潤滑化合物及びそれから作られる医療装置
本発明は、ポリマー材料の少なくとも1種が水不溶性ポリマーであり、かつ材料の1種が潤滑水溶性ポリマーである、潤滑ポリマーブレンドを含む。本発明は、選択されたポリマーを溶融混合し、かつ次にポリマーブレンドを所望の形状に形成することによって所望の医療装置を形成する方法を含む。方法は、摩耗力、又は水のような潤滑表面を抽出する材料への曝露中に、潤滑ポリマーの保持を改良するために、医療装置に成形される前又は後でポリマーブレンドを架橋することを更に含む。ポリマーブレンドを架橋することは、架橋剤を添加すること及び/又は選択された不活性雰囲気の存在下でポリマーブレンドを架橋することによって改良できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は親水性ポリマーに関する。特には、本発明は、表面からの物理的摩耗に対する改良された耐性を有する親水性潤滑ポリマーブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
感水(water-sensitive)親水性ポリマーは、種々のパーソナルケアや医療装置の製造において一般に使用される。感水ポリマーは、装置が水又は体液のような水溶液によって濡らされる時に装置に潤滑性を提供する働きをする。感水ポリマーは、意図される用途に関して装置に適切な構造特性と機械的完全性を提供する働きをする水不溶性ポリマーと共に使用できる。潤滑特性の利益を受けられる典型的な医療装置には、例えば、カテーテル、ガイドワイヤ、気管内チューブ、インプラントを含む。
【0003】
特許により、親水性である水溶性ポリマーを有するコーティング医療装置が報告されている。かかる親水性コーティングは、潤滑性又は「すべりやすい」コーティングとも呼ばれた。概して、親水性ポリマーは、適切な溶媒中で溶解され、かつ次に所望の医療装置に塗布される。溶媒は、次にコーティングを生み出すために蒸発させられる。オーブン乾燥は、溶媒を除去するために利用できる。親水性材料が、湿式法で溶媒を利用して、表面を被覆される時、ポリマーは通常、極めて薄い層として形成される。親水性コーティングは、長期にわたる乱流、機械的摩耗又は浸漬で、分解するか、又は除去されることがある。溶液コーティングや硬化工程のアプローチに対する他の欠点には、溶液のポットライフ、コーティング厚さ制御、耐久性が含まれる。例えば、特許文献1〜5を参照せよ。
【0004】
特許文献6は、滑らかなコーティングを備えた成形医療装置を調製する方法を開示している。ポリウレタンとポリビニルピロリドンのブレンド、及びポリエチレングリコールを含むコーティング組成物は、その後、水と接触する時に滑らかになるコーティング組成物の層を有する成形医療装置を生じさせるために基板ポリマーと同時押出される。
【0005】
特許文献7は、ポリエチレンオキシドとポリウレタンの溶液によって基板を被覆する方法を開示する。ポリエチレンオキシドは、ポリウレタンと混合される。ブレンドは、次に溶液に形成され、かつ次に医療装置に塗布され、かつコーティングを形成するために乾燥させられる。
【0006】
特許文献8、9は、ひげ剃りシステムで利用するためのポリマーブレンドを報告する。これらの特許において教示されたポリマーブレンドは、皮膚の滑らかさ提供するために、使用によってすり減るように特別に設計されている。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4119094号明細書
【特許文献2】米国特許第5077352号明細書
【特許文献3】米国特許第5091205号明細書
【特許文献4】欧州特許第0106004(B1)号明細書
【特許文献5】欧州特許第0166998(B1)号明細書
【特許文献6】米国特許第5061424号明細書
【特許文献7】米国特許第5041100号明細書
【特許文献8】米国特許第5113585号明細書
【特許文献9】米国特許第5454164号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、医療装置に組み込むための改良された潤滑ポリマー材料が、技術において必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、水不溶性ポリマーと、親水性水溶性ポリマーとを含む2種以上のポリマー材料のブレンドを含み、ポリマーブレンドは、潤滑表面を提供する微細分散したブレンドである。
【0010】
本発明のもう1つの実施態様は、潤滑ポリマーから医療装置を形成する方法を含み、ステップは、約200000〜約7000000の間の分子量のポリエチレンオキシドを乾燥させるステップと、ポリエーテルブロックアミドを乾燥させるステップと、ポリマーを所望の率で配合押出機に供給することによってポリマーをおおむね均一のブレンドに溶融混合するステップと、ブレンドを所望の医療装置に形成することと、ポリマーブレンドを架橋するステップとを含む。
【0011】
もう1つの実施態様は、ポリマーブレンドを形成するために水不溶性ポリマーと溶融混合される水溶性ポリマーを含む、摩耗に対する改良された耐性を有する潤滑ポリマーブレンドコーティングであり、ポリマーブレンドは、所望の表面に被覆され、かつ所望の放射線量への曝露によって架橋される。
【0012】
複数の実施態様が開示されているが、本発明の更に他の実施態様は、本発明の例示的な実施態様を示し、かつ記載する以下の詳細な説明から当業者にとって明らかになるであろう。従って、図面及び詳細な説明は、性質が例示的であるとみなされるべきであり、制限的とみなされるべきでない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、潤滑親水性ポリマーブレンドの配合と製造方法であり、またそれを組み込んだ医療装置である。潤滑親水性ポリマーブレンドは、「ポリブレンド」、「親水性ポリブレンド」又は「潤滑ポリマー」と呼ばれることがある。その上、ポリブレンドは、架橋及び適切な水性溶媒への曝露後は、ヒドロゲルと呼ばれることがある。ヒドロゲルは、粒子が水性溶媒中で分散するが、溶液にその構造を僅かにだけ失うか、少しも失わないコロイドゲルである。
【0014】
潤滑親水性ポリブレンドは、潤滑水溶性ポリマーと、不溶性ポリマーとを含む。2種のポリマーは、微細分散したポリブレンドを形成するために、溶融混合され、かつ凝固させられる。本発明のポリブレンドは、押出、同時押出、射出成形又はダイフォーミングによって形成された医療装置に潤滑コーティングを提供するために利用できるか、又は更なる実施態様において、ポリブレンドは、医療装置に直接被覆できる。本発明の潤滑親水性ポリブレンドを使用して形成されたコーティングの実施態様は、以前に教示された潤滑コーティングと比較して強固であり、かつ優れた性能を備えている。認識できるように、潤滑親水性ポリブレンドは、最終製品に所望の潤滑性を与えるために、いかなるタイプの下層構造品又はフレームワークによっても形成でき、あるいはその上に形成できる。
【0015】
潤滑表面が、摩擦力減少に影響を及ぼすので、本発明のポリブレンドを組み込む、ガイドワイヤ、カテーテル、シース、管等のような医療装置は、挿入の間、身体への損傷を減少させることに役立つ。かかる医療装置は、同様に血液凝固を減少させることにも役立つ。従って、本発明の材料は、送給処置中に装置が動かなくなること又は張り付くことの防止に役立つ。その上、潤滑ポリブレンドは、潤滑ポリマーが構造(又はマトリックス)ポリマー中に捕捉されるので、使用中、放出されない、又は摩耗しない。
【0016】
潤滑水溶性ポリマーの選択は、多数の要因によって決まる。潤滑ポリマーは、構造ポリマー中で部分的に混和性であるが、完全に混和性でない。潤滑ポリマーが、完全に混和性であるよりもむしろ部分的にのみ混和性である時、最終潤滑親水性ポリブレンドは、ポリブレンド全体に分散された潤滑物質のポケットを保持する。潤滑ポリマーはまた、構造ポリマーよりも低い融点を有し、かつそれ故に所与の温度で低い粘度を有することがある。低い粘度の潤滑ポリマーは、ポリブレンドの外面に向かって移動する可能性が高い。潤滑親水性物質は、水中でそれ自体の重量の何倍もを吸収できることがある。
【0017】
その上、分子量は、最終化合物の潤滑性に影響を与えることがあり、そのためポリマー選択の要因である。押出用樹脂は、より高い分子量であり、かつそれ故により高い溶融強度を有し、かつより容易に加工される溶融流動性を有する。
【0018】
潤滑親水性ポリマーには、ポリエチレンオキシド(PEO)を含む。ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチルビニルアルコール(EVOH)、ポリエチルビニルアセテート(EVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)のような他の潤滑材料も、組み込まれても良く、かつ当業者に公知の他の水溶性潤滑ポリマーも、組み込まれても良い。
【0019】
構造ポリマーには、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、オレフィン由来コポリマー、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、天然及び合成ゴム、スチレニクス(styrenics)、熱可塑性エラストマー、その他の特殊ポリマーを含むことができる。ポリアミドには、Nylon(登録商標)12及び11、Pebax(登録商標)、並びにVestamid(登録商標)樹脂のようなホモポリマー及びコポリマーを含むことができる。Nylon(登録商標)11及びNylon(登録商標)12コポリマーは、ショア硬度が約80D〜25Dに変動できる。Pebaxは、Arkema、Philadelphia、Pa.によって製造されるポリエーテルブロックアミドであり、かつ種々のジュロメータで利用できる。ポリウレタンには、Pellethane(登録商標)又はTexinのようなポリエステルウレタンとポリエーテルウレタンを含む。1種の構造ポリマーは、約75D〜90Dのショア硬度を有するポリエーテルウレタンを含む。ポリエステルは、Hytrel(登録商標)やArnitel(登録商標)のようなポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びコポリエステルを含む。ゴムは、シリコン又はSantoprene(登録商標)を含む。熱可塑性エラストマーは、Kraton(登録商標)のような市販の材料を含む。
【0020】
ある種の実施形態において、構造ポリマーは、ポリブレンドの水和速度と膨張を制御するために、所定量によって架橋できる。更なる実施形態において、例えばIrganox B225又は1098のような安定剤が親水性ポリマーブレンドに含まれる。ポリマーブレンドは、安定剤、薬剤、混合助剤、流動助剤、可塑剤、熱安定剤、抗菌剤等のような他の好適な材料を含むように配合される。更なる実施形態において、他の酸化防止剤、又は他のタイプの添加剤も、利用できる。
【0021】
本発明の1種の親水性ポリブレンドは、30重量%まで、又は約30〜約60重量%のPEOを含む。ポリブレンドは、更に35〜50%、40〜50%のPEO、又は特に約40%のPEOを含む。好ましくはPEOは、100000より高い分子量である。PEOは、約200000〜約7000000、特には約500000〜2000000、又は特には約1000000の分子量を含む。なおも更なる実施形態において、ポリブレンドは、押出中に、又は他の医療装置形成工程中に低い重量%の親水性ポリマーにより材料を形成するために希釈できる。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
7000000の分子量を有するPEO(Dow WSR 303)が、親水性ポリマーとして選択され、かつPebax 72Dが、構造ポリマーで選択された。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含んだ。
【0023】
【表1】
【0024】
ポリエーテルブロックアミドは、最初に170°F(76.7℃)で4時間乾燥させられた。PEOは、60℃、真空炉(<25ミリバール)内で4時間乾燥させられた。本実施例及び以下の実施例全体における乾燥時間は、おおよその記載された時間かそれ以上である。ポリマー材料は次に、配合押出機に添加するために、フィーダ制御装置によって制御される2つのフィーダに別個に装入された。配合押出機は、Werner and Pfliedere ZSK30共回転二軸スクリュー押出機であった。押出機は、一方が分散的であり、かつ一方が分配的である、各々が要素の6つの直径を有する2つの混合ゾーンを含む低剪断/低エネルギースクリューを備えている。選択されたスクリューのアスペクト比は、30:1の長さ:直径であり、かつ要素を搬送し混合するモジュールを含む。
【0025】
PEOフィーダは、70グラム/分に設定され、かつPebaxフィーダは、93グラム/分に設定された。混合バレルは、4つの加熱ゾーンを含む。種々の加熱ゾーン及びスクリューのタイプと速度は、2つの材料供給流が、ダイを通過する前に混合され、均質化されることを可能にした。バレルの温度ゾーンは、320〜375°Fで変動した。押出機応答は、72%の駆動トルクを有し、かつ押出機出力は、毎時22ポンドであった。ダイ温度は、375°F(190℃)に設定され、かつダイ圧力応答は、350psiであった。ダイ温度ゾーンと圧力は、所望のストランド粘度を確保するように制御される。材料がダイを通過する時の材料の伸長粘度(すなわち溶融強度)は、生成されたポリブレンドストランドが、適切に冷却されるまでその形状を維持するように、調節された。
【0026】
本実施形態において、直径0.180”インチ(0.46cm)の4つの孔を有するダイが、ポリブレンドを4つの平行なストランドに形成するために利用された。押出されたポリブレンドストランドは、次に引き伸ばされ、かつ冷却ローラ上で冷却された。各ストランドは、ペレット化される前に0.100”(0.25cm)に引き伸ばされた。冷却水/グリコール溶液(1:1)が、各ローラを冷却したが、本実施形態において、水は、冷却工程中に親水性ポリブレンドに触れなかった。利用した冷却ロールは、Davis Standard実験室用3ロールスタックシート押出ローラであった。ペレタイザは、Galaストランドペレタイザであった。
【0027】
一旦溶融ストランドが凝固すると、ポリマーブレンドは、210回転/分に設定されたペレタイザによってペレットに細断/切断された。
【0028】
(実施例2)
7000000の分子量を有するPEOが、親水性ポリマーとして利用され、かつPebax 72Dが、構造ポリマーとして選択された。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含む。
【0029】
【表2】
【0030】
(実施例3)
次の実施例は、7000000の分子量を有するPEOと、Pebax 72Dを利用した。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを60重量%含む。
【0031】
【表3】
【0032】
(実施例4)
1000000の分子量を有するPEO(Dow WSR N12K)が、親水性ポリマーとして利用され、かつPebax 72Dが、構造ポリマーであった。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含む。
【0033】
【表4】
【0034】
(実施例5)
200000の分子量を有するPEO(Dow WSR N80)が、Pebax 72Dと混合された。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含む。
【0035】
【表5】
【0036】
(実施例6)
親水性ポリマーは、1000000の分子量を有するPEOであり、かつ構造ポリマーは、Pebax 72Dであった。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含む。
【0037】
【表6】
【0038】
(実施例7)
7000000の分子量を有するPEOは、構造ポリマーとしてのHDPEと混合された。HDPEは、Quantum HDPE 6007(0.6MFI)であった(フィリップススラリー法)。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを35重量%含む。HDPEは、疎水性なので、PEOのみが乾燥されられた。PEOは、水分約0.03重量%まで真空下で乾燥されられた。
【0039】
【表7】
【0040】
(実施例8)
7000000の分子量を有するPEOは、Pebax 72Dと混合された。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを35重量%含む。両方の材料は、水分約0.03重量%まで真空下で乾燥された。
【0041】
【表8】
【0042】
(実施例9)
9番目の実施例において、7000000の分子量を有するPEOは、親水性ポリマーとして利用され、かつHDPEが、構造ポリマーであった。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含む。PEOは、水分約0.03重量%まで真空下で乾燥された。生成されたストランドは、ストランドをほぼ室温で水浴に通すことを含む従来の手段によって冷却され、かつ次にペレット化された。
【0043】
【表9】
【0044】
(実施例10)
7000000の分子量を有するPEOは、親水性ポリマーとして利用され、かつPebax 72Dが、構造ポリマーであった。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含む。生成されたストランドは、空気調和機によって冷却されたコンベヤベルト上で動かすことによって冷却され、かつ次にペレット化された。
【0045】
【表10】
【0046】
(実施例11)
親水性ポリブレンドが、7000000の分子量を有する、80重量%のPellethane 90Aと、20重量%のPEOを利用して形成された。2種のポリマーは、最初に約2重量%のトリアリールトリアジントリオン(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、WI)と約0.2重量%のIrganox 1098と一緒に混合された。材料は、1つのフィーダを通して押出機に添加された。
【0047】
【表11】
【0048】
(比較例)
Pebax中のPEO対Pebax中のPVPの混和特性が比較された。0.2pphr(樹脂100に対する部数)のIrganox B225を有する、40%のPEO(WSR N12K、分子量1000000)/60%のPebax 72Dのポリブレンドが、0.2pphrのIrganox B225を有する、40%のPVP(K−90、分子量900000〜1700000)/60%のPebax 72Dのポリブレンドと比較するために配合された。各ポリブレンドの作成後、材料は、シリンダに押出され、かつ横断面を作られた。試料は、親水性相を溶解するために、水中に室温で8時間、置かれた。各試料は、次に8時間、真空炉内で脱水され、かつ走査型電子顕微鏡で見るために、金めっきされた。図1は、PEOポリブレンドの走査型電子顕微鏡を示す。PEOは、構造材料中で一貫し、かつ均一の分散を示した。示したようにPEOとPebaxは、実質的に均一である、微細分散したブレンドを形成する。図2は、PVPポリブレンドを示す。PVPポリブレンドの画像から、PVP小滴が、均一寸法でなく、より大きく、かつ僅かに分散していることが明らかである。従ってPEOは、より微細に分散したポリブレンド材料を作成する。PVP材料の塊は肉眼で見えた。従って、PVPポリブレンドは、ポリエーテルブロックアミド構造ポリマー中で混和性が低く、かつより均一でない潤滑表面を示す。その上、表面上の大きい不規則なPVP堆積物は、ポリブレンドを脆くし、かつそれ故に使用中に折れることを容易にし、かつ体内に汚染物質として放出される恐れがある。
【0049】
同時押出PEO及びPVPポリブレンドの各々は、医療装置中での適合性に関してもテストされた。PVPポリブレンドは、脆い特性を示し、かつ5%未満しか延長できなかった。化合物の脆性は、化合物を医療装置用途に許容不可能にした。更に、37℃の水中で水和すると、同時押出PVPは、手にとって中適度にのみ潤滑性になった。
【0050】
比較すると、PEOポリブレンドは、高い強度を有する靱性混合物になった。PEOポリブレンドは、テストされ、かつ80%より大きな延長値を示した。PEOポリブレンドの靱性はまた、PEOポリブレンドを医療装置用途に有用にした。更に、37℃の水中で水和すると、PEOポリブレンドは、手にとって非常に潤滑性になった。従ってPEOポリブレンドは、医療装置潤滑用途に関してPVPポリブレンドよりも優れている。
【0051】
ポリブレンドから形成された医療装置
【0052】
図3Aは、PEOポリブレンドから形成された、内層12と、ポリマー外層14を有する二層管10を示す。管10は、同時押出によって形成でき、かつ内層12は、厚さ約0.001〜0.0025インチ(0.00254〜0.00635cm)である。更に管10は、例えばカテーテル、シース、ステント又はリード送給装置、導入器、又は拡張器のようないかなる医療装置に組み込まれても良い。管12は更に、先に論じたPEOポリブレンド材料のいずれからも作ることができる。図3Bに示すように、外層14は、潤滑ポリブレンドであっても良い。
【0053】
内層12は、血液又は水のような他の適切な極性液体に曝露される時、潤滑表面を形成する。潤滑表面は、管を通過する時にリード又はステントによって起こる抗力摩擦を減少できる。その上、潤滑表面は、入れ子式の二重カテーテル装置の一部として組み込まれる時に抗力摩擦を減少できる。この入れ子式実施形態において、潤滑層は、外部ガイドの内側、内部ガイドの外側又は両方に含まれる。
【0054】
更なる実施形態において、内層12(又は潤滑ポリマーブレンドを利用して形成された他の医療装置)は、例えば10kEVの電子ビームによって電子線架橋できる。かかる電子ビームは、5又は10Mradのような種々の強度であっても良く、かつ1回、2回又は2回以上適用できる。かかる電子ビームを利用することは、カテーテルを滅菌し、かつカテーテルの層を一緒に固着することを支援するためにも、当該技術分野において公知である。内層12を架橋することは、ステント又は他の装置が、カテーテルの管腔を通過する時にPEOの保持率を改良する。かかる架橋は、カテーテル外側の潤滑表面の保持率も改良できる。架橋は、更に膨張率を減少できる。
【0055】
PEOポリブレンドの架橋は、水膨潤可能な架橋ポリマーマトリックス(相互浸透架橋網)を形成できる。かかる材料は、水和された時、ヒドロゲルを形成できる。水和中、ヒドロゲルは、水溶液中で溶解しないが、水膨潤し、かつ潤滑になる。PEOポリブレンドを曝露する適正量の電子ビームエネルギーを決定することは、水和中に溶解する遊離PEOの量を最小限に抑えることによって決定できる。この量は、架橋、水和、乾燥後のヒドロゲルのゾル点、又は減量によって決定できる。認識できるように、種々の構造ポリマー材料は、この方法で多かれ少なかれ架橋できる。その上、架橋を改善し、かつ結果として生じる構造に影響を及ぼすために、他の作用剤がポリブレンドに添加できる。
【0056】
一実施形態において、二層カテーテルライナ(管)は、内層として40%のPEO(分子量100万)/Pebax 72Dのポリブレンドを、外層としてNylon 12と共に使用して同時押出によって形成された。PEOポリブレンド内層は、厚さ約0.002インチ(0.005cm)であった。ライナの膨張性は、次に、37℃で水浴中で浸漬し、かつ一定の時間間隔で測定することによって決定された。図4、及び以下に再現したデータから見られるように、94時間後、ライナの内径は、約2.2%変化しただけであり、かつ外径は、約3.1%変化しただけであった。
【0057】
【表12】
【0058】
図5Aに示したなおももう1つの実施形態において、親水性ポリブレンドは、三層管16Aの一部であっても良い。潤滑ポリブレンドは、内層18であり、かつ外層20としてもう1種のポリマーを含んでも良い。第3の材料でできた第3層22は、内層18と、外層20の間に、それらを一緒に固着することを支援するために配置される。1つのかかる第3層22は、グラフト無水マレイン酸又はアクリル酸コポリマーを含む。なお、更なる実施形態において、図5Bに示すように、潤滑ポリブレンドは管16Bの外層20である。更にもう1つの実施形態において、図5Cに示すように、管16Cの内層18と外層20の外は、両方とも潤滑ポリブレンドである。
【0059】
図6〜7は、本発明の2種の配合物を、当該技術分野において公知の潤滑コーティングに対して比較している。ポリブレンドは、Pebax 72Dとブレンドされた40重量%と20重量%のPEO(分子量1000000)を含むように配合された。40%のPEOポリブレンドは、実施例1に示すように作られた。20%のPEOポリブレンドは、より多くのPebax 72Dによる押出工程中に、40%のPEOを希釈することによって作り出された。テストは、血管構造をシミュレートし、かつカテーテルを通してリードを引っ張るために必要な力を測定するために、親水性ポリブレンドによりカテーテル内部を被覆し、かつInstron Universal Testing Machine(Canton、PA)に取り付けられた、シリコンとポリウレタン被覆リードを使用することにより、行われた。
【0060】
図6に示すように、本発明のポリブレンドが、コーティングを形成するために利用される時、シリコンの上の摩擦力は、3種の以前公知であった化合物よりも良好である。図は、各々が20重量%と40重量%のPEO化合物、Microglide(登録商標)被覆PTFE、PTFE、Microglide(登録商標)被覆nylon 12によって別個に被覆された種々のカテーテルを例示している。図7に示したように、本発明のポリウレタンの上の摩擦力は、3種の化合物の2種よりも良好であり、かつ第3材料とほぼ同じである。
【0061】
認識できるように、更なる実施形態において、本発明の潤滑ポリブレンドは、潤滑層の利益を受ける当業者に知られた、いかなるタイプの医療装置によっても利用できる。
【0062】
もう1つの実施形態において、20%のPEO−PUポリブレンド(Pellethane(登録商標)90AE)材料が形成された。材料は、次に管を形成するために押し出され、かつ5及び10Mradでの電子ビームへの曝露によって架橋された。図8に示したように、マトリックスを形成するために、ポリブレンドを架橋することは、管の、水和された時の全体的膨張を減少させることに役立った。
【0063】
更なる実施形態において、前記混合物のいずれかから形成された管材は、その教示及び開示事項全体が、参照することにより組み込まれる米国特許第6695915号に開示されたような工程を使用して、ガイドワイヤを直接被覆するために、溶融され、かつ利用されても良い。かかるガイドワイヤは、挿入中に血液に曝露される時、潤滑性であっても良く、かつそれ故に血管系に更に先まで容易に挿入できる。更に、膨張減少が、血管系挿入に役立つ。潤滑親水性ポリブレンドはまた、ガイドワイヤを親水性ポリマーブレンドの溶融プールに直接浸すような当業者に公知の他の方法、又は当業者に公知の他のいかなる方法によってもガイドワイヤ上に被覆できる。ガイドワイヤの種々の特性を、ポリブレンドを、ガイドワイヤへの接着に影響を与えるようにすることができる。更なる実施形態において、プレコーティング又は他の前処理が、ポリブレンドによる被覆の前に、ガイドワイヤに適用できる。更に、ガイドワイヤ上に被覆された材料を架橋することは、膨張を減少させ、かつ潤滑材料の保持を改良できる。
【0064】
本発明のポリブレンドが望ましい潤滑性を与える他の静脈内装置には、1)内層として親水性化合物を使用する案内カテーテルシャフトと、2)親水性化合物が内層であり、かつ動脈中の凝固、コレステロール又は他の血液成分の蓄積を予防するために抗凝血剤を含浸させた、ポリマーシャント又はステント送給装置と、3)埋め込み型装置(リード)外層又は内層と、4)リード電極コーティングとを含む。
【0065】
もう1つの実施形態において、40%のPEO(WSR N12K、分子量1000000)/60%のPebax 72Dのポリブレンドが、実施例1でのように形成された。材料は次に、約0.098インチ(0.249cm)の内径及び約0.105インチ(0.267cm)の外径を有する中空のカテーテル管を形成するために押し出された。カテーテルの潤滑性質と潤滑性質の保持が、カテーテルを37℃の水に浸し、かつそれを、ポリカーボネートでできたテストブロックに切断される正弦曲線通路に挿入することによって、次にテストされた。先端にシリコンの付いたPUリードが、テストブロック中に含まれる間、カテーテルを通して前後に移動させるために必要な力を測定するために、変換器が使用された。テストブロックは、カテーテルの比較ための均一のプラットホームを提供し、かつ正弦曲線形状は、カテーテルが、患者への挿入中に作らねばならないであろう血管構造における曲線を表す。
【0066】
図9に示したように、PUリードの挿入(+力)及びリードの引き出し(−力)に必要な力は、各サイクルにわたって増加し、著しい増加は、約6サイクル後に現れた。必要な力の増加は、PUリードの通過中、ポリブレンドからの潤滑PEOの摩耗のために起こる。その上、PEOが水溶性なので、若干量のPEOは、溶解により失われる。
【0067】
潤滑性質の損失を減少させようとして、もう1つのカテーテル管が、同じポリブレンド材料から形成されたが、ポリブレンドを架橋するために、50キログレイ(Kgy)(5Mrad)の電子ビーム放射線に曝露された。架橋は、PEOからPEO、PebaxからPebax、及びPEOからPebaxの1つ以上の間で起こる。最後の架橋は、架橋されたPebax材料のバックボーンへのPEOのグラフトを含む。架橋は、熱可塑性材料を熱硬化性樹脂に変形させ、その分子量を増加させることに加えて、放射線に曝露される時、ポリブレンドを、それが持つ形状に固定する。PUリードをカテーテルに通すために必要な力をテストするための同じ手続きが、変換器及びテストブロックを使用して、次に実行された。
【0068】
図10に示したように、PUリードを挿入し、かつ次に引き出すために必要な力は、非架橋カテーテルにより行ったので、時間の経過に伴い著しく増加しなかった。その代わりに、挿入力は、数回の行程後に、概して横ばい状態になった。従って、ポリブレンドの架橋は、カテーテル管の潤滑性質の保持を改良した。潤滑性質の保持は、ポリブレンドからの潤滑PEOの損失の停止又は減少に起因する。
【0069】
水が、ポリブレンドからPEOを抽出したかを決定するために、PEO(WSR N12K、分子量1000000)/60%のPebax 72Dのポリブレンド(非架橋)のペレットが、37℃の水中に48時間、浸漬された。液体の試料は、次に回収され、スライド上に置かれ、かつ乾燥させられた。試料は、溶液中で材料を識別するために、フーリエ変換赤外(FTIR)分光光度計でテストされた。図11は、ポリブレンド抽出物のスペクトルグラフを20に示す。PEO溶液標準のスペクトルグラフは30に示される。
【0070】
PEO標準との抽出物の比較は、PEOが、溶液中に存在したことを示す。従って、水中に非架橋ポリブレンドを浸漬することは、ポリブレンドから溶液へのPEOの損失をもたらす。その上Pebaxは、検出されなかった。従って、PEOのみ、又は実質的にPEOのみが水によって抽出され、かつPEOの損失が、材料の潤滑性質を減少させると考えることができる。
【0071】
ポリブレンドに対する放射線の影響をより良く決定するために、ペレットの追加の試料が、1、2.5、5、10、25Mrad(1Mrad=10Kgy)で照射され、かつASTM D2765に記された手続きの幾つかを使用してテストされた。1つのテストにおいて、照射された各試料は、重量を測定され、37℃の水に48時間、浸され、すすがれ、乾燥させられ、かつ次に再度重量を測定された。ゲル点テストと呼ばれる、このテストは、失われたPEOの重量百分率を決定するために使用された。もう1つのテストにおいて、照射されたポリブレンドは、4時間、水中で37℃で浸漬され、かつ曇りに関して検査された。溶液が曇っているほど、より多くのPEOが、溶液にポリブレンドによって失われる。
【0072】
図12に示したように、ゲル点テスト中にポリブレンドから抽出されたPEOの重量百分率は、5Mradまでの放射線によって照射された試料に関して、減少した。5Mradから10Mradの間のある点で、水によって抽出されたPEO量は、増加し始めた。従って、架橋が、改良されたPEO保持能力を有するポリブレンドをもたらし、かつそれ故に潤滑性の保持を改良することが明白である。5Mradから10Mradの間の放射線量によって抽出されたPEOの増加は、ポリブレンドの切断に起因する。更なる架橋材料を形成するよりもむしろ、放射線は、分解する連鎖をすでに引き起こし、かつそれ故に分子量を減少させ、かつそれ故にPEOの保持減少を引き起こす。
【0073】
図13に示したように、水の曇りは、放射線量の増加により変化した。ビーカー中の溶液の曇り増加は、ポリブレンドから抽出され、かつ溶液中に溶解したPEO量の増加を表す。2.5Mrad及び5.0Mradの放射線量に曝露されたポリブレンド材料を浸漬することから作られた溶液は、最も透明な水抽出物を生成した。更に、重量百分率テストと一致して、5.0Mradから10.0Mradの間のいずれかでの放射線の曝露は、溶液の曇り増加を引き起こし始め、ポリブレンドから抽出されたPEO量の増加を示した。異なる実施形態において、異なるポリブレンド比を使用するか、又はポリブレンドを形成するために異なる材料を使用すると、潤滑ポリマー保持を改良するように、最適化された架橋状態に至るために必要な放射線エネルギー量が変わる。
【0074】
次に、電子ビーム放射線への曝露の間に、不活性雰囲気中での架橋剤の添加とポリブレンドの浸入は、両方とも検査された。ポリブレンドペレットの4種の試料は、2.5Mradの放射線によって種々の条件で照射され、かつ非照射ペレットと比較された。電子ビーム放射線条件には、1)通常の空気雰囲気、2)不活性アルゴン雰囲気、3)架橋剤を添加した通常の空気雰囲気、4)架橋剤を添加した不活性雰囲気を含む。
【0075】
架橋剤を含んだ実施例に関して、約1重量%のトリアリルイソシアヌレート(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、WI)が、ポリブレンド材料と混合された。本実施形態において、架橋剤は、ポリブレンドの形成中に添加された。ポリブレンドの形成及び混合中の架橋剤の添加は、架橋剤が材料の流れ特性を改良したので、改良された混合を同様にもたらした。更なる実施形態において、架橋剤は、所望の、かつ架橋剤及びポリブレンドと適合するいかなるステップ中にも、添加できる。
【0076】
架橋中、所望の雰囲気に種々のポリブレンド材料を曝露するために、ポリブレンドペレットは、最初に箔で裏打ちした袋に入れられた。袋中の雰囲気は、次に除かれ、所望の不活性ガス又は混合気体と取り替えられ、かつ密封された。5種のペレット試料の各々は、次に重量を測定され、37℃で48時間水中に浸漬され、乾燥させられ、かつ次に再度重量を測定される。
【0077】
図14〜15に示したように、材料の減量率は、架橋によって減少し、かつ不活性雰囲気中での架橋によって更に減少した。更に、架橋剤の添加は、失われたPEO量の更に大幅な減少を引き起こした。通常の雰囲気中での架橋剤の添加及び放射線への曝露は、単に不活性雰囲気中での(架橋剤のない)架橋よりも更に大幅にPEO損失を減少させた。不活性雰囲気及び架橋剤の使用の組み合わせは、テストされた試料の最低のPEO損失を有するポリブレンドペレットを提供した。
【0078】
以上に論じたテストは、電子ビーム架橋が、ポリブレンドの水溶性潤滑成分の保持を改良するために有効な方法であることを示す。架橋ポリブレンドから作られた医療装置の潤滑性損失は、従って減少できる。更に、架橋剤の添加及び不活性雰囲気中で架橋を実行することは、ポリブレンドの架橋の有効性を向上させる。ポリブレンドからのPEO損失の減少は、潤滑性損失の減少に対応する。
【0079】
更なる実施形態において、架橋剤は、例えばトリアリルシアヌレート、ジアリルシクロヘキサン、1,7オクタジエン、1,9デカジエン及び2,4,6トリアリルオキシ−1,3,5トリアジンのような多官能アリル材料のような他の材料を含む。他の実施形態において、他の架橋剤が、利用される具体的なポリブレンド配合に応じて使用できる。なおも更なる実施形態において、不活性雰囲気は、例えば窒素のような他の不活性ガスを含む。追加の実施形態において、放射線曝露がポリブレンドのニーズに多少応じても良く、かつ25Mrad以下又は超を含む。
【0080】
以上に論じた他のポリブレンド材料を含むが、それらに限定されない他のポリブレンド材料の架橋は、ポリブレンドからの潤滑ポリマーの摩耗又は抽出による潤滑性損失も減少する。かかる材料は、PEOを、HDPE、天然及び合成ゴム、スチレニクス、熱可塑性エラストマー、Nylon、ポリウレタン、他の特殊ポリマー等のような他の構造ポリマーと含む。他の潤滑ポリマーには、例えばPPO、EVOH、EVA、ポリオキシメチレン、及びPVPを含む。
【0081】
架橋ポリブレンドは、いかなるタイプの医療装置も、又は潤滑表面を含むことが望ましい他の装置を作るか、又は被覆するために利用できる。ポリブレンドは、カテーテル、シース、ステント又はリード送給装置、導入器、拡張器等を作るために利用できる。その上、ポリブレンドは、これらの、又は潤滑表面が望ましいガイドワイヤのような他の医療装置の表面を被覆するために利用できる。加えてポリブレンドは、ポリブレンドから生物活性物質を放出するために更に利用できる。
【0082】
種々の修正及び追加が、本発明の範囲から逸脱することなく、論じられた代表的な実施形態に対して行うことができる。従って、本発明の範囲は、請求項の範囲内に入るような、全てのかかる代替案、修正及び応用例を、その全ての同等物と共に包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明のポリマーブレンドの走査型電子顕微鏡デジタル画像を示す。
【図2】先行技術のポリマーブレンドの走査型電子顕微鏡デジタル画像を示す。
【図3】本発明のポリマーブレンドにより作られた二層管と、もう1つの二層管を示す。
【図4】本発明のポリマーブレンドにより作られた管の膨張性を示す。
【図5】本発明のポリマーブレンドにより作られた三層管と、もう1つの三層管と、更にもう1つの三層管を示す。
【図6】シリコンに対する本発明の2つの実施形態対先行技術の潤滑コーティングの摩擦力の比較を示す。
【図7】ポリウレタンに対する本発明の2つの実施形態対先行技術の潤滑コーティングの摩擦力の比較を示す。
【図8】本発明の代替的実施形態のポリマーブレンドにより作られた管の膨張率を示す。
【図9】ポリマーブレンドにより作られたカテーテルを通して、先端にシリコンの付いたPUリードを移動させるために必要な力を示す。
【図10】ポリマーブレンドにより作られ、かつ架橋されたカテーテルを通して、先端にシリコンの付いたPUリードを移動させるために必要な力を示す。
【図11】ポリブレンド抽出物のスペクトルグラフである。
【図12】架橋されたポリブレンドから抽出された材料の量対利用された架橋放射線量を示すグラフである。
【図13】様々な放射線量で架橋された種々のポリブレンド抽出物の曇り点を示す図である。
【図14】種々のポリブレンド材料に関する材料の減量率を示す。
【図15】種々のポリブレンド材料に関する材料の減量率を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は親水性ポリマーに関する。特には、本発明は、表面からの物理的摩耗に対する改良された耐性を有する親水性潤滑ポリマーブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
感水(water-sensitive)親水性ポリマーは、種々のパーソナルケアや医療装置の製造において一般に使用される。感水ポリマーは、装置が水又は体液のような水溶液によって濡らされる時に装置に潤滑性を提供する働きをする。感水ポリマーは、意図される用途に関して装置に適切な構造特性と機械的完全性を提供する働きをする水不溶性ポリマーと共に使用できる。潤滑特性の利益を受けられる典型的な医療装置には、例えば、カテーテル、ガイドワイヤ、気管内チューブ、インプラントを含む。
【0003】
特許により、親水性である水溶性ポリマーを有するコーティング医療装置が報告されている。かかる親水性コーティングは、潤滑性又は「すべりやすい」コーティングとも呼ばれた。概して、親水性ポリマーは、適切な溶媒中で溶解され、かつ次に所望の医療装置に塗布される。溶媒は、次にコーティングを生み出すために蒸発させられる。オーブン乾燥は、溶媒を除去するために利用できる。親水性材料が、湿式法で溶媒を利用して、表面を被覆される時、ポリマーは通常、極めて薄い層として形成される。親水性コーティングは、長期にわたる乱流、機械的摩耗又は浸漬で、分解するか、又は除去されることがある。溶液コーティングや硬化工程のアプローチに対する他の欠点には、溶液のポットライフ、コーティング厚さ制御、耐久性が含まれる。例えば、特許文献1〜5を参照せよ。
【0004】
特許文献6は、滑らかなコーティングを備えた成形医療装置を調製する方法を開示している。ポリウレタンとポリビニルピロリドンのブレンド、及びポリエチレングリコールを含むコーティング組成物は、その後、水と接触する時に滑らかになるコーティング組成物の層を有する成形医療装置を生じさせるために基板ポリマーと同時押出される。
【0005】
特許文献7は、ポリエチレンオキシドとポリウレタンの溶液によって基板を被覆する方法を開示する。ポリエチレンオキシドは、ポリウレタンと混合される。ブレンドは、次に溶液に形成され、かつ次に医療装置に塗布され、かつコーティングを形成するために乾燥させられる。
【0006】
特許文献8、9は、ひげ剃りシステムで利用するためのポリマーブレンドを報告する。これらの特許において教示されたポリマーブレンドは、皮膚の滑らかさ提供するために、使用によってすり減るように特別に設計されている。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4119094号明細書
【特許文献2】米国特許第5077352号明細書
【特許文献3】米国特許第5091205号明細書
【特許文献4】欧州特許第0106004(B1)号明細書
【特許文献5】欧州特許第0166998(B1)号明細書
【特許文献6】米国特許第5061424号明細書
【特許文献7】米国特許第5041100号明細書
【特許文献8】米国特許第5113585号明細書
【特許文献9】米国特許第5454164号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、医療装置に組み込むための改良された潤滑ポリマー材料が、技術において必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、水不溶性ポリマーと、親水性水溶性ポリマーとを含む2種以上のポリマー材料のブレンドを含み、ポリマーブレンドは、潤滑表面を提供する微細分散したブレンドである。
【0010】
本発明のもう1つの実施態様は、潤滑ポリマーから医療装置を形成する方法を含み、ステップは、約200000〜約7000000の間の分子量のポリエチレンオキシドを乾燥させるステップと、ポリエーテルブロックアミドを乾燥させるステップと、ポリマーを所望の率で配合押出機に供給することによってポリマーをおおむね均一のブレンドに溶融混合するステップと、ブレンドを所望の医療装置に形成することと、ポリマーブレンドを架橋するステップとを含む。
【0011】
もう1つの実施態様は、ポリマーブレンドを形成するために水不溶性ポリマーと溶融混合される水溶性ポリマーを含む、摩耗に対する改良された耐性を有する潤滑ポリマーブレンドコーティングであり、ポリマーブレンドは、所望の表面に被覆され、かつ所望の放射線量への曝露によって架橋される。
【0012】
複数の実施態様が開示されているが、本発明の更に他の実施態様は、本発明の例示的な実施態様を示し、かつ記載する以下の詳細な説明から当業者にとって明らかになるであろう。従って、図面及び詳細な説明は、性質が例示的であるとみなされるべきであり、制限的とみなされるべきでない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、潤滑親水性ポリマーブレンドの配合と製造方法であり、またそれを組み込んだ医療装置である。潤滑親水性ポリマーブレンドは、「ポリブレンド」、「親水性ポリブレンド」又は「潤滑ポリマー」と呼ばれることがある。その上、ポリブレンドは、架橋及び適切な水性溶媒への曝露後は、ヒドロゲルと呼ばれることがある。ヒドロゲルは、粒子が水性溶媒中で分散するが、溶液にその構造を僅かにだけ失うか、少しも失わないコロイドゲルである。
【0014】
潤滑親水性ポリブレンドは、潤滑水溶性ポリマーと、不溶性ポリマーとを含む。2種のポリマーは、微細分散したポリブレンドを形成するために、溶融混合され、かつ凝固させられる。本発明のポリブレンドは、押出、同時押出、射出成形又はダイフォーミングによって形成された医療装置に潤滑コーティングを提供するために利用できるか、又は更なる実施態様において、ポリブレンドは、医療装置に直接被覆できる。本発明の潤滑親水性ポリブレンドを使用して形成されたコーティングの実施態様は、以前に教示された潤滑コーティングと比較して強固であり、かつ優れた性能を備えている。認識できるように、潤滑親水性ポリブレンドは、最終製品に所望の潤滑性を与えるために、いかなるタイプの下層構造品又はフレームワークによっても形成でき、あるいはその上に形成できる。
【0015】
潤滑表面が、摩擦力減少に影響を及ぼすので、本発明のポリブレンドを組み込む、ガイドワイヤ、カテーテル、シース、管等のような医療装置は、挿入の間、身体への損傷を減少させることに役立つ。かかる医療装置は、同様に血液凝固を減少させることにも役立つ。従って、本発明の材料は、送給処置中に装置が動かなくなること又は張り付くことの防止に役立つ。その上、潤滑ポリブレンドは、潤滑ポリマーが構造(又はマトリックス)ポリマー中に捕捉されるので、使用中、放出されない、又は摩耗しない。
【0016】
潤滑水溶性ポリマーの選択は、多数の要因によって決まる。潤滑ポリマーは、構造ポリマー中で部分的に混和性であるが、完全に混和性でない。潤滑ポリマーが、完全に混和性であるよりもむしろ部分的にのみ混和性である時、最終潤滑親水性ポリブレンドは、ポリブレンド全体に分散された潤滑物質のポケットを保持する。潤滑ポリマーはまた、構造ポリマーよりも低い融点を有し、かつそれ故に所与の温度で低い粘度を有することがある。低い粘度の潤滑ポリマーは、ポリブレンドの外面に向かって移動する可能性が高い。潤滑親水性物質は、水中でそれ自体の重量の何倍もを吸収できることがある。
【0017】
その上、分子量は、最終化合物の潤滑性に影響を与えることがあり、そのためポリマー選択の要因である。押出用樹脂は、より高い分子量であり、かつそれ故により高い溶融強度を有し、かつより容易に加工される溶融流動性を有する。
【0018】
潤滑親水性ポリマーには、ポリエチレンオキシド(PEO)を含む。ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチルビニルアルコール(EVOH)、ポリエチルビニルアセテート(EVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)のような他の潤滑材料も、組み込まれても良く、かつ当業者に公知の他の水溶性潤滑ポリマーも、組み込まれても良い。
【0019】
構造ポリマーには、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、オレフィン由来コポリマー、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、天然及び合成ゴム、スチレニクス(styrenics)、熱可塑性エラストマー、その他の特殊ポリマーを含むことができる。ポリアミドには、Nylon(登録商標)12及び11、Pebax(登録商標)、並びにVestamid(登録商標)樹脂のようなホモポリマー及びコポリマーを含むことができる。Nylon(登録商標)11及びNylon(登録商標)12コポリマーは、ショア硬度が約80D〜25Dに変動できる。Pebaxは、Arkema、Philadelphia、Pa.によって製造されるポリエーテルブロックアミドであり、かつ種々のジュロメータで利用できる。ポリウレタンには、Pellethane(登録商標)又はTexinのようなポリエステルウレタンとポリエーテルウレタンを含む。1種の構造ポリマーは、約75D〜90Dのショア硬度を有するポリエーテルウレタンを含む。ポリエステルは、Hytrel(登録商標)やArnitel(登録商標)のようなポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びコポリエステルを含む。ゴムは、シリコン又はSantoprene(登録商標)を含む。熱可塑性エラストマーは、Kraton(登録商標)のような市販の材料を含む。
【0020】
ある種の実施形態において、構造ポリマーは、ポリブレンドの水和速度と膨張を制御するために、所定量によって架橋できる。更なる実施形態において、例えばIrganox B225又は1098のような安定剤が親水性ポリマーブレンドに含まれる。ポリマーブレンドは、安定剤、薬剤、混合助剤、流動助剤、可塑剤、熱安定剤、抗菌剤等のような他の好適な材料を含むように配合される。更なる実施形態において、他の酸化防止剤、又は他のタイプの添加剤も、利用できる。
【0021】
本発明の1種の親水性ポリブレンドは、30重量%まで、又は約30〜約60重量%のPEOを含む。ポリブレンドは、更に35〜50%、40〜50%のPEO、又は特に約40%のPEOを含む。好ましくはPEOは、100000より高い分子量である。PEOは、約200000〜約7000000、特には約500000〜2000000、又は特には約1000000の分子量を含む。なおも更なる実施形態において、ポリブレンドは、押出中に、又は他の医療装置形成工程中に低い重量%の親水性ポリマーにより材料を形成するために希釈できる。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
7000000の分子量を有するPEO(Dow WSR 303)が、親水性ポリマーとして選択され、かつPebax 72Dが、構造ポリマーで選択された。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含んだ。
【0023】
【表1】
【0024】
ポリエーテルブロックアミドは、最初に170°F(76.7℃)で4時間乾燥させられた。PEOは、60℃、真空炉(<25ミリバール)内で4時間乾燥させられた。本実施例及び以下の実施例全体における乾燥時間は、おおよその記載された時間かそれ以上である。ポリマー材料は次に、配合押出機に添加するために、フィーダ制御装置によって制御される2つのフィーダに別個に装入された。配合押出機は、Werner and Pfliedere ZSK30共回転二軸スクリュー押出機であった。押出機は、一方が分散的であり、かつ一方が分配的である、各々が要素の6つの直径を有する2つの混合ゾーンを含む低剪断/低エネルギースクリューを備えている。選択されたスクリューのアスペクト比は、30:1の長さ:直径であり、かつ要素を搬送し混合するモジュールを含む。
【0025】
PEOフィーダは、70グラム/分に設定され、かつPebaxフィーダは、93グラム/分に設定された。混合バレルは、4つの加熱ゾーンを含む。種々の加熱ゾーン及びスクリューのタイプと速度は、2つの材料供給流が、ダイを通過する前に混合され、均質化されることを可能にした。バレルの温度ゾーンは、320〜375°Fで変動した。押出機応答は、72%の駆動トルクを有し、かつ押出機出力は、毎時22ポンドであった。ダイ温度は、375°F(190℃)に設定され、かつダイ圧力応答は、350psiであった。ダイ温度ゾーンと圧力は、所望のストランド粘度を確保するように制御される。材料がダイを通過する時の材料の伸長粘度(すなわち溶融強度)は、生成されたポリブレンドストランドが、適切に冷却されるまでその形状を維持するように、調節された。
【0026】
本実施形態において、直径0.180”インチ(0.46cm)の4つの孔を有するダイが、ポリブレンドを4つの平行なストランドに形成するために利用された。押出されたポリブレンドストランドは、次に引き伸ばされ、かつ冷却ローラ上で冷却された。各ストランドは、ペレット化される前に0.100”(0.25cm)に引き伸ばされた。冷却水/グリコール溶液(1:1)が、各ローラを冷却したが、本実施形態において、水は、冷却工程中に親水性ポリブレンドに触れなかった。利用した冷却ロールは、Davis Standard実験室用3ロールスタックシート押出ローラであった。ペレタイザは、Galaストランドペレタイザであった。
【0027】
一旦溶融ストランドが凝固すると、ポリマーブレンドは、210回転/分に設定されたペレタイザによってペレットに細断/切断された。
【0028】
(実施例2)
7000000の分子量を有するPEOが、親水性ポリマーとして利用され、かつPebax 72Dが、構造ポリマーとして選択された。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含む。
【0029】
【表2】
【0030】
(実施例3)
次の実施例は、7000000の分子量を有するPEOと、Pebax 72Dを利用した。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを60重量%含む。
【0031】
【表3】
【0032】
(実施例4)
1000000の分子量を有するPEO(Dow WSR N12K)が、親水性ポリマーとして利用され、かつPebax 72Dが、構造ポリマーであった。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含む。
【0033】
【表4】
【0034】
(実施例5)
200000の分子量を有するPEO(Dow WSR N80)が、Pebax 72Dと混合された。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含む。
【0035】
【表5】
【0036】
(実施例6)
親水性ポリマーは、1000000の分子量を有するPEOであり、かつ構造ポリマーは、Pebax 72Dであった。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含む。
【0037】
【表6】
【0038】
(実施例7)
7000000の分子量を有するPEOは、構造ポリマーとしてのHDPEと混合された。HDPEは、Quantum HDPE 6007(0.6MFI)であった(フィリップススラリー法)。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを35重量%含む。HDPEは、疎水性なので、PEOのみが乾燥されられた。PEOは、水分約0.03重量%まで真空下で乾燥されられた。
【0039】
【表7】
【0040】
(実施例8)
7000000の分子量を有するPEOは、Pebax 72Dと混合された。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを35重量%含む。両方の材料は、水分約0.03重量%まで真空下で乾燥された。
【0041】
【表8】
【0042】
(実施例9)
9番目の実施例において、7000000の分子量を有するPEOは、親水性ポリマーとして利用され、かつHDPEが、構造ポリマーであった。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含む。PEOは、水分約0.03重量%まで真空下で乾燥された。生成されたストランドは、ストランドをほぼ室温で水浴に通すことを含む従来の手段によって冷却され、かつ次にペレット化された。
【0043】
【表9】
【0044】
(実施例10)
7000000の分子量を有するPEOは、親水性ポリマーとして利用され、かつPebax 72Dが、構造ポリマーであった。最終親水性ポリマーブレンドは、PEOを40重量%含む。生成されたストランドは、空気調和機によって冷却されたコンベヤベルト上で動かすことによって冷却され、かつ次にペレット化された。
【0045】
【表10】
【0046】
(実施例11)
親水性ポリブレンドが、7000000の分子量を有する、80重量%のPellethane 90Aと、20重量%のPEOを利用して形成された。2種のポリマーは、最初に約2重量%のトリアリールトリアジントリオン(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、WI)と約0.2重量%のIrganox 1098と一緒に混合された。材料は、1つのフィーダを通して押出機に添加された。
【0047】
【表11】
【0048】
(比較例)
Pebax中のPEO対Pebax中のPVPの混和特性が比較された。0.2pphr(樹脂100に対する部数)のIrganox B225を有する、40%のPEO(WSR N12K、分子量1000000)/60%のPebax 72Dのポリブレンドが、0.2pphrのIrganox B225を有する、40%のPVP(K−90、分子量900000〜1700000)/60%のPebax 72Dのポリブレンドと比較するために配合された。各ポリブレンドの作成後、材料は、シリンダに押出され、かつ横断面を作られた。試料は、親水性相を溶解するために、水中に室温で8時間、置かれた。各試料は、次に8時間、真空炉内で脱水され、かつ走査型電子顕微鏡で見るために、金めっきされた。図1は、PEOポリブレンドの走査型電子顕微鏡を示す。PEOは、構造材料中で一貫し、かつ均一の分散を示した。示したようにPEOとPebaxは、実質的に均一である、微細分散したブレンドを形成する。図2は、PVPポリブレンドを示す。PVPポリブレンドの画像から、PVP小滴が、均一寸法でなく、より大きく、かつ僅かに分散していることが明らかである。従ってPEOは、より微細に分散したポリブレンド材料を作成する。PVP材料の塊は肉眼で見えた。従って、PVPポリブレンドは、ポリエーテルブロックアミド構造ポリマー中で混和性が低く、かつより均一でない潤滑表面を示す。その上、表面上の大きい不規則なPVP堆積物は、ポリブレンドを脆くし、かつそれ故に使用中に折れることを容易にし、かつ体内に汚染物質として放出される恐れがある。
【0049】
同時押出PEO及びPVPポリブレンドの各々は、医療装置中での適合性に関してもテストされた。PVPポリブレンドは、脆い特性を示し、かつ5%未満しか延長できなかった。化合物の脆性は、化合物を医療装置用途に許容不可能にした。更に、37℃の水中で水和すると、同時押出PVPは、手にとって中適度にのみ潤滑性になった。
【0050】
比較すると、PEOポリブレンドは、高い強度を有する靱性混合物になった。PEOポリブレンドは、テストされ、かつ80%より大きな延長値を示した。PEOポリブレンドの靱性はまた、PEOポリブレンドを医療装置用途に有用にした。更に、37℃の水中で水和すると、PEOポリブレンドは、手にとって非常に潤滑性になった。従ってPEOポリブレンドは、医療装置潤滑用途に関してPVPポリブレンドよりも優れている。
【0051】
ポリブレンドから形成された医療装置
【0052】
図3Aは、PEOポリブレンドから形成された、内層12と、ポリマー外層14を有する二層管10を示す。管10は、同時押出によって形成でき、かつ内層12は、厚さ約0.001〜0.0025インチ(0.00254〜0.00635cm)である。更に管10は、例えばカテーテル、シース、ステント又はリード送給装置、導入器、又は拡張器のようないかなる医療装置に組み込まれても良い。管12は更に、先に論じたPEOポリブレンド材料のいずれからも作ることができる。図3Bに示すように、外層14は、潤滑ポリブレンドであっても良い。
【0053】
内層12は、血液又は水のような他の適切な極性液体に曝露される時、潤滑表面を形成する。潤滑表面は、管を通過する時にリード又はステントによって起こる抗力摩擦を減少できる。その上、潤滑表面は、入れ子式の二重カテーテル装置の一部として組み込まれる時に抗力摩擦を減少できる。この入れ子式実施形態において、潤滑層は、外部ガイドの内側、内部ガイドの外側又は両方に含まれる。
【0054】
更なる実施形態において、内層12(又は潤滑ポリマーブレンドを利用して形成された他の医療装置)は、例えば10kEVの電子ビームによって電子線架橋できる。かかる電子ビームは、5又は10Mradのような種々の強度であっても良く、かつ1回、2回又は2回以上適用できる。かかる電子ビームを利用することは、カテーテルを滅菌し、かつカテーテルの層を一緒に固着することを支援するためにも、当該技術分野において公知である。内層12を架橋することは、ステント又は他の装置が、カテーテルの管腔を通過する時にPEOの保持率を改良する。かかる架橋は、カテーテル外側の潤滑表面の保持率も改良できる。架橋は、更に膨張率を減少できる。
【0055】
PEOポリブレンドの架橋は、水膨潤可能な架橋ポリマーマトリックス(相互浸透架橋網)を形成できる。かかる材料は、水和された時、ヒドロゲルを形成できる。水和中、ヒドロゲルは、水溶液中で溶解しないが、水膨潤し、かつ潤滑になる。PEOポリブレンドを曝露する適正量の電子ビームエネルギーを決定することは、水和中に溶解する遊離PEOの量を最小限に抑えることによって決定できる。この量は、架橋、水和、乾燥後のヒドロゲルのゾル点、又は減量によって決定できる。認識できるように、種々の構造ポリマー材料は、この方法で多かれ少なかれ架橋できる。その上、架橋を改善し、かつ結果として生じる構造に影響を及ぼすために、他の作用剤がポリブレンドに添加できる。
【0056】
一実施形態において、二層カテーテルライナ(管)は、内層として40%のPEO(分子量100万)/Pebax 72Dのポリブレンドを、外層としてNylon 12と共に使用して同時押出によって形成された。PEOポリブレンド内層は、厚さ約0.002インチ(0.005cm)であった。ライナの膨張性は、次に、37℃で水浴中で浸漬し、かつ一定の時間間隔で測定することによって決定された。図4、及び以下に再現したデータから見られるように、94時間後、ライナの内径は、約2.2%変化しただけであり、かつ外径は、約3.1%変化しただけであった。
【0057】
【表12】
【0058】
図5Aに示したなおももう1つの実施形態において、親水性ポリブレンドは、三層管16Aの一部であっても良い。潤滑ポリブレンドは、内層18であり、かつ外層20としてもう1種のポリマーを含んでも良い。第3の材料でできた第3層22は、内層18と、外層20の間に、それらを一緒に固着することを支援するために配置される。1つのかかる第3層22は、グラフト無水マレイン酸又はアクリル酸コポリマーを含む。なお、更なる実施形態において、図5Bに示すように、潤滑ポリブレンドは管16Bの外層20である。更にもう1つの実施形態において、図5Cに示すように、管16Cの内層18と外層20の外は、両方とも潤滑ポリブレンドである。
【0059】
図6〜7は、本発明の2種の配合物を、当該技術分野において公知の潤滑コーティングに対して比較している。ポリブレンドは、Pebax 72Dとブレンドされた40重量%と20重量%のPEO(分子量1000000)を含むように配合された。40%のPEOポリブレンドは、実施例1に示すように作られた。20%のPEOポリブレンドは、より多くのPebax 72Dによる押出工程中に、40%のPEOを希釈することによって作り出された。テストは、血管構造をシミュレートし、かつカテーテルを通してリードを引っ張るために必要な力を測定するために、親水性ポリブレンドによりカテーテル内部を被覆し、かつInstron Universal Testing Machine(Canton、PA)に取り付けられた、シリコンとポリウレタン被覆リードを使用することにより、行われた。
【0060】
図6に示すように、本発明のポリブレンドが、コーティングを形成するために利用される時、シリコンの上の摩擦力は、3種の以前公知であった化合物よりも良好である。図は、各々が20重量%と40重量%のPEO化合物、Microglide(登録商標)被覆PTFE、PTFE、Microglide(登録商標)被覆nylon 12によって別個に被覆された種々のカテーテルを例示している。図7に示したように、本発明のポリウレタンの上の摩擦力は、3種の化合物の2種よりも良好であり、かつ第3材料とほぼ同じである。
【0061】
認識できるように、更なる実施形態において、本発明の潤滑ポリブレンドは、潤滑層の利益を受ける当業者に知られた、いかなるタイプの医療装置によっても利用できる。
【0062】
もう1つの実施形態において、20%のPEO−PUポリブレンド(Pellethane(登録商標)90AE)材料が形成された。材料は、次に管を形成するために押し出され、かつ5及び10Mradでの電子ビームへの曝露によって架橋された。図8に示したように、マトリックスを形成するために、ポリブレンドを架橋することは、管の、水和された時の全体的膨張を減少させることに役立った。
【0063】
更なる実施形態において、前記混合物のいずれかから形成された管材は、その教示及び開示事項全体が、参照することにより組み込まれる米国特許第6695915号に開示されたような工程を使用して、ガイドワイヤを直接被覆するために、溶融され、かつ利用されても良い。かかるガイドワイヤは、挿入中に血液に曝露される時、潤滑性であっても良く、かつそれ故に血管系に更に先まで容易に挿入できる。更に、膨張減少が、血管系挿入に役立つ。潤滑親水性ポリブレンドはまた、ガイドワイヤを親水性ポリマーブレンドの溶融プールに直接浸すような当業者に公知の他の方法、又は当業者に公知の他のいかなる方法によってもガイドワイヤ上に被覆できる。ガイドワイヤの種々の特性を、ポリブレンドを、ガイドワイヤへの接着に影響を与えるようにすることができる。更なる実施形態において、プレコーティング又は他の前処理が、ポリブレンドによる被覆の前に、ガイドワイヤに適用できる。更に、ガイドワイヤ上に被覆された材料を架橋することは、膨張を減少させ、かつ潤滑材料の保持を改良できる。
【0064】
本発明のポリブレンドが望ましい潤滑性を与える他の静脈内装置には、1)内層として親水性化合物を使用する案内カテーテルシャフトと、2)親水性化合物が内層であり、かつ動脈中の凝固、コレステロール又は他の血液成分の蓄積を予防するために抗凝血剤を含浸させた、ポリマーシャント又はステント送給装置と、3)埋め込み型装置(リード)外層又は内層と、4)リード電極コーティングとを含む。
【0065】
もう1つの実施形態において、40%のPEO(WSR N12K、分子量1000000)/60%のPebax 72Dのポリブレンドが、実施例1でのように形成された。材料は次に、約0.098インチ(0.249cm)の内径及び約0.105インチ(0.267cm)の外径を有する中空のカテーテル管を形成するために押し出された。カテーテルの潤滑性質と潤滑性質の保持が、カテーテルを37℃の水に浸し、かつそれを、ポリカーボネートでできたテストブロックに切断される正弦曲線通路に挿入することによって、次にテストされた。先端にシリコンの付いたPUリードが、テストブロック中に含まれる間、カテーテルを通して前後に移動させるために必要な力を測定するために、変換器が使用された。テストブロックは、カテーテルの比較ための均一のプラットホームを提供し、かつ正弦曲線形状は、カテーテルが、患者への挿入中に作らねばならないであろう血管構造における曲線を表す。
【0066】
図9に示したように、PUリードの挿入(+力)及びリードの引き出し(−力)に必要な力は、各サイクルにわたって増加し、著しい増加は、約6サイクル後に現れた。必要な力の増加は、PUリードの通過中、ポリブレンドからの潤滑PEOの摩耗のために起こる。その上、PEOが水溶性なので、若干量のPEOは、溶解により失われる。
【0067】
潤滑性質の損失を減少させようとして、もう1つのカテーテル管が、同じポリブレンド材料から形成されたが、ポリブレンドを架橋するために、50キログレイ(Kgy)(5Mrad)の電子ビーム放射線に曝露された。架橋は、PEOからPEO、PebaxからPebax、及びPEOからPebaxの1つ以上の間で起こる。最後の架橋は、架橋されたPebax材料のバックボーンへのPEOのグラフトを含む。架橋は、熱可塑性材料を熱硬化性樹脂に変形させ、その分子量を増加させることに加えて、放射線に曝露される時、ポリブレンドを、それが持つ形状に固定する。PUリードをカテーテルに通すために必要な力をテストするための同じ手続きが、変換器及びテストブロックを使用して、次に実行された。
【0068】
図10に示したように、PUリードを挿入し、かつ次に引き出すために必要な力は、非架橋カテーテルにより行ったので、時間の経過に伴い著しく増加しなかった。その代わりに、挿入力は、数回の行程後に、概して横ばい状態になった。従って、ポリブレンドの架橋は、カテーテル管の潤滑性質の保持を改良した。潤滑性質の保持は、ポリブレンドからの潤滑PEOの損失の停止又は減少に起因する。
【0069】
水が、ポリブレンドからPEOを抽出したかを決定するために、PEO(WSR N12K、分子量1000000)/60%のPebax 72Dのポリブレンド(非架橋)のペレットが、37℃の水中に48時間、浸漬された。液体の試料は、次に回収され、スライド上に置かれ、かつ乾燥させられた。試料は、溶液中で材料を識別するために、フーリエ変換赤外(FTIR)分光光度計でテストされた。図11は、ポリブレンド抽出物のスペクトルグラフを20に示す。PEO溶液標準のスペクトルグラフは30に示される。
【0070】
PEO標準との抽出物の比較は、PEOが、溶液中に存在したことを示す。従って、水中に非架橋ポリブレンドを浸漬することは、ポリブレンドから溶液へのPEOの損失をもたらす。その上Pebaxは、検出されなかった。従って、PEOのみ、又は実質的にPEOのみが水によって抽出され、かつPEOの損失が、材料の潤滑性質を減少させると考えることができる。
【0071】
ポリブレンドに対する放射線の影響をより良く決定するために、ペレットの追加の試料が、1、2.5、5、10、25Mrad(1Mrad=10Kgy)で照射され、かつASTM D2765に記された手続きの幾つかを使用してテストされた。1つのテストにおいて、照射された各試料は、重量を測定され、37℃の水に48時間、浸され、すすがれ、乾燥させられ、かつ次に再度重量を測定された。ゲル点テストと呼ばれる、このテストは、失われたPEOの重量百分率を決定するために使用された。もう1つのテストにおいて、照射されたポリブレンドは、4時間、水中で37℃で浸漬され、かつ曇りに関して検査された。溶液が曇っているほど、より多くのPEOが、溶液にポリブレンドによって失われる。
【0072】
図12に示したように、ゲル点テスト中にポリブレンドから抽出されたPEOの重量百分率は、5Mradまでの放射線によって照射された試料に関して、減少した。5Mradから10Mradの間のある点で、水によって抽出されたPEO量は、増加し始めた。従って、架橋が、改良されたPEO保持能力を有するポリブレンドをもたらし、かつそれ故に潤滑性の保持を改良することが明白である。5Mradから10Mradの間の放射線量によって抽出されたPEOの増加は、ポリブレンドの切断に起因する。更なる架橋材料を形成するよりもむしろ、放射線は、分解する連鎖をすでに引き起こし、かつそれ故に分子量を減少させ、かつそれ故にPEOの保持減少を引き起こす。
【0073】
図13に示したように、水の曇りは、放射線量の増加により変化した。ビーカー中の溶液の曇り増加は、ポリブレンドから抽出され、かつ溶液中に溶解したPEO量の増加を表す。2.5Mrad及び5.0Mradの放射線量に曝露されたポリブレンド材料を浸漬することから作られた溶液は、最も透明な水抽出物を生成した。更に、重量百分率テストと一致して、5.0Mradから10.0Mradの間のいずれかでの放射線の曝露は、溶液の曇り増加を引き起こし始め、ポリブレンドから抽出されたPEO量の増加を示した。異なる実施形態において、異なるポリブレンド比を使用するか、又はポリブレンドを形成するために異なる材料を使用すると、潤滑ポリマー保持を改良するように、最適化された架橋状態に至るために必要な放射線エネルギー量が変わる。
【0074】
次に、電子ビーム放射線への曝露の間に、不活性雰囲気中での架橋剤の添加とポリブレンドの浸入は、両方とも検査された。ポリブレンドペレットの4種の試料は、2.5Mradの放射線によって種々の条件で照射され、かつ非照射ペレットと比較された。電子ビーム放射線条件には、1)通常の空気雰囲気、2)不活性アルゴン雰囲気、3)架橋剤を添加した通常の空気雰囲気、4)架橋剤を添加した不活性雰囲気を含む。
【0075】
架橋剤を含んだ実施例に関して、約1重量%のトリアリルイソシアヌレート(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、WI)が、ポリブレンド材料と混合された。本実施形態において、架橋剤は、ポリブレンドの形成中に添加された。ポリブレンドの形成及び混合中の架橋剤の添加は、架橋剤が材料の流れ特性を改良したので、改良された混合を同様にもたらした。更なる実施形態において、架橋剤は、所望の、かつ架橋剤及びポリブレンドと適合するいかなるステップ中にも、添加できる。
【0076】
架橋中、所望の雰囲気に種々のポリブレンド材料を曝露するために、ポリブレンドペレットは、最初に箔で裏打ちした袋に入れられた。袋中の雰囲気は、次に除かれ、所望の不活性ガス又は混合気体と取り替えられ、かつ密封された。5種のペレット試料の各々は、次に重量を測定され、37℃で48時間水中に浸漬され、乾燥させられ、かつ次に再度重量を測定される。
【0077】
図14〜15に示したように、材料の減量率は、架橋によって減少し、かつ不活性雰囲気中での架橋によって更に減少した。更に、架橋剤の添加は、失われたPEO量の更に大幅な減少を引き起こした。通常の雰囲気中での架橋剤の添加及び放射線への曝露は、単に不活性雰囲気中での(架橋剤のない)架橋よりも更に大幅にPEO損失を減少させた。不活性雰囲気及び架橋剤の使用の組み合わせは、テストされた試料の最低のPEO損失を有するポリブレンドペレットを提供した。
【0078】
以上に論じたテストは、電子ビーム架橋が、ポリブレンドの水溶性潤滑成分の保持を改良するために有効な方法であることを示す。架橋ポリブレンドから作られた医療装置の潤滑性損失は、従って減少できる。更に、架橋剤の添加及び不活性雰囲気中で架橋を実行することは、ポリブレンドの架橋の有効性を向上させる。ポリブレンドからのPEO損失の減少は、潤滑性損失の減少に対応する。
【0079】
更なる実施形態において、架橋剤は、例えばトリアリルシアヌレート、ジアリルシクロヘキサン、1,7オクタジエン、1,9デカジエン及び2,4,6トリアリルオキシ−1,3,5トリアジンのような多官能アリル材料のような他の材料を含む。他の実施形態において、他の架橋剤が、利用される具体的なポリブレンド配合に応じて使用できる。なおも更なる実施形態において、不活性雰囲気は、例えば窒素のような他の不活性ガスを含む。追加の実施形態において、放射線曝露がポリブレンドのニーズに多少応じても良く、かつ25Mrad以下又は超を含む。
【0080】
以上に論じた他のポリブレンド材料を含むが、それらに限定されない他のポリブレンド材料の架橋は、ポリブレンドからの潤滑ポリマーの摩耗又は抽出による潤滑性損失も減少する。かかる材料は、PEOを、HDPE、天然及び合成ゴム、スチレニクス、熱可塑性エラストマー、Nylon、ポリウレタン、他の特殊ポリマー等のような他の構造ポリマーと含む。他の潤滑ポリマーには、例えばPPO、EVOH、EVA、ポリオキシメチレン、及びPVPを含む。
【0081】
架橋ポリブレンドは、いかなるタイプの医療装置も、又は潤滑表面を含むことが望ましい他の装置を作るか、又は被覆するために利用できる。ポリブレンドは、カテーテル、シース、ステント又はリード送給装置、導入器、拡張器等を作るために利用できる。その上、ポリブレンドは、これらの、又は潤滑表面が望ましいガイドワイヤのような他の医療装置の表面を被覆するために利用できる。加えてポリブレンドは、ポリブレンドから生物活性物質を放出するために更に利用できる。
【0082】
種々の修正及び追加が、本発明の範囲から逸脱することなく、論じられた代表的な実施形態に対して行うことができる。従って、本発明の範囲は、請求項の範囲内に入るような、全てのかかる代替案、修正及び応用例を、その全ての同等物と共に包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明のポリマーブレンドの走査型電子顕微鏡デジタル画像を示す。
【図2】先行技術のポリマーブレンドの走査型電子顕微鏡デジタル画像を示す。
【図3】本発明のポリマーブレンドにより作られた二層管と、もう1つの二層管を示す。
【図4】本発明のポリマーブレンドにより作られた管の膨張性を示す。
【図5】本発明のポリマーブレンドにより作られた三層管と、もう1つの三層管と、更にもう1つの三層管を示す。
【図6】シリコンに対する本発明の2つの実施形態対先行技術の潤滑コーティングの摩擦力の比較を示す。
【図7】ポリウレタンに対する本発明の2つの実施形態対先行技術の潤滑コーティングの摩擦力の比較を示す。
【図8】本発明の代替的実施形態のポリマーブレンドにより作られた管の膨張率を示す。
【図9】ポリマーブレンドにより作られたカテーテルを通して、先端にシリコンの付いたPUリードを移動させるために必要な力を示す。
【図10】ポリマーブレンドにより作られ、かつ架橋されたカテーテルを通して、先端にシリコンの付いたPUリードを移動させるために必要な力を示す。
【図11】ポリブレンド抽出物のスペクトルグラフである。
【図12】架橋されたポリブレンドから抽出された材料の量対利用された架橋放射線量を示すグラフである。
【図13】様々な放射線量で架橋された種々のポリブレンド抽出物の曇り点を示す図である。
【図14】種々のポリブレンド材料に関する材料の減量率を示す。
【図15】種々のポリブレンド材料に関する材料の減量率を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約200000〜約7000000の間の分子量のポリエチレンオキシドを乾燥させるステップと、
ポリエーテルブロックアミドを乾燥させるステップと、
ポリマーを所望の率で配合押出機に供給することによってポリマーをおおむね均一のブレンドに溶融混合するステップと、
ブレンドを所望の形状に形成するステップと、
ポリマーブレンドを架橋するステップと
を含む潤滑ポリマーから医療装置を形成する方法。
【請求項2】
ポリマーを架橋することは、ポリマーに放射線を照射することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリマーを溶融混合する間に架橋剤をブレンドに添加することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
架橋剤は、多官能アリル化合物である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
多官能アリル化合物は、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルシクロヘキサン、1,7オクタジエン、2,4,6トリアリルオキシ−1,3,5トリアジン及び1,9デカジエンを含む群の1種以上である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ポリマーブレンドを架橋することは、医療装置を約0.0から約5.0Mradの間の放射線に曝露することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ポリマーブレンドを架橋することは、医療装置を約0.0から約10.0Mradの間の放射線に曝露することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
医療装置を不活性雰囲気中に置くステップと、次に医療装置を所望の放射線量に曝露することとを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
不活性雰囲気は、アルゴン及び窒素からなる群の1種以上からなる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ポリエチレンオキシドを乾燥させることは、約1000000の分子量を有するポリエチレンオキシドを乾燥させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ブレンドを所望の形状に形成することは、ブレンドを医療装置に統合することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ポリエチレンオキシド及びポリエーテルブロックアミドは、ポリマーを生成する比にあり、すなわち約40%のポリエチレンオキシドである請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ポリマーブレンドを形成するために構造ポリマーと溶融混合される潤滑ポリマーを含み、ブレンドが所望の形状に形成された後に所望の放射線量への曝露によって架橋される、潤滑ポリマーブレンド。
【請求項14】
潤滑ポリマーは、ポリエチレンオキシドである請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項15】
構造ポリマーは、ポリエーテルブロックアミドである請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項16】
ポリマーブレンドは、架橋剤を含む請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項17】
ポリマーブレンドは、不活性雰囲気の存在下で架橋される請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項18】
ポリマーブレンドは、約0.0から約5.0Mradの間の放射線への曝露によって架橋される請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項19】
ポリマーブレンドは、約0.0から約10.0Mradの間の放射線への曝露によって架橋される請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項20】
ポリマーブレンドは、医療装置の表面に被覆される請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項21】
約200000〜約7000000の間の分子量のポリエチレンオキシド及びポリエーテルブロックアミドの微細分散したブレンドを含み、ブレンドが、約60重量%までのポリエチレンオキシドと、約1%の架橋剤とを含む潤滑ポリマーであって、ブレンドは、所望の形状に形成された後に、溶解及び摩耗によるポリエチレンオキシドの損失を実質的に減少させるために架橋される潤滑ポリマー。
【請求項22】
ポリマーブレンドは、不活性雰囲気の存在下で架橋される請求項21に記載の潤滑ポリマーブレンドコーティング。
【請求項23】
ポリマーブレンドは、所望の放射線量への曝露によって架橋される請求項21に記載の潤滑ポリマーブレンドコーティング。
【請求項24】
ポリマーブレンドは、約0.0から約5.0Mradの間の放射線に曝露される請求項21に記載の潤滑ポリマーブレンドコーティング。
【請求項25】
ポリマーブレンドは、約0.0から約10.0Mradの間の放射線に曝露される請求項21に記載の潤滑ポリマーブレンドコーティング。
【請求項26】
架橋剤は、多官能アリル化合物である請求項21に記載の潤滑ポリマーブレンドコーティング。
【請求項27】
水溶性潤滑ポリマー及び水不溶性ポリマーの微細分散し、かつ実質的に均一なポリマーブレンドを調製するステップと、
医療装置が、ポリマーブレンドから形成された少なくとも一部を含む、ポリマーブレンドを含む医療装置を形成するステップと、
医療装置のポリマーブレンド部分を架橋するステップとを含む潤滑表面を示す医療装置を形成する方法。
【請求項1】
約200000〜約7000000の間の分子量のポリエチレンオキシドを乾燥させるステップと、
ポリエーテルブロックアミドを乾燥させるステップと、
ポリマーを所望の率で配合押出機に供給することによってポリマーをおおむね均一のブレンドに溶融混合するステップと、
ブレンドを所望の形状に形成するステップと、
ポリマーブレンドを架橋するステップと
を含む潤滑ポリマーから医療装置を形成する方法。
【請求項2】
ポリマーを架橋することは、ポリマーに放射線を照射することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリマーを溶融混合する間に架橋剤をブレンドに添加することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
架橋剤は、多官能アリル化合物である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
多官能アリル化合物は、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルシクロヘキサン、1,7オクタジエン、2,4,6トリアリルオキシ−1,3,5トリアジン及び1,9デカジエンを含む群の1種以上である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ポリマーブレンドを架橋することは、医療装置を約0.0から約5.0Mradの間の放射線に曝露することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ポリマーブレンドを架橋することは、医療装置を約0.0から約10.0Mradの間の放射線に曝露することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
医療装置を不活性雰囲気中に置くステップと、次に医療装置を所望の放射線量に曝露することとを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
不活性雰囲気は、アルゴン及び窒素からなる群の1種以上からなる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ポリエチレンオキシドを乾燥させることは、約1000000の分子量を有するポリエチレンオキシドを乾燥させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ブレンドを所望の形状に形成することは、ブレンドを医療装置に統合することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ポリエチレンオキシド及びポリエーテルブロックアミドは、ポリマーを生成する比にあり、すなわち約40%のポリエチレンオキシドである請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ポリマーブレンドを形成するために構造ポリマーと溶融混合される潤滑ポリマーを含み、ブレンドが所望の形状に形成された後に所望の放射線量への曝露によって架橋される、潤滑ポリマーブレンド。
【請求項14】
潤滑ポリマーは、ポリエチレンオキシドである請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項15】
構造ポリマーは、ポリエーテルブロックアミドである請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項16】
ポリマーブレンドは、架橋剤を含む請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項17】
ポリマーブレンドは、不活性雰囲気の存在下で架橋される請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項18】
ポリマーブレンドは、約0.0から約5.0Mradの間の放射線への曝露によって架橋される請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項19】
ポリマーブレンドは、約0.0から約10.0Mradの間の放射線への曝露によって架橋される請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項20】
ポリマーブレンドは、医療装置の表面に被覆される請求項13に記載のポリマーブレンド。
【請求項21】
約200000〜約7000000の間の分子量のポリエチレンオキシド及びポリエーテルブロックアミドの微細分散したブレンドを含み、ブレンドが、約60重量%までのポリエチレンオキシドと、約1%の架橋剤とを含む潤滑ポリマーであって、ブレンドは、所望の形状に形成された後に、溶解及び摩耗によるポリエチレンオキシドの損失を実質的に減少させるために架橋される潤滑ポリマー。
【請求項22】
ポリマーブレンドは、不活性雰囲気の存在下で架橋される請求項21に記載の潤滑ポリマーブレンドコーティング。
【請求項23】
ポリマーブレンドは、所望の放射線量への曝露によって架橋される請求項21に記載の潤滑ポリマーブレンドコーティング。
【請求項24】
ポリマーブレンドは、約0.0から約5.0Mradの間の放射線に曝露される請求項21に記載の潤滑ポリマーブレンドコーティング。
【請求項25】
ポリマーブレンドは、約0.0から約10.0Mradの間の放射線に曝露される請求項21に記載の潤滑ポリマーブレンドコーティング。
【請求項26】
架橋剤は、多官能アリル化合物である請求項21に記載の潤滑ポリマーブレンドコーティング。
【請求項27】
水溶性潤滑ポリマー及び水不溶性ポリマーの微細分散し、かつ実質的に均一なポリマーブレンドを調製するステップと、
医療装置が、ポリマーブレンドから形成された少なくとも一部を含む、ポリマーブレンドを含む医療装置を形成するステップと、
医療装置のポリマーブレンド部分を架橋するステップとを含む潤滑表面を示す医療装置を形成する方法。
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図14】
【図15】
【図1】
【図2】
【図11】
【図13】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図12】
【図14】
【図15】
【図1】
【図2】
【図11】
【図13】
【公表番号】特表2009−515604(P2009−515604A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540327(P2008−540327)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/060668
【国際公開番号】WO2007/081603
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/060668
【国際公開番号】WO2007/081603
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】
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