説明

濁水処理装置

【課題】濁水と凝集剤とを効率よく撹拌して、効果的に凝集粒子を形成して排水を清澄にする。
【解決手段】濁水処理装置は、凝集剤を含む濁水を撹拌する撹拌槽4と、濁水を吸入して撹拌槽4内に噴射する撹拌ポンプ14と、撹拌ポンプ14から噴射される濁水に無数の気泡を供給するエジェクター機構16と、撹拌ポンプ14から噴射される濁水の流れを両側に分流する整流材17とを備える。整流材17は、突出部17Aの両側に第1の傾斜面17aと第2の傾斜面17bとを設けており、撹拌槽4の内部を、第1の傾斜面17aに沿って流動させる第1の撹拌室4Aと、第2の傾斜面17bに沿って流動させる第2の撹拌室4Bとに区画している。撹拌槽4は、第1の撹拌室4Aに濁水を供給して、第2の撹拌室4Bから外部に排出するようにして、撹拌ポンプ14で濁水と凝集剤とを撹拌し、撹拌される濁水にエジェクター機構16でもって気泡を噴射している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設・製造・農林業・災害等で発生する濁水を処理して清澄な水として排水する濁水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の濁水処理装置は、濁水槽、凝集剤供給機、撹拌槽、中和装置(層)、沈澱槽、脱水設備等を備える。この濁水処理装置は、凝集剤を濁水水面に投入し、撹拌機にて凝集剤と濁水を強撹拌し、濁水の懸濁粒子を凝集させて沈殿槽で、上澄処理水と凝集粒子に分離させている。又、濁水の中和は、炭酸ガスをラインミキサー等を介して送水配管に混入して、反応装置で行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この濁水処理装置は、撹拌装置として、撹拌翼付きの撹拌機を用いる。この撹拌機は、発生させる対流を一定方向のみとするので、凝集剤を使用した場合は、濁水と凝集剤の親和作用が悪く、十分な撹拌効果が得られない。
【0004】
本発明は、この欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、濁水と凝集剤とを効率よく撹拌して、効果的に凝集粒子を形成して排水を清澄にできる濁水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の濁水処理装置は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
濁水処理装置は、凝集剤を含む濁水を撹拌する撹拌槽4と、この撹拌槽4に供給された濁水を吸入して撹拌槽4の内に噴射する撹拌ポンプ14と、この撹拌ポンプ14の吐出側に連結されて、空気を吸入して撹拌ポンプ14から噴射される濁水に無数の気泡を供給するエジェクター機構16と、撹拌槽4の内部にあって撹拌ポンプ14から噴射される濁水の流れを制御する整流材17とを備える。整流材17は、撹拌ポンプ14から噴射される濁水を両側に分流するように、撹拌ポンプ14の噴射口40に向かって突出する突出部17Aを有する。整流材17は、突出部17Aの両側に第1の傾斜面17aと第2の傾斜面17bとを設けて、撹拌ポンプ14の噴射口40から噴射される濁水を、第1の傾斜面17aに沿って流動させる第1の撹拌室4Aと、第2の傾斜面17bに沿って流動させる第2の撹拌室4Bとに撹拌槽4の内部を区画している。撹拌槽4は、第1の撹拌室4Aに濁水を供給して、第2の撹拌室4Bから外部に排出するようにして、撹拌ポンプ14で濁水と凝集剤とを撹拌し、さらに、撹拌される濁水にエジェクター機構16でもって気泡を噴射している。
【0006】
本発明の請求項2の濁水処理装置は、撹拌槽4が底面を閉塞している四角形の箱形で、撹拌ポンプ14の噴射口40と整流材17の突出部17Aとを四角形の対角線上に配置している。
【0007】
本発明の請求項3の濁水処理装置は、撹拌槽4に濁水を供給する濁水供給ポンプ9を備え、この濁水供給ポンプ9は排出側に連結する配管を撹拌槽4に連結している。さらに、濁水処理装置は、この配管の途中に、凝集剤を供給する凝集剤供給機3を連結しており、凝集剤供給機3が配管の途中に凝集剤を供給して、凝集剤の供給された濁水を撹拌槽4に供給している。
【0008】
本発明の請求項4の濁水処理装置は、エジェクター機構16に中和設備7を連結している。
【0009】
本発明の請求項5の濁水処理装置は、撹拌槽4に沈澱槽5を連結して、撹拌槽4の第2の撹拌室4Bから排出される濁水を沈澱槽5に供給している。沈澱槽5は、液面の近傍に浮上水をオーバーフローさせて流入させる越流装置19を設けている。この越流装置19は、凝集粒子捕集材39を備えている。濁水処理装置は、沈澱槽5で処理された処理水を越流装置19から外部に排出している。
【0010】
本発明の請求項6の濁水処理装置は、越流装置19が、複数のチャンネル41を所定の間隔で格子状に配設している。このチャンネル41は、溝の開口部を上向きとする姿勢で、水平に配置している。
【0011】
本発明の請求項7の濁水処理装置は、沈澱槽5に堆積した凝集粒子を、撹拌槽4に返送する凝集粒子返送ポンプ22を備え、この凝集粒子返送ポンプ22が凝集粒子返送配管29を介して、凝集粒子を撹拌槽4に返送する。
【0012】
本発明の請求項8の濁水処理装置は、沈澱槽5にフィルター槽6を連結しており、沈澱槽5で処理された処理水をフィルター槽6に供給し、フィルター槽6で処理水を濾過して排出している。
【発明の効果】
【0013】
本発明の濁水処理装置は、濁水と凝集剤とを効率よく撹拌して、効果的に凝集粒子を形成して排水を清澄にできる特長がある。それは、本発明の濁水処理装置が、凝集剤を含む濁水を撹拌する撹拌槽内に、濁水を吸入して噴射する撹拌ポンプと、この撹拌ポンプから噴射される濁水に無数の気泡を供給するエジェクター機構と、撹拌ポンプから噴射される濁水の流れを両側に分流する整流材とを備えており、この整流材によって、撹拌槽の内部を第1の撹拌室と第2の撹拌室とに区画すると共に、撹拌槽は第1の撹拌室に濁水を供給して、第2の撹拌室から外部に排出するようにしており、撹拌ポンプで濁水と凝集剤とを撹拌し、さらに撹拌される濁水にエジェクター機構で気泡を噴射しているからである。この構造の濁水処理装置は、エジェクター機構による気泡と、撹拌ポンプと撹拌槽による対流とによって、濁水と凝集剤とを効率よく撹拌して、効果的に凝集粒子を形成して排水を清澄にできる。
【0014】
本発明の請求項2の濁水処理装置は、撹拌ポンプの噴射口と整流材の突出部とを四角形の撹拌槽の対角線上に配置しているので、撹拌槽の内部を、理想的に対流の異なる第1の撹拌室と第2の撹拌室とに区画できる。
【0015】
本発明の請求項3の濁水処理装置は、撹拌槽に濁水を供給する濁水供給ポンプの排出側に連結する配管を撹拌槽に連結すると共に、この配管の途中に、凝集剤を供給する凝集剤供給機を連結している。この装置は、凝集剤供給機から凝集剤の供給された濁水を配管から撹拌槽に供給するので、エジェクター機能によって凝集剤と濁水とを十分に撹拌しながら撹拌槽に供給できる特長がある。
【0016】
本発明の請求項4の濁水処理装置は、エジェクター機構に中和設備を連結しているので、濁水と凝集剤とを効率よく撹拌しながら、中和効果も向上できる特長がある。
【0017】
本発明の請求項5の濁水処理装置は、撹拌槽から排出される濁水を沈澱槽に供給しており、この沈澱槽には、液面の近傍に浮上水をオーバーフローさせて流入させる越流装置を設けている。さらに、越流装置には凝集粒子捕集材を設けているので、越流水と一緒に越流しようとする微細な凝集粒子を、迷路効果により吸着して除去できる特長がある。
【0018】
本発明の請求項8の濁水処理装置は、沈澱槽にフィルター槽を連結しており、沈澱槽で処理された処理水をフィルター槽で濾過して排出しているので、凝集剤の除去効果を高めて、放流水の濁度を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための濁水処理装置を例示するものであって、本発明は濁水処理装置を以下のものに特定しない。
【0020】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0021】
図1は、本発明の濁水処理装置の実施形態を示したものである。図1の濁水処理装置1は、濁水26を濁水槽2に貯留し、濁水対流ポンプ8で対流させる。ただ、本発明の装置は、濁水を直接に濁水移送配管に送ることもできる。図の装置は、濁水槽2内に貯留される濁水を、濁水供給ポンプ9で濁水移送配管27を介して、撹拌槽4に移送する。さらに、図の濁水処理装置1は、無機系凝集剤を、濁水移送配管27の濁水移送途中に供給する。無機系凝集剤を濁水の移送途中に供給するために、濁水移送配管27の途中に凝集剤投入口28を開口して、ここに可変速の凝集剤供給機3を連結している。この凝集剤供給機3は、エジェクタ効果を持たせて無機系凝集剤を凝集剤投入口28に投入して、撹拌槽4の処理濁水38の水中に無機系凝集剤を添加して吐出する。
【0022】
従来の装置は、粉体の無機系凝集剤を濁水水面に投入する。この状態で投入される無機系凝集剤は、濁水の表面張力により、濁水と混合されるのに時間を要する欠点ある。これに対して、図1に示す装置は、直接濁水移送配管27の途中に凝集剤供給機を連結して、移送される濁水の途中に無機系凝集剤を投入する。この構造によると、無機系凝集剤が濁水と一緒に撹拌槽4内の処理濁水38中に吐出されて、濁水に効率よく混合される。
【0023】
可変速の凝集剤供給機3は、減速機付インバーターモーター10にてポンプの回転速度を可変して、無機系凝集剤の供給量を連続的に変化させる。この凝集剤供給機は、濁水の濃度に最適の無機系凝集剤を供給する。図1の濁水処理装置1は、濁水に無機系凝集剤を供給して、これを濁水に効率よく混合して均一に拡散できる。ただ、本発明の濁水処理装置は、濁水に投入する凝集剤を無機系凝集剤には特定しない。凝集剤には、有機凝集剤も使用でき、また、凝集剤の形態も、固体、液体、気体等の如何なる性状のものも使用できる。
【0024】
図1の濁水処理装置は、撹拌槽4内に供給された凝集剤を含む処理濁水38を、エジェクター機構16と撹拌ポンプ14で撹拌する。エジェクター機構16は、撹拌ポンプ14の吐出側に連結されて、空気を吸入して撹拌ポンプ14から噴射される処理濁水38に無数の気泡を供給する。エジェクター機構16は、撹拌ポンプ14の吐出側の流路を細く絞って流速を速くする部分に、空気を吸入する空気吸入配管30を連結したものである。空気吸入配管30は、図1に示すように、上端を処理濁水38の液面よりも上方に延長している。
【0025】
吐出側にエジェクター機構16を連結している撹拌ポンプ14は、水平方向の吐出旋回水流と、エジェクター機構16が空気吸引配管30より吸引した、空気の気泡による上下方向の旋回水流及びバブル効果により強い乱流が発生して、効率よく強撹拌される。強撹拌により、濁水と凝集剤は十分に反応し、大きな凝集粒子が形成される。
【0026】
図の撹拌槽4は、整流材17を配置している。整流材17を設けた撹拌槽4の平面図を図2に示す。この図に示す整流材17は、撹拌ポンプ14から噴射される濁水を両側に分流するように、撹拌ポンプ14の噴射口40に向かって突出する突出部17Aを有し、この突出部17Aの両側には、第1の傾斜面17aと第2の傾斜面17bとを設けている。この撹拌槽4は、撹拌ポンプ14の噴射口40から噴射される濁水を、第1の傾斜面17aに沿って流動させる第1の撹拌室4Aと、第2の傾斜面17bに沿って流動させる第2の撹拌室4Bとに分流して撹拌させる。さらに、図1と図2の撹拌槽4は、第1の撹拌室4Aに濁水を供給して、第2の撹拌室4Bから処理濁水を外部に排出する。
【0027】
図2の整流材17は、突出部17Aの頂上縁を上下方向に延長する形状としている。いいかえると、水平断面形状を同一形状としている。さらに、第1の傾斜面17aと第2の傾斜面17bは、撹拌ポンプ14から噴射される処理濁水をスムーズに分流するように、先端に向かって次第に急勾配となる形状に湾曲させている。
【0028】
以上の整流材17を備える撹拌槽4が、処理濁水を流動させる状態を図2の矢印で示す。この図において、撹拌ポンプ14により吐出された水流は、矢印で示すように、第1の撹拌室4Aと第2の撹拌室4Bにおいて反対方向に旋回される。第1の撹拌室4Aの処理濁水は、第1の傾斜面17aにより右旋回流33となる。第2の撹拌室4Bの処理濁水は、第2の傾斜面17bにより左旋回流34となる。第1の撹拌室4Aに濁水が供給され、第2の撹拌室4Bから処理濁水を排水するので、撹拌槽4に供給される濁水は、第1の撹拌室4Aで右旋回しながら撹拌され、その一部が撹拌ポンプ14に吸入されて、第1の撹拌室4Aと第2の撹拌室4Bに分流され、第1の撹拌室4Aに分流された処理濁水は、再び撹拌ポンプ14に吸入して撹拌され、第2の撹拌室4Bに分流された処理濁水の一部を排水する。この状態で濁水を撹拌して排出する撹拌槽4は、撹拌槽4内における処理濁水の滞留時間を十分に長くし、さらに、強撹拌により濁水と無機系凝集剤を十分に反応させて、大きな凝集粒子を形成する。
【0029】
図1の撹拌ポンプ14は、ガイドパイプ15に沿って上下に移動させて、さらに、所定の位置に停止できるようにしている。この撹拌ポンプ14は、運転中でも濁水の濁度等に合わせて、上下方向に高さを変えて最適の位置にセットすることができる。
【0030】
図2の撹拌槽4は、底面を閉塞している四角形の箱形として、撹拌ポンプ14の噴射口40と整流材17の突出部17Aとを四角形の対角線上に配置している。この撹拌槽4は、図において、右上半分を第1の撹拌室4Aとし、左下半分を第2の撹拌室4Bとして、処理濁水を効率よく撹拌できる。ただ、本発明の濁水処理装置は、撹拌槽の形状を四角形に特定せず、平面形状を多角形、円形、楕円等のいずれかの箱形とすることもできる。
【0031】
図1の濁水処理装置1は、エジェクター機構16の空気吸入配管30に、中和設備7を連結している。中和設備7は、炭酸ガス等の中和剤を、空気吸入配管30に直接に吸引させて、前述の撹拌効果により、撹拌槽4の中で効率よく中和剤と処理濁水38を反応させることかできる。
【0032】
図1の中和設備7は、炭酸ガスをエジェクター機構16に供給する。この中和設備7は、炭酸ガスボンベ13と、これに連結しているヒーター付減圧弁12と及び電磁弁11を備える。この中和設備7は、炭酸ガスボンベ13内の炭酸ガスを、ヒーター付減圧弁12により減圧し、電磁弁11を操作して炭酸ガス配管35を通して、直接にエジェクター機構16の空気吸引配管30に吸引させる。この機構を設けることにより、従来の装置に必要とされた、中和剤混合装置及び反応槽等が不要となり、コンパクトな濁水処置装置にできる。中和設備7は、炭酸ガスに限らず、他の薬品、薬液、ガス等をエジェクター機構16に供給することができる。
【0033】
図1の撹拌槽4内は、エジェクター機構16でもって、撹拌中の処理濁水38の中に、空気の気泡を噴射する。処理濁水38に噴射される空気の気泡は、処理濁水38中の溶存酸素濃度を上昇させて、処理濁水38中に含まれる鉄等の酸化性重金属イオンの酸化を促し、沈殿または凝集粒子に付着させて、効率よく除去することができる。
【0034】
図1の濁水処理装置1は、撹拌槽4に沈澱槽5を連結している。この濁水処理装置1は、撹拌槽4の第2の撹拌室4Bから排出される濁水を沈澱槽5に供給する。沈澱槽5は、液面の近傍に浮上水をオーバーフローさせて流入させる越流装置19を設けており、沈澱槽5で処理された処理水を越流装置19から外部に排出するようにしている。
【0035】
沈澱槽5は、内部に垂直姿勢に設けた沈澱槽整流材36により、処理濁水38を下向きの水流とする。さらに、沈澱槽5は、沈澱整流材36の下方に設けた再浮上防止板18に凝集粒子を通過させて、沈澱槽5の底部に堆積させる。処理濁水38の水流は、再浮上防止板18により下降を妨げられ上昇流となる。この再浮上防止板18は、板材を一定の傾斜する姿勢として、等間隔に並べたものである。この再浮上防止板18は、沈澱槽5に堆積した凝集粒子が、処理濁水38の水流により再浮上するのを防止して、処理濁水38を、凝集粒子と上澄処理水とに、効率よく分離する。
【0036】
図1の沈澱槽5は、上澄処理水を越流装置19を設けた槽に流入させる。越流装置19は、沈澱槽5のケースには固定されず、レベル調整ねじ21と可撓管20により支持されている。この越流装置19は、沈澱槽5の据付けレベルと独立して、レベル調整ねじ21を調節してレベル調整できる。また、濁水処理装置1の運転を止めることなく、越流装置19のレベル調整を簡単にできる。
【0037】
図1と図3及び図4に示す越流装置19は、複数のチャンネル41を所定の間隔で格子状に配設している。チャンネル41は、溝の開口部を上向きとする姿勢で、水平に配置している。複数のチャンネル41を平行に並べている格子状の越流装置19は、越流延長を長くできるため、沈澱槽5に流入する処理濁水38の量が同一であれば、越流水深を浅くして、上澄処理水37の越流装置19への流入速度を遅くできる。このため、微細な凝集粒子の巻き込みを少なくして、放流水32の濁度を低くできる。ただ、本発明の濁水処理装置は、越流装置の形状を、図3の形状に限ることなく、越流長を延長できる全ての構造とすることができる。
【0038】
さらに、図4の越流装置19は、チャンネル41の間に、クシ状、ブラシ、人工芝状等とする樹脂製の凝集粒子捕集材39を配設している。この越流装置19は、越流装置19のチャンネル41に流入しようとする上澄処理水37に含まれる微細な凝集粒子を、凝集粒子捕集材39の迷路効果でもって、チャンネル41に流入させる途中で、凝集粒子捕集材39に吸着できる。このため、装置から排出される放流水の濁度を低くできる。
【0039】
ところで、濁水の濁度が小さい場合、凝集剤で大きな凝集粒子を形成できなくなって、放流水内に微細な凝集粒子が混入し、放流水の濁りの原因となり、十分に除去しようとすれば、装置の大型化など濁水処理装置のコストが増大する等の問題がある。
【0040】
図1の濁水処理装置1は、この欠点を解消するために、濁水26の濁度が低い場合は、沈澱槽5に堆積した凝集粒子を、凝集粒子返送ポンプ22により、凝集粒子返送配管29を通して、撹拌槽4に返送している。濁水26の濁度が低い場合、小さな凝集粒子しか形成しないが、この濁水処理装置1は、移送された凝集粒子を撹拌槽4内で一緒に撹拌して、小さな凝集粒子を捕集し、凝集効果を改善できる特徴がある。
【0041】
さらに、図1の濁水処理装置1は、沈澱槽5にフィルター槽6を連結している。この濁水処理装置1は、沈澱槽5で処理されて、越流装置19で回収された処理濁水を上澄処理水移送管31を介してフィルター槽6に供給し、フィルター槽6で処理水を濾過して放流水32として外部に排出している。フィルター槽6は、垂直姿勢にフィルター25を設けて、沈澱槽5から供給される処理濁水を透過させる。図のフィルター槽6は、濾過粒子径の異なる2種類のフィルター25を配設している。フィルター25は、ナイロンやポリエステル等のプラスチック繊維を立体的に集合している不織布、あるいはプラスチックを連続気泡を有するように発泡させてなるプラスチック発泡体等である。フィルター25は、沈澱槽5から流入される上澄処理水37に含まれる微細な凝集粒子を濾過して除去する。このため、この濁水処理装置1は、放流水32の濁度を低くできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例にかかる濁水処理装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す濁水処理装置の撹拌槽を示す平面図である。
【図3】図1に示す濁水処理装置の沈殿槽の越流装置を示す平面図である。
【図4】越流装置の他の一例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…濁水処理装置
2…濁水槽
3…凝集剤供給機
4…撹拌槽 4A…第1の撹拌室
4B…第2の撹拌室
5…沈澱槽
6…フィルター槽
7…中和設備
8…濁水対流ポンプ
9…濁水供給ポンプ
10…減速機付インバーターモーター
11…電磁弁
12…ヒーター付減圧弁
13…炭酸ガスボンベ
14…撹拌ポンプ
15…ガイドパイプ
16…エジェクター機構
17…整流材 17A…突出部
17a…第1の傾斜面
17b…第2の傾斜面
18…再浮上防止板
19…越流装置
20…可撓管
21…レベル調整ねじ
22…凝集粒子返送ポンプ
25…フィルター
26…濁水
27…濁水移送配管
28…凝集剤投入口
29…凝集粒子返送配管
30…空気吸入配管
31…上澄処理水移送管
32…放流水
33…右旋回流
34…左旋回流
35…炭酸ガス配管
36…沈澱槽整流材
37…上澄処理水
38…処理濁水
39…凝集粒子捕集材
40…噴射口
41…チャンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集剤を含む濁水を撹拌する撹拌槽(4)と、この撹拌槽(4)に供給された濁水を吸入して撹拌槽(4)の内に噴射する撹拌ポンプ(14)と、この撹拌ポンプ(14)の吐出側に連結されて、空気を吸入して撹拌ポンプ(14)から噴射される濁水に無数の気泡を供給するエジェクター機構(16)と、撹拌槽(4)の内部にあって撹拌ポンプ(14)から噴射される濁水の流れを制御する整流材(17)とを備え、
整流材(17)は、撹拌ポンプ(14)から噴射される濁水を両側に分流するように、撹拌ポンプ(14)の噴射口(40)に向かって突出する突出部(17A)を有し、この突出部(17A)の両側に第1の傾斜面(17a)と第2の傾斜面(17b)とを設けて、撹拌ポンプ(14)の噴射口(40)から噴射される濁水を、第1の傾斜面(17a)に沿って流動させる第1の撹拌室(4A)と、第2の傾斜面(17b)に沿って流動させる第2の撹拌室(4B)とに撹拌槽(4)の内部を区画しており、
撹拌槽(4)は、第1の撹拌室(4A)に濁水を供給して、第2の撹拌室(4B)から外部に排出するようにして、撹拌ポンプ(14)で濁水と凝集剤とを撹拌し、さらに、撹拌される濁水にエジェクター機構(16)でもって気泡を噴射するようにしてなる濁水処理装置。
【請求項2】
撹拌槽(4)が底面を閉塞している四角形の箱形で、撹拌ポンプ(14)の噴射口(40)と整流材(17)の突出部(17A)とを四角形の対角線上に配置している請求項1に記載される濁水処理装置。
【請求項3】
撹拌槽(4)に濁水を供給する濁水供給ポンプ(9)を備え、この濁水供給ポンプ(9)は排出側に連結する配管を撹拌槽(4)に連結しており、さらに、この配管の途中に、凝集剤を供給する凝集剤供給機(3)を連結しており、凝集剤供給機(3)が配管の途中に凝集剤を供給して、凝集剤の供給された濁水を撹拌槽(4)に供給するようにしてなる請求項1に記載される濁水処理装置。
【請求項4】
エジェクター機構(16)に中和設備(7)を連結している請求項1に記載される濁水処理装置。
【請求項5】
撹拌槽(4)に沈澱槽(5)を連結して、撹拌槽(4)の第2の撹拌室(4B)から排出される濁水を沈澱槽(5)に供給しており、沈澱槽(5)は、液面の近傍に浮上水をオーバーフローさせて流入させる越流装置(19)を設けており、この越流装置(19)が凝集粒子捕集材(39)を備え、沈澱槽(5)で処理された処理水を越流装置(19)から外部に排出するようにしてなる請求項1に記載される濁水処理装置。
【請求項6】
越流装置(19)が、複数のチャンネル(41)を所定の間隔で格子状に配設しており、このチャンネル(41)は、溝の開口部を上向きとする姿勢で、水平に配置している請求項5に記載される濁水処理装置。
【請求項7】
沈澱槽(5)に堆積した凝集粒子を、撹拌槽(4)に返送する凝集粒子返送ポンプ(22)を備え、この凝集粒子返送ポンプ(22)が凝集粒子返送配管(29)を介して、凝集粒子を撹拌槽(4)に返送する請求項1に記載される濁水処理装置。
【請求項8】
沈澱槽(5)にフィルター槽(6)を連結しており、沈澱槽(5)で処理された処理水をフィルター槽(6)に供給し、フィルター槽(6)で処理水を濾過して排出するようにしてなる請求項1に記載される濁水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−69104(P2007−69104A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257761(P2005−257761)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(305040639)株式会社小川製作所 (1)
【Fターム(参考)】