渋滞予測情報生成装置、渋滞予測情報生成方法、及び経路探索システム
【課題】パラメータの動的な対応ができ、より精度の高い渋滞予測のための情報を生成することができる渋滞予測情報生成装置などを提供する。
【解決手段】所定の区間ごとの走行路などの交通量の情報及び地図情報を受信する受信手段200と、受信された交通量の情報及び地図情報に基づき、所定の区間ごとに車両の存在量を取得し、時間関数による時間関数存在量を所定の区間ごとに算出し、時間関数存在量を含む時間関数による時間関数伝達量を所定の区間ごとに算出し、時間関数存在量及び時間関数伝達量と、以前の交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づき、所定の区間ごとの交通混雑程度情報を生成する生成手段201とを備える。
【解決手段】所定の区間ごとの走行路などの交通量の情報及び地図情報を受信する受信手段200と、受信された交通量の情報及び地図情報に基づき、所定の区間ごとに車両の存在量を取得し、時間関数による時間関数存在量を所定の区間ごとに算出し、時間関数存在量を含む時間関数による時間関数伝達量を所定の区間ごとに算出し、時間関数存在量及び時間関数伝達量と、以前の交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づき、所定の区間ごとの交通混雑程度情報を生成する生成手段201とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が目的地へ行く過程における道路の渋滞予測を行う渋滞予測情報生成装置、渋滞予測情報生成方法、及び経路探索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、最新かつ新鮮な信頼度の高い情報に基づいて、目的地までスムーズに快適に車両が走行できるように道路の渋滞予測を行う技術が存在している。このような技術は下記の特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された技術は、時間の経過に伴って減退する情報(発生フェロモン)を用いて最新かつ新鮮な信頼度の高い渋滞予測を行うように構成されている。また、下記の非特許文献1及び2では、特許文献1に記載された技術の他にフェロモンの概念などが記載されている。
【特許文献1】特開2005−235194号公報(要約)
【非特許文献1】“Traffic Prediction using Pheromone Model”、Osamu MASUTANI,Hiroshi SASAKI,Hirotoshi IWASAKI,Yasushi ANDO,Yoshiaki FUKAZAWA,Shinichi HONIDEN 12th World Congress on ITS,6-10 November 2005,San Francisco
【非特許文献2】“Return From The Ant”(http://dochost.rz.huberlin.de/dissertationen/brueckner-sven-2000-06-21/PDF/Brueckner.pdf)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術では、生成される渋滞予測に用いる情報が発生フェロモンのみに依存しているため、高い精度の情報を生成することが困難である。また、渋滞予測では中長期的な傾向を捕らえるため、フェロモンを算出する際のパラメータの動的な対応が必要であるが、従来の技術では適切に対応することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためのものであり、パラメータの動的な対応ができ、より精度の高い渋滞予測のための情報を生成することができる渋滞予測情報生成装置、渋滞予測情報生成方法、及び経路探索システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明によれば、車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置であって、前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び前記走行路に設置された信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを備える渋滞予測情報生成装置が提供される。この構成により、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【0006】
また、本発明によれば、車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置であって、前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを備える渋滞予測情報生成装置が提供される。この構成により、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【0007】
また、本発明によれば、車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成方法であって、前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信するステップと、受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び前記走行路に設置された信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成するステップとを有する渋滞予測情報生成方法が提供される。この構成により、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【0008】
また、本発明によれば、車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成方法であって、前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信するステップと、受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成するステップとを有する渋滞予測情報生成方法が提供される。この構成により、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【0009】
また、本発明によれば、車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置と、前記渋滞予測情報生成装置によって生成された前記交通混雑程度情報に基づいて、車両の目的地までの経路探索を行う経路探索装置とを備える経路探索システムであって、前記渋滞予測情報生成装置が、前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び前記走行路に設置された信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを備える経路探索システムが提供される。この構成により、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【0010】
また、本発明によれば、車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置と、前記渋滞予測情報生成装置によって生成された前記交通混雑程度情報に基づいて、車両の目的地までの経路探索を行う経路探索装置とを備える経路探索システムであって、前記渋滞予測情報生成装置が、前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを備える経路探索システムが提供される。この構成により、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の渋滞予測情報生成装置、渋滞予測情報生成方法、及び経路探索システムは、上記構成を有し、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図10を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態に係る経路探索システムの構成の一例を示す構成図である。図2は本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置の構成の一例を示す構成図である。図3は本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置におけるフェロモンを数値化した一例について説明するための図である。図4Aは本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における発生フェロモンを数値化した一例を示す図である。図4Bは本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図4Aの発生フェロモンが時間t1を経過したときの発生フェロモンを示す図である。図4Cは本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図4Bの発生フェロモンが時間t2を経過したときの発生フェロモンを示す図である。
【0013】
図5Aは本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における発生フェロモンを数値化した一例を示す図である。図5Bは本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図5Aの発生フェロモンが時間t3経過したときに伝達される様子を示す図である。図5Cは本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図5Bの発生フェロモンが時間t4経過したときに伝達される様子を示す図である。図6は本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置におけるショックウェーブフェロモンについて説明するための図である。図7は本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における信号フェロモンについて説明するための図である。図8は本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における信号フェロモンを算出する際の信号サイクルのオフセット、信号間隔、赤信号の期間を示す図である。図9は本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置の動作フローについて説明するためのフローチャートである。
【0014】
まず、本発明の実施の形態に係る経路探索システムの構成の一例について図1を用いて説明する。図1に示すように、経路探索システム100は、車両が走行する道路(走行路)において所定の道路区間ごとの交通量を後述する渋滞予測情報生成装置103に送信する情報提供装置101、車両が走行する道路を含む地図の情報を後述する渋滞予測情報生成装置103に送信する地図情報提供装置102、情報提供装置101から受信した所定の道路区間ごとの交通量の情報と、地図情報提供装置102から受信した所定の道路区間を含む地図情報とに基づいて、車両が走行する所定の道路区間ごとの混雑程度(所定の道路区間ごとにおける車両の密度など)を示す交通混雑程度情報(交通フェロモン量)を生成する渋滞予測情報生成装置103、渋滞予測情報生成装置103によって生成された交通混雑程度情報に基づいて、車両の最適な経路探索を行う経路探索装置104から構成されている。ここで、車両とは、例えば自動四輪車、自動二輪車などを言う。
【0015】
所定の道路区間とは、例えば交差点間の道路区間(リンクとも言う)を言う。ただし、所定の道路区間はリンクに限られるものではなく、リンクをさらに細かく分けた区間(セル)であっても、複数のリンクを含む区間(エリア)であってもよい。以下では所定の道路区間をリンクとして説明する。また、情報提供装置101として、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System)やプローブカーシステムなど考えられる。プローブカーシステムとは、走行している車をセンサーとして活用し、道路上での様々な情報(データ)を収集し、収集されたデータに所定の処理をするシステムを言う。また、情報提供装置101は、リンクごとに構成されたリンクの統計情報(当該リンクにおける過去の交通状況などの情報)を渋滞予測情報生成装置103に送信するようにしてもよい。
【0016】
地図情報提供装置102は、車両が走行する道路を含む地図の情報を渋滞予測情報生成装置103に送信するが、特に道路のリンクの構造に関する情報を送信する。この他に、地図情報提供装置102は、道路のリンクの特性、周辺施設の位置や属性、信号機の位置などの情報を渋滞予測情報生成装置103に送信するようにしてもよい。経路探索装置104は、例えば各車両に搭載されたカーナビゲーションシステムを言う。なお、経路探索装置104を各車両に搭載されたカーナビゲーションシステムとするのではなく、探索された経路情報を各車両に提供するサーバとして機能させるようにしてもよい。また、経路探索装置104は、カーナビゲーションシステムに限られるものでなく、携帯電話端末やPDA端末などの携帯情報端末であっても実施可能である。この場合、携帯電話端末やPDA端末などの携帯情報端末は、カーナビゲーションシステムが有する機能を備えている。
【0017】
次に、本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置の構成の一例について図2を用いて説明する。図2に示すように、渋滞予測情報生成装置103は、受信部200、生成部201、送信部202、記憶部203から構成されている。受信部200は、例えば情報提供装置101から所定の道路区間(リンク)ごとの交通量の情報(リアルタイムの交通量の情報)や、地図情報提供装置102から所定の道路区間(リンク)を含む地図情報(リンクの構造を示す情報を含む)を受信するものである。
【0018】
生成部201は、受信された交通量の情報及び地図情報に基づいて、リンクごとに車両の存在量を取得し、取得された存在量を含む時間関数による時間関数存在量(発生フェロモンとも言う)をリンクごとに算出し、算出された時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接するリンクへ伝達する時間関数伝達量(伝達フェロモンとも言う)をリンクごとに算出し、算出された時間関数存在量及び時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された交通混雑程度情報(残存フェロモンとも言う)と、所定の条件を満たした場合に生じる、時間の経過に伴って隣接するリンクへ伝達する方向と逆方向の時間関数伝達量、及び道路に設置された信号の切り替わりサイクルによって生じる時間関数切替量のうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の交通混雑程度情報(交通フェロモンともいう)を生成するものである。送信部202は、生成された交通混雑程度情報を経路探索装置104に送信するものである。
【0019】
時間関数とは、例えば時間tの関数である。ここで、時間関数はあらかじめ設定されたものであっても動的に設定されるものであっても構わない。また、フェロモンは、例えば「車両が5台存在する場合に10である」という基準によって決められる。フェロモンの範囲は0から10であっても0から100であっても構わず、これらに限られるものではない。数値化されたフェロモンの一例について図3を用いて説明する。図3に示すように、地図は第1のエリア300及び第2のエリア301に分けられており、地図上には道路302が示されている。以下、これらの分けられた各エリアを情報伝達フィールドとも言う。地図は情報伝達フィールド300及び301のみに分けられるものではなく、複数の情報伝達フィールドに分けられるとしても構わない。また、情報伝達フィールドがさらに交差点間の道路ごとに分けられた領域を情報伝達プログラムフィールド(上述したリンクに相当)とも言う。図3では、情報伝達プログラムフィールド(リンク)302に相当する場所において発生する発生フェロモンが10とされた場合を示している。
【0020】
発生フェロモンは、時間の経過に伴って減衰していくものであり、例えば1秒間に1割減衰していくものである。減衰させる時間は1秒間隔に限られず、何秒かの間隔で減衰させても構わない。また、減衰させる割合も1割に限られず何割であっても構わないが1割から2割の割合で減衰させることが好ましい。ここで、時間の経過に伴って減衰していく発生フェロモンについて図4A〜4Cを用いて説明する。図4A〜4Cに示すように、図4Aに示すリンク302の発生フェロモンは、t1時間経過すると図4Bのようになり、さらにt2時間経過すると図4Cのようになる。このように、時間の経過に伴って発生フェロモンは減衰していく。なお、所定の時間が経過した場合には、発生フェロモンを無効とするように設定されていてもよい。
【0021】
また、発生フェロモンは、時間の経過に伴って隣接するリンク(情報伝達プログラムフィールド)などに伝達されていくものであり、例えば1秒間に1割伝達されていくものである。伝達させる時間は1秒間隔に限られず、何秒かの間隔で伝達させてもよい。また、伝達させる割合も1割に限られず何割であってもよい。
【0022】
また、隣接するリンク(情報伝達プログラムフィールド)などにすでに存在する発生フェロモンが、所定の数値を超えている場合には伝達する割合は小さく、所定の数値を超えていない場合には伝達する割合は大きくなる。例えば、隣接するリンク(情報伝達プログラムフィールド)の発生フェロモンが5を超えた場合には1秒間に1割伝達し、5を超えない場合であれば1秒間に2割伝達するようにしてもよい。ここで、時間の経過に伴って伝達していく発生フェロモンについて図5A〜5Cを用いて説明する。図5A〜5Cに示すように、図5Aに示すリンク302は、t3時間経過すると図5Bのようになり、さらにt4時間経過すると図5Cのようになる。このように、時間の経過に伴って発生フェロモンは伝達されていく。なお、所定の時間が経過した場合には、発生フェロモンを無効とするように設定されていてもよい。
【0023】
ここで、交通フェロモン量、発生フェロモン、伝達フェロモンの算出式を式(1)から式(3)にそれぞれ示す。なお、これらの式は漸化式である。
【0024】
【数1】
【0025】
【数2】
【0026】
【数3】
【0027】
なお、式(1)におけるEpはリンクpにおける蒸発率(0<Ep<1)を示し、αpはリンクpにおける発生率(0<αp<1)を示している。r(t、p)は時刻tにおけるリンクpで発生する発生フェロモンの強さを示している。q(t、p)は時刻tにおけるリンクpでの伝達フェロモンの強さを示している。また、式(2)において、C(t、p)は時刻tにおけるリンクpでの車両通過台数を示しており、v(t、p)は時刻tにおけるリンクpでの車両の速度を示している。また、式(3)において、Fp'はリンクp´における拡散率(0<Fp'<1)を示し、Nupstream(p)はリンクpの上流に位置するリンクの数を示しており、例えばあるリンクpに発生フェロモンが拡散されてくる拡散元(上流とも言う)のリンクの数である。
【0028】
なお、蒸発率、発生率、拡散率、後述するショックウェーブフェロモンにおける閾値などのパラメータの調整には、GA(Genetic Algorithm:遺伝的アルゴリズム)などによる統計データによる最適化、学習の静的調整、GAなどによる統計データによる最適化、学習の繰り返し実行や強化学習による逐次的パラメータの調整の動的調整がある。なお、強化学習に関しては公知の一般的な技術であるため説明は省略する。また、蒸発率、発生率、拡散率などのパラメータを観測可能な特徴と対応付けて算出してもよい。蒸発率Eは、例えばあるリンクにおける密度(車両の密度など)に所定の係数を掛けたもの(時間的変動のあるもの)、拡散率Fは、例えばあるリンクの下流のリンクにおける車両の平均速度を車両の速度の最大値で割ったもの(時間的変動のあるもの)、あるリンクの下流のリンク数をリンク数の最大値で割ったもの(リンクに固定で時間的変動のないもの)などとしてもよい。なお、時間的変動のある他の要素として、例えば平均旅行(所要)時間、通過台数、停止線待ちの平均車両台数などの情報がある。また、時間的変動のない他の要素として、例えばリンク長、車線数、車幅、バス路線であるか否かなどの情報がある。
【0029】
さらに、本発明の実施の形態では、後述するショックウェーブフェロモン及び信号フェロモンをも考慮した交通フェロモンを算出することを考える。まず、ショックウェーブフェロモンについて図6を用いて説明する。図6に示すように、リンク1の下流のリンクに相当する下流リンク(図6ではリンク5〜7)で発生する、例えば発生フェロモンの量が所定の閾値cを超えた場合に、上流に位置するリンク1に逆流してくるフェロモンをショックウェーブフェロモンと言う。ショックウェーブフェロモンは、下記の式(4)によって算出される。Ndownstream(p)はリンクpの下流に位置するリンクの数を示しており、図6ではリンク5〜7の3となる。この式(4)から、あるリンクp´における発生フェロモンが所定の閾値cを超えない場合には0となり、ショックウェーブフェロモンは発生しない。
【0030】
【数4】
【0031】
一方、信号フェロモンについて図7、8を用いて説明する。信号フェロモンとは、図7に示すような信号機の信号サイクルの赤信号の長さに比例して発生されるフェロモンを言う。なお、信号フェロモンは発散、拡散はしない。信号フェロモンは下記の式(5)によって算出され、この式(5)は時刻tのリンクpにおける赤信号時間を示している。なお、Lredは実際の信号サイクルから求めたり、図8に示すように信号サイクルのオフセット、信号間隔、赤信号の期間をパラメータ化してGAなどにより推定してもよい。
【0032】
【数5】
【0033】
上述したショックウェーブフェロモン及び信号フェロモンを考慮した場合には、下記の式(6)をも加味して交通フェロモンを算出する。なお、βは所定の係数である。このように、複数のフェロモンを用いることにより、より精度の高い渋滞予測をすることができる。
【0034】
【数6】
【0035】
ここで、上述した渋滞予測情報生成装置103によって生成されたリンクごとの交通フェロモンである予測結果に基づいて経路探索をする経路探索装置104の経路探索への応用について説明する。1つに、経路探索装置104は、予測結果を利用した経路探索にダイクストラ法の改良手法(http://mmi.tudelft.nl/pub/Patrick/Ehlert.P.A.M-TRAIL Workshop2001.pdfを参照)などを適用して動的な環境での経路探索を行う。
【0036】
次に、本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置の動作フローについて図9を用いて説明する。図9に示すように、渋滞予測情報生成装置103は、情報提供装置101からリンクごとの交通量の情報(リアルタイムの交通量の情報)や、地図情報提供装置102からリンクを含む地図情報(リンクの構造を示す情報を含む)を受信する(ステップS901)。渋滞予測情報生成装置103は、受信された交通量の情報及び地図情報に基づいて、リンクごとに車両の存在量を取得し、取得された存在量を含む時間関数による時間関数存在量(発生フェロモン)をリンクごとに算出し、算出された時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接するリンクへ伝達する時間関数伝達量(伝達フェロモン)をリンクごとに算出し、算出された時間関数存在量及び時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された交通混雑程度情報(残存フェロモン)と、所定の条件を満たした場合に生じる、時間の経過に伴って隣接するリンクへ伝達する方向(車両の走行方向)と逆方向の時間関数伝達量(ショックウェーブフェロモン)、及び道路に設置された信号の切り替わりサイクルによって生じる時間関数切替量(信号フェロモン)の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の交通混雑程度情報(交通フェロモン)を生成する(ステップS902)。渋滞予測情報生成装置103は、生成された交通混雑程度情報を経路探索装置104に送信する(ステップS903)。なお、信号フェロモンを除いたケースの渋滞予測情報生成装置の動作フローについても同様に考えられる。
【0037】
また、上述した態様以外にさらにより高い精度を目指すため、以下に示すフェロモンを利用する。具体的には、渋滞を緩和させる要因のフェロモン(Attractive フェロモン)と、渋滞を大きくする要因のフェロモン(Repulsive フェロモン)とを混ぜて合わせて利用する。Attractive フェロモンの例としては車間距離フェロモンであり、Repulsive フェロモンの例としては上述した交通フェロモン、ブレーキフェロモンである。
【0038】
まず、車間距離フェロモンについて説明する。この車間距離フェロモンは車間距離が所定の閾値を超えた場合に発生するものである。車間距離フェロモンの算出式を下記の式(7)に示す。これは、時刻t、位置(リンク)pにおける車間距離フェロモンである。ここで、disi(t、p)は車両IDがiである車両における車間距離であり、C(t、p)は位置pにおける区間(t−1、t)内の車両IDの集合である。
【0039】
【数7】
【0040】
一方、ブレーキフェロモンはブレーキを踏む回数に比例して一定量のフェロモンを発生するものである。ブレーキフェロモンの算出式を下記の式(8)に示す。これは時刻t、位置(リンク)pにおけるブレーキフェロモンである。ここで、brakingi(t、p)は車両IDがiの車両におけるブレーキを踏んだ回数である。C(t、p)は位置pにおける区間(t−1、t)内の車両IDの集合である。
【0041】
【数8】
【0042】
ここでの基本のモデル式を以下の式(9)、(10)に示す。このモデル式には、フェロモンの種類を識別する変数fが追加されている。これにより、蒸発率や拡散率をフェロモンの種類ごとに変化させることが可能となる。また、多種のフェロモンを合成する場合、蒸発率や拡散率をフェロモンの種類ごとに調整できるため、混合比をパラメータ化する必要はない。
【0043】
【数9】
【0044】
【数10】
【0045】
これにより、より高い精度の情報を生成することができ、また、上述した式(1)や式(3)で示した蒸発率や拡散率などのパラメータについて、車両速度などの観測量と関連付けを行うことで予測精度を高めることができる。ここで、パラメータのモデルの一例を以下に示す。例えば、蒸発パラメータを走行速度に応じて決定する場合のパラメータを式(11)に示す。これは速度が速いほど蒸発する割合が大きくなる。
【0046】
【数11】
【0047】
また、例えば、拡散パラメータを走行速度に応じて決定する場合のパラメータを式(12)に示す。
【0048】
【数12】
【0049】
これは速度が速いほど拡散する割合が大きくなる。なお、ここでは拡散パラメータをGfで示している。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る渋滞予測情報生成装置、渋滞予測情報生成方法、及び経路探索システムは、上記構成を有し、パラメータの動的な対応ができ、より精度の高い渋滞予測のための情報を生成することができるため、車両が目的地へ行く過程における道路の渋滞予測を行う渋滞予測情報生成装置、渋滞予測情報生成方法、及び経路探索システムなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る経路探索システムの構成の一例を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置の構成の一例を示す構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置におけるフェロモンを数値化した一例について説明するための図である。
【図4A】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における発生フェロモンを数値化した一例を示す図である。
【図4B】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図4Aの発生フェロモンが時間t1を経過したときの発生フェロモンを示す図である。
【図4C】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図4Bの発生フェロモンが時間t2を経過したときの発生フェロモンを示す図である。
【図5A】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における発生フェロモンを数値化した一例を示す図である。
【図5B】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図5Aの発生フェロモンが時間t3経過したときに伝達される様子を示す図である。
【図5C】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図5Bの発生フェロモンが時間t4経過したときに伝達される様子を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置におけるショックウェーブフェロモンについて説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における信号フェロモンについて説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における信号フェロモンを算出する際の信号サイクルのオフセット、信号間隔、赤信号の期間を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置の動作フローについて説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1、2、3、4、5、6、7 リンク
100 経路探索システム
101 情報提供装置
102 地図情報提供装置
103 渋滞予測情報生成装置
104 経路探索装置
200 受信部(受信手段)
201 生成部(生成手段)
202 送信部
203 記憶部
300 第1のエリア(情報伝達フィールド)
301 第2のエリア(情報伝達フィールド)
302 道路(情報伝達プログラムフィールド(リンク))
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が目的地へ行く過程における道路の渋滞予測を行う渋滞予測情報生成装置、渋滞予測情報生成方法、及び経路探索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、最新かつ新鮮な信頼度の高い情報に基づいて、目的地までスムーズに快適に車両が走行できるように道路の渋滞予測を行う技術が存在している。このような技術は下記の特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された技術は、時間の経過に伴って減退する情報(発生フェロモン)を用いて最新かつ新鮮な信頼度の高い渋滞予測を行うように構成されている。また、下記の非特許文献1及び2では、特許文献1に記載された技術の他にフェロモンの概念などが記載されている。
【特許文献1】特開2005−235194号公報(要約)
【非特許文献1】“Traffic Prediction using Pheromone Model”、Osamu MASUTANI,Hiroshi SASAKI,Hirotoshi IWASAKI,Yasushi ANDO,Yoshiaki FUKAZAWA,Shinichi HONIDEN 12th World Congress on ITS,6-10 November 2005,San Francisco
【非特許文献2】“Return From The Ant”(http://dochost.rz.huberlin.de/dissertationen/brueckner-sven-2000-06-21/PDF/Brueckner.pdf)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術では、生成される渋滞予測に用いる情報が発生フェロモンのみに依存しているため、高い精度の情報を生成することが困難である。また、渋滞予測では中長期的な傾向を捕らえるため、フェロモンを算出する際のパラメータの動的な対応が必要であるが、従来の技術では適切に対応することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためのものであり、パラメータの動的な対応ができ、より精度の高い渋滞予測のための情報を生成することができる渋滞予測情報生成装置、渋滞予測情報生成方法、及び経路探索システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明によれば、車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置であって、前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び前記走行路に設置された信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを備える渋滞予測情報生成装置が提供される。この構成により、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【0006】
また、本発明によれば、車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置であって、前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを備える渋滞予測情報生成装置が提供される。この構成により、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【0007】
また、本発明によれば、車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成方法であって、前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信するステップと、受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び前記走行路に設置された信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成するステップとを有する渋滞予測情報生成方法が提供される。この構成により、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【0008】
また、本発明によれば、車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成方法であって、前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信するステップと、受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成するステップとを有する渋滞予測情報生成方法が提供される。この構成により、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【0009】
また、本発明によれば、車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置と、前記渋滞予測情報生成装置によって生成された前記交通混雑程度情報に基づいて、車両の目的地までの経路探索を行う経路探索装置とを備える経路探索システムであって、前記渋滞予測情報生成装置が、前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び前記走行路に設置された信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを備える経路探索システムが提供される。この構成により、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【0010】
また、本発明によれば、車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置と、前記渋滞予測情報生成装置によって生成された前記交通混雑程度情報に基づいて、車両の目的地までの経路探索を行う経路探索装置とを備える経路探索システムであって、前記渋滞予測情報生成装置が、前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを備える経路探索システムが提供される。この構成により、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の渋滞予測情報生成装置、渋滞予測情報生成方法、及び経路探索システムは、上記構成を有し、入力データに対する要求を抑え、また予測をする際の計算量を抑え、経路探索のための信頼度のより高い渋滞予測の情報を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図10を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態に係る経路探索システムの構成の一例を示す構成図である。図2は本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置の構成の一例を示す構成図である。図3は本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置におけるフェロモンを数値化した一例について説明するための図である。図4Aは本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における発生フェロモンを数値化した一例を示す図である。図4Bは本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図4Aの発生フェロモンが時間t1を経過したときの発生フェロモンを示す図である。図4Cは本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図4Bの発生フェロモンが時間t2を経過したときの発生フェロモンを示す図である。
【0013】
図5Aは本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における発生フェロモンを数値化した一例を示す図である。図5Bは本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図5Aの発生フェロモンが時間t3経過したときに伝達される様子を示す図である。図5Cは本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図5Bの発生フェロモンが時間t4経過したときに伝達される様子を示す図である。図6は本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置におけるショックウェーブフェロモンについて説明するための図である。図7は本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における信号フェロモンについて説明するための図である。図8は本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における信号フェロモンを算出する際の信号サイクルのオフセット、信号間隔、赤信号の期間を示す図である。図9は本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置の動作フローについて説明するためのフローチャートである。
【0014】
まず、本発明の実施の形態に係る経路探索システムの構成の一例について図1を用いて説明する。図1に示すように、経路探索システム100は、車両が走行する道路(走行路)において所定の道路区間ごとの交通量を後述する渋滞予測情報生成装置103に送信する情報提供装置101、車両が走行する道路を含む地図の情報を後述する渋滞予測情報生成装置103に送信する地図情報提供装置102、情報提供装置101から受信した所定の道路区間ごとの交通量の情報と、地図情報提供装置102から受信した所定の道路区間を含む地図情報とに基づいて、車両が走行する所定の道路区間ごとの混雑程度(所定の道路区間ごとにおける車両の密度など)を示す交通混雑程度情報(交通フェロモン量)を生成する渋滞予測情報生成装置103、渋滞予測情報生成装置103によって生成された交通混雑程度情報に基づいて、車両の最適な経路探索を行う経路探索装置104から構成されている。ここで、車両とは、例えば自動四輪車、自動二輪車などを言う。
【0015】
所定の道路区間とは、例えば交差点間の道路区間(リンクとも言う)を言う。ただし、所定の道路区間はリンクに限られるものではなく、リンクをさらに細かく分けた区間(セル)であっても、複数のリンクを含む区間(エリア)であってもよい。以下では所定の道路区間をリンクとして説明する。また、情報提供装置101として、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System)やプローブカーシステムなど考えられる。プローブカーシステムとは、走行している車をセンサーとして活用し、道路上での様々な情報(データ)を収集し、収集されたデータに所定の処理をするシステムを言う。また、情報提供装置101は、リンクごとに構成されたリンクの統計情報(当該リンクにおける過去の交通状況などの情報)を渋滞予測情報生成装置103に送信するようにしてもよい。
【0016】
地図情報提供装置102は、車両が走行する道路を含む地図の情報を渋滞予測情報生成装置103に送信するが、特に道路のリンクの構造に関する情報を送信する。この他に、地図情報提供装置102は、道路のリンクの特性、周辺施設の位置や属性、信号機の位置などの情報を渋滞予測情報生成装置103に送信するようにしてもよい。経路探索装置104は、例えば各車両に搭載されたカーナビゲーションシステムを言う。なお、経路探索装置104を各車両に搭載されたカーナビゲーションシステムとするのではなく、探索された経路情報を各車両に提供するサーバとして機能させるようにしてもよい。また、経路探索装置104は、カーナビゲーションシステムに限られるものでなく、携帯電話端末やPDA端末などの携帯情報端末であっても実施可能である。この場合、携帯電話端末やPDA端末などの携帯情報端末は、カーナビゲーションシステムが有する機能を備えている。
【0017】
次に、本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置の構成の一例について図2を用いて説明する。図2に示すように、渋滞予測情報生成装置103は、受信部200、生成部201、送信部202、記憶部203から構成されている。受信部200は、例えば情報提供装置101から所定の道路区間(リンク)ごとの交通量の情報(リアルタイムの交通量の情報)や、地図情報提供装置102から所定の道路区間(リンク)を含む地図情報(リンクの構造を示す情報を含む)を受信するものである。
【0018】
生成部201は、受信された交通量の情報及び地図情報に基づいて、リンクごとに車両の存在量を取得し、取得された存在量を含む時間関数による時間関数存在量(発生フェロモンとも言う)をリンクごとに算出し、算出された時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接するリンクへ伝達する時間関数伝達量(伝達フェロモンとも言う)をリンクごとに算出し、算出された時間関数存在量及び時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された交通混雑程度情報(残存フェロモンとも言う)と、所定の条件を満たした場合に生じる、時間の経過に伴って隣接するリンクへ伝達する方向と逆方向の時間関数伝達量、及び道路に設置された信号の切り替わりサイクルによって生じる時間関数切替量のうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の交通混雑程度情報(交通フェロモンともいう)を生成するものである。送信部202は、生成された交通混雑程度情報を経路探索装置104に送信するものである。
【0019】
時間関数とは、例えば時間tの関数である。ここで、時間関数はあらかじめ設定されたものであっても動的に設定されるものであっても構わない。また、フェロモンは、例えば「車両が5台存在する場合に10である」という基準によって決められる。フェロモンの範囲は0から10であっても0から100であっても構わず、これらに限られるものではない。数値化されたフェロモンの一例について図3を用いて説明する。図3に示すように、地図は第1のエリア300及び第2のエリア301に分けられており、地図上には道路302が示されている。以下、これらの分けられた各エリアを情報伝達フィールドとも言う。地図は情報伝達フィールド300及び301のみに分けられるものではなく、複数の情報伝達フィールドに分けられるとしても構わない。また、情報伝達フィールドがさらに交差点間の道路ごとに分けられた領域を情報伝達プログラムフィールド(上述したリンクに相当)とも言う。図3では、情報伝達プログラムフィールド(リンク)302に相当する場所において発生する発生フェロモンが10とされた場合を示している。
【0020】
発生フェロモンは、時間の経過に伴って減衰していくものであり、例えば1秒間に1割減衰していくものである。減衰させる時間は1秒間隔に限られず、何秒かの間隔で減衰させても構わない。また、減衰させる割合も1割に限られず何割であっても構わないが1割から2割の割合で減衰させることが好ましい。ここで、時間の経過に伴って減衰していく発生フェロモンについて図4A〜4Cを用いて説明する。図4A〜4Cに示すように、図4Aに示すリンク302の発生フェロモンは、t1時間経過すると図4Bのようになり、さらにt2時間経過すると図4Cのようになる。このように、時間の経過に伴って発生フェロモンは減衰していく。なお、所定の時間が経過した場合には、発生フェロモンを無効とするように設定されていてもよい。
【0021】
また、発生フェロモンは、時間の経過に伴って隣接するリンク(情報伝達プログラムフィールド)などに伝達されていくものであり、例えば1秒間に1割伝達されていくものである。伝達させる時間は1秒間隔に限られず、何秒かの間隔で伝達させてもよい。また、伝達させる割合も1割に限られず何割であってもよい。
【0022】
また、隣接するリンク(情報伝達プログラムフィールド)などにすでに存在する発生フェロモンが、所定の数値を超えている場合には伝達する割合は小さく、所定の数値を超えていない場合には伝達する割合は大きくなる。例えば、隣接するリンク(情報伝達プログラムフィールド)の発生フェロモンが5を超えた場合には1秒間に1割伝達し、5を超えない場合であれば1秒間に2割伝達するようにしてもよい。ここで、時間の経過に伴って伝達していく発生フェロモンについて図5A〜5Cを用いて説明する。図5A〜5Cに示すように、図5Aに示すリンク302は、t3時間経過すると図5Bのようになり、さらにt4時間経過すると図5Cのようになる。このように、時間の経過に伴って発生フェロモンは伝達されていく。なお、所定の時間が経過した場合には、発生フェロモンを無効とするように設定されていてもよい。
【0023】
ここで、交通フェロモン量、発生フェロモン、伝達フェロモンの算出式を式(1)から式(3)にそれぞれ示す。なお、これらの式は漸化式である。
【0024】
【数1】
【0025】
【数2】
【0026】
【数3】
【0027】
なお、式(1)におけるEpはリンクpにおける蒸発率(0<Ep<1)を示し、αpはリンクpにおける発生率(0<αp<1)を示している。r(t、p)は時刻tにおけるリンクpで発生する発生フェロモンの強さを示している。q(t、p)は時刻tにおけるリンクpでの伝達フェロモンの強さを示している。また、式(2)において、C(t、p)は時刻tにおけるリンクpでの車両通過台数を示しており、v(t、p)は時刻tにおけるリンクpでの車両の速度を示している。また、式(3)において、Fp'はリンクp´における拡散率(0<Fp'<1)を示し、Nupstream(p)はリンクpの上流に位置するリンクの数を示しており、例えばあるリンクpに発生フェロモンが拡散されてくる拡散元(上流とも言う)のリンクの数である。
【0028】
なお、蒸発率、発生率、拡散率、後述するショックウェーブフェロモンにおける閾値などのパラメータの調整には、GA(Genetic Algorithm:遺伝的アルゴリズム)などによる統計データによる最適化、学習の静的調整、GAなどによる統計データによる最適化、学習の繰り返し実行や強化学習による逐次的パラメータの調整の動的調整がある。なお、強化学習に関しては公知の一般的な技術であるため説明は省略する。また、蒸発率、発生率、拡散率などのパラメータを観測可能な特徴と対応付けて算出してもよい。蒸発率Eは、例えばあるリンクにおける密度(車両の密度など)に所定の係数を掛けたもの(時間的変動のあるもの)、拡散率Fは、例えばあるリンクの下流のリンクにおける車両の平均速度を車両の速度の最大値で割ったもの(時間的変動のあるもの)、あるリンクの下流のリンク数をリンク数の最大値で割ったもの(リンクに固定で時間的変動のないもの)などとしてもよい。なお、時間的変動のある他の要素として、例えば平均旅行(所要)時間、通過台数、停止線待ちの平均車両台数などの情報がある。また、時間的変動のない他の要素として、例えばリンク長、車線数、車幅、バス路線であるか否かなどの情報がある。
【0029】
さらに、本発明の実施の形態では、後述するショックウェーブフェロモン及び信号フェロモンをも考慮した交通フェロモンを算出することを考える。まず、ショックウェーブフェロモンについて図6を用いて説明する。図6に示すように、リンク1の下流のリンクに相当する下流リンク(図6ではリンク5〜7)で発生する、例えば発生フェロモンの量が所定の閾値cを超えた場合に、上流に位置するリンク1に逆流してくるフェロモンをショックウェーブフェロモンと言う。ショックウェーブフェロモンは、下記の式(4)によって算出される。Ndownstream(p)はリンクpの下流に位置するリンクの数を示しており、図6ではリンク5〜7の3となる。この式(4)から、あるリンクp´における発生フェロモンが所定の閾値cを超えない場合には0となり、ショックウェーブフェロモンは発生しない。
【0030】
【数4】
【0031】
一方、信号フェロモンについて図7、8を用いて説明する。信号フェロモンとは、図7に示すような信号機の信号サイクルの赤信号の長さに比例して発生されるフェロモンを言う。なお、信号フェロモンは発散、拡散はしない。信号フェロモンは下記の式(5)によって算出され、この式(5)は時刻tのリンクpにおける赤信号時間を示している。なお、Lredは実際の信号サイクルから求めたり、図8に示すように信号サイクルのオフセット、信号間隔、赤信号の期間をパラメータ化してGAなどにより推定してもよい。
【0032】
【数5】
【0033】
上述したショックウェーブフェロモン及び信号フェロモンを考慮した場合には、下記の式(6)をも加味して交通フェロモンを算出する。なお、βは所定の係数である。このように、複数のフェロモンを用いることにより、より精度の高い渋滞予測をすることができる。
【0034】
【数6】
【0035】
ここで、上述した渋滞予測情報生成装置103によって生成されたリンクごとの交通フェロモンである予測結果に基づいて経路探索をする経路探索装置104の経路探索への応用について説明する。1つに、経路探索装置104は、予測結果を利用した経路探索にダイクストラ法の改良手法(http://mmi.tudelft.nl/pub/Patrick/Ehlert.P.A.M-TRAIL Workshop2001.pdfを参照)などを適用して動的な環境での経路探索を行う。
【0036】
次に、本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置の動作フローについて図9を用いて説明する。図9に示すように、渋滞予測情報生成装置103は、情報提供装置101からリンクごとの交通量の情報(リアルタイムの交通量の情報)や、地図情報提供装置102からリンクを含む地図情報(リンクの構造を示す情報を含む)を受信する(ステップS901)。渋滞予測情報生成装置103は、受信された交通量の情報及び地図情報に基づいて、リンクごとに車両の存在量を取得し、取得された存在量を含む時間関数による時間関数存在量(発生フェロモン)をリンクごとに算出し、算出された時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接するリンクへ伝達する時間関数伝達量(伝達フェロモン)をリンクごとに算出し、算出された時間関数存在量及び時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された交通混雑程度情報(残存フェロモン)と、所定の条件を満たした場合に生じる、時間の経過に伴って隣接するリンクへ伝達する方向(車両の走行方向)と逆方向の時間関数伝達量(ショックウェーブフェロモン)、及び道路に設置された信号の切り替わりサイクルによって生じる時間関数切替量(信号フェロモン)の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の交通混雑程度情報(交通フェロモン)を生成する(ステップS902)。渋滞予測情報生成装置103は、生成された交通混雑程度情報を経路探索装置104に送信する(ステップS903)。なお、信号フェロモンを除いたケースの渋滞予測情報生成装置の動作フローについても同様に考えられる。
【0037】
また、上述した態様以外にさらにより高い精度を目指すため、以下に示すフェロモンを利用する。具体的には、渋滞を緩和させる要因のフェロモン(Attractive フェロモン)と、渋滞を大きくする要因のフェロモン(Repulsive フェロモン)とを混ぜて合わせて利用する。Attractive フェロモンの例としては車間距離フェロモンであり、Repulsive フェロモンの例としては上述した交通フェロモン、ブレーキフェロモンである。
【0038】
まず、車間距離フェロモンについて説明する。この車間距離フェロモンは車間距離が所定の閾値を超えた場合に発生するものである。車間距離フェロモンの算出式を下記の式(7)に示す。これは、時刻t、位置(リンク)pにおける車間距離フェロモンである。ここで、disi(t、p)は車両IDがiである車両における車間距離であり、C(t、p)は位置pにおける区間(t−1、t)内の車両IDの集合である。
【0039】
【数7】
【0040】
一方、ブレーキフェロモンはブレーキを踏む回数に比例して一定量のフェロモンを発生するものである。ブレーキフェロモンの算出式を下記の式(8)に示す。これは時刻t、位置(リンク)pにおけるブレーキフェロモンである。ここで、brakingi(t、p)は車両IDがiの車両におけるブレーキを踏んだ回数である。C(t、p)は位置pにおける区間(t−1、t)内の車両IDの集合である。
【0041】
【数8】
【0042】
ここでの基本のモデル式を以下の式(9)、(10)に示す。このモデル式には、フェロモンの種類を識別する変数fが追加されている。これにより、蒸発率や拡散率をフェロモンの種類ごとに変化させることが可能となる。また、多種のフェロモンを合成する場合、蒸発率や拡散率をフェロモンの種類ごとに調整できるため、混合比をパラメータ化する必要はない。
【0043】
【数9】
【0044】
【数10】
【0045】
これにより、より高い精度の情報を生成することができ、また、上述した式(1)や式(3)で示した蒸発率や拡散率などのパラメータについて、車両速度などの観測量と関連付けを行うことで予測精度を高めることができる。ここで、パラメータのモデルの一例を以下に示す。例えば、蒸発パラメータを走行速度に応じて決定する場合のパラメータを式(11)に示す。これは速度が速いほど蒸発する割合が大きくなる。
【0046】
【数11】
【0047】
また、例えば、拡散パラメータを走行速度に応じて決定する場合のパラメータを式(12)に示す。
【0048】
【数12】
【0049】
これは速度が速いほど拡散する割合が大きくなる。なお、ここでは拡散パラメータをGfで示している。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る渋滞予測情報生成装置、渋滞予測情報生成方法、及び経路探索システムは、上記構成を有し、パラメータの動的な対応ができ、より精度の高い渋滞予測のための情報を生成することができるため、車両が目的地へ行く過程における道路の渋滞予測を行う渋滞予測情報生成装置、渋滞予測情報生成方法、及び経路探索システムなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る経路探索システムの構成の一例を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置の構成の一例を示す構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置におけるフェロモンを数値化した一例について説明するための図である。
【図4A】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における発生フェロモンを数値化した一例を示す図である。
【図4B】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図4Aの発生フェロモンが時間t1を経過したときの発生フェロモンを示す図である。
【図4C】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図4Bの発生フェロモンが時間t2を経過したときの発生フェロモンを示す図である。
【図5A】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における発生フェロモンを数値化した一例を示す図である。
【図5B】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図5Aの発生フェロモンが時間t3経過したときに伝達される様子を示す図である。
【図5C】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における図5Bの発生フェロモンが時間t4経過したときに伝達される様子を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置におけるショックウェーブフェロモンについて説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における信号フェロモンについて説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置における信号フェロモンを算出する際の信号サイクルのオフセット、信号間隔、赤信号の期間を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る渋滞予測情報生成装置の動作フローについて説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1、2、3、4、5、6、7 リンク
100 経路探索システム
101 情報提供装置
102 地図情報提供装置
103 渋滞予測情報生成装置
104 経路探索装置
200 受信部(受信手段)
201 生成部(生成手段)
202 送信部
203 記憶部
300 第1のエリア(情報伝達フィールド)
301 第2のエリア(情報伝達フィールド)
302 道路(情報伝達プログラムフィールド(リンク))
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置であって、
前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、
受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び前記走行路に設置された信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを、
備える渋滞予測情報生成装置。
【請求項2】
車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置であって、
前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、
受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを、
備える渋滞予測情報生成装置。
【請求項3】
車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成方法であって、
前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信するステップと、
受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び前記走行路に設置された信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成するステップとを、
有する渋滞予測情報生成方法。
【請求項4】
車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成方法であって、
前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信するステップと、
受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成するステップとを、
有する渋滞予測情報生成方法。
【請求項5】
車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置と、
前記渋滞予測情報生成装置によって生成された前記交通混雑程度情報に基づいて、車両の目的地までの経路探索を行う経路探索装置とを備える経路探索システムであって、
前記渋滞予測情報生成装置が、
前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、
受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び前記走行路に設置された信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを備える経路探索システム。
【請求項6】
車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置と、
前記渋滞予測情報生成装置によって生成された前記交通混雑程度情報に基づいて、車両の目的地までの経路探索を行う経路探索装置とを備える経路探索システムであって、
前記渋滞予測情報生成装置が、
前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、
受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを備える経路探索システム。
【請求項1】
車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置であって、
前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、
受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び前記走行路に設置された信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを、
備える渋滞予測情報生成装置。
【請求項2】
車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置であって、
前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、
受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを、
備える渋滞予測情報生成装置。
【請求項3】
車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成方法であって、
前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信するステップと、
受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び前記走行路に設置された信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成するステップとを、
有する渋滞予測情報生成方法。
【請求項4】
車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成方法であって、
前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信するステップと、
受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成するステップとを、
有する渋滞予測情報生成方法。
【請求項5】
車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置と、
前記渋滞予測情報生成装置によって生成された前記交通混雑程度情報に基づいて、車両の目的地までの経路探索を行う経路探索装置とを備える経路探索システムであって、
前記渋滞予測情報生成装置が、
前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、
受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量、及び前記走行路に設置された信号機の所定の信号への切り替わりに応じて生じる時間関数切替量の2つのうち少なくとも一方とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを備える経路探索システム。
【請求項6】
車両が走行する走行路の所定の区間ごとの混雑程度を示す交通混雑程度情報を生成する渋滞予測情報生成装置と、
前記渋滞予測情報生成装置によって生成された前記交通混雑程度情報に基づいて、車両の目的地までの経路探索を行う経路探索装置とを備える経路探索システムであって、
前記渋滞予測情報生成装置が、
前記所定の区間ごとの前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記所定の区間ごとの前記走行路に関する情報を含む地図情報を受信する受信手段と、
受信された前記走行路及び前記走行路周辺の交通量の情報及び前記地図情報に基づいて、前記所定の区間ごとに車両のその時点の存在量を取得し、取得された前記存在量を含む時間関数による時間関数存在量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量を含む時間関数による時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する時間関数伝達量を前記所定の区間ごとに算出し、算出された前記時間関数存在量及び前記時間関数伝達量と、現時点における以前に算出された前記交通混雑程度情報と、所定の条件を満たした場合に生じる、前記時間の経過に伴って隣接する区間へ伝達する前記時間関数伝達量の前記車両の走行方向と逆方向の時間関数伝達量とに基づいて、所定の時間経過後の前記所定の区間ごとの混雑程度を示す前記交通混雑程度情報を渋滞予測情報として生成する生成手段とを備える経路探索システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−219990(P2007−219990A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42248(P2006−42248)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【出願人】(504202472)大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 (119)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【出願人】(504202472)大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 (119)
【Fターム(参考)】
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