、かなりより多い割合の油を可溶化することができる。この際、油の最大割合WBの質量分率はWB=0.07からWB=0.18に増大する。効果の向上の他に、温度枠の大きな拡張も観察することができる。ポリマーを含む系(γ=0.109)において層状相が生じるが、それの広がりにおいては、その効果から予測されるよりも小さい。
【0117】
図17は、水の割合が少ないw/oマイクロエマルション中での新規の部類の該ポリマーの効果向上作用を示す。一定の界面活性剤/油比γBは、0.052であり、そしてこのプロットでは、水−n−デカン−C10E4−Brij 700からなる混合物全体中での水の割合WAを温度に依存して変化させる。界面活性剤の10%をBrij 700に置き換えると、単相マイクロエマルションの温度枠が大きく拡張され、そして系の効果が向上する。この試験した系では、層状相は発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】図1は、ポリマー性添加剤の可能な構造を示す。
【図2】図2は、水−n−デカン−C10E4−C12E90の系の相挙動を示す。
【図3】図3は、水−n−デカン−C10E4−C12E190の系の相挙動を示す。
【図4】図4は、水−n−デカン−C10E4−C12E480の系の相挙動を示す。
【図5】図5は、水−n−デカン−C10E4−Tergitol 15S30の系の相挙動を示す。
【図6】図6は、水−Hydroseal G232H−IMBENTIN AG 100/040−Brij 700の系の相挙動を示す。
【図7】図7は、水−n−デカン−C10E4−C18E80の系の相挙動を示す。
【図8】図8は、水−n−デカン−C10E4−C18E180の系の相挙動を示す。
【図9】図9は、水−n−デカン−C10E4−Berol EP35の系の相挙動を示す。
【図10】図10は、水−n−デカン−C10E4−C8E90の系の相挙動を示す。
【図11】図11は、水−n−デカン−C10E4−IGEPAL DM 970の系の相挙動を示す。
【図12】図12は、水−n−デカン−C10E4−C12(E90)2の系の相挙動を示す。
【図13】図13は、水/NaCl−n−デカン−AOT−Brij 700の系の相挙動を示す。
【図14】図14は、水/NaCl−ナタネ油メチルエステル−AOT−Brij 700の系の相挙動を示す。
【図15】図15は、水−MDM−C4D3E8−Brij 700の系の相挙動を示す。
【図16】図16は、水−n−デカン−C10E4−Brij 700の系の相挙動を示す。
【図17】図17は、水−n−デカン−C10E4−Brij 700の系の相挙動を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの疎水性単位及び少なくとも一つの水溶性単位を有するポリマー性添加剤をマイクロエマルションに加えることによってマイクロエマルション中での界面活性剤の効果を向上する方法であって、上記添加剤の疎水性単位の数平均分子量に対する水溶性単位の数平均分子量の比率が2〜1000であり、この際、各疎水性単位が最大で1000g/モルの分子量を有し、そして前記添加剤が少なくとも一つの水溶性単位からなるポリマーであり、この水溶性単位が、少なくとも一つの疎水性単位を少なくとも一つの鎖端上に有し、及び/または非終端置換基として疎水性単位を有し、及び/または前記ポリマー性添加剤の水溶性単位の間に挿入された少なくとも一つの疎水性単位を有することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
少なくとも一つの疎水性単位及び少なくとも一つの水溶性単位を有するポリマー性添加剤をマイクロエマルションに加えることによってマイクロエマルション中で層状相を抑制する方法であって、上記添加剤の疎水性単位の数平均分子量に対する水溶性単位の数平均分子量の比率が2〜1000であり、この際、各疎水性単位が最大で1000g/モルの分子量を有し、そして前記添加剤が少なくとも一つの水溶性単位からなるポリマーであり、この水溶性単位が、少なくとも一つの疎水性単位を少なくとも一つの鎖端上に有し、及び/または非終端置換基として疎水性単位を有し、及び/または前記ポリマー性添加剤の水溶性単位の間に挿入された少なくとも一種の疎水性単位を有することを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
少なくとも一つの疎水性単位及び少なくとも一つの水溶性単位を有するポリマー性添加剤をマイクロエマルションに加えることによって、マイクロエマルションの温度枠を拡張する方法であって、上記添加剤の疎水性単位の数平均分子量に対する水溶性単位の数平均分子量の比率が2〜1000であり、この際、各疎水性単位が最大で1000g/モルの分子量を有し、そして前記添加剤が少なくとも一つの水溶性単位からからなるポリマーであり、この水溶性単位が、少なくとも一つの疎水性単位を少なくとも一つの鎖端上に有し、及び/または非終端置換基として疎水性単位を有し、及び/または前記ポリマー性添加剤の水溶性単位の間に挿入された少なくとも一つの疎水性単位を有することを特徴とする、前記方法。
【請求項4】
前記添加剤の疎水性単位の数平均分子量に対する水溶性単位の数平均分子量の比率が5〜200であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの方法。
【請求項5】
前記添加剤の疎水性単位の数平均分子量に対する水溶性単位の数平均分子量の比率が10〜50であることを特徴とする、請求項4の方法。
【請求項6】
前記添加剤の各水溶性単位の数平均分子量が500〜100000g/モルであることを特徴とする、請求項1〜5の方法。
【請求項7】
前記添加剤の各水溶性単位の数平均分子量が2000〜20000g/モルであることを特徴とする、請求項6の方法。
【請求項8】
前記添加剤の各水溶性単位の数平均分子量が3000〜10000g/モルであることを特徴とする、請求項7の方法。
【請求項9】
前記添加剤の各疎水性単位の数平均分子量が80〜1000g/モルであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つの方法。
【請求項10】
前記添加剤の各疎水性単位の数平均分子量が110〜500g/モルであることを特徴とする、請求項9の方法。
【請求項11】
前記添加剤の各疎水性単位の数平均分子量が110〜280g/モルであることを特徴とする、請求項10の方法。
【請求項12】
前記添加剤の水溶性単位が線状ポリマーであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つの方法。
【請求項13】
前記添加剤の水溶性単位が分枝状ポリマーであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つの方法。
【請求項14】
前記添加剤の水溶性単位が星形であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つの方法。
【請求項15】
前記添加剤の水溶性単位が非イオン性であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つの方法。
【請求項16】
前記添加剤の水溶性単位がイオン性であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つの方法。
【請求項17】
前記添加剤の水溶性単位が少なくとも二つの電荷を有することを特徴とする、請求項16の方法。
【請求項18】
前記添加剤の水溶性単位がイオン性構成要素及び非イオン性構成要素から構成されることを特徴とする、請求項1〜14及び17のいずれか一つの方法。
【請求項19】
前記添加剤の水溶性単位が、モノマー構成要素としてのエチレンオキシド、ビニルピロリジン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸及びアクロレインの群から選択される少なくとも一種の成分からなることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一つの方法。
【請求項20】
前記添加剤の水溶性構成要素が、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドからなるコポリマー、ポリアクロレイン、ポリビニルアルコール及びこれの水溶性誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリメタクリル酸、ポリ無水マレイン酸、ポリギ酸、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸及びこれの水溶性塩からなる群から選択される成分であることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一つの方法。
【請求項21】
前記添加剤の疎水性単位がアルキル基であることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一つの方法。
【請求項22】
前記アルキル基が6〜50個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項21の方法。
【請求項23】
前記アルキル基が8〜20個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項22の方法。
【請求項24】
前記疎水性単位が不飽和であることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一つの方法。
【請求項25】
前記添加剤の疎水性単位が、芳香族構造を含むものであるかまたは二重結合を有する構造であることを特徴とする、請求項24の方法。
【請求項26】
前記添加剤の疎水性単位が、酸素、窒素、フッ素、塩素及びケイ素からなる原子の群から選択される少なくとも一種の成分を含む有機基を含むことを特徴とする、請求項21〜25のいずれか一つの方法。
【請求項27】
前記添加剤が、炭素原子数が8〜20の一価のアルコール及び25〜500個のエチレンオキシド単位から構成されるアルコールエトキシレートであることを特徴とする、請求項1〜12、15、19〜25のいずれか一つの方法。
【請求項28】
疎水部の分子量に対する水溶性部の分子量の比率が5〜200であることを特徴とする、請求項1〜27のいずれか一つの方法。
【請求項29】
疎水部の分子量に対する水溶性部の分子量の比率が10〜50であることを特徴とする、請求項28の方法。
【請求項30】
少なくとも一つの鎖端上に疎水性単位を有する添加剤を使用することを特徴とする、請求項1〜29のいずれか一つの方法。
【請求項31】
前記添加剤が、少なくとも一つの鎖端上に二つ以上の疎水性単位を有することを特徴とする、請求項1〜16、28及び29の方法。
【請求項32】
前記添加剤が、鎖の非端部に疎水性単位を有することを特徴とする、請求項1〜31のいずれか一つの方法。
【請求項33】
前記添加剤の少なくとも一つの疎水性単位が、前記ポリマーの水溶性単位の間の少なくとも一つの位置に組み込まれていることを特徴とする、請求項1〜32のいずれか一つの方法。
【請求項34】
水、油、界面活性剤、及び請求項1〜33に特徴付けされる添加剤を含むマイクロエマルションであって、前記添加剤の水溶性構成要素の分子量が、前記界面活性剤の親水性成分の分子量よりも大きいことを特徴とする、前記マイクロエマルション。
【請求項35】
前記添加剤の水溶性構成要素の分子量が、前記界面活性剤の親水性成分の分子量よりも少なくとも5倍大きいことを特徴とする、請求項34のマイクロエマルション。
【請求項36】
前記添加剤の水溶性構成要素の分子量が、前記界面活性剤の親水性成分の分子量よりも少なくとも10倍大きいことを特徴とする、請求項35のマイクロエマルション。
【請求項37】
層状相が存在しないことを特徴とする、請求項33〜35のいずれか一つのマイクロエマルション。
【請求項38】
水、油、界面活性剤、及び請求項1〜33に特徴付けられる添加剤を含むマイクロエマルションであって、両連続型であることを特徴とする、前記マイクロエマルション。
【請求項39】
添加剤を含むマイクロエマルションであって、前記添加剤が、請求項1〜33に記載の物質的特徴によって特徴付けられ、かつ界面活性剤+添加剤に対する添加剤の質量比が≦0.2であり、そして油に対する界面活性剤+ポリマー性添加剤の質量比が≦0.5であることを特徴とする、前記マイクロエマルション。
【請求項40】
界面活性剤+添加剤に対する添加剤の質量比が≦0.15または≦0.10であることを特徴とする、請求項39のマイクロエマルション。
【請求項41】
油に対する界面活性剤+添加剤の質量比が≦0.33であることを特徴とする、請求項39または40のマイクロエマルション。
【請求項42】
ポリマー性添加剤を含むマイクロエマルションであって、請求項1〜33に記載の物質情報によって特徴付けられる添加剤を含み、かつ界面活性剤+添加剤に対する添加剤の質量比が≦0.2であり、かつ前記添加剤が分子中の一つの位置に一つまたはそれ以上の疎水性単位を有することを特徴とする、前記マイクロエマルション。
【請求項43】
界面活性剤+添加剤に対する添加剤の質量比が≦0.15または≦0.10であることを特徴とする、請求項42のマイクロエマルション。
【請求項44】
油に対する界面活性剤+添加剤の質量比が≦1であることを特徴とする、請求項42または43のマイクロエマルション。
【請求項45】
油に対する界面活性剤+添加剤の質量比が≦0.5、好ましくは≦0.33であることを特徴とする、請求項44のマイクロエマルション。
【請求項1】
少なくとも一つの疎水性単位及び少なくとも一つの水溶性単位を有するポリマー性添加剤をマイクロエマルションに加えることによってマイクロエマルション中での界面活性剤の効果を向上する方法であって、上記添加剤の疎水性単位の数平均分子量に対する水溶性単位の数平均分子量の比率が2〜1000であり、この際、各疎水性単位が最大で1000g/モルの分子量を有し、そして前記添加剤が少なくとも一つの水溶性単位からなるポリマーであり、この水溶性単位が、少なくとも一つの疎水性単位を少なくとも一つの鎖端上に有し、及び/または非終端置換基として疎水性単位を有し、及び/または前記ポリマー性添加剤の水溶性単位の間に挿入された少なくとも一つの疎水性単位を有することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
少なくとも一つの疎水性単位及び少なくとも一つの水溶性単位を有するポリマー性添加剤をマイクロエマルションに加えることによってマイクロエマルション中で層状相を抑制する方法であって、上記添加剤の疎水性単位の数平均分子量に対する水溶性単位の数平均分子量の比率が2〜1000であり、この際、各疎水性単位が最大で1000g/モルの分子量を有し、そして前記添加剤が少なくとも一つの水溶性単位からなるポリマーであり、この水溶性単位が、少なくとも一つの疎水性単位を少なくとも一つの鎖端上に有し、及び/または非終端置換基として疎水性単位を有し、及び/または前記ポリマー性添加剤の水溶性単位の間に挿入された少なくとも一種の疎水性単位を有することを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
少なくとも一つの疎水性単位及び少なくとも一つの水溶性単位を有するポリマー性添加剤をマイクロエマルションに加えることによって、マイクロエマルションの温度枠を拡張する方法であって、上記添加剤の疎水性単位の数平均分子量に対する水溶性単位の数平均分子量の比率が2〜1000であり、この際、各疎水性単位が最大で1000g/モルの分子量を有し、そして前記添加剤が少なくとも一つの水溶性単位からからなるポリマーであり、この水溶性単位が、少なくとも一つの疎水性単位を少なくとも一つの鎖端上に有し、及び/または非終端置換基として疎水性単位を有し、及び/または前記ポリマー性添加剤の水溶性単位の間に挿入された少なくとも一つの疎水性単位を有することを特徴とする、前記方法。
【請求項4】
前記添加剤の疎水性単位の数平均分子量に対する水溶性単位の数平均分子量の比率が5〜200であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの方法。
【請求項5】
前記添加剤の疎水性単位の数平均分子量に対する水溶性単位の数平均分子量の比率が10〜50であることを特徴とする、請求項4の方法。
【請求項6】
前記添加剤の各水溶性単位の数平均分子量が500〜100000g/モルであることを特徴とする、請求項1〜5の方法。
【請求項7】
前記添加剤の各水溶性単位の数平均分子量が2000〜20000g/モルであることを特徴とする、請求項6の方法。
【請求項8】
前記添加剤の各水溶性単位の数平均分子量が3000〜10000g/モルであることを特徴とする、請求項7の方法。
【請求項9】
前記添加剤の各疎水性単位の数平均分子量が80〜1000g/モルであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つの方法。
【請求項10】
前記添加剤の各疎水性単位の数平均分子量が110〜500g/モルであることを特徴とする、請求項9の方法。
【請求項11】
前記添加剤の各疎水性単位の数平均分子量が110〜280g/モルであることを特徴とする、請求項10の方法。
【請求項12】
前記添加剤の水溶性単位が線状ポリマーであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つの方法。
【請求項13】
前記添加剤の水溶性単位が分枝状ポリマーであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つの方法。
【請求項14】
前記添加剤の水溶性単位が星形であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つの方法。
【請求項15】
前記添加剤の水溶性単位が非イオン性であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つの方法。
【請求項16】
前記添加剤の水溶性単位がイオン性であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つの方法。
【請求項17】
前記添加剤の水溶性単位が少なくとも二つの電荷を有することを特徴とする、請求項16の方法。
【請求項18】
前記添加剤の水溶性単位がイオン性構成要素及び非イオン性構成要素から構成されることを特徴とする、請求項1〜14及び17のいずれか一つの方法。
【請求項19】
前記添加剤の水溶性単位が、モノマー構成要素としてのエチレンオキシド、ビニルピロリジン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸及びアクロレインの群から選択される少なくとも一種の成分からなることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一つの方法。
【請求項20】
前記添加剤の水溶性構成要素が、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドからなるコポリマー、ポリアクロレイン、ポリビニルアルコール及びこれの水溶性誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリメタクリル酸、ポリ無水マレイン酸、ポリギ酸、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸及びこれの水溶性塩からなる群から選択される成分であることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一つの方法。
【請求項21】
前記添加剤の疎水性単位がアルキル基であることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一つの方法。
【請求項22】
前記アルキル基が6〜50個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項21の方法。
【請求項23】
前記アルキル基が8〜20個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項22の方法。
【請求項24】
前記疎水性単位が不飽和であることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一つの方法。
【請求項25】
前記添加剤の疎水性単位が、芳香族構造を含むものであるかまたは二重結合を有する構造であることを特徴とする、請求項24の方法。
【請求項26】
前記添加剤の疎水性単位が、酸素、窒素、フッ素、塩素及びケイ素からなる原子の群から選択される少なくとも一種の成分を含む有機基を含むことを特徴とする、請求項21〜25のいずれか一つの方法。
【請求項27】
前記添加剤が、炭素原子数が8〜20の一価のアルコール及び25〜500個のエチレンオキシド単位から構成されるアルコールエトキシレートであることを特徴とする、請求項1〜12、15、19〜25のいずれか一つの方法。
【請求項28】
疎水部の分子量に対する水溶性部の分子量の比率が5〜200であることを特徴とする、請求項1〜27のいずれか一つの方法。
【請求項29】
疎水部の分子量に対する水溶性部の分子量の比率が10〜50であることを特徴とする、請求項28の方法。
【請求項30】
少なくとも一つの鎖端上に疎水性単位を有する添加剤を使用することを特徴とする、請求項1〜29のいずれか一つの方法。
【請求項31】
前記添加剤が、少なくとも一つの鎖端上に二つ以上の疎水性単位を有することを特徴とする、請求項1〜16、28及び29の方法。
【請求項32】
前記添加剤が、鎖の非端部に疎水性単位を有することを特徴とする、請求項1〜31のいずれか一つの方法。
【請求項33】
前記添加剤の少なくとも一つの疎水性単位が、前記ポリマーの水溶性単位の間の少なくとも一つの位置に組み込まれていることを特徴とする、請求項1〜32のいずれか一つの方法。
【請求項34】
水、油、界面活性剤、及び請求項1〜33に特徴付けされる添加剤を含むマイクロエマルションであって、前記添加剤の水溶性構成要素の分子量が、前記界面活性剤の親水性成分の分子量よりも大きいことを特徴とする、前記マイクロエマルション。
【請求項35】
前記添加剤の水溶性構成要素の分子量が、前記界面活性剤の親水性成分の分子量よりも少なくとも5倍大きいことを特徴とする、請求項34のマイクロエマルション。
【請求項36】
前記添加剤の水溶性構成要素の分子量が、前記界面活性剤の親水性成分の分子量よりも少なくとも10倍大きいことを特徴とする、請求項35のマイクロエマルション。
【請求項37】
層状相が存在しないことを特徴とする、請求項33〜35のいずれか一つのマイクロエマルション。
【請求項38】
水、油、界面活性剤、及び請求項1〜33に特徴付けられる添加剤を含むマイクロエマルションであって、両連続型であることを特徴とする、前記マイクロエマルション。
【請求項39】
添加剤を含むマイクロエマルションであって、前記添加剤が、請求項1〜33に記載の物質的特徴によって特徴付けられ、かつ界面活性剤+添加剤に対する添加剤の質量比が≦0.2であり、そして油に対する界面活性剤+ポリマー性添加剤の質量比が≦0.5であることを特徴とする、前記マイクロエマルション。
【請求項40】
界面活性剤+添加剤に対する添加剤の質量比が≦0.15または≦0.10であることを特徴とする、請求項39のマイクロエマルション。
【請求項41】
油に対する界面活性剤+添加剤の質量比が≦0.33であることを特徴とする、請求項39または40のマイクロエマルション。
【請求項42】
ポリマー性添加剤を含むマイクロエマルションであって、請求項1〜33に記載の物質情報によって特徴付けられる添加剤を含み、かつ界面活性剤+添加剤に対する添加剤の質量比が≦0.2であり、かつ前記添加剤が分子中の一つの位置に一つまたはそれ以上の疎水性単位を有することを特徴とする、前記マイクロエマルション。
【請求項43】
界面活性剤+添加剤に対する添加剤の質量比が≦0.15または≦0.10であることを特徴とする、請求項42のマイクロエマルション。
【請求項44】
油に対する界面活性剤+添加剤の質量比が≦1であることを特徴とする、請求項42または43のマイクロエマルション。
【請求項45】
油に対する界面活性剤+添加剤の質量比が≦0.5、好ましくは≦0.33であることを特徴とする、請求項44のマイクロエマルション。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2009−511266(P2009−511266A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535875(P2008−535875)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001621
【国際公開番号】WO2007/045198
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(390035448)フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (100)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001621
【国際公開番号】WO2007/045198
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(390035448)フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (100)
【Fターム(参考)】
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