説明

湯水混合装置

【課題】 低温側で使用する際に、不必要に湯が使用されず、実際に使用する際の温度設定用回動操作部の低温側への回動角度が小さくてすむ。操作性が良い。
【解決手段】 温度設定用回動操作部4を一回動方向側に回動するほど高温で他回動方向に回動するほど低温側となるように設定する。混合部1に供給する湯の供給、供給停止を行うための湯用弁7を設ける。湯用弁7が、温度設定用回動操作部4を高温側から低温側に回動して、あらかじめ設定された所定温度となる回動位置に至ると湯用弁7を閉じて混合部1への湯の供給を停止し、且つ、これを超えて低温側に更に温度設定用回動操作部4を回動しても湯用弁7の閉状態を継続し、温度設定用回動操作部4を操作して低温側からあらかじめ設定された湯用弁7を閉じる位置を越えて高温側に回動すると湯用弁7を開いて混合部1に湯を供給するように制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示されるような湯水混合装置が知られている。この従来の湯水混合装置は、シリンダ内に湯と水の混合割合を可変する混合割合可変手段を設け、シリンダの軸方向の一端部の外側に設けた温度設定用回動操作部の回動操作により混合割合可変手段を動作させて、湯水の混合割合を変えるようにしている。
【0003】
そして、一般に、混合割合可変手段は温調モジュールとして市場に流通しているものが使用され、この市場に流通している温調モジュールを例えば浴室の湯水混合装置に使用する場合、以下に示すような問題点がある。
【0004】
すなわち、浴室においては、湯水混合装置を湯として使用する場合は、人の通常時の体温である略36℃〜37℃よりも高温の湯が使用されるものである。このように通常湯水混合装置は、略36℃〜略37℃以上の温度領域で使用されるが、浴室において、例えば、水で浴槽や浴室内の洗浄を行う場合のように水だけを使用する際は、温度設定用回動操作部を上記湯として使用する際の最低温度である略37℃を越えて更に低温側に回動操作して、水に対する湯の混合割合を徐々に少なくしながら水温(例えば18℃)に近づけるようにしている。しかしながら、これだと、水に対する湯の混合割合が少なくなるが湯も供給されてしまい、水だけを使用しようとしているのに無駄にエネルギーが消費されてしまうという問題がある。
【0005】
また、市販の湯水混合のための温調モジュールは、温度設定用回動操作部で操作できる回動範囲が通常300°と回動範囲が広く、最低温度、つまり、水に対する湯の混合割合が最も少ない側に回動すると操作角度が大きくなり、操作性が悪いという問題がある。
【特許文献1】特開平6−331046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、低温側で使用する際に、不必要に湯が使用されず、実際に使用する際の温度設定用回動操作部の低温側への回動角度が小さくてすみ、操作性が良くなる湯水混合装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る湯水混合装置は、混合部1と、該混合部1に湯を供給する湯入口部2と、前記混合部1に水を供給する水入口部3と、温度設定用回動操作部4と、該温度設定用回動操作部4の回動により操作され前記混合部1における湯と水の混合割合を可変する混合割合可変手段5と、該混合割合可変手段5により混合された湯水を排出する出口部6とを備え、上記温度設定用回動操作部4は一回動方向側に回動するほど高温で他回動方向に回動するほど低温側となるように設定され、前記混合部1に供給する湯の供給、供給停止を行うための湯用弁7を設け、該湯用弁7は、温度設定用回動操作部4を高温側から低温側に回動して、あらかじめ設定された所定温度となる回動位置に至ると湯用弁7を閉じて混合部1への湯の供給を停止し、且つ、これを超えて低温側に更に温度設定用回動操作部4を回動しても湯用弁7の閉状態を継続し、温度設定用回動操作部4を操作して低温側から上記あらかじめ設定された湯用弁7を閉じる位置を越えて高温側に回動すると上記湯用弁7を開いて混合部1に湯の供給を開始するように成っていることを特徴とするものである。
【0008】
このように温度設定用回動操作部4を高温側から低温側に回動して、あらかじめ設定された所定温度となる回動位置に至ると、湯用弁7を閉じて混合部1への湯の供給を停止し、且つ、これを超えて低温側に更に温度設定用回動操作部4を回動しても湯用弁7の閉状態を継続し、温度設定用回動操作部4を操作して低温側から上記あらかじめ設定された湯用弁7を閉じる位置を越えて高温側に回動すると、上記湯用弁7を開いて混合部1に湯を供給するようにしたことで、出口部6から水のみを出したい場合は、温度設定用回動操作部4を低温側の終端まで回動操作しなくても、あらかじめ設定された所定温度を越えて低温側に回動するだけで、水のみが吐出され、それ以上低温側に回動する必要がない。
【0009】
また、温度設定用回動操作部4の上記湯用弁7による混合部1への湯の供給を停止もしくは開始するあらかじめ設定された回動位置における設定温度が略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度であることが好ましい。
【0010】
このような構成とすることで、浴室において通常は人の体温よりも高い温度領域の湯を使用し、浴室で水を吐出したい場合には、人の体温よりも低い温度を越えて低温側に温度設定用回動操作部4を回動操作することで、湯から水に切り換えて水のみを供給できる。
【0011】
また、湯入口部2に湯用弁7が設けてあることが好ましい。
【0012】
このように、湯入口部2に湯用弁7が設けてあることで、装置の簡略化、コンパクト化が図れる。
【0013】
また、温度設定用回動操作部4に弁作動部12を設けると共に、前記湯用弁7に被作動部13を設け、温度設定用回動操作部4を高温側から低温側に回動して、あらかじめ設定された所定温度となる回動位置に至ると、弁作動部12により被作動部13を作動して湯用弁7を閉じ、且つ、これを超えて低温側に更に温度設定用回動操作部4を回動しても、弁作動部12による被作動部13の作動を継続して湯用弁7の閉状態を継続するように設定し、温度設定用回動操作部4を操作して低温側から上記あらかじめ設定された湯用弁7を閉じる位置を越えて高温側に回動すると、弁作動部12による被作動部13への作動を解除して湯用弁7を開くように設定してあることが好ましい。
【0014】
このように温度設定用回動操作部4に設けた弁作動部12が湯用弁7の被作動部13を作動するか、しないかという簡単な構成で、出口部6から水のみを出したい場合に、温度設定用回動操作部4を低温側の終端まで回動操作しなくても、あらかじめ設定された所定温度を越えて低温側に回動するだけで、水のみを吐出することができる。
【0015】
また、混合部1を構成するシリンダ8内に混合割合可変手段5を内装すると共に、シリンダ8の軸方向の一端部に温度設定用回動操作部4を配設し、該温度設定用回動操作部4をシリンダ8の軸方向の一端部に位置する回動中心部9と、回動中心部9から上記シリンダ8の軸方向と交差し、且つ、シリンダ8の前面よりも前方に突出するハンドル部10とで構成し、該温度設定用回動操作部4に弁作動部12を設けることが好ましい。
【0016】
このような構成とすることで、温度設定用回動操作部4の使用の際の実際の回動角度を狭く出来ることに加え、温度設定用回動操作部4をシリンダ8の軸方向の一端部に位置する回動中心部9と、該回動中心部9から上記シリンダ8の軸方向と交差し、且つ、シリンダ8の前面よりも前方に突出するハンドル部10とで構成してあるので、壁の前方に湯水混合装置11を配置した場合、市販の湯水混合のための温調モジュールの温度設定用回動操作部4の回動範囲が一般に300°と広くても、実際の使用に当たってハンドル部10が壁に当らないようにでき、しかも、温度設定用回動操作部4を回動した際、回動角度に応じて温度設定用回動操作部4に設けた弁作動部12が湯用弁7の被作動部13を作動するか、しないかという簡単な構成で、出口部6から水のみを出したい場合に、温度設定用回動操作部4を低温側の終端まで回動操作しなくても、あらかじめ設定された所定温度を越えて低温側に回動するだけで、水のみを吐出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上記のように構成したので、水のみを使用する場合、温度設定用回動操作部を低温側の終端まで回動操作しなくても、あらかじめ設定された所定温度を越えて低温側に回動することにより、水のみが吐出され、それ以上低温側に回動する必要がないものであり、これにより、不必要に湯が使用されず、省エネルギー効果が優れ、また、実際に使用する際の温度設定用回動操作部の低温側への回動角度も小さくてすみ、操作性が良くなる。
【0018】
また、温度設定用回動操作部の湯用弁による混合部への湯の供給を停止するあらかじめ設定された回動位置における設定温度が、略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度とすることで、浴室において通常は人の体温よりも高い温度領域の湯を使用し、浴室で水を吐出したい場合には、人の体温よりも低い温度を越えて低温側に温度設定用回動操作部を回動操作することで、湯から水に切り換えて水のみを供給できる。
【0019】
また、湯入口部に湯用弁が設けてあることで、装置の簡略化、コンパクト化が図れる。
【0020】
また、温度設定用回動操作部に弁作動部を設け、湯用弁に上記弁作動部により作動される被作動部を設けることで、簡単な構成で、出口部から水のみを出したい場合に、温度設定用回動操作部を低温側の終端まで回動操作しなくても、あらかじめ設定された所定温度を越えて低温側に回動するだけで、水のみを吐出することができる。
【0021】
更に、温度設定用回動操作部の使用の際の実際の回動角度を狭く出来ることに加え、温度設定用回動操作部をシリンダの軸方向の一端部に位置する回動中心部と、回動中心部から上記シリンダの軸方向と交差し、且つ、シリンダの前面よりも前方に突出するハンドル部とで構成してあるので、壁の前方に湯水混合装置を配置した場合、温度設定用回動操作部は、300°と回動範囲が広くても、実際の使用に当たってハンドル部が壁に当らないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0023】
図1乃至図3には湯水混合装置11の一実施形態が示してある。
【0024】
湯水混合装置11は、内部が混合部1となったシリンダ8内に、混合部1における湯と水の混合割合を可変するための混合割合可変手段5を内装してある。
【0025】
前記シリンダ8には混合部1に湯を供給する湯入口部2と、混合部1に水を供給する水入口部3と、混合部1で混合された湯水を排出する出口部6とを備えている。
【0026】
本発明においては、混合部1への湯の供給、供給停止を行うための湯用弁7を設けてある。
【0027】
図1乃至図3に示す実施形態においては、湯入口部2に湯用弁7を設けた例が示してある。図1においては湯入口部2は下流側端部がシリンダ8との連通部15となり、上流側端部が給湯管16が接続される給湯管接続部17となっており、連通部15と給湯管接続部17との中間部分に、湯用弁7を有する弁室18が設けてある。
【0028】
湯用弁7は、弁室18内に設けた弁孔部19と、弁室18内に移動自在に内装されて弁孔部19を開閉自在とする弁体20とで構成してある。
【0029】
図1、図2に示す実施形態において、弁室18内の片側半分に筒体21が嵌め込んであり、該筒体21の周壁部から筒体21内にL状筒部22を一体に突設し、L状筒部22の突出先端部の開口が弁孔部19となっている。筒体21の一端部は給湯管接続部17と連通していて、上記弁孔部19は給湯管接続部17に連通している。また、L状筒部22の他端部は、弁孔筒部21の周壁部に開口してシリンダ8と連通している。
【0030】
前記弁室18の他の片側半部には、保持部材23が嵌め込んであり、保持部材23の中央部の筒状部には孔24が設けてあり、該孔24に弁体20の軸部25が移動自在にはめ込んである。弁体20の端部は孔24から弁孔部19側に向けて突出しており、孔24から突出した部分の基部が圧力受け部41となっており、圧力受け部41より弁部26が突設してある。また、圧力受け部41の前面側にはゴム製等のシール膜27が取着してあり、シール膜27の外周部は断面U字状をした変形自在な部分となっていて、圧力受け部41の外周端から外に突出しており、更に、シール膜27の最外周端が、筒体21の端部と保持部材23の端部との間に挟着してあって、保持部材23の孔24に対して移動自在な弁体20と、保持部材23の端部との間のシールをしている。
【0031】
孔24内において軸部25に中間移動体28の端部が接続してあり、中間移動体28の孔29には軸体30の一端部が移動自在に嵌め込んであり、該軸体30の他端部が保持部材23の孔24の他端部から外方に突出している。上記中間移動体28の孔29の端部開口29aは小径となっていて、軸体30の一端部に設けた大径部31が上記端部開口29aよりも大径であるため、軸体30は孔29に対して移動自在であるが、孔29から抜けないようになっている。
【0032】
軸体30の軸方向の略中間部分には中間フランジ部32が設けてあり、中間フランジ部32は保持部材23の孔24に位置していて、孔24の他端部の開口部よりも大径であるため、軸体30が孔24に対して移動自在であるが、孔24から抜けないようになっている。
【0033】
中間移動体28の他端部と中間フランジ部32との間には、コイルスプリングよりなる第1のばね材33が介在してあり、中間移動体28の他端部と中間フランジ部32とが互いに離れる方向のばね力を付与してある。
【0034】
保持部材23にはコイルスププリングのような第2のばね材34を介して被作動部13が移動自在に被嵌してある。被作動部13の端部は弁室18に設けた開口部に嵌め込んだ外筒部35から上記ばね材34のばね力で外部に向けて突出しており、被作動部13にはストッパ部36が設けてあって、上記外筒部35に設けた当たり部37にストッパ部36が当たると、それ以上被作動部13が外部に飛び出して抜けないようになっている。また、被作動部13には上記軸体30の他端部が接続してある。
【0035】
上記被作動部13の端部の外部への突出した部分の先端部は、略半球状をなすような曲面部38となっている。
【0036】
上記弁体20は、混合部1側から給湯管16側に湯水が逆流するのを防止するための逆止弁の機能を持つもので、給湯管16が低圧となって圧力受け部41にかかる水圧が低くなったり、あるいは、給湯管16側から圧力受け部41に水圧がかかっていないときは、第1のばね材33により、中間フランジ部32を保持部材23の孔24の他端部の開口部に押し当てると共に中間移動体28を押し、これにより弁体20の弁部26が弁孔部19を閉じて逆流防止を行うようになっている。
【0037】
一方、圧力受け部41に給湯管16側から所定以上の水圧がかかっている場合は、図1に示すように、上記第1のばね材33のばね力に抗して弁体20を移動して弁部26が弁孔部19を開くようになっている。
【0038】
また、被作動部13を第2のばね材34に抗して押すと、第2図に示すように、軸体30が押されて第1のばね材33を圧縮していきながら中間移動体28を押し、これにより給湯管16側から圧力受け部41に水圧がかかっていても、これに打ち勝って弁体20の弁部26が弁孔部19を閉じるようになっている。
【0039】
前記シリンダ8内に内装される混合割合可変手段5としては、市販の温調モジュールが用いられ、この混合割合可変手段5を構成する温調モジュールの一端部に、混合割合可変手段5を駆動操作するための温度設定用回動操作部4が設けてあり、該温度設定用回動操作部4はシリンダ8の軸方向の一端部の外側に配設してある。
【0040】
温度設定用回動操作部4は、シリンダ8の軸方向の一端部に位置する回動中心部9と、該回動中心部9から上記シリンダ8の軸方向と交差し、且つ、シリンダ8の前面よりも前方に突出するハンドル部10とで構成してある。そして、ハンドル部10を回動中心部9を中心にして一回動方向側に回動するほど高温となり、且つ、他回動方向に回動するほど低温側となるように設定してある。図3に示す実施形態においては、前方に向けて突出するハンドル部10を上向きとなるように矢印イ方向に回動すると、水と湯の混合割合は湯が次第に多くなって次第に高温となり、また、前方に向けて突出するハンドル部10を下向きとなるように矢印ロ方向に回動すると、水と湯の混合割合は湯が次第に少なくなって次第に低温となるように設定してある。
【0041】
上記温度設定用回動操作部4には、更に弁作動部12が設けてある。図3に示す弁作動部12は回動中心部9からハンドル部10の突出方向と異なる方向に向けて突出してある。この弁作動部12には傾斜面39が設けてあり、該傾斜面39がハンドル部10を、高温側から低温側にあらかじめ設定された所定回動角度回動すると、被作動部13の略半球状をした突出先端の曲面部38に当たって、被作動部13を押し、更に低温側に回動すると、被作動部13が次第に押し込まれていくようになっている。
【0042】
温度設定用回動操作部4のハンドル部10を回動中心部9を中心として回動操作することで、水入口部3、湯入口部2から湯水混合装置11内に流入する水と湯との混合割合を混合割合可変手段5で調整して湯温調整を行うことができるようになっている。
【0043】
湯水混合装置11の混合割合可変手段5で湯水の混合が調整された湯温調整済みの湯水は出口部6に送られ、出口部6に接続した出湯管40を介して水栓装置(図示せず)に設けたカランやシャワーヘッドから吐水されるようになっている。
【0044】
上記の構成の本発明の湯水混合装置11は、図3(a)の実線のように温度設定用回動操作部4の前方に突出するハンドル部10が水平な状態を例えば湯温40℃となるように設定してあり、この前方に向けて突出するハンドル部10を略水平な状態から上向きとなるように回動すると(図3(a)において矢印イ方向)、水と湯の混合割合は湯が40℃の場合より次第に多くなって次第に高温となる。また、前方に向けて突出するハンドル部10を略水平な状態から下向きとなるように回動すると(図3(a)において矢印ロ方向)、弁作動部12の傾斜面39が被作動部13の略半球状をした突出先端の曲面部38に当たり、被作動部13が第2のばね材34に抗して押されて被作動部13が移動するので、同時に軸体30が押されて第1のばね材33を圧縮していきながら中間移動体28を押す。
【0045】
このようにしてハンドル部10を低温側に向けて回動して、中間移動体28を移動することで、図2に示すように、弁部26が弁孔部19を閉じるのであるが、本発明においては、この弁部26が弁孔部19を最初に閉じた時点におけるハンドル部10の位置が、ちょうど、あらかじめ設定された浴室で使用する最低湯温(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度、例えば37℃)の位置となるように設定してある。
【0046】
したがって、ハンドル部10を高温側から低温側に回動して、あらかじめ設定された浴室で使用する最低湯温(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度、例えば37℃)までは、弁部26により弁孔部19が閉じられていないので、水と湯の混合割合は湯が40℃の場合より次第に少なくなって次第に低温となり、浴室内において、40℃の適温付近における好みの湯温に調整して使用者にとっても適温の湯水を吐出する。
【0047】
この40℃の適温付近における好みの湯温に調整して浴室で使用する場合、前述のあらかじめ設定してある浴室で使用する最低湯温(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度、例えば37℃)では冷たいと感じるので、利用者は、上記あらかじめ設定してある浴室で使用する最低湯温よりも高い湯温領域でハンドル部10を操作することになる。
【0048】
このように通常の浴室内における湯水の使用の際は、あらかじめ設定してある浴室で使用する最低湯温である略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度(例えば37℃)よりも高い湯温で使用され、弁部26が弁孔部19を閉じておらず湯用弁7は開状態である。
【0049】
一方、湯水ではなく水を吐出したい場合は、前方に向けて突出するハンドル部10を略水平な状態から下向きとなるように回動し、あらかじめ設定された浴室で使用する最低湯温(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度、例えば37℃)をわずかに越えるまで低温側に回動する。
【0050】
ハンドル部10を上記のように高温側から低温側に回動して、あらかじめ設定された所定温度(上記あらかじめ設定された浴室で使用する最低湯温(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度、例えば37℃))となる回動位置に至ると、前述のように、被作動部13が第2のばね材34に抗して押されて移動し、同時に軸体30が押されて第1のばね材33を圧縮しながら中間移動体28を押して、弁部26が弁孔部19を閉じて湯用弁7は閉となり、これにより弁室18から混合部1への湯の供給が停止される。
【0051】
そして、このハンドル部10があらかじめ設定された所定温度を越えて低温側に更に回動しても、弁作動部12が被作動部13を押し続けて、第2のばね材34、第1のばね材33を圧縮しながら、湯用弁7の閉状態が継続されるので、出口部6から水のみを出したい場合は、温度設定用回動操作部4を低温側の終端まで回動操作しなくても、あらかじめ設定された所定温度(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度)を越えて低温側に回動するだけで、あらかじめ設定された温度(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度)を低温側に越えると同時に水のみが吐出され、それ以上低温側に回動する必要がないことになる。
【0052】
例えば、あらかじめ設定された温度が37℃で、水温が18℃の場合、ハンドル部10を低温側に回動操作して37℃を越えると、37℃の湯が18℃に切り換わって18℃の水のみが吐水されることになる。
【0053】
これにより出口部6から水のみを出したい場合は、ハンドル部10を低温側の終端まで回動操作しなくても、あらかじめ設定された所定温度を越えて低温側に回動するだけで、水のみが吐出され、それ以上低温側に回動操作する必要がない。したがって、浴室において水を使用する場合、ハンドル部10を低温側に回動操作して例えば30℃の湯、あるいは25℃の湯が供給されず、不必要に湯が使用されないので、省エネルギー効果に優れ、また、実際に使用する際のハンドル部10の低温側への回動角度も、低温側の最終回動位置まで回動する必要がないので、回動角度が小さくてすみ、操作性が良くなることになる。
【0054】
また、上記のようにハンドル部10を低温側に回動して湯用弁7を閉じ、出口部6から水のみを出している状態で、ハンドル部10を低温側から高温側に回動し、ハンドル部10が上記あらかじめ設定してある浴室で使用する最低湯温である略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度(例えば37℃)位置を越えて回動すると、弁作動部12による被作動部13の押圧が解除され、圧力受け部41に給湯管16側から所定以上の水圧がかかり、図1のように弁体20を移動して弁部26が弁孔部19を開き、湯用弁7が開となる。
【0055】
上記のような本発明において、温度設定用回動操作部4を、シリンダ8の軸方向の一端部に位置する回動中心部9と、回動中心部9から上記シリンダ8の軸方向と交差し、且つ、シリンダ8の前面よりも前方に突出するハンドル部10とで構成することで、壁の前方に本発明の湯水混合装置11を配置した場合であっても、市販の湯水混合のための温調モジュール(温度設定用回動操作部4の回動範囲が一般に300°と広い)を使用しても、低温側の最終回動位置まで回動する必要がないので、回動角度が小さくてすみ、実際の使用に当たってハンドル部10が壁に当らないようにできることになる。
【0056】
また、本実施形態においては、湯用弁7を湯入口部2に設けてあるので、湯用弁7が湯水混合装置11を構成するユニットに備わっていることになり、装置のコンパクト化が図れることになる。
【0057】
図4、図5には本発明の他の実施形態が示してある。図4、図5に示す実施形態においては、湯用弁7が、弁室18内に嵌め込んだ弁装置50により構成してある。
【0058】
弁装置50は、有底筒51の底部53に弁孔部19を設け、有底筒51内に弁孔部19を閉塞自在とした弁部26を移動自在に配置し、弁部26に一端部を固着したばね受け部52を弁孔部19を貫通して突出させ、有底筒51の底部53外面とばね受け部52との間にコイルスプリングよりなるばね材54を介在して、弁部26が弁孔部19を閉じるように構成してある。
【0059】
上記弁装置50は弁室18の開口より嵌め込んで、有底筒51の開口部に設けたフランジ55を弁室18内の段部49に当接してある。
【0060】
弁室18の開口を蓋部材56により閉塞し、蓋部材56の内面側には移動自在にダイヤフラム57を配置し、該ダイヤフラム57の外周端部と、上記段部49に当接したフランジ55との間に外周部に通水部58を有する筒状スペーサ59を介在して、筒状スペーサ59の一端部でダイヤフラム57の外周部を蓋部材56の内面部に押圧挟持し、筒状スペーサ59の他端部でフランジ55を段部49に押圧挟持している。
【0061】
ダイヤフラム57の外面部の中央には軸60の一端部が取着してあり、該軸60が蓋部材56を移動自在に貫通して蓋部材56の外方に突出していて、この突出部分が被作動部13を構成している。また、ダイヤフラム57の内面部の中央には押圧部61が突設してある。
【0062】
この実施形態において上記弁装置50は、混合部1側から給湯管16側に湯水が逆流するのを防止するための逆止弁の機能を持つもので、給湯管16が低圧となって圧力受け部41にかかる水圧が低くなったり、あるいは、給湯管16側から圧力受け部41に水圧がかかっていないときは、ばね材54により、弁部26で弁孔部19を閉じて逆流防止を行うようになっている。
【0063】
一方、弁部26の外面側に給湯管16側から所定以上の水圧がかかっている場合は、上記ばね材54のばね力に抗して弁部26を移動して、弁部26が弁孔部19を開くようになっている。
【0064】
また、図4、図5の実施形態では、温度設定用回動操作部4は、シリンダ8の軸方向の一端部に位置する回動中心部9と、回動中心部9から上記シリンダ8の軸方向と交差し、且つ、シリンダ8の前面よりも前方に突出するハンドル部10とで構成してあり、ハンドル部10の一側部に弁作動部12が設けてある。弁作動部12は回動方向の一面(高温側から低温側に回動する方向において前面となる面)が被作動部13を押すための傾斜面62となっている。
【0065】
本実施形態においても、前述の実施形態と同様に、温度設定用回動操作部4のハンドル部10を回動中心部9を中心として回動操作することで、水入口部3、湯入口部2から湯水混合装置11内に流入する水と湯との混合割合を混合割合可変手段5で調整して、湯温調整を行うことができるようになっている。
【0066】
本実施形態においては、ハンドル部10を高温側から低温側に向けて回動すると、あるところまで回動すると、弁作動部12の傾斜面62が被作動部13を押し、ダイヤフラム57の内面部の押圧部61が弁部26を押して弁部26を移動する。ハンドル部10を回動して傾斜面62の終端である弁作動部12の側端面で被作動部13を押す状態となると、図5のように、弁部26が弁孔部19を閉じるのであるが、本実施形態においては、この弁部26が弁孔部19を最初に閉じた時点におけるハンドル部10の位置が、ちょうど、あらかじめ設定された浴室で使用する最低湯温(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度、例えば37℃)の位置となるように設定してある。
【0067】
したがって、本実施形態においても、ハンドル部10を高温側から低温側に回動して、あらかじめ設定された浴室で使用する最低湯温(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度、例えば37℃)までは、弁部26により弁孔部19が閉じられていないので、水と湯の混合割合は湯が40℃の場合より次第に少なくなって次第に低温となり、浴室内において、40℃の適温付近における好みの湯温に調整して使用者にとっても適温の湯水を吐出する。
【0068】
一方、湯水ではなく水を吐出したい場合は、ハンドル部10を高温側から低温側に回動し、あらかじめ設定された浴室で使用する最低湯温(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度、例えば37℃)をわずかに越えるまで低温側に回動する。
【0069】
ハンドル部10を上記のように高温側から低温側に回動して、あらかじめ設定された所定温度(上記あらかじめ設定された浴室で使用する最低湯温(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度、例えば37℃))となる回動位置に至ると、弁部26が弁孔部19を閉じて湯用弁7は閉となり、これにより混合部1への湯の供給が停止される。
【0070】
そして、本実施形態においてもハンドル部10があらかじめ設定された所定温度を越えて低温側に更に回動しても弁作動部12が被作動部13を押し続けて、湯用弁7の閉状態を継続するように制御されるので、出口部6から水のみを出したい場合は、温度設定用回動操作部4を低温側の終端まで回動操作しなくても、あらかじめ設定された所定温度(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度)を越えて低温側に回動するだけで、あらかじめ設定された温度(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度)を低温側に越えると同時に水のみが吐出され、それ以上低温側に回動する必要がないことになる。
【0071】
また、低温側から上記あらかじめ設定された所定温度(略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度)を越えて高温側に回動すると、弁作動部12による被作動部13の押圧量が所定押圧量より少なくなり、これによりダイヤフラム57の押圧部61により押されている弁部26が給湯管16側からの水圧によりダイヤフラム57の押圧部61を押しながら移動して弁部26が弁孔部19から離れて湯用弁7が開となる。弁孔部19が開くと、給湯管16側からの水圧によりダイヤフラム57が押されて移動し、被作動部13が傾斜面に沿いながら突出量を増していき、更に、ハンドル部10を高温側に回動すると、傾斜面が被作動部13から離れるようになっている。
【0072】
上記したいずれの実施形態においても、温度設定用回動操作部4に弁作動部12を設けて、該弁作動部12により被作動部13を作動して湯用弁7を閉じるようにした例を示したが、必ずしもこれにのみ限定されない。
【0073】
他の例としては、例えば、湯用弁7を電磁弁により構成し、温度設定用回動操作部4を高温側から低温側に回動した場合、温度設定用回動操作部4があらかじめ設定された所定温度となる回動位置となると、その回動位置を検出するためのセンサあるいはスイッチを設け、これらセンサあるいはスイッチによる回動位置検出信号に基づき、電磁弁よりなる湯用弁7を閉じ、温度設定用回動操作部4をそれ以上高温側から低温側に回動しても電磁弁よりなる湯用弁7の閉状態を維持するように制御し、また、電磁弁よりなる湯用弁7を閉じた状態で、上記温度設定用回動操作部4があらかじめ設定された所定温度となる回動位置を越えて高温側に回動すると、電磁弁よりなる湯用弁7を閉から開となるように制御するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では湯用弁7を湯入口部2に設けることで、装置のコンパクト化を図っているが、必ずしも、湯用弁7を湯入口部2に設けたもののみに限定されず、湯用弁7を給湯管16の途中に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の湯水混合装置の一実施形態の断面図である。
【図2】同上の湯用弁の閉状態を示す断面図である。
【図3】同上に用いる温度設定用回動操作部の一例を示し、(a)は正面図であり、(b)は平面図である。
【図4】本発明の湯水混合装置の一実施形態の断面図である。
【図5】同上の湯用弁の閉状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 混合部
2 湯入口部
3 水入口部
4 温度設定用回動操作部
5 混合割合可変手段
6 出口部
7 湯用弁
8 シリンダ
9 回動中心部
10 ハンドル部
12 弁作動部
13 被作動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合部と、該混合部に湯を供給する湯入口部と、前記混合部に水を供給する水入口部と、温度設定用回動操作部と、該温度設定用回動操作部の回動により操作され前記混合部における湯と水の混合割合を可変する混合割合可変手段と、該混合割合可変手段により混合された湯水を排出する出口部とを備え、上記温度設定用回動操作部は一回動方向側に回動するほど高温で他回動方向に回動するほど低温側となるように設定され、前記混合部に湯の供給、供給停止を行うための湯用弁を設け、該湯用弁は、温度設定用回動操作部を高温側から低温側に回動して、あらかじめ設定された所定温度となる回動位置に至ると湯用弁を閉じて混合部への湯の供給を停止し、且つ、これを超えて低温側に更に温度設定用回動操作部を回動しても湯用弁の閉状態を継続し、温度設定用回動操作部を操作して低温側から上記あらかじめ設定された湯用弁を閉じる位置を越えて高温側に回動すると上記湯用弁を開いて混合部に湯の供給を開始するようにして成ることを特徴とする湯水混合装置。
【請求項2】
前記温度設定用回動操作部の上記湯用弁による混合部への湯の供給を停止もしくは開始するあらかじめ設定された回動位置における設定温度が略35℃〜略38℃の範囲内の任意の温度であることを特徴とする請求項1記載の湯水混合装置。
【請求項3】
前記湯入口部に湯用弁が設けてあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の湯水混合装置。
【請求項4】
前記温度設定用回動操作部に弁作動部を設けると共に、前記湯用弁に被作動部を設け、温度設定用回動操作部を高温側から低温側に回動して、あらかじめ設定された所定温度となる回動位置に至ると、弁作動部により被作動部を作動して湯用弁を閉じ、且つ、これを超えて低温側に更に温度設定用回動操作部を回動しても、弁作動部による被作動部の作動を継続して湯用弁の閉状態を継続するように設定し、温度設定用回動操作部を操作して低温側から上記あらかじめ設定された湯用弁を閉じる位置を越えて高温側に回動すると、弁作動部による被作動部への作動を解除して湯用弁を開くように設定してあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の湯水混合装置。
【請求項5】
前記混合部を構成するシリンダ内に混合割合可変手段を内装すると共に、シリンダの軸方向の一端部に温度設定用回動操作部を配設し、該温度設定用回動操作部をシリンダの軸方向の一端部に位置する回動中心部と、該回動中心部から上記シリンダの軸方向と交差し、且つ、シリンダの前面よりも前方に突出するハンドル部とで構成し、該温度設定用回動操作部に弁作動部を設けて成ることを特徴とする請求項4記載の湯水混合装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−31946(P2010−31946A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193971(P2008−193971)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(505154956)パナソニック電工バス&ライフ株式会社 (306)
【出願人】(000242378)株式会社ケーブイケー (130)
【Fターム(参考)】