説明

溶液の霧化方法とこの方法に使用される霧化装置

【課題】超音波振動を溶液の霧化に効率よく利用して、溶液を効率よくミストに霧化する。
【解決手段】溶液の霧化方法は、超音波振動子2で溶液を超音波振動させて気体中にミストに霧化する。溶液の霧化方法は、溶液を筒体6の内部に供給すると共に、圧力機構5でもって、筒体内部の溶液の圧力をミストに霧化する気体の圧力よりも相対的に高くし、超音波振動させる状態で溶液を筒体6の押出口12から気体中に噴出させて、筒体6から噴出する溶液を超音波振動させてミストに霧化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液を微細なミストに霧化する方法と装置に関し、とくに、酒、酒原料のアルコール、石油、原油等をミストに霧化して、目的物質とする濃度の高い溶液を得る方法や装置に使用され、あるいは水をミストに霧化して空気中に気化させる加湿器等に最適な溶液の霧化方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、溶液をミストに霧化し、ミストを回収してアルコールから高濃度なアルコールを分離する装置を開発した。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−314724号公報
【0003】
この分離装置は、例えばアルコールを含む原液を超音波振動させて、搬送気体中に微細なミストとし、霧化されたミストを搬送気体から分離、回収して原液よりも高濃度なアルコール溶液を分離できる。この方式の分離装置は、原液を加熱して気化させる装置に比較して、少ないエネルギーで高濃度なアルコールを分離できる。
【0004】
また、水を超音波振動させてミストに霧化し、これを強制送風して空気中に気化させる加湿器は、水を熱で気化させる方式に比較して、少ない消費電力で多量の水を空気中に放出して加湿できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
溶液をミストにする装置は、溶液を超音波振動させて、いかに効率よくミストにできるかが大切である。それは、ミストに霧化できる効率が、使用エネルギー量を決定し、効率が低くなると、使用エネルギーが増加するからである。たとえば、有機物を発酵させて得られる低濃度アルコールから水を分離して高濃度アルコールとする方法に、溶液をミストに霧化する方法が使用できる。低濃度アルコールをミストに霧化し、これを回収して高濃度アルコールとなるからである。低濃度アルコールは、廃棄物である有機物を発酵させて製造される。ただ、この方法では、高濃度のアルコールは製造できない。発酵に関与する微生物が高濃度アルコールでは活発に活動できないからである。ただ、この方法は膨大な発生量の廃棄物を有効利用して低濃度アルコールを多量に製造できる特徴がある。しかしながら、現在は、低濃度アルコールを高濃度アルコールに濃縮するのに、相当なエネルギーを消費している。低濃度アルコールを蒸留して高濃度アルコールとするからである。したがって、低コストに製造できる低濃度アルコールは、高濃度アルコールにするために多量のエネルギーを消費してコストが高くなっている。低濃度アルコールは、いかに低コストな処理で高濃度アルコールにできるかが大切である。低濃度アルコールをミストに霧化する方法は、蒸留方式のようにアルコールを気化熱で気化させないので、エネルギー消費を少なくできる。ただ、この方式は、いかに効率よく低濃度アルコールをミストに霧化できるかが大切である。
【0006】
さらに、水を超音波振動してミストにする加湿器も、消費電力を少なくして効率よく加湿するために、ミストに霧化できる効率を高くすることが大切である。
【0007】
従来の霧化方法で、溶液をミストに霧化する状態を図1に示す。この方法は、溶液の底部に配設している超音波振動子2で溶液を超音波振動させる。超音波振動される溶液は、図に示すように液面が柱状に突出され、突出部の表面からミストに霧化される。この状態で溶液をミストに霧化すると、超音波振動のエネルギーの一部は、溶液を柱状に押し上げるために消費される。このため、超音波振動のエネルギーを効率よく溶液のミストに利用できなくなって、ミストに霧化する効率を低下させる。
【0008】
本発明はさらにこの欠点を解消することを目的に開発されたものである。本発明は、超音波振動を溶液の霧化に効率よく利用して、溶液を効率よくミストに霧化できる霧化方法と装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の溶液の霧化方法は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。 溶液の霧化方法は、超音波振動子2で溶液を超音波振動させて気体中にミストに霧化する。溶液の霧化方法は、溶液を筒体6の内部に供給すると共に、圧力機構5でもって、筒体内部の溶液の圧力をミストに霧化する気体の圧力よりも相対的に高くし、超音波振動させる状態で溶液を筒体6の押出口12から気体中に噴出させて、筒体6から噴出する溶液を超音波振動させてミストに霧化する。
【0010】
本発明の溶液の霧化方法は、圧力機構5を溶液ポンプ10として、超音波振動しない状態で筒体内部の溶液の液面レベルが筒体6の高さ(h)の1/4以上になるように溶液ポンプ10で溶液を加圧することができる。
【0011】
本発明の溶液の霧化方法は、圧力機構5を、溶液をミストに霧化する気体を吸引して減圧する送風機8として、超音波振動しない状態で筒体内部の溶液の液面レベルが筒体6の高さ(h)の1/4以上になるように送風機8で気体を吸引して気体の圧力を低下させることができる。
【0012】
本発明の溶液の霧化方法は、筒体6を円筒形とすることができる。さらに、本発明の溶液の霧化方法は、筒体6を、押出口12に向かって細くなる円錐ホーンとすることができる。さらにまた、本発明の溶液の霧化方法は、筒体6にエクスポーネンシャルホーンを使用することができる。
【0013】
本発明の溶液の霧化方法は、押出口12の周囲に気体を噴射することができる。さらに、本発明の溶液の霧化方法は、押出口12から噴射する気体に、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性な気体を使用することができる。
【0014】
本発明の溶液の霧化装置は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
溶液の霧化装置は、溶液を超音波振動させて気体中にミストに霧化する複数の超音波振動子2と、超音波振動子2に接続されて超音波振動子2に高周波電力を供給して超音波振動させる高周波電源3とを備える。さらに、溶液の霧化装置は、内部に溶液が供給されると共に、溶液を押出口12から気体中に排出する筒体6と、この筒体内部の溶液の圧力をミストに霧化する気体の圧力よりも相対的に高くする圧力機構5とを備える。霧化装置は、圧力機構5でもって、溶液の圧力を気体の圧力よりも相対的に高くして、超音波振動する状態で溶液を押出口12から気体中に噴出させ、筒体6から噴出する溶液を超音波振動子2で超音波振動して霧化する
【0015】
本発明の溶液の霧化装置は、圧力機構5を溶液ポンプ10として、超音波振動しない状態で筒体内部の溶液の液面レベルが筒体6の高さ(h)の1/4以上になるように溶液ポンプ10で溶液を加圧することができる。
【0016】
本発明の溶液の霧化装置は、圧力機構5を、溶液をミストに霧化する気体を吸引して減圧する送風機8として、超音波振動しない状態で筒体内部の溶液の液面レベルが筒体6の高さ(h)の1/4以上になるように送風機8で気体を吸引して気体の圧力を低下させることができる。
【0017】
本発明の溶液の霧化装置は、筒体6を円筒形とすることができる。本発明の溶液の霧化装置は、筒体6を、押出口12に向かって細くなる円錐ホーンとすることができる。本発明の溶液の霧化装置は、筒体6を、エクスポーネンシャルホーンとすることができる。
【0018】
本発明の溶液の霧化装置は、押出口12の周囲に噴気口14を開口することができる。さらに、本発明の溶液の霧化装置は、気体源が、噴気口14に、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性な気体を供給することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、溶液を効率よくミストに霧化できる特徴がある。それは本発明が、溶液を筒体に供給すると共に、圧力機構でもって、筒体内部の溶液の圧力をミストに霧化する気体の圧力よりも相対的に高くして、超音波振動させる状態で溶液を筒体の押出口から気体中に噴出させて、筒体から噴出する溶液を超音波振動させてミストに霧化するからである。本発明は、圧力機構で筒体内部の溶液の圧力を気体の圧力よりも高くする状態で超音波振動させてミストに霧化する。圧力機構は、たとえばポンプや送風機等の安価な装置で、溶液と気体とに圧力差を設けることができる。このように、本発明は、圧力機構で溶液の圧力を気体の圧力よりも高くして、超音波振動させる状態で溶液を筒体の押出口から気体中に噴出させて、気体中に噴出する溶液を超音波振動でミストに霧化するので、従来のように、超音波振動のエネルギーの一部を、溶液を柱状に押し上げるために消費することなく、超音波振動で効率よく溶液をミストに霧化することができる。
【0020】
さらに本発明は、筒体内の溶液を介して、押出口から噴出する溶液を超音波振動させる構造にできる。この構造によると、筒体が超音波振動を効率よく伝達して、押出口から噴出される溶液をさらに効率よく超音波振動できる。このため、押出口から噴出された溶液をさらに効率よくミストに霧化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための溶液の霧化方法と霧化装置を例示するものであって、本発明は霧化方法と霧化装置を以下のものに特定しない。
【0022】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0023】
本発明の霧化方法と霧化装置は、溶液を超音波振動させて気体中にミストに霧化する。以下、本発明の実施例として、霧化装置を備える溶液の分離装置を説明する。以下に示す溶液の分離装置は、本発明の霧化方法と霧化装置によって、2種以上の物質を含む溶液を超音波振動させてミストに霧化し、霧化したミストを凝集して回収し、溶液を分離する。ただ、本発明は、霧化方法と霧化装置の用途を溶液の分離装置に特定しない。本発明の霧化方法と霧化装置は、水をミストに霧化して空気中に気化させる加湿器等に使用することもできる。
【0024】
以下に示す溶液の分離装置は、少なくとも2種の物質を含む溶液から高濃度の特定溶液を分離する。分離装置は、溶液の溶媒と溶質を特定するものではないが、溶媒は、主として水である。ただ、水以外にもアルコール等の有機溶媒も使用できる。溶液は、例えば以下のものである。
(1) 清酒、ビール、ワイン、食酢、みりん、スピリッツ、焼酎、ブランデー、ウイスキー、リキュール
(2) ピネン、リナロール、リモネン、ポリフェノール類などの香料、芳香成分ないし香気成分を含む溶液
(3) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合した物質を含む溶液
(4) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をハロゲンによって置き換えた物質を含む溶液
(5) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基を水酸基によって置き換えた物質を含む溶液
(6) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をアミノ基によって置き換えた物質を含む溶液
(7) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をカルボニル基によって置き換えた物質を含む溶液
(8) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をカルボキシル基によって置き換えた物質を含む溶液
(9) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をニトロ基によって置き換えた物質を含む溶液
(10) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をシアノ基によって置き換えた物質を含む溶液
(11) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をメルカプト基によって置き換えた物質を含む溶液
(12) 前述の(3)〜(11)の溶液に含まれるいずれか一つ以上の原子を金属イオンによって置換した物質を含む溶液
(13) 先述の(3)〜(11)の溶液に含まれる分子のうち任意の水素原子、炭素原子もしくは官能基を(3)〜(11)の分子のうち任意の分子で置き換えた物質を含む溶液
【0025】
2種以上の物質を含む溶液を超音波振動させて溶液からミストを分離し、分離したミストを凝集して回収すると、ミストから回収された溶液と、ミストにならないで残存する溶液とで、含有物質の濃度が異なる。たとえば、アルコール水溶液を超音波振動でミストに霧化し、霧化されたミストを回収すると、ミストにならないで残存するアルコールよりも高濃度なアルコールとなる。ミストを凝集して回収した溶液のアルコール濃度が高いのは、超音波振動によって、アルコールが水よりもミストに霧化されやすいからである。
【0026】
以下、溶液をアルコールとして、本発明の霧化方法と霧化装置でアルコールをミストに霧化し、このミストを回収して高濃度なアルコールを分離する分離装置を示す。ただし、分離装置は、霧化装置で霧化する溶液をアルコールには特定しない。ミストに霧化して分離できる前述した溶液、あるいはその他の溶液の分離に使用できるからである。
【0027】
図2ないし図5に示す溶液の分離装置は、溶液をミストに霧化する霧化装置1と、この霧化装置1で霧化されたミストを回収する回収部40とを備える。
【0028】
霧化装置1は、溶液が供給される閉鎖構造の超音波霧化室4と、この超音波霧化室4の溶液を超音波振動させてミストに霧化する超音波振動子2と、超音波振動子2の上方に配設している筒体6と、この筒体内部の溶液の圧力をミストに霧化する気体の圧力よりも相対的に高くする圧力機構5と、超音波振動子2に接続している高周波電源3とを備える。
【0029】
図2ないし図4に示す霧化装置1は、溶液が供給されるケーシング49の内部に超音波霧化室4を設けており、このケーシング49の底面に複数の超音波振動子2を固定している。図5に示す霧化装置1は、複数に区画された超音波霧化室4を有しており、これらの超音波霧化室4を密閉構造の閉鎖室99の内部に配設している。図5の霧化装置1は、各超音波霧化室4を構成する複数のケーシング49と、これらのケーシング49を脱着できるように連結している基台90とを閉鎖室99の内部に配設している。
【0030】
溶液は、供給機構7で超音波霧化室4に供給される。図2、図3及び図5に示す供給機構7は、超音波霧化室4に供給される溶液を蓄えている溶液タンク11と、この溶液タンク11の溶液を超音波霧化室4に供給する溶液ポンプ10とを備える。溶液ポンプ10は、吸入側を溶液タンク11に連結して、排出側を超音波霧化室4に連結している。この供給機構7は、溶液ポンプ10でもって、溶液タンク11から連続的に、超音波霧化室4に溶液を供給する構造としている。さらに、図4に示す供給機構7は、溶液タンク11に溶液ポンプを連結することなく、溶液タンク11と超音波霧化室4とに高低差を設けて、溶液タンク11から超音波霧化室4に溶液を供給する構造としている。
【0031】
超音波霧化室4は、供給される全ての溶液をミストとして霧化させない。全ての溶液を霧化して回収部40で回収すると、超音波霧化室4に供給する溶液と、回収部40で回収される溶液のアルコール等の目的物質の濃度が同じになるからである。超音波霧化室4に供給された溶液は、ミストとして霧化して容量が少なくなるにしたがって、目的物質の濃度が低下する。このため、ミストに含まれる目的物質の濃度も次第に低下する。超音波霧化室4の溶液は、好ましくは、目的物質濃度が低下すると新しいものに入れ換えられる。
【0032】
図2と図3の霧化装置1は、超音波霧化室4の溶液を排出しながら、溶液タンク11から溶液を供給して、超音波霧化室4の溶液のアルコール等の目的物質濃度が低下するのを防止する。この霧化装置1は、たとえば、目的物質の濃度が10〜50重量%である溶液を霧化して、目的物質の濃度が低下すると、超音波霧化室4と溶液タンク11の溶液を新しいものに入れ換えることができる。すなわち、一定の時間経過すると溶液を新しいものに入れ換えて、溶液を交換することができる。また、図の矢印Aで示すように、超音波霧化室4の溶液を溶液タンク11に循環することなく外部に排出して、溶液タンク11に含まれる目的物質の濃度が低下するのを防止することもできる。
【0033】
超音波霧化室4は、内部に筒体6を配設している。筒体6は、超音波振動子2の上方に配設されて、超音波振動子2で超音波振動される溶液から効率よくミストを飛散させる。筒体6は、上端に押出口12を開口している筒状としている。霧化装置1は、超音波霧化室4に供給される溶液を、筒体6の内部に供給すると共に、筒体内部に供給される溶液に、押出口12に向かって超音波振動を与えて、押出口12からミストに霧化して飛散させる。図の超音波振動子2は、上方に超音波を放射する。したがって、筒体6は、超音波振動子2の上方に、垂直な姿勢で配設している。
【0034】
図2ないし図4に示す霧化装置1は、超音波霧化室4の下部に複数の筒体6を配設している。複数の筒体6は、下端を連結プレート31で連結して、同一平面上に配設している。この超音波霧化室4は、溶液が供給される下部を、筒体6と連結プレート31とケーシング49とで閉鎖構造としており、ここに供給される溶液を、超音波振動する状態で複数の筒体6の押出口12から気体中に排出するようにしている。さらに、複数の筒体6は、超音波振動子2から上方に離して配設しており、ケーシング49の底面であって、各筒体6の下方に位置して超音波振動子2を配設している。この霧化装置は、筒体6の下端よりも下方に位置する超音波振動子2の超音波振動を内部に案内し、筒体6の上端にある押出口12からミストとして飛散させる。また、図5に示す霧化装置1は、各ケーシング49に、各々筒体6を配設している。これらの筒体6は、下端をケーシング49の底板62に固定して閉塞しており、この筒体6の内部に溶液を供給して、溶液を超音波霧化室4に供給するようにしている。
【0035】
さらに、本発明の霧化装置は、超音波振動を溶液の霧化に効率よく利用して、溶液を効率よくミストに霧化するために、圧力機構5でもって、筒体内部の溶液の圧力をミストに霧化する気体の圧力よりも相対的に高くし、超音波振動する状態で、溶液を筒体6の上端に開口された押出口12から気体中に噴出させている。この装置は、筒体6の上端の押出口12から気体中に噴出する溶液を、超音波振動子2で超音波振動させて気体中にミストに霧化する。
【0036】
圧力機構5は、筒体内部の溶液の圧力をミストに霧化する気体の圧力よりも相対的に高くして、図6に示すように、超音波振動しない状態において、筒体内部に供給される溶液の液面レベルを筒体6の下端よりも上昇させている。すなわち、圧力機構5は、筒体内部の溶液と超音波霧化室内の気体とに圧力差を設けて、この圧力差によって筒体内部における溶液の液面レベルを上昇させている。このように、圧力機構5によって筒体内部の溶液の液面レベルを高くする霧化装置は、超音波振動のエネルギーの一部を、溶液を柱状に押し上げるために消費することなく、溶液を効率よくミストに霧化することができる。したがって、筒体内部の液体を効率よく超音波振動させて、溶液を筒体6の上端に開口された押出口12から気体中に噴出させながらミストに霧化できる。
【0037】
圧力機構5は、たとえば、超音波を放射しない状態において、筒体内部の溶液の液面レベルが、筒体6の高さ(h)の1/4以上、好ましくは1/3以上さらに好ましくは1/2以上となるように、筒体内部の溶液と超音波霧化室内の気体とに圧力差を設けることができる。さらに、圧力機構5は、図7に示すように、超音波を放射しない状態において、筒体内部の溶液が押出口12からオーバーフローして排出される状態に噴出する圧力差とすることもできる。
【0038】
図2と図5に示す圧力機構5は、溶液ポンプ10である。図の溶液ポンプ10は、溶液タンク11内の溶液を吸引して超音波霧化室4に供給し、筒体6の内部の圧力を気体中の圧力よりも相対的に高くする。この圧力機構5は、溶液ポンプ10が超音波霧化室内の溶液を加圧して、超音波振動しない状態で筒体6の内部の液面レベルを上昇させると共に、超音波振動する状態では、押出口12から溶液を気体中に噴出するようにしている。図2に示す圧力機構5は、溶液ポンプ10が超音波霧化室4に供給する供給路43の圧力を、超音波霧化室4から排出される排出路44の圧力よりも高くして、筒体内部に供給される溶液の圧力を気体の圧力よりも高くしている。排出路44における流量を制御するために、排出路44には、制御弁45を設けている。ただ、圧力機構は、超音波霧化室の溶液を排出することなく、すなわち、超音波霧化室に排出路を連結することなく、溶液ポンプから連続して溶液を供給して、筒体の内部の圧力を気体中の圧力よりも相対的に高くすることもできる。
【0039】
図3に示す圧力機構5は、超音波霧化室4内の気体を吸引して、超音波霧化室4内を減圧する送風機8である。図に示す霧化装置1は、送風機8で超音波霧化室4内の気体を吸引して、超音波霧化室内の圧力を低下させて、筒体6の内部の液面レベルを上昇させると共に、超音波振動する状態で、押出口12から溶液を気体中に噴出するようにしている。
【0040】
さらに、図4に示す圧力機構5は、超音波霧化室4に溶液を供給する供給機構7の溶液タンク11を、筒体6に対して高い位置に配置して、この高低差により筒体6に供給される溶液の圧力を高くしている。この圧力機構5は、溶液ポンプを設けることなく超音波霧化室内の溶液を加圧できる特長がある。この圧力機構5は、溶液タンク11の液面レベルの高さを調整して、筒体内部の圧力を調整できる。さらに、図に示す供給機構7は、超音波霧化室4に供給する供給路43に制御弁46を設けて、供給する溶液量を調整するようにしている。
【0041】
さらに、圧力機構は、図示しないが、溶液タンクの高低差や溶液ポンプによって超音波霧化室に供給する溶液を加圧すると共に、送風機で超音波霧化室内の気体を吸引して減圧することによって、筒体内部の溶液と超音波霧化室内の気体とに圧力差を設けることもできる。
【0042】
以上の構造の圧力機構5は、筒体内部の溶液の圧力と気体中の圧力の差により、超音波振動しない状態で、図6に示すように、筒体6の内部の液面レベルを筒体6の高さ(h)の1/4以上に上昇させ、あるいは、図7に示すように、押出口12から気体中に溶液を噴出させる状態とする。さらに、霧化装置1は、筒体6の内部の液面レベルが上昇する状態で、あるいは、押出口12から溶液を噴出する状態で、超音波振動子2で溶液に超音波振動を与えて溶液をミストに霧化している。このように、圧力機構5によって筒体6の内部の液面レベルを上昇する状態で、あるいは、押出口12から溶液を噴出する状態で、超音波振動を加えてミストに霧化するので、超音波振動のエネルギーを有効に溶液の霧化に利用できる特長が実現される。
【0043】
図の筒体6は、上端に向かって次第に細くなる円錐ホーンである。ただし、筒体は、内面の形状をエクスポーネンシャルカーブとするエクスポーネンシャルホーンとすることもできる。円錐ホーンやエクスポーネンシャルホーンの筒体6は、内部に効率よく超音波振動を伝達させて、溶液を能率よくミストに霧化できる特徴がある。ただ、本発明は、筒体を、円筒形状、楕円筒状、多角筒状とすることもできる。
【0044】
筒体6の下端開口部の内形は、超音波振動を効率よく内部に伝達できるように、超音波振動子2の外形より小さく、あるいは大きくして、超音波振動が内面に沿って上昇するようにする。たとえば、筒体6の下端の開口部の内径は、超音波振動子2の外径の50〜150%、好ましくは60〜100%とする。
【0045】
さらに、筒体6の高さ(h)と押出口12の大きさは、筒体6の内部に沿って溶液が上昇するように、いいかえると、筒体6の内面と筒体内部の溶液との間に気層ができないように溶液が上昇するように設計される。すなわち、圧力機構5で加圧される溶液が筒体6の内部に沿って上昇し、あるいは、超音波振動による液柱が筒体6の内部に沿って上昇し、超音波振動によって押出口12の近傍でミストとなって飛散するように設計される。したがって、筒体6の高さ(h)と押出口12の大きさは、超音波振動子2の大きさ、出力、周波数、さらには、圧力機構5による圧力差等を考慮して最適値に設計される。筒体6の高さ(h)は、たとえば、0.1〜10cm、好ましくは1〜10cmとすることができる。
【0046】
図2ないし図4に示す霧化装置1は、超音波霧化室4の下部において、複数の筒体6を連結プレート31に連結している。複数の筒体6と連結プレート31との連結構造の一例を図8の拡大断面図に示す。この図に示す筒体6は、下部を連結プレート31に脱着自在に連結できる構造としている。連結プレート31は、筒体6の連結部に貫通穴32を開口しており、この貫通穴32を通過して溶液を筒体6の内部に供給すると共に、超音波振動を内部に案内するようにしている。
【0047】
さらに、図8に示す筒体6は、押出口12から霧化されるミストに気体を供給する噴気口14を開口して、この噴気口14を気体源(図示せず)に連結している。気体源は、噴気口14に、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性な気体を供給することができる。気体源から供給される気体は噴気口14からミストに供給され、押出口12から噴霧されるミストは気体中に霧化される。この状態で霧化されたミストを含む気体が回収部40で凝集させて溶液を回収する。
【0048】
図8の筒体6は、内筒6aの外側に外筒6bを配設して、内筒6aと外筒6bとの間に気体のダクト15を設けている。ダクト15は、筒体6の上端に開口している噴気口14に連結している。ダクト15に供給される気体は、噴気口14から排出される。噴気口14は、筒体6上端の周囲に、スリット状に開口されている。スリット状の噴気口14は、気体をリング状に排気する。リング状に排気される気体の内側にミストが放出される。この構造の筒体6は、ミストを新鮮な気体の内側に噴霧する。このため、溶液を効率よくミストに霧化できる。ミストが溶液濃度の低い気体中に霧化されるからである。
【0049】
図8の筒体6は、連結プレート31である連結ダクト16に脱着できるように連結している。連結ダクト16は、内部に供給ダクト19を設けている。この供給ダクト19は、ダクト15に連結している。連結ダクト16の供給ダクト19は、気体源に連結している。連結プレート31には、図2ないし図4に示すように、複数の筒体6を連結している。図8の筒体6は、下端の外周に雄ネジ17を設け、連結ダクト16には筒体6の雄ネジ17をねじ込む雌ネジ穴18を設けている。筒体6は、雄ネジ17を雌ネジ穴18の雌ネジにねじ込んで、連結ダクト16に連結される。連結ダクト16は、内部に気体の供給ダクト19を設けている。筒体6は、連結ダクト16に連結される状態で、ダクト15の入口を連結ダクト16の供給ダクト19に連結して、連結ダクト16の供給ダクト19から筒体6のダクト15に気体が供給される。図8の筒体6は、雄ネジ17の上方と底面とに、リング溝を設けて、ここにOリング20、21を入れている。Oリング20、21は、筒体6を連結ダクト16に連結する状態で、雌ネジ穴18の内面に密着して、連結ダクト16と筒体6との連結部の気体漏れを阻止する。すなわち、筒体6を気密な状態で連結ダクト16に連結する。
【0050】
以上の霧化装置1は、超音波振動子2を超音波振動させて、溶液をミストとして筒体6の押出口12から飛散させる。溶液は、筒体6の内部で超音波振動され、押出口12からミストとして飛散される。図の霧化装置1は、超音波振動子2を上向きに配設している。超音波振動子2は、底から筒体6の内部に向かって上向きに、垂直方向に超音波を放射して、筒体内部の溶液を超音波振動させる。筒体内部の溶液は、超音波振動される状態で筒体6の押出口12から気体中に噴出されて、筒体6の押出口12から気体中にミストに霧化される。
【0051】
さらに、図2と図3の霧化装置は、筒体6の押出口12から飛散するミストを効率よく回収して循環ダクト41に循環させるために、筒体6の押出口12の上方に、ミストの吸入部9を設けている。図に示す吸入部9は、円筒状のパイプで、筒体6の上方に垂直の姿勢で配置している。筒状のパイプである吸入部9は、下端を筒体6の上部に配置して、上端を超音波霧化室4の上方に延長している。図に示す吸入部9は、筒体6の上端縁に位置して、円筒状パイプの下端縁を配置している。ただ、吸入部は、下端部を筒体の上部にラップする状態で配置することも、あるいは、下端縁を筒体の上端縁から離して配置することもできる。さらに、吸入部9の下端の開口部は、筒体6の押出口12よりも広い開口面積としており、筒体6の上端から飛散されるミストを漏れなく回収できるようにしている。吸入部9の上端は、超音波霧化室4の上部で連結されており、この連結部を循環ダクト41に連結して、吸入部9で回収されたミストを循環ダクト41に循環させるようにしている。ただ、吸入部は、必ずしも設ける必要はない。
【0052】
さらに、図2ないし図4に示す霧化装置は、筒体6の押出口12からオーバーフローして噴射された溶液を回収するために、超音波霧化室4に排出路47を連結している。超音波振動する状態で筒体6の押出口12から噴出される液体は、超音波振動によって気体中にミストに霧化されるが、一部は霧化されることなく溶液の状態で筒体6の周囲に流下する。この溶液を回収するために、超音波霧化室4に排出路47を連結している。排出路47で回収される溶液は、再び溶液タンク11に循環し、あるいは、図の矢印Bで示すように外部に排出される。
【0053】
さらに、図5に示す霧化装置1は、図9ないし図11に示すように、内部に溶液が供給されるケーシング49の底面に筒体6の下端を固定している。このケーシング49は底面を閉塞した筒状で、基台90の所定の位置に脱着自在に装着している。図に示すケーシング49は、水平断面の形状を正方形とする角筒状としている。ただ、筒状のケーシングは、断面形状を三角形や五角形以上の多角形状とすることも、円形や楕円形状とすることもできる。筒状のケーシング49は、底面を底板62で閉塞しており、この底板62に超音波振動子2を固定すると共に、この超音波振動子2の上方に位置して、筒体6を固定している。図9ないし図11に示す筒体6は、下端の内形を超音波振動子2の外形より大きくして、超音波振動が内面に沿って上昇するようにしている。筒体6は、たとえば、下端の内形を、超音波振動子2の外径の100〜500%、好ましくは150〜300%とする。
【0054】
底板62に固定される超音波振動子2は、下面に設けている電極を高周波電源3に接続して、高周波電源3から供給される電力で超音波振動される。高周波電源3は、リード線27を介して超音波振動子2に接続されて、超音波振動子2に高周波出力を出力する。図のケーシング49は、高周波電源3を構成する電子部品をケーシング49の底板62に設けた収納室64に収納し、この収納室64の開口部に超音波振動子2を固定している。
【0055】
ケーシング49は、底板62に上方開口の収納室64を設けている。図のケーシング49は、底板62に収納ケース63を連結し、この収納ケース63の内部に凹部形状の収納室64を設けている。収納ケース63は、底を閉塞する筒形としている。図のケーシング49は、底板62と収納ケース63を一体構造としている。収納ケース63は、収納室64の底部に高周波電源3を構成する電子部品を配設し、ウレタン樹脂やフェノール樹脂等の絶縁樹脂56にポッティングして埋設している。さらに、収納ケース63は、超音波振動子2を開口部に固定するために、開口縁の内面に段差部65を設けている。この段差部65にパッキン28を介して超音波振動子2を水密構造で配置している。ここに固定される超音波振動子2は、絶縁樹脂56との間に隙間を設けている。超音波振動子2を絶縁樹脂に接触させないで振動させるためである。段差部65の上方開口は、底板62の上面に固定する固定部66で閉塞している。固定部66は、パッキン28の内径に等しい開口部67を有し、パッキン28の上面に密着されて超音波振動子2を水密構造に段差部65に固定する。固定部66は、ネジ止めされて底板62に固定される。以上のケーシング49は、収納室64に高周波電源3を収納しているが、ケーシングは、高周波電源を外部に配設することもできる。このケーシングは、超音波振動子を必ずしも水密構造で固定する必要はない。
【0056】
図のケーシング49は、筒体6の下端を底板62で閉塞しており、超音波霧化室4に供給される溶液を、筒体6の内部に供給する構造としている。筒体6は、内部に原液を供給するために、筒体6の内部とケーシング49の外部とを連通する溶液供給管70を連結している。図の溶液供給管70は、ケーシング49の底板62を貫通して配設している。溶液供給管70は、一端を筒体6の内部に、他端をケーシング49の外部に配設している。溶液供給管70は、図5に示す溶液の供給機構7に連結されており、この供給機構7でもって、筒体6の内部に原液を供給している。さらに、図9ないし図11に示す溶液供給管70は、ケーシング49の外部に配設される端部を、脱着コネクタ71を介して溶液の供給機構に連結している。この連結構造は、簡単かつ速やかに、しかも脱着自在に溶液供給管70を供給機構に連結できる。
【0057】
筒体6の押出口12で霧化されたミストは、気体で移送されて超音波霧化室4から排出される。超音波霧化室4は、筒体6から排出されるミストに気体を供給する噴気口14を設けている。図の筒体6は、押出口12の周囲に気体を噴出する噴気口14を開口して設けている。図の筒体6は、内筒6aの外側に外筒6bを配設して、内筒6a外筒6bとの間に気体のダクト15を設けている。ダクト15は、筒体6の上端の押出口12の周囲に噴気口14を開口しており、ダクト15に供給される気体を噴気口14から排出するようにしている。
【0058】
さらに、図に示すケーシング49は、筒体6に設けたダクト15に気体を供給する気体供給管72を設けている。図に示す気体供給管72は、ケーシング49の底板62を貫通して配設している。気体供給管72は、一端を筒体6のダクト15の内部に、他端をケーシング49の外部に配設している。気体供給管72は、気体の供給源に連結されて、気体が供給される。図5に示す分離装置は、回収部40の排出側を気体源として気体供給管に連結しており、回収部40から排出される気体をケーシング49に供給する構造としている。この構造は、気体を循環させてミストを分離できる。ただ、分離装置は、気体を循環させることなく、気体供給管に気体源を連結して、筒体のダクトに強制送風することもできる。図9ないし図11に示す気体供給管72は、ケーシング49の外部に配設される端部を、脱着コネクタ73を介して気体の供給源に連結している。この連結構造も、簡単かつ速やかに、気体供給管72を供給源に連結できる。
【0059】
以上の構造の筒体6は、押出口12の周囲に設けた噴気口14から気体を排出するので、筒体6の押出口12で霧化されるミストに気体を供給して、効率よくケーシング49の外部に排出できる特長がある。ただ、霧化装置は、必ずしも筒体の押出口の周囲に噴気口を設ける必要はない。噴気口は、たとえば、ケーシングの下方に設けて、筒体の押出口から気体中にミストに霧化される溶液を外部に排出することもできる。
【0060】
さらに、ケーシング49は、筒体6の上端の押出口12からオーバーフローして排出された溶液をケーシング49の外部に排出する構造としている。図のケーシング49は、筒体6の周囲に溜まった溶液を排出するために、ケーシング49の内部と外部を連通する溶液排出管74を連結している。溶液排出管74は、ケーシング49の底板62を貫通して配設している。溶液排出管74は、一端を筒体6の外側であってケーシング49の底部に、他端をケーシング49の外部に配設している。図9ないし図11に示す溶液排出管74は、ケーシング49の外部に配設される端部を、脱着コネクタ75を介して溶液の排出機構(図示せず)に連結している。
【0061】
さらに、図に示す超音波ユニット60は、高周波電源3に電力を供給する電源コード76を収納ケース63から引き出しており、この電源コード76をケーシング49の外部において電源に接続するようにしている。図に示す基台90は、電源コード76を電源59に接続するコンセント77を設けている。この超音波ユニット60は、電源コード76の連結プラグ78をコンセント77に接続して電源59に接続され、電源59から電力が供給される。この構造は、高周波電源3を極めて簡単に電源59に電気接続できる特長がある。
【0062】
図9に示すケーシング49は、底板62に超音波振動子2と筒体6とを固定している。この構造は、ケーシング49を交換して、超音波振動子2及び筒体6を交換できる。さらに、図10と図11に示すケーシング49は、超音波振動子2と筒体6とを一体的に連結してなる脱着ユニット80を底板62に脱着自在に連結している。この構造は、ケーシング49を交換することなく脱着ユニット80のみを交換して、超音波振動子2及び筒体6を交換できる。
【0063】
脱着ユニット80は、ケーシング49の底板62に開口して設けている円形の連結開口部68に脱着できるように連結される。底板62は、連結開口部68の内周面に、脱着ユニット80の外周面に設けた雄ネジ82をねじ込む雌ネジ69を設けている。脱着ユニット80は、ケーシング2の底板62となる円形状の連結プレート81の外周を連結開口部68に挿入できる外形として、連結プレート81の外周面に雄ネジ82を設けている。脱着ユニット80は、連結プレート81の雄ネジ82を連結開口部68の雌ネジ69にねじ込んでケーシング49に連結される。連結開口部68はケーシング49の内部に連通しているので、脱着ユニット80はケーシング49の底板62に液密な構造で連結する必要がある。このため、底板62の連結開口部68の内面と脱着ユニット80の外周面との間にOリング30を挟着している。Oリング30は、連結開口部68と脱着ユニット80との間を液密な状態で連結して、連結開口部68を脱着ユニット80の連結プレート81で液密に閉塞する。
【0064】
さらに、ケーシングは、図12に示す構造で底板62に超音波振動子2を固定することもできる。この図のケーシング49は、超音波振動子2と高周波電源3を収納してなる収納ケース63を底板62に脱着自在に連結している。図の収納ケース63は、上方を開口する収納室64に高周波電源3を構成する電子部品を収納して絶縁樹脂56に埋設すると共に、開口縁部に超音波振動子2を配置している。この収納ケース63は、底板62の下端に、下方に開口して設けている連結凹部83に脱着できるように連結している。連結凹部83は、内面に雌ネジ84を設けている。収納ケース63は、連結凹部83に挿入できる外形として、連結凹部83の雌ネジ84にねじ込む雄ネジ85を上部の外周に設けている。この収納ケース63は、雄ネジ85を雌ネジ84にねじ込んで、連結凹部83に連結される。連結凹部83は、底部を開口しており、この開口部67から超音波振動子2を筒体6の内部に表出させている。連結凹部83は、筒体6の内部に連通しているので、収納ケース63と連結凹部83は、水密な構造で連結する必要がある。このため、連結凹部83の内面と収納ケース63の外周との間にOリング30を挟着して、これらを水密構造で連結している。図の収納ケース63は、収納室64に、超音波振動子2と高周波電源3を内蔵するので、収納ケース63のみを交換して、これらを簡単に交換できる特徴がある。
【0065】
基台90は、複数のケーシング49を脱着自在に装着できるように、上面に複数の装着凹部91を形成している。装着凹部91は、ケーシング49の下部を装着できる凹部で、この凹部にケーシング49の下部を嵌着させて、所定の位置に保持できるようにしている。図の基台90は、ケーシング49の外周に沿う筒状の隔壁92を設けており、この隔壁92の内側に装着凹部91を設けている。装着凹部91は、内面に段差部93を設けており、この段差部93でケーシング49の底面を支持して所定の位置に連結できるようにしている。さらに、図に示す装着凹部91は、ケーシング49を位置ずれすることなく連結できるように、隔壁92の内面に弾性支持体94を備えている。図の弾性支持体94はゴム状弾性体からなるパッキンで、装着凹部91の内面とケーシング49の外面とに密着してケーシング49を所定の位置に保持できるようにしている。ただ、弾性支持体は必ずしも必要ではない。
【0066】
さらに、装着凹部91は、段差部93より下側に、超音波ユニット60との連結部を配設するための収納室95を設けている。この収納室95には、超音波霧化室4に溶液や気体、電力を供給し、あるいは、溶液を排出するための配管や配線を配設している。装着凹部91に装着されるケーシング49は、収納室95の内部において、溶液供給管70を供給機構に連結し、気体供給管72を気体の供給源に連結し、高周波電源3を電源に接続し、さらに、溶液排出管74を排出機構に連結する。
【0067】
さらに、図に示す基台90は、装着凹部91の周囲に貯水槽96を設けて、この貯水槽93に水を貯溜している。図の貯水槽95は、ケーシング49の周囲に設けた隔壁92を周壁としており、この隔壁92で区画される領域を貯水槽96として水を貯溜している。この貯水槽96は、装着凹部91の隔壁92の外側であって、隣接する装着凹部91の隔壁92との間に形成している。このように、ケーシング49の周囲に水を貯溜して、言い換えると液中にケーシング49を配設する構造は、超音波霧化室4で霧化されるアルコール等のミストが爆発を起こすのを有効に防止する、すなわち防爆の効果がある。したがって、貯水槽96は、有効に防爆できるように、所定の面積および貯水量となるように設計して設けられる。
【0068】
以上の構造の霧化装置1は、閉鎖室99の内部において、複数のケーシング49を基台90に連結して霧化装置1としている。複数の超音波ユニット60は、基台90に連結される状態で、供給機構7から筒体6の内部に溶液が供給されると共に、筒体6の内部の溶液に超音波振動子2から超音波振動が与えられて、筒体6の押出口12からミストに霧化される。さらに、複数の超音波ユニット60で霧化されたミストは、噴気口14から供給される気体でもって、ケーシング49の外部に排出される。
【0069】
図5に示す超音波霧化機1は、ケーシング49から排出されるミストを一次的に回収するデミスタ97を備える。図の超音波霧化機1は、各超音波ユニット60のケーシング49の上端にデミスタ97を連結しており、ケーシング49から排出される気体に含まれるミストをデミスタ97で回収している。この超音波霧化機1は、デミスタ97で一次的にミストが回収された気体を霧化室4から排出する。
【0070】
以上の実施例の霧化装置は、図2ないし図4に示すように、一つの超音波霧化室4に複数の筒体6と超音波振動子2とを備え、あるいは、図5に示すように、筒体6と超音波振動子2を備える複数の超音波霧化室4を備えているので、多量の溶液を効率よくミストに霧化できる特長がある。ただ、図示しないが、本発明の霧化装置は、ひとつの超音波振動子と筒体とを備える単一の超音波霧化室で構成することもできる。この霧化装置は、たとえば、加湿器として有効に使用できる。
【0071】
以上の霧化装置1は、超音波振動子2を、筒体6の下方に上向きに配設しており、この超音波振動子2から筒体6の内部に向かって上向きに超音波を放射して、筒体内部の溶液を超音波振動させている。ただ、本発明の霧化装置は、超音波振動子を筒体の下方に配設する構造に特定しない。本発明の霧化装置は、図13に示すように、筒体6の押出口12から気体中に突出して、超音波振動子2を配設することもできる。この図に示す超音波振動子2は、互いに対向する面に対して垂直な方向に超音波を放射する構造としている。さらに、この霧化装置1は、圧力機構5によって、溶液を筒体6の押出口12から柱状に噴射するようにしている。この霧化装置1は、筒体6に供給される溶液を押出口12から上方に噴出させて、上方に突出する液柱を発生させると共に、この状態で液柱の内部に配設される超音波振動子2によって、液柱の内部から両側に向かって超音波を放射して溶液を気体中にミストに霧化する。超音波振動子2は、図に示すように、筒体6の押出口12から噴射される柱状の溶液の内部に配設される。いいかえると、超音波振動子2の周囲に液柱ができるように、圧力機構5によって溶液を噴出させる。この構造の霧化装置1は、超音波振動子2から放射される超音波の振動を、図において左右の両方向に放射できるので、柱状の溶液の両側に効率よくミストに霧化できる特長がある。
【0072】
以上の霧化装置1は、超音波霧化室4の溶液を、超音波振動子2で超音波振動してミストに霧化する。霧化装置1で霧化されたミストは、溶液よりも目的物質の濃度が高い。したがって、霧化装置1で溶液をミストに霧化し、ミストを凝集して回収することで、高濃度な溶液を効率よく分離できる。
【0073】
霧化装置1で霧化された溶液のミストは、搬送気体を介して回収部40に流入されて、回収部40で回収される。ミストを回収部40に流入させるために、図2ないし図5の分離装置は、回収部40をダクト41で霧化装置1に連結している。図2、図4及び図5の分離装置は、搬送気体をブロア48で回収部40に搬送している。図3に示す分離装置は、圧力機構5の送風機構8を搬送気体を移送するブロア48に併用している。これらの分離装置は、ミストを含む搬送気体を霧化装置1から回収部40に搬送する。とくに、図2、図4及び図5に示す分離装置は、ミスト成分が分離された搬送気体を超音波霧化室4に環流している。この分離装置は、好ましくは、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性なガスを搬送気体とすることができる。この分離装置は、不活性ガスによって、霧化装置1や回収部40における溶液の変質が防止される。このため、より高品質な状態で高濃度の溶液を得ることができる。ただし、搬送気体には空気も使用できる。
【0074】
回収部40は、微細なミストを凝集させて高濃度のアルコール溶液として回収する。ミストは、気体ではないので、必ずしも冷却しないで凝集させて回収できる。ただ、ミストを冷却して速やかに回収できる。図2ないし図4の回収部40は、ミストを冷却して凝集させる冷却用熱交換器33を内蔵している。冷却用熱交換器33は、熱交換パイプ34にフィン(図示せず)を固定している。熱交換パイプ34に冷却用の冷媒や冷却水を循環させて、熱交換器33は冷却される。超音波霧化室4で霧化されたミストは、一部が気化して気体となるが、気体は回収部40の熱交換器33で冷却され、結露して凝集されて回収される。回収部40に流入されるミストは、熱交換器33に衝突し、あるいは互いに衝突して大きく凝集し、または熱交換器33のフィン等に衝突して大きく凝集して溶液として回収される。ミストと気体を熱交換器33で凝集して回収した空気は、循環ダクト41を介して再び超音波霧化室4に循環される。
【0075】
さらに、回収部は、図示しないが、気体に含まれる目的物質であるアルコール等の蒸気を吸着剤に吸着させて回収することもできる。この回収部は、たとえば、加熱された回収気体で吸着剤に吸着されたアルコールを排出し、回収気体を冷却して排出されたアルコールを結露させて回収することができる。この回収部は、たとえば、空隙に吸着剤を設けているローターと、このローターを回転させる回転駆動機構とで構成することができる。ローターは、回転軸の方向に気体を通過できる空隙を有するハニカムローターである。吸着剤には、たとえば、ゼオライト、活性炭、酸化リチウム、シリカゲルのいずれか、もしくはこれらの混合物が使用できる。この回収部は、回転駆動機構でローターを所定の速度で回転させて、蒸気を吸着させる吸着領域と、吸着した蒸気を排出する再生領域とに移動させる。ローターが吸着領域に移動されると、目的物質であるアルコールの蒸気を含む気体が空隙に通過されて、気体に含まれる目的物質のアルコールが吸着剤に吸着される。ローターが回転して再生領域に移動されると、吸着した目的物質のアルコールを排出する。排出された目的物質のアルコールは、回収気体を冷却して回収される。ローターの吸着領域を通過した気体は、再び超音波霧化室に移動される。
【0076】
以上の実施例の分離装置は、霧化装置1と回収部40とを別々に離して、循環ダクト41で連結している。ただ、分離装置は、図14ないし図17に示すように、霧化装置1と回収部40とを一体構造とすることもできる。図14と図16の分離装置は、回収部40に霧化装置1を内蔵しており、図15と図17の分離装置は、回収部40と霧化装置1とでひとつの気密チャンバーを構成して、回収部40と霧化装置1とを一体的に連結している。図15と図17の分離装置は、超音波霧化室4と回収部40の上部を連通路である連結ダクト42を介して連結して一体構造としている。これらの図に示す分離装置は、回収部40の容積を、霧化装置1の超音波霧化室4に比較して充分に大きく、たとえば、超音波霧化室4の容積の2〜100倍、好ましくは5〜50倍、さらに好ましくは5〜20倍としている。図に示す分離装置において、超音波霧化室4で霧化したミストは、ゆっくりと降下して回収部40に溶液として回収される。
【0077】
図14ないし図17に示す回収部40は閉鎖チャンバーであって、ここに供給されるミストは外部に排出されない。したがって、回収部40に供給されたミストは、互いに衝突して大きく凝集し、あるいは、邪魔板等に衝突して大きく凝集して溶液として回収される。回収部40において、ミストをより速やかに回収するために、図14と図15の回収部40は、溶液を散水するノズル36を備える。ノズル36は、循環ポンプ35を介して回収部40の底部に連結される。循環ポンプ35は、回収部40に回収された溶液を吸入して、ノズル36から噴霧させる。
【0078】
図の超音波分離装置は、回収部40の上部と側面にノズル36を配設している。上部のノズル36は、下向きに溶液を噴霧する。側面のノズル36は、水平方向に溶液を噴霧する。ノズル36から噴霧される溶液は、霧化装置1で霧化されたミストに比較して充分に大きな水滴であって、回収部40の内部を速やかに落下し、落下するときに、回収部40の内部に浮遊しているミストに衝突して、ミストを回収しながら落下する。したがって、回収部40に浮遊するミストを効率よく速やかに回収できる。
【0079】
図の分離装置は、ノズル36を上と側面とに配設しているが、回収部の下部にノズルを配設することもできる。下部のノズルは、上向きに溶液を噴霧する。このノズルは、回収部40の天井に溶液を衝突させる速度で、あるいは、天井の近傍まで上昇する速度で溶液を噴霧する。天井の近傍まで上昇するように噴霧される溶液は、天井の近傍で下向きに方向を変えて落下するので、上昇するときと降下するときにミストに接触して、ミストを効率よく回収する。
【0080】
さらに、図16の回収部40は、内部に複数枚の邪魔板37を配設している。邪魔板37は、隣接するものとの間にミストを通過できる隙間を設けて、垂直の姿勢で配設している。垂直の邪魔板37は、ミストを表面に衝突させて付着する溶液を自然に流下させて回収できる。図の邪魔板37は、表面を凹凸面として、ミストをより効率よく接触させて回収できるようにしている。
【0081】
さらに、図16の回収部40は、ミストを強制送風して撹拌するファン38を設けている。ファン38は、回収部40のミストを撹拌する。撹拌されるミストは、互いに衝突して凝集し、あるいは、邪魔板37の表面に衝突して凝集する。凝集するミストは、速やかに落下して回収される。図のファン38は、回収部40のミストを下向きに送風して循環させる。
【0082】
図17の超音波分離装置は、ミストを振動して互いに衝突する確率を高くするミスト振動器39を回収部40に設けている。ミスト振動器39は、回収部40の気体を振動させる電気振動−機械振動変換器と、この電気振動−機械振動変換器を駆動する振動電源とを備える。電気振動−機械振動変換器は、可聴周波数の音を放射するスピーカーや、可聴周波数よりも高い超音波を放射する超音波振動子等である。電気振動−機械振動変換器が、ミストを効率よく振動させるために、電気振動−機械振動変換器から放射される振動を回収部40で共振させる。このことを実現するために、電気振動−機械振動変換器は、回収部40で共振する周波数で振動させる。いいかえると、回収部40を電気振動−機械振動変換器から放射される振動に共振する形状に設計する。
【0083】
超音波は人間の可聴周波数を越える高い周波数であるので、耳には聞こえない。このため、超音波を放射するミスト振動器39は、回収部40の気体を激しく振動させて、いいかえると、電気振動−機械振動変換器の出力を極めて大きくして、人間に音の害を与えることがない。このため、超音波はミストを激しく振動して、効率よく衝突させて、速やかに回収できる特長がある。
【0084】
以上の分離装置は、回収部40に、ミストを効率よく凝集させる装置を配設するので、ミストをより速やかに凝集させて高濃度の溶液とすることができる。さらに、図示しないが、溶液の分離装置は、回収部に、溶液を噴霧するノズルと、ミストを撹拌するファンと、ミストを振動させる振動器の全てを内蔵させて、最も効率よくミストを凝集できる。また、ミストを凝集させるふたつの装置を内蔵して、ミストを効率よく凝集させることもできる。
【0085】
超音波霧化室4と回収部40は、好ましくは不活性ガスを充填する。この装置は、不活性ガスによって、超音波霧化室4や回収部40における溶液の変質が防止される。このため、より高品質な状態で高濃度の溶液を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】従来の超音波分離装置が多数の超音波振動子で溶液をミストに霧化する状態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の一実施例にかかるの溶液の霧化装置を備える分離装置の概略構成図である。
【図3】本発明の他の実施例にかかるの溶液の霧化装置を備える分離装置の概略構成図である。
【図4】本発明の他の実施例にかかるの溶液の霧化装置を備える分離装置の概略構成図である。
【図5】本発明の他の実施例にかかるの溶液の霧化装置を備える分離装置の概略構成図である。
【図6】図3に示す霧化装置の筒体であって、超音波振動しない状態の一例を示す概略断面図である。
【図7】図3に示す霧化装置の筒体であって、超音波振動しない状態の他の一例を示す概略断面図である。
【図8】図2に示す霧化装置の筒体の一例を示す拡大断面正面図である。
【図9】図5に示す霧化装置の筒体の一例を示す拡大断面図である。
【図10】図5に示す霧化装置の筒体の他の一例を示す拡大断面図である。
【図11】図10に示す筒体の断面斜視図である。
【図12】超音波振動子の連結構造の他の一例を示す断面図である。
【図13】本発明の他の実施例にかかる溶液の霧化装置を示す概略構成図である。
【図14】溶液の分離装置の他の一例を示す概略構成図である。
【図15】溶液の分離装置の他の一例を示す概略構成図である。
【図16】溶液の分離装置の他の一例を示す概略構成図である。
【図17】溶液の分離装置の他の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0087】
1…霧化装置
2…超音波振動子
3…高周波電源
4…超音波霧化室
5…圧力機構
6…筒体 6a…内筒
6b…外筒
7…供給機構
8…送風機
9…吸入部
10…溶液ポンプ
11…溶液タンク
12…押出口
14…噴気口
15…ダクト
16…連結ダクト
17…雄ネジ
18…雌ネジ穴
19…供給ダクト
20…Oリング
21…Oリング
27…リード線
28…パッキン
30…Oリング
31…連結プレート
32…貫通穴
33…冷却用熱交換器
34…熱交換パイプ
35…循環ポンプ
36…ノズル
37…邪魔板
38…ファン
39…ミスト振動器
40…回収部
41…ダクト
42…連結ダクト
43…供給路
44…排出路
45…制御弁
46…制御弁
47…排出路
48…ブロア
49…ケーシング
56…絶縁樹脂
59…電源
60…超音波ユニット
62…底板
63…収納ケース
64…収納室
65…段差部
66…固定部
67…開口部
68…連結開口部
69…雌ネジ
70…溶液供給管
71…脱着コネクタ
72…気体供給管
73…脱着コネクタ
74…溶液排出管
75…脱着コネクタ
76…電源コード
77…コンセント
78…連結プラグ
80…脱着ユニット
81…連結プレート
82…雄ネジ
83…連結凹部
84…雌ネジ
85…雄ネジ
90…基台
91…装着凹部
92…隔壁
93…段差部
94…弾性支持体
95…収納室
96…貯水槽
97…デミスタ
99…閉塞室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子(2)で溶液を超音波振動させて気体中にミストに霧化する溶液の霧化方法において、
溶液を筒体(6)の内部に供給すると共に、圧力機構(5)でもって、筒体内部の溶液の圧力をミストに霧化する気体の圧力よりも相対的に高くし、超音波振動させる状態で溶液を筒体(6)の押出口(12)から気体中に噴出させて、筒体(6)から噴出する溶液を超音波振動させてミストに霧化する溶液の霧化方法。
【請求項2】
圧力機構(5)が溶液ポンプ(10)で、超音波振動しない状態で筒体内部の溶液の液面レベルが筒体(6)の高さ(h)の1/4以上になるように溶液ポンプ(10)で溶液を加圧する請求項1に記載される溶液の霧化方法。
【請求項3】
圧力機構(5)が溶液をミストに霧化する気体を吸引して減圧する送風機(8)で、超音波振動しない状態で筒体内部の溶液の液面レベルが筒体(6)の高さ(h)の1/4以上になるように送風機(8)で気体を吸引して気体の圧力を低下させる請求項1に記載される溶液の霧化方法。
【請求項4】
筒体(6)が円筒形である請求項1に記載される溶液の霧化方法。
【請求項5】
筒体(6)が、押出口(12)に向かって細くなる円錐ホーンである請求項1に記載される溶液の霧化方法。
【請求項6】
筒体(6)にエクスポーネンシャルホーンを使用する請求項1に記載される溶液の霧化方法。
【請求項7】
押出口(12)の周囲に気体を噴射する請求項1に記載される溶液の霧化方法。
【請求項8】
押出口(12)から噴射する気体に、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性な気体を使用する請求項7に記載される記載される溶液の霧化方法。
【請求項9】
溶液を超音波振動させて気体中にミストに霧化する超音波振動子(2)と、超音波振動子(2)に接続されて超音波振動子(2)に高周波電力を供給して超音波振動させる高周波電源(3)とを備える溶液の霧化装置であって、
内部に溶液が供給されると共に、押出口(12)から気体中に排出する筒体(6)と、この筒体内部の溶液の圧力をミストに霧化する気体の圧力よりも相対的に高くする圧力機構(5)とを備え、圧力機構(5)でもって、溶液の圧力を気体の圧力よりも相対的に高くして、超音波振動する状態で溶液を押出口(12)から気体中に噴出させ、筒体(6)から噴出する溶液を超音波振動子(2)で超音波振動して霧化する溶液の霧化装置。
【請求項10】
圧力機構(5)が溶液ポンプ(10)で、超音波振動しない状態で筒体内部の溶液の液面レベルが筒体(6)の高さ(h)の1/4以上になるように溶液ポンプ(10)が溶液を加圧する請求項9に記載される溶液の霧化装置。
【請求項11】
圧力機構(5)が溶液をミストに霧化する気体を吸引して減圧する送風機(8)で、超音波振動しない状態で筒体内部の溶液の液面レベルが筒体(6)の高さ(h)の1/4以上になるように送風機(8)で気体を吸引して気体の圧力を低下させる請求項9に記載される溶液の霧化装置。
【請求項12】
筒体(6)が円筒形である請求項9に記載される溶液の霧化装置。
【請求項13】
筒体(6)が、押出口(12)に向かって細くなる円錐ホーンである請求項9に記載される溶液の霧化装置。
【請求項14】
筒体(6)が、エクスポーネンシャルホーンである請求項9に記載される溶液の霧化装置。
【請求項15】
押出口(12)の周囲に噴気口(14)を開口している請求項9に記載される溶液の霧化装置。
【請求項16】
気体源が、噴気口(14)に、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性な気体を供給する請求項15に記載される溶液の霧化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2007−283163(P2007−283163A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−110203(P2006−110203)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(503268143)超音波醸造所有限会社 (20)
【Fターム(参考)】