説明

測定用クリップおよび端子台ネジ

【課題】測定用機器のリード端子またはリード線と、配電盤における所望の端子台ネジとを、容易かつ確実に接続すること。
【解決手段】支点部103において回動可能に連結され、支点部103を支点として揺動可能に設けられた一対のクリップ片101、102と、一対のクリップ片101、102における一端部101a、102aどうしが当接するように一対のクリップ片101、102を付勢する付勢部材104と、一方のクリップ片101の他端部101bに設けられ、リード端子201またはリード線1102を保持可能な接続部105と、一方のクリップ片101の一端部101aに設けられ、接続部105に対して電気的に接続された端子部107と、他方のクリップ片102に設けられ、当該他方のクリップ片102における少なくとも配電盤が備えた端子台ネジに接触する部分を絶縁する絶縁部108と、を備えた測定用クリップ100を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、端子台ネジの接続状態を確認するための各種測定作業に際して使用する測定用クリップおよび端子台ネジに関する。
【背景技術】
【0002】
送電網から電力(電気)を受電し、受電した電力を需要設備に供給する配電盤がある。配電盤は、複数の端子台ネジが配列された配電盤端子台を備えている。配電盤の動作状態の確認に際しては、配電盤端子台において該当する端子台ネジに、測定器のリード線を接続する。
【0003】
配電盤端子台においては、配電盤の内側用の配線(以下「盤内配線」という)と、配電盤の外側(屋外)用の配線(以下「盤外配線」という)とが接続できるように、盤内配線および盤外配線にそれぞれに対応した端子台ネジが配置されている。配電盤は、端子台ネジを覆うように配電盤端子台に設けられたプラスチック製のカバーを備えている。
【0004】
測定をおこなう際には、このカバーを配電盤端子台から取り外し、端子台ネジを開放した状態で、感電や短絡を起こさないように注意しながら、測定器のリード線を該当する端子台ネジに接続していた。また、測定をおこなう際には、該当する端子台ネジ以外のネジを養生しており、これによって感電や短絡を防止するようにしていた。
【0005】
従来、測定器のリード線を端子台ネジに接続する際は、たとえばカバーを配電盤端子台から取り外し、リード線の先端に設けられたワニ口クリップなどで、該当する端子台ネジの頭や圧着端子部をクリップしていた。また、従来、測定器のリード線を端子台ネジに接続する際は、たとえば該当する端子台ネジを緩め、当該端子台ネジと配電盤端子台との間にリード線を挟むようにして端子台ネジを締め付けていた。
【0006】
また、従来、たとえば係合爪を備えた外嵌まりする保持穴を端子台ネジ頭部に押し込んで、係合爪とコイルスプリングで付勢された導体接触体により端子台ネジの頭部を把持するようにした端子台ネジ接続用クリップがあった(たとえば、下記特許文献1を参照)。
【0007】
また、従来、リード線の一端または両端に取り付けられ、磁力によって端子に吸着する磁石部を介して、端子をリード線に導通させるクリップを備えた接点パス用クリップがあった(たとえば、下記特許文献2を参照)。
【0008】
また、従来、たとえば端子台近傍の電線を挟んで電線に固定する電線挟み部材と、この電線挟み部材に設けられ、端子台に向けて付勢した長尺の接続端子とを備え、接続端子を固定する機能と端子台から電流や電圧を取得する機能をそれぞれ独立した構成とした端子があった(たとえば、下記特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−273727号公報
【特許文献2】特開2006−127966号公報
【特許文献3】特開平11−31546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の技術では、ワニ口クリップを用いて測定器のリード線を端子台ネジに接続するようにした場合、ワニ口クリップが端子台ネジを挟んでいるだけであるため、接続の強度を確保することが難しいという問題があった。具体的には、たとえば測定作業中に作業者の手や身体などがリード線に引っ掛かった場合に、ワニ口クリップが端子台ネジの頭や圧着端子部からはずれてしまうことがあった。
【0011】
また、上述した従来の技術では、ワニ口クリップを用いて測定器のリード線を端子台ネジに接続するようにした場合、ワニ口クリップと端子台ネジとの接点は、端子台ネジの外周上の一点のみとなる。ワニ口クリップを用いて測定器のリード線を端子台ネジに接続する場合の接続強度、すなわちワニ口クリップが端子台ネジを挟持する力は、ワニ口クリップが有するスプリングに起因している。
【0012】
このため、使用を重ねることによってスプリングが劣化した場合、ワニ口クリップが端子台ネジを挟持する力が保てなくなって、接続の強度を確保することが難しくなるという問題があった。このために、作業者の手や身体などがリード線に引っ掛かった場合にワニ口クリップがはずれやすくなってしまう。
【0013】
また、上述した従来の技術では、ワニ口クリップを用いて測定器のリード線を端子台ネジに接続するようにした場合、配電盤の設置状態によっては、端子台ネジの頭や圧着端子部をワニ口クリップでクリップすることが難しい。具体的には、たとえば配電盤の設置場所が狭い、配電盤における端子台ネジの向きが作業者側に向いていないなどの状況で、ワニ口クリップを用いる場合、端子台ネジからワニ口クリップの長さ分の空間を確保することができずに、狭い隙間にワニ口クリップを押し込むようにして該当する端子台ネジをクリップする。
【0014】
このような、ワニ口クリップとリード線との接続部分が折れ曲がった状態での使用を重ねることによって、リード線の素線切れが生じてしまうことが危惧される。すなわち、ワニ口クリップを用いて測定器のリード線を端子台ネジに接続する方法は、配電盤の設置状態によっては利用できないという問題があった。
【0015】
また、上述した従来の技術では、配電盤の設置状態によっては、端子台ネジを緩める工具を該当する端子台ネジに当てることが難しいことがあった。このような状況では、ワニ口クリップとリード線との接続部分が折れ曲がった状態となっても、ワニ口クリップを用いて測定器のリード線を端子台ネジに接続するしかなく、使用を重ねることによってリード線の素線切れが生じてしまうという問題があった。また、上述したこれらの問題は、特許文献1〜3に記載された上記の各技術では解消することはできないという問題があった。
【0016】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、測定用機器のリード端子またはリード線と、配電盤における所望の端子台ネジとを、容易かつ確実に接続することができる測定用クリップおよび端子台ネジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる測定用クリップは、支点部において回動可能に連結され、一端部どうしあるいは他端部どうしが当接するように前記支点部を支点として揺動可能に設けられた一対のクリップ片と、前記一対のクリップ片における前記一端部どうしが当接するように前記一対のクリップ片を付勢する付勢部材と、前記一対のクリップ片における一方のクリップ片の一端部に設けられ、リード端子またはリード線を保持可能な接続部と、前記一方のクリップ片の他端部に設けられ、前記接続部に対して電気的に接続された端子部と、前記一対のクリップ片における他方のクリップ片に設けられ、当該他方のクリップ片における少なくとも配電盤が備えた端子に接触する部分を絶縁する絶縁部と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、他端部を握ることによって、支点部を支点として他端部どうしが近づくように一対のクリップ片を揺動させ、一端部どうしを離間させることができる。また、この発明によれば、他端部を握った状態から握っている他端部を解放することによって、付勢部材の付勢力によって、一端部どうしが当接する方向に一対のクリップ片を揺動させることができる。
【0019】
これにより、この発明によれば、他端部を握ることで離間させた一端部どうしの間に、測定対象となる端子台ネジを挟み込み、この状態で握っている他端部を解放することによって、閉じようとするクリップ片の付勢力によって端子部を端子台ネジに押しつけ、端子台ネジと端子部とを確実に接触させることができる。
【0020】
そして、端子部を端子台ネジに接触させた状態で、測定器のリード端子またはリード線を接続部において保持する。これにより、複数の端子台ネジが接近して配列されている端子台においても、測定対象となる端子台ネジに、測定器のリード端子またはリード線を容易かつ確実に接続することができる。
【0021】
端子台においては、盤内配線に対応した端子台ネジの列と、盤外配線に対応した端子台ネジの列とが平行に隣り合って配置されており、隣り合う端子台ネジどうしの間隔が狭い。このため、測定対象となる端子台ネジを挟み込む際には、測定対象となる端子台ネジと当該端子台ネジに隣り合う別の端子台ネジとを挟み込む。
【0022】
この発明によれば、他方のクリップ片に絶縁部が設けられているため、測定対象となる端子台ネジと当該端子台ネジに隣り合う別の端子台ネジとを挟み込んだ場合にも、感電や短絡を起こすことなく、測定対象となる端子台ネジに、測定器のリード端子またはリード線を容易かつ確実に接続することができる。
【0023】
また、この発明にかかる測定用クリップは、上記の発明において、前記一対のクリップ片の一端部が、それぞれ、前記配電盤が備えた端子台ネジに嵌合可能な形状からなることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、一対のクリップ片の一端部を配電盤が備えた端子台ネジに嵌合させることによって、測定対象とする端子台ネジおよび当該端子台ネジとともに測定用クリップによって挟み込む端子台ネジに対して測定用クリップを確実に固定することができる。
【0025】
また、この発明にかかる測定用クリップは、上記の発明において、前記他方のクリップ片の他端部に設けられ、蛍光あるいは蓄光性を有する材料によって形成されたガイド部を備えたことを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、測定対象となる端子台ネジが狭く薄暗い場所に設置されている場合にも、ガイド部を周囲よりも目立たせることができる。これによって、ガイド部の近傍にある接続部を目立たせ、測定器のリード端子またはリード線の接続位置を分かりやすく案内するとともに、作業終了後に測定用クリップを取り外し忘れることを防止することができる。
【0027】
また、この発明にかかる測定用クリップは、上記の発明において、前記一対のクリップ片が、それぞれ、互いに当接する一端側と他端側とに分割された複数のパーツによって構成され、前記一端側のパーツは、前記他端側のパーツに対し取り外し可能に連結されていることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、一端側のパーツの長さを変えることにより、測定用クリップが挟み込むことができる幅を変更することができる。これにより、大きさが異なる複数種類の端子台の端子台ネジに測定器のリード端子またはリード線を接続することができるので、測定用クリップの汎用性の向上を図ることができる。
【0029】
また、この発明にかかる端子台ネジは、配電盤の端子台に設けられる端子台ネジであって、半径方向に突出する凸部を備え、当該凸部が周方向に沿って連続した形状からなる頭部を備えたことを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、上述した測定用クリップを用いて測定対象とする端子台ネジを挟み込んだ場合に、上述した測定用クリップにおける端子部と端子台ネジとを凸部を介して確実に接触させることができる。
【0031】
また、この発明にかかる端子台ネジは、配電盤の端子台に設けられる端子台ネジであって、首部分において周方向に沿って連続した溝をなす形状からなる頭部を備えたことを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、上述した測定用クリップを用いて測定対象とする端子台ネジを挟み込んだ場合に、端子台ネジの頭部がなす溝に一対のクリップ片の一端部を嵌め込みあるいは係合させることができる。これによって、測定対象とする端子台ネジおよび当該端子台ネジとともに測定用クリップによって挟み込む端子台ネジに対して測定用クリップを確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0033】
この発明にかかる測定用クリップおよび端子台ネジによれば、測定用機器のリード端子またはリード線と、配電盤における所望の端子台ネジとを、容易かつ確実に接続することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明にかかる実施の形態の測定用クリップを示す説明図(その1)である。
【図2】この発明にかかる実施の形態の測定用クリップを示す説明図(その2)である。
【図3】この発明にかかる実施の形態の測定用クリップを示す説明図(その3)である。
【図4】この発明にかかる実施の形態の測定用クリップを示す説明図(その4)である。
【図5−1】クリップ片の構造を示す説明図(その1)である。
【図5−2】クリップ片の構造を示す説明図(その2)である。
【図5−3】クリップ片の構造を示す説明図(その3)である。
【図6−1】クリップ片の構造を示す説明図(その4)である。
【図6−2】クリップ片の構造を示す説明図(その5)である。
【図7−1】配電盤が備えた端子台を示す説明図(その1)である。
【図7−2】配電盤が備えた端子台を示す説明図(その2)である。
【図8】端子部の別の一例を示す説明図(その1)である。
【図9】端子部の別の一例を示す説明図(その2)である。
【図10】端子台ネジの別の一例を示す説明図である。
【図11−1】接続部の別の一例を示す説明図(その1)である。
【図11−2】接続部の別の一例を示す説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる測定用クリップおよび端子台ネジの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0036】
まず、この発明にかかる実施の形態の測定用クリップについて説明する。図1、図2、図3および図4は、この発明にかかる実施の形態の測定用クリップを示す説明図である。図1、図2、図3および図4において、この発明にかかる測定用クリップ100は、一対のクリップ片101、102を備えている。一対のクリップ片101、102は、それぞれ、金属材料を用いて形成されており、導電性を有している。
【0037】
一対のクリップ片101、102の表面は、それぞれ、絶縁性を有する材料によって被覆されている。一対のクリップ片101、102の表面は、具体的には、たとえばポリエチレンやビニールなどの材料によって被覆されている。これにより、一対のクリップ片101、102は、外部に対して絶縁されている。
【0038】
一対のクリップ片101、102は、支点部103において、互いに相対的に回動可能に連結されている。一対のクリップ片101、102は、一方のクリップ片を他方のクリップ片に対して相対的に回動させることにより、一対のクリップ片101、102における一端部101a、102aどうし、あるいは、一対のクリップ片101、102における他端部101b、102bどうしが当接するように、支点部103を支点として揺動する。
【0039】
測定用クリップ100は、一対のクリップ片101、102における一端部101a、102aどうしが当接するように、当該一対のクリップ片101、102を付勢する付勢部材104を備えている。付勢部材104は、弾性材料を用いて形成され、略C字形状をなしている。付勢部材104は、両端が一対のクリップ片101、102の外側から当接するようにして設けられている。
【0040】
付勢部材104は、一対のクリップ片101、102における一端部どうしが離間する方向に揺動した場合に、一対のクリップ片101、102によって押されるようにして、略C字形状を維持しながら両端の間隔が開くように変形する。付勢部材104の付勢力は、両端の間隔が開くように変形するほど、付勢部材104を形成する弾性材料が有する弾性によって、取り付け時の形状を維持する方向すなわち一対のクリップ片101、102における一端部どうしが当接する方向へ、当該一対のクリップ片101、102をより強く付勢する。付勢部材104は、たとえば金属材料あるいは所定の弾性を備えた樹脂材料を用いて形成することができる。
【0041】
付勢部材104は、略C字形状をなすものに限らない。付勢部材104は、略C字形状をなす付勢部材104に代えて、あるいは加えて、たとえば支点部103よりも一端部101a、102a側に設けられた引っ張りバネによって実現することができる。また、付勢部材104は、略C字形状をなす付勢部材104に代えて、あるいは加えて、たとえば支点部103よりも他端部101b、102b側に設けられた圧縮バネによって実現するようにしてもよい。
【0042】
一対のクリップ片101、102における一方のクリップ片101の他端部101bには、接続部105が設けられている。接続部105は、一方のクリップ片101に対して一体的に設けられている。接続部105は、測定器のリード端子201を保持可能な形状をなしている。具体的には、接続部105は、たとえばリード端子201を挿入することが可能な凹部106を備え、金属材料によって形成された、一方のクリップ片101に対して一体的に設けられた部材とすることができる。
【0043】
凹部106の内面には、一方のクリップ片101に電気的に接続された、導電性を有する材料が設けられている。導電性を有する材料は、たとえば凹部106の内面全体に設けることができる。具体的には、たとえば接続部105が、一方のクリップ片101に対して一体的に設けられた金属材料によって形成されている場合、当該接続部105を形成する金属材料を、凹部106の内面に露出させることによって、凹部106の内面に導電性を有する材料が設けられた状態とすることができる。
【0044】
導電性を有する材料は、凹部106の内面における一部に設けられていてもよい。具体的には、たとえば接続部105が、一方のクリップ片101に対して一体的に設けられた金属材料によって形成され、かつ凹部106の内面を含む一方のクリップ片101の表面全体が絶縁材料によって被覆されている場合、凹部106の底部分の絶縁材料を取り除いた状態とすることによって、凹部106の内面に導電性を有する材料が設けられた状態とすることができる。
【0045】
凹部106は、凹部106に挿入されたリード端子201が抜けないように、リード端子201の直径と同一あるいは若干小さい径で開口している。また、凹部106は、凹部106に挿入されたリード端子201と凹部106の内面とが確実に接触するように、リード端子201の挿入方向における少なくとも一部に、内径を小さくする方向に突出する突起(図示を省略する)を備えていてもよい。これにより、凹部106に挿入されたリード端子201と導電性部材とを確実に接触させることができる。
【0046】
一方のクリップ片101の一端部101aには、端子部107が設けられている。端子部107は、接続部105に対して電気的に接続されている。端子部107は、一方のクリップ片101と一体に形成されており、一方のクリップ片101と同じ金属材料を用いて形成されている。これにより、この実施の形態においては、接続部105と端子部107とが、一方のクリップ片101を介して電気的に接続されている。
【0047】
一対のクリップ片101、102における他方のクリップ片102の一端部101aには、絶縁部108が設けられている。絶縁部108は、絶縁性を有する材料からなり、絶縁部108全体を被覆している。絶縁部108は、他方のクリップ片102の全体を被覆するように設けられた絶縁性を有する材料に連続し、当該絶縁性を有する材料と一体的に設けられている。
【0048】
絶縁部108は、他方のクリップ片102において、配電盤(図7−1および図7−2を参照)に設けられた端子台ネジに接触する部分の絶縁を確保することができる位置に設けられている。具体的には、絶縁部108は、たとえば、他方のクリップ片102の一端部102aのうち、一方のクリップ片101の一端部101aと対向する面に設けられていることが好ましい。
【0049】
他方のクリップ片102の他端部102bには、ガイド部110が設けられている。ガイド部110は、蛍光あるいは蓄光性を有する材料によって形成されている。ガイド部110は、蛍光塗料あるいは蓄光塗料を、他方のクリップ片102の他端部102bに塗布することによって実現することができる。あるいはガイド部110は、蛍光あるいは蓄光性を有する材料によって形成されたキャップを、他方のクリップ片102の他端部102bに被せることによって実現してもよい。
【0050】
このように、ガイド部110を設けることにより、薄暗い場所において、他方のクリップ片102の他端部102bの位置を容易に確認することができる。また、他方のクリップ片102の他端部102bの位置を確認できることによって、測定用クリップ100全体あるいは接続部105の位置を容易に確認することができる。
【0051】
一対のクリップ片101、102の一端部101a、102aは、それぞれ、配電盤の端子台に設けられた端子台ネジ(図7−1および図7−2を参照)に嵌合可能な形状からなる。具体的には、一対のクリップ片101、102の一端部101a、102aは、それぞれ、円弧状に湾曲した形状からなり、互いの内周面を対向させた状態で一対のクリップ片101、102に設けられている。一方のクリップ片101の一端部101aは、一方のクリップ片101本体と一体的に形成され、一方のクリップ片101本体と電気的に接続されている。
【0052】
この実施の形態においては、一方のクリップ片101の一端部101aと一方のクリップ片101の本体部分とを一体的に形成したが、これに限るものではない。一方のクリップ片101の一端部101aと一方のクリップ片101の本体部分とを別体で形成し、双方を電気的に接続した構成であってもよい。
【0053】
一対のクリップ片101、102の一端部101a、102aは、配電盤の端子台に設けられた端子台ネジの頭部を、外周側から覆うことができるように、端子台ネジの頭部の直径と同等あるいは端子台ネジの頭部の直径よりも大きな円弧状に湾曲した形状からなる。これにより、一方のクリップ片101の一端部101aに設けられた端子部107は、測定対象となる端子台ネジの頭部を外周側から囲むようにして、当該端子台ネジに接触する。これによって、端子部107と端子台ネジとを確実に接触させることができる。
【0054】
(クリップ片101、102の構造)
つぎに、クリップ片101、102の構造について説明する。図5−1、図5−2、図5−3、図6−1および図6−2は、クリップ片101、102の構造を示す説明図である。図5−1、図5−2、図5−3、図6−1および図6−2において、一対のクリップ片101、102は、それぞれ、一端側のパーツ501a、502aと、他端側のパーツ501b、502bとを組み合わせることによって構成されている。
【0055】
一端側のパーツ501a、502aと他端側のパーツ501b、502bとは、連結部503を介して分離可能に連結されており、適宜、一端側のパーツ501a、502aと他端側のパーツ501b、502bとに分割することができる。連結部503は、たとえば一端側のパーツ501a、502aに設けた凹部504に、他端側のパーツ501b、502bに設けた突起505を押し込むことによって連結する構成とすることができる(たとえば図6−1を参照)。
【0056】
連結部503の構成はこれに限るものではなく、一端側のパーツ501a、502aに突起505を設け、この突起505を他端側のパーツ501b、502bに設けた凹部504に押し込むことによって、一端側のパーツ501a、502aと他端側のパーツ501b、502bとを連結する構成としてもよい。
【0057】
また、連結部503は、たとえば他端側のパーツ501b、502bに設けた突起521を、一端側のパーツ501a、502aに設けた凹部522に押し込むことによって、一端側のパーツ501a、502aと他端側のパーツ501b、502bと連結する構成としてもよい(たとえば図6−2を参照)。
【0058】
この場合、たとえば突起521を略球体形状とし、凹部522の入り口部分の径を突起の直径よりも小さくし、凹部522を押し広げながら突起521を凹部522に押し込むことによって連結する構成としてもよい。これにより、一端側のパーツ501a、502aと他端側のパーツ501b、502bとを連結した際にクリック感が得られるとともに、一端側のパーツ501a、502aと他端側のパーツ501b、502bとを確実に連結することができる。
【0059】
このように、一端側のパーツ501a、502aと他端側のパーツ501b、502bとを連結部503を介して分離可能に連結することによって一対のクリップ片101、102を構成することにより、一端側のパーツ501a、502aと他端側のパーツ501b、502bとの組み合わせを適宜変更することができる。これにより、たとえば、一端側のパーツ501a、502aの長さを、先に連結されているものより長いものに変更することによって、一対のクリップ片101、102全体の長さを変更することができる。
【0060】
これによって、測定作業をおこなう環境に応じて、一端側のパーツ501a、502aの長さを適切に選択することにより、測定対象となる端子台ネジと接続部との距離を、作業がしやすい任意の距離だけ確保することができる。
【0061】
また、一端側のパーツ501a、502aは直線形状に限るものではない。一端側のパーツ501a、502aは、長手方向に沿って、たとえば90度、60度などのように屈曲していてもよい。これによって、測定作業をおこなう環境に応じて、測定対象となる端子台ネジに対する接続部の位置を、作業がしやすい任意の位置とすることができる。
【0062】
(端子台の構成)
つぎに、配電盤が備えた端子台について説明する。図7−1および図7−2は、配電盤が備えた端子台を示す説明図である。図7−1は配電盤が備えた端子台の外観を示しており、図7−2は配電盤が備えた端子台の断面を示している。
【0063】
図7−1および図7−2において、配電盤は、複数の端子台ネジ701が設けられた端子台700を備えている。複数の端子台ネジ701は、プラスチック製のカバー702によってカバー702されている。カバー702は、端子台700に対して取り外し可能に設けられている。カバー702は、端子台700に取り付けられた端子台ネジ701を上方側から覆うようにして端子台700に取り付けられる。
【0064】
配電盤の端子台700には、配電盤の内側用の配線(以下「盤内配線」という)703に接続された複数の端子台ネジ701と、配電盤の外側(屋外)用の配線(以下「盤外配線」という)704に接続された複数の端子台ネジ701と、が設けられている。端子台700に設けられた複数の端子台ネジ701のうち、盤内配線703に接続された端子台ネジ701(以下「盤内配線703用の端子台ネジ701」という)、および、盤外配線704に接続された端子台ネジ701(以下「盤外配線704用の端子台ネジ701」という)は、それぞれ直線状に一列に配列されている。
【0065】
配電盤の端子台700において、盤内配線703用の端子台ネジ701がなす列と盤外配線704用の端子台ネジ701がなす列とは、平行に隣り合うような状態で配置されている。配電盤において、端子台700は、各端子台ネジ701がなす列が、上下(鉛直)方向に延びるような状態で配置されている。
【0066】
これにより、各端子台ネジ701は、上下方向において他の端子台ネジ701と隣り合うとともに、左右(水平)方向において盤内配線703用の端子台ネジ701あるいは盤外配線704用の端子台ネジ701と隣り合っている。端子台700において、上下方向に配列される端子台ネジ701の数は、たとえば上下方向における端子台700の寸法などにしたがって決定することができる。端子台700において、上下方向に配列される端子台ネジ701の数は、特定の個数に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0067】
上記のカバー702は、端子台700に取り付けられた場合に、盤内配線703用の端子台ネジ701を間にして、盤外配線704用の端子台ネジ701とは反対側を開放するような形状からなる。また、上記のカバー702は、端子台700に取り付けられた場合に、盤外配線704用の端子台ネジ701を間にして、盤内配線703用の端子台ネジ701とは反対側を開放するような形状からなる。
【0068】
上記の測定用クリップ100が備えた一対のクリップ片101、102における一端部101a、102aは、盤内配線703用の端子台ネジ701および盤外配線704用の端子台ネジ701の側方を開放する、カバー702と端子台700との間に形成される隙間705に挿入することが可能な大きさとされている。このため、測定に際しては、一対のクリップ片101、102における一端部101a、102aをカバー702と端子台700との間に形成される隙間705に挿入することができる。これによって、カバー702を取り外すことなく、隙間705に挿入した一端部101a、102aを該当する端子台ネジ701に当接させることができる。
【0069】
測定用クリップ100が、一端側のパーツ501a、502aの間にカバー702を挟み込んだ状態においては、一対のクリップ片101、102における一端部101a、102aは、付勢部材104の付勢力によって該当する端子台ネジ701に当接する方向に付勢されている。これにより、測定用クリップ100を、一端側のパーツ501a、502aの間にカバー702を挟み込んだ状態で端子台700に固定することができる。付勢部材104の付勢力を用いて測定用クリップ100を端子台700に固定することにより、測定用クリップ100を端子台700に対して安定してかつ確実に固定することができる。
【0070】
左右(水平)方向において隣り合って配置された、盤内配線703用の端子台ネジ701と盤外配線704用の端子台ネジ701とは、それぞれ導電板710に螺合されている。導電板710は、導電性を有する材料を板状に成型した部材であって、たとえば金属材料を用いて形成されている。これにより、左右(水平)方向において隣り合って配置された、盤内配線703用の端子台ネジ701と盤外配線704用の端子台ネジ701とは、導電板710を介して電気的に接続されている。
【0071】
端子台ネジ701は、軸部711と、軸部711の一端に設けられた頭部712とを備えている。頭部712は、軸部711の軸心を通り、軸心方向に平行に切断した場合の断面が、略六角形状をなすような形状からなる。略六角形状をなす断面において、半径方向に突出する先端部は、半径方向に突出する凸部712aをなしている。この凸部712aは、端子台ネジ701の頭部712において、周方向に沿って連続し、外周方向に向かって環状に突出した形状をなす。
【0072】
端子台ネジ701の頭部712に環状の凸部712aを設けることにより、測定用クリップ100を用いて測定対象とする端子台ネジ701を挟み込んだ場合に、上述した測定用クリップ100における端子部107と、測定用クリップ100によって挟み込まれた端子台ネジ701とを、当該端子台ネジ701が備える凸部712aを介して確実に接触させることができる。これにより、端子台ネジ701と接続部105との電気的な接続を確保することができる。
【0073】
また、端子台ネジ701の頭部712を、略六角形状をなすような形状とすることにより、汎用的なワニ口クリップを用いた場合に、当該ワニ口クリップを端子台ネジ701の頭部712に確実に噛み合わせることができる。これによって、端子台ネジ701と接続部105との電気的な接続を確保することができる。
【0074】
測定用クリップ100を用いて測定対象とする端子台ネジ701を挟み込み、端子台ネジ701と接続部105とを電気的に接続した状態においては、端子部107に対して電気的に接続された接続部105が、端子部107から離間した位置に位置付けられる。この状態で、接続部105にリード端子201を挿入することにより、測定対象となる端子台ネジ701の周辺の端子台ネジ701に接続された各種の配線との短絡を危惧することなく、測定対象となる端子台ネジ701とリード端子201とを電気的に接続することができる。
【0075】
端子部107に対する接続部105の位置は、他端側のパーツ501b、502bに連結される一端側のパーツ501a、502aの長さによって適宜決定することができる。これにより、測定対象となる端子台ネジ701を備えた端子台700の水平方向の寸法や、当該端子台ネジ701周辺の配線状況や、端子台700周辺の作業スペースの大きさなどに応じて、一端側のパーツ501a、502aの長さを適宜決定することで、測定対象となる端子台ネジ701およびリード線のみを電気的に接続することができる位置に接続部105を位置付けることができる。
【0076】
これによって、複数の端子台ネジ701やこれらの端子台ネジ701に接続された配線などが混み合っていることに起因する感電や短絡を防止し、測定対象となる端子台ネジ701およびリード線のみを確実に電気的に接続することができる。
【0077】
上述した実施の形態においては、端子部107の内側の面が平滑な面である場合について説明したが、これに限るものではない。図8は、端子部107の別の一例を示す説明図である。図8において、端子部107は、端子台ネジ701と接触する内側の面に、波状の凹凸を形成する複数のリブ801を備えている。複数のリブ801は、端子部107の内側の面に沿って円弧上に湾曲して設けられている。
【0078】
このように、端子部107の内側の面にリブ801を設けることによって、端子台ネジ701の頭部712における環状の突起と端子部107とを噛み合わせることができ、端子部107を端子台ネジ701に確実かつ安定して接触させることができる。
【0079】
また、上述した実施の形態においては、端子部107の内側の面が平滑な面である場合について説明したが、これに限るものではない。図9は、端子部107の別の一例を示す説明図である。図9において、端子部107は、図8におけるリブ801に代えて、複数の突起901を備えている。これにより、端子部107の内側の面には、凹凸が形成されている。
【0080】
このように、端子部107の内側の面に複数の突起901を設けることによって、端子台ネジ701の頭部における環状の凸部712aと端子部107とを噛み合わせることができ、端子部107を端子台ネジ701に確実かつ安定して接触させることができる。
【0081】
また、上述した実施の形態においては、断面が軸心方向にそって対称な形状をなす端子台ネジ701について説明したが、端子台ネジ701の形状はこれに限るものではない。図10は、端子台ネジ701の別の一例を示す説明図である。図10において、端子台ネジ701は、軸部の軸心を通り、軸心方向に平行に切断した場合の断面が、当該軸心方向において非対称な六角形状をなす頭部1001を備えている。
【0082】
このような形状をなす頭部1001を備えた端子台ネジ701は、端子台700に取り付けられた場合に、頭部1001と導電板710との境界部分すなわち端子台ネジ701における首部分の周辺において、端子台ネジ701の軸心周りに沿って連続した溝1002を形成する。
【0083】
首部分の周辺に溝1002を設けることにより、測定用クリップ100を用いて測定対象とする端子台ネジ701を挟み込んだ場合に、上述した測定用クリップ100における端子部107を溝1002に嵌め込むことができる。これにより、測定用クリップ100を端子台700に確実に固定し、測定用クリップ100が不用意に脱落することを防止できる。
【0084】
また、上述した実施の形態においては、リード端子201を挿入することが可能な凹部106を備えた接続部105について説明したが、これに限るものではない。図11−1および図11−2は、接続部の別の一例を示す説明図である。図11−1および図11−2において、別の一例の接続部105は、リード端子201に加えて、リード線1102を保持可能な係止部1101を備えている。
【0085】
係止部1101は、具体的には、たとえば一方のクリップ片101の他端部101bに、リード線1102を係止することが可能な、導電性を有した突起を設けることによって実現することができる。係止部1101は、凹部106の内面など、端子部107に対して電気的に接続された位置に対して、電気的に接続されている。
【0086】
係止部1101は、係止部1101のみであってもよいし、凹部106と併存していてもよい。これにより、リード端子201に代えて、あるいは加えて、リード線1102を保持することができる。凹部106を備えた接続部105においては、導電性を有する係止部1101を凹部106とは異なる位置に設ける。これによって、リード端子201およびリード線1102の両方を接続することが可能になる。
【0087】
以上説明したように、この実施の形態の測定用クリップ100は、支点部103において回動可能に連結され、一端部101a、102aどうしあるいは他端部101b、102bどうしが当接するように支点部103を支点として揺動可能に設けられた一対のクリップ片101、102と、一対のクリップ片101、102における一端部101a、102aどうしが当接するように一対のクリップ片101、102を付勢する付勢部材104と、一方のクリップ片101の他端部101bに設けられ、リード端子201またはリード線1102を保持可能な接続部105と、一方のクリップ片101の一端部101aに設けられ、接続部105に対して電気的に接続された端子部107と、他方のクリップ片102に設けられ、当該他方のクリップ片102における少なくとも配電盤が備えた端子台ネジ701に接触する部分を絶縁する絶縁部108と、を備えたことを特徴としている。
【0088】
この実施の形態の測定用クリップ100によれば、他端部101b、102bを握り、支点部103を支点として他端部101b、102bどうしが近づくように一対のクリップ片101、102を揺動させることによって、一端部101a、102aどうしを離間させることができる。また、この発明によれば、他端部101b、102bを握った状態から握っている他端部101b、102bを解放することによって、付勢部材104の付勢力によって、一端部101a、102aどうしが当接する方向に一対のクリップ片101、102を揺動させることができる。
【0089】
これにより、この実施の形態の測定用クリップ100によれば、他端部101b、102bを握ることで離間させた一端部101a、102aどうしの間に、測定対象となる端子台ネジ701を挟み込み、この状態で握っている他端部101b、102bを解放することによって、閉じようとする一対のクリップ片101、102の付勢力によって端子部107を端子台ネジ701に押しつけ、端子台ネジ701と端子部107とを確実に接触させることができる。
【0090】
そして、端子部107を端子台ネジ701に接触させた状態で、測定器のリード端子201またはリード線1102を接続部105に接続することにより、複数の端子台ネジ701が接近して配列されている端子台700においても、測定対象となる端子台ネジ701のみに、測定器のリード端子201またはリード線1102を容易かつ確実に接続することができる。
【0091】
端子台700においては、盤内配線703に対応した端子台ネジ701の列と、盤外配線704に対応した端子台ネジ701の列とが平行に隣り合って配置されており、隣り合う端子台ネジ701どうしの間隔は狭い。このため、測定対象となる端子台ネジ701を挟み込む際には、測定対象となる端子台ネジ701と当該端子台ネジ701に隣り合う別の端子台ネジ701とを挟み込むことになるが、この実施の形態の測定用クリップ100においては、他方のクリップ片102に絶縁部108が設けられているため、測定対象となる端子台ネジ701と当該端子台ネジ701に隣り合う別の端子台ネジ701とを挟み込んだ場合にも、感電や短絡を起こすことなく、測定対象となる端子台ネジ701に、測定器のリード端子201またはリード線1102を容易かつ確実に接続することができる。
【0092】
また、この実施の形態の測定用クリップ100は、一対のクリップ片101、102の一端部101a、102aどうしの間に端子台700(盤内配線703用の端子台ネジ701および盤外配線704用の端子台ネジ701)を挟み込むようにして、端子台700に対する測定用クリップ100の位置を固定することができる。
【0093】
すなわち、この実施の形態の測定用クリップ100は、端子部107と絶縁部108との2箇所において測定用クリップ100を支持した状態で、測定用クリップ100を端子台700に接触させることができるので、測定用クリップ100が端子台700を挟み込む挟持力の強度を高め、端子台700に対して1箇所で接触する場合と比較して、端子台700に対して測定用クリップ100を確実に位置決めすることができる。
【0094】
また、この実施の形態の測定用クリップ100は、カバー702を端子台700に取り付けたままで端子台700を挟むことができる。これによって、端子台700の設置場所が狭いためにカバー702を外すことが困難な状況であっても、測定作業をおこなう作業者を煩わせることなく、測定対象となる端子台ネジ701とリード端子201あるいはリード線1102とを接続することができる。
【0095】
このように、この実施の形態の測定用クリップ100によれば、端子台700からカバー702を取り外すことなく、測定対象となる端子台ネジ701を挟むように測定用クリップ100を取り付けるだけで、測定用機器のリード端子201またはリード線1102と、配電盤における所望の端子台ネジ701とを、容易かつ確実に接続することができる。
【0096】
また、このように、この実施の形態の測定用クリップ100によれば、端子台700からカバー702を取り外すことなく測定用機器のリード端子201またはリード線1102と、配電盤における所望の端子台ネジ701とを接続することができるので、接続に際して、測定対象となる端子台ネジ701以外の端子台ネジ701に感電や短絡を防止するための養生をしなくてもよい。これによって、測定作業に際しての作業者の負担軽減を図ることができる。
【0097】
また、この実施の形態の測定用クリップ100によれば、測定作業に際しては、測定対象となる端子台ネジ701とリード端子201とを接続する接続部105が、当該端子台ネジ701から離間した位置に位置付けられるので、測定後も、測定に関係のない配線などによってじゃまをされることなく、リード端子201を容易に取り外すことができる。
【0098】
また、この実施の形態の測定用クリップ100によれば、測定対象となる端子台ネジ701の周囲など配線の混み合った箇所から、測定対象となる端子台ネジ701に接続された接続部105を離間させ、この接続部105にリード端子201またはリード線1102を接続することによって、測定に際して、リード端子201に接続されたリード線が不自然に折れ曲がったりすることを防止できる。これによって、リード線における素線切れの発生を抑制し、測定作業を正しくおこなうことができる。
【0099】
このように、この実施の形態の測定用クリップ100によれば、測定対象となる端子台ネジ701に対するリード端子201あるいはリード線1102の取り付けあるいは取り外し作業を容易におこなうとともに、取り付けられたリード端子201あるいはリード線1102を素線切れなどを発生させない良好な状態で測定作業をおこなうことができるので、測定作業を開始してから測定作業を完了させるまでの作業時間の短縮を図ることができる。
【0100】
この実施の形態の測定用クリップ100によれば、測定対象となる端子台ネジ701以外の端子台ネジ701の養生をおこなうことなく測定作業をおこなうことができるので、これによっても、測定作業を開始してから測定作業を完了させるまでの作業時間の短縮を図ることができる。
【0101】
また、この実施の形態の測定用クリップ100は、一対のクリップ片101、102の一端部101a、102aが、それぞれ、配電盤が備えた端子台ネジ701に嵌合可能な形状からなることを特徴としている。これにより、一対のクリップ片101、102の一端部を配電盤が備えた端子台ネジ台ネジ701に嵌合させた場合には、測定対象とする端子台ネジ701および当該端子台ネジ701とともに測定用クリップ100によって挟み込む端子台ネジ701に対して測定用クリップ100を確実に固定することができる。
【0102】
また、この実施の形態の測定用クリップ100は、他方のクリップ片102の他端部102bに設けられ、蛍光あるいは蓄光性を有する材料によって形成されたガイド部110を備えたことを特徴としている。これにより、測定対象となる端子台ネジ701が、たとえば狭く薄暗い場所に設置されている場合にも、ガイド部110を周囲よりも目立たせることができる。
【0103】
そして、ガイド部110を周囲よりも目立たせることによって、ガイド部110を介して接続部105の位置を容易に把握させることができる。これによって、測定器のリード端子201の接続位置を分かりやすく案内することができる。また、ガイド部110を目立たせることによって、測定用クリップ100が端子台700に取り付けられていることを意識させることができるので、作業終了後に測定用クリップ100を取り外し忘れることを防止することができる。
【0104】
また、この実施の形態の測定用クリップ100は、一対のクリップ片101、102が、それぞれ、互いに当接する一端側101a、102aと他端側101b、102bとに分割された複数のパーツ501a、501bおよび502a、502bによって構成され、一端側のパーツ501a、502aは、他端側のパーツ501b、502bに対し取り外し可能に連結されていることを特徴としている。これにより、他端側のパーツ501b、502bに連結する一端側のパーツ501a、502aの長さを、任意に変えることができる。
【0105】
そして、他端側のパーツ501b、502bに連結する一端側のパーツ501a、502aの長さを変えることにより、測定用クリップ100が挟み込むことができる幅を変更することができる。これにより、大きさが異なる複数種類の端子台700の端子台ネジ701に測定器のリード端子201またはリード線1102を接続することができるので、測定用クリップ100の汎用性の向上を図ることができる。
【0106】
また、他端側のパーツ501b、502bに連結する一端側のパーツ501a、502aの長さを変えることにより、測定対象となる端子台ネジ701と接続部105との距離を調整することができる。これによって、測定対象となる端子台ネジ701の周辺の配線状況などに応じて、一端側のパーツ501a、502aの長さを適切な長さに決定し、測定対象となる端子台ネジ701と接続部105との間に十分な距離を確保することができる。
【0107】
そして、このように測定対象となる端子台ネジ701と接続部105との間に十分な距離を確保することによって、感電や短絡の発生を確実に防止することができる。このように、この実施の形態の測定用クリップ100によれば、感電や短絡の発生を確実に防止することができるので、配電盤の端子台700に対して測定作業をおこなう作業者の安全性の向上を図ることができる。
【0108】
また、この実施の形態の端子台ネジ701は、配電盤の端子台700に設けられる端子台ネジ701であって、半径方向に突出する凸部712aを備え、当該凸部712aが周方向に沿って連続した形状からなる頭部712を備えたことを特徴としている。この端子台ネジ701によれば、測定用クリップ100を用いて測定対象とする端子台ネジ701を挟み込んだ場合に、端子部107に対して凸部712aを当接させることによって、端子部107と端子台ネジ701とを確実に電気的に接続することができる。これによって、端子台700に取り付けたままのカバー702を挟み込むようにして測定用クリップ100を端子台700に固定した場合にも、端子部107と端子台ネジ701との電気的な接続を確実に確保することができる。
【0109】
また、首部分において周方向に沿って連続した溝をなす形状からなる頭部712を備えた端子台ネジ701を、配電盤の端子台700に設けることによって、測定用クリップ100を用いて測定対象とする端子台ネジ701を挟み込んだ場合に、端子台ネジ701の頭部712がなす溝に一対のクリップ片101、102の一端部101a、102aを嵌め込みあるいは係合させることができる。これによって、測定対象とする端子台ネジ701および当該端子台ネジ701とともに測定用クリップ100によって挟み込む端子台ネジ701に対して測定用クリップ100を確実に固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上のように、この発明にかかる測定用クリップおよび端子台ネジは、端子台ネジの接続状態を確認するための各種測定作業に際して使用する測定用クリップおよび端子台ネジに有用であり、特に、複数の端子台ネジが密集して配列された端子台ネジの接続状態を確認するための各種測定作業に際して使用する測定用クリップおよび端子台ネジに適している。
【符号の説明】
【0111】
100 測定用クリップ
101、102 クリップ片
103 支点部
104 付勢部材
105 接続部
107 端子部
108 絶縁部
110 ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支点部において回動可能に連結され、一端部どうしあるいは他端部どうしが当接するように前記支点部を支点として揺動可能に設けられた一対のクリップ片と、
前記一対のクリップ片における前記一端部どうしが当接するように前記一対のクリップ片を付勢する付勢部材と、
前記一対のクリップ片における一方のクリップ片の一端部に設けられ、リード端子またはリード線を保持可能な接続部と、
前記一方のクリップ片の他端部に設けられ、前記接続部に対して電気的に接続された端子部と、
前記一対のクリップ片における他方のクリップ片に設けられ、当該他方のクリップ片における少なくとも配電盤が備えた端子台ネジに接触する部分を絶縁する絶縁部と、
を備えたことを特徴とする測定用クリップ。
【請求項2】
前記一対のクリップ片の一端部は、それぞれ、前記配電盤が備えた端子に嵌合可能な形状からなることを特徴とする請求項1に記載の測定用クリップ。
【請求項3】
前記他方のクリップ片の他端部に設けられ、蛍光あるいは蓄光性を有する材料によって形成されたガイド部を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の測定用クリップ。
【請求項4】
前記一対のクリップ片は、それぞれ、互いに当接する一端側と他端側とに分割された複数のパーツによって構成され、
前記一端側のパーツは、前記他端側のパーツに対し取り外し可能に連結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の測定用クリップ。
【請求項5】
配電盤の端子台に配列される端子台ネジであって、
半径方向に突出する凸部を備え、当該凸部が周方向に沿って連続した形状からなる頭部を備えたことを特徴とする端子台ネジ。
【請求項6】
配電盤の端子台に配列される端子台ネジであって、
首部分において周方向に沿って連続した溝をなす形状からなる頭部備えたことを特徴とする端子台ネジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【公開番号】特開2010−205544(P2010−205544A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49385(P2009−49385)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】