説明

測位装置、この測位装置を備えた携帯端末装置および測位装置の製造方法

【課題】位置の測位精度を向上させつつ、小形化および低コスト化を実現する。
【解決手段】測位装置20は、GPS衛星の電波をアンテナ部30で受信して、GPS位置検出部51で位置を測位する。また、GPS衛星の電波を受信困難な場合、センサ部40からのセンサ出力により、センサ位置検出部52で位置を自律測位する。センサ部40は、絶縁性樹脂でモールドされており、その周囲をさらに導電性樹脂でモールドされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位装置、この測位装置を備えた携帯端末装置および測位装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な測位装置として、人工衛星からの電波を受信して、位置を測位するGPS(Global Position System)がある。このような測位装置においては、地下や林の中などでは、人工衛星からの電波が到達しないため、位置を測位することが困難となる。そこで、この測位装置に加速度センサを備えて、この加速度センサによって得られた移動量および移動方向を積分することによって、人工衛星からの電波が受信困難な状況であっても、継続して位置を測位することができる測位装置が提案されている。
【0003】
しかしながら、この加速度センサは機械的に振動を検出するセンサであることから、外部からの妨害波などの不要な電波により帯電し、センサ出力に誤差を生じることがあった。
【0004】
そこで、特許文献1に記載された加速度センサは、金属筐体で覆われており、この金属筐体で不要な電波を遮蔽することにより、加速度センサの帯電を低減させている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−153724(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、このような測位装置は、携帯端末装置に設けられることが多くなっている。これは、携帯端末装置の所有者の位置を特定することに対する需要が高まっているからである。このような携帯端末装置は、薄形化の要求が高まっており、特許文献1のように、加速度センサを金属筐体で覆うことは、大形化および高コスト化となってしまう。
【0007】
本発明の主たる目的は、位置の測位精度を向上させつつ、小形化および低コスト化を実現することができる測位装置、およびこの測位装置を備えた携帯端末装置、並びに測位装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の測位装置は、移動体に設置される測位装置であって、人工衛星からの電波を受信して、前記移動体の位置を測位する第1測位手段と、前記移動体の移動量および移動方向を検出する移動検出手段と、前記移動検出手段が検出した移動量および移動方向を積算して、前記移動体の位置を測位する第2測位手段とを備えている。前記移動検出手段は、電波遮蔽材料または電波吸収材料でモールドされている。
【0009】
本発明において、前記電波遮蔽材料は、前記移動検出手段をモールドする絶縁性樹脂と、前記絶縁性樹脂をモールドする導電性樹脂との2層構造を有していることが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記移動検出手段は、振動状態により前記移動量および前記移動方向を検出する機械振動部を含む加速度センサを有していてもよい。
【0011】
さらに、本発明においては、前記移動検出手段は、振動状態により前記移動量および前記移動方向を検出する機械振動部を含む角速度センサを有していてもよい。
【0012】
加えて、本発明においては、前記移動検出手段は、気圧変化に応じた変位量から高度を検出する気圧計を有していてもよい。
【0013】
また、本発明においては、前記移動検出手段の近傍の振動量を検出する振動検出手段と、前記振動検出手段が検出した振動量に演算処理を行う演算手段と、前記演算手段が演算した演算結果に基づく振動量の振動を発生させる振動発生手段とをさらに備え、該振動発生手段が前記近傍の振動量を打ち消すことが好ましい。
【0014】
また、本発明の携帯端末装置は、上述した測位装置を備えており、前記振動検出手段は、音声信号を電気信号に変換するマイクロホンであることが好ましい。
【0015】
また、本発明の携帯端末装置は、上述した何れかの測位装置を備えており、前記測位装置は、同一半導体上に集積回路として構成されたモジュールであることが好ましい。
【0016】
また、本発明の測位装置の製造方法は、移動体に設置される測位装置の製造方法であって、前記移動体の移動量および移動方向を検出する移動検出手段を基板上に電気的に接続する移動検出手段接続工程と、前記移動検出手段接続工程により前記基板上に電気的に接続された前記移動検出手段を、電波遮蔽材料または電波吸収材料でモールドするモールド工程とを備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、移動検出手段を電波遮蔽材料または電波吸収材料でモールドし、この電波遮蔽材料または電波吸収材料により妨害波などの不要な電波を遮蔽または吸収するによって、移動検出手段の帯電を低減することができる。これにより、移動検出手段の帯電による検出誤差を低減させ、位置の測位精度を向上させることができる。
また、移動検出手段を電波遮蔽材料または電波吸収材料でモールドすることにより、移動検出手段を金属筐体などで覆う場合に比べて、小形化および低コスト化することができる。
【0018】
また、移動検出手段を絶縁性樹脂でモールドした後、この絶縁性樹脂をさらに導電性樹脂でモールドすることにより、移動検出手段を金属筐体などで覆う場合に比べて、簡単な構成で小形化および低コスト化することができる。
【0019】
このとき、例えば、測位装置が音声の送受信を行う携帯端末装置に設けられており、通話による音声振動などが移動検出手段に加わった場合に、この音声振動の振動量を振動検出手段により検出する。そして、この検出した振動量を演算手段によって逆位相になるように演算し、この演算結果に基づく逆位相の振動量の振動を振動発生手段により発生する。
これにより、音声振動が、振動発生手段により発生した逆位相の振動によって除去される。つまり、音声振動による移動検出手段の検出誤差を低減させ、位置の測位精度をさらに向上させることができる。
【0020】
また、振動検出手段は、送話に用いられるマイクロホンであることから、新たな振動検出手段を設けずに、安価な構成で振動検出手段を構成することができる。
【0021】
さらに、この測位装置は、同一半導体基板上に集積回路として構成されるので、小形化および高集積化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本発明は、携帯電話に本発明を適用した一例である。
【0023】
図1は本発明の実施形態に係る携帯電話の構成を概略的に示すブロック図である。図1に示すように、携帯電話1(携帯端末装置)は、携帯電話網を介して無線通信によって離れた相手と通話などを行うものであり、操作部11と、マイクロホン12(振動検出手段)と、スピーカ13と、表示部14と、制御部15と、携帯電話アンテナ16と、送受信部17とを主に有する。
【0024】
操作部11は、ボタンなどから構成されており、操作者が操作することによって、通話時における電話番号などの各種情報が入力される。マイクロホン12は、音声信号を電気信号に変換して制御部15に出力する。スピーカ13は、電気信号を音声信号に変換して出力する。表示部14は、液晶ディスプレイなどから構成されており、電話番号入力画面などを表示する。
制御部15は、通話における各種動作を制御するプログラムやデータなどが格納されたハードディスク、各種動作を制御する信号を生成するために各種演算を実行するCPU、CPUでの演算処理などのデータを一時保管するRAMなどが含まれており、通話などにおける各種動作を制御する。また、制御部15は、振動量演算部15a(演算手段)を有する。振動量演算部15aは、マイクロホン12から出力された電気信号が入力され、この電気信号と逆位相の電気信号を演算結果として出力する。
携帯電話アンテナ16は、携帯電話網を介して通信される各種データを送受信する。送受信部17は、制御部15から受信したデータに変調処理を施し、携帯電話アンテナ16に送信する。また、携帯電話アンテナ16から受信した信号に復調処理を施し、制御部15に送信する。
【0025】
また、携帯電話1は、位置を測位する測位装置20を有する。測位装置20は、GPSアンテナ部30と、センサ部40(移動検出手段)と、位置検出IC50と、圧電振動子60(振動発生手段)とを有する。この測位装置20は、1枚の半導体基板上に集積回路として構成されたモジュールである。
【0026】
GPSアンテナ部30は、GPSアンテナ31と、LNA32(Low Noise Amplifier)と、受信部33とを有する。GPSアンテナ31は、GPS衛星から送られてくる電波を受信して、LNA32に出力する。LNA32は、入力された信号を増幅して、受信部33に出力する。受信部33は、入力された信号に復調処理を施して、後述するGPS位置検出部51に出力する。
【0027】
センサ部40は、加速度センサ41と、角速度センサ42と、気圧計43とを有する。加速度センサ41は、バネなどの機械的振動部(図示せず)を有しており、このバネを共振周波数で振動させ、加速度が加わったときの振動量変化に伴う共振周波数の変化から加速度を検出するものである。この加速度センサ41は、少なくとも2軸(高さ方向を除く水平方向におけるX軸およびY軸)方向に対する加速度を検出し、各軸方向の検出結果を加速度信号として後述するセンサ位置検出部52に出力する。角速度センサ42は、例えば、ジャイロセンサなどであり、圧電素子を振動素子に用いており、この圧電素子をX軸振動させた状態で、Z軸回りに回転する力が加わったときのコリオリ力により生じるY軸方向の振動から角速度を検出するものである。この角速度センサ42は、少なくとも1軸(高さ方向、つまりZ軸)回りの角速度を検出しており、検出結果を角速度信号として後述するセンサ位置検出部52に出力する。気圧計43は、携帯電話1近傍の気圧を検出しており、検出結果を気圧信号として後述するセンサ位置検出部52に出力する。
【0028】
位置検出IC50は、GPS位置検出部51(第1測位手段)と、センサ位置検出部52(第2測位手段)とを有する。GPS位置検出部51は、受信部33から入力された信号を受信して、位置を測位する。センサ位置検出部52は、センサ部40からの加速度信号、角速度信号および気圧信号が入力されることにより、自律測位する。すなわち、センサ位置検出部52は、加速度センサ41から出力された加速度信号から携帯電話1の移動距離および移動方向を積算する。そして、角速度センサ42から出力された角速度信号から携帯電話1の移動方向を積算し、加速度センサ41から得られた移動方向の精度向上を図る。加えて、気圧計43から出力された気圧信号から携帯電話1の高度を積算する。これにより、センサ位置検出部52は、位置を自律測位する。
つまり、携帯電話1がGPS衛星からの電波を受信することができる場合においては、GPS位置検出部51によって位置を測位し、地下や林の中などGPS衛星からの電波が到達せず、電波を受信することができない場合においては、センサ位置検出部52によって、電波を受信することができなくなった時点から、移動距離および方向を積算して、自律測位する。
【0029】
圧電振動子60は、例えば、水晶振動子などから構成されており、圧電効果を利用して振動を発生する。
【0030】
ここで、圧電振動子60の用途について、図2〜図4を参照しつつ説明する。図2は、圧電振動子の振動周波数を決定するための振動量演算部の電気回路図である。図3は、携帯電話で発生する各部における振動を示す波形図であり、(a)はセンサ部近傍で発生する振動の波形図、(b)は圧電振動子で発生させた振動の波形図、(c)はセンサ部近傍で発生した振動および圧電振動子で発生させた振動を合成した波形図である。図4は、加速度センサの出力波形であり、(a)は圧力振動子で振動を発生させていない場合、(b)は圧力振動子で振動を発生させている場合である。
【0031】
加速度センサ41および角速度センサ42は、内部にバネや振動子などの機械的振動部を有しており、外部からの振動が加わったときの振動の変化量から加速度および角速度を検出している。つまり、携帯電話1の移動に伴う振動以外の振動が加わってしまうと、加速度センサ41および角速度センサ42は出力誤差を生じてしまう。
【0032】
ここで、携帯電話1の移動に伴う振動以外の振動としては、通話による音声振動が挙げられる。この音声振動が加速度センサ41および角速度センサ42の出力に影響を与えないように音声振動を除去する必要がある。そこで、マイクロホン12によって出力された電気信号は、音声信号を電気信号に変換したものであるから、この電気信号を振動量演算部15aによって逆位相になるように演算する。
演算方法として、図2に示すように、マイクロホン12から出力される電気信号をVinとして、この電気信号Vinを増幅率1倍の反転回路90に入力することにより、逆位相の電気信号Voutを出力する。この電気信号Voutに基づいた振動量の振動を圧力振動子60で発生させる。マイクロホン12は、測位装置20が1つの半導体基板上に構成されていることから、加速度センサ41および角速度センサ42の比較的近傍に位置している。すなわち、マイクロホン12近傍の音声振動による振動量と、加速度センサ41および角速度センサ42近傍の音声信号による振動量は同様とみなすことができる。
【0033】
これにより、図3に示すように、センサ部50近傍で発生している振動(図3(a))に対して、圧力振動子60によって逆位相の振動(図3(b))を発生させることにより、音声振動を除去することができる(図3(c))。つまり、音声振動によるセンサ部50の検出誤差を低減させ、位置の測位精度を向上させることができる。
これは、図4(a)に示すように、圧力振動子60によって音声振動の逆位相の振動を発生させていない場合に、加速度センサ41の向きを水平方向から時間t1において鉛直方向に動かし、時間t2において再度水平方向に動かしたときの加速度センサ41の出力と、図4(b)に示すように、圧力振動子60によって音声振動の逆位相の振動を発生させている場合に、加速度センサ41の向きを同様に動かしたときの加速度センサ41の出力とを比較したときに、加速度センサ41の出力誤差が低減されていることからも分かる。
【0034】
また、加速度センサ41および角速度センサ42は、内部にバネや振動子などの機械的振動部を有していることから、外部からの妨害波などの不要な電波が帯電することにより、出力誤差を生じることがある。
【0035】
そこで、加速度センサ41および角速度センサ42が、不要な電波により帯電しないようにする必要がある。この不要な電波からの加速度センサ41および角速度センサ42の帯電を防止する方法について、図5および図6を参照しつつ説明する。図5は、基板上に加速度センサを実装した縦断面図である。図6は、加速度センサの出力波形であり、(a)は加速度センサを樹脂でモールドしていない場合であり、(b)は加速度センサを樹脂でモールドしている場合である。
【0036】
本実施形態においては、角速度センサ42についても同様の方法であるので、一例として加速度センサ41について説明する。図5に示すように、加速度センサ41は、多層の半導体基板21上に塗布されたエポキシ樹脂などのダイボンド材22上に接着固定される。加速度センサ41の電極25は、ボンディングワイヤ23により、半導体基板21の電極24と電気的に接続されている。そして、加速度センサ41は、外部に露出しないようにその周囲を絶縁性樹脂70によりモールドされている。さらに、絶縁性樹脂70によりモールドされたその周囲を導電性樹脂71によりモールドされている。これにより、導電性樹脂71が妨害波などの不要な電波を遮蔽することにより、加速度センサ41の帯電を低減させ、位置の測位精度を向上させることができる。
これは、図6(a)に示すように、加速度センサ41を絶縁性樹脂70および導電性樹脂71でモールドしていない場合に、加速度センサ41の向きを水平方向から時間t1において鉛直方向に動かし、時間t2において再度水平方向に動かしたときの加速度センサ41の出力と、図4(b)に示すように、加速度センサ41を絶縁性樹脂70でモールドし、さらに導電性樹脂71でモールドしている場合に、加速度センサ41の向きを同様に動かしたときの加速度センサ41の出力とを比較したときに、加速度センサ41の出力誤差が低減されていることからも分かる。
【0037】
次に、測位装置20の製造工程について、図7および図8を参照しつつ説明する。図7は、測位装置の製造工程を示すフローチャートである。図8は、基板上に加速度センサを実装し、樹脂でモールドされる製造工程を示す図である。なお、角速度センサ42および気圧計43は、加速度センサ41と置き換えて説明できるので図示していない。また、図8においては、センサ部40の加速度センサ41が、半導体基板21上に実装され、絶縁性樹脂70によりモールドされ、導電性樹脂71によりモールドされる製造工程のみを示しているが、角速度センサ42および気圧計43の場合においても同様の製造工程となっている。
なお、気圧計43は、モールドする樹脂と気圧計43の間にある隙間より気圧の変化を測定できる。
【0038】
図7に示すように、測位装置20は、まず、半導体基板21上にアンテナ部30を実装する(S1)。次に、センサ部40を実装する(S2:図8(a)参照)。そして、センサ部40を絶縁性樹脂70によりモールドし(S3:図8(b)参照)、さらに、その周囲を導電性樹脂71によりモールドする(S4:図8(c))。続いて、位置検出IC50を実装して(S5)、圧電振動子60(S6)を実装する。
絶縁性樹脂70は周知の半導体封止材を使用し、導電性樹脂71はポリエステル樹脂に銀フィラーを含有したものを使用、被膜厚さは400μmとした。
【0039】
以上、説明したように、本実施形態によると、加速度センサ41および角速度センサ42を含むセンサ部40を絶縁性樹脂70でモールドし、さらに導電性樹脂71でモールドすることにより、導電性樹脂71が妨害波などの不要な電波を遮蔽することにより、加速度センサ41および角速度センサ42の帯電を低減することができる。これにより、加速度センサ41および角速度センサ42の帯電による検出誤差を低減させ、位置の測位精度を向上させることができる。
また、加速度センサ41および角速度センサ42を絶縁性樹脂70でモールドし、さらに導電性樹脂71でモールドすることにより、加速度センサ41および角速度センサ42を金属筐体などで覆う場合に比べて、簡単な構成で小形化および低コスト化することができる。
【0040】
また、センサ部40近傍の振動量をマイクロホン12で検出していることにより、新たに振動検出センサを設けることなく、安価な構成で振動量を検出することができる。
また、センサ部40の近傍の振動量を検出する手段として、マイクロホン12の替わりに、スピーカ13の駆動電気信号を用いることもできる。すなわち、スピーカ13の駆動電気信号を、排除すべき音声信号とみなすことにより、前記スピーカ13による振動を低減させることが可能である。
【0041】
さらに、測位装置20は、同一半導体基板21上に集積回路として構成されるので、小形化および高集積化を図ることができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその趣旨を越えない範囲において変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、加速度センサ41および角速度42を絶縁性樹脂70でモールドした後、さらに導電性樹脂71でモールドしていたが、絶縁性樹脂70および導電性樹脂71で2層にモールドするのではなく、エポキシ樹脂などにフェライト粉末を分散したモールド材、またはウレタン系樹脂に軟磁性金属にカーボンを含有したモールド材とした電波吸収材料で1層のみモールドしても同様の効果を得ることができる。
また、本発明では、モールド対象は加速度センサ41、角速度センサ42、気圧計43としたが、本発明の趣旨により、電磁波の影響を受ける部品に適用できることは言うまでもない。
【0043】
また、上述した実施形態においては、角速度センサ42を備えていたが、角速度センサ42は加速度センサ41によって検出された移動方向の精度を向上させるためのものであるため備えていなくてもよい。
【0044】
さらに、上述した実施形態においては、気圧計43を備えていたが、2次元平面における現在位置を測位するのであれば、高度を検出する気圧計43は備えていなくてもよい。
【0045】
加えて、上述した実施形態においては、圧電振動子60および振動量演算部15aを備えていたが、音声振動が加速度センサ41および角速度センサ42の出力に影響を与えない程小さな振動であれば、圧電振動子60および振動量演算部15aは備えていなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】圧電振動子の振動周波数を決定するための振動量演算部の電気回路図である。
【図3】携帯電話で発生する各部における振動を示す波形図であり、(a)はセンサ部近傍で発生する振動の波形図であり、(b)は圧電振動子で発生させた振動の波形図であり、(c)はセンサ部近傍で発生した振動および圧電振動子で発生させた振動を合成した波形図である。
【図4】加速度センサの出力波形であり、(a)は圧力振動子で振動を発生させていない場合であり、(b)は圧力振動子で振動を発生させている場合である。
【図5】基板上に加速度センサを実装した縦断面図である。
【図6】加速度センサの出力波形であり、(a)は加速度センサを樹脂でモールドしていない場合であり、(b)は加速度センサを樹脂でモールドしている場合である。
【図7】測位装置の製造工程を示すフローチャートである。
【図8】基板上に加速度センサを実装し、樹脂でモールドされる製造工程を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 携帯電話
12 マイクロホン
15a 振動量演算部(演算手段)
20 測位装置
41 加速度センサ
42 角速度センサ
43 気圧計
51 GPS位置検出部
52 センサ位置検出部
60 圧電振動子
70 絶縁性樹脂
71 導電性樹脂


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設置される測位装置であって、
人工衛星からの電波を受信して、前記移動体の位置を測位する第1測位手段と、
前記移動体の移動量および移動方向を検出する移動検出手段と、
前記移動検出手段が検出した移動量および移動方向を積算して、前記移動体の位置を測位する第2測位手段とを備えており、
前記移動検出手段は、電波遮蔽材料または電波吸収材料でモールドされていることを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記電波遮蔽材料は、
前記移動検出手段をモールドする絶縁性樹脂と、
前記絶縁性樹脂をモールドする導電性樹脂との2層構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記移動検出手段は、振動状態により前記移動量および前記移動方向を検出する機械振動部を含む加速度センサを有することを特徴とする請求項1または2に記載の測位装置。
【請求項4】
前記移動検出手段は、振動状態により前記移動量および前記移動方向を検出する機械振動部を含む角速度センサを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の測位装置。
【請求項5】
前記移動検出手段は、気圧変化に応じた変位量から高度を検出する気圧計を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の測位装置。
【請求項6】
前記移動検出手段の近傍の振動量を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段が検出した振動量に演算処理を行う演算手段と、
前記演算手段が演算した演算結果に基づく振動量の振動を発生させる振動発生手段とをさらに備えており、
該振動発生手段が前記近傍の振動量を打ち消すことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の測位装置。
【請求項7】
請求項6に記載の測位装置を備えており、
前記振動検出手段は、音声信号を電気信号に変換するマイクロホンであることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項8】
請求項1〜6の何れか1項に記載の測位装置を備えており、
前記測位装置は、同一半導体上に集積回路として構成されたモジュールであることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項9】
移動体に設置される測位装置の製造方法であって、
前記移動体の移動量および移動方向を検出する移動検出手段を基板上に電気的に接続する移動検出手段接続工程と、
前記移動検出手段接続工程により前記基板上に電気的に接続された前記移動検出手段を、電波遮蔽材料または電波吸収材料でモールドするモールド工程とを備えていることを特徴とする測位装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−232791(P2008−232791A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72087(P2007−72087)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】