説明

湿潤室用の防蒸気ウォールボード

【課題】湿潤室のウォールボード用の既存の要求を満たし、それによって、支柱又は他の支持物に直接設置することができ、接合部とパイプ等による貫通部の封水以外の処置が不要な、前もって製造されたウォールボードを提供する。
【解決手段】少なくとも一方の面上に繊維強化材と強化材料の層とからなる被覆層を持つ成形又は発泡ポリスチレンボードからなり、ボードと強化材料との間に下塗剤からなる蒸気バリアを形成する防蒸気層で覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気の浸透及び透過を防ぐ耐蒸気層を持つ、特に湿潤室用の、ウォールボードに関する。そのボードは、タイルで覆われるのに特に適しており、据え付けること及び一般的な既存の規格による既存の湿潤室の構造に適合させることが容易であるように、予め製造されている。
【背景技術】
【0002】
湿潤室における石膏ボードの使用は、既に知られている。これらは、湿潤室からの湿気をボードから遠ざけておくために、防湿膜で覆われていなければならない。この種の石膏ボードは、ねじ込み式接続によって支柱又は他の支持材に取り付けられ、それから防湿膜で覆われ又は塗布される。接合個所等では、湿気がボードに浸透するのを防ぐために、膜が交互に塗布された繊維細片が大抵用いられる。同様に、床との境や角において、湿気がボードに浸透するのを防ぐために、膜で覆われている繊維細片が用いられる。
【0003】
湿潤室で使用されるボードには、湿潤室に向かうボードの外面にタイルなどを固定することを可能にする剛性を持つことが求められる。これは、ボードが比較的大きな圧力及び重量応力に耐えることができなければならないことを意味する。ボードは、堅くなければならず、温度変化に反応すべきではない。換言すると、ボードは、その寿命まで変化すべきではない。さらに、蒸気又は湿気は、ボードに浸透すべきではなく、又はさらにその構造中に入るべきではない。
【0004】
湿潤室のウォールボードとしての使用に適するために、また、ボードは、建造物及び湿潤室のための国の認可手続にしたがって認可されなければならない。
【0005】
最近の発展は、湿潤室での使用に適した新しいタイプのボードを生み出した。これらのボードは、成形されたポリスチレン(XPS)又は発泡スチロール(EPS)からなるボードに基づいており、それらの低い実重量と湿潤室で直面する状況下での安定した形状のおかげで、そのような使用に適している。さらに、ボードは繊維強化布とエポキシ樹脂、好ましくは膜として作用する水性のエポキシ樹脂で覆われている。完成したボードは、それゆえ、膜ボードであり、支柱上に直接設置することができる。あるいは、ボードは、例えば、既存のレンガの壁に直接接着されてもよい。ボード間の接続部分は、繊維細片で覆われ、また撥水かつ防水の膜が塗布される。このようなボードは、また、温度を保つ閉じたセル構造を含むので、断熱している。このようなボードの一例は、ライテックス社(ノルウェイ王国、サンネフヨル)のライテックス(登録商標)ボードである。
【0006】
最近は、しかしながら、ウォールボードに関する要求は、防水及び撥水膜に向けられているだけでなく、防蒸気膜の方へと移動している。蒸気バリアは湿潤室の壁構造に大抵使用されるが、この場合、壁構造とウォールボードとの間の不浸透性のプラスチックシートとして使用される。湿潤室のウォールボードのための新たな要求によれば、防水性を持ち、また圧縮強度等に関する要求の残りを満たすのに加えて、ウォールボード上に防蒸気面を持つことがまた必要である。この種の防蒸気面は、蒸気の浸透又は透過を防ぐいわゆる蒸気ブロック又は蒸気バリアを利用することによって得ることができる。蒸気バリアは、蒸気抵抗又は蒸気抵抗力と呼ばれる、それがどのぐらいの蒸気圧に耐えられるのかということによって、特徴付けられる。
【0007】
蒸気バリアの目的は、湿った空気が湿潤室からその構造の支えへ移動することを防ぐことである。湿潤室は湿った暖かい空気を収容し、周囲の部屋又は家屋の外はより冷たいので、湿潤室と周囲の環境との間には、大抵、相当の温度差がある。湿潤室が外壁を背にして設置されている多くの場合、温度差は相当なもので有り得、30〜50℃に達するかもしれない。この温度差のせいで、蒸気(湿った暖かい空気)は冷やされ、その湿気を保つ能力を失う。蒸気によって解放された水分は、その後、その構造の中に残り、望ましくない水分損傷へ至らしめるかもしれない。湿潤室構成のための蒸気抵抗の要求は、関連機関によって、ノルウェイの標準建築用に確立され、蒸気抵抗要求は、湿潤室が冷たい外壁又は断熱されていない地下室を持つ場合に、典型的には、50×10sPa/kg又は10m等価空気層厚であろう。その要求は、国ごとに異なるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、それゆえ、湿潤室のウォールボード用の既存の要求を満たし、それによって、支柱又は他の支持物に直接設置することができ、接合部とパイプ等による貫通部の封水以外の処置が不要な、前もって製造されたウォールボードを提供することにある。そのウォールボードは、防水表面を持つべきであり、加えて、既存の建築規則にしたがう防蒸気性でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
湿潤室の壁、床及び天井に使用されるウォールボードが、それによって、提供される。そのボードは、タイルを貼ること及び漆喰を塗ることに、特に適している。そのボードは、少なくとも一方の面上に繊維強化材と強化材料の層とからなる被覆層を持つ成形又は発泡ポリスチレンボードからなる。そのウォールボードは、加えて、下塗剤がポリスチレンボードと外側の強化材料との間でボードの全長に亘って塗られている場合に、下塗剤からなる蒸気バリアを形成する防蒸気層で覆われていることによって特徴付けられる。
【0010】
さらなる実施の形態において、湿潤室の壁、床及び天井に使用されるウォールボードが提供される。そのボードは、タイルを貼ること及び漆喰を塗ることに特に適している。そのボードは、少なくとも一方の面上に繊維強化材と強化材料の層とからなる被覆層を持つ成形又は発泡ポリスチレンボードからなる。そのウォールボードは、加えて、ポリスチレンボードと外側の強化材料との間又は強化材料の外側の上をボードの全長に亘り覆うアルミ箔からなる蒸気バリアを形成する防蒸気層で覆われていることによって特徴付けられる。異なる実施の形態において、アルミ箔は、強化材料が塗られる前のボード又は強化材料の外側に直接接着されてもよい。
【0011】
また別の実施の形態において、湿潤室の壁、床及び天井に使用されるウォールボードが提供される。そのボードは、タイルを貼ること及び漆喰を塗ることに特に適している。そのボードは、少なくとも一方の面上に繊維強化材と強化材料の層とからなる被覆層を持つ成形又は発泡ポリスチレンボードからなる。そのウォールボードは、加えて、下塗剤が外側の強化材料の外側にボードの全長に亘って塗られている下塗剤からなる蒸気バリアを形成する防蒸気層で覆われていることによって特徴付けられる。
【0012】
さらなる実施の形態において、湿潤室の壁、床及び天井に使用されるウォールボードが提供される。そのボードは、タイルを貼ること及び漆喰を塗ることに特に適している。そのボードは、少なくとも一方の面上に繊維強化材と強化材料の層とからなる被覆層を持つ成形又は発泡ポリスチレンボードからなる。そのウォールボードは、加えて、下塗剤が成形されたポリスチレンボードを覆い、ボードの全長に亘って塗られている場合に、下塗剤からなる蒸気バリアを形成する防蒸気層で覆われていることによって特徴付けられる。外側の強化材料と下塗剤は混合され単一の作業で塗られている。
【0013】
全ての実施の形態のために、強化材料は、硬化エポキシ混合物又はセメントベース混合物であってよい。これはまた、水性エポキシであってもよい。さらに、繊維強化材はファイバークロスであってよく、又繊維強化材は強化材料に含まれる繊維から構成されてもよい。これらの共通の特徴は、繊維強化材がガラス繊維であってよいことである。繊維は、また、防蒸気層を形成するための下塗剤に含まれていてもよい。
【0014】
用いられた下塗剤は、水密特性を持ち、望ましくは国の承認手続又は規格に指定され又は推薦された仕様にしたがって適当な蒸気圧に耐える防蒸気又は蒸気制限層を形成する。いつくかの異なる下塗剤が用いられてよい。一例として、水、例えば0〜40%の水、と混合されたブタジエンスチレン共重合体がある。この混合物は、水溶性である。さらなる例は、同じく水溶性のポリビニリデンクロライドである。この混合物はまた、望ましくは不活性の充填材を含む。他の述べられるであろう例は、アクリル樹脂、ビニルクロライド、エチルアセテート、ビニルアセテート、アクリルスチレン、ビチューメン、ポリエチレン塗装である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図を参照して、本発明が概略的に説明される。
【0016】
図1に明らかにされているように、大抵、標準の浴室壁は、間に断熱材2を有し通常木工品からなる支柱1と、壁の一面上の塗装3とから構成される。壁のバスルーム側の面上には、さらに、壁に貼られるべきセラミックタイル7の重みを支えるための、1〜2層の適切な厚みの石膏ボード4がある。また、タイル7が接着剤6で貼られる前に、防水膜5が石膏ボード4に貼り付けられている。
【0017】
本発明の一実施の形態が図2に明らかにされており、成形又は発泡ポリスチレンのコア10の両面が、ファイバークロス11と、ファイバークロス11をコア10に固定する強化材層12によって覆われている。この図は、さらに、適切な蒸気抵抗を提供する下塗剤13が、コア10と繊維強化された強化材層11,12との間に、どのように塗られているのかを明らかにする。
【0018】
本発明のさらなる実施の形態が図3に明らかにされており、成形又は発泡ポリスチレンのコア10の両面が、ファイバークロス11と、ファイバークロス11をコア10に固定する強化層12によって覆われている。この図は、さらに、適切な蒸気抵抗を提供する下塗剤13が、繊維強化された強化材層11,12の外側に、どのように塗られているのかを明らかにする。上記で指摘したように、防蒸気層を形成する下塗剤は、また、強化材層と混合されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】浴室壁の既に知られている構成を示す図である。
【図2】本発明のウォールボードの実施の形態の構成を示す図である。
【図3】本発明のウォールボードのさらなる実施の形態の構成を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤室の壁、床及び天井に用いられるウォールボードにおいて、
そのボードは、タイルを貼ること及び漆喰を塗ることに特に適しており、
そのボードは、少なくとも一方の面上に繊維強化材と強化材料の層とから成る被覆層を持つ成形又は発泡ポリスチレンボードから構成され、
さらに、そのウォールボードは、下塗剤がポリスチレンボードと外側の強化材料との間でそのボードの全長に亘って塗られている場合に、下塗剤からなる蒸気バリアを構成する防蒸気層で被覆されている、ことを特徴とするウォールボード。
【請求項2】
請求項1のウォールボードにおいて、
強化材料が硬化性エポキシ混合物であることを特徴とするウォールボード。
【請求項3】
請求項1のウォールボードにおいて、
強化材料がセメントベース混合物であることを特徴とするウォールボード。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかのウォールボードにおいて、
繊維強化材がファイバークロスであることを特徴とするウォールボード。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかのウォールボードにおいて、
繊維強化材が強化材料中に含まれている繊維であることを特徴とするウォールボード。
【請求項6】
請求項1乃至5のウォールボードにおいて、
繊維強化材がガラス繊維であることを特徴とするウォールボード。
【請求項7】
湿潤室の壁、床及び天井に用いられるウォールボードにおいて、
そのボードは、タイルを貼ること及び漆喰を塗ることに特に適しており、
そのボードは、少なくとも一方の面上に繊維強化材と強化材料の層とから成る被覆層を持つ成形又は発泡ポリスチレンボードから構成され、
さらに、そのウォールボードは、ポリスチレンボードと外側の強化材料との間でそのボードの全長を覆うアルミ箔からなる蒸気バリアを構成する防蒸気層で被覆されている、ことを特徴とするウォールボード。
【請求項8】
請求項7のウォールボードにおいて、
アルミ箔がウォールボードに接着剤で張り付けられていることを特徴とするウォールボード。
【請求項9】
請求項7乃至8のウォールボードにおいて、
強化材料が硬化性エポキシ混合物であることを特徴とするウォールボード。
【請求項10】
請求項7乃至8のウォールボードにおいて、
強化材料がセメントベース混合物であることを特徴とするウォールボード。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれかのウォールボードにおいて、
繊維強化材がファイバークロスであることを特徴とするウォールボード。
【請求項12】
請求項7乃至10のいずれかのウォールボードにおいて、
繊維強化材が強化材料中に含まれている繊維であることを特徴とするウォールボード。
【請求項13】
請求項7乃至12のウォールボードにおいて、
繊維強化材がガラス繊維であることを特徴とするウォールボード。
【請求項14】
湿潤室の壁、床及び天井に用いられるウォールボードにおいて、
そのボードは、タイルを貼ること及び漆喰を塗ることに特に適しており、
そのボードは、少なくとも一方の面上に繊維強化材と強化材料の層とから成る被覆層を持つ成形又は発泡ポリスチレンボードから構成され、
さらに、そのウォールボードは、下塗剤が外側の強化材料の外面にそのボードの全長に亘って塗られている場合に、下塗剤からなる蒸気バリアを構成する防蒸気層で被覆されている、ことを特徴とするウォールボード。
【請求項15】
請求項14のウォールボードにおいて、
強化材料が硬化性エポキシ混合物であることを特徴とするウォールボード。
【請求項16】
請求項14のウォールボードにおいて、
強化材料がセメントベース混合物であることを特徴とするウォールボード。
【請求項17】
請求項14乃至16のいずれかのウォールボードにおいて、
繊維強化材がファイバークロスであることを特徴とするウォールボード。
【請求項18】
請求項14乃至16のいずれかのウォールボードにおいて、
繊維強化材が強化材料中に含まれている繊維であることを特徴とするウォールボード。
【請求項19】
請求項14乃至18のウォールボードにおいて、
繊維強化材がガラス繊維であることを特徴とするウォールボード。
【請求項20】
湿潤室の壁、床及び天井に用いられるウォールボードにおいて、
そのボードは、タイルを貼ること及び漆喰を塗ることに特に適しており、
そのボードは、少なくとも一方の面上に繊維強化材と強化材料の層とから成る被覆層を持つ成形又は発泡ポリスチレンボードから構成され、
さらに、そのウォールボードは、混合され単一の作業により塗布された外側の強化材料と下塗剤とによって、下塗剤がそのボードの全長に亘って塗られている場合に、下塗剤からなる蒸気バリアを構成する防蒸気層で被覆されている、ことを特徴とするウォールボード。
【請求項21】
請求項20のウォールボードにおいて、
強化材料が硬化性エポキシ混合物であることを特徴とするウォールボード。
【請求項22】
請求項20のウォールボードにおいて、
強化材料がセメントベース混合物であることを特徴とするウォールボード。
【請求項23】
請求項20乃至22のいずれかのウォールボードにおいて、
繊維強化材がファイバークロスであることを特徴とするウォールボード。
【請求項24】
請求項20乃至22のいずれかのウォールボードにおいて、
繊維強化材が強化材料中に含まれている繊維であることを特徴とするウォールボード。
【請求項25】
請求項20乃至24のウォールボードにおいて、
繊維強化材がガラス繊維であることを特徴とするウォールボード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−25336(P2008−25336A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−165490(P2007−165490)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(507210524)リーテックス アクティーゼルスカブ (1)
【Fターム(参考)】