説明

澱粉生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッド

【課題】回転ダイヘッドにより製造される薄膜製品の高い品質と製品率、大量生産を目的とする。
【解決手段】
澱粉ベース生分解性材料のための薄膜ブロー機械の回転ダイヘッドは、同軸状に取り付けられるダイ芯部分と外躯部分、を備え、ダイ芯部分は中心軸(15)に嵌め込まれる螺旋状ダイ芯(22)、中心軸(15)の上端に固定される回転ダイ芯(20)を備え、モータ(2)が中心軸(15)を駆動することで回転ダイ芯(20)を螺旋状ダイ芯(22)に対して回転させ、外躯部分は内側ダイケーシング(21)と、外側ダイケーシング(19)と、口型ダイケーシング(23)とを含み、内側ダイケーシング(21)と外側ダイケーシング(19)の間に外側循環冷却水路を形成し、内側ダイケーシング(21)、口型ダイケーシング(23)、螺旋状ダイ芯(22)、回転ダイ芯(20)は、人字形フィードインスロット、螺旋状搬送スロット、環状隙間緩衝領域等を備えた材料流れ及びモールディングチャネルを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜ブロー機械に関し、特に、澱粉ベースの生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー薄膜モールディングのプロセスは、次の通りである。すなわち、螺旋押出機の前端からプラスチック材料がダイヘッドに押され、流動性プラスチック材料がダイを介して管胚(siphonula)に転じる。そして、ダイ底部からの圧縮空気により、この管胚は均一に自由に膨張し、より直径の大きな管状薄膜になる。一方、管状薄膜は上方に引き上げられる際に長手方向に引張され、冷却される。その後、この管状薄膜は人字形板により平坦化され、引きローラによって引き出され、最終的にロールアップされる。ブロー薄膜技術がより成熟し完成度が高くなるに従って、ブロー薄膜モールディングされた各種のプラスチック薄膜が、工業、農業、日常生活等の分野に適用されてきた。プラスチック薄膜は高分子材料の製品である。プラスチック薄膜製品は、人々に大きな使用便益を与え、労働力を低減し、労働効率を高めた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、多量の廃棄薄膜が分解困難な白色汚染(プラスチック製品などによる汚染)を招いている。これにいかに適切に対処できるかが大きな問題である。
【0004】
上述の問題を解決するため、科学研究者は常に化学プラスチックを、高い澱粉成分を持つ自然の生分解性材料で置き換えようと努めてきた。現在、各種の部分的または全体的に生分解可能な澱粉薄膜が開発されている。例えば、中国特許CN1293137Cに開示された完全生分解性薄膜がある。その高い澱粉成分を持つ生分解性薄膜は、周囲の湿度により急速に溶融し、土壌中の微生物によって分解し、肥料に転換さえすることができる。これにより、廃棄プラスチック薄膜による汚染問題を大幅に軽減することができる。また、環境問題についての人々の関心が高まっている今日、市場での可能性も広がっている。しかしながら、澱粉ベースの生分解性材料固有の特性によって、大量生産できないといった新たな問題が生じている。
【0005】
これには次の理由がある。第1に、通常の高濃度のポリエチレンや低濃度のポリエチレンと対比すると、澱粉ベース生分解性材料は、高い粘性を持ち、流動性が乏しいので、混合可塑化プロセスにおける材料の不均一な現象が生じ易いばかりでなく、また、ダイヘッド中の圧力が急激に増加しやすいので、従来のダイヘッドでは、澱粉ベース生分解性材料を正確にモールドすることが困難である。第2に、澱粉ベース生分解性材料は、より大きなせん断力を持ち、混合可塑化プロセスにおける摩擦熱がおおいに増大する。このような条件下では、従来のプラスチックブロー薄膜用ダイヘッドはプロセス温度を正確に制御できなかった。第3に、澱粉ベース生分解性材料はプロセス温度に敏感である。プロセスでの過剰な自己昇温は、材料を燃焼させ、その特性を変化させる。このため、材料のプロセス温度は厳密に制御すべきであるが、従来のダイヘッドではそれを達成することは不可能であった。
【0006】
以上からわかるように、澱粉ベース生分解性材料のブロー薄膜原理は、本質的には、通常のプラスチックと同様ではあるが、従来の薄膜ブロー機械のダイヘッドではこのような高い粘性、低い流動性、プロセス温度に対する感度を持つ新材料により生じる問題を解決することはできない。かりに、澱粉ベース生分解性薄膜を従来のブロー薄膜製品ラインにより製造すると、生産量が低下するばかりでなく、良好な製品の率が低くなり、工業製品の大量生産の要求には応えることができない。
【0007】
本発明の目的は、従来の薄膜ブロー機械を使用した生分解性新材料のブローモールディングの欠点を克服し、高品質な製品の率を高め、大量生産へ適用できる、澱粉ベース生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するため、本発明の澱粉ベース生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッドは、材料環状隙間流れチャネルを形成するため、同心状に配置された、ダイ芯部分と、外躯部分とから構成されたものである。
このダイ芯部分は、支持ベアリングを介して中心軸にスリーブ構造で嵌め込まれた螺旋状ダイ芯と、ロックナットにより中心軸の上端に固定された回転ダイ芯と、を備えたものである。螺旋状ダイ芯の上端の内側円錐形表面と、回転ダイ芯の底部端の外側円錐形表面とが密接に嵌合する。
【0009】
外躯部分は、螺旋状ダイ芯に嵌め込まれる内側ダイケーシングと、この内側ダイケーシングとすべりばめされた外側ダイケーシングと、回転ダイ芯を囲む口型ダイケーシングと、を備えたものである。内側ダイケーシングの上端は、固定部材によって、口型ダイケーシングの下端に固定されている。外側循環冷却水路は内側ダイケーシングの外側壁と、外側ダイケーシングの内側壁の間に形成されている。
【0010】
内側ダイケーシングと口型ダイケーシングの内側壁と、螺旋状ダイ芯と回転ダイ芯の外側壁は、材料流れ及びモールディングチャネルを形成し、これは、底部から頂部にかけて、順に、人字形フィードインスロット、螺旋状搬送スロット、環状隙間緩衝領域、テーパ円錐状通路、環状緩和空洞、最終モールディング隙間をそなえている。
【0011】
ダイ芯部分と外躯部分は、接続板に固定されたダイベースに取り付けられている。中心軸の下端は接続板を貫通し、大歯車と接続する。この接続板はさらにその上にモータを有し、モータの出力端が小歯車と接続する。この小歯車と大歯車は互いに歯合し、中心軸と、中心軸の上端にある回転ダイ芯を螺旋状ダイ芯に対して回転させる。
【0012】
さらに、中心軸は、その軸心に深い盲穴を備え、その中に内部循環冷却管が備えられ、その端部には、内部循環冷却管と接続する回転ジョイントが配置され、水冷却により、ダイ芯部分の温度を効率的に制御している。
【0013】
さらに、口型ダイケーシングは壁の中に螺旋状循環冷却水路を備え、外側循環冷却水路とともに協働して、外躯部分の温度制御効果を実現している。
【発明の効果】
【0014】
従来の薄膜ブロー機械のダイヘッドと対比すると、本発明は次の効果を備えている。
【0015】
第1に、材料流れ及びモールディングチャネルは、人字形フィードインスロット、螺旋状搬送スロット、環状隙間緩衝領域、テーパ円錐状通路、環状緩和空洞、及び最終モールディング隙間から構成され、それらは円滑に接続して、1つのチャネルを構成する。この6つの部分は、共同機能のみならず、それぞれの機能を備えている。人字形フィードインスロットは効率的に材料を分割し、流量と流速が確保される条件の下で、材料を均等に輸送することができる。螺旋状搬送スロットは材料構造の内部応力を変えることができる。これにより、材料温度を均等にできるのみならず、流れの中でさらに材料の可塑化をすることができる。環状隙間緩衝領域は可塑化材料中の圧力を一時的に解放するので、材料は自由で均一な状態を達成できる。テーパ円錐状通路は材料の流速を増大させ、材料内の圧力を再確立する。環状緩和空洞は、再度、可塑化材料内の圧力を解放し、流れの中での変化を解消させ、さらに状態を自由で均一なものとする。最終モールディング隙間は再度、薄膜ブローのための圧力を確立する。2度の圧力解放と、圧力確立を含むプロセスを通して、材料はより均一な温度、圧力、流速を持つようになり、これにより、薄膜ブローモールディングのための良好な状態を生成できる。
【0016】
第2に、設計された材料流れ及びモールディングチャネルの人字形フィードインスロット、螺旋状搬送スロット、環状隙間緩衝領域、及び、テーパ円錐形通路は静的なものであり、これを通して、材料が安定して輸送され、混合され、可塑化されることができる。環状緩和空洞と最終モールディング隙間は動的に回転する。ダイ芯部分はモータと減速ギアにより、2RPMの速度でゆっくりと回転する。環状緩和空洞と最終モールディング隙間の中の材料は、回転ダイ芯によって駆動され軸方向と接線方向に移動する。これにより、澱粉ベース生分解性材料の流動性の乏しさと高い粘性による不均一性を解消し、材料の内部応力と速度の偏りを低減し、材料をより均一に分配し、薄膜ブローのための良好な基盤を確立することができる。
【0017】
第3に、設計された外側循環冷却水路が材料流れ及びモールディングチャネルを取り囲んでいるので、冷却水の流速と流量とを調整して、内側ダイケーシングと外側ダイケーシングで発生した熱を吸収することによって、混合と可塑化の途中で発生した材料の摩擦熱を制御し、それぞれの通路における材料の温度変化を好適に調整し、ブロー薄膜に必要な範囲に保持することができる。中心軸の中の盲穴中の内部循環冷却管は、材料流れ及びモールディングチャネルの内側からダイ芯部分を冷却でき、外側循環冷却水路と協働して、さらに、材料の温度制御の正確性を改善できる。口型ダイケーシングの壁の中の螺旋状循環冷却水路は、最終モールディング隙間の中の材料温度を正確に制御できるので、材料がその特性にあった温度条件でブローモールディングされることを確保し、製品の大量生産に安定して適用できる。
【0018】
以上説明した通り、本発明の薄膜ブロー機械用回転ダイヘッドは、静的部分と動的部分とを結合した材料流れ及びモールディングチャネルと、独特の内側及び外側循環水冷却システムを備えているので、材料の混合、圧力解放、圧力増大、温度制御を材料の特性と一致させることができ、澱粉ベース生分解性材料が、粘性が高く、流動性が低く、プロセス温度に敏感であることから生じる問題を、効率的に解決できる。薄膜ブロー速度が速く、製品品質が安定し、良好な製品率が高い。全生産プロセスを自動制御または手動制御でき、量産工業化生産の要求を満足させることができる。さらに、本発明の薄膜ブロー機械の回転ダイヘッドは、従来の薄膜ブロー機械に取り付けでき、従来の生産ラインを大きく調整することなく澱粉ベース生分解性薄膜を製造できる。澱粉ベース生分解性薄膜は低コストであり、プラスチック薄膜から置き換えることで、白色汚染をなくすことができる。したがって、良好な経済利益と社会利益を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態の薄膜ブロー機械用回転ダイヘッドの主断面図である。
【図2】図1に示す薄膜ブロー機械用回転ダイヘッドの左断面図である。
【図3】図1に示す薄膜ブロー機械用回転ダイヘッドの平面図である。
【図4】図1に示す外側循環冷却水路の展開図である。
【図5】図1に示す人字形フィードインスロットの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の薄膜ブロー機械用回転ダイヘッドの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図に示す澱粉ベース生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッドは、ダイ芯部分と外躯部分とを備え、それらは材料環状隙間流れチャネルを形成するため、同心状に配置される。この2つの部分の構成は以下の通りである。
【0022】
このダイ芯部分は、ダイ全体のキーとなる構成であり、支持ベアリング28で、中心軸15にスリーブ構造で嵌め込まれる螺旋状ダイ芯22、ロックナット16で中心軸15の上端に固定される回転ダイ芯20とを備えている。螺旋状ダイ芯22の上端は凹形の内側円錐形表面を呈し、回転ダイ芯20の底端は凸形の外側円錐形表面を呈し、これが技術によって、相互に、密接に嵌合する。中心軸15上のロックナット16は螺旋状ダイ芯22と回転ダイ芯20との嵌合の度合を確保する。特に注目すべきなのは、回転ダイ芯20が中心軸15に沿って回転し、一方、螺旋状ダイ芯22は回転しないことである。
【0023】
中心軸15は軸心に深い盲穴を備え、その中に、内側循環冷却管13が備えられ、その端部に、内側循環冷却管13と接続する回転ジョイント14が配置され、ダイヘッドの内側循環水冷却システムを構成する。冷却水は、回転ジョイント14から内側循環冷却管13に流れ込み、中心軸15の盲穴の上端において流れ出し、中心軸15の盲穴の内側壁に沿って流下し、最終的に、回転ジョイント14の水出口から流れ出し、完全な水冷却循環プロセスを構成する。
【0024】
外躯部分は主に内側ダイケーシング21、外側ダイケーシング19、及び口型ダイケーシング23により形成されている。内側ダイケーシング21は螺旋状ダイ芯22の外側壁に密着し、スリーブ構造で嵌め込まれる。それらは、移動可能に結合されている。外側ダイケーシング19は内側ダイケーシング21の外側壁に密着し、スリーブ構造で嵌め込まれ、螺旋状ダイ芯22とすべりばめされている。口型ダイケーシング23は内側ダイケーシング21、外側ダイケーシング19の上に配置され、回転ダイ芯20を囲んでいる。内側ダイケーシング21の上端は環状プラットフォームとして形成され、口型ダイケーシング23の下端は、逆環状プラットフォームとして形成されている。両者は、垂直ボルト35により、相互に結合されており、横ボルト36で位置が微調整される。
【0025】
外側循環冷却水路12は内側ダイケーシング21の外側壁と、外側ダイケーシング19の内側壁の間に形成される。外側循環冷却水路12は、内側ダイケーシング21の外側壁の中に形成される、2つの螺旋状水スロット32,33と、315°環状水スロット34とを備えている。螺旋状水スロット32の下端は、水入口27に接続されている。そして、螺旋状水スロット33の下端が水出口40と接続されている。2つの螺旋状水スロット32,33の上端は、それぞれ、315°環状水スロット34の2つの端部と接続されている。これらは、外側循環水冷却システムを構成する。内側ダイケーシング21と外側ダイケーシング19の技術的嵌合の度合により、全ダイケーシングの気密性を確保する。
【0026】
螺旋状循環冷却水路37が口型ダイケーシング23の壁の中に形成される。滑らかで規格に適合する螺旋状循環冷却水路37を構成させるため、口型ダイケーシング23は4つのブロックに分割して加工した後、一体に溶接してもよい。螺旋状循環冷却水路37の2つの端部が、口型ダイケーシングの水入口25と口型ダイケーシングの水出口26をそれぞれ介して、外側循環冷却水源と接続される。螺旋状循環冷却水路37が、外側循環冷却水路12の補助として、効率的に温度を制御することにより、ダイヘッドを冷却できる。
【0027】
内側ダイケーシング21及び口型ダイケーシング23の内側壁と、螺旋状ダイ芯22及び回転ダイ芯20の外側壁との間には、材料流れ及びモールディングチャネルがあり、これは、底部から頂部ヘかけて、順番に、人字形フィードインスロット10、螺旋状搬送スロット11、環状隙間緩衝領域29、テーパ円錐状通路30、環状緩和空洞8、最終モールディング隙間31を備えている。人字形フィードインスロット10は、螺旋状ダイ芯22の外側壁に形成される、半円形スロット38と、2つの逆人字形副スロット39から形成される。半円形スロット38の2つの端部は、それぞれ、2つの逆人字形副スロット39の2つの頂端部と接続されている。螺旋状搬送スロット11は4本あり、その下端部が、それぞれ、2つの逆人字形副スロット39の底端と接続され、また、その上端が環状隙間緩衝領域29と接続されている。環状隙間緩衝領域29、及び環状隙間緩衝領域29の上のテーパ円錐状通路30、環状緩和空洞8、最終モールディング隙間31は、材料の、圧力増加、圧力減少、押し出し、薄膜ブローモールディングを含むプロセスを完成させるために使用される。
【0028】
ダイ芯部分と外躯部分はダイヘッドベース17上に取り付けられる。内側ダイケーシング21は固定ボルトでダイヘッドベース17に固定できる。ダイヘッドベース17は固定ボルトで接続板3に固定できる。さらに、接続板3はその上にモータ2が固定されている。モータ2の出力端は小歯車4と接続され、中心軸15の下部は接続板3を通過し、大歯車5と接続する。駆動歯車として作動する小歯車4と、受動歯車として作動する大歯車5は、相互に歯合して、中心軸15とその上端にある回転ダイ芯20とを駆動し、螺旋状ダイ芯22に対して、回転させる。
【0029】
ダイヘッドベース17は水平空気取入部18を備え、螺旋状ダイ芯22は垂直中間空気通路7を備え、回転ダイ芯20には水平環状空気通路9と垂直空気排出口24が形成されている。空気取入部18、中間空気通路7、環状空気通路9、空気排出口24は、順に接続されている。圧縮空気を供給し、ダイヘッドの最終薄膜ブロープロセスを完成させるためである。
【0030】
さらに螺旋状ダイ芯22はその中に形成されるセンサ固定孔6を有し、それは、底部から回転ダイ芯20の下部の外側円錐形表面に拡がっている。ダイヘッド温度のフィードバックと監視を行うことができる温度センサが固定されることで、温度センサが内側及び外側循環水冷却システム及びダイヘッドの加熱システムと協働でき、材料のプロセス温度を設定範囲に維持できる。
【0031】
本発明の薄膜ブロー機械用回転ダイヘッドは、使用状態においては、螺旋押出機に取り付けられ、螺旋押出機の螺旋スリーブ出力端1が外側ダイケーシング19を貫通し、内側ダイケーシング21にねじで接続し、人字形フィードインスロット10と接続する。
【0032】
作動プロセスは次の通りである。
第1に、螺旋押出機で澱粉ベース生分解性材料を予め可塑化し、螺旋スリーブ出力端1から人字形フィードインスロット10に押し出す。まず材料は半円形スロット38を通過し、そして、半円形スロット38の2つの端部から2つの逆人字形副スロット39の頂端に流入し、順に、逆人字形副スロット39の底部の2つの端部に流入する。こうして、材料が1つから2つの部分に分割され、方向の異なる2つの流路を経て4つに分割される。材料の速度と圧力は、押し出し力と速度によって変更される。そして材料は、流量及び流速が確保されるという条件下で、均等に螺旋状搬送スロット11に輸送される。螺旋状搬送スロット11の基本機能は、材料構造の内部応力を変化させることであり、また、一方では、材料の温度を更に均等にし、また一方では流れの過程の中で更に材料を可塑化して、最終的な薄膜ブローモールディングのために準備を行うことである。
【0033】
第2に、螺旋状搬送スロット11からの材料は、自由で均一な状態を得るよう、圧力を解放するため、まず、環状隙間緩衝領域29に流入する。その後、材料はテーパ円錐状通路30に流入し、次に、環状緩和空洞8に流入する。同時に、モータ2が中心軸15を駆動し、したがって、小歯車4と大歯車5を介して、中心軸15の上端の回転ダイ芯20が回転する。回転速度は2RPMである。
【0034】
押出圧力と回転ダイ芯20の力の下で、材料は圧力の再確立と圧力の解消を完了する。このように繰り返すことにより、材料の温度と圧力と流速がより均一になり、薄膜ブローのための最良の状態をもたらすことができる。澱粉ベース生分解性材料の流動性が低く、粘度が高いという特性のため、材料の不均一が生じる。回転ダイ芯20はダイヘッド中の材料の不均一を低減、解消するために使用される。回転ダイ芯20を使用することにより、薄膜ブローの過程で、材料は良好な状態を保つことができ、したがって、製品の品質と良品率を高めることができる。最終モールディング隙間31を経て材料が押し出される場合、材料は均一に分配される。なぜならば、回転ダイ芯20の回転が効率的に材料の内部応力と速度の偏りを解消させ、薄膜ブローの良好な基盤を与えるからである。
【0035】
第3に、材料が材料流れ及びモールディングチャネルを流れるとき、中心軸15の盲孔の中に配置されている内側循環冷却管13、外側ダイケーシング19と内側ダイケーシング21の間に配置されている外側循環冷却水路12、及び、口型ダイケーシング23の壁の中に配置されている螺旋状循環冷却水路37が、ダイヘッドと材料の水冷却による温度の制御のため、すべて使用される。これほど多くの水冷却循環システムを設計する理由は次の通りである。澱粉ベース生分解性材料は粘性が高く流動性が低いので、材料が螺旋押出機からダイヘッドに押し出された後、内部摩擦とせん断による熱が大きいからである。流動モールディングプロセスでの自己昇温が非常に早く、プロセス温度に敏感である。そのため、材料の特性が容易に変わり得る。循環冷却水流速及び流量を調整するため、センサ固定孔6の中に位置する温度センサでダイの監視と温度のフィードバックを行うといった協働態様を利用して、合理的な範囲に、温度を制御することが必要とされる。
【0036】
第4に、最終モールディング隙間31から押し出される材料は、薄膜ブローに最適な加工状態になっている。これと同時に空気排気口24からは圧縮空気が吹き出される。圧縮空気の作用により、より厚く、より高い温度で押し出された筒状の薄膜は、迅速に膨張し、所要の直径の筒状薄膜となる。この筒状薄膜は、更に、回転ダイヘッドに組み合わされた外部空気ベーンの風冷作用により冷却されて薄膜製品となる。薄膜製品は、切断工程、平坦化工程、ロールアップ工程、等を含むプロセスを行うことにより、ロール状薄膜製品とすることができる。
【符号の説明】
【0037】
1…螺旋スリーブ出力端
2…モータ
3…接続板
4…小歯車
5…大歯車
6…センサ固定孔
7…垂直中間空気通路
8…環状緩和空洞
9…水平環状空気通路
10…人字形フィードインスロット
11…螺旋状搬送スロット
12…外側循環冷却水路
13…内側循環冷却管
14…回転ジョイント
15…中心軸
16…ロックナット
17…ダイヘッドベース
18…水平空気取入部
19…外側ダイケーシング
20…回転ダイ芯
21…内側ダイケーシング
22…螺旋状ダイ芯
23…口型ダイケーシング
24…垂直空気排出口
25…水入口
26…水出口
27…水入口
28…支持ベアリング
32,33…螺旋状水スロット
34…315°環状水スロット
35…垂直ボルト
37…螺旋状循環冷却水路
40…水出口
29…環状隙間緩衝領域
30…テーパ円錐状通路
31…最終モールディング隙間
38…半円形スロット
39…逆人字形副スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸状に配置されているダイ芯部分と、外躯部分とを備え、
前記ダイ芯部分は、
中心軸(15)に支持ベアリング(28)を介して外嵌される螺旋状ダイ芯(22)と、
ロックナット(16)により前記中心軸(15)の上端に固定される回転ダイ芯(20)と、を備え、
前記螺旋状ダイ芯(22)の上端の内側円錐形表面が前記回転ダイ芯(20)の底部端の外側円錐形表面と密接に嵌合し、
前記外躯部分は、
前記螺旋状ダイ芯(22)に外嵌する内側ダイケーシング(21)と、
前記内側ダイケーシング(21)にすべりばめされる外側ダイケーシング(19)と、
前記回転ダイ芯(20)を取り囲む口型ダイケーシング(23)と、を備え、
前記内側ダイケーシング(21)の上端面が固定具により前記口型ダイケーシング(23)の下端面に固定され、前記内側ダイケーシング(21)の外側壁と外側ダイケーシング(19)の内側壁との間に外側循環冷却水路(12)を形成し、
前記内側ダイケーシング(21)及び口型ダイケーシング(23)の内側壁と、螺旋状ダイ芯(22)及び回転ダイ芯(20)の外側壁が、材料流れ及びモールディングチャネルを形成し、該材料流れ及びモールディングチャンネルは、人字形フィードインスロット(10)、螺旋状搬送スロット(11)、環状隙間緩衝領域(29)、テーパ円錐状通路(30)、環状緩和空洞(8)、及び最終モールディング隙間(31)を底部から頂部にかけて備え、
前記ダイ芯部分及び外躯部分がいずれも接続板(3)上に固定されたダイベース(17)に取り付けられ、
前記中心軸(15)の下部が接続板(3)を貫通して、大歯車(5)と接続し、
前記接続板(3)の上に、小歯車(4)と接続する出力端を有するモータ(2)を更に備え、
前記小歯車(4)と前記大歯車(5)が相互に歯合することによって、中心軸(15)と、その上端にある前記回転ダイ芯(20)を駆動し、前記螺旋状ダイ芯(22)に対して回転させることを特徴とする澱粉ベース生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッド。
【請求項2】
前記中心軸(15)がその軸心に形成される深い盲穴を備え、その中に、内部循環冷却管(13)が設けられ、その端部において、前記内部循環冷却管(13)と接続する回転ジョイント(14)が配置されている請求項1の澱粉ベース生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッド。
【請求項3】
前記外側循環冷却水路(12)が、
前記内側ダイケーシング(21)の外側壁に形成される2つの螺旋状水スロット(32,33)と、1つの315°環状水スロット(34)と、を備え、
前記螺旋状水スロット(32)の下端が水入口(27)と接続し、前記螺旋状水スロット(33)の下端が水出口(40)と接続し、前記2つの螺旋状水スロット(32,33)の上端が、それぞれ、前記315°環状水スロット(34)の2つの端部と接続する請求項1又は2の澱粉ベース生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッド。
【請求項4】
前記口型ダイケーシング(23)がその壁の中に形成される螺旋状循環冷却水路(37)を備える請求項1又は2の澱粉ベース生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッド。
【請求項5】
前記口型ダイケーシング(23)がその壁の中に形成される螺旋状循環冷却水路(37)を備える請求項3の澱粉ベース生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッド。
【請求項6】
前記人字形フィードインスロット(10)が、
前記螺旋状ダイ芯(22)の外側壁の中に形成される半円形スロット(38)と、2つの逆人字形副スロット(39)と、を備え、
前記半円形スロット(38)の2つの端部が、それぞれ、2つの逆人字形副スロット(39)の頂端と接続し、
前記螺旋状搬送スロットは4つあり、
前記2つの逆人字形副スロット(39)の底部端が該4つの螺旋状搬送スロット(11)の下端と、それぞれ、接続する請求項1又は2の澱粉ベース生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッド。
【請求項7】
前記人字形フィードインスロット(10)が、
前記螺旋状ダイ芯(22)の外側壁の中に形成される半円形スロット(38)と、2つの逆人字形副スロット(39)と、を備え、
前記半円形スロット(38)の2つの端部が、それぞれ、2つの逆人字形副スロット(39)の頂端と接続し、
前記螺旋状搬送スロットは4つあり、
前記2つの逆人字形副スロット(39)の底部端が該4つの螺旋状搬送スロット(11)の下端と、それぞれ、接続する請求項3の澱粉ベース生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッド。
【請求項8】
前記人字形フィードインスロット(10)が、
前記螺旋状ダイ芯(22)の外側壁の中に形成される半円形スロット(38)と、2つの逆人字形副スロット(39)と、を備え、
前記半円形スロット(38)の2つの端部が、それぞれ、2つの逆人字形副スロット(39)の頂端と接続し、
前記螺旋状搬送スロットは4つあり、
前記2つの逆人字形副スロット(39)の底部端が該4つの螺旋状搬送スロット(11)の下端と、それぞれ、接続する請求項4の澱粉ベース生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッド。
【請求項9】
前記人字形フィードインスロット(10)が、
前記螺旋状ダイ芯(22)の外側壁の中に形成される半円形スロット(38)と、2つの逆人字形副スロット(39)と、を備え、
前記半円形スロット(38)の2つの端部が、それぞれ、2つの逆人字形副スロット(39)の頂端と接続し、
前記螺旋状搬送スロットは4つあり、
前記2つの逆人字形副スロット(39)の底部端が該4つの螺旋状搬送スロット(11)の下端と、それぞれ、接続する請求項5の澱粉ベース生分解性材料のための薄膜ブロー機械用回転ダイヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−520642(P2011−520642A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504303(P2011−504303)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/CN2009/072491
【国際公開番号】WO2009/155883
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(510217839)湖北誉笛▲環▼保科技▲実業▼有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】HUBEI YUDI ENVIRONMENTAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 2−3, No.236―1, Taibei Road, Jianghan District Wuhan, Hubei, 430015 China
【Fターム(参考)】