説明

温風暖房装置の運転制御方法

【課題】セーブ運転時に、必要以上に気化器が冷却しない暖房装置を提供する。
【解決手段】室内温度が設定温度+所定温度に達したときにバーナ3を消火する。次に、気化器2の温度が暖房運転終了時の燃焼用送風機4の作動停止温度より高い温度に達したら燃焼用送風機4の作動を停止する。その後、所定時間経過後又は気化器2の温度が所定温度に低下後、対流用送風機6の作動を停止する。次に、室内温度が設定温度以下に低下したらバーナ3を再点火する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風暖房装置の運転制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
灯油等の液体燃料を気化して燃焼させる例えばFF式の温風暖房装置は、液体燃料をヒータにより加熱された気化器に供給して気化した後、その気化ガスを該気化器に燃焼用送風機から供給される燃焼用の空気と混合してバーナに供給し、該バーナにて燃焼させ、生じる排気を熱交換器に導入させた後、室外に排出する。そして、熱交換器により、バーナの燃焼で生じた排気と室内空気との間で熱交換を行い、対流用送風機により加熱された空気を室内に送風する。
【0003】
この種の温風暖房装置では、燃料の消費量を抑えるセーブ運転時に室内の温度が設定温度より所定温度、例えば3℃以上上昇すると、通常の暖房運転終了時と同一の工程によりバーナが消火される。そして、室内の温度が設定温度以下になると、バーナを再点火するものがある。
【0004】
ところが、通常の暖房運転終了時のバーナの消火は、燃焼用送風機により気化器を内部まで冷却するものであるため、セーブ運転時に同様の運転を行うと、バーナの再点火時における気化器の温度上昇にかかる時間が増加し、温風発生の立ち上がり時間が遅くなってしまうという問題点がある。
【0005】
そこで、セーブ運転時に一時的にバーナを消火する際に、燃焼用送風機を通常の暖房運転終了時よりも短い時間の経過後に停止することにより、気化器を暖気状態に維持する温風暖房装置の制御方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭56−42047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の温風暖房装置の制御方法では、バーナを消火している時間によっては、気化器を暖気状態に維持することができないという不都合がある。本発明者は、鋭意検討の結果、上記不都合は、以下の理由に因ることを知見するに至った。
【0008】
即ち、前記従来の温風暖房装置の制御方法によれば、バーナ消火後、再点火するまでの間、対流用送風機は、高温に加熱されている熱交換器により装置全体が加熱されないように送風を続けている。ここで、気化器は、熱交換器との間にバーナが介在しているものの、これらはいずれも熱伝導度の高い金属部材により構成されている。従って、気化器の熱量は、バーナを介して熱交換器に伝わり、該熱交換器が対流用送風機により冷却され続けてしまい、結果として気化器が必要以上に冷却されてしまう。
【0009】
そこで、本発明は、上記不都合を解消して、一時的にバーナを消火する際に、必要以上の気化器の冷却を防止する温風暖房装置の運転制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、液体燃料の気化ガスと空気との混合気を燃焼させるバーナと、供給された液体燃料を加熱して気化ガスを生成する気化器と、前記気化ガスと混合する燃焼用の空気を前記気化器を介して前記バーナに供給する燃焼用送風機と、前記バーナにより加熱された温風を室内に送風する対流用送風機と、前記室内の温度を検出する室温センサとを備える温風暖房装置の運転制御方法において、前記室温センサにより検出した室内温度が、予め設定された設定温度より所定温度高い温度に達したときに、前記気化器への液体燃料の供給を停止させて前記バーナを消火させる工程と、前記バーナの消火後、前記気化器に取り付けた温度センサにより検出した気化器の温度が、暖房運転終了時に前記燃焼用送風機の作動を停止する温度よりも高い第1の所定の温度に達したときに、前記燃焼用送風機の作動を停止する工程と、前記燃焼用送風機の作動停止後、前記気化器が過冷却となる温度に達するまでに前記対流用送風機の作動を停止させる工程と、前記対流用送風機の作動停止後、室内温度が設定温度以下に低下したら前記バーナを再点火し、温風暖房装置の運転を再開することを特徴とする。
【0011】
本発明の温風暖房装置の運転制御方法によれば、先ず、室温センサにより検出した室内温度が設定温度より所定温度高い温度に達したときに、バーナを消火する。次に、気化器の温度が、暖房運転終了時に前記燃焼用送風機の作動を停止する設定温度よりも高い第1の所定の温度にまで低下したときに、燃焼用送風機の作動を停止する。
【0012】
このようにすることにより、未燃焼ガスが、装置内に滞留することを防止しつつ、気化器を暖気状態に維持することができる。
【0013】
そして、対流用送風機の作動を気化器が過冷却となる温度に達するまでに停止させる。この結果、気化器が対流用送風機により必要以上に冷却されることを防止することができ、その後、バーナの再点火にかかる時間を短くすることができるため、エネルギー効率を向上させることができる。ここで、暖房運転終了時とは、使用者により温風暖房装置の温調を終了させる操作がなされたときのことを意味する。
【0014】
また、本発明の温風暖房装置の運転制御方法では、前記対流用送風機を、前記バーナの消火後又は前記燃焼用送風機の作動停止後、所定時間経過後に停止させることが好ましい。このようにすることにより、暖気状態に維持されている気化器が対流用送風機により必要以上に冷却されることがない。
【0015】
また、本発明の温風暖房装置の運転制御方法では、前記対流用送風機を、前記燃焼用送風機の作動停止後、前記温度センサにより検出される温度が第2の所定の温度に達したときに、前記対流用送風機の作動を停止させることが好ましい。このようにすることにより、暖気状態に維持されている気化器が対流用送風機により必要以上に冷却されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)本発明の方法に用いられる温風暖房装置を平面視で模式的に示す説明図、(b)本発明の方法に用いられる温風暖房装置を側面視で模式的に示す説明図。
【図2】図1の温風暖房装置の電子機器の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の温風暖房装置の制御方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施に用いられる温風暖房装置についてさらに詳しく説明する。
【0018】
本実施形態の温風暖房装置1は、室内の暖房を行うFF式の温風暖房機である。温風暖房を行うための構成としては、図1(a)及び図1(b)に示すように、気化器2と、バーナ3と、燃焼用送風機4と、温風用熱交換器5と、対流用送風機6とを備えている。
【0019】
気化器2は、気化器2の温度を検出する温度センサ7を備え、下部に液体燃料を供給する燃料供給管8の一方の端部が接続されている。燃料供給管8は、途中に燃料ポンプ9を備えており、他方の端部が図示しない外部の油タンクに接続されている。
【0020】
また、気化器2には、燃焼用送風機4が給気管10を介して接続されており、燃焼用送風機4から燃焼用空気が供給される。また、気化器2は、上部にバーナ3が連結されており、気化器2で生成した液体燃料の気化ガスと燃焼用空気との混合気を、バーナ3に供給する。
【0021】
また、温風暖房装置1の外壁部には、温風暖房装置1が設置される室内(以下、単に「室内」という)の温度(以下、「室温」という)を検出する室温センサ11が設けられている。
【0022】
バーナ3は、気化器2から供給された混合気を燃焼し、生じた排気をバーナ3の上部に連結された温風用熱交換器5に導出する。温風用熱交換器5は、該排気と空気との間で熱交換させるものであり、対流用送風機6は、温風用熱交換器5に向けて空気を送風することにより温風を生成し、室内の空気を対流させる。温風用熱交換器5は、下流側に排気管12が接続されている。排気管12は、熱交換された排気を温風暖房装置1の外部に導出する。
【0023】
また、温風暖房装置1は、図2に示すように、バーナ3の燃焼制御の他、温風暖房装置1の運転制御を行う制御装置13を備えている。この制御装置13は、マイクロコンピュータ等の電子回路により構成されたものであり、記憶手段であるEEPROM14を内蔵し、温度センサ7と、室温センサ11に電気的に接続され、これらのセンサ7,11から温度データを受信する。
【0024】
また、制御装置13は、気化器2、バーナ3、燃焼用送風機4、対流用送風機6及び燃料ポンプ9のそれぞれの機器に電気的に接続されている。また、EEPROM14には、制御装置13の作動制御と温度センサ7の温度データとが記憶されている。
【0025】
次に、本実施形態の温風暖房装置1の運転制御方法について説明する。
【0026】
先ず、温風暖房運転の作動について説明する。温風暖房運転が開始されると、制御装置13は、先ず、気化器2の作動を開始して、気化器2の加熱を開始する。そしてヒータの作動によって気化器2が加熱(予熱)され、温度センサ7による気化器2の検出温度が気化器2による液体燃料の気化を行いうる所定の閾値温度まで上昇すると、制御装置13は、燃焼用送風機4を作動させつつ、気化器2に燃料供給管8を介して液体燃料を供給する。
【0027】
次に、液体燃料を気化器2で気化させつつ、その気化ガスと燃焼用送風機4により送風される燃焼用空気とを混合し、その混合気をバーナ3に供給する。混合気のバーナ3への供給に伴い、バーナ3に供給された混合気に点火を行い、バーナ3の燃焼を開始させる。
【0028】
温風暖房装置1は、その後、ユーザの選択により通常運転モード又はセーブ運転モードで温風暖房を行う。セーブ運転モードが選択されている場合、制御装置13は、図3のフローチャートに示す運転制御を行う。以下、セーブ運転時における運転制御について、詳細に説明する。
【0029】
先ず、制御装置13は、室温センサ11により検出される室内の温度データを受信し、室温が設定温度より所定値の温度、例えば、3℃以上上昇したか否かを判定する。制御装置13は、室温が設定温度+3℃以上の温度に達していると判定すると、燃料ポンプ9を停止して液体燃料の気化器2への供給を停止することにより、バーナ3を消火する(STEP2)。
【0030】
次に、制御装置13は、温度センサ7により検出される気化器2の温度データを受信し、気化器2の温度が、例えば、150℃未満に低下したか否かを判定する(STEP3)。制御装置13は、気化器2の温度が150℃未満に低下したと判定すると、燃焼用送風機4の作動を停止する(STEP4)。
【0031】
次に、制御装置13は、燃焼用送風機4の作動停止後、所定時間、例えば、暖房運転終了時に対流用送風機6の作動を停止する際と同一の時間、例えば、4分経過後に、対流用送風機6の作動を停止させる(STEP5,6)。
【0032】
発明者が種々検討した結果、前記所定時間を、暖房運転終了時に対流用送風機6の作動を停止する際と同一の時間とすることにより、温風用熱交換器5を確実に冷却することができると共に、冷却された温風用熱交換器5による気化器2の冷却を最小限に抑えることができることが知見された。
【0033】
次に、室温が再び前記設定温度未満にまで低下したら、温風運転開始時と同じ工程に従ってバーナ3を再点火し、温風運転を再開する(STEP7)。
【0034】
本実施形態の温風暖房装置1の制御方法では、STEP5において、さらに、バーナ3の消火後、燃焼用送風機4の作動を停止するまでにかかった時間を考慮して、燃焼用送風機4の作動停止後、対流用送風機6を停止するまでの時間を適宜変更してもよい。
【0035】
また、本実施形態の温風暖房装置1の制御方法では、STEP5において、燃焼用送風機4の作動停止後の時間を検出して制御したが、バーナ3の消火後の時間を検出して制御してもよい。
【0036】
また、他の実施形態の温風暖房装置1の制御方法として、STEP5において、燃焼用送風機4の作動停止後、温度センサ7により検出される気化器2の温度が、例えば、140℃にまで低下したときに、対流用送風機6の作動を停止させてもよい。
【0037】
気化器2の温度が140℃にまで低下していれば、温風用熱交換器5の温度は60℃以下に低下していると考えられるので、対流用送風機6の作動を停止したとしても温風暖房装置1全体が温風用熱交換器5により加熱されて高温となることはない。
【符号の説明】
【0038】
1…温風暖房装置、2…気化器、3…バーナ、4…燃焼用送風機、5…温風用熱交換器、6…対流用送風機、7…温度センサ、11…室温センサ、13…制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料の気化ガスと空気との混合気を燃焼させるバーナと、供給された液体燃料を加熱して気化ガスを生成する気化器と、前記気化ガスと混合する燃焼用の空気を前記気化器を介して前記バーナに供給する燃焼用送風機と、前記バーナにより加熱された温風を室内に送風する対流用送風機と、前記室内の温度を検出する室温センサとを備える温風暖房装置の運転制御方法において、
前記室温センサにより検出した室内温度が、予め設定された設定温度より所定温度高い温度に達したときに、前記気化器への液体燃料の供給を停止させて前記バーナを消火させる工程と、
前記バーナの消火後、前記気化器に取り付けた温度センサにより検出した気化器の温度が、暖房運転終了時に前記燃焼用送風機の作動を停止する温度よりも高い第1の所定の温度に達したときに、前記燃焼用送風機の作動を停止する工程と、
前記燃焼用送風機の作動停止後、前記気化器が過冷却となる温度に達するまでに前記対流用送風機の作動を停止させる工程と、
前記対流用送風機の作動停止後、室内温度が設定温度以下に低下したら前記バーナを再点火し、温風暖房装置の運転を再開することを特徴とする温風暖房装置の運転制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の温風暖房装置の運転制御方法において、
前記バーナの消火後又は前記燃焼用送風機の作動停止後、所定時間経過後に、前記対流用送風機の作動を停止させることを特徴とする温風暖房装置の運転制御方法。
【請求項3】
請求項1記載の温風暖房装置の運転制御方法において、
前記燃焼用送風機の作動停止後、前記温度センサにより検出される温度が第2の所定の温度に達したときに、前記対流用送風機の作動を停止させることを特徴とする温風暖房装置の運転制御方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−211708(P2012−211708A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76168(P2011−76168)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000106483)サンポット株式会社 (17)
【Fターム(参考)】