説明

溶接方法および構成要素

溶接によってへこみ(4)を塞ぐ際、結束不良や亀裂が生じる場合がある。へこみ(4)の外側およびその表面上に溶接材料が形成される好適な充填方法によって、上記の問題は回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接によって構成要素のへこみを塞ぐ方法、および構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接によって構成要素を修理する際、へこみも塞がれる場合も多い。これらのへこみは、この構成要素が動作する際に生じた損傷を受けた領域に穴が掘られることによって形成されるものである。改修するには、この構成要素の幾何学形状を実現するために材料を加え、さらに構成要素に十分な強度を加える必要もある。溶接充填材によっては、加えた材料に結合不良や亀裂が繰り返し生じる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1204776号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1306454号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1319729号明細書
【特許文献4】国際公開第99/67435号パンフレット
【特許文献5】国際公開第00/44949号パンフレット
【特許文献6】欧州特許出願公開第0486489号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0786017号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0412397号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第1306454号明細書
【特許文献10】米国特許第6,024,792号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第0892090号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の目的は、上記の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1、2または14に記載される方法によって、および請求項15に記載される構成要素によってこの問題は解決される。
【0006】
従属クレームは、別の利点を実現するために、所望であれば互いに組み合わせることができる別の有利な手段を列記している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】溶接の充填方法を示す図である。
【図2】溶接の充填方法を示す図である。
【図3】溶接の充填方法を示す図である。
【図4】溶接の充填方法を示す図である。
【図5】溶接の充填方法を示す図である。
【図6】溶接の充填方法を示す図である。
【図7】溶接の充填方法を示す図である。
【図8】溶接の充填方法を示す図である。
【図9】溶接の充填方法を示す図である。
【図10】溶接シームの熱処理に関する手順を示す図である。
【図11】溶接シームの熱処理に関する手順を示す図である。
【図12】溶接シームの熱処理に関する手順を示す図である。
【図13】ガスタービンを示す図である。
【図14】タービン動翼または静翼を示す図である。
【図15】燃焼室を示す図である。
【図16】超合金のリストである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面および記載は、本発明の例示の実施形態のみを表している。
【0009】
図1は、面13の領域にへこみ4がある構成要素1、120、130、155を示している。構成要素1は好ましくは、タービン動翼または静翼120、130であり、好ましくはニッケルベースのまたはコバルトベースの超合金でできている(図15)。
【0010】
へこみ4を、溶接材で充填しようとしている。へこみ4は、輪郭線16(閉じた線)によって外側の面13に対して範囲が限定されている。
【0011】
へこみ4には側面28があり、この側面は好ましくは斜めに伸びており、輪郭線16に近接した面13に対して垂直ではない(図5)。側面の角度(側面28とへこみ4上の面13の仮想延長部との角度)は、好ましくは30°から40°の間である。
【0012】
へこみ4は好ましくは、ビルドアップ溶接によって塞がれる。溶接方法としてレーザ法を使用するのが好ましい。
【0013】
溶接層I、II、III(図8、9)は、複数の溶接軌道10’、10’’、10’’’で構成されており、これらは結合力のある領域となる。各溶接層I、II、IIIの溶接軌道10’、10’’、10’’’は、蛇行した形に敷かれるのが好ましい(図2、3、4、6、7)。
【0014】
溶接軌道10’、10’’、10’’’…の主たる方向25は、溶接軌道10’、10’’、10’’’の最長の範囲11を表しており、図2、3、4、6、7および10で矢印によって示されている。
【0015】
しかしながら溶接軌道10’、10’’、10’’’…は、へこみ4の輪郭線16を越えるため、一部が面13に到達する(図2、5、6、7、8、9)。溶接軌道10’、10’’…は、構成要素1、120、130、155の面13上と、へこみ4の中の両方に位置するのが好ましい。図8、9に、互いの上に載せられたこのような層I、II,IIIの断面が示されている。
【0016】
これにより隆起22が形成されるが(図5)、この隆起は面13の面を越えて出っ張っており、そのまま残されるか、あるいは後で摩滅される、または切削加工によって除去される。故意に面を超えさせたことにより、すなわち面13の領域に溶接材料を足したことにより、最適な溶接結果が得られ、最終的な溶接された構成要素1、120、130、155には全く亀裂が形成されない。ただ好ましくは面13より上にある溶接材料は除去されるべきである。
【0017】
図3は、溶接の別の充填方法を示している。ここでは、先ずへこみ4の中にフレーム6が配置されるが、このフレーム6は輪郭線16と似たものである。へこみ4が矩形である場合、このフレーム6(すなわち第1の溶接軌道)も同様に矩形である。この最初の外側の溶接軌道6は、輪郭線16の中(図3、4)または面13上(図6、7)に配置することができる。溶接軌道6(図6、7)は、輪郭線16にわたって、すなわち面13上とへこみ4の中に伸びるのが好ましい。
【0018】
別の溶接軌道7を好ましくは、同様にへこみ4の外側の輪郭線に対応し、かつ最初の溶接軌道6内にあるように配置することができる(図4、7)。
【0019】
よって蛇行して進む溶接軌道10’、10’’…は、境界線6、7の範囲内から選択される(図3、4、6、7)。ジグザグの曲線の最長部分11の向き25は、へこみ4の最短の幅に向けることができる(図3)。同様にジグザグの曲線の最長部分11は、へこみ4の最長の向きに平行して伸びることもできる(図4、6、7)。さらに主たる方向25の向きを層(I、II、III)(図示せず)内で変えることも可能である。
【0020】
へこみは、必ずしも塞ぐ必要はない。各面に局所的に材料を加えることも同様に可能である(図2、3、4、6、7)。そのとき輪郭線16は、被覆されるべき領域の境界を表す。
【0021】
図8は、溶接後の上記の充填方法(図2)の断面を示す。へこみ4は好ましくは、溶接軌道(図2)の第1の層Iによって完全に被覆される、すなわち第1の溶接層Iは、輪郭線16のところまで進みそれを超えるのが好ましい。
【0022】
その後第2の溶接層IIが塗布され、同様にその端部は面13を超えて出っ張っている。
【0023】
第2の溶接層IIは好ましくは、第1の溶接層Iを完全に覆う。最後の層IIIが好ましくは完全に面13より上になるまで、このように互いに重ねて層の形成を続ける。
【0024】
図9は、具体的には図8に対する固有の実施形態における溶接のための別の充填方法を示している。ここでは、第1の溶接層Iが、複数の溶接軌道(10’、10’’、10’’’)によって敷かれており、主たる方向25は、この図面の面に対して平行である(配向25は任意である)。主たる方向25は、蛇行構成の場合(図2)溶接軌道10’、10”…の最長の範囲11である。この溶接軌道によって第2の溶接層IIが主たる方向25に配置され、この方向は、溶接層Iの主たる方向25に垂直であるのが好ましく、すなわち図面の面とは異なり、第3の溶接層IIIの溶接軌道10’、10”…の主たる方向は、今度は第1の溶接層Iと同様に伸びるのが好ましい。
【0025】
図10はまた、図1から図7の溶接軌道を表すラインが一定の幅を有することを示している。溶接軌道は、互いに重なるまたは単に隣接することが可能であり、これは図1から図7にも適用される。
【0026】
溶接シーム28を熱処理する前の手順が図11、図12の左側に示されている。
【0027】
図11の左側と図12の左側は共に溶接シーム/溶接層28を示しており、これは任意の所望の工程によって形成されるものだが、基体の面13の外側の元の輪郭線を超えて出っ張っている。次の機械加工ステップとして、溶接シームの輪郭線が再形成される、すなわち溶接軌道/層は、平らにされ外側の面13の高さに合わせられる、すなわち溶接材料が除去されて(−m)元の空力的な輪郭が復元される。よって最後のステップは溶接シーム28を熱処理(HT)することであり、このステップは、材料および構成要素に左右される従来式のものである。
【0028】
図13は、一例としてガスタービン100の一部の長手方向の断面図を示す。その内部において、ガスタービン100は、シャフト101を備え、回転軸102の周りを回転することができるように設置されたロータ103を有しており、このロータは、タービンロータとも呼ばれる。吸気筐体104、コンプレッサ105、トロイダル燃焼室110、特に同軸に配置された複数のバーナ107を備えた環状燃焼室、タービン108、および排気筐体109が、互いにロータ103に沿って続いている。環状燃焼室110は、例えば環状の高温ガス流路111と連通しており、ここでは例として4つの連続したタービン段部112によってタービン108が形成されている。
【0029】
各タービン段部112は、例えば2つの動翼または静翼リングから形成される。作用媒体113の流れ方向で見ると、高温ガス流路111内で案内翼の列115の後に、動翼120から形成された列125が続いている。
【0030】
案内翼130は、ステータ143の内部筐体138に固定されており、これにより列125の動翼120は、例えばタービンディスク133を利用してロータ103に適合される。発電機(図示せず)がロータ103に結合されている。
【0031】
ガスタービン100が作動している間、コンプレッサ105は、吸気筐体104を介して空気135を吸い込み、それを圧縮する。コンプレッサ105のタービン側端部で圧縮された空気は、バーナ107に送られ、ここで燃料と混合される。次いでこの混合物は燃焼室110で燃焼され、作用媒体113を形成する。作用媒体113はそこから、高温ガス流路111に沿って流れ、案内翼130および動翼120を通り過ぎる。作用媒体113は動翼120で膨張し、その運動量を移動させるため、動翼120がロータ103を駆動し、ロータ103がさらにそれに結合された発電機を駆動する。
【0032】
ガスタービン100が作動している間、高温の作用媒体113に曝される構成要素が、熱応力を受ける。作用媒体113の流れ方向で見ると、第1タービン段部112の案内翼130および動翼120が、環状燃焼室110に沿って並ぶ断熱要素と共に、最も高温の熱応力を受けることになる。そこで優勢な温度に耐えることができるように、それらを冷却剤を利用して冷却することができる。構成要素の基体は、さらに方向性を有する構造を有することができる、すなわちそれらは、1つの単結晶形態(SX構造)または縦配向の結晶粒(DS構造)だけしか有していない。
【0033】
一例として鉄ベース、ニッケルベース、コバルトベースの超合金が、構成要素、具体的にはタービン動翼または静翼120、130および燃焼室110の構成要素の材料として使用される。このタイプの超合金は、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4または特許文献5より既知である。
【0034】
動翼または静翼120、130は、さらに耐食から保護するコーティングを有してよい(MCrAlX; Mは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)から成る群から選択される少なくとも1つの元素で、Xは活性元素であり、イットリウム(Y)および/またはシリコン、スカンジウム(Sc)および/または少なくとも1つの希土類元素、またはハフニウム(Hf)に相当する)。このタイプの合金は、特許文献6、特許文献7、特許文献8または特許文献9より既知である。
【0035】
また例えばZrO、Y−Zr0で構成される、すなわち酸化イットリウムおよび/または酸化カルシウムおよび/または酸化マグネシウムによって不安定化された、部分的に安定化された、または完全に安定化された断熱コーティングをMCrAlX上に施すことも可能である。例えば電子ビーム物理蒸着(EB−PVD)などの好適なコーティング法によって、断熱コーティングに柱状結晶粒が形成される。
【0036】
案内翼130は、タービン180の内部筐体138に面する案内翼付け根(図示せず)と、この案内翼付け根と反対側の端部のところにある案内翼ヘッドとを有する。案内翼ヘッドはロータ130と向かい合い、ステータ143の固定リング140に固定される。
【0037】
図14は、縦軸121に沿って延びる、ターボマシンの動翼120または案内翼130の斜視図である。
【0038】
ターボマシンは、航空機または電気を生成する発電所のガスタービン、あるいは蒸気タービンまたはコンプレッサであってよい。
【0039】
動翼または静翼120、130は、縦軸121に沿って連続して、固定領域400、隣接する動翼または静翼プラットフォーム403および動翼または静翼の本体部分406ならびに動翼または静翼先端415を有する。案内翼130として、静翼130は、その静翼先端415に別のプラットフォーム(図示せず)を有することもできる。
【0040】
動翼120、130をシャフトまたはディスク(図示せず)に固定するのに使用される動翼または静翼付け根183が固定領域400に形成される。動翼または静翼付け根183は、例えばハンマーヘッド形状に設計される。のこぎり歯またはダブテール状の付け根などの他の構成も可能である。動翼または静翼120、130は、動翼または静翼本体406を通過して流れる媒体のために前縁409と後縁412とを有する。
【0041】
従来型の動翼または静翼120、130の場合、一例として固体金属材料、とりわけ超合金が動翼または静翼120、130の全ての領域400、403、406に使用される。このタイプの超合金は、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4または特許文献5より既知である。動翼または静翼120、130は、この場合鋳造によって、また方向性凝固を利用して、鍛造によって、フライス加工によって、またはそれらの組み合わせによって製造することが可能である。
【0042】
1つまたは複数の単結晶構造を備えた工作物が、作動する際に強い機械的、熱的および/または化学的応力に曝される機械のための構成部品として使用される。このタイプの単結晶工作物は、例えば溶融物からの方向性凝固によって製造される。これには、液体合金が凝固して単結晶構造すなわち単結晶工作物を形成する、または方向性凝固する鋳込み成型が必要になる。この場合、樹枝状結晶が熱流方向に沿って配向され、柱状結晶粒構造(すなわち、工作物の全長にわたって広がり、本明細書では慣習的に使用される用語にしたがって方向性凝固したと称される結晶粒)または単結晶構造(すなわち、工作物全体が1つの単結晶から構成される)を形成する。非方向性成長は不可避的に横と縦の結晶粒界を形成し、これにより方向性凝固構成要素または単結晶構成要素の好ましい特性が無効になるため、これらの工程において、球状(多結晶)凝固への移行を回避する必要がある。本書では一般的な用語で方向性凝固微細構造と称されているが、これは結晶粒界がないか、またはせいぜい小さい角度の結晶粒界しかない単結晶と、結晶粒界が縦方向に延びているが、横の結晶粒界はない柱状結晶構造の両方を意味するものと理解すべきである。この第2の形態の結晶構造は、方向性凝固微細構造(方向性凝固構造)としても記載される。このタイプの工程は、特許文献10および特許文献11より既知である。
【0043】
動翼または静翼120、130は、さらに例えば(MCrAlX; Mは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)から成る群から選択される少なくとも1つの元素で、Xは活性元素であり、イットリウム(Y)および/またはシリコンおよび/または少なくとも1つの希土類元素またはハフニウム(Hf)に相当する)などの腐食または酸化から保護するコーティングを有することができる。このタイプの合金は、特許文献6、特許文献7、特許文献8または特許文献9により既知である。密度は理論密度の95%が望ましい。
【0044】
保護酸化アルミニウム層(TGO=熱成長酸化物層)がMCrAlX層上に(中間層または最外層として)形成される。
【0045】
この層は、好ましくは化合物Co−30Ni−28Cr−8Al−0.6Y−0.7SiまたはCo−28Ni−24Cr−10Al−0.6Yを有する。これらのコバルトベースの保護コーティングに加えて、Ni−10Cr−12Al−0.6Y−3ReまたはNi−12Co−21Cr−11Al−0.4Y−2ReまたはNi−25Co−17Cr−10Al−0.4Y−1.5Reなどのニッケルベースの保護層を使用するのも好ましい。
【0046】
好ましくは最外層であり、例えばZrO、Y−ZrOで構成される、すなわち酸化イットリウムおよび/または酸化カルシウムおよび/または酸化マグネシウムによって不安定化された、部分的に安定化されたまたは完全に安定化された断熱コーティングをMCrAlX上に施すことも可能である。断熱コーティングは、MCrAlX層の全体を覆う。例えば電子ビーム物理蒸着(EB−PVD)などの好適なコーティング法によって、断熱コーティングに柱状結晶粒を生じさせる。大気プラズマ溶射(APS)、LPPS、VPSまたはCVDなどの他のコーティング法も可能である。耐熱コーティングは、その耐熱衝撃性を改善するために、多孔質の結晶粒、あるいはマイクロクラックまたはマクロクラックを備える結晶粒を含むことができる。したがって耐熱コーティングは、MCrAlX層より多孔質であることが好ましい。
【0047】
改修とは、使用後、構成要素120、130から保護層を除去する(例えばサンドブラストによって)必要がある可能性があることを意味している。したがって腐食および/または酸化層ならびに生成物が除去される。適切な場合構成要素120、130内の亀裂も補修される。この後、構成要素120、130が再コーティングされ、それが終わると構成要素120、130を再使用することが可能になる。
【0048】
動翼または静翼120、130は、中空または中実の形態であってよい。動翼または静翼120、130を冷却すべき場合には、中空とし、フィルム冷却孔418(点線で示される)を備えることも可能である。
【0049】
図15に、ガスタービンの燃焼室110が示されている。燃焼室110は、例えば多数のバーナ107が、回転軸102の周囲に配置され共通の燃焼室空間154内に開いて火炎156を生成する環状燃焼室として既知のもののように構成される。このため燃焼室110全体が、回転軸102の周りに配置される環状構造をなしている。
【0050】
比較的高い効率を実現するため、燃焼室110は、約1000℃から1600℃の比較的高い作動媒体Mの温度に合わせて設計される。材料にとって好ましくないこれらの動作パラメータの場合でも比較的長い耐用寿命を可能にするため、燃焼室壁153のその作動媒体Mに面する側に遮熱要素155から形成された内張りが施される。合金から形成される各遮熱要素155は、その作動媒体側に特に耐熱性保護層(MCrAlX層および/またはセラミックコーティング)を備えるか、あるいは高温に耐えることができる材料(中実なセラミックレンガ)から作製される。これらの保護層は、タービン動翼または静翼と同様のものであってよく、すなわち例えばMCrAlXなどである(Mは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)から構成されるグループから選択される少なくとも1つの元素で、Xは活性元素であり、イットリウム(Y)および/またはシリコンおよび/または少なくとも1つの希土類元素またはハフニウム(Hf)に相当する)。このタイプの合金は、特許文献6、特許文献7、特許文献8または特許文献9より既知である。
【0051】
また例えばZrO、Y−ZrOから構成される、すなわち、酸化イットリウムおよび/または酸化カルシウムおよび/または酸化マグネシウムによって不安定化された、部分的に安定化されたまたは完全に安定化されたセラミック断熱コーティングをMCrAlX上に施すことも可能である。例えば電子ビーム物理蒸着(EB−PVD)のような好適なコーティング法によって、断熱コーティングに柱状結晶粒を生じさせる。例えば大気プラズマ溶射(APS)、LPPS、VPS、または、CVDといった他のコーティング法も可能である。断熱コーティングは、その耐熱衝撃性を改善するために、多孔質の結晶粒、あるいはマイクロクラックまたはマクロクラックを備える結晶粒を含むことができる。
【0052】
改修とは、使用後、遮熱要素155から保護層を除去する(例えばサンドブラストによって)必要がある可能性があることを意味している。したがって腐食および/または酸化層ならびに生成物が除去される。適切な場合、遮熱要素155内の亀裂も補修される。この後、遮熱要素155が再コーティングされ、それが終わった後遮熱要素155を再使用することが可能になる。
【0053】
さらに、燃焼室110の内部は高温になるので、遮熱要素155および/またはその保持要素のために冷却システムを設けることも可能である。したがって遮熱要素155は例えば中空であり、燃焼室空間154内に開く冷却孔(図示せず)を備えることもできる。
【符号の説明】
【0054】
1,120,130,155 構成要素
4 へこみ
6 第1の溶接軌道
7 第2の溶接軌道
10’,10’’,10’’’ 溶接軌道
11 曲線の最長部分
13 へこみの外側の面
16 輪郭線
22 隆起
25 主たる方向
28 側面、溶接シーム
100 ガスタービン
102 回転軸
103 ロータ
104 吸気筐体
105 コンプレッサ
107 バーナ
108 タービン
109 排気筐体
110 燃焼室
111 ガス流路
112 タービン段部
113 作用媒体
115 案内翼
120 動翼
121 縦軸
125 動翼の列
130 静翼
133 タービンディスク
138 内部筐体
140 固定リング
143 ステータ
153 燃焼室壁
183 付け根
400 固定領域
403 プラットフォーム
406 翼本体
409 前縁
412 後縁
415 翼先端
418 フィルム冷却孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接軌道(6、7、I、II、III、10’、10’’、10’’’…)によってへこみ(4)が塞がれる、構成要素(1、120、130、155)を溶接する方法において、
前記へこみ(4)が輪郭線(16)を有しており、
この輪郭線(16)が、前記へこみ(4)に対して前記構成要素(1、120、130、155)の外側の上面(13)の範囲を限定する方法であって、
前記溶接軌道(6、7、I、II、III、10’、10’’、10’’’…)が、前記へこみ(4)の前記輪郭線(16)の外側の前記面(13)にも達するように敷かれることを特徴とする方法。
【請求項2】
溶接軌道(6、7、10)によってへこみ(4)が塞がれる、構成要素(1、120、130、155)を溶接する方法において、
前記へこみ(4)が輪郭線(16)を有しており、
この輪郭線(16)が、前記構成要素(1、120、130、155)の前記外側の上面(13)に対して前記へこみ(4)の範囲を限定する方法であって、
前記輪郭線(16)に相当する形状の第1の溶接軌道(6)が最初に敷かれることを特徴とする方法。
【請求項3】
前記輪郭線(16)の形状に相当するような形状の第1の溶接軌道(6)が敷かれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記輪郭線(16)に相当する形状の前記第1の溶接軌道(6)の内側に、第2の溶接軌道(7)が形成されることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記へこみ(4)が、前記第1または第2の輪郭線を基準とする溶接軌道(6、7)の内部で蛇行式(10’、10’’、10’’’…)に塞がれることを特徴とする請求項2、3、または4に記載の方法。
【請求項6】
前記溶接軌道(6)が、前記へこみ(4)の前記輪郭線(16)の外側の前記面(13)に達するように敷かれることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
レーザビルドアップ溶接が使用されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
溶接軌道の第1の層(I)が前記へこみ(4)を完全に覆うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記へこみ(4)を塞ぐために、複数の溶接層(I、II、III)が使用されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
互いの上に載せられた前記個々の溶接層(I、II、III)の前記溶接軌道(10’、10’’、10’’’…)の主たる方向(25)が、0°〜90°より大幅に大きな角度で伸びており、具体的には互いに対して垂直であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
溶接層(I、II、III)の前記溶接軌道(10’、10’’、10’’’…)が、蛇行式に敷かれることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
別の溶接層(II、III…)が、その直前の層(I、II…)を完全にまたは部分的に覆うことを特徴とする請求項1および8〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記へこみ(4)が側面(28)を有しており、
この側面が、前記構成要素(1、120、130、155)の前記面(13)に対して垂直に伸びていないことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
具体的には請求項1〜13のうちの一項に記載されるように形成される溶接シームを熱処理する方法であって、
この方法では、前記溶接シーム(28)は、熱処理の前に輪郭線が再形成されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1つまたは複数に記載される方法で製造されることを特徴とする構成要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−522644(P2012−522644A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502664(P2012−502664)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054322
【国際公開番号】WO2010/112553
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(508008865)シーメンス アクティエンゲゼルシャフト (99)
【出願人】(500242786)フラウンホファー ゲセルシャフト ツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ. (47)
【Fターム(参考)】