説明

潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニット

【課題】この直動案内ユニットは,極小形であっても,給油のメンテナンスフリーを可能し,スライダを容易に,高精度に,迅速に組み立てを達成できる。
【解決手段】エンドキャップ4の外端面45には,方向転換路30を転走する転動体5に潤滑剤を供給するため潤滑剤を含浸した多孔質成形体の潤滑剤供給部材25を嵌合する第1凹部23と,押え板15を嵌入する第2凹部24とが形成されている。押え板1をエンドキャップ4に収容するため,エンドキャップ4の外周は鍔部29に形成されている。エンドキャップ本体8の第1凹部23に潤滑剤供給部材25を押え板15で押圧して係着するため,エンドキャップ本体8に押え板15を凹凸係合構造20により係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,例えば,軸径が6mm以下の断面円形状の丸軸の軌道軸に円筒形状のスライダを嵌挿した極小形のボールスプラインであって,スライダを軌道軸に対して相対的に摺動自在に構成すると共に回転トルクを伝達可能に構成した潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,直動案内ユニットは,各種の組立装置,半導体製造装置等に多用されており,潤滑機能を備えた直動案内ユニットとして,設計の自由度を上げ,潤滑油の管理が簡単で,転動体に対する摺動抵抗が少ない転がり案内ユニットが知られている。該転がり案内ユニットは,本体に形成した組み込み孔に含油部材を組み込み,エンドキャップに組み込まれ方向転換路の転動体に潤滑油を供給するための油供給部材を含油部材に圧接したものになっている。従って,上記転がり案内ユニットでは,本体には循環路に隣接して組み込み孔を形成するスペースが必要であり,油供給部材が含油部材に圧接可能に所定の大きさで剛性を有する必要があり,転がり案内ユニットが極小形のタイプでは,構成不可能に成っていた(例えば,特許文献1参照)。
【0003】
また,直動案内ユニットとして,転動体への潤滑剤の給油を方向転換路で行い,給油手段が単純化し,確実に安定的に給油してメンテナンスフリーを達成するものを本出願人は先に開発して特許出願した。該直動案内ユニットは,エンドキャップの端面に形成した凹部に潤滑剤を含浸させた多孔質成形体を嵌入して,凹部に方向転換路に連通する開口部を形成し,多孔質成形体の導出部の先端部になる接触面が方向転換路の転動体であるローラに接触して,ローラに潤滑剤が給油されるものに成っており,この直動案内ユニットは,エンドキャップの端面は比較的に大きな表面積を有しているので,端面の略全面に配設される多孔質成形体は人の手で容易にエンドキャップの凹部に嵌入可能になる剛性を有しており,エンドキャップの端面にエンドシールを配設するだけで方向転換路のローラに給油することに支障の無い構造に構成されている(例えば,特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−38195号公報
【特許文献2】特開2008−82433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで,近年,直動案内ユニットは,各種の装置において,更に小形に構成して給油のメンテナンスフリーが益々求められており,特に,半導体製造装置等に多用される直動案内ユニットである極小形なボールスプラインについての給油のメンテナンスフリーが要望されるようになった。しかしながら,従来の直動案内ユニットでは,給油のメンテナンスフリーを可能にしているが,極小形のボールスプラインを実現するには課題が有った。従来のボールスプラインでは,構成部材を更に極小にした場合に,構成部材をそれぞれに選定し,部材を判別し,各部材を個々に組み立てる従来の方法では,組み立てが困難になるものであった。即ち,上記先行文献のようにエンドキャップに,潤滑機能を備える構造に構成するには,従来の極小形のボールスプラインよりもエンドキャップの各構成部品が更に小さいものになり,各極小部品に成るために,その各極小部品を如何に所定位置に位置決めして組み立て,且つ如何に組み立て状態を保持して組み立てするかが課題に成っている。
【0006】
そこで,本出願人は,上記特許文献1と同種のボールスプラインにあって,さらに小形,即ち極小形なボールスプライン,例えば,軌道軸の直径が2〜6mmであって,潤滑機能を備えたものにおいて,如何にして,小形のエンドキャップに潤滑剤供給部材を保持し,容易で,高精度に位置決めを確保するかを考慮したものであり,直動案内ユニットにおいて潤滑機能を備えた極小形のボールスプラインとして,従来のタイプの構成を踏襲しているが,構成部材が極小になり,構成部材をそれぞれ選定して判別し,個々に組み立てる従来の方法では組立てが困難になっているために,更に構成を工夫して,実現に至ったものである。即ち,本願発明は,潤滑機能を備えた極小形のボールスプラインであって,スライダのエンドキャップ本体に多孔質成形体の潤滑剤供給部材を収容し,潤滑剤供給部材を封止し押圧して係着するための押え板を凹凸係合構造によりエンドキャップ本体内に内蔵したものであり,エンドキャップに潤滑剤供給部材を配設して押え板で潤滑剤供給部材を押圧固定して実現したものである。
【0007】
この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,エンドキャップの端部に所定の給油量を確保できる大きさに潤滑剤を含浸した多孔質成形体で成る潤滑剤供給部材を収容固定し,更に,潤滑剤供給部材を押圧してエンドキャップの所定位置に係着するための押え板を凹凸係合構造によりエンドキャップに係合固定して押え板をエンドキャップに内蔵させ,それによって構成部品である各極小部品である潤滑剤供給部材及び押え板をエンドキャップの所定の位置に位置決めして一つの組立体を構成し,該組立体をケーシングに組み込んでスライダに完成することが可能になっており,特に,極小形であっても,給油のメンテナンスフリーが可能なボールスプラインが実現された潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は,周方向に隔置して長手方向に沿って軌道溝が形成された長尺状の軌道軸及び前記軌道軸に転動体を介して摺動自在なスライダから成り,前記スライダは,前記軌道軸の前記軌道溝に対向して軌道溝が形成され且つ前記軌道溝間に形成される軌道路に平行に延びるリターン路が形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面に取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキャップ,及び前記軌道路と前記リターン路と前記方向転換路とで構成される循環路を転走する前記転動体を有する潤滑機能を備えた直動案内ユニットにおいて,
前記エンドキャップは,前記方向転換路を転走する前記転動体に潤滑剤を供給するため前記潤滑剤が含浸された多孔質成形体で成る潤滑剤供給部材を収容すると共に,前記潤滑剤供給部材を封止し押圧して所定位置に係着するための押え板を収容し,前記押え板は,前記エンドキャップに凹凸係合構造により位置決め係合して固定されていることを特徴とする潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニットに関する。
【0009】
また,この直動案内ユニットは,前記スライダの外側に成る前記エンドキャップの外端面には,前記潤滑剤供給部材を嵌合する第1凹部と前記押え板を嵌入し係合する第2凹部とが形成され,前記外端面の外周部は,前記潤滑剤供給部材と前記押え板とを収容した鍔部に形成されているものである。
【0010】
また,前記凹凸係合構造は,合成樹脂製の前記押え板の外周に形成された係合凸部が弾性変位して合成樹脂製の前記エンドキャップの前記鍔部に形成された係合孔にスナップフィットして係合するように構成されている。
【0011】
また,この直動案内ユニットは,断面円形状で且つ軸径が6mm以下の丸軸に構成された前記軌道軸と,円筒形状に構成されて前記軌道軸を嵌挿した前記スライダとは,前記転動体であるボールを介して相互に回転トルクを伝達可能にするボールスプラインに構成されている。
【0012】
また,この直動案内ユニットは,前記潤滑剤供給部材に対向する前記押え板の背面には,前記潤滑剤供給部材を押圧するための押圧凸部が形成されている。
【0013】
また,この直動案内ユニットにおいて,前記押え板は,前記ケーシング側となる背面に対して反対面になる正面に,前記エンドキャップを前記ケーシングに固着するためのボルトの頭を嵌入するボルト用凹部が形成され且つ前記ボルト凹部に関連する部分が外周及び前記背面に突出して係止凸部に形成され,前記係止凸部に対向する前記エンドキャップの前記鍔部には前記係止凸部がガイドされて嵌挿する切欠き凹部が切り欠かれて形成され,前記押え板の前記係止凸部を前記エンドキャップの前記切欠き凹部に嵌合することによって前記押え板が前記エンドキャップに位置決めされ,前記係止凸部が前記切欠き凹部に進入して前記押え板が前記凹凸係合構造により前記エンドキャップに係合され,更に前記ボルトを前記ボルト用凹部から前記エンドキャップに通して前記ケーシングに螺着することによって前記押え板の前記係止凸部と前記エンドキャップの前記切欠き凹部とが密着して前記押え板と前記潤滑剤供給部材とが前記エンドキャップの所定位置に固着されるものである。
【0014】
また,この直動案内ユニットにおいて,前記エンドキャップは,前記ケーシングの前記端面に背面が当接し且つ前記背面の反対側端面に成る正面に前記方向転換路の内周部が形成されたスペーサと,前記スペーサの前記正面に背面が当接し且つ前記方向転換路の前記内周部に対向して前記方向転換路の外周部が形成されたエンドキャップ本体とから構成され,前記エンドキャップ本体には,前記潤滑剤供給部材の貯油部を嵌挿する通し孔で成る嵌挿孔が形成され且つ前記転動体に前記潤滑剤を供給する部分に成る前記潤滑剤供給部材の導出部を嵌挿する通し孔で成る連通孔が形成されているものである。
【0015】
また,前記潤滑剤供給部材は,超高分子量の合成樹脂微粒子を加熱成形した焼結樹脂で成る前記多孔質成形体に前記潤滑剤を含浸して成り,前記エンドキャップ本体の前記方向転換路の前記軌道路側に隣接して形成された前記嵌挿孔に嵌挿するブロック形状になる前記貯油部と,前記方向転換路の前記リターン路側の一部壁面を開口して成る前記連通孔に嵌挿して前記転動体に前記潤滑剤を供給する前記一部壁面と略同形に成る供給面を先端部に備えた断面矩形状の前記導出部と,前記貯油部から前記導出部に渡って一体構造に連係する円弧板状の連係部とから構成されている。
【0016】
また,この直動案内ユニットは,前記エンドキャップ本体には内周部に前記背面から突出する断面矩形状で平板状になる位置決め凸部が形成され,前記位置決め凸部は前記スペーサに形成された凹溝を通して前記ケーシングの内周部に形成された凹溝に嵌合して前記エンドキャップを位置決めするものである。
【0017】
また,前記スライダは,前記ケーシングが前記端面から見て対向する前記軌道溝間の中心線に対して前記リターン路を左右対称位置に形成されていることによって,前記ケーシングの前記端面のそれぞれに同一の前記エンドキャップが配設可能に構成されているものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明による直動案内ユニットは,上記のように,エンドキャップの外端面に所定給油量が確保できる大きさの潤滑剤供給部材を収容し,該潤滑剤供給部材を潤滑剤が含浸された多孔質成形体で構成し,更に,エンドキャップ内に潤滑剤供給部材を封止し押圧して所定位置に係着するための押え板を凹凸係合構造によりエンドキャップの端部側に収容した構造に構成したので,構成部品である各極小部品が所定位置に位置決めされた一つの組立体のエンドキャップに構成され,スライダの本体であるケーシングに容易に迅速に的確に組み立てられ,スライダに完成させることが可能である。従って,この直動案内ユニットは,例えば,軸径が6mm以下の4mmの軌道軸の超小形であって,それに伴ってスライダも極小形であっても,潤滑剤供給部材をエンドキャップ内に嵌合させて押え板で固定するのに,まず,エンドキャップの凹部に配設させた状態で,押え板の係止凸部をエンドキャップの鍔部に形成した切欠き凹部に嵌入させて押え板をエンドキャップの周方向に位置決めし,次いで押え板を更にエンドキャップの切欠き凹部に進入させて嵌入し,エンドキャップの係合孔に押え板の係合凸部を係合させてエンドキャップに対して押え板を軸方向に位置決めして押え板をエンドキャップに固定することができ,それによって,潤滑剤供給部材をエンドキャップ内に容易に且つ的確に収容して固定でき,給油のメンテナンスフリーが可能なボールスプラインを実現させるとができる。
【0019】
また,この直動案内ユニットでは,エンドキャップと押え板とは,合成樹脂製で作製されているので,各極小部品にもかかわらず,凹凸係合構造を成す弾性変位可能な係合凸部と係合孔とをスナップ嵌合させることができ,また,押え板の押圧凸部が潤滑剤供給部材に対して弾性的に押圧して潤滑剤供給部材を固定させ,押え板と潤滑剤供給部材とをエンドキャップへ対して簡単に組立可能に,正確にマッチングさせることができる。この直動案内ユニットは,エンドキャップ本体には,潤滑剤供給部材の貯油部を嵌挿する嵌挿孔を通し孔に形成したので,エンドキャップ本体に押え板が組み込まれた一つの組立体にあって,エンドキャップ本体の背面における嵌挿孔を目視することによって,その組立体に潤滑剤供給部材が組み入れられているか否かの確認が可能に成っており,不具合が防止可能に成っている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明による潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニットの一実施例を示す部分断面を含む斜視図である。
【図2】図1の直動案内ユニットを示しており,他の部位の部分断面を含む斜視図である。
【図3】図1の直動案内ユニットにおけるスライダの長手方向の半分を分解して示す分解斜視図である。
【図4】図1の直動案内ユニットにおけるケーシングを示す軸線方向から見た正面図である。
【図5】図4のケーシングを示す側面図である。
【図6】図3におけるエンドキャップ本体を示す正面図である。
【図7】図6のエンドキャップ本体を示す背面図である。
【図8】図6のエンドキャップ本体の断面A−Aにおける断面図である。
【図9】図3における上側の潤滑剤供給部材を示す背面図である。
【図10】図9の潤滑剤供給部材を示す下面図である。
【図11】図3における下側の潤滑剤供給部材を示す背面図である。
【図12】図11の潤滑剤供給部材を示す下面図である。
【図13】図3における押え板を示す正面図である。
【図14】図13の押え板の断面B−Bにおける側方断面図である。
【図15】図3における押え板を示す背面図である。
【図16】図6のエンドキャップ本体の半分を基準にして断面D−a―b−c−d−Dの位置を説明する説明図である。
【図17】図16の断面D−a―b−c−d−Dにおけるエンドキャップ本体に組み込まれた潤滑剤供給部材及び押え板の組立て状態を示す部分断面図である。
【図18】図3におけるスペーサを示す正面図である。
【図19】図18のスペーサの断面E−Eにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下,図面を参照して,この発明による潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニットの実施例について説明する。図1,図2及び図3に示すように,この直動案内ユニットは,周方向に隔置した両側面の長手方向に沿って軌道溝11が形成された長尺状の軌道軸1,及び軌道軸1に転動体のボール5を介して摺動自在なスライダ2から成る。長尺状の軌道軸1は,断面円形状の中実の丸軸に形成されている。スライダ2は,軌道軸1に嵌挿する円筒形状に形成されている。この直動案内ユニットは,スライダ2が軌道軸1に対して相対に摺動自在であって回転トルクを伝達可能な構造であってボールスプラインに構成されている。ボールスプラインは,軌道軸1の軸径が6mm以下の極小形に構成されており,この実施例では,軌道軸1の軸径がφ4mm,及びスライダ2の外径がφ8mmに構成されている。スライダ2は,軌道軸1の軌道溝11に対向して軌道溝12が形成され且つ軌道溝11,12間に形成される軌道路9に平行に延びるリターン路10が形成されたケーシング3,ケーシング3の両端面35に取り付けられ且つ軌道路9とリターン路10とを連通する方向転換路30が形成されたエンドキャップ4,並びに軌道路9,リターン路10,及び一対の方向転換路30で構成される循環路6を転走する複数のボール5でなる転動体を有している。
【0022】
図1〜図3に示すように,この直動案内ユニットにおけるエンドキャップ4は,潤滑機能を備えており,エンドキャップ4には,方向転換路30を転走するボール5に潤滑剤を供給するために潤滑剤が含浸された多孔質成形体で成る潤滑剤供給部材25が収容されている。多孔質成形体で成る潤滑剤供給部材25は,転動体への所定給油量が確保できる大きさに形成されているが,極小部品に形成されている。そこで,極小部品の潤滑剤供給部材25を押圧してエンドキャップ4の所定位置に係着するために,押え板15がエンドキャップ4に内蔵された構造に構成されている。ボルト13によりエンドキャップ4をケーシング3に固着するのに先立って,エンドキャップ4に組み立てられた極小部品で成る潤滑剤供給部材25及び押え板15がバラバラにならないように,押え板15は,エンドキャップ4に凹凸係合構造を構成する係合部20により係合固定されている。エンドキャップ4は,ケーシング3に対向する端面とは反対側の外側になる端面である外端面45を凹部24(第2凹部)に形成して,凹部24の奥側に多孔質成形体の潤滑剤供給部材25を嵌合する凹部23(第1凹部)が形成されており,凹部23の手前側に押え板15を嵌入する凹部24が形成されている。凹部24が形成されたエンドキャップ4の外端面45の外周には,鍔部29に形成され,鍔部29内に潤滑剤供給部材25と押え板15とが収容されている。
【0023】
押え板15は,エンドキャップ4に極小部品で成る潤滑剤供給部材25を嵌合して組み立てた後に続き,エンドキャップ4に対して簡単に位置決めしてワンタッチで組み込み可能にする上で,薄肉で且つ微細で緻密な構造を構成するために,合成樹脂製の成形体で構成されている。エンドキャップ4の鍔部29には,係合孔36が形成され,係合孔36に対向して押え板15の外周に係合凸部37が形成されている。押え板15の係合凸部37は,弾性変形可能に構成され,エンドキャップ4の係合孔36にスナップフィットして係合する構造に構成されている。所謂,押え板15とエンドキャップ4とは,互いに凹凸係合構造である係合部20に構成されている。その凹凸係合構造については,例えば,図示のように,押え板15の係合凸部37をエンドキャップ本体8の係合孔36に係合させるものである。係合凸部37を係合孔36に的確に係合させるために,押え板15の係合凸部37をエンドキャップ本体8の係合孔36に対して簡単に容易に位置決めする位置決め案内構造が設けられている。その位置決め案内構造は,エンドキャップ本体8の鍔部29に鍔部29の一部を切り欠いた切欠き凹部28が形成されており,押え板15にはエンドキャップ本体8の切欠き凹部28に係止可能な係止凸部48が形成されている。押え板15の係止凸部48は,押え板15の外周に形成された係合凸部48をエンドキャップ本体8に対して先行して位置決め案内するために,押え板15の背面51に突出して第1係止凸部48Aに形成されると同時に,押え板15の外周に突出して回転方向の位置決めをする第2係止凸部48Bに形成されている。
【0024】
更に,押え板15の係止凸部48は,背面51とは反対側になる正面52にエンドキャップ4をケーシング3に固着するためのボルト13を嵌入するためのボルト用凹部38が形成されている。ボルト用凹部38は,ボルト13を挿通するための通し孔50が形成されると共に,押え板15の正面52になるおもて面の表面からボルト13の頭が完全に埋没する深さに形成されている。従って,押え板15の係止凸部48に対向するエンドキャップ4の切欠き凹部28にもボルト13を挿通する通し孔22が形成されている。よって,押え板15の係止凸部48とエンドキャップ4の切欠き凹部28とは,ボルト13を嵌入して螺着することによって,エンドキャップ4をケーシング3に固着するための構成部分に成っており,押え板15と潤滑剤供給部材25とがエンドキャップ4の所定位置に固着可能に,押え板15の係止凸部48とエンドキャップ4の切欠き凹部28との対向する対向面が互いに密着して成る当接面53,59に形成されている。当然のこととして,エンドキャップ4に対して押え板15を位置決め案内するために,エンドキャップ4の切欠き凹部28の当接面59は,押え板15を嵌入するエンドキャップ4の第2凹部24の深さよりも深い位置に形成されている。
【0025】
エンドキャップ4は,エンドキャップ本体8とスペーサ7とから構成され,エンドキャップ本体8に前述の潤滑剤供給部材25と押え板15とが内蔵されて構成されている。スペーサ7は,背面58がケーシング3の端面35に当接し,背面58とは反対側の端面である正面57の合せ面56に方向転換路30の内周部31が形成されている。エンドキャップ本体8は,スペーサ7の正面57にエンドキャップ本体8の背面47が当接して,その背面47には方向転換路30の内周部31に対向して方向転換路30の外周部32が形成されている。エンドキャップ本体8とスペーサ7とが合体することで,方向転換路30の内周部31と外周部32とが整合して方向転換路30が形成される。方向転換路30の内周部31の端部には,軌道路9に連通する軌道路連通凹溝部34が形成されている。図2に示されるように,潤滑機能は,エンドキャップ4に収容された潤滑剤供給部材25が方向転換路30を転走する転動体であるボール5に接触して,潤滑剤供給部材25に含浸された潤滑剤がボール5に供給される構造に構成されている。表面に潤滑剤を供給されたボール5が軌道路9内を転動することで,軌道路9の各軌道溝11,12に潤滑剤が供給される。従って,上述により,エンドキャップ4は,エンドキャップ本体8に多孔質成形体で成る潤滑剤供給部材25を嵌入し,続いて押え板15を嵌入し,さらに押え板15の係合凸部48を係合孔36に係合することで,エンドキャップ本体8に潤滑剤供給部材25と押え板15とが係着されて各構成部品がバラバラになることなく一つのユニットとなる組立体に構成され,その組立体になったエンドキャップ本体8にボルト13を通してスペーサ7と共にケーシング3に固着すればスライダ2として容易に組み立てることが可能に成っている。
【0026】
図4及び図5に示すように,ケーシング3は,内周が断面円形状の丸軸に成る軌道軸1を嵌挿可能に略円形に成り,外周も円形に成る円筒形状で形成されて,外筒に成っている。ケーシング3の内周には,軌道軸1の軌道溝11に対向して軸線方向に沿って軌道溝12が形成されている。ケーシング3の軌道溝12は,転動体のボール5が転走可能にボール径よりも僅かに大きくしてボール5を包み込むように凹部形状に形成され,軌道軸1に対向する凹部形状の内周との開口幅である窓幅はボール径よりも小さく形成されてボール5が内周に脱落することが無いようにケーシング3に保持可能に形成されている。ケーシング3の軌道溝12は,対向した2ヶ所に形成されている。また,ケーシング3には,軌道溝12に平行して所定距離に離れた位置に軌道溝12へ循環するボールが通るリターン路10が形成されている。リターン路10は,ボール5の直径よりも僅かに大きい通し孔に形成されている。リターン路10は,ケーシング3の端面35から見て対向する軌道溝11間の中心線CL−CLに対して線対称である左右対称位置に形成されている。このように,リターン路10を左右対称に形成することで,ケーシング3の両端面に同一のエンドキャップ4が配設可能に成っている。また,ケーシング3の内周には,軌道溝12と直交した位置(中心線CL−CL上)に互いに対向する矩形状の嵌合溝である凹溝17が軸線方向に沿って形成されており,さらに凹溝17の開口幅が軌道溝12の2倍程度に幅広に形成されて成り,後述するエンドキャップ4の位置決め凸部40(図8)が容易に嵌入し易いものに成っている。ケーシング3の端面35には,軌道溝12と直交した位置(中心線CL−CL上)に,上記凹溝17が形成されていると共に,エンドキャップ4を固着するためのボルト13を螺入するためのねじ穴21が形成されている。ケーシング3の外周の中央1ヶ所には,ハウジング(図示せず)に対してケーシング3を取り付けるため,ハウジングに対するケーシング3の回転止め機能を持たせるため,円錐状の位置固定用凹部14が形成されている。位置固定用凹部14としては,一般的には,キー溝又はねじ孔に形成されるものである。
【0027】
図6〜図8は,エンドキャップ本体8を示しており,エンドキャップ本体8は,ケーシング3の内周及び外周と略同一に成る内周及び外周で円環厚板状に形成されている。また,エンドキャップ本体8の各部は,ケーシング3の中心線CL−CLと同様に中心線CL−CLに対して左右対称に形成されている。図7に示すように,エンドキャップ本体8は,スペーサ7と対向する背面47に,ケーシング3の軌道溝12から成る軌道路9及びケーシング3のリターン路10に対向して軌道路9とリターン路10とを連通する方向転換路30の外周部32が形成されている。方向転換路30の軌道路9側には,内周に僅かに突出して成るすくい爪42が形成されている。エンドキャップ本体8は,中心線CL−CL上に,ケーシング3のねじ穴21に対向してボルト13の通し孔22が形成され,ケーシング3の凹溝17に対向してエンドキャップ本体8の背面47から突出する断面矩形状で平板状になる位置決め凸部40が形成されている。エンドキャップ本体8は,位置決め凸部40をスペーサ7の凹溝18を介してケーシング3の凹溝17に嵌合することによって,ケーシング3に対して位置決め設定される。エンドキャップ本体8は,一方の通し孔22と方向転換路30の軌道路9側との空スペースに可能な限り大きな扇矩形状の嵌挿孔39が形成され,他方の通し孔22と方向転換路30のリターン路10側とには方向転換路30のリターン路10の中心Orから方向転換路30を外れて外周側へ接線方向に延びる矩形状の連通孔41が形成されている。図6に示すように,エンドキャップ本体8は,正面46に成る外端面において,端面側に押え板15が嵌入するための第2凹部24が形成され,外周部が鍔部29に形成されている。第2凹部24の奥側に潤滑剤供給部材25が嵌入するための第1凹部23が形成されている。第1凹部23は,嵌挿孔39から連通孔41を含めて覆って延びる扇矩形状の凹部23に形成されている。また,外端面の通し孔22の位置には,鍔部29を切り欠いて,第2凹部24よりも深さが深く成る切欠き凹部28が形成されている。図6〜図8に示すように,中心線CL―CLに直交するエンドキャップ本体8の外周部に係合孔形成用溝16の凹溝が形成され,係合孔形成用溝16の溝深さが鍔部29の内周よりも僅かに深く形成されて背面47から鍔部29に掛かるまで延びて形成されることによって鍔部29に交差する部分に係合孔43が形成されている。図7に示すように,エンドキャップ本体8には,潤滑剤供給部材25の貯油部33(図9〜図11)を嵌挿する通し孔である嵌挿孔39が形成されているので,エンドキャップ本体8の背面47から嵌挿孔39を見るだけで,潤滑剤供給部材25がエンドキャップ4に装着されているか否かが一目で分かり易いものに構成されている。
【0028】
図9〜図12に示すように,潤滑剤供給部材25は,エンドキャップ本体8の第1凹部23に嵌合する形状に形成され,第1凹部23が中心線CL―CLに対して左右対称に形成された図6の下側の第1凹部23及び図6の上側の第1凹部23にそれぞれ嵌合可能に下側用潤滑剤供給部材25と上側用潤滑剤供給部材25に形成されている。潤滑剤供給部材25は,超高分子量の合成樹脂微粒子を加熱成形した焼結樹脂で成る多孔質成形体に形成され,多孔質成形体の合成樹脂微粒子間の空孔部に潤滑剤を含浸した構造に構成されている。この構造により,潤滑剤供給部材は,極小部品にもかかわず,エンドキャップ本体8の第1凹部23に嵌合可能に,フィット性,緻密性,及び剛性に優れ,且つ潤滑剤の保持性を有し,さらにボール5に接触する接触部分の潤滑剤の滑らかな流出性に優れて成る。潤滑剤供給部材25は,エンドキャップ本体8の嵌挿孔39の全体に嵌挿する断面扇矩形状のブロック形状に形成された貯油部33と,エンドキャップ本体8の連通孔41に嵌挿する断面矩形状で連通孔41に沿って延びて成る導出部27と,貯油部33から導出部27に渡って一体構造に連係する円弧板状の連係部26とから構成されている。即ち,潤滑剤供給部材25は,円弧板状に成る連係部26の一端部に板面上から直交して突出する断面扇矩形状のブロック形状に成る貯油部33が一体構造に形成され,他端部に板面上から直交して突出する断面矩形状の平板形状に成る導出部27が一体構造に形成されている。潤滑剤供給部材25は,エンドキャップ本体8の第1凹部23にピッタリに嵌合される。導出部27の先端部は,エンドキャップ本体8の第1凹部23の連通孔41に嵌合されたときに,エンドキャップ本体8の方向転換路30内への開口部分に現れる部分が方向転換路30の外周部32の壁面部分を形成する転動体のボール5と接触する接触面に形成されている。その接触面が潤滑剤の供給面44を構成している。供給面44は,方向転換路30の外周部の壁面部分が球面状に成るのに対して,近似する円弧面に形成されている。供給面44は,先端部の略半分の範囲に形成されている。潤滑剤供給部材25は,供給面44が方向転換路30の外周面に沿っているので,ボール5の転走を阻害することなく,ボール5が方向転換路30の外周面を通過するときの遠心力の作用で確実にボール5に接触することになり,ボール5に潤滑剤が確実に供給されることになる。潤滑剤供給部材25は,導出部27の先端に成る供給面44に循環転走する転動体のボール5が接触する度に,接触する部分の供給面44が僅かに弾性変形して潤滑のポンプ作用が働き,及び多孔質成形体の毛細管現象により,導出部27の反対の端部にある貯油部33からも潤滑剤が供給され,反対にボール5に付着した余分の潤滑剤が吸収されて,適度な潤滑剤をボール5に供給する機能を有している。
【0029】
図13〜図15は,押え板15を示しており,押え板15は,エンドキャップ本体8の第2凹部24へ嵌合して成る円環薄板状に形成されている。押え板15の各部は,エンドキャップ本体8の中心線CL−CLと同様に中心線CL−CLに対して左右対称に形成されている。図13に示すように,押え板15は,中心線CL−CLに直交した外周部分の背面側に寄った位置にエンドキャップ本体8の係合孔43に係合する一対の係合凸部48が形成されている。その係合凸部48に近接する正面52には,係合凸部37を囲うように円弧状凹溝に成るくびれ部54が形成されている。くびれ部54は,係合凸部37がエンドキャップ本体8の鍔部29をくぐって係合孔43に係合可能に,係合凸部37の弾性変位をしやすくするものに構成されている。押え板15は,中心線CL−CL上に,ボルト13を通す通し孔50とボルト13の頭を埋設可能にボルト用凹部38とが形成され,さらに,ボルト用凹部38を覆うようにして外周及び背面に突出して成る係止凸部48が形成されている。その係止凸部48は,前述の係合凸部37がエンドキャップ本体8の係合孔43に位置設定されて係合できるように先行して位置決め案内する機能を有しており,係止凸部48はエンドキャップ本体8の切欠き凹部28に嵌挿される。さらに,係止凸部48は,ボルト13を挿通してケーシング3に螺着して固着状態になったときに,エンドキャップ本体8に対して潤滑剤供給部材25及び押え板15が所定位置に位置決めされるように,エンドキャップ本体8の切欠き凹部28への対向面(53,59)が密着可能に切欠き凹部28と共に当接面53に形成されている。押え板15の背面51には,潤滑剤供給部材25に対向する円周上の4ヶ所に背面51の平面から突出して成る押圧凸部49が形成されている。押圧凸部49は,潤滑剤供給部材25を押圧してエンドキャプ本体8の所定位置に固設するためのものに成っており,特に,潤滑剤供給部材25の導出部27の設定位置を重視した略リターン路10の中心相当位置に設けられている。押圧凸部49は,押え板15が180°回転しても支障なく使用可能に中心Oを対称に形成され,上記円周上の4ヶ所に設定されている。しかしながら,組立体において,潤滑剤供給部材25の導出部27を押圧していない押圧凸部49は,潤滑剤供給部材25の貯油部33を押圧している。押え板15の正面に形成されている円周の4ヶ所の取付け用穴55は,別体のエンドシール(図示せず)を配設するためのものに成っている。押え板15は,極小部品で成り且つ上述の機能を得るために,合成樹脂成形体で形成される。場合により,押え板15にエンドシールを一体成形することも可能になる。
【0030】
図16及び図17には,エンドキャップ本体8に潤滑剤供給部材25を収容し,さらにエンドキャップ本体8に押え板15が完成相当にセットされた組立状態を断面D−a−b−c −Dの断面位置で断面した断面図で示している。潤滑剤供給部材25は,エンドキャップ本体8の正面46の第1凹部23に嵌挿され,エンドキャップ本体8の背面47の方向転換路30に潤滑剤供給部材25の導出部27の先端に成る供給面が露呈した状態に成っている。押え板15は,押圧凸部49が潤滑剤供給部材25の導出部27をエンドキャップ本体8の所定位置に位置決めするように押圧している。このときに,押え板15の係止凸部49とエンドキャップ本体8の切欠き凹部28との当接面53,59が互いに密着して組み立てられる。なお,ここでは,ボルト13の図示を省略している。
【0031】
図18及び図19は,スペーサ7を示しており,スペーサ7は,エンドキャップ本体8の内周及び外周と略同一に成る内周及び外周で円環薄板状に形成されている。また,スペーサ7の各部は,エンドキャップ本体8の中心線CL−CLと同様に中心線CL−CLに対して左右対称に形成されている。スペーサ7は,エンドキャップ本体8と対向する正面に,エンドキャップ本体8の外周部32に成る方向転換路30に対向して内周部31に成る方向転換路30が形成されている。スペーサ7は,中心線CL−CL上に,エンドキャップ本体8の通し孔22に対向して同様の通し孔19が形成され,エンドキャップ本体8の位置決め凸部40に対向して,その位置決め凸部40を嵌合する位置決め凹溝18が形成されている。スペーサ7は,位置決め凹溝18にエンドキャップ本体8の位置決め凸部40を嵌挿して貫通させ,背面47に突出したエンドキャップ本体8の位置決め凸部40をケーシング3の凹溝17に嵌合することで,ケーシング3に対して位置決め設定される。スペーサ7の背面58がケーシング3の端面35に固着される。スペーサ7は,エンドキャップ本体8に合体してエンドキャップ4を構成する。また,エンドキャップ4を構成する上で,方向転換路30の内周部31のみを形成した構成部材をエンドキャップ本体8に組み込む構造もあるが,そうすると,方向転換路30の内周部31のみを形成した構成部材が非常に小さいものに成り,組立が困難になってしまう。従って,スペーサ7は,上記実施例に示すように円環薄板状に形成することで,取扱いしやすいものに成っている。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明による潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニットは,半導体製造装置,各種組立装置,搬送機械等の各種装置の摺動部と回転部に組み込まれて使用して好ましいものである。
【符号の説明】
【0033】
1 軌道軸
2 スライダ
3 ケーシング
4 エンドキャップ
5 ボール(転動体)
6 循環路
7 スペーサ
8 エンドキャップ本体
9 軌道路
10 リターン路
11,12 軌道溝
13 ボルト
15 押え板
16 係合孔形成用溝
18 凹溝
19,22,50 通し孔
20 係合部(凹凸係合構造)
21 ねじ穴(ケーシング)
23 凹部(第1凹部)
24 凹部(第2凹部)
25 潤滑剤供給部材
26 連係部
27 導出部
28 切欠き凹部
29 鍔部
30 方向転換路
31 内周部
32 外周部
33 貯油部
35,45 端面
36 係合孔
37 係合凸部
38 ボルト用凹部
40 位置決め凸部
41 連通孔
46,52,57 正面
47,51,58 背面
48 係止凸部
49 押圧凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に隔置して長手方向に沿って軌道溝が形成された長尺状の軌道軸及び前記軌道軸に転動体を介して摺動自在なスライダから成り,前記スライダは,前記軌道軸の前記軌道溝に対向して軌道溝が形成され且つ前記軌道溝間に形成される軌道路に平行に延びるリターン路が形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面に取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキャップ,及び前記軌道路と前記リターン路と前記方向転換路とで構成される循環路を転走する前記転動体を有する潤滑機能を備えた直動案内ユニットにおいて,
前記エンドキャップは,前記方向転換路を転走する前記転動体に潤滑剤を供給するため前記潤滑剤が含浸された多孔質成形体で成る潤滑剤供給部材を収容すると共に,前記潤滑剤供給部材を封止し押圧して所定位置に係着するための押え板を収容し,前記押え板は,前記エンドキャップに凹凸係合構造により位置決め係合して固定されていることを特徴とする潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニット。
【請求項2】
前記スライダの外側に成る前記エンドキャップの外端面には,前記潤滑剤供給部材を嵌合する第1凹部と前記押え板を嵌入し係合する第2凹部とが形成され,前記外端面の外周部は,前記潤滑剤供給部材と前記押え板とを収容した鍔部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニット。
【請求項3】
前記凹凸係合構造は,合成樹脂製の前記押え板の外周に形成された係合凸部が弾性変位して合成樹脂製の前記エンドキャップの前記鍔部に形成された係合孔にスナップフィットして係合するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニット。
【請求項4】
断面円形状で且つ軸径が6mm以下の丸軸に構成された前記軌道軸と,円筒形状に構成されて前記軌道軸を嵌挿した前記スライダとは,前記転動体であるボールを介して相互に回転トルクを伝達可能にするボールスプラインに構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニット。
【請求項5】
前記潤滑剤供給部材に対向する前記押え板の背面には,前記潤滑剤供給部材を押圧するための押圧凸部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニット。
【請求項6】
前記押え板は,前記ケーシング側となる背面に対して反対面になる正面に,前記エンドキャップを前記ケーシングに固着するためのボルトの頭を嵌入するボルト用凹部が形成され且つ前記ボルト凹部に関連する部分が外周及び前記背面に突出して係止凸部に形成され,前記係止凸部に対向する前記エンドキャップの前記鍔部には前記係止凸部がガイドされて嵌挿する切欠き凹部が切り欠かれて形成され,前記押え板の前記係止凸部を前記エンドキャップの前記切欠き凹部に嵌合することによって前記押え板が前記エンドキャップに位置決めされ,前記係止凸部が前記切欠き凹部に進入して前記押え板が前記凹凸係合構造により前記エンドキャップに係合され,更に前記ボルトを前記ボルト用凹部から前記エンドキャップに通して前記ケーシングに螺着することによって前記押え板の前記係止凸部と前記エンドキャップの前記切欠き凹部とが密着して前記押え板と前記潤滑剤供給部材とが前記エンドキャップの所定位置に固着されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニット。
【請求項7】
前記エンドキャップは,前記ケーシングの前記端面に背面が当接し且つ前記背面の反対側端面に成る正面に前記方向転換路の内周部が形成されたスペーサと,前記スペーサの前記正面に背面が当接し且つ前記方向転換路の前記内周部に対向して前記方向転換路の外周部が形成されたエンドキャップ本体とから構成され,前記エンドキャップ本体には,前記潤滑剤供給部材の貯油部を嵌挿する通し孔で成る嵌挿孔が形成され且つ前記転動体に前記潤滑剤を供給する部分に成る前記潤滑剤供給部材の導出部を嵌挿する通し孔で成る連通孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニット。
【請求項8】
前記潤滑剤供給部材は,超高分子量の合成樹脂微粒子を加熱成形した焼結樹脂で成る前記多孔質成形体に前記潤滑剤を含浸して成り,前記エンドキャップ本体の前記方向転換路の前記軌道路側に隣接して形成された前記嵌挿孔に嵌挿するブロック形状になる前記貯油部と,前記方向転換路の前記リターン路側の一部壁面を開口して成る前記連通孔に嵌挿して前記転動体に前記潤滑剤を供給する前記一部壁面と略同形に成る供給面を先端部に備えた断面矩形状の前記導出部と,前記貯油部から前記導出部に渡って一体構造に連係する円弧板状の連係部とから構成されていることを特徴とする請求項7に記載の潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニット。
【請求項9】
前記エンドキャップ本体には内周部に前記背面から突出する断面矩形状で平板状になる位置決め凸部が形成され,前記位置決め凸部は前記スペーサに形成された凹溝を通して前記ケーシングの内周部に形成された凹溝に嵌合して前記エンドキャップを位置決めすることを特徴とする請求項7又は8に記載の潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニット。
【請求項10】
前記スライダは,前記ケーシングが前記端面から見て対向する前記軌道溝間の中心線に対して前記リターン路を左右対称位置に形成されていることによって,前記ケーシングの前記端面のそれぞれに同一の前記エンドキャップが配設可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の潤滑機能を備えた極小形の直動案内ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−163184(P2012−163184A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25631(P2011−25631)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000229335)日本トムソン株式会社 (96)
【Fターム(参考)】