説明

測定器

【課題】プリセット処理における測定基準値の誤差の発生を効率的に排除できる測定器を提供する。
【解決手段】操作部からの指令に応じて検出手段に変位量を検出させ、検出された変位量を測定基準値Xとして記憶部に記憶させるプリセット処理と、現在の変位量と記憶部に記憶された測定基準値Xとの差を基に測定値を算出する測定値算出処理と、を実行する測定器であって、プリセット処理は、所定時間Tおきに検出手段により検出された変位量の変動量が許容範囲内である状態が一定時間継続した場合に可動部材が固定部材に対し静止していると判定する判定処理を有し、判定処理において、可動部材が固定部材に対し静止していると判定された場合に、変位量を測定基準値Xとして記憶部に記憶させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定部材に対する可動部材の変位量を測定する測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物の寸法等を測定するデジタル式測定器として、ノギス、マイクロメータ、インジケータ、テストインジケータ、ハイトゲージ、スケール等が知られている。このような測定器には、固定部材と、固定部材に対して移動可能に構成された可動部材と、固定部材に対する可動部材の変位量を検出する検出手段と、検出手段により検出された固定部材に対する可動部材の変位量を表示する表示部と、が備えられている。
【0003】
例えば、図1に示すように、テストインジケータ1は、本体10と、本体10に貫通して設けられ被支持部111を中心に揺動可能に支持されるスタイラス11と、スタイラス11の本体10側の端部に設けられた電極121および本体10に設けられ電極121と静電結合してスタイラス11の変位量を検出する検出ヘッド122を有するエンコーダ12と、エンコーダ12により検出された本体10に対するスタイラス11の変位量をデジタル表示する表示部14と、いわゆるプリセット処理を行うための操作部15と、を備える。
このようなテストインジケータ1は、スタイラス11の一端に設けられた接触部112を被測定物2に当接させた際のスタイラス11の変位量から、被測定物2の測定部位の高さ等を測定するための測定器である。
【0004】
また、テストインジケータ1は、プリセット処理を実施することにより、複数の対象物等の比較等を行うことができる。
二つの対象物の高さの比較をする場合、はじめに、一方の対象物の上面にスタイラス11の接触部112を当接させ、操作部15を操作する。これにより、その時のスタイラス11の変位量が測定基準値として記憶される。次に、他方の対象物の上面にスタイラス11の接触部112を当接させる。すると、その時のスタイラス11の変位量と先に記憶された測定基準値との差が表示部14に表示され、二つの対象物の高さの比較ができる。
このようなテストインジケータとして、例えば、スタイラスの変位により発生するモアレ縞を電気的に取り出す検出手段を備え、正確な測定を行うことが可能なテストインジケータが開示されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】実開平2−45762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1記載のような従来のテストインジケータにおいては、プリセット処理を行うための操作部が本体に設けられているため、測定基準値を正確に決定することができないという問題点があった。
この問題点を、図5〜7を用いて説明する。
図5〜7において、横軸は時間を、縦軸はスタイラスの変位量を示す。曲線が、プリセット処理に際して発生するスタイラスの変位を示す。この曲線の下には、操作部の操作状況と、測定基準値の記憶をタイミングチャートで示した。
【0007】
図5は、従来のテストインジケータ1でプリセット処理を実施した場合のスタイラス11の変位量を示す。
プリセット処理に際しては、まず、対象物にスタイラス11の接触部112を当接させる等してスタイラス11を静止させる。これがtの時点である。次に、本体10の操作部15を操作する。これがtの時点である。
図5の曲線が示すように、tからtにおいては、スタイラス11は静止しているから変位量はyのまま変化しない。tにおいて、本体10の操作部15を操作すると、操作部15と一体化している本体10にも力が伝わり、本体10が振動する。ここで、エンコーダ12が検出するのはスタイラス11の本体10に対する相対的変位量であるので、本体10の振動がスタイラス11の変位量として検出される。
【0008】
測定基準値の記憶は、操作部15の操作に対応して行われるが、操作部15の操作を行った時点tより多少遅れた時点tにおいて行われることになる。tは、操作部15の操作を行った直後であるから、本体10が大きく振動しており、測定基準値として記憶されるスタイラス11の変位量は、実際の静止位置での変位量yとは異なるyである。したがって、記憶された測定基準値には、y−yの分だけ誤差が含まれることになる。
このような測定基準値の誤差を防止するため、操作部15の操作と測定基準値の記憶との間にタイムラグを設ける方法が知られている。
【0009】
図6に、タイムラグ付きのプリセット処理を実施した場合のスタイラス11の変位量、操作部15の操作状況および測定基準値の記憶のタイミングを示す。
図6は、tとtの間に大きなタイムラグTが設けられていることのみが図5の場合と異なる。大きなタイムラグTを経たtの時点では本体10の振動が収まっているので、実際の静止位置での変位量yを測定基準値として記憶することができる。
しかし、このようなタイムラグを設ける方法では、タイムラグを本体10の振動が収まるまでの時間より長く設定する必要がある。本体10の振動は環境条件等によって変化するから、図6のように、振動が継続する時間Tに対してタイムラグTが長すぎる場合がある。この場合、T−Tの分だけ時間を無駄にすることになり、作業効率の面で好ましくない。
【0010】
また、逆に、図7に示すように、振動が継続する時間Tに対してタイムラグTが短すぎる場合がある。この場合、tの時点で本体10の振動は収まっていないから、測定基準値として記憶されるスタイラス11の変位量は、実際の静止位置での変位量yとは異なるyとなり、y−yの分だけ誤差が生じることになる。
このような測定基準値の誤差は、テストインジケータのみならず、本体にプリセット処理のための操作部を有する様々な測定器において発生していた。
【0011】
本発明の目的は、プリセット処理における測定基準値の誤差の発生を効率的に排除できる測定器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の測定器は、固定部材と、前記固定部材に対して移動可能に構成された可動部材と、前記固定部材に対する前記可動部材の変位量を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記変位量から測定値を算出する演算部と、前記演算部が算出した前記測定値を表示する表示部と、前記演算部に指令を与える操作部と、を備え、前記演算部は、前記検出手段により検出された前記変位量が記憶される記憶部を有し、前記操作部からの指令に応じて前記検出手段により検出された前記変位量を測定基準値として前記記憶部に記憶させるプリセット処理と、現在の前記変位量と前記記憶部に記憶された前記測定基準値との差を基に前記測定値を算出する測定値算出処理と、を実行し、前記プリセット処理は、所定時間おきに前記検出手段により検出された前記変位量の変動量が許容範囲内である状態が一定時間継続した場合に前記可動部材が前記固定部材に対し静止していると判定する判定処理を実行し、前記判定処理において、前記可動部材が前記固定部材に対し静止していると判定された場合に、前記変位量を前記測定基準値として前記記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、プリセット処理が、所定時間おきに検出手段により検出された変位量の変動量が許容範囲内である状態が一定時間継続した場合に可動部材が固定部材に対し静止していると判定する判定処理を実行し、判定処理において、可動部材が固定部材に対し静止していると判定された場合に、変位量を測定基準値として記憶部に記憶させるので、可動部材が固定部材に対して静止した後、測定基準値を記憶するまでに無駄な時間があったり、可動部材が固定部材に対して静止する前に測定基準値を記憶することがなく、プリセット処理における測定基準値の誤差の発生を効率的に排除できる。
【0014】
本発明において、前記判定処理は、前記操作部からの指令に応じて前記検出手段により検出された前記変位量を暫定基準値として前記記憶部に記憶させる暫定基準値設定処理と、前記暫定基準値設定処理の後、前記所定時間おきに前記検出手段に前記変位量を検出させる継続検出処理と、前記継続検出処理で検出された前記変位量と前記暫定基準値との差の絶対値である経時変動値が予め設定した許容範囲内にあるか否かを判別する判別処理と、前記判別処理でなされた判別に基づいて判定時間変数を変更する変数変更処理と、を実行し、前記変数変更処理は、前記判別処理において、前記経時変動値が前記許容範囲内にあると判別された場合、前記判定時間変数を一単位カウントし、前記経時変動値が前記許容範囲内にないと判別された場合、その時の前記変位量を新たな暫定基準値として前記記憶部に記憶させるとともに、前記判定時間変数を予め設定された初期値に戻し、前記判定時間変数が、予め設定した値に達したとき、前記可動部材が前記固定部材に対し静止していると判定し、前記暫定基準値を前記測定基準値とすることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、判定処理において、判定時間変数が予め設定した数値に達するまでの間、経時変動値が許容範囲内にある状態が続いたとき、可動部材が固定部材に対し静止していると判定されるので、操作部の操作により生じた固定部材の振動が収まったことを適切に判定することができ、プリセット処理における測定基準値の誤差の発生を効率的に排除できる。
【0016】
本発明において、測定器は、テストインジケータまたはインジケータであることが好ましい。
このような構成によれば、操作部の操作によって可動部材の固定部材に対する変位が発生しやすく、特に測定基準値の誤差が問題となっているテストインジケータまたはインジケータにおいて、測定基準値の誤差を効率的に排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本実施形態の測定器1Aであるテストインジケータ1の断面図を示す。
図1に示すように、テストインジケータ1は、固定部材10Aである本体10と、本体10に揺動可能に支持される可動部材11Aであるスタイラス11と、スタイラス11の本体10に対する変位量を検出する検出手段12Aであるエンコーダ12と、エンコーダ12により検出された本体10に対するスタイラス11の変位量から測定値を算出する演算部13と、演算部13が算出した測定値を表示する表示部14と、演算部13に指令を与える操作部15と、を備える。
【0018】
本体10は、一端をスタンド3に固定され、他端にスタイラス11を支持する略矩形形状の筐体である。本体10は、上面に表示部14および操作部15を、内部にエンコーダ12および演算部13を有する。
スタイラス11は、本体10に貫通して設けられ被支持部111を中心に揺動可能に支持されている。スタイラス11は、本体10と逆側の一端に、被測定物2の測定部位と当接される略球状の接触部112を有する。
エンコーダ12は、スタイラス11の本体10側の端部に設けられた電極121と本体10に設けられ電極121と静電結合してスタイラス11の変位量を検出する検出ヘッド122とを有し、スタイラス11の本体10に対する変位量を検出することができる。
表示部14は、演算部13が算出した測定値をデジタル表示する液晶表示装置であり、操作部15は、演算部13に指令を与える押圧式のボタンである。
【0019】
図2に、テストインジケータ1の内部構成を示す。
図2に示すように、演算部13は、エンコーダ12、表示部14および操作部15と接続されている。また、演算部13は、エンコーダ12により検出された変位量が記憶される記憶部131を有する。
演算部13は、操作部15からの指令に応じてエンコーダ12に変位量を検出させ、検出された変位量を測定基準値として記憶部131に記憶させるプリセット処理と、現在の変位量と記憶部131に記憶された測定基準値との差を基に測定値を算出する測定値算出処理と、を実行する。
プリセット処理は、所定時間おきにエンコーダ12により検出された変位量の変動量が許容範囲内である状態が一定時間継続した場合にスタイラス11が本体10に対し静止していると判定する判定処理を実行し、判定処理において、スタイラス11が本体10に対し静止していると判定された場合に、変位量を測定基準値として記憶部131に記憶させるものである。
【0020】
図3に、プリセット処理の概略を示す。なお、初期状態においては、判定時間変数n=α(自然数)である。
プリセット処理を行うには、まず、ST1において、操作部15を操作して演算部13にプリセット処理を開始する旨の指令を与える。すると、スタイラス11が本体10に対し静止しているか否かを判定する判定処理(ST2〜6の処理)が開始される。
ST2において、操作部15からの指令を受けた演算部13が、エンコーダ12に変位量を検出させ、検出された変位量Xを暫定基準値Xとして記憶部131に記憶させる(暫定基準値設定処理)。
【0021】
所定時間の待機の後、ST3において、エンコーダ12に変位量Xb+1を検出させる。ST3は、判定処理が終わるまでの間、所定時間Tおきに繰り返される(継続検出処理)。
ST4において、変位量Xb+1と暫定基準値Xとの差の絶対値である経時変動値が、予め設定した許容範囲内、すなわちβ以下であるか否かが判別される(判別処理)。判別がNOである場合はST5を実行し、YESの場合はST6が実行される。
ST5において、変位量Xb+1を新たな暫定基準値Xとして記憶し、判定時間変数nを予め設定された初期値αに戻す。その後、前回のST3の実行から所定時間Tが経つと、再度ST3以降の処理が実行される。
【0022】
ST6において、判定時間変数n=0であるか否かが判定される。
判定がNOの場合には、判定時間変数nを一単位カウントする(n=n−1)。すなわち、本実施形態においては、判定時間変数nから1を引いた自然数を新たな判定時間変数nとする。その後、前回のST3の実行から所定時間Tが経つと、再度ST3以降の処理が実行される。
判定がYESの場合には、判定時間変数nが、予め設定した値(すなわち0)に達したので、スタイラス11が本体10に対し静止していると判定し、ST7を実行する。ここまでの、ST2〜6の一連の処理が、判定処理である。
ST7において、暫定基準値Xを測定基準値Xとして記憶し、判定時間変数nを予め設定された初期値αに戻す。以上でプリセット処理が終了する。
【0023】
プリセット処理を行った後は、演算部13が、現在の変位量Xと記憶部131に記憶された測定基準値Xとの差X−Xを算出し(測定値算出処理)、これを測定値Xとして表示部14に表示させる。
【0024】
図4に、テストインジケータ1のプリセット処理におけるスタイラス11の変位量を示す。
図4において、横軸は時間を、縦軸はスタイラス11の変位量を示し、曲線が、プリセット処理に際して発生するスタイラス11の変位を示す。このスタイラス11の変位を示す曲線の下には、操作部15の操作状況、継続検出処理の実施状況および測定基準値Xを記憶するタイミングを示した。
【0025】
プリセット処理に際しては、まず、被測定物2にスタイラス11の接触部112を当接させる等してスタイラス11を静止させる。これがtの時点である。次に、本体10の操作部15を操作する。これがtの時点である。
図4の曲線が示すように、tからtにおいては、スタイラス11は静止しているから変位量はXのまま変化しない。tにおいて、本体10の操作部15を操作すると、操作部15と一体化している本体10にも力が伝わり、本体10が振動する。ここで、エンコーダ12が検出するのはスタイラス11の本体10に対する相対的変位量であるので、本体10の振動がスタイラス11の変位量として検出される。
【0026】
において操作部15が操作されると、図3で説明したように、暫定基準値設定処理の後、継続検出処理が実行される。継続検出処理は、所定時間Tおきに実行され、各継続検出処理の後には、判別処理が実行される。
操作部15の操作から時間Tが経過する頃には、本体10の振動が収まってきているので、エンコーダ12が検出するスタイラス11の変位量は、当初の値Xに近づく。そして、スタイラス11の変位量が、X−β〜X+βの範囲に収まった段階で、判定時間変数nのカウントが始まり、α回のカウント後、最初のカウント時に設定した暫定基準値Xが測定基準値Xとして記憶される。
よって、操作部15の操作後、測定基準値Xの記憶までにかかる時間は、T+αT程度である。
【0027】
本実施形態によれば、以下に示すような効果がある。
(1) プリセット処理が、所定時間Tおきにエンコーダ12により検出された変位量の変動量が許容範囲内(β以下)である状態が一定時間(αT)継続した場合にスタイラス11が本体10に対し静止していると判定する判定処理を実行し、判定処理において、スタイラス11が本体10に対し静止していると判定された場合に、測定基準値Xを記憶部に記憶させるので、スタイラス11が本体10に対して静止した後、測定基準値Xを記憶するまでに無駄な時間があったり、スタイラス11が本体10に対して静止する前に測定基準値Xを記憶することがなく、プリセット処理における測定基準値Xの誤差の発生を効率的に排除できる。
(2)判定処理が、判定時間変数nが予め設定した数値0に達するまでの間、経時変動値が許容範囲内(β以下)にある状態が続いた時に、スタイラス11が本体10に対し静止していると判定するので、操作部15の操作により生じた本体10の振動が収まったことを適切に判定することができ、プリセット処理における測定基準値Xの誤差の発生を効率的に排除できる。
(3)操作部15の操作によって本体10が振動しやすいため、特に測定基準値Xの誤差が問題となるテストインジケータ1において、測定基準値Xの誤差を効率的に排除することができる。
【0028】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
(i)本発明の測定器1Aは、前記実施形態で述べたテストインジケータ1に限定されない。例えば、ノギス、マイクロメータ、インジケータ、ハイトゲージ、スケール等であってもよい。このような測定器に本発明を適用した場合においても、前記実施形態と同様に、測定基準値の誤差を排除することができる。
【0029】
(ii)検出手段12Aは、前記実施形態で述べた静電容量式のエンコーダ12に限定されない。検出手段12Aは、可動部材11Aの固定部材10Aに対する変位量を検出できるものであればよく、例えば、電磁誘導式や光学式のエンコーダ等でもよい。
(iii)表示部14は、前記実施形態で述べた液晶表示装置に限定されない。表示部14は、演算部が算出した測定値を表示できるものであればよく、例えば、有機または無機のエレクトロルミネッセンスを用いた表示装置等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、固定部材に対する可動部材の変位量を測定する測定器として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態に係る測定器の断面図。
【図2】本実施形態に係る測定器の内部構成を示す図。
【図3】本実施形態に係る測定器のプリセット処理の概略図。
【図4】本実施形態に係る測定器のプリセット処理におけるスタイラスの変位量を示す図。
【図5】従来のテストインジケータのプリセット処理におけるスタイラスの変位量を示す図。
【図6】従来のテストインジケータのタイムラグ付きプリセット処理におけるスタイラスの変位量を示す図。
【図7】従来のテストインジケータのタイムラグ付きプリセット処理におけるスタイラスの変位量を示す図。
【符号の説明】
【0032】
1 テストインジケータ
1A 測定器
2 被測定物
3 スタンド
10 本体
10A 固定部材
11 スタイラス
11A 可動部材
12 エンコーダ
12A 検出手段
13 演算部
14 表示部
15 操作部
131 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、
前記固定部材に対して移動可能に構成された可動部材と、
前記固定部材に対する前記可動部材の変位量を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記変位量から測定値を算出する演算部と、
前記演算部が算出した前記測定値を表示する表示部と、
前記演算部に指令を与える操作部と、を備え、
前記演算部は、
前記検出手段により検出された前記変位量が記憶される記憶部を有し、
前記操作部からの指令に応じて前記検出手段により検出された前記変位量を測定基準値として前記記憶部に記憶させるプリセット処理と、
現在の前記変位量と前記記憶部に記憶された前記測定基準値との差を基に前記測定値を算出する測定値算出処理と、を実行し、
前記プリセット処理は、
所定時間おきに前記検出手段により検出された前記変位量の変動量が許容範囲内である状態が一定時間継続した場合に前記可動部材が前記固定部材に対し静止していると判定する判定処理を実行し、
前記判定処理において、前記可動部材が前記固定部材に対し静止していると判定された場合に、前記変位量を前記測定基準値として前記記憶部に記憶させることを特徴とした測定器。
【請求項2】
請求項1に記載の測定器であって、
前記判定処理は、
前記操作部からの指令に応じて前記検出手段により検出された前記変位量を暫定基準値として前記記憶部に記憶させる暫定基準値設定処理と、
前記暫定基準値設定処理の後、前記所定時間おきに前記検出手段に前記変位量を検出させる継続検出処理と、
前記継続検出処理で検出された前記変位量と前記暫定基準値との差の絶対値である経時変動値が予め設定した許容範囲内にあるか否かを判別する判別処理と、
前記判別処理でなされた判別に基づいて判定時間変数を変更する変数変更処理と、を実行し、
前記変数変更処理は、
前記判別処理において、前記経時変動値が前記許容範囲内にあると判別された場合、前記判定時間変数を一単位カウントし、
前記経時変動値が前記許容範囲内にないと判別された場合、その時の前記変位量を新たな暫定基準値として前記記憶部に記憶させるとともに、前記判定時間変数を予め設定された初期値に戻し、
前記判定時間変数が、予め設定した値に達したとき、前記可動部材が前記固定部材に対し静止していると判定し、前記暫定基準値を前記測定基準値とすることを特徴とした測定器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の測定器において、
テストインジケータまたはインジケータであることを特徴とした測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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