説明

濃度計測装置

【課題】気流中に含まれる複数種類のガスの濃度測定を平行して効率よく行うことを可能とする濃度計測装置を提供する。
【解決手段】本発明の濃度計測装置10は、ガス発生部21A、21Bから第1ガス13と第2ガス22を下流方向に拡散させる風洞11Aを具備している。第1ガス第1計測口X1−1と第2ガス第1計測口X2−1とは、前記風洞11Aの第1地点X12−1に近接配置され、前記第1ガス13と前記第2ガス22は、互いに種類が異なる。また、本発明の濃度計測装置10は、前記拡散された第1ガス13を前記第1ガス第1計測口X1−1から取り込み、前記取り込まれた第1ガス13の濃度C1iを計測するための第1ガス濃度計測装置16−1と、前記拡散された第2ガス22を前記第2ガス第1計測口X2−1から取り込み、前記取り込まれた第2ガス22の濃度C2iを計測するための第2ガス濃度計測装置26とを具備する。尚、16−1は16−j(j=2,3,…,nのいずれか)に読み替えが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃度計測装置に関し、特に、気流中に含まれる複数種類のガスの濃度の各々を測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場内の煙突から排出される煙の拡散状況を実験室内で模擬するときには、特許文献1の第1図に例示されるように、実験用風洞を具備したガス吸引装置が用いられる。このガス吸引装置は、同一の高さに複数本立てて並べられた定量ポット、上記の定量ポットの上端に接続され、他端が所望のガス吸引装置に開口して接続されるサンプリング管、上記の定量ポットの下端同士を連通させたヘッダの各々を具備している。また、このガス吸引装置は、上記の定量ポット、及びヘッダ内に注入された液体、一端が上記のヘッダに接続され、他端が上記の定量ポット下端の高さに開口したオーバーフロー管、上記のオーバーフロー管に備えられる弁、上記のヘッダに接続された排出管、上記の排出管に備えられた排出ポンプの各々を具備している。
【0003】
半導体製造装置中の成膜装置、乾式エッチング装置等においては、シラン、ホスフィン等の特殊材料ガス、塩素ガス等の腐食性ガス、水素ガス等の強粘性ガスといったプロセスガスが使用される。このプロセスガスを用いた、マスフローコントローラの流量測定を行うことを目的とする、マスフローコントローラ流量検定システムは、特許文献2に例示される。このマスフローコントローラ流量検定システムは、プロセスガス遮断弁とマスフローコントローラとを順次経由して、プロセスガス源からのプロセスガスをプロセスチャンバに供給する複数のプロセスガスライン、計測ガス供給源からのプロセスガスが上記のマスフローコントローラの各々を経由して排出されるように、上記のプロセスガスラインに分岐接続された計測ガスラインとを具備している。
【0004】
非特許文献1の図4に、従来の濃度計測装置に係る構成の一例が示される。本明細書に添付される図8は、この従来の濃度計測装置を用いてトレーサガスの濃度計測を行うときの実験形態を示した図である(但し、データ処理を行うための機器等は省略している)。この濃度計測装置は、トレーサガス供給装置13A(煙突11と図示しない流量計を介して接続される)、13B(煙突12と図示しない流量計を介して接続される)、測定室11A、内部に吸収液(水)16A−i(i=1,2,…,n)が注入され、上部がコルク等で栓のされたビーカー16−i、吸引装置17の各々を具備している。測定室11Aは、その内部に、送風機(送風機を回転させるための電動機も含む)11B、煙突11(底面18からの高さ:L1)、12(底面18からの高さ:L2)、サンプリング孔X1−i、サンプリング孔X1−iから敷設され、水16−iに挿入される管14−i、ビーカー16−iの気相部15A−iと吸引装置17とを接続する管15−iの各々を含んでいる。複数のサンプリング孔X1−iを設置することで、各点のトレーサガス(アンモニア(NH3)ガス)濃度(以下、「アンモニアガス濃度C1i(i=1,2,…,n)」と記す)を測定することが可能となっている。
【0005】
送風機11Bは、所定の速度でZ1方向に回転することで、測定室11B内にZ2方向の風を流通させる。トレーサガス供給装置13A、13Bの各々は、トレーサガス13を測定室11Aの内部に供給するための、各種のトレーサガス発生装置で構成される(以下、従来の技術において「トレーサガス13」を「アンモニアガス13」と記す)。吸引装置17は、特許文献1の図2に示されるように、液体の注入された定量ポット、ヘッダの各々、オーバーフロー管、弁、排出管、排出ポンプ等を具備している(定量ポットは、各々、サンプリング管15−iと接続されている)。吸引装置17においては、貯水タンクからオーバーフロー管、ヘッダの各々を介して定量ポットへ液体が吸引されるように制御され、この結果、定量ポット内に一定の高さで液体が注入される。このときの液体の高さは、アンモニアガス13に対して予め定められた吸引速度によって異なる。吸収液16A−iは、吸引装置17によって、サンプリング孔X1−iから吸収液16A−iへ吸引されたアンモニアガス13を吸収する。底面18は、測定室11Aの下底部平面に相当し、底面18からは山18A等の地形が形成されている。
【0006】
図8の(a)は、アンモニアガス濃度C1iの1回目の測定に相当する。このとき、トレーサガス発生装置13Aからアンモニアガス13が供給され、Z2方向に流通する。供給されたアンモニアガス13の一部は、サンプリング孔X1−iから管14−iを介して、吸収液16−iに吸収される。所定時間の後、アンモニアガス13の供給を停止させ、更に、アンモニアガス13の溶解した吸収液16A−iの電気伝導度を測定することにより、サンプリング孔X1−iの設置される地点の各々における、アンモニアガス濃度C1iが決定される。図8の(b)は、アンモニアガス濃度C1iの2回目の測定に相当する。このとき、アンモニアガス発生装置13Bからアンモニアガス13が供給され、Z2方向に流通する(測定室11Aの内部を十分に空気で十分に置換した後に、アンモニアガス13が供給される)。所定時間の経過の後、同様の方法によってサンプリング孔X1−iの地点の各々における、アンモニアガス濃度C1iが決定される。
【0007】
【特許文献1】特公平1−34110号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】特開平11−223568号公報
【非特許文献1】三菱重工業株式会社「大気環境予測技術」(第7頁、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、気流中に含まれる複数種類のガスの濃度測定を平行して行うことを可能とする濃度計測装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、気流中に含まれるガスの濃度測定においてガスクロマトグラフ法を用いるときに、測定装置(ガスクロマトグラフフィ)に流入されるガス量が常に一定となる濃度計測装置を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、気流中に含まれる複数種類のガスの濃度測定を平行して行うときに、各々のガス濃度の測定点が同一である濃度計測装置を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、気流中に含まれる複数種類のガスの濃度測定を平行して行うときに、測定される各々のガスのガス圧が同一である濃度計測装置を提供することにある。
【0012】
本発明の更に他の目的は、気流中に含まれる複数種類のガスの濃度測定を平行して行うときに、各々のガスの測定量を最適な値に調節することの可能な濃度計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を括弧付で用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0014】
本発明の濃度計測装置(10)は、拡散された第1ガス(13)を第1ガス第1計測口(X1−1)から取り込み、前記取り込まれた第1ガス(13)の濃度(C1i)を計測するための第1ガス濃度計測装置(16−1)を具備している。前記第1ガス(13)と第2ガス(22)は、互いに種類が異なり、ガス発生部(21A、21B)から下流方向(Z2)に拡散させられる。前記拡散された第2ガス(22)を第2ガス第1計測口(X2−1)から取り込み、前記取り込まれた第2ガス(X1−1)の濃度(C2i)を計測するための第2ガス濃度計測装置(26)を具備している。前記第1ガス第1計測口(X1−1)と前記第2ガス第1計測口(X2−1)とは第1地点(X12−1)に近接配置されている。尚、X1−1はX1−j(j=2,3,…,nのいずれか)、X2−1はX2−j、X12−1はX12−jにそれぞれ読み替えが可能である(以下も同様)。
【0015】
本発明の濃度計測装置(10)は、ガス発生部(21A、21B)から第1ガス(13)と第2ガス(22)を下流方向に拡散させる風洞(11A)を具備している。第1ガス第1計測口(X1−1)と第2ガス第1計測口(X2−1)とは、前記風洞(11A)の第1地点(X12−1)に近接配置され、前記第1ガス(13)と前記第2ガス(22)は、互いに種類が異なる。また、本発明の濃度計測装置(10)は、前記拡散された第1ガス(13)を前記第1ガス第1計測口(X1−1)から取り込み、前記取り込まれた第1ガス(13)の濃度(C1i)を計測するための第1ガス濃度計測装置(16−1)と、前記拡散された第2ガス(22)を前記第2ガス第1計測口(X2−1)から取り込み、前記取り込まれた第2ガス(22)の濃度(C2i)を計測するための第2ガス濃度計測装置(26)とを具備する。尚、16−1は16−j(j=2,3,…,nのいずれか)に読み替えが可能である(以下も同様)。
【0016】
本発明の濃度計測装置(10)において、前記第1ガス(13)は、溶液(16A−1)に吸収され、前記第1ガス濃度計測装置(16−1)は、前記吸収された第1ガス(13)の量の測定に用いられる。また、前記第2ガス(22)は前記溶液(16A−1)には吸収されず、前記第2ガス濃度計測装置(26)はガスクロマトグラフ(26)である。尚、16A−1は16A−j(j=2,3,…,nのいずれか)に読み替えが可能である(以下も同様)。
【0017】
本発明の濃度計測装置(10)において、前記ガスクロマトグラフ(26)には、前記第2ガス(22)と、前記第2ガス(22)を希釈するための空気(AIR)とを含む混合ガス(13、22、AIR)が供給される。本発明の濃度計測装置(10)は、前記供給される混合ガス(13、22、AIR)の量(V13)が一定になるように、前記流入される第2ガス(26)の量(V1)と、前記流入される空気(AIR)の量(V3)の各々を調節する流入量調節部(25−1、27−1、28−1)を更に具備する。尚、25−1は25−j、27−1は27−j、28−1は28−jにそれぞれ読み替えが可能である(以下も同様)。
【0018】
本発明の濃度計測装置(10)において、前記第2ガス(22)の流通する第1管(23−1)と、前記空気(AIR)の流通する第2管(23A−1)とを更に具備している。前記第1管(23−1)と前記第2管(23A−1)は、接続点(X4A−1)において接続される。前記流入量調節部(25−1、27−1、28−1)は、前記第1管(23−1)に備えられ、前記第1管(23−1)内を流通する第2ガス量(V1)を調節するための第1弁(25−1)と、前記第2管(23A−1)に備えられ、前記第2管(23A−1)内を流通する空気量(V3)を調節するための第2弁(27−1)とを具備する。また、前記流入量調節部(25−1、27−1、28−1)は、前記第1弁(25−1)の開度と前記第2弁(27−1)の開度の各々を調節することで、前記第1管(23−1)内を流通する第2ガス量(V1)と、前記第2管(23A−1)内を流通する空気量(V3)の各々を調節する開度調節部(28−1)とを含んでいる。尚、23A−1は23A−j、X4A−1はX4A−jにそれぞれ読み替えが可能である(以下も同様)。
【0019】
本発明の濃度計測装置(10)において、第1ガス第2計測口(X1−2)と第2ガス第2計測口(X2−2)とは、前記第1地点(X12−1)から離れた第2地点(X12−2)に近接配置される。前記第1ガス濃度計測装置(16−1)は、前記拡散された第1ガス(13)を前記第1ガス第2計測口(X1−2)から取り込み、前記取り込まれた第1ガス(13)の濃度(C1i)を計測する。前記第2ガス濃度計測装置(26)は、前記拡散された第2ガス(22)を前記第2ガス第2計測口(X2−2)から取り込み、前記取り込まれた第2ガス(22)の濃度(C2i)を計測する。尚、X1−2はX1−k(k=1,3,…,nのいずれか)、X2−2はX2−k、X12−2はX12−kのそれぞれに読み替えることが可能である(以下も同様)。
【0020】
本発明の濃度計測装置(10)は、拡散された第1ガス(13)を第1計測口(X3−1)から取り込み、前記取り込まれた第1ガス(13)の濃度(C1i)を計測するための第1ガス濃度計測装置(16−1)を具備する。前記第1ガス(13)と第2ガス(22)は、互いに種類が異なり、ガス発生部(21A、21B)から下流方向(Z2)に拡散させられる。また、本発明の濃度計測装置(10)は、前記拡散された第2ガス(22)を前記第1計測口(X3−1)から取り込み、前記取り込まれた第2ガス(22)の濃度(C2i)を計測するための第2ガス濃度計測装置(26)とを具備する。
【0021】
本発明の濃度計測装置(10)は、ガス発生部(21A、21B)から第1ガス(13)と第2ガス(22)を下流方向(Z2)に拡散させる風洞(11A)を具備する。前記第1ガス(13)と前記第2ガス(22)は、互いに種類が異なる。また、本発明の濃度計測装置(10)は、前記拡散された第1ガス(13)を第1計測口(X3−1)から取り込み、前記取り込まれた第1ガス(13)の濃度(C1i)を計測するための第1ガス濃度計測装置(16−1)と、前記拡散された第2ガス(22)を前記第1計測口(X3−1)から取り込み、前記取り込まれた第2ガス(22)の濃度(C2i)を計測するための第2ガス濃度計測装置(26)とを具備する。尚、X3−1はX3−jに読み替えが可能である(以下も同様)。
【0022】
本発明の濃度計測装置(10)において、前記第1ガス(13)は、溶液(16A−1)に吸収され、前記第1ガス濃度計測装置(16−1)は、前記吸収された第1ガス(13)の量の測定に用いられる。前記第2ガス(22)は前記溶液(16A−1)には吸収されず、前記第2ガス濃度計測装置(26)はガスクロマトグラフ(26)である。
【0023】
本発明の濃度計測装置(10)において、前記第1ガス濃度計測装置(16−1)は、前記第1ガス(13)を吸引するための吸引装置(31)を備えている。前記第2ガス(22)は、前記ガスクロマトグラフ(26)に供給される。前記吸引装置(31)が吸引する前記第1ガス(13)の圧力は、前記ガスクロマトグラフ(26)に供給される前記第2ガス(22)の圧力と実質的に等しい。
【0024】
本発明の濃度計測装置(10)において、前記溶液(16A−1)は、容器(16−1)内に注入される。本発明の濃度計測装置(10)は、前記容器(16−1)と接続され、前記第1ガス(13)の流通する第1管(30A−1)と、前記ガスクロマトグラフ(26)と接続され、前記第2ガス(22)の流通する第2管(30−1)と、前記第1管(30A−1)に備えられ、前記第1管(30A−1)内を流通する第1ガス量(V1)を調節するための弁(25−1)と、前記第2管(30−1)に備えられ、前記第2ガス(22)を吸引するための第1ポンプ(31−1)とを更に具備する。前記吸引装置(31)は、前記弁(25−1)が閉塞されているときに、前記第1ガス(13)の圧力が設定値(Ps1)になるように前記第1ガス(13)を吸引し、前記弁(25−1)は、前記第1ガス(13)の圧力が前記設定値(Ps1)とされたときに開放される。前記第1ポンプ(31−1)は、前記第1ガス(13)の圧力が前記設定値(Ps1)とされたときに、前記第2ガス(22)を吸引して前記ガスクロマトグラフ(26)に前記第2ガス(22)を供給する。尚、30A−1は30A−jに読み替えが可能である(以下も同様)。
【0025】
本発明の濃度計測装置(10)は、前記第1ガス濃度計測装置(16−1)と前記ガスクロマトグラフ(26)に接続され、前記第1ガス(13)と前記第2ガス(22)とを含む混合ガス(13、22、AIR)を分配して、前記第1ガス濃度計測装置(16−1)と前記ガスクロマトグラフ(26)の各々に供給する分配器(35−1、36−1)を更に具備する。前記分配器(35−1、36−1)が前記第1ガス濃度計測装置(16−1)に供給する前記混合ガス(13、22、AIR)の量(V1)と、前記分配器(35−1、36−1)が前記ガスクロマトグラフ(26)に供給する前記混合ガス(13、22、AIR)の量(V2)の各々は一定である。
【0026】
本発明の濃度計測装置(10)において、前記分配器(35−1、36−1)は、第1分配器(35−1)と第2分配器(36−1)とを含んでいる。また、本発明の濃度計測装置(10)は、前記混合ガス(13、22、AIR)を吸引する第2ポンプ(34−1)と、前記第2ポンプ(34−1)が吸引した前記混合ガス(13、22、AIR)を分流して、前記第1分配器(35−1)と前記第2分配器(36−1)の各々に供給する分流部(40−1)とを更に具備する。前記第1分配器(35−1)は、前記ガスクロマトグラフ(26)と接続され、前記混合ガス(13、22、AIR)を分配して前記一定量の前記混合ガス(13、22、AIR)を前記ガスクロマトグラフ(26)に供給する。前記第2分配器(36−1)は、前記第1ガス濃度計測装置(16−1)と接続され、前記混合ガス(13、22、AIR)を分配して前記一定量の前記混合ガス(13、22、AIR)を前記第1ガス濃度計測装置(16−1)に供給する。
【0027】
本発明の濃度計測方法は、ガス発生部(21A、21B)から第1ガス(13)と第2ガス(22)を下流方向(Z2)に拡散させるステップ(S1b、S1c、S1d、S1e)を具備する。第1ガス第1計測口(X1−1)と第2ガス第1計測口(X2−1)とは、風洞(11A)の第1地点(X12−1)に近接配置され、前記第1ガス(13)と前記第2ガス(22)は、互いに種類が異なる。また、本発明の濃度計測方法は、前記拡散された第1ガス(13)を前記第1ガス第1計測口(X1−1)から取り込み、前記拡散された第2ガス(22)を前記第2ガス第1計測口(X2−1)から取り込むステップ(S2b、S2c、S2d、S2e)と、前記取り込まれた第1ガス(13)の濃度(C1i)を計測し、前記取り込まれた第2ガス(22)の濃度(C2i)を計測するステップ(S3b、S3c、S3d、S3e)とを具備する。
【0028】
本発明の濃度計測方法は、ガス発生部(21A、21B)から第1ガス(13)と第2ガス(22)を下流方向(Z2)に拡散させるステップ(S1b、S1c、S1d、S1e)を具備する。前記第1ガス(13)と前記第2ガス(22)は、互いに種類が異なる。また、本発明の濃度計測方法は、前記拡散された第1ガス(13)を第1計測口(X3−1)から取り込み、前記拡散された第2ガス(22)を前記第1計測口(X3−1)から取り込むステップ(S2b、S2c、S2d、S2e)と、前記取り込まれた第1ガス(13)の濃度(C1i)を計測し、前記取り込まれた第2ガス(22)の濃度(C2i)を計測するステップ(S3b、S3c、S3d、S3e)とを具備する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の濃度計測装置により、気流中に含まれる複数種類のガスの濃度測定を平行して行うことが可能となる。
【0030】
本発明の濃度計測装置により、気流中に含まれるガスの濃度測定においてガスクロマトグラフ法を用いるときに、測定装置(ガスクロマトグラフ)に流入されるガス量が常に一定とすることが可能となる。
【0031】
本発明の濃度計測装置により、気流中に含まれる複数種類のガスの濃度測定を平行して行うときに、各々のガス濃度の測定点を同一に設定することが可能となる。
【0032】
本発明の濃度計測装置により、気流中に含まれる複数種類のガスの濃度測定を平行して行うときに、測定される各々のガスのガス圧(上記のPs1に相当)を同一とすることが可能となる。
【0033】
本発明のガス濃度測定装置により、気流中に含まれる複数種類のガスの濃度測定を平行して行うときに、各々のガスの測定量を最適な値に調節することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1に係る濃度計測装置10の構成を示す。実施の形態1に係る濃度計測装置10は、トレーサガス供給装置21A(煙突19と接続される)、21B(煙突20と接続される)、測定室11A、内部に吸収液16A−i(i=1,2,…,n)を含み、上部がコルク等で栓のされたビーカー16−i、吸引装置17の各々を具備している。測定室11Aは、その内部に、送風機(送風機を回転させるための電動機も含む)11B、煙突19(底部18からの高さ:L1)、20(底部18からの高さ:L2)、サンプリング孔X1−i、サンプリング孔X1−iから敷設され、吸収液16−iに挿入される管14−i、ビーカー16−iの気相部15A−iと吸引装置17とを接続するガスサンプリング管15−iの各々を含んでいる。
【0035】
また、実施の形態1に係る濃度計測装置10は、吸引ポンプ24−i、サンプリング孔X2−i、サンプリング孔X2−iから敷設され、吸引ポンプ24に接続される管23−i、ガスクロマトグラフ26、吸引ポンプ24−iとガスクロマトグラフ26とを接続する管25−iの各々を具備している。サンプリング孔X1−iの各々とサンプリング孔X2−iの各々とは、地点X12−i内に近接して配置されている(例えば、サンプリング孔X1−1とサンプリング孔X2−1、サンプリング孔X1−2とサンプリング孔X2−2の各々は、互いに近接して配置されている。他のサンプリング孔X1−iと他のサンプリング孔X2−iとの配置関係も同様である)。従って、各々の地点X12−i内において、気流中のアンモニアガス濃度C1iとメタンガス濃度C2iは、実質的に均一とみなすことが可能である。
【0036】
吸引装置17、吸収液16A−i、底面18、山18Aの各々については、従来の技術で説明したものと同様である。トレーサガス供給装置21Aは、トレーサガス供給装置13A、13Bと同様に、煙突19を介してアンモニアガス13を測定室11Aの内部に供給する。トレーサガス供給装置21Bは、煙突20を介してメタンガス22を測定室11Aの内部に供給する。測定室11Aの内部に供給されたアンモニアガス13、メタンガス22(以下、これらを総称するときには、「トレーサガス13、22」と記す)の各々、及び測定室11A内の空気AIRは、Z2方向に所定速度で発生した風によって流通(拡散)する(以下、実施の形態2において、トレーサガス13、22、空気AIRを総称するときには、「流通ガス13、22、AIR」と記す)。
【0037】
流通した流通ガス13、22、AIRの一部は、吸引装置17による吸引に基づいて、サンプリング孔X1−iから管14−iに流入速度V2=30cc/minで流入する。また、流通した流通ガス13、22、AIRの一部は、吸引ポンプ24−iによる吸引に基づいて、サンプリング孔X2−iから管23−iに流入速度V1=200cc/minで流入する。管14−iに流入したアンモニアガス13は吸収液16−iに吸収され、管23−iに流入したメタンガス22はガスクロマトグラフ26によって検出される。ガスクロマトグラフ26は、FID(Flamed ionization detector)と同様の検出方法(FID法)でメタンガス22を検出し、検出結果(所定時間内にサンプリング孔X2−iから流入した流通ガス13、22、AIR全体中のメタンガス濃度C2i)を導出する。
【0038】
本発明の実施の形態1〜4においては、メタンガス22を例に挙げて説明しているが、その他の炭化水素(CH)系のガスであっても構わない。この場合においても、メタンガス22と同様にして測定室11A内をZ2方向に流通し、その一部はサンプリング孔X2−iから流入して、ガスクロマトグラフ26により検出される。
【0039】
実施の形態2に係る濃度計測装置10を用いることで、アンモニア13のように吸収液(水)16A−iに吸収されやすい(易溶性)のトレーサガスに対する濃度測定、及びメタンガス22のように吸収液(水)16A−iに吸収されにくい(難溶性)のトレーサガスに対する濃度測定の各々を同時に行うことが可能となる。吸収液16A−iとして水以外の液体を用いたときにおいても同様であり、その液体に対して易溶性のトレーサガスに対する濃度測定、及びその液体に対して難溶性のトレーサガスに対する濃度測定の各々を、濃度計測装置10を用いて行うことが可能である。
【0040】
次に、図2を参照して、本発明の実施の形態2に係る濃度計測装置10を用いた、濃度計測方法について説明する。尚、ステップS1bにおいては、送風機11B、吸引装置17、吸引ポンプ24−i、ガスクロマトグラフ26の各々を総称して、「各装置11B、17、24−i、26」と記されている。
【0041】
送風機11Bが所定の速度でZ1方向に回転され、その結果、Z2方向に所定速度の風が発生し、また、吸引装置17、吸引ポンプ24−i、ガスクロマトグラフ26の各々が起動される。(ステップS1b)。トレーサガス発生装置21Aからアンモニアガス13が測定室11Aに供給され、また、トレーサガス発生装置21Bからメタンガス22が測定室11Aに供給される。供給されたトレーサガス13、22、及び測定室11A内の空気AIRは、流通ガス13、22、AIRとしてZ2方向に流通する。流通した流通ガス13、22、AIRの一部は、吸引装置17による吸引に基づいてサンプリング孔X1−iから管14−iに流入し、その流入した流通ガス13、22、AIR中に含まれるアンモニアガス13は、吸収液16A−iに吸収される。一方、流通した流通ガス13、22、AIRの一部は、吸引ポンプ24−iによる吸引に基づいてサンプリング孔X2−iから管23−iに流入し、その流入した流通ガス13、22、AIR中に含まれるメタンガス22は、ガスクロマトグラフ26に供給される(ステップS2b)(ステップS2bの処理は所定時間の間、継続して行われる)。
【0042】
吸収液16A−iに対して電気伝導度の測定を行い、測定結果に基づいて所定時間内における、吸収液16A−iへのアンモニアガス13の溶解量を導出することで、流通ガス13、22、AIR中のアンモニア濃度C1iが導出される。一方、ガスクロマトグラフ26は、所定時間内における、流通ガス13、22、AIR中のメタンガス濃度C2iを導出する(ステップS3b)。
【0043】
(実施の形態2)
図3に、本発明の実施の形態2に係る濃度計測装置10の構成を示す。実施の形態3に係る濃度計測装置10は、トレーサガス供給装置21A(煙突19と接続され、アンモニアガス13を供給する)、21B(煙突20と接続され、メタンガス22を供給する)、測定室11A、内部に吸収液(水)16A−i(i=1,2,…,n)を含み、上部がコルク等で栓のされるビーカー16−i、吸引装置17の各々を具備している。測定室11Aは、その内部に、送風機(送風機を回転させるための電動機も含む)11B、煙突19(底面18からの高さ:L1)、20(底面18からの高さ:L2)、サンプリング孔X1−i、サンプリング孔X1−iから敷設され、吸収液16A−iに挿入される管14−i、ビーカー16−iの気相部15A−iと吸引装置17とを接続する管15−iの各々を含んでいる。
【0044】
また、実施の形態2に係る濃度計測装置10は、サンプリング孔X2−iと、サンプリング孔X2−iからガスクロマトグラフ26、及び空気AIRの入口X4−iに向けて敷設され、吸引ポンプ24−i、弁25−i、弁27−iの備えられている管23−i、空気AIRの入口X4−iから接続点X4A−iまで敷設される管30−iを具備している。更に、実施の形態2に係る濃度計測装置10は、弁25−iを介して管23−iと接続され、弁27−iを介して管23−iと接続される流量コントローラ28−iを具備している。サンプリング孔X1−iの各々とサンプリング孔X2−iは、実施の形態2に係る濃度計測装置10と同様に、地点X12−i内に近接して配置されている(従って、例えばサンプリング孔X1−1とサンプリング孔X2−1の各々において、流通ガス13、22、AIR中のアンモニア濃度C1i、メタンガス濃度C2iは互いに等しい。他のサンプリング孔X1−iと他のサンプリング孔X2−iについても同様)。
【0045】
尚、実施の形態2に係る濃度測定装置10において、実施の形態1に係る濃度測定装置10と同一の番号が付されている構成要素については、特に断りのない限りは上記の実施の形態1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0046】
吸引ポンプ24−iは、予め定められた引力で流通ガス13、22、AIRを吸引する。このとき、トレーサガス供給装置21Bから大量のメタンガス22が測定室11Aに供給されたときには、メタンガス濃度((メタンガス22の流入量/流通ガス13、22、AIRの流入量)×100(%))C2iが、ガスクロマトグラフ26によって測定可能な範囲(通常、3000ppm程度)を超えることもある。従って、空気AIRによって流通ガス13、22、AIRの希釈を行う必要がある。しかしながら、この希釈量が濃度測定装置10による実験操作の度に異なると、測定結果(メタンガス濃度C2i)に大きな誤差が生じることが予測される。
【0047】
従って、流量コントローラ28−iによる、流通ガス13、22、AIRの流入速度V1、及び空気AIRの流入速度V2の制御が行われる。この制御を行うため、流量コントローラ28−iは、流入速度V1と流入速度V3を測定する。また、流量コントローラ28−iは、それらの測定結果に基づいて弁25−i、27−iの各々の開度を調節することで、ガスクロマトグラフ26への流通ガス13、22、AIRの流入速度V13(=V1+V3)が200cc/minになるように制御する。
【0048】
以下に、流量コントローラ28−iによる、流入速度V13の制御の形態は、例えば(1)のようなものである。(1)流量コントローラ28−iは、予め希釈率と流入速度V13とを記憶する。ここで、希釈率=1/2とし、V13=200cc/min(一定)とする。V1=80cc/min、V2=120cc/minと計測されたときには、流量コントローラ28−iは、弁25−i、27−iの各々に開度調節信号を出力することで、弁25−iの開度を大きくしてV1=100cc/minとなるように制御し、また、弁27−iの開度を小さくしてV2=100cc/minとなるように制御する。
【0049】
ここで、ガスクロマトグラフ26によって測定されるメタンガス濃度(以下、「メタンガス測定濃度」と記す)=C0とし、1minあたりのガスクロマトグラフ26への流通ガス13、22、AIRの流入量からメタンガス濃度C2iを算出するものとすると、次の(2)式が成立する。
【0050】
C2i=C0×(V13/V1) (2)
【0051】
実施の形態2に係る濃度計測装置10により、ガスクロマトグラフ26への流通ガス13、22、AIRの流入速度V13(アンモニアガス濃度C1i、メタンガス濃度C2iの計測が行われる所定時間内における、ガスクロマトグラフ26への流通ガス13、22、AIRの流入量)を常に一定にすることが可能となる。従って、測定結果(メタンガス濃度C2i)に含まれる誤差を最小限とすることが可能となる。また、空気AIRによる流通ガス13、22、AIRの希釈が行われることから、流量コントローラ28−iの具備されない実施の形態1に係る濃度計測装置10と比較して、より広い範囲でのメタンガス濃度C2iの測定が可能となる。
【0052】
以下、本発明の実施の形態2に係る濃度計測装置10を用いた濃度計測方法について説明する。この濃度計測方法においては、図2に示したステップS1c〜S3cの処理が行われる。ステップS1c〜S3cのうち、ステップS1c、S3cについては、各々、ステップS1b、S3bと同様であるので、それらの詳細な説明は省略する。
【0053】
トレーサガス発生装置21Aからアンモニアガス13が測定室11Aに供給され、また、トレーサガス発生装置21Bからメタンガス22が測定室11Aに供給される。供給されたトレーサガス13、22、及び測定室11A内の空気AIRは、流通ガス13、22、AIRとしてZ2方向に流通する。流通した流通ガス13、22、AIRの一部は、吸引装置17による吸引に基づいてサンプリング孔X1−iから管14−iに流入し、その流入した流通ガス13、22、AIR中に含まれるアンモニアガス13は、吸収液16A−iに吸収される。一方、吸引ポンプ24−iによる吸引に基づいて、流通した流通ガス13、22、AIRの一部はサンプリング孔X2−iから管23−iに流入し、空気AIRは入口X3−iから管23−iに流入する。流量コントローラ28−iは、流入速度V1、V3を計測し、計測結果に基づいて開度調節信号を弁25−i、27−iの各々に出力する(弁25−i、27−iの開度は、その開度調節信号に基づいて調節される)。流入した流通ガス13、22、AIRは、ガスクロマトグラフ26に流入する(ステップS2c)(ステップS2cの処理は所定時間の間、継続して行われる)。
【0054】
(実施の形態3)
図4に、本発明の実施の形態3に係る濃度計測装置10の構成を示す。実施の形態3に係る濃度計測装置10は、トレーサガス供給装置21A(煙突19と接続され、アンモニアガス13を供給する)、21B(煙突20と接続され、メタンガス22を供給する)、測定室11A、内部に吸収液(水)16A−i(i=1,2,…,n)を含み、上部がコルク等で栓のされるビーカー16−i、吸引装置31の各々を具備している。測定室11Aは、送風機(送風機を回転させるための電動機を含む)11B、煙突19(底面18からの高さ:L1)、20(底面18からの高さ:L2)、サンプリング孔X3−iを含んでおり、サンプリング孔X3−iからは、吸収液16A−i、又はガスクロマトグラフ26に向けて管30−iが敷設されている。吸引装置31には、複数の定量ポット31A−iが設置されており、各々の定量ポット31A−iには、管33−iがビーカーの気相部15A−iに向けて接続されている。また、実施の形態3に係る濃度計測装置10は、管30−iに備えられる吸引ポンプ31−iを具備している。
【0055】
実施の形態1または2においては、アンモニアガス13の測定ポイント(サンプリング孔X1−i)とメタンガス22の測定ポイント(サンプリング孔X2−i)の各々が互いに異なるが、実施の形態3においては、測定ポイント(サンプリング孔X3−i)が同一である。従って、実施の形態1〜3とは異なり、同一の地点(サンプリング孔X3−i)における流通ガス13、22、AIR中に含まれるアンモニアガス濃度C1i、メタンガス濃度C2iの各々を測定することが可能となっており、トレーサガス13、22の濃度測定を行う上で、効果が大きい。また、濃度計測装置10を作製・運用する上で、各々のトレーサガス13、22に対して別個の測定ポイントを設置するときと比較して、設置される測定ポイント数は半分となることから、濃度計測装置10の作製・運用に係るコストを抑制することが可能となる。
【0056】
尚、実施の形態3に係る濃度計測装置10において、実施の形態1または2に係る濃度計測装置10と同一の番号が付されている構成要素については、特に断りのない限りは上記と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0057】
吸引装置31は、上記の吸引装置17と同様に、液体の注入された定量ポット31A−i、ヘッダの各々、オーバーフロー管、弁、排出管、排出ポンプ等を具備している。吸引装置31においては、まず、貯水タンクからオーバーフロー管、ヘッダの各々を介して定量ポットへ液体が吸引される。次に、弁32−iを閉じた後、排出ポンプ31Bによって定量ポット31A−i内の吸収液16A−iを吸引し、排出管31Cを介して放出することで、各々の定量ポット31A−i内における液体の高さ=水頭ΔHとなるように制御する(このとき、吸収液16A−iにかかる表面圧力、即ち、ビーカー16−iに向けて流通する流通ガス13、22、AIRの圧力はPs1である)。
【0058】
吸引ポンプ31−iは、上記の操作に基づいて各々の定量ポット31A−i内における液体の高さ=水頭ΔHとされた後に、弁32−iの開放(流入速度V2=30cc/minとなる程度に開度が制御される)と同時に起動される。これにより、ガスクロマトグラフ26に流入する流通ガス13、22、AIRの圧力はPs1(以下、「ガスクロ圧力」と記す)となり、上記の吸収液16A−iの表面圧力(以下、単に「表面圧力」と記す)と等しくなる(流入速度V1=200cc/minとなるように吸引される)。従って、同一の測定ポイント(サンプリング孔X3−i)におけるアンモニアガス濃度C1i、メタンガス濃度C2iの測定を、ガスクロ圧力と表面圧力とを等しくした条件下で行うことが可能となる。弁32−iは、管30A−i(接続部30B−iから分岐して吸収液16A−iに挿入される部分)に備えられるものである。
【0059】
以下、図5を用いて、本発明の実施の形態3に係る濃度計測装置10を用いた濃度測定方法について説明する。尚、この濃度測定方法におけるステップS3dの処理については、実施の形態1(図2)のステップS3bと同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、図5においては、送風機11B、吸引装置31を総称して、「各装置11B、31」と記されている。
【0060】
送風機11Bが所定の速度でZ1方向に回転され、その結果、Z2方向に所定速度の風が発生する。弁32−iの閉塞、及び吸引装置31の起動が行われる(定量ポット31A−i内の液体の高さ=ΔHとなる)(ステップS1d)。吸引装置31−i、ガスクロマトグラフ26の各々が起動される。トレーサガス発生装置21Aからアンモニアガス13が測定室11Aに供給され、また、トレーサガス発生装置21Bからメタンガス22が測定室11Aに供給される。供給されたトレーサガス13、22、及び測定室11A内の空気AIRは、流通ガス13、22、AIRとしてZ2方向に流通する。ステップS1dにおける処理に基づいて、定量ポット31A−i内の液体の高さ=ΔHとされた後、流入速度V2=30cc/minとなるように弁32−iが開放される。流通した流通ガス13、22、AIRの一部は、吸引装置31、31−iによる吸引に基づいてサンプリング孔X3−iから管30−iに流入する。その流入した流通ガス13、22、AIR中に含まれるアンモニアガス13は、弁32−iを介して吸収液16A−iに吸収され、流入したした流通ガス13、22、AIRに含まれるメタンガス22は、ガスクロマトグラフ26に供給される(ステップS2d)。
【0061】
(実施の形態4)
図6に、本発明の実施の形態4に係る濃度測定装置10の構成を示す。実施の形態4に係る濃度測定装置10は、トレーサガス供給装置21A(煙突19と接続され、アンモニアガス13を供給する)、21B(煙突20と接続され、メタンガス22を供給する)、測定室11A、吸収ポンプ34−i、分配器35−i、36−i、ガスクロマトグラフ26、内部に吸収液(水)16A−i(i=1,2,…,n)を含み、上部がコルク等で栓のされるビーカー16−iの各々を具備している。測定室11Aは、送風機(送風機を回転させるための電動機も含む)11B、煙突19(底面18からの高さ:L1)、20(底面18からの高さ:L2)、サンプリング孔X3−iを含んでいる。サンプリング孔X3−iからは、吸引ポンプ34−iに向けて管39−iが敷設されており、吸引ポンプ34−iからは分流点40−iを介し、分配器35−i、36−iに向けて管39A−iが敷設されている。分配器35−iは管37−iによってガスクロマトグラフ26と接続されており、分配器36−iはからは吸収液16A−iに向けて管38−iが敷設されている。
【0062】
吸引ポンプ34−iは、予め定められた引力で流通ガス13、22、AIRを吸引する。吸引された流通ガス13、22、AIRは、分流点40−iでX5、X6方向に分岐して、分配器35−i、36−iのいずれかに流入する。分配器35−i、36−iの各々には、その内部に管39A−iを介して流入した流通ガス13、22、AIRを分配するための分岐点(図示せず)が設けられている。分配器35−iの内部の分岐点には、V1方向へ流通ガス13、22、AIRを200cc/minで流すように制御するための抵抗装置が設けられており、分配器36−iの内部の分岐点には、V2方向へ流通ガス13、22、AIRを30cc/minで流すように制御するための抵抗装置が設けられている。
【0063】
実施の形態4に係る濃度計測装置10においては、実施の形態4に係る濃度計測装置10と同様に、トレーサガス13、22の各々に対する測定ポイント(X4−i)は互いに同一である。従って、実施の形態3で上述したことと同様の理由で、濃度計測装置10の作製・運用に係るコストを抑制することが可能となる。また、上記のように分配器35−i、36−iの内部に抵抗装置を設けることで、ガスクロマトグラフ26(又は、吸収液16A−i)への流通ガス13、22、AIRの流入速度V1(又は、流入速度V2)を最適な値(ここでは、V1=200cc/min、V2=30cc/minである)に調節することが可能となる。
【0064】
以下、図7を用いて、本発明の実施の形態4に係る濃度計測装置10を用いた濃度計測方法について説明する。尚、この濃度計測方法におけるステップS3eの処理については、実施の形態2(図4)のステップS3bと同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0065】
送風機11B、吸引ポンプ34−i、分配器35−i、36−i、ガスクロマトグラフ26が起動される(図6においては、「各装置11B、34−i、35−i、36−i、26」と記される)(ステップS1e)。トレーサガス発生装置21Aからアンモニアガス13が測定室11Aに供給され、また、トレーサガス発生装置21Bからメタンガス22が測定室11Aに供給される。供給されたトレーサガス13、22、及び測定室11A内の空気AIRは、流通ガス13、22、AIRとしてZ2方向に流通する。流通ガス13、22、AIRの一部は、サンプリング孔X4−iから流入し、分流点40−iにおいてX5方向、X6方向のいずれかに分岐する。分配器35−iは、その内部に備えられる抵抗装置によってV1=200cc/minとなるように流通ガス13、22、AIRを分配し、分配器36−iは、その内部に備えられる抵抗装置によってV1=30cc/minとなるように流通ガス13、22、AIRを分配する(ステップS2e)。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態1に係る濃度計測装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1、2に係る濃度計測方法の処理の過程を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る濃度計測装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る濃度計測装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る濃度計測方法の処理の過程を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係る濃度計測装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る濃度計測方法の処理の過程を示す図である。
【図8】本発明の従来の技術に係る、濃度計測装置の構成、及び計測形態の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
10:濃度計測装置
11A:測定室
11B:送風機
13:アンモニアガス
14−i、15−i、23−i、23A−i、25−i、33−i、39−i、
39A−i:管
15A−i:気相部
16−i:ビーカー
16A−i:吸収液
17:吸引装置
18:底面
18A:山
19、22:煙突
13A、13B、21A、21B:トレーサガス供給装置
22:メタンガス
24−i、31−i:吸引ポンプ
25−i:、27−i:弁
26:ガスクロマトグラフ
28−i:流量コントローラ
31:吸引装置
35−i、36−i:分配器
X1−i、X2−i、X3−i:サンプリング孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ガスと第2ガスと含む混合ガスを取りこむ計測口と、
前記第1ガスの濃度を計測する第1ガス濃度計測装置と、
前記第2ガスの濃度を計測する第2ガス濃度計測装置と、
前記計測口と前記第2ガス濃度計測装置とを接続する第2管と、
前記第2管内の前記混合ガスを、第1圧力で前記第2ガス濃度計測装置側に吸引する吸引ポンプと、
一端で前記第2管の途中に接続され、他端で前記第1ガス濃度計測装置に接続される第1管と、
第3管を介して気密に前記第1ガス濃度計測装置に接続され、前記第1管内の前記混合ガスを、前記第1ガス濃度計測装置側に吸引する吸引装置と、
を具備し、
前記第1ガス濃度計測装置は、前記第1ガスを吸収する吸収液を含む容器を備え、
前記第1管の前記他端は、前記容器の前記吸収液相内に配置され、
前記第1管には、前記第1管内を流通するガス流量を調整するための弁が備えられ、
前記吸引装置は、
液体の注入される定量ポットと、
前記定量ポット内に注入された液体を排出して前記定量ポット内を減圧する排出ポンプとを備え、
前記第3管の一端は前記容器内の気相に配置され、
前記吸引装置は、前記弁が閉じた状態において、前記吸収液の表面に前記第1圧力の圧力がかかるように、前記定量ポット内に注入された液体を前記排出ポンプにより排出して前記定量ポット内を減圧し、
前記弁は、前記吸収液の表面に前記第1圧力の圧力がかかった状態において、開にされ、
前記吸引ポンプは、前記吸収液の表面に前記第1圧力の圧力がかかった状態において、前記第2管内の前記被測定ガスを前記第1圧力で前記第2ガス濃度計測装置側に吸引する
濃度計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載された濃度計測装置であって、
前記第2ガスは、難溶性のガスであり、
前記第2ガス濃度計測装置は、難溶性のガスを計測することのできる装置である
濃度計測装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された濃度計測装置であって、
前記第2ガス濃度計測装置は、ガスクロマトグラフである
濃度計測装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−192842(P2007−192842A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115875(P2007−115875)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【分割の表示】特願2002−334210(P2002−334210)の分割
【原出願日】平成14年11月18日(2002.11.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】