溶着樹脂製品の製造方法及び加熱溶着装置
【課題】溶着品質を安定させることが可能な溶着樹脂製品の製造方法及び加熱溶着装置を提供する。
【解決手段】本発明の加熱溶着装置75は、接近及び離間可能な1対のワーク支持盤91,95におけるワーク配置面R1,R10にエラストマー製のパッキン92P,96Pを備えている。また、各ワーク配置面R1,R10のうちパッキン92P,96Pに囲まれた領域には吸気溝93M,97Mが形成され、ワーク支持盤91,95を貫通した吸気路93R,97Rが吸気溝93M,97Mに連通している。そして、吸気溝93M,97M内を負圧状態とし、1対のワークにパッキン92P,96Pを密着させてそれらワークを保持する。
【解決手段】本発明の加熱溶着装置75は、接近及び離間可能な1対のワーク支持盤91,95におけるワーク配置面R1,R10にエラストマー製のパッキン92P,96Pを備えている。また、各ワーク配置面R1,R10のうちパッキン92P,96Pに囲まれた領域には吸気溝93M,97Mが形成され、ワーク支持盤91,95を貫通した吸気路93R,97Rが吸気溝93M,97Mに連通している。そして、吸気溝93M,97M内を負圧状態とし、1対のワークにパッキン92P,96Pを密着させてそれらワークを保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1対のワーク支持盤に1対のワークを別々に保持し、それらワーク同士の対向面を加熱した後、1対のワーク支持盤を接近させることでワーク同士の対向面を溶着して溶着樹脂製品を製造する製造方法及びその製造方法に用いる加熱溶着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱溶着装置として、1対のワーク支持盤の一方に吸着部を備えて、負圧によりワークを吸着部に吸着させてワーク支持盤に保持するものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−11333号公報(図1,図6段落[0016]参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、加熱溶着装置では、ワーク同士の対向面を溶融させるべく、加熱板にワークを押し付けるとワークと加熱板とが接着して、ワークを加熱板から分離する際の反力(以下、適宜、「分離反力」という)がワーク支持盤との間に作用する。ところが、上記した従来の加熱溶着装置のワーク支持盤に備えた吸着部では、ワークと吸着部との間から空気が漏れて十分な保持力を得ることができず、ワークがワーク支持盤から外れたり、ずれたりして、その結果、ワーク同士の溶着位置がずれ、溶着品質が安定しないという問題が生じていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、溶着品質を安定させることが可能な溶着樹脂製品の製造方法及び加熱溶着装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る加熱溶着装置は、接近及び離間可能な1対のワーク支持盤で1対のワークを別々に保持して分離状態とし、それらワーク同士の対向面を加熱した後、1対のワーク支持盤を接近させることでワーク同士の対向面を溶着する加熱溶着装置であって、ワーク支持盤のうちワークと対向するワーク配置面に陥没形成されたパッキン受容溝と、パッキン受容溝に受容されて、ワーク配置面より一部が突出したエラストマー製のパッキンと、各ワーク支持盤に貫通形成されて、一端がワーク配置面のうちパッキンに囲まれた領域に開放する一方、他端がパッキンの内側を負圧状態にするための吸気手段に接続される吸気路とを備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の加熱溶着装置において、パッキンが、ワークに押し潰されてワーク配置面と面一になるまで圧縮変形可能であるところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の加熱溶着装置において、ワーク配置面のうちパッキンに囲まれた領域に吸気溝を形成して、吸気溝の内面に吸気路の一端を開放させたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の加熱溶着装置において、1対のワークは、ボックスパレット、コンテナ、その他、搬送器具の一構成部品としての中空樹脂板を厚さ方向で2分割した構造をなし、パッキン受容溝を、ワークの外縁に沿った環状形状の外郭溝と、外郭部に囲まれた領域を複数の区画領域に区画する区画溝とで構成して、そのパッキン受容溝に受容されたパッキンにて各区画領域を包囲し、複数の区画領域に吸気路の一端を開放させたところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明に係る溶着樹脂製品の製造方法は、請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の加熱溶着装置を使用し、1対のワークを溶着してなる溶着樹脂製品を製造するところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載の溶着樹脂製品の製造方法において、1対のワークを接合状態にして1対のワーク支持盤で挟持し、各ワーク支持盤に吸着させた後、それら1対のワーク支持盤と共にワーク同士を分離して、その間に加熱板を進入させ、ワーク同士の対向面を加熱板に押し付けた後、ワーク同士を離間させて加熱板を退避させてから、ワーク同士の対向面を押し付けて溶着させるように加熱溶着装置を構成しておくと共に、1対のワークに、それらワークが接合されたときに互いに嵌合する位置決嵌合部を設けておき、加熱板に、位置決嵌合部との干渉を回避するための逃がし孔を貫通形成するところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載の溶着樹脂製品の製造方法において、位置決嵌合部として、ワーク同士の接合方向と直交する第1方向で対峙する1対の第1対向突壁と、接合方向と第1方向との両方向に直交する第2方向で対峙するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
[請求項1の発明]
請求項1の加熱溶着装置では、ワーク支持盤に備えたエラストマー製のパッキンの内側を負圧状態とし、ワークをパッキンに密着させて保持するので、従来、問題になった空気の漏れが抑えられ、ワーク保持力が従来より高くなり、ワーク同士の溶着位置が安定する。これにより、溶着品質を従来より安定させることができる。
【0014】
[請求項2の発明]
請求項2の加熱溶着装置では、パッキンがワークに押し潰されてワーク配置面と面一になり、ワークがワーク配置面と当接した状態でワーク同士の溶着部分を押し潰すことができるので、その押し潰し量が、パッキンの弾性変形量の影響を受け難くなる。この点においても、溶着品質が安定する。
【0015】
[請求項3の発明]
パッキンの内側を負圧状態とするためにワーク支持盤に貫通形成される吸気路は、ワーク配置面のうちパッキンに囲まれた領域に単に一端を開放させてもよいし、請求項3の発明のように、ワーク配置面のうちパッキンに囲まれた領域に吸気溝を形成して、吸気溝の内面に吸気路の一端を開放させてもよい。この構成にすれば、ワークにおける負圧の受圧面積を広くすることで、ワークの保持力を高くすることが可能になる。
【0016】
[請求項4の発明]
1対のワークが中空樹脂板を厚さ方向で2分割した構造である場合、請求項4の加熱溶着装置のように、パッキン受容溝を、ワークの外縁に沿った環状形状の外郭溝と、外郭溝に囲まれた領域を複数の区画領域に区画する区画溝とで構成して、そのパッキン受容溝にパッキンを受容すれば、ワークの広範囲にパッキンを密着させることができる。そして、パッキンにて包囲された複数の区画領域に吸気路の一端を開放させることで、ワークの略全体に負圧をかけることができる。これにより、ワークの保持が安定する。
【0017】
[請求項5の発明]
請求項5の溶着樹脂製品の製造方法は、請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の加熱溶着装置を使用するので、従来より溶着品質が安定した溶着樹脂部品を製造することができる。
【0018】
[請求項6及び7の発明]
請求項6の溶着樹脂製品の製造方法では、溶着前に1対のワークを接合すると互いに嵌合する位置決嵌合部を設けておくので、ワーク同士を接合させて加熱溶着装置にセットする作業が容易になる。なお、位置決嵌合部により、ワーク同士を一方向でのみ位置決めしてもよいし、請求項7の発明のように、突入突部と嵌合する1対の第1対向突壁と1対の第2対向突壁とを設け、それら第1対向突壁及び第2対向突壁による位置決め方向を異ならせることで、2次元的にワーク同士を位置決めしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るボックスパレットの斜視図
【図2】一方の第2パレット側壁が取り外された状態のボックスパレットの斜視図
【図3】折畳状態のボックスパレットの斜視図
【図4】第1パレット側壁の外面側の斜視図
【図5】上向係合フックと下向係合フックとを係合した状態のボックスパレットの一部破断斜視図
【図6】(A)スライダ受容部の一端側に配置された結合スライダの斜視図,(B)スライダ受容部の他端側に配置された結合スライダの斜視図
【図7】第2パレット側壁の内面側の斜視図
【図8】第1パレット側壁の外側構成盤と内側構成盤の内面側の斜視図
【図9】第1パレット側壁の一部破断斜視図
【図10】(A)縦方向位置決部と位置決嵌合突部の斜視図,(B)横方向位置決部と位置決嵌合突部の斜視図
【図11】(A)第2パレット側壁の外側構成盤の内面側斜視図,(B)第2パレット側壁の内側構成盤の内面側斜視図
【図12】加熱溶着装置の正面図
【図13】図12のA−A断面における加熱溶着装置の断面図
【図14】加熱板のスライド途中の加熱溶着装置の平断面図
【図15】図12のB−B断面における加熱溶着装置の断面図
【図16】加熱板の支持機構の正断面図
【図17】下側のワーク支持盤の上面図
【図18】(A)図17のC−C断面における下側のワーク支持盤の側断面図,(B)ワーク保持後の下側のワーク支持盤の側断面図,
【図19】(A)ワーク保持前の下側のワーク支持盤の一部拡大側断面図,(B)ワーク保持後の下側のワーク支持盤の一部拡大側断面図
【図20】(A)ワーク保持前のパッキンの断面図,(B)ワーク保持後のパッキンの断面図
【図21】上側のワーク支持盤の下面図
【図22】(A)図21のD−D断面における上側のワーク支持盤の側断面図,(B)ワーク保持後の上側のワーク支持盤の側断面図,
【図23】(A)ワーク保持前の上側のワーク支持盤の一部拡大側断面図,(B)ワーク保持後の上側のワーク支持盤の一部拡大側断面図
【図24】(A)ワークをセットする時の加熱溶着装置の正面図,(B)ワークをワーク支持盤の間で挟持した状態の加熱溶着装置の正面図
【図25】(A)ワークを加熱板に押し付けた状態の加熱溶着装置の正面図,(B)ワーク同士を押し付けた状態の加熱溶着装置の正面図
【図26】(A)ワークを加熱板に当接させた状態の断面図,(B)ワークを加熱板に押し付けた状態の断面図,(C)ワーク同士を当接させた状態の断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図26に基づいて説明する。図1には、本発明の「溶着樹脂製品」及び「中空樹脂板」に相当する第1と第2のパレット側壁20,40を、パレット本体11に組み付けて備えたボックスパレット10が示されている。具体的には、図2に示すように、パレット本体11の上面の外縁部には、1対の対辺部分から1対の回動支持部15A,15Aが突出形成されると共に、残りの1対の対辺部分から回動支持部15Aより高い1対の差込支持部15B,15Bが突出形成されている。そして、1対の第1パレット側壁20,20が1対の回動支持部15A,15Aに回動可能に組み付けられると共に、1対の第2パレット側壁40,40が1対の差込支持部15B,15Bに回動不能に組み付けられている。なお、このボックスパレット10は、1対の第1パレット側壁20,20をパレット本体11上に寝かせ、その上に1対の第2パレット側壁40,40を寝かせて重ねることで、図3に示すように、折り畳み状態することができるようになっている。
【0021】
なお、以下の説明において特記しない限り、「第1パレット側壁20の外面」とは、第1パレット側壁20の中空構造の内部の面に対する外部の面を指すのではなく、ボックスパレット10のうち第1と第2のパレット側壁20,40に囲まれた荷物収容空間より外側の面を指すものとし、「第1パレット側壁20の内面」とは、荷物収容空間に臨んだ内側の面を指すものとする。第2パレット側壁40に関しても同様である。
【0022】
図4に示すように、第1パレット側壁20は、全体が横長の長方形になっていて、下面に、複数のヒンジ突部21を備えている。また、第1パレット側壁20の外面中央には、手掛部23が陥没形成され、その両側には、第1パレット側壁20の外面を僅かに陥没させた四角形の外面陥没部24,24が形成されている。
【0023】
第1パレット側壁20には、外面の両側縁部を一定幅で陥没させて側辺段差凹部25,25が形成されている。各側辺段差凹部25内には、複数の上向係合フック26Cが上下に並べて設けられている。また、第1パレット側壁20の上部の両角部寄り位置には、スライダ受容部28がそれぞれ陥没形成され、そこに結合スライダ27が受容されている。各スライダ受容部28は、図6(A)に示すように、第1パレット側壁20の外面に略四角形の外面開口28Bを有すると共に、側辺段差凹部25の段差面25Aまで連通したガイド孔28Dを備えている。これに対し、結合スライダ27は、外面開口28B内で直動可能な操作部27Aからガイド孔28Dに向けて突入片27Bを突出させた構造になっている。そして、図6(A)及び図6(B)に示すように、突入片27Bが、段差面25Aから突出した状態とガイド孔28D内に退避した状態とに切り替わる。
【0024】
図2に示すように、第2パレット側壁40は、全体が横長の長方形になっていて、下面に複数の差込突部41を備えている。そして、パレット本体11の差込支持部15Bに備えた受容凹部17A(図1参照)に差込突部41を差し込むことで、第2パレット側壁40が起立状態に保持される。なお、受容凹部17Aは、差込支持部15Bの内面にも開口していて(図3参照)、第2パレット側壁40を寝かせた状態でも差込突部41を受容する。
【0025】
図1に示すように、第2パレット側壁40の外面には、下端部中央に外面下端手掛部46が陥没形成されると共に、上縁部に1対の外面上端手掛凹部45,45が横並びにして陥没形成され、それらの裏側に1対の内面上端手掛凹部48,48が陥没形成されている。また、第2パレット側壁40の外面のうち外面下端手掛部46の両側には、第2パレット側壁40の外面を僅かに陥没させた外面陥没部47,47が設けられている。
【0026】
図7に示すように、第2パレット側壁40の内面には、両外側縁部の全体にサイドカバー壁51,51が突出形成され、サイドカバー壁51と第2パレット側壁40との内側角部に沿って複数の下向係合フック53が並べて設けられている。そして、図5に示すように、下向係合フック53と上向係合フック26Cと係合する。また、上側2つの下向係合フック53,53の間には係合凹部54が設けられ、その係合凹部54に前記結合スライダ27の係合突片27Bが突入するようになっている。
【0027】
上記した第1パレット側壁20は、図8に示した外側構成盤31と内側構成盤35とを加熱溶着してなり、第2パレット側壁40は、図11(A)及び図11(B)に示した外側構成盤61と内側構成盤65とを加熱溶着してなる。
【0028】
具体的には、図9に示すように、第1パレット側壁20は、密閉空間20Pを挟んで対向した外側主体板32と内側主体板36とを備えている。また、外側主体板32と内側主体板36と間には、第1パレット側壁20全体を厚さ方向で2分割する面に沿って樹脂の固着層20Kが設けられている。その固着層20Kは、第1パレット側壁20の厚さ方向のうち内側主体板36寄り位置に配置されている。そして、第1パレット側壁20のうち固着層20Kより外側主体板32側が外側構成盤31になっていて、第1パレット側壁20のうち固着層20Kより内側主体板36側が内側構成盤35になっている。
【0029】
図8に示すように、外側構成盤31は、外側主体板32のうち内側主体板36との対向面全体に格子状のリブ33を張り巡らせた構造になっている。内側構成盤35も同様に、、内側主体板36に格子状のリブ37を張り巡らせた構造になっている。そして、外側構成盤31のリブ33と内側構成盤35のリブ37の先端部同士が溶着されて、それらリブ33,37によって外側主体板32と内側主体板36とが連結されると共に、第1パレット側壁20内の密閉空間20Pが複数のセル(小部屋)に区画されている。
【0030】
ところで、外側構成盤31及び内側構成盤35は、後に詳説するように互いに接合した状態で後述する加熱溶着装置75にセットされる(図24(A)参照)。その接合状態で外側構成盤31と内側構成盤35とを互いに位置決めするために、図8に示すように、外側構成盤31には横方向位置決部71と縦方向位置決部72とが設けられ、内側構成盤35には、本発明に係る突入突部73が設けられている。
【0031】
その横方向位置決部71は、外側構成盤31と内側構成盤35とを横方向で互いに位置決めして固着させるためのものであって、外側構成盤31のうち、例えば、左右方向の略中央における上端寄り位置と下端寄り位置との2箇所に配置されている。一方、縦方向位置決部72は、外側構成盤31と内側構成盤35とを縦方向で互いに位置決めして固着させるためのものであって、外側主体板32のうち、例えば、上下方向の略中央において左右方向の両端部の2位置に配置されている。そして、突入突部73が、内側主体板36のうち各横方向位置決部71及び各縦方向位置決部72との対向位置に配置されている。
【0032】
図10には、外側構成盤31と内側構成盤35とが固着される前の状態における、横方向位置決部71、縦方向位置決部72及び突入突部73が示されている。縦方向位置決部72は、図10(A)に示すように、外側構成盤31の縦方向で対向した1対の対向片72A,72Aを、それらの対向面の裏側から補強用三角リブ72B,72Bにて補強した構造になっている。また、横方向位置決部71は、図10(B)に示すように、縦方向位置決部72を90度回転させた形状をなし、外側構成盤31の横方向で対向した1対の対向片71A,71Aを補強用三角リブ71B,71Bにて補強した構造になっている。本実施形態では、これら1対ずつの対向片71A,71Aと対向片72A,72Aの何れか一方が本発明に係る「1対の第1対向突壁」に相当する一方、他方が「1対の第2対向突壁」に相当する。
【0033】
一方、突入突部73は、断面が「+」形をなし、外側構成盤31の縦方向に厚さ方向が向いた第1突入片73Aと、横方向に厚さ方向が向いた第2突入片73Bとを互いに幅方向の中央で交差させた構造になっている。また、第1と第2の突入片73A,73Bにおける先端両角部は面取りされている。
【0034】
外側構成盤31と内側構成盤35とが固着される前の状態では、上記した横方向位置決部71及び縦方向位置決部72は、リブ33より高く、突入突部73はリブ37より高くなっている。そして、上記した1対の対向治具に固定する前の外側構成盤31及び内側構成盤35を互いに接合させると、縦方向位置決部72の対向片72A,72Aの間に突入突部73が嵌合して外側構成盤31と内側構成盤35とが縦方向で位置決めされると共に、横方向位置決部71の対向片71A,71Aの間に突入突部73が嵌合して外側構成盤31と内側構成盤35とが横方向で位置決めされる。そして、横方向位置決部71、縦方向位置決部72及び突入突部73は、外側構成盤31と内側構成盤35とが1対の対向治具に固定された後は、後述する加熱板80(図26(A)参照)に押し付けられて先端が溶かされ、リブ33又はリブ37と同等の高さまで低くなる。
【0035】
なお、加熱溶着用の鉄板に横方向位置決部71、縦方向位置決部72及び突入突部73に対応した逃がし孔を設けておけば、先端が溶かされていない状態で横方向位置決部71、縦方向位置決部72及び突入突部73を第1パレット側壁20内に残すことができる。
【0036】
第1パレット側壁20を構成する外側構成盤31及び内側構成盤35の構造に関する説明は以上である。なお、第2パレット側壁40を構成する外側構成盤61及び内側構成盤65に関しては、外側構成盤31及び内側構成盤35と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0037】
さて、図12には、上記した外側構成盤31と内側構成盤35とを加熱溶着して第1パレット側壁20を製造するための加熱溶着装置75が示されている。この加熱溶着装置75は、本発明に係る1対のワーク支持盤91,95を上下に対向配置して備え、例えば、上側のワーク支持盤95のみが上下動するようになっている。そのために、加熱溶着装置75は、支持フレーム76Fに上下動可能に支持された昇降ベース78を備えている。図13に示すように、支持フレーム76Fは、平面形状が略四角形の固定ベース76Aの四隅から支柱76Cを上方に延ばし、図12に示すように、それら支柱76Cの上端部に架台部76Bを固定した構造になっている。そして、固定ベース76Aの上面76Jに下側のワーク支持盤91が固定されている。
【0038】
図15に示すように、架台部76Bは、下方から見た形状が、固定ベース76Aと同様の略四角形になっていて、四隅に支柱76Cが固定されている。また、図12に示すように、架台部76Bには、複数の支持盤駆動シリンダ77が上側から組み付けられている。それら支持盤駆動シリンダ77のロッド77Rは、架台部76Bを上下に貫通する図示しない貫通孔を通して架台部76Bの下面から鉛直下方に延び、それらロッド77R群の下端部が、上記した昇降ベース78に固定されている。そして、昇降ベース78の下面78Jに上側のワーク支持盤95が固定されて、下側のワーク支持盤91と対向し、支持盤駆動シリンダ77群により昇降ベース78が上下に駆動されることで、両ワーク支持盤91,95が接近及び離間する。
【0039】
ワーク支持盤91,95は、共に全体が長方形の板状をなし、前記した外側構成盤31(図8参照)が、本発明に係る「ワーク」として下側のワーク支持盤91に保持される一方、内側構成盤35(図8参照)が、本発明に係る「ワーク」として上側のワーク支持盤95に保持される。これらワーク支持盤91,95の詳細については、後述する。
【0040】
ワーク支持盤91,95に保持された外側構成盤31及び内側構成盤35の接合面(溶着面)を加熱するために、加熱溶着装置75には、図13に示した加熱板80が設けられている。加熱板80は、四角形で平坦な板状をなし、その外縁部が加熱板支持枠84によって支持されている(図16参照)。また、その加熱板支持枠84は、スライドベース81に上下動可能に支持され、さらに、そのスライドベース81は、水平方向に平行に延びた1対のガイドレール79,79に両側をスライド可能に支持されている。
【0041】
詳細には、一方のガイドレール79は、図13における左側の1対の支柱76C,76Cの間に指し渡される一方、他方のガイドレール79は、図13の右側の1対の支柱76C,76Cの間に指し渡されている。これらガイドレール79,79は、同じ高さに配置されて平行に延び、固定ベース76Aの後方位置まで延設されている。また、ガイドレール79,79のうち固定ベース76Aより後方に延長された部分は、支持台79Aによって支持されている。また、図16に示すように、ガイドレール79,79は、溝形形状をなし、その溝の開口を互いの対向面側に備えている。
【0042】
図13に示すように、スライドベース81は、例えば、両ガイドレール79,79の互いの対向面に隣接して水平に延びた1対のサイド支持部81A,81Aを備え、それらのサイド支持部81A,81Aの後端部(固定ベース76Aから離れた側の端部)の間を後端連絡部81Bにて連絡した構造になっている。また、両サイド支持部81A,81Aには、ガイドレール79,79内に係合した複数のコロ81K(図16参照)の支軸が固定されている。さらに、図13に示すように、後端連絡部81Bには、その長手方向にスリット81Cが形成され、そのスリット81Cに旋回レバー83Rの先端がスライド可能に係合している。そして、旋回レバー83Rは、旋回駆動源83によって水平に旋回駆動されることで、図13と図14との変化に示すように、スライドベース81がガイドレール79に沿って水平方向に直動する。
【0043】
図13に示すように、各サイド支持部81A,81Aの各2箇所(計4箇所)には、それぞれ駆動シリンダ82が取り付けられ、図16に示すように、各駆動シリンダ82のロッド82Rがサイド支持部81Aより下方に延びて、それらの下端部が加熱板支持枠84の四隅に固定されている。これにより、加熱板80が加熱板支持枠84と共にスライドベース81に対して上下動する。
【0044】
図16に示すように、加熱板支持枠84には、加熱板80の外縁部を下方から支持する枠板84Aと、その加熱板支持枠84の外縁部全体から上方に起立した外縁側壁84Bとが備えられている。また、枠板84Aの上面における左右の両内縁寄り位置からは、アングル壁84Cが起立して、その上端部が内側に直角曲げされている。そして、枠板84Aの内縁部とアングル壁84Cにおける上端の水平部分との間に、加熱板80の外縁部が上下方向から挟まれている。また、アングル壁84Cと加熱板80の上面との間にはクリアランス84Fが設けられ、このクリアランス84Fの範囲で加熱板80が加熱板支持枠84に対して上下動可能になっている。さらに、枠板84Aの上面における前後の両内縁寄り位置からは、例えば、加熱板80が加熱板支持枠84に対して前後にずれることを防止するためのストッパ壁84Dが突出している(図26(A)参照)
【0045】
図13に示すように、加熱板支持枠84には、スライド可動方向(図13の上下方向)の両端部から外側に1対の挟持ブロック84T,84Tが突出している。これら挟持ブロック84Tに対し、下側のワーク支持盤91の上面四隅からは当接支柱91Tが突出し、図21に示すように、上側のワーク支持盤95の下面四隅からは当接支柱95Tが突出している。これら当接支柱91T,95Tは、共に円柱状をなしている。また、図26(C)に示すように、下側の当接支柱91Tの端面中央には位置決凹部91T1が陥没形成される一方、上側の当接支柱95Tの端面中央からは位置決突部95T1が突出している。そして、加熱板80がワーク支持盤91,95の間に配置された状態で、下側の当接支柱91Tにおける位置決凹部91T1の回りの平坦部分が挟持ブロック84Tの下面に当接する一方、上側の位置決突部95T1の先端の平坦部分が挟持ブロック84Tの上面に当接して、当接支柱91T,95Tの間に挟持ブロック84Tが挟まれる(図26(B)参照)。また、加熱板80がワーク支持盤91,95の間から退避した状態(図26(C)参照)では、位置決凹部91T1に位置決突部95T1が凹凸嵌合して、当接支柱91T,95Tが直接当接する。
【0046】
さて、図17には、下側のワーク支持盤91の上面が示される一方、図21には、上側のワーク支持盤95の下面が示されている。これら図17及び図21において、斜線及びドットの各ハッチングは、断面形状を示すためのものではなく、後述するパッキン92P,96P及び吸気溝93M,97Mの平面形状を他の部位と区別して示すためのものである。
【0047】
図17に示すように、下側のワーク支持盤91の上面の一部は、保持対象である外側構成盤31(ワーク)に覆われるワーク配置面R1になっていて、そのワーク配置面R1を取り囲むように第1〜第3の位置決突壁91U,91V,91Wが設けられている。第1の位置決突壁91Uは、外側構成盤31の下辺部分に宛われるものであって、図17における上下方向に断続的に設けられ、位置決突壁91Uが途切れた部分に位置調整機構91Jが備えられている。位置調整機構91Jは、図18(A)に示すように、ワーク支持盤91の上面から起立した固定突壁100に螺子孔を貫通形成し、その螺子孔に螺合したボルト101の先端に可動板102を取り付けて水平移動可能とした構造になっている。そして、その位置調整機構91Jの可動板102がワーク配置面R1側に向けられている。
【0048】
図17に示すように、第2の位置決突壁91Vは、外側構成盤31の両側縁部に宛われるものであって、図17の上下方向でワーク配置面R1を間に挟んだ対向位置に対にして配置され、図17の左右方向に平行に延びている。これら1対の第2の位置決突壁91Vには、それぞれ複数の切欠部91V1が備えられている。そして、それら切欠部91V1に外側構成盤31の各上向係合フック26C(図8参照)が受容された状態で、外側構成盤31の段差面25A(図4参照)に第2の位置決突壁91Vが対向配置される。また、第2の位置決突壁91V,91V同士の間隔を変更するために、前記した位置調整機構91Jが一方の第2の位置決突壁91Vに取り付けられている。
【0049】
第3の位置決突壁91Wは、外側構成盤31の上辺部分に宛われるものであって、図17における上下方向に均一な形状をなして延びている。そして、これら第1〜第3の位置決突壁91U,91V,91Wによって外側構成盤31(ワーク)がワーク配置面R1に位置合わせされ、必要に応じて位置調整機構91Jにより、ワーク配置面R1における外側構成盤31の配置を調整することができるようになっている。
【0050】
ワーク配置面R1には、外側構成盤31の外面陥没部24,24(図4参照)に対応した1対の段差突部103,103がワーク支持盤91の上面から突出形成されている。図18(A)に示すように、その段差突部103の上面とワーク支持盤91における全体の上面との段差は、外側構成盤31における全体の外面と外面陥没部24の底面との段差と略同一になっている。
【0051】
図17に示すように、ワーク配置面R1には、外側構成盤31に密着可能なパッキン92Pが設けられている。パッキン92Pは、エストラマー製(例えば、シリコーンゴム製)で断面形状が四角形の弾性部材であって、図19(A)に示すように、ワーク支持盤91の上面に陥没形成されたパッキン受容溝92Mに受容されかつ一部がワーク支持盤91の上面から膨出している。詳細には、パッキン受容溝92Mは、図17に示すように、外側構成盤31の外縁に沿った環状形状の外郭溝92M1と、外郭溝92M1に囲まれた領域を複数の区画領域R2,R3,R4,・・・に区画する区画溝92M2とで構成されている。そして、これら外郭溝92M1及び区画溝92M2よりなるパッキン受容溝92Mに受容されたパッキン92Pによって、各区画領域R2,R3,R4,・・・が包囲されている。また、パッキン受容溝92Mは、図20(A)に示すように開口縁を面取りされて開口傾斜面92Sを備えている。そして、通常は、開口傾斜面92Sがパッキン92Pから露出していて、外側構成盤31(ワーク)がパッキン92Pに押し付けられると、図20(B)に示すように、開口傾斜面92Sの露出面積を減らすようにしてパッキン92Pが圧縮され、パッキン92P全体がパッキン受容溝92M内に収まる。
【0052】
なお、図17に示すように、ワーク配置面R1の長手方向の両端部に配置された1対の区画領域R7,R7を囲むパッキン92Pは、外側構成盤31の外面のうち外面開口28B(図8参照)の開口縁に当接する。また、ワーク配置面R1の略中央に配置された区画領域R6を囲むパッキン92Pは、外側構成盤31の外面のうち手掛部23の開口縁に当接する。さらに、区画溝92M2の一部は、段差突部103の段差を横切るように延び、その区画溝92M2に設けられたパッキン92Pも、段差突部103の段差を横切って延びている。
【0053】
図17に示すように、下側のワーク支持盤91の上面(段差突部103の上面も含む)には、上記した区画領域R6,R7を除く各区画領域R2,R3,・・・に、吸気溝93Mが陥没形成されている。吸気溝93Mは、各区画領域R2,R3,・・・の略全体に張り巡らされている。また、図18(A)に示すように、ワーク支持盤91の内部には、水平方向に内部流路93Aが延びていて、各内部流路93Aから上方に分岐した複数の分岐流路93Bが各吸気溝93Mの底面に開放している。本実施形態では、これら内部流路93Aと分岐流路93Bとから本発明に係る吸気路93Rが構成されている。また、内部流路93Aの一端部は、ワーク支持盤91の一側面に開口していて、その開口に図示しないパイプジョイントが取り付けられ、そのパイプジョイントに図示しないパイプを介して吸気用ポンプ(本発明の「吸気手段」に相当する)が接続されている。そして、ワーク配置面R1に外側構成盤31(ワーク)が配置された状態で吸気用ポンプにて、吸気路93R及び吸気溝93M内の空気を吸引することで、図18(B)に示すように、ワーク支持盤91に外側構成盤31を吸着させて保持することができる。
【0054】
図19(A)に示すように、下側のワーク支持盤91の上面(段差突部103の上面も含む)におけるワーク配置面R1のうちパッキン92P及び吸気溝93Mが設けられていない部分は、ワーク当接面91Fになっている。そして、通常、ワーク当接面91Fから突出しているパッキン92Pが、図19(B)に示すように、負圧により吸着された外側構成盤31(ワーク)に押し潰されて、例えば、ワーク当接面91Fと面一になるまで圧縮変形して、その外側構成盤31(ワーク)がワーク当接面91Fに当接する。
【0055】
下側のワーク支持盤91の構造に関する説明は以上である。次に、上側のワーク支持盤95の構造について説明する。図21に示すように、上側のワーク支持盤95の下面の一部は、保持対象である内側構成盤35(ワーク)に覆われるワーク配置面R10になっている。そのワーク配置面R10の4つの角部の両側には、前記した位置調整機構91Jと同じ構造の位置調整機構95Jがそれぞれ設けられている。また、ワーク配置面R10の外縁部のうち各角部から離れた部分には、位置決突壁95W(図21では省略。図22(A)参照)がワーク配置面R10を囲むように設けられている。そして、上側のワーク支持盤95においても下側のワーク支持盤91と同様に、位置決突壁95Wによって内側構成盤35がワーク配置面R10に位置合わせされ、必要に応じて位置調整機構95Jにより、ワーク配置面R10における内側構成盤35の配置が調整されるようになっている。
【0056】
また、前述した下側のワーク支持盤91のパッキン92Pと同様に、図21に示すように、上側のワーク支持盤95にもパッキン96Pがパッキン受容溝96Mに受容された状態に設けられている。そのパッキン受容溝96Mは、内側構成盤35の外縁に沿った環状形状の外郭溝96M1と、その内側領域を複数の区画領域R11,R12,R13,・・・に区画する区画溝96M2とで構成されている。そして、中央の区画領域R15を除いた各区画領域R11,R12,・・・には、複数の吸気溝97Mが陥没形成され、それら複数の吸気溝97Mに連通した吸気路97Rを備えている。その吸気路97Rは、図22に示すように、ワーク支持盤95の内部を水平方向に延びた内部流路97Aから吸気溝97Mに分岐した分岐流路97Bを備えてなる。また、吸気路97Rには、前記した吸気用ポンプが接続されている。そして、ワーク配置面R10に内側構成盤35(ワーク)が配置された状態で吸気用ポンプを作動させることで、図22(B)に示すように、ワーク支持盤95に内側構成盤35を吸着させて保持することができる。また、上側のワーク支持盤95の下面においても、ワーク配置面R10のうちパッキン96P及び吸気溝97Mが設けられていない部分は、図23(A)に示すように、ワーク当接面95Fになっている。そして、ワーク支持盤95に内側構成盤35(ワーク)が吸着されると、図23(B)に示すように、例えば、パッキン96Pがワーク当接面95Fと面一になるまで圧縮変形し、内側構成盤35がワーク当接面95Fに当接する。
【0057】
また、本実施形態の加熱溶着装置75は、例えば、吸気用ポンプと吸気路93R,97Rとの間に図示しない圧力センサーを備え、吸気用ポンプを作動した状態で、圧力センサーに検出される圧力が基準圧力以下にならないときには、吸着不良が生じたと判断して、異常を報知するようになっている。
【0058】
本実施形態の加熱溶着装置75の構成に関する説明は、以上である。次に、加熱溶着装置75を用いた第1パレット側壁20の製造方法について説明する。
【0059】
加熱溶着装置75を用いて第1パレット側壁20を製造するには、まず、予め別々に射出成形しておいた外側構成盤31と内側構成盤35を接合(合体)させる。このとき、横方向位置決部71及び縦方向位置決部72と突入突部73(図8及び図10参照)との嵌合によって外側構成盤31と内側構成盤35とを容易に位置合わせして接合させることができる。そして、図24(A)に示すように、上下のワーク支持盤91,95を離間させた状態にして、接合状態の外側構成盤31及び内側構成盤35を、外側構成盤31側を下にして下側のワーク支持盤91のワーク配置面R1(図17参照)にセットする。このとき、ワーク配置面R1の周りに配置された第1〜第3の位置決突壁91U,91V,91Wにより、容易に外側構成盤31及び内側構成盤35をワーク配置面R1に正しく配置することができる。
【0060】
この状態で加熱溶着装置75を起動する。すると、昇降ベース78と共に上側のワーク支持盤95が降下して、図24(B)に示すように、下側のワーク支持盤91との間で外側構成盤31及び内側構成盤35を挟持する。このとき、両ワーク支持盤91,95のパッキン92P,96P(図17及び図21参照)が外側構成盤31及び内側構成盤35に対する緩衝材の役割を果たす。そして、パッキン92P,96Pが外側構成盤31及び内側構成盤35に密着したところで、図示しない吸気用ポンプが作動し、上下のワーク支持盤91,95における吸気路93R,97R及び吸気溝93M,97M内の空気が吸引される。このとき、圧力センサーに検出される圧力が基準圧力以下にならないときには、吸着不良が生じたとして、異常を報知する。
【0061】
異常がない場合は、各ワーク支持盤91,95のパッキン92P,96Pは、図19(B)及び図23(B)に示すように各ワーク当接面91F,95Fと面一になるまで圧縮変形し、外側構成盤31が下側のワーク支持盤91のワーク当接面91Fに当接する一方、内側構成盤35が上側のワーク支持盤95のワーク当接面95Fに当接する。このようにして、外側構成盤31が下側のワーク支持盤91に保持される一方、外側構成盤31が上側のワーク支持盤95に保持される。このとき、上下のワーク支持盤91,95の当接支柱91T,95Tは、図26(C)に示すように、クリアランスC1を空けた状態になって互いに接触はしない。そのクリアランスC1が、溶着による外側構成盤31及び内側構成盤35の押し潰し量になる。
【0062】
次いで、上側のワーク支持盤91が上昇し、外側構成盤31と内側構成盤35とが離間し、それら外側構成盤31と内側構成盤35との間に加熱板80が進入する。そして、駆動シリンダ82,82により加熱板80が降下されて、図26(A)に示すように、下側のワーク支持盤91の当接支柱91Tに加熱板支持枠84の挟持ブロック84Tが当接する。このとき、加熱板80が外側構成盤31に当接して加熱板支持枠84の枠板84Aから若干上方に浮いた状態になる。
【0063】
次いで、図25(A)に示すように、上側のワーク支持盤95が降下して、そのワーク支持盤95に保持されている内側構成盤35が加熱板80に当接する(図26(A)の状態)。このとき、上側のワーク支持盤95の当接支柱95Tに加熱板支持枠84の挟持ブロック84Tとは隙間が空いた状態になる。その状態から、当接支柱95Tと挟持ブロック84Tとが当接する位置までワーク支持盤95が押し下げられる。これにより、外側構成盤31及び内側構成盤35における接合面が共に加熱板80に押し潰されるようにして溶融する。
【0064】
次いで、上側のワーク支持盤95が上昇して、内側構成盤35が加熱板80から剥がされ、さらに、加熱板80が上昇して外側構成盤31が加熱板80から剥がされる。このとき、外側構成盤31及び内側構成盤35と加熱板80との接着力により内側構成盤35が上側のワーク支持盤95から離される方向に負荷を受けると共に、外側構成盤31が下側のワーク支持盤91から離される方向に負荷を受ける。
【0065】
しかしながら、本実施形態の加熱溶着装置75では、ワーク支持盤91,95に備えたエラストマー製のパッキン92P,96Pをワーク(外側構成盤31と内側構成盤35)に密着させて負圧をかけているので、従来、問題になった空気の漏れが抑えられ、ワーク保持力が従来より高くなっている。しかも、パッキン92P,96Pに囲まれた複数の領域(図17の符号R2〜R5,図21の符号R11〜R14参照)に吸気溝93M,97Mを形成したので、ワーク(外側構成盤31と内側構成盤35)における負圧の受圧面積が広くなる。これにより、ワーク保持力が従来より高くなると共に、ワーク(外側構成盤31と内側構成盤35)の略全体に負圧をかけることができ、例えば、内側構成盤35のように、比較的薄くて剛性が低いワークであっても安定した保持が可能になる。この強くかつ安定したワーク保持により、ワーク(外側構成盤31と内側構成盤35)を加熱板80から剥がす際に、ワークがワーク支持盤91,95からずれたり、外れるような事態が防がれる。
【0066】
次いで、加熱板80が外側構成盤31と内側構成盤35との間から退避した後、ワーク支持盤95が降下し、上下のワーク支持盤91,95の当接支柱91T,95Tが互いに当接するまで、外側構成盤31と内側構成盤35とが押し付けられる。これにより、外側構成盤31及び内側構成盤35の接合面側の端部が押し潰されて溶着される。ここで、本実施形態の加熱溶着装置75では、パッキン92P,96Pが負圧によりワーク支持盤91,95のワーク当接面91F,95Fと面一になるまで圧縮変形していて、ワーク当接面91F,95Fとワーク(外側構成盤31及び内側構成盤35)とが当接しているので、ワーク同士の溶着部分の押し潰し量が、パッキン92P,96Pの弾性変形量の影響を受けることはない。これにより、従来より溶着品質が安定する。
【0067】
ワーク(外側構成盤31及び内側構成盤35)が溶着してその溶着部分が固化したら、上側のワーク支持盤95による内側構成盤35の吸着のみを解除して、その上下のワーク支持盤91,95を離間する。これにより、外側構成盤31と内側構成盤35とから製造された第1パレット側壁20を加熱溶着装置75から取り出すことができる。
【0068】
なお、図示しないが、上記したワーク支持盤91,95の代わりに、第2パレット側壁40の外側構成盤61と内側構成盤65に対応した形状の1対のワーク支持盤を備えた加熱溶着装置により外側構成盤61と内側構成盤65を加熱溶着して第2パレット側壁40を製造することができる。
【0069】
以上、説明したように、本実施形態の加熱溶着装置75及び製造方法によれば、溶着品質が安定した第1パレット側壁20及び第2パレット側壁40の製造が可能になる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0070】
(1)前記実施形態の加熱溶着装置75は、上側のワーク支持盤95のみが上下動する構成であったが、上下のワーク支持盤が上下動する構成や、下側のワーク支持盤のみが上下動する構成であってもよい。
【0071】
(2)前記実施形態の加熱溶着装置75では、パッキン92P,96Pに囲まれた領域に、吸気溝93M,97Mが形成されていたが、吸気溝を設けずに、例えば、パッキンに囲まれた領域全体を陥没させた凹部を設けて、その凹部の内面に吸気路を開口させた構成や、パッキンに囲まれた領域全体に複数の吸気路の開口を散在させた構成としてもよい。さらには、例えば、円環状のパッキンを多数設けて、各パッキンの内側に1つずつ吸気路を開口させてた構成にしてもよい。
【0072】
(3)前記実施形態は、パッキン92P,96Pが、吸気用ポンプの負圧のみで、ワーク配置面R1,R10と面一になるまでワークに押し潰される構成であったが、吸気用ポンプの負圧のみでワークに押し潰されたときには、ワーク配置面R1,R10と面一にならず、ワーク支持盤91,95同士を接近させてワーク同士を押し付けるときの反力によって始めてパッキン92P,96Pがワーク配置面R1,R10と面一になるまで押し潰される構成としてもよい。また、ワーク支持盤91,95同士を接近させてワーク同士を押し付けるときの反力によっても、パッキン92P,96Pがワーク配置面R1,R10と面一になるまで押し潰されない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
20 第1パレット側壁(溶着樹脂製品,中空樹脂板)
31,61 外側構成盤(ワーク)
35,65 内側構成盤(ワーク)
40 第2パレット側壁(溶着樹脂製品,中空樹脂板)
71A,72A 対向片(第1対向突壁、第2対向突壁)
73 突入突部
75 加熱溶着装置
80 加熱板
91,95 ワーク支持盤
92M,96M パッキン受容溝
92M1,96M1 外郭溝
92M2,96M2 区画溝
92P,96P パッキン
93M,97M 吸気溝
93R,97R 吸気路
R1,R10 ワーク配置面
【技術分野】
【0001】
本発明は、1対のワーク支持盤に1対のワークを別々に保持し、それらワーク同士の対向面を加熱した後、1対のワーク支持盤を接近させることでワーク同士の対向面を溶着して溶着樹脂製品を製造する製造方法及びその製造方法に用いる加熱溶着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱溶着装置として、1対のワーク支持盤の一方に吸着部を備えて、負圧によりワークを吸着部に吸着させてワーク支持盤に保持するものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−11333号公報(図1,図6段落[0016]参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、加熱溶着装置では、ワーク同士の対向面を溶融させるべく、加熱板にワークを押し付けるとワークと加熱板とが接着して、ワークを加熱板から分離する際の反力(以下、適宜、「分離反力」という)がワーク支持盤との間に作用する。ところが、上記した従来の加熱溶着装置のワーク支持盤に備えた吸着部では、ワークと吸着部との間から空気が漏れて十分な保持力を得ることができず、ワークがワーク支持盤から外れたり、ずれたりして、その結果、ワーク同士の溶着位置がずれ、溶着品質が安定しないという問題が生じていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、溶着品質を安定させることが可能な溶着樹脂製品の製造方法及び加熱溶着装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る加熱溶着装置は、接近及び離間可能な1対のワーク支持盤で1対のワークを別々に保持して分離状態とし、それらワーク同士の対向面を加熱した後、1対のワーク支持盤を接近させることでワーク同士の対向面を溶着する加熱溶着装置であって、ワーク支持盤のうちワークと対向するワーク配置面に陥没形成されたパッキン受容溝と、パッキン受容溝に受容されて、ワーク配置面より一部が突出したエラストマー製のパッキンと、各ワーク支持盤に貫通形成されて、一端がワーク配置面のうちパッキンに囲まれた領域に開放する一方、他端がパッキンの内側を負圧状態にするための吸気手段に接続される吸気路とを備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の加熱溶着装置において、パッキンが、ワークに押し潰されてワーク配置面と面一になるまで圧縮変形可能であるところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の加熱溶着装置において、ワーク配置面のうちパッキンに囲まれた領域に吸気溝を形成して、吸気溝の内面に吸気路の一端を開放させたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の加熱溶着装置において、1対のワークは、ボックスパレット、コンテナ、その他、搬送器具の一構成部品としての中空樹脂板を厚さ方向で2分割した構造をなし、パッキン受容溝を、ワークの外縁に沿った環状形状の外郭溝と、外郭部に囲まれた領域を複数の区画領域に区画する区画溝とで構成して、そのパッキン受容溝に受容されたパッキンにて各区画領域を包囲し、複数の区画領域に吸気路の一端を開放させたところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明に係る溶着樹脂製品の製造方法は、請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の加熱溶着装置を使用し、1対のワークを溶着してなる溶着樹脂製品を製造するところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載の溶着樹脂製品の製造方法において、1対のワークを接合状態にして1対のワーク支持盤で挟持し、各ワーク支持盤に吸着させた後、それら1対のワーク支持盤と共にワーク同士を分離して、その間に加熱板を進入させ、ワーク同士の対向面を加熱板に押し付けた後、ワーク同士を離間させて加熱板を退避させてから、ワーク同士の対向面を押し付けて溶着させるように加熱溶着装置を構成しておくと共に、1対のワークに、それらワークが接合されたときに互いに嵌合する位置決嵌合部を設けておき、加熱板に、位置決嵌合部との干渉を回避するための逃がし孔を貫通形成するところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載の溶着樹脂製品の製造方法において、位置決嵌合部として、ワーク同士の接合方向と直交する第1方向で対峙する1対の第1対向突壁と、接合方向と第1方向との両方向に直交する第2方向で対峙するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
[請求項1の発明]
請求項1の加熱溶着装置では、ワーク支持盤に備えたエラストマー製のパッキンの内側を負圧状態とし、ワークをパッキンに密着させて保持するので、従来、問題になった空気の漏れが抑えられ、ワーク保持力が従来より高くなり、ワーク同士の溶着位置が安定する。これにより、溶着品質を従来より安定させることができる。
【0014】
[請求項2の発明]
請求項2の加熱溶着装置では、パッキンがワークに押し潰されてワーク配置面と面一になり、ワークがワーク配置面と当接した状態でワーク同士の溶着部分を押し潰すことができるので、その押し潰し量が、パッキンの弾性変形量の影響を受け難くなる。この点においても、溶着品質が安定する。
【0015】
[請求項3の発明]
パッキンの内側を負圧状態とするためにワーク支持盤に貫通形成される吸気路は、ワーク配置面のうちパッキンに囲まれた領域に単に一端を開放させてもよいし、請求項3の発明のように、ワーク配置面のうちパッキンに囲まれた領域に吸気溝を形成して、吸気溝の内面に吸気路の一端を開放させてもよい。この構成にすれば、ワークにおける負圧の受圧面積を広くすることで、ワークの保持力を高くすることが可能になる。
【0016】
[請求項4の発明]
1対のワークが中空樹脂板を厚さ方向で2分割した構造である場合、請求項4の加熱溶着装置のように、パッキン受容溝を、ワークの外縁に沿った環状形状の外郭溝と、外郭溝に囲まれた領域を複数の区画領域に区画する区画溝とで構成して、そのパッキン受容溝にパッキンを受容すれば、ワークの広範囲にパッキンを密着させることができる。そして、パッキンにて包囲された複数の区画領域に吸気路の一端を開放させることで、ワークの略全体に負圧をかけることができる。これにより、ワークの保持が安定する。
【0017】
[請求項5の発明]
請求項5の溶着樹脂製品の製造方法は、請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の加熱溶着装置を使用するので、従来より溶着品質が安定した溶着樹脂部品を製造することができる。
【0018】
[請求項6及び7の発明]
請求項6の溶着樹脂製品の製造方法では、溶着前に1対のワークを接合すると互いに嵌合する位置決嵌合部を設けておくので、ワーク同士を接合させて加熱溶着装置にセットする作業が容易になる。なお、位置決嵌合部により、ワーク同士を一方向でのみ位置決めしてもよいし、請求項7の発明のように、突入突部と嵌合する1対の第1対向突壁と1対の第2対向突壁とを設け、それら第1対向突壁及び第2対向突壁による位置決め方向を異ならせることで、2次元的にワーク同士を位置決めしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るボックスパレットの斜視図
【図2】一方の第2パレット側壁が取り外された状態のボックスパレットの斜視図
【図3】折畳状態のボックスパレットの斜視図
【図4】第1パレット側壁の外面側の斜視図
【図5】上向係合フックと下向係合フックとを係合した状態のボックスパレットの一部破断斜視図
【図6】(A)スライダ受容部の一端側に配置された結合スライダの斜視図,(B)スライダ受容部の他端側に配置された結合スライダの斜視図
【図7】第2パレット側壁の内面側の斜視図
【図8】第1パレット側壁の外側構成盤と内側構成盤の内面側の斜視図
【図9】第1パレット側壁の一部破断斜視図
【図10】(A)縦方向位置決部と位置決嵌合突部の斜視図,(B)横方向位置決部と位置決嵌合突部の斜視図
【図11】(A)第2パレット側壁の外側構成盤の内面側斜視図,(B)第2パレット側壁の内側構成盤の内面側斜視図
【図12】加熱溶着装置の正面図
【図13】図12のA−A断面における加熱溶着装置の断面図
【図14】加熱板のスライド途中の加熱溶着装置の平断面図
【図15】図12のB−B断面における加熱溶着装置の断面図
【図16】加熱板の支持機構の正断面図
【図17】下側のワーク支持盤の上面図
【図18】(A)図17のC−C断面における下側のワーク支持盤の側断面図,(B)ワーク保持後の下側のワーク支持盤の側断面図,
【図19】(A)ワーク保持前の下側のワーク支持盤の一部拡大側断面図,(B)ワーク保持後の下側のワーク支持盤の一部拡大側断面図
【図20】(A)ワーク保持前のパッキンの断面図,(B)ワーク保持後のパッキンの断面図
【図21】上側のワーク支持盤の下面図
【図22】(A)図21のD−D断面における上側のワーク支持盤の側断面図,(B)ワーク保持後の上側のワーク支持盤の側断面図,
【図23】(A)ワーク保持前の上側のワーク支持盤の一部拡大側断面図,(B)ワーク保持後の上側のワーク支持盤の一部拡大側断面図
【図24】(A)ワークをセットする時の加熱溶着装置の正面図,(B)ワークをワーク支持盤の間で挟持した状態の加熱溶着装置の正面図
【図25】(A)ワークを加熱板に押し付けた状態の加熱溶着装置の正面図,(B)ワーク同士を押し付けた状態の加熱溶着装置の正面図
【図26】(A)ワークを加熱板に当接させた状態の断面図,(B)ワークを加熱板に押し付けた状態の断面図,(C)ワーク同士を当接させた状態の断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図26に基づいて説明する。図1には、本発明の「溶着樹脂製品」及び「中空樹脂板」に相当する第1と第2のパレット側壁20,40を、パレット本体11に組み付けて備えたボックスパレット10が示されている。具体的には、図2に示すように、パレット本体11の上面の外縁部には、1対の対辺部分から1対の回動支持部15A,15Aが突出形成されると共に、残りの1対の対辺部分から回動支持部15Aより高い1対の差込支持部15B,15Bが突出形成されている。そして、1対の第1パレット側壁20,20が1対の回動支持部15A,15Aに回動可能に組み付けられると共に、1対の第2パレット側壁40,40が1対の差込支持部15B,15Bに回動不能に組み付けられている。なお、このボックスパレット10は、1対の第1パレット側壁20,20をパレット本体11上に寝かせ、その上に1対の第2パレット側壁40,40を寝かせて重ねることで、図3に示すように、折り畳み状態することができるようになっている。
【0021】
なお、以下の説明において特記しない限り、「第1パレット側壁20の外面」とは、第1パレット側壁20の中空構造の内部の面に対する外部の面を指すのではなく、ボックスパレット10のうち第1と第2のパレット側壁20,40に囲まれた荷物収容空間より外側の面を指すものとし、「第1パレット側壁20の内面」とは、荷物収容空間に臨んだ内側の面を指すものとする。第2パレット側壁40に関しても同様である。
【0022】
図4に示すように、第1パレット側壁20は、全体が横長の長方形になっていて、下面に、複数のヒンジ突部21を備えている。また、第1パレット側壁20の外面中央には、手掛部23が陥没形成され、その両側には、第1パレット側壁20の外面を僅かに陥没させた四角形の外面陥没部24,24が形成されている。
【0023】
第1パレット側壁20には、外面の両側縁部を一定幅で陥没させて側辺段差凹部25,25が形成されている。各側辺段差凹部25内には、複数の上向係合フック26Cが上下に並べて設けられている。また、第1パレット側壁20の上部の両角部寄り位置には、スライダ受容部28がそれぞれ陥没形成され、そこに結合スライダ27が受容されている。各スライダ受容部28は、図6(A)に示すように、第1パレット側壁20の外面に略四角形の外面開口28Bを有すると共に、側辺段差凹部25の段差面25Aまで連通したガイド孔28Dを備えている。これに対し、結合スライダ27は、外面開口28B内で直動可能な操作部27Aからガイド孔28Dに向けて突入片27Bを突出させた構造になっている。そして、図6(A)及び図6(B)に示すように、突入片27Bが、段差面25Aから突出した状態とガイド孔28D内に退避した状態とに切り替わる。
【0024】
図2に示すように、第2パレット側壁40は、全体が横長の長方形になっていて、下面に複数の差込突部41を備えている。そして、パレット本体11の差込支持部15Bに備えた受容凹部17A(図1参照)に差込突部41を差し込むことで、第2パレット側壁40が起立状態に保持される。なお、受容凹部17Aは、差込支持部15Bの内面にも開口していて(図3参照)、第2パレット側壁40を寝かせた状態でも差込突部41を受容する。
【0025】
図1に示すように、第2パレット側壁40の外面には、下端部中央に外面下端手掛部46が陥没形成されると共に、上縁部に1対の外面上端手掛凹部45,45が横並びにして陥没形成され、それらの裏側に1対の内面上端手掛凹部48,48が陥没形成されている。また、第2パレット側壁40の外面のうち外面下端手掛部46の両側には、第2パレット側壁40の外面を僅かに陥没させた外面陥没部47,47が設けられている。
【0026】
図7に示すように、第2パレット側壁40の内面には、両外側縁部の全体にサイドカバー壁51,51が突出形成され、サイドカバー壁51と第2パレット側壁40との内側角部に沿って複数の下向係合フック53が並べて設けられている。そして、図5に示すように、下向係合フック53と上向係合フック26Cと係合する。また、上側2つの下向係合フック53,53の間には係合凹部54が設けられ、その係合凹部54に前記結合スライダ27の係合突片27Bが突入するようになっている。
【0027】
上記した第1パレット側壁20は、図8に示した外側構成盤31と内側構成盤35とを加熱溶着してなり、第2パレット側壁40は、図11(A)及び図11(B)に示した外側構成盤61と内側構成盤65とを加熱溶着してなる。
【0028】
具体的には、図9に示すように、第1パレット側壁20は、密閉空間20Pを挟んで対向した外側主体板32と内側主体板36とを備えている。また、外側主体板32と内側主体板36と間には、第1パレット側壁20全体を厚さ方向で2分割する面に沿って樹脂の固着層20Kが設けられている。その固着層20Kは、第1パレット側壁20の厚さ方向のうち内側主体板36寄り位置に配置されている。そして、第1パレット側壁20のうち固着層20Kより外側主体板32側が外側構成盤31になっていて、第1パレット側壁20のうち固着層20Kより内側主体板36側が内側構成盤35になっている。
【0029】
図8に示すように、外側構成盤31は、外側主体板32のうち内側主体板36との対向面全体に格子状のリブ33を張り巡らせた構造になっている。内側構成盤35も同様に、、内側主体板36に格子状のリブ37を張り巡らせた構造になっている。そして、外側構成盤31のリブ33と内側構成盤35のリブ37の先端部同士が溶着されて、それらリブ33,37によって外側主体板32と内側主体板36とが連結されると共に、第1パレット側壁20内の密閉空間20Pが複数のセル(小部屋)に区画されている。
【0030】
ところで、外側構成盤31及び内側構成盤35は、後に詳説するように互いに接合した状態で後述する加熱溶着装置75にセットされる(図24(A)参照)。その接合状態で外側構成盤31と内側構成盤35とを互いに位置決めするために、図8に示すように、外側構成盤31には横方向位置決部71と縦方向位置決部72とが設けられ、内側構成盤35には、本発明に係る突入突部73が設けられている。
【0031】
その横方向位置決部71は、外側構成盤31と内側構成盤35とを横方向で互いに位置決めして固着させるためのものであって、外側構成盤31のうち、例えば、左右方向の略中央における上端寄り位置と下端寄り位置との2箇所に配置されている。一方、縦方向位置決部72は、外側構成盤31と内側構成盤35とを縦方向で互いに位置決めして固着させるためのものであって、外側主体板32のうち、例えば、上下方向の略中央において左右方向の両端部の2位置に配置されている。そして、突入突部73が、内側主体板36のうち各横方向位置決部71及び各縦方向位置決部72との対向位置に配置されている。
【0032】
図10には、外側構成盤31と内側構成盤35とが固着される前の状態における、横方向位置決部71、縦方向位置決部72及び突入突部73が示されている。縦方向位置決部72は、図10(A)に示すように、外側構成盤31の縦方向で対向した1対の対向片72A,72Aを、それらの対向面の裏側から補強用三角リブ72B,72Bにて補強した構造になっている。また、横方向位置決部71は、図10(B)に示すように、縦方向位置決部72を90度回転させた形状をなし、外側構成盤31の横方向で対向した1対の対向片71A,71Aを補強用三角リブ71B,71Bにて補強した構造になっている。本実施形態では、これら1対ずつの対向片71A,71Aと対向片72A,72Aの何れか一方が本発明に係る「1対の第1対向突壁」に相当する一方、他方が「1対の第2対向突壁」に相当する。
【0033】
一方、突入突部73は、断面が「+」形をなし、外側構成盤31の縦方向に厚さ方向が向いた第1突入片73Aと、横方向に厚さ方向が向いた第2突入片73Bとを互いに幅方向の中央で交差させた構造になっている。また、第1と第2の突入片73A,73Bにおける先端両角部は面取りされている。
【0034】
外側構成盤31と内側構成盤35とが固着される前の状態では、上記した横方向位置決部71及び縦方向位置決部72は、リブ33より高く、突入突部73はリブ37より高くなっている。そして、上記した1対の対向治具に固定する前の外側構成盤31及び内側構成盤35を互いに接合させると、縦方向位置決部72の対向片72A,72Aの間に突入突部73が嵌合して外側構成盤31と内側構成盤35とが縦方向で位置決めされると共に、横方向位置決部71の対向片71A,71Aの間に突入突部73が嵌合して外側構成盤31と内側構成盤35とが横方向で位置決めされる。そして、横方向位置決部71、縦方向位置決部72及び突入突部73は、外側構成盤31と内側構成盤35とが1対の対向治具に固定された後は、後述する加熱板80(図26(A)参照)に押し付けられて先端が溶かされ、リブ33又はリブ37と同等の高さまで低くなる。
【0035】
なお、加熱溶着用の鉄板に横方向位置決部71、縦方向位置決部72及び突入突部73に対応した逃がし孔を設けておけば、先端が溶かされていない状態で横方向位置決部71、縦方向位置決部72及び突入突部73を第1パレット側壁20内に残すことができる。
【0036】
第1パレット側壁20を構成する外側構成盤31及び内側構成盤35の構造に関する説明は以上である。なお、第2パレット側壁40を構成する外側構成盤61及び内側構成盤65に関しては、外側構成盤31及び内側構成盤35と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0037】
さて、図12には、上記した外側構成盤31と内側構成盤35とを加熱溶着して第1パレット側壁20を製造するための加熱溶着装置75が示されている。この加熱溶着装置75は、本発明に係る1対のワーク支持盤91,95を上下に対向配置して備え、例えば、上側のワーク支持盤95のみが上下動するようになっている。そのために、加熱溶着装置75は、支持フレーム76Fに上下動可能に支持された昇降ベース78を備えている。図13に示すように、支持フレーム76Fは、平面形状が略四角形の固定ベース76Aの四隅から支柱76Cを上方に延ばし、図12に示すように、それら支柱76Cの上端部に架台部76Bを固定した構造になっている。そして、固定ベース76Aの上面76Jに下側のワーク支持盤91が固定されている。
【0038】
図15に示すように、架台部76Bは、下方から見た形状が、固定ベース76Aと同様の略四角形になっていて、四隅に支柱76Cが固定されている。また、図12に示すように、架台部76Bには、複数の支持盤駆動シリンダ77が上側から組み付けられている。それら支持盤駆動シリンダ77のロッド77Rは、架台部76Bを上下に貫通する図示しない貫通孔を通して架台部76Bの下面から鉛直下方に延び、それらロッド77R群の下端部が、上記した昇降ベース78に固定されている。そして、昇降ベース78の下面78Jに上側のワーク支持盤95が固定されて、下側のワーク支持盤91と対向し、支持盤駆動シリンダ77群により昇降ベース78が上下に駆動されることで、両ワーク支持盤91,95が接近及び離間する。
【0039】
ワーク支持盤91,95は、共に全体が長方形の板状をなし、前記した外側構成盤31(図8参照)が、本発明に係る「ワーク」として下側のワーク支持盤91に保持される一方、内側構成盤35(図8参照)が、本発明に係る「ワーク」として上側のワーク支持盤95に保持される。これらワーク支持盤91,95の詳細については、後述する。
【0040】
ワーク支持盤91,95に保持された外側構成盤31及び内側構成盤35の接合面(溶着面)を加熱するために、加熱溶着装置75には、図13に示した加熱板80が設けられている。加熱板80は、四角形で平坦な板状をなし、その外縁部が加熱板支持枠84によって支持されている(図16参照)。また、その加熱板支持枠84は、スライドベース81に上下動可能に支持され、さらに、そのスライドベース81は、水平方向に平行に延びた1対のガイドレール79,79に両側をスライド可能に支持されている。
【0041】
詳細には、一方のガイドレール79は、図13における左側の1対の支柱76C,76Cの間に指し渡される一方、他方のガイドレール79は、図13の右側の1対の支柱76C,76Cの間に指し渡されている。これらガイドレール79,79は、同じ高さに配置されて平行に延び、固定ベース76Aの後方位置まで延設されている。また、ガイドレール79,79のうち固定ベース76Aより後方に延長された部分は、支持台79Aによって支持されている。また、図16に示すように、ガイドレール79,79は、溝形形状をなし、その溝の開口を互いの対向面側に備えている。
【0042】
図13に示すように、スライドベース81は、例えば、両ガイドレール79,79の互いの対向面に隣接して水平に延びた1対のサイド支持部81A,81Aを備え、それらのサイド支持部81A,81Aの後端部(固定ベース76Aから離れた側の端部)の間を後端連絡部81Bにて連絡した構造になっている。また、両サイド支持部81A,81Aには、ガイドレール79,79内に係合した複数のコロ81K(図16参照)の支軸が固定されている。さらに、図13に示すように、後端連絡部81Bには、その長手方向にスリット81Cが形成され、そのスリット81Cに旋回レバー83Rの先端がスライド可能に係合している。そして、旋回レバー83Rは、旋回駆動源83によって水平に旋回駆動されることで、図13と図14との変化に示すように、スライドベース81がガイドレール79に沿って水平方向に直動する。
【0043】
図13に示すように、各サイド支持部81A,81Aの各2箇所(計4箇所)には、それぞれ駆動シリンダ82が取り付けられ、図16に示すように、各駆動シリンダ82のロッド82Rがサイド支持部81Aより下方に延びて、それらの下端部が加熱板支持枠84の四隅に固定されている。これにより、加熱板80が加熱板支持枠84と共にスライドベース81に対して上下動する。
【0044】
図16に示すように、加熱板支持枠84には、加熱板80の外縁部を下方から支持する枠板84Aと、その加熱板支持枠84の外縁部全体から上方に起立した外縁側壁84Bとが備えられている。また、枠板84Aの上面における左右の両内縁寄り位置からは、アングル壁84Cが起立して、その上端部が内側に直角曲げされている。そして、枠板84Aの内縁部とアングル壁84Cにおける上端の水平部分との間に、加熱板80の外縁部が上下方向から挟まれている。また、アングル壁84Cと加熱板80の上面との間にはクリアランス84Fが設けられ、このクリアランス84Fの範囲で加熱板80が加熱板支持枠84に対して上下動可能になっている。さらに、枠板84Aの上面における前後の両内縁寄り位置からは、例えば、加熱板80が加熱板支持枠84に対して前後にずれることを防止するためのストッパ壁84Dが突出している(図26(A)参照)
【0045】
図13に示すように、加熱板支持枠84には、スライド可動方向(図13の上下方向)の両端部から外側に1対の挟持ブロック84T,84Tが突出している。これら挟持ブロック84Tに対し、下側のワーク支持盤91の上面四隅からは当接支柱91Tが突出し、図21に示すように、上側のワーク支持盤95の下面四隅からは当接支柱95Tが突出している。これら当接支柱91T,95Tは、共に円柱状をなしている。また、図26(C)に示すように、下側の当接支柱91Tの端面中央には位置決凹部91T1が陥没形成される一方、上側の当接支柱95Tの端面中央からは位置決突部95T1が突出している。そして、加熱板80がワーク支持盤91,95の間に配置された状態で、下側の当接支柱91Tにおける位置決凹部91T1の回りの平坦部分が挟持ブロック84Tの下面に当接する一方、上側の位置決突部95T1の先端の平坦部分が挟持ブロック84Tの上面に当接して、当接支柱91T,95Tの間に挟持ブロック84Tが挟まれる(図26(B)参照)。また、加熱板80がワーク支持盤91,95の間から退避した状態(図26(C)参照)では、位置決凹部91T1に位置決突部95T1が凹凸嵌合して、当接支柱91T,95Tが直接当接する。
【0046】
さて、図17には、下側のワーク支持盤91の上面が示される一方、図21には、上側のワーク支持盤95の下面が示されている。これら図17及び図21において、斜線及びドットの各ハッチングは、断面形状を示すためのものではなく、後述するパッキン92P,96P及び吸気溝93M,97Mの平面形状を他の部位と区別して示すためのものである。
【0047】
図17に示すように、下側のワーク支持盤91の上面の一部は、保持対象である外側構成盤31(ワーク)に覆われるワーク配置面R1になっていて、そのワーク配置面R1を取り囲むように第1〜第3の位置決突壁91U,91V,91Wが設けられている。第1の位置決突壁91Uは、外側構成盤31の下辺部分に宛われるものであって、図17における上下方向に断続的に設けられ、位置決突壁91Uが途切れた部分に位置調整機構91Jが備えられている。位置調整機構91Jは、図18(A)に示すように、ワーク支持盤91の上面から起立した固定突壁100に螺子孔を貫通形成し、その螺子孔に螺合したボルト101の先端に可動板102を取り付けて水平移動可能とした構造になっている。そして、その位置調整機構91Jの可動板102がワーク配置面R1側に向けられている。
【0048】
図17に示すように、第2の位置決突壁91Vは、外側構成盤31の両側縁部に宛われるものであって、図17の上下方向でワーク配置面R1を間に挟んだ対向位置に対にして配置され、図17の左右方向に平行に延びている。これら1対の第2の位置決突壁91Vには、それぞれ複数の切欠部91V1が備えられている。そして、それら切欠部91V1に外側構成盤31の各上向係合フック26C(図8参照)が受容された状態で、外側構成盤31の段差面25A(図4参照)に第2の位置決突壁91Vが対向配置される。また、第2の位置決突壁91V,91V同士の間隔を変更するために、前記した位置調整機構91Jが一方の第2の位置決突壁91Vに取り付けられている。
【0049】
第3の位置決突壁91Wは、外側構成盤31の上辺部分に宛われるものであって、図17における上下方向に均一な形状をなして延びている。そして、これら第1〜第3の位置決突壁91U,91V,91Wによって外側構成盤31(ワーク)がワーク配置面R1に位置合わせされ、必要に応じて位置調整機構91Jにより、ワーク配置面R1における外側構成盤31の配置を調整することができるようになっている。
【0050】
ワーク配置面R1には、外側構成盤31の外面陥没部24,24(図4参照)に対応した1対の段差突部103,103がワーク支持盤91の上面から突出形成されている。図18(A)に示すように、その段差突部103の上面とワーク支持盤91における全体の上面との段差は、外側構成盤31における全体の外面と外面陥没部24の底面との段差と略同一になっている。
【0051】
図17に示すように、ワーク配置面R1には、外側構成盤31に密着可能なパッキン92Pが設けられている。パッキン92Pは、エストラマー製(例えば、シリコーンゴム製)で断面形状が四角形の弾性部材であって、図19(A)に示すように、ワーク支持盤91の上面に陥没形成されたパッキン受容溝92Mに受容されかつ一部がワーク支持盤91の上面から膨出している。詳細には、パッキン受容溝92Mは、図17に示すように、外側構成盤31の外縁に沿った環状形状の外郭溝92M1と、外郭溝92M1に囲まれた領域を複数の区画領域R2,R3,R4,・・・に区画する区画溝92M2とで構成されている。そして、これら外郭溝92M1及び区画溝92M2よりなるパッキン受容溝92Mに受容されたパッキン92Pによって、各区画領域R2,R3,R4,・・・が包囲されている。また、パッキン受容溝92Mは、図20(A)に示すように開口縁を面取りされて開口傾斜面92Sを備えている。そして、通常は、開口傾斜面92Sがパッキン92Pから露出していて、外側構成盤31(ワーク)がパッキン92Pに押し付けられると、図20(B)に示すように、開口傾斜面92Sの露出面積を減らすようにしてパッキン92Pが圧縮され、パッキン92P全体がパッキン受容溝92M内に収まる。
【0052】
なお、図17に示すように、ワーク配置面R1の長手方向の両端部に配置された1対の区画領域R7,R7を囲むパッキン92Pは、外側構成盤31の外面のうち外面開口28B(図8参照)の開口縁に当接する。また、ワーク配置面R1の略中央に配置された区画領域R6を囲むパッキン92Pは、外側構成盤31の外面のうち手掛部23の開口縁に当接する。さらに、区画溝92M2の一部は、段差突部103の段差を横切るように延び、その区画溝92M2に設けられたパッキン92Pも、段差突部103の段差を横切って延びている。
【0053】
図17に示すように、下側のワーク支持盤91の上面(段差突部103の上面も含む)には、上記した区画領域R6,R7を除く各区画領域R2,R3,・・・に、吸気溝93Mが陥没形成されている。吸気溝93Mは、各区画領域R2,R3,・・・の略全体に張り巡らされている。また、図18(A)に示すように、ワーク支持盤91の内部には、水平方向に内部流路93Aが延びていて、各内部流路93Aから上方に分岐した複数の分岐流路93Bが各吸気溝93Mの底面に開放している。本実施形態では、これら内部流路93Aと分岐流路93Bとから本発明に係る吸気路93Rが構成されている。また、内部流路93Aの一端部は、ワーク支持盤91の一側面に開口していて、その開口に図示しないパイプジョイントが取り付けられ、そのパイプジョイントに図示しないパイプを介して吸気用ポンプ(本発明の「吸気手段」に相当する)が接続されている。そして、ワーク配置面R1に外側構成盤31(ワーク)が配置された状態で吸気用ポンプにて、吸気路93R及び吸気溝93M内の空気を吸引することで、図18(B)に示すように、ワーク支持盤91に外側構成盤31を吸着させて保持することができる。
【0054】
図19(A)に示すように、下側のワーク支持盤91の上面(段差突部103の上面も含む)におけるワーク配置面R1のうちパッキン92P及び吸気溝93Mが設けられていない部分は、ワーク当接面91Fになっている。そして、通常、ワーク当接面91Fから突出しているパッキン92Pが、図19(B)に示すように、負圧により吸着された外側構成盤31(ワーク)に押し潰されて、例えば、ワーク当接面91Fと面一になるまで圧縮変形して、その外側構成盤31(ワーク)がワーク当接面91Fに当接する。
【0055】
下側のワーク支持盤91の構造に関する説明は以上である。次に、上側のワーク支持盤95の構造について説明する。図21に示すように、上側のワーク支持盤95の下面の一部は、保持対象である内側構成盤35(ワーク)に覆われるワーク配置面R10になっている。そのワーク配置面R10の4つの角部の両側には、前記した位置調整機構91Jと同じ構造の位置調整機構95Jがそれぞれ設けられている。また、ワーク配置面R10の外縁部のうち各角部から離れた部分には、位置決突壁95W(図21では省略。図22(A)参照)がワーク配置面R10を囲むように設けられている。そして、上側のワーク支持盤95においても下側のワーク支持盤91と同様に、位置決突壁95Wによって内側構成盤35がワーク配置面R10に位置合わせされ、必要に応じて位置調整機構95Jにより、ワーク配置面R10における内側構成盤35の配置が調整されるようになっている。
【0056】
また、前述した下側のワーク支持盤91のパッキン92Pと同様に、図21に示すように、上側のワーク支持盤95にもパッキン96Pがパッキン受容溝96Mに受容された状態に設けられている。そのパッキン受容溝96Mは、内側構成盤35の外縁に沿った環状形状の外郭溝96M1と、その内側領域を複数の区画領域R11,R12,R13,・・・に区画する区画溝96M2とで構成されている。そして、中央の区画領域R15を除いた各区画領域R11,R12,・・・には、複数の吸気溝97Mが陥没形成され、それら複数の吸気溝97Mに連通した吸気路97Rを備えている。その吸気路97Rは、図22に示すように、ワーク支持盤95の内部を水平方向に延びた内部流路97Aから吸気溝97Mに分岐した分岐流路97Bを備えてなる。また、吸気路97Rには、前記した吸気用ポンプが接続されている。そして、ワーク配置面R10に内側構成盤35(ワーク)が配置された状態で吸気用ポンプを作動させることで、図22(B)に示すように、ワーク支持盤95に内側構成盤35を吸着させて保持することができる。また、上側のワーク支持盤95の下面においても、ワーク配置面R10のうちパッキン96P及び吸気溝97Mが設けられていない部分は、図23(A)に示すように、ワーク当接面95Fになっている。そして、ワーク支持盤95に内側構成盤35(ワーク)が吸着されると、図23(B)に示すように、例えば、パッキン96Pがワーク当接面95Fと面一になるまで圧縮変形し、内側構成盤35がワーク当接面95Fに当接する。
【0057】
また、本実施形態の加熱溶着装置75は、例えば、吸気用ポンプと吸気路93R,97Rとの間に図示しない圧力センサーを備え、吸気用ポンプを作動した状態で、圧力センサーに検出される圧力が基準圧力以下にならないときには、吸着不良が生じたと判断して、異常を報知するようになっている。
【0058】
本実施形態の加熱溶着装置75の構成に関する説明は、以上である。次に、加熱溶着装置75を用いた第1パレット側壁20の製造方法について説明する。
【0059】
加熱溶着装置75を用いて第1パレット側壁20を製造するには、まず、予め別々に射出成形しておいた外側構成盤31と内側構成盤35を接合(合体)させる。このとき、横方向位置決部71及び縦方向位置決部72と突入突部73(図8及び図10参照)との嵌合によって外側構成盤31と内側構成盤35とを容易に位置合わせして接合させることができる。そして、図24(A)に示すように、上下のワーク支持盤91,95を離間させた状態にして、接合状態の外側構成盤31及び内側構成盤35を、外側構成盤31側を下にして下側のワーク支持盤91のワーク配置面R1(図17参照)にセットする。このとき、ワーク配置面R1の周りに配置された第1〜第3の位置決突壁91U,91V,91Wにより、容易に外側構成盤31及び内側構成盤35をワーク配置面R1に正しく配置することができる。
【0060】
この状態で加熱溶着装置75を起動する。すると、昇降ベース78と共に上側のワーク支持盤95が降下して、図24(B)に示すように、下側のワーク支持盤91との間で外側構成盤31及び内側構成盤35を挟持する。このとき、両ワーク支持盤91,95のパッキン92P,96P(図17及び図21参照)が外側構成盤31及び内側構成盤35に対する緩衝材の役割を果たす。そして、パッキン92P,96Pが外側構成盤31及び内側構成盤35に密着したところで、図示しない吸気用ポンプが作動し、上下のワーク支持盤91,95における吸気路93R,97R及び吸気溝93M,97M内の空気が吸引される。このとき、圧力センサーに検出される圧力が基準圧力以下にならないときには、吸着不良が生じたとして、異常を報知する。
【0061】
異常がない場合は、各ワーク支持盤91,95のパッキン92P,96Pは、図19(B)及び図23(B)に示すように各ワーク当接面91F,95Fと面一になるまで圧縮変形し、外側構成盤31が下側のワーク支持盤91のワーク当接面91Fに当接する一方、内側構成盤35が上側のワーク支持盤95のワーク当接面95Fに当接する。このようにして、外側構成盤31が下側のワーク支持盤91に保持される一方、外側構成盤31が上側のワーク支持盤95に保持される。このとき、上下のワーク支持盤91,95の当接支柱91T,95Tは、図26(C)に示すように、クリアランスC1を空けた状態になって互いに接触はしない。そのクリアランスC1が、溶着による外側構成盤31及び内側構成盤35の押し潰し量になる。
【0062】
次いで、上側のワーク支持盤91が上昇し、外側構成盤31と内側構成盤35とが離間し、それら外側構成盤31と内側構成盤35との間に加熱板80が進入する。そして、駆動シリンダ82,82により加熱板80が降下されて、図26(A)に示すように、下側のワーク支持盤91の当接支柱91Tに加熱板支持枠84の挟持ブロック84Tが当接する。このとき、加熱板80が外側構成盤31に当接して加熱板支持枠84の枠板84Aから若干上方に浮いた状態になる。
【0063】
次いで、図25(A)に示すように、上側のワーク支持盤95が降下して、そのワーク支持盤95に保持されている内側構成盤35が加熱板80に当接する(図26(A)の状態)。このとき、上側のワーク支持盤95の当接支柱95Tに加熱板支持枠84の挟持ブロック84Tとは隙間が空いた状態になる。その状態から、当接支柱95Tと挟持ブロック84Tとが当接する位置までワーク支持盤95が押し下げられる。これにより、外側構成盤31及び内側構成盤35における接合面が共に加熱板80に押し潰されるようにして溶融する。
【0064】
次いで、上側のワーク支持盤95が上昇して、内側構成盤35が加熱板80から剥がされ、さらに、加熱板80が上昇して外側構成盤31が加熱板80から剥がされる。このとき、外側構成盤31及び内側構成盤35と加熱板80との接着力により内側構成盤35が上側のワーク支持盤95から離される方向に負荷を受けると共に、外側構成盤31が下側のワーク支持盤91から離される方向に負荷を受ける。
【0065】
しかしながら、本実施形態の加熱溶着装置75では、ワーク支持盤91,95に備えたエラストマー製のパッキン92P,96Pをワーク(外側構成盤31と内側構成盤35)に密着させて負圧をかけているので、従来、問題になった空気の漏れが抑えられ、ワーク保持力が従来より高くなっている。しかも、パッキン92P,96Pに囲まれた複数の領域(図17の符号R2〜R5,図21の符号R11〜R14参照)に吸気溝93M,97Mを形成したので、ワーク(外側構成盤31と内側構成盤35)における負圧の受圧面積が広くなる。これにより、ワーク保持力が従来より高くなると共に、ワーク(外側構成盤31と内側構成盤35)の略全体に負圧をかけることができ、例えば、内側構成盤35のように、比較的薄くて剛性が低いワークであっても安定した保持が可能になる。この強くかつ安定したワーク保持により、ワーク(外側構成盤31と内側構成盤35)を加熱板80から剥がす際に、ワークがワーク支持盤91,95からずれたり、外れるような事態が防がれる。
【0066】
次いで、加熱板80が外側構成盤31と内側構成盤35との間から退避した後、ワーク支持盤95が降下し、上下のワーク支持盤91,95の当接支柱91T,95Tが互いに当接するまで、外側構成盤31と内側構成盤35とが押し付けられる。これにより、外側構成盤31及び内側構成盤35の接合面側の端部が押し潰されて溶着される。ここで、本実施形態の加熱溶着装置75では、パッキン92P,96Pが負圧によりワーク支持盤91,95のワーク当接面91F,95Fと面一になるまで圧縮変形していて、ワーク当接面91F,95Fとワーク(外側構成盤31及び内側構成盤35)とが当接しているので、ワーク同士の溶着部分の押し潰し量が、パッキン92P,96Pの弾性変形量の影響を受けることはない。これにより、従来より溶着品質が安定する。
【0067】
ワーク(外側構成盤31及び内側構成盤35)が溶着してその溶着部分が固化したら、上側のワーク支持盤95による内側構成盤35の吸着のみを解除して、その上下のワーク支持盤91,95を離間する。これにより、外側構成盤31と内側構成盤35とから製造された第1パレット側壁20を加熱溶着装置75から取り出すことができる。
【0068】
なお、図示しないが、上記したワーク支持盤91,95の代わりに、第2パレット側壁40の外側構成盤61と内側構成盤65に対応した形状の1対のワーク支持盤を備えた加熱溶着装置により外側構成盤61と内側構成盤65を加熱溶着して第2パレット側壁40を製造することができる。
【0069】
以上、説明したように、本実施形態の加熱溶着装置75及び製造方法によれば、溶着品質が安定した第1パレット側壁20及び第2パレット側壁40の製造が可能になる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0070】
(1)前記実施形態の加熱溶着装置75は、上側のワーク支持盤95のみが上下動する構成であったが、上下のワーク支持盤が上下動する構成や、下側のワーク支持盤のみが上下動する構成であってもよい。
【0071】
(2)前記実施形態の加熱溶着装置75では、パッキン92P,96Pに囲まれた領域に、吸気溝93M,97Mが形成されていたが、吸気溝を設けずに、例えば、パッキンに囲まれた領域全体を陥没させた凹部を設けて、その凹部の内面に吸気路を開口させた構成や、パッキンに囲まれた領域全体に複数の吸気路の開口を散在させた構成としてもよい。さらには、例えば、円環状のパッキンを多数設けて、各パッキンの内側に1つずつ吸気路を開口させてた構成にしてもよい。
【0072】
(3)前記実施形態は、パッキン92P,96Pが、吸気用ポンプの負圧のみで、ワーク配置面R1,R10と面一になるまでワークに押し潰される構成であったが、吸気用ポンプの負圧のみでワークに押し潰されたときには、ワーク配置面R1,R10と面一にならず、ワーク支持盤91,95同士を接近させてワーク同士を押し付けるときの反力によって始めてパッキン92P,96Pがワーク配置面R1,R10と面一になるまで押し潰される構成としてもよい。また、ワーク支持盤91,95同士を接近させてワーク同士を押し付けるときの反力によっても、パッキン92P,96Pがワーク配置面R1,R10と面一になるまで押し潰されない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
20 第1パレット側壁(溶着樹脂製品,中空樹脂板)
31,61 外側構成盤(ワーク)
35,65 内側構成盤(ワーク)
40 第2パレット側壁(溶着樹脂製品,中空樹脂板)
71A,72A 対向片(第1対向突壁、第2対向突壁)
73 突入突部
75 加熱溶着装置
80 加熱板
91,95 ワーク支持盤
92M,96M パッキン受容溝
92M1,96M1 外郭溝
92M2,96M2 区画溝
92P,96P パッキン
93M,97M 吸気溝
93R,97R 吸気路
R1,R10 ワーク配置面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接近及び離間可能な1対のワーク支持盤で1対のワークを別々に保持して分離状態とし、それらワーク同士の対向面を加熱した後、前記1対のワーク支持盤を接近させることで前記ワーク同士の前記対向面を溶着する加熱溶着装置であって、
前記ワーク支持盤のうち前記ワークと対向するワーク配置面に陥没形成されたパッキン受容溝と、
前記パッキン受容溝に受容されて、前記ワーク配置面より一部が突出したエラストマー製のパッキンと、
前記各ワーク支持盤に貫通形成されて、一端が前記ワーク配置面のうち前記パッキンに囲まれた領域に開放する一方、他端が前記パッキンの内側を負圧状態にするための吸気手段に接続される吸気路とを備えたことを特徴とする加熱溶着装置。
【請求項2】
前記パッキンが、前記ワークに押し潰されて前記ワーク配置面と面一になるまで圧縮変形可能であることを特徴とする請求項1に記載の加熱溶着装置。
【請求項3】
前記ワーク配置面のうち前記パッキンに囲まれた領域に吸気溝を形成して、前記吸気溝の内面に前記吸気路の一端を開放させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱溶着装置。
【請求項4】
前記1対のワークは、ボックスパレット、コンテナ、その他、搬送器具の一構成部品としての中空樹脂板を厚さ方向で2分割した構造をなし、
前記パッキン受容溝を、前記ワークの外縁に沿った環状形状の外郭溝と、前記外郭部に囲まれた領域を複数の区画領域に区画する区画溝とで構成して、そのパッキン受容溝に受容された前記パッキンにて各前記区画領域を包囲し、前記複数の区画領域に前記吸気路の一端を開放させたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の加熱溶着装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の加熱溶着装置を使用し、前記1対のワークを溶着してなる溶着樹脂製品を製造することを特徴とする溶着樹脂製品の製造方法。
【請求項6】
前記1対のワークを接合状態にして前記1対のワーク支持盤で挟持し、前記各ワーク支持盤に吸着させた後、それら1対のワーク支持盤と共に前記ワーク同士を分離して、その間に加熱板を進入させ、前記ワーク同士の対向面を前記加熱板に押し付けた後、前記ワーク同士を離間させて前記加熱板を退避させてから、前記ワーク同士の前記対向面を押し付けて溶着させるように前記加熱溶着装置を構成しておくと共に、
前記1対のワークに、それらワークが接合されたときに互いに嵌合する位置決嵌合部を設けておき、前記加熱板に、前記位置決嵌合部との干渉を回避するための逃がし孔を貫通形成するか、前記加熱板に前記位置決嵌合部を押し付けて押し潰すことを特徴とする請求項5に記載の溶着樹脂製品の製造方法。
【請求項7】
前記位置決嵌合部として、前記ワーク同士の接合方向と直交する第1方向で対峙する1対の第1対向突壁と、前記接合方向と前記第1方向との両方向に直交する第2方向で対峙する1対の第2対向突壁と、それら第1対向突部同士の間及び第2対向突部同士の間に嵌合可能な複数の突入突部とを前記1対のワークに設けておくことを特徴とする請求項6に記載の溶着樹脂製品の製造方法。
【請求項1】
接近及び離間可能な1対のワーク支持盤で1対のワークを別々に保持して分離状態とし、それらワーク同士の対向面を加熱した後、前記1対のワーク支持盤を接近させることで前記ワーク同士の前記対向面を溶着する加熱溶着装置であって、
前記ワーク支持盤のうち前記ワークと対向するワーク配置面に陥没形成されたパッキン受容溝と、
前記パッキン受容溝に受容されて、前記ワーク配置面より一部が突出したエラストマー製のパッキンと、
前記各ワーク支持盤に貫通形成されて、一端が前記ワーク配置面のうち前記パッキンに囲まれた領域に開放する一方、他端が前記パッキンの内側を負圧状態にするための吸気手段に接続される吸気路とを備えたことを特徴とする加熱溶着装置。
【請求項2】
前記パッキンが、前記ワークに押し潰されて前記ワーク配置面と面一になるまで圧縮変形可能であることを特徴とする請求項1に記載の加熱溶着装置。
【請求項3】
前記ワーク配置面のうち前記パッキンに囲まれた領域に吸気溝を形成して、前記吸気溝の内面に前記吸気路の一端を開放させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱溶着装置。
【請求項4】
前記1対のワークは、ボックスパレット、コンテナ、その他、搬送器具の一構成部品としての中空樹脂板を厚さ方向で2分割した構造をなし、
前記パッキン受容溝を、前記ワークの外縁に沿った環状形状の外郭溝と、前記外郭部に囲まれた領域を複数の区画領域に区画する区画溝とで構成して、そのパッキン受容溝に受容された前記パッキンにて各前記区画領域を包囲し、前記複数の区画領域に前記吸気路の一端を開放させたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の加熱溶着装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の加熱溶着装置を使用し、前記1対のワークを溶着してなる溶着樹脂製品を製造することを特徴とする溶着樹脂製品の製造方法。
【請求項6】
前記1対のワークを接合状態にして前記1対のワーク支持盤で挟持し、前記各ワーク支持盤に吸着させた後、それら1対のワーク支持盤と共に前記ワーク同士を分離して、その間に加熱板を進入させ、前記ワーク同士の対向面を前記加熱板に押し付けた後、前記ワーク同士を離間させて前記加熱板を退避させてから、前記ワーク同士の前記対向面を押し付けて溶着させるように前記加熱溶着装置を構成しておくと共に、
前記1対のワークに、それらワークが接合されたときに互いに嵌合する位置決嵌合部を設けておき、前記加熱板に、前記位置決嵌合部との干渉を回避するための逃がし孔を貫通形成するか、前記加熱板に前記位置決嵌合部を押し付けて押し潰すことを特徴とする請求項5に記載の溶着樹脂製品の製造方法。
【請求項7】
前記位置決嵌合部として、前記ワーク同士の接合方向と直交する第1方向で対峙する1対の第1対向突壁と、前記接合方向と前記第1方向との両方向に直交する第2方向で対峙する1対の第2対向突壁と、それら第1対向突部同士の間及び第2対向突部同士の間に嵌合可能な複数の突入突部とを前記1対のワークに設けておくことを特徴とする請求項6に記載の溶着樹脂製品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−232544(P2012−232544A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104111(P2011−104111)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]