説明

減速装置

【課題】ハウジング内に遊星歯車減速機構を組付ける作業を容易に行なう。
【解決手段】1段目の遊星歯車減速機構を構成するプレート20の外周縁部に2個の切欠部20Cを設けると共に、2段目の遊星歯車減速機構を構成するキャリアの外周縁部に2個の切欠部を設ける構成とする。これにより、ハウジング内に遊星歯車減速機構を組付けるときには、作業者はキャリアの各切欠部を把持することにより遊星歯車減速機構全体をハウジング内で安定して保持でき、ハウジング内に遊星歯車減速機構を組付けるときには、プレート20の各切欠部20Cを把持することにより遊星歯車減速機構全体をハウジング内で安定して保持できるので、これら各遊星歯車減速機構をハウジング内に組付ける作業を容易にかつ安全に行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に搭載される旋回装置、走行装置等に好適に用いられる減速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル、油圧クレーン等の旋回式の建設機械は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とにより大略構成されている。そして、下部走行体を走行させる走行装置、上部旋回体を旋回させる旋回装置等には、回転源の出力を増大するための遊星歯車式の減速装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−257107号公報
【0004】
そして、従来技術による減速装置は、内周側に内歯が設けられた筒状のハウジングと、該ハウジング内に設けられ回転源の回転を減速する遊星歯車減速機構とを備え、該遊星歯車減速機構は、太陽歯車と、該太陽歯車とハウジングの内歯とに噛合し太陽歯車の周囲を自転しつつ公転する複数の遊星歯車と、該各遊星歯車を回転可能に支持する複数のピンを有したキャリアと、該キャリアのピンに取付けられ各遊星歯車を軸方向に抜止めするプレートとにより構成されている。
【0005】
ところで、上述の減速装置を組立てる場合には、通常、キャリア、遊星歯車、太陽歯車、プレート等を順次組付けて遊星歯車減速機構を組立てた後、この遊星歯車減速機構をハウジング内に組付ける方法が採用されている。
【0006】
そして、ハウジング内に遊星歯車減速機構を組付けるときには、作業者は、遊星歯車減速機構をハウジング上に保持し、キャリアの各ピンに取付けられた各遊星歯車を回転させて順次ハウジングの内歯に噛合させ、全ての遊星歯車をハウジングの内歯に噛合させた状態で、遊星歯車減速機構全体をハウジング内に挿入していく。
【0007】
この場合、遊星歯車減速機構は、各遊星歯車がハウジングの内歯に噛合した瞬間に自重によってハウジング内に落下しようとするので、作業者は、例えばプレート、キャリア等を把持することにより、遊星歯車減速機構を確実に保持しておく必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、遊星歯車減速機構を構成するプレート、キャリア等は、通常、ハウジングの内径寸法よりも僅かに小径な円形状に形成され、作業者にとって把持しにくい形状となっている。
【0009】
このため、各遊星歯車がハウジングの内歯に噛合したときに、遊星歯車減速機構の自重を支えきれず、この遊星歯車減速機構がハウジング内を落下して衝突することにより、遊星歯車減速機構等が不用意に損傷してしまうという問題がある。
【0010】
また、作業者がプレート、キャリア等を把持したまま遊星歯車減速機構がハウジング内を落下した場合には、作業者の指が、プレートとハウジングとの間、あるいはキャリアとハウジングとの間に挟まれてしまうという問題がある。
【0011】
一方、例えば減速装置の修理等を行なうため、ハウジング内に組付けられた遊星歯車減速機構をハウジング外に取出す場合にも、プレート、キャリア等をハウジング内で確実に把持することができないため、この取出し作業を容易に行うことができないという問題がある。
【0012】
これに対し、例えば釣針状の治具等を遊星歯車減速機構の一部に引っ掛けることにより、ハウジング内で遊星歯車減速機構を保持する方法も用いられるが、治具等を用いた場合には遊星歯車減速機構を安定して保持することが難しく、遊星歯車減速機構の組付け、取外し作業の作業性が非常に悪いという問題がある。
【0013】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、ハウジング内に遊星歯車減速機構を組付ける作業、ハウジングから遊星歯車減速機構を取外す作業を容易に行なうことができるようにした減速装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するため本発明は、内周側に内歯が設けられた筒状のハウジングと、該ハウジング内に設けられ回転源の回転を減速する遊星歯車減速機構とを備え、該遊星歯車減速機構は、太陽歯車と、該太陽歯車と内歯とに噛合し太陽歯車の周囲を自転しつつ公転する複数の遊星歯車と、該各遊星歯車を回転可能に支持する複数のピンが設けられたキャリアと、各ピンに取付けられ各遊星歯車を軸方向に抜止めするプレートとにより構成してなる減速装置に適用される。
【0015】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、プレートには、遊星歯車減速機構をハウジング内で把持するための把持部を設けたことにある。
【0016】
請求項2の発明は、把持部は、プレートの周縁部を切欠くことにより形成された切欠部により構成したことにある。
【0017】
請求項3の発明は、把持部は、各ピンとは異なる位置でプレートに穿設された貫通孔により構成したことにある。
【0018】
請求項4の発明は、内周側に内歯が設けられた筒状のハウジングと、該ハウジング内に設けられ回転源の回転を減速する遊星歯車減速機構とを備え、該遊星歯車減速機構は、太陽歯車と、該太陽歯車と内歯とに噛合し太陽歯車の周囲を自転しつつ公転する複数の遊星歯車と、該各遊星歯車を回転可能に支持する複数のピンが設けられたキャリアとにより構成してなる減速装置において、キャリアには、遊星歯車減速機構をハウジング内で把持するための把持部を設ける構成としたことにある。
【0019】
請求項5の発明は、キャリアは、各遊星歯車を軸方向から挟んだ状態で各ピンの両端部を支持する一対の支持板と、これらの支持板間を連結する連結部とにより構成し、把持部は、支持板の周縁部を切欠くことにより形成された切欠部により構成したことにある。
【0020】
請求項6の発明は、キャリアは、各遊星歯車を軸方向から挟んだ状態で各ピンの両端部を支持する一対の支持板と、これらの支持板間を連結する連結部とにより構成し、把持部は、各ピンとは異なる位置で支持板に穿設された貫通孔により構成したことにある。
【0021】
請求項7の発明は、キャリアは、各遊星歯車を軸方向から挟んだ状態で各ピンの両端部を支持する一対の支持板と、これらの支持板間を連結する連結部とにより構成し、把持部は、連結部に凹設された有底穴により構成したことにある。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、遊星歯車減速機構のプレートに設けた把持部を利用して、ハウジング内においても遊星歯車減速機構を確実に把持することができるので、ハウジング内に遊星歯車減速機構を組付ける作業、ハウジングから遊星歯車減速機構を取外す作業を、治具等を用いることなく容易に行うことができる。
【0023】
請求項2の発明によれば、プレートの周縁部に切欠部を設けたので、作業者は切欠部に指を引っ掛けることにより、遊星歯車減速機構をハウジング内で確実に把持することができる。この場合、作業者の指は、切欠部とハウジングの内歯との間に形成される空間内に収容されるので、作業者の指がプレートと内歯との間に挟まれてしまうのを確実に防止することができる。従って、ハウジング内に遊星歯車減速機構を組付ける作業等を容易にかつ安全に行なうことができる。
【0024】
請求項3の発明によれば、各ピンとは異なる位置でプレートに貫通孔を穿設したので、作業者は貫通孔内に指を挿入することにより、遊星歯車減速機構をハウジング内で確実に把持することができ、ハウジング内に遊星歯車減速機構を組付ける作業等を容易にかつ安全に行なうことができる。
【0025】
請求項4の発明によれば、遊星歯車減速機構のキャリアに設けた把持部を利用して、ハウジング内においても遊星歯車減速機構を確実に把持することができるので、ハウジング内に遊星歯車減速機構を組付ける作業、ハウジングから遊星歯車減速機構を取外す作業を、治具等を用いることなく容易に行うことができる。
【0026】
請求項5の発明によれば、キャリアを構成する支持板の周縁部に切欠部を設けたので、作業者は切欠部に指を引っ掛けることにより、遊星歯車減速機構をハウジング内で確実に把持することができる。また、切欠部とハウジングの内歯との間には、作業者の指を収容する空間が形成されるので、作業者の指がキャリアと内歯との間に挟まれてしまうのを確実に防止することができる。
【0027】
請求項6の発明によれば、キャリアの支持板に貫通孔を形成したので、作業者は貫通孔内に指を挿入することにより、遊星歯車減速機構をハウジング内で確実に把持することができる。
【0028】
請求項7の発明によれば、キャリアの連結部に有底穴を形成したので、作業者は有底穴内に指を挿入することにより、遊星歯車減速機構をハウジング内で確実に把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態による減速装置を油圧ショベルの旋回装置に適用した状態で示す縦断面図である。
【図2】切欠部が設けられた図1中のプレートを単体で示す斜視図である。
【図3】切欠部が設けられた図1中のキャリアを単体で示す斜視図である。
【図4】ハウジング内に2段目の遊星歯車減速機構を組付ける状態を示す断面図である。
【図5】2段目の遊星歯車減速機構とハウジングとを図4中の矢示V−V方向からみた平面図である。
【図6】ハウジング内に1段目の遊星歯車減速機構を組付ける状態を示す断面図である。
【図7】1段目の遊星歯車減速機構とハウジングとを図6中の矢示VII−VII方向からみた平面図である。
【図8】第2の実施の形態による減速装置を旋回装置に適用した状態で示す図1と同様な縦断面図である。
【図9】貫通孔が設けられたプレートを単体で示す斜視図である。
【図10】貫通孔が設けられたキャリアを単体で示す斜視図である。
【図11】貫通孔が設けられたキャリアを図10中の矢示XI−XI方向からみた断面図である。
【図12】有底穴が設けられたキャリアの変形例を示す斜視図である。
【図13】有底穴が設けられたキャリアを図12中の矢示XIII−XIII方向からみた断面図である。
【図14】プレートに設けられる切欠部の変形例を示す図2と同様な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る遊星歯車減速機構の実施の形態を、油圧ショベルの旋回装置に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図14を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。
【0031】
図中、1は油圧ショベルの下部走行体と上部旋回体(いずれも図示せず)との間に設けられた旋回輪で、該旋回輪1は、下部走行体側の丸胴2に固着された内輪1Aと、上部旋回体側の旋回フレーム3に固着された外輪1Bと、内輪1Aと外輪1Bとの間に配設された複数の鋼球1C(1個のみ図示)とからなり、内輪1Aの内周側には全周に亘って内歯1Dが形成されている。そして、旋回フレーム3に固着された外輪1Bが内輪1Aの周囲を回転することにより、上部旋回体が下部走行体上で旋回する構成となっている。
【0032】
4は下部走行体と上部旋回体との間に設けられた旋回装置で、該旋回装置4は、旋回輪1に回転力を伝達することにより上部旋回体(旋回フレーム3)を下部走行体(丸胴2)上で旋回させるものである。ここで、旋回装置4は、回転源としての油圧モータ5と、該油圧モータ5のモータ軸5Aの回転を減速し、旋回輪1に大きな回転力(トルク)を伝達する後述の減速装置11とにより大略構成されている。
【0033】
11は油圧モータ5(モータ軸5A)の回転を減速する減速装置で、該減速装置11は、後述のハウジング12、各遊星歯車減速機構16,22、出力軸27等により構成されている。
【0034】
12は減速装置11の外殻をなす筒状のハウジングで、該ハウジング12は、旋回フレーム3の上面側にボルト13を用いて固着された段付き円筒状の下側ハウジング12Aと、該下側ハウジング12A上にボルト14を用いて固着された段付き円筒状の上側ハウジング12Bとにより大略構成されている。
【0035】
そして、上側ハウジング12Bの上端側には径方向の外側に突出するブラケット部12Cが設けられ、このブラケット部12Cにボルト15を用いて油圧モータ5のケーシング5Bが取付けられる構成となっている。また、上側ハウジング12Bの内周側には、全周に亘って内歯(リングギヤ)12Dが形成され、この内歯12Dは後述の各遊星歯車18、各遊星歯車24が噛合するものである。
【0036】
16は油圧モータ5の下側に位置してハウジング12内に設けられた1段目の遊星歯車減速機構で、該遊星歯車減速機構16は、後述の太陽歯車17、各遊星歯車18、キャリア19、プレート20等により構成されている。
【0037】
17は油圧モータ5のモータ軸5Aにスプライン結合された太陽歯車で、該太陽歯車17は、後述の太陽歯車23上に回転可能に配置されている。そして、太陽歯車17は、油圧モータ5のモータ軸5Aと一体に回転し、この回転を後述の各遊星歯車18に伝達するものである。
【0038】
18は後述するキャリア19によって回転可能に支持された3個の遊星歯車で、これら各遊星歯車18は、ハウジング12の内歯12Dと太陽歯車17とに噛合している。そして、各遊星歯車18は、太陽歯車17が回転することにより、該太陽歯車17の周囲を自転しつつ公転するものである。
【0039】
19は各遊星歯車18を回転可能に支持するキャリアで、該キャリア19は、内歯12Dの歯先円径よりも僅かに小径な円板状の支持板19Aと、該支持板19Aの上面側に突設された3本のピン19Bとにより構成され、これら各ピン19Bは、軸方向の一側(下端側)のみが支持板19Aによって片持ち支持されている。また、支持板19Aの中心部には穴スプライン部19Cが形成され、この穴スプライン部19Cは後述の太陽歯車23にスプライン結合されている。そして、キャリア19は、各ピン19Bによって遊星歯車18を回転可能に支持し、各遊星歯車18が太陽歯車17の周囲を公転することにより回転し、この回転を太陽歯車23に伝達するものである。
【0040】
20はキャリア19を構成する各ピン19Bの上端部にボルト21を用いて取付けられたプレートで、該プレート20は、各ピン19Bに取付けられた遊星歯車18を軸方向に抜止めするものである。
【0041】
ここで、プレート20は、図1および図2に示すように、キャリア19の支持板19Aよりも僅かに小径な円板として形成され、その中心部には、モータ軸5Aが挿通される軸挿通孔20Aが穿設されている。また、プレート20のうちキャリア19の各ピン19Bと対応する位置には、上述のボルト21が挿通される3個のボルト挿通孔20Bが穿設されている。
【0042】
20Cはプレート20の外周縁部に設けられた把持部としての2個の切欠部で、これら各切欠部20Cは、後述する減速装置11の組立作業時等において、作業者がハウジング12内で遊星歯車減速機構16を把持するためのものである。ここで、各切欠部20Cは、プレート20の外周縁部を径方向内側に向けて半円形状に切欠くことにより、ハウジング12の内歯12Dから離間する方向に窪んで形成され、周方向に180度の間隔をもって配置されている。そして、各切欠部20Cは、プレート20の外周縁から寸法aだけ径方向内側に窪んでおり、この切欠部20Cとハウジング12の内歯12Dとの間に、作業者の指を収容する隙間Aを確保できる構成となっている(図6参照)。
【0043】
22は1段目の遊星歯車減速機構16の下側に位置してハウジング12内に設けられた2段目(最終段)の遊星歯車減速機構で、該遊星歯車減速機構22は、後述の太陽歯車23、各遊星歯車24、キャリア25等により構成されている。
【0044】
23はキャリア19の穴スプライン部19Cにスプライン結合された太陽歯車で、該太陽歯車23は、後述する出力軸27上に回転可能に配置されている。そして、太陽歯車23は、キャリア19と一体に回転し、この回転を後述の各遊星歯車24に伝達するものである。
【0045】
24は後述のキャリア25によって回転可能に支持された4個の遊星歯車で、これら各遊星歯車24は、ハウジング12の内歯12Dと太陽歯車23とに噛合している。そして、各遊星歯車24は、太陽歯車23が回転することにより、該太陽歯車23の周囲を自転しつつ公転するものである。
【0046】
25は各遊星歯車24を回転可能に支持するキャリアで、該キャリア25は、図3および図5に示すように、内歯12Dの歯先円径よりも僅かに小径な円板状をなし、各遊星歯車24を軸方向から挟む上,下の支持板25A,25Bと、これら上,下の支持板25A,25B間を連結し、周方向に均等な間隔をもって離間した4個の連結部25Cとにより大略構成され、鋳造等によって一体形成されている。
【0047】
ここで、上側の支持板25Aの中心部には、太陽歯車23が挿通される歯車挿通孔25Dが穿設され、該歯車挿通孔25Dの周囲には、各連結部25C間に位置して4個の上側ピン嵌合孔25Eが穿設されている。一方、下側の支持板25Bの中心部には、後述する出力軸27の軸スプライン部27Aに噛合する穴スプライン部25Fが形成され、該穴スプライン部25Fの周囲には、各連結部25C間に位置して4個の下側ピン嵌合孔25Gが穿設されている。また、キャリア25の各上側ピン嵌合孔25Eと各下側ピン嵌合孔25Gには、4本のピン26の軸方向の両端側がそれぞれ嵌合され、これら各ピン26は、上,下の支持板25A,25Bによって両持ち支持されている。
【0048】
そして、キャリア25は、各ピン26によって遊星歯車24を回転可能に支持し、各遊星歯車24が太陽歯車23の周囲を公転することにより回転し、この回転を出力軸27に伝達するものである。この場合、キャリア25から出力軸27には大きな回転力(トルク)が伝達されるため、遊星歯車24を支持するピン26には大きな負荷が作用するが、キャリア25は、上,下の支持板25A,25Bによって各ピン26を両持ち支持しているので、ピン26に作用する負荷を確実に受承できるようになっている。
【0049】
25Hはキャリア25の外周面に設けられた把持部としての2個の切欠部で、これら各切欠部25Hは、後述する減速装置11の組立作業時等において、作業者がハウジング12内で遊星歯車減速機構22を把持するためのものである。ここで、各切欠部25Hは、支持板25Aの外周縁部を下向きに切欠くことにより、ハウジング12の内歯12Dから離間する方向に窪んだ断面半円形状の溝状に形成され、周方向に180度の間隔をもって配置されている。そして、各切欠部25Hは、キャリア25の外周縁部から寸法bだけ径方向内側に窪んでおり、この切欠部25Hとハウジング12の内歯12Dとの間に、作業者の指を収容する隙間Bを確保できる構成となっている(図4参照)。
【0050】
27はハウジング12内を軸方向に伸長して設けられた出力軸で、該出力軸27は、上側軸受28、下側軸受29を介して下側ハウジング12Aに回転可能に取付けられ、各遊星歯車減速機構16,22によって2段減速された油圧モータ5の回転を出力するものである。
【0051】
ここで、出力軸27の軸方向の一側(上側)には、上側軸受28から上方に突出する軸スプライン部27Aが一体に設けられ、この軸スプライン部27Aは、遊星歯車減速機構22のキャリア25に設けられた穴スプライン部25Fにスプライン結合されるものである。また、出力軸27の軸スプライン部27Aと上側軸受28の内輪との間には、環状の与圧リング30が設けられ、該与圧リング30は、上側軸受28、下側軸受29を軸方向に与圧すると共に、上側軸受28に対して出力軸27を軸方向に抜止めするものである。
【0052】
31は出力軸27の下端側に一体に設けられたピニオンで、該ピニオン31は、ハウジング12から下方に突出し、旋回輪1の内歯1Dに噛合している。そして、ピニオン31は、出力軸27の回転を旋回輪1(内輪1A)に伝達するものである。
【0053】
本実施の形態による減速装置11は上述の如き構成を有するもので、油圧モータ5のモータ軸5Aが回転すると、このモータ軸5Aの回転が遊星歯車減速機構16,22によって2段減速されて出力軸27に伝わり、ピニオン31は大きな回転力(トルク)をもって回転する。
【0054】
そして、ピニオン31が旋回輪1の内輪1Aに設けた内歯1Dと噛合しつつ内輪1Aに沿って公転し、このピニオン31の公転力がハウジング12を介して旋回フレーム3に伝わることにより、旋回フレーム3が丸胴2上で旋回する。
【0055】
ここで、本実施の形態では、1段目の遊星歯車減速機構16のプレート20に切欠部20Cを設けると共に、遊星歯車減速機構22のキャリア25に切欠部25Hを設けることにより、減速装置11を組立てるときの作業性が向上できるようになっており、以下、この減速装置11の組立作業について説明する。
【0056】
まず、図4に示すように、ハウジング12の下側ハウジング12Aに上側軸受28、下側軸受29等を用いて出力軸27を回転可能に取付け、出力軸27の軸スプライン部27Aと上側軸受28との間に与圧リング30を取付けた後、ハウジング12を作業台(図示せず)上に載置する。
【0057】
次に、キャリア25に4本のピン26、4個の遊星歯車24を取付けることにより、太陽歯車23を除いた2段目の遊星歯車減速機構22を組立て、この遊星歯車減速機構22をハウジング12内に組付ける。
【0058】
この場合、例えば図5に示すように、遊星歯車減速機構22の各遊星歯車24を、それぞれハウジング12の内歯12Dに噛合させるため、作業者は、図4に示すように、遊星歯車減速機構22のキャリア25に設けた各切欠部25Hに指を引っ掛けることにより、該キャリア25を径方向から挟込むように把持する。
【0059】
これにより、遊星歯車減速機構22をハウジング12の上方に持上げた状態で、各遊星歯車24をピン26を中心として回転させることにより、これら各遊星歯車24を、ハウジング12の内歯12Dに噛合させることができる。
【0060】
そして、各遊星歯車24をハウジング12の内歯12Dに噛合させた後には、キャリア25に設けた穴スプライン部25Fを、ハウジング12に取付けられた出力軸27の軸スプライン部27Aに噛合させるため、遊星歯車減速機構22全体をハウジング12内へと下ろす。
【0061】
この場合、遊星歯車減速機構22は、各遊星歯車24がハウジング12の内歯12Dに噛合した瞬間に、自重によってハウジング12内に落下しようとするが、作業者は、キャリア25の各切欠部25Hを把持することにより、遊星歯車減速機構22全体を確実に保持することができる。これにより、遊星歯車減速機構22が急激に落下して出力軸27の軸スプライン部27A等に衝突するのを防止でき、遊星歯車減速機構22、出力軸27等を衝撃から保護することができる。
【0062】
しかも、キャリア25の各切欠部25Hは、ハウジング12の内歯12Dから離間する方向に窪んだ断面半円形状の溝状に形成されているため、切欠部25Hとハウジング12の内歯12Dとの間には、作業者の指を収容する隙間Bが確保されている。これにより、作業者の指がキャリア25の外周縁部と内歯12Dとの間に挟まれてしまうのを確実に防止することができ、遊星歯車減速機構22をハウジング12内に下ろす作業を安全に行なうことができる。
【0063】
そして、遊星歯車減速機構22をハウジング12内に下ろした後には、この遊星歯車減速装置22全体をハウジング12内で回転させ、キャリア25の穴スプライン部25Fを、ハウジング12に取付けられた出力軸27の軸スプライン部27Aに噛合させる。
【0064】
この場合、作業者は、キャリア25の各切欠部25Hを把持することにより、遊星歯車減速機構22全体を確実に保持した状態でハウジング12内で回転させることができるので、キャリア25の穴スプライン部25Fを出力軸27の軸スプライン部27Aに容易に噛合させることができる。
【0065】
そして、キャリア25の穴スプライン部25Fを出力軸27の軸スプライン部27Aに噛合させ、キャリア25の下面を与圧リング30に当接させた後には、太陽歯車23をハウジング12内に挿入し、キャリア25に取付けた各遊星歯車24に噛合させる(図6参照)。
【0066】
このようにして、2段目の遊星歯車減速機構22をハウジング12内に組付けた後には、図6に示すように、予め組立てた1段目の遊星歯車減速機構16をハウジング12内に組付ける。ここで、遊星歯車減速機構16は、キャリア19の各ピン19Bに3個の遊星歯車18を取付け、これら各遊星歯車18に太陽歯車17を噛合させた後、各ピン19Bの上端部にボルト21を用いてプレート20を取付けることにより組立てられる。
【0067】
そして、遊星歯車減速機構16をハウジング12に組付けるときには、例えば図7に示すように、遊星歯車減速機構16の各遊星歯車18を、それぞれハウジング12の内歯12Dに噛合させるため、作業者は、図6に示すように、遊星歯車減速機構16のプレート20に設けた各切欠部20Cに指を引っ掛けることにより、該プレート20を径方向から挟込むように把持する。
【0068】
これにより、遊星歯車減速機構16をハウジング12の上方に持上げた状態で、各遊星歯車18をピン19Bを中心として回転させることにより、これら各遊星歯車18を、ハウジング12の内歯12Dに噛合させることができる。
【0069】
この場合、遊星歯車減速機構16は、各遊星歯車18がハウジング12の内歯12Dに噛合した瞬間に、自重によってハウジング12内に落下しようとするが、作業者は、プレート20の各切欠部20Cを把持することにより、遊星歯車減速機構16全体を保持しているので、遊星歯車減速機構16が急激に落下して太陽歯車23等に衝突することがなく、遊星歯車減速機構16、太陽歯車23等を衝撃から保護することができる。
【0070】
そして、各遊星歯車18をハウジング12の内歯12Dに噛合させた後には、キャリア19に設けた穴スプライン部19Cを太陽歯車23に噛合させるため、作業者は、切欠部20Cを利用してプレート20を把持した状態で、遊星歯車減速機構16全体をハウジング12内へと下ろし、ハウジング12内で回転させる。
【0071】
この場合、プレート20の各切欠部20Cは、ハウジング12の内歯12Dから離間する方向に窪んだ半円形状に形成されているため、切欠部20Cとハウジング12の内歯12Dとの間には、作業者の指を収容する隙間Aが確保されている。これにより、作業者の指がプレート20の外周縁部と内歯12Dとの間に挟まれてしまうのを確実に防止することができ、遊星歯車減速機構16をハウジング12内に下ろす作業と、ハウジング12内で回転させる作業とを容易にかつ安全に行なうことができる。
【0072】
このようにして、キャリア19に設けた穴スプライン部19Cを太陽歯車23に噛合させることにより、ハウジング12に対する遊星歯車減速機構22,16の組付作業が終了し、減速装置11を組立てることができる。
【0073】
そして、ハウジング12内に遊星歯車減速機構22,16を組付けた後には、図1に示すように、油圧モータ5のモータ軸5Aを遊星歯車減速機構16の太陽歯車17に噛合させた状態で、油圧モータ5のケーシング5Bを、ボルト15を用いてハウジング12(上側ハウジング12B)のブラケット部12Cに取付けることにより、旋回装置4を組立てることができる。
【0074】
かくして、本実施の形態による減速装置11によれば、1段目の遊星歯車減速機構16を構成するプレート20の外周縁部に2個の切欠部20Cを設けると共に、2段目の遊星歯車減速機構22を構成するキャリア25の外周縁部に2個の切欠部25Hを設ける構成としている。
【0075】
これにより、ハウジング12内に遊星歯車減速機構22を組付けるときには、作業者はキャリア25の各切欠部25Hを把持することにより、治具等を用いることなく、遊星歯車減速機構22全体をハウジング12内で安定して保持しつつ組付作業を行うことができ、この組付作業を容易にかつ安全に行なうことができる。また、例えば遊星歯車減速機構22に対する修理等を行なう場合には、作業者は、キャリア25の各切欠部25Hを把持することにより、遊星歯車減速機構22全体をハウジング12から容易に取外すことができる。
【0076】
一方、ハウジング12内に遊星歯車減速機構16を組付けるときにも、作業者はプレート20の各切欠部20Cを把持することにより、治具等を用いることなく、遊星歯車減速機構16全体をハウジング12内で安定して保持しつつ組付作業を行うことができ、この組付作業を容易にかつ安全に行なうことができる。また、例えば遊星歯車減速機構16に対する修理等を行なう場合にも、作業者は、プレート20の各切欠部20Cを把持することにより、遊星歯車減速機構16全体をハウジング12から容易に取外すことができる。
【0077】
次に、図8ないし図11は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、1段目の遊星歯車減速機構を構成するプレートと2段目の遊星歯車減速機構を構成するキャリアに、それぞれ把持部としての貫通孔を設けたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0078】
図中、41は本実施の形態による減速装置で、該減速装置41は、第1の実施の形態による減速装置11とほぼ同様に、ハウジング12、後述の遊星歯車減速機構42,44、出力軸27等により構成されている。
【0079】
42は1段目の遊星歯車減速機構で、該遊星歯車減速機構42は、第1の実施の形態による遊星歯車減速機構16とほぼ同様に、太陽歯車17、各遊星歯車18、キャリア19、後述のプレート43等により構成されるものの、プレート43の構成が、第1の実施の形態によるプレート20とは異なるものである。
【0080】
43はキャリア19の各ピン19Bに取付けられた遊星歯車18を軸方向に抜止めするプレートで、該プレート43は、図8および図9に示すように、キャリア19の支持板19Aよりも僅かに小径な円板として形成されている。そして、プレート43の中心部には、モータ軸5Aが挿通される軸挿通孔43Aが穿設され、プレート43のうちキャリア19の各ピン19Bと対応する位置には、ボルト21が挿通されるボルト挿通孔43Bが穿設されている。
【0081】
43Cは軸挿通孔43Aを挟んでプレート43に穿設された把持部としての2個の貫通孔で、これら各貫通孔43Cは、第1の実施の形態による切欠部20Cに代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、各貫通孔43Cは、作業者の指を挿入できるだけの孔径をもってプレート43を上,下方向に貫通する円形孔として形成され、周方向に180度の間隔をもって配置されている。
【0082】
そして、ハウジング12内に遊星歯車減速機構42を組付けるときには、プレート43の各貫通孔43Cに指を挿入して挟込むことにより、作業者がハウジング12内で遊星歯車減速機構42を安定して保持することができる構成となっている。
【0083】
44は2段目の遊星歯車減速機構で、該遊星歯車減速機構44は、第1の実施の形態による遊星歯車減速機構22とほぼ同様に、太陽歯車23、各遊星歯車24、後述のキャリア45等により構成されるものの、キャリア45の構成が、第1の実施の形態によるキャリア25とは異なるものである。
【0084】
45は各遊星歯車24を回転可能に支持するキャリアで、該キャリア45は、図10および図11に示すように、内歯12Dの歯先円径よりも僅かに小径な円板状をなす上,下の支持板45A,45Bと、これら上,下の支持板45A,45B間を連結する4個の連結部45Cとにより大略構成されている。また、支持板45Aの中心部には太陽歯車23が挿通される歯車挿通孔45Dが穿設され、該歯車挿通孔45Dの周囲には、ピン26の上端側が嵌合される4個の上側ピン嵌合孔45Eが穿設されている。一方、支持板45Bの中心部には、出力軸27の軸スプライン部27Aに噛合する穴スプライン部45Fが形成され、該穴スプライン部45Fの周囲には、ピン26の下端側が嵌合される4個の下側ピン嵌合孔45Gが穿設されている。
【0085】
45Hは各ピン26とは異なる位置でキャリア45の支持板45Aに穿設された4個の貫通孔で、これら各貫通孔45Hは、第1の実施の形態による切欠部25Hに代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、各貫通孔45Hは、作業者の指を挿入できるだけの孔径をもって支持板45Aを上,下方向に貫通する円形孔として形成され、周方向に90度の間隔をもって各ピン26間に配置されている。
【0086】
そして、ハウジング12内に遊星歯車減速機構44を組付けるときには、キャリア45の各貫通孔45Hに指を挿入して挟込むことにより、作業者がハウジング12内で遊星歯車減速機構44を安定して保持することができる構成となっている。
【0087】
本実施の形態による減速装置41は上述の如き遊星歯車減速機構42,44を備えるもので、遊星歯車減速機構42を構成するプレート43には、把持部としての貫通孔43Cを設け、遊星歯車減速機構44を構成するキャリア45には、把持部としての貫通孔45Hを設ける構成としている。
【0088】
これにより、ハウジング12内に遊星歯車減速機構42を組付けるとき、ハウジング12から遊星歯車減速機構42を取外すときには、作業者はプレート43の各貫通孔43Cを把持することにより、遊星歯車減速機構42全体をハウジング12内で安定して保持することができ、遊星歯車減速機構42の組付け作業、取外し作業を容易にかつ安全に行なうことができる。
【0089】
また、ハウジング12内に遊星歯車減速機構44を組付けるとき、ハウジング12から遊星歯車減速機構44を取外すときには、作業者はキャリア45の各貫通孔45Hを把持することにより、遊星歯車減速機構44全体をハウジング12内で安定して保持することができ、遊星歯車減速機構44の組付け作業、取外し作業を容易にかつ安全に行なうことができる。
【0090】
なお、上述した第2の実施の形態では、2段目の遊星歯車減速機構44を構成するキャリア45の把持部として、支持板45Aを上,下方向に貫通して設けられた貫通孔45Hを例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図12および図13に示す変形例によるキャリア45′のように、上,下の支持板45A,45B間を連結する各連結部45Cに凹設した4個の有底穴46によって把持部を構成してもよい。
【0091】
また、上述した第2の実施の形態では、プレート43に設けた貫通孔43Cと、キャリア45に設けた貫通孔45Hとを円形孔によって形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば多角形状をなす角孔を設ける構成としてもよい。
【0092】
また、上述した第1の実施の形態では、プレート20の外周縁部に半円形状の切欠部20Cを設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図14に示す変形例によるプレート20′のように、複数本の指が挿入できるように周方向に円弧状に延びた長溝状の切欠部20C′を設ける構成としてもよい。
【0093】
また、上述した第1の実施の形態では、プレート20に2個の切欠部20Cを設けると共に、キャリア25に2個の切欠部25Hを設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばこれらプレート、キャリアにそれぞれ1個または3個以上の切欠部を設ける構成としてもよい。
【0094】
また、上述した第1の実施の形態では、1段目の遊星歯車減速機構16に支持板19Aによって各ピン19Bを片持ち支持するキャリア19を用い、2段目の遊星歯車減速機構22に上,下の支持板25A,25Bによって各ピン26を両持ち支持するキャリア25を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば1段目と2段目の遊星歯車減速機構の両方にピンを片持ち支持するキャリアを用いてもよく、また、1段目と2段目の遊星歯車減速機構の両方にピンを両持ち支持するキャリアを用いてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0095】
また、上述した第1の実施の形態では、ハウジング12内に2段の遊星歯車減速機構16,22を設けた減速装置11を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばハウジング内に1段の遊星歯車減速機構を設ける構成としてもよく、ハウジング内に3段以上の遊星歯車減速機構を設ける構成としてもよい。
【0096】
さらに、上述した各実施の形態では、減速装置を油圧ショベルの旋回装置に適用した場合を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、例えば油圧ショベル等の下部走行体に搭載される走行装置、あるいは油圧クレーン等に搭載されるロープウインチ等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
5 油圧モータ(回転源)
11,41 減速装置
12 ハウジング
12D 内歯
16,22,42,44 遊星歯車減速機構
17,23 太陽歯車
18,24 遊星歯車
19,25,45,45′ キャリア
19A,25A,25B,45A,45B 支持板
19B,26 ピン
20,43,20′ プレート
20C,25H,20C′ 切欠部(把持部)
25C,45C 連結部
43C,45H 貫通孔(把持部)
46 有底穴(把持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側に内歯が設けられた筒状のハウジングと、該ハウジング内に設けられ回転源の回転を減速する遊星歯車減速機構とを備え、該遊星歯車減速機構は、太陽歯車と、該太陽歯車と前記内歯とに噛合し前記太陽歯車の周囲を自転しつつ公転する複数の遊星歯車と、該各遊星歯車を回転可能に支持する複数のピンが設けられたキャリアと、前記各ピンに取付けられ前記各遊星歯車を軸方向に抜止めするプレートとにより構成してなる減速装置において、
前記プレートには、前記遊星歯車減速機構を前記ハウジング内で把持するための把持部を設ける構成としたことを特徴とする減速装置。
【請求項2】
前記把持部は、前記プレートの周縁部を切欠くことにより形成された切欠部により構成してなる請求項1に記載の減速装置。
【請求項3】
前記把持部は、前記各ピンとは異なる位置で前記プレートに穿設された貫通孔により構成してなる請求項1に記載の減速装置。
【請求項4】
内周側に内歯が設けられた筒状のハウジングと、該ハウジング内に設けられ回転源の回転を減速する遊星歯車減速機構とを備え、該遊星歯車減速機構は、太陽歯車と、該太陽歯車と前記内歯とに噛合し前記太陽歯車の周囲を自転しつつ公転する複数の遊星歯車と、該各遊星歯車を回転可能に支持する複数のピンが設けられたキャリアとにより構成してなる減速装置において、
前記キャリアには、前記遊星歯車減速機構を前記ハウジング内で把持するための把持部を設ける構成としたことを特徴とする減速装置。
【請求項5】
前記キャリアは、前記各遊星歯車を軸方向から挟んだ状態で前記各ピンの両端部を支持する一対の支持板と、これらの支持板間を連結する連結部とにより構成し、
前記把持部は、前記支持板の周縁部を切欠くことにより形成された切欠部により構成してなる請求項4に記載の減速装置。
【請求項6】
前記キャリアは、前記各遊星歯車を軸方向から挟んだ状態で前記各ピンの両端部を支持する一対の支持板と、これらの支持板間を連結する連結部とにより構成し、
前記把持部は、前記各ピンとは異なる位置で前記支持板に穿設された貫通孔により構成してなる請求項4に記載の減速装置。
【請求項7】
前記キャリアは、前記各遊星歯車を軸方向から挟んだ状態で前記各ピンの両端部を支持する一対の支持板と、これらの支持板間を連結する連結部とにより構成し、
前記把持部は、前記連結部に凹設された有底穴により構成してなる請求項4に記載の減速装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−275916(P2009−275916A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151840(P2009−151840)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【分割の表示】特願2004−158004(P2004−158004)の分割
【原出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】