潜像書込装置及び画像形成装置
【課題】一般オフィス向けの機種として実用可能なコストで、各画素の画像濃度を線形特性に近い滑らかな階調で表現する。
【解決手段】1画素分の領域を、副走査方向の下流側から上流側にかけて第1分割領域、第2分割領域、及び第3分割領域に3分割し、それぞれの分割領域に対するドットの書き込みの有無を個別に制御することで、各画素の濃度を8段階で表現し、且つ、第2分割領域に対しては小ドットを形成し、第1分割領域に対しては中ドットを形成し、第3分割領域に対しては大ドットを形成するようにした。
【解決手段】1画素分の領域を、副走査方向の下流側から上流側にかけて第1分割領域、第2分割領域、及び第3分割領域に3分割し、それぞれの分割領域に対するドットの書き込みの有無を個別に制御することで、各画素の濃度を8段階で表現し、且つ、第2分割領域に対しては小ドットを形成し、第1分割領域に対しては中ドットを形成し、第3分割領域に対しては大ドットを形成するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のビーム出射手段からそれぞれ出射したエネルギービームによってそれぞれ潜像担持体の表面にドットを書き込むことで、ドットの集合からなる潜像を得る潜像書込装置や、これを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の画像形成装置として、特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、潜像書込装置としてLEDヘッド駆動部によって潜像担持体としての感光体に対して光書込を行うことで、感光体の表面に静電潜像を形成する。そして、LEDヘッド駆動部は、ビーム出射手段としての複数のLED(Light Emitting Diode)を具備するLEDアレイを用いて、潜像担持体として感光体に対して1画素あたり32階調の多値画像を光書込する。ここで言う1画素は、1インチを解像度[dpi]で除算した値をそれぞれ縦、横の寸法とする正方形の領域である。
【0003】
古くは、LEDアレイの複数のLEDからそれぞれ出射した1画素分の領域とほぼ同じサイズの径の光ビームにより、それぞれ1画素分の光書込を行う方式が主流であった。これに対し、特許文献1に記載の画像形成装置のLEDヘッド駆動部は、複数のLEDからそれぞれ出射した1画素分の領域よりも小さなサイズの径の光ビームにより、それぞれ1画素分の領域をより細かく分割した分割領域に対してそれぞれドットを光書込する。つまり、1画素内に複数のドットを形成する。この際、1画素内に含まれる複数の分割領域に対するドットの書き込みの有無を調整することで、各画素を多値で階調表現する。より詳しくは、感光体の表面における1画素分の領域を、表面移動方向に沿って8分割する。そして、8つの分割領域のうち、表面移動方向の最下流側の分割領域に対しては、8段階のうち、最も大きな径のドットを光書込する。また、最下流から2番目にする分割領域に対しては、2番目に大きな径のドットを光書込する。このように、下流側から上流側に向けてドットの径を徐々に小さくしていき、最上流側の分割領域に対しては、8段階のうち、最も径の小さなドットを光書込する。8つの分割領域に対するドットの光書込の有無をそれぞれ個別に制御して、各画素に対してそれぞれ28=256通りのパターンのうちの何れか1つで光書込を行う。これにより、理論的には、各画素の画像濃度を256階調で再現することが可能であるが、実際には、画像濃度と階調との関係が一次関数によって表される線形特性にはならず、非線形特性になってしまう。そこで、256通りのうち、線形特性が得られる32通りのパターンだけを用いることで、各画素の画像濃度を線形特性に近い32段階の滑らかな階調で再現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この画像形成装置においては、一般オフィス向けの機種としての実現性が乏しいという問題があった。具体的には、32階調という階調数だけに着目すれば、各画素についてそれぞれ5個分のドットのオンオフデータをLEDヘッド駆動部に転送すればよいことになる。しかしながら、この画像形成装置は、既に述べたように、各画素についてそれぞれ8つの分割領域に対するドットの光書込の有無を制御するものであるので、1画素分の転送データとしては256階調の場合と同じ8個分のドットのオンオフデータが必要になる。プリント速度の高速化が進められる近年においては、電子写真方式の画像形成装置であれば、印刷業者向けではない一般オフィス向けの機種であっても、A4サイズ紙の横搬送で60[毎/分]くらいのプリント速度が求められるようになってきている。また、高解像度化が進められる近年においては、一般オフィス向けの機種であっても、1200[dpi]程度の解像度が求められるようになってきている。特許文献1に記載の画像形成装置において、それらの条件を満足させるとする。すると、1画素あたりドット8個分のオンオフデータをLEDヘッド駆動部に転送するために、画像データ処理部とLEDヘッド駆動部とを多量の信号線で接続しつつ、両者間で高速のパラレル通信を行わせる必要が生じ、一般オフィス向けの機種としてはコストがかかり過ぎてしまう。コストと、通信技術とのバランスからすれば、1画素あたりドット4個分以下のオンオフデータの転送が一般オフィス向けの機種として実用可能なレベルである。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一般オフィス向けの機種として実用可能なコストで、各画素の画像濃度を線形特性に近い滑らかな階調で表現することができる潜像書込装置や画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、潜像を担持する潜像担持体の移動する表面に対して所定の間隙を介して対向しつつ、前記表面の移動方向と概ね直交する方向に所定のピッチで並ぶように配設され、それぞれ前記表面に向けてエネルギービームを出射する複数のビーム出射手段と、それらビーム出射手段の駆動を個別に制御する出射駆動制御手段と、それらビーム出射手段からそれぞれ出射したエネルギービームによってそれぞれ前記表面にドットを書き込むことで、前記表面にドットの集合からなる潜像を書き込む潜像書込装置において、複数のビーム出射手段についてそれぞれ、前記表面の1画素分の領域を、前記表面の移動方向の最下流側に位置する第1分割領域と、前記移動方向の真ん中に位置する第2分割領域と、前記移動方向の最上流側に位置する第3分割領域とに3分割し、それぞれの分割領域に対する前記ドットの書き込みの有無を個別に制御することで、各画素の濃度を8段階で表現し、且つ、前記第2分割領域に対してドットを書き込む場合には、中程度の径の中ドット、中ドットよりも径の小さな小ドット、及び中ドットよりも径の大きな大ドットのうち、小ドットを形成するための駆動制御を実施し、前記第1分割領域に対してドットを書き込む場合には、中ドット及び大ドットのうちの何れか一方を形成するための駆動制御を実施し、前記第3分割領域に対してドットを書き込む場合には、中ドット及び大ドットのうちの他方を形成するための駆動制御を実施するように、前記出射駆動制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
これらの発明においては、1画素内の3つの分割領域に対するドットの光書込の有無を制御することで、1画素あたりドット3個分のデータ転送量で、各画素の画像濃度を8段階の階調で表現する。1画素あたりドット4個分以下のデータ転送量が一般オフィス向けの機種として実用可能なレベルであるので、本発明においては、一般オフィス向けの機種として実用可能なコストで、各画素を8段階の階調で表現することができる。
また、これらの発明においては、本発明者らが後述する実験で明らかにしたように、1画素内の第1分割領域に対して大ドット及び中ドットのうちの何れか一方を光書込し、第3分割領域に対して他方のドットを光書込し、且つ、第2分割領域に対して小ドットを光書込することで、各画素の画像濃度を線形特性に近い滑らかな8階調で表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図。
【図3】同プリンタの感光体の表面上における各画素対応領域を示す模式図。
【図4】同プリンタのLEDによって光書込する大ドット、中ドット及び小ドットを示す拡大模式図。
【図5】実験1における階調と各分割領域に形成するドットの大きさとの関係を示す拡大模式図。
【図6】実験1と実験2とでそれぞれ得られた階調と画像濃度との関係を示すグラフ。
【図7】実験1と実験3とでそれぞれ得られた階調と画像濃度との関係を示すグラフ。
【図8】実験2における階調と各分割領域に形成するドットの大きさとの関係を示す拡大模式図。
【図9】実験3における階調と各分割領域に形成するドットの大きさとの関係を示す拡大模式図。
【図10】同プリンタのLED駆動回路における光書込系の各種信号の出力タイミングを示すタイミングチャート。
【図11】実施形態に係るプリンタの一部構成に変更を加えた変形例に係るプリンタを示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、本プリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を作像するための4つの作像ユニット1Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を作像するための作像ユニット1Yを例にすると、これは、潜像担持体たるドラム状の感光体2Y、ドラムクリーニング装置3Y、除電装置(不図示)、帯電器4Y、現像装置5Y、LEDアレイユニット6Y等を備えている。作像ユニット1Yは、それらの機器を1つのユニットとして共通の筺体内に保持してプリンタ本体に対して一体的に脱着可能にしたものである。
【0010】
帯電器4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される感光体2Yの表面を一様に帯電せしめる。一様に帯電せしめられた感光体2Yの表面には、LEDアレイユニット6YによってY用の静電潜像が光書込される。そして、このY用の静電潜像は、図示しないYトナーを用いる現像装置5Yによって現像されてYトナー像になる。このYトナー像は、後述する紙搬送ベルト16と感光体2Yとが対向している転写位置で図示しない記録シートに転写される。
【0011】
図中時計回り方向の回転に伴って上記転写位置を通過した感光体2Y表面には、記録シートに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ドラムクリーニング装置3Yによって感光体2Y表面から除去される。そして、ドラムクリージング装置3Yによってクリーニングされた感光体2Y表面は、図示しない除電装置によって除電された後、上述した帯電器4Yによって再び一様に帯電せしめられる。
【0012】
帯電器4Yとしては、スコロトロンチャージャーからなるものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。例えば、感光体2Yに当接又は近接させた帯電ローラや帯電ブラシローラなどの帯電部材を回転させながら、帯電部材と感光体2Yとの間で放電を生じせしめて感光体2Yの表面を一様に帯電させる方式のものでもよい。また、現像装置5Yとしては、Yトナーを主成分とする1成分現像剤を用いる1成分現像方式のものを用いているが、トナーと磁性キャリアとを含有する2成分現像剤による2成分現像方式のものを用いてもよい。また、ドラムクリーニング装置3Yとしては、感光体2Y表面に当接させたクリーニングブレードによって感光体2Y表面から転写残トナーを掻き取る方式のものを用いたが、他の方式のものを用いてもよい。
【0013】
Y用の作像ユニットについて説明したが、M,C,K用の作像ユニット1M,C,Kにおいても、同様のプロセスにより、感光体2M,C,K表面にM,C,Kトナー像が形成される。
【0014】
4つの作像ユニット1Y,M,C,Kは、水平方向に所定の間隔をおいて並ぶように配設されている。これら作像ユニット1Y,M,C,Kの下方には、無端状の紙搬送ベルト16を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。この転写ユニット15は、紙搬送ベルト16の他に、駆動ローラ17、従動ローラ18、4つの転写チャージャー19Y,M,C,K、ベルトクリーニング装置21などを備えている。
【0015】
紙搬送ベルト16は、そのループ内側に配設された駆動ローラ17と従動ローラ18とによって張架されている。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ17の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
【0016】
紙搬送ベルト16のループ内側には、Y,M,C,K用の転写チャージャー19Y,M,C,Kが配設されている。これら転写チャージャー19Y,M,C,Kは、感光体2Y,M,C,Kの直下において、紙搬送ベルト16を介して感光体2Y,M,C,Kに対向するように配設されている。このように、紙搬送ベルト16を介して転写チャージャー19Y,M,C,Kと感光体2Y,M,C,Kとが対向している位置が、Y,M,C,K用の転写位置である。
【0017】
転写チャージャー19Y,M,C,Kは、Y,M,C,K用の転写位置で紙搬送ベルト16の裏面に電荷を付与する。これにより、Y,M,C,K用の転写位置では、感光体2Y,M,C,Kの静電潜像と、紙搬送ベルト16との間に1次転写電界が形成される。なお、転写チャージャー19Y,M,C,Kに代えて、ベルト裏面に当接させた転写ブラシや転写ローラ等の転写部材と、これに1次転写バイアスを印加する転写電源とを用いてもよい。
【0018】
転写ユニット15の鉛直方向下方には、記録シートPを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット30がプリンタの筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。この給紙カセット30は、紙束の一番上の記録シートPに給紙ローラ30aを当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録シートPを給紙路31に向けて送り出す。
【0019】
給紙路31の末端付近には、レジストローラ対32が配設されている。このレジストローラ対32は、給紙カセット30から送り出された記録シートPをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録シートPをY用の転写位置でY用の感光体2Y上のYトナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開する。レジストローラ対32から送り出された記録シートPは、紙搬送ベルト16のおもて面に静電吸着された後、紙搬送ベルト16の無端移動に伴って、Y,M,C,K用の転写位置を順に通過する。そして、Y,M,C,K用の感光体2Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて転写される。この重ね合わせの転写により、記録シートPの表面にフルカラートナー像が形成される。
【0020】
K用の転写位置を通過した記録シートPは、紙搬送ベルト16の無端移動に伴って、従動ローラ18に対するベルト掛け回し位置に至る。このベルト掛け回し位置では、従動ローラ18に掛け回されている紙搬送ベルト16が、従動ローラ18の曲率に沿って急激に方向転換する。記録シートPは、この急激な方向転換に追従することができず、自らの腰の強さによってベルト表面から曲率分離される。そして、転写ユニット15の図中左側方に配設された定着装置34内に送り込まれる。
【0021】
定着装置34は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bとによって定着ニップを形成している。定着装置34内に送り込まれた記録シートPは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ34aに密着させる姿勢で定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。その後、定着装置34内から排出された記録シートPは、図示しない排紙ローラ対によって機外へと排出される。
【0022】
自らの無端移動に伴って各色の転写位置を通過した後の紙搬送ベルト16には、トナー汚れが付着している。これは、紙搬送ベルト16のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置21によってベルト表面からクリーニングされる。
【0023】
感光体2Y,M,C,Kの回転軸線方向の長さや、紙搬送ベルト16の幅方向の長さは、A4サイズ紙の縦方向の長さ(297mm)と同じくらいの大きさになっている。そして、本プリンタは、最大でA4サイズの記録シートPに対して、フルカラー画像を形成することができる。記録シートPとして、A4サイズのものを用いる場合には、それを横搬送(短手方向を搬送方向に沿わせる姿勢で搬送)で紙搬送ベルト16のおもて面に吸着させる。
【0024】
作像ユニット1Y,M,C,KのLEDアレイユニット6Y,M,C,Kは、それぞれ1200[dpi]の解像度で光書込が行えるように、感光体2Y,M,C,Kの軸線方向に沿って並ぶ約14000個の図示しないLEDを具備している。これらのLEDをそれぞれ個別に駆動することで、最大で同軸線方向に一直線状に並ぶ約14000個のドットを同時に光書込することができる。
【0025】
図2は、本プリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、メイン制御部104は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等からなり、プリンタ全体の各種機器の駆動の制御や演算処理を司るものである。同図においては、メイン制御部104に接続されている各種機器のうち、本発明の特徴部に関連するものだけを示している。
【0026】
潜像書込装置60は、各色の感光体(2Y,M,C,K)に対して静電潜像を光書込するものである。この潜像書込装置60は、上述したY,M,C,K用の4つのLEDアレイユニット6Y,M,C,Kの他に、画像データ変換回路61を有している。また、各色のLEDアレイユニット6Y,M,C,Kは、それぞれ、ビーム出射手段としての複数のLEDを具備するLEDアレイ63Y,M,C,Kと、アレイ内の各LEDの駆動を制御するための出射駆動制御手段たるLED駆動回路64Y,M,C,Kとを具備している。
【0027】
LAN(Local Area Network)ポート101は、外部のローカルエリアネットワークを介して、図示しないパーソナルコンピュータやスキャナとの通信を行うためのものである。また、USBポート102は、USBケーブルを介して外部のパーソナルコンピュータと通信を行うためのものである。
【0028】
パーソナルコンピュータからローカルエリアネットワークを介してLANポート101に入力されたカラー画像データは、プリントサーバー回路105と、I/Oインターフェース103とを介して、潜像書込装置60や、メイン制御部104に入力される。また、パーソナルコンピュータからUSBポート102に入力されたカラー画像データは、I/Oインターフェース103を介して、潜像書込装置60や、メイン制御部104に入力される。
【0029】
潜像書込装置60に入力されたカラー画像データは、画像データ変換回路61により、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の画像データに分離された後、Y,M,C,Kの4つの画像データに変換される。そして、Y,M,C,K画像データは、Y,M,C,K用のLEDアレイユニット6Y,M,C,Kに入力される。それらLEDアレイユニットのうち、Y用のLEDアレイユニット6Yを例にすると、これに入力されたY画像データは、LED駆動回路64Yによって複数のLEDを駆動するためのLED駆動信号に変換された後、LEDアレイ63Yに入力される。
【0030】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
図3は、各色の感光体の表面上における各画素対応領域を示す模式図である。同図において、太線によって矩形状に囲まれた領域が1画素分の領域(画素対応領域)である。ここで言う1画素とは、1200[dpi]の解像度のドット直径と同じサイズをそれぞれ縦寸法、横寸法とした正方形の領域である(21.2μm×21.2μm)。上述したように、各色のLEDアレイユニット(6Y,M,C,K)は、それぞれ感光体の回転軸線方向に沿って並ぶ約14000個のLEDを具備している。同図において、感光体の回転軸線方向は、図中で左右に延びている直線の延在方向と同じである。この方向に沿って並んでいる約14000個のLEDにより、同方向に沿って並ぶ約14000個の画素対応領域に対するドットの光書込が個別に行われる。同方向において、画素列0001に位置している画素対応領域に対しては、同方向に並んでいる約14000個のLEDのうち、1番目のLEDによってドットが書き込まれる。また、画素列0002に位置している画素対応領域に対しては、2番目のLEDによってドットが書き込まれる。
【0031】
複数の画素対応領域はそれぞれ、感光体表面移動方向の最下流側に位置する第1分割領域と、最上流側に位置する第3分割領域と、それら分割領域の間に位置する第2分割領域とに3分割される。そして、それら3つの分割領域に対してそれぞれドットの書き込みが制御される。つまり、1画素内には、最大で感光体表面移動方向に並ぶ3つのドットが書き込まれる。それぞれの分割領域に対するドット書き込みの有無により、1画素あたりドット3個分のデータ転送量で8段階の階調を実現することができる。
【0032】
このように、本プリンタにおいては、1画素内の3つの分割領域に対するドットの光書込の有無を制御することで、各LEDを1画素あたりドット3個分のデータ転送量で駆動して、各画素の画像濃度を8段階の階調で表現する。1画素あたりドット4個分以下のデータ転送量が一般オフィス向けの機種として実用可能なレベルであるので、本プリンタにおいては、一般オフィス向けの機種として実用可能なコストで、各画素を8段階の階調で表現することができる。
【0033】
3つの分割領域にそれぞれ個別に形成する3つのドットにおいて、感光体表面移動方向の縁部における互いの重なりが比較的大きくなると、重なった領域で画像濃度の上昇に貢献しないで無駄に消費されてしまうトナーの量が多くなってしまう。一方、ドット同士を全く重ねないと、1画素内のドット間でトナーを全く付着させない領域を形成してしまう。3つの分割領域に形成するドットの大きさを互いに異ならせることで、ドット同士の重なりをできるだけ小さくしつつ、1画素内をくまなくトナーで埋め尽くすことが可能になる。そこで、本プリンタにおいては、3つの分割領域において、形成するドットの大きさを互いに異ならせるようになっている。
【0034】
本発明者らは、実施形態に係るプリンタと同様の構成のプリンタ試験機を用いて、3つの分割領域にそれぞれ形成するドットの大きさと、8段階の階調における画像濃度変化特性との関係を調べる実験を行った。具体的には、1画素内の3つの分割領域にそれぞれ個別に形成する互いに径の異なる3種類のドットとして、図4に示される大ドット、中ドット及び小ドットを採用した。大ドットと中ドットと小ドットとの面積比は、4:2:1である。よって、大ドットの面積は、中ドットと小ドットとを合わせた合計の面積よりも大きい。1画素内における3つの分割領域と、形成するドットの大きさの関係としては、次の表1に示される3通りの関係を採用した。
【表1】
【0035】
表1に示される3通りの関係(実験1、2、3)においては、何れも次の表2に示される関係で画像濃度が順に濃くなっていく。つまり、0階調から7階調まで、階調値が増えていくに従って画像濃度が徐々に濃くなっていく。
【表2】
【0036】
表1に示される実験1、2、3を、それぞれ次のようにして行った。即ち、表2に示される8段階の階調についてそれぞれ、所定サイズの画素マトリクス内の各画素をすべて光書込してベタ潜像を形成した。例えば、実験1であれば、画素マトリクス内の各画素に対して図5に示されるような形態でドットを光書込して、Kベタ潜像を形成した。そして、Kベタ潜像をKトナーで現像した後、得られたKベタ画像の画像濃度を測定した。このようにして得られた8階調分の画像濃度と、階調との関係を示すグラフを作成して、画像濃度変化特性を評価した。この評価を、実験1、2、3でそれぞれ行った。
【0037】
すると、実験1では、図6に示されるように、階調と画像濃度変化量との関係がほぼ一次関数の直線に沿った線形特性になるのに対し、実験2や実験3では、図6や図7に示されるように、多次関数の曲線に沿った非線形特性になってしまうことがわかった。このような結果になったのは、次に説明する理由による。即ち、実験1では、図5に示されるように、階調値が増えてしていくに従って、1画素内においてトナーを付着させている領域の面積が徐々に増えていく。このように、トナー付着領域の面積が徐々に増えていくことで、画像濃度変化特性を線形特性にしている。これに対し、実験2では、図8に示されるように、5階調は、6階調よりも階調値が小さいにもかかわらず、6階調よりもトナー付着領域の面積が大きくなっている。但し、5階調のトナー付着領域における単位面積あたりのトナー付着量が、6階調のトナー付着領域における単位面積あたりのトナー付着量よりも少なくなっていることから、5階調と6階調とがほぼ同じ画像濃度になってしまっている。このことが、画像濃度変化特性を非線形特性にしてしまう原因になっている。また、実験3では、実験1に比べて、2階調と3階調とのトナー付着領域の面積の差が非常に大きくなる。このため、図7に示されるように、3階調における画像濃度が理想の濃度よりもかなり薄くなってしまう。なお、実験1のグラフでは、高濃度領域のグラフ箇所の形状が若干つぶれ気味になっているが、この程度のつぶれでは、人間の目には線形の濃度変化として認識される。
【0038】
そこで、実施形態に係るプリンタにおいては、実験1と同様に、第1分割領域に中ドットを形成し、第2分割領域に小ドットを形成し、且つ第3分割領域に大ドットを形成する処理を実施するように、出射駆動制御手段たるLED駆動回路64Y,M,C,Kを構成している。よって、各画素の画像濃度を線形特性に近い滑らかな8階調で表現することができる。なお、第1分割領域と第3分割領域とで、形成するドットを入れ替えても実験1と全く同様に、各画素の画像濃度を線形特性に近い滑らかな8階調で表現することができる。より詳しくは、第1分割領域に大ドットを形成する一方で、第3分割領域に中ドットを形成するのである。かかる態様では、1画素内に2つ以上のドットの組み合わせを形成する3階調、5階調、6階調、7階調においてそれぞれ、ドットの組み合わせの姿勢を図5に示される姿勢の点対称にしたものにするだけなので、トナー付着領域の面積は図5に示されるものと全く同じになるからである。
【0039】
次の表3は、画像データ変換回路61によって実施されるデータ変換処理における各階調とビットデータとの関係を示すグラフである。図2に示される画像データ変換回路61から、LEDアレイユニット(6Y,M,C,K)に出力されるY,M,C,K画像データは、それぞれ各画素の画像濃度を3ビット(23)の8階調で表したデータである。画像データ変換回路61は、各画素について画像濃度を8ビット(28)の256階調で表したY,M,C,K画像データを、それぞれ各画素について3ビットの8階調で表したデータに変換する。このとき、まず、表3に示されるように、各画素についてそれぞれ8ビットで画像濃度を表現するオリジナルの画像データに対し、最上位のビットである第1ビット、最上位から2番目のビットである第2ビット、及び最上位から3番目のビットである第3ビットの3つを使用して、8段階の階調を表現するためのデータに変換するための処理を行う。具体的には、第1ビットに入力されていたオリジナルのデータについては、第3分割領域に対して大ドットを書き込むか否かを2値で表現したデータに変換する。また、第2ビットに入力されていたオリジナルのデータについては、第1分割領域に対して中ドットを書き込むか否かを2値で表現したデータに変換する。また、第3ビットに入力されていたオリジナルのデータについては、第2分割領域に対して小ドットを書き込むか否かを2値で表現したデータに変換する。第4ビット〜第8ビットに入力されているデータについては、オリジナルのデータのままにする。このような処理を行った後、8ビットのデータのうち、上位3ビットだけを残して3ビットのデータにするための処理を行う。そして、1画素あたり3ビットのデータ量の駆動制御信号を、LEDアレイユニット(6Y,M,C,K)に送信する。つまり、1画素あたりドット3個分のデータ転送量で、画像データ変換回路61からLEDアレイユニット(6Y,M,C,K)にそれぞれ画像データが転送される。
【0040】
なお、オリジナルのデータが1画素あたり8ビットのデータである場合を例にして説明したが、4ビット〜7ビットのデータである場合にも、同様にして、オリジナルにおける上位3ビットのデータだけを変換した後、オリジナルのビット数から3ビットに変換するための処理を行う。また、第1ビットを大ドットに対応させ、第2ビットを中ドットに対応させ、且つ第3ビットを小ドットに対応させる例について説明したが、これとは異なる対応関係にしてもよい。例えば、第1ビットを中ドットに対応させ、第2ビットを小ドットに対応させ、且つ第3ビットを大ドットに対応させてもよい。
【表3】
【0041】
図10は、LED駆動回路64Y,M,C,Kにおける各種信号の出力タイミングを示すタイミングチャートである。LED駆動回路64Y,M,C,Kは、LEDアレイ63Y,M,C,Kにおける個々のLEDについてそれぞれ、感光体2Y,M,C,Kの線速によって1/3画素分の長さの移動に要する時間毎に、必要に応じてLOAD信号を生成する。以下、感光体2Y,M,C,Kの線速によって1画素分の長さの移動に要する時間を画素移動周期という。また、1/3画素分の長さの移動に要する時間を分割移動周期という。画素移動周期には、3つの分割移動周期が含まれることになる。LED駆動回路64Y,M,C,Kは、LEDアレイ63Y,M,C,Kの個々のLEDについてそれぞれ、次のような処理を行う。即ち、LED駆動回路64Y,M,C,Kはそれぞれ、図示しないLAOD信号生成回路と、STB信号生成回路と、駆動信号生成回路とを具備している。LOAD信号生成回路は、LEDによるドット書込対象となる個々の画素についてそれぞれ、3つのLOAD信号を生成する。1つ目のLOAD信号は、画素移動周期における初めの分割移動周期に発信される。また、2つ目のLOAD信号は、2番目の分割移動周期に発信される。また、3つ目のLOAD信号は、3番目の分割移動周期に発信される。
【0042】
一方、STB信号生成回路は、画素移動周期内の1番目の分割移動周期で、中ドットの形成に必要なLED発光時間と同じ時間だけ立ち上がるSTB信号を生成する。また、画素移動周期内の2番目の分割移動周期で、小ドットの形成に必要なLED発光時間と同じ時間だけ立ち上がるSTB信号を生成する。また、画素移動周期内の3番目の分割移動周期で、大ドットの形成に必要なLED発光時間と同じ時間だけ立ち上がるSTB信号を生成する。
【0043】
駆動信号生成回路は、1番目の画素移動周期に対応する中ドットLEDデータが「1」である場合には、その直後に発信されるSTB信号の立ち上がり時間と同じ時間だけLEDに対して駆動信号を送信する。これにより、LEDが中ドット発光時間だけ点灯して1画素の第1分割領域に中ドットが光書込される。また、駆動信号生成回路は、2番目の画素移動周期に対応する小ドットLEDデータが「1」である場合には、その直後に発信されるSTB信号の立ち上がり時間と同じ時間だけLEDに対して駆動信号を送信する。これにより、LEDが小ドット発光時間だけ点灯して1画素の第2分割領域に小ドットが光書込される。また、駆動信号生成回路は、3番目の画素移動周期に対応する大ドットLEDデータが「1」である場合には、その直後に発信されるSTB信号の立ち上がり時間と同じ時間だけLEDに対して駆動信号を送信する。これにより、LEDが大ドット発光時間だけ点灯して1画素の第3分割領域に大ドットが光書込される。
【0044】
図11は、実施形態に係るプリンタの一部構成に変更を加えた変形例に係るプリンタを示す概略構成図である。変形例に係るプリンタは、転写ユニット15における無端状のベルト部材として、紙搬送ベルトの代わりに、中間転写ベルト20を設けている。感光体2Y,M,C,Kの表面上に形成されたY,M,C,Kトナー像は、中間転写ベルト20のおもて面(ループ外面)に重ね合わせて1次転写されて4色重ね合わせトナー像になる。
【0045】
転写ユニット15は、中間転写ベルト20の周方向における全域のうち、駆動ローラ17に対する掛け回し箇所に対して、ベルトループ外側から当接する2次転写ローラ22を有しており、ベルトと2次転写ローラ22との当接によって2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ22には、図示しない転写電源によってトナーの帯電極性とは逆極性の2次転写バイアスが印加される。これにより、2次転写ニップ内においては、トナーをベルト表面側から2次転写ローラ22側に向けて静電移動させる2次転写電界が形成される。
【0046】
中間転写ベルト20のおもて面に形成された4色重ね合わせトナー像は、ベルトの無端移動に伴って2次転写ニップに進入する。レジストローラ22は、ローラ間に挟み込んだ記録シートPをベルト上の4色重ね合わせトナー像に同期させるタイミングで2次転写ニップに向けて送り出す。2次転写ニップでベルト上の4色重ね合わせトナー像に密着した記録シートPには、2次転写電界やニップ圧の作用によってベルト上の4色重ね合わせトナー像が2次転写される。これにより、記録シートPの表面上にフルカラー画像が形成される。
【0047】
2次転写ニップを通過した記録シートPは、中間転写ベルト20から曲率分離して、定着装置34に送られる。
【0048】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、潜像を担持する潜像担持体(例えば感光体)の移動する表面に対して所定の間隙を介して対向しつつ、前記表面の移動方向と概ね直交する方向に所定のピッチで並ぶように配設され、それぞれ前記表面に向けてエネルギービームを出射する複数のビーム出射手段(例えばLED)と、それらビーム出射手段の駆動を個別に制御する出射駆動制御手段(例えばLED駆動回路)と、それらビーム出射手段からそれぞれ断片的に出射したエネルギービームによってそれぞれ前記表面にドットを書き込むことで、前記表面にドットの集合からなる潜像を書き込む潜像書込装置において、複数のビーム出射手段についてそれぞれ、前記表面の1画素分の領域を、前記表面の移動方向の最下流側に位置する第1分割領域と、前記移動方向の真ん中に位置する第2分割領域と、前記移動方向の最上流側に位置する第3分割領域とに3分割し、それぞれの分割領域に対する前記ドットの書き込みの有無を個別に制御することで、各画素の濃度を8段階で表現し、且つ、前記第2分割領域に対してドットを書き込む場合には、中程度の径の中ドット、中ドットよりも径の小さな小ドット、及び中ドットよりも径の大きな大ドットのうち、小ドットを形成するための駆動制御を実施し、前記第1分割領域に対してドットを書き込む場合には、中ドット及び大ドットのうちの何れか一方を形成するための駆動制御を実施し、前記第3分割領域に対してドットを書き込む場合には、中ドット及び大ドットのうちの他方を形成するための駆動制御を実施するように、前記出射駆動制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【0049】
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記大ドット、前記中ドット及び前記小ドットの組み合わせとして、前記大ドットの面積が前記中ドット及び前記小ドットの合計面積よりも大きくなる組み合わせ(例えば大ドット:中ドット:小ドット=4:2:1)を採用したことを特徴とするものである。かかる構成においては、例えば図5に示されるように、大ドットを1個だけ形成する階調と、中ドット及び小ドットの2つを形成する階調との間を、滑らかな線形にすることができる。
【0050】
[態様C]
態様Cは、態様Bにおいて、前記大ドットを形成する際の前記エネルギービームと、前記中ドットを形成する際の前記エネルギービームと、前記小ドットを形成する際の前記エネルギービームとのエネルギー比率として、4:2:1を採用したことを特徴とするものである。かかる構成においては、そのエネルギー比率により、大ドットと中ドットと小ドットとの面積比を4:2:1にして、図6のグラフに示されるような滑らかな線形特性の8階調を実現することができる。
【0051】
[態様D]
態様Dは、態様Bにおいて、前記大ドットを形成する際の前記ビーム出射手段の駆動時間と、前記中ドットを形成する際の前記ビーム出射手段の駆動時間と、前記小ドットを形成する際の前記ビーム出射手段の駆動時間との比率として、4:2:1を採用したことを特徴とするものである。かかる構成においては、そのエネルギー比率により、大ドットと中ドットと小ドットとの面積比を4:2:1にして、図6のグラフに示されるような滑らかな線形特性の8階調を実現することができる。
【0052】
[態様E]
態様Eは、態様A〜Dの何れかにおいて、各画素についてそれぞれ3ビット以上のビット数で単色の画像濃度を表現するオリジナルの画像データにおける、最上位のビットである第1ビット、最上位から2番目のビットである第2ビット、及び最上位から3番目のビットである第3ビットの3つを使用し、前記第1分割領域に対して前記大ドット及び中ドットのうちの一方を書き込むか否かのデータに変換する処理を、前記第1ビット、前記第2ビット、及び前記第3ビットのうち、何れか1つのビットのオリジナルデータに施し、前記第3分割領域に対して前記大ドット及び中ドットのうちの他方を書き込むか否かのデータに変化する処理を、前記何れか1つのビットではない残り2つのビットにおける一方のビットのオリジナルデータに施し、且つ、前記第2分割領域に対して前記小ドットを書き込むか否かのデータに変換する処理を、前記残り2つのビットにおける他方のビットのオリジナルデータに施して、オリジナルの画像データを仮変換した後、1画素あたり3ビットで単色の画像濃度を表現するデータに変換する処理を実施した後、処理後のデータを前記出射駆動制御手段に転送するデータ変換手段を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、仮変換を行わない場合に比べて、データ処理を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0053】
1Y,M,C,K:作像ユニット
2Y,M,C,K:感光体(潜像担持体)
5Y,M,C,K:現像装置(現像手段)
60:潜像書込装置
61:画像データ変換回路(データ変換手段)
63Y,M,C,K:LEDアレイ(複数のビーム出射手段)
64Y,M,C,K:LED駆動回路(出射駆動制御手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2008−250146号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のビーム出射手段からそれぞれ出射したエネルギービームによってそれぞれ潜像担持体の表面にドットを書き込むことで、ドットの集合からなる潜像を得る潜像書込装置や、これを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の画像形成装置として、特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、潜像書込装置としてLEDヘッド駆動部によって潜像担持体としての感光体に対して光書込を行うことで、感光体の表面に静電潜像を形成する。そして、LEDヘッド駆動部は、ビーム出射手段としての複数のLED(Light Emitting Diode)を具備するLEDアレイを用いて、潜像担持体として感光体に対して1画素あたり32階調の多値画像を光書込する。ここで言う1画素は、1インチを解像度[dpi]で除算した値をそれぞれ縦、横の寸法とする正方形の領域である。
【0003】
古くは、LEDアレイの複数のLEDからそれぞれ出射した1画素分の領域とほぼ同じサイズの径の光ビームにより、それぞれ1画素分の光書込を行う方式が主流であった。これに対し、特許文献1に記載の画像形成装置のLEDヘッド駆動部は、複数のLEDからそれぞれ出射した1画素分の領域よりも小さなサイズの径の光ビームにより、それぞれ1画素分の領域をより細かく分割した分割領域に対してそれぞれドットを光書込する。つまり、1画素内に複数のドットを形成する。この際、1画素内に含まれる複数の分割領域に対するドットの書き込みの有無を調整することで、各画素を多値で階調表現する。より詳しくは、感光体の表面における1画素分の領域を、表面移動方向に沿って8分割する。そして、8つの分割領域のうち、表面移動方向の最下流側の分割領域に対しては、8段階のうち、最も大きな径のドットを光書込する。また、最下流から2番目にする分割領域に対しては、2番目に大きな径のドットを光書込する。このように、下流側から上流側に向けてドットの径を徐々に小さくしていき、最上流側の分割領域に対しては、8段階のうち、最も径の小さなドットを光書込する。8つの分割領域に対するドットの光書込の有無をそれぞれ個別に制御して、各画素に対してそれぞれ28=256通りのパターンのうちの何れか1つで光書込を行う。これにより、理論的には、各画素の画像濃度を256階調で再現することが可能であるが、実際には、画像濃度と階調との関係が一次関数によって表される線形特性にはならず、非線形特性になってしまう。そこで、256通りのうち、線形特性が得られる32通りのパターンだけを用いることで、各画素の画像濃度を線形特性に近い32段階の滑らかな階調で再現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この画像形成装置においては、一般オフィス向けの機種としての実現性が乏しいという問題があった。具体的には、32階調という階調数だけに着目すれば、各画素についてそれぞれ5個分のドットのオンオフデータをLEDヘッド駆動部に転送すればよいことになる。しかしながら、この画像形成装置は、既に述べたように、各画素についてそれぞれ8つの分割領域に対するドットの光書込の有無を制御するものであるので、1画素分の転送データとしては256階調の場合と同じ8個分のドットのオンオフデータが必要になる。プリント速度の高速化が進められる近年においては、電子写真方式の画像形成装置であれば、印刷業者向けではない一般オフィス向けの機種であっても、A4サイズ紙の横搬送で60[毎/分]くらいのプリント速度が求められるようになってきている。また、高解像度化が進められる近年においては、一般オフィス向けの機種であっても、1200[dpi]程度の解像度が求められるようになってきている。特許文献1に記載の画像形成装置において、それらの条件を満足させるとする。すると、1画素あたりドット8個分のオンオフデータをLEDヘッド駆動部に転送するために、画像データ処理部とLEDヘッド駆動部とを多量の信号線で接続しつつ、両者間で高速のパラレル通信を行わせる必要が生じ、一般オフィス向けの機種としてはコストがかかり過ぎてしまう。コストと、通信技術とのバランスからすれば、1画素あたりドット4個分以下のオンオフデータの転送が一般オフィス向けの機種として実用可能なレベルである。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一般オフィス向けの機種として実用可能なコストで、各画素の画像濃度を線形特性に近い滑らかな階調で表現することができる潜像書込装置や画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、潜像を担持する潜像担持体の移動する表面に対して所定の間隙を介して対向しつつ、前記表面の移動方向と概ね直交する方向に所定のピッチで並ぶように配設され、それぞれ前記表面に向けてエネルギービームを出射する複数のビーム出射手段と、それらビーム出射手段の駆動を個別に制御する出射駆動制御手段と、それらビーム出射手段からそれぞれ出射したエネルギービームによってそれぞれ前記表面にドットを書き込むことで、前記表面にドットの集合からなる潜像を書き込む潜像書込装置において、複数のビーム出射手段についてそれぞれ、前記表面の1画素分の領域を、前記表面の移動方向の最下流側に位置する第1分割領域と、前記移動方向の真ん中に位置する第2分割領域と、前記移動方向の最上流側に位置する第3分割領域とに3分割し、それぞれの分割領域に対する前記ドットの書き込みの有無を個別に制御することで、各画素の濃度を8段階で表現し、且つ、前記第2分割領域に対してドットを書き込む場合には、中程度の径の中ドット、中ドットよりも径の小さな小ドット、及び中ドットよりも径の大きな大ドットのうち、小ドットを形成するための駆動制御を実施し、前記第1分割領域に対してドットを書き込む場合には、中ドット及び大ドットのうちの何れか一方を形成するための駆動制御を実施し、前記第3分割領域に対してドットを書き込む場合には、中ドット及び大ドットのうちの他方を形成するための駆動制御を実施するように、前記出射駆動制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
これらの発明においては、1画素内の3つの分割領域に対するドットの光書込の有無を制御することで、1画素あたりドット3個分のデータ転送量で、各画素の画像濃度を8段階の階調で表現する。1画素あたりドット4個分以下のデータ転送量が一般オフィス向けの機種として実用可能なレベルであるので、本発明においては、一般オフィス向けの機種として実用可能なコストで、各画素を8段階の階調で表現することができる。
また、これらの発明においては、本発明者らが後述する実験で明らかにしたように、1画素内の第1分割領域に対して大ドット及び中ドットのうちの何れか一方を光書込し、第3分割領域に対して他方のドットを光書込し、且つ、第2分割領域に対して小ドットを光書込することで、各画素の画像濃度を線形特性に近い滑らかな8階調で表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図。
【図3】同プリンタの感光体の表面上における各画素対応領域を示す模式図。
【図4】同プリンタのLEDによって光書込する大ドット、中ドット及び小ドットを示す拡大模式図。
【図5】実験1における階調と各分割領域に形成するドットの大きさとの関係を示す拡大模式図。
【図6】実験1と実験2とでそれぞれ得られた階調と画像濃度との関係を示すグラフ。
【図7】実験1と実験3とでそれぞれ得られた階調と画像濃度との関係を示すグラフ。
【図8】実験2における階調と各分割領域に形成するドットの大きさとの関係を示す拡大模式図。
【図9】実験3における階調と各分割領域に形成するドットの大きさとの関係を示す拡大模式図。
【図10】同プリンタのLED駆動回路における光書込系の各種信号の出力タイミングを示すタイミングチャート。
【図11】実施形態に係るプリンタの一部構成に変更を加えた変形例に係るプリンタを示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、本プリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を作像するための4つの作像ユニット1Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を作像するための作像ユニット1Yを例にすると、これは、潜像担持体たるドラム状の感光体2Y、ドラムクリーニング装置3Y、除電装置(不図示)、帯電器4Y、現像装置5Y、LEDアレイユニット6Y等を備えている。作像ユニット1Yは、それらの機器を1つのユニットとして共通の筺体内に保持してプリンタ本体に対して一体的に脱着可能にしたものである。
【0010】
帯電器4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される感光体2Yの表面を一様に帯電せしめる。一様に帯電せしめられた感光体2Yの表面には、LEDアレイユニット6YによってY用の静電潜像が光書込される。そして、このY用の静電潜像は、図示しないYトナーを用いる現像装置5Yによって現像されてYトナー像になる。このYトナー像は、後述する紙搬送ベルト16と感光体2Yとが対向している転写位置で図示しない記録シートに転写される。
【0011】
図中時計回り方向の回転に伴って上記転写位置を通過した感光体2Y表面には、記録シートに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ドラムクリーニング装置3Yによって感光体2Y表面から除去される。そして、ドラムクリージング装置3Yによってクリーニングされた感光体2Y表面は、図示しない除電装置によって除電された後、上述した帯電器4Yによって再び一様に帯電せしめられる。
【0012】
帯電器4Yとしては、スコロトロンチャージャーからなるものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。例えば、感光体2Yに当接又は近接させた帯電ローラや帯電ブラシローラなどの帯電部材を回転させながら、帯電部材と感光体2Yとの間で放電を生じせしめて感光体2Yの表面を一様に帯電させる方式のものでもよい。また、現像装置5Yとしては、Yトナーを主成分とする1成分現像剤を用いる1成分現像方式のものを用いているが、トナーと磁性キャリアとを含有する2成分現像剤による2成分現像方式のものを用いてもよい。また、ドラムクリーニング装置3Yとしては、感光体2Y表面に当接させたクリーニングブレードによって感光体2Y表面から転写残トナーを掻き取る方式のものを用いたが、他の方式のものを用いてもよい。
【0013】
Y用の作像ユニットについて説明したが、M,C,K用の作像ユニット1M,C,Kにおいても、同様のプロセスにより、感光体2M,C,K表面にM,C,Kトナー像が形成される。
【0014】
4つの作像ユニット1Y,M,C,Kは、水平方向に所定の間隔をおいて並ぶように配設されている。これら作像ユニット1Y,M,C,Kの下方には、無端状の紙搬送ベルト16を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。この転写ユニット15は、紙搬送ベルト16の他に、駆動ローラ17、従動ローラ18、4つの転写チャージャー19Y,M,C,K、ベルトクリーニング装置21などを備えている。
【0015】
紙搬送ベルト16は、そのループ内側に配設された駆動ローラ17と従動ローラ18とによって張架されている。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ17の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
【0016】
紙搬送ベルト16のループ内側には、Y,M,C,K用の転写チャージャー19Y,M,C,Kが配設されている。これら転写チャージャー19Y,M,C,Kは、感光体2Y,M,C,Kの直下において、紙搬送ベルト16を介して感光体2Y,M,C,Kに対向するように配設されている。このように、紙搬送ベルト16を介して転写チャージャー19Y,M,C,Kと感光体2Y,M,C,Kとが対向している位置が、Y,M,C,K用の転写位置である。
【0017】
転写チャージャー19Y,M,C,Kは、Y,M,C,K用の転写位置で紙搬送ベルト16の裏面に電荷を付与する。これにより、Y,M,C,K用の転写位置では、感光体2Y,M,C,Kの静電潜像と、紙搬送ベルト16との間に1次転写電界が形成される。なお、転写チャージャー19Y,M,C,Kに代えて、ベルト裏面に当接させた転写ブラシや転写ローラ等の転写部材と、これに1次転写バイアスを印加する転写電源とを用いてもよい。
【0018】
転写ユニット15の鉛直方向下方には、記録シートPを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット30がプリンタの筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。この給紙カセット30は、紙束の一番上の記録シートPに給紙ローラ30aを当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録シートPを給紙路31に向けて送り出す。
【0019】
給紙路31の末端付近には、レジストローラ対32が配設されている。このレジストローラ対32は、給紙カセット30から送り出された記録シートPをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録シートPをY用の転写位置でY用の感光体2Y上のYトナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開する。レジストローラ対32から送り出された記録シートPは、紙搬送ベルト16のおもて面に静電吸着された後、紙搬送ベルト16の無端移動に伴って、Y,M,C,K用の転写位置を順に通過する。そして、Y,M,C,K用の感光体2Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて転写される。この重ね合わせの転写により、記録シートPの表面にフルカラートナー像が形成される。
【0020】
K用の転写位置を通過した記録シートPは、紙搬送ベルト16の無端移動に伴って、従動ローラ18に対するベルト掛け回し位置に至る。このベルト掛け回し位置では、従動ローラ18に掛け回されている紙搬送ベルト16が、従動ローラ18の曲率に沿って急激に方向転換する。記録シートPは、この急激な方向転換に追従することができず、自らの腰の強さによってベルト表面から曲率分離される。そして、転写ユニット15の図中左側方に配設された定着装置34内に送り込まれる。
【0021】
定着装置34は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bとによって定着ニップを形成している。定着装置34内に送り込まれた記録シートPは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ34aに密着させる姿勢で定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。その後、定着装置34内から排出された記録シートPは、図示しない排紙ローラ対によって機外へと排出される。
【0022】
自らの無端移動に伴って各色の転写位置を通過した後の紙搬送ベルト16には、トナー汚れが付着している。これは、紙搬送ベルト16のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置21によってベルト表面からクリーニングされる。
【0023】
感光体2Y,M,C,Kの回転軸線方向の長さや、紙搬送ベルト16の幅方向の長さは、A4サイズ紙の縦方向の長さ(297mm)と同じくらいの大きさになっている。そして、本プリンタは、最大でA4サイズの記録シートPに対して、フルカラー画像を形成することができる。記録シートPとして、A4サイズのものを用いる場合には、それを横搬送(短手方向を搬送方向に沿わせる姿勢で搬送)で紙搬送ベルト16のおもて面に吸着させる。
【0024】
作像ユニット1Y,M,C,KのLEDアレイユニット6Y,M,C,Kは、それぞれ1200[dpi]の解像度で光書込が行えるように、感光体2Y,M,C,Kの軸線方向に沿って並ぶ約14000個の図示しないLEDを具備している。これらのLEDをそれぞれ個別に駆動することで、最大で同軸線方向に一直線状に並ぶ約14000個のドットを同時に光書込することができる。
【0025】
図2は、本プリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、メイン制御部104は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等からなり、プリンタ全体の各種機器の駆動の制御や演算処理を司るものである。同図においては、メイン制御部104に接続されている各種機器のうち、本発明の特徴部に関連するものだけを示している。
【0026】
潜像書込装置60は、各色の感光体(2Y,M,C,K)に対して静電潜像を光書込するものである。この潜像書込装置60は、上述したY,M,C,K用の4つのLEDアレイユニット6Y,M,C,Kの他に、画像データ変換回路61を有している。また、各色のLEDアレイユニット6Y,M,C,Kは、それぞれ、ビーム出射手段としての複数のLEDを具備するLEDアレイ63Y,M,C,Kと、アレイ内の各LEDの駆動を制御するための出射駆動制御手段たるLED駆動回路64Y,M,C,Kとを具備している。
【0027】
LAN(Local Area Network)ポート101は、外部のローカルエリアネットワークを介して、図示しないパーソナルコンピュータやスキャナとの通信を行うためのものである。また、USBポート102は、USBケーブルを介して外部のパーソナルコンピュータと通信を行うためのものである。
【0028】
パーソナルコンピュータからローカルエリアネットワークを介してLANポート101に入力されたカラー画像データは、プリントサーバー回路105と、I/Oインターフェース103とを介して、潜像書込装置60や、メイン制御部104に入力される。また、パーソナルコンピュータからUSBポート102に入力されたカラー画像データは、I/Oインターフェース103を介して、潜像書込装置60や、メイン制御部104に入力される。
【0029】
潜像書込装置60に入力されたカラー画像データは、画像データ変換回路61により、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の画像データに分離された後、Y,M,C,Kの4つの画像データに変換される。そして、Y,M,C,K画像データは、Y,M,C,K用のLEDアレイユニット6Y,M,C,Kに入力される。それらLEDアレイユニットのうち、Y用のLEDアレイユニット6Yを例にすると、これに入力されたY画像データは、LED駆動回路64Yによって複数のLEDを駆動するためのLED駆動信号に変換された後、LEDアレイ63Yに入力される。
【0030】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
図3は、各色の感光体の表面上における各画素対応領域を示す模式図である。同図において、太線によって矩形状に囲まれた領域が1画素分の領域(画素対応領域)である。ここで言う1画素とは、1200[dpi]の解像度のドット直径と同じサイズをそれぞれ縦寸法、横寸法とした正方形の領域である(21.2μm×21.2μm)。上述したように、各色のLEDアレイユニット(6Y,M,C,K)は、それぞれ感光体の回転軸線方向に沿って並ぶ約14000個のLEDを具備している。同図において、感光体の回転軸線方向は、図中で左右に延びている直線の延在方向と同じである。この方向に沿って並んでいる約14000個のLEDにより、同方向に沿って並ぶ約14000個の画素対応領域に対するドットの光書込が個別に行われる。同方向において、画素列0001に位置している画素対応領域に対しては、同方向に並んでいる約14000個のLEDのうち、1番目のLEDによってドットが書き込まれる。また、画素列0002に位置している画素対応領域に対しては、2番目のLEDによってドットが書き込まれる。
【0031】
複数の画素対応領域はそれぞれ、感光体表面移動方向の最下流側に位置する第1分割領域と、最上流側に位置する第3分割領域と、それら分割領域の間に位置する第2分割領域とに3分割される。そして、それら3つの分割領域に対してそれぞれドットの書き込みが制御される。つまり、1画素内には、最大で感光体表面移動方向に並ぶ3つのドットが書き込まれる。それぞれの分割領域に対するドット書き込みの有無により、1画素あたりドット3個分のデータ転送量で8段階の階調を実現することができる。
【0032】
このように、本プリンタにおいては、1画素内の3つの分割領域に対するドットの光書込の有無を制御することで、各LEDを1画素あたりドット3個分のデータ転送量で駆動して、各画素の画像濃度を8段階の階調で表現する。1画素あたりドット4個分以下のデータ転送量が一般オフィス向けの機種として実用可能なレベルであるので、本プリンタにおいては、一般オフィス向けの機種として実用可能なコストで、各画素を8段階の階調で表現することができる。
【0033】
3つの分割領域にそれぞれ個別に形成する3つのドットにおいて、感光体表面移動方向の縁部における互いの重なりが比較的大きくなると、重なった領域で画像濃度の上昇に貢献しないで無駄に消費されてしまうトナーの量が多くなってしまう。一方、ドット同士を全く重ねないと、1画素内のドット間でトナーを全く付着させない領域を形成してしまう。3つの分割領域に形成するドットの大きさを互いに異ならせることで、ドット同士の重なりをできるだけ小さくしつつ、1画素内をくまなくトナーで埋め尽くすことが可能になる。そこで、本プリンタにおいては、3つの分割領域において、形成するドットの大きさを互いに異ならせるようになっている。
【0034】
本発明者らは、実施形態に係るプリンタと同様の構成のプリンタ試験機を用いて、3つの分割領域にそれぞれ形成するドットの大きさと、8段階の階調における画像濃度変化特性との関係を調べる実験を行った。具体的には、1画素内の3つの分割領域にそれぞれ個別に形成する互いに径の異なる3種類のドットとして、図4に示される大ドット、中ドット及び小ドットを採用した。大ドットと中ドットと小ドットとの面積比は、4:2:1である。よって、大ドットの面積は、中ドットと小ドットとを合わせた合計の面積よりも大きい。1画素内における3つの分割領域と、形成するドットの大きさの関係としては、次の表1に示される3通りの関係を採用した。
【表1】
【0035】
表1に示される3通りの関係(実験1、2、3)においては、何れも次の表2に示される関係で画像濃度が順に濃くなっていく。つまり、0階調から7階調まで、階調値が増えていくに従って画像濃度が徐々に濃くなっていく。
【表2】
【0036】
表1に示される実験1、2、3を、それぞれ次のようにして行った。即ち、表2に示される8段階の階調についてそれぞれ、所定サイズの画素マトリクス内の各画素をすべて光書込してベタ潜像を形成した。例えば、実験1であれば、画素マトリクス内の各画素に対して図5に示されるような形態でドットを光書込して、Kベタ潜像を形成した。そして、Kベタ潜像をKトナーで現像した後、得られたKベタ画像の画像濃度を測定した。このようにして得られた8階調分の画像濃度と、階調との関係を示すグラフを作成して、画像濃度変化特性を評価した。この評価を、実験1、2、3でそれぞれ行った。
【0037】
すると、実験1では、図6に示されるように、階調と画像濃度変化量との関係がほぼ一次関数の直線に沿った線形特性になるのに対し、実験2や実験3では、図6や図7に示されるように、多次関数の曲線に沿った非線形特性になってしまうことがわかった。このような結果になったのは、次に説明する理由による。即ち、実験1では、図5に示されるように、階調値が増えてしていくに従って、1画素内においてトナーを付着させている領域の面積が徐々に増えていく。このように、トナー付着領域の面積が徐々に増えていくことで、画像濃度変化特性を線形特性にしている。これに対し、実験2では、図8に示されるように、5階調は、6階調よりも階調値が小さいにもかかわらず、6階調よりもトナー付着領域の面積が大きくなっている。但し、5階調のトナー付着領域における単位面積あたりのトナー付着量が、6階調のトナー付着領域における単位面積あたりのトナー付着量よりも少なくなっていることから、5階調と6階調とがほぼ同じ画像濃度になってしまっている。このことが、画像濃度変化特性を非線形特性にしてしまう原因になっている。また、実験3では、実験1に比べて、2階調と3階調とのトナー付着領域の面積の差が非常に大きくなる。このため、図7に示されるように、3階調における画像濃度が理想の濃度よりもかなり薄くなってしまう。なお、実験1のグラフでは、高濃度領域のグラフ箇所の形状が若干つぶれ気味になっているが、この程度のつぶれでは、人間の目には線形の濃度変化として認識される。
【0038】
そこで、実施形態に係るプリンタにおいては、実験1と同様に、第1分割領域に中ドットを形成し、第2分割領域に小ドットを形成し、且つ第3分割領域に大ドットを形成する処理を実施するように、出射駆動制御手段たるLED駆動回路64Y,M,C,Kを構成している。よって、各画素の画像濃度を線形特性に近い滑らかな8階調で表現することができる。なお、第1分割領域と第3分割領域とで、形成するドットを入れ替えても実験1と全く同様に、各画素の画像濃度を線形特性に近い滑らかな8階調で表現することができる。より詳しくは、第1分割領域に大ドットを形成する一方で、第3分割領域に中ドットを形成するのである。かかる態様では、1画素内に2つ以上のドットの組み合わせを形成する3階調、5階調、6階調、7階調においてそれぞれ、ドットの組み合わせの姿勢を図5に示される姿勢の点対称にしたものにするだけなので、トナー付着領域の面積は図5に示されるものと全く同じになるからである。
【0039】
次の表3は、画像データ変換回路61によって実施されるデータ変換処理における各階調とビットデータとの関係を示すグラフである。図2に示される画像データ変換回路61から、LEDアレイユニット(6Y,M,C,K)に出力されるY,M,C,K画像データは、それぞれ各画素の画像濃度を3ビット(23)の8階調で表したデータである。画像データ変換回路61は、各画素について画像濃度を8ビット(28)の256階調で表したY,M,C,K画像データを、それぞれ各画素について3ビットの8階調で表したデータに変換する。このとき、まず、表3に示されるように、各画素についてそれぞれ8ビットで画像濃度を表現するオリジナルの画像データに対し、最上位のビットである第1ビット、最上位から2番目のビットである第2ビット、及び最上位から3番目のビットである第3ビットの3つを使用して、8段階の階調を表現するためのデータに変換するための処理を行う。具体的には、第1ビットに入力されていたオリジナルのデータについては、第3分割領域に対して大ドットを書き込むか否かを2値で表現したデータに変換する。また、第2ビットに入力されていたオリジナルのデータについては、第1分割領域に対して中ドットを書き込むか否かを2値で表現したデータに変換する。また、第3ビットに入力されていたオリジナルのデータについては、第2分割領域に対して小ドットを書き込むか否かを2値で表現したデータに変換する。第4ビット〜第8ビットに入力されているデータについては、オリジナルのデータのままにする。このような処理を行った後、8ビットのデータのうち、上位3ビットだけを残して3ビットのデータにするための処理を行う。そして、1画素あたり3ビットのデータ量の駆動制御信号を、LEDアレイユニット(6Y,M,C,K)に送信する。つまり、1画素あたりドット3個分のデータ転送量で、画像データ変換回路61からLEDアレイユニット(6Y,M,C,K)にそれぞれ画像データが転送される。
【0040】
なお、オリジナルのデータが1画素あたり8ビットのデータである場合を例にして説明したが、4ビット〜7ビットのデータである場合にも、同様にして、オリジナルにおける上位3ビットのデータだけを変換した後、オリジナルのビット数から3ビットに変換するための処理を行う。また、第1ビットを大ドットに対応させ、第2ビットを中ドットに対応させ、且つ第3ビットを小ドットに対応させる例について説明したが、これとは異なる対応関係にしてもよい。例えば、第1ビットを中ドットに対応させ、第2ビットを小ドットに対応させ、且つ第3ビットを大ドットに対応させてもよい。
【表3】
【0041】
図10は、LED駆動回路64Y,M,C,Kにおける各種信号の出力タイミングを示すタイミングチャートである。LED駆動回路64Y,M,C,Kは、LEDアレイ63Y,M,C,Kにおける個々のLEDについてそれぞれ、感光体2Y,M,C,Kの線速によって1/3画素分の長さの移動に要する時間毎に、必要に応じてLOAD信号を生成する。以下、感光体2Y,M,C,Kの線速によって1画素分の長さの移動に要する時間を画素移動周期という。また、1/3画素分の長さの移動に要する時間を分割移動周期という。画素移動周期には、3つの分割移動周期が含まれることになる。LED駆動回路64Y,M,C,Kは、LEDアレイ63Y,M,C,Kの個々のLEDについてそれぞれ、次のような処理を行う。即ち、LED駆動回路64Y,M,C,Kはそれぞれ、図示しないLAOD信号生成回路と、STB信号生成回路と、駆動信号生成回路とを具備している。LOAD信号生成回路は、LEDによるドット書込対象となる個々の画素についてそれぞれ、3つのLOAD信号を生成する。1つ目のLOAD信号は、画素移動周期における初めの分割移動周期に発信される。また、2つ目のLOAD信号は、2番目の分割移動周期に発信される。また、3つ目のLOAD信号は、3番目の分割移動周期に発信される。
【0042】
一方、STB信号生成回路は、画素移動周期内の1番目の分割移動周期で、中ドットの形成に必要なLED発光時間と同じ時間だけ立ち上がるSTB信号を生成する。また、画素移動周期内の2番目の分割移動周期で、小ドットの形成に必要なLED発光時間と同じ時間だけ立ち上がるSTB信号を生成する。また、画素移動周期内の3番目の分割移動周期で、大ドットの形成に必要なLED発光時間と同じ時間だけ立ち上がるSTB信号を生成する。
【0043】
駆動信号生成回路は、1番目の画素移動周期に対応する中ドットLEDデータが「1」である場合には、その直後に発信されるSTB信号の立ち上がり時間と同じ時間だけLEDに対して駆動信号を送信する。これにより、LEDが中ドット発光時間だけ点灯して1画素の第1分割領域に中ドットが光書込される。また、駆動信号生成回路は、2番目の画素移動周期に対応する小ドットLEDデータが「1」である場合には、その直後に発信されるSTB信号の立ち上がり時間と同じ時間だけLEDに対して駆動信号を送信する。これにより、LEDが小ドット発光時間だけ点灯して1画素の第2分割領域に小ドットが光書込される。また、駆動信号生成回路は、3番目の画素移動周期に対応する大ドットLEDデータが「1」である場合には、その直後に発信されるSTB信号の立ち上がり時間と同じ時間だけLEDに対して駆動信号を送信する。これにより、LEDが大ドット発光時間だけ点灯して1画素の第3分割領域に大ドットが光書込される。
【0044】
図11は、実施形態に係るプリンタの一部構成に変更を加えた変形例に係るプリンタを示す概略構成図である。変形例に係るプリンタは、転写ユニット15における無端状のベルト部材として、紙搬送ベルトの代わりに、中間転写ベルト20を設けている。感光体2Y,M,C,Kの表面上に形成されたY,M,C,Kトナー像は、中間転写ベルト20のおもて面(ループ外面)に重ね合わせて1次転写されて4色重ね合わせトナー像になる。
【0045】
転写ユニット15は、中間転写ベルト20の周方向における全域のうち、駆動ローラ17に対する掛け回し箇所に対して、ベルトループ外側から当接する2次転写ローラ22を有しており、ベルトと2次転写ローラ22との当接によって2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ22には、図示しない転写電源によってトナーの帯電極性とは逆極性の2次転写バイアスが印加される。これにより、2次転写ニップ内においては、トナーをベルト表面側から2次転写ローラ22側に向けて静電移動させる2次転写電界が形成される。
【0046】
中間転写ベルト20のおもて面に形成された4色重ね合わせトナー像は、ベルトの無端移動に伴って2次転写ニップに進入する。レジストローラ22は、ローラ間に挟み込んだ記録シートPをベルト上の4色重ね合わせトナー像に同期させるタイミングで2次転写ニップに向けて送り出す。2次転写ニップでベルト上の4色重ね合わせトナー像に密着した記録シートPには、2次転写電界やニップ圧の作用によってベルト上の4色重ね合わせトナー像が2次転写される。これにより、記録シートPの表面上にフルカラー画像が形成される。
【0047】
2次転写ニップを通過した記録シートPは、中間転写ベルト20から曲率分離して、定着装置34に送られる。
【0048】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、潜像を担持する潜像担持体(例えば感光体)の移動する表面に対して所定の間隙を介して対向しつつ、前記表面の移動方向と概ね直交する方向に所定のピッチで並ぶように配設され、それぞれ前記表面に向けてエネルギービームを出射する複数のビーム出射手段(例えばLED)と、それらビーム出射手段の駆動を個別に制御する出射駆動制御手段(例えばLED駆動回路)と、それらビーム出射手段からそれぞれ断片的に出射したエネルギービームによってそれぞれ前記表面にドットを書き込むことで、前記表面にドットの集合からなる潜像を書き込む潜像書込装置において、複数のビーム出射手段についてそれぞれ、前記表面の1画素分の領域を、前記表面の移動方向の最下流側に位置する第1分割領域と、前記移動方向の真ん中に位置する第2分割領域と、前記移動方向の最上流側に位置する第3分割領域とに3分割し、それぞれの分割領域に対する前記ドットの書き込みの有無を個別に制御することで、各画素の濃度を8段階で表現し、且つ、前記第2分割領域に対してドットを書き込む場合には、中程度の径の中ドット、中ドットよりも径の小さな小ドット、及び中ドットよりも径の大きな大ドットのうち、小ドットを形成するための駆動制御を実施し、前記第1分割領域に対してドットを書き込む場合には、中ドット及び大ドットのうちの何れか一方を形成するための駆動制御を実施し、前記第3分割領域に対してドットを書き込む場合には、中ドット及び大ドットのうちの他方を形成するための駆動制御を実施するように、前記出射駆動制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【0049】
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記大ドット、前記中ドット及び前記小ドットの組み合わせとして、前記大ドットの面積が前記中ドット及び前記小ドットの合計面積よりも大きくなる組み合わせ(例えば大ドット:中ドット:小ドット=4:2:1)を採用したことを特徴とするものである。かかる構成においては、例えば図5に示されるように、大ドットを1個だけ形成する階調と、中ドット及び小ドットの2つを形成する階調との間を、滑らかな線形にすることができる。
【0050】
[態様C]
態様Cは、態様Bにおいて、前記大ドットを形成する際の前記エネルギービームと、前記中ドットを形成する際の前記エネルギービームと、前記小ドットを形成する際の前記エネルギービームとのエネルギー比率として、4:2:1を採用したことを特徴とするものである。かかる構成においては、そのエネルギー比率により、大ドットと中ドットと小ドットとの面積比を4:2:1にして、図6のグラフに示されるような滑らかな線形特性の8階調を実現することができる。
【0051】
[態様D]
態様Dは、態様Bにおいて、前記大ドットを形成する際の前記ビーム出射手段の駆動時間と、前記中ドットを形成する際の前記ビーム出射手段の駆動時間と、前記小ドットを形成する際の前記ビーム出射手段の駆動時間との比率として、4:2:1を採用したことを特徴とするものである。かかる構成においては、そのエネルギー比率により、大ドットと中ドットと小ドットとの面積比を4:2:1にして、図6のグラフに示されるような滑らかな線形特性の8階調を実現することができる。
【0052】
[態様E]
態様Eは、態様A〜Dの何れかにおいて、各画素についてそれぞれ3ビット以上のビット数で単色の画像濃度を表現するオリジナルの画像データにおける、最上位のビットである第1ビット、最上位から2番目のビットである第2ビット、及び最上位から3番目のビットである第3ビットの3つを使用し、前記第1分割領域に対して前記大ドット及び中ドットのうちの一方を書き込むか否かのデータに変換する処理を、前記第1ビット、前記第2ビット、及び前記第3ビットのうち、何れか1つのビットのオリジナルデータに施し、前記第3分割領域に対して前記大ドット及び中ドットのうちの他方を書き込むか否かのデータに変化する処理を、前記何れか1つのビットではない残り2つのビットにおける一方のビットのオリジナルデータに施し、且つ、前記第2分割領域に対して前記小ドットを書き込むか否かのデータに変換する処理を、前記残り2つのビットにおける他方のビットのオリジナルデータに施して、オリジナルの画像データを仮変換した後、1画素あたり3ビットで単色の画像濃度を表現するデータに変換する処理を実施した後、処理後のデータを前記出射駆動制御手段に転送するデータ変換手段を設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、仮変換を行わない場合に比べて、データ処理を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0053】
1Y,M,C,K:作像ユニット
2Y,M,C,K:感光体(潜像担持体)
5Y,M,C,K:現像装置(現像手段)
60:潜像書込装置
61:画像データ変換回路(データ変換手段)
63Y,M,C,K:LEDアレイ(複数のビーム出射手段)
64Y,M,C,K:LED駆動回路(出射駆動制御手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2008−250146号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持する潜像担持体の移動する表面に対して所定の間隙を介して対向しつつ、前記表面の移動方向と概ね直交する方向に所定のピッチで並ぶように配設され、それぞれ前記表面に向けてエネルギービームを出射する複数のビーム出射手段と、それらビーム出射手段の駆動を個別に制御する出射駆動制御手段と、それらビーム出射手段からそれぞれ出射したエネルギービームによってそれぞれ前記表面にドットを書き込むことで、前記表面にドットの集合からなる潜像を書き込む潜像書込装置において、
複数のビーム出射手段についてそれぞれ、前記表面の1画素分の領域を、前記表面の移動方向の最下流側に位置する第1分割領域と、前記移動方向の真ん中に位置する第2分割領域と、前記移動方向の最上流側に位置する第3分割領域とに3分割し、それぞれの分割領域に対する前記ドットの書き込みの有無を個別に制御することで、各画素の濃度を8段階で表現し、且つ、前記第2分割領域に対してドットを書き込む場合には、中程度の径の中ドット、中ドットよりも径の小さな小ドット、及び中ドットよりも径の大きな大ドットのうち、小ドットを形成するための駆動制御を実施し、前記第1分割領域に対してドットを書き込む場合には、中ドット及び大ドットのうちの何れか一方を形成するための駆動制御を実施し、前記第3分割領域に対してドットを書き込む場合には、中ドット及び大ドットのうちの他方を形成するための駆動制御を実施するように、前記出射駆動制御手段を構成したことを特徴とする潜像書込装置。
【請求項2】
請求項1の潜像書込装置において、
前記大ドット、前記中ドット及び前記小ドットの組み合わせとして、前記大ドットの面積が前記中ドット及び前記小ドットの合計面積よりも大きくなる組み合わせを採用したことを特徴とする潜像書込装置。
【請求項3】
請求項2の潜像書込装置において、
前記大ドットを形成する際の前記エネルギービームと、前記中ドットを形成する際の前記エネルギービームと、前記小ドットを形成する際の前記エネルギービームとのエネルギー比率として、4:2:1を採用したことを特徴とする潜像書込装置。
【請求項4】
請求項2の潜像書込装置において、
前記大ドットを形成する際の前記ビーム出射手段の駆動時間と、前記中ドットを形成する際の前記ビーム出射手段の駆動時間と、前記小ドットを形成する際の前記ビーム出射手段の駆動時間との比率として、4:2:1を採用したことを特徴とする潜像書込装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの潜像書込装置において、
各画素についてそれぞれ3ビット以上のビット数で単色の画像濃度を表現するオリジナルの画像データにおける、最上位のビットである第1ビット、最上位から2番目のビットである第2ビット、及び最上位から3番目のビットである第3ビットの3つを使用し、前記第1分割領域に対して前記大ドット及び中ドットのうちの一方を書き込むか否かのデータに変換する処理を、前記第1ビット、前記第2ビット、及び前記第3ビットのうち、何れか1つのビットのオリジナルデータに施し、前記第3分割領域に対して前記大ドット及び中ドットのうちの他方を書き込むか否かのデータに変化する処理を、前記何れか1つのビットではない残り2つのビットにおける一方のビットのオリジナルデータに施し、且つ、前記第2分割領域に対して前記小ドットを書き込むか否かのデータに変換する処理を、前記残り2つのビットにおける他方のビットのオリジナルデータに施して、オリジナルの画像データを仮変換した後、1画素あたり3ビットで単色の画像濃度を表現するデータに変換する処理を実施した後、処理後のデータを前記出射駆動制御手段に転送するデータ変換手段を設けたことを特徴とする潜像書込装置。
【請求項6】
自らの移動する表面に潜像を担持する潜像担持体と、前記表面に潜像を書き込む潜像書込手段と、前記表面に担持された潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置において、
前記潜像書込手段として、請求項1乃至5の何れかの潜像書込装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
潜像を担持する潜像担持体の移動する表面に対して所定の間隙を介して対向しつつ、前記表面の移動方向と概ね直交する方向に所定のピッチで並ぶように配設され、それぞれ前記表面に向けてエネルギービームを出射する複数のビーム出射手段と、それらビーム出射手段の駆動を個別に制御する出射駆動制御手段と、それらビーム出射手段からそれぞれ出射したエネルギービームによってそれぞれ前記表面にドットを書き込むことで、前記表面にドットの集合からなる潜像を書き込む潜像書込装置において、
複数のビーム出射手段についてそれぞれ、前記表面の1画素分の領域を、前記表面の移動方向の最下流側に位置する第1分割領域と、前記移動方向の真ん中に位置する第2分割領域と、前記移動方向の最上流側に位置する第3分割領域とに3分割し、それぞれの分割領域に対する前記ドットの書き込みの有無を個別に制御することで、各画素の濃度を8段階で表現し、且つ、前記第2分割領域に対してドットを書き込む場合には、中程度の径の中ドット、中ドットよりも径の小さな小ドット、及び中ドットよりも径の大きな大ドットのうち、小ドットを形成するための駆動制御を実施し、前記第1分割領域に対してドットを書き込む場合には、中ドット及び大ドットのうちの何れか一方を形成するための駆動制御を実施し、前記第3分割領域に対してドットを書き込む場合には、中ドット及び大ドットのうちの他方を形成するための駆動制御を実施するように、前記出射駆動制御手段を構成したことを特徴とする潜像書込装置。
【請求項2】
請求項1の潜像書込装置において、
前記大ドット、前記中ドット及び前記小ドットの組み合わせとして、前記大ドットの面積が前記中ドット及び前記小ドットの合計面積よりも大きくなる組み合わせを採用したことを特徴とする潜像書込装置。
【請求項3】
請求項2の潜像書込装置において、
前記大ドットを形成する際の前記エネルギービームと、前記中ドットを形成する際の前記エネルギービームと、前記小ドットを形成する際の前記エネルギービームとのエネルギー比率として、4:2:1を採用したことを特徴とする潜像書込装置。
【請求項4】
請求項2の潜像書込装置において、
前記大ドットを形成する際の前記ビーム出射手段の駆動時間と、前記中ドットを形成する際の前記ビーム出射手段の駆動時間と、前記小ドットを形成する際の前記ビーム出射手段の駆動時間との比率として、4:2:1を採用したことを特徴とする潜像書込装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの潜像書込装置において、
各画素についてそれぞれ3ビット以上のビット数で単色の画像濃度を表現するオリジナルの画像データにおける、最上位のビットである第1ビット、最上位から2番目のビットである第2ビット、及び最上位から3番目のビットである第3ビットの3つを使用し、前記第1分割領域に対して前記大ドット及び中ドットのうちの一方を書き込むか否かのデータに変換する処理を、前記第1ビット、前記第2ビット、及び前記第3ビットのうち、何れか1つのビットのオリジナルデータに施し、前記第3分割領域に対して前記大ドット及び中ドットのうちの他方を書き込むか否かのデータに変化する処理を、前記何れか1つのビットではない残り2つのビットにおける一方のビットのオリジナルデータに施し、且つ、前記第2分割領域に対して前記小ドットを書き込むか否かのデータに変換する処理を、前記残り2つのビットにおける他方のビットのオリジナルデータに施して、オリジナルの画像データを仮変換した後、1画素あたり3ビットで単色の画像濃度を表現するデータに変換する処理を実施した後、処理後のデータを前記出射駆動制御手段に転送するデータ変換手段を設けたことを特徴とする潜像書込装置。
【請求項6】
自らの移動する表面に潜像を担持する潜像担持体と、前記表面に潜像を書き込む潜像書込手段と、前記表面に担持された潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置において、
前記潜像書込手段として、請求項1乃至5の何れかの潜像書込装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−39795(P2013−39795A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179541(P2011−179541)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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