説明

溶解可能な歯のホワイトニングストリップ

本発明は、歯をホワイトニングするための溶解可能なストリップを提供するものである。好ましくは、ストリップは単層であり、ホワイトニング剤および水溶性または水分散性ポリマー系を有する。ホワイトニング組成物の溶解は、ホワイトニング組成物の唾液を含口腔環境との相互作用により制御される。本発明はさらに、乾燥フィルムの形態のホワイトニングストリップの製造方法、および歯をホワイトニングする方法を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、歯をホワイトニングするための溶解可能なホワイトニングストリップに関するものである。より詳細には、本発明は、口腔内におけるホワイトニングストリップの唾液との相互作用による、ホワイトニングストリップの制御された、その上完全な溶解のための、ホワイトニング剤およびポリマー系を有する、溶解可能なホワイトニングストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の記載
個々のフィルム型の剤形の歯のホワイトニングおよびドラッグデリバリーのためのいくつかの種類のパッチおよび他の製品が、当該技術分野で知られている。フッ化物含有化合物、必須アミノ酸および多塩基酸を有する歯をホワイトニングするための粉末組成物も知られている。
【0003】
最近、商業上知られたホワイトニングストリップが歯を白くするために開発されてきた。しかしながら、これらの商業用のホワイトニングストリップは、口腔内で歯の所望の表面全てと接触するのに十分なほどしなやかでも、あるいは柔軟でもない。これらのストリップは、接触せず、従って、これらの範囲、特に歯間(隙間)を有効にホワイトニングしないという欠点を有する。ストリップがこれらの隙間を覆うようにプレスされると、これらのストリップは歯の一部から浮き上がり、それにより完全に一様なホワイトニングがもたらされないかもしれない。
【0004】
歯をホワイトニングするためのシステムに相当な関心があるにも関わらず、消費者製品およびデンタルケア産業において歯の所望の表面全てをホワイトニングすることにより歯の見た目をよくすることができる製品に対する必要がある。好ましくは、それらはまた、消費者にさらなる利益をもたらし、その上ユーザーに便利さをもたらす。好ましくは、かかるさらなる利益は、歯の不透明度の増大、試薬および活性剤を事前に混合することを必要としない歯のホワイトニングの促進、歯の過敏症の予防、および1種類以上の有効成分の拡散速度のより正確な制御および歯との接触時間の増大を含む。
【0005】
ストリップが歯の上にある間に完全に溶解し、事実上、所望でない残留物を残さない、溶解が制御されたホワイトニングストリップが望まれる。本発明はかかるホワイトニングストリップを提供する。
【0006】
発明の概要
歯をホワイトニングするための溶解可能なストリップを提供することが、本発明の目的である。
【0007】
ホワイトニング剤および水溶性または水分散性ポリマー系を有する、溶解可能な単層ホワイトニングストリップを提供することが、本発明の別の目的である。
【0008】
所望でない残留物を実質的に残すことなく、口の中で溶解するホワイトニングストリップを提供することが、本発明のなお別の目的である。
【0009】
制御可能な接触時間を有するホワイトニングストリップを提供することが、本発明のなおさらに別の目的である。
【0010】
ホワイトニング剤を所望の領域に所望のデリバリー速度でデリバーするために標的化され得る、ホワイトニングストリップを提供することが本発明のなお別の目的である。
【0011】
最初、乾燥フィルムであるが、水和し、それにより、唾液と接触してゼラチン状になり、その粘着性を開始する、溶解可能なホワイトニングストリップを提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0012】
使用前、扱い易いよう乾燥フィルムである、溶解可能なホワイトニングストリップを提供することが、本発明のなおさらなる目的である。
【0013】
唾液にさらされた際、水和を開始し、ゆえに、非常にしなやかとなって、歯の形状に従い、それにより、歯の所望の表面との接触が増強されるような、溶解可能なホワイトニングストリップを提供することが、本発明のなおさらなる目的である。
【0014】
口腔内で継続して唾液にさらされるか、あるいは水和する間に柔軟性が増大し、そして粘着性が増大するような、溶解可能なホワイトニングストリップを提供することが、本発明のなおさらなる目的である。
【0015】
支持層を必要としないような、溶解可能なホワイトニングストリップを提供することが、本発明のなおさらなる目的である。
【0016】
溶解速度がストリップ基材の組成により制御されるような、溶解可能なホワイトニングストリップを提供することが本発明のなおさらなる目的である。
【0017】
ストリップの全体的な溶解が各層の唾液との相互作用により制御される、歯をホワイトニングするための多層ホワイトニングストリップを提供することも、本発明の目的である。
【0018】
1種類以上の異なる成分を有するストリップの層に1個以上の領域が存在する、歯をホワイトニングするための多層ホワイトニングストリップを提供することが、本発明の別の目的である。
【0019】
本発明は、歯をホワイトニングするための溶解可能な水溶性ストリップを提供するものである。ストリップは、ホワイトニング剤および水溶性または水分散性ポリマー系を有する。ポリマー系は、ポリ(ビニルピロリドン)またはその任意の誘導体、および少なくとも1種類の他のポリマーを含む。好ましくは、該ホワイトニングストリップの溶解は、ストリップの唾液を含む口腔環境との相互作用によりもっぱら制御される。
【0020】
本発明はまた、歯をホワイトニングする方法、すなわち、歯の白さを改善する方法を提供するものである。該方法は、本発明によるホワイトニングストリップを歯の上に、処置の過程で歯の白さの検出可能な当該技術分野で既知の改善を生じるのに十分な時間適用する工程を有する。
【0021】
本発明のこれらのおよび他の主題および利点は、所望でない残留物を実質的に残さず溶解する、本発明によるホワイトニングストリップの使用により達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明は、溶解可能なホワイトニングストリップまたはフィルムを提供するものである。本明細書において用いられるホワイトニングストリップは、形成された乾燥フィルムを意味する。最も好ましい実施態様において、ストリップは単層であるが、以下に示される別の実施態様において、ストリップは多層化され得る。
【0023】
ストリップは、ポリマー系および歯の白さを改善するためのホワイトニング剤(複数を含む)を有する。ホワイトニングストリップは、さらなる成分を有していてもよく、そしてそのうちのいくつかは、息をきれいにすること、ホワイトニングの維持、歯の石灰化、歯の過敏症の予防または処置、および歯茎の健康の維持または処置を含むさらなる利益を提供するために活性であってもよい。
【0024】
任意の実施態様において、本発明のストリップは、口腔または口の中で形成される唾液に溶解可能である。別の実施態様において、ストリップを歯の上に適用した後、所望でない残留物とみなされない実質的コーティングが残り、ホワイトニング剤または任意の有効成分の滞留時間を拡大することができる。
【0025】
ホワイトニングストリップは、最初、フィルムである。しかしながら、一度口腔内で唾液にさらされると、ストリップは、直ちに、または実質的に直ちに、水和し、ゼラチン状になる。水和は、ゼラチン状材料の膨張または拡大を生じることができる。このゼラチン状構造物が、水和し続け、ゆえに、それが、実質的に所望でない残留物で溶解するまで、口腔内にある時間、なおさら柔軟になる。従って、ストリップは、ますます柔軟かつしなやかになり、従って、それが適用される歯の輪郭または形態に適合し続ける。また、連続的水和は、ストリップの粘着特性の増大を生じ、そしてそれにより、ストリップが歯の輪郭に適合し、付着すること(空洞および歯間空間または隙間への充填を含む)、さらに、歯の所望の表面全てにおけるそのホワイトニング作用を行うことが可能になる。本ストリップの歯の隙間を覆い、ゆえに、実質的に白くする能力は、先行技術のストリップに勝る主要な利点である。
【0026】
重要なことに、一度口腔内で唾液にさらされると、さらされる継続時間が増大するにつれて、粘着性が増大し、ゆえに、歯との接触強度が増大する。増大した粘着性は、ストリップの効力を改善する。
【0027】
ストリップの溶解性または溶解可能性は、所望の予め決定された時間枠を超えたストリップまたはフィルムの溶解を可能にする組成により、制御される。ストリップの溶解の時間枠は、所望の最終利益に基づき調節され得る。時間枠を調節するために、水溶性または水分散性ポリマー系の性質、架橋の程度、もしあれば、ストリップの厚さが調節されるべきである。一般に、ストリップの厚さは、約5μm〜約2000μmである。好ましくは、ストリップの厚さは、約50μm〜約500μmである。
【0028】
本発明は、ホワイトニング剤を所望の領域に所望のデリバリー速度、例えば、約1分〜約360分、好ましくは、約1分〜約30分、そして最も好ましくは、約5分〜約20分以内でデリバリーして、歯を白くするよう標的化され得る、ホワイトニングストリップを提供するものである。
【0029】
別の実施態様において、ホワイトニング剤または別の所望の剤は、水溶性または水分散性シェルに封入され、ホワイトニングストリップの表面内もしくはそれ上、またはホワイトニングストリップの層内またはそれ上に取り込まれて、さらに、デリバリー速度が制御され得る。
【0030】
好ましくは、ホワイトニングストリップは、支持または支持層を有しない。本願において定義される支持層は、溶解可能であり、かつ多層ホワイトニングストリップの機能的部分である歯の表面と接触する層とは反対側の最外部層を意味する。好ましくは、支持層は、例えば、口腔内にある間の、歯以外の表面との不要な付着を防ぐことなどを楽に手助けする。支持層が本発明のホワイトニングストリップにおいて用いられる場合、該支持層は、完全に溶解可能であるか、あるいは水分散性でなければならない。
【0031】
本発明のホワイトニングストリップは、第1のポリマー、すなわち、水溶性または水分散性ポリ−(ビニルピロリドン)(PVP)または任意のその誘導体、および少なくとも1種類の第2のポリマーを含むポリマー系を有する。第1および第2のポリマーの組合せは、水溶性および/または水膨張性および/または水分散性ポリマー系を定義する。ポリマー系は、それが歯に運ばれたときに、ストリップが歯に付着するように粘着特性を有する。
【0032】
本発明による水溶性または水分散性ポリマー系を生成するために、第1のポリマーと共に用いられ得る第2のポリマーは、1種類以上の:アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、アルキルビニルエーテル/マレイン酸コポリマー、アルキルビニルエーテル/マレイン酸コポリマーのアルカリ金属またはアミン塩、部分的または完全に架橋結合したアルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、ビニルアセテートコポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリウレタンインターポリマー、キトサン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール−g−エチレングリコール)コポリマー、セルロース誘導体、ヒドロキシ−プロピル−メチルセルロース、ヒドロキシル−エチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルセルロース、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリクオタリウム(Polyquaterium)−11、ポリクオタリウム−39、ポロキサマー、カルボマー、ゼラチン、デンプン、アルギン酸、アルギン酸の塩、カラヤガム、キサンタンガム、グアールガム、アラビアゴム、トラガカントなどの天然ゴム、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0033】
好ましくは、第1および第2のポリマーの組合せは、次のものの1種類以上:ポリ(ビニルピロリドン)−アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)−アルキルビニルエーテル/マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)−アルキルビニルエーテル/マレイン酸コポリマーのアルカリ金属またはアミン塩、ポリ(ビニルピロリドン)−部分的または完全に架橋結合したアルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)−ビニルアセテートコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリウレタンインターポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)−キトサン、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリアクリル酸塩、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(ビニルアルコール−g−エチレングリコール)コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)−セルロース誘導体、ポリ(ビニルピロリドン)−ヒドロキシ−プロピル−メチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)−ヒドロキシ−エチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)−ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリクオタリウム−11、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリクオタリウム−39、ポリ(ビニルピロリドン)−ポロキサマー、ポリ(ビニルピロリドン)−カルボマー、ポリ(ビニルピロリドン)−ゼラチン、ポリ(ビニルピロリドン)−デンプン、ポリ(ビニルピロリドン)−アルギン酸、ポリ(ビニルピロリドン)−アルギン酸の塩、ポリ(ビニルピロリドン)−カラヤガム、ポリ(ビニルピロリドン)−キサンタンガム、ポリ(ビニルピロリドン)−グアールガム、ポリ(ビニルピロリドン)−アラビアゴム、ポリ(ビニルピロリドン)−トラガカント、またはそれらの任意の組合せである。
【0034】
かかる第1のポリマーの好ましい市販品の例は、Gantrez AN 119、AN 139、S−97およびMS−955のようなポリアルキルビニルエーテル−マレイン酸コポリマー(PVM/MAコポリマー)、ポリ(ビニルアルコール);ポリ(アクリル酸); ポロキサマー407(Pluronic);Luviskol VAおよびPlasdone S630 PVP/VAのようなポリ(ビニル−ピロリドン−コ−ビニルアセテート)コポリマー(PVP/VAコポリマー);ポリ(ビニルピロリドン)(PVP、K−15から約K−120);ポリクオタリウム−11(Gafquat 755N);ポリクオタリウム−39(Merquat plus 3330);カルボマー(Carbopol);ヒドロキシプロピル−メチルセルロース;ヒドロキシル−エチルセルロース;ヒドロキシプロピル−セルロース;ゼラチン;およびアルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸塩を含む。好ましいポリウレタンの例は、ポリカルバミルポリグリコールエステル、およびポリ(ビニルピロリドン/ポリカルバミル)ポリグリコールエステルインターポリマーのようなポリ(ビニルピロリドン−ポリウレタン)インターポリマーを含む。
【0035】
第1および第2のポリマーの組合せは、PVPおよびポリマーの組合せである。ポリマーは、好ましく相互作用するか、あるいは複合体を形成して、ポリマー混合物の分子量を効果的に増大させることができる。結合剤も取り込まれ、ポリマー間の相互作用が促進され得る。分子量の効果的な増大は、ストリップの溶解速度の低減を生じる。任意の理論または機構により結び付けられることなく、PVPと、Gantrez、Aquamere、ChitosanおよびPecogelのようなポリマーを含む、実施例で記載のポリマーとの間の相互作用は、水素結合を介して成し遂げられると考えられる。かかる相互作用により、ポリマー複合体が歯の上に結合し、それにより歯の効果的なホワイトニングをもたらすことが可能になる。
【0036】
好ましくは、水溶性または水分散性ポリマー系は、ホワイトニングストリップの総重量の約99.9重量%まで存在する。より好ましくは、ポリマー系は、ホワイトニングストリップの総重量の約60重量%〜約98重量%である。
【0037】
また、第1のポリマーの量は、ホワイトニングストリップの総重量の約1重量%〜約99重量%、好ましくは、約25重量%〜約75重量%である。第2のポリマーの量は、ホワイトニングストリップの総重量の約1重量%〜約80重量%、好ましくは、約5重量%〜約50重量%である。
【0038】
ストリップ中の活性剤であるホワイトニング剤は、口腔内で唾液と接触して歯の上に活性剤を放出することができる。別法として、活性剤は、フィルムを通って浸透し、エナメル質、歯肉組織および舌などの表面を含む、それが適用される表面に放出され得る。
【0039】
本発明において用いられ得るホワイトニング剤は、過酸化水素;過酸化カルバミド;ペルオキシカルバメート;過硫酸塩(persulfate salt)のようなペルサルフェート、または過炭酸塩;過ホウ酸;過ホウ酸塩;PVP−過酸化水素複合体;過酸化カルシウム;亜塩素酸金属(例えば、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、および亜塩素酸カリウム)、ヒドロペルオキシド;ペルオキシ酸;有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル)二酸化塩素;過硫酸カルボジイミドの過酸化水素付加化合物;過酸化物生成化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル)、リン酸塩、ポリリン酸塩、リン酸アルカリ金属、ポリリン酸アルカリ金属、トリポリリン酸ナトリウム、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0040】
ホワイトニング剤は、ホワイトニングストリップの総重量の約99重量%まで存在する。好ましくは、ホワイトニング剤は、ホワイトニングストリップの総重量の約0.5重量%〜約99重量%である。より好ましくは、ホワイトニング剤は、ホワイトニングストリップの総重量の約2重量%〜約75重量%である。
【0041】
1つの好ましい実施態様において、ホワイトニング剤は、トリポリリン酸ナトリウムのようなポリリン酸アルカリ金属であり、ホワイトニングストリップの総重量の約7.5重量%〜約25重量%の量で存在する。
【0042】
ホワイトニングストリップは、口腔および歯への利益をさらに増強する成分も有することができる。かかる成分は、抗菌剤、石灰化化合物、着色防止化合物、脱感作化合物、抗歯石剤、香料添加剤、抗炎症剤、酸化防止剤、揮発性硫黄スカベンジャー、臭気物質中和剤、および/またはビタミンを含む。ホワイトニングストリップはまた、浸透促進剤、可塑剤、保存剤、界面活性剤または湿潤剤、麻酔薬、抗アレルギー剤、医薬、またはそれらの任意の組合せを有していてもよい。しかしながら、好ましくは、ホワイトニングストリップは、口腔内で所望でない界面活性剤を含まない。
【0043】
好ましくは、以下の抗菌剤が、本発明のホワイトニングストリップにおいて用いられ得る:ポリフェノール(例えば、トリクロサン)亜鉛塩、フッ化スズ、クロルヘキシジン、ヘキセチジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、サリチルアニリド、臭化ドミフェン、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロライド(TDEPC)、オクテニジン、デルモピノール、オクタピノール、および他のピペリジン誘導体、ナイアシン製剤(nicin preparation)、亜鉛/スズイオン剤、オウグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、およびメトロニダゾールのような抗生物質、および上記のもののアナログおよび塩、以下を含むエッセンシャルオイル、チモール、メントール、オイゲノール、ゲラニオール、カルバクロール、シトラール、ヒノキチオール、オイカリプトール、カテコール、サリチル酸メチル、過酸化水素、亜塩素酸塩の金属塩、または上記のもの全ての任意の組合せ。
【0044】
本発明のホワイトニングストリップにおいて用いるのに、以下の石灰化化合物が好ましい:モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、モノフルオロリン酸マグネシウム、酸性を帯びたフルオロリン酸塩、アミンフッ化物、フッ化物の水溶性の塩、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化スズ、ケイフッ化ナトリウム、ビス−サリチラト−ビス−フルオロチタン(IV)、ケイフッ化アンモニウム、カルシウム塩、リン酸塩、カルシウム塩/リン酸塩、カルシウム塩/イオンフッ化物供給源、亜鉛塩/リン酸塩、またはそれらの任意の組合せ。
【0045】
好ましくは、以下の脱感作化合物が本発明のホワイトニングストリップにおいて用いられ得る:硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、重炭酸カリウム、シュウ酸カリウムを含む水溶性カリウム塩、および根管狭窄化合物(例えば、シュウ酸第二鉄)、またはそれらの任意の組合せ。
【0046】
好ましくは、以下の抗歯石剤が本発明のホワイトニングストリップにおいて用いられ得る:リン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、ホスホン酸塩(例えば、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホネート、1−アザシクロヘプタン−1,1−ジホスホネート)、ポリホスホン酸塩、ポリアクリル酸塩および他のポリカルボン酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸および他のカルシウムキレート剤、カルボン酸およびそれらの塩、亜鉛塩(例えば、クエン酸亜鉛ナトリウム)、PVM/MAコポリマーまたは結晶核生成または成長と干渉する他のポリマー、またはそれらの任意の組合せ。リン酸塩抗歯石剤がリン酸塩ホワイトニング剤とともに用いられるとき、用いられるリン酸塩抗歯石剤は、典型的には、用いられるリン酸塩ホワイトニング剤と異なることは理解されるべきである。
【0047】
好ましくは、以下の香料添加剤が本発明のホワイトニングストリップにおいて用いられ得る:芳香油、例えば、スペアミントの油、ペパーミント、ウィンターグリーン、ササフラス、クローブ、セージ、ユーカリ、マジョラム、シナモン、レモン、メントール、アネトール、チモール、パセリオイル、オキサノンおよびオレンジ、α−イリソン、カッシア、マジョラム、それらの油、プロペニルグアエトール、およびサリチル酸メチル。甘味料は、スクロース、ラクトース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、シクラミン酸ナトリウム、スクラロース、アセサルフェーム−K、アスパルテーム、およびサッカリンナトリウムを含むが、それらに限定されない。前述の香料添加剤の任意の組合せもホワイトニングストリップにおいて用いるのに適している。
【0048】
好ましくは、以下の抗炎症剤が本発明のホワイトニングストリップにおいて用いられ得る:非ステロイド系抗炎症剤、例えば、ケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、アスピリン、ケトプロフェン、ピロキシカム、メクロフェナム酸、またはそれらの任意の組合せ。ステロイド系および非ステロイド系抗炎症剤、および抗炎症活性を示す植物抽出物も用いられ得る。
【0049】
好ましくは、以下の酸化防止剤が本発明のホワイトニングストリップにおいて用いられ得る:ビタミンE、アスコルビン酸、尿酸、コジック酸、コエンザイム化合物(例えば、コエンザイムQ−10)、カロチノイド、ビタミンA、フラボノイドおよびポリフェノール、ハーバルアンチオキシダント、メラトニン、アミノインドール、リポ酸、またはそれらの任意の組合せ。
【0050】
他の適当な酸化防止剤は、ローズマリー抽出物、トコフェロール、トコトリエン、カロチン、カロチノイドを含むトコフェロールの誘導体、フェノール酸を含むフェノール系酸化防止剤、ビオフラボノイド、植物抽出物、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、カンホロール(camphorol)、ケルセチン、エピゲニン、またはそれらの任意の混合物を含む。
【0051】
好ましくは、以下のビタミンが本発明のホワイトニングストリップにおいて用いられ得る:ビタミンK、レチノール(ビタミンA)、トコフェロール、またはそれらの任意の組合せ。
【0052】
ホワイトニングストリップは、溶液堆積法、フィルムキャスティング、ダイキャスティングまたは押出により製造され得る。
【0053】
作用中、歯および水分と接触して、ストリップは、ポリマー系に起因して、歯の輪郭および隙間に一致するような方法で水和し、任意の空間を充填する。結果として、ホワイトニング組成物の歯の表面および歯の間の隙間との相互作用は、時間がたつにつれ、より緊密かつ強力になる。驚くべきことに、本発明者は、最初にストリップを適用した後、ストリップの粘着特性が改善し続け、それにより、良好な、ストリップの歯の形態との緊密な接触およびストリップの歯の形態への付着をもたらすことを見出した。
【0054】
先行技術に記載されたストリップとは異なり、本発明のホワイトニングストリップは支持層を必要としないことに注意されたい。事実、本発明によるホワイトニングストリップは、好ましくは、支持層を有しない。
【0055】
好ましくは、ホワイトニングストリップを歯との接触に導入した後、ストリップのホワイトニング作用は、約60分未満で成し遂げられる。しかしながら、典型的には、ホワイトニング処置計画に指向して用いられる場合、約1分〜約25分の間歯をホワイトニングストリップと接触させれば、歯を白くするのに十分である。
【0056】
本発明はさらに、乾燥フィルム形態のホワイトニングストリップの製造方法を提供する。該方法は、ホワイトニング剤、該ホワイトニング剤のための可塑化基材をもたらす水溶性または水分散性ポリマー系、および揮発性溶媒を混合し、混合物を形成し;該混合物を表面に適用して、混合物のフィルムを表面上で形成させ;次に、揮発性溶媒を除去し、乾燥フィルム形態のホワイトニングストリップを生成する工程を有する。
【0057】
揮発性溶媒は、任意の通常用いられる揮発性溶媒であり得る。しかしながら、以下の実施例に示す通り、好ましい揮発性溶媒は水またはエタノールのいずれかである。
【0058】
以下の実施例において示すように、Pluronic F−68のような湿潤剤が用いられ得る。そしてそれは、最終的なホワイトニングストリップ中に残存し、拡散およびフィルム形成能が改善され得る。
【0059】
本発明は歯のホワイトニング方法も提供する。該方法は、歯の上にホワイトニングストリップを、歯の白さの検出可能な改善を生じるのに十分な時間適用する工程を含む。ストリップは口の中で溶解するので、本発明の方法はストリップの除去を必要としない。
【実施例】
【0060】
次の実施例は、本発明を説明するものである。それらは、任意の方法で制限するものと解釈されてはならない。
【0061】
【表1】

Aquamereはポリウレタンエステルである。
【0062】
【表2】

【0063】
Pluronic F−68を添加して、表面張力を低減し、拡散およびフィルム形成を改善した。フィルムを形成する基材によっては、それを除去し得る。
【0064】
Plasdone K−90を、水、過酸化カルバミド、グリセリン、pluronic F−68、EDTAおよびクエン酸の溶液に溶解した。フィルムを室温にて一晩、次に、37℃で約30分間乾燥した。
【0065】
【表3】

【0066】
Plasdone K−90を0.1M NaOH中の20%w/w溶液として添加し、キトサンを0.1M NaOH中の2%w/w溶液として添加し、フィルムを室温にて一晩乾燥した。
【0067】
【表4】

【0068】
【表5】

【0069】
【表6】

【0070】
【表7】

製造中の損失がないと仮定した理論値に基づく
【0071】
【表8】

【0072】
本発明の別の実施態様において、異なる濃度のトリポリリン酸ナトリウム(STP)を含有するポリマー溶解可能フィルムを生成し、それらのインビトロのホワイトニング能について試験した。上記実施例8は、かかるフィルムを例示している。ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)およびグリセリンのエタノール溶液から、フィルムを成型した。リン酸塩の含有量をイオンクロマトグラフィーにより決定した。お茶で染色されたウシの歯を利用したインビトロモデルを用いて、ホワイトニング能を評価した。フィルムを、歯(n=7)に30分間、PBSによる染着チャレンジ(PBS substantivity challenge)の存在下で適用した。ベースライン、2、4、および6回の処置後に、Labscan比色計を用いて、歯の色を測定した。色の変化をΔLとして表す。
【0073】
異なる濃度のSTPを含有する処方されたフィルムは、高度に生体接着性であり、かつ良好な機械的特性を示した。6回の処置後のΔLの平均±標準偏差値は、0、2.4、4.9および7.4%w/w STPを含有するフィルムについて、それぞれ1.84±1.24、1.67±0.95、1.95±0.57、および2.85±1.23であった。0、2.4または4.9%w/w STPを有するフィルムのホワイトニング能の間で統計的有意差は存在しなかった。しかしながら、驚くべきことに、約7.4%w/w STPを有するフィルムのΔL値が、6回の処置後の休止時より統計的に有意に高いことを見出した。リン酸塩含有量は、40℃/75% RHで4週間保存後も無変化のままであったが、STPの小画分が、予想通り、ピロリン酸塩に変換された。
【0074】
驚くべきことに、有意なインビトロホワイトニングを、STPを含有する実質的に溶解可能なストリップを用いることにより、過酸化物の不存下で得た。低濃度のSTP(すなわち、2.4および4.9%w/w)は、プラシーボのものと比較して、ホワイトニングの利点を全く示さなかった。しかしながら、約7.5%w/w STPフィルムは、有意なインビトロホワイトニングを示した。ゆえに、ホワイトニングストリップの重量の約7.5%w/w〜約25%w/wの量のSTPが、所望かつ予想外の歯のホワイトニング効果を達成するであろうと思われる。
【0075】
本発明は、歯をホワイトニングするための多層スタック、すなわち、多層ホワイトニングストリップも提供する。スタックは、第1のホワイトニング剤および第1の水溶性ポリマー系を有する、第1の制御された溶解性の水溶性または水分散性ホワイトニング層またはフィルム;および第1のフィルム上に配置され、かつ第2の剤(例えば、反応促進剤)および第2の水溶性または水分散性ポリマー系を有する、第2の制御された溶解性の水溶性または水分散性ホワイトニング層またはフィルムを有する。第1および第2のフィルムは結合して、スタックを形成する。接着剤が、2つの層を結合するのに必要であってもよく、あるいはなくてもよい。口腔内のストリップの全体的な溶解は、個々の層それぞれの組成により制御される。
【0076】
多層スタックは、キャストまたは押し出されたフィルム、あるいはキャストまたは押し出されたフィルムの任意の組合せから形成され得る。層またはドメインを慎重に蓄積させる他の手段(例えば、スプレー乾材の蓄積)が用いられてもよい。層は、同じ組成または異なる組成を有し、かつランダムなおよび/または規則正しい配置および反復単位を含む、任意の方法または任意の形態でスタックにまとめられ得る。
【0077】
ストリップ内の個々の層それぞれは、同一成分から生成されるか、あるいは各層の成分は、増強したおよび/または複数の利点をもたらすよう変動され得る。
【0078】
多層ストリップによりもたらされる利点の例は、不適合な成分のための安定なデリバリーシステムをもたらす能力である。ストリップが使用中に水和されるまで、不適合な成分は、ドメイン内に慎重に分けられ得る。
【0079】
多層ホワイトニングストリップはまた、第1および/または第2の制御された溶解性の水溶性または水分散性ホワイトニングフィルムの1個以上の層を1単位または反復単位有し得る。
【0080】
さらに、第1および/または第2の制御された溶解性の水溶性または水分散性ホワイトニングフィルムの層それぞれは、異なる処方を有し、異なる溶解速度をもたらし得る。多層ストリップは、様々な溶解速度を有する層を選択することにより、多層ストリップから歯へのホワイトニング剤の定方向性拡散をもたらすよう設計され得る。
【0081】
なおさらに、各層は、1個以上の領域を有し得る。領域は、層中の範囲である。この実施態様の例において、ストリップは、脱感作剤を含有する領域を、好ましくは、およそストリップの周囲に有し得る。
【0082】
加えて、多層ストリップは、特定の層に分けられたフィルムおよび漂白促進剤含有過酸化物を有し、そしてそれは、ストリップの溶解に際して、ホワイトニング剤と促進剤の事前の混合を必要とすることなくホワイトニングを促進することができる。この層システムは、同じストリップ内の漂白剤および促進剤のための安定な環境をもたらす。
【0083】
多層ストリップまたはフィルムは石灰化も促進することができ、そしてそれは、歯の過敏症を予防するのに役立ち得る。この方法での石灰化は、歯の不透明度を増大させ、次に、外見上歯をより白くすることができる。
【0084】
成分の異なる速度の活発な分散を可能にする多層ストリップは、所望の部位への活発な一方向性デリバリーを促進し得る。例えば、かかる手段が歯に適用され、歯への直接的デリバリーが促進されると、口腔内で喪失される有効成分が少なくなるであろう。
【0085】
多層ストリップの利点は、通常適合しない成分を層またはフィルムにおいて組み合わせる能力であり、それにより、かかる不適合な成分が単一のデリバリーシステムにおいて提供される。
【0086】
1つの実施態様において、過酸化物の活性化は、例えば、二重層フィルム、過酸化物含有単層、およびpH調節剤のような活性剤を含有する他の層を用いて達成され得る。
【0087】
別の実施態様において、異なる成分は、口腔内での水和によりそれらが組み合わされるまで、別々のフィルムドメインに位置し得る。
【0088】
なお別の実施態様において、異なる溶解速度のフィルムまたは層は、剤が、付着表面にデリバリーされる(例えば、過酸化物がエナメル質内に)か、あるいは口腔内に、例えば、香料デリバリー系をゆっくり放出するよう、剤の方向性が増進されるよう開発され得る。
【0089】
多層フィルムの別の可能性のある利点は、それらが属する層中に容易に溶解され得るポリマー系のような材料を含有し得ることである。しかしながら、これらの材料の溶解性は、別々の層の成分で低減され、表面上での所望の残留物の形成が促進され得る。これにより、長期的な利点、例えば、香の長時間の残存または持続時間の長い過敏症処置を生じ得る。
【0090】
本発明によるフィルムまたは層の有用性は、一般に、口腔ケアおよび処置に関して記載される一方、かかるフィルムまたは層は、義歯ケア製品、禁煙製品、皮膚科的処置、および口腔内の頬側の表面を介した一般的なドラッグデリバリー用システムにおいて用いられ得る。
【0091】
単層ストリップであろうが、多層ストリップであろうが、ホワイトニングストリップは、ストリップの層の表面に2個以上の領域またはドメインを有し得る。領域は、成分がホワイトニングストリップの溶解中に組み合わされるまで、成分(適合または不適合成分のいずれでも)を互いに分けることができるホワイトニングストリップの層上の範囲である。従って、各領域は、例えば、歯肉縁に沿った抗刺激または抗過敏成分のような特定の利益をもたらし得る特定の成分を有するホワイトニングストリップ上の領域をもたらし得る。
【0092】
前述の記載はただ本発明を説明するものであると理解されなければならない。種々の変形および修飾が、本発明から逸脱することなく当業者により成され得る。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲内にあるかかる選択、変形、および変形の全てを含むことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸塩ホワイトニング剤;および
ポリ(ビニルピロリドン)またはその任意の誘導体またはそのコポリマーのいずれか、および少なくとも1種類の他のポリマーを有する水溶性または水分散性ポリマー系を含む、口腔において歯をホワイトニングするための溶解可能なストリップであって、口腔環境において唾液により溶解する、ストリップ。
【請求項2】
該リン酸塩ホワイトニング剤が、リン酸アルカリ金属、ポリリン酸塩、ポリリン酸アルカリ金属、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項3】
該リン酸塩ホワイトニング剤がトリポリリン酸ナトリウムである、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項4】
該ホワイトニング剤が、ホワイトニングストリップの総重量の約2重量%〜約75重量%である、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項5】
該トリポリリン酸ナトリウムが、ホワイトニングストリップの約7.5重量%〜約25重量%である、請求項3記載のホワイトニングストリップ。
【請求項6】
該ホワイトニング剤が、水溶性または水分散性シェルに封入される、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項7】
該水溶性または水分散性シェルが、該ホワイトニング組成物の溶解をシェルの唾液との相互作用により制御する、請求項6記載のホワイトニングストリップ。
【請求項8】
該水溶性または水分散性ポリマー系が、ポリ(ビニルピロリドン)−アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)−アルキルビニルエーテル/マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)−アルキルビニルエーテル/マレイン酸コポリマーのアルカリ金属またはアミン塩、ポリ(ビニルピロリドン)−部分的または完全に架橋結合したアルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)−ビニルアセテートコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリウレタンインターポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)−キトサン、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(ビニルアルコール−g−エチレングリコール)コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)−セルロース誘導体、ポリ(ビニルピロリドン)−ヒドロキシ−プロピル−メチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)−ヒドロキシ−エチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)−ヒドロキシ−プロピルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリクオタリウム(Polyquaterium)−11、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリクオタリウム−39、ポリ(ビニルピロリドン)−ポロキサマー、ポリ(ビニルピロリドン)−カルボマー、ポリ(ビニルピロリドン)−ゼラチン、ポリ(ビニルピロリドン)−デンプン、ポリ(ビニルピロリドン)−アルギン酸、ポリ(ビニルピロリドン)−アルギン酸の塩、ポリ(ビニルピロリドン)−カラヤガム、ポリ(ビニルピロリドン)−キサンタンガム、ポリ(ビニルピロリドン)−グアールガム、ポリ(ビニルピロリドン)−アラビアゴム、ポリ(ビニルピロリドン)−トラガカント、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリビニルピロリドン誘導体またはコポリマー、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項9】
該ポリ(ビニルピロリドン)−ポリウレタンインターポリマーがポリ(ビニルピロリドン)/ポリカルバミルポリグリコールエステルインターポリマーである、請求項8記載のホワイトニングストリップ。
【請求項10】
該少なくとも1種類の他の水溶性または水分散性ポリマーが、アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、アルキルビニルエーテル/マレイン酸コポリマー、アルキルビニルエーテル/マレイン酸コポリマーのアルカリ金属またはアミン塩、部分的または完全に架橋結合したアルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、ビニルアセテートコポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリウレタンインターポリマー、キトサン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール−g−エチレングリコール)コポリマー、セルロース誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシル−エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(エチレンオキシド)またはそのコポリマー、ポリ(プロピレンオキシド)またはそのコポリマー、ポリクオタリウム−11、ポリクオタリウム−39、ポロキサマー、カルボマー、ゼラチン、デンプン、アルギン酸、アルギン酸の塩、カラヤガム、キサンタンガム、グアールガム、アラビアゴムトラガカント、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項11】
該水溶性または水分散性ポリマー系が、ホワイトニングストリップの総重量の約99.9重量%まで存在する、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項12】
該水溶性または水分散性ポリマー系が、ホワイトニングストリップの総重量の約60重量%〜約95重量%である、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項13】
該水溶性または水分散性ポリマー系がまた、唾液と接触して水和可能である、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項14】
ホワイトニングストリップが、口腔において唾液と接触して歯の形態に適合する、請求項13記載のホワイトニングストリップ。
【請求項15】
ホワイトニングストリップが界面活性剤を含まない、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項16】
抗菌剤、石灰化化合物、脱感作化合物、抗歯石剤、香料添加剤、抗炎症剤、酸化防止剤、着色防止剤、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される成分をさらに含む、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項17】
該抗菌剤が、トリクロサン、亜鉛塩、フッ化スズ、クロルヘキシジン、ヘキセチジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、サリチルアニリド、臭化ドミフェン、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロライド、オクテニジン、デルモピノール、オクタピノール、ナイアシン製剤(nicin preparation)、亜鉛/スズイオン剤、抗生物質、およびそれらのアナログおよび塩、エッセンシャルオイル、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項16記載のホワイトニングストリップ。
【請求項18】
該石灰化化合物が、モノフルオロリン酸ナトリウム, モノフルオロリン酸カリウム, アミンフッ化物、ビス−サリチラト−ビス−フルオロチタン(IV)、モノフルオロリン酸マグネシウム、酸性を帯びたフルオロリン酸塩、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化スズ、ケイフッ化ナトリウム、ケイフッ化アンモニウム、カルシウム塩、リン酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項16記載のホワイトニングストリップ。
【請求項19】
該脱感作化合物が、硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、重炭酸カリウム、シュウ酸カリウム、または根管狭窄剤、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される水溶性カリウム塩である、請求項16記載のホワイトニングストリップ。
【請求項20】
該抗歯石剤が、リン酸塩エステル、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、ホスホン酸塩、ポリホスホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリカルボン酸塩、カルボン酸、ナトリウムおよび/または亜鉛を有する該カルボン酸の塩、エチレンジアミンテトラ酢酸、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項16記載のホワイトニングストリップ。
【請求項21】
可塑剤をさらに含む、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項22】
該ホスホン酸塩が、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホネート、1−アザシクロヘプタン−1,1−ジホスホネート、それらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項20記載のホワイトニングストリップ。
【請求項23】
該香料添加剤が、スペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン、ササフラス、クローブ、セージ、ユーカリ、マジョラム、シナモン、レモン、メントール、アネトール、チモール、パセリオイル、オキサノン、オレンジ、α−イリソン、カッシア、マジョラム、それらのオイル、プロペニルグアエトール、サリチル酸メチル、スクロース、ラクトース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、シクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、スクラロース、アセサルフェーム K、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項16記載のホワイトニングストリップ。
【請求項24】
該抗炎症剤が、ケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、アスピリン、ケトプロフェン、ピロキシカム、メクロフェナム酸、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される非ステロイド系抗炎症剤である、請求項16記載のホワイトニングストリップ。
【請求項25】
該酸化防止剤が、ビタミンE、アスコルビン酸、尿酸、カロチノイド、ビタミンA、コジック酸、フラボノイド、フェノール化合物、ポリフェノール、コエンザイム、ハーバルアンチオキシダント、メラトニン、アミノインドール、リポ酸、ローズマリー抽出物、トコフェロール、トコトリエン、ビオフラボノイド、植物抽出物、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、カンホロール(camphorol)、ケルセチン、エピゲニン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項16記載のホワイトニングストリップ。
【請求項26】
ホワイトニングストリップが支持を含まない、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項27】
該ストリップが、溶液堆積法、フィルムキャスティング、ダイキャスティングおよび押出からなる群より選択される方法により製造される、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項28】
ホワイトニングストリップが単層である、請求項1記載のホワイトニングストリップ。
【請求項29】
層が2個以上の領域を含む表面を有する、請求項28記載のホワイトニングストリップ。
【請求項30】
2個以上の領域の各1個が異なる組成を有する、請求項29記載のホワイトニングストリップ。
【請求項31】
リン酸塩ホワイトニング剤および水溶性または水分散性ポリマー系を有する制御された溶解性の水溶性または水分散性ホワイトニングフィルムを含む、口腔内で歯をホワイトニングするための溶解可能なホワイトニングストリップであって、該ポリマー系がポリ(ビニルピロリドン)またはそのコポリマーもしくはその誘導体のいずれか、および少なくとも1種類の他のポリマーを有するものであり、
ホワイトニングストリップの溶解が、口腔においてホワイトニングストリップの唾液との相互作用により制御されるものである、ホワイトニングストリップ。
【請求項32】
支持を含まない、柔軟な薄いフィルムである、請求項31記載のホワイトニングストリップ。
【請求項33】
単層である、請求項32記載のホワイトニングストリップ。
【請求項34】
約5μm〜約2000μmの厚さである、請求項31記載のホワイトニングストリップ。
【請求項35】
該リン酸塩ホワイトニング剤が、リン酸アルカリ金属、ポリリン酸塩、ポリリン酸アルカリ金属、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項31記載のホワイトニングストリップ。
【請求項36】
該リン酸塩ホワイトニング剤がトリポリリン酸ナトリウムである、請求項31記載のホワイトニングストリップ。
【請求項37】
第1のホワイトニング剤および第1の水溶性または水分散性ポリマー系を有する、第1の制御された溶解性フィルム;および
該第1のフィルム上に配置され、かつ第2のホワイトニング剤および第2の水溶性または水分散性ポリマー系を有する、第2の制御された溶解性のフィルムを含む、口腔環境で歯をホワイトニングするための溶解可能な多層ストリップであって、
該第1および該第2のフィルムが結合して、スタックを形成し、
該第1および該第2のフィルムそれぞれの溶解が、口腔環境内での該第1および第2のフィルムの唾液との相互作用により制御される、多層ストリップ。
【請求項38】
該第1のポリマー系が、ポリ(ビニルピロリドン)またはそのコポリマーまたはその誘導体のいずれかを有する、請求項37記載の多層ストリップ。
【請求項39】
該第1のポリマー系が少なくとも1種類の他のポリマーも有する、請求項38記載の多層ストリップ。
【請求項40】
該第2のポリマー系が、ポリ(ビニルピロリドン)またはそのコポリマーもしくは誘導体のいずれかを有する、請求項37記載の多層ストリップ。
【請求項41】
該第2のポリマー系が少なくとも1種類の他のポリマーも有する、請求項39記載の多層ストリップ。
【請求項42】
第1および第2のホワイトニング剤が同じリン酸塩ホワイトニング剤である、請求項37記載の多層ストリップ。
【請求項43】
該第1のフィルムが、該第2のフィルムと異なるホワイトニング剤および/または水溶性または水分散性ポリマー系を有し、該第1のフィルムまたは該第2のフィルムがリン酸塩ホワイトニング剤を含有する、請求項37記載の多層ストリップ。
【請求項44】
該第1および/または該第2のフィルムの1個以上の層を1単位または反復単位さらに含む、請求項37記載の多層ストリップ。
【請求項45】
該第1および/または第2のフィルムの1個以上の層のそれぞれが、ホワイトニング促進剤を有し、ホワイトニング効力の増強のための漂白剤の迅速な分解がもたらされる、請求項44記載の多層ストリップ。
【請求項46】
該第1および/または該第2のフィルムの1個以上の層のそれぞれが、異なる構造または組成を有し、異なる溶解速度がもたらされる、請求項44記載の多層ストリップ。
【請求項47】
該第1および該第2のフィルムそれぞれの該構造または組成が選択され、多層ストリップの方向性溶解がもたらされる、請求項46記載の多層ストリップ。
【請求項48】
任意の層の表面上にホワイトニング剤を有する層をさらに含む、請求項37記載の多層ストリップ。
【請求項49】
該ホワイトニング剤が封入されている、請求項48記載の多層ストリップ。
【請求項50】
該第1のフィルムが、異なる組成を有する各領域を含む2個以上の領域を有する、請求項37記載の多層ストリップ。
【請求項51】
該第2のフィルムが、異なる組成を有する各領域を含む2個以上の領域を有する、請求項50記載の多層ストリップ。
【請求項52】
該第1のフィルムの2個以上の領域および該第2のフィルムの2個以上の領域それぞれが、異なる組成を有する、請求項51記載の多層ストリップ。
【請求項53】
乾燥フィルムの形態のホワイトニングストリップを製造する方法であって、
リン酸塩ホワイトニング剤、該ホワイトニング剤のための水溶性または水分散性ポリマー系、および揮発性溶媒を混合し、混合物を形成し;
該混合物を表面に適用し、該表面上に該混合物のフィルムを形成し;次に
該揮発性溶媒を除去し、乾燥フィルム形態のホワイトニングストリップを生成する、
を含む、方法。
【請求項54】
歯のホワイトニング方法であって、
歯の上に、ホワイトニングストリップを、請求項1記載の使用のための方向が特定された処置計画として、歯の白さの検出可能な改善を生じるのに十分な時間適用する、
を含む、方法。
【請求項55】
該期間が約1分〜約360分である、請求項54記載の歯のホワイトニング方法。
【請求項56】
該期間が約1分〜約30分である、請求項54記載の歯のホワイトニング方法。
【請求項57】
該期間が約5分〜約20分である、請求項54記載の歯のホワイトニング方法。
【請求項58】
歯のホワイトニング方法であって、
請求項37記載の多層ホワイトニングストリップを歯の上に、歯の白さの検出可能な改善を生じるのに十分な時間適用する、
を含む、方法。
【請求項59】
該期間が約1分〜約360分である、請求項58記載の歯のホワイトニング方法。
【請求項60】
該期間が約1分〜約30分である、請求項58記載の歯のホワイトニング方法。
【請求項61】
該期間が約5分〜約20分である、請求項58記載の歯のホワイトニング方法。

【公表番号】特表2009−521396(P2009−521396A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504010(P2008−504010)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/035518
【国際公開番号】WO2006/107334
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】