説明

滞留水の滞留検知システム

【課題】捨て水処理の確認を各水栓ごとに容易に行えるようにする。
【解決手段】集中浄化用の浄水器本体又は該浄水器の出水側に通水検知手段を設けて通水を検知する。その出力に基づいて水道管に滞留した滞留水の滞留時間を計測する。この滞留情報を捨て水表示手段に表示する。水栓の通水検知手段に関連して捨て水の通水時間を計測する。表示手段に供給された滞留情報は、この表示手段に関連した水栓の開栓によってクリアする。こうすることで、捨て水処理をしていない水栓には滞留情報が表示されたままとなるので、捨て水処理の確認を各水栓ごとに容易に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は滞留水の滞留検知システムに関する。詳しくは、水道管の管路に設置された浄水器と水栓(蛇口)との間に滞留する滞留水の滞留時間を検出し、その滞留時間情報(滞留情報)を報知できるようにすると共に、この滞留情報のクリアを水栓の開栓に関連させることで、水栓と滞留情報との関係をリンクさせることができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向傾向が強まり、飲料水に関しても相当に関心が高く、その結果として飲料水の浄水器が家庭内などにも設置されるようになってきた。
【0003】
この浄水器は、内部に活性炭などのフィルタなどを置き、水道水に含まれる塩素成分を始めとして、カビや発ガン性のあるトリハロメタンなどを分解除去して、除菌、脱塩素処理を行うものである。浄水器は業務施設はもちろんのこと、家庭内でも使用されているので、以下、家庭内での使用に限定して説明する。
【0004】
住宅の敷地内に配管された水道管のどの位置にこの浄水器を設置するかによって、セントラル方式と個別方式が考えられる。図15はそれぞれセントラル方式による集中浄水システムに適用される浄水器の設置例を示す。
【0005】
図15において、道路12内に埋設された水道管(基管)14より家庭用水道管が敷地内に引き込まれる。敷地内の適当な場所に水道メータ16が設置される。水道メータ16よりも先の水道管18は、住宅20内の水栓設置個所に分岐されて引き込まれる。通常は、台所、浴室、トイレ、洗面所およびガーデンパンまで引き込まれた水道管(分岐管である引き込み管)22a〜22eの末端にはそれぞれ水栓28(28a〜28e)が取り付けられている。
【0006】
このように水道管18が分岐して配管されているとき、水道メータ16が設置された直後の水道管(分岐するまえの水道本管)18aに浄水器(浄水装置)24を取り付けることで集中浄水システムとなる。
【0007】
このように浄水器24と分岐する前の水道本管18aの管路内に浄水器24を取り付ければ、浄水器24から流出した水道水は全て浄化された水道水となるので、ほぼ全ての水栓28を通して清水を供給できる。
【0008】
ところで、最近は豊かでゆとりある生活習慣が身に付き、休暇などを利用して比較的長期間に亘ってバカンスを楽しむ傾向が強くなってきている。そのため、1週間とか、10日間とか、連続して自宅を留守にするケースが多くなってきた。その反面、核家族化が進んでいるため、バカンスの期間中、他の者がその住宅を訪れて利用することもないから、比較的長い間全く水道が使用されないで放置されている場合がある。
【0009】
上述したように浄水器24はその内部で脱塩素処理が施されるので、浄水器24を設置すると、この浄水器24よりも下流側(水栓28側)の水道水には塩素成分が含まれていない。含まれていたとしても微量である。その結果として、浄水器24から水栓28までに滞留した水道水(滞留水)が問題となってきている。
【0010】
上述したように長い間、浄水器24から水栓28までの管路内に水道水を滞留させると、滞留水は雑菌が繁殖し易くなり、極めて不衛生な水となっていることが考えられる。
【0011】
そのため、特にセントラル方式による集中浄水システムの場合には、浄水器24から水栓28までの配管距離L(図16ではLa+Lb)が長いため、その分滞留水の量も多くなるので、滞留水を完全に捨て去ってから飲料水などとして用いるように心掛けなければならない。
【0012】
滞留水に塩素成分が含まれないために、雑菌などが繁殖するおそれがあるので、近年、浄水した水道水、特に滞留水に対して逆に殺菌作用のある銀などを微量に再添加(溶出)するようにした浄水処理も考えられている(例えば、特許文献1)。
【0013】
【特許文献1】特開平11−57691号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、特許文献1のように滞留水に対して殺菌作用のある金属を溶出させて添加させる浄水処理では、確かに滞留水内の滅菌効果が上がるため、滞留水を捨てることなくそのまま飲用しても、特に問題ないと考えられる。
【0015】
しかし、そのためには銀溶出タンクを用意したり、滞留水を検出して極く微量の銀成分を溶出させるための制御ユニットなどを揃えなくてはならない。そのため、その設備を設置するためのスペースを確保したり、設備の初期投入費用およびその設置工事費、金属補給を含むメンテナンスなどを考慮すると、このような浄化システムを全ての浄水器に常設できるとは言い難い。
【0016】
そのため、どうしても設置家庭(需要者)の責任の下で、滞留水を捨て去る作業を励行してもらわなくてはならない。しかし実際のところ、滞留水を捨てる場合でもどの程度の量を捨て去ることで、滞留水を含まない水道水となり、安全なのかその捨てる量の目安がないばかりか、いつ滞留水を捨てたのか見当がつかないため、この捨て水作業を繰り返してしまうことがしばしば起きている。これは限られた水資源にとって不経済極まりない。
【0017】
さらに、住宅20には複数の水栓28が設置されている。台所を初めとして、浴室、洗面所には必ず水栓が取り付けられている。このうち飲用に使用する水栓は台所と洗面所が多い。帰宅した人が最初に使用する水栓が台所、洗面所の何れであっても、全てを同時に使用するものではないから、捨て水処理に気づき、最初に使用した水栓によって捨て水処理を行うと、他の水栓を用いては捨て水処理は行われない場合が殆どである。
【0018】
そのため、残りの水栓まで導水する水道管(引き込み管)にはまた滞留水が残っていることになる。例えば、図15において洗面所の水栓28cを使用して捨て水処理を行った場合、洗面所から台所に至るまでの引き込み管22aまでの間に滞留した滞留水はそのまま残ってしまうから、厳密には完全な捨て水処理とはなっていない。図16のような場合では、台所が奥まったところにあるから、台所用分岐管22aも比較的長くなるので、図15よりは影響がある。
【0019】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、特に水道管の管路に設置された浄水器と水栓との間に滞留する滞留水の滞留時間を検出し、その滞留情報を報知できるようにすると共に、この滞留情報のクリアを水栓の開栓に関連させ、使用していない水栓に関連した表示手段には滞留情報はそのまま表示されるようにすることで、捨て水処理がなされたかどうかの判別を確実に行えるようにした滞通水の滞留検知システムを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述の課題を解決するため、請求項1に記載したこの発明に係る滞留水の滞留検知システムでは、集中浄化用の浄水器本体又は該浄水器の出水側に設けられた浄水器側通水検知手段と、
この浄水器側通水検知手段の出力に基づいて水道管に滞留した滞留水の滞留時間を計測する滞留計測手段と、
この滞留計測手段の滞留情報が表示される表示手段と、
水栓の通水検知手段と、
この水栓側通水検知手段に関連して、捨て水の通水時間を計測する捨て水計測手段とからなり、
上記表示手段に供給された滞留情報は、該表示手段に関連した水栓の開栓によってクリアされることを特徴とする。
【0021】
この発明では、水道メータの後に浄水器を設ける。この浄水器本体か又はその出水側に浄水器側通水検知手段を設ける。浄水器側通水検知手段からは、水栓の開栓および止栓に伴った通水検知出力が得られる。水栓を止めてから次に開栓するまでの間は、水道水が流れないために浄水器と水栓との間に水道水が滞留することになる。そこで、通水検知出力のうち水栓を止めてから次に開栓するまでの間の検知出力(止栓検知出力)を利用して、滞留水の滞留時間を計測する。この滞留時間は水栓を止めてから次に開栓するまでの連続時間であって、水栓を開栓したときはこの滞留時間はリセット(クリア)される。
【0022】
滞留時間は日数と時間で表示される。滞留時間は1日以上経過したとき(第1の滞留時間)は表示手段(水栓側端末装置)に表示される。水栓側端末装置は全ての水栓に設置する必要はない。特に飲用として使用される確率の高い水栓に関連して設置される。通常は台所と洗面所である。まれに浴室の水栓が使用されることもあるので、場合によっては浴室用水栓に関連させて水栓側端末装置が設置される。
【0023】
滞留時間が所定時間(第1の滞留時間)となったときは水栓側端末装置に滞留時間を表示する。そして第1の滞留時間よりも長い第2の滞留時間以上経過したときは警告用の表示灯(警告表示手段)を点滅表示させる。
【0024】
この警告表示によって、滞留水の捨て水処理を促す。特定の水栓を開いて捨て水処理が行われると、その水栓に関連した滞留情報はクリアされ、滞留時間の表示および警告表示が消える。例えば洗面所の水栓を使用して捨て水処理を行ったときは、その水栓を止栓(若しくは開栓)することでこの洗面所の水栓側端末装置からは滞留時間の表示も警告表示も消える。しかしその他の水栓側端末装置、例えば台所に設置された水栓側端末装置は滞留時間が表示されたままとなり、警告表示された状態を保持する。同じ水栓側端末装置に設けられた減算カウンタの値もプリセット値のままとなっている。
【0025】
その結果、台所の水栓を使用するときはまずこの捨て水処理を行うべきであることを利用者に警告できる。滞留時間を表示することで、何時捨て水処理を行ったかを逆算できるので、捨て水処理を繰り返してしまうようなおそれがない。
【0026】
第1と第2の滞留時間は任意に設定できる。第1の滞留時間を例えば1日とした場合、第2の滞留時間としては例えば5日以上に設定できる。例えば1週間を第2の滞留時間として設定したときには1週間以上水道を全く使用していないとき、表示灯の点滅表示によって捨て水処理を促す。
【0027】
捨て水を計測するための水栓側通水時間が計測される。この捨て水計測手段は水栓側端末装置に設けられる。捨て水計測手段を減算カウンタで構成した場合、捨て水するための通水時間(開栓時間)は表示手段に設けられた減算カウンタの表示値がゼロになるまでである。減算カウンタの表示値がゼロになることによって、滞留水を確実に捨て去ることができる。
【0028】
捨て水をするのに要する時間としては、吐出量や管路長などによっても相違するが開栓状態において5〜30秒程度である。また、水栓の設置個所によって捨て水に要する時間を設定できるようにするのが好ましい。浄水器に近い水栓では短く、遠い水栓では長くなるように設定する。浄水器から水栓までの管路長が異なり、それによった滞留水量が相違するからである。
【0029】
浄水器には、通常活性炭などを使用したフィルタが使用されている。フィルタを水道水が通過することで、フィルタは次第に汚れるので、その交換時期を明示する。例えば、フィルタの使用日数を水栓側端末装置で表示する。使用日数は水栓の開栓期間(時間)を積算して求める。使用日数が規定日数を超えたとき、フィルタ交換用の警告表示手段(表示灯)を点滅表示させることでフィルタの交換を促す。フィルタの交換によって表示灯は消灯状態に制御される。
【0030】
滞留水を捨て去るのではなく、有効利用することでもよい。この場合には即湯器を備えることで達成できる。即湯器は、滞留水の高温殺菌が行え、沸騰水としても利用できるように湯温調節が可能で、かつ冷水との切り替えが可能な瞬間湯沸かし型の即湯器を使用すればよい。適当な温度に湯温を調節した後、捨て水処理を行うと、例えば滞留水自身を掃除用のお湯として利用できる。このように、滞留水を沸騰(煮沸)させれば飲用も可能になり、無駄なく滞留水を利用できる。もちろん、冷水側に切り替えることで滞留水をそのまま捨て去ることもできる。
【0031】
即湯器は、必要な水栓に対して個別に設置することもできれば、複数の水栓に共通な即湯器として設置することもできる。
【発明の効果】
【0032】
この発明では、浄水器から水栓に至るまでの滞留水の滞留時間を検知し、その情報を報知すると共に、この滞留情報のクリアを水栓の開栓に関連させ、使用していない水栓に関連した表示手段には滞留情報はそのまま表示されるようにしたものである。
【0033】
これによれば、滞留水を不用意に飲料水として使用したりすることがなくなり、衛生的で快適な生活を実現できる。そして滞留水を捨てるべきか否かの判断を、この滞留情報に基づいて判断できる。そのため、繰り返し水道水を捨てるなどの無駄を省くことができ、また捨て水計測情報を活用することで無駄なく滞留水を捨て去ることができるから、節水効果が非常に高い。
【0034】
さらに、表示手段としての水栓側端末装置に表示される滞留時間などの情報を、その水栓側端末装置が設置されている水栓に関連させ、水栓が閉じられたときに滞留時間などをクリアするようにしたから、捨て水処理を行った水栓と、そうでない水栓を確実に判別できる特徴を有する。
【0035】
即湯器と関連させることで、滞留水を捨て去るのではなく有効利用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
続いて、この発明に係る滞留水の滞留検知システムの好ましい実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1および図2はこの発明を家庭用集中浄水システムに適用した場合の概念図である。図1は従来例で説明した図15と同一のシステム概念図であり、図2は図16と同一のシステム概念図である。
【0037】
図1あるいは図2に示すように、この発明に係る滞留検知システム40は水道水の滞留状態を検知する滞留計測装置40Aと、通水検知出力に基づいて滞留水の滞留時間などを表示する水栓側端末装置40Bとで構成される。
【0038】
水道メータ16の近くに取り付けられた浄水器24の下流側(水栓側)であって、この浄水器24の本体内又は近接した位置であって、分岐される前の水道本管18a内に滞留計測装置40Aが設けられる。滞留計測装置40Aは水栓28の開栓および止栓に伴って水道本管18aを水道水が流れたかどうかを検知するための装置である。
【0039】
したがって、図1および図2とも、洗面所に分岐する引き込み管22cが接続された水道本管18aと浄水器24との間の管路内にこの滞留計測装置40Aが設けられる。これによって、どの水栓28を開栓および止栓しても水道水の通水状態を検知できる。浄水器24を屋内に設置した場合には、滞留計測装置40Aも屋内に設置される。
【0040】
滞留計測装置40Aで検知された通水検知出力Sa(図4参照)に基づいて生成された滞留情報が、住宅20の屋内に設置された表示手段を構成する水栓側端末装置40Bに伝送される。水栓側端末装置40Bは屋内に設置された水栓のうち、特に飲用として使用される確率の高い水栓が優先設置となる。したがって通常は台所と洗面所であるが、図1および図2では一応全ての水栓28に設置した場合を示す。それぞれの水栓28(28a〜28d)に設置される水栓側端末装置40Bを40Ba〜40Bdで示す。
【0041】
水栓側端末装置40B(40Ba〜40Bd)は水栓28(28a〜28d)に近いところに取り付けられるものであって、例えば台所であればキッチンの水栓28aの近くで、見やすい場所(キッチンの仕切壁(カウンタートップ)など)に、洗面所であれば洗面台の取り付けられた壁の横側などにそれぞれ設置することができる。
【0042】
図3はこの水栓側端末装置40Bに設けられた水栓側端末装置42の一例を示す。水栓側端末装置42はその表示パネル44の中に3つの表示部、つまり滞留表示部46,捨て水表示部48およびフィルタ表示部50を有する。
【0043】
表示パネル44の中央部には滞留表示部46が位置し、この滞留表示部46は分岐管を含めて水道本管18a内に滞留している滞留水の滞留日数表示部(表示手段)46aと、その上段中央部に、滞留日数が基準の滞留日数を超えたときの警告表示用としての警告表示手段(表示灯)46bとで構成される。
【0044】
表示手段46aはLCDなどを使用することができ、この例では滞留水の滞留時間を日数と時間に換算して滞留日数として表示される。また滞留時間が1日以上経過したときからその滞留日数を常時表示するようにした場合である。この表示基準となる滞留時間が第1の滞留時間である。
【0045】
警告基準の滞留日数(第2の滞留時間)は、滞留水に雑菌などが繁殖し易くなる日数を基準にして設定されるもので、5日から1週間程度が目安となる。安全を見越せば、この警告基準滞留日数は5日程度に設定した方が好ましいが、通常では1週間程度が基準となる。滞留時間は水栓28の開栓によってリセット(ゼロ)される。滞留時間を表示することで、最後に捨て水処理を行ってからどの程度時間が経過しているのかを知ることができるので、後述する捨て水処理を繰り返してしまうようなおそれがなくなる。
【0046】
この滞留表示部46の下側に、捨て水表示部48が設けられる。捨て水とは上述したように滞留水を含めた水道水のことであり、警告基準滞留日数を超えた滞留となったとき、その滞留水を飲料水としては使用しないで捨て去ることになる。
【0047】
捨て水表示部48は、捨て水用の減算カウンタの表示手段(LCDなど)48aで構成される。減算カウンタは時計カウンタであり、この例では秒単位で表示されるようになっている。
【0048】
どの程度の量の滞留水が滞留しているかは、浄水器24から各水栓28までの分岐管を含めた管路長によっても相違する。平均的な管路長を基準にするか、最長の管路長を基準にするかによっても相違するが、この例ではそれぞれの水栓28a〜28dまでの管路長から、その水栓を使用したときの滞留水を求め、この滞留水を完全に捨て去ることができる時間(吐出量や管路長などによっても相違するが開栓状態において10〜30秒程度の範囲)が、それぞれの水栓28a〜28dに関連する減算カウンタのプリセット値として設定される。捨て水する前は、このプリセット値が表示手段48aに表示される。したがって、厳密にはこのプリセット値は水栓設置個所によって僅かずつではあるが、異なることになる。
【0049】
該当する水栓28が開栓すると減算カウンタが減算を開始し、そのカウント値がゼロになると表示手段48aの値もゼロになる。これによって表示手段48aの表示内容を注視するだけで捨て水の終了タイミングが判るから、捨て水の無駄がなくなり、節水効果を期待できる。捨て水終了タイミングのとき、同時にブザー(図示はしない)を作動させることも可能である。
【0050】
フィルタ表示部50は、フィルタの使用日数を表示する表示手段50aと、警告表示手段(表示灯)50bとからなる。浄水器24に収容されたフィルタ(図示はしない)に対する積算された使用日数が表示手段(LCDなど)50aに表示され、使用日数が積算基準日を超えると、警告文字(例えば「フィルタを交換してください。」)の隣りに位置する表示灯(LEDなど)50bが点灯表示(例えば点滅表示)される。フィルタが交換されるとフィルタ使用日数はゼロにクリアされると共に、表示灯50bも消灯する。
【0051】
このような表示制御を行うため、滞留計測装置40Aは図4のように構成することができる。
図4は機能ブロック図として示したもので、浄水器側通水検知手段52を有する。浄水器側通水検知手段52としては、水道管18の中に羽根車を挿入して通水状態を検知する羽根車式通水検知器や、水道水の水圧によって通水状態を検知する水圧検知器や、水道管内を流れる水道水の音を検知する流水音検知器などを利用できる。この例では羽根車式通水検知器が使用されている。
【0052】
また、通水検知手段62は、上述の如く通水そのものを直接検知する構造の代わりに、水栓28の操作レバー32の開栓操作、止栓操作によってオン、オフする図示しないスイッチ手段を水栓28に設け、このスイッチ手段によって操作レバー32の作動を検知することで間接的に通水を検知するようにしてもよい。
【0053】
操作レバー32の作動を検知するスイッチ手段としては、操作レバー32の作動に応じて導通部が機械的に接触する方式の機械的なスイッチ機構や、マグネットとホールセンサとを用いた磁気的なスイッチ機構としてもよく、さらには、操作レバー32の傾動具合をセンシングする傾斜センサを内蔵したスイッチ機構としてもよい。
【0054】
また水栓28が、電気的なスイッチ機構を操作することによって電磁弁等を電気的に開栓、止栓する電子式水栓である場合には、水栓28の開栓、止栓を操作する電気的なスイッチ機構の操作信号のオン、オフを検知して、間接的に通水を検知するようにしてもよい。
【0055】
上述した浄水器側通水検知手段52によって水栓28の開栓期間および止栓期間に応じた検知出力Saが得られる。通水検知出力Saは止栓期間検知手段54と開栓期間の検知手段56とに供給される。開栓期間検知手段56ではいずれかの水栓28が開栓されると、その水栓28が開栓してから止栓するまでの期間Taが検出され、止栓期間検知手段54では図5Aに示すようにその水栓28を止栓してから次に何れかの水栓28が開栓されるまでの期間Tbが検出される。
【0056】
止栓期間、つまり滞留水の滞留時間を示す検知出力(期間Tbに相当)は、滞留日数算出手段58に供給される。この滞留日数算出手段58では、滞留日数の算出処理の他に警告信号の生成処理も併せて行われている。そのためこの滞留日数算出手段58ではまず、連続した止栓期間Y1,Y2,Y3,・・・Ym、換言すれば水道水の通水停止期間である滞留時間が算出され(図5B)、この連続滞留時間が第1の滞留時間を超えたか、さらには第2の滞留時間まで到達したかが算出される。滞留時間は滞留日数に換算される。
【0057】
この例では、滞留日数が第1の滞留時間を超えたとき滞留日数のデータ(日+時間)が出力されると共に(図6A〜C参照)、滞留日数が第2の滞留時間を超えると警告表示も同時に行われる(図7A〜C参照)。滞留日数と、警告信号に関連した警告表示は何れかの水栓28が開栓するとリセット(クリア)される。つまり、滞留時間は常に全ての水栓28の連続した止栓期間のみを計測し、一旦何れかの水栓28が開栓すると全てのデータはゼロリセット(ゼロクリア)される。
【0058】
滞留日数のデータと警告信号などの滞留情報はそれぞれ送信部60に出力される。送信部60は全ての水栓側端末装置40B(40Ba〜40Bd)に滞留情報を伝達する機能を果たすもので、送信アンテナ64を有する。水栓側端末装置40Bへの情報伝達は、無線ではなく有線でも構わない。その場合には送信部60に設けられた出力端子66を介して情報が全ての水栓側端末装置40B側に送られる。
【0059】
なお、滞留日数は、例えば時間単位でその表示状態が更新されるものとすれば、表示手段46aには滞留水の滞留日数(日および時間)が表示されているので(図7B)、水道水の未使用日数を容易に把握できる。
【0060】
上述した開栓期間検知手段56からは、水栓28の開栓期間に関連した検知出力Taが得られる(図5A)。開栓検知出力(Taに相当する出力)はフィルタ使用日数精算警告信号生成手段70に供給される。このフィルタ使用日数精算警告信号生成手段70で開栓期間が順次算出(積算)され、そのトータルの積算時間を日数に換算した値が浄水器24に取り付けられたフィルタの使用日数となる。つまり、図5Cのようにそれぞれの開栓期間X1、X2、X3、・・・Xnの合算値がフィルタの使用日数となる。
【0061】
このフィルタ使用日数精算警告信号生成手段70では、さらに警告信号の生成処理も行われるので、使用日数が警告基準日数を超えたとき警告信号が生成される。フィルタ使用日数を示すデータと警告信号(何れも滞留情報となる)はそれぞれ送信部60に供給されて、上述した滞留日数のデータなどと共に全ての水栓側端末装置40Bに向けて送信される。その結果、フィルタの使用日数がそれぞれの水栓側端末装置40Bに設けられた表示手段50aに表示され(図3参照)、そして警告基準日数を超えると表示灯50bが警告のため点滅表示する(図3参照)。
【0062】
フィルタを交換した場合には、フィルタの使用日数精算警告信号生成手段70に関連して設けられたリセットスイッチ(ボタン構成)86をオンすることで、このフィルタ使用日数精算警告信号生成手段70で算出(積算)された使用日数などの情報が全てリセットされる。警告信号などもリセットされるので、表示灯50bの表示も消える。
【0063】
水栓側端末装置40B側に設けられた表示装置42のうち、減算カウンタの表示手段48aは捨て水に要する表示手段として機能する。例えば、図8に示すようにある特定の水栓例えば洗面所用の水栓28cに関連した表示処理を説明すると、この場合水栓28cの開栓および止栓は、水栓側通水検知手段96(図11参照)によって検知される。その詳細は後述する。水栓28cの使用状態が図8Aであったときには、図8Bに示す通水検知出力Scが得られる。減算カウンタはこの通水検知出力Scの立ち上がり(開栓状態)に同期してカウンタの減算処理が開始される。減算処理は通水検知出力Scの立ち下がり(止栓状態)まで続行される。減算カウンタの値がゼロになる通水期間T4は、捨て水処理時間Tpの終了を意味する(図8B、C)。
【0064】
水栓28cが止栓されるとそれに同期して減算カウンタの値がプリセット値に戻る。同時に、後述するように滞留日数の表示がクリアされると共に、滞留水の警告表示もクリアされる。
【0065】
図9は滞留計測装置40Aをマイコンで構成した場合の概念的なブロック図を示す。滞留計測装置全体の制御を司る制御部(CPU)72を始めとして、滞留時間の算出などを行うためのカウンタ処理、フィルタに対する使用日数算出処理などをそれぞれ実行するためのプログラム情報を格納したメモリ手段(ROM)74,これらプログラムを実行するときのワーキングメモリとして使用されるメモリ手段(RAM)76などがそれぞれバス71に接続されている。
【0066】
さらに、このバス71には図4に示した浄水器側通水検知手段52が接続され、この浄水器側通水検知手段52からの検知出力Saを利用して上述した各種の算出処理が実行される。算出された各種の情報(表示情報や警告情報などの滞留情報)は送信部60を介して全ての水栓側端末装置40B側に送信される。若しくは送信情報はインタフェース78を介して出力端子66に供給され、ケーブルを利用して全ての水栓側端末装置40Bに送り出される。滞留計測装置40Aを屋内に設置する場合には、このケーブルを利用した有線方式が便利である。
【0067】
バス71にはさらにリセットスイッチ86がリセット用インタフェース87を介して接続され、CPU72でフィルタの使用日数などのリセット処理が行えるようになっている。
【0068】
滞留計測装置40Aをこのように構成したときの電源部80は、例えば二次電池を使用した電源回路として構成することができ、その場合この二次電池に対する充電源として浄水器側通水検知手段52が流用される。二次電池に代えて電気二重層コンデンサ(キャパシター)でもよい。
【0069】
図10に示すように、水道管18に連結される浄水器側通水検知手段52として羽根車式の通水検知器を使用した場合には、その羽根車53の回転軸53aに超小型の発電機82を取り付ける。発電機82の出力端に二次電池(6〜12ボルト程度)84が接続され、二次電池84の両端には図9に示した各種負荷回路が接続される。
【0070】
水栓28の開栓に伴って浄水器側通水検知手段52を水道水が通過するので、そのときの水流によって羽根車53が回転して発電機82が駆動されるため、この発電機82で発電された電力は二次電池84に蓄積される。二次電池84が充電されるため、この充電電力で図9の負荷回路を動作させることができる。水道水の使用回数や使用時間は相当多いものであるから、二次電池84をフル充電するには充分な発電量となる。
【0071】
もちろん、図示はしないがこの電源部80には予備電池を搭載している。電源部80を充電式ではなく、交流電源を使用して電力を供給することももちろん可能である。
【0072】
図11は各水栓28に関連して設けられる水栓側端末装置40Bの具体例である。この例では、図10の送信部60に対応して受信部90を有する。それに伴って水栓側端末装置40B本体にはアンテナ88が付設されている。またこの受信部90にはケーブルを利用した伝送も考えられるので、有線の入力端子89も附属して設けられている。
【0073】
受信部90で受信した表示情報などの滞留情報は受信信号分離部92に供給されて、対応する表示部46,48,50用の表示情報などに分離される。
【0074】
したがって滞留表示部46には分離された滞留日数のデータや対応する警告信号が供給されて、滞留日数や警告表示がなされる。そして、フィルタ表示部50にはフィルタ使用日数に対応した情報と警告信号がそれぞれ供給されることで、図3に示したような表示処理がなされると共に、警告処理が行われる。
【0075】
また、水栓28に関連して水栓側通水検知手段96が設けられ、その検知出力Scが減算カウンタ97に供給される。減算カウンタ97からのカウンタ出力が捨て水表示部48に供給されてカウンタ内容が表示される。水栓側通水検知手段96の検知出力Scはさらに受信信号分離部92に供給され、検知出力Scの立ち下がり出力に同期して滞留日数出力および警告信号のクリア処理が行われる。つまり、捨て水処理が行われると、最早滞留日数の表示や警告表示が不要になるからである。
【0076】
減算カウンタ97に設けられたプリセット端子97aを使用して、その水栓側端末装置40Bに適した捨て水処理時間(通水時間)がプリセットされる。
【0077】
電源部94は交流電源を利用してもよいが、感電等の不慮の事故をなくすためには電池電源であるのが好ましい。この場合の電池電源は一次電池でも二次電池でもよい。
【0078】
他の水栓側端末装置40Bでも関連する水栓28が開栓されると同様に対応する減算カウンタが減算を開始し、そして水栓28の止栓と同時に滞留日数の表示と警告表示がそれぞれクリアされる。しかし、関連する水栓28が開栓しないときは上述した処理が行われないため、もし滞留日数が表示され、そして警告表示されているときは、その水栓28を使用した捨て水処理が行われていないことを示している。このように表示内容を見るだけで捨て水処理の有無を判別できる。
【0079】
続いて、上述したプログラムによる表示処理および警告処理の一例を図12に示すフローチャートを参照して説明する。まず、滞留水に関連した表示態様から説明する。
【0080】
滞留計測装置40Aおよび水栓側端末装置40B側の各電源部80,94の動作電源がオンされて、このプログラムが起動されると、水栓側端末装置40Bが設置されている水栓28の開栓および止栓(閉栓)が監視される(ステップ101)。水道が使用されないときには、水栓28は止栓状態を保持するので、その場合には止栓期間Tbが算出され(ステップ102)、止栓期間Tbに基づいて滞留水の滞留日数(日と時間)が算出される(ステップ103)。
【0081】
滞留日数が第1の滞留時間(1日)を経過したときは、滞留日数を示すデータが水栓側端末装置40B側に送信されるので、表示手段46aにこの滞留日数が表示される(ステップ104)。滞留日数は時間単位で更新されるから、現在までの滞留時間(未使用時間)を簡単に知ることができる。滞留日数が1日に満たないときは、表示手段46aには何も表示しないでもよいが、場合によってはステップ104のように例えば「1日ミマン」のような表示を行ってもよい。この場合には、水栓側端末装置40B側で「1日ミマン」を表示するための表示データを予め用意しておくこともできる。
【0082】
次に、滞留日数が警告滞留日数である第2の滞留時間以上になったかどうかが判別され(ステップ105)、滞留水の連続時間が第2の滞留時間(上例では1週間)を超えたときから警告灯である表示灯46bが点滅表示を開始する(ステップ106)。
【0083】
この点滅表示によって、最早滞留水が飲料水には不適な水道水であることをユーザ(水道利用者)に報知することができるから、ユーザは水道水を飲用する前に捨て水処理を行うべきであることを確実に認識できる。警告表示であるから表示灯46bの表示色は赤色が好ましい。
【0084】
第2の滞留時間以下であるときは点滅表示は行われないが、第2の滞留時間以下であるときでも、第2滞留時間以上であるときでも、常に水栓28の開栓状態が検知されている(ステップ107)。したがって依然として止栓状態となっているときは、上述した滞留時間の算出処理が継続される(ステップ101、102)。
【0085】
これに対して水栓28の何れかが開栓すると(ステップ107)、今までの滞留時間の算出処理は全てリセットされ、これに伴って止栓期間Tbもゼロとなり、滞留日数も「1日ミマン」状態となる(ステップ108)。
【0086】
このように滞留水の滞留時間は、全ての水栓28における連続した止栓期間によって算出され、1回でも開栓すると滞留時間はゼロにリセットされることになる。表示灯46bもその表示が消える。表示灯46bが点滅表示されているときに何れかの水栓28が開栓されると、この開栓は後述する捨て水処理のための開栓として認識されて対応する捨て水表示処理が実行される。
【0087】
ステップ121以下は水栓28の開栓状態を検知してフィルタの交換処理を報知するための処理系である。何れかの水栓28の開栓が検知されると(ステップ101)、開栓期間Taに基づいて開栓期間の積算処理(時間の累積処理)が実行される(ステップ121)。積算時間から積算日数が算出される(ステップ122)。積算日数は表示手段50aにその日数が表示される(ステップ123)。積算日数が1ヶ月を超えたときは、日数を月数に換算し、例えば「6ヶ月10日」のように表示したり、あるいは年月表示に換算できる場合には、「1年2ヶ月」のように年月のみを表示するようにしてもよい。
【0088】
続いて、積算日数がフィルタ交換時期となったかどうかがチェックされる(ステップ124)。フィルタ交換時期としては集中浄水システムの場合、1年程度が目安となるので、例えば1年(12ヶ月)として設定した場合には、積算された使用日数が1年を超えるまでは積算日数のみが表示手段50aに表示される。しかし積算日数が1年を超えたときには、積算日数の表示の他に、フィルタ交換用の表示灯50bが点滅表示するように、積算日数を示す情報と警告信号のそれぞれが滞留情報として全ての水栓側端末装置40Bに向けて送信される(ステップ125)。このような処理を行うことで、積算日数が1年を超え、フィルタの交換時期が到来していることを二重に報知できる。
【0089】
フィルタの交換が行われたときはリセットスイッチ86が操作されるので、この操作状況がチェックされ(ステップ126)、リセットスイッチ86が操作されたときには、フィルタ使用日数の積算情報や警告情報などが全てリセットされる。その結果、表示手段50aの表示はゼロとなり、また表示灯50bも消灯状態に制御される(ステップ127)。
【0090】
ここで、本来は積算日数の表示か、警告灯の点滅表示のみでも差し支えないが、積算日数のみではフィルタの交換推奨日数を忘れたようなとき、警告表示によって当該日数を認識できるし、警告表示のみではフィルタの交換推奨日数が何日に設定されていたのか不安になるのを、日数を表示することで払拭できるからである。
【0091】
なお、滞留検知システム40を構成する浄水器側通水検知手段52を含む滞留計測装置40Aを配置する例として実施例では、滞留計測装置40Aが浄水器24と独立した別体構成となっている。この構成は一例であるので、他の例としては、この浄水器24の本体の内部に滞留計測装置40Aを内蔵させる構成としてもよい。このように滞留計測装置40Aを浄水器24と一体構成とする場合には、当然のことながら浄水器24の本体内部に設けられた出水管(浄水側)(図示はしない)に上述した通水検知手段52が連結されることになる。
【0092】
また、滞留計測装置40Aを設置する場合としては、上述した実施例以外に、例えば水栓28側に設置することが考えられる。水栓28の一部として設置する場合には、水栓28内の引き込み管22aに通水検知手段52が連結されると共に、水栓金具本体などに、水栓側端末装置40Bが設けられことになる。
【0093】
このように、水栓28そのものにこの滞留検知システム40を取り付けることで、表示内容が見易くなり、これによって捨て水処理を確実に実行できるメリットがある。これに加えて水栓28自体に滞留検知システム40が組み込まれているため、滞留検知システム40の単独取り付け作業が不要になるなどの副次的な効果も得られる。もちろん、水栓側端末装置40Bを分離してこれをカウンタートップ等に設置することも可能である。
【0094】
水栓28の近傍に、上述した滞留検知システム40を配置することもできる。この場合、滞留計測装置40Aと水栓側端末装置40Bとは別体構成であってもよい。
【0095】
上述した実施例は、飲用に不適な滞留水は捨て去るようにした場合である。この滞留水を捨て去るのではなく、有効利用することもできる。この場合には即湯器を備えることで達成できる。即湯器は、滞留水の高温殺菌が行え、沸騰水(煮沸水)としても利用できるように湯温調節が可能で、かつ冷水との切り替えが可能な瞬間湯沸かし型の即湯器が使用される。
【0096】
このような即湯器であって、しかもシンクの下面や、適当な空きスペースに設置できるような小型の即湯器は既に市販されているので、その詳細な構成および説明は割愛する。設置する即湯器としては、このような加熱機能の他に殺菌機能(除菌機能)が付いたものが最も好ましい。以下の実施例は殺菌機能の付いた即湯器を使用した場合である。
【0097】
図13及び図14はこの即湯器を使用したときの実施例を示す。図13及び図14はその概念を示す概略構成で、図13は図1に対応し、図14は図2に対応する。これら実施例では複数設置された水栓28のうち必要な水栓のみ、その水栓の近くに即湯器130を設置した場合である。図13について説明すると、この例では台所に設置された水栓28a、浴室に設置された水栓28および洗面所に設置された水栓28cのそれぞれに即湯器120(120A〜120C)を設けた場合である。水栓28aの場合はシンクの下面に設置され、水栓28bの場合は浴室内か、その近くに設置され、水栓28cの場合は洗面容器の下面に設置される。もちろん、既にこれらの即湯器120が設置されている場合にもこの発明を適用できることは容易に理解できる。
【0098】
上述したように即湯器は湯温調整と冷水への切り替えが可能である。滞留水を捨て去るとき、この即湯器を利用して適当な温度に湯温を調節した後、捨て水処理を行うと、例えば滞留水自身を掃除用のお湯として利用できる。場合によっては、滞留水を沸騰させれば高温殺菌が行われることで飲用も可能となり、これによって滞留水であってもこれを無駄なく利用できる。もちろん、冷水側に切り替えることで滞留水をそのまま捨て去ることもできる。
【0099】
図13及び図14は水栓28のそれぞれに対して個別的に即湯器120を設置した例であるが、複数の水栓、例えば水栓28a〜28cに対して共通に利用する単一の即湯器120(図示はしない)を設置することもできる。こうすれば、即湯器120の個数を節約できるから、設置コスト面や設置スペースなどの面で有利である。
【0100】
上述した実施例はこの発明を家庭内の浄水システムに適用したが、業務用の浄化システムにこの発明を適用することもできるのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0101】
この発明は、家庭用や業務用として用いられている集中浄水システムなどに使用されている浄水器に関連した滞留水の滞留検知システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】この発明に係る滞留水の滞留検知システムの概要を説明するための説明図である(その1)。
【図2】この発明に係る滞留水の滞留検知システムの概要を説明するための説明図である(その2)。
【図3】滞留検知装置側に設けられた水栓側端末装置の表示例を示す図である。
【図4】この発明に係る滞留水の滞留検知システムに使用される滞留計測装置の概要を示すブロック図である。
【図5】その動作説明に供する波形図である(その1)。
【図6】その動作説明に供する波形図である(その2)。
【図7】その動作説明に供する波形図である(その3)。
【図8】水栓側端末装置側での捨て水処理例を示す波形図である。
【図9】滞留計測装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図10】当該装置に使用される電源部の構成例を示す構成図である。
【図11】滞留検知システムを構成する水栓側端末装置の一例を示す構成図である。
【図12】滞留検知システムの滞留日数表示処理など実現するための一例を示すフローチャートである。
【図13】この発明の他の実施例を示す要部の構成図である(その1)。
【図14】この発明の他の実施例を示す要部の構成図である(その2)。
【図15】水道管の家庭内引き込み状況と集中浄水システムの関係を説明するための図である(その1)。
【図16】水道管の家庭内引き込み状況と集中浄水システムの関係を説明するための図である(その2)。
【符号の説明】
【0103】
16・・・水道メータ
18a・・・水道本管
22a〜22e・・・引き込み管
24・・・浄水器
28(28a〜28d)・・・水栓
40・・・滞留検知システム
40A・・・滞留計測装置
40B・・・水栓側端末装置
52・・・浄水器側通水検知手段
54・・・止栓期間検知手段
56・・・開栓期間検知手段
58・・・滞留日数算出手段
60・・・送信部
97・・・減算カウンタ
70・・・フィルタ使用日数精算警告信号生成手段
80,94・・・電源部
90・・・受信部
92・・・受信信号分離部
46・・・滞留表示部
48・・・捨て水表示部
50・・・フィルタ表示部
130・・・即湯器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セントラル方式による集中浄水システムの浄水器本体又は該浄水器の出水側に設けられた浄水器側通水検知手段と、
この浄水器側通水検知手段の出力に基づいて水道管に滞留した滞留水の滞留時間を計測する滞留計測手段と、
この滞留計測手段の滞留情報が表示される表示手段と、
水栓の通水検知手段と、
この水栓側通水検知手段に関連して、捨て水の通水時間を計測する捨て水計測手段とからなり、
上記表示手段に供給された滞留情報は、該表示手段に関連した水栓の開栓によってクリアされる
ことを特徴とする滞留水の滞留検知システム。
【請求項2】
上記滞留計測手段では、止栓状態が連続しているときの滞留時間が計測され、
該滞留時間が所定時間以上となったとき捨て水処理のための警告情報が出力される
ことを特徴とする請求項1記載の滞留水の滞留検知システム。
【請求項3】
上記捨て水計測手段は上記水栓の止栓および開栓に連動した減算カウンタである
ことを特徴とする請求項1記載の滞留水の滞留検知システム。
【請求項4】
上記水栓に関連して即湯器が設けられ、
該即湯器は高温殺菌が行えるように湯温調節が可能で、かつ冷水との切り替えが可能な瞬間湯沸かし型の即湯器が使用され、
上記滞留水を沸騰させるか、若しくは温水として利用できるようにした
ことを特徴とする請求項1記載の滞留検知システム。
【請求項5】
上記即湯器は、必要な水栓に対して個別に設置されるか、又は複数の水栓に対して共通に設置される
ことを特徴とする請求項4記載の滞留検知システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2006−142244(P2006−142244A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338170(P2004−338170)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】