溶存水素濃度測定装置及び溶存水素濃度の測定方法
【課題】熱伝導度検出器を用いて、被測定水中に水素とその他の気体が共存する場合であっても、水中に溶存する水素の濃度を正確に、測定する。隔膜型ポーラロ式水素濃度計の管理上の問題点を解消する。
【解決手段】流路と、流路内の水中の溶存水素を除去する水素除去部と、水中の溶存気体による熱伝導度の変化を検出し電気信号に変換する1又は複数の熱伝導度検出器と、水素除去部通過前の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を熱伝導度検出器で変換した電気信号及び水素除去部通過後の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を熱伝導度検出器で変換した電気信号に基づいて、水中の溶存水素濃度を算出する溶存水素濃度算出手段と、を有する溶存水素濃度測定装置。
【解決手段】流路と、流路内の水中の溶存水素を除去する水素除去部と、水中の溶存気体による熱伝導度の変化を検出し電気信号に変換する1又は複数の熱伝導度検出器と、水素除去部通過前の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を熱伝導度検出器で変換した電気信号及び水素除去部通過後の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を熱伝導度検出器で変換した電気信号に基づいて、水中の溶存水素濃度を算出する溶存水素濃度算出手段と、を有する溶存水素濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中の溶存水素濃度測定装置及び溶存水素濃度の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体素子の製造工程で使用する洗浄水、細胞培養、DNA複製、医療用の精製水、原子力発電での冷却水、微量分析用の溶媒など、様々な分野において超純水が使用されている。中でも、電子デバイスをはじめとする電子部品製造の洗浄工程では、多くの超純水が使用されている。電子デバイスの製造工程では、基板表面を超純水で洗浄している。この洗浄には、超純水のみならず、窒素ガス、水素ガス、オゾンガス等を超純水に溶解し、洗浄効果を高めた、いわゆる機能水が用いられることがある。
【0003】
一般的な機能水の製造ラインでは、各ユースポイントでの仕様に応じて、複数の機能水を供給する構成とすることがある。特に、かかる製造ラインで製造した水素水を、一部のユースポイントに供給する場合には、そのユースポイントで消費できなかった余剰の水素水を超純水の製造ラインへ戻す設備を設けることがある。
【0004】
超純水では、含有不純物量を非常に少ないレベルにするように要求されている。このため、水中の溶存気体量も少ない量に制御する必要がある。また、機能水では、溶解させるガスの濃度を適切な濃度に制御する必要がある。
【0005】
このような制御を行うためには、水中の正確な溶存気体濃度を測定することが求められる。現在、水中の溶存水素濃度を測定する装置としては、熱伝導度式(TCD型)溶存水素計及び隔膜型ポーラロ式水素濃度計が存在する。熱伝導度式溶存水素計の測定原理は非特許文献1に開示されている。また、非特許文献2には隔膜型ポーラロ式酸素濃度計の測定原理が開示されており、この酸素濃度計と同様の測定原理によって、隔膜型ポーラロ式水素濃度計では水素濃度の測定を行う。
【0006】
隔膜型ポーラロ式水素濃度計は、低濃度まで水素を測定できるという利点を有するものの、電極での反応性の劣化や立ち上がり不良を防ぐため、測定中か否かに関わらず電圧印加が必要とされている。また、水中に酸化物が存在すると電極が劣化して、測定誤差の原因となる場合があった。このため、隔膜型ポーラロ式水素濃度計では、安定して連続的に水中の水素濃度を測定することは困難であった。
【0007】
一方、熱伝導度式溶存水素計は、上記のような隔膜型ポーラロ式水素濃度計の問題点がなく、連続的に安定して溶存水素濃度を測定できるという特徴を有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「TECHNICAL NEWS」、[カタログ](オービスフェア社(現:ハック社)、1997年11月
【非特許文献2】「溶存酸素計の測定原理」、[online]、[平成21年7月28日検索]、インターネット(URL:http://www.hachultra.jp/index.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
熱伝導度式溶存水素計は、被測定水中から測定用プローブ内に拡散してきた水素によって、プローブ内の熱伝導度が変化し、その熱伝導度の変化速度と水素濃度とが一定の関係にあることを利用して溶存水素濃度を算出している。このため、水中に水素以外の気体が溶存していると、水素と共に水素以外の気体もプローブ内まで拡散し、プローブ中の熱伝導度を変化させる。従って、水中に複数の気体が溶存している場合には、水素以外の気体の存在によって測定誤差が生じる原因となっていた。
【0010】
また、従来の熱伝導度式溶存水素計では、測定できる水素濃度の範囲に限界があり、数十ppb以下の低濃度の溶存水素の測定は困難であった。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、水中に複数種の気体が溶存する場合であっても、従来の熱伝導度検出器を用いて、水素濃度の正確な値を測定可能とし、かつ、測定中か否かに関わらず電圧印加が必要な隔膜型ポーラロ式水素濃度計の管理上の問題点を解消することができる、水中の溶存水素濃度の測定装置及び測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
熱伝導度検出器を用いて被測定水中の溶存水素濃度を測定するに際し、被測定水中に水素以外の溶存気体が存在すると、熱伝導度検出器は、測定対象の水素と気体が共存した溶存気体による熱伝導度の変化速度を測定し、その変化速度との関係で溶存水素濃度を算出する。
【0013】
例えば、水素及び窒素が溶存した被測定水について、熱伝導度式溶存水素計を用いて溶存水素濃度を測定する場合を例に挙げて説明する。この場合、窒素の熱伝導度は0℃で0.0243(W/(m・K))、100℃で0.0312(W/(m・K))であるのに対して、水素の熱伝導度は0℃で0.1684(W/(m・K))、100℃で0.216(W/(m・K))である。このように水素の熱伝導度は、窒素の熱伝導度と異なる値を示す(理科年表 昭和57年版)。つまり、被測定水中の溶存水素濃度を測定するに際し、被測定水中に溶存窒素も含まれている場合には、熱伝導度式溶存水素計による測定値は、実際の溶存水素濃度よりも溶存窒素分だけ多くなる。
【0014】
このことから、本発明者らは、被測定水中の溶存水素を取り除くことで、溶存水素除去前の水中の溶存気体による熱伝導度の変化及び溶存水素除去後の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を熱伝導度検出器で測定した結果を出力し、それぞれの測定値の差から溶存水素濃度を算出することにより、簡便な方法で、被測定水中に水素とその他の気体が共存する場合であっても、正確な溶存水素濃度を測定できる方法を見出し、以下の発明に至った。
【0015】
即ち、 流路と、
前記流路内の水中の溶存水素を除去する水素除去部と、
前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を検出し、電気信号に変換する1又は複数の熱伝導度検出器と、
前記水素除去部通過前の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を前記熱伝導度検出器で変換した電気信号及び前記水素除去部通過後の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を前記熱伝導度検出器で変換した電気信号に基づいて、前記水中の溶存水素濃度を算出する溶存水素濃度算出手段と、
を有する、溶存水素濃度測定装置に関する。
【0016】
また、水中の溶存水素を除去する水素除去工程と、
前記水素除去工程前の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を測定する第1の測定工程と、
前記水素除去工程後の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を測定する第2の測定工程と、
前記第1の測定工程及び第2の測定工程における熱伝導度の変化の測定結果に基づき、前記水中の溶存水素濃度を算出する溶存水素濃度算出工程と、
を有する、溶存水素濃度の測定方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
熱伝導度検出器を用いて、被測定水中に水素とその他の気体が共存する場合であっても、水中に溶存する水素の濃度の正確な値を測定することができる。また、隔膜型ポーラロ式水素濃度計の管理上の問題点を解消するとともに、隔膜型ポーラロ式水素濃度計と同程度に低濃度の溶存水素濃度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】溶存水素濃度の測定原理を説明する図である。
【図2】従来の溶存気体濃度の測定方法を説明する図である。
【図3】溶存水素濃度の測定方法を説明する図である。
【図4a】溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。
【図4b】溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。
【図4c】溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。
【図4d】溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。
【図4e】溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。
【図5】溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。
【図6】参考例1、実施例1、及び実施例2の実験工程を説明する図である。
【図7】参考例1の結果を表すグラフである。
【図8】実施例1の結果を表すグラフである。
【図9】実施例2の結果を表すグラフである。
【図10】実施例2の結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(溶存水素濃度の測定方法)
図1は本発明の溶存水素濃度の測定原理を示す図である。図1に示すように、水素除去部を通過する前(水素除去工程前)の被測定水中の気体濃度を溶存気体濃度として測定し(第1の測定)、次いで、水素除去部を通過した後(水素除去工程後)の被測定水中の気体濃度を溶存気体濃度として測定する(第2の測定)。そして、ΔDG=(第1の測定による溶存気体濃度DG1)−(第2の測定による溶存気体濃度DG2)で表されるΔDGを算出し、このΔDGの値から溶存水素濃度を算出する処理を行う。
【0020】
被測定水中の溶存気体濃度の測定ではまず、電気信号に変換する素子(熱伝導度検出素子=TCD)と半透膜とを組み合わせた熱伝導度検出器を有するものを用いて、被測定水中の溶存気体による熱伝導度の変化を測定する。
【0021】
図2は一般的な溶存気体濃度の測定原理を示す図である。まず、バルブ124を開とし、パージガス供給源120のパージガス(二酸化炭素ガス、アルゴンガス等)をパージガス供給ライン122から測定室110に供給し、測定室110内をパージガスで充満させる。この状態において、TCD112はパージガスの熱伝導度を測定し、その測定値を信号として増幅器130に出力する。この際、測定室110内は特定のパージガスで充満されているため、TCD112から増幅器130に出力される信号は、パージガスの熱伝導度で安定している。TCD112から出力された信号は、増幅器130を経由し制御器132に送られる。制御器132では、TCD112から出力される信号が安定、即ち、測定室110内のパージが完了すると、バルブ124を閉とし、測定室110へのパージガスの供給を停止する。
【0022】
測定室110内がパージガスで充満されている状態で、流路1に被測定水が供給されると、被測定水中の溶存気体は半透膜104を透過して測定室110に移行する。流路1から溶存気体が測定室110に移行してくると、測定室110内のパージガスは、移行してきた溶存気体によりガス排出ライン114に排出される。そして、TCD112は、測定室110内の溶存気体濃度に応じた熱伝導度を測定し、その測定値を信号として増幅器130を介して制御器132に出力する。測定室110内のパージガスが溶存気体に置換される速さは、流路1の溶存気体の分圧に比例する。このため、制御器132は、TCD112が検出する熱伝導度の変化速度から、流路1における溶存気体の分圧を求め、求めた溶存気体の分圧を基に被測定水中の溶存気体濃度が算出される。
【0023】
したがって、本発明において被測定水中の溶存水素濃度を測定するにあたっては、TCDと半透膜とを組み合わせた熱伝導度検出器を有するものを用いて、被測定水中の溶存気体の熱伝導度の変化を測定することができればよい。例えば、窒素濃度算出部を用いて溶存水素濃度を測定する場合は、熱伝導度検出器で変換した電気信号は水中の窒素濃度として出力される。つまり、熱伝導度検出器及び窒素濃度算出部(以下、熱伝導度検出器及び窒素濃度算出部を「熱伝導度式溶存窒素計」と記載する場合がある)により、第1の測定で水素除去部通過前の水中の溶存窒素濃度を測定し、第2の測定で水素除去部通過後の水中の溶存窒素濃度を測定する。そして、演算部により、ΔDN=(第1の測定における溶存窒素濃度DN1)−(第2の測定における溶存窒素濃度DN2)で表されるΔDNを算出し、このΔDNの値から溶存水素濃度を算出する処理を行う。また、被測定水中に溶存水素及び溶存水素以外の気体が溶存している場合であっても、溶存水素除去部では水素を選択的に除去するため、溶存水素除去部で除去された水素以外の気体の溶存量にはほとんど変化はないので、ΔDNの算出には影響しない。
【0024】
このように、既存の熱伝導度式溶存窒素計等を用いて測定を行う場合、熱伝導度検出器からの信号は溶存窒素濃度に変換されて出力される。このため、既知の溶存水素濃度のサンプル水を用いて熱伝導度式溶存窒素計で測定して得られた溶存窒素濃度を元に作成した、溶存水素濃度と溶存窒素濃度の関係を表す検量線を利用することにより、溶存窒素濃度から溶存水素濃度への変換を行うことができる。
【0025】
また、熱伝導度検出器からの電気信号をΔDNに変換して、溶存水素濃度を算出する一連の計算をプログラムによって行うこともできる。
【0026】
なお、上記窒素濃度算出部以外にも、熱伝導度検出器で変換した電気信号を、水中の溶存酸素濃度に変換する酸素濃度算出部や、水中の溶存水素濃度に変換する水素濃度算出部を使用しても良い。
【0027】
例えば、酸素濃度算出部を用いた溶存水素濃度の測定では、熱伝導度検出器及び酸素濃度算出部により、第1及び第2の測定における溶存酸素濃度DO1、DO2を測定する。この後、演算部により、ΔDO=DO1−DO2を算出し、このΔDOの値から溶存水素濃度を算出する処理を行う。
【0028】
また、水素濃度算出部を用いた溶存水素濃度の測定では、熱伝導度検出器及び水素濃度算出部により得られた第1及び第2の測定における溶存水素濃度DH1、DH2から、溶存水素濃度ΔDH=DH1−DH2を算出し、このΔDHの値から溶存水素濃度を算出する処理を行う。
【0029】
水素除去部を設けることで、従来の熱伝導度検出器を用いた測定で誤差原因となっていた共存ガスの影響を排除できるため、溶存水素濃度の正確な値を得ることができる。また、水素除去部通過前後の測定値の差分から溶存水素濃度を算出するため、隔膜型ポーラロ式水素濃度計の定量下限値と同等程度に低濃度の水素を測定することができる。
【0030】
被測定水としては、溶存水素濃度の測定対象となるいずれの水についても測定可能であるが、溶存水素濃度をより正確な値で管理することが要求され、従来の熱伝導度式溶存水素計を用いた通常の測定方法では困難である超純水等の純水や、純水に水素ガスを溶解した水素水に本発明を好適に用いることができる。例えば、図3に示すような超純水や、機能水の一種である水素水の製造工程において、溶存水素濃度を測定する場合、製造した超純水中の溶存水素を測定する場合には、図3の(a)部から流路を分岐して、後述する図4a〜eに示すように溶存水素濃度測定装置に接続する。また、水素水中の溶存水素濃度を測定する場合には、図3の(b)部で同様に溶存水素濃度測定装置を接続すればよい。
【0031】
(溶存水素濃度測定装置)
図4a〜4eは、熱伝導度検出器を用いて被測定水中の溶存窒素濃度を測定して溶存水素濃度を算出する場合の溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。一実施形態である図4aにおいて、溶存水素濃度測定装置は、流路1、水素除去部17、第1の熱伝導度検出器15a、第2の熱伝導度検出器15b、第1の窒素濃度算出部13、第2の窒素濃度算出部14、及び演算部18を有する。この流路1は、超純水や機能水の製造工程の本管61に接続される。この流路1には、上流側から下流側に向かって、すなわち、矢印の方向に順に、第1の熱伝導度検出器15a、水素除去部17、及び第2の熱伝導度検出器15bが設けられている。この第1の熱伝導度検出器15aは、水素除去部17通過前の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を電気信号に変換する。そして、第1の熱伝導度検出器15aに接続されている第1の窒素濃度算出部13において、第1の熱伝導度検出器15aからの電気信号に基づき溶存窒素濃度を算出する。また、第2の熱伝導度検出器15bは、水素除去部17通過後の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を電気信号に変換する。そして、第2の熱伝導度検出器15bに接続されている第2の窒素濃度算出部14において、第2の熱伝導度検出器15bからの電気信号に基づき溶存窒素濃度を算出する。そして、演算部18において、第1及び第2の窒素濃度算出部13及び14で算出された溶存窒素濃度の差分から溶存水素濃度を算出する。
【0032】
また、他の実施形態の一例である図4bにおいては、第1の熱伝導度検出器及び第2の熱伝導度検出器で検出した各熱伝導度の変化を電気信号に変換し、それぞれの溶存窒素濃度を1つの窒素濃度算出部13で算出できるように接続されている。この場合、例えば、まず、第1の熱伝導度検出器15aで検出した熱伝導度の変化を電気信号に変換して、水素除去部17通過前の水中の溶存窒素濃度を窒素濃度算出部13で算出し、その値が窒素濃度算出部13又は演算部18で記憶される。次いで、第2の熱伝導度検出器15bで検出した熱伝導度の変化を電気信号に変換して、水素除去部17通過後の水中の溶存窒素濃度を窒素濃度算出部13で算出し、その値が窒素濃度算出部13又は演算部18で記憶される。そして、演算部18において、この記憶されたそれぞれの溶存窒素濃度の差分から溶存水素濃度を算出する。
【0033】
なお、図4a及び図4bの実施形態では、第1の熱伝導度検出器15a及び第2の熱伝導度検出器15bが流路1に直接接続されているが、他の実施形態の一例を示す図4c及び図4dに示すように、それぞれを枝管で分岐し、その枝管にそれぞれの熱伝導度検出器を設けてもよい。
【0034】
また、他の実施形態の一例である図4eは、水素除去部17の通過前の被測定水と通過後の被測定水の溶存窒素濃度を1つの熱伝導度検出器と1つの窒素濃度算出部で測定する場合の形態である。図4eに示すように、流路1の水素除去部17の上流側に弁54を介して枝管41を分岐し、同様に流路1の水素除去部17の下流側に弁55を介して枝管42を分岐する。枝管41及び42は合流しており、この合流地点よりも下流側に熱伝導度検出器15cを接続する。そして、弁51、54を開とし、弁55を閉とすると、熱伝導度検出器15cでは、水素除去部17通過前の熱伝導度の変化を検出することができる。また、弁51、55を開とし、弁54を閉とすると、水素除去部17通過後の熱伝導度の変化を検出することができる。
【0035】
以上に実施形態の例を挙げたが、窒素濃度算出部を用いた場合は、溶存水素除去部17の通過前と通過後の溶存窒素濃度を、窒素濃度算出部を用いて算出することができ、算出した溶存窒素濃度の差分を溶存水素濃度に変換する演算部を有していれば、枝管や弁の構成、熱伝導度検出器及び窒素濃度算出部の構成は、特に限定されない。例えば、水素除去部を通過した後の水や流路から分岐した枝管の水を本管に戻すこともできるし、図4c、図4dにおいて、第1及び第2の熱伝導度検出器通過後にそれぞれの枝管を合流することもできる。また、枝管を合流させた場合に、それぞれの枝管の合流点よりも上流側に逆止弁を設けて被測定水の逆流を防止することもできる。
【0036】
また、熱伝導度検出器と窒素濃度算出部は、熱伝導度式溶存窒素計として既存のものを用いることができる。例えば、オービスフェア社製model−3621等が挙げられる。
【0037】
水素除去部17は、被測定水中の溶存水素を選択的に除去できるものであれば特に限定されない。水素除去部17は、水素吸蔵金属及び水素吸蔵合金の少なくとも一方を含む充填材を充填したカラムであることが好ましい。充填材としては、例えば金属、合金の粒、水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金を担体に担持させたものが良い。担体としては、樹脂、アルミナ、活性炭、金属及びゼオライトなどがある。また、充填材の形状は特に限定させず、例えばペレット状、球状、粒状等の形状を挙げることができる。また、水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金からなる群から選択された白金族元素を含むことが好ましい。
【0038】
演算部は、窒素濃度算出部等の気体濃度算出部で測定された、水素除去部通過前及び通過後の被測定水中の溶存窒素濃度の差分から溶存水素濃度を算出する機能を実現するように構成されていれば良く、例えば、コンピュータプログラムを読み取って対応する処理動作を実行できるハードウェアであれば良い。具体的には、CPU(Central Processing Unit)を主体として、これに、ROM、RAM(Random Access Memory)、I/F(Interface)ユニット等の各種デバイスが接続されたハードウェアなどで良い。また、演算部と気体濃度算出部のプロセッサーは、個々の独立した存在である必要はなく、1個の溶存水素濃度算出手段として形成されていること、お互いの一部が重複していることが可能である。例えば、熱伝導度検出器で検出した熱伝導度の変化速度の電気信号を直接、溶存水素濃度算出手段に入力し、溶存水素濃度算出手段で算出されたΔDNの値を溶存水素濃度に変換する処理を行うこともできる。また、ΔDNを算出しなくても、溶存気体の熱伝導度の変化速度と溶存気体濃度が比例関係にあることから、水素除去部通過前及び通過後の各熱伝導度検出器による電気信号の差分から直接、溶存水素濃度を求めてもよい。
【0039】
(水素除去機能回復手段)
溶存水素濃度測定装置は、水素除去部の水素除去機能を回復するような水素除去機能回復手段を有することが好ましい。水素除去機能回復手段は、水素除去部の水素除去機能を回復できれば、その方法は問わないが、被測定水に酸素を添加して水素除去部に酸素を通過させる、酸素添加手段を有するのが好ましい。溶存水素濃度測定装置を使用するにつれて、水素除去部内は取り込まれた水素により徐々に飽和状態になる。そして、水素除去部の水素吸蔵能力が飽和状態となった後は、水素除去部により被測定水中の溶存水素を除去できなくなる。そこで、酸素を通過させることによって、下記式(A)で表すように、水素除去部に取り込まれた水素は、水中の酸素と反応して水となり除去される。
2H2+O2→2H2O (A)
この結果、水素除去部は長時間、安定してほぼ完全に水中の水素を除去できるようになる。
【0040】
図5に酸素添加手段を備えた溶存水素濃度測定装置の一例を示す。図5では、酸素添加手段28は、ガス溶解膜19と、弁56及び弁57を備えている。弁56には酸素ガスを溶解させる水を供給する水供給部21が接続されており、弁57には酸素ガスを供給する酸素供給部20が接続されている。そして、流路1の水素除去部17の上流側に接続されている。ガス溶解膜19は、気体を透過させるが液体は透過させないため、このガス溶解膜を通して酸素ガスが被測定水中に供給される。これにより、酸素が被測定水を媒体として水素除去部に取り込まれる。
【0041】
酸素添加手段は、水素除去部17に酸素が到達するような位置に設けられていればよいが、酸素を添加しながら溶存水素濃度を測定する場合、水素除去部通過前の熱伝導度検出器又は枝管と水素除去部の間に設けるのが好ましい。これによって、より正確に溶存水素濃度を測定することが可能となる。仮に、酸素添加手段を水素除去部通過前の熱伝導度検出器又は枝管より上流側に設けた場合、水素除去部を通過する前の第1の測定では、酸素を含んだ熱伝導度の変化を検出する。しかし、添加した酸素は水素除去部で消費されるため、水素除去部通過後の第2の測定では、酸素を含まない熱伝導度の変化を検出する。溶存水素濃度は第1の測定及び第2の測定で検出したそれぞれの熱伝導度の変化の差分から算出するため、添加した酸素の分だけ溶存水素濃度の測定結果に誤差が生じてしまう。また、酸素添加手段を直接、水素除去部に設けることもできる。さらには、酸素添加手段を水素除去部の下流側に設けて、被測定水を通水していないときに、被測定水の流れとは逆の方向から酸素を含む水を水素除去部に通水する方法などもある。
【0042】
また、酸素添加手段は水素除去部17を酸素が通過できるような構成になっていればよく、例えば、水供給部21の代わりに、本管61から水を供給してもよい。これ以外にも、水素除去部にガス溶解膜を介して酸素ガスを直接添加する方法などもある。
【0043】
被測定水中の溶存酸素(DO)が被測定水中の溶存水素(DH)に対し、質量比(DO/DH)で8.5以上となるように酸素を添加することが好ましい。DO/DHが8.5以上では水素除去率が非常に高く、水素除去部を効率よく使用することができる。したがって、例えば、本溶存水素濃度測定装置を用いて溶存水素濃度を測定するにあたり、あらかじめDO/DH8.5以上の酸素を水素除去部に添加することによって、水素除去部の水素除去能力を最大限とすることができ、測定範囲を広くすることができる。
【実施例】
【0044】
(参考例1)
熱伝導度検出器は水中に溶存する気体の種類を区別できず、水中に溶存する全ての気体を一つの溶存気体として熱伝導度の変化を測定する。そこで、本参考例1では、熱伝導度式溶存窒素計を用いて水中の溶存窒素濃度を測定するに際し、水中に溶存水素が含まれている場合に、測定結果に溶存水素が影響することを確認した。
【0045】
溶存窒素濃度を0.9〜1.3ppmに安定させた被測定水中に所定量の水素を添加し、そのときの溶存窒素濃度を熱伝導度式溶存窒素計(オービスフェア社製 model−3621の窒素測定ユニット)で測定した。測定は、図6の実験フローに示すような装置で行った。流路1内を矢印の方向に向かって、既知の溶存窒素濃度の超純水(溶存窒素濃度:0.9〜1.3ppm)を流した。流路1内の超純水には、ガス溶解膜を介して流路内の水素濃度2.7ppb、5.4ppb、8.0ppb、10.7ppb、21.4ppb又は35.7ppbとなるように水素を水素添加部27から添加した。
【0046】
なお、本参考例1では使用していないが、流路1は、ガス溶解膜を介して所定量の酸素を添加することができる酸素添加手段28を有している。また、水素除去部17は、カラムの内部にPd担持樹脂を充填させたものであり、このカラムを流路1の途中に設けることで、被測定水がカラム内を流れるようにした。
【0047】
水素除去部17の仕様は以下の通りとした。
○Pd担持樹脂:OH形 960[mg/L−R]
○Pd担持樹脂の製造方法:ゲル形強塩基性アニオン交換樹脂に塩化Pd酸を吸着させた。この後、これを還元剤で還元し、金属Pdを析出させた。次に、樹脂をOH形に精製し、その後TOC溶出を防ぐ処理を行った。
○Pd担持樹脂の充填量:150mL
○カラムの種類:S−300 (昭立プラスチック株式会社製)
○S−300カラムの外径・内径の規格値:34φ×26φ×337mm
○カラムの高さ:30cm
○カラムへの通水量:SV=400[/h]
(SVは、樹脂の単位体積[L]に対して1時間に通水させる量[L]を表す。)。
【0048】
また、流路1の水素除去部17よりも上流側には枝管29、下流側には枝管30が設けられ、これらを三方弁28に接続した。三方弁28を更に管を介して隔膜型ポーラロ式水素濃度計(東亜DKK社製;DHDI−1)31と、酸素/窒素濃度計(オービスフェア社製;model−3621)32に接続した。酸素/窒素濃度計32は、隔膜型ポーラロ式酸素濃度計と熱伝導度式溶存窒素計から構成されており、水中に窒素と酸素が共存している場合には溶存窒素濃度を測定するにあたり、自動的に溶存酸素分の補正が行われる。
【0049】
各溶存水素濃度DHに対する、熱伝導度式溶存窒素計の測定値DNとの関係を図7に示す。
【0050】
上述したように、被測定水中の窒素濃度は、0.9〜1.3ppmとほぼ一定であるため、本来的には熱伝導度式溶存窒素計の表示値は0.9〜1.3ppmとなるはずである。ところが、図7によると、被測定水中の溶存水素濃度の増加に伴い、溶存窒素計の表示値も増加することがわかる。従って、被測定水中の溶存水素濃度と溶存窒素計の表示値には一定の関係があることがわかる。また、溶存水素濃度が1ppb増加すると、溶存窒素計の表示値が0.5ppm上昇することから、溶存窒素濃度を測定するに際し、溶存水素の存在が大きく影響することがわかる。
【0051】
(実施例1)
図6に示す実験フローにより、水素添加部より水素を所定量添加し、水素除去部通過前の溶存水素濃度(DH;隔膜型ポーラロ式水素濃度計で測定)と、水素除去部通過前及び通過後の溶存窒素濃度の差分(ΔDN)を測定した。実験の条件として、添加水素濃度以外は、参考例1と同様である。測定結果を表1及び図8に示す。図8中の「■」は所定DH濃度に対するΔDNを表す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1及び図8の結果より、DHとΔDNは優れた直線関係を示している。したがって、例えば、2つの既知の溶存水素濃度のサンプル水を本実施例の溶存水素濃度測定装置で測定したときのΔDNに基づき検量線を作成することによって、被測定水のΔDNから溶存水素濃度を求めることができることがわかる。また、この直線関係はDHが5.3〜52ppbの範囲で認められ、本実施例の溶存水素濃度測定装置及び溶存水素濃度の測定方法では、少なくとも5.3ppbという低濃度まで溶存水素濃度を測定できることがわかる。
【0054】
以上より、本実施例の溶存水素濃度測定装置及び溶存水素濃度の測定方法では、熱伝導度式溶存窒素計を用いて、低濃度まで水素濃度の測定が可能なことを確認できた。
【0055】
(実施例2)
本実施例では、図6に示す実験フローにより、酸素添加手段から所定量の酸素を添加する以外は実施例1と同様の条件において、DHに対するΔDNを測定した。
【0056】
測定結果を表2及び図9に示す。図9中の「□」は酸素添加手段より酸素を添加した場合、「◆」は酸素添加手段より酸素を添加しなかった場合を表す。
【0057】
【表2】
【0058】
表2及び図9の結果より、酸素を添加した場合(□)は、DH=54〜94ppbの範囲でΔDNとDHは優れた直線関係を示しており、本実施例の溶存水素濃度測定装置及び溶存水素濃度の測定方法により水中の溶存水素濃度を測定できることが分かる。
【0059】
また、酸素を添加していない場合(◆)は、DH=52ppbまでΔDNとDHに直線関係が認められるものの、DH=102ppbになるとDH=52ppb以下のデータとの間で直線関係を示さなくなった。この理由は、水素除去部に多量の水素が吸蔵されてしまい、水素除去部が水中の溶存水素を完全に除去できなくなったためと考えられる。
【0060】
以上より、本実施例の溶存水素濃度測定装置及び溶存水素濃度の測定方法では、酸素添加手段により酸素を添加することで、熱伝導度式溶存窒素計を用いて超純水中の溶存水素濃度を測定できる範囲を拡大できることを確認できた。
【0061】
また、実施例2の実験において、酸素を添加した場合と添加していない場合における被測定水中の溶存酸素と溶存水素の質量比(DO/DH)と、水素除去部の溶存水素除去率を測定した。測定結果を表3及び図10に示す。
溶存水素除去率は、図6の枝管29からサンプリングした被測定水中の溶存水素濃度DH1、枝管30からサンプリングした被測定水中の溶存水素濃度DH2として、下記の式より算出した。
溶存水素除去率=(DH1−DH2)/DH1×100
【0062】
【表3】
【0063】
表3及び図10の結果より、DO/DHが8.5以上で溶存水素除去率が非常に高いことがわかる。
【0064】
したがって、あらかじめDO/DH8.5以上の酸素を水素除去部に添加することによって、水素除去部の水素除去能力を最大限とすることができ、測定範囲を広くすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 流路
13 第1の窒素濃度算出部
14 第2の窒素濃度算出部
15a 第1の熱伝導度検出器
15b 第2の熱伝導度検出器
15c 熱伝導度検出器
17 水素除去部
18 演算部
19 ガス溶解膜
20 酸素供給部
27 水素添加部
28 三方弁
29、30 枝管
31 隔膜型ポーラロ式水素濃度計
32 酸素/窒素濃度計
41、42 枝管
51、54、55 弁
61 本管
104 半透膜
110 測定室
112 熱伝導度検出素子
114 ガス排出ライン
120 パージガス供給源
122 パージガス供給ライン
130 増幅器
132 制御器
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中の溶存水素濃度測定装置及び溶存水素濃度の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体素子の製造工程で使用する洗浄水、細胞培養、DNA複製、医療用の精製水、原子力発電での冷却水、微量分析用の溶媒など、様々な分野において超純水が使用されている。中でも、電子デバイスをはじめとする電子部品製造の洗浄工程では、多くの超純水が使用されている。電子デバイスの製造工程では、基板表面を超純水で洗浄している。この洗浄には、超純水のみならず、窒素ガス、水素ガス、オゾンガス等を超純水に溶解し、洗浄効果を高めた、いわゆる機能水が用いられることがある。
【0003】
一般的な機能水の製造ラインでは、各ユースポイントでの仕様に応じて、複数の機能水を供給する構成とすることがある。特に、かかる製造ラインで製造した水素水を、一部のユースポイントに供給する場合には、そのユースポイントで消費できなかった余剰の水素水を超純水の製造ラインへ戻す設備を設けることがある。
【0004】
超純水では、含有不純物量を非常に少ないレベルにするように要求されている。このため、水中の溶存気体量も少ない量に制御する必要がある。また、機能水では、溶解させるガスの濃度を適切な濃度に制御する必要がある。
【0005】
このような制御を行うためには、水中の正確な溶存気体濃度を測定することが求められる。現在、水中の溶存水素濃度を測定する装置としては、熱伝導度式(TCD型)溶存水素計及び隔膜型ポーラロ式水素濃度計が存在する。熱伝導度式溶存水素計の測定原理は非特許文献1に開示されている。また、非特許文献2には隔膜型ポーラロ式酸素濃度計の測定原理が開示されており、この酸素濃度計と同様の測定原理によって、隔膜型ポーラロ式水素濃度計では水素濃度の測定を行う。
【0006】
隔膜型ポーラロ式水素濃度計は、低濃度まで水素を測定できるという利点を有するものの、電極での反応性の劣化や立ち上がり不良を防ぐため、測定中か否かに関わらず電圧印加が必要とされている。また、水中に酸化物が存在すると電極が劣化して、測定誤差の原因となる場合があった。このため、隔膜型ポーラロ式水素濃度計では、安定して連続的に水中の水素濃度を測定することは困難であった。
【0007】
一方、熱伝導度式溶存水素計は、上記のような隔膜型ポーラロ式水素濃度計の問題点がなく、連続的に安定して溶存水素濃度を測定できるという特徴を有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「TECHNICAL NEWS」、[カタログ](オービスフェア社(現:ハック社)、1997年11月
【非特許文献2】「溶存酸素計の測定原理」、[online]、[平成21年7月28日検索]、インターネット(URL:http://www.hachultra.jp/index.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
熱伝導度式溶存水素計は、被測定水中から測定用プローブ内に拡散してきた水素によって、プローブ内の熱伝導度が変化し、その熱伝導度の変化速度と水素濃度とが一定の関係にあることを利用して溶存水素濃度を算出している。このため、水中に水素以外の気体が溶存していると、水素と共に水素以外の気体もプローブ内まで拡散し、プローブ中の熱伝導度を変化させる。従って、水中に複数の気体が溶存している場合には、水素以外の気体の存在によって測定誤差が生じる原因となっていた。
【0010】
また、従来の熱伝導度式溶存水素計では、測定できる水素濃度の範囲に限界があり、数十ppb以下の低濃度の溶存水素の測定は困難であった。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、水中に複数種の気体が溶存する場合であっても、従来の熱伝導度検出器を用いて、水素濃度の正確な値を測定可能とし、かつ、測定中か否かに関わらず電圧印加が必要な隔膜型ポーラロ式水素濃度計の管理上の問題点を解消することができる、水中の溶存水素濃度の測定装置及び測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
熱伝導度検出器を用いて被測定水中の溶存水素濃度を測定するに際し、被測定水中に水素以外の溶存気体が存在すると、熱伝導度検出器は、測定対象の水素と気体が共存した溶存気体による熱伝導度の変化速度を測定し、その変化速度との関係で溶存水素濃度を算出する。
【0013】
例えば、水素及び窒素が溶存した被測定水について、熱伝導度式溶存水素計を用いて溶存水素濃度を測定する場合を例に挙げて説明する。この場合、窒素の熱伝導度は0℃で0.0243(W/(m・K))、100℃で0.0312(W/(m・K))であるのに対して、水素の熱伝導度は0℃で0.1684(W/(m・K))、100℃で0.216(W/(m・K))である。このように水素の熱伝導度は、窒素の熱伝導度と異なる値を示す(理科年表 昭和57年版)。つまり、被測定水中の溶存水素濃度を測定するに際し、被測定水中に溶存窒素も含まれている場合には、熱伝導度式溶存水素計による測定値は、実際の溶存水素濃度よりも溶存窒素分だけ多くなる。
【0014】
このことから、本発明者らは、被測定水中の溶存水素を取り除くことで、溶存水素除去前の水中の溶存気体による熱伝導度の変化及び溶存水素除去後の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を熱伝導度検出器で測定した結果を出力し、それぞれの測定値の差から溶存水素濃度を算出することにより、簡便な方法で、被測定水中に水素とその他の気体が共存する場合であっても、正確な溶存水素濃度を測定できる方法を見出し、以下の発明に至った。
【0015】
即ち、 流路と、
前記流路内の水中の溶存水素を除去する水素除去部と、
前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を検出し、電気信号に変換する1又は複数の熱伝導度検出器と、
前記水素除去部通過前の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を前記熱伝導度検出器で変換した電気信号及び前記水素除去部通過後の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を前記熱伝導度検出器で変換した電気信号に基づいて、前記水中の溶存水素濃度を算出する溶存水素濃度算出手段と、
を有する、溶存水素濃度測定装置に関する。
【0016】
また、水中の溶存水素を除去する水素除去工程と、
前記水素除去工程前の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を測定する第1の測定工程と、
前記水素除去工程後の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を測定する第2の測定工程と、
前記第1の測定工程及び第2の測定工程における熱伝導度の変化の測定結果に基づき、前記水中の溶存水素濃度を算出する溶存水素濃度算出工程と、
を有する、溶存水素濃度の測定方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
熱伝導度検出器を用いて、被測定水中に水素とその他の気体が共存する場合であっても、水中に溶存する水素の濃度の正確な値を測定することができる。また、隔膜型ポーラロ式水素濃度計の管理上の問題点を解消するとともに、隔膜型ポーラロ式水素濃度計と同程度に低濃度の溶存水素濃度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】溶存水素濃度の測定原理を説明する図である。
【図2】従来の溶存気体濃度の測定方法を説明する図である。
【図3】溶存水素濃度の測定方法を説明する図である。
【図4a】溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。
【図4b】溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。
【図4c】溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。
【図4d】溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。
【図4e】溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。
【図5】溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。
【図6】参考例1、実施例1、及び実施例2の実験工程を説明する図である。
【図7】参考例1の結果を表すグラフである。
【図8】実施例1の結果を表すグラフである。
【図9】実施例2の結果を表すグラフである。
【図10】実施例2の結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(溶存水素濃度の測定方法)
図1は本発明の溶存水素濃度の測定原理を示す図である。図1に示すように、水素除去部を通過する前(水素除去工程前)の被測定水中の気体濃度を溶存気体濃度として測定し(第1の測定)、次いで、水素除去部を通過した後(水素除去工程後)の被測定水中の気体濃度を溶存気体濃度として測定する(第2の測定)。そして、ΔDG=(第1の測定による溶存気体濃度DG1)−(第2の測定による溶存気体濃度DG2)で表されるΔDGを算出し、このΔDGの値から溶存水素濃度を算出する処理を行う。
【0020】
被測定水中の溶存気体濃度の測定ではまず、電気信号に変換する素子(熱伝導度検出素子=TCD)と半透膜とを組み合わせた熱伝導度検出器を有するものを用いて、被測定水中の溶存気体による熱伝導度の変化を測定する。
【0021】
図2は一般的な溶存気体濃度の測定原理を示す図である。まず、バルブ124を開とし、パージガス供給源120のパージガス(二酸化炭素ガス、アルゴンガス等)をパージガス供給ライン122から測定室110に供給し、測定室110内をパージガスで充満させる。この状態において、TCD112はパージガスの熱伝導度を測定し、その測定値を信号として増幅器130に出力する。この際、測定室110内は特定のパージガスで充満されているため、TCD112から増幅器130に出力される信号は、パージガスの熱伝導度で安定している。TCD112から出力された信号は、増幅器130を経由し制御器132に送られる。制御器132では、TCD112から出力される信号が安定、即ち、測定室110内のパージが完了すると、バルブ124を閉とし、測定室110へのパージガスの供給を停止する。
【0022】
測定室110内がパージガスで充満されている状態で、流路1に被測定水が供給されると、被測定水中の溶存気体は半透膜104を透過して測定室110に移行する。流路1から溶存気体が測定室110に移行してくると、測定室110内のパージガスは、移行してきた溶存気体によりガス排出ライン114に排出される。そして、TCD112は、測定室110内の溶存気体濃度に応じた熱伝導度を測定し、その測定値を信号として増幅器130を介して制御器132に出力する。測定室110内のパージガスが溶存気体に置換される速さは、流路1の溶存気体の分圧に比例する。このため、制御器132は、TCD112が検出する熱伝導度の変化速度から、流路1における溶存気体の分圧を求め、求めた溶存気体の分圧を基に被測定水中の溶存気体濃度が算出される。
【0023】
したがって、本発明において被測定水中の溶存水素濃度を測定するにあたっては、TCDと半透膜とを組み合わせた熱伝導度検出器を有するものを用いて、被測定水中の溶存気体の熱伝導度の変化を測定することができればよい。例えば、窒素濃度算出部を用いて溶存水素濃度を測定する場合は、熱伝導度検出器で変換した電気信号は水中の窒素濃度として出力される。つまり、熱伝導度検出器及び窒素濃度算出部(以下、熱伝導度検出器及び窒素濃度算出部を「熱伝導度式溶存窒素計」と記載する場合がある)により、第1の測定で水素除去部通過前の水中の溶存窒素濃度を測定し、第2の測定で水素除去部通過後の水中の溶存窒素濃度を測定する。そして、演算部により、ΔDN=(第1の測定における溶存窒素濃度DN1)−(第2の測定における溶存窒素濃度DN2)で表されるΔDNを算出し、このΔDNの値から溶存水素濃度を算出する処理を行う。また、被測定水中に溶存水素及び溶存水素以外の気体が溶存している場合であっても、溶存水素除去部では水素を選択的に除去するため、溶存水素除去部で除去された水素以外の気体の溶存量にはほとんど変化はないので、ΔDNの算出には影響しない。
【0024】
このように、既存の熱伝導度式溶存窒素計等を用いて測定を行う場合、熱伝導度検出器からの信号は溶存窒素濃度に変換されて出力される。このため、既知の溶存水素濃度のサンプル水を用いて熱伝導度式溶存窒素計で測定して得られた溶存窒素濃度を元に作成した、溶存水素濃度と溶存窒素濃度の関係を表す検量線を利用することにより、溶存窒素濃度から溶存水素濃度への変換を行うことができる。
【0025】
また、熱伝導度検出器からの電気信号をΔDNに変換して、溶存水素濃度を算出する一連の計算をプログラムによって行うこともできる。
【0026】
なお、上記窒素濃度算出部以外にも、熱伝導度検出器で変換した電気信号を、水中の溶存酸素濃度に変換する酸素濃度算出部や、水中の溶存水素濃度に変換する水素濃度算出部を使用しても良い。
【0027】
例えば、酸素濃度算出部を用いた溶存水素濃度の測定では、熱伝導度検出器及び酸素濃度算出部により、第1及び第2の測定における溶存酸素濃度DO1、DO2を測定する。この後、演算部により、ΔDO=DO1−DO2を算出し、このΔDOの値から溶存水素濃度を算出する処理を行う。
【0028】
また、水素濃度算出部を用いた溶存水素濃度の測定では、熱伝導度検出器及び水素濃度算出部により得られた第1及び第2の測定における溶存水素濃度DH1、DH2から、溶存水素濃度ΔDH=DH1−DH2を算出し、このΔDHの値から溶存水素濃度を算出する処理を行う。
【0029】
水素除去部を設けることで、従来の熱伝導度検出器を用いた測定で誤差原因となっていた共存ガスの影響を排除できるため、溶存水素濃度の正確な値を得ることができる。また、水素除去部通過前後の測定値の差分から溶存水素濃度を算出するため、隔膜型ポーラロ式水素濃度計の定量下限値と同等程度に低濃度の水素を測定することができる。
【0030】
被測定水としては、溶存水素濃度の測定対象となるいずれの水についても測定可能であるが、溶存水素濃度をより正確な値で管理することが要求され、従来の熱伝導度式溶存水素計を用いた通常の測定方法では困難である超純水等の純水や、純水に水素ガスを溶解した水素水に本発明を好適に用いることができる。例えば、図3に示すような超純水や、機能水の一種である水素水の製造工程において、溶存水素濃度を測定する場合、製造した超純水中の溶存水素を測定する場合には、図3の(a)部から流路を分岐して、後述する図4a〜eに示すように溶存水素濃度測定装置に接続する。また、水素水中の溶存水素濃度を測定する場合には、図3の(b)部で同様に溶存水素濃度測定装置を接続すればよい。
【0031】
(溶存水素濃度測定装置)
図4a〜4eは、熱伝導度検出器を用いて被測定水中の溶存窒素濃度を測定して溶存水素濃度を算出する場合の溶存水素濃度測定装置の一例を示す図である。一実施形態である図4aにおいて、溶存水素濃度測定装置は、流路1、水素除去部17、第1の熱伝導度検出器15a、第2の熱伝導度検出器15b、第1の窒素濃度算出部13、第2の窒素濃度算出部14、及び演算部18を有する。この流路1は、超純水や機能水の製造工程の本管61に接続される。この流路1には、上流側から下流側に向かって、すなわち、矢印の方向に順に、第1の熱伝導度検出器15a、水素除去部17、及び第2の熱伝導度検出器15bが設けられている。この第1の熱伝導度検出器15aは、水素除去部17通過前の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を電気信号に変換する。そして、第1の熱伝導度検出器15aに接続されている第1の窒素濃度算出部13において、第1の熱伝導度検出器15aからの電気信号に基づき溶存窒素濃度を算出する。また、第2の熱伝導度検出器15bは、水素除去部17通過後の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を電気信号に変換する。そして、第2の熱伝導度検出器15bに接続されている第2の窒素濃度算出部14において、第2の熱伝導度検出器15bからの電気信号に基づき溶存窒素濃度を算出する。そして、演算部18において、第1及び第2の窒素濃度算出部13及び14で算出された溶存窒素濃度の差分から溶存水素濃度を算出する。
【0032】
また、他の実施形態の一例である図4bにおいては、第1の熱伝導度検出器及び第2の熱伝導度検出器で検出した各熱伝導度の変化を電気信号に変換し、それぞれの溶存窒素濃度を1つの窒素濃度算出部13で算出できるように接続されている。この場合、例えば、まず、第1の熱伝導度検出器15aで検出した熱伝導度の変化を電気信号に変換して、水素除去部17通過前の水中の溶存窒素濃度を窒素濃度算出部13で算出し、その値が窒素濃度算出部13又は演算部18で記憶される。次いで、第2の熱伝導度検出器15bで検出した熱伝導度の変化を電気信号に変換して、水素除去部17通過後の水中の溶存窒素濃度を窒素濃度算出部13で算出し、その値が窒素濃度算出部13又は演算部18で記憶される。そして、演算部18において、この記憶されたそれぞれの溶存窒素濃度の差分から溶存水素濃度を算出する。
【0033】
なお、図4a及び図4bの実施形態では、第1の熱伝導度検出器15a及び第2の熱伝導度検出器15bが流路1に直接接続されているが、他の実施形態の一例を示す図4c及び図4dに示すように、それぞれを枝管で分岐し、その枝管にそれぞれの熱伝導度検出器を設けてもよい。
【0034】
また、他の実施形態の一例である図4eは、水素除去部17の通過前の被測定水と通過後の被測定水の溶存窒素濃度を1つの熱伝導度検出器と1つの窒素濃度算出部で測定する場合の形態である。図4eに示すように、流路1の水素除去部17の上流側に弁54を介して枝管41を分岐し、同様に流路1の水素除去部17の下流側に弁55を介して枝管42を分岐する。枝管41及び42は合流しており、この合流地点よりも下流側に熱伝導度検出器15cを接続する。そして、弁51、54を開とし、弁55を閉とすると、熱伝導度検出器15cでは、水素除去部17通過前の熱伝導度の変化を検出することができる。また、弁51、55を開とし、弁54を閉とすると、水素除去部17通過後の熱伝導度の変化を検出することができる。
【0035】
以上に実施形態の例を挙げたが、窒素濃度算出部を用いた場合は、溶存水素除去部17の通過前と通過後の溶存窒素濃度を、窒素濃度算出部を用いて算出することができ、算出した溶存窒素濃度の差分を溶存水素濃度に変換する演算部を有していれば、枝管や弁の構成、熱伝導度検出器及び窒素濃度算出部の構成は、特に限定されない。例えば、水素除去部を通過した後の水や流路から分岐した枝管の水を本管に戻すこともできるし、図4c、図4dにおいて、第1及び第2の熱伝導度検出器通過後にそれぞれの枝管を合流することもできる。また、枝管を合流させた場合に、それぞれの枝管の合流点よりも上流側に逆止弁を設けて被測定水の逆流を防止することもできる。
【0036】
また、熱伝導度検出器と窒素濃度算出部は、熱伝導度式溶存窒素計として既存のものを用いることができる。例えば、オービスフェア社製model−3621等が挙げられる。
【0037】
水素除去部17は、被測定水中の溶存水素を選択的に除去できるものであれば特に限定されない。水素除去部17は、水素吸蔵金属及び水素吸蔵合金の少なくとも一方を含む充填材を充填したカラムであることが好ましい。充填材としては、例えば金属、合金の粒、水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金を担体に担持させたものが良い。担体としては、樹脂、アルミナ、活性炭、金属及びゼオライトなどがある。また、充填材の形状は特に限定させず、例えばペレット状、球状、粒状等の形状を挙げることができる。また、水素吸蔵金属又は水素吸蔵合金は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金からなる群から選択された白金族元素を含むことが好ましい。
【0038】
演算部は、窒素濃度算出部等の気体濃度算出部で測定された、水素除去部通過前及び通過後の被測定水中の溶存窒素濃度の差分から溶存水素濃度を算出する機能を実現するように構成されていれば良く、例えば、コンピュータプログラムを読み取って対応する処理動作を実行できるハードウェアであれば良い。具体的には、CPU(Central Processing Unit)を主体として、これに、ROM、RAM(Random Access Memory)、I/F(Interface)ユニット等の各種デバイスが接続されたハードウェアなどで良い。また、演算部と気体濃度算出部のプロセッサーは、個々の独立した存在である必要はなく、1個の溶存水素濃度算出手段として形成されていること、お互いの一部が重複していることが可能である。例えば、熱伝導度検出器で検出した熱伝導度の変化速度の電気信号を直接、溶存水素濃度算出手段に入力し、溶存水素濃度算出手段で算出されたΔDNの値を溶存水素濃度に変換する処理を行うこともできる。また、ΔDNを算出しなくても、溶存気体の熱伝導度の変化速度と溶存気体濃度が比例関係にあることから、水素除去部通過前及び通過後の各熱伝導度検出器による電気信号の差分から直接、溶存水素濃度を求めてもよい。
【0039】
(水素除去機能回復手段)
溶存水素濃度測定装置は、水素除去部の水素除去機能を回復するような水素除去機能回復手段を有することが好ましい。水素除去機能回復手段は、水素除去部の水素除去機能を回復できれば、その方法は問わないが、被測定水に酸素を添加して水素除去部に酸素を通過させる、酸素添加手段を有するのが好ましい。溶存水素濃度測定装置を使用するにつれて、水素除去部内は取り込まれた水素により徐々に飽和状態になる。そして、水素除去部の水素吸蔵能力が飽和状態となった後は、水素除去部により被測定水中の溶存水素を除去できなくなる。そこで、酸素を通過させることによって、下記式(A)で表すように、水素除去部に取り込まれた水素は、水中の酸素と反応して水となり除去される。
2H2+O2→2H2O (A)
この結果、水素除去部は長時間、安定してほぼ完全に水中の水素を除去できるようになる。
【0040】
図5に酸素添加手段を備えた溶存水素濃度測定装置の一例を示す。図5では、酸素添加手段28は、ガス溶解膜19と、弁56及び弁57を備えている。弁56には酸素ガスを溶解させる水を供給する水供給部21が接続されており、弁57には酸素ガスを供給する酸素供給部20が接続されている。そして、流路1の水素除去部17の上流側に接続されている。ガス溶解膜19は、気体を透過させるが液体は透過させないため、このガス溶解膜を通して酸素ガスが被測定水中に供給される。これにより、酸素が被測定水を媒体として水素除去部に取り込まれる。
【0041】
酸素添加手段は、水素除去部17に酸素が到達するような位置に設けられていればよいが、酸素を添加しながら溶存水素濃度を測定する場合、水素除去部通過前の熱伝導度検出器又は枝管と水素除去部の間に設けるのが好ましい。これによって、より正確に溶存水素濃度を測定することが可能となる。仮に、酸素添加手段を水素除去部通過前の熱伝導度検出器又は枝管より上流側に設けた場合、水素除去部を通過する前の第1の測定では、酸素を含んだ熱伝導度の変化を検出する。しかし、添加した酸素は水素除去部で消費されるため、水素除去部通過後の第2の測定では、酸素を含まない熱伝導度の変化を検出する。溶存水素濃度は第1の測定及び第2の測定で検出したそれぞれの熱伝導度の変化の差分から算出するため、添加した酸素の分だけ溶存水素濃度の測定結果に誤差が生じてしまう。また、酸素添加手段を直接、水素除去部に設けることもできる。さらには、酸素添加手段を水素除去部の下流側に設けて、被測定水を通水していないときに、被測定水の流れとは逆の方向から酸素を含む水を水素除去部に通水する方法などもある。
【0042】
また、酸素添加手段は水素除去部17を酸素が通過できるような構成になっていればよく、例えば、水供給部21の代わりに、本管61から水を供給してもよい。これ以外にも、水素除去部にガス溶解膜を介して酸素ガスを直接添加する方法などもある。
【0043】
被測定水中の溶存酸素(DO)が被測定水中の溶存水素(DH)に対し、質量比(DO/DH)で8.5以上となるように酸素を添加することが好ましい。DO/DHが8.5以上では水素除去率が非常に高く、水素除去部を効率よく使用することができる。したがって、例えば、本溶存水素濃度測定装置を用いて溶存水素濃度を測定するにあたり、あらかじめDO/DH8.5以上の酸素を水素除去部に添加することによって、水素除去部の水素除去能力を最大限とすることができ、測定範囲を広くすることができる。
【実施例】
【0044】
(参考例1)
熱伝導度検出器は水中に溶存する気体の種類を区別できず、水中に溶存する全ての気体を一つの溶存気体として熱伝導度の変化を測定する。そこで、本参考例1では、熱伝導度式溶存窒素計を用いて水中の溶存窒素濃度を測定するに際し、水中に溶存水素が含まれている場合に、測定結果に溶存水素が影響することを確認した。
【0045】
溶存窒素濃度を0.9〜1.3ppmに安定させた被測定水中に所定量の水素を添加し、そのときの溶存窒素濃度を熱伝導度式溶存窒素計(オービスフェア社製 model−3621の窒素測定ユニット)で測定した。測定は、図6の実験フローに示すような装置で行った。流路1内を矢印の方向に向かって、既知の溶存窒素濃度の超純水(溶存窒素濃度:0.9〜1.3ppm)を流した。流路1内の超純水には、ガス溶解膜を介して流路内の水素濃度2.7ppb、5.4ppb、8.0ppb、10.7ppb、21.4ppb又は35.7ppbとなるように水素を水素添加部27から添加した。
【0046】
なお、本参考例1では使用していないが、流路1は、ガス溶解膜を介して所定量の酸素を添加することができる酸素添加手段28を有している。また、水素除去部17は、カラムの内部にPd担持樹脂を充填させたものであり、このカラムを流路1の途中に設けることで、被測定水がカラム内を流れるようにした。
【0047】
水素除去部17の仕様は以下の通りとした。
○Pd担持樹脂:OH形 960[mg/L−R]
○Pd担持樹脂の製造方法:ゲル形強塩基性アニオン交換樹脂に塩化Pd酸を吸着させた。この後、これを還元剤で還元し、金属Pdを析出させた。次に、樹脂をOH形に精製し、その後TOC溶出を防ぐ処理を行った。
○Pd担持樹脂の充填量:150mL
○カラムの種類:S−300 (昭立プラスチック株式会社製)
○S−300カラムの外径・内径の規格値:34φ×26φ×337mm
○カラムの高さ:30cm
○カラムへの通水量:SV=400[/h]
(SVは、樹脂の単位体積[L]に対して1時間に通水させる量[L]を表す。)。
【0048】
また、流路1の水素除去部17よりも上流側には枝管29、下流側には枝管30が設けられ、これらを三方弁28に接続した。三方弁28を更に管を介して隔膜型ポーラロ式水素濃度計(東亜DKK社製;DHDI−1)31と、酸素/窒素濃度計(オービスフェア社製;model−3621)32に接続した。酸素/窒素濃度計32は、隔膜型ポーラロ式酸素濃度計と熱伝導度式溶存窒素計から構成されており、水中に窒素と酸素が共存している場合には溶存窒素濃度を測定するにあたり、自動的に溶存酸素分の補正が行われる。
【0049】
各溶存水素濃度DHに対する、熱伝導度式溶存窒素計の測定値DNとの関係を図7に示す。
【0050】
上述したように、被測定水中の窒素濃度は、0.9〜1.3ppmとほぼ一定であるため、本来的には熱伝導度式溶存窒素計の表示値は0.9〜1.3ppmとなるはずである。ところが、図7によると、被測定水中の溶存水素濃度の増加に伴い、溶存窒素計の表示値も増加することがわかる。従って、被測定水中の溶存水素濃度と溶存窒素計の表示値には一定の関係があることがわかる。また、溶存水素濃度が1ppb増加すると、溶存窒素計の表示値が0.5ppm上昇することから、溶存窒素濃度を測定するに際し、溶存水素の存在が大きく影響することがわかる。
【0051】
(実施例1)
図6に示す実験フローにより、水素添加部より水素を所定量添加し、水素除去部通過前の溶存水素濃度(DH;隔膜型ポーラロ式水素濃度計で測定)と、水素除去部通過前及び通過後の溶存窒素濃度の差分(ΔDN)を測定した。実験の条件として、添加水素濃度以外は、参考例1と同様である。測定結果を表1及び図8に示す。図8中の「■」は所定DH濃度に対するΔDNを表す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1及び図8の結果より、DHとΔDNは優れた直線関係を示している。したがって、例えば、2つの既知の溶存水素濃度のサンプル水を本実施例の溶存水素濃度測定装置で測定したときのΔDNに基づき検量線を作成することによって、被測定水のΔDNから溶存水素濃度を求めることができることがわかる。また、この直線関係はDHが5.3〜52ppbの範囲で認められ、本実施例の溶存水素濃度測定装置及び溶存水素濃度の測定方法では、少なくとも5.3ppbという低濃度まで溶存水素濃度を測定できることがわかる。
【0054】
以上より、本実施例の溶存水素濃度測定装置及び溶存水素濃度の測定方法では、熱伝導度式溶存窒素計を用いて、低濃度まで水素濃度の測定が可能なことを確認できた。
【0055】
(実施例2)
本実施例では、図6に示す実験フローにより、酸素添加手段から所定量の酸素を添加する以外は実施例1と同様の条件において、DHに対するΔDNを測定した。
【0056】
測定結果を表2及び図9に示す。図9中の「□」は酸素添加手段より酸素を添加した場合、「◆」は酸素添加手段より酸素を添加しなかった場合を表す。
【0057】
【表2】
【0058】
表2及び図9の結果より、酸素を添加した場合(□)は、DH=54〜94ppbの範囲でΔDNとDHは優れた直線関係を示しており、本実施例の溶存水素濃度測定装置及び溶存水素濃度の測定方法により水中の溶存水素濃度を測定できることが分かる。
【0059】
また、酸素を添加していない場合(◆)は、DH=52ppbまでΔDNとDHに直線関係が認められるものの、DH=102ppbになるとDH=52ppb以下のデータとの間で直線関係を示さなくなった。この理由は、水素除去部に多量の水素が吸蔵されてしまい、水素除去部が水中の溶存水素を完全に除去できなくなったためと考えられる。
【0060】
以上より、本実施例の溶存水素濃度測定装置及び溶存水素濃度の測定方法では、酸素添加手段により酸素を添加することで、熱伝導度式溶存窒素計を用いて超純水中の溶存水素濃度を測定できる範囲を拡大できることを確認できた。
【0061】
また、実施例2の実験において、酸素を添加した場合と添加していない場合における被測定水中の溶存酸素と溶存水素の質量比(DO/DH)と、水素除去部の溶存水素除去率を測定した。測定結果を表3及び図10に示す。
溶存水素除去率は、図6の枝管29からサンプリングした被測定水中の溶存水素濃度DH1、枝管30からサンプリングした被測定水中の溶存水素濃度DH2として、下記の式より算出した。
溶存水素除去率=(DH1−DH2)/DH1×100
【0062】
【表3】
【0063】
表3及び図10の結果より、DO/DHが8.5以上で溶存水素除去率が非常に高いことがわかる。
【0064】
したがって、あらかじめDO/DH8.5以上の酸素を水素除去部に添加することによって、水素除去部の水素除去能力を最大限とすることができ、測定範囲を広くすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 流路
13 第1の窒素濃度算出部
14 第2の窒素濃度算出部
15a 第1の熱伝導度検出器
15b 第2の熱伝導度検出器
15c 熱伝導度検出器
17 水素除去部
18 演算部
19 ガス溶解膜
20 酸素供給部
27 水素添加部
28 三方弁
29、30 枝管
31 隔膜型ポーラロ式水素濃度計
32 酸素/窒素濃度計
41、42 枝管
51、54、55 弁
61 本管
104 半透膜
110 測定室
112 熱伝導度検出素子
114 ガス排出ライン
120 パージガス供給源
122 パージガス供給ライン
130 増幅器
132 制御器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路と、
前記流路内の水中の溶存水素を除去する水素除去部と、
前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を検出し、電気信号に変換する1又は複数の熱伝導度検出器と、
前記水素除去部通過前の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を前記熱伝導度検出器で変換した電気信号及び前記水素除去部通過後の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を前記熱伝導度検出器で変換した電気信号に基づいて、前記水中の溶存水素濃度を算出する溶存水素濃度算出手段と、
を有する、溶存水素濃度測定装置。
【請求項2】
前記溶存水素濃度算出手段は、
前記水素除去部通過前の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を前記熱伝導度検出器で変換した電気信号から前記水素除去部通過前の水中の溶存気体濃度に変換し、
前記水素除去部通過後の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を前記熱伝導度検出器で変換した電気信号から前記水素除去部通過後の水中の溶存気体濃度に変換し、
前記水素除去部通過前の水中の溶存気体濃度と前記水素除去部通過後の水中の溶存気体濃度の差分を溶存水素濃度に変換するように構成される、
請求項1に記載の溶存水素濃度測定装置。
【請求項3】
前記溶存水素濃度算出手段は、
前記熱伝導度検出器で変換した電気信号を水中の溶存気体濃度に変換する1又は複数の気体濃度算出部と、
前記気体濃度算出部で変換した前記水素除去部通過前の水中の溶存気体濃度及び前記水素除去部通過後の水中の溶存気体濃度の差分を溶存水素濃度に変換する演算部と、
で構成される、請求項1又は2に記載の溶存水素濃度測定装置。
【請求項4】
前記溶存水素濃度算出手段は、
前記熱伝導度検出器で変換した電気信号を水中の溶存窒素濃度に変換する1又は複数の窒素濃度算出部と、
前記窒素濃度算出部で変換した前記水素除去部通過前の水中の溶存窒素濃度及び前記水素除去部通過後の水中の溶存窒素濃度の差分を溶存水素濃度に変換する演算部と、
で構成される、請求項1〜3のいずれかに記載の溶存水素濃度測定装置。
【請求項5】
前記水素除去部は、水素吸蔵金属及び水素吸蔵合金の少なくとも一方を含んだ充填材を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の溶存水素濃度測定装置。
【請求項6】
前記水素除去部の水素除去機能を回復させる水素除去機能回復手段を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の溶存水素濃度測定装置。
【請求項7】
前記水素除去機能回復手段は、前記水中に酸素を添加して、前記水素除去部に酸素を通過させるように構成される、請求項6に記載の溶存水素濃度測定装置。
【請求項8】
水中の溶存水素を除去する水素除去工程と、
前記水素除去工程前の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を測定する第1の測定工程と、
前記水素除去工程後の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を測定する第2の測定工程と、
前記第1の測定工程及び第2の測定工程における熱伝導度の変化の測定結果に基づき、前記水中の溶存水素濃度を算出する溶存水素濃度算出工程と、
を有する、溶存水素濃度の測定方法。
【請求項9】
前記溶存水素濃度算出工程は、
前記第1の測定工程で測定した前記水素除去工程前の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を水中の溶存気体濃度に変換し、
前記第2の測定工程で測定した前記水素除去工程後の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を水中の溶存気体濃度に変換して、
第1の測定工程と第2の測定工程における溶存気体濃度の差分から溶存水素濃度を算出する、
工程である請求項8に記載の溶存水素濃度の測定方法。
【請求項10】
前記溶存水素濃度算出工程は、
前記第1の測定工程で測定した前記水素除去工程前の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を水中の溶存窒素濃度に変換し、
前記第2の測定工程で測定した前記水素除去工程後の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を水中の溶存窒素濃度に変換して、
第1の測定工程と第2の測定工程における溶存窒素濃度の差分から溶存水素濃度を算出する、
工程である請求項8又は9に記載の溶存水素濃度の測定方法。
【請求項11】
前記水素除去工程は、
水素吸蔵金属及び水素吸蔵合金の少なくとも一方を含んだ充填材を含む水素除去部内に、前記水を通過させる、
工程である請求項8〜10のいずれかに記載の溶存水素濃度の測定方法。
【請求項12】
水中に酸素を添加し、前記水素除去部内に前記酸素を通過させて前記水素除去部に取り込まれた水素を前記水素除去部から取り除くための酸素添加工程を有する、請求項11に記載の溶存水素濃度の測定方法。
【請求項1】
流路と、
前記流路内の水中の溶存水素を除去する水素除去部と、
前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を検出し、電気信号に変換する1又は複数の熱伝導度検出器と、
前記水素除去部通過前の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を前記熱伝導度検出器で変換した電気信号及び前記水素除去部通過後の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を前記熱伝導度検出器で変換した電気信号に基づいて、前記水中の溶存水素濃度を算出する溶存水素濃度算出手段と、
を有する、溶存水素濃度測定装置。
【請求項2】
前記溶存水素濃度算出手段は、
前記水素除去部通過前の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を前記熱伝導度検出器で変換した電気信号から前記水素除去部通過前の水中の溶存気体濃度に変換し、
前記水素除去部通過後の水中の溶存気体による熱伝導度の変化を前記熱伝導度検出器で変換した電気信号から前記水素除去部通過後の水中の溶存気体濃度に変換し、
前記水素除去部通過前の水中の溶存気体濃度と前記水素除去部通過後の水中の溶存気体濃度の差分を溶存水素濃度に変換するように構成される、
請求項1に記載の溶存水素濃度測定装置。
【請求項3】
前記溶存水素濃度算出手段は、
前記熱伝導度検出器で変換した電気信号を水中の溶存気体濃度に変換する1又は複数の気体濃度算出部と、
前記気体濃度算出部で変換した前記水素除去部通過前の水中の溶存気体濃度及び前記水素除去部通過後の水中の溶存気体濃度の差分を溶存水素濃度に変換する演算部と、
で構成される、請求項1又は2に記載の溶存水素濃度測定装置。
【請求項4】
前記溶存水素濃度算出手段は、
前記熱伝導度検出器で変換した電気信号を水中の溶存窒素濃度に変換する1又は複数の窒素濃度算出部と、
前記窒素濃度算出部で変換した前記水素除去部通過前の水中の溶存窒素濃度及び前記水素除去部通過後の水中の溶存窒素濃度の差分を溶存水素濃度に変換する演算部と、
で構成される、請求項1〜3のいずれかに記載の溶存水素濃度測定装置。
【請求項5】
前記水素除去部は、水素吸蔵金属及び水素吸蔵合金の少なくとも一方を含んだ充填材を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の溶存水素濃度測定装置。
【請求項6】
前記水素除去部の水素除去機能を回復させる水素除去機能回復手段を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の溶存水素濃度測定装置。
【請求項7】
前記水素除去機能回復手段は、前記水中に酸素を添加して、前記水素除去部に酸素を通過させるように構成される、請求項6に記載の溶存水素濃度測定装置。
【請求項8】
水中の溶存水素を除去する水素除去工程と、
前記水素除去工程前の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を測定する第1の測定工程と、
前記水素除去工程後の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を測定する第2の測定工程と、
前記第1の測定工程及び第2の測定工程における熱伝導度の変化の測定結果に基づき、前記水中の溶存水素濃度を算出する溶存水素濃度算出工程と、
を有する、溶存水素濃度の測定方法。
【請求項9】
前記溶存水素濃度算出工程は、
前記第1の測定工程で測定した前記水素除去工程前の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を水中の溶存気体濃度に変換し、
前記第2の測定工程で測定した前記水素除去工程後の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を水中の溶存気体濃度に変換して、
第1の測定工程と第2の測定工程における溶存気体濃度の差分から溶存水素濃度を算出する、
工程である請求項8に記載の溶存水素濃度の測定方法。
【請求項10】
前記溶存水素濃度算出工程は、
前記第1の測定工程で測定した前記水素除去工程前の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を水中の溶存窒素濃度に変換し、
前記第2の測定工程で測定した前記水素除去工程後の前記水中の溶存気体による熱伝導度の変化を水中の溶存窒素濃度に変換して、
第1の測定工程と第2の測定工程における溶存窒素濃度の差分から溶存水素濃度を算出する、
工程である請求項8又は9に記載の溶存水素濃度の測定方法。
【請求項11】
前記水素除去工程は、
水素吸蔵金属及び水素吸蔵合金の少なくとも一方を含んだ充填材を含む水素除去部内に、前記水を通過させる、
工程である請求項8〜10のいずれかに記載の溶存水素濃度の測定方法。
【請求項12】
水中に酸素を添加し、前記水素除去部内に前記酸素を通過させて前記水素除去部に取り込まれた水素を前記水素除去部から取り除くための酸素添加工程を有する、請求項11に記載の溶存水素濃度の測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−141234(P2011−141234A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3002(P2010−3002)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】
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