説明

潤滑油用堆積物制御剤としてのシクロアルキルフェニレンジアミン

本発明は、潤滑油、ガソリン及びディーゼル燃料を含めた有機材料用の堆積物制御潤滑剤添加剤を提供するC〜C12シクロアルキル置換フェニレンジアミンである。本発明は、1種又はより多い追加N−置換基を有するシクロアルキル置換フェニレンジアミンを添加することによって、潤滑剤および燃料の酸化安定性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2007年12月12日出願の同時係属米国特許出願12/001,951への優先権を主張するものであり、その全内容及び開示内容は、参照することによって本明細書に組み入れられている。
【0002】
本発明は、潤滑剤、特に完全調合炭化水素系潤滑油のエンジン堆積物形成傾向の減少、及び当該潤滑剤の酸化安定性の改良に関する。具体的には、1種より多い追加N−置換基を有するシクロアルキル置換フェニレンジアミンが前記潤滑剤に添加される。
【背景技術】
【0003】
様々な機械類に使用されるものなどの潤滑剤は、貯蔵、運搬、及び使用中、特にかかる潤滑剤がその酸化を著しく促進する高温及び鉄触媒環境に曝露される場合の酸化的劣化に感受性を示す。この酸化は、制御されないと、腐食性酸性生成物、スラッジ、ワニス、樹脂、及び他の油不溶性生成物の形成の原因となり、前記潤滑剤の指定の物理的及び潤滑工学的性状の喪失を招く可能性がある。これらの酸化生成物は、ピストン、ピストンライナー、バルブ、及びバルブリフターなどの重要なエンジン部品に有害な堆積物の形成を招く場合がある。そのため、潤滑剤に堆積物制御剤及び抗酸化添加剤を加え、少なくともある程度酸化を制御し、当該潤滑剤の有効寿命を延長するのが習慣である。
【0004】
抗酸化剤として各種の二級ジアリールアミンを含有する潤滑剤組成物は技術上周知である。パラ−フェニレンジアミンの使用も既知である。パラ−フェニレンジアミンは、自動車燃料安定化剤及びオゾン化防止剤、及びゴム用抗酸化剤として、一般的に用いられている。
【0005】
米国特許第2,451,642号は、オルト−、メタ−、及びパラ−フェニレンジアミンを鉄触媒酸化反応が起こり得る環境での使用に有用な潤滑油組成物用抗酸化剤として開示している。N,N’−ジメチル−オルト−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−メタ−フェニレンジアミン、ラウリル−メタ−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−パラ−フェニレンジアミン、並びに各種のジ−及びテトラ−n−アルキル−パラ−フェニレンジアミンが同様に開示されている。
【0006】
米国特許第2,718,501号は、N,N’−ジフェニル−パラ−フェニレンジアミンを含む少なくとも2個の芳香環を有する芳香族アミン及び有機脂肪族イオウ化合物から成る安定化剤系を開示しており、これは、鉱物性炭化水素潤滑油、合成炭化水素油、及びポリアルキレングリコール油の安定化に適すると言われている。
【0007】
米国特許第2,857,424号は、添加剤の毒性を低下させる方法として燃料を安定化するN,N’−ジアルキル−パラ−フェニレンジアミンのシュウ酸塩の調製を開示している。N,N’−ジシクロヘキシル−パラ−フェニレンジアミンのシュウ酸塩の調製が開示されている。他の不特定のジシクロアルキルオルト−、メタ−、及びパラ−フェニレンジアミンのシュウ酸塩の調製が検討されている。
【0008】
米国特許第2,883,362号は、N,N,N’,N’−テトラアルキル−パラ−フェニレンジアミンの添加による分解(クラッキング)に対するゴムの安定化を開示している。1又はより多いアルキル基がシクロアルキルである場合の唯一のかかる開示化合物は、N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジメチル−パラ−フェニレンジアミンである。
【0009】
英国特許第835,826号は、ゴム用オゾン化防止剤として有用な高分子量化合物を製造するためのアルキルジハライドとの特定のフェニレンジアミンの反応を開示している。N,N’−ジシクロヘキシル−オルト−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−パラ−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−N−メチル−オルト−フェニレンジアミン、及びN,N’−ジシクロヘキシル−N−メチル−パラ−フェニレンジアミンが、この反応の適切な開始材であるとして開示されている。
【0010】
米国特許第3,211,793号は、N,N’−ジシクロヘキシル−N−イソブテニル−パラ−フェニレンジアミンの調製を特許請求し、ゴム用抗酸化剤としての有用性を例示している。当該特許は、本発明のイソブテニル−パラ−フェニレンジアミンも燃料及び油用抗酸化剤として有用であろうと示唆している。この特許は、N,N,N’−トリシクロアルキル−N−イソブテニル−パラ−フェニレンジアミンの調製に関する。しかし、この特許は、シクロアルキル基及び特にシクロヘキシル基がN−アルキル−フェニレンジアミン添加剤に与える異例の抗堆積物活性を認識していない。この特許は、さらに、完全調合潤滑剤及び完全添加剤入り燃料中のイソブテニル−パラ−フェニレンジアミンの使用を予想していない。
【0011】
米国特許第3,304,285号は、加琉ジエンゴム用安定化剤としての使用のためのN,N’−ジシクロアルキル−パラ−フェニレンジアミンのN−フェニル−N−アルキルフェニル−パラ−フェニレンジアミンとの相乗作用混合物を開示している。当該特許は、ジシクロプロピル−パラ−フェニレンジアミンからジシクロデシル−パラ−フェニレンジアミンを経由する対称ジシクロアルキル−パラ−フェニレンジアミンの使用に関するものだが、ジシクロペンチル−及びジシクロヘキシル−化合物を例示しているにすぎない。
【0012】
Oberster,A.E.ら、45CAN.J.Chem.195−201(1967)は、感作性又は皮膚毒性を示さないゴム用オゾン化防止剤発見計画の一環として39種の新規フェニレンジアミンを調製した。一部の化合物において、N’−フェニレンジアミンの窒素が、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン(ホモピペリジン)、モルフォリン、又は、2,6−ジメチルモルフォリン環に様々に縮合された。いずれの場合も、N−シクロヘキシル化合物が調製された。
【0013】
米国特許第3,402,201号は、有機材料、特にゴムの安定化剤としてN,N’−ジシクロオクチル−パラ−フェニレンジアミンを開示し、ガソリン用抑制剤としての使用を例示している。N,N’−ジシクロオクチル−オルト−及びメタ−フェニレンジアミンの同様の使用が予測される。
【0014】
英国特許第1,296,592号は、N−アリール、N−アルキル−N’−アルキル−N’−シクロアルキル−パラ−フェニレンジアミンを開示しており、この場合、アリールはフェニル又はアルキルフェニルであり、アルキルは1個から4個までの炭素を含有するアルキル基であり、シクロアルキル基は5個から9個までの炭素を含有する。これらの化合物は、パーオキサイド架橋ポリエチレンの抗酸化剤として有用である。
【0015】
Makogon,A.N.et al.,12 KHEMICHESKAYA PROMYSHLENNOST,SERIYA:METODY ANALIZA I KONTROLYA KACHESTVA PRODUKTSII V KHIMICHESKOI PROMYSHLENNOSTI 18−21(1980)は、4−アミノジフェニルアミンのC〜Cアルコールとの触媒アルキル化によって得られるN,N’−ジアルキル−パラ−フェニレンジアミン反応生成物の特徴付けを記述している。
【0016】
米国特許第4,487,759号は、マイクロカプセル化送達系に含有される不飽和昆虫フェロモン用の光安定化剤として、特定のN,N’,N’−トリアルキル−N−フェニル−パラ−フェニレンジアミン(例、N,N’−ジデシル−N’−オクチル−N−フェニル−パラ−フェニレンジアミン)の使用を開示している。
【0017】
米国特許第5,207,939号及び第5,312,461号は、モノ−又はジアルキル−フェニレンジアミン、アルデヒド又はケトン及びヒンダードフェノールの特定のマンニッヒ塩基反応生成物を開示しており、これらは、潤滑油、グリース及び燃料組成物中、抗酸化剤量で使用可能である。
【0018】
特公昭51−020,392号は、油タンクの圧空成形用の、N,N’−ジ−sec−ブチル−パラ−フェニレンジアミンを含む潤滑剤組成物を開示している。当該潤滑剤組成物は、ヒンダードフェノール抗酸化剤も含有する。
【0019】
米国特許第5,711,767号は、ガソリン安定化剤として、酸化窒素と配合された特定のフェニレンジアミンの使用を開示している。以下のオルト−フェニレンジアミンが特許請求されている:N,N’−ジ−sec−ブチル−オルト−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−(1,4−ジメチルペンチル)−オルト−フェニレンジアミン、及びN−sec−ブチル−N’−フェニル−オルト−フェニレンジアミン。以下のシクロヘキシルフェニレンジアミンが特許請求されている:N−シクロヘキシル−N’−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−パラ−フェニレンジアミン。詳細な開示は、この用途にはこれらのフェニレンジアミンの中で1,4−ジメチルペンチル化合物がより好ましいと述べている。
【0020】
米国特許公開番号第2006/0128574号は、潤滑剤及び燃料用安定化剤としてN,N’−ジアルキル−パラ−フェニレンジアミン及びヒンダードフェノール類と配合してもよい二級ジアリールアミンの使用を開示している。以下のシクロヘキシルフェニレンジアミンが特許請求されている:N−シクロヘキシル−N’−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−パラ−フェニレンジアミン。
【0021】
米国特許公開番号第2006/0189824A1号は、各種のN−アルキル−N−(ジアルキルヒドロキシフェニル)アルキル−N’−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、ジアルキルフェノールのN−フェニル−パラ−フェニレンジアミンとのマンニッヒ反応によるそれらの調製法及び抗酸化剤としてのそれらの使用を開示している。
【0022】
米国特許公開番号第2007/0006855A1号は、排気ガス再循環システム(EGR)を備えた乗用車及び大型車両用ディーゼルエンジン中の煤分散剤としてアルキル化パラ−フェニレンジアミンの使用を開示している。当該特許は、この特定の用途のみに対して極端に広いポリアルキル化パラ−フェニレンジアミンの範囲を述べている。
【0023】
前記開示内容は参照することによって組入れられている。
【0024】
フェニレンジアミンは、抗酸化剤として有効に作用することが既知であるが、これらの化合物は、販売上不利であることが認められている。その理由は、かかる化合物の存在が、抗酸化性の提供のために従来の使用量で使用されると、ピストン堆積物に有害作用を示し、フルオロエラストマーのエンジンシール材への侵襲性も示すためである。これらの有害作用は、高めの窒素含量を有するフェニレンジアミン化合物(比較的小さなハイドロカルビル置換基を有する化合物)で特に明白である。相手先ブランド製造業者(OEM)が設定した最近のPCDO用潤滑油規格は、潤滑剤中イオウレベルの低減を要求している(例、800 ppmより低いレベル)。現在まで、大型車両用ディーゼル(HDD)エンジン用潤滑油規格は、リン含量を制限していなかったが、次世代の潤滑油規格(例、API CJ−4)は、制限すると予想される。リン含量の予想限度(1200 ppmより低い含量までなど)並びに硫酸灰分(SASH)及びイオウの許容量の低減は、潤滑剤配合者が使用可能な、費用対効果が最大の耐摩耗/抗酸化化合物の1個である亜鉛ジアルキルジチオホスフェート(ZDDP)の量を制限することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】米国特許第2,451,642号
【特許文献2】米国特許第2,718,501号
【特許文献3】米国特許第2,857,424号
【特許文献4】米国特許第2,883,362号
【特許文献5】英国特許第835,826号
【特許文献6】米国特許第3,211,793号
【特許文献7】米国特許第3,304,285号
【特許文献8】米国特許第3,402,201号
【特許文献9】英国特許第1,296,592号
【特許文献10】米国特許第4,487,759号
【特許文献11】米国特許第5,207,939号
【特許文献12】米国特許第5,312,461号
【特許文献13】特公昭51−020,392号
【特許文献14】米国特許第5,711,767号
【特許文献15】米国特許公開番号第2006/0128574号
【特許文献16】米国特許公開番号第2006/0189824A1号
【特許文献17】米国特許公開番号第2007/0006855A1号
【特許文献18】米国特許第3,632,511号
【特許文献19】米国特許第3,442,808号
【特許文献20】米国特許第3,087,936号
【特許文献21】米国特許第3,254,025号
【特許文献22】米国特許第4,839,071号
【特許文献23】米国特許第4,839,072号
【特許文献24】米国特許第4,579,675号
【特許文献25】米国特許第3,185,704号
【特許文献26】米国特許第4,663,064号
【特許文献27】米国特許第4,612,132号
【特許文献28】米国特許第5,334,321号
【特許文献29】米国特許第5,356,552号
【特許文献30】米国特許第5,716,912号
【特許文献31】米国特許第5,849,676号
【特許文献32】米国特許第5,861,363号
【特許文献33】米国特許第5,328,622号
【特許文献34】米国特許第5,026,495号
【特許文献35】米国特許第5,085,788号
【特許文献36】米国特許第5,259,906号
【特許文献37】米国特許第5,407,591号
【特許文献38】米国特許第4,686,054号
【特許文献39】米国特許第4,867,890号
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】Oberster,A.E.et al.,45CAN.J.Chem.195−201(1967)
【非特許文献2】Makogon,A.N.et al.,12 KHEMICHESKAYA PROMYSHLENNOST,SERIYA:METODY ANALIZA I KONTROLYA KACHESTVA PRODUKTSII V KHIMICHESKOI PROMYSHLENNOSTI 18−21(1980)
【非特許文献3】The American Petroleum Institute Publication(API)“Engine Oil Licensing and Certification System”Addendum 1,December 1998
【非特許文献4】Abdel−Majid,A.F.et al.,61 J.Org.CHEM.3849−62(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的は、1種又はより多い追加N−置換基を有するシクロアルキル置換フェニレンジアミンを潤滑剤に添加することによって、潤滑剤のエンジン堆積物生成傾向を減少させることである。
【0028】
本発明のさらなる目的は、1種又はより多い追加N−置換基を有するシクロアルキル置換フェニレンジアミンを前記潤滑剤に添加することによって、前記潤滑剤の酸化安定性を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
従って、本発明は、酸化劣化を受ける潤滑油、グリース、燃料又は機能性流体用組成物であって、前記組成物が一定量のN−シクロアルキル置換フェニレンジアミン添加剤を、堆積物の形成に対して前記流体を安定化するのに十分な量で含む組成物を含む。
【0030】
具体的には、本発明は、非常に密接に関連する非環式フェニレンジアミンよりも実質的に良好なガソリン及びディーゼルエンジン用の堆積物制御潤滑剤添加剤であるC〜C12シクロアルキル置換フェニレンジアミンに向けられる。改良された堆積物制御は、中〜高温熱酸化エンジン油シミュレーションテスト(TEOST)MHTで測定可能である。
【0031】
さらに具体的には、本発明は、化合物、組成物を安定化する方法に向けられ、前記組成物は、酸化劣化を受ける流体と、堆積物生成に対して前記流体を安定化するのに十分な量の少なくとも1種のN−シクロアルキル置換フェニレンジアミン添加剤を含む。前記添加剤は、
【化1】


の構造を有し、
式中、
Xが、
【化2】


であり、
Yが、
【化3】


であり、
が、
【化4】


及び、
【化5】


から成る群から選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
、R、R、及びRが、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリル、メチアリル、イソブテニル、アルケニル、フルフリル、ベンジル、アルカリール、並びにフェニルから成る群から独立して選択され、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10は、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmは、上で定義した通りであり、
mが1〜8の整数であり、
式中、XとYが互いにパラである場合、R、R及びRは、
(A)Rが、
【化6】


及び
【化7】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
は、
【化8】


の構造の、独立して選択されたシクロアルキル環であり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
が、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から選択され、その全てが窒素、酸素又はイオウ原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCHCH(CH)−でもない、
相互関係A、
(B)Rが、
【化9】


及び、
【化10】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各Qが、C(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル基、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもなく、R及びRが共に水素ではない、
相互関係B、
(C)Rが、
【化11】


及び、
【化12】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各Qが、C(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもない、
相互関係C、
(D)R、R及びRが、炭素原子3〜約36個のアルキル、炭素原子3〜約36個のアルケニル、アリール、アルカリール、及びシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが、炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分れアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zは−CHCH−又はCH−CH(CH)−ではなく、
(1)R、R及びRの少なくとも2個が、炭素原子3〜約36個のアルキル、炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、この場合、前記アルキル又はアルケニルが、フェニレンジアミン窒素に結合した炭素で枝分かれし、
(2)Rが2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルである場合、Rが水素であることができる、
相互関係D、
から成る群から選択される、相互関係にあり、そして、
式中、X及びYが互いにオルト又はメタである場合、R、R及びRは、
(E)Rが、
【化13】


及び、
【化14】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11がH、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素、酸素、又はイオウ原子、水素、炭素原子3〜約36個のアルケニル、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもなく、R及びR両方が水素ではない、
相互関係E、
(F)R、R及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素、酸素、又はイオウ原子、水素、アリール、アルカリール、炭素原子3〜約36個のアルケニル、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもない、
相互関係F、
から成る群から選択される、相互関係にあり、
並びに、前記フェニレンジアミンが遊離塩基又は油溶性塩の形態である。
【0032】
なおも別の態様で、本発明は、N−シクロアルキル置換フェニレンジアミン添加剤自体にも向けられている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明に従って、パラ置換フェニレンジアミンだけでなく、オルト及びメタ置換フェニレンジアミンでも有意な堆積物制御が認められている。中心の芳香環が置換されたフェニレンジアミンも、高活性な堆積物制御剤であることが判明している。
【0034】
本発明のシクロアルキル置換フェニレンジアミンは、1又はより多いアリール、アルキル、アルケニル又はアルカリール基でN置換されることもでき、ただし、フェニレンジアミンの窒素上に少なくとも1個のC〜C12シクロアルキル基、及び、合計で少なくとも2個の二級ヒドロカルビル置換基が存在する。
【0035】
本発明のジ−及びトリ−シクロアルキル置換フェニレンジアミン化合物の多くは、新規の物質組成物である。3個又は4個のシクロアルキル基でN置換されたパラ−フェニレンジアミンは報告されておらず、3個のシクロアルキル基と別の基団でN置換されたパラ−フェニレンジアミンも報告されておらず、事実上、実質的にアルキル、アルケニル、アリール又はアルカリールである、と理解される。ごく少数のパラ−フェニレンジアミンは、2個のシクロアルキル基と1個又は2個の他の基団でN置換され、事実上、それらは実質的にアルキル、アルケニル、アリール、又は、アルカリールである、と報告されている。2個のシクロアルキル基と少なくとも1個の他の基団でN置換されたメタ−フェニレンジアミンは、事実上、実質的にアルキル、アルケニル、アリール又はアルカリールであるが、報告されていない。1個のシクロアルキル基と二級炭素で結合された2個又は2個よりも多い他の基団でN置換されたパラ−フェニレンジアミンは報告されていない。これらの化合物は、ジ−及びトリ−シクロアルキル置換フェニレンジアミンの部分的に非環式の類似体であると見なされることができる。2個のシクロアルキル基でN置換されたジエチルトルエンジアミンは報告されていない。
【0036】
本発明の組成物は、酸化劣化を受ける流体、及び堆積物の形成に対して前記流体を安定化するのに十分な量の少なくとも1種のN−シクロアルキル置換フェニレンジアミン添加剤を含む。この場合、前記添加剤は、本発明の化合物であり、
【化15】


の構造を有し、
式中、
Xが、
【化16】


であり、
Yが、
【化17】


であり、
が、
【化18】


及び、
【化19】


から成る群から選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
、R、R、及びRが、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリル、メチアリル、イソブテニル、アルケニル、フルフリル、ベンジル、アルカリール、並びにフェニルから成る群から独立して選択され、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10は、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmは、上で定義した通りであり、
mが1〜8の整数であり、
式中、XとYが互いにパラである場合、R、R及びRは、
(A)Rが、
【化20】


及び
【化21】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
は、
【化22】


の構造の、独立して選択されたシクロアルキル環であり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
が、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から選択され、その全てが窒素、酸素又はイオウ原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCHCH(CH)−でもない、
相互関係A、
(B)Rが、
【化23】


及び、
【化24】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各Qが、C(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル基、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもなく、R及びRが共に水素ではない、
相互関係B、
(C)Rが、
【化25】


及び、
【化26】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各Qが、C(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもない、
相互関係C、
(D)R、R及びRが、炭素原子3〜約36個のアルキル、炭素原子3〜約36個のアルケニル、アリール、アルカリール、及びシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが、炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分れアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zは−CHCH−又はCH−CH(CH)−ではなく、
(1)R、R及びRの少なくとも2個が、炭素原子3〜約36個のアルキル、炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、この場合、前記アルキル又はアルケニルが、フェニレンジアミン窒素に結合した炭素で枝分かれし、
(2)Rが2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルである場合、Rが水素であることができる、
相互関係D、
から成る群から選択される、相互関係にあり、そして、
式中、X及びYが互いにオルト又はメタである場合、R、R及びRは、
(E)Rが、
【化27】


及び、
【化28】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11がH、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素、酸素、又はイオウ原子、水素、炭素原子3〜約36個のアルケニル、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもなく、R及びR両方が水素ではない、
相互関係E、
(F)R、R及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素、酸素、又はイオウ原子、水素、アリール、アルカリール、炭素原子3〜約36個のアルケニル、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもない、
相互関係F、
から成る群から選択される、相互関係にあり、
並びに、前記フェニレンジアミンが遊離塩基又は油溶性塩の形態である、
【0037】
さらに好ましいのは、上式の化合物であり、式中、
は、シクロペンチル又はシクロヘキシルから選択され、R〜R11は、独立して炭素1〜約4個の直鎖又は枝分かれアルキル、又は、水素であり、
は、R、シクロペンチル、シクロヘキシル(前記置換基は、独立して炭素1〜約8個の直鎖又は枝分かれアルキル、又は、水素である)、フェニル、トリル、アルキルフェニル、炭素1〜約12個の直鎖又は枝分かれアルキル、ベンジルから選択され、
この場合、Rは、R、R、炭素1〜約10個の直鎖又は枝分かれアルキル、フェニル、トリル、アルキルフェニルから独立して選択され、
この場合、Rは、R、R、R、炭素1〜約12個の直鎖又は枝分かれアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、アルキルフェニル、アルケニル、又は、水素から独立して選択され、
〜Rは、炭素1〜約4個の直鎖又は枝分かれアルキル、又は、水素から独立して選択され、
及びRは、上で定義した通りであり、R及びRは、R及びR、シクロペンチル、シクロヘキシル、炭素1〜約12個の直鎖又は枝分かれアルキル、フェニル、トリル、アルキルフェニル、ベンジル、アルケニル、又は、水素から独立して選択され、R11〜R18は、炭素1〜約4個の直鎖又は枝分かれアルキル、又は、水素から独立して選択され、
この場合、前記フェニレンジアミンは遊離塩基又は油溶性塩の形態である。
【0038】
望ましい化合物は、堆積物の形成に対して前記流体を安定化するのに十分なN−シクロアルキル置換フェニレンジアミンを含む。かかる添加剤は、
【化29】


の構造を有し、
式中、mは0、1、2又は3であり、R、R及びRは、独立してH、アルキル、枝分かれアルキル、シクロアルキル、炭素3〜36個、好ましくは3〜約16個のアルケニル、アルカリール、ベンジル、フェニル又はアリールであり、N、O又はS原子を含有してもよく、R、R、R及びRは、炭素1〜約20個の直鎖又は枝分かれアルキル、又は、水素から独立して選択され、ただし、R、R及びRの少なくとも2個が独立してフェニレンジアミン窒素に結合された炭素で枝分かれしたアルキルである。
【0039】
別の望ましい化合物は、堆積物の形成に対して前記流体を安定化するのに十分なN,N’−ジシクロアルキル置換フェニレンジアミンを含む。かかる添加剤は、
【化30】


の構造を有し、
式中、m及びnは独立して0、1、2又は3であり、R及びRは独立してH、アルキル、枝分かれアルキル、シクロアルキル、炭素3〜36個、好ましくは炭素5〜約16個のアルケニル、アルカリール、ベンジル、フェニル、又は、アリールであり、N、O又はS原子を含有してもよく、R、R、R及びRは、炭素1〜約20個の直鎖又は枝分かれアルキル、又は、水素から独立して選択される。
【0040】
なおも別の望ましい化合物は、堆積物の形成に対して前記流体を安定化するのに十分なN,N,N’−トリシクロアルキル置換フェニレンジアミンを含む。かかる添加剤は、
【化31】


の構造を有し、
式中、m、n及びpは、独立して0、1、2又は3であり、Rは、独立してアルキル、枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルカリール、ベンジル、フェニル、又は、アリールであり、N、O又はS原子を含有してもよく、R、R、R及びRは、炭素1〜約20個の直鎖又は枝分かれアルキル、又は、水素から独立して選択される。
【0041】
好ましくは、前記フェニレンジアミン化合物は、約4重量%〜約14重量%、好ましくは約5重量%〜約11重量%、さらに好ましくは約5.5重量%〜約10.5重量%の窒素含量を有する、又は、平均して有する。
【0042】
本発明の実施での使用に特に好ましいN−シクロアルキル置換フェニレンジアミン添加剤は、
N−(1−メチルデシル)−N’−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−p−フェニレンジアミン、
N−シクロヘキシル−N−フェニル−O−フェニレンジアミン、
N−シクロヘキシル−N’−フェニル−O−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−m−トルエンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミン、
N−シクロヘキシル−N−(2−エチルヘキシル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、
N−シクロヘキシル−N,N’−ジ(sec−ブチル)−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロオクチル−N−エチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−イソブチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−ブチル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−ブチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−イソブチル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−イソブチル−m−フェニレンジアミン
N,N’−ジシクロヘキシル−N−へプチル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−へプチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、
N,N−ジシクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジフルフリル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジベンジル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N’−フェニル−N−へプチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジエチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジブチル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジブチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジイソブチル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジイソブチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジヘプチル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジヘプチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロオクチル−N,N’−ジエチル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’−トリシクロペンチル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’−トリシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−ヘプチル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−プロピル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−ブチル−p−フェニレンジアミン、
N−(2−エチルヘキシル)−N,N’,N’−トリシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’,N’−テトラシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ビス(2−デカリニル)−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−4,6−ジイソブチル−1,3−フェニレンジアミン、及び、
N,N’−ジシクロヘキシル−4−イソブテニル−6−イソブチル−1,3−フェニレンジアミン、
を含むが、それらに制約されない。
【0043】
本発明の化合物は、酸化、熱及び/又は光誘導による各劣化を受ける有機材料の酸化安定性を向上させる。これらの有機材料は、天然由来もしくは合成品であることができる。これらの有機材料は、「機能性流体」、潤滑油、グリース、燃料、並びに、オートマチック及びマニュアルトランスミッションフルード、パワーステアリングフルード、油圧用作動油、ガスタービン油、コンプレッサー潤滑油、自動車及び工業用ギア潤滑油、並びに熱媒油を含むことができる。本発明の実施で有用な潤滑油組成物は、多量の潤滑粘度油、及び各窒素原子上に1種又はより多いシクロアルキル置換基を有する少量の少なくとも1種のフェニレンジアミン化合物を含む。
【0044】
本発明に関連して有用な潤滑粘度油は、天然潤滑油、合成潤滑油、及びそれらの混合物から選択可能である。当該潤滑油は、粘度が軽質留分鉱物油からガソリンエンジン油、鉱物潤滑油、大型車両用ディーゼル油などの重質潤滑油までの範囲であることができる。一般に、前記油の粘度は、約2センチストークスから約40センチストークスまで、特に100℃で測定した場合約4センチストークスから約20センチストークスの範囲である。
【0045】
前記ディーゼル燃料は、石油系燃料油、特に中間留分燃料油である。かかる留分燃料油は、一般に110℃から500℃まで、例えば150℃から400℃までの範囲内で沸騰する。当該燃料油は、常圧留分又は真空留分、分解軽油、又は直留及び熱及び/又は製油流れ(触媒分解及び水素化分解留分など)のいずれかの比率での混合物を含むことができる。
【0046】
ディーゼル燃料の他の例は、フィッシャー・トロプシュ燃料を含む。フィッシャー・トロプシュ燃料は、FT燃料としても知られ、天然ガス液化(GTL)燃料、バイオマス液化(BTL)燃料及び石炭転換燃料として述べられているものを含む。かかる燃料を製造するには、最初にシンガス(CO+H)が生成され、次いで、フィッシャー・トロプシュ法によってノルマルパラフィンに転換される。次いで、当該ノルマルパラフィンは、触媒分解/改質又は異性化、水素化分解及び水素化異性化などのプロセスによって改質され、イソパラフィン、シクロパラフィン及び芳香族化合物などの多様な炭化水素を生じることができる。生じたFT燃料は、そのものとして、又は、他の燃料成分及び燃料タイプとの配合によっても使用可能である。植物又は動物源由来のディーゼル燃料も適している。これらは、単独又は他のタイプの燃料との配合により使用可能である。
【0047】
好ましくは、前記ディーゼル燃料は、多くても0.05重量%、さらに好ましくは多くても0.035重量%、特に多くても0.015重量%のイオウ含量を有する。重量にして50ppmよりも少ない、好ましくは20ppmよりも少ない、例えば10ppmよりも少ないイオウを有する燃料など、非常に低レベルのイオウを含む燃料も適している。
【0048】
植物又は動物材料由来の油及び脂肪は、燃料として、特にディーゼルなどの石油由来中間留分の部分又は完全代用品としての用途を次第に見出している。一般的に、かかる燃料は、「バイオ燃料」又は「バイオディーゼル」として知られている。バイオ燃料は、多くの資源から誘導可能である。最も一般的なものには、菜種、ヒマワリ他などの植物から抽出される脂肪酸のアルキル、しばしばメチル、エステルがある。これらのタイプの燃料は、しばしば、FAME(脂肪酸メチルエステル)と呼ばれる。
【0049】
天然油は、動物油及び植物油(例、ラード油、ヒマシ油)液化石油、及び、パラフィン、ナフテン、及び、パラフィン−ナフテン混合タイプの水素化精製、溶剤処理又は酸処理鉱物油を含む。石炭又はシェール由来の潤滑粘度油も有用な基油として働く。動物又は植物材料由来の油脂の他の例は、菜種油、コリアンダー油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、ヒマシ油、オリーブ油、落花生油、コーン油、アーモンド油、パーム核油、ココナッツ油、からし油、ジャトロファ油、牛脂、及び、魚油である。さらなる例は、コーン、ジュート、ゴマ、シアの実、ハマビシ、及び、亜麻仁から誘導される油を含み、それらから技術上周知の方法で誘導可能である。グリセロールで部分的にエステル化された脂肪酸の混合物である菜種油は大量に入手可能であり、菜種を圧搾することによって簡単な方法で入手可能である。台所の使用済み油などのリサイクル油も適している。
【0050】
脂肪酸アルキルエステルの有用な例は、炭素原子12〜22個の脂肪酸のエチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、及び、特にメチルエステルの市販混合物を含む。例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リシノール酸、エラエオステアリック酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸、ガドレイン酸、ドコサン酸、又は、エルカ酸が有用であり、50〜150、特に90〜125のヨウ素価を有する。特に有利な性状を示す混合物は、主に、即ち、炭素原子16〜22個及び二重結合1、2又は3個の脂肪酸のメチルエステルを少なくとも50重量%含有する混合物である。好ましい脂肪酸低級アルキルエステルは、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びエルカ酸の各メチルエステルである。
【0051】
前記の種の市販混合物は、例えば、低級脂肪アルコールとのエステル交換による動物性及び植物性油脂の開裂及びエステル化によって入手される。脂肪酸アルキルエステルの生産には、20%よりも少ない低レベル飽和酸を含有し、130よりも低いヨウ素価を有する脂肪及び油から開始するのが有利である。以下のエステル又は油のブレンド品が適している。例えば、菜種、ヒマワリ、コリアンダー、ヒマシ、大豆、落花生、綿実、牛脂などである。新品種の菜種油に基づいた脂肪酸、炭素原子18個を有する80重量%よりも多い不飽和脂肪酸を含む脂肪酸成分、のアルキルエステルが好ましい。
【0052】
特に好ましいのは、バイオ燃料として利用可能な油である。バイオ燃料、即ち動物又は植物材料に由来する燃料、は燃焼時の環境へのダメージが少ないと考えられ、再生可能資源から入手される。燃焼時、同等量の石油留分燃料、例えばディーゼル燃料によって形成される二酸化炭素が少なめであり、形成される二酸化イオウが非常に少ない、と報告されている。植物油の特定の誘導体、例えば一価アルキルアルコールとのケン化及び再エステル化によって得られるもの、がディーゼル燃料の代用として使用可能である。
【0053】
好ましいバイオ燃料は植物油誘導体であり、そのうちの特に好ましいバイオ燃料は菜種油、綿実油、大豆油、ヒマワリ油、オリーブ油、又は、パーム油のアルキルエステル誘導体であり、菜種油メチルエステルが、単独、又は、他の植物油誘導体と混合して、例えば菜種油メチルエステルとパーム油メチルエステルのいずれかの比率での混合物として、特に好ましい。
【0054】
現在、バイオ燃料は石油由来油との配合で最も多く使用されている。本発明は、バイオ燃料と石油由来燃料のいずれかの比率での混合物に利用可能である。例えば、油の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも25重量%、さらに好ましくは少なくとも50重量%、及び、最も好ましくは少なくとも95重量%が植物又は動物資源に由来することができる。
【0055】
合成潤滑油は、重合及び共重合オレフィン(例、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デケン))、アルキルベンゼン(例、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼン)、ポリフェニル(例、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェノール)、及び、アルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド及びその誘導体、類似体、及び、同族体などの炭化水素油及びハロゲン置換炭化水素油を含む。フィッシャー−トロプシュ法で合成された炭化水素からのガス液化法から誘導される合成油も有用であり、これらは、ガス液化(gas to liquid)又は「GTL」基油と一般に呼ばれている。
【0056】
アルキレンオキサイドポリマー及び共重合体、及び、末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化などで修飾されているそれらの誘導体は、別のクラスの既知合成潤滑油を成す。これらは、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの重合によって調製されるポリオキシアルキレンポリマー、及び、ポリオキシアルキレンポリマーのアルキル及びアリールエーテル(例、分子量1000を有するメチル−ポリイソプロピレングリコールエーテル、又は、分子量1000〜1500を有するポリエチレングリコールのジフェニルエーテル)、及び、それらのモノ及びポリカルボン酸エステル、例えばテトラエチレングリコールの酢酸エステル、混合C〜C脂肪酸エステル及びC13オキソ酸ジエステルによって例示される。
【0057】
別の適切なクラスの合成潤滑油は、ジカルボン酸(例、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸)の様々なアルコール(例、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステルを含む。かかるエステルの具体例は、ジブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジ−n−ヘキシルフマレート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソデシルアゼレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジエイコシルセバケート、リノール酸ダイマーの2−エチルヘキシルジエステル、及び、2モルのテトラエチレングリコールと2モルの2−エチルヘキサン酸との1モルのセバシン酸の反応によって形成される複合エステルを含む。
【0058】
合成油として有用なエステルは、C〜C12モノカルボン酸及びポリオール(ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトールなど)及びポリオールエステルから製造されるものも含む。
【0059】
ポリアルキルシリコーン油、ポリアリールシリコーン油、ポリアルコキシシリコーン油又はポリアリールオキシシリコーン油及びシリケート油などのケイ素系油は、別の有用なクラスの合成潤滑油も含む。かかる油は、テトラエチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ−(2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(4−メチル−2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(p−tert−ブチル−フェニル)シリケート、ヘキサ−(4−メチル−2−エチルヘキシル)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン及びポリ(メチルフェニル)シロキサンを含む。他の合成潤滑油は、リン含有酸の液体エステル(例、トリクレシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、デシルホスホン酸ジエチルエステル)及び高分子テトラヒドロフランを含む。
【0060】
潤滑粘度油は、グループI、グループII又はグループIIIベースストック又は前記ベースストックの基油ブレンドを含むことができる。好ましくは、潤滑粘度油はグループII又はグループIIIベースストック、又は、それらの混合物、又は、グループIベースストックとグループII及びグループIIIの1種又はより多い混合物である。好ましくは、多量の潤滑粘度油は、グループII、グループIII、グループIV又はグループVベースストック、又は、それらの混合物である。前記ベースストック又はベースストックブレンドは、好ましくは少なくとも65%、さらに好ましくは少なくとも85%などの少なくとも75%の飽和炭化水素含量を有する。最も好ましくは、前記ベースストック又はベースストックブレンドは、90%よりも高い飽和炭化水素含量を有する。好ましくは、前記油又は油ブレンドは、1重量%よりも低い、好ましくは0.6重量%よりも低い、最も好ましくは0.4重量%よりも低いイオウ含量を有する。
【0061】
好ましくは、前記油又は油ブレンドの揮発度は、Noack揮発度試験(ASTM D5880)によって測定すると、30%よりも低い又は30%に等しい、好ましくは25%よりも低い又は25%に等しい、さらに好ましくは20%よりも低い又は20%に等しい、最も好ましくは16%よりも低い又は16%に等しい。好ましくは、前記油又は油ブレンドの粘度指数(VI)は、少なくとも85、好ましくは少なくとも100、最も好ましくは約105〜140である。
【0062】
本発明における前記ベースストック及び基油の定義は、The American Petroleum Institute Publication“Engine Oil Licensing and Certification System” Industry Services Department(14th ed.,December 1996),Addendum 1,December 1998(米国石油協会(API)刊行物「エンジン油認証システム」産業サービス部(第14編、1996年12月)、補遺1、1998年12月)に収載の定義と同一である。この刊行物は、ベースストックを次のように分類している。
(a)グループIベースストックは、表1に示された検査法を使用して、90%よりも少ない飽和炭化水素、及び/又は、0.03%よりも多いイオウを含有し、80よりも高い又は80に等しく、120よりも低い粘度指数を有する。
(b)グループIIベースストックは、表1に示された検査法を使用して、90%よりも多い又は90%に等しい飽和炭化水素、及び、0.03%よりも少ない又は0.03%に等しいイオウを含有し、80よりも高い又は80に等しく、120よりも低い粘度指数を有する。
(c)グループIIIベースストックは、表1に示された検査法を使用して、90%よりも多い又は90に等しい飽和炭化水素、及び、0.03%よりも少ない又は0.03%に等しいイオウを含有し、120よりも高い又は120に等しい粘度指数を有する。
(d)グループIVベースストックは、ポリアルファオレフィン(PAO)である。
(e)グループVベースストックは、グループI、II、III又はIVに含まれない他の全ベースストックを含む。
【表1】

【0063】
その他の添加剤が本発明の組成物に混入され、当該組成物が特定の必要条件を満たすことを可能にすることができる。前記潤滑油組成物に含まれることができる添加剤の例は、分散剤、清浄剤、金属さび止め剤、粘度指数向上剤、防錆剤、酸化防止剤、摩擦調整剤、他の分散剤、消泡剤、耐摩耗剤、流動点降下剤である。
【0064】
本発明の潤滑油組成物は、さらに、潤滑油に添加されるとガソリン及びディーゼルエンジンへの使用時に堆積物の形成を効果的に減少させる1種又はより多い無灰分散剤を含有することができる。本発明の組成物に有用な無灰分散剤は、分散される粒子と結合可能な官能基を有する油溶性ポリマー長主鎖を含む。典型的には、かかる分散剤は、しばしば架橋基を経て前記ポリマー主鎖に結合されるアミン、アルコール、アミド、又は、エステル極性成分を含む。当該無灰分散剤は、例えば、長鎖炭化水素置換モノ及びポリカルボン酸の油溶塩、エステル、アミノ−エステル、アミド、イミド及びオキサゾリン又はその無水物、長鎖炭化水素のチオカルボキシレート誘導体、長鎖脂肪族炭化水素であって当該炭化水素に直接結合するポリアミン部分を有する長鎖脂肪族炭化水素、長鎖置換フェノールのホルムアルデヒド及びポリアルキレンポリアミンとの縮合によって形成されるマンニッヒ縮合生成物から選択されることができる。
【0065】
好ましい分散剤は、ポリアミン誘導ポリアルファ−オレフィン分散剤、特にエチレン/ブテンアルファ−オレフィン及びポリイソブチレン系分散剤を含む。特に好ましいのは、無水コハク酸基で置換され、ポリエチレンアミン(例えば、ポリエチレンジアミン、テトラエチレンペンタアミン)、又は、ポリオキシアルキレンポリアミン(例えば、ポリオキシプロピレンジアミン、トリメチロールアミノメタン)、ヒドロキシ化合物(例えば、ペンタエリスリトール)及びそれらの配合物と反応するポリイソブチレンから誘導される無灰分散剤である。特に好ましい分散剤配合物は、(A)ポリイソブチレンであって、無水コハク酸基で置換され、(B)ヒドロキシ化合物(例えば、ペンタエリスリトール)、(C)ポリオキシアルキレンポリアミン(例えば、ポリオキシプロピレンジアミン)又は(D)ポリアルキレンジアミン(例えば、ポリエチレンジアミン及びテトラエチレンペンタミン)と、(A)が1モル当たり約0.3〜約2モルの(B)、(C)及び/又は(D)を使って反応する(A)ポリイソブチレンの配合物である。別の好ましい分散剤配合物は、米国特許第3,632,511号に記載されるように、(A)無水コハク酸ポリイソブテニルの(B)ポリアルキレンポリアミン(例えば、テトラエチレンペンタミン)及び(C)多価アルコール又はポリヒドロキシ置換脂肪族一級アミン(例えば、ペンタエリスリトール又はトリスメチロールアミノメタン)の配合物を含む。
【0066】
別のクラスの無灰分散剤は、マンニッヒ塩基縮合生成物を含む。一般に、これらの生成物は、例えば米国特許第3,442,808号に開示されるように、約1モルのアルキル置換モノ又はポリヒドロキシベンゼンを約1〜2.5モルのカルボニル化合物(例えば、ホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒド)及び約0.5〜2モルのポリアルキレンポリアミンと縮合することによって調製される。かかるマンニッヒ塩基縮合生成物は、ベンゼン基上の置換基としてメタロセン触媒重合のポリマー生成物を含むことができ、又は、米国特許第3,442,808号に記載される方法と同様の方法で、無水コハク酸上で置換されたかかるポリマーを含有する化合物と反応することができる。メタロセン触媒系を使って合成された官能化及び/又は誘導オレフィンポリマーの例は、上記の刊行物に記述されている。
【0067】
前記分散剤は、一般に米国特許第3,087,936号及び第3,254,025号に教示されるようなホウ素化などの様々な普通の後処理によってさらに後処理が可能である。前記分散剤のホウ素化は、アシル窒素含有分散剤をホウ素化合物(酸化ホウ素、ホウ素ハライド、ホウ素酸、及び、ホウ素酸エステルなど)によって、アシル化窒素化合物1モル当たり約0.1〜約20原子比率のホウ素を提供するのに十分な量で処理することで容易に達成される。有用な分散剤は、約0.05〜約2.0重量%、例えば約0.05〜約0.7重量%のホウ素を含有する。生成物中に脱水ホウ酸ポリマー(主として(HBOとして現れるホウ素は、アミン塩、例えばジイミドのメタボレート塩、として分散剤イミド及びジイミドに結合すると考えられる。ホウ素化は、約0.5〜4重量%、例えば約1〜約3重量%(アシル窒素化合物の質量に基づく)のホウ素化合物、好ましくはホウ酸を、通常はスラリーとしてアシル窒素化合物に添加し、約135℃〜約190℃、例えば140℃〜170℃で約1〜約5時間撹拌しながら加熱し、それに続いて窒素をストリッピングすることによって実施可能である。別法として、ホウ素処理は、水を除去しながら、ジカルボン酸材料とアミンの高温反応混合物にホウ酸を添加することによって実施可能である。技術上周知の他の後反応プロセスも適用可能である。
【0068】
前記分散剤は、いわゆる「キャッピング剤」との反応によってさらに後処理も可能である。従来、窒素含有分散剤は、「キャップ」され、かかる分散剤がフルオロエラストマーエンジンシールに対して有する有害作用を軽減している。多数のキャッピング剤及び方法が既知である。既知「キャッピング剤」の中でも、塩基分散剤のアミノ基を非塩基部分(例、アミド又はイミド基)に転換するキャッピング剤が最も適している。窒素含有分散剤とアルキルアセトアセテート(例、エチルアセトアセテート(EAA))の反応は、例えば米国特許第4,839,071号、第4,839,072号及び第4,579,675号に記述されている。窒素含有分散剤とギ酸素の反応は、例えば米国特許第3,185,704号に記述されている。窒素含有分散剤と他の適切なキャッピング剤の反応生成物は、米国特許第4,663,064号(グリコール酸)、米国特許第4,612,132号、第5,334,321号、第5,356,552号、第5,716,912号、第5,849,676号及び第5,861,363号(アルキル及びアルキレンカーボネート、例エチレンカーボネート)、米国特許第5,328,622号(モノエポキシド)、米国特許第5,026,495号、米国特許5,085,788号、第5,259,906号、第5,407,591号(ポリ(例ビス)エポキシド)、及び、米国特許第4,686,054号(無水マレイン酸又は無水コハク酸)に記述されている。前記リストは網羅的ではなく、窒素含有分散剤の他のキャッピング法は、当業者に既知である。
【0069】
適切なピストン堆積物制御には、窒素含有分散剤が、約0,03重量%〜約0.15%、好ましくは約0.07〜0.12重量%の窒素を有する潤滑油組成物を提供する量で添加可能である。
【0070】
金属含有又は灰形成清浄剤は、堆積物を低減又は除去する清浄剤として、及び、酸中和剤又は防錆剤として機能し、それによって、摩耗及び腐蝕を軽減し、エンジンの寿命を延長する。清浄剤は、一般に、長鎖疎水性尾部を有する極性頭部を含み、当該極性頭部は、酸性有機化合物金属塩を含む。当該塩は、実質的に化学量論量の金属を含有することができ、その場合、それらは、通常、普通の塩又は中性塩として記述され、0〜80の全塩基価又はTBN(ASTM D2896)を有するのが典型的である。過剰の金属化合物(例、オキサイド又はヒドロキサイド)を酸性ガス(例、二酸化炭素)と反応させることによって、大量の金属塩基が取り込み可能である。生じる過塩基性化清浄剤は、金属塩基(例、カーボネート)ミセルの外層として中和清浄剤を含む。かかる過塩基性化清浄剤は、150又は150よりも高いTBNを有することができ、典型的には、250〜450又はそれよりも高いTBNを有することになる。
【0071】
使用可能な清浄剤は、油溶性中性および過塩基性化スルホネート、フェネート、硫化フェネート、チオホスフォネート、サリシレート、ナフテネート、及び、金属、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム及びマグネシウム)の他の油溶性カルボキシレートを含む。最も多く使用される金属は、共に潤滑油中に含有可能なカルシウム及びマグネシウム、及び、カルシウム及び/又はマグネシウムのナトリウムとの混合物である。特に便利な金属清浄剤は、20〜450TBNのTBNを有する中性及び過塩基性化カルシウムスルホネート、及び、50〜450のTBNを有する中性および過塩基性化カルシウムフェネートおよび硫化フェネートである。過塩基性化であっても、中性であっても、又は、その両方であっても、清浄剤の組合せが使用可能である。
【0072】
スルホネートは、石油の分画から、又は、芳香族炭化水素のアルキル化によって得られるものなど、アルキル置換芳香族炭化水素のスルホン化によって得られるのが典型的なスルホン酸から調製可能である。例は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニル、又は、それらのハロゲン誘導体(クロロベンゼン、クロロトルエン及びクロロナフタレンなど)のアルキル化によって得られる化合物を含む。当該アルキル化は、約3個から70個よりも多い数までの炭素原子を有するアルキル化剤によって触媒の存在下で実施可能である。アルカリールスルホネートは、通常、アルキル置換芳香族部分1個当たり約9個から約80個よりも多い数までの炭素原子、好ましくは約16個から約60個よりも多い数までの炭素原子を含有する。
【0073】
前記油溶性スルホネート又はアルカリールスルホン酸は、金属のオキサイド、ハイドロキシド、アルコキシド、カーボネート、カルボキシレート、スルフィド、ヒドロスルフィド、ナイトレート、ボレート、及び、エーテルで中和可能である。金属化合物の量は、最終生成物の所望のTBNを有するように選択されるが、典型的には化学量論的に必要な量の約100〜220重量%(好ましくは少なくとも125重量%)の範囲である。
【0074】
フェノール及び硫化フェノールの金属塩は、オキサイド又はヒドロキサイドなどの適当な金属化合物との反応によって調製され、技術上周知の方法によって中性又は過塩基性化生成物が入手可能である。硫化フェノールは、イオウ又はイオウ含有化合物(硫化水素、イオウモノハロゲン化物又はイオウジハロゲン化物などの)とのフェノールの反応によって調製され、一般に、2個又はより多いフェノールがイオウ含有ブリッジによって架橋されている化合物の混合物である生成物を形成することができる。
【0075】
耐摩耗剤および抗酸化剤として、ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩が頻繁に使用される。当該金属は、アルカリ又はアルカリ土類金属、又は、アルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケル、又は、銅であることができる。亜鉛塩は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、潤滑油中に0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜2重量%の量で使用されることが最も多い。当該亜鉛塩は、周知の技術に従って、最初にジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を、通常、1個又はより多いアルコール又はフェノールのPとの反応により形成し、その後、形成されたDDPAを亜鉛化合物で中和することによって調製可能である。例えば、ジチオリン酸は、一級及び二級アルコール混合物を反応させることによって調製可能である。別法として、あるジチオリン酸のヒドロカルビル基が完全に二級の特徴を有し、他のジチオリン酸のヒドロカルビル基が完全に一級の特徴を有するという複数のジチオリン酸が調製可能である。前記亜鉛塩を調製するには、いずれの塩基性又は中性亜鉛化合物も使用可能であろうが、オキサイド、ヒドロキサイド及びカーボネートが最も一般的に用いられている。市販の添加剤は、中和反応で過剰の塩基性亜鉛化合物を使用するために、過剰の亜鉛を含有することが多い。
【0076】
好ましいジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジヒドロカルビルジチオリン酸の油溶性塩であり、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含むことができる。本発明は、乗用車向けディーゼルエンジン用潤滑油組成物の全質量に基づいて約0.02〜約0.12重量%(約0.03〜0.10重量%又は約0.05〜約0.08重量%など)のリンレベルを含有する乗用車向けディーゼルエンジン潤滑油組成物、大型車両用ディーゼルエンジン用潤滑油組成物の全質量に基づいて約0.02〜約0.16重量%(約0.05〜約0.14重量%又は約0.08〜0.12重量%など)のリンレベルを含有する大型車両用ディーゼルエンジン用潤滑油組成物により使用される場合、特に有用であることができる。ある好ましい実施形態では、本発明の潤滑油組成物は、主に(例、60よりも高いモル%などの50よりも高いモル%の)二級アルコールから誘導されるジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有する。
【0077】
酸化防止剤又は抗酸化剤は、鉱物油が稼働を低下させる傾向を軽減する。酸化的劣化は、潤滑剤中のスラッジ、金属表面のワニス様堆積物、及び、粘度増加によって証明可能である。かかる酸化防止剤は、ヒンダードフェノール、好ましくはC〜C12アルキル側鎖を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、カルシウムノニルフェノールスルフィド、油溶性フェネート及び硫化フェネート、リン硫化又は硫化炭化水素、リンエステル、金属チオカルバメート、米国特許第4,867,890号に記述されているような油溶性銅化合物、及び、モリブデン含有化合物を含む。
【0078】
1個のアミン窒素に直接結合された少なくとも2個の芳香族基を有する典型的油溶性芳香族アミンは、炭素原子6〜16個を含有する。当該アミンは、2個よりも多い芳香族基を含有できる。2個の芳香族基が共有結合又は原子又は基団(例、酸素又はイオウ原子、又は、−CO−、−SO−又はアルキレン基)によって結合され、2個が1個のアミン窒素に直接結合された、合計少なくとも3個の芳香族基を有する化合物も、窒素に直接結合された少なくとも2個の芳香族基を有する芳香族アミンと見なされる。芳香族環は、典型的には、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、ヒドロキシ及びニトロ基から選択される1個又は1個よりも多い置換基で置換される。
【0079】
複数の抗酸化剤は、一般に配合して使用される。ある好ましい実施形態では、本発明の潤滑油組成物は、すす誘導粘度増加を改善するために添加されるフェニレンジアミン化合物に加えて、約0.1〜約1.2重量%のアミン抗酸化剤及び約0.1〜約3重量%のフェノール抗酸化剤を含有する。別の好ましい実施形態では、本発明の潤滑油組成物は、約0.1〜約1.2重量%のアミン抗酸化剤、約0.1〜約3重量%のフェノール抗酸化剤、及び、約10〜約1000ppmのモリブデンの潤滑油組成物を提供する量のモリブデン化合物を含有する。好ましくは、本発明の実施に有用な潤滑油組成物、特に1200ppmよりも多くないリンを含有することを要する本発明の実施に有用な潤滑油組成物は、フェニレンジアミン以外の無灰抗酸化剤を、約0.1〜約5重量%、好ましくは約0.3重量%〜約4重量%、さらに好ましくは約0.5重量%〜約3重量%の量で含有する。リン含量が低めであることを要する場合、フェニレンジアミン以外の無灰抗酸化剤量は、好ましくは適宜増加する。
【0080】
適切な粘度調整剤の代表例は、ポリイソブチレン、エチレンとプロピレンのコポリマー、ポリメタクリレート、メタクリレートコポリマー、不飽和ジカルボン酸とビニル化合物のコポリマー、スチレンとアクリル酸エステルのインターポリマー、及び、スチレン/イソプレンの部分水素化コポリマー、スチレネルブタジエン、及び、イソプレン/ブタジエン、並びに、ブタジエンとイソプレンの部分水素化ホモポリマーである。
【0081】
粘度指数向上分散剤は共に、粘度指数向上剤として、及び、分散剤として機能する。粘度指数向上分散剤の例は、ヒドロカルビル置換モノ又はジカルボン酸であって、前記ヒドロカルビル置換基が前記化合物に粘度指数向上性を付与するのに十分な長さの炭素鎖を含むヒドロカルビル置換モノ又はジカルボン酸とのアミン(例えばポリアミン)の反応生成物を含む。一般に、前記粘度指数向上分散剤は、例えばビニルアルコール又はC〜C10不飽和モノカルボン酸又はC〜C10ジカルボン酸のC〜C24不飽和エステルの炭素原子4〜20個を有する不飽和窒素含有モノマーとのポリマー;アミン、ヒドロキシアミン又はアルコールで中和された不飽和C〜C10モノ又はジカルボン酸とのC〜C20オレフィンのポリマー;又は、C〜C20オレフィンとのエチレンのポリマーであり、C〜C20不飽和窒素含有モノマーの当該ポリマーへのグラフティングにより、又は、当該ポリマーの主鎖への不飽和酸のグラフティングとそれに続く前記グラフト化酸のカルボン酸基のアミン、ヒドロキシアミン又はアルコールとの反応によってさらに反応するポリマーであることができる。
【0082】
最終油の他成分と相溶性がある摩擦調整剤及び燃料節約剤も含まれることができる。かかる材料の例は、高級脂肪酸のグリセリルモノエステル(例えばモノオレイン酸グリセリル);長鎖ポリカルボン酸のジオールとのエステル(例えば二量化不飽和脂肪酸のブタンジオールエステル);オキザロリン化合物;及び、アルコキシル化アルキル置換モノアミン、ジアミン及びアルキルエーテルアミン(例えば、エトキシル化牛脂アミン及びエトキシル化牛脂エーテルアミンを含む。
【0083】
他の既知の摩擦調整剤は、油溶性有機モリブデン化合物を含む。かかる有機モリブデン摩擦調整剤は、潤滑油組成物に抗酸化性及び抗摩耗性も提供する。かかる油溶性有機モリブデン化合物の例は、ジチオカルバメート、ジチオホスフェート、ジチオホスフィネート、キサンテート、チオキサンテート、スルフィドなど、及び、それらの混合物を含む。特に好ましいのは、モリブデンジチオカルバメート、ジアルキルジチオホスフェート、アルキルキサンテート及びアルキルチオキサンテートを含む。
【0084】
さらに、前記モリブデン化合物は、酸性モリブデン化合物であることができる。これらの化合物は、ASTM(米国材料試験協会)試験法D−664又はD−2896滴定法で測定される場合の塩基性窒素化合物と反応し、典型的には六価である。含まれるのは、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、及び、他のモリブデン酸アルカリ金属及び他のモリブデン塩、例えばモリブデン酸一水素ナトリウム、MoOCl、MoOBr、MoCl、三酸化モリブデン又は同様の酸性モリブデン化合物である。
【0085】
前記モリブデン化合物の中でも、本発明の組成物に有用なのは、次式の有機モリブデン化合物、即ちMo(ROCS及びMo(RSCSであり、式中、Rは、一般に炭素原子1〜30個、好ましくは炭素原子2〜12個のアルキル、アリール、アラルキル及びアルコキシアルキルから成る群から選択される有機基団であり、最も好ましくは炭素原子2〜12個のアルキルである。特に好ましいのはモリブデンのジアルキルジチオカルバメートである。
【0086】
本発明の潤滑油組成物に有用な別の群の有機モリブデン化合物は、三核モリブデン化合物であり、特に式Moの化合物、及び、それらの混合物であり、式中、Lは独立して選択された、前記化合物を前記油中で可溶性又は分散性にするのに十分な炭素原子数の有機基団を有するリガンドであり、nは1〜4、kは4〜7、Qは水、アミン、アルコール、ホスフィンおよびエーテルなどの中性電子供与化合物群から選択され、zは0〜5の範囲であり、非化学量論値を含む。全リガンド有機基団には、少なくとも25、少なくとも30又は少なくとも35個の炭素原子など、少なくとも21個の合計炭素原子が存在する必要がある。
【0087】
他では潤滑油流動性向上剤(lube oil flow improver LOFI)として既知の流動点降下剤は、液体が流れる、又は、流動可能な最低温度を低下させる。かかる添加剤は周知である。前記液体の低温流動性を向上させる添加剤で典型的なのは、C〜C18ジアルキルフマレート/ビニルアセテートコポリマー、及び、ポリメタクリレートである。泡制御は、ポリシロキサンタイプの消泡剤、例えばシリコーン油又はポリジメチルシロキサンによって提供可能である。
【0088】
上記添加剤の一部は、複数の効果を提供できる。よって、例えば単一の添加剤は、分散剤−酸化防止剤として作用できる。この手法は周知であり、本明細書ではこれ以上詳述する必要がない。
【0089】
本発明では、前記ブレンド品の粘度の安定性を維持する添加剤を含むことが必要な場合がある。よって、極性基含有添加剤は、前ブレンド工程で適切な低粘度を達成できるが、一部の組成物は、長期間保存する場合、粘度を増加させることが認められている。この粘度増加の制御に有効な添加剤は、上記で開示されたような無灰分散剤の調製に使用されるモノ又はジカルボン酸又は無水物との反応によって官能化された長鎖炭化水素を含む。
【0090】
潤滑組成物が1種又はより多い上記の添加剤を含有する場合、各添加剤は、典型的には、当該添加剤が所望の機能を提供することを可能にする量で基油にブレンドされる。クランクケース潤滑剤に使用される場合のかかる添加剤の代表的効果量は以下にリストされる。リストされた全数値は、活性成分重量%としての表示である。
【表2】

【0091】
本発明の完全調合乗用車向けディーゼルエンジン潤滑油(PCDO)組成物は、好ましくは約0.4重量%よりも低い(約0.35重量%よりも低い含量など)、さらに好ましくは約0.03重量%よりも低い(約0.15重量%よりも低いなど)イオウ含量を有する。好ましくは、完全調合PCDO(潤滑粘度油+全添加剤)のノアク揮発度は、13よりも高くない(12よりも高くないなど)、好ましくは10よりも高くないになる。本発明の完全調合PCDOは、好ましくは1200ppmよりも高くないリン(1000ppmよりも高くないなどのリン)又は800ppmよりも高くないリンを有する。本発明の完全調合PCDOは、好ましくは約1.0重量%又はそれよりも低い硫酸灰分含量を有する。
【0092】
本発明の完全調合大型車両用ディーゼルエンジン(HDD)潤滑油組成物は、好ましくは約1.0重量%よりも低い(約0.6重量%よりも低いなど)、さらに好ましくは約0.4重量%よりも低い(約0.15重量%よりも低いなど)イオウ含量を有する。好ましくは完全調合HDD潤滑油組成物(潤滑粘度油+全添加剤)のノアク揮発度は、20よりも高くない(15よりも高くないなど)、好ましくは12よりも高くない。本発明の完全調合HDD潤滑油組成物は、好ましくは1600ppmよりも多くないリン(1400ppmよりも多くないリンなど)又は1200ppmよりも多くないリンを有する。本発明の完全調合HDD潤滑油組成物は、好ましくは約1.0重量%又はそれよりも低い硫酸灰分(SASH)を有する。
【0093】
不可欠ではないが、添加剤を含む1種又はより多い添加剤濃縮物を(添加剤パッケージと称されることがある濃縮物)を調製することが望ましいと思われるが、その場合、数種の添加剤が同時に前記油に添加され、潤滑油組成物を生成することができる。本発明の潤滑油組成物の調製用濃縮物は、例えば約0.1〜約16重量%のフェニレンジアミン、約10〜約40重量%の窒素含有分散剤、約2〜約20重量%のアミン抗酸化剤及び/又はフェノール抗酸化剤、モリブデン化合物、又は、それらの混合物、約5〜40重量%の清浄剤、及び、約2〜約20重量%のヒヒドロカルビルジチオリン酸金属塩を含有することができる。
【0094】
最終組成物は、5〜25重量%、好ましくは5〜18重量%、典型的には10〜15重量%の濃縮物を用いることができ、残りは潤滑粘度油及び粘度調整剤である。
【0095】
本明細書で表示される全重量%は、(他に規定されない限り)前記添加剤の活性成分(A.I.)含量に基づき、及び/又は、各添加剤のA.I.の重量+全油又は希釈剤重量の和となるいずれかのパッケージ又は調合物の総重量に基づく。
【実施例】
【0096】
本発明は、以下の例を参照することによってさらに理解が深まる。表3に示されるように、実験化合物の大半は、2種類の基礎的方法(A及びB)の一方によって実施された。残りの例は、下記の通り、これらの方法のわずかな変法又は組合せによって調製された。生成物は、300MHz HNMR、赤外分光分析、ガスクロマトグラフィーによって特徴付けられた。一部の生成物は、GC/MS及び13CNMRによってさらに詳細に特徴付けられた。
【0097】
(例1〜37および比較例A〜I)
本発明は、例1〜37に開示される。比較例A〜Iも提供される。
【0098】
例の化合物は、3種類の方法のうちの1種類によって生成される。方法Aは、例6、9、15、27及び32について以下に提示の詳細によって例示される。方法Bは例13によって、方法Cは例12によって例示される。
【0099】
(方法A)
アルデヒド又はケトン及びナトリウムトリアセトキシボロヒドリドとのフェニレンジアミンの還元的アルキル化を使った基礎的方法は、Abdel−Majid,A.F.et al.,61 J.Org.CHEM.3849−62(1996)の方法の変更態様である。異なる出発材料で所望の反応を達成するために、化学量論、反応時間及び反応温度の調整が必要な場合があることは、いずれの当業者も認識するところとなる。以下の例は、この「方法A」を例示するものである。
【0100】
(N,N’−ジシクロヘキシル−メタ−フェニレンジアミン)
方法Aを使用して、N,N’−ジシクロヘキシル−メタ−フェニレンジアミンを生成した。この化合物は、例6について以下で報告される特徴を有する。
【0101】
250mL三つ口フラスコにオーバーヘッドスターラー、熱電対および窒素流入口を取り付けた。当該フラスコに、メタ−フェニレンジアミン2.63g、テトラヒドロフラン131mL、キシレン65mL、シクロヘキサノン12.6mL、氷酢酸1.4mLを供給した。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド26gを35℃で3時間かけて添加した。反応液をキシレンに取り込み、水酸化ナトリウム水溶液で抽出し、水で洗浄した。溶媒はロータリーエバポレーターで除去した。生じた褐色油状物をヘキサンに取り込み、−10℃まで冷却した。微量の固体を真空濾過で除去した。当該液体をさらに濃縮し、生成物の結晶を濾過で回収した。mp(融点) 84〜86℃
【0102】
(混合N,N’−ジシクロヘキシル−ジエチル−メタ−トルエンジアミン)
方法Aを使用して、混合N,N’−ジシクロヘキシル−ジエチル−メタ−トルエンジアミンを生成した。この化合物は、例9について以下で報告される特徴を有する。
【0103】
500mL三つ口フラスコにオーバーヘッドスターラー、熱電対および窒素流入口を取り付けた。当該フラスコに、Ethacure(登録商標)89混合ジエチル−メタ−トルエンジアミン(Chemtura Corporationから販売)16.0g、テトラヒドロフラン91mL、キシレン45mL、シクロヘキサノン27.9mL、氷酢酸5.13mLを供給した。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド39.8gを53℃で1時間かけて添加した。反応液をさらに、65℃で4時間撹拌した後、追加のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド10.2gを添加し、反応液を1時間撹拌した。シクロヘキサノン9.0mLを追加添加し、反応液を2時間撹拌した。追加のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド5.5gを添加し、反応液を2時間撹拌した。反応物をキシレンに注ぎ、25%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、淡金色の油状物30.4gを生じた。
【0104】
(N,N’−ジシクロオクチル−N−エチル−パラ−フェニレンジアミンおよびN,N’−ジシクロオクチル−N,N’−ジエチル−パラ−フェニレンジアミン)
方法Aを使用して、N,N’−ジシクロオクチル−N−エチルパラ−フェニレンジアミンを生成した。この化合物は、例15について以下で報告される特徴を有する。
【0105】
方法Aを使用して、N,N’−ジシクロオクチル−N,N’−ジエチルパラ−フェニレンジアミンを生成した。この化合物は、例27について以下で報告される特徴を有する。
【0106】
250mL三つ口フラスコにオーバーヘッドスターラー、熱電対および窒素流入口を取り付けた。当該フラスコにパラ−フェニレンジアミン3.08g、テトラヒドロフラン70mLおよびシクロオクタノン11.88gを供給した。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド19.8gを75分間に亘って添加し、反応液を60〜65℃まで加熱した。シクロオクタノン3.6gおよびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド6.2gを追加添加した。反応液を60℃で2時間撹拌し、次に、氷酢酸3.2mLおよびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド6.0gを添加した。反応液を3時間撹拌した。反応液をキシレン/エチルアセテートに取り込み、水酸化ナトリウム水溶液で抽出し、水で洗浄した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。減圧下、185℃で前記反応液からシクロオクタノンを留去した。生成物をヘプタンに取り込み、濾過後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、−10℃で保存した。当該液体を再度濾過し、微量の微細固体を除去した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、褐色油状物を得た。当該油状物は、塩基性アルミナの分別カラムクロマトグラフィーでヘキサン中6%エチルアセテートを使って分離し、2種の淡黄色の油状物(例15および24)を得て、これを長時間放置して結晶化した。
【0107】
(N,N,N’−トリシクロヘキシル−パラ−フェニレンジアミン)
方法Aを使用して、N,N,N’−トリシクロヘキシル−パラ−フェニレンジアミンを生成した。この化合物は、例29について以下で報告される特徴を有する。
【0108】
2000mLのボトムアウト反応ケトルにオーバーヘッドスターラー、熱電対および窒素流入口を取り付けた。当該ケトルにパラ−フェニレンジアミン30.3g、及び、テトラヒドロフラン1030mLを供給した。シクロヘキサノンの一部116mLを添加した後、氷酢酸35mLを添加した。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド65gを90分間に亘って添加した。当該混合液を40℃まで加熱し、1時間撹拌した。2回目のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド65g供給量を60分間に亘って添加した。反応液を60℃まで加熱し、1時間撹拌した。3回目のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド65g供給量を4時間に亘って添加し、反応液をさらに1時間撹拌する。1:1キシレン/エチルアセテートの供給量400mLに続いて水150mLを添加する。反応液を撹拌し、静止させ、水層を抜いた。反応液は、20%水酸化ナトリウム水溶液でpH=11になるまで抽出した後、水で2回洗浄した。溶媒をロータリーエバポレーションで除去した。生成物をヘキサン450mLに取り込み、−10℃で一晩保存した。微量の微細沈殿物を珪藻土での濾過によって除去した。溶媒をロータリーエバポレーションで除去し、赤色油状物93gを生じた。
【0109】
(N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−ヘプチル−パラ−フェニレンジアミン)
N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−ヘプチル−パラ−フェニレンジアミンの生成に方法Aを使用した。この化合物は、例32について以下で報告される特徴を有する。
【0110】
500mL三つ口フラスコにオーバーヘッドスターラー、熱電対および窒素流入口を取り付けた。当該フラスコに上記N,N,N’−トリシクロヘキシル−パラ−フェニレンジアミンの一部40.1g、テトラヒドロフラン150mL、及び、ヘプトアルデヒド17.3gを供給した。当該フラスコにナトリウムトリアセトキシボロヒドリド27.8gに1時間かけて添加した。反応液は、40℃で30分間撹拌した。反応液は、キシレン:エチルアセテート1:1を含有する分液漏斗に添加し、水で抽出した後、水酸化ナトリウム水溶液で抽出し、その後、水で3回洗浄した。溶媒は、ロータリーエバポレーションで除去した。残りの混合液を170℃および29’’Hgでストリッピングし、褐赤色油状物51gを生じた。
【0111】
(方法B)
方法Bは例13の手順に代表されるものである。
【0112】
(N,N’−ジシクロヘキシル−N−フェニル−パラ−フェニレンジアミン)
方法Bを使用して、N,N’−ジシクロヘキシル−N−フェニル−パラ−フェニレンジアミンを生成した。この化合物は、例13について以下で報告される特徴を有する。
【0113】
1L反応機に、N−フェニル−パラ−フェニレンジアミン156g、シクロヘキサノン336g、炭素触媒上硫化プラチナを供給し、600psig水素で加圧した。反応液は、190℃まで23.5時間加熱し、その後、圧力を93気圧まで降下させた。反応液は、冷却し、トルエンに取り込み、濾過した。生成物が沈殿し、微細な白色結晶を生じた。融点(mp)110〜112℃
【0114】
(方法C)
方法Cは、例12の手順に代表されるものである。
【0115】
(N−ブチル−N,N’−ジシクロヘキシル−メタ−フェニレンジアミン)
方法Cを使用して、N−ブチル−N,N’−ジシクロヘキシル−メタ−フェニレンジアミンを生成した。
【0116】
100mL三つ口フラスコにオーバーヘッドスターラー、熱電対および窒素流入口を取り付けた。当該フラスコにN,N’−ジシクロヘキシル−メタ−フェニレンジアミン7.24g、Aliquat(登録商標)336(メチル−トリオクチルアンモニウムクロライド)0.121g、1−ブロモブタン11.4mL、及び、25%水酸化ナトリウム16gを供給した。反応液を85%で48時間撹拌し、この後、追加の1−ブロモブタン2.4mLを添加し、反応液をさらに24時間撹拌した。反応混合液をキシレンに取り込み、苛性アルカリ層を除去した。反応物を水で3回洗浄し、ロータリーエバポレーションで揮発物を除去した。放置により軟質結晶が生じ、これをヘキサンから再結晶化し、オフホワイトの結晶を生じた。融点48〜49℃
【0117】
(方法D)
方法Dは、例5の手順に代表されるものである。
【0118】
(N,N’−ジシクロヘキシル−オルト−フェニレンジアミン)
方法Dを使用して、N,N’−ジシクロヘキシル−オルト−フェニレンジアミンを生成した。この化合物は、例5について以下で報告される特徴を有する。
【0119】
100mL三つ口フラスコにオーバーヘッドスターラー、熱電対および窒素流入口を取り付けた。当該フラスコにオルト−フェニレンジアミン5.06g、ブロモシクロヘキサン30mL、微粉砕炭酸カリウム20.0g、及び、ジメチルスルホキサイド15mLを供給した。当該混合液を110〜120℃で5時間撹拌した。追加でブロモシクロヘキサン7.5mL、及び、微粉砕炭酸カリウム5.0gを添加し、反応液を110℃で5時間撹拌した。
【0120】
前記反応混合液を濾過した。濾液の塩をキシレンおよびエチルアセテートで洗浄した。ロータリーエバポレーションにより溶媒を除去した。残りの揮発成分を真空蒸留で除去した。残りの混合液を110℃及び29’’Hgでストリッピング処理し、褐赤色油状物9.3gを生じた。ストリッピング処理生成物は、塩基性アルミナでのフラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製した。溶媒系はヘキサン対エチルアセテート50:1であった。所望の油状生成物の5.1g部分を単離した。
【0121】
(熱−酸化エンジン油シミュレーション試験(TEOST)MHT)
本試験で使用したエンジン油調合品は、以下の市販成分を含有した。本発明に関連した材料のタイプおよび正確な組成に特に制限はない。試験調合を表3に示す。
表3
エンジン油試験調合品
(組成)
基油
過塩基性化清浄剤
耐摩耗剤
スクシンイミド分散剤
VI向上剤
摩擦調整剤
二級ジアリールアミン抗酸化剤
実験的堆積物/酸化制御添加剤
【0122】
本発明に実施に従って、シクロアルキルフェニレンジアミンの使用から生じる堆積物の有意な減少が、中−高温熱−酸化エンジン油シミュレーション試験(TEOST)MHTによってエンジン油調合品で納得できる証明がなされた。この試験は、加速酸化試験である。本試験は、熱−酸化的及び触媒条件下で試験油8.5gの反復通過のストレスを連続して加えることによって特別に構成されたスチールロッド上に形成される堆積物の質量を定量する。使用機器は、Tannas Co.の製造で、0.15(x+16)mgの典型的な繰返し精度を有し、この場合、xは、2又はより多い繰返し試験結果の平均値である。TEOST試験条件を表4に挙げる。得られる堆積物量が少ないほど、油の酸化安定性が良好である。
表4
TEOST MHT 試験条件
試験パラメーター 設定値
試験時間24時間
ロッド温度 285℃
サンプルサイズ 8.5g(油8.4gと触媒0.1gの
混合物)
サンプル流速 0.25g/分
流速(乾燥空気) 10mL/分
触媒 Fe、Pb及びSn含有油溶性混合物
【0123】
本試験で使用の二級ジアリールアミンは、現在Naugalube(登録商標)438Lの販売名でChemtura Corporationから市販されている、主としてモノ−、ジ−及びトリノニルジフェニルアミンの複合混合物であった。本発明の実施に従って、二級ジアリールアミン及び置換フェニレンジアミンを含めた添加される堆積物制御剤/抗酸化剤の総量は、各ブレンドの1.25重量%であった。
【0124】
比較例Aは、0.75%二級アミン塩基処理レベルの抗酸化剤のみを含有し、シクロアルキルフェニレンジアミン堆積物制御剤/抗酸化添加剤は含有しなかった。比較例Bは、フェニレンジアミン堆積物制御/抗酸化添加剤の代わりに別の二級ジフェニルアミンを使用した二級アミン1.25%を含有した。比較例Cは、0.75%二級アミン塩基処理レベルの抗酸化剤を、シクロアルキルフェニレンジアミン堆積物制御剤/抗酸化添加剤の代わりに0.5%Naugalube(登録商標)531抗酸化剤とともに含有した。Naugalube(登録商標)531抗酸化剤は、3,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキシ桂皮酸のC〜Cエステル混合物であり、Chemtura Corporationから市販されている。比較例Dは、0.75%二級アミン塩基処理レベルの抗酸化剤をシクロアルキルフェニレンジアミン堆積物制御剤/抗酸化添加剤に代わる0.5%Flexzone(登録商標)4L抗酸化剤とともに含有した。Flexzone(登録商標)4L抗酸化剤は、N,N’−ビス(メチルペンチル)−パラ−フェニレンジアミンであり、Chemtura Corporationから市販されている。比較例E〜Iは上記の方法Aに従って調製された。
実施例1〜38
例 調製法 TEOST
番号 (堆積物mg)
1 B N−(1−メチルデシル)−N’−(2,2,6,6− 23
テトラメチル−4−ピペリジニル)−p−フェニレンジ
アミン
2 A N−シクロヘキシル−N,N’−ジ(sec−ブチル)− 31
p−フェニレンジアミン
3 A 混合N−シクロヘキシル−N’−フェニル−o−フェニレ 39
ンジアミン及びN−シクロヘキシル−N−フェニル−o−
フェニレンジアミン
4 A N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン 11
5 D N,N’−ジシクロヘキシル−o−フェニレンジアミン 42
6 A N,N’−ジシクロヘキシル−m−フェニレンジアミン 8
7 A N,N’−ジシクロヘキシル−m−トルエンジアミン 12
8 A N,N’−ジシクロオクチル−p−フェニレンジアミン 17
9 A ジシクロヘキシル−ジエチル−m−トルエンジアミン 27
10 A N,N’−ビス(3,3,5−トリメチルシクロヘキシ 24
ル)−p−フェニレンジアミン
11 A N,N’−ジシクロヘキシル−N−イソプロピル− 9
p−フェニレンジアミン
12 C N,N’−ジシクロヘキシル−N−ブチル−m− 31
フェニレンジアミン
13 B N,N’−ジシクロヘキシル−N’−フェニル−p− 34
フェニレンジアミン
14 B N−シクロヘキシル−N−(2−エチルヘキシル)− 18
N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
15 A N,N’−ジシクロオクチル−N−エチル−p− 17
フェニレンジアミン
16 A N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジエチル− 23
p−フェニレンジアミン
17 A N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジプロピル− 24
p−フェニレンジアミン
18 A N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジブチル− 12
m−フェニレンジアミン
19 A N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジブチル− 23
p−フェニレンジアミン
20 A N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジ−イソ− 24
ブチル−p−フェニレンジアミン
21 A N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジ−sec− 39
ブチル−p−フェニレンジアミン
22 A N,N’−ジシクロヘキシル−N−(1,3−ジメチル 26
ブチル)−p−フェニレンジアミン
23 A N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジヘプチル− 35
p−フェニレンジアミン
24 A N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジフルフリル− 26
p−フェニレンジアミン
25 A N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジベンジル− 22
p−フェニレンジアミン
26 B N,N’−ジシクロヘキシル−N’−フェニル−N’− 44
ヘプチル−p−フェニレンジアミン
27 A N,N’−ジシクロオクチル−N,N’−ジエチル− 22
p−フェニレンジアミン
28 A N,N,N’−トリシクロペンチル−p−フェニレン 7
ジアミン
29 A N,N,N’−トリシクロヘキシル−p−フェニレン 9
ジアミン
30 A N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−プロピル− 11
p−フェニレンジアミン
31 A N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−ブチル 11
−p−フェニレンジアミン
32 A N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−ヘプチル 30
−p−フェニレンジアミン
33 A N−(2−エチルヘキシル)−N,N’,N’− 43
トリシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン
34 A N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−フェニル 44
−p−フェニレンジアミン
35 A 混合シクロペンチル/シクロヘキシルテトラ−N− 29
置換−p−フェニレンジアミン
36 A N,N,N’,N’−テトラシクロヘキシル−p− 32
フェニレンジアミン
37 A N,N’−ビス(2−デカリニル)−p− 15
フェニレンジアミン
38 B 混合N,N’−ジシクロヘキシル−4−イソブテニル 15
−6−イソブチル−1,3−フェニレンジアミン及び
N,N’−ジシクロヘキシル−4,6−ジイソブチル−
1,3−フェニレンジアミン

比較例A〜I
参照 調製法 TEOST
番号 (堆積物mg)
A 市販品 Naugalube 438L 73
ジノニルジフェニルアミン抗酸化剤
全量の0.75重量%
B 市販品 Naugalube 438L 51
ジノニルジフェニルアミン抗酸化剤
全量の1.25重量%
C 市販品 Naugalube 531
3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシ桂皮酸、 55
〜C枝分かれエステル
D 市販品 Flexzone 4L 62
N,N’−ビス(メチルペンチル)−p−
フェニレンジアミン
E A N−ヘプチル−N,N’,N’−トリイソプロピル 55
−p−フェニレンジアミン
F A N,N,N’−トリイソプロピル−p−フェニレン 62
ジアミン
G A N,N,N’,N’−テトラヘプチル−p−フェニレ 53
ンジアミン
H B N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン 61
I A N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレン 58
ジアミン
【0125】
実施例1〜37で得られた堆積物は、比較例A〜Iで得られた堆積物よりも有意に少ない。これは、本発明の堆積物制御剤/抗酸化剤ブレンド品の適切な混合物を含有する潤滑油組成物が優れた酸化安定性を有し、TEOSTにおいて、より少ない量の堆積物を生じることを実証している。
【0126】
実施例4で得られた堆積物(11mg)は、対応する非環式比較例H及びIで得られた堆積物(61、58mg)よりもはるかに少ない。実施例26及び27で得られた堆積物(9、30mg)も、対応する非環式比較例F及びEで得られた堆積物(61、58mg)よりもはるかに少ない。いずれの場合も、フェニレンジアミンの窒素上の置換基が全て、同じ二級炭素置換を有するため、この結果は全く予想外である。sec−アルキル基の脂環式環への結合が、堆積物制御にこのような顕著な効果を有することは予想外であったと思われる。環式化合物がわずかに高めの分子量を有し、そのため、添加剤配合物は、低めのモル当量の活性堆積物制御剤を含有するため、これらの結果は、さらなる驚きである。
【0127】
本発明の基礎となる原理から逸脱することなく実施可能な多くの変更及び変形を考慮して、本発明に与えられる保護の範囲を理解するために、添付の特許請求の範囲を参照することが必要である。
【0128】
全ての特許、論文、及び、本明細書に述べられている他の資料は、参照することによってそのまま本明細書に組入れられている。複数の確定成分を「含む」として記述されている組成物は、確定された複数の確定成分を混合することによって生成される組成物を含むと解釈されなければならない。本発明の原理、好ましい実施形態および例は、上記明細書に記述されている。しかし、開示されている実施形態が制約するものではなく、例示と見なされるため、本出願人が出願しているものは、その発明が開示されている特定の実施形態に制約されると解釈してはならない。本発明の精神から逸脱することなく、当業者により変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化劣化を受ける流体、及び堆積物生成に対して前記流体を安定化するのに十分な量の少なくとも1種のN−シクロアルキル置換フェニレンジアミン添加剤、を含む組成物であって、
前記添加剤は、
【化1】


の構造を有し、
式中、
Xが、
【化2】


であり、
Yが、
【化3】


であり、
が、
【化4】


及び、
【化5】


から成る群から選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
、R、R、及びRが、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリル、メチアリル、イソブテニル、アルケニル、フルフリル、ベンジル、アルカリール、並びにフェニルから成る群から独立して選択され、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10は、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmは、上で定義した通りであり、
mが1〜8の整数であり、
式中、XとYが互いにパラである場合、R、R及びRは、
(A)Rが、
【化6】


及び
【化7】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
は、
【化8】


の構造の、独立して選択されたシクロアルキル環であり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
が、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から選択され、その全てが窒素、酸素又はイオウ原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCHCH(CH)−でもない、
相互関係A、
(B)Rが、
【化9】


及び、
【化10】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各Qが、C(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル基、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもなく、R及びRが共に水素ではない、
相互関係B、
(C)Rが、
【化11】


及び、
【化12】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各Qが、C(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもない、
相互関係C、
(D)R、R及びRが、炭素原子3〜約36個のアルキル、炭素原子3〜約36個のアルケニル、アリール、アルカリール、及びシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが、炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zは−CHCH−又はCH−CH(CH)−ではなく、
(1)R、R及びRの少なくとも2個が、炭素原子3〜約36個のアルキル、炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、この場合、前記アルキル又はアルケニルが、フェニレンジアミン窒素に結合した炭素で枝分かれし、
(2)Rが2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルである場合、Rが水素であることができる、
相互関係D、
から成る群から選択される、相互関係にあり、そして、
式中、X及びYが互いにオルト又はメタである場合、R、R及びRは、
(E)Rが、
【化13】


及び、
【化14】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11がH、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素、酸素、又はイオウ原子、水素、炭素原子3〜約36個のアルケニル、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもなく、R及びR両方が水素ではない、
相互関係E、
(F)R、R及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素、酸素、又はイオウ原子、水素、アリール、アルカリール、炭素原子3〜約36個のアルケニル、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもない、
相互関係F、
から成る群から選択される、相互関係にあり、
並びに、前記フェニレンジアミンが遊離塩基又は油溶性塩の形態である、
組成物。
【請求項2】
前記N−シクロアルキル置換フェニレンジアミンは、
【化15】


の構造を有し、
式中、mが0、1、2又は3であり、R、R及びRが、アルキル、枝分かれアルキル、シクロアルキル、炭素3〜約36個のアルケニル、アルカリール、及びアリールから成る群から独立して選択され、その全てがN、O又はS原子、及び水素を含有してもよく、並びにR、R、R及びRが、炭素1〜約20個の直鎖及び枝分かれアルキル、並びに水素から成る群から独立して選択され、ただし、R、R及びRの少なくとも2個が独立してフェニレンジアミン窒素に結合された炭素で枝分かれしたアルキルである、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記N,N’−ジシクロアルキル置換フェニレンジアミンは、
【化16】


の構造を有し、
式中、m及びnが独立して0、1、2又は3であり、R及びRが独立してアルキル、枝分かれアルキル、シクロアルキル、炭素3〜36個のアルケニル、アルカリール、及びアリールから成る群から選択され、N、O又はS原子を含有してもよく、R、R、R及びRが、炭素1〜約20個の直鎖及び枝分かれアルキル、並びに水素から成る群から独立して選択される、
請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記N−シクロアルキル置換フェニレンジアミンは、
【化17】


の構造を有し、
式中、m、n及びpが、独立して0、1、2又は3であり、Rが、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリル、アルケニル、アルカリール、並びにアリールから成る群から選択され、その全てがN、O又はS原子を含有してもよく、R、R、R及びRが、炭素1〜約20個の直鎖及び枝分かれアルキル、並びに水素から成る群から独立して選択される、
請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
さらに、酸化、熱、又は光誘導による劣化を受ける有機材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記有機材料が、天然機能性流体、合成機能性流体、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記機能性流体が、潤滑油、グリース、燃料、天然油、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記機能性流体が、エンジン油、トランスミッションフルード、油圧用作動油、ギア油、船舶用シリンダー油、コンプレッサー油、冷凍潤滑剤、及びそれらの混合物から成る群から選択される潤滑油である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記潤滑油が、100℃で約1.5〜約2000センチストークス(cSt)の粘度を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
さらに、抗酸化剤、耐摩耗剤、清浄剤、さび止め剤、消曇剤、乳化破壊剤、金属不活性化剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、共溶媒、パッケージ相溶剤、防錆剤、無灰分散剤、染料、極圧剤、及びそれらの混合物から成る群から選択される、少なくとも1種の潤滑油添加剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも2種のN−シクロアルキル置換フェニレンジアミン化合物を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項12】
さらに、約1〜約75重量%の前記N−シクロアルキル置換フェニレンジアミン化合物を含む添加剤パッケージを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
酸化、熱、又は光誘導による劣化を受ける有機材料を安定化する方法であって、
安定化量の、
【化18】


の構造の少なくとも1種のN−シクロアルキル置換フェニレンジアミン添加剤を前記有機材料へ添加する工程を含み、
式中、
Xが、
【化19】


であり、
Yが、
【化20】


であり、
が、
【化21】


及び、
【化22】


から成る群から選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
、R、R、及びRが、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリル、メチアリル、イソブテニル、アルケニル、フルフリル、ベンジル、アルカリール、並びにフェニルから成る群から独立して選択され、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10は、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmは、上で定義した通りであり、
mが1〜8の整数であり、
式中、XとYが互いにパラである場合、R、R及びRは、
(A)Rが、
【化23】


及び
【化24】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
は、
【化25】


の構造の、独立して選択されたシクロアルキル環であり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
が、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から選択され、その全てが窒素、酸素又はイオウ原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCHCH(CH)−でもない、
相互関係A、
(B)Rが、
【化26】


及び、
【化27】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各Qが、C(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル基、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもなく、R及びRが共に水素ではない、
相互関係B、
(C)Rが、
【化28】


及び、
【化29】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各Qが、C(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもない、
相互関係C、
(D)R、R及びRが、炭素原子3〜約36個のアルキル、炭素原子3〜約36個のアルケニル、アリール、アルカリール、及びシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが、炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分れアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zは−CHCH−又はCH−CH(CH)−ではなく、
(1)R、R及びRの少なくとも2個が、炭素原子3〜約36個のアルキル、炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、この場合、前記アルキル又はアルケニルが、フェニレンジアミン窒素に結合した炭素で枝分かれし、
(2)Rが2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルである場合、Rが水素であることができる、
相互関係D、
から成る群から選択される、相互関係にあり、そして、
式中、X及びYが互いにオルト又はメタである場合、R、R及びRは、
(E)Rが、
【化30】


及び、
【化31】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11がH、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素、酸素、又はイオウ原子、水素、炭素原子3〜約36個のアルケニル、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもなく、R及びR両方が水素ではない、
相互関係E、
(F)R、R及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素、酸素、又はイオウ原子、水素、アリール、アルカリール、炭素原子3〜約36個のアルケニル、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもない、
相互関係F、
から成る群から選択される、相互関係にあり、
並びに、前記フェニレンジアミンが遊離塩基又は油溶性塩の形態である、
方法。
【請求項14】
【化32】


の構造を含む化合物であって、
式中、
Xが、
【化33】


であり、
Yが、
【化34】


であり、
が、
【化35】


及び、
【化36】


から成る群から選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
、R、R、及びRが、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリル、メチアリル、イソブテニル、アルケニル、フルフリル、ベンジル、アルカリール、並びにフェニルから成る群から独立して選択され、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10は、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmは、上で定義した通りであり、
mが1〜8の整数であり、
式中、XとYが互いにパラである場合、R、R及びRは、
(A)Rが、
【化37】


及び
【化38】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
は、
【化39】


の構造の、独立して選択されたシクロアルキル環であり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
が、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から選択され、その全てが窒素、酸素又はイオウ原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCHCH(CH)−でもない、
相互関係A、
(B)Rが、
【化40】


及び、
【化41】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各Qが、C(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル基、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもなく、R及びRが共に水素ではない、
相互関係B、
(C)Rが、
【化42】


及び、
【化43】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各Qが、C(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11が、H、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが、上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、シクロアルキル、並びに炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもない、
相互関係C、
(D)R、R及びRが、炭素原子3〜約36個のアルキル、炭素原子3〜約36個のアルケニル、アリール、アルカリール、及びシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素原子、水素、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが、炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が、直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、R及びRが2−ヒドロキシエチルではなく、Zは−CHCH−又はCH−CH(CH)−ではなく、
(1)R、R及びRの少なくとも2個が、炭素原子3〜約36個のアルキル、炭素原子3〜約36個のアルケニルから成る群から独立して選択され、この場合、前記アルキル又はアルケニルが、フェニレンジアミン窒素に結合した炭素で枝分かれし、
(2)Rが2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルである場合、Rが水素であることができる、
相互関係D、
から成る群から選択される、相互関係にあり、そして、
式中、X及びYが互いにオルト又はメタである場合、R、R及びRは、
(E)Rが、
【化44】


及び、
【化45】


から成る群から独立して選択されるシクロアルキル環であり、
式中、
各QがC(R)(R10)であり、式中、各R及びR10が、水素、炭素原子1〜20個の直鎖及び枝分かれアルキル基、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、
式中、R11がH、炭素原子1〜20個の直鎖若しくは枝分かれアルキル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はOであり、
式中、Q及びmが上で定義した通りであり、
及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、アリール、アルカリール、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素、酸素、又はイオウ原子、水素、炭素原子3〜約36個のアルケニル、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもなく、R及びR両方が水素ではない、
相互関係E、
(F)R、R及びRが、炭素原子1〜約36個の直鎖及び枝分かれアルキル、並びにシクロアルキルから成る群から独立して選択され、その全てが窒素、酸素、又はイオウ原子、水素、アリール、アルカリール、炭素原子3〜約36個のアルケニル、及びZCO11を含有してもよく、式中、Zが炭素1〜約36個のアルキレン又はアルケニル基であり、R11が直鎖及び枝分かれアルキル、シクロアルキル、アリール、並びにアルカリールから成る群から選択され、その全てがO、N又はSを含有してもよく、ただし、Zが−CHCH−でもCH−CH(CH)−でもない、
相互関係F、
から成る群から選択される、相互関係にあり、
並びに、前記フェニレンジアミンが遊離塩基又は油溶性塩の形態である、
化合物。
【請求項15】
N−(1−メチルデシル)−N’−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−p−フェニレンジアミン、
N−シクロヘキシル−N−フェニル−O−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−m−トルエンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミン、
N−シクロヘキシル−N−(2−エチルヘキシル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、
N−シクロヘキシル−N,N’−ジ(sec−ブチル)−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロオクチル−N−エチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−イソブチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−ブチル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−ブチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−イソブチル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−イソブチル−m−フェニレンジアミン
N,N’−ジシクロヘキシル−N−へプチル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N−へプチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、
N,N−ジシクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジフルフリル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジベンジル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N’−フェニル−N−へプチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジエチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジブチル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジブチル−p−フェニレンジアミン
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジイソブチル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジイソブチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジヘプチル−m−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−N,N’−ジヘプチル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロオクチル−N,N’−ジエチル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’−トリシクロペンチル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’−トリシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−ヘプチル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−プロピル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−ブチル−p−フェニレンジアミン、
N−(2−エチルヘキシル)−N,N’,N’−トリシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’−トリシクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、
N,N,N’,N’−テトラシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ビス(2−デカリニル)−p−フェニレンジアミン、
N,N’−ジシクロヘキシル−4,6−ジイソブチル−1,3−フェニレンジアミン、及び、
N,N’−ジシクロヘキシル−4−イソブテニル−6−イソブチル−1,3−フェニレンジアミン、
から成る群から選択される化合物。

【公表番号】特表2011−506452(P2011−506452A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538042(P2010−538042)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/085199
【国際公開番号】WO2009/076090
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(508201282)ケムチュア コーポレイション (69)
【出願人】(510164360)インフィニウム インタナショナル リミテッド (2)
【Fターム(参考)】