説明

湯沸かし器の蓋体

【課題】蓋体を着脱する着脱部を持った上面が塞がらない起立姿勢での定置ができ、取り外し蓋の定置、その持ち上げ、装着の動作が、着脱部を把持して簡易に行えるようにする。
【解決手段】湯沸かし器の器体4の上端の凹陥部4bにプラグ嵌合されて湯沸かし域口部2bを上方から閉じる円盤型の本体201を備え、この本体201にその上面より内側で上方から操作またはおよび把持して器体4に対し着脱する着脱部12を持ち、本体201の外周まわりの周方向一部に、面状部、ライン状部、点状部の少なくとも1つを含んでほぼ同一平面204に位置して、本体201をその上面側および内面側への転倒および左右への転がりを防止して起立姿勢に定置できる定置部203を形成したことで、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯沸かし器の蓋体に関し、詳しくは、ヒータにより湯沸かしを行う器体の上端の凹陥部にほぼ軸線方向に着脱できるようにプラグ嵌合されて湯沸かし域口部を上方から閉じる円盤型の本体を備え、この本体にその上面より内側で上方から操作またはおよび把持して器体に対し着脱する着脱部を持った湯沸かし器の蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
本体にその上面より内側で上方から操作またはおよび把持して器体に対し着脱する着脱部を持った蓋の着脱構造は、円形凹部の直径線上に円形凹部から立ち上がる凸部を設けてつまみ部とするなど、各種容器類の蓋で古くから見られ、簡単な構造で容易に着脱できる利点がある。また、凹部を利用して蓋上面から手指を掛けられる引っ掛かり部を設けて、蓋体を開閉し、また着脱する蓋体も知られる(例えば、特許文献1参照。)。さらに、レバーを引き上げると閉じ位置への係止が解かれ、この状態で器体へのヒンジ連結のロックを解除するとレバーによって取り外され、また逆に取り付けられるようにした蓋体も知られる(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2001−258748号公報
【特許文献2】特開2001−252190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のような蓋体は、古くから見られる簡易構造や、特許文献2に記載の蓋体はもとより、特許文献1に記載の開き操作規制部材の操作部が突出した蓋体を含め、上面が比較的平坦で載置状態に安定しやすく、特許文献1に記載のしかも、蓋体の内面のように蒸気で濡れた状態でないことなどが理由となって、取り外した蓋体は仰向け状態、つまり内面を上にした状態で置かれることが多い。これは、内面で載置すると載置部を濡らすことの他に、内面の衛生面が損なわれると危惧されることも大きな原因であると思われる。
【0004】
このような蓋体の載置状態では、それら蓋体の着脱部が載置面側に位置して蓋体に隠れるので、載置した蓋体を持ち上げるのに着脱部を利用できず、蓋体の外回りを把持することになり、径が大きいと両手を両側から当てがって把持できるし、径が小さければ片手でも内面側から外回りに手指を掛けて把持できる。
【0005】
しかし、前者では、両手で把持するのであれば両手が塞がる不便があるし、把持が内面側に及ぶので、湯沸かし器の使用中や使用直後であれば内面は蒸気に曝されて高温になっていることがあり幾分厚い思いをする。後者では、高温になっていることがある内面側に直接触れてしまうことになり、危険でもあるし不衛生でもある。
【0006】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、操作またはおよび把持して蓋体を着脱する着脱部を持った上面が塞がらない起立姿勢での定置ができ、取り外しから定置、定置からの持ち上げ、装着の一連の動作が、着脱部を把持して簡易に行える湯沸かし器の蓋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の湯沸かし器の蓋体は、ヒータにより湯沸かしを行う器体の上端の凹陥部にほぼ軸線方向に着脱できるようにプラグ嵌合されて湯沸かし域口部を上方から閉じる円盤型の本体を備え、この本体にその上面より内側で上方から操作また
はおよび把持して器体に対し着脱する着脱部を持った湯沸かし器の蓋体であって、本体の外周まわりの周方向一部に、面状部、ライン状部、点状部の少なくとも1つを含んでほぼ同一平面に位置して、本体をその上面側および内面側への転倒および左右への転がりを防止して起立姿勢に定置できる定置部を形成したことを特徴としている。
【0008】
このような構成では、本体が湯沸かし器の器体にプラグ嵌合される関係から、内面と上面との間の厚みが大きく採れるので、内部に内容液を外部に注出する注出路や湯沸かしによって発生する蒸気を外部に逃がす蒸気通路、蓋体を器体側への係止、係止解除を伴うか伴わないで蓋体を器体の凹陥部に着脱する着脱部を内蔵しやすい利点があるほか、蒸気に直接曝される内面側に対し着脱部の操作部を含む上面側の昇温を大きく抑えられる。そこで、本体を起立姿勢に定置する定置部は、蓋体が左右に転がる方向には転がりを防止できる転がり防止幅ないしは間隔を必要以上に採れる上、起立姿勢からの内面側および上面側に転倒するのを防止するだけの転倒防止幅ないしは間隔を持って形成されるので本体を起立姿勢に安定に定置し、本体の上面側から操作またはおよび把持される着脱部の操作側を含む蓋体の上面を内面と共に、他に触れず塞がれない開放したままとすることができる。
【0009】
上記に加え、さらに、定置部は平面である必要はなく、少なくとも3つ以上の定置点が転がり防止幅ないしは間隔、転倒防止幅ないしは間隔を満足して、本体を起立姿勢に安定させる向きの平面上にあればよいが、この平面が本体を内面側に前傾した姿勢に安定させるものであることにより、着脱部の操作側である上面を斜め上向きな開放状態とすることがでる。
【0010】
上記において、さらに、定置部は、本体のほぼ上面側からほぼ内面側に亘って設けられていることを特徴とすることができる。
【0011】
このような構成では、上記に加え、さらに、定置部の転倒防止幅ないしは間隔を本体の厚みのほぼ全域を利用して大きく確保することができる。
【0012】
上記において、さらに、定置部は、本体の上面側にあって、本体の左右への転がりを防止できる周方向に向いた転がり防止幅を満足した左右方向のライン状部、または、本体の転がりを防止できる周方向に向いた転がり防止間隔を満足した左右方向の2つの点状部と、本体の内面側の円形側端部での前記転がり防止幅ないしは転がり防止間隔の中点に本体の上面側および内面側への転倒を防止できる転倒防止間隔を満足して本体の軸線方向に対向する部分である1つの点状部と、であることを特徴とすることができる。
【0013】
このような構成では、上記に加え、さらに、円形が通常形態である本体の上面側に左右への転がり防止幅ないしは間隔を満足したライン状または1つの点状部を設けるだけで、本体の内面側の円形側端部の周方向一部がなす1つの点状部とで本体を起立姿勢に定置させる定置部を実現することができる。
【0014】
上記において、さらに、着脱部は、この本体のプラグ嵌合位置にて凹陥部内面の左右一対の係合凹部と付勢力により係合して本体をプラグ嵌合位置に係止する一対の係合部材と、この係合部材による係止と係止解除の動作に連動して離間位置と離間位置から接近し合う接近位置との間で離接される左右一対の操作部とを備え、この操作部が本体の上面に形成された操作窓を通じ離間位置から接近位置に付勢の反力で把持操作されるように、両位置の間で操作窓に臨んで位置して、本体の係止、係止解除、着脱、持ち運びに供するようにしたことを特徴とすることができる。
【0015】
このような構成では、上記に加え、さらに、本体を器体の凹陥部にプラグ嵌合させると左右の係合部材は付勢力によって器体の凹陥部内面の左右にある係合凹部に弾性係合して
本体を閉じ状態に係止させられる。この状態で、本体上面の操作窓に臨んでいる左右2つの操作部を操作窓を通じ離間位置から接近位置に前記付勢による反力に抗して把持操作すると、それに連動して係合部材が係合凹部から抜け出て前記係止を解除するので、2つの操作部を把持操作した状態のまま蓋体を凹陥部から取り外すことができるし、そのまま持ち運んで所望の位置に定置部を定置し蓋体を起立姿勢に置き去れる。
【0016】
上記において、さらに、本体の内面側端部に装着されて器体の湯沸かし域口部に圧接してそれとの間をシールするシール部材を備え、このシール部材は、本体の内面側端部に装着された基部から、本体の内面の外周部の内側から同外周部に向け拡径しながら内側に延びた後縮径に転じて内側に向けさらに延びた横断面屈曲形状のシールリップを持ち、このシールリップで器体の湯沸かし域口部との間をシールするようにしたことを特徴とすることができる。
【0017】
このような構成では、上記に加え、さらに、本体の内面側端部に装着されるシール部材は、器体の凹陥部にプラグ嵌合した最奥部で器体の湯沸し域口部に密に圧接してシールし、本体の内面から上面側への漏水を防止することができる。また、シール部材は、横断面屈曲形状のシールリップは、本体の内面の外周の内側から内側に延びて外周側に途中に屈曲部を持った横断面屈曲形状による内周側に向いた溝をなし、蓋体が起立姿勢に定置したとき内面を伝い落ちる結露水を受け止め貯めこむことができる。
【0018】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴はそれ自体単独で、あるいは可能な限り種々な組み合わせで複合して採用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の湯沸かし器の蓋体によれば、本体がプラグ嵌合されて厚みが大きく採れて、転倒時に止水しやすい注出路や異常昇圧を防止する蒸気通路、不用意な脱落を防止する器体側への係止、係止解除を伴うか、それを伴わないで蓋体を器体の凹陥部に着脱する着脱部を内蔵して、しかも、着脱部の操作部を含む上面側の昇温を大きく抑えて、安全使用の確保に便利なものにおいて、本体の大きな左右方向寸法、比較的大きくできる厚みを巧み生かした定置部にて、本体を起立姿勢にて小さな平面スペースに安定して載置でき、本体の上面側から操作またはおよび把持される着脱部の操作側を含む蓋体の上面を最も高温で濡れていることが多い内面と共に、他に触れず塞がれない開放したままとし、内面が載置される衛生面、濡れの問題が解消する上、蓋体の取り外し、載置、載置状態からの持ち上げ、再装着といった一連の取り扱いが着脱部を操作またはおよび把持して蓋体の内面に触れることなく外面側だけで容易かつ安全に行える。また、起立姿勢での載置は、まわりへの放熱を促進して万一触れても問題のない温度まで早期に降温させられる利点もある。
【0020】
上記に加え、さらに、定置部は平面である必要はなく、少なくとも3つ以上の定置点が転がり防止幅ないしは間隔、転倒防止幅ないしは間隔を満足して、本体を起立姿勢に安定させる向きの平面上にあればよいが、この平面が本体を内面側に前傾した姿勢に安定させるものであることにより、着脱部の操作側である上面を斜め上向きな開放状態とし、着脱部を操作ないしは把持しての蓋体の定置、定置状態からの持ち上げが楽にまる。また、定置部の定置点が3つ以上の点状に近いほど面の歪みなどの影響なく安定な定置ができる。
【0021】
上記に加え、さらに、本体の内面からほぼ上面側に設けた定置部は、その転倒防止幅ないしは間隔を本体の厚みのほぼ全域を利用して大きく確保することができ、転倒防止が容易になる。
【0022】
上記に加え、さらに、円形が通常形態である本体の上面側に左右への転がり防止幅ない
しは間隔を満足したライン状または1つの点状部を設けるだけで、本体の内面側の円形側端部の周方向一部がなす1つの点状部とで本体を起立姿勢に定置させる定置部を、円形な通常形態をほとんど変えずに実現できる。
【0023】
上記に加え、さらに、本体を器体の凹陥部にプラグ嵌合させると左右の係合部材は付勢力によって器体の凹陥部内面の左右にある係合凹部に弾性係合して本体を閉じ状態に係止させられ、脱落防止状態への装着が容易になる。この状態で、本体上面の操作窓に臨んでいる左右2つの操作部を前記付勢による反力に抗して把持操作すると、それに連動して係合部材が係合凹部から抜け出て前記係止を解除簡単に解除し、2つの操作部を把持操作状態のまま蓋体を凹陥部から取り外すことができるし、そのまま持ち運んで所望の位置に定置部を定置し蓋体を起立姿勢に置き去れる。
【0024】
上記に加え、さらに、本体の内面側端部に装着されるシール部材は、器体の凹陥部にプラグ嵌合した最奥部で器体の湯沸し域口部に密に圧接してシールし、本体の内面から上面側への漏水を防止し、内面およびシール部材の内面以外の外回りが濡れるのを防止することができる。また、本体の内面は濡れていて起立姿勢に定置されたとき、水が伝い落ちることがあってもシール部材のシールリップの内面から延びた屈曲形状は、伝い落ちてくる結露水を受け入れて溜める溝効果を発揮するので、伝い落ちる結露水が蓋体の定置部まわり付近を濡らすようなことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。しかし、本発明は、特に限定的な記載がない限りは、本発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。
【0026】
図1に示す本実施の形態の湯沸かし器の蓋体5は、湯沸かし器においてヒータ1により湯沸かしを行う器体4の上端の凹陥部としての開口4bにほぼ軸線202の方向に着脱できるようにプラグ嵌合されて湯沸かし域をなしている内容器2の前記器体4の開口4bに繋がる湯沸かし域口部2bを上方から閉じる円盤型の本体201を備え、この本体201にその上面より内側で上方から操作またはおよび把持して器体に対し着脱する着脱部12を例えば機構的なものとして持っている。本体201の外周まわりの周方向一部には、面状部、ライン状部、点状部の少なくとも1つを含んでほぼ同一平面に位置して、本体201をその上面側および内面側への転倒および左右への転がりを防止して図3に示すように起立姿勢に定置できる定置部203を形成している。
【0027】
蓋体5は、本体201が器体4にプラグ嵌合される関係から、内面と上面との間の厚みが大きく採れるので、蓋体5の内部に、図1、図2に示すように内容液を外部に注出する注出路6や湯沸かしによって発生する蒸気を外部に逃がす蒸気通路8、蓋体5を器体4側への係止、係止解除を伴うか伴わないで蓋体5を器体4の凹陥部である開口4bに着脱する着脱部12を内蔵しやすい利点があるほか、蒸気に直接曝される内面側に対し着脱部12の操作部としての操作片63a、63aなどを含む上面側の昇温を大きく抑えられる。そこで、本体201を起立姿勢に定置する定置部203は、蓋体5が左右に転がる方向には転がりを防止できる図2に示すような周方向の転がり防止幅ないしは間隔Aを必要以上に採れる上、起立姿勢からの内面側および上面側に転倒するのを防止するだけの図2、図3に示すような厚み方向の転倒防止幅ないしは間隔Bを持って形成されるので本体201を起立姿勢に安定に定置し、本体201の上面側から操作またはおよび把持される着脱部12の操作側を含む蓋体5の上面を内面と共に、他に触れず塞がれない開放したままとすることができる。
【0028】
この結果、蓋体5は、本体201がプラグ嵌合されて厚みが大きく採れて、転倒時に止
水しやすい常閉の弁84を持った注出路6や異常昇圧を防止する転倒時止水弁14を持った蒸気通路8、不用意な脱落を防止する器体4側への係止、係止解除を伴うか、それを伴わないで蓋体5を器体4の凹陥部としての開口4bに着脱する着脱部12を内蔵して、しかも、着脱部12の操作部としての操作片63a、63aを含む上面側の昇温を大きく抑えて、安全使用の確保に便利なものにおいて、本体201の図1の紙面に直角となる大きな左右方向寸法、比較的大きくできる図1に示す高さ方向となる厚みを巧み生かした定置部203にて、本体201を起立姿勢にて小さな平面スペースに安定して載置でき、本体201の上面側から操作またはおよび把持される着脱部12の操作側を含む蓋体5の上面を最も高温で濡れていることが多い内面と共に、他に触れず塞がれない開放したままとし、内面が載置される衛生面、濡れの問題が解消する上、蓋体5の取り外し、載置、載置状態からの持ち上げ、再装着といった一連の取り扱いが着脱部12を操作またはおよび把持して蓋体5の内面に触れることなく外面側だけで容易かつ安全に行える。また、起立姿勢での載置は、まわりへの放熱を促進して万一触れても問題のない温度まで早期に降温させられる利点もある。
【0029】
ここで、定置部203は平面である必要はなく、少なくとも3つ以上の定置点が転がり防止幅ないしは間隔A、転倒防止幅ないしは間隔Bを満足して、本体201を起立姿勢に安定させる向きの平面204上にあればよいが、この平面204が図3に示すように本体201を内面側に前傾した姿勢に安定させるものであることにより、着脱部の操作側である上面を斜め上向きな開放状態とすることがでる。このように、定置部203は平面である必要はなく、少なくとも3つ以上の定置点が転がり防止幅ないしは間隔A、転倒防止幅ないしは間隔Bを満足して、本体201を起立姿勢に安定させる向きの平面204上にあればよいが、この平面204が本体201を図3に示すように内面側に前傾した姿勢に安定させるものであることにより、着脱部12の操作側である上面を斜め上向きな開放状態とし、着脱部12を操作ないしは把持しての蓋体5の定置、定置状態からの持ち上げが楽にまる。同時に、定置部023は図2に定置部203が位置する三角形平面204を示すように本体201のほぼ上面側からほぼ内面側に亘って設けている。これにより、定置部203の転倒防止幅ないしは間隔Bを本体201の厚みのほぼ全域を利用して大きく確保することができる。さらに、蓋体5の前傾した起立載置姿勢で蒸気通路8の転倒時止水弁14は、蓋体5の内面側の定置部203bよりも内側に超えることはないが、内側寄りに位置して、蓋体5を前傾姿勢側に安定させやすい。そのためには、転倒時い止水弁14は、金属やセラミックなどの樹脂よりも比重の大きな材料にて形成するのが好適である。また、蒸気通路8の蓋体5上面にある蒸気出口47部内側の結露水は起立姿勢の蓋体5において、その傾斜により内側に伝い戻りやすく外部に洩れ出にくくなる。
【0030】
これを満足するのに、本実施の形態では、蓋体5が下板71とこれに上方から嵌合し弾性係合、またはおよび、ねじ止めした上板70とで中空の本体201を形成しているのを利用して、上板70の後部にやや後方に突出させて転がり防止幅Aを満足したライン状で、平面視した前後方向の中心線205に直交する左右方向に向いて形成した定置部203aと、下板71が上板70との間に形成している円形な周壁45がなしている本体201の前端外周部における起立姿勢での定置状態で接地点となる点状の定置部203bと、の2か所に分散して設けてある。このことは、本体201が器体4にプラグ嵌合される関係で、周壁45を小径に、上板70をそれよりも大径にして、器体4とのプラグ嵌合した境界部を上板7の周壁45からの張り出し部で覆う外装を図る関係を利用し、図3に示す蓋体5を前傾した起立姿勢で定置できる平面204の向きを上板7の後部にライン状の定置部203aを形成するだけで満足している。また、上板70は器体4の上端前部に形成した注ぎ口13を覆う注ぎ部蓋70aと、後部に向け前記ライン状の定置部203aを形成した突出部とを一体形成されたものとしてあり、蓋体5の前後の向きをユーザに直観されやすくできる。さらに、注ぎ部蓋70aの注ぎ口13との図1に示すような嵌り合いと、後方へ突出したライン状の定置部203aの器体4の開口4bの周壁後部に形成した切り欠き206との嵌り合いと、によって、蓋体5の器体4の開口4bへの嵌合向きの位置合わせ、および嵌合位置への嵌合位置への位置決めができる。もっとも、ライン状の定置部203aは上板70のフランジ部から後方に突出していることは必須にならず、フランジ部を平面視して直線状に切除した形とすることもできるし、転がり防止幅Aに代わる転がり防止間隔Aを満足して離間した2つの点状の定置部とすることもできる。それには、平面視して直線としたライン状の定置部203aの両端間を前部に向け凸の円弧状に窪ませるなどして形成することができる。定置部203a、203bを蓋田5の上面側と内面側とに分散して設ける蓋体5の前記径の差は、同一部材による段差によって実現することもできる。
【0031】
ここに、定置部203は、本体201の上面側にあって、本体201の左右への転がりを防止できる周方向に向いた転がり防止幅または間隔Aを満足した左右方向のライン状部、または、本体201の転がりを防止できる周方向に向いた転がり防止間隔Aを満足した左右方向の2つの点状部と、本体201の内面側の円形側端部での前記転がり防止幅ないしは転がり防止間隔Aの中点Cに本体201の上面側および内面側への転倒を防止できる転倒防止間隔Bを満足して本体201の軸線202方向に対向する部分である1つの点状部とすることができ、これにより、円形が通常形態である本体201の上面側に左右への転がり防止幅ないしは間隔Aを満足したライン状または2つの点状部を設けるだけで、本体201の内面側の円形側端部の周方向一部がなす1つの点状部203bとで本体201を起立姿勢に定置させる定置部203を実現することができる。結果、円形が通常形態である本体201の上面側に左右への転がり防止幅ないしは間隔Aを満足したライン状または1つの点状部の定置部203aを設けるだけで、本体201の周壁45がなす内面側の円形側端部の周方向一部がなす1つの点状部定置部203bとで本体201を起立姿勢に定置させる定置部203を、円形な通常形態をほとんど変えずに実現できる。この場合、定置点が3つ以上の点状に近いほど面の歪みなどの影響なく安定な定置ができ、転倒防止が容易になる。
【0032】
さらに、着脱部12は、この本体201の図1、図3に示す器体4へのプラグ嵌合位置にて開口4b内面の左右一対の図2、図3に示すような係合凹部65、65と図4、図5に示すばね64などによる付勢力により係合して本体201をプラグ嵌合位置に係止する一対の係合部材63、63と、この係合部材63、63による係止と係止解除の動作に連動して離間位置と離間位置から接近し合う接近位置との間で離接される左右一対の操作部としてのソサ片63a、63aとを備え、この操作片63a、63aが本体201の上面に形成された図2、図4、図4に示す操作窓74、74を通じ離間位置から接近位置に付勢の反力で把持操作されるように、両位置の間で操作窓74、74に臨んで位置して、本体201の係止、係止解除、着脱、持ち運びに供するようにしてある。
【0033】
これにより、本体201を器体4の開口4bにプラグ嵌合させると左右の係合部材63、63は付勢力によって器体4の開口4b内面の左右にある係合凹部65に弾性係合して本体201を閉じ状態に係止させられる。この状態で、本体201上面の操作窓74、74に臨んでいる左右2つの操作片63a、63aを操作窓74、74を通じ親指61と人差し指62とで摘まんで、図4に示す離間位置から図5に示す接近位置に前記付勢による反力に抗して把持操作すると、それに連動して係合部材63、63が係合凹部から抜け出て前記係止を解除するので、2つの操作片63a、63aを把持操作した状態のまま蓋体5を開口4bから取り外すことができるし、そのまま持ち運んで所望の位置に定置部203を定置し蓋体5を起立姿勢に置き去れる。
【0034】
また、本体201の内面側端部に装着されて器体4の湯沸かし域口部2bに圧接してそれとの間をシールするシリコンゴムなどからなるシール部材21を備え、このシール部材21は、本体201の内面側端部に装着された基部21aから、本体201の内面の外周
部の内側から同外周部に向け拡径しながら内側に延びた後縮径に転じて内側に向けさらに延びた横断面屈曲形状のシールリップ21bを持ち、このシールリップ21bで器体4の湯沸かし域口部2bに圧接してそれとの間をシールするようにしている。これにより、本体201の内面側端部に装着されるシール部材21は、図1に示すように器体4の開口4bにプラグ嵌合した最奥部で器体4の湯沸し域口部2bに密に圧接してシールし、本体201の内面から上面側への漏水を防止するので、内面およびシール部材21の内面以外の外回りが濡れるのを防止することができる。また、シール部材21は、横断面屈曲形状のシールリップ21bは、本体201の内面の外周の内側から内側に延びて外周側に途中に屈曲部を持った横断面屈曲形状による内周側に向いた溝をなし、蓋体5が起立姿勢に定置したとき内面を伝い落ちる結露水を受け止め貯め込めるので、伝い落ちる結露水が蓋体5の定置部203まわり付近を濡らすようなことを防止できる。ここで、点状定置部203bはシール部材21の外周の1点とすることもできる。
【0035】
ところで、本実施の形態の湯沸かし器は、保温制御機能を持たない、つまり湯沸かしてそのまま貯湯して使用に供するだけの、いわゆる電気ケトルの場合を例示しており、器体4にハンドル9を設けて手軽に取り扱えるハンディタイプの電気ケトルとしている。また、器体4は湯沸かし容器である内容器2を外装ケース3にて覆ってある。従って、通常のケトルのように使用者が湯沸かし容器に直接触れて熱い思いや火傷を負うようなことがないし、外装ケース3が樹脂製であることによる断熱性と、内容器2および外装ケース3間の空気断熱作用も手伝って、器体4外面の温度を抑えられるので、手を触れた時の熱的安全性が高まる。また、それらの断熱効果によって加熱効率も幾分高まる。
【0036】
また、蓋体5によって内容器2を閉じ、蓋体5に設けた注出路6を開閉機構7の常閉の弁84を開いたときだけ内容液が注出でき、湯沸かし時を含む非注出時に器体4が転倒しても注出路6を通じた内容液の流出は防げる。さらに、蒸気は蓋体5に設けた所定の蒸気通路8を通じて所定の経路で所定の安全位置、具体的には、開閉機構7の蓋体5外部からの操作部11や蓋体5の蓋体5外部からの着脱部12の外部操作片63aが設けられる位置から離れた、例えば、図1に示す蓋体5の後部にて放出するようにするので、器体4の注口13から無制限に放出される危険を抑えられるし、転倒時止水機能、つまり蒸気通路8に設けた転倒時止水弁14が、器体4の転倒に応動して蒸気通路8を塞ぐ位置に移動する止水機能により、器体4が転倒しても内容液が蒸気通路8を通じて流出するのを防止することができる。
【0037】
しかし、これだけでは器体4のかさ張らない形態を維持して、注出時の残量を少なくし、容積効率を高めるといったことが解消されない。これを解消するのに本実施の形態では、蓋体5に、内容器2内に開口した流出口15から内容液16を器体4の上端前部に向けた注出口17に向け注出させる、図1に示すような注出路6と、この注出路6を開閉する図1に示すような開閉機構7と、蒸気を外部に逃がす転倒時止水機能付きの図1に示すような蒸気通路8とを設けてある。併せ、内容器2は、図1に示すようなほぼストレートな胴部を有した円筒形状にて、蓋体5のシール部材21が器体4における所定のシール位置2aへの上方からの当接にて閉じられるようにし、流出口15は、蓋体5のシール部材21で囲われる領域において、内容器2の湯沸し域口部2b前部に対し、平面視した近傍に開口縁の前部が位置するように設けている。
【0038】
このように、内容器2がほぼストレートな胴部を持った円筒形状をなし、蓋体5のシール部材21が所定のシール位置2aへの上方からの当接にて閉じられるものであると、内容器2の口部2bは、器体4の開口4b、注ぎ口13を形成している肩部4aや蓋体5側との内嵌合や内側への回り込みを必須とせず、蓋体5のシール部材21で囲われる領域において、内容器2の湯沸し域口部2bの前部に対し、平面視した近傍位置に注出路6の流出口15の開口縁の前部が位置することにより、相互間を小さくしやすく、小さくした分
だけ、内容液16を注出する際の器体4を傾け角度に対する残量を先行例よりも少なくすることができる。これにより、器体4を水平まで傾けたときの残量は格段に少なくなる。また、内容器2の上端部の径、つまり内径が胴部径と同一または、ほぼ同等となり、蓋体5のシール部材21が内容器2の上端部に器体4の肩部4aに受けられるように形成した外向きの所定のシール位置となるフランジ2aへの上方からの当接にて内容器2を閉じる蓋体5と共に、器体4の胴部径内で大きくなり、蓋体5に注出路6、開閉機構7、蒸気通路8をそれらに必要な機能を満足して、集約配置しやすくなる。
【0039】
これらの結果、ほぼストレートな胴部を持った内容器2が、蓋体5のシール部材21のフランジ2aへの上方からの当接にて閉じられ、蓋体5のシール部材21で囲われる領域において、内容器2の湯沸し域口部2bの前部および注出路6の流出口15の開口縁の前部相互間を直近させやすく、器体4の傾け角度に対する残量が少なくなり、器体4の小さな傾け角度で内容液を効率よく流出させられ使用しやすいものとなる。また、内容器2の胴部径とほぼ同等となって容積効率を高められる大径の上端部にシール部材21を当接する蓋体5が器体4のかさ張りなしに大きくなって、上下の重なりなしにも、つまりかさ張りなしにも、蓋体5に注出路6、開閉機構7、蒸気通路8をそれらに必要な機能を満足して集約配置することを満足して、器体4の胴部まわりを先行例よりもスリム化できる。
【0040】
しかも、シール位置が外向きに折曲した外向きフランジ2aであることにより、上方から当接するシール部材21との広い当接面を提供することになり、シール性をさらに高められるので、シール部材21のシール性確保のために上端部2a内側に張り出してシールするようなシール構造を不要にするのに好適である。また、外向きフランジ2aは図に示すように肩部4aの開口4bの下部の段部にシールパッキン22を介し下方から支持することで、器体4側の内容器2との内嵌合なしに双方を接続するのに好適である。
【0041】
この場合、図1に示すように、器体4の肩部4aと胴部4a1とを樹脂で一体成形した本体部41の下端に、樹脂成形した底部42を下方から当てがい、底部42と内容器2の底部とをねじ23により連結することにより、器体4の組み立てが簡単に行えるし、メンテナンスも可能である。もっとも、ヒータ1は内容器2の底部に固定しておくのが密着性など加熱効率の面で有利となり、ヒータ1への内部給電機器部24は底部42の側に固定しておくのが外部給電機器部25との接続が、図示するもののように直接の嵌合により行えるなど便利である。しかし、本体部41と底部42との連結に先立って、ヒータ1側と内部給電機器部24とは予め結線を終えておく必要があり、かつ結線は非連結な本体部41、底部42間での結線作業、本体部41、底部42双方を分離しての結線解除や部品の交換といった作業を可能とする引き回し長さが必要である。
【0042】
さらに、本体部41と底部42との上下方向の連結構造は、その連結時に、図示するような本体部41の下向きに開放した保持穴41aと底部42の上向きに開放した保持穴42aとの間に、ハンドル9を挟み込んで組み付けることができ、器体4にハンドル9を設けることが容易になるし、取り外しによる単独でのメンテナンスも可能である。
【0043】
蒸気通路8からの蒸気と触れて沸騰を検知しヒータ1をオフする蒸気検知部26としての蒸気センサ26を設けて、複雑な制御や回路を必要としないで沸騰を検知してヒータをオフする安全を図るのに、器体4の側に蒸気センサ26を設けて、蓋体5の着脱に電気的な結線が関係しないようにするが、蓋体5の蒸気通路8から蒸気の一部を器体4側の蒸気導入路36の蒸気導入路31に導いて蒸気センサ26に触れさせるため、蓋体5を器体4の上端の開口4bにその軸線上で上方からプラグ嵌合して着脱するプラグ嵌合域で、蒸気通路8と蒸気導入路36とを、蓋体5の接続口8cと器体4の開口4b内面の蒸気導入口4d2との間でそれらの一方に設けるシール部材92を介し蒸気の漏れのないように接続することになる。
【0044】
ハンドル9はその取り付け基部9aを含めほぼ矩形のループをなす中空に形成してあり、その上部に蒸気と触れて沸騰を検知し、内部給電機器24からヒータ1への給電路を開成して給電を断つ、蒸気センサ26を内蔵し、これが、給電のオン、オフスイッチを兼用するようにしている。これに関連して、ハンドル9の上部には、器体4の蒸気通路8から蒸気センサ26のバイメタル26a部に蒸気を導入して接触させる蒸気導入路31を、バイメタル26aに触れた蒸気を器体4側にUターンさせ、Uターンした蒸気や流れ戻る結露水は、蒸気導入路31から取り付け基部9a内に形成した復路32にてハンドル9の下部に導き、そこにある出口32aから外部に流出させるようにしている。
【0045】
ここで、開閉機構7は図1に示すように、蓋体5の器体4の上端前部に向け内容液を注出させる注出口17の後側近傍に位置するようにしてある。このように、開閉機構7が蓋体5の注出口17の後側近傍に位置することで、この開閉機構7によって開閉される注出路6の流出口15から注出口17までの全体が、蓋体5の前部側に寄ってスペース少なく設置できるし、開閉機構7の操作部11を注出口17ないしはそれが繋がる注口13の近傍として双方の視覚的な関連性を高められる。つまり、開閉機構7が蓋体5の注出口17の後側近傍に位置することで、開閉機構7によって開閉される注出路6の、流出口15から注出口17までの全体が、蓋体5の前部側に寄ってスペース少なく設置でき、他の必要装備の設置に有利になるし、開閉機構7の操作部11が注出口17ないしはそれが図示例のように繋がった注口13に近くなる双方の高い視覚的関連性にて、誤操作なく使用しやすいものとなる。
【0046】
また、蒸気通路8は、開閉機構7とは反対の蓋体5後部側に設けてあることにより、蓋体5の後部寄りにスペース少なく設置できるし、蒸気を外部に放出するにも操作部11から十分に遠ざけられる。このように、蒸気通路8が、人が頻繁に操作部11で外部操作する開閉機構7側とは反対の蓋体5の後部側に位置し、蓋体5を大きくできることも手伝って、蒸気を外部に放出するにも操作部11から十分に遠ざけられ、蒸気に対する使用者の安全が図れる。蓋体5の流出口15が開口した底板71の下側に金属製の内蓋43を図1、図4に示すようにねじ44などにより取り付けて、樹脂製の蓋体5の熱的保護を行っているのを利用して、蓋体5の周壁45まわりに設けるシール部材21を蓋体5の外周と内蓋43の外周との間で挟持しているのに併せ、蓋体5の底板71の後部に内蓋43との間に弁室46を形成して転倒時止水弁14を収容している。
【0047】
また、着脱部12は、図1に示すように、蓋体5の開閉機構7と蒸気通路8との間に設けてある。これにより、蓋体5の着脱部12が、蓋体5の前後にある開閉機構7と蒸気通路8との間のデッドスペース52を利用して設置でき、蓋体5の前後方向での中央位置にて、蓋体5を器体4の側に位置および係止力に偏りなく係止しやすく、また安定に係止させられる。また、係止解除を伴い蓋体5を着脱するにも重量に偏りなく蓋体5を容易に取り扱える。
【0048】
具体的には、蓋体5は、器体4の肩部4aの開口4bの下部の段部4cから上に形成した図1に示すような開口4bの凹陥部に蓋体5をある程度の遊びを持った嵌合を伴い、着脱部12によって着脱できるようにしている。前記遊びを持った嵌合は、蓋体5および凹陥部双方の樹脂成形時の抜き勾配程度の緩い傾斜をなして、軸線方向に嵌合し、嵌合を外す、いわゆるプラグ嵌合形式に着脱するものとしている。
【0049】
このように蓋体5を着脱するのに着脱部12は、図4、図5に示すように、蓋体5に露出して、親指61と、これに対向する人差し指またはおよび薬指62とを個別に掛けられるようにした外向きの操作片63a、63aを有した左右一対の係合部材63を蓋体5内に設け、これら係合部材63間に働かせたばね64によって各係合部材63の係合片63
bが蓋体5の周壁45の直径線上左右2箇所に設けた窓45aから常時突出するようにしてある。これに対向して、器体4の肩部4aの開口4bが形成する凹陥部の周面の直径線上左右2箇所に前記突出した係合片63bが係合する係止凹部65を図2、図4に示すように形成してある。
【0050】
これによって、着脱部12は、その左右一対の操作片63aに指を掛けると、ばね64による反発力によって、係合部材63をばね64に抗して後退させるようなことなく受け止められるので、それを内蔵している蓋体5を容易かつ安定して把持でき、自由に取り扱える。従って、蓋体5は着脱部12によって把持し図1、図2に示すように、器体4の凹陥部4dに上方から軸線方向にてプラグ嵌合することができる。このプラグ嵌合の途中着脱部12は、蓋体5の周壁45から突出している係合片63bが凹陥部4dの開口縁に上方から当接する。しかし、係合片63bはその突出部の下面が斜面63b1となっていることによって、凹陥部4dの開口縁により後退側への押動力を受け、ばね64に抗し図5に示すように後退させられる。このため、蓋体5は特別な操作なしに軽い押し込み力を与えるだけで、開口4bがなす凹陥部へさらにプラグ嵌合していける。プラグ嵌合の最終段階蓋体5は、そのシール部材21のシールリップ21bを器体4側の内容器2の上端のフランジ2aに所定量圧接させて、内容器2を図1に示すように閉じる。この閉じ状態になるのと同時に、係合部材63の係合片63bは凹陥部4d内面の係止凹部65と図4に仮想線で示すように対向し合って凹陥部4d内面による押動から解放されるので、ばね64によって周壁45から再度突出させられて係止凹部65に係合する。これによって、係合片63bは平坦な上面が係止凹部65の同じく平坦な下面に引っ掛かり、蓋体5が上方に抜き出されるのを阻止するし、シール部材21の反発力によって前記係合部間を上下方向の圧接状態に保てる。つまり、蓋体5を前記の閉じ状態に係止し上下方向に安定させられる。もっとも、蓋体5の凹陥部4dへのプラグ嵌合は、一対の係合部材63の手操作による後退を伴い行うこともできる。
【0051】
ここで、係止凹部65は、係合片63bの受け入れ量をばね64に適度な圧縮状態を与える押し戻し位置に受け止めるように設計しておくことで、凹陥部4dに遊びを持ってプラグ嵌合されている蓋体5を、ばね64のばね力が左右バランスする中立位置に保持する左右の求心機能を発揮するので、蓋体5を左右方向にその中立位置、軸心位置に安定させられる。これに関連して、器体4の肩部4aに形成した注口13は、図1、図2に示すようにその基部に開口4bに向け低くなる段差部4d1を形成して、蓋体5の注出口17を受け入れ繋がるようにしている。これにより、蓋体5の注出路6を通じ注出する内容液は、注出口17から注口13に流れて注ぎ出されることになり、注出口17から直接注出する場合に比し、注出口17が小さくて済み、蓋体5の単体での取り扱いが容易になるし、注口13との接続によって注出する内容液を器体4の胴部外面から必要量離れた位置から注ぎ出せる。併せ、注出口17の段差部4d1との嵌り合いは、蓋体5を開口4bに上方からプラグ嵌合する際の、軸線202まわりの位置決め機能を発揮するとともに、プラグ嵌合終了時点では、蓋体5を軸線まわりに回り止めする機能も発揮する。従って、係合片63bと係止凹部65との係合に蓋体5の軸線まわりに係脱を容易にするための適度な遊びを持ったものとして、蓋体5が前記軸線まわりにガタつくようなことを防止することができる。
【0052】
蓋体5はさらに、図1、図4、図5に示すように、上板70に既述の蒸気放出口47に加え、開閉機構7の操作部11を露出させる操作窓73、着脱部12の操作片63aを突出させて着脱操作を行わせる着脱操作凹部74、および前記注出口17および注口13の上部に延びる注部蓋70a、定置部203aを一体成形している。下板71は、既述の弁室46に加え、下板71、上板70の間に挟み込んだ中間板75との間で、を形成するのに併せ、中間板75、および中間板75と上板70との間に挟み込んだ図1に示す補助中間板76を含んで、液溜まり8aを持った蒸気通路8を形成すると共に、注出路6の後部
に隣接して、内容器2内を蒸気通路8の液溜まり8aに連通させて、内容液16の注出時に蒸気放出口47から内容器2内に外気を吸入して、内容器2内が負圧にならず内容液16の注出をスムーズに行わせる吸気路77を形成している。
【0053】
ここで、着脱部12は、係合部材63が自身の窓63cが図4、図5に示すように上板70の下板71との図6に示すような連結用のボス70aに嵌り合った状態で、上下板70、71の間に挟み込まれ、補助中間板76が形成する液溜まり8aの上方への突出形状によるガイド部8bと、これに対向するように上板70の下面に突設したガイド凸部70bとによる左右からの案内もあってスムーズに進退されて、蓋体5の係止、係止解除を伴う着脱が円滑に行われるようにしている。もっとも、係合部材63の前部側の案内は、ガイド凸部70bに代わる他の部分、例えば他の構造的な突出を利用したものであってもよく、場合により、液溜まり8aによる上方への突出部であってもよい。
【0054】
また、開閉機構7は、中間板75の流出口15に同心な位置に形成した図1に示すような摺動穴83に、弁軸84aを上下2箇所のOリングタイプのシール部材85を介し上下摺動できるように支持され、弁軸84aの下端弁体84bによって流出口15をその下方からシール部材86を介し離接して開閉する弁84を備え、この弁84の弁軸84aに開閉用の可動カム部材87を回転可能に連結してばね88により上動付勢し、この可動カム部材87の上下摺動を案内するように上板70の下面に形成したガイド筒70cの内周に、その円周方向に弁84の開き保持と、開き保持解除とを切り替えていくように複数組形成した固定カム91を形成し、これに可動カム部材87の外周に放射状に複数突出した可動カム87aを係合させて、可動カム部材87をばね88に抗し押し下げる都度、弁84を開き状態として開き保持位置に係止される回転位置と、開き保持を解除して上動復帰ができ弁84が閉じられるようにする回転位置とに順次切り替えることを繰り返すようになっている。このような構成は、ボールペンの芯を突出した状態と後退した格納状態とに切り替えるいわゆるノック機構などとして古くから知られるし、実開昭61−160831号公報などでも知られ、特別な特徴を必要とするものでもないので、ここでは詳細な図示および説明は省略する。
【0055】
特に、操作部11は図1に示すように可動カム部材87に上方から相対回動できるように嵌合したキャップ形状のものとして、外周係合片11aが図1に示すように操作窓73の開口縁に内側から係合して抜け止めされるだけのものとしてあり、可動カム部材87の押し下げはするが、その時々での可動カム部材87の弧回転には影響しないし、影響されないようにしている。また、弁84もその弁体84b上に一体に突出する図示しないガイドピンと下板71のガイド穴との嵌り合いで弁84の回転を防止し、可動カム部材87の回転に影響しないし、影響されないようにしている。弁体84bに設けたシール部材86は、流出口15に隣接する吸気路77の下端開口に対向して離接し、弁84が閉じている間、つまり注出路6を閉じている非注出時の間閉じ、内容器2が所定の蒸気通路8以外のルートで放出されないようにしている。
【0056】
最後に、器体4は図1に示すように、その底板42の下面に定置面101を有し、この定置面101によって給電台102の上に設置して、そこに設けられた外部給電器具25に内部給電器具24を接続して、給電台102を接続した家庭用電源などから給電され湯沸かしできるようにしているが、湯沸かし後は給電台102から取り外してハンドル9により持ち運び、必要位置に単独で定置し、その場で繰り返し注出に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、湯沸かし器において、その蓋体を上面からの把持操作で着脱操作するタイプのものとするのに、着脱部が内側にある上面および結露水が付着する内面共に開放される
起立姿勢での定置できて、取り扱い易く、取り扱い上の濡れや衛生面での問題も回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態に係る蓋体を採用した湯沸かし器の断面図である。
【図2】同湯沸かし器の上部と取り外した蓋体とを示す外観斜視図である。
【図3】同蓋体を取り外し起立姿勢に定置した状態を示す断面図である。
【図4】同蓋体の着脱部を係合部材が突出する非操作状態で示す断面図である。
【図5】同蓋体の着脱部を係合部材を突出位置から後退させた操作状態で示す断面図である。
【図6】同蓋体の着脱部の上板への装備状体を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ヒータ
2 内容器
2a フランジ
3 外装ケース
4 器体
4a 肩部
4b 開口
5 蓋体
6 注出路
8 蒸気通路
11 操作部
12 着脱部
13 注口
14 転倒時止水弁
15 流出口
16 内容液
17 注出口
21 シール部材
21a 装着基部
21b シールリップ
45 周壁
63 係合部材
63a 操作片
63b 係合片
64 ばね
70 上板
71 下板
74 操作窓
84 弁
201 本体
202 軸線
203、203a、203b 定置部
204 平面
A 転がり防止幅または間隔
B 転倒防止幅または間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータにより湯沸かしを行う器体の上端の凹陥部にほぼ軸線方向に着脱できるようにプラグ嵌合されて湯沸かし域口部を上方から閉じる円盤型の本体を備え、この本体にその上面より内側で上方から操作またはおよび把持して器体に対し着脱する着脱部を持った湯沸かし器の蓋体であって、
本体の外周まわりの周方向一部に、面状部、ライン状部、点状部の少なくとも1つを含んでほぼ同一平面に位置して、本体をその上面側および内面側への転倒および左右への転がりを防止して起立姿勢に定置できる定置部を形成したことを特徴とする湯沸かし器の蓋体。
【請求項2】
定置部は、本体を内面側に前傾した起立姿勢に安定させる向きの平面上にある請求項1に記載の湯沸かし器の蓋体。
【請求項3】
定置部は、本体のほぼ上面側からほぼ内面側に亘って設けられている請求項2に記載の湯沸かし器の蓋体。
【請求項4】
定置部は、本体の上面側にあって、本体の左右への転がりを防止できる周方向に向いた転がり防止幅を満足した左右方向のライン状部、または、本体の転がりを防止できる周方向に向いた転がり防止間隔を満足した左右方向の2つの点状部と、本体の内面側の円形側端部での前記転がり防止幅ないしは転がり防止間隔の中点に本体の上面側および内面側への転倒を防止できる転倒防止間隔を満足して本体の軸線方向に対向する部分である1つの点状部と、である請求項1〜3のいずれか1項に記載の湯沸かし器の蓋体。
【請求項5】
着脱部は、この本体のプラグ嵌合位置にて凹陥部内面の左右一対の係合凹部と付勢力により係合して本体をプラグ嵌合位置に係止する一対の係合部材と、この係合部材による係止と係止解除の動作に連動して離間位置と離間位置から接近し合う接近位置との間で離接される左右一対の操作部とを備え、この操作部が、本体の上面に形成された操作窓を通じ離間位置から接近位置に付勢の反力で把持操作されるように、両位置の間で操作窓に臨んで位置して、本体の係止、係止解除、着脱、持ち運びに供するようにした着脱操作部と、を備えている請求項1〜4のいずれか1項に記載の湯沸かし器の蓋体。
【請求項6】
本体の内面側端部に装着されて器体の湯沸かし域口部に圧接してそれとの間をシールするシール部材を備え、このシール部材は、本体の内面側端部に装着された基部から、本体の内面の外周部の内側から同外周部に向け拡径しながら内側に延びた後縮径に転じて内側に向けさらに延びた横断面屈曲形状のシールリップを持ち、このシールリップで器体の湯沸かし域口部との間をシールするようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載の湯沸かし器の蓋体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate