説明

測定装置及びそれに使用する角度・距離検出器

【課題】直視できない部位の形状(深さ、長さ、角度等)の診査、或いはそのような部位の施療を行う際に、術者の感や記憶に頼ることなく、より精確に測定や治療することが出来る測定装置及びそれに使用する角度・距離検出器を提供する。
【解決手段】手動器具の先端部(2,91)に位置し、診査又は施療するための部位又はその近傍に、基準方向を指向させる方向指示補助手段(7,70,80)を揺動自在に取り付けたことにより、方向指示補助手段を、直視できない部位の位置の割り出しに基準方向を指向させ、それを記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直視できない部位を診査又は施療するための医療用又は歯科用手動器具を好適な対象として使用される測定装置及びそれに使用する角度・距離検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、歯面、歯根面、歯根分岐部、歯周組織、人工物などの直視できない部位の治療には、病変部の精確な診査が必要であり、これには、種々の形状の診査器具、例えば、湾曲歯根分岐部診査用探針を使用して、歯周病変域の形状(深さ、長さ、角度等)を精確に測定する試みが、特許文献1により知られている。とくに、湾曲歯根分岐部は直視できないばかりか、個々の患者に応じて形状が種々異なっており、歯根分岐部の形状の測定には、診査部位の形状に合わせ種々の形状の探針を準備して適宜な形状の湾曲探針を用いて診査が行われている。また、診査後の治療にも種々の形状の施療器具が準備されている。
【0003】
より具体的には、特許文献1に開示の探針診査器具は、先端に形成された診査用探針部(先端診査部)、当該探針部の基端から延び、診査する部位近傍形状に適合する湾曲形状を有する湾曲連結部と、該湾曲連結部とハンドル部との間を連結するシャンク部とを備えて構成されている。そして、探針部には、所定の間隔で横目盛りが付されており、目盛りの読み取りを容易にするために、目盛り間に着色が施されている。
【0004】
このような探針診査器具の探針部(先端診査部)を歯周ポケットに挿入し、これを右或いは左に捩って歯根分岐部底面の病変域壁に当接させながら触診し、探針部に刻まれた目盛りを読み取ると共に、歯並びに略直交する方向から視たときのシャンク部の倒れ角と歯並び方向から視たときのシャンク部の倒れ角を目視で或いは角度計を当てて測定しておき、次いで、特許文献1の図8に示されるようなグラフを使用して倒れ角と読み取った目盛りから、病変域の診査時に探針先端を当接させた、歯根の側壁までの距離(X,Y,Z)を求めている。そして、このような診査を異なる歯根壁に向けて繰り返し実施して病変域全体の概要を把握するようにしている。
【特許文献1】実公平3−23220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される測定装置によれば、探針診査器具の探針部を診査部位に挿入して触診した状態で、目視或いは目盛り板や角度計を当てて病変部深さやシャンク部の倒れ角を測定している。従来の目視では誤差が大になり易く、また目盛り板や角度計を当てる場合には、右手で探針診査器具を、左手で目盛り板を把持しなければならず、両手がこれらの器具や計器で塞がってしまうと、口腔内の診査に支障が出るほか、口腔内に入る目盛り板や角度計を別途準備しなければならない。
【0006】
また、従来の測定装置に依れば、目視等で測定したシャンク部の倒れ角や、探針部により測定した病変域の深さや距離のデータに関して、測定者が頭の中に記憶するか、記録紙に記録しておく必要がある。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、直視できない部位の形状(深さ、長さ、角度等)の診査、或いはそのような部位の施療を行う際に、術者の感や記憶に頼ることなく、より精確に測定や治療することが出来る測定装置及びそれに使用する角度・距離検出器を提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の測定装置は、直視できない部位を診査又は施療するための医療用又は歯科用手動器具を対象として使用される測定装置であって、前記手動器具の先端部に位置し、診査又は施療するための部位又はその近傍に揺動自在に取り付けられ、基準方向を指向させる方向指示補助手段と、前記手動器具の先端を位置させる基準点、前記基準点から放射上に延びる複数の角度線、及び前記基準点からの位置目盛りが付された目盛り線を有する角度・距離検出器とを備え、角度・距離検出器の基準点に前記手動器具の先端を位置させると共に、前記方向指示補助手段を前記複数の角度線の内の基準角度線に沿わせることにより前記目盛り線の位置目盛りから前記直視できない部位の位置を割り出すことを特徴とする(請求項1)。
【0008】
前記手動器具が直視できない部位を診査するための器具の場合には、当該診査器具の先端部を直視できない診査部位に挿入し触診している状態で、前記方向指示補助手段を当該診査部位近傍形状に対して基準方向に指向させ、次いで、診査器具の方向指示補助手段を前記基準方向に指向させた状態で、当該診査器具の先端を角度・距離検出器の基準点に位置させると共に、診査器具の姿勢を調整して方向指示補助手段を前記複数の角度線の内の基準角度線に沿わせ、目盛り線の位置目盛りを読み取ることによって診査部位形状を測定することを特徴とする(請求項2)。
【0009】
前記手動器具が直視できない部位を施療するための器具の場合には、当該施療器具の先端を角度・距離検出器の基準点に位置させると共に、前記目盛り線の位置目盛りから、施療すべき部位に対応する施療器具の先端部位置と施療器具を施療すべき部位に挿入する姿勢とを割り出すと共に、施療器具の方向指示補助手段を前記複数の角度線の内の基準角度線に沿わせることによって前記挿入姿勢を記憶し、次いで、施療器具の方向指示補助手段を前記指向させた状態に保持して、前記方向指示補助手段が指向する方向と前記施療部位近傍形状に対する基準方向とを一致させるように施療器具の姿勢を調整しながら施療器具の先端部を、前記割り出した先端部位置まで施療部位に挿入し、斯く割り出した施療位置の部位を当該施療器具で施療することを特徴とする(請求項3)。
【0010】
本発明の測定装置は、好ましくは、前記手動器具の先端部に嵌合され、前記診査又は施療するための部位に沿って移動可能なマーク手段を有し、当該マーク手段によって、前記目盛り線の位置目盛りから前記直視できない部位の割り出し位置を記憶することを特徴とする(請求項4)。
前記角度・距離検出器は、好ましくは、水平方向に延びる水平基準角度線と、当該水平基準角度線に直交する垂直方向に延びる垂直基準角度線と、水平及び垂直基準角度線の交差点に位置する前記基準位置とを有し、方向指示補助手段を当該水平及び垂直基準角度線のいずれか一方に沿わせることを特徴とする(請求項5)。
【0011】
前記角度・距離検出器は、更に好ましくは、前記基準点及び複数の角度線を表したプレートと、当該プレートを保持する保持手段とを備え、前記プレートは、前記垂直基準角度線で左右分離可能に、且つ、分離したプレートの少なくとも一方の半部を前記水平方向及び/又は前記垂直方向に移動可能に形成され、前記保持手段は、前記分離プレートを移動位置に保持する保持手段を有することを特徴とする(請求項6)。
【0012】
前記方向指示補助手段は、好ましくは、少なくとも1つの平面と、当該平面の両側に、当該方向指示補助手段が指向する方向に沿って平行に直線的に延びる側縁とを有することを特徴とする(請求項7)。
上述の測定装置を実現させるための構成要素であり、また、単独で取引の対象になり得る本発明の角度・距離検出器は、好ましくは、プレート表面に表された基準点、基準点から放射上に延びる複数の角度線、及び基準点からの位置目盛りが付された目盛り線を有するプレートと、該プレートを保持する保持手段とを備えた角度・距離検出器であって、前記複数の角度線は、水平方向に延びる水平基準角度線と、当該水平基準角度線に直交する垂直方向に延びる垂直基準角度線と、水平及び垂直基準角度線の交差点に位置する前記基準位置とを有し、前記プレートは、前記垂直基準角度線で左右分離可能に、且つ、分離したプレートの少なくとも一方の半部を前記水平方向及び/又は前記垂直方向に移動可能に形成され、前記保持手段は、前記分離プレートを移動位置に保持する保持手段を有することを特徴とする(請求項8)。
【発明の効果】
【0013】
本発明の測定装置に依れば、手動器具の先端部に位置し、診査又は施療するための部位又はその近傍に、基準方向を指向させる方向指示補助手段を揺動自在に取り付けたことにより、方向指示補助手段に、直視できない部位の位置の割り出しに基準方向を記憶させることができ、そして、角度・距離検出器に、手動器具の先端を位置させる基準点と、基準方向を指示する方向指示補助手段を沿わせるための、前記基準点から放射上に延びる複数の角度線と、前記基準点からの位置目盛りが付された目盛り線とを備えて構成させたことにより、方向指示補助手段を補助として、直視できない部位の形状(深さ、長さ、角度等)の測定や位置割り出しを、測定者の感や記憶に頼ることなく、より精確に行うことが出来る。
【0014】
好ましくは、測定装置を、手動器具の先端部に嵌合され、前記診査又は施療するための部位に沿って移動可能なマーク手段を備えて構成させることにより、診査又は施療するための部位に割り出される位置を記憶させることが出来、又好ましくは、角度・距離検出器のプレートを垂直基準角度線で左右分離可能に構成し、且つ、保持手段により、水平方向及び/又は前記垂直方向に移動させた分割プレートを移動位置に保持させるので、手動器具の診査又は施療するための部位に割り出される位置を角度・距離検出器に記憶させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る測定装置を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明に係る測定装置の第1実施形態を、図1乃至図3を参照して説明する。
第1実施形態は、歯科用探針診査器具(プローブ)1を対象として使用される、本発明に係る測定装置を例示するもので、この測定装置は、図1及び図2に示すように、探針診査器具(プローブ)1の、後述する探針部(先端診査部)2又は先端診査部2近傍の湾曲連結部3に揺動自在に取り付けられ、基準方向を指示する方向指示補助手段(インディケータ)7、並びに図3に示す角度・距離検出器(ディテクタ)10を備えて構成される。
【0016】
プローブ1は、先端に形成された先端診査部2と、当該先端診査部2の基端2aから延び、診査する部位近傍形状に適合する湾曲形状を有する湾曲連結部3と、湾曲連結部3とハンドル部4との間を連結するシャンク部5とを備えている。プローブ1の先端診査部及び湾曲連結部は、歯周や歯根分岐部等、歯科治療部位によって、又患者の個体差によって種々の形状のものを準備する必要があり、従って、先端診査部2及び湾曲連結部3の形状は特に限定されない。特に、湾曲連結部3は、診査する歯根分岐部の歯根根面等の部位近傍である、例えば歯頸(歯面)の形状に適合するように湾曲形状に形成されると共に、診査する部位に先端診査部2が到達容易な形状に湾曲している。先端診査部2及び湾曲連結部3は、先端診査部の先端2bを除いて、略同じ太さの素材(ステンレス鋼)により作製される。ハンドル部4及びシャンク部5は棒状の部材が用いられるが、特にハンドル部4は、先端診査部2等と同じステンレス素材で一体に製作してもよいし、中空や樹脂等の軽量、且つ、表面が滑りにくい部材を用いてもよい。
【0017】
先端診査部2は、前述のとおり必ずしも直線状に延びて形成されるものでもないが、この実施形態では、その基端2aから先端2bに亘ってほぼ直線状に形成されて、その先端2bは針状に尖っている。そして、先端2bから所定のピッチ(例えば,3mm)で、長さ測定の目安となる目盛り(マーク手段)2c、2d、2eが刻設されていて、目盛り2c、2d間には、着色が施されていて、目盛りの識別を容易にしている。
【0018】
先端診査部2には、先端診査部外表面を摺動して長手方向(図2に示すA−A方向)に移動可能なラバーマーカ(マーク手段)8が嵌着されている。マーカ8は、単に基準位置を記憶するためのものであるから、治療や診査に邪魔にならない程度に、外径が小さな、短寸のチューブ又は球状をなし、軟質の合成樹脂製のゴム様のもの(消毒可能なシリコーンゴム等)が好適である。いずれにしても、マーカ8は、先端診査部外表面を移動させた後、その位置に保持できるものであればよく、ゴムのように先端診査部に密着して保持させるものや、磁石で保持させるものであってもよい。
【0019】
インディケータ7は、全体が滅菌、消毒可能なステンレスや樹脂製、或いは使い捨てを考慮して安価な樹脂製であり、プローブの先端診査部2及び湾曲連結部3間を移動可能に、且つ、これら先端診査部2及び湾曲連結部3に対して揺動自在に取り付けられている。より詳細には、インディケータ7は、基準方向を指示するためのものであるから、その本体部7aは、縫い針のように全体が細い略棒状で先端が尖っており、先端診査部2及び湾曲連結部3に取り付けられる基端部7bは、二股状に形成されており、二股状基端部7bの弾性力によって、先端診査部2又は湾曲連結部3を挟持するように構成されている。従って、プローブ使用者は、インディケータ7を先端診査部2の長手方向(図2のA−A方向)に移動させることが出来、基端7bに関して図2のB−B方向に先端7aを傾倒(揺動)させることも出来る。又、先端診査部2の長手軸周り(図2のC−C方向)に揺動(回動)させることもできる。従って、使用者は、インディケータ7を所望の方向に指向させることが出来る。
【0020】
なお、基端部7bは、プローブの先端診査部2及び湾曲連結部3間を移動可能に、且つ、揺動自在であれば、二股状に形成されなくてもよく、円環状でもよく、特に限定するものではない。
図3に示すディテクタ(角度・距離検出器)10は、測定した角度及び距離を読み取るためのゲージで、図3には図示しないが、透明のアクリル板(樹脂プレート)に、先端診査部先端2bを位置させる基準点O、基準点Oから放射上に延びる複数の角度線(X(Y)軸線、Z軸線など)、及び基準点Oからの位置目盛りが付された目盛り線(図3の例示ではX(Y)軸線、Z軸線に目盛りが付されている)が印刷されている。
【0021】
基準点Oを通るX(Y)軸線(角度0°、180°)及びZ軸線(角度90°、270°)は、複数の角度線の内の基準角度線となり、この基準角度線に水平方向及び垂直方向平行に補助目盛り線が格子状に多数描かれており、インディケータ7を、補助目盛り線を使用すると簡単にX(Y)基準角度線又はZ基準角度線に沿わせることが出来る。
次に、直視できない歯根分岐部底面等の歯周病変域の診査において、本発明の測定装置の使用方法、並びにその作用及び効果について説明する。
【0022】
図4は、3根歯T3 の、歯並び方向から視た断面図であり、歯根分岐部の歯根底面gや歯根面f、歯槽骨h等の歯周組織に、目視ができない病変域が形成されており、この病変域にプローブ1を、歯並び方向にほぼ直角に挿入して触診している状況を例示するものである。なお、挿入されたプローブ1は、図4に示す断面上に、その先端診査部2が位置しており、換言すると、プローブ1を歯並びと直交する方向から挿入して触診した場合のX−Z方向の距離x、zの測定方法を説明するものである。
【0023】
術者が上述のような病変域を診査する場合、プローブ1の先端診査部2を歯茎aと歯T3との間の歯肉溝d或いは歯周ポケットeに挿入し、プローブ先端2bを病変域の歯根底面gや根面fに当接させて触診し、図4に示す断面上にある所望の位置で病変域の形状(後述する測定基準位置からの深さ、距離)を計測する。
その際、先端診査部2を診査部位に挿入して触診した状態で、インディケータ7の姿勢を指で調整し、図4に示すように、診査部位近傍形状である歯T3の歯面に対してインディケータ7を適宜距離だけ離間させ、且つ、基準方向(歯軸方向)である上下方向(Z軸方向)、すなわち、歯T3の歯面(歯軸)に対して略平行して上下方向に指向させておく。このとき、インディケータ7は、基準方向(Z軸方向)を記憶することになる。このように指向させたインディケータ7は、二股状基端部7bの弾性力によって先端診査部2又は湾曲連結部3を挟持しており、後述するように、少なくともディテクタ10による距離等の読み取り(割り付け)が完了するまで、インディケータ7の指向姿勢が保持される。
【0024】
そして、ラバーマーカ8を、歯T3 の歯頸b直下の歯面に当接する適宜位置(着色して基準位置を記憶しておくことが望ましい)を測定基準位置Oxとしてその位置に移動させておく。このとき、ラバーマーカ8は、基準位置Oxを記憶することになる。なお、ラバーマーカ8に代えて先端診査部2に刻設されている目盛り2c、2d、2eから、測定基準位置Ox を読み取っておくことも出来る。
【0025】
次いで、プローブ1のインディケータ7を上記のように基準方向(Z方向)に指向させたままの状態で、プローブ1をディテクタ10に当てがい、インディケータ7を前記複数の角度線の内の基準角度線(Z軸線)に沿わせる。このとき、インディケータ7を基準角度線(Z軸線)に平行に引かれた補助角度線に平行にこれに沿わせると、インディケータ7は、自ずと基準角度線(Z軸線)に沿わせることになる。そして、先端診査部先端2bをディテクタ10の基準点Oに位置させると、プローブ1の、病変域を触診したときと同じ姿勢の状態を再現させることができ、目盛り線として基準軸線に刻まれた位置目盛りを読み取ることによって診査部位形状を測定することができる。すなわち、ラバーマーカ8が記憶している測定基準位置Oxからの距離x、z(図3に図示)を検出することが出来る。また、プローブ1の診査角度姿勢α(図3参照)も距離x、zの測定と同時に検出することが出来る。
【0026】
このように、プローブ1にインディケータ7を取り付け、これによって、診査部位形状を測定する際の基準方向を記憶させておくことが出来、インディケータ7が指向する方向とディテクタ10の基準角度線(Z軸線)との関係から距離x、zを容易且つ精確に測定することができる。
また、ラバーマーカ8に測定基準位置Oxを記憶させることにより、基準位置Oxからの距離x、zをより容易且つ精確に測定することができる。なお、このラバーマーカ8がなくても、先端診査部2に刻設されている目盛り2c、2d、2eから、測定基準位置Ox を読み取っておくことも出来るので、読み取っておいた基準位置Oxから距離x、zが容易且つ精確に測定することができるので、インディケータ7の効果を損なうことはない。
【0027】
(第2実施形態)
本発明装置の第2実施形態を図5乃至図7を参照して説明する。
第2実施形態は、第1実施形態のインディケータ7及びラバーマーカ8を取り付けたプローブ1については、何ら変更はなく、ディテクタ10Aが異なるだけであるから、ディテクタ10Aについて詳細に説明し、プローブ1の構成については説明を省略する。
【0028】
第2実施形態のディテクタ(角度・位置検出器)10Aは、第1実施形態のディテクタ10に対して、プローブ1による距離x、zの読取値を記憶することが出来るようにした点で構成が相違する。ディテクタ10Aは、位置目盛りが付された位置目盛プレート12と、垂直及び水平基準角度線を含む角度目盛り(角度線)が付された角度目盛プレート16,18と、これらのプレート16,18を傾動自在に保持する保持具(保持手段)14とを備えて構成されている。なお、位置目盛プレート12は、後述する通り、角度目盛プレート16,18の保持機能を有しており、保持手段の一部を構成している。
【0029】
位置目盛プレート12は、前プレート12aと後プレート12bとで構成され、これらのプレート12a、12bは、長辺(水平方向長さ)が短辺(高さ方向長さ)の略2倍の長さを有する矩形形状をなし、材質は特に限定しないが、例えば透明のアクリル板を使用して、加熱軟化させ、折曲してこれらを一体に成形することも出来るし、両プレート12a、12bの底縁を接着して一体に成形することも出来る。この際、両プレート12a、12bは、後述する角度目盛プレート16,18の略板厚分だけ離間させて一体に成形され、両プレート12a、12b間の隙間12dに角度目盛プレート16,18を嵌合させたとき、両プレート12a、12bは、これらの角度目盛プレート16,18を嵌合させた位置で保持することができる。
【0030】
前プレート12aには、そのほぼ全面に距離スケールが付されていて、基準点Oで水平基準角度線となるX軸線(Y軸線)と垂直基準角度線となるZ 軸線が直交し、これらに平行して適宜の間隔で(例えば,5mm間隔で)格子状に補助目盛り線が付されている。なお、図5には、煩雑を避けるため、水平基準角度線及び垂直基準角度線にだけ距離目盛りが刻まれているように表示されているが、補助目盛り線にも適宜目盛りを付しても良いし、省略してもよい。
【0031】
後プレート12bには、図6に示すように、中央上半部に逆台形状の切り欠き12cが設けられており、後述するように、この切り欠き12cによって、前後のプレート12a、12b間の隙間12dに嵌装した角度目盛プレート16,18を指で摘んで容易に移動させることができる。また、後プレート12bの左右下端部には、ヒンジ片12e、12eがプレート面に垂直に固着されており、保持具14の基台14aに突設させたブラケット片14b、14bに支軸15,15によって傾動自在に支持されている。従って、角度目盛プレート16,18を隙間12dに嵌装した状態で、前・後プレート12a、12bを基台14aに対して起伏させ、前プレート12a及び角度目盛プレート16,18の目盛りが読み取り易い角度に傾動させることが出来る。
【0032】
角度目盛プレート16,18は、ほぼ正四角形の透明板(例えば、透明アクリル製)であり、前述した両プレート12a、12b間の隙間12dに差し込んで使用される。角度目盛プレート16,18は共に移動可能であるが、第2実施形態では、左プレート16は、固定半部として固定の状態で、右プレート18は移動半部として任意の位置に移動させて(可動状態で)使用させる。
【0033】
角度目盛プレート16,18には、前プレート12aの基準点Oに合致させて位置させる角部を基準点(中心)Oとして放射状に多数(例えば、10°毎に)の角度線が刻設されており、多数の角度線の内、右プレート18については、基準点Oから水平方向に延びる角度0°の角度線が水平基準角度線(X,Y軸線)として、垂直方向に延びる角度90°の角度線が垂直基準角度線(Z軸線)として、また、左プレート16については、角度90°の角度線が垂直基準角度線(Z軸線)として、角度180°の角度線が水平基準角度線(X,Y軸線)として描かれている。更に、基準点Oを中心として、同心状に等間隔で距離円弧線(4分円弧)が多数描かれている。
【0034】
上述のように構成されるディテクタ(角度・位置検出器)10Aは以下のようにして使用される。なお、インディケータ7及びラバーマーカ8を取り付けたプローブ1の使用方法については、第1実施形態のそれと何ら変わらないので、インディケータ7を基準方向に指向させる方法、及びラバーマーカ8を測定基準位置Oxに位置させる方法については、説明を省略する。
【0035】
第2実施形態では、インディケータ7を基準方向(Z方向)に指向させ、ラバーマーカ8に基準位置Oxを記憶させた状態のプローブ1をディテクタ10Aに当てがう。その際、プローブ1の先端2bを前プレート12aの基準点Oに合致させ、インディケータ7を前プレート12aのプレート面に平行、且つ、基準角度線であるZ軸線に平行するようにプローブ1の姿勢を調整し、調整した姿勢を保持する。次いで、右半部の右プレート18を、そのプレート面を垂直に視て、右プレートの基準点Oがラバーマーカ8に合致するように、且つ、右プレート18の水平基準角度線が前プレート12aの水平基準角度線に平行するように移動させる。移動させた右プレート18の基準位置Oは、ラバーマーカ8の測定基準位置Oxを記憶したことになる。
【0036】
上述のように、ディテクタ10A上に当てがったプローブ1のラバーマーカ8の位置から、第1実施形態による測定方法と同様にして、前プレート12aのプレート面に刻設される目盛りを直接読み取って病変域の形状や深さ、すなわち、距離x、zを測定することができる。しかしながら、移動させてその位置に保持される右プレート18の基準点Oは、ラバーマーカ8の測定基準位置Oxを記憶することになり、右プレート18を一旦移動位置に移動させてその位置に保持すると、プローブ1をディテクタ10Aから離してもラバーマーカ8の位置である測定基準位置Oxはディテクタ10Aに記憶させることができ、術者は測定した上記距離x、zを記憶したり、紙に記録したりする必要がなり、患者に治療を行っている間、ディテクタ10Aに記憶させている測定値x、zを参照することができる。
(第3実施形態)
本発明に係る測定装置の第3実施形態を、図8乃至図10を参照して説明する。第3実施形態の測定装置のインディケータ70は、プローブ1による病変域の測定を3次元的に行うことを可能にするもので、プローブ1自体の構成は第1実施形態のもとと変わりはない。
【0037】
インディケータ70は、プローブ1の先端診査部2又は湾曲連結部3に揺動自在に取り付けられ、基準方向(上下方向)を指示させるためのものである点で第1実施形態のインディケータ7と変わりがないが、インディケータ70は、更に、垂直基準角度線(Z軸)を含み、水平基準角度線(X,Y軸線)に直交する面に平行してこれに対向させるための、2つの方向指示補助面を備えている。より具体的には、インディケータ70は、本体部72と、インディケータ70を先端診査部2又は湾曲連結部3に取り付けるための基端係止部74とで構成される。
【0038】
本体部72は、円盤状の基盤72aと、基盤72aに垂設され、短冊形の2枚の方向指向補助板72b、72cとを有している。方向指向補助板72b、72cは、その平板面の長手方向中心線に沿って互いに直交しており、横方向断面で視るとこれらはプラス形状を成して直交している(図9参照)。これらの補助板72b、72cは、長手方向ほぼ全長に亘って平板面の両側縁が長手方向中心線に沿って直線的に延びている。ここで、一方の補助板72bの平板面72xは、X軸方向の距離xを計測するための指向面であり、他方の補助板72cの平板面72yは、Y軸方向の距離yを計測するための指向面である。
【0039】
基端係止部74は、二股状に形成されており、二股状基端係止部74の弾性力によって、先端診査部2又は湾曲連結部3を挟持するように構成されている。従って、第1実施形態のインディケータ7と同様に、インディケータ70を先端診査部2の長手方向(図8のA−A方向)に移動させることが出来、係止部74bに関して図8で示すB−B方向にインディケータ先端72dを傾倒(揺動)させることも出来る。又、先端診査部2の長手軸周り(図8のC−C方向)に揺動(回動)させることもできる。また、必要に応じて、係止部74に回動軸(図示せず)を設け、その回動軸に本体部72を回動自在に取り付け、本体部72をその長手方向軸回りに回動可能に構成することも出来る。インディケータ70をこのように構成すると、使用者は、プローブ1に取り付けたインディケータ70を所望の方向に指向させることが出来る。
【0040】
図9は、歯周病変域にプローブ1の先端診査部2を挿入して触診している状態を歯T3の上端面を上方から視た図である。同図から明白なように、歯T3の歯周壁の当接させたラバーマーカ8の中心を測定基準点Ox(Oy)としたとき、測定基準点Oxに関してX軸方向距離(深さ方向距離)xを測定するためには、インディケータ70を歯軸(Z軸)に沿うように上下方向に直立させ、補助板72bの平板面72xを歯T3の歯並び方向に平行させ、補助板72cの平板面72yを歯T3の歯並び方向に対して直交させるように、インディケータ70の姿勢を調整すればよい。
【0041】
このようなプローブ1に対するインディケータ70の姿勢を保持したまま、
プローブ1をディテクタ10Aに沿わせて距離x、y、zを計測する場合について説明する。図9から明白なように、X軸方向距離(深さ方向距離)xを測定するためには、プローブ1とディテクタ10Aの干渉を避けるために、図9で示すDx方向から視た距離xを測定すればよく、距離yは、Dy方向から視た距離を測定すればよい。そこで、第2実施形態で説明したと同様にして、図9に示す距離xを測定する場合には、図10に示すように、ディテクタ10Aの左方向(第2象限方向)からプローブ1の先端2bを前プレート12aの基準点Oに近づけて当接させ、インディケータ70の長手方向軸を前プレート12aのプレート面に平行させ、且つ、垂直基準角度線(Z軸)に平行させ、更に、平板面72xと前プレート12aのプレート面とが互いに垂直に交わるように、プローブ1の姿勢を調整し、その調整した姿勢を保持する。このプローブ1の姿勢は、図9の矢印Dxからプローブ1を視た姿勢に一致する。
【0042】
次いで、左半部の左プレート16を、そのプレート面を垂直に視て、プレート基準点Oがラバーマーカ8に合致するように、且つ、左プレート16の水平基準角度線が前プレート12aの水平基準角度線に平行するように、移動させる。移動させた左プレート16の基準位置Oは、ラバーマーカ8の測定基準位置Oxを記憶したことになり、第2実施形態の場合と同様にして距離x、zを測定することができる。
【0043】
同様に、図9に示す距離yを測定する場合には、右方向から(第1象限において基準点O方向を目掛けて)プローブ1の先端2bを前プレート12aの基準点Oに近づけて当接させ、インディケータ70の長手方向軸を前プレート12aのプレート面に平行させ、且つ、垂直基準角度線(Z軸)に平行させ、更に、平板面72yと前プレート12aのプレート面とが互いに垂直に交わるように、プローブ1の姿勢を調整し、その調整した姿勢を保持する。このプローブ1の姿勢は、図9の矢印Dxからプローブ1を視た姿勢に一致する。このプローブ1の姿勢は、図9の矢印Dyからプローブ1を視た姿勢に一致する。
【0044】
次いで、右半部の右プレート18を、そのプレート面を垂直に視て、プレート基準点Oがラバーマーカ8に合致するように、且つ、右プレート18の水平基準角度線が前プレート12aの水平基準角度線に平行するように、移動させる。移動させた右プレート18の基準位置Oは、ラバーマーカ8の測定基準位置Oyを記憶したことになり、第2実施形態の場合と同様にして距離y、zを測定することができる。
【0045】
第3実施形態のインディケータ70を使用すると直視できない診査領域の3次元形状の病変深さ等を正確に且つ容易に測定することができ、また、ディテクタ10Aを用いることにより、ディテクタ10Aに特定の触診位置x、y、zを記憶させておくことが出来る。
なお、プローブ1による触診位置を順次移動させて上述のような距離x、y、zの測定を繰り返すと、病変域の全体形状等の測定を行うことができるが、歯面の測定基準点(Ox、Oy)にラバーマーカ8を正しく当接させるために、当該歯面の測定基準点(Ox、Oy)に着色によるマーキングを施しておき、測定毎に当該測定基準点(Ox、Oy)にラバーマーカ8を正しく位置させるようにすることが望ましい。
【0046】
また、第3実施形態での距離x、yの測定は、ディテクタ10Aを使用したが、ディテクタ10Aに代えて図3に示すディテクタ10を使用することが出来る。距離や角度の測定に際して、水平基準角度線及び垂直基準角度線で区画される4つの第1乃至第4象限の一つを適宜選択することによって、ディテクタ10とインディケータ70とが干渉することなく、ディテクタ10の座標面に対してプローブ1に正しい姿勢を取らせて、距離x、yを正確に測定することができる。
【0047】
上述したインディケータ70は、直交する2つの方向指向補助板72b、72cを備えているが、例えば、補助板72cを1枚だけ備えるだけでも、習熟すれば、同じ機能を果たすことができる。この場合、図9に示す距離xを測定する場合には、図10に示すディテクタ10Aの左方向から(第2象限方向において基準点O方向を目掛けて)プローブ1の先端2bを前プレート12aの基準点Oに近づけて当接させ、インディケータ70の長手方向軸を前プレート12aの垂直基準角度線(Z軸)に平行させ、且つ、補助板72cの平板面72yを前プレート12aのプレート面に平行させるようにすればよく、距離yを測定する場合には、右方向から(第1象限において基準点O方向を目掛けて)プローブ1の先端2bを前プレート12aの基準点Oに近づけて当接させ、インディケータ70の長手方向軸を垂直基準角度線(Z軸)に平行させ、且つ、平板面72yと前プレート12aのプレート面とが互いに垂直に交わるように、しかも補助板72cの長辺端縁が前プレート12aのプレート面に平行するように、プレートプローブ1の姿勢を調整し、その調整した姿勢を保持すればよい。
【0048】
上述のような1枚の補助板72cのみを有するインディケータは、図11に示すように構成しても実現できる。図11のインディケータ80は、図3に示すものと同じ形状のインディケータ7と、短冊状(平面視でほぼ長四角形)の補助板81を備えて構成される。補助板81は、軟質の合成樹脂で成形され、その長手方向中心軸に沿ってチューブ状の鞘部83を備えている。鞘部83は、針状本体部7aと略同じ長さを有し、針状本体部7aに、鞘部83を冠着させて使用される。補助板81は、鞘部83を除き平板面81xyを有しており、針状本体部7aに、鞘部83を冠着させた補助板81は、針状本体部7aの軸線周りに回動自在である。従って、補助板81の平板面xyを、上述したように、ディテクタ10Aの基準角度線(Z軸等)や前プレート12aのプレート面に平行させることによって、距離x、y、zの計測が行われる。
(第4実施形態)
本発明に係る測定装置は、歯垢・歯石や病巣を研削するキュレットや超音波研削装置等の手動施療器具に好適に使用され、施療器具としての超音波研削装置に本発明に係る測定装置を適用した第4実施形態を、図12及び図13を参照して説明する。
【0049】
第4実施形態での測定装置は、第1乃至第3実施形態で説明したいずれの測定装置を使用しても何ら問題ないが、第2実施形態で説明した測定装置を超音波研削装置90に適用した場合を例として説明する。従って、第4実施形態での測定装置には、第2実施形態で説明した、少なくともインディケータ7及びディテクタ10Aが含まれる必要があり、これらの構成要素の他に、好ましくはマーク手段としてのラバーマーク8を備えている。
【0050】
超音波研削装置90は、超音波発振子を内蔵するハンドピース94と、ハンドピース94の先端部94aに装着されるチップ部91と、ハンドピース94の基端ターミナル部94bと電気的に接続され、発振子に交番電圧を印加させる超音波発振装置96とを備えて構成される。
チップ部91は、直視出来ない施療部位に適した形状や治療目的に適した機能を備えていれば、その形状等は特に限定するものではなく、病変域を診査したプローブ形状と必ずしも合致させる必要はないが、理解を容易にするためにチップ部91の形状は、第1実施形態で使用した診査探針用プローブ1の先端診査部2、湾曲連結部3等の形状にほぼ類似するものとして説明する。
【0051】
図12,13に示すチップ部91は、歯根根面の病変領域の治療に適し、当該病変領域に挿入して治療を施すための先端施療部92と、先端治療部92の基端から延びる湾曲連結部93と、基端がハンドピース94に装着され、湾曲連結部93と接続するシャンク部95とで構成される。湾曲連結部93は、先端施療部92を病変領域に挿入し、施療部位に到達させ易くするために、湾曲した形状に形成されている。
【0052】
先端治療部92の表面には研磨剤(例えば、ダイアモンド砥粒)が固着されており、病変領域に先端治療部92を当接させて超音波振動させることにより、病変層を研削することができる。そして、先端治療部92又は湾曲連結部93には、ラバーマーカ8及びインディケータ7が取り付けられている。
次に、以上のように構成される測定装置を超音波研削装置90に適用した第4実施形態の作用・効果について説明する。
【0053】
先ず、第2実施形態で説明したように、診査探針用プローブ1によって、病変領域の形状が予め診査されており、図7に示すように、ディテクタ10Aの右プレート18は、直視できない施療部位の形状(深さ、距離等)として、測定基準位置Oxを記憶している。
次に、超音波研削装置90のチップ部先端92aをディテクタ10Aの基準点Oに位置させると共に、前プレート12aに付された目盛り線の位置目盛りから、施療すべき部位に対応する先端施療部92の位置と先端施療部92を施療すべき部位に挿入する姿勢とを割り出すと共に、チップ部91取り付けられているインディケータ7を垂直基準角度線(Z軸線)に沿わせるように指示方向を調整してチップ部91の上記挿入姿勢を記憶させる。
【0054】
次いで、インディケータ7を指向させた状態に保持して、インディケータ7が指向する方向と施療部位近傍形状、すなわち歯T3の歯面に対する基準方向(歯軸方向)とを一致させるようにチップ部91の姿勢を調整しながら先端施療部92を、上述のように割り出した先端部位置まで施療部位に挿入し、斯く割り出した施療位置の部位を当該超音波研削装置90の先端施療部92で施療する。
【0055】
本実施形態では、ディテクタ10Aの右プレート18が、直視できない施療部位の形状(深さ、距離等)として、測定基準位置Oxを記憶しており、チップ部91にはラバーマーカ8が取り付けられているので、上記手順より施療手順が簡略化させることができる。
すなわち、超音波研削装置90のチップ部先端92aをディテクタ10Aの基準点Oに位置させた状態で、ディテクタ10Aの前プレート12aをこれと直交する方向から視ながら、チップ部91に取り付けたラバーマーカ8を右プレート18の測定基準位置Oxに移動させてその位置に保持する。次いで、インディケータ7を指で調整して前プレート12aの垂直基準角度線(Z軸線)に沿わせて基準方向を記憶させる。
【0056】
次いで、施療する歯T3の歯周ポケットeから超音波研削装置90のチップ部先端92aを挿入し、歯面に予めマーキングしておいた基準位置にラバーマーカ8が当接するまで先端施療部92を押し込む。この際、歯並び方向に直交する方向からを挿入すると共に、インディケータ7を歯T3の歯軸に沿うように直立させるようにチップ部91を挿入すればよく、チップ部先端92aを所要の施療部位に正しく当接させることができる。
【0057】
チップ部先端92aを所要の施療部位に挿入した後、先端施療部92を超音波振動させると所要の施療部位を適正に施療することができ、本発明装置を用いることにより、施療部位の位置割り出しが極めて容易に、且つ、精度良く行うことが出来る。
(変形例)
以上説明した第1乃至第4の実施形態は、全て歯科用診査器具(手動器具)を例に説明したが、本発明に係る測定装置は、歯科用に限定されないことは勿論のことであり、医療用、その他精密加工等、工業製品の加工用の手動工具を対象として使用することも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る測定装置を歯科用探針診査器具(プローブ)1に適用した第1実施態様を説明するための、同プローブ1の使用状況を示す図。
【図2】図1のプローブ1の先端診査部2,7及びマーク手段(ラバーマーカ)8の詳細を示す拡大図。
【図3】本発明に係る測定装置の角度・距離検出器(ディテクタ)10の概略を示す図。
【図4】本発明に係る測定装置の第2実施態様を説明するための、プローブ1の先端診査部2を3根歯T3 の診査部位に挿入して触診状況を示す、一部断面側面図。
【図5】本発明に係る測定装置の第2実施態様に用いられる角度・距離検出器(ディテクタ)10Aの位置目盛プレート12の正面図。
【図6】第2実施態様に用いられる角度・距離検出器(ディテクタ)10Aの背面から視た斜視図。
【図7】第2実施態様のディテクタ10Aの使用状態を示す正面図。
【図8】本発明に係る測定装置の第3実施態様に用いられる、第1実施形態のものとは異なる形状の方向指示補助手段(インディケータ)70の拡大斜視図。
【図9】本発明に係る測定装置のプローブ1により歯T3の病変領域を3次元的に診査している使用状況を示す部分拡大上面図。
【図10】病変領域を触診したプローブ1により角度・距離検出器(ディテクタ)10Aを使用して3次元測定値を読み取る方法を示すディテクタ10Aの正面図。
【図11】本発明に係る測定装置の変形例を示す方向指示補助手段(インディケータ)80の分解斜視図。
【図12】本発明に係る測定装置を歯科用超音波研削装置90に適用した第4実施態様を説明するための斜視図。
【図13】超音波研削装置90の施療器具であるチップ部91により、図12に示すA13−A13矢視から見た、3根歯T3 の施療部位に治療している状況を示す、一部断面側面図。
【符号の説明】
【0059】
1 歯科用探針診査器具(プローブ)
2 先端診査部
7,70,80 方向指示補助手段(インディケータ)
8 マーク手段(ラバーマーカ)
10 角度・距離検出器(ディテクタ)
10A 角度・距離検出器(ディテクタ)
12 位置目盛プレート
90 超音波研削装置
91 歯科用施療器具(チップ部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直視できない部位を診査又は施療するための医療用又は歯科用手動器具を対象として使用される測定装置であって、
前記手動器具の先端部に位置し、診査又は施療するための部位又はその近傍に揺動自在に取り付けられ、基準方向を指向させる方向指示補助手段と、
前記手動器具の先端を位置させる基準点、前記基準点から放射上に延びる複数の角度線、及び前記基準点からの位置目盛りが付された目盛り線を有する角度・距離検出器とを備え、
角度・距離検出器の基準点に前記手動器具の先端を位置させると共に、前記方向指示補助手段を前記複数の角度線の内の基準角度線に沿わせることにより前記目盛り線の位置目盛りから前記直視できない部位の位置を割り出すことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記手動器具は、直視できない部位を診査するための器具であって、当該診査器具の先端部を直視できない診査部位に挿入し触診している状態で、前記方向指示補助手段を当該診査部位近傍形状に対して基準方向に指向させ、
次いで、診査器具の方向指示補助手段を前記基準方向に指向させた状態で、当該診査器具の先端を角度・距離検出器の基準点に位置させると共に、診査器具の姿勢を調整して方向指示補助手段を前記複数の角度線の内の基準角度線に沿わせ、目盛り線の位置目盛りを読み取ることによって診査部位形状を測定することを特徴とする、請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記手動器具は、直視できない部位を施療するための器具であって、当該施療器具の先端を角度・距離検出器の基準点に位置させると共に、前記目盛り線の位置目盛りから、施療すべき部位に対応する施療器具の先端部位置と施療器具を施療すべき部位に挿入する姿勢とを割り出すと共に、施療器具の方向指示補助手段を前記複数の角度線の内の基準角度線に沿わせることによって前記挿入姿勢を記憶し、
次いで、施療器具の方向指示補助手段を前記指向させた状態に保持して、前記方向指示補助手段が指向する方向と前記施療部位近傍形状に対する基準方向とを一致させるように施療器具の姿勢を調整しながら施療器具の先端部を、前記割り出した先端部位置まで施療部位に挿入し、
斯く割り出した施療位置の部位を当該施療器具で施療することを特徴とする、請求項1記載の測定装置。
【請求項4】
前記手動器具の先端部に嵌合され、前記診査又は施療するための部位に沿って移動可能なマーク手段を有し、
当該マーク手段によって、前記目盛り線の位置目盛りから前記直視できない部位の割り出し位置を記憶することを特徴とする、請求項1記載の測定装置。
【請求項5】
前記角度・距離検出器は、水平方向に延びる水平基準角度線と、当該水平基準角度線に直交する垂直方向に延びる垂直基準角度線と、水平及び垂直基準角度線の交差点に位置する前記基準位置とを有し、
方向指示補助手段を当該水平及び垂直基準角度線のいずれか一方に沿わせることを特徴とする、請求項1記載の測定装置。
【請求項6】
前記角度・距離検出器は、前記基準点及び複数の角度線を表したプレートと、当該プレートを保持する保持手段とを備え、
前記プレートは、前記垂直基準角度線で左右分離可能に、且つ、分離したプレートの少なくとも一方の半部を前記水平方向及び/又は前記垂直方向に移動可能に形成され、
前記保持手段は、前記分離プレートを移動位置に保持する保持手段を有することを特徴とする、請求項5記載の測定装置。
【請求項7】
前記方向指示補助手段は、少なくとも1つの平面と、当該平面の両側に、当該方向指示補助手段が指向する方向に沿って平行に直線的に延びる側縁とを有することを特徴とする、請求項1記載の測定装置。
【請求項8】
プレート表面に表された基準点、基準点から放射上に延びる複数の角度線、及び基準点からの位置目盛りが付された目盛り線を有するプレートと、該プレートを保持する保持手段とを備えた角度・距離検出器であって、
前記複数の角度線は、水平方向に延びる水平基準角度線と、当該水平基準角度線に直交する垂直方向に延びる垂直基準角度線と、水平及び垂直基準角度線の交差点に位置する前記基準位置とを有し、
前記プレートは、前記垂直基準角度線で左右分離可能に、且つ、分離したプレートの少なくとも一方の半部を前記水平方向及び/又は前記垂直方向に移動可能に形成され、
前記保持手段は、前記分離プレートを移動位置に保持する保持手段を有することを特徴とする角度・距離検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−34166(P2009−34166A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198849(P2007−198849)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(591268380)
【Fターム(参考)】