説明

漸進的な挟持力を付与する変形可能なホイールを備えるコンベヤ

本発明は、挟持力と摩擦とにより扁平物を移動させるために互いに対向して配置される弾性変形可能なトレッドを有する少なくとも2つのホイール(R1、R2、R3)を備える、扁平物を搬送するための装置に関する。両方のホイールは、扁平物の移動に合わせて漸進的に挟持力を扁平物に付与するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平物を搬送するためのコンベヤ装置に関する。該コンベヤ装置は、扁平物を挟持力と摩擦とにより移動させるように、弾性変形可能なトレッドを有し、互いに対向して配置される少なくとも1対のホイールを備える。
【0002】
より詳細には、本発明は、非常に薄い厚さ(約0.5mm(ミリメートル))のクーポンから扁平な郵便物または大型の非常に分厚い(約30mm)の「平たい小包(flats)」に至る広範囲の扁平な郵便物を移動させるのに適したコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
欧州特許第1194249号明細書は、郵便物仕分機の「シンクロナイザ」と呼ばれるより複雑なシステムの一部であるこのようなコンベヤ装置を開示している。
【0004】
上記シンクロナイザは、複数の段を含み、各々の段がモータ駆動結合された2段のホイールを有する。ホイールは、(対向して結合されたホイール間に挿入された)郵便物の移動をビンカルーセルのビンの移動と同期させるように制御された速度で回転し、上記郵便物がこのビンの中に投入される。知られている構造では、取り扱い中の郵便物の各々がシンクロナイザの入口段のホイールの間に、アンスタッカ部材、すなわち、説明される例では吸気ノズルを通過する有孔ベルトにより押し込まれる。
【0005】
シンクロナイザは、取り扱い中の郵便物がシンクロナイザの入口に配置されたセンサを通過する瞬間、および(郵便物が投入される)ビンが移動する経路に沿って配置されたセンサを通過する瞬間を考慮するように制御される。
【0006】
シンクロナイザからの出口とビンへの投入位置との間で郵便物が移動する相対的に一定の速度に基づいて、ビンの通過を郵便物の到着と一致させるようにシンクロナイザ内の郵便物の速度の加速度曲線が計算される。実際には、シンクロナイザからの出口では、郵便物はカルーセルの4つの連続ビン間の間隔に対応する郵便物の先端同士間の一定間隔を空けて連続して出てくる。
【0007】
このシンクロナイザでは、入口段は、弾性変形可能な同じ直径を有するトレッドを備える少なくとも2つの対向ホイールからなる。2つのホイールは、このトレッドの外面で互いに接触する。
【0008】
郵便物が入口段の対向ホイール間の縁部に挿入されると、この郵便物の先端が対向ホイールのトレッドをトレッドの略接触線で変形させる。対向ホイールのトレッドは押し戻されることによって、郵便物の反対側の表面に挟持力を働かせ、この挟持力が略郵便物の高さ全体に分散される。郵便物が入口段の2つの対向ホイール間に完全に差し込まれると、郵便物は第2段のホイールに向かって、つまりシンクロナイザの出口まで摩擦により(一定の加速度で)進められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
最も分厚い郵便物では、トレッドが最も大きく変形し、このように分厚い郵便物は薄い郵便物よりもシンクロナイザを通過するのにより時間がかかるために、このように分厚い郵便物を入口段のホイール間に挿入するのに必要な挿入時間は薄い郵便物の場合よりも長くなることが認められた。2つの連続する郵便物の間の間隔は一定に(または複数の一定間隔の値に等しく)しなければならないが、上述したようなシンクロナイザは、いくつかの最も分厚い郵便物の場合挿入される瞬間を遅らせてしまうことが認められた。例えば、その最も分厚い郵便物とその前の郵便物との間の間隔が2倍または3倍になって、その瞬間を遅らせてしまう。したがって、このことが郵便物仕分機の処理量に影響を与えることになる。
【0010】
本発明の目的は、このような欠点を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本発明は縁を揃えた扁平物を搬送するためのコンベヤ装置を提供する。該コンベヤ装置は、2つの軸芯を備え、その各々の軸芯上に弾性変形可能なトレッドを有する少なくとも2つのホイールが対称的に互いに対向して配置されて、縁を揃えた扁平物を挟持力と摩擦とにより移動させるようにする。上記コンベヤ装置は、2つのホイールが縁を揃えた扁平物に対して、扁平物が前方に進められると高さ方向に漸進的に変化する挟持力を付与するように配置されることを特徴とする。
【0012】
この漸進的な挟持力は、本発明によれば、トレッド間に略V字型の挟持間隙を形成するようにホイールを配置することにより得られる。この目的を達成するために、対向ホイールは、5°から10°の範囲で傾斜している軸芯に取り付けられることができる。
【0013】
トレッド間で略段階的に変化する挟持間隙を形成するようにホイールを配置することも可能である。このためには、本発明によれば、各トレッドは異なる直径の複数のリングからなる。隣接する重ね合わされたホイール間にスペーサを置いてホイールを離す、またはそれとは逆にスペーサを使用しないでホイールを重ね合わせることが可能であり、さらに、ホイールのハブの周囲に広がる軸方向ロッドを使用してホイールを強化し、ホイールが非常に高速で回転する時にトレッドの揺れを制限することができる。
【0014】
対向ホイールのこれらの2つの構造により、非常に分厚い郵便物をシンクロナイザの入口段のホイール間に挿入する挿入時間は薄い厚さの郵便物の挿入時間に略等しくなる。
【0015】
本発明は、シンクロナイザコンベヤに適用できる。シンクロナイザコンベヤでは、欧州特許第1194249号明細書に記載のシンクロナイザコンベヤ内に配置されているように、対向ホイールが1つ以上の重ね合された層に配置されている。
【0016】
当然、本発明の原理は、扁平物を挟持力と摩擦とにより移動させる構造の弾性変形可能なホイールを有する任意のコンベヤに適用できる。
【0017】
本発明のコンベヤ装置を、図面を参照しながら以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】略段階的に変化する挟持間隙を有するホイール構造を示す。
【図2】略V字型の挟持間隙を有するホイール構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、2つの平行な軸芯A1、A2上で対になって互いに対向して取り付けられる弾性変形可能なホイールと縁を揃えた扁平物、例えば、縁を揃えた扁平な郵便物1とを示す。
【0020】
2つの軸芯A1、A2は、郵便物仕分機内の郵便物アンスタッカ装置の一部であり得るコンベヤのベッドを構成するプレート2上で回転するように取り付けられる。
【0021】
図1は、2段N1、N2のモータ駆動の対向ホイールを示す。R1は、例えば、約150mmの直径のトレッドを有する弾性変形可能な第1のホイールを示す。R2は、約140mmの直径のトレッドを有する弾性変形可能な第2のホイールを示す。R3は、約130mmの直径のトレッドを有する弾性変形可能な第3のホイールを示す。
【0022】
ホイールR1、R2、R3は、2つの平行な軸芯A1、A2上で対になって互いに対向して対称的に配置される。N1段は、ホイールを下部から上方に向かってR1、R2、R3、R2と重ねて備える。N2段は、ホイールをR2、R1と重ねて備える。したがって、N1段、N2段いずれにおいても、ホイールは高さ方向に段階的に変化する挟持間隙を画定する。
【0023】
郵便物1は、(図面の面に垂直な方向に)挿入されることにより、まず郵便物の両側で押し戻される対向ホイールR1の間で挟持され、その後、ホイールR1より小さい直径のホイールR2の間で挟持され、最後にホイールR2よりも小さい直径のホイールR3の間で挟持される。
【0024】
したがって、郵便物の面に付与される総挟持力は、郵便物が異なる直径の対向ホイール間に入り込むにつれて経時的に漸進的に変化する。
【0025】
郵便物の仕分けの例では、各ホイールは、傾斜した可撓性フィンによりハブに接続される約15mmの高さのトレッドを有する。ホイールR1、R2、R3が(変形に対する)異なるレベルの剛性を有することができる。または、1つの軸芯上のホイールが同じレベルの剛性を有するが、剛性レベルは他方の軸芯に位置するホイールの剛性レベルとは異なるようにすることができる。
【0026】
図2は、トレッドがV字型の挟持間隙を画定するホイール構造を示す。この例では、軸芯A’は、プレート2’上で互いに対して傾斜し、軸芯の各々が2段N1’、N2’のホイールRを担持する。この例では、ホイールRは同じ直径である。
【0027】
郵便物1’が2つの傾斜軸芯間を(図面の面に垂直に)前進する間、郵便物の縁部は前進するにつれて、N2’段(下位段)のホイールRのトレッド間で、その後、N1’段のホイールRのトレッド間で漸進的に挟持される(ラインEは郵便物とホイールRとの接触点を表す)。
【0028】
当然、本発明の範囲から逸脱せずに、図2で示されるような傾斜した軸芯を、図2に示されるような異なる直径のホイールと組み合わせることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの軸芯(A1、A2、A’)を備え、各々の軸芯上に弾性変形可能なトレッドを有する少なくとも2つのホイール(R1、R2、R3、R)が挟持力と摩擦とにより縁を揃えた扁平物を移動させるために互いに対向して対称的に配置された、縁を揃えた扁平物(1、1’)を搬送するためのコンベヤ装置であって、2つのホイールが縁を揃えた扁平物に対して、扁平物が前方に進められるにつれて高さ方向に漸進的に変化する挟持力を付与するように配置されることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ホイールが、トレッド間に略V字型の挟持間隙を形成するように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ホイールが、トレッド間で略段階的に変化する挟持間隙を形成するように配置される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
各トレッドが、異なる直径の複数のリングからなる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
各ホイールが、傾斜フィンによりトレッドに接続されるハブを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のコンベヤ装置を含む、郵便物用シンクロナイザコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−534604(P2010−534604A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518717(P2010−518717)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051343
【国際公開番号】WO2009/019386
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(597038530)
【Fターム(参考)】