説明

濃度差エネルギーを使用する塩水の脱塩方法、装置及びプラント

濃度差エネルギーを用いて塩水を脱塩する方法及び装置が開示される。生産物室中に収容されている塩水を脱塩するために、駆動セルは駆動電圧を発生させるために使われる。充分な電圧が生産物室に印加されるとき、陰イオン及び陽イオンが生産室から移動し、これにより前記水を脱塩するように、生産物室は脱塩電圧を印加される。駆動電圧を含む脱塩電圧以上に充分に大きな電圧が生産物室に印加され、その結果、脱塩が生じる。濃度差エネルギーは、有益に、濃縮液を使って発生することができ、それは、例えば太陽エネルギーを使って生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塩水を脱塩する方法、装置及びプラントに関する。より詳細には、本発明は、イオン交換膜によって分離される異なる溶質濃度の2つの溶液間に存在しているエネルギー差を利用することによって塩水を脱塩する方法、装置及びプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
地球上の人口の1/4以上が淡水を充分に手に入れることはできない。淡水を充分に入手できないと、病気や栄養不良、農業開発の制限が引き起こされ、経済成長が抑制されることがあるので、有害である。
【0003】
しかしながら、淡水と対比すると、塩水は容易に入手可能である。海水という形の塩水は地球上の水の約97%を占める。しかし、海水が充分に脱塩されない限り、それは飲めないだけでなく農業に不適当である。「脱塩」は、塩水から陰イオン及び陽イオンを取り除くプロセスを指す。海水は、一般的に約3.5%の塩質量濃度であり、すなわち水1リットル当たり約35グラムの溶解塩を有する。対照的に、飲料水は一般的に高くとも約0.04%の塩濃度である。
【0004】
現在、いくつかの脱塩方法が従来技術として知られている。現在、最も普及している方法の1つは、逆浸透法(「RO」)である。ROは、渦巻き状に巻かれた半透過性の膜を機械的な高圧の強制力で塩水を通過させることを含む。前記膜は塩水から塩を濾過する。ROを使って濾過される塩水は、大規模な前処理を必要とし、それはROのエネルギー必要量を増大させる。塩水の温度が約30℃以上であると、ROはまた性能問題に不利を招き、例えば塩水源が暖かな海洋又は発電所出口からの水であると、それは事実であり得る。
【0005】
さらなる脱塩方法は、多重効用蒸留(「MED」)又は多段フラッシュ(「MSF」)である。MED及びMSFは、一連の複数のステージの上で繰り返し塩水を蒸発させ、濃縮することにより、塩水を脱塩する。MED及びMSF法のためのエネルギー源は、通常、低圧蒸気である。MED及びMSF法の主たる欠点は、これらの処理が消費する大量の熱エネルギーであり、ROで使われる電気エネルギーより典型的には1桁高い。
【0006】
脱塩の他の方法は、電気透析(「ED」)である。EDは、溶解した塩のイオンが外部から印加された電位の影響下でイオン交換膜を通して供給ストリームから濃縮ストリームに移される分離プロセスを通して、脱塩を達成する。このイオン移送は、一般に、イオン交換膜の交互配置を使って組み立てられるEDスタックを使って、前記膜間への供給及び濃縮の両ストリームの流れを伴って実行される。EDについての1つの問題は、それが海水の脱塩のためにROより多くのエネルギーを消費し、そのようなエネルギー源が完全に外部から印加された電位という形であることである。エネルギー消費に関連した問題に加えて、直流電源、あるいは交流電源から直流を発生させる整流器という形の電気ハードウェアが必要とされる。EDについての第2の問題は、外部から印加された電位の結果として、電圧の勾配が、意図されているようなイオン交換膜を通してだけでなくEDスタックに用いられるマニホルド(manifolding)を通しても、塩イオンの移動を引き起こすことがしばしばである。これは、循環するイオンの流れに損失を生じ、EDの効率を低下させる。
【0007】
その結果、従来技術を改善する塩水脱塩方法及び装置の要望が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、塩水を脱塩するための装置が提供される。前記装置は、駆動電圧を生成するための複数の駆動セルであってそれぞれが第1のイオン濃度の希釈液を収容するための希釈液室と、前記第1のイオン濃度より高い第2のイオン濃度の濃縮液を収容するための濃縮室と、前記希釈液室及び濃縮室との間で共有された境界を形成し該両室とイオン連通する、陽イオン又は陰イオンのうちの一方の交換膜と、各駆動セル及びその隣接する駆動セルとの間で共有された境界を形成し該両駆動セルとイオン連通する、陽イオン又は陰イオンのうちの他方の交換膜とを有する複数の駆動セルを含む。前記装置は、また、生産物室陰イオン交換膜、生産物室陽イオン交換膜、及び脱塩される塩水を収容する生産物室を含む。前記生産物室は、一側で前記生産物室陰イオン交換膜に接し、該生産物室陰イオン交換膜とイオン連通し、他側で前記生産物陽イオン交換膜に接し、該生産物陽イオン交換膜とイオン連通する。前記生産物室は、前記生産物陰イオン交換膜又は生産物陽イオン交換膜を経て前記複数の駆動セルとイオン連通する。前記装置は、また、希釈液を希釈液室へ及び該希釈液室から運び、濃縮液を前記濃縮液室へ及び該濃縮液室から運び、脱塩されるべき前記塩水を前記生産物室へ及び脱塩された塩水を前記生産物室からそれぞれ運ぶように構成された希釈液、濃縮液及び生産物のマニホルドを有するマニホルドアセンブリを含む。
【0009】
前記装置は、さらに、前記希釈液室、濃縮液室及び生産物室のそれぞれを取り囲む希釈液室ガスケット、濃縮液室ガスケット及び生産物室ガスケットを含む。前記希釈液室、濃縮液室及び生産物室の各ガスケットは、陽イオン及び陰イオンの両交換膜の分離を維持するためのスペーサをそれぞれに収容することができる。
【0010】
前記希釈液、濃縮液及び生産物のマニホルドは、希釈液供給導管及び希釈液出口導管と、濃縮液供給導管及び濃縮液出口導管と、生産物原料供給導管及び生産物出口導管とをそれぞれ含むことができ、それぞれの導管が前記希釈液、濃縮液及び生産物の各ガスケットを通って伸びる。前記希釈液のマニホルドは、前記希釈液供給導管を前記希釈液室に流体的に結合する前記希釈液室ガスケットの入口ノッチと、前記希釈液出口導管を前記希釈液室に流体的に結合する前記希釈液室ガスケットの出口ノッチとを有することができる。同様に、前記濃縮液マニホルドは、前記濃縮液供給導管を前記濃縮液室に流体的に結合する前記濃縮液室ガスケットの入口ノッチと、前記濃縮液出口導管を前記濃縮液室に流体的に結合する前記濃縮液室ガスケットの出口ノッチとを有することができ、また、前記生産物マニホルドは、前記生産物原料供給導管を前記生産物室に流体的に結合する前記生産物室ガスケットの入口ノッチと、前記生産物出口導管を前記生産物室に流体的に結合する前記生産物室ガスケットの出口ノッチとを有することができる。
【0011】
前記塩水脱塩装置は、陰イオン解放室及び陽イオン解放室を有することができ、該解放室は、それぞれ前記生産物室陰イオン交換膜及び前記生産物室陽イオン交換膜を通して前記生産物室をイオン連通する。
【0012】
前記装置は、また、電解質を収容するためのアノード及びカソードの電解質室と、アノード及びカソードのスタック端イオン交換膜であって該アノード及びカソードのスタック端の両イオン交換膜を通してそれぞれ前記アノード及びカソードの両電解質室は前記複数の駆動セル及び生産物室とイオン連通するアノード及びカソードのスタック端イオン交換膜と、アノード及びカソードとを含むことができる。前記アノード電解質室は、一側で前記アノードスタック端イオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通状態にあり、また他側で前記アノードに接し、該アノードと電気的に連通状態にあることができる。同様に、前記カソード電解質室は、一側で前記カソードスタック端イオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通し、また他側で前記カソードに接し、該カソードと導電状態にあることができる。
【0013】
前記複数の駆動セル、生産物室、陰イオン解放室及び陽イオン解放室は、リング形状に配列することができる。これに代えて、前記複数の駆動セル、生産物室、陰イオン解放室及び陽イオン解放室は、螺旋形状に巻くことができる。
【0014】
さらに、前記アノード及びカソード間に電気的に結合された電圧源又は電気的負荷の一方又は双方を設けることができる。
【0015】
前記アノード及びカソードは、それぞれ被覆膜を有する基板を備えることができる。前記基板は、チタン、ニオブ、タンタル、イリジウム、パラジウム、スチール、ステンレススチール、ニッケル及びグラファイトから成るグループから選ばれた素材で構成することができ、前記被覆膜は、プラチナ、ルテニウム、イリジウムと、プラチナ、ルテニウム及びイリジウムを含む合金とから成るグループから選ばれた素材で構成することができる。
【0016】
前記装置は、また、前記アノード電解質室を前記カソード電解質室に流体的に結合する電解質室流体導管と、前記アノード及びカソードの電解質室の一方で形成された電気化学の反応の副産物を前記電解質室の他方で反応物として使うことができるように、前記アノード及びカソードの電解質室の一方からその他方へ電解質を汲み上げるように構成された前記電解質室流体導管と流体的に連通するポンプとを含むことができる。
【0017】
前記アノード及びカソードは、該アノード及びカソードの一方で生産されるガスが該アノード及びカソードの他方に循環することができるように、互いにガス連通するガス拡散電極とすることができる。
【0018】
前記脱塩装置は、また電解質を収容するための第1及び第2の電解質室と、第1及び第2のイオン交換膜であって前記第1及び第2の電解質室は、前記第1及び第2のイオン交換膜を通してそれぞれ前記複数の駆動セル及び前記生産物室とイオン連通する第1及び第2のイオン交換膜と、多孔性の第1及び第2の端板とを含むことができる。前記第1の電解質室は、一側で前記多孔性の第1の端板に接し該端板とイオン連通し、他側で前記第1のイオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通することができる。同様に、前記第2の電解質室は、一側で前記多孔性の第2の端板に接し該端板とイオン連通することができる。前記装置は、該装置が導電性のバスに沈められると、イオン電流が前記多孔性の第1及び第2の端板を通して前記第1及び第2の電解質室間を前記導電性バス内に流れるように、封止することができる。
【0019】
前記装置は、また、電解質を収容するための第1及び第2の電解質室と、第1及び第2のイオン交換膜であって該第1及び第2のイオン交換膜を通してそれぞれ前記第1及び第2の電解質室は前記複数の駆動セル及び生産物室とイオン連通する第1及び第2のイオン交換膜と、第1及び第2の端板であって前記第1の電解質室は、一側で前記第1の端板に接し該端板とイオン連通し、他側で前記第1のイオン交換膜に接し、前記第2の電解質室は、一側で前記多孔性の第2の端板に接し該端板とイオン連通し、他側で前記第2のイオン交換膜に接する第1及び第2の端板と、前記第1の電解質室を前記第2の電解質室に流体的に結合する電解質室流体導管と、前記第1及び第2の電解質室の一方からその他方に電解質を汲み上げるように構成された電解質室流体導管と流体的に連通するポンプとを含むことができる。
【0020】
本発明のさらに他の態様によれば、順極性および逆極性で動作可能の塩水を脱塩する装置が提供される。前記装置は、第1のイオン濃度の希釈液、該第1のイオン濃度より高い第2のイオン濃度の濃縮液及び脱塩される塩水を受け入れるように構成されたスタックを含む。前記スタックは、複数の駆動セルであってそれぞれが、希釈液/濃縮液室と、濃縮液/希釈液室と、前記希釈液/濃縮液室及び前記濃縮液/希釈液室との間で共有された境界を形成し該両者とイオン連通する、陽イオン又は陰イオンのうちの一方の交換膜と、各駆動セル及びその隣接する駆動セルとの間で共有された境界を形成し該両駆動セルとイオン連通する、陽イオン又は陰イオンのうちの他方の交換膜とを含む複数の駆動セルと、生産物/希釈液室陰イオン交換膜及び生産物/希釈液室陽イオン交換膜と、生産物/希釈液室であって一側で前記生産物/希釈液室陰イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、また他側で前記生産物/希釈液室陽イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、前記生産物/希釈液室陰イオン又は陽イオン交換膜を経てイオン連通する生産物/希釈液室と、希釈液/生産物室陰イオン交換膜及び希釈液/生産物室陽イオン交換膜と、希釈液/生産物室であって一側で前記希釈液/生産物室陰イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、また他側で前記希釈液/生産物室陽イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、前記希釈液/生産物室陰イオン又は陽イオンの両交換膜を経て前記駆動セルとイオン連通する、希釈液/生産物室と、前記装置が順極性で運転されているとき、希釈液を前記希釈液/濃縮液及び希釈液/生産物室へ及び該希釈液/濃縮液及び希釈液/生産物室から、濃縮液を前記濃縮液/希釈液室へ及び該濃縮液/希釈液室から、また脱塩されるべき前記塩水を前記生産物/希釈液室へ及び脱塩された塩水を前記生産物/希釈液室からそれぞれ移すように構成され、また前記装置が逆極性で運転されているとき、希釈液を前記濃縮液/希釈液及び生産物/希釈液室へ及び該濃縮液/希釈液及び生産物/希釈液室から、濃縮液を前記希釈液/濃縮液へ及び該希釈液/濃縮液から、また脱塩されるべき前記塩水を前記希釈液/生産物室へ及び脱塩された塩水を前記希釈液/生産物室からそれぞれ移すように構成された希釈液/濃縮液、濃縮液/希釈液、生産物/希釈液、及び希釈液/生産物のマニホルドから成るマニホルドアセンブリとを備える。
【0021】
前記装置は、また、前記希釈液/濃縮液室、前記濃縮液/希釈液室、前記生産物/希釈液室及び前記希釈液/生産物室のそれぞれを取り囲む希釈液/濃縮液室ガスケット、濃縮液/希釈液室ガスケット、生産物/希釈液室ガスケットを含む。前記希釈液/濃縮液室、濃縮液/希釈液室、前記生産物/希釈液室の各ガスケットは、陽イオン及び陰イオンの両交換膜の分離を維持するためのスペーサをそれぞれに収容することができる。
【0022】
前記希釈液/濃縮液、濃縮液/希釈液、生産物/希釈液、及び希釈液/生産物のマニホルドは、それぞれ希釈液/濃縮液供給導管及び希釈液/濃縮液出口導管と、濃縮液/希釈液供給導管及び濃縮液/希釈液出口導管と、生産物/希釈液供給導管及び生産物/希釈液出口導管と、希釈液/生産物供給導管及び希釈液/生産物出口導管とを含むことができ、該各導管が、前記希釈液/濃縮液、濃縮液/希釈液、生産物/希釈液及び希釈液/生産物の前記各ガスケットを通って伸びる。前記希釈液/濃縮液のマニホルドは、前記希釈液/濃縮液供給導管を前記希釈液/濃縮液室に流体的に結合する前記希釈液室ガスケットの入口ノッチと、前記希釈液/濃縮液出口導管を前記希釈液/濃縮液室に流体的に結合する前記希釈液/濃縮液室ガスケットの出口ノッチとを備えることができる。同様に、前記濃縮液/希釈液のマニホルドは、前記濃縮液/希釈液供給導管を前記濃縮液/希釈液室に流体的に結合する前記濃縮液/希釈液室ガスケットの入口ノッチと、前記濃縮液/希釈液出口導管を前記濃縮液/希釈液室に流体的に結合する前記濃縮液/希釈液室ガスケットの出口ノッチとを備えることができ、前記生産物/希釈液マニホルドは、さらに、前記生産物/希釈液供給導管を前記生産物/希釈液室に流体的に結合する前記生産物室ガスケットの入口ノッチと、前記生産物/希釈液出口導管を前記生産物/希釈液室に流体的に結合する前記生産物/希釈液室ガスケットの出口ノッチとを備えることができ、前記希釈液/生産物マニホルドは、さらに、前記希釈液/生産物供給導管を前記希釈液/生産物室に流体的に結合する前記希釈液/生産物室ガスケットの入口ノッチと、前記希釈液/生産物出口導管を前記希釈液/生産物室に流体的に結合する前記希釈液/生産物室ガスケットの出口ノッチとを備えることができる。
【0023】
前記装置は、また電解質を収容するための第1及び第2の電解質室と、第1及び第2のスタック端イオン交換膜であって前記第1及び第2の電解質は、前記第1及び第2のイオン交換膜を通して前記希釈液/濃縮液、濃縮液/希釈液及び生産物/希釈液及び希釈液/生産物の各室とそれぞれイオン連通する、第1及び第2のスタック端イオン交換膜と、第1及び第2の電極とを含むことができる。第1の電解質室は、一側で前記第1のスタック端イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、他側で前記第1の電極に接し該電極と電気的に連通することができる。前記第2の電解質室は、一側で前記第2のスタック端イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、また他側で前記第2の電極と電気的に連通することができる。
【0024】
前記第1及び第2の電極は、それぞれ被覆膜を有する基板を備えることができる。前記基板は、チタン、ニオブ、タンタル、イリジウム、パラジウム、スチール、ステンレススチール、ニッケル及びグラファイトから成るグループから選ばれた素材で構成することができ、前記被覆膜は、プラチナ、ルテニウム、イリジウムと、プラチナ、ルテニウム及びイリジウムを含む合金とから成るグループから選ばれた素材から構成することができる。
【0025】
本発明のさらに他の態様によれば、塩水を脱塩するためのプラントが提供される。前記プラントは、前記したいずれかの塩水脱塩装置と、前記濃縮液を生成するために前記装置を出る前記希釈液から水を除去するように構成された第1の再凝縮器と、前記第1の凝縮器及び前記濃縮液室の両方とに流体的に連通する前記濃縮液を入れるための濃縮液貯蔵所とを含むことができる。
【0026】
前記プラントは、脱塩される前記塩水を入れるための、前記生産物室に流体的に連通する塩水貯蔵所と、前記希釈液を入れるための、前記駆動セルに流体的に連通する希釈液貯蔵所と、脱塩された塩水を蓄えるための、前記生産物室に流体的に連通する生産物貯蔵所とを含むことができる。
【0027】
さらに、前記プラントは、前記塩水が前記塩水貯蔵所に入るに先立って脱塩されるべき前記塩水を処理するための、前記塩水貯蔵所に流体的に結合された前処理センターを備えることができる。
【0028】
前記プラントは、前記濃縮液貯蔵所及び前記装置を流体的に連通し、前記装置を出る前記濃縮液から水を除去するように構成された第2の再凝縮器を含むことができる。
【0029】
前記前処理センターは、前記希釈液が前記希釈液貯蔵所に入るに先立って前記希釈液を処理するために前記希釈液貯蔵所に流体的に結合することができる。
【0030】
前記第1及び第2の再凝縮器の一方又は双方は、蒸発性の池、蒸発性の噴水池、自然通気蒸発塔及び強制通気蒸発塔から成るグループから選ぶことができる。さらに、前記プラントは、また熱源からの熱を前記第1及び第2の再凝縮器の一方又は双方に移送するために前記第1及び第2の再凝縮器の一方又は双方に流体的に結合された熱交換器を含むことができる。
【0031】
本発明のさらに他の態様によれば、塩水脱塩方法が提供される。前記方法は、駆動電圧を発生させるために複数の駆動セルを使用すること、脱塩されるべき塩水を収容し前記複数の駆動セルとイオン連通する生産物室を横切るに充分な電圧であって、前記生産物室は一側で生産物室陰イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、他側で生産物室陽イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、また脱塩電圧を有し、電圧が脱塩電圧を超えて前記生産物室に印加されたとき、陽イオン及び陰イオンが前記生産物室陽イオン及び陰イオン交換膜のそれぞれを通って前記塩水から移動し、前記駆動電圧を含む前記脱塩電圧以上の充分な電圧を印加することを含む。
【0032】
駆動電圧を発生させるために複数の駆動セルを使用することは、第1のイオン濃度の希釈液を前記複数の駆動セルの希釈液室を通って流すこと、前記第1のイオン濃度より高い第2のイオン濃度であって、陽イオン又は陰イオン交換膜の一方は、前記濃縮液から前記希釈液へイオンが流れるように前記希釈液及び濃縮液に共有された境界を形成し該両液とイオン連通する前記陽イオン又は陰イオン交換膜の他方は、隣接する一対の駆動セル間で共有された境界を形成し該両セルとイオン連通する、第2のイオン濃度の濃縮液を前記複数の駆動セルの濃縮液室を通って流すことを含むことができる。
【0033】
前記方法は、さらに、陰イオン及び陽イオンの解放室を通して脱塩される塩水のイオン濃度以上のイオン濃度を有する溶液を流すことを含むことができ、前記陰イオン及び陽イオンの各解放室は、生産物室陰イオン交換膜及び生産物室陽イオン交換膜を経て前記生産物室とイオン連通する。
【0034】
前記希釈液は、前記陰イオン及び陽イオンの各解放室を通して流れる溶液とすることができる。さらに、前記希釈液及び脱塩される塩水は、同じとすることができる。前記希釈液及び前記濃縮液の両方を塩水とすることができる。
【0035】
前記駆動電圧は、前記脱塩電圧以上とすることができる。そのような場合、脱塩は、如何なる外部電圧の適用もなしに行うことができる。
【0036】
さらに、アノード及びカソードの各電解質室を通して電解質を流すことを含みむことができ、前記アノード電解質室は、一側でアノードスタック端イオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通し、他側でアノードに接し該アノードと電気的に連通し、前記カソード電解質室は、一側でカソードスタック端イオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通し、他側でカソードに接し該カソードと電気的に連通し、前記アノード及びカソードの各電解質は前記アノード及びカソードのスタック端イオン交換膜を経てそれぞれ前記生産物室にイオン的に連通し、前記アノード及びカソードは、電子が前記アノードからカソードに流れるように、互いに電気的に連通する。
【0037】
前記希釈液及び前記濃縮液は、前記希釈液及び濃縮液の室をそれぞれ逆流方向に流すことができる。
【0038】
前記方法は、さらに、前記駆動セルと直列にイオン連通し、一側で初期ステージ生産物室陰イオン交換膜に接し該陰イオン交換膜とイオン連通し、他側で初期ステージ生産物室陽イオン交換膜に接し該陽イオン交換膜とイオン連通しする初期脱塩ステージであって、前記初期ステージ生産物室は、前記脱塩電圧を超えて前記初期ステージ生産物室に電圧が印加されたとき陽イオン及び陰イオンが前記初期ステージ生産物室陽イオン及び陰イオン交換膜をそれぞれ通って前記塩水から移動するような脱塩電圧を有する初期脱塩ステージを通って脱塩する塩水を流すこと、一側で引き続くステージの生産物室陽イオン交換膜に接し該陽イオン交換膜とイオン連通し、他側で引き続くステージ生産物室陽イオン交換膜に接し該陽イオン交換膜とイオン連通する引き続く脱塩ステージ生産物室を含む引き続く脱塩ステージであって前記引き続くステージの生産物室は、前記脱塩電圧を超えて前記引き続くステージ生産物室に電圧が印加されたとき陽イオン及び陰イオンが前記引き続くステージ生産物室陽イオン及び陰イオン交換膜をそれぞれ通って前記塩水から移動し、脱塩される前記塩水が前記初期ステージ及び引き続くステージ生産物室を通って流れるような脱塩電圧を有する引き続く脱塩ステージを通って脱塩される前記塩水を流すこと、及び前記初期及び引き続くステージ生産物室の脱塩電圧の合計以上の駆動電圧を含む充分な電圧を前記初期及び引き続くステージ生産物室を横切って印加することを含むことができる。
【0039】
前記初期及び引き続くステージの生産物室の一方又は両方が複数の生産物室を含むことができ、前記脱塩される塩水を前記初期及び引き続く脱塩ステージを通して流すことは、前記脱塩される塩水をいずれかのステージの前記複数の生産物室を通って平行に流すことを含むことができる。
【0040】
前記アノード及びカソード間に電気に結合された電圧源を使用して前記アノード及びカソードを横切って外部電圧を印加することができる。前記駆動電圧が前記脱塩電圧より大きいとき、前記アノード及びカソード間に電気的に結合された電気負荷に電力を供給することができる。
【0041】
前記電解質は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム又はカリウムの陽イオンを含み、前記アノード及びカソードのイオン交換膜は、いずれも陽イオン交換膜とすることができる。代わりに、前記電解質は、塩素、硫酸塩又は臭素の陰イオンを含み、前記アノード及びカソードのイオン交換膜は、いずれも陰イオン交換膜とすることができる。
【0042】
前記電解質は、NaSO、NaCl、NaOH、HCl、NaFe(CN)、Na、Na、NaFe(CN)、KFe(CN)、KFe(CN)、Na、NHCl、NH、NaCr、及びCrClから成るグループから選ぶことができる。
【0043】
前記方法は、さらに、前記アノード及びカソードの両電解質室の一方に形成される電気化学反応副産物が前記両電解質室の他方の反応物として使うことができるように、前記アノード及びカソードの両電解質室の前記一方からその前記他方へ電解質を汲み上げることを含むことができる。
【0044】
さらに、本方法は、第1及び第2の電解質室であって、前記第1の電解質室は、一側で第1のイオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、他側で多孔性の第1の端板に接し該端板とイオン連通し、前記第2の電解質室は、一側で第2の交換膜に接し該交換膜とイオン連通し、他側で多孔性の第2の端板に接し該端板とイオン連通し、前記第1及び第2のイオン交換膜を経て前記生産物室とイオン的に連通する前記第1及び第2の電解質室を通って濃縮液を流すこと、及びイオン電流が導電性バスと、多孔性の前記第1及び第2の端板との間で流れるように、多孔性の前記第1及び第2の端板を前記導電性バスに沈めることとを含むことができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明の1つの利点は、脱塩のために希釈液と濃縮液との間の濃度差で発生する駆動電圧に依存することによって、駆動電圧を発生させるために使われる濃縮された溶液を生成するために太陽エネルギー又は容易に入手できる低い温度エネルギー(発電所からの廃熱など)の他の形を使うことが可能となることである。このように、そうでなければ浪費されたであろうエネルギーは、濃縮液を生成するため及び脱塩のために使うことができ、従来技術の脱塩のための手段及び方法に比較してより低い電気的集中の脱塩が可能となる。これは、不毛な風土が豊富に入手可能な太陽エネルギーを有し、また、脱塩を必要としそうでもあるので、特に有益である。
【0046】
本発明のさらなる利点は、駆動セルが、駆動電圧を発生させるために使われるので、外部電源が必要とされていないことであり、それが、本発明の方法を行い、本発明の装置及びプラントを動作することに関する資本コストを下げることを可能とする。
【0047】
EDとは対照的に、本発明のさらなる利点は、電圧勾配が、EDスタックによると同じ範囲までは、増大されないことであり、その結果、EDスタックで起こるほどにイオン移動がスタックマニホールドを通して起こらない。これは、EDに比較して、本発明の循環イオン電流の損失を減らす。
【0048】
ROと対比すると、本発明の方法のさらなる利点は、約30℃より高い暖かな塩水を脱塩するときに、その性能が大幅に否定的な影響を受けず、水が汚染され得る半透過性膜を通るように強制されないので、それほど前処理を必要としないことである。
【0049】
本発明の装置の利点は、製造の容易さ、耐久力及び頑丈さをもつことである。
【0050】
本発明の装置のさらなる利点は、同等のROシステムより低圧で前記装置を運転することができることにより、塩水を脱塩する能力をもつことであり、それは、高価な許容されたスチール及びステンレススチールや他の高圧構成部品を組み込んでいるROシステムと比較して、本発明の装置を製造するために使われた構成部品のコストを下げる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】スタックが「順極性」で動作する第1の実施例に係る塩水を脱塩するための透析スタックの概略図であり、
【図2】透析スタックが「逆極性」で動作する第2の実施例に係る塩水を脱塩するための透析スタックの概略図であり、
【図3】透析スタックがガス拡散電極を使う電解質再循環を採用する第3の実施例に係る塩水を脱塩するための透析スタックの概略図であり、
【図4】透析スタックが導電性バスに沈められるように構成された第4の実施例に係る塩水を脱塩するための透析スタックの概略図であり、
【図5】塩水を脱塩するための複数のセルのリング形状の透析配置の概略図であり、
【図6】塩水を脱塩するためのセルの渦巻き形の透析配置の概略図であり、
【図7】(a)及び(c)は単極の透析スタックのそれぞれ断面図及び分解図であり、透析スタック内の種々の流体室のアセンブリ及びマニホルドが示されており、(b)は透析スタックに含まれる種々の流体室を取り囲むガスケットの正面図であり、
【図8】(a)〜(c)は順方向及び逆方向の両極性で動作可能の双極透析スタックのそれぞれ結線図、分解図及び斜視図であり、流体室のアセンブリ、マニホルド及びバルブが示されており、
【図9】(a)及び(b)は透析スタックが複数の脱塩ステージを有するさらなる実施例に係る塩水を脱塩するための透析スタックの概略図であり、
【図10】連続的に塩水を脱塩するのに使うことができるプラントの概略図であり、
【図11】塩水の個別のバッチを脱塩するのに使うことができるプラントの概略図であり、
【図12】蒸発性の噴水池の概略図であり、
【図13】自然通気蒸発塔の概略図であり、
【図14】強制通気蒸発塔の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
溶けている溶質の濃度のみが異なる2つのイオン溶液は、異なる化学エネルギー量を持つ。この化学エネルギーの差は、以下では「濃度差エネルギー」と称される。例えば、塩水及び淡水の等しい液量が、隣り合う室に置かれ、透水性の膜でのみ互いに分離されるとき、イオン透過性で無くとも、前記濃度差エネルギーは、淡水の容器からの水を塩水の容器へ流し、該容器内の圧力を高める原因となる。
【0053】
同様に、塩水及び淡水の等しい液量が、隣り合う室に置かれ、イオン透過性の膜のみにより互いに分離されるとき、透水性ではないが、前記濃度差エネルギーは2つの室の間の電圧差を結果として生じる。透水性ではないが、イオン透過性の膜は、以下で「イオン交換膜」と称される。イオン交換膜は、「陽イオン交換膜」及び「陰イオン交換膜」を含む。陽イオン及び陰イオンの交換膜は、陽イオン(正に帯電したイオン)及び陰イオン(負に帯電したイオン)のみがそれぞれ通過することを可能にする膜である。典型的な陽イオン交換膜は、Neosepta CMX,CM-1、Ralex CMH-PES、Fumasep FKE,FKD、及びSelemion CMVの各膜を含む。典型的な陰イオン交換膜は、Neosepta AM-1, AFN, AMX、Ralex AMH-PES、Fumasep FAD及びSelemion DVS, APSの各膜を含む。
【0054】
塩水を脱塩するためには、塩水中の陽イオン(第一Na+)及び陰イオン(第一Cl-)の少なくともいくつかを塩水から取り除く必要がある。これらのイオンを取り除くには、エネルギーが必要になる。
【0055】
ここに説明された実施例は、塩水から陽イオン及び陰イオンを除去する助成に濃度差エネルギーを利用し、これにより塩水を脱塩する。
【0056】
今、図1を参照するに、塩水を脱塩するための透析スタック101の概略図が描かれている。透析スタック101は、一連のそれぞれ交互の濃縮液及び希釈液の両室110及び112で構成されている。各希釈液室112を通る流れは、第1のイオン濃度(「希釈液」)の溶液であり、各濃縮液室110を通る流れは、第1のイオン濃度より大きい第2のイオン濃度(「濃縮液」)の溶液である。希釈液は、希釈液供給及び出口の各導管104及び132を経て希釈液室112にそれぞれ出入りすることができる。濃縮液は、濃縮液供給及び出口の各導管102及び130を経て濃縮液室110に出入りすることができる。隣り合う希釈液及び濃縮液の両室112、110は、互いに陽イオン及び陰イオンの交換膜120及び122の一方によってそれぞれ分離されている。脱塩される塩水(「生産物原料」)が流れる生産物室118が、図1の実施例に設置されている。生産物室118を通過し、少なくともいくつかの陰イオン及び陽イオンが取り除かれた生産物原料は、以下で「生産物」と称される。前記生産物原料は、生産物原料供給導管106を経て生産物室118に入ることができ、結果として生じる生産物は生産物出口導管134を経て生産物室118を出る。前記生産物原料及び前記希釈液は、両方とも、約3.5質量%の塩濃度を有する海水とすることができ、他方、前記濃縮液は約15−28質量%の塩濃度を有する超濃縮の海水とすることができる。代わりに、前記希釈液は約3.5質量%から約6質量%の塩濃度を有するわずかに濃縮された塩水とすることができる。前記濃縮液の塩濃度は、前記希釈液の塩濃度より高くなければならず、前記濃縮液で存在する如何なる塩の溶解限度とも同程度に高くあり得る。この超濃縮の海水を生み出すことができる方法は、図10〜14についてより詳細な記述で、以下に議論される。
【0057】
図1に示された実施例で、各一対の室140、142、144、146、148(各「駆動セル」)は、複数の希釈液室112の一つと、複数の濃縮液室110の一つとから成り、希釈液及び濃縮液の各室112、110は、複数の陰イオン交換膜122の一つで相互に分離され該膜とイオン連通する。先に議論されたように、濃縮液と希釈液との間に存在している濃度差エネルギーは、前記駆動セルが電圧(駆動電圧)を発生させる結果を生じる。濃縮液が約18質量%の塩化ナトリウム水溶液であり、希釈液が約3.5質量%の塩化ナトリウム水溶液である実施例では、駆動セル毎の理論的な駆動電圧は約0.04ボルトである。
【0058】
図1では、陰イオン交換膜122は、任意の所定の駆動セルの前記希釈液及び濃縮液の両室112、110間で共有された境界を形成し、該両室とイオン連通し、陽イオン交換膜120は、任意の所定の駆動セル及び隣り合う駆動セル間で共有された境界を形成し、該両駆動セルとイオン連通する(例えば、駆動セル148は、その希釈液及び濃縮液の両室112、110間に陰イオン交換膜122を有し、また駆動セル148の濃縮液室110と、隣接する駆動セル146の希釈液室112との間に、陽イオン交換膜120を有することを参照されたい)。前記室が流体で満たされたとき、該室中に含まれている前記流体に接触する陽イオン又は陰イオンの交換膜120又は122は、その室と「接し」、その結果、また、その室とイオン連通する。
【0059】
前記駆動セルのそれぞれは、隣り合う駆動セルから複数の陽イオン交換膜120の一つによって分離されている。イオン交換膜120、122は、イオンが前記濃縮液室から前記希釈液室に流れることを許すので、駆動セル140、142、144、146、148は相互にイオン連通する。互いにイオン連通する駆動セルのグループで発生する駆動電圧は、一連の駆動セルのそれぞれによって生成された電圧の合計に等しい。その結果、駆動セル140、142、144、146、148によって生成される全体の駆動電圧は、約0.20ボルトである。
【0060】
透析スタック101は、また脱塩セル150を含み、該セルは、複数の希釈液室112の一つと、生産物室118とで構成されている。生産物室118は、一側で複数の陰イオン交換膜122の一つ(「生産物室陰イオン交換膜」154)に接し、該イオン交換膜とイオン連通し、また他側で複数の陽イオン交換膜120の一つ(「生産物室陽イオン交換膜」152)に接し、該イオン交換膜とイオン連通する。生産物室118から生産物室陰イオン交換膜154により分離されまた該イオン交換膜とイオン連通する希釈液室112は、以下で「陰イオン解放室」162と称される。生産物室118から生産物室陽イオン交換膜152により分離されまた該イオン交換膜とイオン連通する希釈液室112は、以下で「陽イオン解放室」160と称される。生産物室118は、一側で、生産物室陽イオン交換膜152を経て、また他側で、生産物室陰イオン交換膜154を経て、前記駆動セルとイオン連通する。生産物室118を通る流れは、脱塩される塩水である。一般に、前記生産物原料が透析スタック101に入るとき、その塩分濃度は、生産物室118に隣り合う室内の前記溶液の濃度以下である。
【0061】
前記生産物原料を脱塩するために、一定の電圧(「脱塩電圧」)は、生産物室118を横切って印加される必要がある。図示の実施例では、前記生産物原料中の陰イオン及び陽イオンが生産物室118から約3.5質量%の塩の希釈液がある隣り合う希釈液室112へ動くように、約0.04質量%の塩を結果として生じる生産物濃度に生産物原料を脱塩するために、前記脱塩電圧は約0.088ボルトである。
【0062】
脱塩電圧より大きい充分な電圧が生産物室118を横切って印加されると、陰イオンは一方の電極、アノード126、に向けて移動し、陽イオンは他方の電極、カソード124、に向けて移動する。陰イオンは、生産物室陰イオン交換膜154を通って生産物室118から、そして陰イオン解放室162に移動する。同様に、陽イオンは、生産物室陽イオン交換膜152を通って生産物室118から、そして陽イオン解放室160に移動する。このように、駆動電圧を発生させるために駆動セルを使用することにより、また前記生産物室を横切る駆動電圧を含む充分な電圧を適用することにより、塩水を脱塩することができる。先に説明したように、前記陰イオン及び陽イオンの解放室を通る流れは、前記希釈液など脱塩される塩水のイオン濃度以上のイオン濃度を有する溶液である。
【0063】
生産物室118に印加された充分な電圧が脱塩電圧より大きいか又は越えているときに生じる透析スタック101を通るイオンの動きは、イオンの回路を通るイオンの動きを表す。このイオン回路を完成する様々な方法がある。
【0064】
図1では、前記イオン回路は電気化学的に完成する。前記イオン回路の電気化学の完成は、前記希釈液及び濃縮液の室112、110のスタックと、アノード126及びカソード124との間に、アノード及びカソードの電解質室114及び116をそれぞれ置くことによって達成される。適切な電解質が、電解質供給導管108及び電解質出口導管136をそれぞれ経て、該電解質導管内へ及びこれから流れ出る。図1に示された実施例では、前記電解質は、平行な電解質室114、116を通って流れ、すなわち電解質室114、116の一方を流れる前記電解質は、他方の室114、116で使われない。しかしながら、代わりの実施例(図示せず)では、前記電解質は直列の電解質室114、116を流れることができ、すなわち、前記電解質は電解質室114、116のうちの一方に流入し、この電解質室を出ると直ちに、他方の電解質室114、116に導かれ得る。(アノード126での)酸化反応と(カソード124での)還元反応は、イオンの流れを電流に変換し、イオン回路を完成する。アノード126及びカソード124は、電線用導管156を経て電気的につながり、これにより、アノード126からカソード124への電子の流れを結果として生じる。
【0065】
次の表1は、アノード及びカソードの電解質室114、116で使うことができる典型的な電解質を、アノード及びカソード126、124で生じる関連した電気化学反応及び還元電位と共に、記載する。
【0066】
表1: 典型的な電解質

【0067】
典型的なアノード及びカソードの素材は、チタン、ニオブ、タンタル、イリジウム、パラジウム、ステンレススチール、スチール、ニッケル及びグラファイトなどの基板金属を含み、該基板金属は、プラチナ、ルテニウム、イリジウムで、又はプラチナ、ルテニウム及びイリジウムのいずれか2つ以上の混じった金属酸化物の組み合わせで任意に被覆することができる。
【0068】
特に、電解質室114、116から希釈液及び濃縮液の両室112、110を分離するために、いずれのタイプのイオン交換膜(「スタック端膜158」)を使用するかの選択は、重要である。アノード126に最も近いスタック端膜158は、以下で「アノードスタック端イオン交換膜」と称され、カソード124に最も近いスタック端膜158は、以下で「カソードスタック端イオン交換膜」と称される。アノード電解質室114は、一側で前記アノードスタック端イオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通し、またカソード電解質室116は、一側で前記カソードスタック端イオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通する。電気化学反応がアノード126及びカソード124で起こるように、アノード電解質室114は、他側でアノード126に接し、該アノードと電気的に連通状態にあり、同様に、カソード電解質室116は、他側でカソード124に接し、該カソードと電気的に連通状態にある。例えば、電解質としてNaSOを使う実施例では、陽イオン交換膜122がスタック端膜158として使われる。これは、NaSOがNa陽イオンとSO2−陰イオンで構成されているためである。陽イオン交換膜122を使って、Na陽イオンだけが電解質室114、116から隣り合う希釈液及び濃縮液の室112、110に移動することができる。前記希釈液及び濃縮液が両方とも塩水であるので、前記電解質、希釈液又は濃縮液のいずれも新しいタイプのイオンによって汚染されない。同様に、HClが電解質として使われると、陰イオン交換膜が、一般的に、電解質室114、116と希釈液及び濃縮液の室112、110とを隔てるために使われる。
【0069】
代わりの実施例(図示せず)では、前記希釈液及び濃縮液は、逆すなわち逆流方向に透析スタック101を通して流すことができる。そのようにすることは、前記希釈液及び濃縮液の両室112、110間のより均一な濃度差を維持することに役立つ。
【0070】
次に図2を参照するに、図1に示された透析スタック101の第1の実施例におけると反対の極性を有するように構成された透析スタック201の第2の実施例が示されている。図2の透析スタック201は、生産物室118と、陰イオン及び陽イオンの解放室162、160とが右に1室シフトされており、先の例では陰イオン解放室162として作用した室が濃縮液室110で置き換えられ、残りの希釈液及び濃縮液の室112、110は交換されている以外、図1の透析スタック101と同様である。その結果は、駆動電圧の極性の変更とそれ故イオン移動方向の変更である。図2は、図1に示された実施例に関して右にほんの1室シフトした生産物室118と陰イオン及び陽イオンの解放室162、160とを示すが、これらの室は如何なる奇数室をも右又は左に移し得る。
【0071】
有益な副産物は、図1及び図2に示された透析スタック101、102で使用された電解質に応じて、アノード及びカソード126、124で生じる電気化学反応で生成されるかもしれない。例えば、使われた電解質が含水塩化ナトリウムであるとき、Cl陰イオンは、Clガス(上記の表1、列ii参照)に酸化される。Clガスは、例えば、塩素処理で水を処理するのに使うことができる。代わりに、HCl水溶液が電解質として使われると、Hガスが、カソード124(上記の表1、列v参照)で生成され、例えば燃料電池でパワーを生み出すために後で使うことができるであろう。電解質室114、116で生じる酸化還元反応からの他の潜在的に有益な副産物は、NaSO、NaOH又はHClの電解質を使うときは酸素ガスを含み、また電解質としてNaClを使うときは水酸化ナトリウムを含む。
【0072】
図3は、アノード及びカソードの電解質室114、116の一方で形成された電気化学反応の副産物を電解質室114、116の他方で反応物として使うことができるように、アノード及びカソードの電解質室114、116の一方から該アノード及びカソードの電解質室114、116の他方へ電解質を汲み上げる第3の実施例の透析スタック301を示す。透析スタック301は、アノード126及びカソード124のためにガス拡散電極を使い、電気化学反応及びその原形への酸化又は還元の反応物として使用するために、アノード126又はカソード124の一方からの電気化学反応の副産物をアノード126又はカソード124の他方へ汲み上げることにより循環する。これは理論上、電気化学反応が必要とする正味の電圧を零に減らす。例えば、図3の透析スタック301では、HCl及びNaClの混合水溶液を電解質室114、116の電解質として使うことができ、スタック端膜158は陰イオン交換膜122である。カソード124では、水素イオンは水素ガスに還元され、これは水素ガスが水素イオンへ再び酸化されるアノード126に流れることを強制される。水素イオンは、次に、ポンプ(図示せず)を経てカソード124に戻るように再循環され、そこで、それらは再び水素ガスに還元される。使われる前記ガス拡散電極は、先に説明したと同じ基板と、被覆素材とを使って作ることができ、アノード126又はカソード124でそれぞれ酸化あるいは還元されるガスのために十分な滞留時間を提供すべく構成されている。特には、電気化学反応の副産物はガス状である必要がない。例えば、NaFe(CN)及びNaFe(CN)の混合水溶液は、電解質として使うことができ、これは、結果的にFe(CN)4−を生じ、アノード126で酸化されてFe(CN)3−になり、これは次にFe(CN)4−への還元のためにカソード124に循環される。
【0073】
次に、図3に示された実施例では、5つの駆動セル140、142、144、146、148は全部で約0.20ボルトを生成する。NaFe(CN)及びNaFe(CN)が電解質として使われるなら、酸化還元反応が起こるように克服される必要がある正味の電極還元電位は、0ボルト(表2、列viを参照のこと)である。脱塩セル150の脱塩電圧は約0.088ボルトである。 Neosepta AFN 及びCM-1イオン交換膜を使用し、厚さが0.02cmである生産物室118を有しまたそれぞれが0.05cmである希釈液及び濃縮液の室112、110を有する透析のスタックについては、5つの駆動セル140、142、144、146、148は0.20ボルトの正味駆動電圧を発生させる。生産物室118は0.088ボルトの脱塩電圧を有し、正味の電極還元電位は0ボルトであり、その結果、結果として生じているスタック開回路電圧は、0.20ボルト−0.088ボルト=0.112ボルトである。この実施例では、前記イオン交換膜及び希釈液、濃縮液及び生産物原料は、43Ω/cmのスタック抵抗損失を与え、それは結果として2.6mA/cmのイオン電流を生じている。生産物室118内で前記生産物原料を脱塩するために、十分な駆動電圧は存在している。前記生産物原料中の陽イオン及び陰イオンは、それぞれの生産物室陽イオン及び陰イオンの交換膜152、154をそれぞれ通して生産物室118から、陰イオン及び陽イオンの解放室162、160に追い遣られる。前記透析スタック101を出る生産物溶液は、約0.04質量%の塩分濃度を有し、飲用である。脱塩をもたらすために外部電圧が必要なら、それは電圧源128で供給することができ、該電圧源は電線用導管156に電気的に結合される。
【0074】
いくらかの追加の電圧の供給のために電圧源128を利用することに代えて、十分な累積駆動電圧が脱塩の達成をもたらすまで、追加の駆動セルを透析のスタック101に追加することができる。脱塩に必要とされる以上の電圧が生じるように、十分な数の駆動セルが追加されるなら、透析のスタック101は、また電源として動作することができる。そのような場合、電気的負荷は、それをアノード126とカソード124との間に電気的に結合することによって、電力を供給される。
【0075】
図4を参照するに、そこには、貯蔵容器406内に収容された導電性バス404に透析スタック401を水没させることによって流体の循環でイオン回路が完成される透析スタック401の他の実施例が描かれている。バス404は、例えば濃縮液で構成することができる。図1から3に示された実施例でなされたような電気化学的にイオン回路を完成することに比較すると、流体の循環でイオン回路を完成することは、アノード、カソード又は電圧源を必要とせず、有益である。さらに、イオン回路が電気化学的に完成し、これにより、生産物を脱塩するために必要とされている駆動電圧を減らすときに行われる電気化学反応の標準還元電位に打ち勝つような外部電力を供給する必要はない。
【0076】
図4の透析スタック401は、アノード又はカソードを有していない。代わりに、透析スタック401の希釈液室112及び濃縮液室110は、多孔性の第1及び第2の端板408に挟まれており、該端板はポリプロピレンなどの非導電性素材で作ることができる。濃縮液室110は、端板408と直接に隣接しており、この特定の実施例では、濃縮液である電解質を収容するための第1及び第2の電解質室の働きをする。第1の電解質室は、一側で多孔性の前記第1の端板に接し、該端板とイオン連通し、また他側で第1のイオン交換膜(図4の最左方の陽イオン交換膜120)に接し該イオン交換膜とイオン連通し、第2の電解質室は、一側で多孔性の前記第2の端板に接し、該端板とイオン連通し、また他側で第2のイオン交換膜(図4の最右方の陰イオン交換膜122)に接し、該イオン交換膜とイオン連通する。これらの第1及び第2の電解質室は、第1及び第2のイオン交換膜(図4で最左方の陽イオン交換膜120及び最右方の陰イオン交換膜122)をそれぞれ介して希釈液の残部とイオン的に連通する。透析スタック401では、図4に示されているように、陰イオンは右から左に移動し、陽イオンは左から右に移動する。その結果、陽イオンは、透析スタック401の左方の多孔性の端板408の近くの導電性のバス404から前記透析スタックに引き入れられ、陰イオンは、透析のスタック401の右方の多孔性の端板408の近くの導電性のバス404から透析スタック401に引き入れられる。導電性のバス404がより深く、より広く、その濃度がより高いほど、移動イオンが遭遇する抵抗は、より低い。実際には、透析スタック401の希釈液及び濃縮液の両室112、110のすべては、バス404と室112、110との間で如何なる流体移行も起こらないように、封止されている。
【0077】
代替実施例(図示せず)では、導電性のバス404に透析スタック401を沈める代わりに、第1及び第2の電解質室が濃縮液で満たされる。これらの濃縮液室は、電解質室流体導管を経て相互に流体的に結合される。この代替的実施例では、端板408は多孔性ではない。強制循環は、濃縮液室の1つから他へ濃縮液を循環させるために汲み上げることによって提供され、これによりイオン回路が完成される。
【0078】
次に図5を参照するに、リング形状の透析セル配置(「透析リング」501)が示されている。図5の透析リング501は、濃縮液供給マニホルド510と、希釈液供給マニホルド512とを含み、該両マニホルドは、濃縮液及び希釈液の各供給導管104及び102から濃縮液及び希釈液をそれぞれ受け取る。希釈液及び濃縮液は、次に、希釈液及び濃縮液の供給マニホルド512、510に流体的に結合された希釈液及び濃縮液の室112、110に運ばれ、前記した実施例におけると同様に、一連の交互の陽イオン及び陰イオンの交換膜120、122によって互いに分離される。生産物原料は生産物原料供給導管106から直接生産物室118に送られる。好都合に、陽イオン及び陰イオンは透析リング501のまわりを逆方向に移動し、これにより生産物原料の所定量の脱塩が達成される。同じ数及び平均厚さの室110、112、118を有する透析スタック401に比較して、透析リング401内で陰イオン及び陽イオンが移動する必要がある距離は、それらが透析スタック401内で移動する必要がある距離よりも少なく、したがって、透析リング501のイオン抵抗は透析スタック401のイオン抵抗より少ない。その結果、透析リング501と、透析スタック101、201、301とが同じ平均的な厚さの同じ数の室110、112、118を有するなら、抵抗損失は透析スタック101、201、301より透析リング501で低くなる。さらに、電極は透析リング501に必要とされない。
【0079】
図5の透析リング501は、7つの駆動セルと、1つの脱塩セル150とを有する。イオン回路が流体循環を使って完成する透析スタックの実施例におけると同様に、どのような電気化学反応をも促進するためのエネルギーは必要でない。その結果、約18%の濃縮液の濃度と約3.5%の希釈液の濃度を仮定すると、7つの駆動セルは0.28ボルトの累積駆動電圧を提供し、それは、生産物原料を約0.04質量%に脱塩するに必要とされる電圧(約0.088ボルトに加えて寄生抵抗による電圧降下分)を超えるに充分である。脱塩の後、生産物は生産物出口マニホルド508から透析リング501を出て、希釈液は希釈液出口マニホルド504から透析リング501を出て、濃縮液は濃縮液出口マニホルド506から透析リング501を出る。
【0080】
次に、図6を参照するに、渦巻き形状の透析配置(「透析渦巻き」601)が示されている。先の実施例のように、透析渦巻き601は、陽イオン及び陰イオンの交換膜120、122の交互配置から成る。生産物原料、希釈液及び濃縮液は、交互のイオン交換膜120、122間の空間に供給導管102、104、106を通して供給される。透析渦巻き601は、例えばイオン交換膜120、122をチャンバスペーサ及びガスケットと共に平らな表面上に配置し、次に図6に示されているように、それらを巻くことにより、作ることができる。膜120、122を巻くことは、大量生産に有益な助けとなり、そして、封止表面の露出を減らし、これは前記渦巻き601の漏れの可能性を減らす。生産技術は、DOWTM 210EDIモジュールなどの渦巻き状に巻かれた逆浸透モジュールで使われたものに類似している。
【0081】
次に図7(a)及び(c)を参照するに、塩水の脱塩に使うことができる単極性透析スタック701の断面図及び分解図が示されている。「単極」は、透析スタック701中のイオンの移動方向を動作中逆にできないことを意味する。図7(a)は、希釈液及び濃縮液の室112、110の交互配置を有する透析スタック701の断面図である。陰イオン交換膜122は、如何なるセルでもその隣接した希釈液及び濃縮液の室112、110で共有された境界を形成し、該両室とイオン連通し、陽イオン交換膜120は、如何なる駆動セル及びその隣接セルで共有された境界を形成し、該両駆動セルとイオン連通する。生産物室118は透析スタック701内に配置され、その一側で生産物室陰イオン交換膜154と接しまた該陰イオン交換膜とイオン連通し、その他側で生産物室陽イオン交換膜152と接し、該陽イオン交換膜とイオン連通する。アノード及びカソード126、124と、アノード及びカソードの電解質室116、114とは、透析スタック701のいずれの端にも配置されている。アノード電解質室116、前記駆動セル及び生産物室118間には、アノード及びカソードスタック端イオン交換膜の形態でスタック端膜158がある。アノード電解質室116は、一側で前記アノードスタック端イオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通し、他側でアノード126と接し、該アノードと電気的に連通する。アノード電解質室116は、アノードスタック端イオン交換膜を経て、駆動セル及び生産物室118とイオン連通する。同様に、カソード電解質室114は、一側でカソードスタック端イオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通し、他側でカソード124に接し、該カソードと電気的に連通する。前記カソード電解質室は、前記カソードスタック端イオン交換膜を経て、前記駆動セル及び生産物室118とイオン連通する。前記アノード及びカソードと、イオン交換膜と、希釈液とは、2つの端板714間に挟まれている。
【0082】
また図7(b)を参照するに、そこには、マニホルドセンブリの一部として使われるスペーサ710を有するガスケット708の正面図が示されており、前記マニホルドアセンブリは、希釈液室112へ及び該室から希釈液を移送するように構成された希釈液マニホルド、濃縮液室110へ及び該室から濃縮液を移送するための濃縮液マニホルド、及び脱塩される塩水と脱塩された塩水とを生産物室118に送る生産物マニホルドを含む。前記室は、過度な圧力低下を招かずまた流体の流れを促進しながら、イオン抵抗を制限するためにでき得る限り薄いことが有利である。図7(b)では、スペーサ710は、透析スタック701が稼動しているとき、隣り合ったイオン交換膜が前記室110、112、118を通る流体の流れの結果として互いに接触することを防止することによって、前記隣り合ったイオン交換膜の分離を維持するメッシュスペーサである。スペーサ710は、産業用ネット(Industrial Netting)のXN−3234又はON−6200と似たものとすることができる。ガスケット708は、エチレンプロピレンジエンMクラスゴム(EPDM)、シリコン、ニトリル、santoprene、ブィトン、ネオプレン、PTFE(テフロン)、天然ゴム及びPVCなどの素材を使って形成することができる。図7(c)から明らかなように、ガスケット708及びイオン交換膜は、種々の希釈液、濃縮液、生産物及び電解質の各室を形成するために交互に連続して積層される。各ガスケット708は、希釈液、濃縮液又は生産物の各室の1つとして作用する容積を取り囲み、そのような各室は、一側でイオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、他側で他のイオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通する。
【0083】
各ガスケット708は、希釈液、濃縮液又は生産物の各マニホルドの一部を作り出す一連の穴をその周囲を貫通して打ち抜かれている。図7(b)では、ガスケット708の片側は該片側を貫通して延在する希釈液供給導管104を有し、ガスケット708の他方の反対側は該反対側を貫通して延在する希釈液の出口導管132を有する。同様に、ガスケット708の両側には、これらを貫通して生産物原料供給導管106及び生産物出口導管134が延在する。ガスケット708は、該ガスケット708の片側を通り、濃縮液供給導管102に流体的に結合される状態で延在する一連の入口ノッチ738(a)を有し、また、反対側で該反対側を貫通し、濃縮液出口導管130に流体的に結合される状態で延在する一連の出口ノッチ738(b)を有する。図7(b)に示されたガスケット708は、このように濃縮液室110であるように、構成されている。濃縮液供給及び出口導管102、130のみが入口及び出口ノッチ738(a)、(b)を経て濃縮液室110に流体的に結合されており、その結果、生産物供給導管106、生産物出口導管134希釈液供給導管104及び希釈液出口導管132を通過する如何なる生産物(又は生産物原料)及び希釈液も濃縮液室110から封止され、他方、濃縮液は、濃縮液供給導管102から入口ノッチ738(a)を通って濃縮液室110内へ及び該濃縮液室を通って次にガスケット708の反対側の出口ノッチ738(b)を通って濃縮液出口導管130へ流出する。同様に、生産物室118を囲むガスケットについては、生産物原料供給及び出口導管106、134を流体的に生産物室118へ結合するのみのノッチが存在し、希釈液室112を囲むガスケットについては、希釈液供給及び出口導管104、132を希釈液室112へ結合するのみのノッチが存在する。ガスケット708は、透析スタック701を形成すべく相互に押圧されると流動体の密封体を形成し、従って、前記希釈液、濃縮液及び生産物の各室の内容物を確実に収容する。さらに、種々のガスケット708からの濃縮液供給及び出口導管102、130、希釈液供給及び出口導管104、132、生産物原料供給及び生産物出口導管106、134は、透析スタック701を形成すべくガスケット708が押圧されると、同時に整列し、これにより濃縮液、希釈液及び生産物の各マニホルドがそれぞれ形成される。濃縮液、希釈液及び生産物原料は、その結果、濃縮液、希釈液及び生産物の各マニホルドを通って流れ、濃縮液、希釈液及び生産物の各室110、112、118に送られる。
【0084】
図示の実施例では、電解質は、導管108、136を経てそれぞれ電解質室114へ注ぎ込まれ及びこれからくみ出される。
【0085】
次に図8を参照するに、双極スタック801の概略図(図8(a))、分解図(図8(b))及び斜視図(図8(c))が描かれており、マニホルド及びバルブを有する室の組合せが示されている。「双極」は、透析スタック801が順極性及び逆極性で動作可能であることを意味する。順極性では、透析スタック801の概要図は、図1の透析スタック101である。逆極性では、透析スタック801の概要図は図2の透析スタック201である。16個の二方バルブ、すなわち入口バルブ844(a)−(h)及び出口バルブ844(i)−(p)を図8(a)に見ることができ、それらは順極性及び逆極性の両動作のために構成されている。表2は、以下で、これらの二方バルブ844(a)−(p)がこれらのモードで如何に設定されるかを指定する。
【0086】
表2 順極性及び逆極性動作におけるバルブ操作


【0087】
図8(b)を参照するに、図1及び2に示された透析スタックの実施例についてと同様、透析スタック801は、交互に連続する陽イオン及び陰イオンの交換膜120、122で構成されている。陽イオン及び陰イオンの交換膜120、122間が、一連の交互に配置された希釈液/濃縮液室812及び濃縮液/希釈液室810である。陰イオン交換膜122は、如何なる駆動セルの隣接する希釈液/濃縮液及び濃縮液/希釈液室812、810とで共有された境界を形成し、該両室とイオン連通し、陽イオン交換膜120は、如何なる駆動セル及び隣接する駆動セルとで共有された境界を形成し、該両駆動セルとイオン連通する。また、生産物/希釈液室818及び希釈液/生産物室819は、透析スタック801内に位置しており、それらは図示の実施例で相互に隣接している。生産物/希釈液室818は、一側で、生産物/希釈液室陰イオン交換膜854と接し、また該陰イオン交換膜とイオン連通し、他側で、生産物/希釈液室陽イオン交換膜852と接し、該陽イオン交換膜とイオン連通する。同様に、前記希釈液/生産物室は、その一側で希釈液/生産物室陰イオン交換膜856に接し該陰イオン交換膜とイオン連通し、他側で、希釈液/生産物室陽イオン交換膜852に接し該陽イオン交換膜とイオン連通する。この特定の実施例では、生産物/希釈液及び希釈液/生産物室818、819が相互に隣接しているので、希釈液/生産物陽イオン交換膜852及び生産物/希釈液室陽イオン交換膜852は、同じイオン交換膜であるが、室818、819が隣接していないとき、これは事実ではない。
【0088】
透析スタック701と同様に、透析スタック801はマニホルドアセンブリを備え、該マニホルドアセンブリは、希釈液/濃縮液、濃縮液/希釈液、生産物/希釈液及び希釈液/生産物のマニホルドを含み、該マニホルドは、透析スタック801が順極性で運転されているとき、希釈液を希釈液/濃縮液室812及び希釈液/生産物室819に及びこれから運び、濃縮液を濃縮液/希釈液室810へ及びこれら運び、脱塩されるべき塩水及び脱塩された塩水を生産物/希釈室818へ及びこれから運ぶようにそれぞれ構成され、また透析スタック801が逆極性で運転されているとき、希釈液を濃縮液/希釈液室810及び生産物/希釈液室818へ及びこれから運び、濃縮液を希釈液/濃縮液812へ及びこれから運び、脱塩されるべき塩水及び脱塩された塩水を希釈液/生産物室819へ及びこれから運ぶように構成されている。
【0089】
透析スタック701と同様に、透析スタック801は、希釈液/濃縮液、濃縮液/希釈液、希釈液/生産物又は生産物/希釈液の各室の1つとして作用する容積を取り囲むガスケット(図8には参照符号が付されず)を含み、そのような各室は、一側で、1つのイオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通し、他側で、他のイオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通する。構造上、透析スタック801の前記マニホルドアセンブリは、透析スタック801で使われたガスケットの他側への追加の希釈液/生産物マニホルドの付加を除いて、透析スタック701のそれと同一である。構造上、希釈液/濃縮液マニホルド、濃縮液/希釈液マニホルド及び生産物/希釈液マニホルドは、透析スタック701の希釈液マニホルド、濃縮液マニホルド及び生産物マニホルドとそれぞれ一致している。例えば、入口ノッチは、透析スタック801の前記ガスケットの1つの希釈液/濃縮液供給導管804を希釈液/濃縮液室812に流体的に結合し、これにより溶液(希釈液又は濃縮液のいずれか)が希釈液/濃縮液導管を通して希釈液/濃縮液室812に入ることが可能である。出口ノッチは、希釈液/濃縮液室812を希釈液/濃縮液出口導管830に流体的に結合し、これにより希釈液/濃縮液室812内の溶液がスタック801を出ることが可能になる。
【0090】
第1及び第2の電極824、826と、第1及び第2の電解質室814、816とは、透析スタック801のいずれの端にも置かれる。両電極824、826は、透析スタック801が順極性で動作しているか逆極性で動作しているかに応じて、アノード又はカソードのいずれかとして動作可能である。第1の電解質室814は、一側で第1のスタック端イオン交換膜858と接し該イオン交換膜とイオン連通し、他側で第1の電極824と電気的に連通する。同様に、第2の電解質室816は、一側で第2のスタック端イオン交換膜858と接し該イオン交換膜とイオン連通し、他側で第2の電極826と電気的に連通する。前記電極、イオン交換膜及び種々の室は、2枚の端板714には挟まれている。
【0091】
電極824、826は、基板と該基板の上に適用された被覆膜とから構成することができる。前記基板は、例えば、チタン、ニオブ、タンタル、イリジウム又はパラジウムとすることができる。前記被覆膜は、プラチナ、ルテニウム、イリジウム又はこの3つの混合金属の酸化物とすることができる。代わりに、電極824、826は、犠牲にすることができ、時間とともに劣化する。そのような実施例では、電極824、826は、ステンレススチール、スチール、ニッケル、銅又はグラファイトの非被覆基板で形成することができる。
【0092】
順極性での透析スタック801の動作を次に説明する。希釈液、濃縮液及び生産物原料は、図7(a)の「D」、「C」及び「P」が付された矢印で供給される。希釈液は、バルブ844(a)、844(g)、希釈液/濃縮液供給導管804及び希釈液/生産物供給導管806を通って透析スタック801にポンプで注入される。前記希釈液は、希釈液/濃縮液及び希釈液/生産物の各マニホルドを通して汲み上げられ、透析スタック801の希釈液/濃縮液室812及び希釈液/生産物室819に送られる。希釈液は、希釈液/濃縮液出口導管830、希釈液/生産物出口導管832及びバルブ844(i)、844(p)を通って透析スタック801を出る。濃縮液は、バルブ844(d)及び濃縮液/希釈液供給導管802を通って透析スタック801にポンプで注入される。前記濃縮液は、濃縮液/希釈液マニホルドを通して汲み上げられ、濃縮液/希釈液室810に送られる。前記濃縮液は、濃縮液/希釈液出口導管828及びバルブ844(l)を通って透析スタック801を出る。生産物原料は、バルブ844(f)及び生産物/希釈液供給導管805を通って透析スタック801にポンプで注入される。前記生産物原料は、前記生産物/希釈液マニホルドを通して汲み上げられて、生産物/希釈液室818に送られる。前記生産物は、生産物/希釈液出口導管831及びバルブ844(n)を通って透析スタック801を出る。
【0093】
希釈液、濃縮液及び生産物は、透析スタック801を出た後、三方バルブ846(a)−(c)を通って方向転換される。通常、バルブ846(a)−846(c)は、希釈液、濃縮液及び生産物が「D」、「C」及び「P」が付された導管に向けられるように、設定される。透析スタック801は、また、浄化モードで動作することができ、その場合、前記希釈液、濃縮液および生産物のすべては、「W」が付された「廃棄」導管に方向転換される。順極性モードの動作から逆極性モードに移行している間、又はその逆もまた同様であるが、透析スタック801は、前記バルブ及び導管からどのような望まれない希釈液、濃縮液及び生産物も洗い流すように、浄化モードで一時的に稼動することができる。
【0094】
逆極性で動作しているとき、希釈液は、バルブ844(c)、844(e)及び濃縮液/希釈液供給導管802及び生産物/希釈液供給導管805を通して前記透析スタックにポンプで注入される。前記希釈液は、濃縮液/希釈液及び希釈液/希釈液マニホルドを通して汲み上げられ、濃縮液/希釈液室812及び生産物/希釈液室818に送られる。前記希釈液は、濃縮液/希釈液出口導管828、生産物/希釈液出口導管831及びバルブ844(k)、844(m)を通って前記透析スタックを出る。濃縮液は、バルブ844(b)を通り、また希釈液/濃縮液供給導管804を通って透析スタック801にポンプで注入される。前記濃縮液は、希釈液/濃縮液マニホルドを通って汲み上げられ、希釈液/濃縮液室812に送られ、希釈液/濃縮液出口導管830及びバルブ844(i)を通って前記透析スタックを出る。生産物原料は、バルブ844(h)及び希釈液/生産物供給導管806を通って透析スタック801にポンプで注入される。前記生産物原料は、前記希釈液/生産物マニホルドを通して汲み上げられ、希釈液/生産物室819に送られ、前記生産物は、希釈液/生産物出口導管832及びバルブ844(o)を通って前記透析スタックを送出される。順及び逆の両極性で、電解質は、導管108、136を経て、それぞれ端室114、116に及びこれからポンプで注入、送出される。
【0095】
バルブ844(a)−(h)を通しての前記透析スタックへの生産物原料、希釈液及び濃縮液のポンプ注入と、バルブ844(i)−(p)を通しての前記透析スタックからの生産物、希釈液及び濃縮液のポンプ送出(「順流モード」)とに加えて、生産物原料、希釈液及び濃縮液がバルブ844(i)−(p)を通って前記透析スタックにポンプで注入され、また生産物、希釈液及び濃縮液がバルブ844(a)−844(p)を通って前記透析スタックから送り出されるように(「逆流モード」)、前記透析スタック中の溶液の流れを反転することができる。逆流モードは、透析スタック801を勢いよく水洗するために使うことができる。さらに、透析スタック801は、前記溶液のいくらかがバルブ844(a)−844(h)を通って透析スタック801に入り、他の溶液がバルブ844(i)−844(p)を通って前記透析スタックに入るモード(「対向流」モード)で動作することができる。例えば、バルブ844(a)(f)及び(h)を通って前記生産物原料及び希釈液を透析スタック801にポンプで注入するとき、濃縮液は、バルブ844(l)を通って透析スタック801に供給することができる。これは、前記希釈液及び濃縮液が透析スタック801内を反対方向に流れることを可能にし、この反対方向の流れは、上で述べられたように、前記希釈液及び濃縮液室812、810間でのより均一な濃度差の維持に役立つことを可能にする。
【0096】
順及び逆の両極性で前記透析スタックを運転することができる利点の1つは、スタック極性の周期的な反転が、膜120、122及び電極824、826の水垢(scaling)及び汚れ(fouling)を防止し、これによりイオン交換膜120、122及び電極824、826の寿命を伸ばすことができることである。
【0097】
次に図9(a)及び(b)を参照するに、多段透析スタック901が示されている。前記多段スタック901は、4つの脱塩ステージ1−4を有する。第1ステージへの入力は、濃縮液、希釈液及び生産物原料供給導管102、104、106を通しての濃縮液、希釈液及び生産物原料である。生産物出口導管134を通って出る生産物が脱塩されるように、透析スタック901の各ステージは、ある値のパーセンテージによって前記生産物を浄化する。図9(a)に表わされるように、すべての実施例に必要とされているわけではないが、前記生産物は、図示の透析スタック901の隣接する脱塩ステージを逆方向に流れる。
【0098】
今、図9(b)を参照すると、透析スタック901の脱塩ステージ3及び4の一部の詳細が示されている。透析スタック901は多数の駆動セルを含み、該駆動セルのそれぞれは、イオン交換膜を通してイオン的に連通された希釈液室112及び濃縮液室110で構成されている。脱塩ステージ3は、また複数の初期ステージ生産物室914を有し、該室のそれぞれは、第1の側で初期ステージの生産物室陰イオン交換膜に接し、該陰イオン交換膜とイオン連通し、また他の側で初期ステージの生産物室陽イオン交換膜に接し、該陽イオン交換膜とイオン連通する。初期ステージの生産物室914の出力は、ステージ4の複数の生産物室、すなわち引き続くステージの生産物室916に向けられ、該室のそれぞれは、第1の側で、引き続くステージの生産物室陰イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、また、他の側で、引き続くステージの生産物室陽イオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通する。初期ステージの生産物室914を構成する前記複数の生産物室と、前記引き続くステージの生産物室916を構成する前記複数の生産物室とは、如何なるステージにおいても生産物が平行に流れることを可能する。如何なるステージにおいても、複数の生産物室に平行に塩水を浄化させることは、透析スタック901によって処理することができる生産物原料の総量が、1ステージ当たり1つの生産物室しか有さない透析スタック901に比較して増大することを可能にする。さらに、複数の脱塩ステージを1つのスタックに組み入れることは脱塩ステージ毎で1つの単独のスタックを有するものよりも低い資本コストを結果として生じる。前記初期ステージ及び引き続くステージの生産物室914、916は、脱塩電圧をそれぞれ有する。その結果、初期ステージ及び引き続くステージの両生産物室914、914に同時に脱塩を生じさせるために、前記生産物室914、916を横切って適用される十分な電圧は、生産物室914、916の脱塩電圧の合計以上でなければならない。この十分な電圧は、駆動セルによって発生された駆動電圧と透析スタック901に印加されたすべての外部電圧を含む。
【0099】
図9の初期及び引き続く脱塩ステージは脱塩ステージ3及び4であるとして示されているが、「初期の脱塩ステージ」と、「引き続く脱塩ステージ」という用語は、引き続く脱塩ステージを通ることに先がけて、脱塩される塩水が初期の脱塩ステージを通る透析スタック中の如何なる2つの脱塩ステージをも指し、すなわち相互に直列な連通状態にある如何なる2つのステージをも指す。
【0100】
次に図10を参照するに、連続フロープロセスを使って塩水を脱塩するために使うことができるプラント1001が示されている。プラント1001は水源1004を含み、該水源は、例えば海洋又は汽水源とすることができる。水源1004からの塩水は、脱塩に先立って塩水を取り扱う前処理システム1006に向きを変えられる。前処理システム1006は、プラント1001で使われる機器を汚し、塞き、損害を与える可能性のあるがれき、固形浮遊物及び有機及び無機物を取り除くように設計される。前処理システム1006からの処理された塩水は、脱塩されることになっている生産物原料を保持する塩水貯蔵所1010に向けられ、また希釈液を保持する希釈液貯蔵所1026に向けられる。図示の実施例では、これはすべての実施例の要件ではないが、脱塩される希釈液と生産物原料とは同じである。また、濃縮液を保持するための濃縮液貯蔵所1020がプラント1001に存在する。貯蔵所1020、1026及び1010からの濃縮液、希釈液及び生産物原料は、該生産物原料を脱塩するために一連の3つの透析スタック1002を通って送り出される。他の実施例では、透析スタックを通る生産物原料の通過に伴って脱塩を段階的に生じる3つより多くの又はそれより少ない透析スタックを使うことができる。プラント1001は、生産物原料が透析スタック1002を直列に流れ、また濃縮液及び希釈液が透析スタック1002を平行に流れる3つの透析スタック1002を利用する。透析スタック1002での使用の後、使われた希釈液はバルブ1040を経て希釈液貯蔵所1026に、また第2のバルブ1042を経て水源1004に、そして以下でより詳細に議論されるように、使われた希釈液から濃縮液を生成するために第1の再凝縮器1032に、戻すことができる。使われた濃縮液は、また以下で詳細に議論されるが、濃縮液貯蔵所1020での貯蔵に先がけて再凝縮化のために第2の再凝縮器1034に返される。生産物は、回収(retrieval)及び使用のために生産物貯蔵所1018に蓄えられる。代わりの実施例(図示せず)では、使われた濃縮液は、第1の再の凝縮器1032に、それから第2の再凝縮器1034に返し、濃縮液貯蔵所1020により高い濃度を有益に維持することができる。また、代わりの実施例(図示せず)では、第1の再凝縮器1032からの出力は、直接濃縮液貯蔵所1020に運ぶことができ、あるいは使われた濃縮液は第2の再凝縮器1034へ戻すことに代えて、直接濃縮液貯蔵所1020に戻すことができる。
【0101】
典型的な第1及び第2の再凝縮器1032、1034が図12−14に示され、以下に議論されている。第1の再凝縮器1032は、使われた希釈液を第2の再凝縮器1034に移送することに先立って、使われた希釈液の濃度を高めるために使われ、さらに、使われた希釈液の濃度を高めるために濃縮液貯蔵所1020に移送することに先立って、また必要なら前記濃縮液貯蔵所に蓄えられた前記溶液の濃度を高めるために、前記第1の再凝縮器を用いることができる。第1及び第2の再凝縮器1032、1034の両方は、塩水が濃縮液として使うのに適当な塩濃度を達成するまで塩水の濃度を高めるために、大気への蒸発を利用する。1実施例では、(例えば、図12に示されたように噴水池1201に太陽光を照らすことにより、)太陽エネルギーを再凝縮器1032、1034に直接移すことができる。代わりの実施例(図示せず)では、第1及び第2の再凝縮器1032、1034は、順に、近くの電力又はプロセスのプラント、又は太陽熱吸収装置などの外部の熱源から熱を得る熱交換器1324(図13及び14に示されている)に流体的に結合することができる。発電プラントからの低級な熱エネルギーは、例えば、摂氏約30から150度に及ぶかもしれない(発電所などからの)廃熱とすることができる。典型的な熱交換器は、シェルアンドチューブ式、プレート式及び相変化式の熱交換器である。再凝縮器1032、1034は、熱交換器1324を介して又は直接、蒸発を促進する太陽からのエネルギーの組み合わせを使うことができる。
【0102】
塩水を脱塩するための既知の手段及び方法と比較すると、プラント1001は、本質的に濃縮した塩水という形で太陽エネルギーなどの低級な熱エネルギーを蓄えることができ、この蓄えられた化学エネルギーは、透析スタック1002で生産物原料を脱塩するために変換される。特に、乾燥しており、不毛で、当然淡水化技術を必要としそうな地域は、また、より湿気が多くない雰囲気を有し、多くの太陽輻射を受け、したがって水がすぐに蒸発する環境を持つ傾向がある地域である。プラント1001が、有益に、最もよく作動しそうな地域は、プラント1001が最も必要な地域である。
【0103】
次に図11を参照するに、バッチフロー処理で塩水を脱塩するために使うことができるプラント1101の第2の実施例を示す。プラント1001の第1の実施例と同様に、塩水は水源1004で集められ、前処理システム1006で前処理を受け、その後、共用の塩水及び生産物の貯蔵所1110と、希釈液の貯蔵所1026とに向きを変えられる。プラント1101は、1つの透析スタック1102のみを使用するが、プラント1001の第1の実施例で示されるように、複数の透析スタックを使うことができる。しかし、3つの透析スタック1002を通して直列的に生産物原料を汲み上げるプラントの第1の実施例1001と比較すると、前記プラントの第2の実施例1101は、脱塩された生産物を受け取る第1のプラント実施例1001の生産物原料貯蔵所1018を使わない。代わりに、脱塩された生産物は共用の塩水及び生産物貯蔵所1110に戻される。このように、脱塩される塩水の個別のバッチは、水源1004から移されて、共用の塩水及び生産物貯蔵所1110に蓄えることができ、共用の塩水及び生産物貯蔵所1110中の水が十分に脱塩されるまで、該水を次に透析スタック1001を通るように汲み上げることができる。
【0104】
図12−14を参照するに、再凝縮器の3つの例が示されている。図12は蒸発性の噴水池1201を表し、図13は自然通気蒸発塔1301を表し、また図14は強制通気蒸発塔1401を表す。
【0105】
図12に示された蒸発噴水池1201は、池集水域1232の薄層である池表面1214を含む。池集水1232は、ノズル取付け部1206、ノズル立ち上がり部1204及び噴霧ノズル1202に流体的に結合されている。図12には、1つの噴霧ノズル1202のみが示されているが、ノズル取付け部1206に複数の噴霧ノズル1201を結合することができる。集水1232から流体導管1236を経て、濃縮された海水を濃縮液貯蔵所1020に汲み上げることができ、同様に、濃縮液貯蔵所1020からの流体を流動体導管1238を経てノズル取付け部1206に汲み上げて噴霧ノズル1202から噴霧することができる。噴霧ノズル1202から出る水しぶきのいくらかの水分が集水1232に向けて落下するに伴い蒸発し、これにより集水1232の塩水の塩濃度が高められる。微小水滴が池1212から離れて放散することを防止するためにルーバ付きフェンス1212を使うことができる。
【0106】
図12に付されたA、B、C及びDは、池表面1214を構成する4つの異なる方法を示す。表面Aは、砂などの熱容量性素材1218の層で構成され、該層上に、黒いスチールなどの暗く、高電導性の素材1216の層がある。表面Bは、よりよく熱を保持するために、断熱材1222の層が熱容量性材料下に置かれること以外、表面Aと同様である。表面Cは、PVC、ポリプロピレン又はEPDMのような、暗い封止密封膜面の層が上に形成された熱容量性素材1218の層で構成されている。断熱材1222の層が熱容量性素材1218層の下にある以外、表面Dは、表面Cと同様である。
【0107】
代わりの実施例(図示せず)では、ノズル1202、ノズル立ち上がり部1204、ノズル取付け部1206及びルーバ付きフェンス1212は、蒸発性噴水池1212から除去することができる。その結果は、蒸発性池であり、該池はまた再凝縮器として使うことができる。
【0108】
さらなる代わりの実施例(図示せず)では、熱交換器1324は、蒸発処理で使うことができる追加のエネルギーを提供するために、ノズル取付け部1206に流体的に結合することができる。多くの熱が熱交換器1324を経て供給されるほど、池集水1232の領域は、より小さくある必要がある。熱交換器1324は、例えば蒸発処理で使われたエネルギーの60%を供給することができ、残りの40%が池集水1232の表面積で吸収されるエネルギーから来る。
【0109】
自然通気蒸発塔1301は、内側に浅いタワー集水領域1316が位置しまたタワーハウジング1302が支持されるタワーベース1314で構成されている。噴水池1201と同様に、タワー集水領域1316は流体導管1236を経て濃縮液貯蔵所1020に汲み上げられ、濃縮液貯蔵所1020からの流体は流体導管1238を経て分散ノズル1304に汲み上げることができる。前記流体は、最初に、上に説明したように外部熱源に結合される熱交換器1324を通過し、蒸発の間に失われた熱を取り替えるために、該熱交換は前記流体に低級な熱を提供する。集水領域1316に落ちるとき、ノズル1304から落ちている噴霧は蒸発し、空気取入口1310を通る空気の流入によって促進され、これによって集水領域1316の塩濃度が高められる。前記噴霧は充填材料1312に当たり、該充填材料は、これを越えて流れる塩水のための表面積を増大し、また塩水と空気との間の大規模な移動を増大し、これにより蒸発を促進する。
【0110】
強制通気蒸発塔1401は、内側に浅いタワー集水領域1420が位置しまたタワーハウジング1402が支持されるタワーベース1318で構成されているので、自然通気蒸発塔1301と同様である。タワー集水領域1420は、流体導管1236を経て濃縮液貯蔵所1020に汲み上げられ、濃縮液貯蔵所1020からの流体は流体導管1238を経て分散ノズル1304に汲み上げることができる。前記流体は、最初に、上に説明したように外部熱源に結合される熱交換器1324を通過し、蒸発の間に失われた熱を取り替えるために、該熱交換は前記流体に低級な熱を提供する。集水領域1316に落ちるとき、ノズル1304から落ちている噴霧は蒸発し、空気取入口1310を通る空気の流入及びファン1412によって与えられる通気によって促進され、これによって集水領域1316の塩濃度が高められる。前記噴霧は充填材料1312に当たり、該充填材料は、これを越えて流れる塩水のための表面積を増大し、また塩水と空気との間の大規模な移動を増大し、これにより蒸発を促進する。デミスタ1414は、噴霧がファン1412に損傷を与えまたタワー1401の頂部から逃げるのを防止することに役立っている。
【0111】
図12−14に示された再濃縮機のいずれも、陸上に存在するか海上に浮かべることができる。
【0112】

蒸発噴水池1201という形の再濃縮機1032に結合された4つのステージの透析スタック901から構成されているプラント1001の例が次に議論される。
【0113】
前記透析スタックは全部で800個の駆動セルと、100個の脱塩セルとを有する。使われた陽イオン交換膜120は、ネオ隔壁AFN膜である。使われた陰イオン交換膜122は、ネオ隔壁CM-1膜である。各膜120、122は、生産物、希釈液又は濃縮液と接触する1500cmの表面積を有する(各膜120、122は50cmの高さ及び30cmの奥行きを有する)。生産物、希釈液及び濃縮液の各室の厚さは0.02cmである。アノード及びカソード124、126は、白金メッキされたチタンで作られる。室間のガスケットは、ポリプロピレン製である。
【0114】
プラント1001は、1日あたり0.04%塩濃度で、1日あたり1mの飲料水を生成する。生産物原料は、透析スタック901に入力されるとき、3.50%の塩濃度を有する。希釈液及び濃縮液が透析スタック901に入力されるとき、希釈液はまた3.50%の塩濃度を有し、濃縮液は18.00%の塩濃度を有る。希釈液及び濃縮液が透析スタック901を離れるとき、希釈液及び濃縮液は4.90%及び16.90%の塩濃度をそれぞれ有する。希釈液、濃縮液及び生産物原料は、38.7m/日、36.4m/日及び1.01m/日の速度でそれぞれ透析スタック901に流入する。希釈液及び濃縮液は、38.92m/日及び36.16m/日で、透析スタック901からそれぞれ流出する。
【0115】
水源1004中の水の塩濃度は3.50%である。水は39.75m/日の速さで水源1004から汲み上げられる。この水のうち、1.01m/日が塩水貯蔵所1010に送られ、他方38.74m/日が希釈液貯蔵所1026に送られる。使われた希釈液の一部は、透析スタック1002から10.9m/日の速度で濃縮液貯蔵所1020に送られる。使われた希釈液の残部は、28.0m/日の速度で直接に塩水貯蔵所1010に放出され、希釈液貯蔵所1026には送られない。
【0116】
蒸発噴水池1201は75mの池表面1214領域を有する。池1201には3つのノズル1202を使う。ノズル噴射サイクルあたり、蒸発する水のパーセントは4.0%である。噴水池1201は、16.90%の濃度で透析スタック1002から流体を受け入れ、18.00%の濃度で流体を濃縮液貯蔵所1020に戻す。
【0117】
本発明の図示の実施例が説明されたが、本発明の範囲と精神から逸脱せずに様々の変更が可能であることが理解できるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の記載によってのみ制限されるように考慮されるものである。
【符号の説明】
【0118】
1−4 脱塩ステージ
101、201、301、401、501、601、701、801、901、1002、1102 透析スタック
110 濃縮液室
112 希釈液室
104 希釈液供給導管
106 生産物原料供給導管
114 カソード電解質室
116 アノード電解質室、
118 生産物室
120 陽イオン交換膜
122 陰イオン交換膜
124 カソード
126 アノード
128 電圧源
132 希釈液出口導管
134 生産物出口導管
140、142、144、146、148 駆動セル
150 脱塩セル
152 生産物室陽イオン交換膜
154 生産物室陰イオン交換膜
158、858 スタック端イオン交換膜
160 陽イオン解放室
162 陰イオン解放室
404 バス
408 端板
504 希釈液出口マニホルド
506 濃縮液出口マニホルド
508 生産物出口マニホルド
510 濃縮液供給マニホルド
512 希釈液供給マニホルド
708 ガスケット
710 スペーサ
714 端板
738(a) 入口ノッチ
738(b) 出口ノッチ
804 希釈液/濃縮液供給導管
805 生産物/希釈液供給導管
806 希釈液/生産物供給導管
812 濃縮液/希釈液室
814、816 第1及び第2の電解質室
810 濃縮液/希釈液室
812 希釈液/濃縮液室
818 生産物/希釈液室
819 希釈液/生産物室
824、826 第1及び第2の電極
828 濃縮液/希釈液出口導管
830 希釈液/濃縮液出口導管
831 生産物/希釈液出口導管
832 希釈液/生産物出口導管
844(a)−(h) 入口バルブ
844(i)−(p) 出口バルブ
852 生産物/希釈液室陽イオン交換膜
854 生産物/希釈液室陰イオン交換膜
856 希釈液/生産物室陰イオン交換膜
914 初期ステージ生産物室
916 引き続くステージの生産物室
1001 プラント
1004 水源
1006 前処理システム
1010 塩水貯蔵所
1020 濃縮液貯蔵所
1026 希釈液貯蔵所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)駆動電圧を生成するための複数の駆動セルであってそれぞれが第1のイオン濃度の希釈液を収容するための希釈液室と、前記第1のイオン濃度より高い第2のイオン濃度の濃縮液を収容するための濃縮液室と、前記希釈液及び濃縮液の両室との間で共有された境界を形成しまた該両室とイオン連通する、陽イオン又は陰イオンのうちの一方の交換膜と、各駆動セル及びその隣接する駆動セルとの間で共有された境界を形成しまた該両駆動セルとイオン連通する、陽イオン又は陰イオンのうちの他方の交換膜とを含む複数の駆動セルと、
(b)生産物室陰イオン交換膜及び生産物室陽イオン交換膜と、
(c)脱塩される塩水を収容する生産物室であって一側で前記生産物室陰イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、また他側で前記生産物陽イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通する前記生産物室陰イオン又は陽イオンの交換膜を経て前記複数の駆動セルとイオン連通する生産物室と、
(d)希釈液を希釈液室へ及び該希釈液室から移し脱塩されるべき前記塩水を前記生産物室へ及び脱塩された塩水を前記生産物室からそれぞれ移すように構成された希釈液、濃縮液及び生産物のマニホルドから成るマニホルドアセンブリとを含む、塩水脱塩装置。
【請求項2】
さらに、前記希釈液室、濃縮液室及び生産物室のそれぞれを取り囲む希釈液室ガスケット、濃縮液室ガスケット及び生産物室ガスケットを含み、前記希釈液室、濃縮液室及び生産物室の各ガスケットは、陽イオン及び陰イオンの両交換膜の分離を維持するためのスペーサをそれぞれに収容する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記希釈液、濃縮液及び生産物のマニホルドは、希釈液供給導管及び希釈液出口導管と、濃縮液供給導管及び濃縮液出口導管と、生産物原料供給導管及び生産物材料出口導管とから成り、該各導管が、希釈液、濃縮液及び生産物の前記各ガスケットを通って伸び、
(a)希釈液のマニホルドは、さらに、前記希釈液供給導管を前記希釈液室に流体的に結合する前記希釈液室ガスケットの入口ノッチと、前記希釈液出口導管を前記希釈液室に流体的に結合する前記希釈液室ガスケットの出口ノッチとを含み、
(b)前記濃縮液のマニホルドは、さらに、前記濃縮液供給導管を前記濃縮液室に流体的に結合する前記濃縮液室ガスケットの入口ノッチと、前記濃縮液出口導管を前記濃縮液室に流体的に結合する前記濃縮液室ガスケットの出口ノッチとを含み、また
(c)前記生産物マニホルドは、さらに、前記生産物原料供給導管を前記生産物室に流体的に結合する前記生産物室ガスケットの入口ノッチと、前記生産物出口導管を前記生産物室に流体的に結合する前記生産物室ガスケットの出口ノッチとを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
さらに、前記生産物室陰イオン交換膜及び生産物室陽イオン交換膜を通して、それぞれ前記生産物室とそれぞれイオン連通する陰イオン解放室及び陽イオン解放室を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
さらに、
(a)電解質を収容するためのアノード及びカソードの電解質室と、
(b)アノード及びカソードのスタック端イオン交換膜であって該アノード及びカソードのスタック端の両イオン交換膜を通して前記アノード及びカソードの両電解質室は前記複数の駆動セル及び生産物室とそれぞれイオン連通する、アノード及びカソードのスタック端イオン交換膜と、
(c)アノード及びカソードであって、アノード電解質室は一側で前記アノードスタック端イオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通し、また他側で前記アノードに接し、該アノードと導電状態にあり、前記カソード電解質室は一側で前記カソードスタック端イオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通し、また他側で前記カソードに接し、該カソードと導電状態にある、アノード及びカソードとを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の駆動セル、生産物室、陰イオン解放室及び陽イオン解放室は、リング形状に配列されている、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の駆動セル、生産物室、陰イオン解放室及び陽イオン解放室は、螺旋形状に巻かれている、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
さらに、前記アノード及びカソード間で電気的に結合された電圧源を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
さらに、前記アノード及びカソード間で電気的に結合された電気負荷を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記アノード及びカソードはそれぞれ被覆膜を有する基板から成り、該基板は、チタン、ニオブ、タンタル、イリジウム、パラジウム、スチール、ステンレススチール、ニッケル及びグラファイトから成るグループから選ばれた素材で構成され、前記被覆膜は、プラチナ、ルテニウム、イリジウムと、プラチナ、ルテニウム及びイリジウムを含む合金とから成るグループから選ばれた素材から成る、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
さらに、
(a)前記アノード電解質室を前記カソード電解質室に流体的に結合する電解質室流体導管と、
(b)前記アノード及びカソードの電解質室の一方で形成された電気化学反応の副産物を前記電解質室の他方で反応物として使うことができるように、前記アノード及びカソードの電解質室の一方からその他方へ電解質を汲み上げるように構成された前記電解質室流体導管と流体的に連通するポンプとを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項12】
前記アノード又はカソードの一方で生産されるガスが該アノード又はカソードの他方に循環することができるように、前記アノード及びカソードは、互いとガス連通するガス拡散電極である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
さらに、
(a)電解質を収容するための第1及び第2の電解質室と、
(b)第1及び第2のイオン交換膜であって該第1及び第2のイオン交換膜を通して前記第1及び第2の電解質室は、前記複数の駆動セル及び生産物室とイオン連通する、第1及び第2のイオン交換膜と、
(c)多孔性の第1及び第2の端板であって前記第1の電解質室は、一側で前記多孔性の第1の端板に接し該端板とイオン連通し、また他側で前記第1のイオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、前記第2の電解質室は、一側で前記多孔性の第2の端板に接し該端板とイオン連通し、また他側で前記第2のイオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通する、多孔性の第1及び第2の端板を含み、前記装置は、該装置が導電性バスに沈められると、イオン電流が前記多孔性の第1及び第2の端板を通して前記第1及び第2の電解質室間を前記導電性バス内に流れるように、封止されている、請求項4に記載の装置。
【請求項14】
さらに、
(a)電解質を収容するための第1及び第2の電解質室と、
(b)第1及び第2のイオン交換膜であって該第1及び第2のイオン交換膜を通して前記第1及び第2の電解質室は、前記複数の駆動セル及び生産物室とイオン連通する、第1及び第2のイオン交換膜と、
(c)第1及び第2の端板であって前記第1の電解質室は、一側で前記第1の端板に接し該端板とイオン連通し、また他側で前記第1のイオン交換膜に接し、前記第2の電解質室は、一側で前記多孔性の第2の端板に接し該端板とイオン連通し、また他側で前記第2のイオン交換膜に接する、第1及び第2の端板と、
(d)前記第1の電解質室を前記第2の電解質室に流体的に結合する電解質室流体導管と、
(e)前記第1及び第2の電解質室の一方からその他方に電解質を汲み上げるように構成された電解質室流体導管と流体的に連通するポンプとを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項15】
順極性及び逆極性で動作可能な塩水を脱塩するための装置であって、
(a)第1のイオン濃度の希釈液、該第1のイオン濃度より高い第2のイオン濃度の濃縮液及び脱塩される塩水を受け入れるように構成されたスタックであって
(i)複数の駆動セルであってそれぞれが、希釈液/濃縮液室と、濃縮液/希釈液室と、前記希釈液/濃縮液室及び前記濃縮液/希釈液室との間で共有された境界を形成し該両者とイオン連通する、陽イオン又は陰イオンのうちの一方の交換膜と、各駆動セル及びその隣接する駆動セルとの間で共有された境界を形成し該両駆動セルとイオン連通する、陽イオン又は陰イオンのうちの他方の交換膜とを含む複数の駆動セルと、
(ii)生産物/希釈液室陰イオン交換膜及び生産物/希釈液室陽イオン交換膜と、
(iii)生産物/希釈液室であって一側で前記生産物/希釈液室陰イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、また他側で前記生産物/希釈液室陽イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、前記生産物/希釈液室陰イオン又は陽イオン交換膜を経てイオン連通する生産物/希釈液室と、
(iv)希釈液/生産物室陰イオン交換膜及び希釈液/生産物室陽イオン交換膜と、
(v) 希釈液/生産物室であって一側で前記希釈液/生産物室陰イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、また他側で前記希釈液/生産物室陽イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、前記希釈液/生産物室陰イオン又は陽イオンの両交換膜を経て前記駆動セルとイオン連通する、希釈液/生産物室とを含むスタックと、
(b)前記装置が順極性で運転されているとき、希釈液を前記希釈液/濃縮液及び希釈液/生産物室へ及び該希釈液/濃縮液及び希釈液/生産物室から、濃縮液を前記濃縮液/希釈液室へ及び該濃縮液/希釈液室から、また脱塩されるべき前記塩水を前記生産物/希釈液室へ及び脱塩された塩水を前記生産物/希釈液室からそれぞれ移すように構成され、また前記装置が逆極性で運転されているとき、希釈液を前記濃縮液/希釈液及び生産物/希釈液室へ及び該濃縮液/希釈液及び生産物/希釈液室から、濃縮液を前記希釈液/濃縮液へ及び該希釈液/濃縮液から、また脱塩されるべき前記塩水を前記希釈液/生産物室へ及び脱塩された塩水を前記希釈液/生産物室からそれぞれ移すように構成された希釈液/濃縮液、濃縮液/希釈液、生産物/希釈液、及び希釈液/生産物のマニホルドから成るマニホルドアセンブリとを含む、脱塩装置。
【請求項16】
さらに、前記希釈液/濃縮液室、前記濃縮液/希釈液室、前記生産物/希釈液室及び前記希釈液/生産物室のそれぞれを取り囲む希釈液/濃縮液室ガスケット、濃縮液/希釈液室ガスケット、生産物/希釈液室ガスケットを含み、前記希釈液/濃縮液室、濃縮液/希釈液室、前記生産物/希釈液室の各ガスケットは陽イオン及び陰イオンの両交換膜の分離を維持するためのスペーサをそれぞれに収容する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記希釈液/濃縮液、濃縮液/希釈液、生産物/希釈液、及び希釈液/生産物のマニホルドは、それぞれ希釈液/濃縮液供給導管及び希釈液/濃縮液出口導管と、濃縮液/希釈液供給導管及び濃縮液/希釈液出口導管と、生産物/希釈液供給導管及び生産物/希釈液出口導管と、希釈液/生産物供給導管及び希釈液/生産物出口導管とから成り、該各導管が、前記希釈液/濃縮液、濃縮液/希釈液、生産物/希釈液及び希釈液/生産物の前記各ガスケットを通って伸び、
(a)希釈液/濃縮液のマニホルドは、さらに、前記希釈液/濃縮液供給導管を前記希釈液/濃縮液室に流体的に結合する前記希釈液室ガスケットの入口ノッチと、前記希釈液/濃縮液出口導管を前記希釈液/濃縮液室に流体的に結合する前記希釈液/濃縮液室ガスケットの出口ノッチとを含み、
(b)前記濃縮液/希釈液のマニホルドは、さらに、前記濃縮液/希釈液供給導管を前記濃縮液/希釈液室に流体的に結合する前記濃縮液/希釈液室ガスケットの入口ノッチと、前記濃縮液/希釈液出口導管を前記濃縮液/希釈液室に流体的に結合する前記濃縮液/希釈液室ガスケットの出口ノッチとを含み、
(c)前記生産物/希釈液マニホルドは、さらに、前記生産物/希釈液供給導管を前記生産物/希釈液室に流体的に結合する前記生産物室ガスケットの入口ノッチと、前記生産物/希釈液出口導管を前記生産物/希釈液室に流体的に結合する前記生産物/希釈液室ガスケットの出口ノッチとを含み、また
(d)前記希釈液/生産物マニホルドは、さらに、前記希釈液/生産物供給導管を前記希釈液/生産物室に流体的に結合する前記希釈液/生産物室ガスケットの入口ノッチと、前記希釈液/生産物出口導管を前記希釈液/生産物室に流体的に結合する前記希釈液/生産物室ガスケットの出口ノッチとを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
さらに、
(a)電解質を収容するための第1及び第2の電解質室と、
(b)第1及び第2のスタック端イオン交換膜であって前記第1及び第2の電解質室は前記第1及び第2のイオン交換膜を通して前記希釈液/濃縮液、濃縮液/希釈液、生産物/希釈液及び希釈液/生産物の各室とそれぞれイオン連通する、第1及び第2のスタック端イオン交換膜と、
(c)第1及び第2の電極であって、前記第1の電解質室は、一側で前記第1のスタック端イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、また他側で前記第1の電極に接し該電極と電気的に連通し、前記第2の電解質室は、一側で前記第2のスタック端イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、また他側で前記第2の電極に接し、該電極と電気的に連通する、第1及び第2の電極とを含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1及び第2の電極はそれぞれ被覆膜を有する基板から成り、該基板は、チタン、ニオブ、タンタル、イリジウム、パラジウム、スチール、ステンレススチール、ニッケル及びグラファイトから成るグループから選ばれた素材で構成され、前記被覆膜は、プラチナ、ルテニウム、イリジウムと、プラチナ、ルテニウム及びイリジウムを含む合金とから成るグループから選ばれた素材から成る、請求項5に記載の装置。
【請求項20】
塩水を脱塩するためのプラントであって、
(a)請求項1から14のいずれか一項に記載の装置と、
(b)濃縮液を生成するために前記装置を出る前記希釈液から水を除去するように構成された第1の再凝縮器と
(c)前記第1の凝縮器及び前記濃縮液室の両方と流体的に連通する前記濃縮液を入れるための濃縮液貯蔵所とを含む、塩水脱塩プラント。
【請求項21】
さらに、
(a)脱塩されるべき前記塩水を入れるための、前記生産物室に流体的に連通する塩水貯蔵所と、
(b)前記希釈液を入れるための、前記駆動セルに流体的に連通する希釈液貯蔵所と、
(c)脱塩された塩水を蓄えるための、前記生産物室に流体的に連通する希釈液貯蔵所とを含む、請求項20に記載のプラント。
【請求項22】
さらに、前記塩水が前記塩水貯蔵所に入るに先立って脱塩されるべき前記塩水を処理するための、前記塩水貯蔵所に流体的に結合された前処理センターを含む、請求項21に記載のプラント。
【請求項23】
さらに、前記濃縮液貯蔵所及び前記装置を流体的に連通し、前記装置を出る前記濃縮液から水を除去するように構成された第2の再凝縮器を含む、請求項22に記載のプラント。
【請求項24】
前記前処理センターは、前記希釈液が前記希釈液貯蔵所に入るに先立って前記希釈液を処理するために前記希釈液貯蔵所に流体的に結合されている、請求項22に記載のプラント。
【請求項25】
前記第1及び第2の再凝縮器の一方又は双方は、蒸発性の池、蒸発性の噴水池、自然通気蒸発塔及び強制通気蒸発塔から成るグループから選ばれる、請求項23に記載のプラント。
【請求項26】
さらに、熱源からの熱を前記第1及び第2の再凝縮器の一方又は双方に移送するために、前記第1及び第2の再凝縮器一方又は双方に流体的に結合された熱交換器を含む、請求項23に記載のプラント。
【請求項27】
(a)駆動電圧を発生させるために複数の駆動セルを使用すること、
(b)脱塩されるべき塩水を収容し前記複数の駆動セルとイオン連通する生産物室を横切るに充分な電圧であって、前記生産物室は一側で生産物室陰イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、他側で生産物室陽イオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、また脱塩電圧を有し、電圧が脱塩電圧を超えて前記生産物室に印加されたとき、陽イオン及び陰イオンが前記生産物室陽イオン及び陰イオン交換膜のそれぞれを通って前記塩水から移動し、前記駆動電圧を含む前記脱塩電圧以上の充分な電圧を印加することを含む、塩水を脱塩する方法。
【請求項28】
駆動電圧を発生させるために複数の駆動セルを使用することは、
(a)第1のイオン濃度の希釈液を前記複数の駆動セルの希釈液室を通って流すこと、
(b)前記第1のイオン濃度より高い第2のイオン濃度であって、陽イオン又は陰イオン交換膜の一方は、前記濃縮液から前記希釈液へイオンが流れるように前記希釈液及び濃縮液に共有された境界を形成し該両液とイオン連通する前記陽イオン又は陰イオン交換膜の他方は、隣接する一対の駆動セル間で共有された境界を形成し該両セルとイオン連通する、第2のイオン濃度の濃縮液を前記複数の駆動セルの濃縮液室を通って流すことを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
さらに、陰イオン及び陽イオンの解放室を通して脱塩される塩水のイオン濃度以上のイオン濃度を有する溶液を流すことを含み、前記陰イオン及び陽イオンの各解放室は、生産物室陰イオン交換膜及び生産物室陽イオン交換膜を経て前記生産物室とイオン連通する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記希釈液は、前記陰イオン及び陽イオンの各解放室を通って流れる溶液である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記希釈液及び脱塩される塩水は同じでものある、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記希釈液及び前記濃縮液は塩水である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記駆動電圧は脱塩電圧以上である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
アノード及びカソードの各電解質室を通して電解質を流すことをさらに含み、前記アノード電解質室は、一側でアノードスタック端イオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通し、他側でアノードに接し該アノードと電気的に連通し、前記カソード電解質室は、一側でカソードスタック端イオン交換膜に接し、該イオン交換膜とイオン連通し、他側でカソードに接し該カソードと電気的に連通し、前記アノード及びカソードの各電解質は前記アノード及びカソードのスタック端イオン交換膜を経てそれぞれ前記生産物室にイオン的に連通し、前記アノード及びカソードは、電子が前記アノードからカソードに流れるように、互いに電気的に連通する、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記希釈液及び濃縮液は、前記希釈液及び濃縮液の室をそれぞれ逆流方向に流れる、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
さらに、
(a)前記駆動セルと直列にイオン連通し、一側で初期ステージ生産物室陰イオン交換膜に接し該陰イオン交換膜とイオン連通し、他側で初期ステージ生産物室陽イオン交換膜に接し該陽イオン交換膜とイオン連通しする初期脱塩ステージであって、前記初期ステージ生産物室は、前記脱塩電圧を超えて前記初期ステージ生産物室に電圧が印加されたとき陽イオン及び陰イオンが前記初期ステージ生産物室陽イオン及び陰イオン交換膜をそれぞれ通って前記塩水から移動するような脱塩電圧を有する初期脱塩ステージを通って脱塩する塩水を流すこと、
(b)一側で引き続くステージの生産物室陽イオン交換膜に接し該陽イオン交換膜とイオン連通し、他側で引き続くステージ生産物室陽イオン交換膜に接し該陽イオン交換膜とイオン連通する引き続く脱塩ステージ生産物室を含む引き続く脱塩ステージであって前記引き続くステージの生産物室は、前記脱塩電圧を超えて前記引き続くステージ生産物室に電圧が印加されたとき陽イオン及び陰イオンが前記引き続くステージ生産物室陽イオン及び陰イオン交換膜をそれぞれ通って前記塩水から移動し、脱塩される前記塩水が前記初期ステージ及び引き続くステージ生産物室を通って流れるような脱塩電圧を有する引き続く脱塩ステージを通って脱塩される前記塩水を流すこと、及び
(c)前記初期及び引き続くステージ生産物室の脱塩電圧の合計以上の駆動電圧を含む充分な電圧を前記初期及び引き続くステージ生産物室を横切って印加することを含む、請求項29に記載に方法。
【請求項37】
前記初期及び引き続くステージの生産物室の一方又は両方が複数の生産物室を含み、前記脱塩される塩水を前記初期及び引き続く脱塩ステージを通して流すことは、前記脱塩される塩水をいずれかのステージの前記複数の生産物室を通って平行に流すことを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
さらに、前記アノード及びカソード間に電気的に結合された電圧源を使用して前記アノード及びカソードを横切って外部電圧を印加することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
さらに、前記駆動電圧が前記脱塩電圧より大きいとき、前記アノード及びカソード間に電気的に結合された電気負荷に電力を供給することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記電解質は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム又はカリウムの陽イオンを含み、前記アノード及びカソードのイオン交換膜は、いずれも陽イオン交換膜である、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記電解質は、塩素、硫酸塩又は臭素の陰イオンを含み、前記アノード及びカソードのイオン交換膜は、いずれも陰イオン交換膜である、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記電解質は、NaSO、NaCl、NaOH、HCl、NaFe(CN)、Na、Na、NaFe(CN)、KFe(CN)、KFe(CN)、Na、NHCl、NH、NaCr、及びCrClから成るグループから選ばれる、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
さらに、前記アノード及びカソードの両電解質室の一方に形成される電気化学反応副産物が前記両電解質室の他方の反応物として使うことができるように、前記アノード及びカソードの両電解質室の前記一方からその前記他方へ電解質を汲み上げることを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
さらに、
(a)第1及び第2の電解質室であって、前記第1の電解質室は、一側で第1のイオン交換膜に接し該イオン交換膜とイオン連通し、他側で多孔性の第1の端板に接し該端板とイオン連通し、前記第2の電解質室は、一側で第2の交換膜に接し該交換膜とイオン連通し、他側で多孔性の第2の端板に接し該端板とイオン連通し、前記第1及び第2のイオン交換膜を経て前記生産物室とイオン的に連通する前記第1及び第2の電解質室を通って濃縮液を流すこと、及び
(b)イオン電流が導電性バスと、多孔性の前記第1及び第2の端板との間で流れるように、多孔性の前記第1及び第2の端板を前記導電性バスに沈めることとを含む、請求項29に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2011−525420(P2011−525420A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515031(P2011−515031)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000080
【国際公開番号】WO2009/155683
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(510337654)ソルトワークス テクノロジーズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】