説明

湯沸器

【課題】部分不燃を早く且つ正確に検出することが可能な湯沸器を提供することを目的とする。
【解決手段】湯沸器Aは、燃焼筺53内に、バーナユニット4と、バーナユニット4の上方の熱交換器5とを配置する。バーナユニット4は、複数の炎口45aが上面に列設された2つの単位バーナ45を、炎口45aの列設方向たるX軸方向に並設したバーナ組41を有し、両単位バーナ45の下部に互いにX軸方向に対向して開口する燃料ガス供給口45bが形成され、両単位バーナ45の燃料ガス供給口45b間にノズルホルダ46が配置され、ノズルホルダ46から両単位バーナ45の燃料ガス供給口45bに燃料ガスが供給されるようにしている。ノズルホルダ46の上方に、両単位バーナ45の一方の単位バーナ45の炎口45aに臨む第1熱電対TC1と、他方の単位バーナ45の炎口に臨む第1熱電対TC1とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯沸器に関し、特に、部分不燃を検出することが可能な湯沸器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、湯沸器は、燃焼筺内に、バーナユニットと、該バーナユニットの上方の熱交換器とを配置している。このバーナユニットは、複数の炎口が上面に列設された2つの単位バーナを、炎口の列設方向に並設したバーナ組を有し、両単位バーナの下部に互いに対向して開口する燃料ガス供給口が形成され、両単位バーナの燃料ガス供給口間にノズルホルダが配置され、該ノズルホルダから両単位バーナの燃料ガス供給口に燃料ガスが供給されるようにしている。そして、一般的に、バーナ組は、炎口の列設方向と直交する方向に隙間を存して複数並設されている。
【0003】
このものでは、バーナユニットが燃料ガスを燃焼させて生成した燃焼排気によって、熱交換器に供給される水を加熱している。
【0004】
しかし、室内の換気が不十分で酸素濃度が低下した場合は、火炎が炎口から離反するリフト現象が生じる。そこで、このような不燃(不完全燃焼)を検出するために、炎口に形成される火炎の温度に応じた起電力を出力する第1の熱電対を設け、該第1の熱電対が出力した起電力が所定の閾値に達しない場合、湯沸器を停止させている。
【0005】
一方、熱交換器のフィンが煤等によって目詰まりした場合、燃焼筺が閉塞して、その上端側から燃焼排気が排出され難くなるので、燃焼筺の側壁に形成された開口から燃焼排気が溢れ出る。そこで、このような不燃を検出するために、この開口部の雰囲気温度に応じた起電力を出力する第2の熱電対を設け、該第2の熱電対が出力した起電力が所定の閾値を超えた場合、湯沸器を停止させている。特許文献1には、燃焼筺の側壁に形成された開口、及び該開口に対応する第2の熱電対の組を複数分散して設け、局所的な不燃を検出できるようにすることが開示されている。
【特許文献1】特開平7−49119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記第1の熱電対は、1つしか設けられていない。そのため、蜘蛛の巣やゴキブリの卵などによって特定の単位バーナの内部閉塞が生じたとき、第1の熱電対が当該単位バーナの炎口に対応して設けられていない場合、第2の熱電対によって燃焼筺の閉塞を検出するまで、不燃が継続する。このように、特定の単位バーナの不燃(部分不燃)を、燃焼筺の閉塞を介して検出している。従って、部分不燃を早く且つ正確に検出することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、部分不燃を早く且つ正確に検出することが可能な湯沸器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、燃焼筺内に、バーナユニットと、該バーナユニットの上方の熱交換器とを配置した湯沸器であって、前記バーナユニットは、複数の炎口が上面に列設された2つの単位バーナを、前記炎口の列設方向たるX軸方向に並設したバーナ組を有し、前記両単位バーナの下部に互いに前記X軸方向に対向して開口する燃料ガス供給口が形成され、前記両単位バーナの燃料ガス供給口間にノズルホルダが配置され、該ノズルホルダから前記両単位バーナの燃料ガス供給口に燃料ガスが供給されるようにしたものにおいて、前記ノズルホルダの上方に、前記両単位バーナの一方の単位バーナの炎口に臨む熱電対と、他方の単位バーナの炎口に臨む熱電対とが設けられることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、単位バーナ毎に熱電対が設けられるので、単位バーナ毎にリフト現象の発生を検出することが可能となる。従って、単位バーナ毎に不燃か否かを正確に検出することができる。そのため、部分不燃を早く且つ正確に検出することが可能となる。また、不燃の単位バーナを特定することも容易に可能となる。また、単位バーナの内部閉塞率が低い部分不燃に、酸欠や埃などが要因として絡む複合不燃も検出することが可能となる。
【0010】
更に、熱電対はノズルホルダの上方に設けられるので、2次空気の流れを妨げることが少ない。従って、単位バーナの燃焼を良好に維持することが可能となる。また、ノズルホルダの上方は外乱の影響を受け難いので、熱電対の起電力を安定化することが可能となる。
【0011】
また、本発明において、前記バーナ組が、前記X軸方向と直交する方向(Z軸方向)に隙間を存して複数並設されることが好ましい。
【0012】
この場合、複数並設されるバーナ組間の隙間が2次空気通路となるので、単位バーナの燃焼を良好とすることが可能となる。
【0013】
また、本発明において、前記ノズルホルダの上方に位置し、前記バーナ組が固定される固定板に、前記両熱電対が保持されることが好ましい。
【0014】
この場合、熱電対の単位バーナへの位置決めを固定板を介して行うので、単位バーナの炎口に形成される火炎の温度を検出するに適した位置に熱電対を確実に保持することが可能となる。
【0015】
また、本発明において、前記バーナ組を点火してから所定時間経過後に前記各熱電対が出力している起電力を検出し、該検出した起電力に第1の閾値未満のものがあった場合、前記バーナ組を消火することが好ましい。
【0016】
この場合、何れか1つの単体バーナの炎口に形成される火炎の温度が、第1の閾値に対応する所定の温度未満になった場合、バーナ組を消火する。従って、部分不燃の場合、確実に消火することができる。なお、複数のバーナ組がある場合、全てのバーナ組を消火することが好ましい。また、バーナ組点火後の短い立ち上り時間内に、部分不燃を検出するので、早く消火することが可能となる。更に、バーナ組が点火してから所定時間経過後にのみ熱電対が出力している起電力を検出するので、定期的に起電力を検出する場合に比べて、風などによる部分不燃の誤検出を低減することが可能となる。
【0017】
また、本発明において、前記バーナ組を点火してから所定時間経過後に前記各熱電対が出力している起電力を検出し、該検出した起電力の差が第2の閾値以上であった場合、前記バーナ組を消火することが好ましい。
【0018】
この場合、熱電対が出力する起電力の差によって、部分不燃を検出してバーナ組を消火する。従って、熱電対の経年劣化がある場合であっても、部分不燃を正確に検出することが可能となる。また、バーナ組点火後の短い立ち上り時間内に、部分不燃を検出するので、早く消火することが可能となる。更に、バーナ組が点火してから所定時間経過後にのみ熱電対が出力している起電力を検出するので、定期的に起電力を検出する場合に比べて、風などによる部分不燃の誤検出を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る湯沸器を、図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態に係る湯沸器Aは、図1に概略の構成を示すように、水道管に繋がる給水管1、下流端に出湯ヘッド21が設けられた出湯管2、ガス供給管3、燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼させて燃焼排気を生成するバーナユニット4、給水管1及び出湯管2に連通した熱交換器5、及び湯沸器Aの作動を制御するコントローラ6を備えている。
【0021】
給水管1は、熱交換器5に水を供給する。給水管1には、電動弁11、水ガバナ弁12、及び水量調節弁13が設けられている。電動弁11は、モータ14により駆動されて全開位置から全閉位置の間で開度を変更する。水ガバナ弁12は、水圧を一定にする。水量調節弁13は、温調つまみ15に連結され、その回転に応じて熱交換器3に供給する水量を調整する。出湯管2は、熱交換器5から湯を導出して出湯ヘッド21から吐出する。
【0022】
ガス供給管3は、バーナユニット4に燃料ガスを供給する。ガス供給管3には、電磁開閉弁31、水圧応動弁32、ガスガバナ弁33、及びガス量調節弁34が備えられている。水圧応動弁32は、水ガバナ弁33と機械的に連結されており、水ガバナ弁33に通水されるとそれに連動するダイヤフラム機構により開弁する。また、水圧応動弁32には、水流スイッチ35が接続されている。ガス量調節弁34は、温調つまみ15に連結され、その回転に応じてバーナユニット4へ供給する燃料ガスの流量を調整する。
【0023】
図2から図5を参照して、バーナユニット4は、複数のバーナ組41、バーナ固定板(固定板)42、バーナフランジ板43、及びノズルホルダ固定板44を主構成要素として一体化されており、後述する燃焼筺53(図1参照)に固定されている。
【0024】
バーナ組41は、2つの単位バーナ45が一体化したものであり、隆起部を有する一対の金属板を重合して形成されている。単位バーナ45は、その上面に横方向であるX方向に列設された複数の炎口45aと、その下部にて互いにX軸方向に対向して開口する燃料ガス供給口45bと、炎口45aと燃料ガス供給口45bとを連通する大略横U字状の混合ガス通路45cとを備えた偏平バーナである。バーナ組41は、列設された炎口45aがその列設方向であるX方向に隣り合って並ぶように、2つの単位バーナ45を連結するように構成されている。そして、燃料ガス供給口45bが所定の間隔を設け対向して位置するように、X軸方向視矩形状の開口41aが形成されている。
【0025】
バーナ固定板42は、炎口45aの列設方向に直角な前後方向であるY軸方向に、所定の隙間を存して起立状態で並設されるように、複数のバーナ組41を固定するためのものである。バーナ組41の間の隙間が、2次空気通路となる。
【0026】
バーナフランジ板43は、バーナユニット4を燃焼筺53に固定するためのものであり、バーナ固定板42が固定されている。バーナフランジ板43は、バーナ組41に形成された開口41aの形状に合わせた略コの字状の断面を有してY軸方向に延びるように形成されたブラケットである。バーナフランジ板43は、その上面壁に穴43aが形成されており、バーナ組41に形成された開口41aの上端に形成された突起41bが、この穴43aに差し込まれることにより、バーナ組41がバーナフランジ板43に固定されている。また、バーナフランジ板43の上面壁には、2次空気通路となる開口43bが形成されている。バーナフランジ板43は、更に、その下端部がそれぞれ外方(左右方向)に開いたフランジ43cを有している。このフランジ43cに形成された貫通孔43dを介してネジ(図示せず)を用いて、バーナフランジ板43が燃焼筺53に固定される。また、フランジ43cには、2次空気通路となる開口43eが形成されている。
【0027】
ノズルホルダ固定板44は、ノズルホルダ46(図1参照)をバーナユニット4に対して装着するためのブラケットであり、ネジ44aによってバーナフランジ板43に固定されている。ノズルホルダ46は、燃料ガスを噴出するノズルを複数保持するものであり、ガス供給管3に接続される燃料ガス通路が内部に形成されている。ノズルホルダ46は、各ノズルの先端がそれぞれ単位バーナ45の燃料ガス供給口45bから所定の長さだけ混合管部45cの内部に進入するように位置決めされて、バーナユニット4に装着される。
バーナユニット4は、更に、図1及び図2を参照して、点火プラグ47、複数の第1熱電対TC1、及び複数のガイド板48を備えている。
【0028】
点火プラグ47は、詳細は図示しないが、何れか1つの単位バーナ45に固定されて、その先端が炎口45aの近傍に位置するように設けられている。点火プラグ47は、イグナイタ49から高電圧を印加されることによって火花放電する。
【0029】
第1熱電対TC1は、各単位バーナ45毎に1つずつ設けられており、その先端の感熱部が単位バーナ45の炎口45aの1つに臨む位置に配設されている。第1熱電対TC1は、具体的には、バーナ組41を構成する単位バーナ45の炎口45aのうち最も他の単位バーナ45に近接する炎口45aに臨む位置に配設されている。第1熱電対TC1は、炎口45aに形成される炎で加熱されて、起電力を発生する。
【0030】
そして、全ての第1熱電対TC1は、バーナ固定板42に保持されている。第1熱電対TC1の単位バーナ45への位置決めがバーナ固定板42を介して行われるので、単位バーナ45の炎口45aに形成される火炎の温度を検出するに適した位置に第1熱電対TC1を確実に位置させることができる。更に、各第1熱電対TC1の下端部にそれぞれ接続されたハーネスは、バーナ固定板42上面に沿って延び、1本にまとめられている。
【0031】
ガイド板48は、バーナ組41の中央部に位置する2つの第1熱電対TC1が臨む炎口45aの上方及び前後方向の第1熱電対TC1が設けられていない方を遮蔽するように、各バーナ組41の中央部に1つずつ設けられている。ガイド板48を設けることによって、第1熱電対TC1の感熱部が炎口45aに形成される火炎の温度の高い部分に晒される。すなわち、第1熱電対TC1は、ガイド板48によって間接的に、炎口45aに臨んでいる。これにより、第1熱電対TC1の起電力が点火後に素早く上昇するので、燃焼の状態を立ち上がり時に正確に検出することができる。
【0032】
図1を参照して、熱交換器5は、給水管1から供給された水にバーナユニット4が生成した燃焼排気中の顕熱を回収させるものであり、蛇行線状に形成された吸熱管51と、その吸熱管51に対して交差するように並ぶ複数のフィン52を有している。吸熱管52は、その入口側が給水管1に、その出口側が出湯管2に、それぞれ接続されている。熱交換器5は、燃焼筺53の上端の排気側に収容されている。燃焼筺53は、上下に開放する矩形筒状体であり、その下端の吸気側にバーナユニット4が配設されている。バーナユニット4が生成した燃焼排気が、燃焼筺53内を上方に移動し、給水管1から供給された水が、吸熱管51にて燃焼排気中の顕熱を回収して湯となる。
【0033】
燃焼筺53の側壁には、開口53aが形成されている。第2熱電対TC2は、その先端の感熱部が開口53aに臨む位置に配設されている。燃焼筺53内の燃焼排気が開口53aから漏洩した場合、第2熱電対TC2は、その感熱部が高温の燃焼排気に晒されて表面温度が上昇して、起電力を発生する。
【0034】
コントローラ6は、マイクロコンピュータ等により構成された電子ユニットであり、電池7から供給される電力により作動する。コントローラ6には、第1熱電対TC1、第2熱電対TC2、及び水流スイッチ35の検出信号と、運転スイッチ8の操作信号が入力される。また、コントローラ6から出力される制御信号により、イグナイタ49、電動弁11のモータ14、及び電磁開閉弁31の作動が制御される。
【0035】
コントローラ6は、バーナユニット4を燃焼させて、給水管1から熱交換器5を介して出湯管2に供給される水を加熱する湯沸かし運転を実行する運転制御手段61と、バーナユニット4の部分不燃を検出する部分不燃検出手段62と、タイマ63とを備え、報知手段9が接続されている。
【0036】
運転制御手段61は、湯沸かし運転が停止中(電動弁11が閉弁して、バーナユニット4が消火した状態)であるときに、使用者の操作により運転スイッチ8がONされると(運転スイッチ8の入力があると)作動を開始し、電動弁11を全開する。そして、電動弁11を全開とすることによって、水道から給水管1への給水が開始され、水圧応動弁12が開弁して水流スイッチ35がOFFからONに切り換わる。
【0037】
運転制御手段61は、給水管1への給水開始を検出したときに、イグナイタ49に通電して火花放電を生じさせた状態で、電磁開閉弁31を開弁することによりバーナユニット4の点火処理を行う。また、運転制御手段61は、第1熱電対TC1の起電力TV1によりバーナユニット4の点火を検知し、その後は、第2熱電対TC2の起電力TV2によりバーナユニットTC2の燃焼状態を監視して、バーナユニット4の失火や燃焼異常を検出したときに電磁開閉弁31を閉弁する。
【0038】
また、運転制御手段61は、湯沸かし運転中に使用者の操作により運転スイッチ8が再びONされると(運転スイッチ8の入力があると)、OFFからONとなる際のエッジを検出して湯沸かし運転を停止させる(電動弁11を閉弁させ、バーナユニット4を消火させる)。
【0039】
部分不燃検出手段62は、運転制御手段61によりイグナイタ49に通電した後、立ち上り期の所定の時間T経過後に、バーナユニット4が部分不燃であるか否かを検出する。室内の換気が不十分で燃焼筺53内の酸素濃度が低下した場合や、蜘蛛の巣やゴキブリの卵などによって単位バーナ45の混合管部45cが閉塞された場合には、炎口45aから離反するリフト現象が生じる。そのため、第1熱電対TC1の感熱部が、火炎の高温部から離れ、その表面温度は完全燃焼時に比べて低いものとなり、第1熱電対TC1の起電力TV1が低いものとなる。そこで、完全燃焼か否かを判定するために所定の閾値(第1の閾値)TV0を設定する。
【0040】
そして、部分不燃検出手段62は、全ての第1熱電対TC1の起電力TV1が所定の閾値TV0以上であった場合に、部分不燃がないと判断する。一方、何れかの第1熱電対TC1の起電力TV1が所定の閾値TV0未満であった場合に、部分不燃があると判断する。図6に示されるように、完全燃焼時の起電力TV1(図中実線)と不完全燃焼時の起電力TV1(図中点線)は共に、立ち上り期後に安定した値になるが、点火直後の立ち上り期内の時間T、例えば1秒経過したときにも、前記安定した値に応じた値となる。そこで、点火から時間T経過したときの起電力TV1を検出して、閾値TV0と比較し、何れか1つの第1熱電対TC1の起電力TV1が閾値TV0未満であった場合、バーナユニット4に部分不燃が生じたと判断する。このように、点火後の短い立ち上り時間内に部分不燃を検出するので、部分不燃の場合、早く確実に消火することが可能となる。更に、点火してから時間T経過後にのみ第1熱電対TC1の起電力TV1を検出するので、定期的に起電力TV1を検出する場合に比べて、風などによる部分不燃の誤検出を低減することが可能となる。
【0041】
部分不燃検出手段62は、バーナユニット4に部分不燃があったことを検出した場合、電動弁11を閉弁させ、バーナユニット4を全て消火させる。更に、その旨を報知手段9にて報知させる報知機能を有し、これによって使用者に対して湯沸器Aの使用停止、或いは点検・修理や交換を促す。
【0042】
報知手段9は、警告ランプや警報ブザーなどからなり、部分不燃検出手段62が部分不燃を検出したとき、警告ランプを点滅させる、警報ブザーから警報音を発するなどして、使用者に報知する。
【0043】
次に、部分不燃検出手段62におけるバーナ10の部分不燃検出作動を、図7を参照して説明する。使用者の操作により運転スイッチ8がONされる(STEP1)と、運転制御手段61はバーナユニット4の点火処理を行う(STEP2)。同時に、タイマ63をスタートさせる(STEP3)。
【0044】
タイマ63が所定のT時間、例えば1秒計時したとき(STEP4:YES)、各第1熱電対TC1の起電力TV1を検出する(STEP5)。そして、全ての第1熱電対TC1の起電力TV1が所定の閾値TV0以上であるか否かを判断する(STEP6)。何れか1つの第1熱電対TC1の起電力TV1が閾値TV0未満であれば(STEP6:NO)、その第1熱電対TC1が対象とする単位バーナ45が不燃であり、部分不燃があると判断して、電動弁11を閉弁させ、バーナユニット4を全て消火させる(STEP7)。更に、報知手段9に報知させる(STEP8)。
【0045】
一方、全ての第1熱電対TC1の起電力TV1が所定の閾値TC0以上であると判断した場合(STEP6:YES)、部分不燃がないと判断して、バーナユニット4の燃焼を継続する(STEP9)。
【0046】
このように、単位バーナ45毎に炎口45aに臨む位置に感熱部を位置させて第1熱電対TC1を設けたので、該第1熱電対TC1を用いて単位バーナ45毎に炎口45aに形成される火炎の温度を検出することができる。そのため、単位バーナ45毎に、火炎の温度から直接的に、リフト現象の発生を検出することが可能となる。従って、単位バーナ45毎に、不燃か否かを正確に検出することができる。そのため、部分不燃を早く且つ正確に検出することが可能となる。また、不燃の単位バーナ45を特定することも容易に可能となる。また、単位バーナ45の混合管部45cの閉塞率が低い部分不燃に、酸欠や埃などが要因として絡む複合不燃も検出することが可能となる。
【0047】
更に、第1熱電対TC1は、ノズルホルダ46の上方に設けられるので、2次空気の流れ(図中矢印)を妨げることが少ない。従って、単位バーナ45の燃焼を良好に維持することが可能となる。また、ノズルホルダ46の上方は外乱の影響を受け難いので、第1熱電対TC1の起電力を安定化することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態においては、何れか1つの第1熱電対TC1の起電力TV1が閾値TV0未満であった場合に、部分不燃と判断したがこれに限るものではない。例えば、図6を参照して、何れか1つの第1熱電対TC1の起電力TV1と他の第1熱電対TC1の起電力TV1との差が所定の閾値(第2の閾値)ΔTV0以上であった場合に、部分不燃と判断してもよい。これにより、第1熱電対TC1に経年劣化がある場合であっても、部分不燃を正確に検出することが可能となる。
【0049】
更に、各単位バーナ45毎に1つの第1熱電対TC1を設ける場合について説明した。しかし、図8を参照するように、バーナ組41の中央部に第1熱電対TC1´を1つのみ設け、該第1熱電対TC1´の感熱部を構成する2つの熱電対素線をそれぞれ異なる単位バーナ45の炎口45aへ臨む位置に配置させてもよい。この場合も、第1熱電対TC1´の起電力の値や差を閾値と比較することにより、部分不燃を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係る湯沸器の構成説明図。
【図2】バーナ組の正面図。
【図3】バーナ組の側面図。
【図4】バーナ組の下面図。
【図5】単位バーナの正面図。
【図6】第1熱電対の起電力の時間変化を模式的に示すグラフ。
【図7】湯沸器の作動フローチャート。
【図8】バーナ組の正面図。
【符号の説明】
【0051】
1…給水管、2…出湯管、3…ガス供給管、4…バーナユニット、5…熱交換器、6…コントローラ、7…電池、8…運転スイッチ、9…報知手段、11…電動弁、14…モータ、31…電磁開閉弁、41…バーナ組、42…バーナ固定板、43…バーナフランジ板、44…ノズルホルダ固定板(固定板)、45…単位バーナ、45a…炎口、45b…燃料ガス供給口、45c…混合管部、46…ノズルホルダ、47…点火プラグ、48…ガイド板、49…イグナイタ、53…燃焼筺、61…運転制御手段、62…部分不燃検出手段、63…タイマ、A…湯沸器、TC1…第1熱電対(熱電対)、TC2…第2熱電対。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼筺内に、バーナユニットと、該バーナユニットの上方の熱交換器とを配置した湯沸器であって、
前記バーナユニットは、複数の炎口が上面に列設された2つの単位バーナを、前記炎口の列設方向たるX軸方向に並設したバーナ組を有し、前記両単位バーナの下部に互いに前記X軸方向に対向して開口する燃料ガス供給口が形成され、前記両単位バーナの燃料ガス供給口間にノズルホルダが配置され、該ノズルホルダから前記両単位バーナの燃料ガス供給口に燃料ガスが供給されるようにしたものにおいて、
前記ノズルホルダの上方に、前記両単位バーナの一方の単位バーナの炎口に臨む熱電対と、他方の単位バーナの炎口に臨む熱電対とが設けられることを特徴とする湯沸器。
【請求項2】
前記バーナ組が、前記X軸方向と直交する方向に隙間を存して複数並設されることを特徴とする請求項1に記載の湯沸器。
【請求項3】
前記ノズルホルダの上方に位置し、前記バーナ組が固定される固定板に、前記両熱電対が保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の湯沸器。
【請求項4】
前記バーナ組を点火してから所定時間経過後に前記各熱電対が出力している起電力を検出し、該検出した起電力に第1の閾値未満のものがあった場合、前記バーナ組を消火することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の湯沸器。
【請求項5】
前記バーナ組を点火してから所定時間経過後に前記各熱電対が出力している起電力を検出し、該検出した起電力の差が第2の閾値以上であった場合、前記バーナ組を消火することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の湯沸器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−14348(P2010−14348A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175093(P2008−175093)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】