説明

温水暖房装置

【課題】 温水暖房装置での複数の種類のエラー表示を複数の表示灯により行わせ、メンテナンス性の向上を図ることができ、またコストの低減等を図ること。
【解決手段】 サービスマンが水張りスイッチ42及び熱動弁スイッチ44を同時に所定時間押し、エラー表示切替スイッチとして動作させる毎に、マイクロコンピュータ41はエラー内容を記憶するEEPROM48から読み出して、エラーの発生時刻が最新のものから過去のエラーにさかのぼって、エラー内容を表示するエラー番号が順次熱弁ランプ31、32、33または34の点灯、消灯により、二進法により表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給されるHFC、CO等の冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより熱動弁を介して床暖房パネル等に供給する温水暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にて開示されている温水暖房システムにおいては、循環ポンプを有する熱源機の温水を熱動弁を介して循環供給させて暖房する温水エアコン、温水床マットなどの暖房負荷を備え、熱源機に設けられた制御基板は、制御装置、運転表示灯、燃焼表示灯、7セグメント表示器を備えている。この7セグメント表示器は、熱源機に異常が発生したときにエラー記号等でその旨を表示していた。また、途中消火、循環水(温水)の漏れ、異常加熱又はミス消火等の異状が発生したときに、7セグメント表示器に、それぞれの異常に対応した異なるエラー記号を表示していた。
【特許文献1】特開2002−162051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このとき、7セグメント表示器に上述したような異常の表示の他に表示する情報がない場合には、エラー表示のためにのみ7セグメント表示器を設けなければならなかった。また、7セグメント表示器によるコストの上昇、制御基板の面積の増加という問題が発生していた。
【0004】
そこで本発明は、温水暖房装置での複数の種類のエラー表示を7セグメント表示器ではなく他の複数の表示灯により行わせ、コストの低減等を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため第1の発明は、空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、当該温水暖房装置の異常内容を点灯と消灯との組み合わせにより表示する複数のランプを設けたことを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより複数の床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記循環ポンプにより供給される温水を開くことにより各床暖房パネルに供給する複数の熱動弁と、この熱動弁毎にその動作状態を表示すると共に当該温水暖房装置の異常内容を表す異常内容の番号を点灯と消灯との組み合わせによる2進数により表示する複数の熱動弁ランプとを設けたことを特徴とする。
【0007】
第3の発明は、空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより複数の床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記循環ポンプにより供給される温水を開くことにより各床暖房パネルに供給する複数の熱動弁と、この熱動弁毎にその動作状態を表示する複数の熱動弁ランプと、当該温水暖房装置の異常内容を記憶する記憶装置と、この記憶装置に記憶された異常内容を表す異常内容の番号を点灯と消灯との組み合わせによる2進数により前記複数の熱動弁ランプを点灯又は消灯させるように制御する制御装置とを設けたことを特徴とする。
【0008】
第4の発明は、空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、当該温水暖房装置の異常内容を点灯と消灯との組み合わせにより最新のものから古い順に順次表示する複数のランプと、これらの複数のランプが最新のものを表示しているときに表示するランプとを設けたことを特徴とする。
【0009】
第5の発明は、空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより複数の床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記循環ポンプにより供給される温水を開くことにより各床暖房パネルに供給する複数の熱動弁と、この熱動弁毎にその動作状態を表示すると共に当該温水暖房装置の異常内容を表す異常内容の番号を点灯と消灯との組み合わせによる2進数により最新のものから古い順に順次表示する複数の熱動弁ランプと、これらの複数の熱動弁ランプが最新のものを表示しているときに表示するランプとを設けたことを特徴とする。
【0010】
第6の発明は、空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより複数の床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記循環ポンプにより供給される温水を開くことにより各床暖房パネルに供給する複数の熱動弁と、この熱動弁毎にその動作状態を表示する複数の熱動弁ランプと、当該温水暖房装置の異常内容を記憶する記憶装置と、この記憶装置に記憶された異常内容を表す異常内容の番号を点灯と消灯との組み合わせによる2進数により最新のものから古い順に順次表示するように前記複数の熱動弁ランプを制御する制御装置とを設けたことを特徴とする。
【0011】
第7の発明は、空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより複数の床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記循環ポンプにより供給される温水を開くことにより各床暖房パネルに供給する複数の熱動弁と、この熱動弁毎にその動作状態を表示する複数の熱動弁ランプと、当該温水暖房装置の異常内容を記憶する記憶装置と、この記憶装置に記憶された異常内容を表す異常内容の番号を点灯と消灯との組み合わせによる2進数により最新のものから古い順に順次表示するように前記複数の熱動弁ランプを制御する制御装置と、この制御装置により複数の熱動弁ランプが最新のものを表示しているときに表示するランプとを設けたことを特徴とする。
【0012】
第8の発明は、空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記各床暖房パネルに対応して設けられ、各床暖房パネルへ温水を供給している状態を表示すると共にこの状態の表示後に表示切替動作に基づいて当該温水暖房装置の異常内容を点灯と消灯との組み合わせにより表示する複数のランプとを設けたことを特徴とする。
【0013】
第9の発明は、空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより複数の床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記循環ポンプにより供給される温水を開くことにより各床暖房パネルに供給する複数の熱動弁と、この熱動弁毎にその動作状態を表示すると共にこの状態の表示後に表示切替動作に基づいて当該温水暖房装置の異常内容を点灯と消灯との組み合わせにより表示する複数の熱動弁ランプとを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、温水暖房装置での複数の種類のエラー表示を複数の表示灯により行わせ、メンテナンス性の向上を図ることができ、またコストの低減等を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は温水暖房装置としてのヒートポンプ式給湯装置の全体システムを示す系統図である。この図1において、1はHFC、CO等の冷媒を高温、高圧に圧縮するコンプレッサ(圧縮機)、四方切替弁、室外側熱交換器、減圧装置等が順次配管接続された冷媒回路と室外側送風機等(何れも図示せず)が内蔵された室外ユニット、2は前記室外ユニット1の冷媒回路の配管接続部T1及びT2に冷媒配管にて接続され室内側熱交換器と室内側送風機等(何れも図示せず)が内蔵された室内ユニットであり、室内ユニット2は室外ユニット1から冷媒配管を介して冷媒が供給される室内側熱交換器と室内空気を熱交換し、室内に温風又は冷風を供給するものである。この室外ユニット1と室内ユニット2とでヒートポンプ式空気調和機が構成されている。3はこのヒートポンプ式空気調和機の室外ユニット1を熱源とする温水ユニットで、室外ユニット1から供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う。
【0016】
前記温水ユニット3は室外ユニット1の冷媒回路の配管接続部T1及びT2に冷媒配管にて接続された冷媒側コイル4Aと温水側コイル4Bとからなる熱交換器4と、温水側コイル4Bの暖房循環水を温水負荷としての床暖房パネル5、6、7、8に強制的に循環させるための循環ポンプ9と、その循環路中に設けた水位センサ23付きの膨張タンク10と、バイパス配管10Aを内蔵している。また、暖房循環水の往き側には熱動弁11、12、13、14を介して温水負荷としての床暖房パネル5、6、7、8が並列接続されている。
【0017】
15は熱交換器4の温水側コイル4Bで高温に昇温された暖房循環水の往き温度を検出する温度検出装置としてのサーミスタ、16は暖房循環水の戻り温度を検出する温度検出装置としてのサーミスタ、17は冷媒温度を検出するための温度検出装置としてのサーミスタである。
【0018】
18は台所等に設置されるメインリモートコントローラ(以下、「メインリモコン」という)であり、前記サーミスタ15で検出する暖房循環水の制御温度を設定する摘み18a、運転スイッチ18b、運転ランプ18c等が設けられている。19、20、21、22は前記床暖房パネル5、6、7、8に対応して床暖房を行う部屋に設置している床暖房リモートコントローラ(以下、「床暖房リモコン」という)であり、運転スイッチ19a、20a、21a、22a、室温センサ19b、20b、21b、22b等が設けられている。
【0019】
図2に示すように、前記温水ユニット3内にはメイン基板Kが設けられ、このメイン基板Kにはマイクロコンピュータ41、水張り動作をするための水張りスイッチ42、応急運転スイッチ43、全ての熱動弁11〜14を開かせるための熱動弁スイッチ44、運転中に点灯する運転ランプ45、水張り動作なかに点灯する水張りランプ46、応急運転スイッチ43の操作に基づく応急運転中に点灯する応急運転ランプ47、横に並んだ熱動弁ランプ31、32、33、34等が設けられるとともに、基板端子には循環ポンプ9、熱動弁11、12、13、14、サーミスタ15、16、17、メインリモコン18、床暖房リモコン19、20、21、22、膨張タンク10に取り付けられた水位センサ23等が電気結線されている。
【0020】
また、マイクロコンピュータ41には、図3に示すように、CPU、RAM、ROMなどが内蔵されるとともに、上述した各床暖房リモコン19〜22、各サーミスタ15〜17、水張りスイッチ42、応急運転スイッチ43、熱動弁スイッチ44及び水位センサ23からの信号が入力されるとともに、室外ユニット1、循環ポンプ9、熱動弁11〜14、熱動弁ランプ31〜34、メインリモコン18、運転ランプ45、水張りランプ46、応急運転ランプ47に制御信号が出力される。また、マイクロコンピュータ41には、本ヒートポンプ式給湯装置において異常が発生した場合に、最新の発生した異常の内容を最大10個記憶する電気的消去可能な記憶装置としてのEEPROM48が接続されている。
【0021】
先ず、床暖房パネル5の暖房を行う場合、先ずメインリモコン18の運転スイッチ18bを操作すると、運転ランプ18cが点灯する。その運転信号が温水ユニット3内のメイン基板K上のマイクロコンピュータ41に入力されると、膨張タンク10内の循環水の有無を検出する水位センサ23からの水有り信号をマイクロコンピュータ41が入力すると、循環ポンプ9を運転して循環水を循環させるとともに、室外ユニット1に暖房運転信号を指示して暖房運転させる。
【0022】
そして、室外ユニット1が暖房運転することで、該室外ユニット1内のコンプレッサが運転して高温、高圧の冷媒が熱交換器4の冷媒側コイル4Aに供給され、温水側コイル4Bを流れる暖房循環水を加熱すると共に温水ユニット3の循環ポンプ9を運転させる。このとき、サーミスタ16で検出される暖房循環水の温度がメインリモコン18の摘み18aで設定された設定温度になるように、マイクロコンピュータ41が例えばコンプレッサをインバータ制御することにより熱交換器4での加熱量が制御され、前記循環ポンプ9の運転によるバイパス配管10Aを介する循環路内を温度が適度に調整された温水が循環する。
【0023】
前記メインリモコン18の運転スイッチ18bをON(「オン」の意、以下同じ)した後、暖房したい部屋(例えばA室)に設置している床暖房リモコン19の運転スイッチ19aをONすると、対応している熱動弁11がONして開き、温水が床暖房パネル5に供給され、A室の暖房が行われることとなる。このとき、熱動弁11のONと同時にこの熱動弁11に対応する熱度弁ランプ31が点灯する。
【0024】
その後、床暖房リモコン19は室温センサ19bにより室温上昇を検出し、温度偏差(室温−設定温度)が−1.15℃(deg)を超えると、マイクロコンピュータ41に出力しているアナログ出力電圧を20V(ボルト)から9Vの範囲で変化させる。そして、マイクロコンピュータ41は床暖房リモコン19から出力されるアナログ電圧値に応じて、前記熱動弁11の通電時間をデューティ制御し、熱動弁11の開時間を20分ごとに20分間(連続)から3分間に制御し、温水供給を断続的にON−OFF(オン−オフ)してA室の室温を設定温度に維持する。
【0025】
また、その他の床暖房パネル6、7、8に対応する床暖房リモコン20、21、22の運転スイッチ20a、21a、22aをONすると、マイクロコンピュータ41からの信号により熱動弁12、13、14がONして開き、熱動弁12、13、14に対応した熱動弁ランプ32、33、34が点灯する。そして、使用する部屋(B室、C室、D室)の室温と設定温度とを比較演算した温度偏差信号がマイクロコンピュータ41に出力され、対応する熱動弁12、13、14のON−OFF時間を各々制御して各B室、C室、D室の室温を制御する。
【0026】
このように、各A、B、C、D室に配置した床暖房リモコン19、20、21、22の出力する室温と設定温度との温度偏差により、熱動弁11、12、13、14の開閉時間を制御することにより、温水温度に関係なく各部屋の室温を設定温度に維持できる。
【0027】
尚、温水ユニット3による暖房運転中には室内ユニット専用リモコン(図示せず)の操作により室外ユニット1から冷媒配管を介して冷媒が供給される室内側熱交換器と室内空気とが熱交換され、室内ユニット2は室内に温風供給して暖房運転が可能であるが、このときは冷房運転は不可(できない)としている。また、室内ユニット2の冷房運転中は温水ユニット3による暖房運転は不可とし、温水ユニット3による暖房運転中は室内ユニット2による冷房運転は不可としている。
【0028】
また、メインリモコン18により使用者が温水温度を変更設定しても、各部屋に設置している床暖房リモコン19、20、21、22が出力する偏差(室温−設定温度)信号に応じて、各床暖房パネル5、6、7、8へ温水を供給する熱動弁11、12、13、14の通電時間を可変制御することで、各部屋とも使用者が設定した室温に維持される。
【0029】
なお、温水暖房装置に異常(エラー)が発生し、熱動弁11〜14が閉じて床暖房パネル5〜8による暖房運転が停止した際に、サービスマンが応急運転スイッチ43を押すと、室外ユニット1、循環ポンプ9及び熱動弁11〜14が運転を開始し、床暖房運転が始まる。このため、異常が発生し床暖房パネル5〜8による暖房運転が停止した場合にも、応急の床暖房運転を行うことが可能になる。
【0030】
以下、温水暖房装置について異常が発生し、それが例えば5つ発生したときの熱動弁ランプ31〜34によるエラー番号の表示について、図4のフローチャート及び図5の表示状態の推移の説明図に基づき説明する。
【0031】
異常内容の確認のために、サービスマンが応急運転スイッチ43及び熱動弁スイッチ44を同時に所定時間、例えば3秒間連続して押したとき、熱動弁ランプ31〜34による退避エラー表示モードでないときには、退避エラー表示モードにセットされ、退避エラー表示モードに切り替わると共に、エラー表示番号がリセット、即ち後述するようなエラー番号を表示することがリセットされる。また、退避エラー表示モードのときには、一旦、退避エラー表示モードがクリアされる。なお、このように、応急運転スイッチ43及び熱動弁スイッチ44を同時に所定時間連続して押した場合には、各スイッチは退避エラー表示スイッチとして作用する。そして、マイクロコンピュータ41は、熱動弁11〜14の起動電流が大きいため、熱動弁11〜14に例えば1秒毎に順次制御信号を出力し、熱動弁11〜14を順次ONさせ、熱動弁11〜14への制御信号出力と同時に、熱動弁ランプ31〜34のON信号を出力し、熱動弁ランプ31〜34を対応する熱動弁11〜14のONと同時に順次点灯させ、各熱動弁のON状態を表示させる。このため、やがて、熱動弁11〜14が全てONし、熱動弁ランプ31〜34が全て点灯する。
【0032】
次に、水張りスイッチ42及び熱動弁スイッチ44は、退避エラー表示モードにて、サービスマンが同時に所定時間押すことによりエラー表示を切り替えるエラー表示切替スイッチとして作用するスイッチであり、水張りスイッチ42及び熱動弁スイッチ44を、所定時間、例えば3秒間同時に押すと、まずマイクロコンピュータ41により、退避エラー表示モード中か否かが判断される。
【0033】
退避エラー表示モード中であると判断されると、マイクロコンピュータ41は、熱動弁11〜14の起動電流が大きいため、熱動弁11〜14に例えば1秒毎に順次制御信号を出力し、熱動弁11〜14を順次ONさせ、熱動弁11〜14への制御信号出力と同時に、熱動弁ランプ31〜34のON信号を出力し、熱動弁ランプ31〜34を対応する熱動弁11〜14のONと同時に順次点灯させ、各熱動弁のON状態を表示させる。このため、やがて、熱動弁11〜14が全てONし、熱動弁ランプ31〜34が全て点灯する。
【0034】
次に、エラー表示番号を更新し、更新された表示データが最古の表示データ(この実施例においては、5番目が最も古い表示データ)に達したか否か、即ち表示された順番のエラー番号が最終(最古)の順番のエラー番号のものか否かが判断され、未だ達していないため、マイクロコンピュータ41は表示番号をリセットし、退避エラー表示モードか否かを判断する。そして、退避エラー表示モードであるので、マイクロコンピュータ41からの信号に基づき、運転ランプ45が点滅する。この結果、サービスマンは運転ランプ45の点滅により、温水暖房装置が退避エラー表示モードになったことを確認することができる。
【0035】
また、熱動弁ランプ31〜34は、退避エラー表示モードにおいて、それぞれのランプの点灯及び消灯により、エラー番号を例えば二進法により表示するランプであり、マイクロコンピュータ41からの表示信号に基づき、最新、即ち直近に発生した異常内容の番号であるエラー番号から順次過去のエラーにさかのぼり、水張りスイッチ42及び熱動弁スイッチ44の多重押しによるエラー表示切替毎に順番に熱動弁ランプ31〜34がエラー番号を表示する。
【0036】
即ち、退避エラー表示モードであるので、前述の如く、運転ランプ45が点滅すると共に図5の左端に示したランプ表示のように、マイクロコンピュータ41はEEPROM48に格納された異常内容に関するデータ(例えば、直近の最大10個格納される)に基づいて、まず4個横に並んだ熱動弁ランプ31、32、33、34のうち、例えば二進法で4を表す右から3番目である3桁目の熱動弁ランプ32のみ点灯を継続させて(他を消灯)、最新に発生した異常内容を表すエラー番号(A4)である「4」が表示され、サービスマンはその異常の内容を理解することができる。
【0037】
なお、退避エラー表示モードでない場合には、通常表示にセットされ、熱動弁ランプ31〜34は、熱動弁11〜14のON、OFFと共に点灯、消灯するようにマイクロコンピュータ41に制御される。
【0038】
上記のように、熱動弁ランプ32が点灯し、最新のエラーであるエラー番号(A4)が表示された後には、表示されているエラー番号が最新のエラー番号か否かがマイクロコンピュータ41により判断され、このときは最新のエラー内容を表すエラー番号が表示されているため、マイクロコンピュータ41は、水張りランプ42に信号を出力して点灯させる。従って、水張りランプ42が点灯している状態を見て、サービスマンは熱動弁ランプ32の点灯により認識したエラー番号が最新のエラーに関するエラー番号であることを確認することができる。また、水張り運転時に点灯する水張りランプ42を最新の異常内容の表示に兼用し、ランプの増加を抑えることが可能になると共に、メイン基板Kの面積の増加を抑えることも可能になる。
【0039】
次に、再びサービスマンが水張りスイッチ42及び熱動弁スイッチ44を同時に所定時間押し、エラー表示切替スイッチとして動作させると、マイクロコンピュータ41が退避エラー表示モード中であると判断すれば、熱動弁11〜14を順次ONさせると共に熱動弁ランプ31〜34を順次点灯させて、熱動弁11〜14を全てONさせ、熱動弁ランプ31〜34を全て点灯させ、表示順はエラーの発生時刻が最新のエラーよりすぐ前のエラーである二番目のものに更新される。そして、マイクロコンピュータ41により更新された表示データが最古の表示データ(この実施例においては、5番目が最も古い表示データ)に達したか否か、即ち表示された順番のエラー番号が最終(最古)の順番のエラー番号のものか否かが判断され、未だ達していないため、エラー表示番号があると判断され、また退避エラー表示モードと判断されると運転ランプ45を点滅させると共に更新された2番目に古い順番のエラーに係るエラー内容をEEPROM48から読み出して、二進法で2を表す右から2番目である2桁目の熱動弁ランプ33の点灯を維持させると共に他の点灯していた熱動弁ランプを消灯させ、2番目に新しいエラー内容の番号であるエラー番号(A2)である「2」を表示させ、サービスマンはその異常の内容を理解することができる。
【0040】
以後同様に、サービスマンが水張りスイッチ42及び熱動弁スイッチ44を同時に所定時間押し、エラー表示切替スイッチとして動作させる毎に、表示するエラーの順番が最近から3番目、4番目と1ずつ増加し更新される。そして、更新される度に異常内容を表すエラー番号が順次熱弁ランプにより表示される。即ち、二進法で2を表す右から2番目である2桁目の熱動弁ランプ33と二進法で4を表す右から3番目である3桁目の熱動弁ランプ32の点灯を維持すると共に他の熱動弁ランプを消灯し、3番目に新しいエラー内容であるエラー番号(A6)の「6」が表示され、次にエラー表示切替がされると二進法で4を表す右から3番目である3桁目の熱動弁ランプ32のみの点灯が維持されると共に他の熱動弁ランプが消灯され、4番目に新しいエラー内容であるエラーバ合(A4)として再び「4」が表示される。
【0041】
次に、サービスマンが水張りスイッチ42及び熱動弁スイッチ44を同時に所定時間押すと、エラー番号表示中であり、表示するエラー内容の順番が最古のもの(5番目)に更新される。そして、マイクロコンピュータ41は更新された5番目に新しい(最も古い)順番のエラーに係るエラー内容をEEPROM48から読み出して、二進法で8、4及び1を表す熱動弁ランプ31、32、34の点灯を維持させる共に他の熱動弁ランプを消灯させ、最も古いエラー内容であるエラー番号(A13)の「13」が表示される。
【0042】
更に、サービスマンが水張りスイッチ42及び熱動弁スイッチ44を同時に所定時間押すと、エラー番号表示中であり、表示するエラー内容の順番が6番目のものに更新される。そして、この6番目という順番は最終(最古)の順番である5番目より大きいため、マイクロコンピュータ41は表示順番を最初の順番、即ち1番目にリセットする。このように、順番がリセットされると、図5に矢印に示したように、最初の表示に再び戻る。即ち、3桁目の熱動弁ランプ32のみが点灯し、最新のエラー内容であるエラー番号(A4)である「4」が表示され、また、最新のエラー番号が表示されているため、マイクロコンピュータ41は水張りランプ42に点灯信号を出力して点灯させる。
【0043】
このように、サービスマンが水張りスイッチ42及び熱動弁スイッチ44を同時に所定時間押すと、順次熱動弁ランプ31、32、33、34が最新のエラー内容から過去に発生したエラーにさかのぼり順次、点灯、消灯し、エラー番号を表示するため、サービスマンは熱動弁ランプ31、32、33、34の点灯、消灯状態を確認することにより、過去に発生したエラー内容を容易に確認することができる。また、従来のように、エラー番号の表示のために7セグメントの表示器を設ける必要がなくなり、コストの低減を図ることができ、また、メイン基板Kの面積も削減することができ、一層コストを削減することができる。
【0044】
また、上記のようにエラー番号の表示を最近のエラー番号の表示、続いてその次に古いエラー番号の表示に順次さかのぼって表示するように制御し、再び最近のエラー番号表示に戻るような循環の表示切替とした場合に、サービスマンはどのエラー番号の表示が最近のエラー番号の表示が判断できなくなる虞があるが、最新のエラー番号が表示されているときには、マイクロコンピュータ41は水張りランプ42に点灯信号を出力して点灯させるため、サービスマンは最新のエラー番号が表示されていることを視覚的に確認することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0045】
更に、起動電流が大きくて同時起動できない熱動弁の特性上、熱動弁スイッチ44の操作された際に同時起動させずに順次起動させるようにして、この起動に伴って点灯する熱動弁ランプをエラー番号の表示に使用したので、エラー番号を表示するときに、熱動弁の起動時の各熱動弁ランプの点灯状態と区別してエラー番号を判断することができ、一層メンテナンス性を向上することができる。
【0046】
また、上記実施の形態において、4個の熱動弁ランプ31、32、33、34により最新のエラー番号から5番目のエラー番号まで表示したが、本実施形態では最大16種のエラー番号を表示することができる。
【0047】
また、上記実施の形態において、4個の熱動弁ランプ31、32、33、34の点灯と消灯の2通りの状態により、エラー番号を二進法により表示することにより、サービスマンは点灯しているか否かにより、容易に点灯状態を判断することが可能であるが、4個の熱動弁ランプ31、32、33、34の点灯と点滅と、消灯との3通りの状態の組み合わせにより、例えば三進法により更に多くのエラー番号を表示することも可能である。
【0048】
なお、以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ヒートポンプ式温水暖房装置の全体系統図である。
【図2】メイン基板の電気配線図である。
【図3】制御装置のブロック図である。
【図4】退避エラー表示処理のフローチャートである。
【図5】表示状態の推移の説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 室外ユニット
3 温水ユニット
4 熱交換器
5〜8 床暖房パネル
9 循環ポンプ
11〜14 熱動弁
31〜34 熱動弁ランプ
41 マイクロコンピュータ
48 EEPROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、当該温水暖房装置の異常内容を点灯と消灯との組み合わせにより表示する複数のランプを設けたことを特徴とする温水暖房装置。
【請求項2】
空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより複数の床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記循環ポンプにより供給される温水を開くことにより各床暖房パネルに供給する複数の熱動弁と、この熱動弁毎にその動作状態を表示すると共に当該温水暖房装置の異常内容を表す異常内容の番号を点灯と消灯との組み合わせによる2進数により表示する複数の熱動弁ランプとを設けたことを特徴とする温水暖房装置。
【請求項3】
空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより複数の床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記循環ポンプにより供給される温水を開くことにより各床暖房パネルに供給する複数の熱動弁と、この熱動弁毎にその動作状態を表示する複数の熱動弁ランプと、当該温水暖房装置の異常内容を記憶する記憶装置と、この記憶装置に記憶された異常内容を表す異常内容の番号を点灯と消灯との組み合わせによる2進数により前記複数の熱動弁ランプを点灯又は消灯させるように制御する制御装置とを設けたことを特徴とする温水暖房装置。
【請求項4】
空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、当該温水暖房装置の異常内容を点灯と消灯との組み合わせにより最新のものから古い順に順次表示する複数のランプと、これらの複数のランプが最新のものを表示しているときに表示するランプとを設けたことを特徴とする温水暖房装置。
【請求項5】
空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより複数の床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記循環ポンプにより供給される温水を開くことにより各床暖房パネルに供給する複数の熱動弁と、この熱動弁毎にその動作状態を表示すると共に当該温水暖房装置の異常内容を表す異常内容の番号を点灯と消灯との組み合わせによる2進数により最新のものから古い順に順次表示する複数の熱動弁ランプと、これらの複数の熱動弁ランプが最新のものを表示しているときに表示するランプとを設けたことを特徴とする温水暖房装置。
【請求項6】
空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより複数の床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記循環ポンプにより供給される温水を開くことにより各床暖房パネルに供給する複数の熱動弁と、この熱動弁毎にその動作状態を表示する複数の熱動弁ランプと、当該温水暖房装置の異常内容を記憶する記憶装置と、この記憶装置に記憶された異常内容を表す異常内容の番号を点灯と消灯との組み合わせによる2進数により最新のものから古い順に順次表示するように前記複数の熱動弁ランプを制御する制御装置とを設けたことを特徴とする温水暖房装置。
【請求項7】
空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより複数の床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記循環ポンプにより供給される温水を開くことにより各床暖房パネルに供給する複数の熱動弁と、この熱動弁毎にその動作状態を表示する複数の熱動弁ランプと、当該温水暖房装置の異常内容を記憶する記憶装置と、この記憶装置に記憶された異常内容を表す異常内容の番号を点灯と消灯との組み合わせによる2進数により最新のものから古い順に順次表示するように前記複数の熱動弁ランプを制御する制御装置と、この制御装置により複数の熱動弁ランプが最新のものを表示しているときに表示するランプとを設けたことを特徴とする温水暖房装置。
【請求項8】
空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記各床暖房パネルに対応して設けられ、各床暖房パネルへ温水を供給している状態を表示すると共にこの状態の表示後に表示切替動作に基づいて当該温水暖房装置の異常内容を点灯と消灯との組み合わせにより表示する複数のランプとを設けたことを特徴とする温水暖房装置。
【請求項9】
空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより複数の床暖房パネル等に供給する温水暖房装置において、前記循環ポンプにより供給される温水を開くことにより各床暖房パネルに供給する複数の熱動弁と、この熱動弁毎にその動作状態を表示すると共にこの状態の表示後に表示切替動作に基づいて当該温水暖房装置の異常内容を点灯と消灯との組み合わせにより表示する複数の熱動弁ランプとを設けたことを特徴とする温水暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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