説明

温度調節装置及び温度調節方法

【課題】内部に流体を封入した状態で使用される対象装置から外部に流体を循環させて当該流体の温度を調節する温度調節装置において、当該温度調節装置を接続することにより増加した分量の流体が、当該対象装置内部における液面レベルの変化に影響を与えることを抑制する。
【解決手段】温度調節部10と、第一流路21と、第二流路22と、第一流路21と第二流路22とを接続するバイパス流路20と、対象装置100へ流体を供給しない第一循環状態と、対象装置100へ流体を供給する第二循環状態とを切り替える切替装置3と、第一循環状態で、温度上昇により増加した体積分の流体を循環経路から退避させ、温度低下により減少した体積分の流体を循環経路へ帰還させる体積調整装置2と、第二循環状態で、体積調整装置2を循環経路から分離する分離装置4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に流体を封入した状態で使用される対象装置から外部に流体を循環させて当該流体の温度を調節する温度調節装置、及び当該温度調節装置を用いた温度調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に流体を封入した状態で使用される装置として、車両用の自動変速装置やハイブリッド車両用駆動装置等の車両用の各種駆動装置が一例として挙げられる。これらの装置のケース内部では、回転電機等の発熱体の冷却、歯車機構の潤滑、クラッチやブレーキといった摩擦係合要素の作動等の目的で作動油が循環されており、高温になった作動油は当該ケースと接続されたオイルクーラに供給され、当該オイルクーラで冷却された後、再びケース内に戻されるように構成されている。
【0003】
上記のような装置を試験する際には、実際の車両の運転時における駆動装置の状態にできるだけ近い状態で試験を行うことが望ましい。駆動装置ケース内部の作動油の温度は車両の運転状態に大きく依存するものであり、試験で想定する車両の運転状態に応じた所定の温度に作動油の温度を調節した状態で試験を行わなければ、信頼性のある試験結果を得ることができない。この問題は、車両用の駆動装置に限らず、内部に流体を封入した状態で使用される装置全般に生じるものである。
【0004】
上記の問題を解決するものとして、特許文献1には駆動装置の試験装置が記載されている。この試験装置は温度調整手段を備え、駆動装置ケース内部に所定の温度の作動油を供給できるように構成されている。具体的には、駆動装置とオイルクーラとを接続するために駆動装置ケースに設けられている油出口及び油入口と試験装置とを油路で接続し、駆動装置から供給された作動油を試験装置内に設けられたヒータで加熱し、当該加熱後の作動油を駆動装置に戻すように構成されている。このような試験装置は、車両用の各種駆動装置や、その他の内部に流体を封入した状態で使用される装置の試験にも適用することができ、少なくとも流体の温度に関しては、実際の装置の使用時に近い状態で試験を行うことが可能になる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−326131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1のような構成では、以下のような問題が発生することが判明した。
すなわち、作動油の温度が上昇するとその体積は増加するが、通常試験装置内部や試験装置と駆動装置とを接続する油路は作動油で満たされているため、試験開始時に駆動装置に収容されていた作動油だけでなく、試験装置内部や油路に存在していた作動油の体積の増加も、駆動装置ケース内部における油面レベルの上昇に関与することになる。駆動装置ケース内部における油面レベルは、潤滑や冷却等の性能に大きな影響を与えるため、油面レベルが実際の駆動装置の使用時よりも高いレベルになると、信頼性のある試験が行えなくなる。作動油に限らず、流体は一般的に温度と体積との間に相関関係があるので、この問題は駆動装置の試験に限らず、車両用の各種駆動装置や内燃エンジン、その他の内部に流体を封入した状態で使用される装置の試験においても起こり得る。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部に流体を封入した状態で使用される対象装置から外部に流体を循環させて当該流体の温度を調節する温度調節装置において、当該温度調節装置を接続することにより増加した分量の流体が、当該対象装置内部における液面レベルの変化に影響を与えることを抑制できる温度調節装置、及び当該温度調節装置を用いた温度調節方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る、内部に流体を封入した状態で使用される対象装置から外部に流体を循環させて当該流体の温度を調節する温度調節装置の特徴構成は、循環する流体に対する加熱機能及び冷却機能の一方又は双方を有する温度調節部と、前記温度調節部から前記対象装置へ向かう流体が通る第一流路と、前記対象装置から前記温度調節部へ向かう流体が通る第二流路と、前記第一流路と前記第二流路とを接続するバイパス流路と、前記第一流路から前記バイパス流路を通って前記第二流路へ循環する流体の循環経路が形成される第一循環状態と、前記第一流路から前記対象装置の内部を通って前記第二流路へ循環する流体の循環経路が形成される第二循環状態とを切り替える切替装置と、前記第一循環状態で、温度上昇により増加した体積分の流体を前記循環経路から退避させ、温度低下により減少した体積分の流体を前記循環経路へ帰還させる体積調整装置と、前記第二循環状態で、前記体積調整装置を前記循環経路から分離する分離装置と、を備えた点にある。
【0009】
上記温度調節装置の特徴構成によれば、対象装置に流体を供給しない第一循環状態において、温度変化により増減した体積分の流体を体積調整装置により循環経路から退避、或いは循環経路へ帰還させることができるため、循環経路内の流体の体積を温度によらず一定に保つことができる。そのため、対象装置を経由しない循環経路内における流体の温度を、流体の体積を変化させることなく所定の温度に調節することができる。
また、温度調節装置で温度を調節した流体を対象装置に供給して循環させる第二循環状態においては、体積調整装置を循環経路から分離することができるため、流体の温度変化による体積の増減を、対象装置内における流体の液面レベルの変化に反映させることができる。
【0010】
ここで、前記温度調節部は、前記第一循環状態及び前記第二循環状態のそれぞれで、前記循環経路内の流体の温度を所定の設定温度に調節し、前記体積調整装置は、前記第一循環状態で前記循環経路内の流体の温度が前記設定温度に調節される際に、温度上昇により増加した体積分の流体を前記循環経路から退避させ、或いは温度低下により減少した体積分の流体を前記循環経路へ帰還させることで前記循環経路内の流体の体積を調整し、前記切替装置は、前記第一循環状態で前記循環経路内の流体の温度が前記設定温度に調節された後、前記第一循環状態から前記第二循環状態に切り替え、前記分離装置は、前記第一循環状態で前記循環経路内の流体の温度が前記設定温度に調節された後、前記切替装置による前記第二循環状態への切り替え前、又は、前記第二循環状態への切り替えと同時に、前記体積調整装置を前記循環経路から分離する構成とすると好適である。
【0011】
この構成によれば、温度調節部が第一循環状態で循環経路内の流体の温度調節を行う際には、体積調整装置が循環経路内の流体の体積を調整するため、当該循環経路内の流体の温度を、流体の体積を変化させることなく所定の設定温度に調節することができる。そして、第一循環状態における循環経路内の流体の温度が前記設定温度に調節されると、切替装置は流体の循環状態を第一循環状態から第二循環状態へ切り替え、温度調節部が第二循環状態で循環経路内の流体の温度調節を行うことで、流体の温度変化による体積の増減を対象装置内における流体の液面レベルの変化に反映させることができる。この際、切替装置による第二循環状態への切り替え前、又は、第二循環状態への切り替えと同時に、分離装置が体積調整装置を循環経路から分離するため、温度調節部が第二循環状態で循環経路内の流体の温度調節を行う際には体積調整装置は機能しない。従って、対象装置内部に封入される流体の流量にほぼ等しい量の流体の温度変化による体積の増減のみを、対象装置内部における液面レベルの変化に反映させることができる。
【0012】
ここで、前記切替装置は、前記第一流路と前記バイパス流路との接続部に設けられ、前記温度調節部側から当該接続部に到達した流体を前記対象装置側へ流通させる状態と、前記温度調節部側から当該接続部に到達した流体を前記バイパス流路へ流通させる状態とを切り替える第一切替弁と、前記第二流路と前記バイパス流路との接続部に設けられ、前記対象装置側から当該接続部に到達した流体を前記温度調節部側へ流通させる状態と、前記バイパス流路から当該接続部に到達した流体を前記温度調節部側へ流通させる状態とを切り替える第二切替弁と、を備えると好適である。
【0013】
この構成によれば、第一切替弁及び第二切替弁を切り替えるだけで、第一循環状態と第二循環状態とを切り替えることが可能になり、切替装置の構成を簡素なものとすることができる。
【0014】
ここで、前記体積調整装置は、前記循環経路から退避させた流体を貯留するための貯留槽と、前記循環経路から前記貯留槽へ向かう流体が通る第三流路と、前記貯留槽から前記循環経路へ向かう流体が通る第四流路とを備えていると好適である。
【0015】
この構成によれば、第一循環状態において、温度上昇により流体の体積が増加した場合、増加した体積分の流体を、第三流路を介して循環経路から貯留槽に退避させることができる。また、温度低下により流体の体積が減少した場合、減少した体積分の流体を、第4流路を介して貯留槽から循環経路に帰還させることができる。
【0016】
ここで、前記第三流路は、所定の圧力が前記循環経路から前記貯留槽へ向かう方向に加わると開弁して、前記循環経路から前記貯留槽への流体の流通を許容するリリーフ弁を備え、前記第四流路は、前記貯留槽から前記循環経路へ向かう方向のみの流体の流通を許容する逆止弁を備えていると好適である。
【0017】
この構成によれば、第一循環状態において、温度上昇により循環経路内の流体の圧力が上昇し、第三流路に設けられたリリーフ弁に循環経路から貯留槽へ向かう方向に所定の圧力以上の圧力が加わると、リリーフ弁が開弁され、温度上昇により増加した体積分の流体を第三流路を介して貯留槽へ退避させることができる。また、貯留槽に貯留された流体を循環経路に帰還させるための第四流路には、貯留槽から循環経路に向かう方向のみの流体の流通を許容する逆止弁が備えられているため、循環経路内の流体が第4流路を介して貯留槽へ流れることを防止できる。
【0018】
ここで、前記分離装置は、前記第三流路内の流体の流通を遮断可能な第一遮断弁と、前記第四流路内の流体の流通を遮断可能な第二遮断弁とを備えると好適である。
【0019】
この構成によれば、第一遮断弁及び第二遮断弁を切り替えるだけで、体積調整装置を循環経路から分離することが可能になり、分離装置の構成を簡素なものとすることができる。
【0020】
ここで、前記対象装置が、車両用の駆動装置であり、前記対象装置の内部に封入されて使用される流体が、前記駆動装置内部で使用される作動油であると好適である。
【0021】
この構成によれば、温度調節装置を、作動油の温度が所定の温度に調節されるまでの間は第一循環状態で運転させ、その後第二循環状態に切り替えて作動油が当該所定の温度に維持されるように運転させることで、駆動装置内部に封入される作動油の油量にほぼ等しい量の作動油の温度変化による体積の増減のみを、駆動装置内部における油面レベルの変化に反映させることができる。
【0022】
ここで、前記第一流路における前記パイバス流路との接続部と前記対象装置との接続部とが隣接し、前記第二流路における前記パイバス流路との接続部と前記対象装置との接続部とが隣接していると好適である。
【0023】
第一流路におけるバイパス流路との接続部から対象装置との接続部までの部分と、第二流路における対象装置との接続部からバイパス流路との接続部までの部分は、第一循環状態における循環経路に含まれないため、これらの部分に存在する流体は、第一循環状態においては温度の調節がなされずに、第二循環状態において温度が調節されることになる。そのため、上記部分に存在する流体の温度変化による体積の増減が、対象装置内での液面レベルの変化に影響を及ぼす。この構成によれば、上記部分の容積が小さくなるため、当該部分に存在する流体の体積の増減が対象装置内における液面レベルの変化に及ぼす影響を小さくことができる。
【0024】
また、上記目的を達成するための本発明に係る、温度調節装置を用いた温度調節方法の特徴構成は、内部に流体を封入した状態で使用される装置を対象装置とし、前記対象装置から外部に循環させた流体に対する加熱機能及び冷却機能の一方又は双方を有する温度調節部、及び、前記温度調節部から流出した流体が前記対象装置の内部を通ることなく前記温度調節部へ戻る流体の循環経路が形成される第一循環状態と、前記温度調節部から流出した流体が前記対象装置の内部を通って前記温度調節部へ戻る流体の循環経路が形成される第二循環状態とを切替可能な流路、を備えた温度調節装置を用い、前記第一循環状態で、循環経路内の流体の温度を所定の設定温度に調節する第一温度調節ステップと、前記第一温度調節ステップの実行中に、温度上昇により増加した体積分の流体を前記循環経路から退避させ、或いは温度低下により減少した体積分の流体を前記循環経路へ帰還させる体積調整ステップと、前記第一循環状態から前記第二循環状態に切り替える切替ステップと、前記第二循環状態で、循環経路内の流体の温度を前記設定温度に調節する第二温度調節ステップと、を備えた点にある。
【0025】
上記温度調節装置を用いた温度調節方法の特徴構成によれば、第一温度調節ステップにおいて、体積調整ステップを実行することで、対象装置を経由しない循環経路内における流体の温度を、流体の体積を変化させることなく所定の温度に調節することができる。次に、切替ステップを実行することにより第一循環状態から第二循環状態に切り替え、第二温度調節ステップを実行することで、流体の温度変化による体積の増減を、対象装置内における流体の液面レベルの変化に反映させることができる。従って、対象装置内部に封入される流体の流量にほぼ等しい量の流体の温度変化による体積の増減のみを、対象装置内部における液面レベルの変化に反映させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明を、車両用の駆動装置100との間で作動油を循環させて当該作動油の温度を調節する温度調節装置1に適用した場合を例として説明する。つまり、本実施形態においては、駆動装置100が対象装置に相当する。なお、駆動装置100としては、各種の自動変速装置、手動変速装置、ケース内に回転電機を備えた電気自動車又はハイブリッド車用の駆動装置等が含まれる。
図1は、本実施形態に係る温度調節装置1を示す概略構成図である。図2は、駆動装置100を経由しない循環経路が実現される第一循環状態における作動油の流動の様子、及び、体積調整装置2による作動油の体積調整の様子を示す図である。図3は、駆動装置100を経由する循環経路が実現される第二循環状態における作動油の流動の様子、及び、駆動装置100のケース内における油面レベルの変化の様子を示す図である。以下、この温度調節装置1の構成、体積調整装置2の構成、及び温度調節装置1を用いた温度調節方法について順に説明する。
【0027】
1.温度調節装置の構成
まず、本実施形態に係る温度調節装置1の構成について概略的に説明する。図1に示すように、この温度調節装置1は、作動油に対する加熱機能及び冷却機能の双方を有する温度調節部10と、温度調節部10から駆動装置100へ向かう作動油が通る第一流路21と、駆動装置100から温度調節部10へ向かう作動油が通る第二流路22とを有し、第一流路21から駆動装置100の内部を通って第二流路22へ循環する作動油の循環経路が形成される第二循環状態を実現可能に構成されている。さらに、温度調節装置1は、第一流路21と第二流路22とを接続するバイパス流路20を有し、第一流路21からバイパス流路20を通って第二流路22へ循環する作動油の循環経路が形成される第一循環状態を実現可能に構成されている。そして、温度調節装置1は、第一循環状態と第二循環状態とを切り替える切替装置3、第一循環状態において作動油の体積調整を行う体積調整装置2、及び第二循環状態において体積調整装置2を循環経路から分離する分離装置4を有する。
【0028】
駆動装置100のケース内では、歯車機構等の潤滑や冷却、またクラッチやブレーキといった摩擦係合要素の作動等の目的で作動油が循環されている。そして、駆動装置100のケースには、高温になった作動油をオイルクーラに供給するための油出口51と、オイルクーラを経由した作動油をケース内に戻すための油入口50が形成されている。
本実施形態では、駆動装置100のケースにオイルクーラを取り付けず、第一流路21の一端と油入口50とを接続し、第二流路22の一端と油出口51とを接続している。この構成をとることで、温度調節装置1と駆動装置100との間で作動油を循環させることが可能になっている。
【0029】
本実施形態においては、温度調節部10は、作動油を加熱するための図示しない加熱機能部と、作動油を冷却するための図示しない冷却機能部とを備えており、作動油の温度を加熱又は冷却するように構成されている。例えば、60℃から150℃の範囲で作動油の温度を調節するように構成できる。また、上記加熱機能部はヒータを有し、上記冷却機能部は水冷用或いは空冷用の冷却用熱交換器を有して構成されている。上記加熱機能部や上記冷却機能部については周知の構成を適宜採用できる。
【0030】
図1に示すように、第一流路21とバイパス流路20との接続部には第一切替弁30が備えられ、第二流路22とバイパス流路20との接続部には第二切替弁31が備えられている。第一切替弁30は、温度調節部10側から到達した作動油を駆動装置100側へ流通させる状態と、温度調節部10側から到達した作動油をバイパス流路20へ流通させる状態とを切り替える弁である。また、第二切替弁31は、駆動装置100側から到達した作動油を温度調節部10側へ流通させる状態と、バイパス流路20から到達した作動油を温度調節部10側へ流通させる状態とを切り替える弁である。本実施形態では、第一切替弁30及び第二切替弁31の双方とも三方弁を採用している。
【0031】
本実施形態においては、第一流路21におけるパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部とが隣接し、第二流路22におけるパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部とが隣接している。つまり、第一切替弁30と油入口50とが隣接し、第二切替弁31と油出口51とが隣接するように構成されている。
【0032】
さらに、温度調節装置1は、第一切替弁30と第二切替弁31とを連動して切り替えるための連動式レバー装置60を備えている。本実施形態においては、第一切替弁30、第二切替弁31、及び連動式レバー装置60により、切替装置3が構成されている。すなわち、この切替装置3により、駆動装置100を経由しない循環経路が形成される第一循環状態と、駆動装置100を経由する循環経路が形成される第二循環状態とを切り替えることが可能になっている。
【0033】
また、本実施形態においては、第一流路21には継手36が、第二流路22には継手37が備えられている。これらの継手36,37を備えることで第一流路21及び第二流路22を当該箇所で分離することができ、切替装置3を使用する必要がない場合においては、切替装置3を介さず直接油入口50及び油出口51に第一流路21及び第二流路22を接続可能に構成されている。
【0034】
そして、本実施形態においては、第一流路21における温度調節部10との接続箇所と、継手36が設けられている箇所との間の位置に、後述する体積調整装置2との接続部が設けられている。
【0035】
2.体積調整装置の構成
体積調整装置2は、温度上昇により増加した体積分の流体を循環経路から退避させ、温度低下により減少した体積分の流体を循環経路へ帰還させるためのものである。図1に示すように、体積調整装置2は、その主要な構成要素として、調整タンク40と、循環経路から調整タンク40へ向かう作動油が通る第三流路23と、調整タンク40から循環経路へ向かう流体が通る第四流路24と、第三流路23に設けられたリリーフ弁32と、第四流路24に設けられた逆止弁33とを有している。本実施形態においては、調整タンク40が貯留槽に相当する。
【0036】
調整タンク40は、循環経路から退避させた作動油を貯留するとともに、足りない分を循環経路に補充するためのものである。本実施形態においては、調整タンク40はキャッチタンク41と図示しない液面計とを備えている。調整タンク40の内部では、循環経路から退避された高温の作動油の一部がミスト状になることがあるが、キャッチタンク41は、そのようなミスト状の作動油を捕獲するように構成されている。また、調整タンク40には、開閉弁38を介して給油口42と連通する流路が備えられ、作動油の油面レベルが所定の下限レベルよりも下がった場合に、作動油を調整タンク40に供給可能に構成されている。
【0037】
リリーフ弁32は、所定の圧力(以下、リリーフ圧という)が第一流路21から調整タンク40へ向かう方向に加わると開弁し、第一流路21から調整タンク40への作動油の流通を許容するように構成されている。そのため、第一流路21内の作動油の温度が上昇することで当該作動油の圧力が高くなり、リリーフ弁32に対して上記方向にリリーフ圧以上の圧力が加わると、リリーフ弁32が開弁する。そして、リリーフ弁32に加わる圧力がリリーフ圧より小さくなるまで、第一流路21内の作動油が調整タンク40内へ流れる。つまり、温度上昇により増加した体積分の作動油を、調整タンク40に退避させるように構成されている。
【0038】
逆止弁33は、調整タンク40から第一流路21へ向かう方向(以下、正方向という)のみの作動油の流通を許容するように構成されている。この逆止弁33を備えているため、第一流路21内の作動油が第4流路24を介して調整タンク40へ流れることが防止されている。
さらに、第一流路21内の作動油の温度が低下することで当該作動油の圧力が低くなり、逆止弁33に対して正方向に圧力が加わると、逆止弁33を通って調整タンク40内の作動油が第一流路21内へ流れる。つまり、温度低下により減少した体積分の作動油を、第一流路21へ帰還させるように構成されている。
【0039】
また、第三流路23には第一遮断弁34が、第四流路24には第二遮断弁35が備えられており、それぞれの流路内の作動油の流通を遮断可能に構成されている。本実施形態においては、第一遮断弁34及び第二遮断弁35により、分離装置4が構成されている。第一遮断弁34及び第二遮断弁35の双方を遮断すると、体積調整装置2が第一流路21から分離される。
【0040】
3.温度調節装置を用いた温度調節方法
上記のように構成された温度調節装置1を用いた温度調節方法について、図2及び図3に基づいて説明する。なお、図2及び図3は、夫々、第一循環状態及び第二循環状態における作動油の流動の様子、及び、調整タンク40内及び駆動装置100のケース内における作動油の油面レベルの変化の様子を示した図である。
【0041】
まず初めに、切替装置3により作動油の循環状態を第一循環状態とし、分離装置4を機能させず、体積調整装置2により作動油の体積を調整しながら(体積調整ステップ)、第一循環状態における循環経路内の作動油の温度を所定の設定温度に調節する(第一温度調節ステップ)。この状態では、作動油の温度が上昇すると、増加した体積分の作動油は第一流路21から調整タンク40へ退避され、作動油の温度が低下すると、減少した体積分の作動油が調整タンク40から第一流路21へ帰還される。図2は、作動油の温度を、温度調節装置1の運転開始時の作動油の温度よりも高い設定温度に調節する場合における、作動油の流動の様子、及び、調整タンク40内の油面レベルの変化の様子を示している。この図に示すように、温度上昇により増加した体積分の作動油が調整タンク40に退避され、調整タンク40内における油面レベルが上昇する。このように温度調節装置1を運転することで、予め第一循環状態における循環経路内を作動油で満たしておけば、当該循環経路内の作動油の体積を変化させることなく、当該循環経路内の作動油の温度を、所定の設定温度に調節することができる。
【0042】
第一循環状態における循環経路内の作動油の温度が上記設定温度に調節されると、次に、切替装置3により作動油の循環状態を第二循環状態とし(切替ステップ)、第二循環状態における循環経路内の作動油の温度を上記設定温度に調節する(第二温度調節ステップ)。なお、この第二温度調節ステップにおいては、循環経路内の作動油の体積を調整する必要はないため、切替ステップの実行と同時、又は、第一循環状態における循環経路内の作動油の温度が上記設定温度に調節された後であって切替ステップの実行前に、分離装置4により体積調整装置2を循環経路から分離する(分離ステップ)。この状態では、作動油の温度が上昇すると、増加した体積分の作動油は調整タンク40に退避されず、作動油の温度上昇による体積の増加が駆動装置100のケース内部での油面レベルの上昇に反映される。逆に、作動油の温度が低下すると、減少した体積分の作動油は調整タンク40から帰還されず、作動油の温度低下による体積の減少が駆動装置100のケース内部での油面レベルの下降に反映される。図3は、作動油の温度を、第二循環状態に切り替えた際の駆動装置100のケース内の作動油の温度よりも高い設定温度に調節する場合における、作動油の流動の様子、及び、駆動装置100のケース内の油面レベルの変化の様子を示している。この図に示すように、温度上昇により作動油の体積が増加し、駆動装置100のケース内部における油面レベルが上昇する。なお、以下に説明するように、この駆動装置100のケース内部における油面レベルの変化は、駆動装置100のケース内部に封入される作動油の流量にほぼ等しい量の作動油の温度変化による体積の増減のみが反映されたものである。
【0043】
すなわち、上記のように作動油の温度を調節するに際して、切替装置3により作動油の循環状態を第一循環状態から第二循環状態に切り替える時点では、第一循環状態で形成される循環経路内の作動油は、その体積を変化させることなく所定の設定温度に調節されている。そのため、切替装置3により第二循環状態に切り替えた後の第二温度調節ステップにおいては、第二循環状態で形成される循環経路の内、第一循環状態で形成される循環経路に含まれない部分、すなわち駆動装置100のケース内部に切替ステップを実行した際に存在していた作動油のみが、上記設定温度に調節される。一方、第二循環状態で形成される循環経路の内、第一循環状態で形成される循環経路に含まれる部分に存在していた作動油の温度は、切替ステップの実行後に駆動装置100のケース内に存在していた作動油と混合されることで温度が一時的に変化することがあっても、結果的には切替ステップを実行した際の温度と等しくなり、体積は切替ステップの実行時と同じである。そのため、第二温度調節ステップにおいて実際に体積が変化するのは、駆動装置100のケース内部に存在していた作動油のみであり、その作動油の体積の増減のみが駆動装置100のケース内部における油面レベルの変化に寄与する。
【0044】
なお、上記の説明では、第一流路21において互いに隣接するパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部との間の流路の容積と、第二流路22において互いに隣接するパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部との間の流路の容積との和は、駆動装置100のケース内部に封入される作動油の全体積に対して小さく、当該流路内の作動油の影響は無視できるものとした。
【0045】
また、本実施形態では、温度調節装置1は、第一流路21と第二流路22とを接続するバイパス流路20を備えている。しかし、温度調節部1から流出した作動油が駆動装置100の内部を通ることなく温度調節部1へ戻る作動油の循環経路が形成される第一循環状態と、温度調節部1から流出した作動油が駆動装置100の内部を通って温度調節部1へ戻る作動油の循環経路が形成される第二循環状態とを切替可能な流路を備えた温度調節装置であれば、バイパス流路20を備えていなくても、ここで述べた温度調節方法に用いることができる。
【0046】
〔その他の実施形態〕
(1)上述した構成では、第一流路21におけるパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部とが隣接し、第二流路22におけるパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部とが隣接しているとしたが、この構成について更に具体的に説明する。
例えば、第一流路21におけるパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部とを一体的に設け、第二流路22におけるパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部とを一体的に設ける構成を採用することができる。すなわち、油入口50における接続部材と第一切替弁30とを一体的に設け、油出口51における接続部材と第二切替弁31とを一体的に設ける構成とする。
また、第一流路21におけるパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部との間の流路の容積と、第二流路22におけるパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部との間の流路の容積との和が、駆動装置100に収容される作動油の全体積の5%以下である構成を採用しても良い。この場合、上記の温度調節方法を行う際に、第一循環状態において温度の調節がされない、第一流路21におけるパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部との間の流路内と、第二流路22におけるパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部との間の流路内に存在する作動油が、駆動装置100のケース内における油面レベルの変化に与える影響を小さくすることができる。
さらに、上記の実施形態のオイルクーラのように、駆動装置100を実際に車両に搭載して使用する場合には作動油が循環するが、駆動装置100と温度調節装置1とを接続することで作動油が循環しなくなる流路が生じる場合がある。そのような場合は、第一流路21におけるパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部との間の流路の容積と、第二流路22におけるパイバス流路20との接続部と駆動装置100との接続部との間の流路の容積との和が、温度調節装置1と接続することで作動油の循環経路から外れた流路の容積と等しくなる構成を採用することが好適である。この場合、上記の温度調節方法を行う際に、作動油が循環しなくなる流路も考慮した上での駆動装置100のケース内部に封入される作動油の流量にほぼ等しい量の作動油の温度変化による体積の増減を、駆動装置100のケース内部における油面レベルの変化に反映させることができる。
【0047】
(2)上記の実施形態では、本発明を、車両用の駆動装置100との間で作動油を循環させて当該作動油の温度を調節する温度調節装置1に適用した場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、内部に流体を封入した状態で使用される対象装置との間で流体を循環させて当該流体の温度を調節する温度調節装置であれば、車両用の駆動装置に限らず本発明を適用することができる。この場合において、対象装置の内部に封入する流体は作動油に限らず、その他の流体、例えば、水等の液体、或いは気体等も含まれる。
【0048】
(3)上記の実施形態では、温度調節部10は、加熱機能及び冷却機能の双方を備える場合を例として説明したが、加熱機能又は冷却機能のみを備える構成としても良い。
【0049】
(4)上記の実施形態では、駆動装置100のケースにオイルクーラを取り付けず、第一流路21の一端と油入口50とを接続し、第二流路22の一端と油出口51とを接続する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。駆動装置100のケース内の作動油を外部に流通させて循環させることができるのであれば、第一流路21及び第二流路22と駆動装置100のケースとの接続部は任意の場所に設けることができる。したがって、例えば、第一流路21及び第二流路22との接続にのみ使用する孔を、駆動装置100のケースに設けても良い。
【0050】
(5)上記の実施形態では、切替装置3が、第一切替弁30、第二切替弁31、及び連動式レバー装置60により構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、連動式レバー装置60を有さない構成を採用しても良い。また、駆動装置100を経由しない循環経路が形成される第一循環状態と、駆動装置100を経由する循環経路が形成される第二循環状態とを切り替えることができる構成であれば良く、切替弁以外の種類の弁や、その他の任意の構成を採用することができる。
【0051】
(6)上記の実施形態では、体積調整装置2が、調整タンク40と、第三流路23と、第四流路24と、リリーフ弁32と、逆止弁33とにより構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、同様の機能を有する構成であれば、任意の構成を採用することができる。
【0052】
(7)上記の実施形態では、分離装置4が、第一遮断弁34及び第二遮断弁35により構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、体積調整装置2を循環経路から分離することができれば良く、遮断弁以外の弁を採用することや、その他の任意の構成を採用することができる。
【0053】
(8)上記の実施形態では、第一流路21における温度調節部10との接続箇所と、継手36が設けられている箇所との間の位置に、体積調整装置2との接続部が設けられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、体積調整装置2が備える第三流路23及び第四流路24と循環経路との接続部は、第一循環状態で形成される循環経路上の任意の場所に設けることができる。例えば、第三流路23と循環経路との接続部、及び、第四流路24と循環経路との接続部の双方を、第二流路22上に設けても良いし、或いは、バイパス流路20上に設けても良い。また、第三流路23と循環経路との接続部、及び、第四流路24と循環経路との接続部を、第一流路21、第二流路22、バイパス流路20の中から選択した二つの流路上にそれぞれ設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、内部に流体を封入した状態で使用される対象装置から外部に流体を循環させて当該流体の温度を調節する温度調節装置に好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る温度調節装置の概略構成図
【図2】第一循環状態における流体の流れを示す図
【図3】第二循環状態における流体の流れを示す図
【符号の説明】
【0056】
1:温度調節装置
2:体積調整装置
3:切替装置
4:分離装置
10:温度調節部
20:バイパス流路
21:第一流路
22:第二流路
23:第三流路
24:第四流路
30:第一切替弁
31:第二切替弁
32:リリーフ弁
33:逆止弁
34:第一遮断弁
35:第二遮断弁
40:調整タンク(貯留槽)
100:駆動装置(対象装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体を封入した状態で使用される対象装置から外部に流体を循環させて当該流体の温度を調節する温度調節装置であって、
循環する流体に対する加熱機能及び冷却機能の一方又は双方を有する温度調節部と、
前記温度調節部から前記対象装置へ向かう流体が通る第一流路と、
前記対象装置から前記温度調節部へ向かう流体が通る第二流路と、
前記第一流路と前記第二流路とを接続するバイパス流路と、
前記第一流路から前記バイパス流路を通って前記第二流路へ循環する流体の循環経路が形成される第一循環状態と、前記第一流路から前記対象装置の内部を通って前記第二流路へ循環する流体の循環経路が形成される第二循環状態とを切り替える切替装置と、
前記第一循環状態で、温度上昇により増加した体積分の流体を前記循環経路から退避させ、温度低下により減少した体積分の流体を前記循環経路へ帰還させる体積調整装置と、
前記第二循環状態で、前記体積調整装置を前記循環経路から分離する分離装置と、
を備えた温度調節装置。
【請求項2】
前記温度調節部は、前記第一循環状態及び前記第二循環状態のそれぞれで、前記循環経路内の流体の温度を所定の設定温度に調節し、
前記体積調整装置は、前記第一循環状態で前記循環経路内の流体の温度が前記設定温度に調節される際に、温度上昇により増加した体積分の流体を前記循環経路から退避させ、或いは温度低下により減少した体積分の流体を前記循環経路へ帰還させることで前記循環経路内の流体の体積を調整し、
前記切替装置は、前記第一循環状態で前記循環経路内の流体の温度が前記設定温度に調節された後、前記第一循環状態から前記第二循環状態に切り替え、
前記分離装置は、前記第一循環状態で前記循環経路内の流体の温度が前記設定温度に調節された後、前記切替装置による前記第二循環状態への切り替え前、又は、前記第二循環状態への切り替えと同時に、前記体積調整装置を前記循環経路から分離する請求項1に記載の温度調節装置。
【請求項3】
前記切替装置は、前記第一流路と前記バイパス流路との接続部に設けられ、前記温度調節部側から当該接続部に到達した流体を前記対象装置側へ流通させる状態と、前記温度調節部側から当該接続部に到達した流体を前記バイパス流路へ流通させる状態とを切り替える第一切替弁と、
前記第二流路と前記バイパス流路との接続部に設けられ、前記対象装置側から当該接続部に到達した流体を前記温度調節部側へ流通させる状態と、前記バイパス流路から当該接続部に到達した流体を前記温度調節部側へ流通させる状態とを切り替える第二切替弁と、
を備える請求項1又は2に記載の温度調節装置。
【請求項4】
前記体積調整装置は、前記循環経路から退避させた流体を貯留するための貯留槽と、前記循環経路から前記貯留槽へ向かう流体が通る第三流路と、前記貯留槽から前記循環経路へ向かう流体が通る第四流路とを備えている請求項1から3の何れか一項に記載の温度調節装置。
【請求項5】
前記第三流路は、所定の圧力が前記循環経路から前記貯留槽へ向かう方向に加わると開弁して、前記循環経路から前記貯留槽への流体の流通を許容するリリーフ弁を備え、
前記第四流路は、前記貯留槽から前記循環経路へ向かう方向のみの流体の流通を許容する逆止弁を備えている請求項4に記載の温度調節装置。
【請求項6】
前記分離装置は、前記第三流路内の流体の流通を遮断可能な第一遮断弁と、前記第四流路内の流体の流通を遮断可能な第二遮断弁とを備える請求項4又は5に記載の温度調節装置。
【請求項7】
前記対象装置が、車両用の駆動装置であり、
前記対象装置の内部に封入されて使用される流体が、前記駆動装置内部で使用される作動油である請求項1から6の何れか一項に記載の温度調節装置。
【請求項8】
前記第一流路における前記パイバス流路との接続部と前記対象装置との接続部とが隣接し、
前記第二流路における前記パイバス流路との接続部と前記対象装置との接続部とが隣接している請求項1から7の何れか一項に記載の温度調節装置。
【請求項9】
内部に流体を封入した状態で使用される装置を対象装置とし、
前記対象装置から外部に循環させた流体に対する加熱機能及び冷却機能の一方又は双方を有する温度調節部、及び、前記温度調節部から流出した流体が前記対象装置の内部を通ることなく前記温度調節部へ戻る流体の循環経路が形成される第一循環状態と、前記温度調節部から流出した流体が前記対象装置の内部を通って前記温度調節部へ戻る流体の循環経路が形成される第二循環状態とを切替可能な流路、を備えた温度調節装置を用い、
前記第一循環状態で、循環経路内の流体の温度を所定の設定温度に調節する第一温度調節ステップと、
前記第一温度調節ステップの実行中に、温度上昇により増加した体積分の流体を前記循環経路から退避させ、或いは温度低下により減少した体積分の流体を前記循環経路へ帰還させる体積調整ステップと、
前記第一循環状態から前記第二循環状態に切り替える切替ステップと、
前記第二循環状態で、循環経路内の流体の温度を前記設定温度に調節する第二温度調節ステップと、
を備えた温度調節方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−85008(P2010−85008A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254214(P2008−254214)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】