説明

濾過体及び浄水器

【課題】雑菌等を除去するシート状の濾過膜を効率よく用いた濾過体及び浄水器を提供する。
【解決手段】流体を濾過するための濾過体であって、「凹凸部を有し、流体を濾過する濾過膜」と、「濾過膜を円柱状又は角柱世に支持する支持骨格」と、を備える濾過体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過体及びこれを用いた浄水器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水道水等の流体を浄化する浄水器は、ケーシング内に濾過膜を収容し、この濾過膜によって水を浄化する構造となっている。上記のような浄水器における濾過膜としては、中空糸膜が広く用いられており、この中空糸膜は、一般に、U宇状に折り曲げられ両端が開口した構造となっている(例えば、特許文献1参照)。上記浄水器を使用する場合、濾過する流体を浄水器内に供給すると流体が中空糸膜内へと浸透し、これにより、流体に含まれていた雑菌等が除去される。そして、この流体が中空糸膜内を通って中空糸膜の両端より流出することにより、浄化された流体が得られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−68695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、中空糸膜に代わる新しい濾過膜として、例えば多孔性ナノシートといったようなシート状の濾過膜が提案されている。しかしながら、上述したような浄水器の構造は、中空糸膜のようにストロー状の濾過膜を前提としたものであってシート状の濾過膜には適しておらず、また、雑菌等を除去するシート状の濾過膜に適した構造の有効な浄水器は提案されていない。
【0005】
そこで、本発明は、雑菌等を除去するシート状の濾過膜を効率よく用いた濾過体及び浄水器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る濾過体は、上記課題を解決するためになされたものであり、流体を濾過するための濾過体であって、「凹凸部を有し、流体を濾過する濾過膜」と、「前記濾過膜を円柱伏又は角柱状に支持する支持骨格」と、を備えている。
【0007】
本発明に係る濾過体は、濾過膜により流体を濾過するが、この濾過膜が凹凸部を有することで濾過面積が拡大されており高い濾過能力を有している。これにより、濾過膜が凹凸部を有しない場合と比較して、流体の流量が同じであれば、濾過膜の目詰まりを軽減することができ、さらに濾過体のコンパクト化を図ることもできる。なお、角柱状とは、例えば、四角柱や五角柱といった多角柱、平面視星形のもの等、種々の形状を含む概念である。
【0008】
また、本発明に係る濾過体は、濾過膜が軸方向に延びる凹状の溝を有するよう、支持骨格によって支持されていてもよい。この構成によっても、凹状の溝によって濾過面積が拡大され、濾過能力を高めることができる。
【0009】
上述した濾過膜の凹凸部は、濾過体の内側に突出する棒状突起であり、この棒状突起は濾過膜に沿って配置されたメッシュ状の形状維持シートによって形状が支持されていてもよい。
【0010】
また、流入口及び流出口を有する中空のケーシング内に上記濾過体を収容し、浄水器とすることもできる。この浄水器を使用する場合、流入口からケーシング内に流体を流入させ、濾過体によって流体を濾過した後、流体を流出口からケーシングの外へ流出させる。これにより、浄化された流体を得ることができる。
【0011】
上記浄水器において、棒伏突起はケーシング内を流れる流体の流れ方向に対して垂直に延びるよう形成されていてもよい。
【0012】
棒状突起が流体の流れ方向に対して垂直に形成されている場合、濾過体内を軸方向に延びる流体案内部材をさらに備えていることが望ましい。この流体案内部材は、内部に流路を有しており、濾過膜の棒伏突起と対向する位置に流路内に流体を導くための導入孔が形成されている。この構成によれば、濾過体内に入った流体が導入孔へ導かれることで棒状突起と平行な流体の流れが生じ、この流れによって棒状突起は真っ直ぐになるよう引っ張られる。これにより、濾過膜において棒状突起同士の接触を防止することができ、濾過膜を効率よく利用することができる。さらに、一旦濾過膜を通過して濾過された流体が隣接
する棒状突起を通過して再濾過されるのを防止することができ、流体を効率的に濾過することができる。
【0013】
また、棒状突起が流体の流れ方向に対して垂直に形成されている場合、浄水器の形態が筒型では、棒状突起の突起距離が比較的短く、形状維持シートがある状態では特に棒状突起形状が安定し、排水時の濾過堆積物の離脱、排出の効率がよく、濾過膜の寿命を効率よく延ばすことができる。
【0014】
上記流体案内部材を備えている等、ケーシング内に濾過後の空間部がある場合、流出口からケーシング内に入る流体及び空気に対して紫外線を照射し殺菌するために、流出口と連通する紫外線照射室がケーシング内に設置されていることが好ましい。紫外線は、誘導板上流側の紫外線反射面によっても反射されるが、紫外線反射面が円錐状または角錐状に形成されていることで流体案内部材内等、濾過後の空間部に入らないようになっている。これにより、流体案内部材等、濾過後の空間部を介して濾過膜に紫外線が照射されるのを防止することができ、この結果、濾過膜が劣化するのを防止することができる。また、濾過膜から流体案内部材の流路を通過し、紫外線照射室に入る流体に対しても紫外線を照射し殺菌することが可能である。ただし、正常であれば濾過膜により細菌やウイルス等は完全に除去されている。なお、本発明において、上流とはケーシングの流入口に近い方、下流とは流入口から遠い方をいう。
【0015】
また、上記浄水器において、棒状突起はケーシング内を流れる流体の流れ方向に対して平行に延びるよう形成されていてもよい。
【0016】
上記浄水器は、流体を排出するための流体排出口がケーシングの底面に形成され、この流体排出口に流体排出装置が設置されていてもよい。この流体排出装置は、ケーシング内に流体を流入させると、流体が第1の収容部内に入って栓部材及び補助部材を下方向に押圧し、栓部材がケーシングの第1の排出口を封鎖する。ケーシング内への流体の流入を停止すると、流体の押圧力が弱くなるため栓部材が元の位置に戻り、第1の排出口が開放される。これにより、ケーシング内の流体が第1の排出口より第2の収容部内へと流入して第1の弁部材を押し下げ、第1の弁座部材の第2の排出口が開放される。そして、流体は
第2の排出口を通過し第2の収容部の下端から排出される。このように、上記流体排出装置によればケーシング内への流体の流入を停止した際にケーシング内から流体を自動的に排出することができる。これにより、ケーシング内において濾過する方向と逆の流れが生じ、濾過膜から濾過堆積物の離脱、排出が生じるため、ケーシングに収容されている濾過体の濾過膜が目詰まりするのを防止することができ、濾過体の寿命を延ばすことができる。流体の排出が終了すると、第1の弁部材は元の位置に戻って再び第1の弁座部材の第2の排出口を封鎖し、これにより、排出された流体の逆流及びケーシング内への空気の侵入
を防止することができる。なお、この流体排出装置は上述したような濾過体と併せて使用しなくてもよく、単独で一般的な浄水器に設置することもできる。
【0017】
上記流体排出装置は、栓部材及びケーシングの第1の排出口の周囲に磁石を含み、これらの磁石が反発することにより栓部材が第1の排出口から離間するよう配置されていてもよい。
【0018】
また、上記流体排出装置は、栓部材及び第1の収容部の上端部に磁石を含み、これらの磁石が引き合うことにより栓部材が第1の排出口から離間するよう配置されていてもよい。
【0019】
上記浄水器は、ケーシングに接続された吐水管内又はケーシングの流出口の内側に設置された封鎖弁機構をさらに備えていてもよい。この封鎖弁機構は、ケーシング内に流体が流入すると、可動部の収容部材内に入った流体が第2の弁部材を下流側に押圧する。これにより、第3の収容部内を可動部の摺動部材が下流側に摺動して仕切部の第1の通過口と筒状部材又は収容部材との間に隙間が生じ、流体がこの隙間を通過する。一方、ケーシング内からの流体の排出を開始すると、ケーシング内において負圧が発生するため第2の弁部材が引っ張られて第2の弁座部材の第3の通過口が開放される。これにより、第3の通
過口からケーシング内に流体及び空気が入るためケーシング内が真空になるのを防止することができ、効率的な排水を促進することができる。流体の排出が終了すると、第2の弁部材は第3の通過口を再び封鎖するため、ケーシング内にそれ以上空気等が入るのを防止することができる。なお、この封鎖弁機構は上述したような濾過体と併せて使用しなくてもよく、単独で一般的な浄水器に設置することもできる。
【0020】
上記封鎖弁機構は、第2の弁部材及び収容部材の下端部に磁石を含み、これらの磁石が反発することにより第2の弁部材が第2の弁座部材の第3の通過口を封鎖するよう配置されていてもよい。
【0021】
また、上記封鎖弁機構は、第2の弁部材及び第2の弁座部材に磁石を含み、これらの磁石が引き合うことにより第2の弁部材が第2の弁座部材の第3の通過口を封鎖するよう配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、濾過体及び浄水器に雑菌等を除去するシート状の濾過膜を効率よく用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る浄水器の概略正面断面図である。
【図2】本実施形態に係る浄水器の一部である流体排出装置の概略斜視断面図である。
【図3】同流体排出装置の動作を示す概略正面断面図である。
【図4】本実施形態に係る浄水器の一部である封鎖弁機構の概略斜視断面図である。
【図5】同封鎖弁機構の動作を示す概略正面断面図である。
【図6】本実施形態に係る濾過体の一部を示す(a)概略平面断面図、及び(b)概略斜視図である。
【図7】本実施形態に係る濾過体のA−A断面図である。
【図8】本実施形態の変形例に係る浄水器の一部を示す概略正面断面図である。
【図9】本実施形態の変形例に係る濾過体の一部を示す(a)概略平面断面図、及び(b)概略部分断面図である。
【図10】本実施形態の変形例に係る濾過体の(a)概略平面断面図、及び(b)概略部分断面図である。
【図11】本実施形態に係る浄水器の一部である流体排出装置における逆流防止部の変形例を示す概略構成図である。
【図12】図11に示す逆流防止部を有する封鎖弁機構の動作を説明する説明図である。
【図13】本実施形態に係る浄水器の一部である封鎖弁機構の変形例を示す概略構成図である。
【図14】図13に示す封鎖弁機構の動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る濾過体及びその濾過体を用いた浄水器の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る浄水器1は、有底円筒状のケーシング2と、流体を濾過する濾過体3と、流体を案内する流体案内部材4とを備えている。
【0026】
まず、ケーシング2について説明する。ケーシング2は、上部に開口部213を有するケーシング本体21と、開口部213を閉鎖する蓋体22とを備えている。ケーシング本体21は濾過体3を収容するための収容部211を有しており、この収容部211において底面から間隔を開けて濾過体3を載置するためのメッシュ状又は孔を有する板状の載置部材212が設置されている。また、ケーシング本体21の側面下方部にはケーシング2内に流体を流入させるための流入口23が形成されている。この流入口23には流体を供給するための流体供給管5が接続されており、流体供給管5の途中には電磁弁6が配設されている。なお、載置部材212は、濾過体3に流体が当たって余分な負担がかかるのを防止するため、濾過体3に接触する部分には孔が形成されていないことが好ましい。
【0027】
また、図1及び図2に示すように、ケーシング本体21の底面には、ケーシング本体21の第1の排出口26から流体を排出するための流体排出装置8が設置されている。この流体排出装置8は、ケーシング本体21の内側に設置された側面檻状かつ上端が開口している第1の収容部81、ケーシング本体21の外側に設置され下端に第3の排出口821を有する有底円筒状の第2の収容部82、及び第2の収容部82内に設置された側面檻状の内側収容部83を備えている。これら第1並びに第2の収容部81、82、及び内側収容部83の内部には、ケーシング本体21内の流体を自動的に排出する自動排出部84及び排出した流体の逆流を防止する逆流防止部85が収容されている。
【0028】
自動排出部84は、図2及び図3(a)に示すように、ケーシング本体21の内側に配置された円板状の栓部材841及びケーシング本体21の外側に配置された円板状の補助部材842を有しており、この栓部材841及び補助部材842が第1の連結部材843で連結された構成となっている。栓部材841は、外径がケーシング本体21の第1の排出口26の内径よりも大きく形成されており、第1の収容部81の内側面を摺動可能となっている。図2において一点鎖線で示すように、この栓部材841及び第1の排出口26の周囲には磁石が含まれており、この磁石は栓部材841の下面倒と第1の排出口26の周囲上面側とが同極となっているため、栓部材841は磁石の反発力により第1の収容部81の上端に接触した状態となっている。補助部材842は、外径が第1の排出口26の内径とほぼ同じ大きさに形成されており、内側収容部83の内側面を摺動可能となっている。
【0029】
逆流防止部85は、図2及び図3(a)に示すように、第2の収容部82内において、内側収容部83の下に設置され第2の排出口855が形成された第1の弁座部材851、及び底面に設置された第1の環状部材852を備えている。これら第1の弁座部材851と第1の環状部材852との間に第2の連結部材853が複数配置されており、第1の弁部材854が第2の連結部材853に対して摺動可能に配置されている。図2において一点鎖線で示すように、この第1の弁部材854及び第1の環状部材852には、第1の弁部材854の下面側と第1の環状部材852の上面側とが同極となる磁石が含まれており、これにより、第1の弁部材854は第1の弁座部材851の第2の排出口855を封鎖した状態となっている。なお、栓部材841の上面及び第1の弁部材854の下面においては、第1の弁部材854の表裏回転や、栓部材841及び第1の弁部材854の進行方向からのずれを防止するため、周縁部が中央部よりもやや高く形成されていることが好ましい。
【0030】
蓋体22は、図1に示すように、ケーシング2から流体を流出させるための流出口24が形成されており、この流出口24には流出した流体を蛇口等に導くための吐水管7が挿入され、ナット10により固定されている。蓋体22には、流体や空気を紫外線殺菌するための紫外線照射室11が内蔵されており、紫外線照射室11の上方には流体の双方向の流れを制御可能な封鎖弁機構9が設置されている。
【0031】
紫外線照射室11は、図1に示すように、底部に複数の紫外線LED(紫外線光源)111が敷き詰められている。この紫外線LEDの上方には、紫外線透過性アクリル樹脂又はガラス等から構成される紫外線透過板112が紫外線照射室11の端部から中心部に向かって下向きに緩やかに傾斜するよう設置されている。紫外線照射室11は、上部に円錐筒状の第1の紫外線反射面113が設置されており、中間部には流体や空気を誘導するための誘導板114が設置されている。誘導板114は、上面中央部(下流側)に平面状又は緩やかな円錐状若しくは角錐状の第2の紫外線反射面115が形成され、下面中央部(上流側)には円錐状又は角錐状の第3の紫外線反射面116が形成されている。また、誘導板114において第2及び第3の紫外線反射面115、116の周囲には流体を通過させるための孔(好ましくは直径2〜3mm程度)が複数形成されている。上記第1〜第3の紫外線反射面113、115、1
16は、紫外線LED111で照射された紫外線を反射可能なよう、例えば、ステンレス等による鏡面仕上げやクロムメッキが施されている。なお、紫外線照射室11の高さは実寸で30〜50mm程度が好ましく、紫外線透過板112と誘導板114との距離は紫外線の殺菌効果を高めるという観点から実寸で10mm以内が好ましい。紫外線LED111の電源としては、例えば、リチウム電池や、ソーラーパネル充電池、ACアダプタ及び充電池を有する一般家庭用AC電源等を使用することができる。紫外線光源は、例えば、紫外線ランプ(低圧水銀殺菌灯)等でもよい。
【0032】
封鎖弁機構9は、図4及び図5(a)に示すように、ケーシング2の流出口24内を上下に仕切り第1の通過口911が形成されている仕切部91と、この仕切部91の周縁部から下方に延びる円筒部94とを備えている。封鎖弁機構9は、円筒部94の周囲にOリング(図示省略)が装着された状態で流出口24の内側に嵌め込まれる。封鎖弁機構9は、仕切部91の上側に形成された側面檻状の第3の収容部92、及び第3の収容部92内を摺動する可動部93を有している。第3の収容部92は、上部に内向きのフランジが形成され、上端が開口している。可動部93は、仕切部91の上側に第2の通過口937が形成された摺動部材931を備えており、摺動部材931は外径が仕切部91の第1の通過口911の内径よりも大きくなるよう形成されている。この摺動部材931及び第3の収容部92の上端部には互いに反発するように磁石が含まれており、これにより、摺動部材931は仕切部91に接触するよう配置されている。また、可動部93は、第1の通過口911を介して摺動部材931の下方に延びる筒状部材932、及びこの筒状部材932の下方に延びる側面檻状の収容部材933を備えている。筒伏部材932の下端部には第3の通過口938が形成された第2の弁座部材934が取り付けられており、収容部材933の下端部には第2の環状部材935が取り付けられている。そして、第2の弁座部材934と第2の環状部材935との間には、収容部材933内を摺動可能な第2の弁部材936が配置されている。この第2の弁部材936及び第2の環状部材935には互いに反発するように磁石が含まれており、これにより、第2の弁部材936が第2の弁座部材934の第3の通過口938を封鎖した状態となっている。なお、摺動部材931の上面及び第2の弁部材936の下面においては、第2の弁部材936の表裏回転や、摺動部材931及び第2の弁部材936の進行方向からのずれを防止するため、周縁部が中央部よりもやや高く形成されていることが好ましい。
【0033】
次に、濾過体3について説明する。濾過体3は、図6及び図7に示すように、支持骨格31及び濾過膜32を備えている。図6に示すように、支持骨格31は天板311及び底板312を有しており、この天板311及び底板312は等間隔に配置された複数本の支柱313により連結されている。そして、図7に示すように、これらの支柱313を取り囲むようにメッシュシート(形状維持シート)314が配置されており、このメッシュシート314は、上端部及び下端部がそれぞれ天板311及び底板312に接着され、側面に濾過体3の中心軸に向かって水平に延びる棒状突起3141が形成されている。濾過膜32は、上記のような支持骨格31の支柱313とメッシュシート314との間に配置され、棒状突起321が形成されており、この棒状突起321はメッシュシート314の棒状突起3141により形状が支持されている。なお、濾過膜32は、濾過能力の観点から、地質が例えば波伏や半球状等の細かい凹凸を有していることが好ましく、棒状突起321が円錐状に形成されていることが好ましい。濾過膜32としては、例えば、極細の無機ファイバーを利用した、30〜100ナノメートル(nm)の薄さのタンパク質の自立腹が挙げられる。この自立腹の内部には、直径約2ナノメートル(nm)の流体の通路が無数に形成されている。
【0034】
上記のように構成された濾過体3は、図1に示すようにケーシング2内に収容される。すなわち、濾過体3は、ケーシング2の開口部213から収容部211に挿入され、載置部材212に載置される。
【0035】
続いて、流体案内部材4について説明する。図1に示すように、流体案内部材4は、濾過体3の中心軸に沿って延びるようケーシング2内に設置されており、上端部が天板311を貫通して紫外線照射室11内に挿入されている。流体案内部材4は、軸方向に延びる流路41を内部に有し、側面には流路41内に流体を導くための導入孔42が複数形成されており、これら複数の導入孔42の位置はそれぞれ濾過体3の棒状突起321の位置に対応している。なお、導入孔42の大きさとしては直径5〜6mmが好ましく、導入孔42と棒状突起321の先端との距離は5mm程度であることが好ましい。
【0036】
次に、上述したような構成の浄水器1の使用方法について説明する。
【0037】
まず、電磁弁6を開き、処理する流体を流体供給管5及び流入口23を介してケーシング2の収容部211に流入させる。収容部211に流入した流体は、メッシュ状の載置部材212を通過して収容部211を上方に向かって流れていき、濾過体3内に流入する。このとき、流体は濾過体3のメッシュシート314を通過し、これにより、流体に含まれる直径1mm以上の粗ごみが除去される。そして、粗ごみが除去された流体は濾過膜32を通過し、これにより、流体に含まれていた細菌やウイルス等微細な異物が除去されて流体が浄化される。なお、ケーシング本体21の第1の排出口26は、ケーシング2に流入した流体が流体排出装置8の栓部材841を磁石の反発力に抗して押し下げるとともに補助部材842を押し下げるため、栓部材841によって封鎖される(図3(b))。このように、流体排出装置8は、補助部材842が流体によって押されることにより、ケーシング2内が低水圧であっても初期作動がスムーズであり、ケーシング本体2の第1の排出口26を確実に封鎖することができる。
【0038】
このようにして濾過体3内に流入した流体は、流体案内部材4の導入孔42から流路41内に導かれる。このとき、濾過体3内において棒状突起321から導入孔42に向かう流体の流れが生じるため、棒状突起321は水平方向に引っ張られ、真っ直ぐな状態を維持している。そして、流路41内に導かれた流体は、流路41を上方に向かって流れて紫外線照射室11内へと流入し、紫外線LED111で照射された紫外線により殺菌されながら、誘導板114の孔を通過し流出口24より流出する。その後、流体は、流出口24上方の封鎖弁機構9の摺動部材931及び第2の弁部材936を押すことで可動部93を押し上げる(図5(b))。これにより、仕切部91の第1の通過口911及び可動部93の間に隙間が生じ、流体はこの隙間等から第3の収容部92の側面を通過し、吐水管7を通って流出する。
【0039】
ケーシング2内への流体の流入を停止すると、流体排出装置8及び封鎖弁機構9は以下のように作動する。すなわち、流体排出装置8は、図3(c)に示すように、ケーシング2内の流体が栓部材841を押す力が小さくなることにより、磁石の反発力に従って栓部材841が上方へと移動する。これにより、第1の排出口26が開放され、ケーシング2内の流体が第1の排出口26より排出される。第1の排出口26より排出された流体は、第2の収容部82と内側収容部83との間を通過し、第1の弁座部材851の第2の排出口855を介して第1の弁部材854を磁石の反発力に抗して押し下げる。そして、流体は第2の収容部82と第2の連結部材853との間を通過し、さらに第1の環状部材852の内側を通って第3の排出口821より排出される。一方、封鎖弁機構9は、図5(c)に示すように、ケーシング2内の流体が可動部93を押す力が弱まることで可動部93が下方へと移動するとともに、流体排出装置8が流体を排出し始めたことでケーシング2内において発生した負圧により、第2の弁部材936が下側へと引っ張られて第2の弁座部材934の第3の通過口938が開放される。これにより、吐水管7に残留していた流体が摺動部材931の第2の通過口937、第2の弁座部材934の第3の通過口938、及び収容部材933を通過してケーシング2内へと引き戻された後、吐水管7より空気がケーシング2内に入る。このとき、流体及び空気は紫外線照射室11を通過するため、紫外線LED111より照射された紫外線、及び第1〜第3の紫外線反射面113、115、116により反射された紫外線により殺菌される。なお、流体及び空気は、誘導板114の端部に孔が形成されていることで第2の紫外線反射面115においては紫外線照射室11の中心部から端部へと誘導され、また、紫外線透過板112上面においては紫外線照射室11の端部から中心部へと誘導される。このように流体及び空気が誘導されることで、流体及び空気に対する紫外線の照射時間を長くし、さらに紫外線LED111と流体及び空気との距離が短くすることができ、殺菌効果を高めることができる。そして、流体は、流体案内部材4及び濾過体3を通過した後、流体排出装置8によってケーシング2の外へ排出される。ケーシング2内の流体が十分に排出されると、流体排出装置8の第1の弁部材854は、磁石の反発力に従って上昇し、第3の排出口821より排出された流体が逆流しないよう第1の弁座部材851の第2の排出口855を封鎖する(図3(a))。また、封鎖弁機構9の第2の弁部材936は、磁石の反発力に従って上昇し、吐水管7より異物が侵入しないよう、またケーシング2内にさらに空気が入らないよう第2の弁座部材934の第3の通過口938を封鎖する(図5(a))。なお、紫外線LED111は、排水終了後約2〜3分で照射を終了することが好ましく、さらに、浄水器を使用していないときにおいても定期的に一定時間(例えば1時間毎に5分間等)、照射するよう構成されていてもよい。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る浄水器1は、濾過膜32が棒状突起321を有しているため、濾過面積が拡大されており、高い濾過能力を有している。これにより、濾過膜32が目詰まりするのを防止することができ、濾過体3及び浄水器1のコンパクト化を図ることもできる。また、上記浄水器1は、流体案内部材4の導入孔42が棒状突起321と対応する位置にあることにより、棒状突起321を水平に引っ張るような流体の流れが生じるため、棒状突起321同士が接触せず、濾過膜32を有効に利用することができ、一旦濾過膜32を通過した流体が上方へ流れて隣接する棒状突起321を通過し再濾過されるのを防止することもできる。また、上記実施形態に係る浄水器1は、流体排出装置8及び封鎖弁機構9を兼ね備えていることにより、ケーシング2内及び吐水管7内に残留した流体を効果的に排出することができ、この結果、濾過膜32の目詰まりを防止して濾過体3の寿命を延ばすことができる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態の浄水器1では、濾過膜32を有する濾過体3のみを用いていたが、これに限定されず、活性炭を充填した濾過体を併せて用いてもよい。
【0042】
また、上記実施形態において、濾過体3は円柱状に形成されていたが、これに限定されず、例えば、多角柱状、平面視星形の柱状等、種々の形伏に形成することができる。
【0043】
また、上記実施形態において、流体排出装置8の栓部材841及び第1の弁部材854、封鎖弁機構9の摺動部材931及び第2の弁部材936は磁石の反発力を利用して所定の位置に配置されていたが、これに限定されず、相手方の磁石の配置を変えることで磁石の吸引力を利用して所定の位置に配置されるように構成してもよい。すなわち、流体排出装置8において、第1の排出口26の周囲及び第1の環状部材852の代わりに第1の収容部81の上端部及び第1の弁座部材851に磁石を含み、第1の収容部81の上端部と栓部材841、第1の弁座部材851と第1の弁部材854とが引き合うよう構成してもよい。また、封鎖弁機構9においては、第3の収容部92の上端部及び第2の環状部材935の代わりに第1の通過口911の周囲及び第2の弁座部材934に磁石を含み、第1の通過口911の周囲と摺動部材931、第2の弁座部材934と第2の弁部材936とが引き合うよう構成してもよい。ただし、流体排出装置8及び封鎖弁機構9の初動をより円滑にするためには磁石の反発力を利用する方が好ましい。
【0044】
また、流体排出装置8の栓部材841及び第1の弁部材854は、栓部材841とケーシング本体21の内側における第1の排出口26の周囲との間、及び第1の弁部材854と第1の環状部材852との間に、螺旋状のばね等を取り付けることにより、所定の位置に配置してもよい。同様に、封鎖弁機構9において、摺動部材931と第3の収容部92の上端部との間、及び第2の弁部材936と第2の環状部材935との間に螺旋状のばね等を取り付けてもよい。
【0045】
また、上記実施形態において、流体排出装置8や封鎖弁機構9において筒状の第2の収容部82や筒状部材932以外で側面檻状に形成されている部分は、流体を通過させることができればこれに限定されず、例えば、側面網状や側面に孔が形成されていてもよい。
【0046】
また、上記実施形態において、封鎖弁機構9は仕切部91から下方に延びる円筒部94にOリングを装着し、ケーシング2の流出口24の内側に部品として嵌め込まれるように形成されていたがこれに限定されず、例えば流出口の内側面や吐水管と一体的に形成されていてもよい。
【0047】
また、上記実施形態において、封鎖弁機構9はケーシング2の流出口24の内側に設置されていたが、濾過後の流体が通過する位置に設置されていればこれに限定されず、例えば吐水管内に設置されていてもよい。
【0048】
また、上記実施形態において、棒状突起321を有する濾過体3を備える浄水器1に流体排出装置8及び封鎖弁機構9が設置されていたが、これに限定されず、流体排出装置及び封鎖弁機構をそれぞれ単独で一般的な浄水器に適用することもできる。
【0049】
また、上記実施形態において、棒状突起321は濾過体3の側面に形成されていたが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、棒状突起321が濾過体300の底面に形成されていてもよい。このような濾過体300を用いた浄水器100の場合、濾過体300内に流体が流入する前に流体の流れを整える整流手段を備えることが好ましい。例えば、載置部材214において濾過体300の底面が接触する位置に複数の整流孔215を形成する。この構成によれば、ケーシング2内に流入した流体はこの整流孔215を通過して整流された後に棒状突起321を通過するため、流体の流れによって棒状突起321の形状が崩れることがなく、棒状突起321同士が接触するのを防止することができる。なお、上記のような浄水器100においては、流体が棒状突起321を通過する前に整流することができる整流手段を備えていればよく、例えば、整流孔を有する金属プレートを濾過体の底面に直接取り付けることもできる。また、整流手段を有しない場合であっても、例えば、濾過体内において水平に設置したメッシュ状の支持板に棒状突起の先端部を固定する等、棒状突起の形伏を維持するような手段を備えていれば、棒状突起同士の接触を防止することができる。
【0050】
また、棒状突起が形成されていなくても、濾過膜に凹凸を設けたり、濾過膜を平面視星形状に支持したりすることにより、濾過面積が拡大されていればよい。例えば、図9及び図10のように構成することで濾過体の濾過能力を高めることができる。すなわち、図9に示すように、濾過体301における支持骨格3011は天板311及び底板312が複数の支柱313によって連結されており、各支柱313の間には2枚ずつ檻状部材315が配置され、この2枚の檻状部材315が鋭角を成している。鋭角を成す2枚の檻状部材315の間には、図10に示すように、濾過体301の中心に向かって上向きに傾斜する扇状プレート316が軸方向に複数設置されている。また、檻状部材315の上流側面には複数の矩形状プレート317が斜め上向きとなるよう取り付けられている。このような支持骨格3011の支柱313と檻状部材315の間に濾過膜32が配置され、これにより、濾過膜32は軸方向に延びる凹状の溝322を有するよう支持される。このように、上記濾過体301は、濾過膜32が凹状の溝322を有することで濾過面積が拡大されるため、濾過能力を高くすることができる。さらに、支持骨格3011が扇状プレート316及び矩形状プレート317を有しているため、流体が扇状プレート316又は矩形状プレート317の表面を流れ、濾過体301の中心に向かって斜め上向きの流れが生じる。これにより、濾過体301の中心部等、濾過後の空間部で流体が正面から衝突するのを防止することができ、濾過体301内において流体をスムーズに流れさせることができる。
【0051】
上記実施形態においては、流体排出装置8の逆流防止部85として、図2及び図3に示す構造のものを採用しているが、このような構成の他、例えば、図11に示す構造を採用することもできる。図11に示す逆流防止部85は、弁ケーシング950、可動部93、支持体951及びストッパ体952を備えている。ここで、図11(a)は、逆流防止部85の概略構成断面図であり、図11(b)は、その矢視B方向から見た上面図、図11(c)は、C−C断面図、図11(d)は、D−D断面図である。
【0052】
弁ケーシング950は、下端が開口し、上端が閉塞部(天井部)により閉塞される筒状体であり、その閉塞部中央には、開口953が形成されている。この弁ケーシング950は、第2の収容部82内において、内側収容部83の下に設置されている。可動部93は、図11(a)及び図11(c)に示すように、棒状の摺動軸954及び当該摺動軸954の先端に取り付けられる円板状の第3の弁部材955を備えている。第3の弁部材955は、弁ケーシング950の閉塞部に形成された開口953を封鎖できる大きさ・形状を備えている。この第3の弁部材955は、磁石単体により、或いは、磁石を内部又は外部に備える樹脂材料等により形成されている。なお、第3の弁部材955が弁ケーシング950の天井部開口953を封鎖した状態で、弁ケーシング950の下部開口から摺動軸954の一方端が僅かに突き出る長さとなるように摺動軸954は形成されている。支持体951は、図11(a)及び図11(d)に示すように、弁ケーシング950の下部開口近傍に配置されており、弁ケーシング950の内周面から弁ケーシング950の内側中心に向けて突き出る複数の棒状体956により構成されている。これら複数の棒状体956は、弁ケーシング950の周方向に沿って所定間隔をあけて配置されている。各棒状体956の先端部は、環状部959につながっており、当該環状部959内に摺動軸954が摺動可能に配置されている。ストッパ体952は、図11(a)及び図11(c)に示すように、支持体951と弁ケーシング950の閉塞部との間に配置されており、中央部に貫通孔957aが形成される円板状の磁石体957と、当該磁石体957を弁ケーシング950内部に固定するための複数の棒状固定部材958とを備えている。磁石体957に形成される貫通孔957aには、摺動軸954が摺動可能に配置されている。複数の棒状固定部材958は、それぞれの一方端が弁ケーシング950の内周面に接続しており、各棒状固定部材958は、弁ケーシング950の周方向に沿って所定間隔をあけて配置されている。ここで、磁石体957は、磁石単体により形成してもよく、或いは、磁石を内部又は外部に含む樹脂材料等により形成してもよいが、可動部93における第3の弁部材955が備える磁石と互いに反発するように配置される。
【0053】
次に、図11に示す逆流防止部85を有する流体排出装置8の作動について図12を用いて説明する。まず、電磁弁6を開き、処理する流体を流体供給管5及び流入口23を介してケーシング2に導く。ケーシング2に流入した流体は、流体排出装置8の栓部材841を磁石の反発力に抗して押し下げるとともに補助部材842を押し下げるため、ケーシング本体21の第1の排出口26は、栓部材841によって封鎖される(図12(b))。このように、流体排出装置8は、補助部材842が流体によって押されることにより、ケーシング2内が低水圧であっても初期作動がスムーズであり、ケーシング本体2の第1の排出口26を確実に封鎖することができる。
【0054】
ケーシング2内への流体の流入を停止すると、流体排出装置8は以下のように作動する。すなわち、流体排出装置8は、図12(c)に示すように、ケーシング2内の流体が栓部材841を押す力が小さくなることにより、磁石の反発力に従って栓部材841が上方へと移動する。これにより、第1の排出口26が開放され、ケーシング2内の流体が第1の排出口26より排出される。第1の排出口26より排出された流体は、第2の収容部82と内側収容部83との間を通過し、第1の弁座部材851の第2の排出口855を介して第3の弁部材955を磁石の反発力に抗して押し下げる。これにより、第3の弁部材955により封鎖されていた弁ケーシング950の上部開口953が開き、流体はこの開口953から弁ケーシング950の内部に導かれる。なお、第3の弁部材955は、ストッパ体952に当接し、その移動が規制される。内部に導かれた流体は、ストッパ体952を構成する複数の棒状固定部材958間、支持体951を構成する複数の棒状体956間を通過し、第3の排出口821より排出される。
【0055】
ケーシング2内の流体が十分に排出されると、流体排出装置8の栓部材841は、磁石の反発力に従って上昇する。第3の弁部材955は、磁石の反発力に従って上昇し、第3の排出口821より排出された流体が逆流しないよう弁ケーシング950の上部開口953を封鎖する(図12(a))。
【0056】
また、上記実施形態においては、封鎖弁機構9として、図4及び図5に示す構造のものを採用しているが、このような封鎖弁機構9の代わりに、例えば、上述の図11に示す構造の逆流防止部85を利用してもよい。具体的には、図11に示す逆流防止部85を上下逆向きに、流出口24の内側、或いは、吐水管7の内部に嵌め込む。
【0057】
また、封鎖弁機構9の構造としては、図4及び図5に示す構造の他、例えば、図13に示す構造を採用してもよい。図13(a)は、封鎖弁機構9の概略構成断面図であり、図13(b)は、その矢視E方向から見た上面図である。
【0058】
図13に示す封鎖弁機構9は、複数の逆流防止部85と、各逆流防止部85を内部に収容する収容体960とを備えている。各逆流防止部85は、図11に示す逆流防止部85と同一の構造を備えているが、それぞれ上下逆向きとなるように収容体960内に配置されている。収容体960は、合成樹脂等により形成された中実円柱部材に、各逆流防止部85設置用の貫通孔を形成することにより構成されている。各貫通孔は、中実円柱部材の一方端から他方端に向けて形成されており、各貫通孔の直径は、各逆流防止部85が備える弁ケーシングの外径とフィットする寸法に形成されている。各逆流防止部85は、接着剤などにより各貫通孔内に固定されている。なお、収容体960を円筒状部材により形成してもよい。円筒状部材により収容体960を形成する場合、円筒状部材内に各逆流防止部85を配置した後、合成樹脂等を円筒状部材内に流し込んで固化させ、円筒状部材及び各逆流防止部85が一体化するように構成する。
【0059】
次に、図13に示す封鎖弁機構9の作動について図14を用いて説明する。 まず、電磁弁6を開き、処理する流体を流体供給管5及び流入口23を介してケーシング2の収容部211に流入させる。収容部211に流入した流体は、濾過体3内に流入し、誘導板114の孔を通過して流出口24より流出する。その後、流体は、流出口24上方の封鎖弁機構9の一方の逆流防止部85aにおける可動部93aの第3の弁部材955aを押すことで、可動部93aを押し上げる(図14(b))。これにより、第3の弁部材955aにより封鎖されていた弁ケーシング950aの開口953aが開き、流体はこの開口953aから弁ケーシング950aの内部に導かれる。第3の弁部材955aは、ストッパ体952aに当接し、その移動が規制される。内部に導かれた流体は、ストッパ体952aを構成する複数の棒状固定部材958a間、支持体951aを構成する複数の棒状体956a間を通過し、吐水管7を通って流出する。
【0060】
封鎖弁機構9の他方の逆流防止部85bは、一方の逆流防止部85aとは上下逆向きに設置されているため、第3の弁部材955bは、流体に押されて、弁ケーシング950bの開口953bを閉塞した状態を維持する。
【0061】
ケーシング2内への流体の流入を停止すると、封鎖弁機構9における一方の逆流防止部85aは、図14(c)に示すように、ストッパ体952aの磁石体957aとの反発力により、第3の弁部材955aは下端部に移動し、吐水管7より異物が侵入しないように、弁ケーシング950aの開口953を封鎖する。
【0062】
封鎖弁機構9における他方の逆流防止部85bは、図14(c)に示すように、弁ケーシング950aの開口953aが封鎖されると、流体排出装置8が流体を排出し始めたことでケーシング2内において発生した負圧により、第3の弁部材955bが下側へ引っ張られて。弁ケーシング950bの開口953bが開き、流体はこの開口953bから弁ケーシング950bの内部に導かれる。内部に導かれた流体は、ストッパ体952bを構成する複数の棒状固定部材958b間、支持体951bを構成する複数の棒状体956b間を通過し、ケーシング2内に入る。
【0063】
ケーシング2内の流体が十分に排出されると、封鎖弁機構9の他方の逆流防止部85bにおける第3の弁部材955bは、磁石の反発力に従って上昇し、吐水管7より異物が侵入しないよう、またケーシング2内にさらに空気が入らないよう弁ケーシング950bの開口953bを封鎖する(図14(a)の状態)。
【0064】
なお、図13に示す封鎖弁機構9においては、磁石の反発力の代わりに、螺旋状のばね等の反発力を利用してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1、100 浄水器
2 ケーシング
23 流入口
24 流出口
26 第1の排出口
3、300、301 濾過体
31、3011 支持骨格
314 メッシュシート(形状維持シート)
32 濾過膜
321 棒状突起(濾過膜)
322 凹状の溝
4 流体案内部材
41 流路
42 導入孔
7 吐水管
8 流体排出装置
81 第1の収容部
82 第2の収容部
841 栓部材
842 補助部材
854 第1の弁部材
851 第1の弁座部材
855 第2の排出口
9 封鎖弁機構
91 仕切部
911 第1の通過口
92 第3の収容部
93 可動部
931 摺動部材
937 第2の通過口
932 筒伏部材
933 収容部材
936 第2の弁部材
934 第2の弁座部材
938 第3の通過口
950 弁ケーシング
951 支持体
952 ストッパ体
953 開口
954 摺動軸
955 第3の弁部材
956 棒状体
957 磁石体
957a 貫通孔
958 棒状固定部材
959 環状部
960 収容体
11 紫外線照射室
111 紫外線LED(紫外線光源)
114 誘導板
116 第3の紫外線反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を濾過するための濾過体であって、
凹凸部を有し、流体を濾過する濾過膜と、
前記濾過膜を円柱状又は角柱状に支持する支持骨格と、を備える濾過体。
【請求項2】
流体を濾過するための濾過体であって、
流体を濾過する濾過膜と、
前記濾過膜を、柱状に、かつ軸方向に延びる凹状の溝を有するよう、支持する支持骨格と、を備える濾過体。
【請求項3】
前記濾過膜に沿って配置される、濾過体の形状を維持するためのメッシュ状の形状維持シートをさらに備え、
前記凹凸部は、前記濾過体の内側に突出する棒状突起であり、
前記棒状突起は、前記形状維持シートによって形状が支持されている、請求項1に記載の濾過体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の濾過体と、
前記濾過体を収容する中空のケーシングであって、前記ケーシング内に流体を流入させるための流入口、及び前記ケーシングから流体を流出させるための流出口が形成されている前記ケーシングと、を備える浄水器。
【請求項5】
前記棒状突起は、前記ケーシング内を流れる流体の流れ方向に対して垂直に延びるよう形成されている、請求項4に記載の浄水器。
【請求項6】
前記濾過体内を軸方向に延び、内部に流路を有する流体案内部材であって、前記流路内に流体を導く導入孔が前記棒状突起と対向する位置に形成されている前記流体案内部材をさらに備える、請求項5に記載の浄水器。
【請求項7】
内部が前記ケーシングの流出口と連通するよう前記ケーシング内に設置される紫外線照射室と、
流体及び空気を通過させるための孔が形成されており、前記紫外線照射室内を上流側と下流側とに仕切るよう配置され、円錐状又は角錐状の紫外線反射面が上流側に形成されている誘導板と、
前記紫外線反射面と対向するよう前記紫外線照射室内に配置された、紫外線を照射する紫外線光源と、をさらに備え、
前記流体案内部材は、一方端部が前記紫外線反射面と対向するよう前記紫外線照射室内に挿入されており、
前記紫外線反射面は、前記流体案内部材内に紫外線が入らないよう前記紫外線光源から照射された紫外線を反射する、請求項6に記載の浄水器。
【請求項8】
前記棒状突起は、前記ケーシング内を流れる流体の流れ方向に対して平行に延びるよう形成されている、請求項4に記載の浄水器。
【請求項9】
前記ケーシングは、流体を排出するための第1の排出口が底面に形成され、前記第1の排出口に流体を排出するための流体排出装置が設置されており、
前記流体排出装置は、
前記ケーシングの内側において前記第1の排出口を囲うように設置され、上端及び側面が開口している第1の収容部と、
前記ケーシングの外側において前記第1の排出口を囲うように設置され、下端が開口している第2の収容部と、
前記ケーシングの第1の排出口を封鎖可能な栓部材であって、前記第1の収容部内において前記第1の排出口から離間するよう配置され、前記第1の収容部の内側面を摺動可能な前記栓部材と、
前記第2の収容部内に配置され、前記ケーシングの第1の排出口を介して前記栓部材に連結された補助部材と、
前記第2の収容部内を上下に仕切るよう配置され、流体を排出するための第2の排出口が形成された第1の弁座部材と、
前記第2の収容部内において、前記第1の弁座部材の下面側から前記第2の排出口を封鎖するよう配置され、下方向に移動可能な第1の弁部材と、を有し、
前記栓部材は、前記ケーシング内への流体の流入を開始すると流体に押し下げられて前記ケーシングの第1の排出口を封鎖し、前記ケーシング内への流体の流入を停止すると上昇して前記第1の排出口が開放し、
前記第1の弁部材は、前記ケーシング内への流体の流入を停止すると前記開放された第1の排出口より排出された流体に押し下げられて前記第1の弁座部材の第2の排出口を開放し、前記ケーシング内の流体の排出が終了すると前記第1の弁座部材の第2の排出口を封鎖する、請求項4〜8のいずれかに記載の浄水器。
【請求項10】
前記栓部材及び前記ケーシングの第1の排出口の周囲は、磁石を含んでおり、
前記栓部材は、前記磁石が反発することにより前記第1の排出口から離間するよう配置されている、請求項9に記載の浄水器。
【請求項11】
前記栓部材及び前記第1の収容部の上端部は、磁石を含んでおり、
前記栓部材は、前記磁石が引き合うことにより前記第1の排出口から離間するよう配置されている、請求項9に記載の浄水器。
【請求項12】
前記ケーシングの流出口に接続された流体を吐出するための吐水管と、
前記吐水管内又は前記ケーシングの流出口の内側に設置された封鎖弁機構と、をさらに備え、
前記封鎖弁機構は、
流体の流れを上流側と下流側とに隔てるように設置され、流体を通過させるための第1の通過口が形成されている仕切部と、
下流側を向いた前記仕切部の一方面において前記第1の通過口を囲うように設置され、側面が開口している第3の収容部と、
前記第3の収容部の内側面を摺動する可動部と、を有し、
前記可動部は、
流体が通過するための第2の通過口が形成され、前記第3の収容部内において前記仕切部の一方面上に配置され、前記第3の収容部の内側面を摺動可能な摺動部材と、
一方端が前記摺動部材に接続され、前記仕切部の第1の通過口を介して上流側へと延び、前記第1の通過口の内径より外径が小さく形成された筒状部材と、
前記筒状部材の他方端からさらに上流側へと延び、前記第1の通過口の内径より外径が小さく形成され、側面が開口している収容部材と、
前記収容部材内に移動可能に配置された第2の弁部材と、
流体を通過させるための第3の通過口が形成され、前記第2の弁部材の下流側への移動を制御する第2の弁座部材と、を有し、
前記第2の弁部材は、前記ケーシング内からの流体の排出を開始すると前記ケーシング内に生じた負圧により上流側に引っ張られて前記第2の弁座部材の第3の通過口を開放し、前記ケーシング内からの流体の排出が終了すると前記第3の通過口を封鎖する、請求項4〜11のいずれかに記載の浄水器。
【請求項13】
前記第2の弁部材及び前記収容部材の下端は、磁石を含んでおり、
前記第2の弁部材は、前記磁石が反発することにより前記第2の弁座部材の第3の通過口を封鎖するよう配置されている、請求項12に記載の浄水器。
【請求項14】
前記第2の弁部材及び前記第2の弁座部材は、磁石を含んでおり、
前記第2の弁部材は、前記磁石が引き合うことにより前記第2の弁座部材の第3の通過口を封鎖するよう配置されている、請求項12に記載の浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−78967(P2011−78967A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199118(P2010−199118)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(506267662)
【Fターム(参考)】