説明

潤滑基油ブレンド

(a)飽和物含有量が90重量%を超え、硫黄含有量が0.03重量%未満で、粘度指数が80〜150である鉱油誘導基油と、(b)100℃での粘度が7〜30cSt(7〜30mm/s)のパラフィン性基油成分とを含有する潤滑基油ブレンドであって、(b)成分は、末端基及び分岐から除去された4個以上の炭素である繰返しメチレン炭素の割合(%)とイソプロピル炭素原子の割合(%)との比が、13C−NMRで測定して、8.2未満である異性化フィッシャー・トロプシュ誘導塔底生成物からなる該基油ブレンド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)飽和物含有量が90重量%を超え、硫黄含有量が0.03重量%未満で、粘度指数(VI)が80〜150である鉱油誘導基油と、(b)100℃での粘度が7〜30cSt(7〜30mm/s)のパラフィン性基油成分とを含有する潤滑基油ブレンドに関する。更に本発明はこのようなブレンドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高粘度の潤滑基油の多くの用途への要求がますます増大している。しかし、グループII基油及びグループIII基油のいずれの達成可能な最大粘度は、使用される原油蒸留物又はスラック蝋原料の起源及び組成により画定される。これは製造中、分子量が増えないという事実によるもので、こうして、最大分子量、したがって関連する粘度は、既に原料中に存在する高分子量化合物よりも高くできない。更に、水素化処理工程中、得られる生成物の分子量は分解反応により絶え間なく低下するし、化合物の構造も分解する。その結果、所望飽和物の含有量を90重量%以上に達成させる水素化処理の苛酷性は、得られる最大粘度が分解及び原料の分子量により制限されることを意味することから、出願人は鉱油誘導原料から100℃での動粘度が12cStを超えるAPIグループIIの基油を製造することは極めて困難であることを見出した。この困難性は、鉱油誘導供給原料に対しては100℃での最大動粘度9以下が達成可能であるAPIグループIIの基油の場合ではなお更に高まることも見出された。しかし、低苛酷性の水素化処理は、基油規格に適合できなくなる上、酸化安定性を低下させるか、又は損なうことになる。
【0003】
US−A−7053254には、90重量%を超える飽和物及び残留フィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分を含有する蒸留物基油を含むブレンドが開示されている。出願人は、US−A−7053254に開示されるように、高い動粘度を有する鉱油誘導基油ブレンドは、異性化フィッシャー・トロプシュ塔底生成物の添加により得られるが、ブレンドの均質性を損なうことなく、添加できるフィッシャー・トロプシュ塔底生成物の量は、高い曇り点で表されるように、制限されることを見出した。その結果、100℃での所望の動粘度は、長期に亘って周囲温度において透明で鮮明なブレンドでは達成できなかった。或いは、本発明のブレンド以前には、好適に高い粘度を達成するために、むしろ高価で入手困難な高粘性のポリα−オレフィン(PAO)流体を使用すると共に、所望の粘度レベルと好適に高い曇り点とを組み合わせて有する潤滑基油を得るために、高価で潜在的に剪断不安定な粘度調整剤を大量に使用する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、鉱油成分に対し苛酷な水素化処理/水素化異性化工程を適用することなく、高い粘度指数を有し、飽和物含有量が多い上、流動点も曇り点も低く、しかも高い動粘度を有する入手容易な潤滑基油組成物を提供することである。本発明の別の目的は、このようなブレンドの製造方法も提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的は以下の組成物により達成された。
(a)飽和物含有量が90重量%を超え、硫黄含有量が0.03重量%未満で、粘度指数が80〜150である鉱油誘導基油と、(b)100℃での粘度が7〜30cStのパラフィン性基油成分とを含有する潤滑基油ブレンドであって、(b)成分は、末端基及び分岐から除去された4個以上の炭素である繰返しメチレン炭素の割合(%)とイソプロピル炭素原子の割合(%)との比が、13C−NMRで測定して、8.2未満である異性化フィッシャー・トロプシュ誘導塔底生成物からなる該基油ブレンド。図1は、鉱油誘導グループII基油(a)と、パラフィン性フィッシャー・トロプシュ誘導残留基油成分(b)1〜10重量%との多数のブレンドの曇り点を示す。曇り点も示す。x軸は、12cStのグループII基油とのブレンド中のGTLエキストラ重質基油(XHBO)量(重量%)を示す。y軸は温度(℃)を示す。ブレンドは全て、曇り点がマイナスだったので、定義により透明で鮮明であった。
【発明を実施するための形態】
【0006】
成分(a)については、例えばエンジン潤滑油や工業用油に配合するのに使用される潤滑基油は、普通は、好適な鉱油供給原料から、所定の1組の特性、例えば一般に広範囲の温度に亘って粘度、酸化安定性及び(粘度指数で示されるような)流動性を維持する潤滑基油を得るために指示された各種精製プロセスにより製造される。潤滑基油の製造は、次のようにして行うのが都合良い。鉱物原油を大気圧蒸留で多数の蒸留物フラクション、及びロングレシジューとして知られる残油に分離する。次いでロングレシジューを真空蒸留により真空蒸留物、及びショートレシジューとして知られる真空残油に分離する。真空蒸留物フラクションからは、精製プロセスにより潤滑基油が製造される。これらのプロセスにより芳香族及び蝋は除去されるか、或いは真空蒸留物フラクションから受入れ可能な蒸留物基油分子成分に化学的に転化される。ショートレシジューからは、既知の脱アスファルト法によりアスファルトが除去できる。次いで、こうして得られた脱アスファルト油からは、芳香族及び蝋が除去されて、ブライトストックとして知られる残留潤滑基油が得られる。各種潤滑基油フラクションの精製中に得られる蝋は、“スラック蝋”と指名されている。潤滑基油は、通常、好適な潤滑基油フラクション及び/又は脱アスファルト油から、接触及び溶剤品質向上兼脱蝋工程及び接触水素化処理を含む好適な精製法により得られる。
【0007】
鉱物原油誘導潤滑基油は、APIパブリケーション1509:Engine Oil Licensing and Certification System(エンジン油ライセンシング及び証明システム),“Appendix E−API Base Oil Interchangeability Guidelines for Passenger Car Motor Oil and Diesel Engine Oils(乗用車モーターオイル及びディーゼルエンジンオイル用付録E−API基油交換可能性ガイドライン)”に定義されたAPIグループI、II又はIII基油とも言われている。“Oil & Gas Journal,1997年9月1日,63〜70頁には、APIグループII基油の各種製造方法が記載されている。これら可能な方法のいずれも、所望の飽和物含有量を有する基油を得るため、一箇所で芳香族及びその他の不飽和化合物を溶剤抽出又は水素化する工程を含んでいる。このような水素化は、例えばUS−A−5935416に記載されるように、通常、原料を水素の存在下で水素化触媒、通常、第VIII族金属担持触媒と接触させて行われる。
【0008】
この方法でAPIグループII基油、即ち、120以上の粘度指数を有するAPIグループII基油を得ることは可能であるが、このような方法で直接得ることは更に困難である。代わりに、この種の基油は、例えばEP−A−178710に記載されるように、精製操作で得られるスラック蝋の水素化処理により好適に得られる。或いはAPIグループIII潤滑基油は、蝋状原油誘導炭化水素質供給原料を水素化異性化条件下で水素化異性化触媒と接触させ、次いで高粘度指数の潤滑基油を回収する方法により、蝋状原油から誘導した多量の蝋を含有する供給原料から直接得ることができる。このような方法は例えばEP−A−0400742に記載されている。両ケースにおいて、これらの基油について得られる最大動粘度は、原料の数平均分子量及び分子量分布により表される原料の最大炭素数により測定される。
【0009】
本発明の基油ブレンドでは、鉱物誘導基油成分(a)は、基油ブレンドの総重量に対し、好ましくは40〜98重量%、更に好ましくは50〜97重量%、更に好ましくは60〜96重量%、更に好ましくは70〜95重量%、更に好ましくは80〜94重量%、更に好ましくは90〜93重量%存在する。残部はパラフィン性基油成分(b)である。基油ブレンド成分(a)は、100℃での動粘度が好ましくは12.0cStを超え、更に好ましくは15.0cStを超え、なお更に好ましくは20.0cStを超え、粘度指数が好ましくは95を超え、更に好ましくは100を超える。成分(a)の粘度指数は、好ましくは100〜110であるが、成分(b)の高いVIにより緩和できる。
【0010】
本発明の基油ブレンドは、曇り点が好ましくは0℃未満である。
本発明の基油ブレンドにおいて、成分(a)は、APIパブリケーション1509で定義されるAPIグループII及び/又はAPIグループIIIの基油であることが好ましい。
【0011】
本発明のフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性重質基油成分(b)は95重量%以上のパラフィン分子を含有する重質炭化水素組成物である。本発明の重質基油成分(b)は、フィッシャー・トロプシュ蝋から製造し、飽和パラフィン性炭化水素を98重量%より多く含有することが好ましい。これらパラフィン性炭化水素分子の好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、なお更に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは98重量%以上はイソパラフィン性である。飽和パラフィン性炭化水素の85重量%以上は非環式炭化水素であることが好ましい。ナフテン性化合物(パラフィン性環式炭化水素)は、好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%未満の量で存在する。
【0012】
フィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分(b)は、連続系列の連続的イソパラフィン、即ち、n、n+1、n+2、n+3及びn+4の炭素原子を必ず含有するように、連続数の炭素原子を有する炭化水素分子を含有する。これら連続数の炭素原子は、フィッシャー・トロプシュ炭化水素合成反応の結果であり、これから得られる蝋原料は、成分(b)を形成するため、異性化を行ったものである。
【0013】
更に成分(b)は、100℃で、また周囲条件下、即ち、25℃、1大気(101kPa)絶対圧で液体である。
この重質炭化水素組成物は、通常、使用する温度及び圧力条件下で、また通常、24℃、1大気(101kPa)圧の周囲条件(必ずしもこの周囲条件ではないが)で液体である。
【0014】
成分(b)の100℃での動粘度(VK100)は、ASTM D−445で測定して、7cSt(7mm/s)以上である。本発明重質炭化水素組成物の100℃での動粘度は、好ましくは10cSt以上、更に好ましくは13以上、なお更に好ましくは15以上、再び更に好ましくは17以上、なお再び更に好ましくは20以上、最も好ましくは25以上である。本明細書に記載の動粘度は、ASTM D−445に従って測定したものである。
【0015】
沸点範囲が535℃を超えるサンプルの沸点範囲分布は、ASTM D−6352に従って測定し、一方、これより低沸点材料の沸点範囲分布は、ASTM D−2887に従って測定したものである。
ここで言う初期及び最終の沸点値は呼称であって、ガスクロマトグラフ疑似蒸留(GCD)により前記方法を用いて得られるT5カットポイント(沸点)及びT95カットポイント(沸点)を言う。
【0016】
成分(b)の初期沸点は、好ましくは400℃以上、更に好ましくは450℃以上、なお更に好ましくは480℃以上、更に好ましくは500℃を超え、なお更に好ましくは540℃を超える。
【0017】
従来の石油誘導炭化水素及びフィッシャー・トロプシュ誘導炭化水素は、広い沸点範囲を有する各種分子量の混合物を含むので、この開示はそれぞれの沸点範囲についての10重量%回収点(回収沸点)及び90重量%回収点(回収沸点)を言う。10重量%回収点とは、そのカット(蒸留物)に存在する炭化水素の10重量%が大気圧で気化し、こうして回収できる温度のことである。同様に、90重量%回収点とは、そのカットに存在する炭化水素の90重量%が大気圧で気化する温度のことである。沸点範囲分布に言及する場合、本明細書では10重量%回収沸点と90重量%回収沸点間の沸点範囲を言う。
【0018】
本発明の成分(b)は、連続数の炭素原子を有する分子を含有し、好ましくはC30+炭化水素分子を95重量%以上含有する。更に好ましくは成分(b)はC35+炭化水素分子を好ましくは75重量%以上含有する。
“曇り点”とは、ASTM D−5773に従って測定して、サンプルが曇りを発生し始めた温度を言う。成分(b)の曇り点は、通常、−60℃〜+49℃である。
【0019】
本発明の基油ブレンドにおいて、成分(b)の流動点は、好ましくは−28℃未満である。本発明の基油ブレンドにおいて、成分(b)は、基油ブレンドに対し測定不能の流動点低下効果を有するので、基油ブレンドの流動点は、成分(a)の流動点と成分(b)の流動点との中間にあり、かつ成分(a)及び成分(b)のいずれよりも高い。成分(b)の曇り点は、好ましくは30〜−55℃、更に好ましくは10〜−50℃である。原料及び脱蝋条件に従って、フィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性重質基油成分(b)の若干は、周囲温度より高い曇り点を有するが、他の特性は悪影響を受けないことが見出された。
【0020】
“流動点”とは、慎重に制御された条件下で基油サンプルが流動し始める温度を言う。ここで言う流動点は、ASTM D97−93で測定する。
分子量はASTM D−2503に従って測定する。粘度指数VIはASTM D2270を用いて測定する。
本発明の成分(b)の粘度指数は、好ましくは120〜170、更に好ましくは135〜165、なお更に好ましくは150〜160である。
【0021】
成分(b)は硫黄及び窒素化合物を全く又は殆ど含有しないことが好ましい。これは殆ど不純物を含まない合成ガスを使用するフィッシャー・トロプシュ反応から誘導される生成物には普通である。成分(b)は、硫黄、窒素及び金属を好ましくは50ppmw(重量ppm)未満、更に好ましくは20ppmw未満、なお更に好ましくは10ppmw未満の量含有する炭化水素化合物の形態で含有する。最も好ましくは、一般に検出限界未満のレベルで硫黄及び窒素を含有する。検出限界は、例えばX線又はAntek窒素試験を用いて測定した場合、硫黄については5ppm、窒素については1ppmである。しかし、硫黄は、硫化水素化分解/水素化脱蝋及び/又は硫化接触脱蝋触媒を使用することで導入してよい。
【0022】
更に異性化フィッシャー・トロプシュ誘導塔底生成物が有し得る、動粘度、流動点及び流動点低下効果の間には、明らかに相関関係があることが見出された。所定の原料組成物及び塔底生成物の沸点範囲(脱蝋後の蒸留物基油及びガス油フラクションから低カットポイントにより定義した)では、流動点及び得られる粘度は脱蝋処理の苛酷性に繋がっている。流動点低下効果は、−28℃を超える流動点を有し、平均分子量が約600〜約1100で、分子中の分岐度が、US−A−7053254に開示されるように、炭素原子100個当たり約6.5〜約10のアルキル分岐を有する異性化フィッシャー・トロプシュ誘導塔底生成物では顕著であることが見出された。
【0023】
本発明においてフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分(b)は、フィッシャー・トロプシュ合成反応及び続いて水素化分解及び脱蝋工程中、生成した炭化水素から残留フラクションとして分離することが好ましい。
【0024】
更に好ましくは、このフラクションは、水素化異性化工程の生成物中に尚存在する最大分子量化合物を含有する蒸留残油である。前記フラクションの10重量%回収沸点は、本発明の特定の実施態様では、好ましくは370℃を超え、更に好ましくは400℃を超え、最も好ましくは500℃を超える。
【0025】
更に分子中の分岐度は、US−A−7053254に開示の方法に従って測定して、炭素原子100個当たり10を超えるアルキル分岐を有する。
【0026】
本発明のフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分(b)は、更に異なる炭素種の含有量により特定できる。更に詳しくは、フィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分(b)は、イソプロピル炭素原子の割合(%)に比べたε−メチレン炭素原子の割合(%)、即ち、末端基及び分岐(更にCH2>4と言う)から除去された4個以上の炭素である繰返しメチレン炭素の割合(%)により特定できる。
【0027】
US−A−7053254に開示される異性化フィッシャー・トロプシュ塔底生成物は、本発明の異性化フィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分とは異なり、後者の化合物は、ε−メチレン炭素原子の割合(%)とイソプロピル分岐中の炭素原子の割合(%)との比が、フィッシャー・トロプシュ誘導基油について測定して全体として8.2以上であると言う点で、通常、高い脱蝋苛酷性で得られることが見出された。特に、US−A−7053254に開示されるような、マイルドな異性化度を有するフィッシャー・トロプシュ生成物は、透明で鮮明なブレンドを得ることができないため、1.5〜2重量%より多い量添加するのは不適当であることが見出された。
【0028】
US−A−7053254に開示されるような基材のブレンドによる測定可能な流動点低下効果は、成分(b)においてε−メチレン炭素原子の割合(%)とイソプロピル分岐中の炭素原子の割合(%)との比が8.2以上である場合に限り達成されることが見出された。
【0029】
したがって、本発明のフィッシャー・トロプシュ誘導基油成分(b)の流動点は−28℃未満である。このような成分(b)は、僅かな流動点低下効果しかないか或いは全くないので、成分(a)及び(b)を含有する基油ブレンドの流動点はこれら成分の流動点の中間である。
【0030】
フィッシャー・トロプシュ誘導基油ブレンド成分の分岐特性及び炭素組成は、以下のC13−NMR、蒸気圧浸透圧法(VPO)、フィールドイオン化質量分析フィールドイオン化質量分析(FIMS)を用いた基油サンプルの分析により都合良く測定できる。
【0031】
平均分子質量は蒸気圧浸透圧法(VPO)により得られる。次にサンプルの特性を核磁気共鳴(NMR)により分子レベルで決定する。“Z”含有量及び平均炭素数はFIMSで求める。
【0032】
従来のNMRスペクトルは、基油組成物中に多量の異性体が存在するため、信号の重複と言う問題を有する。信号重複の問題を克服するため、選択した複合分光線(multiplet)副スペクトル(subspectral)炭素−13核磁気共鳴(13C−NMR)分析を利用した。特に、定量的なCH副スペクトルを得るため、ゲーテッドスピンエコー(gated spin echo)(GASPE)を利用した。GASPEから得られた定量的データは、分極伝達(polarization transfer)による無ひずみ強化(DEPT、例えばUS−A−7053254に開示の方法に利用される)で得られるデータよりも良好な精度を有する。
【0033】
GASPEデータ及び蒸気圧浸透圧法により得られた平均分子質量に基づいて、分岐及び脂肪族環の平均数が計算できる。更にGASPEに基づいて、側鎖長の分布及び直鎖沿いのメチル基の位置が得られる。
【0034】
定量的炭素多様性(multiplicity)分析は、完全に室温で行うのが普通である。しかし、これは、このような条件下で液体である材料にしか適用できない。この方法は、室温で霞んでいるか、或いは蝋状固体であり、したがって、普通の方法では操作できない、いかなる合成(例えばフィッシャー・トロプシュ)誘導又は鉱油誘導基油材料にも適用できる。NMRの測定法は次の通りである。定量的炭素多様性分析の測定用溶剤として、実用的な理由から最高測定温度を50℃に限定するジュウテリウム置換クロロホルム(CDCl)を用いる。基油サンプルを透明な液体均質生成物を形成するまで、オーブン中で50℃に加熱する。次いでサンプルの一部をNMR管に移す。NMR管及びサンプルの移動に使用されるいかなる装置もこの温度に保持する。前記同定溶剤を加え、管を震盪してサンプルを溶解する。この場合、必要に応じてサンプルの再加熱を行う。サンプル中の高融点材料の固化を防止するため、NMR測定器はデータの取得中、50℃に維持する。サンプルは、NMR測定器中に最小5分間入れておく。これは温度を平衡させるのに必要である。その後、測定器を再度楔で調節し(re−shim)、再調整しなければならない。これらの調節は高温で変化するからである。こうして、NMRデータが得られる。
【0035】
CHサブスペクトルは、CSEスペクトル(標準スピンエコー)に1/J GASPE(ゲーテッド取得スピンエコー)を加えて得られたGASPEパルスシーケンスを用いて得られる。得られたスペクトルは、第一(CH)及び第三(CH)炭素のピークだけを含有する。次に、一覧表にしたデータを利用して、各種炭素分岐炭素共鳴が、鎖端部に対し訂正する特定の位置及び長さに割り当てられる。引き続き、サブスペクトルが一体化され、以下のように、種々の異なるCH信号に対して定量値を与える。
【0036】
1)CH−炭素
a.25ppm化学シフト(TMSに対して参照)
b.19ppm及び21ppmは、以下の一般型(式1参照)のメチル分岐として同定できる。
【化1】

【0037】
c.22〜24ppmの領域の透明な強信号は、以下の一般構造(式2参照)を有するイソプロピル末端基として一義的に同定できる。

【化2】


本例では、メチル炭素原子の1つは主鎖の末端として分類され、その他のメチル炭素原子は分岐として分類される。したがって、メチル基含有量を計算する際は、これら信号の強度は2等分する。
【0038】
d.更に、15〜19ppmの領域における幾つかの弱い信号は、3位に追加の分岐を有するイソプロピル基に属するものと考えられる。
e.このスペクトルには、8〜8.5ppm領域に3,3−ジメチル置換構造(式3):
【化3】


に最も関連がありそうな幾つかの弱い信号が観察される。
【0039】
この場合、観察された信号は、末端のCHに対してであるが、2つの対応するメチル分岐がある。したがって、これら信号の積分値は倍加する(2つのメチル分岐に対する信号は独立に計算しない)。
【0040】
したがって、メチル分岐含有量の全体の評価は、以下の計算に基づく(式4の“Int”は用語“積分”を表す)。Σ(積分メチル)=Int 19〜20ppm+(Int 22〜25ppm)/2+Int 15〜19ppm+(Int 7.0〜9ppm)
2)エチル分岐の計算は、他のピーク指定(assignment)による証拠に基づきイソペンチル末端基含有量は無視できるものと仮定して、11.5ppm及び10.9ppmで観察される2つの透明な比較的強い信号に基づく。したがって、エチル分岐含有量の計算は、単に10〜11.2ppmの信号の積分に基づく。
【0041】
3)全体の理論末端CH含有量は、FIMSで測定した“z”含有量及び平均炭素数に基づいて計算した。次にC3+分岐含有量は、理論末端CH含有量から既知のCH含有量、即ち、イソプロピル値の半分、3−メチル置換値及び3,3−ジメチル飽和構造についての値を差し引いて求めた。これにより、CH鎖を末端とする(terminating)複数のCHに属する14ppm領域内の信号についての値が得られる。その差は、C3+についての値である。
Σ(積分C3+分岐)=Int 14〜15ppm−((理論末端CH)-(Int 11.2〜11.8ppm)-(Int 22〜25ppm)/2-Int 7〜9ppm))
【0042】
更に本発明は、
(a)飽和物含有量が90重量%を超え、硫黄含有量が0.03重量%未満で、粘度指数が80〜150である鉱油誘導基油と、
(b)100℃での粘度が7〜30cSt(7〜30mm/s)のパラフィン性基油成分であって、末端基及び分岐から除去された4個以上の炭素である繰返しメチレン炭素の割合(%)とイソプロピル炭素原子の割合(%)との比が、13C−NMRで測定して、8.2未満である異性化フィッシャー・トロプシュ誘導塔底生成物からなる該基油成分と、
をブレンドする工程を含む潤滑基油ブレンドの製造方法に関する。
【0043】
好ましくは本発明は、(a)前述のような鉱油誘導原料を水素化触媒の存在下、水素と接触させる工程、及び(b)得られた生成物を、請求項1〜7の記載に従って、フィッシャー・トロプシュ誘導成分とブレンドする工程を含む、飽和物含有量が90重量%を超え、硫黄含有量が0.03重量%未満で、粘度指数が80〜150である潤滑基油の製造方法にも関する。
【0044】
更に好ましくは前記方法は、
(i)飽和物含有量が90重量%未満で硫黄含有量が300ppmw〜2重量%の鉱油誘導潤滑基油前駆体生成物を水素の存在下、第一水素化処理段階において250〜350℃の温度で好適な水素化処理用硫化触媒と接触させる工程、
(ii)工程(i)の流出流をガス状フラクションと、硫黄含有量が50〜1000ppmw未満で窒素含有量が50ppmw未満の液体フラクションとに分離する工程、
(iii)工程(ii)の液体フラクションを水素の存在下、第二水素化処理段階において非晶質耐火性酸化物担体上に貴金属成分を担持してなる触媒と接触させる工程、
(iv)前記特定の特性を有する潤滑基油を回収する工程、及び
(v)工程(iv)で得られた基油をパラフィン性基油成分(b)とブレンドする工程、
を含む。
【0045】
好ましくは工程(i)の水素化処理触媒は少なくとも1種の第VIB族金属成分と、鉄、ニッケル、コバルト及び耐火性酸化物担体よりなる群から選ばれた金属とを含有する。
【0046】
なお更に好ましくは工程(i)の触媒は、ニッケル含有量が酸化物として1〜5重量%でモリブデン含有量が酸化物として10〜30重量%であるアルミナ担持ニッケル/モリブデン触媒である。更に好ましくは工程(iii)の触媒は,白金とパラジウムとの合計量が0.2〜5重量%である白金及びパラジウムと、非晶質シリカ/アルミナ担体とを含有する。
【0047】
潤滑基油生成物は、潤滑油の沸点範囲にある石油フラクションの溶剤抽出、次いで溶剤脱蝋及び/又は接触脱蝋により得られる。潤滑基油生成物はAPIグループI基油であり、工程(d)で得られる生成物は、APIグループII又はグループIII基油であることが好ましい。
【0048】
好ましくはパラフィン性基油成分(b)は、フィッシャー・トロプシュ誘導蝋又は蝋状ラフィネート原料から
(a)フィッシャー・トロプシュ誘導原料中の化合物の少なくとも20重量%が炭素原子数が30以上の化合物であるフィッシャー・トロプシュ誘導原料を水素化分解/水素化異性化する工程、
(b)工程(a)の生成物を1種以上の蒸留物フラクションと、沸点が540℃を超える化合物を少なくとも10重量%含有する残留重質フラクションとに分離する工程、
(c)該残留フラクションに対し流動点低下工程を行う工程、及び
(d)工程(c)の流出流から残留重質フラクションとしてフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分を単離する工程、
により得られる重質塔底蒸留物フラクションである。
【0049】
更に好ましくはパラフィン性基油成分(b)は、フィッシャー・トロプシュ誘導蝋又は蝋状ラフィネート原料から
(a)フィッシャー・トロプシュ誘導原料中の炭素原子数60以上の化合物と炭素原子数30以上の化合物との重量比が少なくとも0.2であり、かつフィッシャー・トロプシュ誘導原料中の化合物の少なくとも30重量%が炭素原子数30以上の化合物であるフィッシャー・トロプシュ誘導原料を水素化分解/水素化異性化する工程、
(b)工程(a)の生成物を、広範囲の基油前駆体フラクションのT90重量%沸点が350〜550℃の範囲になるように、低沸点フラクションの1種以上の蒸留物フラクションと、該基油前駆体フラクションと、重質フラクションとに分離する工程、
(c)工程(b)で得られた広範囲の基油前駆体フラクションに対し流動点低下工程を行う工程、及び
(d)工程(c)の生成物を、蒸留により重質塔底蒸留物フラクションに単離する工程、
により得られる重質塔底蒸留物フラクションである。
【0050】
異性化及び精留の他、フィッシャー・トロプシュ誘導生成物フラクションは、水素化分解、水素化処理及び水素化仕上げのような他の各種操作を受けてよい。
【0051】
工程(a)の原料はフィッシャー・トロプシュ誘導生成物である。フィッシャー・トロプシュ誘導生成物の初期沸点は400℃までの範囲であってよいが、好ましくは200℃未満である。フィッシャー・トロプシュ合成生成物を前記水素化異性化工程で使用する前に、炭素原子数4以下の化合物及びその範囲の沸点を有する化合物はフィッシャー・トロプシュ合成生成物から分離することが好ましい。好適なフィッシャー・トロプシュ法の例はWO−A−9934917及びAU−A−698391に記載されている。この開示された方法は、前述のようなフィッシャー・トロプシュ生成物を生成する。
【0052】
フィッシャー・トロプシュ生成物は、硫黄及び窒素含有化合物を含有しないか、或いは極めて微量しか含有しない。これは、殆ど不純物を含まない合成ガスを使用するフィッシャー・トロプシュ反応で誘導された生成物に普通のことである。硫黄及び窒素水準は、一般に現在、硫黄に対しては5ppm、窒素に対しては1ppmをそれぞれの検出限界とする限界未満である。
【0053】
フィッシャー・トロプシュ生成物は周知の方法、例えばいわゆるSasol法、Shell中間蒸留物合成法又はエクソンモービル“AGC−21”法で得られる。これらの方法及びその他の方法は、例えばEP−A−776959、EP−A−668342、US−A−4943672、US−A−5059299、WO−A−9934917及びWO−A−9920720に詳細に記載されている。この方法は、前記文献に記載されるように、一般にフィッシャー・トロプシュ合成及び水素化異性化工程を含む。フィッシャー・トロプシュ合成は、石炭、天然ガス、生物学的物質、例えば木材又は干し草のようないずれの種類の炭化水素質材料から製造した合成ガスに対しても実施できる。フィッシャー・トロプシュ法から直接得られたフィッシャー・トロプシュ生成物は、普通、室温で固体の蝋状フラクションを含有する。
【0054】
本発明方法の原料として使用されるフィッシャー・トロプシュ蝋は、周知のフィッシャー・トロプシュ炭化水素合成法で得られる。一般にこのようなフィッシャー・トロプシュ合成は、一酸化炭素と水素との混合物から好適な触媒の存在下、高温高圧で炭化水素を製造するものである。フィッシャー・トロプシュ触媒は、普通、パラフィン性分子、殆ど直鎖のパラフィンの製造に選択的であり、フィッシャー・トロプシュ合成反応による生成物は、通常、非常に多種のパラフィン性分子の混合物である。室温でガス状又は液体であるこれらの炭化水素は、例えば燃料ガス(C5−)、溶剤供給原料及び洗浄剤供給原料(C17まで)として別々に分離される。重質パラフィン(C18+)は、普通、フィッシャー・トロプシュ蝋又は合成蝋といわれる1種以上の蝋フラクションとして回収される。本発明の目的には、これらのフィッシャー・トロプシュ蝋だけが原料として有用で、沸点範囲及び凝固点についての前記要件に適合する。フィッシャー・トロプシュ蝋原料は、凝固点が好ましくは55〜150℃、更に好ましくは60〜120℃の範囲であり、及び/又はT90−T10が50〜130℃の範囲になるような沸点範囲を有する。融点が100℃未満のフィッシャー・トロプシュ蝋は、100℃での動粘度(Vk100)が好適には3cSt(3mm/s)以上、好ましくは3〜12cSt、更に好ましくは4〜10cStである。融点が100℃を超えるフィッシャー・トロプシュ蝋は、融点よりも10〜20℃高い温度Tでの動粘度が好適には8〜15cSt、好ましくは9〜14cStの範囲である。
【0055】
工程(a)の原料の10重量%回収沸点が500℃を超える場合、蝋含有量は好適には50重量%を超える。水素化異性化工程の原料は、炭素原子数が30以上の化合物を30重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは55重量%以上有するフィッシャー・トロプシュ生成物であることが好ましい。更にフィッシャー・トロプシュ生成物中の炭素原子数が30を超え60以上の化合物と炭素原子数が30以上60未満の化合物との重量比は、少なくとも0.2、好ましくは少なくとも0.4、更に好ましくは少なくとも0.55である。フィッシャー・トロプシュ誘導原料は、ASF−α値(Anderson−Schulz−Flory連鎖成長ファクター)が少なくとも0.925、好ましくは少なくとも0.935、更に好ましくは少なくとも0.945、なお更に好ましくは少なくとも0.955のC20+フラクションを含有することが好ましい。
【0056】
フィッシャー・トロプシュ生成物は、ASF−α値(アンダーソン−シュルツ−フローリー連鎖成長ファクター)が少なくとも0.925、好ましくは少なくとも0.935、更に好ましくは少なくとも0.945、なお更に好ましくは少なくとも0.955のC20+フラクションを含有することが好ましい。工程(a)のフィッシャー・トロプシュ蝋原料は、フィッシャー・トロプシュ誘導原料中の炭素原子数が60以上の化合物と炭素原子数が30以上の化合物との重量比は好ましくは少なくとも0.2、更に好ましくは少なくとも0.4である。
【0057】
水素化異性化の水素化転化/水素化異性化反応は、水素及び触媒の存在下で行うことが好ましい。このような触媒は、該反応に好適であるとして当業者に知られているものから選択できる。水素化異性化に使用される触媒は、通常、酸性官能価及び水素化−脱水素化官能価を有する。好ましい酸性官能価は耐火性金属酸化物担体である。好適な担体材料としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、チタニア及びそれらの混合物が挙げられる。本発明方法で使用される触媒に含まれる好ましい担体材料は、シリカ、アルミナ及びシリカ−アルミナである。特に好ましい触媒は、シリカ−アルミナ担体上にパラジウムを担持して構成される。例えばフッ素のようなハロゲン化合物を含有する触媒を特別の操作条件を必要とする上、環境上の問題を含むので、触媒はハロゲン化合物を含有しないことが好ましい。好適な水素化分解/水素化異性化方法及び好適な触媒は、WO−A−0014179、EP−A−532118、EP−A−666894及びEP−A−776959に記載されている。
【0058】
好ましい水素化/脱水素化官能価は、第VIII族金属、例えばコバルト、ニッケル、パラジウム及び白金である。好ましくは第VIII族貴金属群、例えばパラジウムであり、更に好ましくは白金である。白金及びパラジウムの場合、触媒は水素化−脱水素化活性成分を担体材料100重量部当たり0.005〜5重量部、好ましくは0.02〜2重量部の量含有してよい。ニッケルを使用する場合、高含有量で存在する。ニッケルは、任意に銅と組み合わせ使用される。水素化転化段階で使用する特に好ましい触媒は、白金を担体材料100重量部当り0.05〜2重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部の量で含有する。触媒の強度を高めるため、触媒はバインダーを含んでもよい。バインダーは、非酸性であってよい。バインダーの例は、粘土及びその他、当業者に公知のバインダーである。
【0059】
水素化異性化では、原料は触媒の存在下、高温高圧で水素と接触させる。温度は通常、175〜380℃、好ましくは250℃より高く、更に好ましくは300〜370℃の範囲である。圧力は通常、10〜250バール、好ましくは20〜80バールの範囲である。水素は、ガスの1時間当り空間速度 100〜10000Nl/l/hr、好ましくは500〜5000Nl/l/hrで供給できる。炭化水素原料は、重量の1時間当り空間速度 0.1〜5kg/l/hr(原料質量/触媒床容積/時間)、好ましくは0.5kg/l/hrを超え、更に好ましくは2kg/l/hr未満で供給してよい。水素対炭化水素原料比は、100〜5000Nl/kg、好ましくは250〜2500Nl/kgの範囲であってよい。
【0060】
1パス当り370℃よりも高い沸点を有する原料が、370℃より低い沸点を有するフラクションまで反応する原料の重量%として定義する、水素化異性化での転化率は、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%であるが、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下である。前記定義で使用される原料は、水素化異性化の全炭化水素原料であり、したがって工程(a)に任意に再循環させた分も含まれる。
【0061】
水素化異性化方法で得られた生成物は、イソパラフィンを好ましくは50重量%以上、更に好ましくは60重量%以上、なお更に好ましくは70重量%以上含有し、残部はn−パラフィン及びナフテン性化合物からなる。
【0062】
工程(b)では、工程(a)の生成物は1種以上の蒸留物フラクションと、沸点が540℃を超える化合物を10重量%以上含有する残留重質フラクションとを含有する。
これは、水素化異性化工程の流出流に対し、1種以上の蒸留物分離を行って少なくとも1種の中間蒸留物燃料フラクションと、工程(c)で使用される残留フラクションを得ることにより都合良く達成される。
【0063】
工程(a)の流出流に対してまず常圧蒸留を行う。特定の好ましい実施態様では、このような蒸留で得られた残油に対し、更に高い10重量%回収沸点を有するフラクションに到達するまでほぼ真空条件で更に蒸留を行ってよい。
【0064】
残油の10重量%回収沸点は、好ましくは350〜550℃の範囲で変化してよい。この常圧塔底生成物又は残油は、95重量%以上が370℃を超える沸点を有することが好ましい。
このフラクションは工程(c)で直接使用してもよいし、或いは0.001〜0.1バール(絶対圧)の圧力で追加の真空蒸留を行ってもよい。工程(c)の原料は、好ましくはこのような真空蒸留の塔底生成物として得られる。
【0065】
工程(c)では、工程(b)で得られた重質残留フラクションに対して、接触的流動点低下工程を行う。工程(c)は、蝋含有量を元の蝋含有量の50重量%未満に低下できるいかなる水素化転化法を用いて行ってよい。中間生成物中の蝋含有量は好ましくは35重量%未満、更に好ましくは5〜35重量%、なお更に好ましくは10〜35重量%である。工程(c)で得られた生成物の凝固点は好ましくは80℃未満である。この中間生成物の好ましくは50重量%を超え、更に好ましくは70重量%を超える分は、工程(a)で使用される蝋原料の10重量%回収点を超える沸点を有する。ここで使用される蝋含有量は、以下の方法に従って測定される。測定すべき油フラクション1部をメチルエチルケトンとトルエンとの混合物(50/50容量/容量)4部で希釈し、次いで冷凍機で−20℃に冷却する。引続き混合物を−20℃で濾過する。蝋を完全に冷溶剤で洗浄し、フィルターから取り出し、乾燥し秤量する。油含有量について述べると、重量%値は、100%から蝋含有量(重量%)を差引いた値を意味する。
【0066】
可能な方法は、工程(a)について前述したような水素化異性化法である。蝋はこのような触媒を用いて所望のレベルに低下できることが見出された。当業者ならば、前述のような方法条件の苛酷性を変化させることにより、所望の蝋転化率に到達するように所要の操作条件を容易に決定できる。しかし、油収率の最適化には温度300〜330℃、重量の時間当たり空間速度0.1〜5kg(油)/l(触媒)/hr、更に好ましくは0.1〜3kg/l/hrが特に好ましい。
【0067】
工程(c)に適用できる更に好ましい種類の触媒は脱蝋触媒の種類である。このような触媒を使用する際に適用される条件は、油中に蝋含有量が残るような条件でなければならない。これに対し、通常の接触脱蝋法は蝋含有量をほぼゼロに低下させることを目的としている。モレキュラシーブを含む脱蝋触媒を用いると、多数の重量分子が脱蝋油中に留まる。こうして、一層粘稠な基油を得ることができる。
【0068】
工程(c)に適用できる脱蝋触媒は、モレキュラシーブ及び任意に第VIII族金属のような水素化機能を有する金属を組合せて含有する。モレキュラシーブ、更に好適には細孔径が0.35〜0.8nmのモレキュラシーブは、蝋原料中の蝋含有量を低下させる良好な触媒能力を示した。好適なゼオライトは、モルデナイト、β、ZSM−5、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、SSZ−32、ZSM−35及びZSM−48又はそれらの組合わせである。他の好ましいモレキュラシーブ群は、シリカ−アルミナホスフェート(SAPO)材料であり、この中、SAPO−11は、例えばUS−A−4859311に記載されるように、最も好ましい。ZSM−5は、第VIII族金属の不存在下でHZSM−5の形態で任意に使用してよい。他のモレキュラシーブは、第VIII族金属を添加し、組合わせて使用すること好ましい。好適な第VIII族金属は、ニッケル、コバルト、白金及びパラジウムである。可能な組合わせの例は、Pt/ZSM−35、Ni/ZSM−5、Pt/ZSM−23、Pd/ZSM−23、Pt/ZSM−48及びPt/SAPO−11、或いはPt/ゼオライトβとPt/ZSM−23、Pt/ゼオライトβとPt/ZSM−48又はPt/ゼオライトβとPt/ZSM−22の積重ね構造である。好適なモレキュラシーブ及び脱蝋条件の更なる詳細及び例は、例えばWO−A−9718278、US−A−4343692、US−A−5053373、US−A−5252527、US−A−20040065581、US−A−4574043及びEP−A−1029029に記載されている。
【0069】
他の好ましい種類のモレキュラシーブは、ZSM−5及びフェリエライト(ZSM−35)のような比較的低い異性化選択率及び高い蝋転化選択率を有するものである。
【0070】
脱蝋触媒は好適にはバインダーも含有する。バインダーは合成又は天然産の(無機)物質、例えば粘土、シリカ、及び/又は金属酸化物であり得る。天然産の粘土は、例えばモンモリロナイト及びカオリン族である。バインダーは好ましくは多孔質バインダー材料、例えば耐火性酸化物、例えばアルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア(酸化トリウム)、シリカ−ベリリア(酸化ベリリウム)、シリカ−チタニアや三元組成物、例えばシリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシアおよびシリカ−マグネシア−ジルコニアがある。本質的にアルミナを含まない低酸性度の耐火性酸化物バインダー材料を使用することが更に好ましい。これらバインダー材料の例としては、シリカ、ジルコニア、二酸化チタン、二酸化ゲルマニウム、ボリアおよび前述のようなこれら2種以上の混合物がある。最も好ましいバインダーはシリカである。
【0071】
好ましい種類の脱蝋触媒は、前述のような中間ゼオライト微結晶及び本質的にアルミニウムを含まない低酸性度耐火性酸化物を含む。このアルミノシリケートゼオライト微結晶の表面は、表面脱アルミ化処理により変性したものである。好ましい脱アルミ化処理は、例えばUS−A−5157191又はWO−A−0029511に記載されるように、バインダー及びゼオライトの押出物をフルオロシリケート塩の水溶液と接触させることによる。前述のような好適な脱蝋触媒の例は、例えばWO−A−0029511及びEP−B−832171に記載されるようなシリカ結合脱アルミ化Pt/ZSM−5、シリカ結合脱アルミ化Pt/ZSM−35である。
【0072】
脱蝋触媒を用いた場合の工程(c)の条件は、通常、200〜500℃、好適には250〜400℃の範囲の操作温度を含む。操作温度は好ましくは300〜330℃である。10〜200バール、好ましくは40〜70バールの範囲の水素圧、1時間当り触媒1リットル当り油0.1〜10kg(kg/l/hr)、好適には0.1〜5kg/l/hr、更に好適には0.1〜3kg/l/hrの範囲の重量の時間当り空間速度(WHSV)、及び油1リットル当り水素100〜2,000リットルの範囲の水素対油比である。
【0073】
工程(c)で1パス当たり約30%を超えると、更なる平坦域(plateau)が−50〜−60℃の範囲の流動点に達するまで、収率及び流動点が幾何級数的に低下することが見出された。流動点が−28℃未満の得られた異性化フィッシャー・トロプシュ誘導塔底生成物は、かなり低下した流動点低下効果を示すか、或いはもはや流動点が低下しないことも見出された。
【0074】
しかし同時に、曇り点を周囲温度以上に上げることなく、高粘度を達成するため、このように流動点の低下した異性化フィッシャー・トロプシュ誘導塔底生成物を鉱物基油成分(a)に添加できることが見出された。
【0075】
工程(d)では工程(c)の生成物は、通常、真空塔に送られ、ここで各種の蒸留物基油留分が収集される。これらの蒸留物基油フラクションは、潤滑基油ブレンドを製造するのに使用してもよいし、或いはディーゼル又はナフサのような低沸点生成物に分解してもよい。真空塔から集めた残留材料は、高沸点炭化水素の混合物を含有し、本発明の成分(b)を製造するのに使用される。
【0076】
更に、工程(c)で得られた生成物には、溶剤脱蝋のような追加の処理を行ってもよい。本発明方法で得られた生成物は、安定性を向上するため、例えばUS−A−4795546及びEP−A−712922に記載されるように、粘土処理法又は活性炭との接触で更に処理することができる。
【0077】
成分(b)の添加は、その高い飽和レベル、極めて低い流動点及び高い粘度指数により、100℃での動粘度、流動点及び粘度指数の目標値を達成するのに可能となったので、本発明に従ってブレンドに使用すると、飽和物レベル、流動点及び粘度指数を緩和できることが見出された。したがって、鉱油原料の分解苛酷性が低下し、これにより鉱油原料について収率向上の利点が得られる。したがって、また本発明の主題は、(a)前述のような鉱物油誘導原料を水素化触媒の存在下に水素と接触させる工程、及び(b)得られた生成物を前述のようなフィッシャー・トロプシュ誘導成分(b)とブレンドする工程を含む、飽和物含有量が90重量%を超え、硫黄含有量が0.03重量%未満で、粘度指数が80〜150である潤滑基油の製造方法に関する。
【0078】
更に、低添加剤処理によるAPIグループII系配合物、したがって例えばSAE40又は50単一グレードガスエンジンオイルのような低添加剤増粘が本発明のブレンドにより達成できた。SAE動粘度要件が100℃で12.5mm/s(cSt)以上又はそれぞれ16.3mm/s(cSt)なので、困難である。
【0079】
本発明方法で得られた生成物は、安定性を向上するため、例えばUS−A−4795546及びEP−A−712922に記載されるように、粘土処理法又は活性炭との接触で更に処理することができる。
本発明を以下の非限定的実施例により説明する。
【実施例】
【0080】
脱漏触媒の製造
Micropores and mesopores materials、第22巻(1998)、644〜645頁、“Verified synthesis of zeolitic materials(ゼオライト材料の確認合成)”に従って原型(template)としてテトラエチルアンモニウムブロミドを用いてMTW型ゼオライト微結晶を製造した。走査電子顕微鏡(SEM)で視覚観察した粒度は1〜10μmのZSM−12であった。XRD線拡大法で測定した平均微結晶サイズは0.05μmであった。こうして得られた微結晶をシリカバインダーと一緒に押出した(ゼオライト10重量%、シリカバインダー90重量%)。押出物は120℃で乾燥した。(NHSiFの溶液(ゼオライト微結晶1g当たり0.019Nの溶液45ml)を押出物に注いだ。次いでこの混合物を押出物上で緩やかに攪拌しながら、還流下に100℃で17時間加熱した。濾過後、脱イオン水で2回洗浄し、120℃で2時間乾燥後、480℃で2時間焼成した。
【0081】
こうして得られた押出物に白金テトラミン水酸化物の水溶液を含浸し、次いで乾燥(120℃で2時間)、焼成(300℃で2時間)した。この触媒中の白金を100リットル/時間の水素流速下、350℃の温度で2時間還元して、触媒を活性化した。得られた触媒は、脱アルミ化シリカ結合MTWゼオライト上にPtを0.35重量%担持したものである。
【0082】
実施例1:フィッシャー・トロプシュ誘導成分(b)の製造
表1に示す特性を有するイソパラフィンを80重量%以上含有する、水素化分解処理/水素化異性化処理したフィッシャー・トロプシュ誘導蝋を蒸留して、沸点がほぼ390〜520℃の範囲にある軽質基油前駆体フラクション及び沸点が520℃を超える残留重質フラクションを得た。
【0083】
【表1】

【0084】
残留重質フラクションは前述の脱蝋触媒と接触させた。脱蝋条件は、水素圧40バール、WHSV=1kg/l.h、温度340℃、水素ガス流量=700Nl/kg(原料)である。脱蝋油は、蒸留により軽質基油成分及び表2に示す特性を有する重質基油成分に分離した。
【0085】
【表2】

【0086】
実施例2
粘度指数が95で、100℃での動粘度が32cStである鉱油誘導APIグループIブライトストックを本発明のフィッシャー・トロプシュ誘導基油成分A、B及びC、並びに苛酷性を下げた脱蝋工程で得られた比較用基油成分A及びBとブレンドした。
【0087】
混合物がなお負の曇り点を有し、したがって透明で鮮明であった場合の限界は、異なる濃度の数種のブレンドを作って測定する。フィッシャー・トロプシュ誘導成分を加えて数日後、周囲温度で透明で鮮明なブレンドに到達できた限界を、透明で鮮明な限界として示す。比較用フィッシャー・トロプシュ誘導塔底生成物、即ち、CH>4(全てのCから)中の炭素の重量%対イソプロピル基中の炭素の重量%の比が8.2を超える比較品の限界は、本発明のフィッシャー・トロプシュ誘導(FT)成分の限界よりも明らかに低かった。
【0088】
【表3】

【0089】
実施例3:APIグループII基油とのブレンド
APIグループII基油及び本発明のフィッシャー・トロプシュ誘導(FT)成分により他の1セットのブレンドを製造した。出発成分の特性を表4に示す。
【0090】
【表4】

【0091】
曇り点が正になる比を測定するため、前記基油及びグループII基油の量を増加させながら種々のブレンドを製造した。これらのブレンドは、前記2種の成分の混合物をブレンドが鮮明で明るくなるまで攪拌下に約50℃に加熱し、次いでブレンドを周囲温度(25℃)に冷却して製造した。次にブレンドを周囲温度で24時間、3日間及び7日間保持し、その時点で概観を調べた(表5参照)。
【0092】

【表5】

【0093】
以上の結果は、本発明の均質なブレンドはパラフィン性フィッシャー・トロプシュ誘導残留基油成分を多量に含有して製造できることを明確に示している。負の曇り点が得られた限界は約5重量%のフィッシャー・トロプシュ成分の添加に制限されたが、同様な挙動は、鉱油誘導グループIII基油を含むブレンドについて見られた。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】鉱油誘導グループII基油(a)と、パラフィン性フィッシャー・トロプシュ誘導残留基油成分(b)1〜10重量%との多数のブレンドの曇り点及び流動点を示す。横軸は、本発明ブレンド中のGTLエキストラ重質基油(XHBO)量(重量%)、縦軸は温度(℃)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】US−A−7053254
【特許文献2】US−A−5935416
【特許文献3】EP−A−178710
【特許文献4】WO−A−9934917
【特許文献5】AU−A−698391
【特許文献6】WO−A−0014179
【特許文献7】EP−A−532118
【特許文献8】EP−A−666894
【特許文献9】EP−A−776959
【特許文献10】US−A−4859311
【特許文献11】WO−A−9718278
【特許文献12】US−A−4343692
【特許文献13】US−A−5053373
【特許文献14】US−A−5252527
【特許文献15】US−A−20040065581
【特許文献16】US−A−4574043
【特許文献17】EP−A−1029029
【特許文献18】US−A−4795546
【特許文献19】EP−A−712922
【非特許文献】
【0096】
【非特許文献1】Micropores and mesopores materials、第22巻(1998)、644〜645頁、“Verified synthesis of zeolitic materials(ゼオライト材料の確認合成)”

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)飽和物含有量が90重量%を超え、硫黄含有量が0.03重量%未満で、粘度指数が80〜150である鉱油誘導基油と、(b)100℃での粘度が7〜30cSt(7〜30mm/s)のパラフィン性基油成分とを含有する潤滑基油ブレンドであって、(b)成分は、末端基及び分岐から除去された4個以上の炭素である繰返しメチレン炭素の割合(%)とイソプロピル炭素原子の割合(%)との比が、13C−NMRで測定して、8.2未満である異性化フィッシャー・トロプシュ誘導塔底生成物からなる該基油ブレンド。
【請求項2】
前記鉱油誘導基油成分(a)が、基油ブレンドの総重量に対し40〜95重量%存在する請求項1に記載の基油ブレンド。
【請求項3】
前記ブレンドは、12.0cStを超える100℃での動粘度及び95を超える粘度指数を有する請求項1又は2に記載の基油ブレンド。
【請求項4】
成分(a)の粘度指数が100〜110である請求項1〜3のいずれか1項に記載の基油ブレンド。
【請求項5】
前記ブレンドの曇り点が0℃未満の値を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の基油ブレンド。
【請求項6】
前記基油成分(a)が、APIパブリケーション1509に定義されるAPIグループII及び/又はAPIグループIIIの基油である請求項1〜5のいずれか1項に記載の基油ブレンド。
【請求項7】
成分(b)の流動点が−28℃未満である請求項1〜6のいずれか1項に記載の基油ブレンド。
【請求項8】
(a)飽和物含有量が90重量%を超え、硫黄含有量が0.03重量%未満で、粘度指数が80〜150である鉱油誘導基油と、
(b)100℃での粘度が7〜30cSt(7〜30mm/s)のパラフィン性基油成分であって、末端基及び分岐から除去された4個以上の炭素である繰返しメチレン炭素の割合(%)とイソプロピル炭素原子の割合(%)との比が、13C−NMRで測定して、8.2未満である異性化フィッシャー・トロプシュ誘導塔底生成物からなる該基油成分と、
をブレンドする工程を含む潤滑基油ブレンドの製造方法。
【請求項9】
成分(b)の分子中の平均分岐度が、炭素原子100個当たり10を超えるアルキル分岐数である請求項9に記載の方法。
【請求項10】
前記パラフィン性基油成分(b)が、フィッシャー・トロプシュ誘導蝋又は蝋状ラフィネート原料から
(a)フィッシャー・トロプシュ誘導原料中の炭素原子数60以上の化合物と炭素原子数30以上の化合物との重量比が少なくとも0.2であり、かつフィッシャー・トロプシュ誘導原料中の化合物の少なくとも30重量%が炭素原子数30以上の化合物であるフィッシャー・トロプシュ誘導原料を水素化分解/水素化異性化する工程、
(b)工程(a)の生成物を、広範囲の基油前駆体フラクションのT90重量%沸点が350〜550℃の範囲になるように、低沸点フラクションの1種以上の蒸留物フラクションと、該基油前駆体フラクションと、重質フラクションとに分離する工程、
(c)工程(b)で得られた広範囲の基油前駆体フラクションに対し流動点低下工程を行う工程、及び
(d)工程(c)の生成物を、蒸留により重質塔底蒸留物フラクションに単離する工程、
により得られる重質塔底蒸留物フラクションである請求項13〜19のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−535925(P2010−535925A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520565(P2010−520565)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060599
【国際公開番号】WO2009/021958
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】