温度敏感性ナノ運搬体
【課題】本発明の方法によると、ナノ運搬体を単一相で製造することができる。本発明によると、従来技術の問題点、例えば、有害な有機溶媒の利用、複雑な過程、高い生産単価及び低いローディング能力などを解決することができる。また、従来技術において通常的に用いられる高速均質化過程または超音波処理過程を必要としないため、本発明は、ローディングされる薬物の安定性を担保することができる。
【解決手段】(a)光架橋結合性作用基を有する水溶性の生体適合性重合体の分散液を準備する段階;(b)前記重合体分散液に開始剤を添加する段階;及び(c)前記(b)の結果物に光を照射し、前記重合体を架橋結合させてナノ運搬体を製造する段階を含み、前記ナノ運搬体は温度変化によって直径が変わることを特徴とする生体適合性、温度敏感性ナノ運搬体を製造する方法、また、温度敏感性ナノ運搬体に関するものである。本発明のナノ運搬体は、温度敏感性を有し、温度変化に対応して可逆的に直径及び瞳孔の大きさが変わる。
【解決手段】(a)光架橋結合性作用基を有する水溶性の生体適合性重合体の分散液を準備する段階;(b)前記重合体分散液に開始剤を添加する段階;及び(c)前記(b)の結果物に光を照射し、前記重合体を架橋結合させてナノ運搬体を製造する段階を含み、前記ナノ運搬体は温度変化によって直径が変わることを特徴とする生体適合性、温度敏感性ナノ運搬体を製造する方法、また、温度敏感性ナノ運搬体に関するものである。本発明のナノ運搬体は、温度敏感性を有し、温度変化に対応して可逆的に直径及び瞳孔の大きさが変わる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度敏感性ナノ運搬体(Temperature−Sensitive Nanocarriers)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
治療用蛋白質や薬物を生体内に伝達するために用いられる大部分のナノ粒子は、有機溶媒を用いる乳剤蒸発(emulsion evaporation)方法を通じて製造されるため、製造から乾燥時までの製造工程が複雑であり、時間がかなり掛かり、有機溶媒の使用による費用も増え、また、有機溶媒の使用により生体内に問題点を惹起させることがある(T.G.Park,et al.,Biomacromolecules 8(2007)650−656;T.G.Park,et al.,Biomacromolecules 7(2006)1864−1870;D.T.Birnbaum,et al.,J.Control.Rel.65(2000)375−387)。このような理由で、多くの研究者らは、ナノ粒子に充填される薬物の変性及びそれらの安定性確保のために、新たなナノ粒子の製造技術開発に多くの時間を投資している。
【0003】
乳剤蒸発方法の問題点を解決するために、他の研究者らは超臨界流体を用いてナノ粒子を製造した。しかし、この工程は、大部分の医療用高分子が超臨界流体に溶解性が制限的であり、広く用いられていない(K.S.Soppimath et al.,J.Control.Rel.70(2001)1−20)。
【0004】
また、米国特許第5,019,400号においても生体適合性高分子であるポリ(D,L−乳酸−co−グリコール酸)(以下、「PLGA」)を超低温冷媒に噴射して蛋白質薬物伝達用マイクロ粒子を製造したものの、PLGAを溶解するために用いられる有機溶媒の疎水性によって問題点が発生した。
【0005】
また、米国特許第6,586,011号でも蛋白質伝達用ナノ粒子システムを超低温冷媒に噴射する方式で製造しているが、ナノ粒子製造の際に用いられる架橋剤によって蛋白質の安定性に深刻な問題点が惹起された。
【0006】
また、ナノ粒子を製造する方法で、溶媒蒸発法(solvent evaporation)が用いられるが、この方法も有機溶媒の使用によって様々な問題点を惹起させた。一方、疎水性と毒性の強い有機溶媒の使用の代わり、水とよく混じる有機溶媒(アセトン等)を用いてポリ(D,L−乳酸)(以下、「PLA」)ナノ粒子を製造する塩析技法(salting−out)も開発されたものの、蛋白質薬物の活性低下及び安定性問題は解決されなかった(E.Allemann et al.,Pharm.Res.10(1993)1732−1737)。
【0007】
本明細書の全てに亘って多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表されている。引用されている論文及び特許文献の開示内容は、その全てが本明細書に参照として挿入され、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,019,400号
【特許文献2】米国特許第6,586,011号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】T.G.Park,et al.,Biomacromolecules 8(2007)650−656
【非特許文献2】T.G.Park,et al.,Biomacromolecules 7(2006)1864−1870
【非特許文献3】D.T.Birnbaum,et al.,J.Control.Rel.65(2000)375−387)
【非特許文献4】K.S.Soppimath et al.,J.Control.Rel.70(2001)1−20
【非特許文献5】E.Allemann et al.,Pharm.Res.10(1993)1732−1737)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、薬物運搬体のより効率的な製造方法を開発しようと努力した。その結果、光架橋結合可能な(photo−crosslinkable)作用基を有する水溶性の生体適合性重合体を適合する条件下で架橋結合させてナノ運搬体を製造する場合には、単一相(single phase)で容易に優れた特性を示すナノ運搬体が製造され得ることを確認することによって、本発明を完成するようになった。
【0011】
従って、本発明の目的は、生体適合性、温度敏感性ナノ運搬体を製造する方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、徐放性薬物送達システム(drug delivery system)の製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、温度敏感性、徐放性ナノ運搬体を提供することにある。
【0014】
本発明のまた他の目的及び利点は、下記の発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面によってより明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によると、本発明は(a)光架橋結合可能な(photo−crosslinkable)作用基を有する水溶性の生体適合性重合体の分散液を準備する段階;(b)前記重合体分散液に開始剤を添加する段階;及び(c)前記(b)の結果物に光を照射して前記重合体を架橋結合させてナノ運搬体を製造する段階を含み、前記ナノ運搬体は温度変化によって直径が変わることを特徴とする生体適合性、温度敏感性ナノ運搬体を製造する方法を提供する。
【0016】
本発明者らは、薬物運搬体のより効率的な製造方法を開発しようと努力した。その結果、光架橋結合性作用基を有する水溶性の生体適合性重合体を適合した条件下で架橋結合させてナノ運搬体を製造する場合には、単一相で容易に優れた特性を示すナノ運搬体が製造され得ることを確認した。
【0017】
本明細書において、用語「生体適合性重合体」とは、生体組織または血液と接触して組織を壊死させるか、血液を凝固させない組織適合性(tissue compatibility)及び抗凝血性(blood compatibility)を有している高分子を意味する。用語「水溶性の生体適合性重合体」とは、水または水−混合性溶媒(water−miscible solvent:例えば、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシド)に溶解される生体適合性重合体、好ましくは、水に溶解される生体適合性重合体を意味する。
【0018】
本発明の好ましい具現例によると、本発明において用いられ得る水溶性の生体適合性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、キト酸、デキストランまたはアルギン酸塩構造を有する重合体である。前記水溶性生体適合性重合体のうち、疎水性及び親水性部分を有しており、界面活性剤と類似している様相を示す重合体を用いる場合、好ましくは、この重合体に疎水性部分を追加的に導入させることが本発明において達成しようとする技術的目的に適合する。
【0019】
より好ましくは、本発明で用いられ得る水溶性の生体適合性重合体は、ポロキサマー系列の重合体である。
【0020】
最も好ましくは、本発明で用いられ得る水溶性の生体適合性重合体は、下記の化学式1で表される重合体である:
化学式1
(PC1)−(PE)x−(PPO)y−(PE)z−(PC2)
前記化学式でPEはエチレンオキサイド、PPOはプロピレンオキサイド、PC1及びPC2は光架橋結合性作用基を示し、x、y及びzは夫々独立的に1−10,000の定数である。
【0021】
光架橋結合性作用基は、生体適合性重合体の両末端に結合することが好ましい。
【0022】
本発明の好ましい具現例によると、前記光架橋結合性作用基は、C=C二重結合を有する作用基である。
【0023】
好ましくは、光架橋結合性作用基は、アクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、クマリン、チミン、またはケイ皮酸塩であり、より好ましくは、アクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレートまたはオリゴメタクリレートであり、最も好ましくはアクリレートである。
【0024】
本発明の方法に適合した開始剤は特に制限されない。好ましくは、本発明に用いられ得る開始剤は紫外線または可視光線の照射によってラジカル(radical)反応を誘発することができるラジカル光開始剤(radical photoinitiator)である。本発明に用いられ得る光開始剤の例は、エチルエオシン、2,2−ジメトキシ−ペニルアセトフェノン、2−メトキシ−2−ペニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(Irgacure 2959またはDarocur 2959)、カンファーキノン(camphorquinone)、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシフェニルケトーン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオクサントン、ジエチルチオクサントン、2−イソプロピルチオクサントン、2−クロロチオチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド及びbis−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドを含む。
【0025】
下記の実施例に記載のように、本発明の具体的な一実施例において Irgacure 2959を用い、これは、生体内毒性が非常に少ない開始剤として知られている(Kristi S. Anseth, et al., Cytocompatibility of UV and visible light photoinitiating systems on cultured NIH/3T3 fibroblasts in vitro. J. Biomater. Sci. Polymer Edn., 2000. 11(5):P.439−457)。
【0026】
段階(c)で、可視光線または紫外線を照射することにより、重合体の光架橋結合性作用基を通じて重合体を架橋結合させてナノ運搬体を製造する。好ましくは、架橋結合のために紫外線が用いられる。本発明の具体的な一実施例によると、紫外線照射のために薄層クロマトグラフィー(Thin Layer Chromatography)用紫外線ランプが用いられ得、これは他の硬化用紫外線ランプに比して値段が安く、容易に得ることができる長所を有しており、特定の365nm波長の紫外線照射によってフリーラジカルを発生させる開始剤(例えば、Irgacure 2959)にも適合する。
【0027】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の方法は、段階(c)のナノ運搬体を段階(a)の重合体と異なる種類の生体適合性/生体機能性重合体で官能化(functionalization)させる段階(d)を追加的に含む。この場合、用いられ得る生体適合性/生体機能性重合体は、ヘパリン、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、キト酸、コンドロイチン、硫酸、デルマタン5−硫酸(dermatan 5−sulfate)、ケラタン硫酸、デキストラン硫酸、ポリエチレンイミン及びポリリシンを含むが、これに限定されるのではない。例えば、ヘパリンは生体内毒性のない生体適合性重合体であって、米国FDAが承認している陰イオン性多糖類である。
【0028】
本発明の好ましい具現例によると、前記段階(a)−(c)は有機分散相を用いずに、水溶液分散相単独で実施されることである。即ち、単一相でナノ運搬体の製造が全て行われる。より詳しくは、生体適合性重合体及び開始剤が分散されている水溶液に光を照射することによって、ナノ運搬体の完全な製造が行われる。さらに、本発明の反応は、one−pot反応で実施することができる。このような側面から、本発明の方法は、「ワン−ポット、単一相合成方法(one−pot, single phase synthesis)」と言える。
【0029】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の温度敏感性ナノ運搬体は、温度が下がるに従ってその直径が増加し、逆に温度が上がると、その直径が減少する。好ましくは、4℃の条件におけるナノ運搬体の直径は、40℃における直径に比べて3−20倍、より好ましくは4−15倍、さらに好ましくは5−12倍、最も好ましくは7−10倍増加する。
【0030】
本発明のナノ運搬体のこのような直径の増減は可逆的である。
【0031】
直径の増減に従い、ナノ運搬体に形成された瞳孔の大きさは変わることになる。例えば、低温(例えば、4℃)で、瞳孔の大きさが増加したナノ運搬体に運搬しようとする薬物を捕集(encapsulation)させた後、これを人体に適用すると、瞳孔の大きさが減少して捕集された薬物の徐放(sustained release)が行われる。
【0032】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の温度敏感性ナノ運搬体は、37℃における瞳孔の大きさは3−20nmであり、より好ましくは3−15nm、最も好ましくは5−10nmである。
【0033】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の温度敏感性ナノ運搬体は、ヒドロゲルでないナノ粒子(nanoparticulate)である。下記の実施例において立証したように、本発明のナノ運搬体は、丸い状を有するナノ粒子の形態を有する。本発明の好ましい具現例によると、本発明のナノ運搬体は、50−500nmの直径、より好ましくは100−400nm、最も好ましくは120−300nmの直径を有する。本発明によるナノ運搬体は、滅菌過程を滅菌フィルターを用いて簡単に処理することができるという側面において、直径は200nm以下であることが好ましい。また、ナノ運搬体の多分散(polydispersity)指数は0.1以下のものが有利であり、これは一般的に多分散指数が0.1以下の場合、安定した単分散分布を有するナノ粒子と見なすからである。ナノ運搬体の好ましい多分散指数は0.01−0.1である。
【0034】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のナノ運搬体の表面にはターゲッティングリガンドが結合されている。前記ターゲッティングリガンドの例は、ホルモン、抗体、細胞−接着蛋白質(cell−adhesion molecules)、糖類及び神経伝達者を含むが、これに限定されるのではない。
【0035】
本発明の方法によると、従来技術の問題点、例えば有害な有機溶媒の利用、複雑な過程、高い生産単価及び低いローディング能力などを解決することができる。また、従来技術において、通常的に用いられる高速均質化過程または超音波処理過程を必要としないので、本発明の方法はローディングされる薬物の変性または凝集を避けることができる。
【0036】
本発明の他の態様によると、本発明は(a)温度敏感性生体適合性重合体からなるナノ運搬体及び運搬対象の物質を混合する段階;及び(b)前記混合物をインキュベート(incubating)して、運搬対象の物質をナノ運搬体の内部に自然的に捕集(spontaneous encapsulation)させる段階を含む徐放性薬物送達システムの製造方法を提供する。
【0037】
本発明の徐放性薬物送達システムの製造方法は、上述した温度敏感性ナノ運搬体を製造する方法と共通する内容を有し、この両者に共通した内容は、繰り返し記載による本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0038】
本発明の好ましい具現例によると、前記水溶性の生体適合性重合体は、下記化学式1で示される重合体である:
化学式1
(PC1)−(PE)x−(PPO)y−(PE)z−(PC2)
前記化学式でPEはエチレンオキサイド、PPOはプロピレンオキサイド、PC1及びPC2は光架橋結合性作用基を示し、x、y及びzは夫々独立的に1−10,000の定数である。
【0039】
本発明の好ましい具現例によると、前記光架橋結合性作用基は、C=C二重結合を有する作用基である。
【0040】
本発明の好ましい具現例によると、前記光架橋結合性作用基はアクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、クマリン、チミンまたはケイ皮酸塩である。
【0041】
本発明の好ましい具現例によると、前記温度敏感性ナノ運搬体は、温度が下がるに従ってその直径が増加する。
【0042】
本発明の好ましい具現例によると、前記温度敏感性ナノ運搬体はヒドロゲルでないナノ粒子である。本発明の好ましい具現例によると、前記温度敏感性ナノ運搬体は、37℃での瞳孔の大きさが3−20nmである。
【0043】
本発明の好ましい具現例によると、前記温度敏感性ナノ運搬体は交差結合されたものである。
【0044】
本発明の徐放性薬物送達システムによって運搬され得る物質は制限されず、治療学的効能を示す多様な物質を含む。本発明の好ましい具現例によると、運搬対象の物質は、蛋白質、核酸分子、ナノ粒子または蛍光物質である。
【0045】
本発明の薬物送達システムによって運搬される蛋白質は特に制限されず、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、信号伝達蛋白質またはその一部分、抗体またはその一部分、短鎖抗体、結合蛋白質またはその結合ドメイン、抗原、付着蛋白質、構造蛋白質、調節蛋白質、毒素蛋白質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子及びワクチンなどを含むが、これに限定されない。より詳細には、本発明の薬物送達システムによって運搬される蛋白質はインスリン、IGF−1(insulin−like growth factor 1)、成長ホルモン、エリスロポエチン、G−CSFs(granulocyte−colony stimulating factors)、GM−CSFs(granulocyte/macrophage−colony stimulating factors)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン−1アルファ及びベータ、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、インターロイキン−2、EGFs(epidermal growth factors)、カルシトニン(calcitonin)、VEGF(vascular endothelial cell growth factor)、FGF(fibroblast growth factor)、PDGF(platelet−derived growth factor)、ACTH (adrenocorticotropic hormone)、TGF−β(transforming growth factor beta)、BMP(bone morphogenetic protein)、TNF(tumor necrosis factor)、アトビスバン(atobisban)、ブセレリン(buserelin)、セトロレリクス(cetrorelix)、デスロレリン(deslorelin)、デスモプレシン(desmopressin)、ダイノルフィンA(dynorphin A)(1−13)、エルカトニン(elcatonin)、エレイドシン(eleidosin)、エプチフィバチド(eptifibatide)、GHRH−II(growth hormone releasing hormone−II)、ゴナドレリ
ン(gonadorelin)、ゴセレリン(goserelin)、ヒストレリン(histrelin)、リュープリン(leuprorelin)、リプレシン(lypressin)、オクトレオチド(octreotide)、オキシトシン (oxytocin)、ピトレシン(pitressin)、セクレチン(secretin)、シンカライド(sincalide)、テルリプレッシン(terlipressin)、チモペンチン(thymopentin)、チモシン(thymosine)α1、トリプトレリン(triptorelin)、ビバリルジン(bivalirudin)、カルベトシン(carbetocin)、シクロスポリン、エキセディン(exedine)、ランレオチド(lanreotide)、LHRH(luteinizing hormone−releasing hormone)、ナファレリン(nafarelin)、副甲状腺ホルモン、プラムリンチド(pramlintide)、T−20(enfuvirtide)、サイマルファシン(thymalfasin)及びジコノチドを含むが、これに限定されるのではない。
【0046】
本発明の徐放性薬物送達システムによって運搬されることができる核酸分子は、例えばDNA、DNAアプタマー、RNAアプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、プラスミド及びベクターを含むが、これに限定されるのではない。
【0047】
本発明の徐放性薬物送達システムによって運搬されることができるナノ粒子は、例えば金ナノ粒子、銀ナノ粒子、鉄ナノ粒子、転移金属ナノ粒子及び金属酸化物ナノ粒子(例えば、フェライトナノ粒子)を含むが、これに限定されるのではない。例えば、本発明の薬物送達システムがフェライトナノ粒子を運ぶ場合には、MR(magnetic resonance)造影剤(imaging agent)として用いられ得る。
【0048】
本発明の徐放性薬物送達システムを用いて蛍光物質を運ぶ場合、好ましくは、蛍光物質はキャリアに結合されている。例えば、蛍光物質を蛋白質または金属ナノ粒子(例えば、磁性ナノ粒子)に結合させて用いることができる。前記蛍光物質の例はフルオレセインとその誘導体、ローダミンとその誘導体、ルシファーイエロー、B−フィコエリトリン、9−アクリジンイソチオシアネート、ルシファーイエローVS、4−アセトアミド−4’−イソチオ−シアネートスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアトフェニル)−4−メチルクマリン、スクシンイミジル−ピレンブチラート、4−アセトアミド−4’−イソチオシアネートスチルベン−2,2’−ジスルホン酸誘導体、LCTM−Red640、 LCTM−Red705、Cy5、Cy5.5、リサミン、イソチオシアネート、エリトロシンイソチオシアネート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、1−ジメチルアミノナフチル−5−スルホン酸塩、1−アニリノ−8−ナフタレンスルホン酸、2−p−トーイジニル−6−ナフタレンスルホン酸、3−フェニル−7−イソシアネートクマリン、9−イソチオシアネートアクリジン、アクリジンオレンジ、N−(p−(2−ベンゾクサゾイリル)フェニル)メレイミド、ベンゾクサジアゾル、スチルベン及びファイレンを含むが、これに限定されるのではない。
【0049】
本発明の最も大きい特徴の1つは、ナノ運搬体に運搬対象の物質を捕集する過程で単純に前記2つの物質を混合すると、自然的に捕集(spontaneous encapsulation)されるということである。即ち、いかなる追加的な処理なしに、ナノ運搬体と運搬対象の物質が接触(contacting)することができるイベントのみを与えると、運搬対象の物質が自然的にナノ運搬体にローディングされるのである。
【0050】
本発明の好ましい具現例によると、薬物をナノ運搬体に捕集させる場合、遺棄分散相を用いずに、水溶液分散相で実施する。
【0051】
本発明の好ましい具現例によると、捕集させる段階は0−20℃、より好ましくは4−10℃、最も好ましくは4−6℃の温度条件で実施する。
【0052】
本発明の徐放性薬物送達システムによる水溶液上での自然的捕集は、ローディングされる薬物、特に蛋白質医薬の安定性を大きく増加させることができる利点がある。自然的捕集によって本発明の薬物送達システムに薬物がローディングされるが、捕集効率(encapsulation efficiency)は90%以上で非常に高い。さらに、薬物がローディングされる過程において有機溶媒が用いられず、高速均質化過程または超音波処理過程を必要としないので、本発明の方法はローディングされる薬物の変成または凝集を避けることができる。
【0053】
本発明のまた別の態様によると、本発明は、末端にある光架橋結合性作用基を通じて、架橋結合されている水溶性の生体適合性重合体を含み、前記重合体は温度変化により直径が変わり、ヒドロゲルでないナノ粒子形態 (nanoparticulate form)を有することを特徴とする温度敏感性徐放性ナノ運搬体を提供する。
【0054】
本発明の徐放性薬物送達システムは、上述した本発明の方法と共通する内容を有し、この両者に共通した内容は、繰り返し記載による本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0055】
本発明の好ましい具現例によると、前記光架橋結合性作用基はアクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、クマリン、チミンまたはケイ皮酸塩である。
【0056】
本発明の好ましい具現例によると、前記光架橋結合性作用基は、C=C二重結合を有する作用基である。
【0057】
本発明の好ましい具現例によると、前記水溶性の生体適合性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、キト酸、デキストランまたはアルギン酸塩構造を有する重合体である。
【0058】
より好ましくは、水溶性の生体適合性重合体は、下記化学式1で表される重合体である:
化学式1
(PC1)−(PE)x−(PPO)y−(PE)z−(PC2)
前記化学式でPEはエチレンオキサイド、PPOはプロピレンオキサイド、PC1及びPC2は光架橋結合性作用基を示し、x、y及びzは夫々独立的に1−10,000の定数である。
【0059】
本発明の好ましい具現例によると、前記温度敏感性ナノ運搬体は、温度が下がるに従ってその直径が増加する。
【0060】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のナノ運搬体は水溶液分散に分散されていることである。本発明の好ましい具現例によると、本発明のナノ運搬体は37℃での瞳孔の大きさが3−20nmである。
【0061】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のナノ運搬体は、他の種類の生体適合性重合体で官能化されている。
【0062】
本発明の好ましい具現例によると、ナノ運搬体はその内部に蛋白質、核酸分子、ナノ粒子または蛍光物質を含む。
【0063】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のナノ運搬体の表面には、ターゲッティングリガンドが結合されている。前記ターゲッティングリガンドの例は、ホルモン、抗体、細胞−接着蛋白質、糖類及び神経伝達者を含むが、これに限定されるのではない。
【発明の効果】
【0064】
本発明の特徴及び利点を要約すると、次のとおりである:
(i)本発明のナノ運搬体は温度敏感性を有し、温度変化に対応して可逆的に直径及び瞳孔の大きさが変わる。
(ii)本発明の方法によると、ナノ運搬体をワン−ポット単一相で製造することができる。
(iii)本発明のナノ運搬体に薬物が自然的に捕集されることができる。
(iv)本発明のナノ運搬体は、人体内の温度条件で瞳孔の大きさが減少して徐放性薬物送達システムとして用いられ得る。
(v)本発明によると、従来技術の問題点、例えば有害な有機溶媒の利用、複雑な過程、高い生産単価及び低いローディング能力などを解決することができる。
(vi)また、従来技術において通常的に用いられる高速均質化過程または超音波処理過程を必要としないので、本発明はローディングされる薬物の安定性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の単一相光重合反応によるプルロニック−基盤ナノ運搬体の製造過程を示す概略図である。
【図2】DA−PF 127のCMC分析(パイレン利用)結果を示すグラフである。
【図3a】4℃から40℃までの温度変化によるうプルロニック−基盤ナノ運搬体の大きさの変化を示すグラフである。
【図3b】4℃で測定したナノ運搬体の単分散分布図を示すグラフである。
【図3c】37℃で測定したナノ運搬体の単分散分布図を示すグラフである。
【図4】20℃と37℃との間での温度スイングによる本発明のナノ運搬体の可逆的大きさの変化を示すことであって、DLSで測定されたものである。
【図5】プルロニック−基盤ナノ運搬体のイメージである。(a)4℃及び(b)37℃で前平衡な(pre−equilibrated)試料、(c)5nm金ナノ粒子をローディングした以後の試料に対する透過電子顕微鏡(Transmission electron microscopy)イメージである。パネルdはFITC−BSAローディングされたプルロニック−基盤ナノ運搬体に対する逆象蛍光顕微鏡のイメージである。
【図6】プルロニックF 127(PF 127)、ジアクリル化プルロニックF 127(DA−PF 127)及びDA−PF 127の光架橋結合によって製造されたナノ運搬体のFT−IRスペクトラムである。
【図7】37−4℃の温度変化で本発明のプルロニック−基盤ナノ運搬体からFITC−BSAが放出されるパターンを示す。
【図8】プルロニック−基盤ナノ運搬体から金ナノ粒子(5nm及び10nm大きさ)が放出されるパターンを示す。
【図9】プルロニックの基本構造及び多様なプルロニック中、プルロニックF−127(PF 127)とプルロニックF−68(PF 68)の構造的な特性を示す。
【図10】4℃から40℃までの温度変化による0.50%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 68)の大きさの変化を示すグラフである。
【図11】水溶液で、時間による金ナノロッドの吸収波長スペクトラムの変化を示したグラフである。
【図12】水溶液で、0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 127)にローディングされた金ナノロッドの吸収波長スペクトラムの変化を、時間によって観察したグラフである。
【図13】水溶液で、0.50%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 68)にローディングされた金ナノロッドの吸収波長スペクトラムの変化を、時間によって観察したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、実施例を通じて、本発明をさらに詳細に説明しようとする。これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨から、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されないということは当業界における通常の知識を有する者にとって自明である。
【実施例】
【0067】
実験材料
Pluronic F−127(E100P65E100,MW12,600)(PF 127)をBASF Corp.(Seoul,Korea)から入手した。アクリロイルクロライド、トリエチルアミン及び無水トルエンはAldrich(Milwaukee,WI,USA)から購入した。4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(Irgacure 2959)はCiba Specialty Chemicals Inc.(Basel,Switzerland)から購入した。ポタシウムブロマイド、FITC−BSA(fluorescein isothiocyanate−labelled bovine serum albumin)、ポタシウムフォスフェイトモノベイシック、ソジウムフォスフェイトジベイシック及びソジウムアジドはSigma(St. Louis,MO,USA)から購入した。ソジウムクロライド及びポタシウムクロライドはMerk(Darmstadt,Germany)から購入した。NanosepTM遠心分離装置(MWCO 300 000)は、Pall Life Sciences (Ann Arbor,MI,USA)から購入した。透過膜[セルロースエステル(CE)、MWCO 300000 with a nominal pore size of 35nm]はSpectrum(Houston、TX、USA)の製品である。0.2μmセルロース滅菌シリンジフィルターはWhatman(Florham Park、New Jersey、USA)から購入したものである。
【0068】
プルロニック−基盤ナノ運搬体の製造
図1で図示したような方法に従って、本発明のプルロニック−基盤ナノ運搬体を製造した。プルロニックF−127(PF 127)5g及び10倍モールのアクリロイルクロライドとトリエチルアミンを50mL無水トルエンで一夜の間アルゴン大気下で攪拌させ、PF 127のヒドロキシル基をアクリル化した。収得した重合体を無水ジエチルエーテルで沈殿させて濾過した後、真空下で3日間乾燥させた。アクリル化程度は、300 MHz1H−NMRスペクトロスコピー(JNM−LA300WB FT−NMR Spectrometer、JEOL、Japan)を用いて測定し、98%以上アクリル作用基で置換されたジアクリレートプルロニックF−127(DA−PF 127)が製造されることを確認した。
【0069】
DA−PF 127を脱イオン水に溶解し、10.0%(w/w)の前駆体溶液を製造した後、該溶液を常温で蒸溜水に希釈することによって、多様な濃度(1.4,0.77,0.50,0.33,0.20%(w/w))を有する溶液を製造した。希釈された前駆体溶液に70%エタノールに溶かした光開始剤Irgacure 2959を0.05%(w/w)量で添加した。引き続き、フィルターを除去した1.3mW/cm2紫外線ランプ(VL−4.LC,8W,Vilber Lourmat,France)を光源にて一定時間5、10、15分間、光照射してプルロニック−基盤ナノ運搬体を製造した。ナノ運搬体溶液に存在する不純物は、NanosepTMでスピン濾過(14,000rpm、10分)を通じて除去され、回収されたナノ運搬体を蒸溜水に再分散した。
【0070】
CMC(critical micelle concentration)の測定
DA−PF 127のCMCは、ピレンを蛍光プローブで用いて測定した(K. C. Cho,et al.,Macromol. Res.,2006,14,348)。アセトンに溶解したピレン(Aldrich,Milwaukee,WI,USA)を脱イオン水に添加して、6x10−6Mの溶液を製造し、引き続き5時間真空乾燥してアセトンを除去した。DA−PF 127の濃度を0.0001〜1wt%で多様にし、ピレン溶液(最終濃度:6x10−7M)と反応させた。DA−PF 127及びピレンの混合溶液を暗条件下で30分間室温で反応させた。スペクトロフルオロフォトメーター(Shimadzu,RF−5301PC,Kyoto,Japan)を用い、339nmの勵起波長及び390nmの放出波長で蛍光スペクトラムを測定した。
【0071】
プルロニック−基盤ナノ運搬体の特性研究
本発明のプルロニック−基盤ナノ運搬体の水力学的直径及び表面電荷は10mW He−Neレーザー(632.8nm)が装着された電気泳動(Electrophoretic)光スキャタリングスペックトロフォトメーター(ELS−8000、Otsuka Electronics Co.,Japan)を用いて試料に対して90゜の散乱角度にして測定した。温度を調節し、測定は3回反復実施した。また、温度サイクリングの間のナノ運搬体の熱−可逆性は、20℃及び37℃で反復的にサイクリングして分析した。200kV電圧で作動する透過電子顕微鏡(JEM−2100,JEOL,Japan)を用いてプルロニック−基盤ナノ運搬体のイメージを得た。4℃、25℃または37℃で前−平衡なプルロニック−基盤ナノ運搬体懸濁液(0.77wt% with 15 min UV−照射)20μLを200−メッシュ炭素コーティングされた銅グリッド上に室温でドロップ−乾燥させてTEM試料を準備した。TEMイメージの最小50ヶのナノ運搬体をカウンティングしてプルロニック−基盤ナノ運搬体の平均径を決めた。金粒子(5nm)とナノ運搬体を4℃で反応させ、金粒子(5nm)−ローディングナノ運搬体を準備し、TEMイメージを得た。
【0072】
プルロニック−基盤ナノ運搬体の光−架橋程度を評価するためにFT−IRスペクトロフォトメーター(SPECTRUM 2000,Perkin−Elmer,USA)を用いた。プルロニック−基盤ナノ運搬体(0.77wt% with 15 min UV−照射で製造される)を凍結乾燥し、クラインディングで粉末化した後、KBr薄膜にマウンティングした。4000 to 400cm−1の波長範囲で20スキャンで1cm−1の解像度でIRスペクトラムを得た。光−架橋後プルロニック−基盤ナノ運搬体に残存する二重結合は、1635cm−1(二重結合のC=Cストレッチング)付近のIRピークによって分析した。
【0073】
モデル蛋白質充填されたプルロニック−基盤ナノ運搬体の製造及び特性研究
前記実施例で製造したナノ運搬体中に0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体、即ち、プルロニック−基盤ナノ運搬体(光照射時間:15分)を用いて、モデル蛋白質のFITC−BSA(Fluorescein isothiocyanate−labelled bovine serum albumin)を充填した。プルロニック−基盤ナノ運搬体溶液(1mL)にモデル蛋白質のFITC−BSA 200μgを添加し、4℃で12時間放置しながら、モデル蛋白質が自発的に膨張したナノ運搬体内に充填されるようにした。充填されないモデル蛋白質を常温でスピンフィルターを用いて除去した。
【0074】
プルロニック−基盤ナノ運搬体のFITC−BSA捕集効率及びローディング量は、室温で14,000rpmで10分間スピン濾過した後、F.Q.Li,et al.,Int.J.Pharm.,2008,349,274に記載の方法により計算した。FITC−BSAローディングフラックサマナノ運搬体を逆象蛍光顕微鏡(TE2000−U,Nikon,Melville,NY,USA)で可視化した。
【0075】
本発明のプルロニック−基盤ナノ運搬体、即ち、プルロニック−基盤ナノ運搬体から放出されるFITC−BSAを分析するために、FITC−BSAローディングナノ運搬体懸濁液(0.5mL)を透過膜チューブに入れた。0.05%NaN3があるPBS(phosphate buffered saline)5mLに前記チューブを入れ、37℃または4℃で30rpmで攪拌しながら特定温度での放出パターンを分析した。それぞれの時点で全体放出ミディアムを新たなものと交替した。それぞれの時点での放出されたFITC−BSAの量はCoomassie Plus−BradfordTM assay(PIERCE,Rockford,IL,USA)を用いて分析した。全ての測定は3回反復的に実施した。
【0076】
金ナノ粒子充填されたプルロニック−基盤ナノ運搬体の製造及び特性研究
前記実施例で製造したナノ運搬体中に0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体、即ち、プルロニック−基盤ナノ運搬体(光照射時間:15分)を用いて、金ナノ粒子を充填した。プルロニック−基盤ナノ運搬体溶液(1mL)及び金ナノ粒子(5 and 10nm in size,Sigma,St. Louis,MO,USA)0.5mLを混合して4℃で12時間反応させた。ローディングされない金ナノ粒子を除去するために、スピン濾過を14,000rpmで10分間室温で実施した。異なる大きさを有する金ナノ粒子の放出をBSAと同様に実施し、放出量はCary 1E UV−visibleスペックトロフォトメーター(Varian,Melbourne,Australia)を用いて測定した。全ての測定は、3回反復的に実施した。
【0077】
プルロニック−基盤ナノ運搬体の製造(NC−PF68)及び特性研究
米国FDAより承認を受けた多様なプルロニック中、前記実施例で製造したプルロニックF−127(PF 127)のみならず、図9にて示すように構造的に特性において若干異なるプルロニックF−68(PF 68)を使用してプルロニック−基盤ナノ運搬体を製造した。プルロニックF−68(PF 68)も前記実施例で提示した方法と同方法で98%以上アクリル作用基で置換されたジアクリレートプルロニックF−68(DA−PF 68)を製造した。製造されたDA−PF 68を脱イオン水に溶解して10.0%(w/w)の前駆体溶液を製造した後、該溶液を常温で蒸溜水に希釈することによって0.05%(w/w)を有する溶液を製造し、前記実施例で示した光重合反応条件(光開始剤濃度:0.05%(w/w)、光照射時間:15分)を通じてナノ運搬体を製造した。前記実施例の結果として、図3(a)にて示すように、温度敏感性プルロニック−基盤ナノ運搬体の特性を確認するために4℃から40℃まで温度変化を与えることによりナノ運搬体の大きさの変化を観察した。
【0078】
金ナノロッドが充填されたプルロニック−基盤ナノ運搬体の製造及び特性研究
前記実施例で製造したナノ運搬体中、0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 127)と0.50%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 68)、即ち、プルロニック−基盤ナノ運搬体(光照射時間:15分)を用いて金ナノロッドを充電した。プルロニック−基盤ナノ運搬体溶液(1 mL)と金ナノロッド(平均大きさ:40 nm、aspect ratio:3.9)0.5mLを混合して4℃で12時間反応させた。ロディングされていない金ナノロッドを除去するために、スピン濾過を10 000 rpmで5分間実温で実施した。金ナノロッドが充電されたプルロニック−基盤ナノ運搬体は蒸留水に再分散させた後、実温で、時間による吸収波長スペクトラムの変化を8453 UV−visible分光光度計(Agilent)を用いて分析した。全ての測定は3回反復的に実施した。
【0079】
実験結果
光−架橋によるプルロニック−基盤ナノ運搬体の製造
DA−PF 127及び開始剤のみを含む水溶液を多様な条件で光−架橋させ、未反応電球重合体を除去するためにスピンフィルタリングを実施した。表1に記載されているように、簡単な光−架橋処理によって、比較的狭い大きさの分布を有するナノ粒子が形成された。開始剤の特定濃度(0.05wt%)及び特定UV照射の強度(1.3mWcm−2)で0.5乃至1.4wt%の濃度範囲で光−架橋ナノ運搬体を収得した。2wt%以上ではマイクロメーターの大きさの凝集体が形成された。0.33wt%濃度では15分以上のUV照射によって、光−架橋ナノ運搬体が製造された。前駆体濃度を0.2wt%以下にした場合には、ナノ粒子が検出されなかった。光−架橋ナノ運搬体を生成することができる前駆体の濃度範囲(0.33〜1.4wt%)でナノ運搬体の平均径は、111±19nmから213±32nmまで徐々に増加した。逆に、特定前駆体の濃度で、光−架橋ナノ運搬体の平均の大きさは、UV照射時間を増やしても大きく増加しなかった。面白いことは、UV照射前には30nm大きさ以上の粒子が観察されなかった。従って、DA−PF 127の光−架橋によって、ナノ運搬体は形成された。また、DA−PF 127のCMC(0.038wt%)以下の濃度では光−架橋ナノ運搬体が形成されなかった(図2)。結論的に、DA−PF 127マイセルで、光重合反応によってナノ運搬体が形成されたことが分かる(図1)。下記表1は、多様な濃度の前駆体を用いて、製造(UVの強度:1.3mWcm−2)されたプルロニック−基盤ナノ運搬体の大きさを示すものであって、25℃でDLSにて測定したのである(平均±標準偏差n=3)。
【0080】
【表1】
【0081】
プルロニック−基盤ナノ運搬体の特性研究
図3aから分かるように、0.77%(w/w)温度敏感性プルロニック−基盤ナノ運搬体(光照射時間:15分)は、4℃から40℃まで温度を変化させることによって、460±37nmから55±5nmまでナノ運搬体の大きさの変化を見せ、また図3bと図3cに示しているように、4℃と37℃で測定したナノ運搬体の単分散分布度は、製造されたナノ運搬体が均一であるということを見せる。一方、20℃と37℃との温度スイングにおける可逆的大きさ変化に関するデータ(図4)も本発明のナノ運搬体が安定性を有するということを裏付ける。
【0082】
図5は、0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(光照射時間:15分)の構造的な形態と大きさを透過電子顕微鏡で測定した結果であって、ナノ運搬体中に空間が存在することを示す。図5のTEMイメージで、本発明のナノ運搬体は丸い状を有し、温度によって大きさが変わるということが分かる(図5のパネルa及びb)。室温でプルロニック−基盤ナノ運搬体の平均径は160±20nmであり、これは50ヶ以上のナノ運搬体をカウンティングして決定したことであって、表1のDLSデータと一致する。
【0083】
図6で示したように、ジアクリレート作用基を有するプルロニックF−127(DA−PF 127)の光重合反応を通じて製造された0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(光照射時間:15分)の架橋程度を赤外線分光器(Fourier Transform Infrared Spectroscopy、FT−IR)で測定した。アクリレート作用基の二重結合は、1635cm−1 wavenumberで測定されるが、光重合反応後、ナノ運搬体に存在する二重結合が完全に消えたことから100%架橋されたことが分かる。
【0084】
結論的に、本発明のプルロニック−基盤ナノ運搬体は、DA−PF 127の完全な光重合によって形成され、これによって、十分な構造的安定性を有することが把握できる。
図10にて示すように、0.50%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 68、光照射時間:15分)は、0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 127、光照射時間:15分)と同じ方法で4℃から40℃まで温度変化を与えることにより、384±51 nmから99±5 nmまでナノ運搬体の大きさの変化を見せた。温度変化による特性はほぼ類似しているが、大きさにおいてNC−PF 68がNC−PF 127より多少大きいので、使用する物質によって大きさの調節が可能であることが把握できる。
【0085】
モデル蛋白質及びモデルナノ粒子のローディング及び放出
FITC−結合BSAを本発明のプルロニック−基盤ナノ運搬体のインビトロ放出実験に対するモデル蛋白質で選択しているが、これはFITC−BSAを含むナノ運搬体を蛍光顕微鏡で明確に観察することができるからである。FITC−BSAをローディングするために、ナノ運搬体及びFITC−BSAを4℃で単純に混合だけをし、このような簡単な処理によってローディングが可能な理由は、低い温度でナノ運搬体の体積膨張が成り立って、ナノ運搬体がオープン、瞳孔性構造を有するようになるからである。プルロニック−基盤ナノ運搬体の平均径及び大きさの分布は、FITC−BSAが内包されても変化は殆どなかった。本発明によって、ナノ運搬体にFITC−BSAを捕集する効率は90%以上で非常に高かった。図5のパネルdは、FITC−BSAローディングされたプルロニック−基盤ナノ運搬体の蛍光顕微鏡イメージであって、FITC−BSA(MW 67,000)がナノ運搬体の内部によく捕集されていることを示し、これは小さい緑色の蛍光点から確認することができる。
【0086】
同様に、金ナノ粒子(5nm及び10nmの大きさ)も、4℃で本発明のナノ運搬体との簡単な混合によって容易にローディングされた。金ナノ粒子−ローディングナノ運搬体のTEMイメージは、運搬体内部に捕集された金ナノ粒子を示す(図5のパネルc)。FITC−BSAローディング蛍光イメージと共に、金ナノ粒子−ローディングTEMイメージ及びプルロニック−基盤ナノ運搬体の高いローディング能力は、本発明の運搬体が貯蔵所の特性を有し、これによりターゲット薬物の運搬体で用いられ得ることを示す。
【0087】
プルロニック−基盤ナノ運搬体からFITC−BSAが放出されるプロファイルを温度変化によって分析した。期待したように、4℃でプルロニック−基盤ナノ運搬体は膨張するため、充填されたFITC−BSAが急激に放出されるのに対し、37℃ではナノ運搬体の収縮現象が発生して、モデル蛋白質または金ナノ粒子の放出速度が大きく減少した。このような温度−依存性放出パターン(図7)は反復的に維持され、且つ可逆的であった。また、37℃で開始された蛋白質放出は、初期バースト(burst)が殆どなしに発生した。本発明のナノ運搬体の瞳孔の大きさ情報を得るために、5nmまたは10nm大きさの金ナノ粒子をナノ運搬体にローディングし、放出プロファイルを照射した。前記二つの金ナノ粒子のいずれも4℃で90%以上の高い効率でナノ運搬体にローディングされた。しかし、5nm金ナノ粒子は37℃で遅く放出されたが、10nm粒子は37℃で放出が観察されなかった(図8)。従って、本発明のナノ運搬体の37℃での有効瞳孔の大きさは5−10nmであることが分かる。
【0088】
金ナノロッドのローディング及び安定性の評価
金ナノロッドも4℃で本発明のナノ運搬体との簡単な混合により前記例で提示された他のモデルタンパク質のように、容易にローディングされた。図11にて示すように、ナノ運搬体を使用せず、金ナノロッドのみを使用した場合、水溶液で保管する時に不安定であり、吸収波長スペクトラムが時間の経過によって急激に変化することが観察され、一方、図12と13にて示したように、金ナノロッドをプルロニック−基盤ナノ運搬体の中にローディングすると、時間が経ても水溶液で安定した状態が維持されるので、金ナノロッドの特性を維持させることができるのが把握できる。
【0089】
以上で、本発明の特定の部分を詳細に記述したところ、当業界の通常の知識を有する者にとって、このような具体的な技術はただ望ましい具現例であるだけであり、これに本発明の範囲が制限されるのではないことは明白である。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物によって定義されると言える。
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度敏感性ナノ運搬体(Temperature−Sensitive Nanocarriers)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
治療用蛋白質や薬物を生体内に伝達するために用いられる大部分のナノ粒子は、有機溶媒を用いる乳剤蒸発(emulsion evaporation)方法を通じて製造されるため、製造から乾燥時までの製造工程が複雑であり、時間がかなり掛かり、有機溶媒の使用による費用も増え、また、有機溶媒の使用により生体内に問題点を惹起させることがある(T.G.Park,et al.,Biomacromolecules 8(2007)650−656;T.G.Park,et al.,Biomacromolecules 7(2006)1864−1870;D.T.Birnbaum,et al.,J.Control.Rel.65(2000)375−387)。このような理由で、多くの研究者らは、ナノ粒子に充填される薬物の変性及びそれらの安定性確保のために、新たなナノ粒子の製造技術開発に多くの時間を投資している。
【0003】
乳剤蒸発方法の問題点を解決するために、他の研究者らは超臨界流体を用いてナノ粒子を製造した。しかし、この工程は、大部分の医療用高分子が超臨界流体に溶解性が制限的であり、広く用いられていない(K.S.Soppimath et al.,J.Control.Rel.70(2001)1−20)。
【0004】
また、米国特許第5,019,400号においても生体適合性高分子であるポリ(D,L−乳酸−co−グリコール酸)(以下、「PLGA」)を超低温冷媒に噴射して蛋白質薬物伝達用マイクロ粒子を製造したものの、PLGAを溶解するために用いられる有機溶媒の疎水性によって問題点が発生した。
【0005】
また、米国特許第6,586,011号でも蛋白質伝達用ナノ粒子システムを超低温冷媒に噴射する方式で製造しているが、ナノ粒子製造の際に用いられる架橋剤によって蛋白質の安定性に深刻な問題点が惹起された。
【0006】
また、ナノ粒子を製造する方法で、溶媒蒸発法(solvent evaporation)が用いられるが、この方法も有機溶媒の使用によって様々な問題点を惹起させた。一方、疎水性と毒性の強い有機溶媒の使用の代わり、水とよく混じる有機溶媒(アセトン等)を用いてポリ(D,L−乳酸)(以下、「PLA」)ナノ粒子を製造する塩析技法(salting−out)も開発されたものの、蛋白質薬物の活性低下及び安定性問題は解決されなかった(E.Allemann et al.,Pharm.Res.10(1993)1732−1737)。
【0007】
本明細書の全てに亘って多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表されている。引用されている論文及び特許文献の開示内容は、その全てが本明細書に参照として挿入され、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,019,400号
【特許文献2】米国特許第6,586,011号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】T.G.Park,et al.,Biomacromolecules 8(2007)650−656
【非特許文献2】T.G.Park,et al.,Biomacromolecules 7(2006)1864−1870
【非特許文献3】D.T.Birnbaum,et al.,J.Control.Rel.65(2000)375−387)
【非特許文献4】K.S.Soppimath et al.,J.Control.Rel.70(2001)1−20
【非特許文献5】E.Allemann et al.,Pharm.Res.10(1993)1732−1737)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、薬物運搬体のより効率的な製造方法を開発しようと努力した。その結果、光架橋結合可能な(photo−crosslinkable)作用基を有する水溶性の生体適合性重合体を適合する条件下で架橋結合させてナノ運搬体を製造する場合には、単一相(single phase)で容易に優れた特性を示すナノ運搬体が製造され得ることを確認することによって、本発明を完成するようになった。
【0011】
従って、本発明の目的は、生体適合性、温度敏感性ナノ運搬体を製造する方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、徐放性薬物送達システム(drug delivery system)の製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、温度敏感性、徐放性ナノ運搬体を提供することにある。
【0014】
本発明のまた他の目的及び利点は、下記の発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面によってより明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によると、本発明は(a)光架橋結合可能な(photo−crosslinkable)作用基を有する水溶性の生体適合性重合体の分散液を準備する段階;(b)前記重合体分散液に開始剤を添加する段階;及び(c)前記(b)の結果物に光を照射して前記重合体を架橋結合させてナノ運搬体を製造する段階を含み、前記ナノ運搬体は温度変化によって直径が変わることを特徴とする生体適合性、温度敏感性ナノ運搬体を製造する方法を提供する。
【0016】
本発明者らは、薬物運搬体のより効率的な製造方法を開発しようと努力した。その結果、光架橋結合性作用基を有する水溶性の生体適合性重合体を適合した条件下で架橋結合させてナノ運搬体を製造する場合には、単一相で容易に優れた特性を示すナノ運搬体が製造され得ることを確認した。
【0017】
本明細書において、用語「生体適合性重合体」とは、生体組織または血液と接触して組織を壊死させるか、血液を凝固させない組織適合性(tissue compatibility)及び抗凝血性(blood compatibility)を有している高分子を意味する。用語「水溶性の生体適合性重合体」とは、水または水−混合性溶媒(water−miscible solvent:例えば、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシド)に溶解される生体適合性重合体、好ましくは、水に溶解される生体適合性重合体を意味する。
【0018】
本発明の好ましい具現例によると、本発明において用いられ得る水溶性の生体適合性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、キト酸、デキストランまたはアルギン酸塩構造を有する重合体である。前記水溶性生体適合性重合体のうち、疎水性及び親水性部分を有しており、界面活性剤と類似している様相を示す重合体を用いる場合、好ましくは、この重合体に疎水性部分を追加的に導入させることが本発明において達成しようとする技術的目的に適合する。
【0019】
より好ましくは、本発明で用いられ得る水溶性の生体適合性重合体は、ポロキサマー系列の重合体である。
【0020】
最も好ましくは、本発明で用いられ得る水溶性の生体適合性重合体は、下記の化学式1で表される重合体である:
化学式1
(PC1)−(PE)x−(PPO)y−(PE)z−(PC2)
前記化学式でPEはエチレンオキサイド、PPOはプロピレンオキサイド、PC1及びPC2は光架橋結合性作用基を示し、x、y及びzは夫々独立的に1−10,000の定数である。
【0021】
光架橋結合性作用基は、生体適合性重合体の両末端に結合することが好ましい。
【0022】
本発明の好ましい具現例によると、前記光架橋結合性作用基は、C=C二重結合を有する作用基である。
【0023】
好ましくは、光架橋結合性作用基は、アクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、クマリン、チミン、またはケイ皮酸塩であり、より好ましくは、アクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレートまたはオリゴメタクリレートであり、最も好ましくはアクリレートである。
【0024】
本発明の方法に適合した開始剤は特に制限されない。好ましくは、本発明に用いられ得る開始剤は紫外線または可視光線の照射によってラジカル(radical)反応を誘発することができるラジカル光開始剤(radical photoinitiator)である。本発明に用いられ得る光開始剤の例は、エチルエオシン、2,2−ジメトキシ−ペニルアセトフェノン、2−メトキシ−2−ペニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(Irgacure 2959またはDarocur 2959)、カンファーキノン(camphorquinone)、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシフェニルケトーン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオクサントン、ジエチルチオクサントン、2−イソプロピルチオクサントン、2−クロロチオチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド及びbis−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドを含む。
【0025】
下記の実施例に記載のように、本発明の具体的な一実施例において Irgacure 2959を用い、これは、生体内毒性が非常に少ない開始剤として知られている(Kristi S. Anseth, et al., Cytocompatibility of UV and visible light photoinitiating systems on cultured NIH/3T3 fibroblasts in vitro. J. Biomater. Sci. Polymer Edn., 2000. 11(5):P.439−457)。
【0026】
段階(c)で、可視光線または紫外線を照射することにより、重合体の光架橋結合性作用基を通じて重合体を架橋結合させてナノ運搬体を製造する。好ましくは、架橋結合のために紫外線が用いられる。本発明の具体的な一実施例によると、紫外線照射のために薄層クロマトグラフィー(Thin Layer Chromatography)用紫外線ランプが用いられ得、これは他の硬化用紫外線ランプに比して値段が安く、容易に得ることができる長所を有しており、特定の365nm波長の紫外線照射によってフリーラジカルを発生させる開始剤(例えば、Irgacure 2959)にも適合する。
【0027】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の方法は、段階(c)のナノ運搬体を段階(a)の重合体と異なる種類の生体適合性/生体機能性重合体で官能化(functionalization)させる段階(d)を追加的に含む。この場合、用いられ得る生体適合性/生体機能性重合体は、ヘパリン、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、キト酸、コンドロイチン、硫酸、デルマタン5−硫酸(dermatan 5−sulfate)、ケラタン硫酸、デキストラン硫酸、ポリエチレンイミン及びポリリシンを含むが、これに限定されるのではない。例えば、ヘパリンは生体内毒性のない生体適合性重合体であって、米国FDAが承認している陰イオン性多糖類である。
【0028】
本発明の好ましい具現例によると、前記段階(a)−(c)は有機分散相を用いずに、水溶液分散相単独で実施されることである。即ち、単一相でナノ運搬体の製造が全て行われる。より詳しくは、生体適合性重合体及び開始剤が分散されている水溶液に光を照射することによって、ナノ運搬体の完全な製造が行われる。さらに、本発明の反応は、one−pot反応で実施することができる。このような側面から、本発明の方法は、「ワン−ポット、単一相合成方法(one−pot, single phase synthesis)」と言える。
【0029】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の温度敏感性ナノ運搬体は、温度が下がるに従ってその直径が増加し、逆に温度が上がると、その直径が減少する。好ましくは、4℃の条件におけるナノ運搬体の直径は、40℃における直径に比べて3−20倍、より好ましくは4−15倍、さらに好ましくは5−12倍、最も好ましくは7−10倍増加する。
【0030】
本発明のナノ運搬体のこのような直径の増減は可逆的である。
【0031】
直径の増減に従い、ナノ運搬体に形成された瞳孔の大きさは変わることになる。例えば、低温(例えば、4℃)で、瞳孔の大きさが増加したナノ運搬体に運搬しようとする薬物を捕集(encapsulation)させた後、これを人体に適用すると、瞳孔の大きさが減少して捕集された薬物の徐放(sustained release)が行われる。
【0032】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の温度敏感性ナノ運搬体は、37℃における瞳孔の大きさは3−20nmであり、より好ましくは3−15nm、最も好ましくは5−10nmである。
【0033】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の温度敏感性ナノ運搬体は、ヒドロゲルでないナノ粒子(nanoparticulate)である。下記の実施例において立証したように、本発明のナノ運搬体は、丸い状を有するナノ粒子の形態を有する。本発明の好ましい具現例によると、本発明のナノ運搬体は、50−500nmの直径、より好ましくは100−400nm、最も好ましくは120−300nmの直径を有する。本発明によるナノ運搬体は、滅菌過程を滅菌フィルターを用いて簡単に処理することができるという側面において、直径は200nm以下であることが好ましい。また、ナノ運搬体の多分散(polydispersity)指数は0.1以下のものが有利であり、これは一般的に多分散指数が0.1以下の場合、安定した単分散分布を有するナノ粒子と見なすからである。ナノ運搬体の好ましい多分散指数は0.01−0.1である。
【0034】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のナノ運搬体の表面にはターゲッティングリガンドが結合されている。前記ターゲッティングリガンドの例は、ホルモン、抗体、細胞−接着蛋白質(cell−adhesion molecules)、糖類及び神経伝達者を含むが、これに限定されるのではない。
【0035】
本発明の方法によると、従来技術の問題点、例えば有害な有機溶媒の利用、複雑な過程、高い生産単価及び低いローディング能力などを解決することができる。また、従来技術において、通常的に用いられる高速均質化過程または超音波処理過程を必要としないので、本発明の方法はローディングされる薬物の変性または凝集を避けることができる。
【0036】
本発明の他の態様によると、本発明は(a)温度敏感性生体適合性重合体からなるナノ運搬体及び運搬対象の物質を混合する段階;及び(b)前記混合物をインキュベート(incubating)して、運搬対象の物質をナノ運搬体の内部に自然的に捕集(spontaneous encapsulation)させる段階を含む徐放性薬物送達システムの製造方法を提供する。
【0037】
本発明の徐放性薬物送達システムの製造方法は、上述した温度敏感性ナノ運搬体を製造する方法と共通する内容を有し、この両者に共通した内容は、繰り返し記載による本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0038】
本発明の好ましい具現例によると、前記水溶性の生体適合性重合体は、下記化学式1で示される重合体である:
化学式1
(PC1)−(PE)x−(PPO)y−(PE)z−(PC2)
前記化学式でPEはエチレンオキサイド、PPOはプロピレンオキサイド、PC1及びPC2は光架橋結合性作用基を示し、x、y及びzは夫々独立的に1−10,000の定数である。
【0039】
本発明の好ましい具現例によると、前記光架橋結合性作用基は、C=C二重結合を有する作用基である。
【0040】
本発明の好ましい具現例によると、前記光架橋結合性作用基はアクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、クマリン、チミンまたはケイ皮酸塩である。
【0041】
本発明の好ましい具現例によると、前記温度敏感性ナノ運搬体は、温度が下がるに従ってその直径が増加する。
【0042】
本発明の好ましい具現例によると、前記温度敏感性ナノ運搬体はヒドロゲルでないナノ粒子である。本発明の好ましい具現例によると、前記温度敏感性ナノ運搬体は、37℃での瞳孔の大きさが3−20nmである。
【0043】
本発明の好ましい具現例によると、前記温度敏感性ナノ運搬体は交差結合されたものである。
【0044】
本発明の徐放性薬物送達システムによって運搬され得る物質は制限されず、治療学的効能を示す多様な物質を含む。本発明の好ましい具現例によると、運搬対象の物質は、蛋白質、核酸分子、ナノ粒子または蛍光物質である。
【0045】
本発明の薬物送達システムによって運搬される蛋白質は特に制限されず、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、信号伝達蛋白質またはその一部分、抗体またはその一部分、短鎖抗体、結合蛋白質またはその結合ドメイン、抗原、付着蛋白質、構造蛋白質、調節蛋白質、毒素蛋白質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子及びワクチンなどを含むが、これに限定されない。より詳細には、本発明の薬物送達システムによって運搬される蛋白質はインスリン、IGF−1(insulin−like growth factor 1)、成長ホルモン、エリスロポエチン、G−CSFs(granulocyte−colony stimulating factors)、GM−CSFs(granulocyte/macrophage−colony stimulating factors)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン−1アルファ及びベータ、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、インターロイキン−2、EGFs(epidermal growth factors)、カルシトニン(calcitonin)、VEGF(vascular endothelial cell growth factor)、FGF(fibroblast growth factor)、PDGF(platelet−derived growth factor)、ACTH (adrenocorticotropic hormone)、TGF−β(transforming growth factor beta)、BMP(bone morphogenetic protein)、TNF(tumor necrosis factor)、アトビスバン(atobisban)、ブセレリン(buserelin)、セトロレリクス(cetrorelix)、デスロレリン(deslorelin)、デスモプレシン(desmopressin)、ダイノルフィンA(dynorphin A)(1−13)、エルカトニン(elcatonin)、エレイドシン(eleidosin)、エプチフィバチド(eptifibatide)、GHRH−II(growth hormone releasing hormone−II)、ゴナドレリ
ン(gonadorelin)、ゴセレリン(goserelin)、ヒストレリン(histrelin)、リュープリン(leuprorelin)、リプレシン(lypressin)、オクトレオチド(octreotide)、オキシトシン (oxytocin)、ピトレシン(pitressin)、セクレチン(secretin)、シンカライド(sincalide)、テルリプレッシン(terlipressin)、チモペンチン(thymopentin)、チモシン(thymosine)α1、トリプトレリン(triptorelin)、ビバリルジン(bivalirudin)、カルベトシン(carbetocin)、シクロスポリン、エキセディン(exedine)、ランレオチド(lanreotide)、LHRH(luteinizing hormone−releasing hormone)、ナファレリン(nafarelin)、副甲状腺ホルモン、プラムリンチド(pramlintide)、T−20(enfuvirtide)、サイマルファシン(thymalfasin)及びジコノチドを含むが、これに限定されるのではない。
【0046】
本発明の徐放性薬物送達システムによって運搬されることができる核酸分子は、例えばDNA、DNAアプタマー、RNAアプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、プラスミド及びベクターを含むが、これに限定されるのではない。
【0047】
本発明の徐放性薬物送達システムによって運搬されることができるナノ粒子は、例えば金ナノ粒子、銀ナノ粒子、鉄ナノ粒子、転移金属ナノ粒子及び金属酸化物ナノ粒子(例えば、フェライトナノ粒子)を含むが、これに限定されるのではない。例えば、本発明の薬物送達システムがフェライトナノ粒子を運ぶ場合には、MR(magnetic resonance)造影剤(imaging agent)として用いられ得る。
【0048】
本発明の徐放性薬物送達システムを用いて蛍光物質を運ぶ場合、好ましくは、蛍光物質はキャリアに結合されている。例えば、蛍光物質を蛋白質または金属ナノ粒子(例えば、磁性ナノ粒子)に結合させて用いることができる。前記蛍光物質の例はフルオレセインとその誘導体、ローダミンとその誘導体、ルシファーイエロー、B−フィコエリトリン、9−アクリジンイソチオシアネート、ルシファーイエローVS、4−アセトアミド−4’−イソチオ−シアネートスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアトフェニル)−4−メチルクマリン、スクシンイミジル−ピレンブチラート、4−アセトアミド−4’−イソチオシアネートスチルベン−2,2’−ジスルホン酸誘導体、LCTM−Red640、 LCTM−Red705、Cy5、Cy5.5、リサミン、イソチオシアネート、エリトロシンイソチオシアネート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、1−ジメチルアミノナフチル−5−スルホン酸塩、1−アニリノ−8−ナフタレンスルホン酸、2−p−トーイジニル−6−ナフタレンスルホン酸、3−フェニル−7−イソシアネートクマリン、9−イソチオシアネートアクリジン、アクリジンオレンジ、N−(p−(2−ベンゾクサゾイリル)フェニル)メレイミド、ベンゾクサジアゾル、スチルベン及びファイレンを含むが、これに限定されるのではない。
【0049】
本発明の最も大きい特徴の1つは、ナノ運搬体に運搬対象の物質を捕集する過程で単純に前記2つの物質を混合すると、自然的に捕集(spontaneous encapsulation)されるということである。即ち、いかなる追加的な処理なしに、ナノ運搬体と運搬対象の物質が接触(contacting)することができるイベントのみを与えると、運搬対象の物質が自然的にナノ運搬体にローディングされるのである。
【0050】
本発明の好ましい具現例によると、薬物をナノ運搬体に捕集させる場合、遺棄分散相を用いずに、水溶液分散相で実施する。
【0051】
本発明の好ましい具現例によると、捕集させる段階は0−20℃、より好ましくは4−10℃、最も好ましくは4−6℃の温度条件で実施する。
【0052】
本発明の徐放性薬物送達システムによる水溶液上での自然的捕集は、ローディングされる薬物、特に蛋白質医薬の安定性を大きく増加させることができる利点がある。自然的捕集によって本発明の薬物送達システムに薬物がローディングされるが、捕集効率(encapsulation efficiency)は90%以上で非常に高い。さらに、薬物がローディングされる過程において有機溶媒が用いられず、高速均質化過程または超音波処理過程を必要としないので、本発明の方法はローディングされる薬物の変成または凝集を避けることができる。
【0053】
本発明のまた別の態様によると、本発明は、末端にある光架橋結合性作用基を通じて、架橋結合されている水溶性の生体適合性重合体を含み、前記重合体は温度変化により直径が変わり、ヒドロゲルでないナノ粒子形態 (nanoparticulate form)を有することを特徴とする温度敏感性徐放性ナノ運搬体を提供する。
【0054】
本発明の徐放性薬物送達システムは、上述した本発明の方法と共通する内容を有し、この両者に共通した内容は、繰り返し記載による本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0055】
本発明の好ましい具現例によると、前記光架橋結合性作用基はアクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、クマリン、チミンまたはケイ皮酸塩である。
【0056】
本発明の好ましい具現例によると、前記光架橋結合性作用基は、C=C二重結合を有する作用基である。
【0057】
本発明の好ましい具現例によると、前記水溶性の生体適合性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、キト酸、デキストランまたはアルギン酸塩構造を有する重合体である。
【0058】
より好ましくは、水溶性の生体適合性重合体は、下記化学式1で表される重合体である:
化学式1
(PC1)−(PE)x−(PPO)y−(PE)z−(PC2)
前記化学式でPEはエチレンオキサイド、PPOはプロピレンオキサイド、PC1及びPC2は光架橋結合性作用基を示し、x、y及びzは夫々独立的に1−10,000の定数である。
【0059】
本発明の好ましい具現例によると、前記温度敏感性ナノ運搬体は、温度が下がるに従ってその直径が増加する。
【0060】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のナノ運搬体は水溶液分散に分散されていることである。本発明の好ましい具現例によると、本発明のナノ運搬体は37℃での瞳孔の大きさが3−20nmである。
【0061】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のナノ運搬体は、他の種類の生体適合性重合体で官能化されている。
【0062】
本発明の好ましい具現例によると、ナノ運搬体はその内部に蛋白質、核酸分子、ナノ粒子または蛍光物質を含む。
【0063】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のナノ運搬体の表面には、ターゲッティングリガンドが結合されている。前記ターゲッティングリガンドの例は、ホルモン、抗体、細胞−接着蛋白質、糖類及び神経伝達者を含むが、これに限定されるのではない。
【発明の効果】
【0064】
本発明の特徴及び利点を要約すると、次のとおりである:
(i)本発明のナノ運搬体は温度敏感性を有し、温度変化に対応して可逆的に直径及び瞳孔の大きさが変わる。
(ii)本発明の方法によると、ナノ運搬体をワン−ポット単一相で製造することができる。
(iii)本発明のナノ運搬体に薬物が自然的に捕集されることができる。
(iv)本発明のナノ運搬体は、人体内の温度条件で瞳孔の大きさが減少して徐放性薬物送達システムとして用いられ得る。
(v)本発明によると、従来技術の問題点、例えば有害な有機溶媒の利用、複雑な過程、高い生産単価及び低いローディング能力などを解決することができる。
(vi)また、従来技術において通常的に用いられる高速均質化過程または超音波処理過程を必要としないので、本発明はローディングされる薬物の安定性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の単一相光重合反応によるプルロニック−基盤ナノ運搬体の製造過程を示す概略図である。
【図2】DA−PF 127のCMC分析(パイレン利用)結果を示すグラフである。
【図3a】4℃から40℃までの温度変化によるうプルロニック−基盤ナノ運搬体の大きさの変化を示すグラフである。
【図3b】4℃で測定したナノ運搬体の単分散分布図を示すグラフである。
【図3c】37℃で測定したナノ運搬体の単分散分布図を示すグラフである。
【図4】20℃と37℃との間での温度スイングによる本発明のナノ運搬体の可逆的大きさの変化を示すことであって、DLSで測定されたものである。
【図5】プルロニック−基盤ナノ運搬体のイメージである。(a)4℃及び(b)37℃で前平衡な(pre−equilibrated)試料、(c)5nm金ナノ粒子をローディングした以後の試料に対する透過電子顕微鏡(Transmission electron microscopy)イメージである。パネルdはFITC−BSAローディングされたプルロニック−基盤ナノ運搬体に対する逆象蛍光顕微鏡のイメージである。
【図6】プルロニックF 127(PF 127)、ジアクリル化プルロニックF 127(DA−PF 127)及びDA−PF 127の光架橋結合によって製造されたナノ運搬体のFT−IRスペクトラムである。
【図7】37−4℃の温度変化で本発明のプルロニック−基盤ナノ運搬体からFITC−BSAが放出されるパターンを示す。
【図8】プルロニック−基盤ナノ運搬体から金ナノ粒子(5nm及び10nm大きさ)が放出されるパターンを示す。
【図9】プルロニックの基本構造及び多様なプルロニック中、プルロニックF−127(PF 127)とプルロニックF−68(PF 68)の構造的な特性を示す。
【図10】4℃から40℃までの温度変化による0.50%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 68)の大きさの変化を示すグラフである。
【図11】水溶液で、時間による金ナノロッドの吸収波長スペクトラムの変化を示したグラフである。
【図12】水溶液で、0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 127)にローディングされた金ナノロッドの吸収波長スペクトラムの変化を、時間によって観察したグラフである。
【図13】水溶液で、0.50%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 68)にローディングされた金ナノロッドの吸収波長スペクトラムの変化を、時間によって観察したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、実施例を通じて、本発明をさらに詳細に説明しようとする。これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨から、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されないということは当業界における通常の知識を有する者にとって自明である。
【実施例】
【0067】
実験材料
Pluronic F−127(E100P65E100,MW12,600)(PF 127)をBASF Corp.(Seoul,Korea)から入手した。アクリロイルクロライド、トリエチルアミン及び無水トルエンはAldrich(Milwaukee,WI,USA)から購入した。4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(Irgacure 2959)はCiba Specialty Chemicals Inc.(Basel,Switzerland)から購入した。ポタシウムブロマイド、FITC−BSA(fluorescein isothiocyanate−labelled bovine serum albumin)、ポタシウムフォスフェイトモノベイシック、ソジウムフォスフェイトジベイシック及びソジウムアジドはSigma(St. Louis,MO,USA)から購入した。ソジウムクロライド及びポタシウムクロライドはMerk(Darmstadt,Germany)から購入した。NanosepTM遠心分離装置(MWCO 300 000)は、Pall Life Sciences (Ann Arbor,MI,USA)から購入した。透過膜[セルロースエステル(CE)、MWCO 300000 with a nominal pore size of 35nm]はSpectrum(Houston、TX、USA)の製品である。0.2μmセルロース滅菌シリンジフィルターはWhatman(Florham Park、New Jersey、USA)から購入したものである。
【0068】
プルロニック−基盤ナノ運搬体の製造
図1で図示したような方法に従って、本発明のプルロニック−基盤ナノ運搬体を製造した。プルロニックF−127(PF 127)5g及び10倍モールのアクリロイルクロライドとトリエチルアミンを50mL無水トルエンで一夜の間アルゴン大気下で攪拌させ、PF 127のヒドロキシル基をアクリル化した。収得した重合体を無水ジエチルエーテルで沈殿させて濾過した後、真空下で3日間乾燥させた。アクリル化程度は、300 MHz1H−NMRスペクトロスコピー(JNM−LA300WB FT−NMR Spectrometer、JEOL、Japan)を用いて測定し、98%以上アクリル作用基で置換されたジアクリレートプルロニックF−127(DA−PF 127)が製造されることを確認した。
【0069】
DA−PF 127を脱イオン水に溶解し、10.0%(w/w)の前駆体溶液を製造した後、該溶液を常温で蒸溜水に希釈することによって、多様な濃度(1.4,0.77,0.50,0.33,0.20%(w/w))を有する溶液を製造した。希釈された前駆体溶液に70%エタノールに溶かした光開始剤Irgacure 2959を0.05%(w/w)量で添加した。引き続き、フィルターを除去した1.3mW/cm2紫外線ランプ(VL−4.LC,8W,Vilber Lourmat,France)を光源にて一定時間5、10、15分間、光照射してプルロニック−基盤ナノ運搬体を製造した。ナノ運搬体溶液に存在する不純物は、NanosepTMでスピン濾過(14,000rpm、10分)を通じて除去され、回収されたナノ運搬体を蒸溜水に再分散した。
【0070】
CMC(critical micelle concentration)の測定
DA−PF 127のCMCは、ピレンを蛍光プローブで用いて測定した(K. C. Cho,et al.,Macromol. Res.,2006,14,348)。アセトンに溶解したピレン(Aldrich,Milwaukee,WI,USA)を脱イオン水に添加して、6x10−6Mの溶液を製造し、引き続き5時間真空乾燥してアセトンを除去した。DA−PF 127の濃度を0.0001〜1wt%で多様にし、ピレン溶液(最終濃度:6x10−7M)と反応させた。DA−PF 127及びピレンの混合溶液を暗条件下で30分間室温で反応させた。スペクトロフルオロフォトメーター(Shimadzu,RF−5301PC,Kyoto,Japan)を用い、339nmの勵起波長及び390nmの放出波長で蛍光スペクトラムを測定した。
【0071】
プルロニック−基盤ナノ運搬体の特性研究
本発明のプルロニック−基盤ナノ運搬体の水力学的直径及び表面電荷は10mW He−Neレーザー(632.8nm)が装着された電気泳動(Electrophoretic)光スキャタリングスペックトロフォトメーター(ELS−8000、Otsuka Electronics Co.,Japan)を用いて試料に対して90゜の散乱角度にして測定した。温度を調節し、測定は3回反復実施した。また、温度サイクリングの間のナノ運搬体の熱−可逆性は、20℃及び37℃で反復的にサイクリングして分析した。200kV電圧で作動する透過電子顕微鏡(JEM−2100,JEOL,Japan)を用いてプルロニック−基盤ナノ運搬体のイメージを得た。4℃、25℃または37℃で前−平衡なプルロニック−基盤ナノ運搬体懸濁液(0.77wt% with 15 min UV−照射)20μLを200−メッシュ炭素コーティングされた銅グリッド上に室温でドロップ−乾燥させてTEM試料を準備した。TEMイメージの最小50ヶのナノ運搬体をカウンティングしてプルロニック−基盤ナノ運搬体の平均径を決めた。金粒子(5nm)とナノ運搬体を4℃で反応させ、金粒子(5nm)−ローディングナノ運搬体を準備し、TEMイメージを得た。
【0072】
プルロニック−基盤ナノ運搬体の光−架橋程度を評価するためにFT−IRスペクトロフォトメーター(SPECTRUM 2000,Perkin−Elmer,USA)を用いた。プルロニック−基盤ナノ運搬体(0.77wt% with 15 min UV−照射で製造される)を凍結乾燥し、クラインディングで粉末化した後、KBr薄膜にマウンティングした。4000 to 400cm−1の波長範囲で20スキャンで1cm−1の解像度でIRスペクトラムを得た。光−架橋後プルロニック−基盤ナノ運搬体に残存する二重結合は、1635cm−1(二重結合のC=Cストレッチング)付近のIRピークによって分析した。
【0073】
モデル蛋白質充填されたプルロニック−基盤ナノ運搬体の製造及び特性研究
前記実施例で製造したナノ運搬体中に0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体、即ち、プルロニック−基盤ナノ運搬体(光照射時間:15分)を用いて、モデル蛋白質のFITC−BSA(Fluorescein isothiocyanate−labelled bovine serum albumin)を充填した。プルロニック−基盤ナノ運搬体溶液(1mL)にモデル蛋白質のFITC−BSA 200μgを添加し、4℃で12時間放置しながら、モデル蛋白質が自発的に膨張したナノ運搬体内に充填されるようにした。充填されないモデル蛋白質を常温でスピンフィルターを用いて除去した。
【0074】
プルロニック−基盤ナノ運搬体のFITC−BSA捕集効率及びローディング量は、室温で14,000rpmで10分間スピン濾過した後、F.Q.Li,et al.,Int.J.Pharm.,2008,349,274に記載の方法により計算した。FITC−BSAローディングフラックサマナノ運搬体を逆象蛍光顕微鏡(TE2000−U,Nikon,Melville,NY,USA)で可視化した。
【0075】
本発明のプルロニック−基盤ナノ運搬体、即ち、プルロニック−基盤ナノ運搬体から放出されるFITC−BSAを分析するために、FITC−BSAローディングナノ運搬体懸濁液(0.5mL)を透過膜チューブに入れた。0.05%NaN3があるPBS(phosphate buffered saline)5mLに前記チューブを入れ、37℃または4℃で30rpmで攪拌しながら特定温度での放出パターンを分析した。それぞれの時点で全体放出ミディアムを新たなものと交替した。それぞれの時点での放出されたFITC−BSAの量はCoomassie Plus−BradfordTM assay(PIERCE,Rockford,IL,USA)を用いて分析した。全ての測定は3回反復的に実施した。
【0076】
金ナノ粒子充填されたプルロニック−基盤ナノ運搬体の製造及び特性研究
前記実施例で製造したナノ運搬体中に0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体、即ち、プルロニック−基盤ナノ運搬体(光照射時間:15分)を用いて、金ナノ粒子を充填した。プルロニック−基盤ナノ運搬体溶液(1mL)及び金ナノ粒子(5 and 10nm in size,Sigma,St. Louis,MO,USA)0.5mLを混合して4℃で12時間反応させた。ローディングされない金ナノ粒子を除去するために、スピン濾過を14,000rpmで10分間室温で実施した。異なる大きさを有する金ナノ粒子の放出をBSAと同様に実施し、放出量はCary 1E UV−visibleスペックトロフォトメーター(Varian,Melbourne,Australia)を用いて測定した。全ての測定は、3回反復的に実施した。
【0077】
プルロニック−基盤ナノ運搬体の製造(NC−PF68)及び特性研究
米国FDAより承認を受けた多様なプルロニック中、前記実施例で製造したプルロニックF−127(PF 127)のみならず、図9にて示すように構造的に特性において若干異なるプルロニックF−68(PF 68)を使用してプルロニック−基盤ナノ運搬体を製造した。プルロニックF−68(PF 68)も前記実施例で提示した方法と同方法で98%以上アクリル作用基で置換されたジアクリレートプルロニックF−68(DA−PF 68)を製造した。製造されたDA−PF 68を脱イオン水に溶解して10.0%(w/w)の前駆体溶液を製造した後、該溶液を常温で蒸溜水に希釈することによって0.05%(w/w)を有する溶液を製造し、前記実施例で示した光重合反応条件(光開始剤濃度:0.05%(w/w)、光照射時間:15分)を通じてナノ運搬体を製造した。前記実施例の結果として、図3(a)にて示すように、温度敏感性プルロニック−基盤ナノ運搬体の特性を確認するために4℃から40℃まで温度変化を与えることによりナノ運搬体の大きさの変化を観察した。
【0078】
金ナノロッドが充填されたプルロニック−基盤ナノ運搬体の製造及び特性研究
前記実施例で製造したナノ運搬体中、0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 127)と0.50%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 68)、即ち、プルロニック−基盤ナノ運搬体(光照射時間:15分)を用いて金ナノロッドを充電した。プルロニック−基盤ナノ運搬体溶液(1 mL)と金ナノロッド(平均大きさ:40 nm、aspect ratio:3.9)0.5mLを混合して4℃で12時間反応させた。ロディングされていない金ナノロッドを除去するために、スピン濾過を10 000 rpmで5分間実温で実施した。金ナノロッドが充電されたプルロニック−基盤ナノ運搬体は蒸留水に再分散させた後、実温で、時間による吸収波長スペクトラムの変化を8453 UV−visible分光光度計(Agilent)を用いて分析した。全ての測定は3回反復的に実施した。
【0079】
実験結果
光−架橋によるプルロニック−基盤ナノ運搬体の製造
DA−PF 127及び開始剤のみを含む水溶液を多様な条件で光−架橋させ、未反応電球重合体を除去するためにスピンフィルタリングを実施した。表1に記載されているように、簡単な光−架橋処理によって、比較的狭い大きさの分布を有するナノ粒子が形成された。開始剤の特定濃度(0.05wt%)及び特定UV照射の強度(1.3mWcm−2)で0.5乃至1.4wt%の濃度範囲で光−架橋ナノ運搬体を収得した。2wt%以上ではマイクロメーターの大きさの凝集体が形成された。0.33wt%濃度では15分以上のUV照射によって、光−架橋ナノ運搬体が製造された。前駆体濃度を0.2wt%以下にした場合には、ナノ粒子が検出されなかった。光−架橋ナノ運搬体を生成することができる前駆体の濃度範囲(0.33〜1.4wt%)でナノ運搬体の平均径は、111±19nmから213±32nmまで徐々に増加した。逆に、特定前駆体の濃度で、光−架橋ナノ運搬体の平均の大きさは、UV照射時間を増やしても大きく増加しなかった。面白いことは、UV照射前には30nm大きさ以上の粒子が観察されなかった。従って、DA−PF 127の光−架橋によって、ナノ運搬体は形成された。また、DA−PF 127のCMC(0.038wt%)以下の濃度では光−架橋ナノ運搬体が形成されなかった(図2)。結論的に、DA−PF 127マイセルで、光重合反応によってナノ運搬体が形成されたことが分かる(図1)。下記表1は、多様な濃度の前駆体を用いて、製造(UVの強度:1.3mWcm−2)されたプルロニック−基盤ナノ運搬体の大きさを示すものであって、25℃でDLSにて測定したのである(平均±標準偏差n=3)。
【0080】
【表1】
【0081】
プルロニック−基盤ナノ運搬体の特性研究
図3aから分かるように、0.77%(w/w)温度敏感性プルロニック−基盤ナノ運搬体(光照射時間:15分)は、4℃から40℃まで温度を変化させることによって、460±37nmから55±5nmまでナノ運搬体の大きさの変化を見せ、また図3bと図3cに示しているように、4℃と37℃で測定したナノ運搬体の単分散分布度は、製造されたナノ運搬体が均一であるということを見せる。一方、20℃と37℃との温度スイングにおける可逆的大きさ変化に関するデータ(図4)も本発明のナノ運搬体が安定性を有するということを裏付ける。
【0082】
図5は、0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(光照射時間:15分)の構造的な形態と大きさを透過電子顕微鏡で測定した結果であって、ナノ運搬体中に空間が存在することを示す。図5のTEMイメージで、本発明のナノ運搬体は丸い状を有し、温度によって大きさが変わるということが分かる(図5のパネルa及びb)。室温でプルロニック−基盤ナノ運搬体の平均径は160±20nmであり、これは50ヶ以上のナノ運搬体をカウンティングして決定したことであって、表1のDLSデータと一致する。
【0083】
図6で示したように、ジアクリレート作用基を有するプルロニックF−127(DA−PF 127)の光重合反応を通じて製造された0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(光照射時間:15分)の架橋程度を赤外線分光器(Fourier Transform Infrared Spectroscopy、FT−IR)で測定した。アクリレート作用基の二重結合は、1635cm−1 wavenumberで測定されるが、光重合反応後、ナノ運搬体に存在する二重結合が完全に消えたことから100%架橋されたことが分かる。
【0084】
結論的に、本発明のプルロニック−基盤ナノ運搬体は、DA−PF 127の完全な光重合によって形成され、これによって、十分な構造的安定性を有することが把握できる。
図10にて示すように、0.50%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 68、光照射時間:15分)は、0.77%(w/w)プルロニック−基盤ナノ運搬体(NC−PF 127、光照射時間:15分)と同じ方法で4℃から40℃まで温度変化を与えることにより、384±51 nmから99±5 nmまでナノ運搬体の大きさの変化を見せた。温度変化による特性はほぼ類似しているが、大きさにおいてNC−PF 68がNC−PF 127より多少大きいので、使用する物質によって大きさの調節が可能であることが把握できる。
【0085】
モデル蛋白質及びモデルナノ粒子のローディング及び放出
FITC−結合BSAを本発明のプルロニック−基盤ナノ運搬体のインビトロ放出実験に対するモデル蛋白質で選択しているが、これはFITC−BSAを含むナノ運搬体を蛍光顕微鏡で明確に観察することができるからである。FITC−BSAをローディングするために、ナノ運搬体及びFITC−BSAを4℃で単純に混合だけをし、このような簡単な処理によってローディングが可能な理由は、低い温度でナノ運搬体の体積膨張が成り立って、ナノ運搬体がオープン、瞳孔性構造を有するようになるからである。プルロニック−基盤ナノ運搬体の平均径及び大きさの分布は、FITC−BSAが内包されても変化は殆どなかった。本発明によって、ナノ運搬体にFITC−BSAを捕集する効率は90%以上で非常に高かった。図5のパネルdは、FITC−BSAローディングされたプルロニック−基盤ナノ運搬体の蛍光顕微鏡イメージであって、FITC−BSA(MW 67,000)がナノ運搬体の内部によく捕集されていることを示し、これは小さい緑色の蛍光点から確認することができる。
【0086】
同様に、金ナノ粒子(5nm及び10nmの大きさ)も、4℃で本発明のナノ運搬体との簡単な混合によって容易にローディングされた。金ナノ粒子−ローディングナノ運搬体のTEMイメージは、運搬体内部に捕集された金ナノ粒子を示す(図5のパネルc)。FITC−BSAローディング蛍光イメージと共に、金ナノ粒子−ローディングTEMイメージ及びプルロニック−基盤ナノ運搬体の高いローディング能力は、本発明の運搬体が貯蔵所の特性を有し、これによりターゲット薬物の運搬体で用いられ得ることを示す。
【0087】
プルロニック−基盤ナノ運搬体からFITC−BSAが放出されるプロファイルを温度変化によって分析した。期待したように、4℃でプルロニック−基盤ナノ運搬体は膨張するため、充填されたFITC−BSAが急激に放出されるのに対し、37℃ではナノ運搬体の収縮現象が発生して、モデル蛋白質または金ナノ粒子の放出速度が大きく減少した。このような温度−依存性放出パターン(図7)は反復的に維持され、且つ可逆的であった。また、37℃で開始された蛋白質放出は、初期バースト(burst)が殆どなしに発生した。本発明のナノ運搬体の瞳孔の大きさ情報を得るために、5nmまたは10nm大きさの金ナノ粒子をナノ運搬体にローディングし、放出プロファイルを照射した。前記二つの金ナノ粒子のいずれも4℃で90%以上の高い効率でナノ運搬体にローディングされた。しかし、5nm金ナノ粒子は37℃で遅く放出されたが、10nm粒子は37℃で放出が観察されなかった(図8)。従って、本発明のナノ運搬体の37℃での有効瞳孔の大きさは5−10nmであることが分かる。
【0088】
金ナノロッドのローディング及び安定性の評価
金ナノロッドも4℃で本発明のナノ運搬体との簡単な混合により前記例で提示された他のモデルタンパク質のように、容易にローディングされた。図11にて示すように、ナノ運搬体を使用せず、金ナノロッドのみを使用した場合、水溶液で保管する時に不安定であり、吸収波長スペクトラムが時間の経過によって急激に変化することが観察され、一方、図12と13にて示したように、金ナノロッドをプルロニック−基盤ナノ運搬体の中にローディングすると、時間が経ても水溶液で安定した状態が維持されるので、金ナノロッドの特性を維持させることができるのが把握できる。
【0089】
以上で、本発明の特定の部分を詳細に記述したところ、当業界の通常の知識を有する者にとって、このような具体的な技術はただ望ましい具現例であるだけであり、これに本発明の範囲が制限されるのではないことは明白である。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物によって定義されると言える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)光架橋結合性作用基を有する水溶性の生体適合性重合体の分散液を準備する段階;
(b)前記重合体分散液に開始剤を添加する段階;及び
(c)前記(b)の結果物に光を照射して前記重合体を架橋結合させてナノ運搬体を製造する段階を含み、
前記ナノ運搬体は温度変化によって直径が変わることを特徴とする生体適合性、温度敏感性ナノ運搬体を製造する方法。
【請求項2】
前記光架橋結合性作用基は、アクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、クマリン、チミンまたはケイ皮酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光架橋結合性作用基は、C=C二重結合を有する作用基であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水溶性の生体適合性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、キト酸、デキストランまたはアルギン酸塩構造を有する重合体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水溶性の生体適合性重合体は、下記の化学式1で表される重合体であることを特徴とする請求項3に記載の方法:
化学式1
(PC1)−(PE)x−(PPO)y−(PE)z−(PC2)
前記化学式でPEはエチレンオキサイド、PPOはプロピレンオキサイド、PC1及びPC2は光架橋結合性作用基を示し、x、y及びzは夫々独立的に1−10,000の定数である。
【請求項6】
前記段階(c)の光は、紫外線であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、温度が下がるに従って、その直径が増加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記段階(a)−(c)は有機分散相を用いずに、水溶液分散相単独で実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、ヒドロゲルでないナノ粒子であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、37℃での瞳孔の大きさが3−20nmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、段階(c)のナノ運搬体を段階(a)の重合体と異なる種類の生体適合性重合体で官能化させる段階(d)を追加的に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
(a)温度敏感性生体適合性重合体からなるナノ運搬体及び運搬対象の物質を混合する段階;及び
(b)前記混合物をインキュベートして、運搬対象の物質をナノ運搬体の内部に自然的に捕集させる段階を含む徐放性薬物送達システムの製造方法。
【請求項13】
前記水溶性の生体適合性重合体は、下記の化学式1で表される重合体であることを特徴とする請求項12に記載の方法:
化学式1
(PC1)−(PE)x−(PPO)y−(PE)z−(PC2)
前記化学式でPEはエチレンオキサイド、PPOはプロピレンオキサイド、PC1及びPC2は光架橋結合性作用基を示し、x、y及びzは夫々独立的に1−10,000の定数である。
【請求項14】
前記光架橋結合性作用基は、アクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、クマリン、チミンまたはケイ皮酸塩であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記光架橋結合性作用基は、C=C二重結合を有する作用基であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、温度が下がるに従って、その直径が増加することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、ヒドロゲルでないナノ粒子であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、37℃での瞳孔の大きさが3−20nmであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、交差結合されたことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記運搬対象の物質は、蛋白質、核酸分子、ナノ粒子または蛍光物質であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、有機分散相を用いずに、水溶液分散相で実施されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記段階(b)は、0−20℃の温度条件下で実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記段階(b)は、4−10℃の温度条件下で実施することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項24】
末端にある光架橋結合性作用基を通じて架橋結合されている水溶性の生体適合性重合体を含み、前記重合体は、温度変化によって直径が変わり、ヒドロゲルでないナノ粒子形態を有することを特徴とする温度敏感性徐放性ナノ運搬体。
【請求項25】
前記光架橋結合性作用基は、アクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、クマリン、チミンまたはケイ皮酸塩であることを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項26】
前記光架橋結合性作用基は、C=C二重結合を有するグループであることを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項27】
前記水溶性の生体適合性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、キト酸、デキストランまたはアルギン酸塩構造を有する重合体であることを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項28】
前記水溶性の生体適合性重合体は、下記の化学式1で表される重合体であることを特徴とする請求項27に記載のナノ運搬体:
化学式1
(PC1)−(PE)x−(PPO)y−(PE)z−(PC2)
前記化学式でPEはエチレンオキサイド、PPOはプロピレンオキサイド、PC1及びPC2は光架橋結合性作用基を示し、x、y及びzは夫々独立的に1−10,000の定数である。
【請求項29】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、温度が下がるに従って、その直径が増加することを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項30】
前記ナノ運搬体は、水溶液分散相に分散されていることを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項31】
前記ナノ運搬体は、37℃での瞳孔の大きさが3−20nmであることを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項32】
前記ナノ運搬体は、異なる種類の生体適合性重合体で官能化されていることを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項33】
前記ナノ運搬体は、その内部に蛋白質、核酸分子、ナノ粒子または蛍光物質を含むことを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項1】
(a)光架橋結合性作用基を有する水溶性の生体適合性重合体の分散液を準備する段階;
(b)前記重合体分散液に開始剤を添加する段階;及び
(c)前記(b)の結果物に光を照射して前記重合体を架橋結合させてナノ運搬体を製造する段階を含み、
前記ナノ運搬体は温度変化によって直径が変わることを特徴とする生体適合性、温度敏感性ナノ運搬体を製造する方法。
【請求項2】
前記光架橋結合性作用基は、アクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、クマリン、チミンまたはケイ皮酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光架橋結合性作用基は、C=C二重結合を有する作用基であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水溶性の生体適合性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、キト酸、デキストランまたはアルギン酸塩構造を有する重合体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水溶性の生体適合性重合体は、下記の化学式1で表される重合体であることを特徴とする請求項3に記載の方法:
化学式1
(PC1)−(PE)x−(PPO)y−(PE)z−(PC2)
前記化学式でPEはエチレンオキサイド、PPOはプロピレンオキサイド、PC1及びPC2は光架橋結合性作用基を示し、x、y及びzは夫々独立的に1−10,000の定数である。
【請求項6】
前記段階(c)の光は、紫外線であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、温度が下がるに従って、その直径が増加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記段階(a)−(c)は有機分散相を用いずに、水溶液分散相単独で実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、ヒドロゲルでないナノ粒子であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、37℃での瞳孔の大きさが3−20nmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、段階(c)のナノ運搬体を段階(a)の重合体と異なる種類の生体適合性重合体で官能化させる段階(d)を追加的に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
(a)温度敏感性生体適合性重合体からなるナノ運搬体及び運搬対象の物質を混合する段階;及び
(b)前記混合物をインキュベートして、運搬対象の物質をナノ運搬体の内部に自然的に捕集させる段階を含む徐放性薬物送達システムの製造方法。
【請求項13】
前記水溶性の生体適合性重合体は、下記の化学式1で表される重合体であることを特徴とする請求項12に記載の方法:
化学式1
(PC1)−(PE)x−(PPO)y−(PE)z−(PC2)
前記化学式でPEはエチレンオキサイド、PPOはプロピレンオキサイド、PC1及びPC2は光架橋結合性作用基を示し、x、y及びzは夫々独立的に1−10,000の定数である。
【請求項14】
前記光架橋結合性作用基は、アクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、クマリン、チミンまたはケイ皮酸塩であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記光架橋結合性作用基は、C=C二重結合を有する作用基であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、温度が下がるに従って、その直径が増加することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、ヒドロゲルでないナノ粒子であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、37℃での瞳孔の大きさが3−20nmであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、交差結合されたことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記運搬対象の物質は、蛋白質、核酸分子、ナノ粒子または蛍光物質であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、有機分散相を用いずに、水溶液分散相で実施されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記段階(b)は、0−20℃の温度条件下で実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記段階(b)は、4−10℃の温度条件下で実施することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項24】
末端にある光架橋結合性作用基を通じて架橋結合されている水溶性の生体適合性重合体を含み、前記重合体は、温度変化によって直径が変わり、ヒドロゲルでないナノ粒子形態を有することを特徴とする温度敏感性徐放性ナノ運搬体。
【請求項25】
前記光架橋結合性作用基は、アクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、クマリン、チミンまたはケイ皮酸塩であることを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項26】
前記光架橋結合性作用基は、C=C二重結合を有するグループであることを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項27】
前記水溶性の生体適合性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、キト酸、デキストランまたはアルギン酸塩構造を有する重合体であることを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項28】
前記水溶性の生体適合性重合体は、下記の化学式1で表される重合体であることを特徴とする請求項27に記載のナノ運搬体:
化学式1
(PC1)−(PE)x−(PPO)y−(PE)z−(PC2)
前記化学式でPEはエチレンオキサイド、PPOはプロピレンオキサイド、PC1及びPC2は光架橋結合性作用基を示し、x、y及びzは夫々独立的に1−10,000の定数である。
【請求項29】
前記温度敏感性ナノ運搬体は、温度が下がるに従って、その直径が増加することを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項30】
前記ナノ運搬体は、水溶液分散相に分散されていることを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項31】
前記ナノ運搬体は、37℃での瞳孔の大きさが3−20nmであることを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項32】
前記ナノ運搬体は、異なる種類の生体適合性重合体で官能化されていることを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【請求項33】
前記ナノ運搬体は、その内部に蛋白質、核酸分子、ナノ粒子または蛍光物質を含むことを特徴とする請求項24に記載のナノ運搬体。
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2009−173654(P2009−173654A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11440(P2009−11440)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(502223596)光州科学技術院 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(502223596)光州科学技術院 (7)
【Fターム(参考)】
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