説明

湿った繊維を基剤とする複合材料を形成するための組成物

湿ったガラス繊維、水分散性ポリマー樹脂、及び石膏を含む湿った繊維を基剤とする組成物が提供される。メラミンホルムアルデヒド、充填材、カップリング剤、酢酸、促進剤、及び/又は硬化剤を含む成分も組成物に添加されうる。石膏は、α-石膏でも、β-石膏でも、それらの組み合わせでもよい。湿ったガラス繊維は、湿ったチョップトガラス繊維又は湿った連続ロービングである。湿ったガラス繊維、水分散性ポリマー樹脂、及び石膏の組み合わせは、耐水性、耐火性であって、かつ改良された機械的性質を有する複合材料製品を生み出す相乗効果を有する。典型的な一実施態様においては、湿った繊維を基剤とする組成物は、種々の複合材料製品に成形されうる石膏ボードを形成するのに使用される。典型的な別の実施態様においては、石膏/ポリマースラリーの層とガラスマットを交互に層状にすることにより薄い多層の石膏ボードが形成されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には複合材料製品に関し、特に強化複合材料製品を形成するための湿った繊維を基剤とする組成物に関する。湿った繊維を基剤とする組成物から形成される複合材料製品も提供される。
【背景技術】
【0002】
表面層間に石膏のコアがはさまれた壁板材は、通常、住居用及び商業用の両方の建物の内壁及び天井として建設業界で使用されている。表面材料は、石膏のコアを形成する材料に可撓性、くぎ抜き抵抗性、及び衝撃強さを有利に提供する。更に、表面材料は、石膏の板材にかなり耐久力のある表面及び/又はその他の望ましい性質(例えば、装飾的な表面)を提供しうる。石膏のコアは、典型的には石膏を含み、任意に湿ったチョップトガラス繊維、耐水性の化学薬品、バインダー、促進剤、及び低密度充填剤を含む。繊維状のベールのような表面材料の連続層を提供し、表面材料の底面に石膏のスラリーを付着させることにより石膏の板材を形成することは当業者には公知である。次いで、第二の表面材料の連続層を石膏のスラリーの上面に塗布する。次いで、はさまれた石膏のスラリーを厚さに関して寸法規制し、石膏のコアを硬化して石膏の板材を形成するために乾燥させる。次に、石膏の板材は最終用途の所定の長さに切断されうる。
ガラス繊維は、通常、製品の引張及び引裂強さを改良するために石膏の壁板材の製造に使用される。繊維は、個々の繊維、複数の繊維を含むストランド、ロービングを含む多くの形で使用されうる。同様にこれらの繊維製品は、離散した形で使用されても、織布又は不織布又はマットに形成されても、石膏のマトリクスに含まれてもよい。あるいは、繊維のマットは表面材料として使用されてもよい。例えば、ガラス繊維は、ブッシング又はオリフィスプレートを通して溶融ガラスをフィラメントとし、潤滑剤、カップリング剤、及び塗膜形成バインダー樹脂を含む水性サイジング組成物をフィラメントに塗布することにより形成されうる。サイジング組成物は繊維をフィラメント間の摩耗から保護し、ガラス繊維及びガラス繊維が使用されるマトリクスとの間の相容性を促進する。サイジング組成物を塗布した後、湿った繊維を1以上のストランドに集め、細断して、湿ったチョップトファイバーストランドとして回収する。
【0003】
次いで、湿ったチョップトファイバーは、湿ったチョップトファイバーが界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、及び/又はその他の化学薬品を含む水性スラリーに分散される湿式堆積法に使用されうる。次いでチョップトファイバーを含むスラリーは撹拌され、繊維がスラリー中に分散される。次に、繊維を含むスラリーを移動するスクリーンに付着させ、大部分の水が除去されてウェブが形成される。次いでバインダーを塗布し、得られたマット乾燥させて残存する水を除去してバインダーを硬化させる。形成された不織ベールは、離散して、ランダムに配向した個々のガラスフィラメントの集成体である。
石膏の壁板材の表面材料として、そのような繊維を湿式堆積させた不織ベールを用いることは業界では一般的になっている。ガラス繊維の表面材料は、紙又はその他のセルロース系表面材料で表面をかぶせた従来の石膏の板材より、水分の存在下における寸法安定性、生物抵抗性、及び物理的及び機械的性質を増大させる。更に、石膏が石膏/セルロース繊維複合材料板材及び製品の主要な成分である。Hawkinsによる米国特許第5,100,474号明細書には、55〜65質量%の石膏プラスター、20〜30質量%の水を基剤とするフェノールホルムアルデヒド樹脂の配合物、3〜5質量%の酸性硬化剤、及び10質量%より多い繊維強化剤(ガラス繊維)からなる硬化性配合物を含むガラス強化プラスター組成物が記載されている。
【0004】
石膏のある種の性質が、工業製品及び建材、及び成形材料の製造における使用を非常に好評にしている。例えば、石膏は、脱水及び再水和工程によりキャスト、金型成形等により有用な形状に形成されうる豊富で一般的には安価な原料である。更に、石膏を基剤とする材料は、石膏の迅速な硬化特性により単時間で造形、成形、及び加工されうる。成形性又は成形配合物は石膏を含む材料から形成されうる。例えば、Foleyらによる米国特許第3,944,515号明細書には、フェノール、ホルムアルデヒド、ポートランドセメント、尿素、石膏、アルミナ、ステアリン酸亜鉛、及び氷を含むフェノール系成形組成物が開示されている。次いでこの組成物はガラス繊維とともに堆積されてシート成形配合物を形成する。Bischoffらによる米国特許第5,288,775号明細書には、成形性構造建築複合材料が開示されている。成形性複合材料の形成に使用される組成物には、アクリルポリマー(FORTON VF 812)、α-石膏、天然セルロース繊維、充填材、及び任意に硬化剤(塩化アンモニウム)及びメラミンホルムアルデヒドが含まれる。セルロース繊維は、繊維にアクリル材料が十分に浸透して含浸されるように、アクリルポリマー及び水の混合物に浸漬されるのが好ましい。Mercerによる米国特許第4,355,128号明細書には、(1)25〜90質量%の硬化性樹脂系、3〜60質量%の石膏充填剤、及び1〜15質量%のガラス繊維を混合する工程、(2)混合物を所望の製品に成形する工程、及び(3)加熱又は硬化剤の使用により成形品を硬化する工程による耐久力のある成形品の形成が開示されている。硬化性樹脂系には、尿素ホルムアルデヒドのような1種以上の硬化性樹脂を含み、任意にポリ酢酸ビニル樹脂のような第二の硬化性樹脂を含みうる。樹脂系の成分の割合は、成形品に所望の表面仕上げを付与するように選択される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
石膏壁板材が存在するにもかかわらず、低価格で、改良された耐水性、改良された機械的性質を示し、かつ少なくとも同等の耐火性である改良された石膏板材の必要性が業界には残る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
湿ったガラス繊維、水に分散しうるポリマー樹脂、及び石膏を含む湿った繊維を基剤とする組成物を提供することが本発明の目的である。メラミンホルムアルデヒドのような架橋剤、充填材、カップリング剤、酢酸、促進剤、及び/又は硬化剤を含む追加の成分が組成物に添加されうる。組成物に使用される湿ったガラス繊維は、湿ったチョップトガラス繊維でも湿った連続ロービングでもよい。湿ったガラス繊維は、耐衝撃性、寸法安定性、及び改良された強さ及び剛性のような改良された機械的性質を最終複合材料製品に提供する低価格の強化材である。湿った廃チョップトストランドガラス繊維は容易に混合されるという追加の利点を有し、組成物中に十分に分散されうる。組成物に使用するポリマー樹脂の適する例には、アクリルを基剤とするポリマー、ポリエステル乳濁液、酢酸ビニル乳濁液、エポキシ乳濁液、及びフェノールを基剤とするポリマーが含まれる。ポリマーは自己架橋性でも、そうでなくてもよい。架橋剤として作用するメラミン-ホルムアルデヒド又は尿素-ホルムアルデヒドのような追加のポリマーは、ポリマーが自己架橋性であるか否かに関係なく、架橋反応を助けるために添加されうる。ポリマー樹脂は、強さ、可撓性、靭性、耐久性、及び耐水性を最終製品に提供する。石膏は、α-石膏でも、β-石膏でも、それらの組み合わせでもよい。石膏は水を吸収し、耐火性を最終複合材料に提供する。
【0007】
前述の湿った繊維を基剤とする組成物から形成されるガラス繊維強化石膏複合材料製品(例えば、石膏ボード)を提供することが本発明の別の目的である。石膏ボードは、湿ったガラス繊維を基剤とする組成物から形成される層を金型の半分に塗布して所望又は所定の形状の板材(又はその他の複合材料製品)とすることにより形成されうる。硬化工程が完了した後に板材が容易に取り出されうるように、金型には少なくとも部分的にワックスのような離型剤が塗布されてもよい。更に、部品又は製品の容易な除去を助け、表面に平坦な仕上げを生み出すために、金型はポリマー石膏下塗剤で予備処理されてもよい。最終製品においては、チョップトガラス繊維は実質的に均一に分布している。石膏ボードには、木理又はその他の見て美しい表面のような模様のある表面が含まれうる。本発明の湿った繊維を基剤とする石膏組成物は石膏ボードに容易に図案又は模様をつけうることが認められる。更に、石膏ボードの表面には、板材の美的感覚又は耐候性の増強のために塗料、染色液、又は保護下地塗料を提供しうる。石膏ボードは、本発明の組成物中のポリマー樹脂のために非常に耐水性であり、湿った廃チョップトストランドガラス繊維の存在のために高い機械的性質を有する。
【0008】
薄いガラス強化石膏乾式壁材を提供することは本発明の更に別の目的である。単層の薄い石膏乾式壁板材は、2層の成形性ポリマー/石膏スラリー(変性石膏ボード)間にはさまれた湿ったガラス繊維層から形成されうる。薄い多層の乾式壁板材は、湿ったガラス繊維及び成形性ポリマー/石膏スラリーの追加の層を交互に堆積することにより形成されうる。湿ったガラス繊維層は湿ったガラス繊維から形成され、湿った廃チョップトストランドガラス繊維(WUCS)を含む湿った成形マットでもよい。ガラス層として使用するのに好ましいマットには、Owens Corning(米国オハイオ州トレド)から入手しうる、約0.2乃至約2.4g/100cm2(約0.5乃至約5.0lb/100ft2)の重さのWUCSを基剤とするこけら板マットが含まれる。薄い乾式壁板材及び薄い多層の乾式壁板材は、従来の石膏ボードの代替品として使用されうる。従来の乾式壁板材と違って、薄い石膏乾式壁板材は、軽量であり、増大した強度、増大した耐衝撃性、及び増大した耐水性を有するという利点を有する。更に、石膏乾式壁板材(単層及び多層の両方)は、従来の乾式壁板材より薄く、より軽量で同様な性質を得ることができる。前述の石膏ボードと同様に、単層の石膏乾式壁板材及び薄い多層乾式壁板材は、美的感覚を高めるために木理のような模様のある表面を含みうる。
本発明の湿ったガラス繊維配合物が、増大した強さ、剛性、及び耐衝撃性のような改良された物理的性質を最終複合材料製品に付与することは本発明の利点である。
湿った廃チョップトストランドガラス繊維(WUCS)が、耐衝撃性、寸法安定性、及び改良された強さ及び剛性のような改良された機械的性質を最終複合材料製品に提供する低価格の強化材であることは本発明の更なる利点である。更に、WUCSを用いると、最終複合材料製品は、施工手順において使用されるくぎ、またくぎ、及びねじのような締結システムと適合し、亀裂及びその他の機械的損傷の発生を低下させる。
【0009】
WUCS繊維が容易に混合され、湿ったガラス繊維組成物中に十分に分散されうることは本発明の別の利点である。
湿ったガラス繊維組成物がAクラスの耐火性であることは本発明の更なる利点である。石膏中にガラス繊維が存在するばかりでなく、石膏自体が複合材料製品に耐火性を提供する。このAクラスの等級とは、本発明の湿ったガラス繊維組成物から形成される複合材料製品が炎の広がり又は伝播を支援しないことを意味する。
ポリマー樹脂が強さ、可撓性、靭性、耐久性、及び耐水性を最終製品に提供することもまた本発明の利点である。特に、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂及びアクリル樹脂の組み合わせは良好な品質の塗料を製造し、良好な耐候性、耐水性、及び耐薬品性を最終複合材料製品に付与する。
本発明の湿った繊維を基剤とする石膏組成物が組成物から形成される石膏ボードに図案又は模様を容易につけさせうることは本発明の更に別の利点である。
前述及びその他の本発明の目的、特徴、及び利点は、以下で、以下の詳細な記載を検討すると一層十分に明らかになろう。
本発明の利点は、特に添付図面と関連して、以下の詳細な記載を検討すると明らかになろう。
【0010】
特に定義されなければ、本明細書において使用されるすべての技術及び科学用語は、本発明が属する業界における当業者により通常理解されるそれと同一の意味を有する。本明細書に記載されているそれと同様又は同等の方法及び材料が本発明の実施又は試験に使用されうるけれども、好ましい方法及び材料を以下に記載する。
図面において、線、層、及び領域の厚さは、明確にするために誇張されているかもしれない。図中に見出される同種の数字は同種の要素を示すことは留意すべきである。“上部”、“底部”、“側面”、“上方”、“下方”等の用語は、説明の目的でのみ使用される。要素が別の要素の“上に”あると言及される場合には、それは他の要素のすぐ上にあるか接触していてもよいし、間に入る要素が存在していてもよいことは理解されよう。“配合物”及び“組成物”という用語は、本発明においては同義的に使用されうる。その上、“ポリマー”及び“ポリマー樹脂”という用語は同義的に使用されうる。更に、“充填剤”及び“充填材”という用語は本明細書においては同義的に使用されうる。
本発明は、湿った繊維を基剤とする組成物及びそれから形成される強化複合材料製品に関する。強化複合材料製品を形成するために使用される湿った繊維を基剤とする組成物は、湿ったガラス繊維、水に分散しうるポリマー樹脂、及び石膏を含む。これらの三成分の組み合わせは、耐水性、耐火性であり、改良された機械的性質を有する最終複合材料製品を生み出す相乗効果を有する。密度低下充填材及びカップリング剤のような添加剤が組成物に添加されうる。選択された製造方法及び複合材料製品の最終用途に依存してその他の物質が組成物に使用されうる。
【0011】
組成物に使用される湿ったガラス繊維は、湿ったチョップトガラス繊維でも湿った連続ロービングのような湿った連続繊維でもよい。本明細書において使用されている“連続繊維”という用語は、実質的に長さが無限である繊維ばかりでなく、意図的に不連続の長さに細断されていない繊維も含むことを意味する。Owens Corning's Advantex(登録商標)(Owens Corning(米国オハイオ州トレド)から市販されている)ガラス繊維のようなA-タイプガラス、C-タイプガラス、E-タイプガラス、R-タイプガラス、S-タイプガラス、又はECR-タイプガラスのようなガラス繊維が組成物に使用されうる。好ましくは、湿ったガラス繊維は、E-タイプガラス、S-タイプガラス、ECR-タイプガラス、又は耐アルカリ性ガラスから形成される。1以上の好ましい実施態様においては、湿ったガラス繊維は湿った廃(used)チョップトストランドガラス繊維(WUCS)である。湿った廃チョップトストランドガラス繊維は、業界において公知の従来の方法により形成されうる。湿ったガラス繊維は、約5乃至約30%の含水率を有するのが望ましく、更に望ましくは約10乃至約20%の含水率である。
WUCS繊維は、耐衝撃性、寸法安定性,及び改良された強さ及び剛性のような改良された機械的性質を最終複合材料製品に提供する低価格の強化材である。更に、WUCSを用いると、最終複合材料製品は、亀裂又はその他の機械的損傷なしに施工手順においてくぎ及びねじを使用できる機械的性質を有する。更に、WUCS繊維は容易に混合され、組成物中に完全に分散されるかほぼ完全に分散される。ガラス繊維は組成物中に十分に分散するけれども、従来の乾燥したガラス強化石膏配合物とは異なり、改良された耐衝撃性及び改良された機械的性質を得るのに多量の湿ったガラス繊維は必要ない。WUCS又は湿った連続ロービングのような湿ったガラス繊維は予め水和され、石膏の結晶構造に吸収されうるかなりの量の水を含むので、組成物中の石膏は加熱せずに硬化しうる。このことは、従来の強化石膏製品に使用される強化繊維とは逆であり、従来の繊維強化材は使用前に乾燥されなければならず、それにより余分な処理工程及び余分な費用を生み出す。したがって、本発明の湿ったガラス繊維は処理上の利点及び経済上の利点をもたらす。
【0012】
湿ったガラス繊維の直径は、約5乃至約25μ、好ましくは約12乃至約19μでもよい。湿ったガラス繊維がWUCSのようなチョップト繊維である場合には、その長さは約0.3乃至約5.1cm(約1/8乃至約2インチ)、好ましくは約0.6乃至約1.9cm(約1/4乃至約3/4インチ)でもよい。湿ったガラス繊維は組成物中に約1.0乃至約25質量%の量の組成物中の活性固体、好ましくは約5.0乃至約10質量%の量の活性固体で存在しうる。更に、湿ったガラス繊維は、典型的には、約0.01乃至0.2質量%の量の、1種以上の塗膜形成剤(例えば、ポリウレタン塗膜形成剤、ポリエステル塗膜形成剤、及び/又はエポキシ樹脂塗膜形成剤)、1種以上の潤滑剤、及び1種以上のシランカップリング剤(例えば、アミノシラン又はメタクリルオキシシランカップリング剤)を含む化学的なサイズ剤組成物が少なくとも部分的に塗布されている。
湿ったガラス繊維のほかに、湿ったガラス繊維を基剤とする組成物は、少なくとも部分的に水に分散しうる、最も好ましくは完全に水に分散しうる1種以上のポリマー樹脂を含む。ポリマー樹脂は、強さ、可撓性、靭性、耐久性、及び耐水性を最終製品に提供する。ポリマーは液体状でも、乳濁液状でも、及び/又は粉末状でもよい。ポリマー樹脂は、少なくとも部分的に水分散性であれば特に限定されない。ポリマーは自己架橋性でもそうでなくてもよい。架橋剤として作用するメラミン-ホルムアルデヒド又は尿素-ホルムアルデヒドのような追加のポリマーは、ポリマーが自己架橋性であるか否かにかかわらず架橋反応を助けるために添加されうる。しかしながら、ポリマーが自己架橋性ではない場合には、架橋反応に触媒作用を及ぼして助けるために、望ましくはメラミン-ホルムアルデヒドのような架橋剤が添加されることは理解されるべきである。
【0013】
架橋反応は、大気条件ではゆっくり時間をかけて(典型的には、約2週間以上)起こりうる。ポリマー間の架橋が起こりポリマーの網目構造が石膏の周りに形成されるにしたがって、ポリマーの分子量は増大する。ポリマーの分子量が増大するにしたがって、組成物は一層剛性になる。架橋反応は、所定の時間、組成物を約60乃至約71℃(約140乃至約160°F)のような中程度の温度に加熱することにより加速されうる。しかしながら、架橋反応は室温で時間をかけて発生させることが好ましい。ポリマーの架橋反応に加えて、湿ったガラス繊維は、サイズ剤組成物中のガラス繊維にすでに付着しているカップリング剤により1種以上のポリマーと化学的に反応してそれに結合することも留意されるべきである。
組成物に使用するのに適するポリマー樹脂には、限定するわけではないが、アクリルを基剤とするポリマー、ポリエステル乳濁液、酢酸ビニル乳濁液、エポキシ乳濁液、及びフェノールを基剤とするポリマーが含まれうる。ガラス繊維を基剤とする組成物に使用されうるポリマーの特定例には、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリル/スチレン/アクリロニトリルブロックターポリマー(ASA)、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィド、アセタール樹脂、ポリアミド、ポリアラミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、アクリル酸エステル、エチレン及びプロピレンのコポリマー、スチレン及びブタジエンのコポリマー、酢酸ビニル及びエチレンのコポリマー、及びそれらの組み合わせが含まれる。更に、ポリマー樹脂は、脱工業又は消費者グレード(粉砕再生材料)でもよい。
【0014】
好ましいポリマーはアクリル系ラテックス群に由来する。アクリル系ラテックスを製造するのに使用されるアクリルモノマーには、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、及びアクリル酸が含まれる。これらのモノマーの組み合わせを乳化重合してアクリル樹脂を製造してもよい。これらのポリマーは、典型的にはポリマー主鎖に沿ってヒドロキシル基を付与するヒドロキシエチルアクリレートモノマーを含む。これらのヒドロキシルを含むポリマーは熱硬化性アクリルと呼ばれる。アクリル(R-OH)は、メラミン-ホルムアルデヒド又は尿素-ホルムアルデヒドのような他のポリマーと架橋しうる。架橋は、ヒドロキシル基及びメラミン-ホルムアルデヒド内のエーテル基の両方により起こり、酸により触媒される。酸及び、p-トルエンスルホン酸及び塩化水素酸を形成する塩化アンモニウムのような酸生成剤が架橋反応の適する触媒である。メラミン-ホルムアルデヒド樹脂及びアクリル樹脂の組み合わせが良好な品質の塗膜を形成し、良好な耐候性、耐水性、及び耐薬品性を最終複合材料製品に付与する。これらのポリマーの使用により、本発明の組成物により形成される複合材料製品がスチレン及び必要不可欠な環境制御なしに製造されうる。ポリマー樹脂は、組成物中に約4.0乃至約40質量%の量の組成物中の活性固体、好ましくは約10乃至約30質量%の量の活性固体で存在しうる。
【0015】
本発明の組成物の第三の成分は石膏である。硫酸カルシウム二水和物(CaSO4・2H2O)としても知られている石膏は、地球由来の天然鉱物である。焼成されると、結晶水の4分の3が追いやられて硫酸カルシウム半水和物(CaSO4・1/2H2O)を生成する。焼成が加圧下で実施されると、α型の石膏が生成する。α-石膏は規則的な針状又は棒状粒子である。他方、焼成が大気圧下で実施されると、多孔質の不規則形状の粒子のβ型の石膏が生成する。本発明の組成物に使用される石膏は、α-石膏でも、β-石膏でも、それらの組み合わせでもよいが、低価格で、α-石膏と比較して水の吸収能力が高いので、β-石膏のほうが好ましい。石膏を基剤とする材料の利点の一は、一般的には、石膏を基剤とする材料が石膏の自然に起こる迅速な硬化及び硬化特性のために短時間で造形、成形及び加工されうるということである。その上、石膏は耐火性を最終複合材料に提供する。本発明の組成物においては、石膏は湿ったガラス繊維内の水を吸収し、部分的に水和した状態(天然に産出する状態)から完全に水和した状態になり硬化する。石膏は湿ったガラス繊維を基剤とする組成物中に、約30乃至約70質量%の量の組成物中の活性固体、好ましくは約40乃至約60質量%の量の活性固体で存在しうる。
【0016】
追加の成分は最終複合材料製品の性質を変性するために組成物に添加されてもよいし、最終複合材料製品の成形に使用される特定の工程のために添加されてもよい。例えば、低密度充填剤は、最終複合材料製品の価格、総密度を低下させるために添加されうるし、増量剤としても使用されうる。組成物に使用されうる適する充填剤の非限定例には、パーライト(膨張パーライト)、炭酸カルシウム、砂、タルク、ヒル石、アルミニウム三水和物、再利用ポリマー材料、微小球、微小気泡、木粉、天然繊維、粘土、カルシウムシリケート、黒鉛、カオリン、酸化マグネシウム、二硫化モリブデン、スレート粉末、亜鉛塩、ゼオライト、硫酸カルシウム、バリウム塩、珪藻土、雲母、珪灰石、膨張シェール、膨張粘土、膨張スレート、軽石、円形廃ガラス繊維、ガラスフレーク、ナノ粒子(例えば、ナノ粘土、ナノタルク、及びナノ-TiO2)、及び/又は水酸化カルシウム及びアルカリと反応して、フライアッシュ、石炭スラグ、及びシリカのようなセメント質の性質を有する化合物を形成する微粉状の材料が含まれる。本発明に関連して使用される“天然繊維”という用語は、限定するわけではないが、茎、種、葉、根、又は師部を含む植物のいずれかの部分から抽出される植物繊維を言及する。強化繊維材料として使用するのに適する天然繊維の例には、綿、ジュート、竹、カラムシ、バガス、麻、コイア、リンネル、ケナフ麻、サイザル麻、亜麻、ヘネッケン、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0017】
配合物における1種以上のカップリング剤の存在もまた追加の望ましい特性を提供しうる。例えば、カップリング剤の存在は、組成物の有機(ポリマー樹脂)及び無機(ガラス繊維)部分の結合を助ける。特に、カップリング剤の組成物への添加は、湿ったガラス繊維及びポリマー間の結合強度を増大させる。シランカップリング剤は、それが迅速に水中に分配される能力のために好ましい。本発明のサイズ剤組成物において使用されうるシランカップリング剤に例は、アミノ、エポキシ、ビニル、メタクリルオキシ、ウレイド、及びイソシアナートのような官能基を特徴としうる。好ましい実施態様においては、シランカップリング剤には、アミン(第一、第二、第三、及び第四)、アミノ、イミノ、アミド、イミド、ウレイド、又はイソシアナートのような1種以上の官能基を有する1種以上の窒素原子を含むシランが含まれる。適するシランカップリング剤には、限定するわけではないが、アミノシラン、シランエステル、ビニルシラン、メタクリルオキシシラン、エポキシシラン、含硫黄シラン、ウレイドシラン、及びイソシアナートシランが含まれる。シランカップリング剤が使用される場合には、組成物のpHを、好ましくは約4乃至約5.5に調整するために、少量の有機酸(例えば、酢酸、蟻酸、コハク酸、及び/又はクエン酸)が添加されうる。酢酸が本発明の組成物において使用するのに最も好ましい有機酸である。
本発明の組成物において使用するシランカップリング剤の特定の非限定例には、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(A-1100)、n-トリメトキシ-シリル-プロピル-エチレン-ジアミン(A-1120)、及びγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A-187)が含まれる。適するシランカップリング剤のその他の非限定例を表1に示す。前記及び表1で特定されるカップリング剤はすべてGE Siliconesから市販されている。
【0018】
【表1】

【0019】
好ましくは、シランカップリング剤はアミノシラン又はジアミノシランである。カップリング剤は組成物中に、約0乃至約5.0質量%の量の組成物中の活性固体、好ましくは約0.1乃至約1.0質量%の量の活性固体で存在しうる。
促進剤は、石膏が硬化する速度を増大させるために添加されうる。好ましい促進剤は硫酸アルミニウムである。しかしながら、例えば、硫酸カリウム、白土、ヘキサフルオロ珪酸ナトリウム、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、及び塩化マグネシウムのような当業者により同一視することのできるいずれかの適する促進剤も使用しうる。促進剤は組成物中に、約1.0質量%までの量の組成物中の活性固体で存在しうる。組成物に添加される促進剤の量は、どれほど迅速に石膏が硬化するかに劇的に影響を及ぼしうる。例えば、多量の促進剤が組成物に添加されると、それより少量の促進剤が組成物に添加された場合より迅速に石膏を硬化させるであろう。換言すれば、促進剤の量が多いほど、それより少量の促進剤が添加された場合と比較して石膏が硬化する速度をそれだけ迅速に増大させるであろう。
更に、架橋速度及び架橋密度の両方を増大させるために、硫酸アンモニウム又は塩化アンモニウムのような硬化剤が組成物に添加されうる。硬化剤は組成物中に、約1.0質量%までの量の組成物中の活性固体で存在しうる。
所望の加工及び/又は最終複合材料製品の用途に依存して、分散剤、消泡剤、粘度調整剤、及び/又はその他の加工剤のような追加の添加剤を組成物に添加しうる。
【0020】
最終複合材料製品を形成するのに使用されうる本発明の組成物から形成される混合物を形成するためには、例えば、メラミン-ホルムアルデヒド、石膏、及び充填剤(パーライト)のような組成物の乾燥成分を容器中で乾燥ブレンドして乾燥混合物を形成する。水、乳濁液ポリマー、及びカップリング剤のような組成物の湿った成分を、それらがブレンドされるまで第二の容器中で撹拌する。すべての乾燥混合物が添加されて得られる組成物が十分にブレンドされるまで撹拌しながら、乾燥混合物を第二の容器内の湿った成分にゆっくり添加する。湿ったガラス繊維(湿ったチョップトガラス繊維)を組成物に添加して、高粘度のポリマー/石膏スラリーを形成する。湿ったガラス繊維はミキサーを用いて、又はスパチュラを用いて手でポリマー/石膏スラリーと混合し、混凝紙のそれのようなコンシステンシーを有する組成物を形成する。添加される水の量は、使用される製造技術及び最終複合材料製品の所望の機械的性質に基づいて劇的に変化しうる。
詳細に前述したガラス繊維を基剤とする組成物は、限定するわけではないが、開放金型成形、ハンドレイアップ、フィラメントワインディング、押出成形、引抜成形、キャスチング、及びドクターブレードのような幅広い適用に使用されうる。本発明の典型的な一実施態様においては、改質された石膏を基剤とする製品が開放金型、ハンドレイアップ法により製造される。レイアップの適用においては、湿ったガラス繊維を基剤とする組成物から形成される層を金型の半分の上に置いて、住宅のサイディング製品、造形されたサイディング製品、内部/外部トリムボード、フロアタイル、天井タイル、バスタブ、シャワー室、又は調理台、シンク、又はボウルのような台所の表面のような所望の製品形状にしうる。開放金型への適用後に、組成物は鋸歯状のローラーのようなローラーで延ばされる。金型には少なくとも部分的にワックスのような離型剤が塗布されており、硬化工程が完了した後には製品が容易に除去されうるであろう。更に、金型は、製品の容易な除去を助けて表面を平坦に仕上げるためにポリマー-石膏下塗剤で予備処理されうる。下塗剤は、望ましくは離型剤の後に塗布され、白色でも着色されていてもよい。
【0021】
ハンドレイアップ適用の特定の一実施例においては、石膏ボード(例えば、サイディング製品)が形成される。本発明の組成物から形成される典型的な石膏ボード(10)が図1に示されている。図1〜2においては、チョップトガラス繊維(15)が実質的に均一に石膏ボード(10)中に分布していることがわかる。本明細書において使用されている“実質的に均一に分布”という用語は、チョップトガラス繊維が石膏ボード(10)中に均一に分布又はほぼ均一に分布していることを示唆することを意味する。石膏ボード(10)は実質的にまっすぐに(図1に示されるように)形成されていても、所望の形状を有するように形成されていてもよい。例えば、図2に描かれているような湾曲した石膏ボード(10)を製造するためには、湾曲した金型が使用されうる。図示されていないが、例えば、サイディング製品、フェンスデッキの板、又は手すり材料において美的感覚を高めるために、石膏ボード(10)には木理又はその他の見て美しい表面のような模様のある表面を含みうる。本発明の湿った繊維を基剤とする組成物はボード(10)に容易に図案又は模様をつけるのを可能にする。ボード(10)の美的感覚又は耐候性を高めるために、石膏ボード(10)の表面にはまた、あるいは代わりに、製造後の塗料(例えば、塗料、染色液、又は保護下地塗料)が提供されてもよい。石膏ボード(10)は本発明の組成物中のポリマー樹脂のために非常に耐水性である。
【0022】
図4及び5に描かれている本発明の別の適用においては、薄い石膏の乾式壁板材が形成されうる。図4に示されるように、単層の薄い石膏の乾式壁板材(40)は、2枚の変性石膏ボード(50)間にはさまれた湿ったガラス繊維層(45)から形成されうる。変性石膏ボード(50)は、詳細に前述したポリマー/石膏スラリーから形成される。ポリマー/石膏スラリーが湿ったガラス繊維を含まないことは注目されるべきである。湿ったガラス繊維層(45)は湿ったガラス繊維を含み、湿った廃チョップトストランドガラス繊維(WUCS)を含む湿った成形マットの形でもよい。ガラス層(45)として使用するのに好ましいマットには、Owens Corning(米国オハイオ州トレド)から入手しうる、約0.2乃至約2.4g/100cm2(約0.5乃至約5.0lb/100ft2)、好ましくは約0.73乃至約1.2g/100cm2(約1.5乃至約2.5lb/100ft2)、更に好ましくは約1.0g/100cm2(約2lb/100ft2)未満、最も好ましくは約0.854乃至約0.952g/100cm2(約1.75乃至約1.95lb/100ft2)の重さのWUCSを基剤とするこけら板マットが含まれる。図5に示されている薄い多層の乾式壁板材(60)の形成においては、複数の層の変性石膏ボード(50)が湿ったガラス繊維層(45)と交互に層状になっている。
【0023】
薄い単層の乾式壁板材(40)及び薄い多層の乾式壁板材(60)は、図3に描かれている従来の乾式壁板材(30)のような従来の石膏ボードの代替品として使用されうる。従来の乾式壁板材(30)においては、石膏コア(16)は2つの表面層(20)の間に位置する。表面層(20)は、所望の物理的、機械的及び/又は美的性質を提供する材料から選択されうる。表面層(20)として使用されうる材料の例には、ガラス繊維スクリム、ベール、又は織物、織布又は不織布材料、及び紙又はその他のセルロースが含まれる。表面材料(20)は、石膏コア(16)を形成する材料に可撓性、くぎ抜き抵抗、及び耐衝撃性を有利に付与する。更に、表面材料(20)は、乾式壁板材(30)に装飾表面のようなかなり耐久力のある表面及び/又はその他の望ましい性質を提供しうる。石膏コア(16)は、典型的には石膏を含み、任意に湿ったチョップトガラス繊維、耐水性の薬品、バインダー、促進剤、及び低密度充填剤を含む。しかしながら、石膏コア(16)中に存在するガラス繊維の量は、本発明において使用されるガラス繊維の量(約1.0乃至約25質量%のガラス繊維)よりずっと少なく(約0.2質量%までのガラス繊維)、場合によっては、石膏コア(16)はガラス繊維をまったく含まない。
従来の乾式壁板材(30)とは異なり、薄い単層の石膏乾式壁板材(40)及び薄い多層の石膏乾式壁板材(60)は、軽量であり、増大した強度、増大した耐衝撃性、及び増大した耐水性を有するという利点を有する。更に、単層及び多層の石膏乾式壁板材(40)、(60)はともに従来の乾式壁板材より薄く、より軽量で同様な有利な性質を得ることができる。前述の石膏ボード(10)と同様に、単層の石膏乾式壁板材(40)及び薄い多層乾式壁板材(60)は、美的感覚を高めるために木理のような模様のある表面を含みうる。薄い石膏乾式壁板材(40)及び多層の乾式壁板材(60)は、インライン(連続式)又はオフラインのいずれでも製造されうる。好ましくは、乾式壁板材(40)、(60)は生産効率を増大させるためにインラインで実施される。
【0024】
本発明の別の典型的な実施態様(図示されていない)においては、本発明の湿ったガラス繊維を基剤とする組成物はフィラメントワインディング工程で使用される。そのような適用においては、湿った連続ロービングを詳細に前述したポリマー/石膏スラリーの浴に浸漬する。乾燥した連続ロービングが代わりに使用されうることは理解されるべきである。しかしながら、湿った連続ロービングはそれが低価格であるために好ましい。湿った(又は乾燥した)連続ロービングをポリマー/石膏スラリー浴中に浸漬してポリマー/石膏スラリーの層が実質的にそれに付着した後、ポリマー/石膏が塗布された連続ロービングはマンドレルに巻きつけられうる。本明細書において使用されている“実質的にそれに付着した”という用語は、ポリマー/石膏スラリーが連続ロービングの表面を完全に被覆又は覆うか、又はポリマー/石膏スラリーが連続ロービングの表面をほとんど被覆又は覆うようにポリマー/石膏スラリーが付着されることを示唆することを意味する。マンドレルは、再利用可能なマンドレル、折り畳み式マンドレル、一体マンドレル、又は使い捨てマンドレルのようないずれの従来のマンドレルでもよい。塗布された連続ロービングをマンドレルの周りに置いたら、架橋反応が大気条件下で時間をかけてゆっくり起こるように、望ましくはマンドレルをある領域(貯蔵領域)内に置く。架橋反応の速度を増大させるためにマンドレルを(前述のような)中程度の温度に加熱することも可能である。複合材料が硬化(架橋)したら、マンドレルは除去されうる。絶縁用のオーバーラップとして又は内部の電線が十分に保護される電線用導管として使用される導管のような複合材料製品は、前述のようなフィラメントワインディング工程において本発明の湿ったガラス繊維を基剤とする組成物を用いることにより形成されうる。そのような複合材料製品は従来のフィラメント巻導管より耐火性が改良された。
【0025】
本発明の湿ったガラス繊維組成物の利点の一は、複合材料製品がAクラスの耐火性であるということである。石膏中のガラス繊維の存在ばかりでなく、石膏自体が複合材料製品に耐火性を提供する。このAクラスの耐火性の等級は、本発明の湿ったガラス繊維組成物から形成される複合材料が炎の広がり又は伝播を支援しないことを意味する。
更に、本発明の湿ったガラス繊維配合物は、改良された強さ、剛性のような改良された物理的性質、及び増大した耐衝撃性を最終複合材料製品に付与する。
本発明はまた、WUCS繊維が組成物中に十分に分散するという点で有利である。この湿ったガラス繊維の分散の増大は、機械的強度が増強され視覚的欠陥がほとんどない一層均質な構造を引き起こす。本発明の組成物に使用される湿ったガラス繊維にはまた、特に余分な処理工程を必要とする従来の乾燥した繊維と比較した場合に、低価格の強化材である。このようにして、湿ったガラス繊維(WUCS又は湿ったガラスロービング)の使用は、最終製品を得る低価格システムを提供する。
その上、WUCS繊維は耐衝撃性、寸法安定性、及び改良された強さ及び剛性のような改良された機械的性質を最終複合材料製品に提供する。更に、WUCSを用いると、最終複合材料製品は、施工手順において使用されるくぎ、またくぎ、及びねじのような締結システムと適合し、亀裂及びその他の機械的損傷の発生を低下させる。
【0026】
組成物が混合されると成形性であるということはガラス繊維を基剤とする組成物の更なる利点である。この組成物の成形性は、本発明の組成物がいずれかの形状に形成され、多くの所望の用途の複合材料の形成を可能にする。最終製品はまた、更に美的感覚を増大するために着色されたり、ペンキを塗られたり、染色されたりされうる。
ポリマー樹脂が強さ、可撓性、靭性、耐久性、及び耐水性を最終製品に提供することも利点である。特に、メラミンホルムアルデヒド樹脂及びアクリル樹脂の組み合わせは良好な品質の塗料を製造し、良好な耐候性、耐水性、及び耐薬品性を最終複合材料製品に付与する。
一般的に本発明を記載したが、説明のみの目的で提供され、特に明記されなければすべてを含んだり限定したりしないことを意図する以下に示すある種の特定の実施例を参照することにより更なる理解を得ることができる。
【実施例1】
【0027】
本発明の複合材料サイディング製品の物理的及び機械的性質
表2に示す本発明の組成物を用い、長さ3.7m(12フィート)の繊維強化石膏サイディングボードを形成した。特に、石膏(α-石膏)及び樹脂(メラミンホルムアルデヒド)は秤量してバケットに入れた。パーライトは秤量して別のバケットに入れた。硬化剤(硫酸アンモニウム)は小さなビーカー内で秤量した。促進剤(硫酸アルミニウム)、シランカップリング剤(γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(A-1100)、GE Siliconesから入手)、及び酢酸はその順に、各添加の間に撹拌して水に添加した。次いで、ポリマー(ポリアクリル乳濁液)を大きな混合バケット中で秤量してミキサーの下に置き、ミキサーを始動させた。ミキサーが動き始めたら、硬化剤を混合バケットに添加し、次いで水/促進剤/シラン/酢酸混合物を添加した。石膏/樹脂混合物及びパーライトを、スコップで交互に添加した。すべての石膏/樹脂混合物及びパーライトを添加した後、ミキサーを2分間動かした。直径16μ、長さ0.64cm(1/4インチ)で、含水率が約13%の湿った廃チョップトストランドガラス繊維をスパチュラで混合物に添加した。
【0028】
【表2】

【0029】
組成物は、長さ3.7m(12フィート)のサイディング製品の形成に使用した。特に、表2の本発明の組成物を金型に入れ、室温において1日で硬化させた。次いで、サイディング製品を金型から取り出し、種々の物理的及び機械的性質について数種の市販の実施例と比較した。
表3に示されたデータは、本発明の組成物から形成されたサイディング製品(表3における本発明の複合材料ボード)及び実施例1〜3の市販の製品間の密度の変化を示す。本発明の組成物から形成されたサイディング製品が、試験された市販の製品の最低のボード質量であることが表3からわかる。本発明の複合材料サイディング製品のボード質量が低いことがサイディング製品の輸送及び設置を容易にしうる。
【0030】
【表3】

【0031】
本発明のサイディングボード、実施例1〜3の市販の製品、及びビニルサイディング製品(実施例4)について比較の機械的試験も実施した。試験は、ASTM D638(表4に示された結果)、ASTM D790(表5に示された結果)、及びASTM D4812及びASTM D570(表6に示された結果)にしたがって実施した。
【0032】
【表4】

【0033】
同様な組成物にもかかわらず、2種の繊維/セメント製品(実施例1及び3)が機械的試験においてまったく異なる挙動を示すことが注目された。実施例1は、ASTM D638により測定された引張強さが最低であった(表4)。更に、表4に示されるように、実施例1は実施例3のほぼ半分の引張強さを示した(6.06MPa(880psi))対10.9MPa(1580psi))。本発明の複合材料サイディングの引張強さは9.7MPa(1410psi)で、2種の繊維/セメント製品(実施例1及び3)の間であった。本発明の複合材料サイディングの引張強さは試験した製品の中で最高の引張強さではなかったが、示された引張強さ(9.7MPa(1410psi))は適度に良好であり、本発明のサイディング製品は試験された他のサイディング製品に匹敵する引張強さであることが示された。サイディングはまれにしか引き伸ばされたり張力を受け続けたりしないので高い引張強さを必要性としないから、サイディング製品においては、引張強さは製品の品質の決定においてあまり重要ではない事項である。
弾性率試験においても、引張強さ試験に関して注目されたそれと同一の傾向が観察された。特に、実施例1は、1110ksiで、4種の厚板サイディングの中で最低の値又は最小の剛性を示し、1750ksiの本発明の複合材料のサイディング及び1870ksiの実施例3がそれに続いた。実施例2は、これらの評価の中で最高の引張強さ及び最低の弾性率を示した。弾性率(剛性)試験においては、本発明の複合材料サイディングより高い値を示した唯一の試験製品は、繊維/セメントを基剤とする製品である実施例3であった。しかしながら、本発明の複合材料サイディングとは異なり、繊維/セメントサイディング製品はずっと重く、輸送及び設置が困難であり、一層脆性であるので壊れやすい。他方、本発明の複合材料サイディング製品は、軽量であり、設置及び輸送がともに容易である。したがって、表4に示された結果は、本発明の複合材料サイディング製品が現在市販されている製品と同様な機械的強さであり、少なくとも商業上それらに匹敵することを示す。









【0034】
【表5】

【0035】
表5に示されるように、繊維/セメントサイディング製品(実施例1及び3)は、最低の曲げ強さを示した。木材粉塵から形成された配向ストランドボード及びポリマーバインダーである実施例2は最高の曲げ強さを示し、本発明の複合材料サイディングは中程度であった。曲げ強さの試験においては、本発明の複合材料サイディングより曲げ強さが高かった唯一の試験製品は木材を基剤とする製品である実施例2であった。しかしながら、木材を基剤とする製品は、腐敗、かび、シロアリ又はその他の害虫の蔓延を含むいくつかの欠点を有し、耐火性ではない。実際に、木材を基剤とするサイディング製品は火の広がりを伝播させるであろう。他方、本発明のサイディング組成物中には木材が存在しないので、本発明のサイディング製品は耐火性であり、火を広げず、動物又は虫の蔓延又はかびの生育を受けない。
【0036】
【表6】

【0037】
表6に示されるように、本発明の複合材料サイディング製品は、それぞれASTM試験D4812及びD570において最高の耐衝撃性及び最少の吸水率を示した。実施例1及び3(繊維/セメントサイディング製品)は、13.8cm-kg(1ft-lb)より低い最低のアイゾッド耐衝撃性を示した。吸水率においては、本発明の複合材料サイディング製品が、24時間水に浸漬した後に1%未満の質量増加であった。これに対し、実施例2及び3は約20%吸収し、実施例1は約40%吸収した。高い耐衝撃性及び低い吸水率は、本発明の複合材料サイディング製品が、雹、急落する瓦礫類(ハリケーンから発生するような)のような衝撃に対する優れた耐性、及び洪水の平原地帯又はハリケーン多発地域において非常に消費者のためになるであろう優れた耐水性を有することを示す。
アイゾッド衝撃試験のほかに、実施例1(繊維/セメントサイディング製品)、実施例2(ビニルサイディング製品)、及び本発明の複合材料サイディング製品についてガードナー衝撃試験を実施した(図6)。サイディング製品への衝撃には1.8kg(4lb)の質量を用いた。最初の衝撃は38cm(15インチ)(68cm-kg(60in-lb))で実施され、次の衝撃は9.1cm-kg(8in-lb)(5.1cm(2インチ))増大させて実施された。ASTM D4226に記載されているこの試験はビニルに特異的であることに注目すべきである。したがって、破損が起こっているか否かの決定は目視検査に依存する。次いで破損を脆性である(穿孔、破片、又は先端における0°の亀裂/割れ目)か延性である(先端における0°でない裂け目/割れ目)か分類しなければならない。本発明のポリマー-石膏系は、ビニルと同じようには破損しないので、従来のような破損は多少決定には困難であった。その結果、合格/破損又は脆性/延性系の代わりに、へこみ、亀裂、基板の暴露、及び突き抜けが起こったときに注目した。結果は図6に要約する。
【0038】
図6に描かれているデータは、前記の表6に示したアイゾッド衝撃試験の結果と一致する。図6に示されるように、繊維/セメントサイディング製品は、わずか23cm-kg(20in-lb)でへこみを示し、最低の耐衝撃性を示した。実施例2は約46cm-kg(40in-lb)でへこみ、直後に亀裂を示し、約97cm-kg(85in-lb)の衝撃で完全な“突き抜け”を示した。実施例1は約103cm-kg(90in-lb)で“突き抜け”を示した。本発明の複合材料サイディング製品はこれらの値を有意に超える耐衝撃性を示した。約57cm-kg(50in-lb)でへこみ、約80cm-kg(70in-lb)で亀裂を生じたけれども、本発明の複合材料サイディング製品は約137cm-kg(120in-lb)の衝撃後もそのままであった。曲げ強さはサイディングの取扱及び設置の両方において重要な性質であるけれども、耐衝撃性は、路上生活者の野球又はゴルフボール、雹、及び/又はその他の瓦礫類に対する耐衝撃性のようなサイディング材料の耐久性における重要な因子である。
表1〜6及び図6に示されたデータは、本発明のサイディング製品が試験された市販の製品と同様、場合によってはそれらより良好に機能することを示す。前述のように、本発明のサイディング製品は最高の耐水性及び最高の耐衝撃性を示した。消費者は耐候性(耐水性)及び耐衝撃性(例えば、雹、野球等からの衝撃)に関心があるので、これらはサイディング製品の品質を決定する2つの重要な因子である。更に、本発明の複合材料サイディングは、サイディング製品の実用化を決定する補助的な因子である機械的試験において適度以上に機能した。
【実施例2】
【0039】
本発明の複合材料サイディング製品の燃焼試験
ASTM E84(建材の表面燃焼特性に関する標準試験方法)を用い、表2に示した本発明の組成物から製造されたサイディング製品について耐火性に関する追加の試験を実施した。ASTM E84標準試験方法にしたがって、幅61cm(2ft)長さ7.3m(24ft)のトンネル内で試験を実施した。トンネルは、制御された空気流下で試験されるサイディング製品の表面に炎を向ける2つのガスバーナーを一方の端部に含んだ。本発明の複合材料サイディング、市販のサイディング製品、及びヒマラヤスギを長さ60cm(23.5インチ)に切断して、設置したら約2.54cm(1インチ)重なるようにトンネル内に置いた。10分間の暴露中に炎が移動する距離及び炎の最前部が前進する速度を火炎拡散指数の計算に使用した。煙発現指数は、通過する煙、微粒子、及びその他の流出物のための入射光線の減衰の変化を追跡するためにトンネルの排出端部に搭載された測光器系を用いて測定された。
各材料の指数は、その性能を、それぞれ0及び100と任意に確立した繊維/セメントボード及び精選グレードの赤いオーク材の床板のそれと比較することにより決定した。火炎拡散指数が0〜25の材料は、クラスI又はAとみなされた。クラスII(B)の材料は26〜75の指数を有し、クラスIII(C)の材料は76以上の指数を有した。繊維/セメントサイディング製品と同様に、本発明の複合材料サイディング製品はクラスI(A)の耐火性等級を示した。試験の結果を表7に示す。
【0040】
【表7】

【実施例3】
【0041】
マット強化ポリマー石膏パネル
まず、表8に示す質量%のα-石膏、ポリアクリルラテックス乳濁液、シランカップリング剤、メラミン-ホルムアルデヒド、及び促進剤(硫酸アンモニウム)から形成されるポリマー/石膏スラリーを形成することによりマット強化ポリマー石膏パネルを調製した。乾燥成分(α-石膏、メラミン-ホルムアルデヒド、及び硫酸アンモニウム)を容器内で乾燥混合した。湿った成分(ポリアクリルラテックス乳濁液及びシランカップリング剤)は混合容器中で混合した。成分が完全に混合するまで時間をかけて乾燥成分を混合容器に添加した。得られるポリマー/石膏スラリーを、1乃至5層のOwens Corningの9.52kg/m2(1.95lb/ft2)のこけら板マットを含む30cm×30cm(12インチ×12インチ)の繊維強化パネルを製造するのに使用した。種々のパネルの物理的性質を表9に示す。
【0042】
【表8】






【0043】
【表9】

【0044】
2層及び3層の本発明のマット強化ポリマーパネルを、引張強さ(ASTM D638)、引張弾性率(ASTM D638)、及びアイゾッド衝撃強さ(ノッチなし)(ASTM D4812)を含む種々の機械的性質について試験した。これらの2層及び3層のガラスマット強化ポリマーパネルはまた、ASTM D570に示される試験手順にしたがって吸水率についても試験した。機械的試験の結果を表10に示す。
【0045】
【表10】

【0046】
表10から、2層及び3層のガラス強化ポリマーパネルは試験した従来の乾式壁体よりずっと大きな引張強さを有すると判断しうる。その上、本発明のパネルにおけるガラス強化材は、試験した従来の乾式壁体よりずっと大きく本発明のパネルの衝撃強さを増大させた。更に、ガラスマットの層の数が2層から3層に増大するにしたがって、引張強さも大幅に増大した。層構造においてはより多くのガラスマットがガラス強化ポリマーパネルに添加されるにしたがって、本発明のパネルの耐衝撃性が増大し続けるであろうと確信される。加えて、2層及び3層のガラス強化ポリマーパネルは従来の乾式壁体より有意に少量しか吸水しないことが表10からわかる。この吸水率の減少は、本発明のポリマーパネルが、洪水の平原地帯又はハリケーン多発地域のような多量の水を受けがちな地域においてパネルが崩壊せずに使用されうるという点で意義がある。また、2層及び3層のガラス強化ポリマーパネルはともに従来の乾式壁体より薄いことに注目すべきである。本発明のパネルの薄さにより提供される利点の一は、一度により多くの製品が輸送され、それにより輸送費用が節約できるということである。したがって、本発明のガラス強化ポリマーパネルは、従来の乾式壁体より薄い製品において、衝撃強さが増大し、引張強さが向上し、かつ吸水率が減少したと表10から判断しうる。
特定の実施態様に関する前述の記載は、当業者の範囲内の知識(本明細書に列挙した参考文献の内容を含む)を適用することにより、過度の実験なしに、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、種々の適用のためにそのような特定の実施態様を容易に改良及び/又は変更しうるように本発明の一般的な本質を十分に明らかにするであろう。したがって、そのような変更及び改良は、本明細書に示された教示及び指導に基づく開示された実施態様と等価な意味及び程度の範囲内であることを意味する。本明細書における専門用語は記載のためであって限定のためではなく、そのような本明細書の専門用語は、当業者の知識と組み合わせて、本明細書に示された技術及び指導を考慮に入れて当業者により解釈されるべきであることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の1以上の典型的な実施態様による石膏ボードの略図である。
【図2】本発明の1以上の典型的な実施態様による造形された石膏ボードの略図である。
【図3】従来の石膏乾式壁板材の略図である。
【図4】本発明の1以上の典型的な実施態様による単層の薄い石膏壁板材の略図である。
【図5】本発明の1以上の典型的な実施態様による多層の石膏壁板材の略図である。
【図6】本発明の複合材料のサイディングボード、ビニルのサイディング製品、及び繊維/セメントサイディング製品に関するガードナー衝撃試験のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス強化石膏複合材料製品を形成するための湿った繊維を基剤とする組成物であって、
湿った廃チョップトストランドガラス繊維及び湿った連続ロービングからなる群から選択される湿ったガラス繊維、
石膏、及び
1種以上の水分散性ポリマー樹脂
を含む湿った繊維を基剤とすることを特徴とする組成物。
【請求項2】
充填材、1種以上のカップリング剤、有機酸、促進剤、硬化剤及び架橋ポリマーからなる群から選択される1以上を更に含む請求項1記載の湿った繊維を基剤とする組成物。
【請求項3】
前記架橋ポリマーが、メラミンホルムアルデヒド及び尿素ホルムアルデヒドからなる群から選択され、前記促進剤が硫酸アルミニウム、硫酸カリウム及び白土からなる群から選択され、かつ前記硬化剤が硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムからなる群から選択される請求項2記載の湿った繊維を基剤とする組成物。
【請求項4】
前記ポリマー樹脂が、ポリアクリル乳濁液、ポリエステル乳濁液、酢酸ビニル乳濁液、エポキシ乳濁液及びフェノールを基剤とするポリマーからなる群から選択される請求項3記載の湿った繊維を基剤とする組成物。
【請求項5】
前記ポリマー樹脂が、ポリアクリル乳濁液である請求項4記載の湿った繊維を基剤とする組成物。
【請求項6】
前記石膏が、α-石膏、β-石膏及びそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項2記載の湿った繊維を基剤とする組成物。
【請求項7】
前記湿ったガラス繊維が、前記組成物中に約1.0乃至約25質量%の量の活性固体で存在し、前記石膏が、前記組成物中に約30乃至約70質量%の量の活性固体で存在し、かつ前記1種以上の水分散性ポリマーが、前記組成物中に約4.0乃至約40質量%の量の活性固体で存在する請求項1記載の湿った繊維を基剤とする組成物。
【請求項8】
成形された湿った繊維を基剤とする組成物を含むガラス繊維強化石膏複合材料製品であって、前記成形された湿った繊維を基剤とする組成物が所定の形状を有し、前記組成物が、
湿った廃チョップトストランドガラス繊維及び湿った連続ロービングからなる群から選択される湿ったガラス繊維、
石膏、及び
1種以上の水分散性ポリマー樹脂
を含むことを特徴とするガラス繊維強化石膏複合材料製品。
【請求項9】
前記湿った繊維を基剤とする組成物が、充填材、1種以上のカップリング剤、有機酸、促進剤、硬化剤、メラミンホルムアルデヒド及び尿素ホルムアルデヒドからなる群から選択される1以上を更に含む請求項8記載のガラス繊維強化石膏複合材料製品。
【請求項10】
前記1種以上の水分散性ポリマー樹脂が、ポリアクリル乳濁液、ポリエステル乳濁液、酢酸ビニル乳濁液、エポキシ乳濁液及びフェノールを基剤とするポリマーからなる群から選択される請求項8記載のガラス繊維強化石膏複合材料製品。
【請求項11】
前記成形された湿った繊維を基剤とする組成物が、1以上の広範囲にわたる面を有し、前記1以上の広範囲にわたる面が模様のある表面を有する請求項8記載のガラス繊維強化石膏複合材料製品。
【請求項12】
前記成形された湿った繊維を基剤とする組成物が、1以上の広範囲にわたる面を有し、前記1以上の広範囲にわたる面が、前記成形された湿った繊維を基剤とする組成物の美的感覚又は耐候性を高めるために、製造後の塗膜を有する請求項8記載のガラス繊維強化石膏複合材料製品。
【請求項13】
前記所定の形状が、ボード様の形状であり、前記湿ったガラス繊維が、湿った廃チョップトストランドガラス繊維であり、前記湿った廃チョップトストランドガラス繊維が、前記成形された湿った繊維を基剤とする組成物中に実質的に均一に分布している請求項8記載のガラス繊維強化石膏複合材料製品。
【請求項14】
2以上のポリマー/石膏層、及び
前記2以上のポリマー/石膏層間に挿入されている1以上の湿ったガラス繊維層
を含むことを特徴とする薄いガラス強化石膏乾式壁材。
【請求項15】
前記2以上のポリマー/石膏層に1種以上の水分散性ポリマーが含まれ、前記石膏が、α-石膏、β-石膏及びそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項14記載の薄いガラス強化石膏乾式壁材。
【請求項16】
前記1以上のガラス繊維層が、湿った廃チョップトストランド繊維を含む湿った成形マットである請求項15記載の薄いガラス強化石膏乾式壁材。
【請求項17】
前記湿った成形マットが、約0.2乃至約2.4g/100cm2(約0.5乃至約5.0lb/100ft2)の質量を有する請求項16記載の薄いガラス強化石膏乾式壁材。
【請求項18】
前記ポリマー/石膏層が、充填材、1種以上のカップリング剤、有機酸、促進剤、硬化剤、メラミンホルムアルデヒド及び尿素ホルムアルデヒドからなる群から選択される1以上を更に含む請求項14記載の薄いガラス強化石膏乾式壁材。
【請求項19】
前記乾式壁材が、1以上の広範囲にわたる面を有し、前記1以上の広範囲にわたる面が、模様のある表面を有する請求項18記載の薄いガラス強化石膏乾式壁材。
【請求項20】
前記乾式壁材が、耐火性及び耐水性である請求項14記載の薄いガラス強化石膏乾式壁材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−536979(P2008−536979A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506711(P2008−506711)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/013954
【国際公開番号】WO2006/113379
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507130004)オウェンス コーニング ファイバーグラス テクノロジー ザ セカンド リミテッド ライアビリティ カンパニー (9)
【Fターム(参考)】