説明

温水暖房装置

【課題】 集中リモートコントローラにより、暖房パネルが敷設される全部屋の集中制御を簡単に行なうようにすること。
【解決手段】 集中リモートコントローラ18及び床暖房リモートコントローラ19〜22が運転操作されているときには該床暖房リモートコントローラ19〜22に対応する床暖房パネル5〜8に対して温度検出装置による室温制御に従ったデューティ暖房運転を行うように制御すると共に、集中リモートコントローラ18が運転操作され且つ床暖房リモートコントローラ19〜22が運転操作されていないときには該床暖房リモートコントローラ19〜22が設定装置24により有効と設定された床暖房パネル5〜8に対応するものである場合には当該床暖房パネル5〜8に対して温水全時間通水による暖房運転を行なうように制御するマイクロコンピュータ41を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給されるHFC、CO等の冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、この温水ユニットの暖房循環水を循環ポンプにより熱動弁を介して床暖房パネル等に供給する温水暖房装置、詳述すると、特に各床暖房リモートコントローラの操作により循環ポンプの運転及び対応する開閉弁を開くことにより対応する部屋に敷設された床暖房パネルに前記温水ユニットの暖房循環水を供給する温水暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各部屋の床暖房リモートコントローラを操作して、各部屋ごとに床暖房パネルによる暖房運転や停止を行なうのが一般的であり、かかる技術は例えば特許文献1にて開示されている。
【特許文献1】特開2004−205200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、各床暖房リモートコントローラを操作して、各部屋ごとに床暖房パネルによる暖房運転や停止を行なえるばかりか、床暖房パネルが敷設される全部屋の集中制御が行なえることが望まれる。
いう問題がある。
【0004】
そこで本発明は、集中リモートコントローラにより、暖房パネルが敷設される全部屋の集中制御を簡単に行なうようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため第1の発明は、空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、各床暖房リモートコントローラの操作により循環ポンプの運転及び対応する開閉弁を開くことにより対応する部屋に敷設された床暖房パネルに前記温水ユニットの暖房循環水を供給する温水暖房装置において、集中リモートコントローラとを備え、前記集中リモートコントローラ及び前記床暖房リモートコントローラが運転操作されているときには該前記床暖房リモートコントローラに対応する床暖房パネルに対して温度検出装置による室温制御に従ったデューティ暖房運転を行うように制御すると共に、前記集中リモートコントローラが運転操作され且つ前記床暖房リモートコントローラが運転操作されていないときには当該床暖房パネルに対して温水全時間通水による暖房運転を行なうように制御する制御装置を設けたことを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、各床暖房リモートコントローラの操作により循環ポンプの運転及び対応する開閉弁を開くことにより対応する部屋に敷設された床暖房パネルに前記温水ユニットの暖房循環水を供給する温水暖房装置において、集中制御を有効又は無効に各床暖房パネル毎に設定する設定装置と、集中リモートコントローラとを備え、前記集中リモートコントローラ及び前記床暖房リモートコントローラが運転操作されているときには該前記床暖房リモートコントローラに対応する床暖房パネルに対して温度検出装置による室温制御に従ったデューティ暖房運転を行うように制御すると共に、前記集中リモートコントローラが運転操作され且つ前記床暖房リモートコントローラが運転操作されていないときには該床暖房リモートコントローラが前記設定装置により有効と設定された床暖房パネルに対応するものである場合には当該床暖房パネルに対して温水全時間通水による暖房運転を行なうように制御する制御装置を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各床暖房リモートコントローラを操作して、各部屋ごとに床暖房パネルによる暖房運転や停止を行なえるばかりか、集中リモートコントローラにより、暖房パネルが敷設される全部屋の集中制御を簡単に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は温水暖房装置としてのヒートポンプ式給湯装置の全体システムを示す系統図である。この図1において、1はHFC、CO等の冷媒を高温、高圧に圧縮する能力調整が可能なコンプレッサ(圧縮機)、四方切替弁、室外側熱交換器、減圧装置等が順次配管接続された冷媒回路と室外側送風機等(何れも図示せず)が内蔵された室外ユニット、2は前記室外ユニット1の冷媒回路の配管接続部T1及びT2に冷媒配管にて接続され室内側熱交換器と室内側送風機等(何れも図示せず)が内蔵された室内ユニットであり、室内ユニット2は室外ユニット1から冷媒配管を介して冷媒が供給される室内側熱交換器と室内空気を熱交換し、室内に温風又は冷風を供給するものである。この室外ユニット1と室内ユニット2とでヒートポンプ式空気調和機が構成されている。3はこのヒートポンプ式空気調和機の室外ユニット1を熱源とする温水ユニットで、室外ユニット1から供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う。
【0009】
前記温水ユニット3は室外ユニット1の冷媒回路の配管接続部T1及びT2に冷媒配管にて接続された冷媒側コイル4Aと温水側コイル4Bとからなる熱交換器4と、温水側コイル4Bの暖房循環水を温水負荷としての床暖房パネル5、6、7、8に強制的に循環させるための循環ポンプ9と、その循環路中に設けた水位センサ23付きの膨張タンク10と、バイパス配管10Aを内蔵している。また、暖房循環水の往き側には開閉弁としての熱動弁11、12、13、14を介して温水負荷としての床暖房パネル5、6、7、8が並列接続されている。
【0010】
15は熱交換器4の温水側コイル4Bで高温に昇温された暖房循環水の往き温度を検出する温度検出装置としてのサーミスタ、16は暖房循環水の戻り温度を検出する温度検出装置としてのサーミスタ、17は冷媒温度を検出するための温度検出装置としてのサーミスタである。
【0011】
18は集中管理室、例えば台所等に設置される集中リモートコントローラ(以下、「集中リモコン」という)であり、前記サーミスタ15で検出する暖房循環水の制御温度を設定する摘み18a、運転スイッチ18b等が設けられている。
【0012】
19、20、21、22は前記床暖房パネル5、6、7、8に対応して床暖房を行う部屋に設置している床暖房リモートコントローラ(以下、「床暖房リモコン」という)であり、運転スイッチ19a、20a、21a、22a、室温センサ19b、20b、21b、22b等が設けられている。
【0013】
図2に示すように、前記温水ユニット3内にはメイン基板Kが設けられ、このメイン基板Kにはマイクロコンピュータ41、水張り動作をするための水張りスイッチ42、応急運転スイッチ43、全ての熱動弁11〜14を開かせるための熱動弁スイッチ44、運転中に点灯する運転ランプ45、水張り動作中に点灯する水張りランプ46、応急運転スイッチ43の操作に基づく応急運転中に点灯する応急運転ランプ47、横に並んだ熱動弁ランプ31、32、33、34等が設けられるとともに、基板端子には循環ポンプ9、熱動弁11、12、13、14、サーミスタ15、16、17、集中リモコン18、床暖房リモコン19、20、21、22、膨張タンク10に取り付けられた水位センサ23、集中リモコン18による集中制御を行なうか(有効)又は行なわないか(無効)に各床暖房パネル5、6、7、8毎に設定する設定装置24等が電気結線されている。
【0014】
前記設定装置24は、例えば各床暖房パネル5、6、7、8に対応して集中リモコン18による集中制御を有効又は無効に設定するためのディップスイッチ24A、24B、24C、24D等で構成される。
【0015】
また、マイクロコンピュータ41には、図3に示すように、CPU、RAM、ROMなどが内蔵されるとともに、上述した各床暖房リモコン19〜22、各サーミスタ15〜17、水張りスイッチ42、応急運転スイッチ43、熱動弁スイッチ44及び水位センサ23からの信号が入力されるとともに、室外ユニット1、循環ポンプ9、熱動弁11〜14、熱動弁ランプ31〜34、集中リモコン18、運転ランプ45、水張りランプ46、応急運転ランプ47に制御信号が出力される。
【0016】
以上の構成により、以下図4に示すようなフローチャートに基づき、暖房制御について説明する。先ず、マイクロコンピュータ41は系統番号の初期化、即ち床暖房パネル5に対する制御を選択し、集中リモコン18の運転スイッチ18bが操作されて運転中であるかどうかを判断する。運転中でないと判断すると、次に該当の床暖房リモコン19が運転中かどうかが判断され、運転中でなければ、系統番号の熱動弁11をOFF(オフ)する。
【0017】
また、同じくマイクロコンピュータ41が床暖房パネル5に対する制御を選択し、集中リモコン18の運転スイッチ18bが操作による運転中でないと判断して、該当の床暖房リモコン19が運転中であると判断すると、該当の床暖房パネル5のオン/オフデューティ制御の該当熱動弁11のON(オン)タイミング中かどうかが判断されて、ONタイミング中であれば該当熱動弁11をONし、ONタイミング中でなければ該当熱動弁11をOFFする。即ち、当該床暖房パネル5に対応する熱動弁11は、マイクロコンピュータ41に後述するようにデューティ制御される。
【0018】
また、同じくマイクロコンピュータ41が床暖房パネル5に対する制御を選択し、集中リモコン18の運転スイッチ18bが操作による運転中であると判断して、該当の床暖房リモコン19も運転中であると判断すると、該当の床暖房パネル5のオン/オフデューティ制御の該当熱動弁11のON(オン)タイミング中かどうかが判断されて、ONタイミング中であれば該当熱動弁11をONし、ONタイミング中でなければ該当熱動弁11をOFFする。即ち、当該床暖房パネル5に対応する熱動弁11は、マイクロコンピュータ41にデューティ制御される。
【0019】
また、同じくマイクロコンピュータ41が床暖房パネル5に対する制御を選択し、集中リモコン18の運転スイッチ18bが操作による運転中であると判断して、該当の床暖房リモコン19も運転中でないと判断すると、集中リモコン18による集中制御を行なうか(有効)又は行なわないか(無効)が判断される。マイクロコンピュータ41は設定装置24による設定内容をディップスイッチ24Aの状態から判断して、無効と判断すると該当する熱動弁11をOFFし、有効と判断すると該当する熱動弁11をONし、温水全時間通水による暖房運転を行なうように制御する。
【0020】
そして、床暖房パネル5に対する制御処理が終了すると、系統番号を更新して最終系統番号の床暖房パネル8に対する処理が終了していなければ、次の床暖房パネル6に対する制御処理を行い、順に床暖房パネル7、8の制御処理を行う。
【0021】
そして、系統番号を更新して最終系統番号の床暖房パネル8に対する処理が終了すると、床暖房リモコン19〜22のうちのいずれかの床暖房リモコン又は集中リモコン18が運転中と判断されると、室外ユニット1が暖房運転すると共に循環ポンプ9が運転する。
【0022】
即ち、室外ユニット1内のコンプレッサが運転して高温、高圧の冷媒が熱交換器4の冷媒側コイル4Aに供給され、温水側コイル4Bを流れる暖房循環水を加熱すると共に該当する熱動弁をオンさせて開き、温水ユニット3の循環ポンプ9を運転させ、サーミスタ15で検出される暖房循環水の温度が集中リモコン18の摘み18aで設定された設定温度60℃になるように、マイクロコンピュータ41が例えばコンプレッサをインバータ制御することにより熱交換器4での加熱量が制御され、対応する床暖房パネルを含む循環路内を60℃に調整された温水が循環する。
【0023】
次に、マイクロコンピュータ41による熱動弁のデューティ制御について説明する。デューティ制御される床暖房パネル5〜8に対応する床暖房リモコン19〜22は室温センサ19b〜22bにより室温上昇を検出し、温度偏差(室温−設定温度)が−1.15℃(deg)を超えると、マイクロコンピュータ41に出力しているアナログ出力電圧を20V(ボルト)から9Vの範囲で変化させる。そして、マイクロコンピュータ41は床暖房リモコン19〜22から出力されるアナログ電圧値に応じて、前記熱動弁11〜14の通電時間をデューティ制御し、熱動弁11〜14の開時間を例えば20分ごとに20分間(連続)から3分間の間の設定時間として制御して、温水供給を断続的にON−OFF(オン−オフ)してA室〜D室の室温を設定温度に維持する。
【0024】
このように、各A、B、C、D室に配置した床暖房リモコン19、20、21、22の出力する室温と設定温度との温度偏差により、熱動弁11、12、13、14の開閉時間を制御することにより、温水温度に関係なく各部屋の室温を設定温度に維持できる。
【0025】
なお、以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ヒートポンプ式温水暖房装置の全体系統図である。
【図2】メイン基板の電気配線図である。
【図3】制御装置のブロック図である。
【図4】暖房制御に係るフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1 室外ユニット
3 温水ユニット
4 熱交換器
5〜8 床暖房パネル
9 循環ポンプ
11〜14 熱動弁
18 集中リモコン
19〜22 床暖房リモコン
24 設定装置
41 マイクロコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、各床暖房リモートコントローラの操作により循環ポンプの運転及び対応する開閉弁を開くことにより対応する部屋に敷設された床暖房パネルに前記温水ユニットの暖房循環水を供給する温水暖房装置において、集中リモートコントローラとを備え、前記集中リモートコントローラ及び前記床暖房リモートコントローラが運転操作されているときには該前記床暖房リモートコントローラに対応する床暖房パネルに対して温度検出装置による室温制御に従ったデューティ暖房運転を行うように制御すると共に、前記集中リモートコントローラが運転操作され且つ前記床暖房リモートコントローラが運転操作されていないときには当該床暖房パネルに対して温水全時間通水による暖房運転を行なうように制御する制御装置を設けたことを特徴とする温水暖房装置。
【請求項2】
空気調和機の室外ユニットと、この室外ユニットから供給される冷媒と暖房循環水との熱交換を行う熱交換器を有する温水ユニットとを備え、各床暖房リモートコントローラの操作により循環ポンプの運転及び対応する開閉弁を開くことにより対応する部屋に敷設された床暖房パネルに前記温水ユニットの暖房循環水を供給する温水暖房装置において、集中制御を有効又は無効に各床暖房パネル毎に設定する設定装置と、集中リモートコントローラとを備え、前記集中リモートコントローラ及び前記床暖房リモートコントローラが運転操作されているときには該前記床暖房リモートコントローラに対応する床暖房パネルに対して温度検出装置による室温制御に従ったデューティ暖房運転を行うように制御すると共に、前記集中リモートコントローラが運転操作され且つ前記床暖房リモートコントローラが運転操作されていないときには該床暖房リモートコントローラが前記設定装置により有効と設定された床暖房パネルに対応するものである場合には当該床暖房パネルに対して温水全時間通水による暖房運転を行なうように制御する制御装置を設けたことを特徴とする温水暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−170479(P2006−170479A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360327(P2004−360327)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(503358732)三洋エアコンディショナーズ株式会社 (46)
【Fターム(参考)】