説明

火傷した皮膚を治療するための方法及び組成物

本発明は、日焼けした皮膚を治療するための方法及び組成物に関する。本発明は、日焼けした皮膚にインドメタシン及び加湿ローションの混合物を局所的に適用するための方法及び組成物を提供する。当該組成物は、実質的に30ccの加湿ローション当たり100mgのインドメタシンを有する混合物を含む。加湿ローションは、商品名Cetaphil(登録商標)で販売されており、以下の成分:精製水、グリセリン、水素化ポリイソブテン、セテアリルアルコール(及び)セテアレス-20、マカダミアナッツ油、ジメチコーン、酢酸トコフェロール、ステアロキシトリメチルシラン(及び)ステアリルアルコール、パンテノール、ファルネソール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、水酸化ナトリウム、及びクエン酸を含む。Cetaphil(登録商標)はあるpH及び粘度レベルを提供し、Cetaphil(登録商標)内におけるインドメタシンの安定化及び可溶化を可能にすることが理論づけられている。本発明はさらに、放射線治療及び過度の熱によって引き起こされた皮膚火傷を治療するために用いられてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年8月7日に提出された米国特許出願通し番号第10/636,404号明細書の一部継続である。
本発明は、火傷した皮膚を治療するための方法及び組成物に関し、特に、軽度から中度の皮膚火傷の治療のためのインドメタシン及び保湿ローション製剤の局所的適用のための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スペクトルの紫外(UV)領域におけるある波長によって生じる日焼け(紅斑)の危険性を減少し又は除去するための実質的な努力がなされているが、依然として皮膚がUV放射に曝される状況がある。そのような暴露は、ある場合に日焼けの原因となり得る。そのような日焼けは、皮膚に炎症及び痛みを引き起こし得、それによって日焼けを治療する必要性を導く。
いくらかの従来の製剤が、日焼けした皮膚の治療のために開発されている。しかし、そのような治療はいくつかの不利益を有する。例えば、日焼けした部位に噴霧ミスト又は石油系組成物を提供する日焼けの治療は、十分に大きな熱移動効果を生じず、日焼けした部位から熱を除去しない。さらに、石油系組成物は、日焼けした皮膚の敏感及び鋭敏な部位から実質的に洗浄される必要のある残渣を生じやすい。そのような洗浄は、患部の皮膚にさらなる不快感及び刺激を引き起こしやすい。
【0003】
好ましくは、日焼けの治療は、いくつかの目的を同時に満足させる。日焼けの治療のための主な目的は、痛みを軽減すること、熱源を除去すること、火傷の進行を止めること、及び必要に応じて感染症の予防を助力することである。従って、日焼けに有用な治療は、好ましくは痛みからの即時性軽減を提供しながら、治癒の促進も助力する。日焼けの治療のための製剤を適度に簡便且つ費用効果的な方法に組み合わせ、調製された組成物を保存中に安定なままにするのが望ましい。そのような日焼け製剤は、不快な粘着感を生じることなく、且つその人の服を汚す又は服にくっ付くことがないように求められる軽減及び治癒効果を提供すべきである。さらに、日焼け製剤は好ましくは、その後に、敏感な日焼けした部位から洗浄又は除去されなければならない残渣を生ずるべきではない。
【0004】
日焼けは炎症性疾患であるため、従来は抗炎症薬で治療されていた。最も効果的な治療薬の1種は、インドメタシン[1-(p-クロロベンゾイル)-5-メトキシ-2-メチルインドール-3-酢酸]であり、これはその顕著な抗炎症性、抗発熱性、及び鎮痛性特性が広く認識されている非ステロイド系化学化合物である。しかし、インドメタシンは、局所的適用のためにある種のキャリアと混合されると不安定になり得、従って経口投薬がしばしば投薬の好ましい方法となる。
【0005】
インドメタシンの経口投薬は、以前からリウマチ性のものを含む炎症性疾患を有する患者において、痛みを軽減する、熱を下げる、及び増加した可動性を提供するのに効果的であるとして報告されている。経口的に投薬されると、当該薬剤は、身体における全般的な分布のために血流へ通る全身性薬剤として挙動する。多数の他薬剤の場合のように、全てが、特に治療の延長期間において、経口方法の投薬によってこの薬剤を満足に受容できるわけではない。さらに、経口投薬は、患部、例えば日焼けした皮膚の部位にインドメタシンの直接及び集中適用としては提供されない。
【0006】
同様の欠陥は、放射線治療の結果としての皮膚火傷の治療にも存在する。従来の治療は、加湿クリーム又は軟膏剤を用いて皮膚火傷を和らげていたが、そのようなクリーム及び軟膏剤は有効な抗炎症薬又は麻酔薬を含まず、痛み又は痒みを減らさない。局所的なヒドロコルチゾンクリーム又は軟膏剤を用いて炎症及び不快感を減らしていたが、そのような治療は典型的に1〜1.5時間までの一時的な軽減のみを提供する。局所的な麻酔クリーム又は軟膏剤は作用して痛みを減らすが、同様にそのような痛みの一時的な軽減を提供するのみである。他のクリーム、例えばスルファジアジン銀クリーム1%(Silvadene Cream(登録商標)として販売されている)が用いられ、水泡した部位及び潰瘍を有する放射線火傷を治療し、痛み及び二次的な皮膚感染症の発生を減らすが、そのようなクリームの効果は第一度の火傷に適用されるときに限定される。
【0007】
日焼けした皮膚の治療のためのインドメタシンを投薬する非経口方法を提供するのが望ましい。さらに、インドメタシンの局所的適用のためのキャリア媒体を提供し、炎症の局所的治療が日焼けした皮膚の部位に達成されるのが望ましい。保存中に安定なままの合理的で都合がよく且つ費用効果の高い方法を用いる局所的適用を提供するインドメタシンのためのキャリアを提供するのも望ましい。放射線治療又は過度の熱によって引き起こされる軽度から中度の皮膚火傷の治療のためのインドメタシンを投薬する非経口方法を提供するのが望ましい。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、軽度から中度の皮膚火傷を治療するための方法及び組成物に関する。本発明の方法は、インドメタシン及び加湿ローションを提供する工程を含む。インドメタシン及び加湿ローションが組み合わされ、その混合物を火傷した皮膚に局所的に適用し、火傷した皮膚に伴う症状を軽減するための混合物を形成する。当該混合物は、火傷した皮膚に1日当たり1〜2度適用される。
本発明の組成物は、インドメタシン及び加湿ローションの混合物を提供する。当該混合物は、実質的に30ccの加湿ローション当たり実質的に100mgのインドメタシンを提供する。加湿ローションは、皮膚軟化剤及び湿潤剤を含んでいてもよい。加湿ローションはさらに、精製水、グリセリン、水素化ポリイソブテン、セテアリルアルコール(及び)セテアレス-20、マカダミアナッツ油、ジメチコーン、酢酸トコフェロール、ステアロキシトリメチルシラン(及び)ステアリルアルコール、パンテノール、ファルネソール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、水酸化ナトリウム、及びクエン酸を含んでいてもよい。加湿ローションは商品名Cetaphil(登録商標)で販売され得る。
【0009】
ここで、本発明を開示されている実施態様を参考にして詳細に記載する。
本発明は、人間の日焼けした皮膚を治療するための方法及び組成物を提供する。当該組成物は、インドメタシン及び加湿ローションの混合物を含む。当該組成物は、日焼けした皮膚に局所的に適用され、日焼けによって引き起こされる局所的な炎症を含む日焼けした皮膚に伴う症状の非常に効果的な軽減を提供する。皮膚は、局所的製剤の存在下で、大量のインドメタシンを吸収し、且つ皮膚内及び他の組織にインドメタシンをゆっくりと放出する貯蔵器として作用すると考えられている。皮膚は、実際にインドメタシンのための補給器又は貯蔵器として作用し得る。インドメタシンは加湿ローションによって安定化及び可溶化され、当該加湿ローションが皮膚を通ってインドメタシンの吸収を高め、従って日焼けした皮膚の炎症のために薬剤を局所的に用いるのを可能にすると考えられている。インドメタシンの実験結果は、非常に優れた結果が、日焼けした皮膚を軽減することにおいて、他の抗炎症剤、例えばMotrin(登録商標)及びTolectin(登録商標)よりも達成されることを示した。
【0010】
実験結果はさらに、テキサス州76133フォートワースのGalderma Laboratories, Inc.によって商品名Cetaphil(登録商標)で販売されている加湿ローションの使用が、日焼けした皮膚を治療するための組成物を生成する際にインドメタシンの安定化及び可溶化をよく行うことも示した。Cetaphil(登録商標)が適切なpH及び粘度レベルを提供し、加湿ローション内にインドメタシンを効果的に安定化及び可溶化させることが理論づけられている。Cetaphil(登録商標)は、皮膚に水を結合させ、水分損失を防ぐのが臨床的に証明されている皮膚軟化剤及び湿潤剤を提供する。Cetaphil(登録商標)の成分は、精製水、グリセリン、水素化ポリイソブテン、セテアリルアルコール(及び)セテアレス-20、マカダミアナッツ油、ジメチコーン、酢酸トコフェロール、ステアロキシトリメチルシラン(及び)ステアリルアルコール、パンテノール、ファルネソール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、水酸化ナトリウム、及びクエン酸を含む。
【0011】
インドメタシン及びCetaphil(登録商標)の効果的な混合物を提供するために、実験は、実質的に30ccのCetaphil(登録商標)ローション当たり100mgのインドメタシンを有する適切な混合物が、日焼けした皮膚のための効果的な治療として作用することを見出した。この混合物濃度は、Cetaphil(登録商標)がインドメタシンのための適切な安定化剤及び可溶化剤として作用するのを可能にする。より濃い又はより薄いインドメタシン混合物を、治療に応じて生成してもよい。しかし、実験は、上記の混合物が日焼けした皮膚の治療のための効果的な混合物のままであることを示した。
【0012】
別の実施態様では、本発明は、放射線治療又は過度の熱の結果として受ける軽度から中度の皮膚火傷の治療のための方法及び組成物を提供し得る。上記の組成物は、インドメタシン及び加湿ローションの混合物を含む。当該組成物は、火傷した皮膚に局所的に適用され、痛み、痒み、刺激、及び局所的炎症を含む火傷した皮膚に伴う症状の非常に効果的な軽減を提供する。前述の実施態様に記載されているのと同様の組成物及び方法が、放射線治療又は過度の熱によって火傷した皮膚の治療に用いられる。
【0013】
本発明の組成物及び方法は、皮膚が過度の熱、放射線治療、又は日光によって焼かれた第一度の火傷に用いられることに注目すべきである。そのような第一度の火傷は、軽度又は中度として最もよく記載される。本発明の組成物及び方法は、水泡化、潰瘍化又は感染した部位に用いられるべきではない。
【0014】
使用する際は、開示された量のインドメタシン及びCetaphil(登録商標)を混合し、適切な組成物を生成する。当該組成物は、日焼けした部位に適用され、日焼けに伴う痛み及び不快感のほぼ即時性の軽減を提供する。加湿ローションは日焼けした皮膚に水分及び冷却感を提供し、インドメタシンは日焼けによって引き起こされた皮膚の炎症を減らす。インドメタシン及びCetaphil(登録商標)の組成物又は混合物は、1日当たり1〜2度、日焼けした部位に適用されるべきである。同様の組成物及び方法は、過度の熱又は放射線治療によって火傷した皮膚に適用されてもよい。
【0015】
本発明は、最も実用的且つ好ましい実施態様であると現在考えられているものに関して記載されており、本発明が開示されている実施態様に限定されないと理解されるが、それに反して、特許請求の意図及び範囲内に含まれる種々の改良及び同等の態様を包含することが意図される。当該範囲は、最も広い解釈に一致し、法の下で行われる全てのそのような改良及び同等の構造を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火傷した皮膚を治療するための方法であって、
インドメタシンを提供する工程、
加湿ローションを提供する工程、
前記インドメタシン及び前記加湿ローションを混合して混合物を形成する工程、及び
前記火傷した皮膚に前記混合物を局所的に適用する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
30ccの加湿ローション当たり100mgのインドメタシンを混合する工程、
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
商品名Cetaphil(登録商標)を前記加湿ローションとして提供する工程、
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
皮膚軟化剤及び湿潤剤を有する加湿ローションを提供する工程、
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
精製水、グリセリン、水素化ポリイソブテン、セテアリルアルコール(及び)セテアレス-20、マカダミアナッツ油、ジメチコーン、酢酸トコフェロール、ステアロキシトリメチルシラン(及び)ステアリルアルコール、パンテノール、ファルネソール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、水酸化ナトリウム、及びクエン酸を有する成分を有する前記加湿ローションを提供する工程、
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記混合物を1日当たり1〜2度、前記火傷した皮膚に適用する工程、
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
放射線治療によって火傷した皮膚に前記混合物を局所的に適用する工程、
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
過度の熱によって火傷した皮膚に前記混合物を局所的に適用する工程、
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記混合物を第一度の火傷に適用する工程、
をさらに含む、請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2007−501792(P2007−501792A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522711(P2006−522711)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/025260
【国際公開番号】WO2005/016336
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(506043217)リル ブラット ファーマシューティカルズ (1)
【Fターム(参考)】