説明

火力発電プラント

【課題】ボイラ・蒸気タービン・排ガス処理装置の配置と構造を工夫し、高温の材料の使用量を低減し、さらに配管の熱伸び量を低減することで、高信頼性・低材料コスト・低建設コストを実現する火力発電プラントを提案する。
【解決手段】燃料を燃焼する火炉と、火炉から排出された燃焼ガスから熱を回収する後部伝熱部、を有する2パスボイラと蒸気タービンを有する火力発電プラントにおいて、蒸気タービンを後部伝熱部に近接して配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント構成要素の配置と構造を改善した火力発電プラントに関し、特に火炉と後部伝熱部が並列に連続して配置された低層構造の2パス型ボイラを有する火力発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
2パス型ボイラを有する火力発電プラントは、火炉と後部伝熱部が垂直方向に直列に設けられたタワー型ボイラを有する火力発電プラントに比べ、耐震強度が強く建設コストを低減できるため広く用いられている。2パス型ボイラを用いた火力発電プラントでは、ボイラ内で燃料と空気を燃焼し、発生した熱により水を加熱して蒸気を発生させ、蒸気タービンを駆動して発電を行う。また、燃焼により発生した燃焼ガスを浄化するため、排ガス浄化装置が備え付けられている。
【0003】
火力発電プラントは多くの種類の燃料を使用することができる反面、ガスタービン・コンバインドサイクル発電装置に比べて効率が低く、二酸化炭素の排出量が多い。そこで、蒸気の高温化・高圧化により効率向上を図っている。しかし、約700度前後に達する高温と高圧の蒸気に耐える火力発電プラントの主蒸気管等の材料は通常のプラント材料に比べて非常に高価であり、なるべく高温部に使用する材料の量を低減する必要がある。
【0004】
従来は、特許文献1に記載されているように、ボイラを地下に埋設し、ボイラと蒸気タービンをつなぐ主蒸気管の長さを短くするアイデアが提案されている。また、特許文献2に示す様に、タービン建屋とボイラの列にそってその隣に煙道と煙突を配置し、敷地が狭隘な場合でも設置可能な2出力ユニット型火力発電プラントが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−43562号公報
【特許文献2】実開昭64−51704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、ボイラを地下に埋設する場合には建設コストが上昇し、またボイラの熱を制御するために付加的な設備を要する。また、特許文献2は火力発電プラント全体の配置についての工夫であって特に主蒸気管等の長さについては言及していない。
【0007】
本発明は、ボイラ・蒸気タービン・排ガス処理装置の配置と構造を工夫し、主蒸気管等に用いられる耐高温材料の使用量を低減し、さらに主蒸気管等の配管の長さと熱伸び量を低減することで、高信頼性・低材料コスト・低建設コストを実現する火力発電プラントを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、燃料を燃焼する火炉と、排出された燃焼ガスから熱を回収する後部伝熱部とを並列に配置した2パス構造を有するボイラと、該ボイラの前記火炉と前記後部伝熱部から回収した熱により水を加熱して蒸気を発生させる蒸気発生器と、発生した蒸気により少なくとも高圧タービンを含む蒸気タービンを回転して回転エネルギーを電気に変換する発電機を有する火力発電プラントにおいて、前記蒸気タービンの前記高圧タービンを前記ボイラの前記後部伝熱部に近接して配置したことを特徴とする。
【0009】
また、火力発電プラントにおいて、前記ボイラの火炉と後部伝熱部とを格納するボイラ建屋と、前記蒸気タービンを格納するタービン建屋を有し、前記ボイラ建屋の後部伝熱部側に近接して前記タービン建屋を配置したことを特徴とする。
【0010】
また、火力発電プラントにおいて、前記火炉と後部伝熱部を結ぶボイラの中心軸方向に排出された前記後部伝熱部の燃焼ガスを、前記ボイラの中心軸方向に対しほぼ直交方向に排出方向を変化させる接続ダクトを前記タービン建屋の上に設置し、前記接続ダクトを出た後の燃焼ガスを供給する脱硝装置を前記接続ダクト下流に設けたことを特徴とする。
【0011】
また、火力発電プラントにおいて、前記火炉と前記後部伝熱部とを結ぶボイラの中心軸の方向と前記蒸気タービン軸の方向を、火力発電プラントの設置平面上で一致させたことを特徴とする。
【0012】
また、火力発電プラントにおいて、前記蒸気タービンを格納するタービン建屋を設け、前記ボイラの前記後部伝熱部出口を分割して該後部伝熱部出口に対し前記タービン建屋と排ガス処理装置を配置するとともに火力発電プラントの設置平面上で並列に配置し、蒸気タービンの軸と前記排ガス処理装置内で燃焼ガスの流れる向きを同一方向としたことを特徴とする。
【0013】
また、火力発電プラントにおいて、前記火炉または前記後部伝熱部に蒸気をまとめるヘッダを設け、該ヘッダから出た蒸気を前記蒸気タービンへ供給する蒸気管を2系統備え、該2系統の蒸気管を火力発電プラントの設置平面上で前記ボイラの中心軸と前記蒸気タービンの軸に対して反対側に各々設けたことを特徴とする。
【0014】
また、火力発電プラントにおいて、前記ボイラの後部伝熱部から燃焼ガスをボイラ中心軸方向に排出し、前記蒸気タービンを格納するタービン建屋を設け、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置を前記後部伝熱部下流の前記タービン建屋上部に設けたことを特徴とする。
【0015】
また、火力発電プラントにおいて、前記ボイラの後部伝熱部から燃焼ガスをボイラ中心軸方向に排出し、蒸気タービンを格納するタービン建屋を設け、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と空気を過熱するエアヒータを前記後部伝熱部下流の前記タービン建屋上部に設けたことを特徴とする。
【0016】
さらに、火力発電プラントにおいて、前記ボイラの後部伝熱部から排出される燃焼ガスを、火力発電プラントの設置平面上で前記ボイラの火炉と後部伝熱部を結ぶボイラの中心軸方向に対してほぼ直交方向に排出することを特徴とする。
【0017】
また、火力発電プラントにおいて、前記ボイラの後部伝熱部から排出される燃焼ガスを、火力発電プラントの設置平面上で前記ボイラの火炉と後部伝熱部を結ぶボイラの中心軸方向に対して垂直な反対方向の2箇所から排出することを特徴とする。
【0018】
さらに、火力発電プラントにおいて、燃焼ガスの窒素酸化物を除去する脱硝装置を前記ボイラの後部伝熱部の下流に設け、前記後部伝熱部に水を加熱する節炭器を設け、前記脱硝装置のガス温度が低下しないように前記節炭器上流に燃焼ガスの一部を取り出すバイパスダクトを取り付け、該バイパスダクトの取り出し方向を前記ボイラの中心軸方向に対してほぼ直交方向としたことを特徴とする。
【0019】
さらに、火力発電プラントにおいて、燃焼ガスの窒素酸化物を除去する脱硝装置を前記ボイラの後部伝熱部の下流に設け、前記後部伝熱部に水を加熱する節炭器を設け、前記脱硝装置のガス温度が低下しないように前記節炭器上流に燃焼ガスの一部を取り出すバイパスダクトを取り付け、前記バイパスダクトの取り出し方向を前記ボイラの中心軸方向に対してほぼ平行としたことを特徴とする。
【0020】
さらに、火力発電プラントにおいて、燃焼ガスの窒素酸化物を除去する脱硝装置と空気を燃焼ガスで過熱するエアヒータと燃焼ガスの灰を除去する集塵機とを2系統備え、前記ボイラの後部伝熱部から排出される燃焼ガスを前記後部伝熱部の片側の側面から排出し二つに分岐して前記2系統の脱硝装置、エアヒータ、集塵機へ供給することを特徴とする。
【0021】
さらに、火力発電プラントにおいて、前記ボイラの後部伝熱部から排出された燃焼ガスのCO2を分離回収するCO2回収装置を前記ボイラ下流に設け、前記CO2回収装置を前記蒸気タービンに近接して配置したことを特徴とする。
【0022】
さらに、火力発電プラントにおいて、前記CO2回収装置に蒸気を使用し、前記CO2回収装置の一部を前記蒸気タービンの下部に設置したことを特徴とする。
【0023】
さらに、火力発電プラントにおいて、エアヒータと、酸素製造装置と、燃焼ガスの一部を循環させるダクトと、前記酸素製造装置で製造した酸素と循環した燃焼ガスとの混合装置と、混合した酸素ガスを前記エアヒータへ供給するダクトを備え、火炉と後部伝熱部を有するボイラを格納するボイラ建屋の前記後部伝熱部の燃焼ガス排出方向を、火力発電プラントの設置平面上で前記火炉と後部伝熱部を結ぶボイラの中心軸方向に対してほぼ直交方向に1方向から排出させ、前記ボイラ建屋の燃焼ガスの排出側に前記酸素製造装置を設けたことを特徴とする。
【0024】
さらに、火力発電プラントにおいて、蒸気タービンとして2段再熱式タービンを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、2パス構造を有するボイラから回収した熱により蒸気を発生させる蒸気発生器と、発生した蒸気により少なくとも高圧タービンを含む蒸気タービンを回転して発電する発電機を有する火力発電プラントにおいて、前記蒸気タービンの前記高圧タービンを前記ボイラの前記後部伝熱部に近接して配置したことにより、火力発電プラントの主蒸気管の短縮による建設コスト・材料コストの低減、熱伸び量の低減による長寿命化・信頼性向上が可能になる。
【0026】
また、主蒸気管の曲げ回数の低減により製造コストを低減できる。さらに主蒸気管のルーティングが容易になり設計時間の短縮が可能になる。さらに主蒸気管が他の機器の近くを通過しないために、主蒸気管の設置作業と機器の設置作業を同時に行うことができ建設期間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】本発明の実施例1の配置を示す平面図
【図1B】本発明の実施例1の配置を示す正面図
【図1C】本発明の実施例1の配置を示す側面図
【図2A】本発明の実施例1の変形例の配置を示す正面図
【図2B】本発明の実施例1の変形例の配置を示す側面図
【図3A】本発明の実施例1の別の変形例の配置を示す正面図
【図3B】本発明の実施例1の別の変形例の配置を示す側面図
【図4A】本発明の実施例2の配置を示す平面図
【図4B】本発明の実施例2の配置を示す正面図
【図5A】本発明の実施例3の配置を示す平面図
【図5B】本発明の実施例3の配置を示す正面図
【図6A】本発明の実施例4の配置を示す平面図
【図6B】本発明の実施例4の配置を示す正面図
【図6C】本発明の実施例4の配置を示す側面図
【図7A】本発明の実施例5の配置を示す平面図
【図7B】本発明の実施例5の配置を示す正面図
【図8】本発明の実施例6の配置を示す正面図
【図9A】本発明の実施例7の配置を示す平面図
【図9B】本発明の実施例7の配置を示す正面図
【図10A】本発明の実施例8の配置を示す平面図
【図10B】本発明の実施例8の配置を示す正面図
【図11A】本発明の実施例9の配置を示す平面図
【図11B】本発明の実施例9の配置を示す正面図
【図12A】本発明の実施例10の配置を示す平面図
【図12B】本発明の実施例10の配置を示す正面図
【図13A】本発明の実施例11の配置を示す平面図
【図13B】本発明の実施例11の配置を示す正面図
【図14A】本発明の実施例12の配置を示す平面図
【図14B】本発明の実施例12の配置を示す正面図
【図15】本発明の実施例13の配置を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例について図を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0029】
〔基本構成〕
図1A〜図1Cは火力発電プラントの実施例1の配置を示す。実施例1の特徴は、ボイラ建屋13の排ガス浄化装置側にタービン建屋1が配置されていることである。すなわち、ボイラ建屋13の中に、火炉14と後部伝熱部28を有するボイラBが設けられており、火炉14及び後部伝熱部28、蒸気タービン建屋1の順番に配置されている。実施例1は石炭を燃料とした場合を示しているが、燃料として油、バイオマス、ガス、ペットコークなどを用いた場合にも適用できる。
【0030】
以下に、初めに燃焼系統、排ガス処理系統について説明し、次に水・蒸気系統について説明する。
〔燃焼系統〕
始めに、燃焼系統において、サイロ12に投入された石炭はミル11により微粒化され、図示しない石炭供給ラインを通って、バーナ15から火炉14に投入される。また、ボイラ建屋13内に設置した図示しないファンを用いて空気を取り込み、エアヒータ102を経由してバーナ15とOFA(オーバーファイアリングエアポート)16に供給する。これらの空気は、ボイラ建屋13内に設置されている図示しない空気ダクトを通って流れる。OFA16は、必須ではないが、空気をバーナ15とOFA16との2段に分けて投入することでNOx(窒素酸化物)を低減できる。
【0031】
火炉14は水管で構成されており、燃焼により発生した熱を水管内に流れる水または蒸気に伝える。さらに燃焼ガスの熱は、1段目吊り下げ過熱器19、2段目吊り下げ過熱器20、吊り下げ再熱器24を流れる蒸気に伝えられる。実施例1では2段の吊り下げ過熱器が設置されているが、3段以上のものであっても良い。
【0032】
燃焼ガスは、さらにボイラBの後部伝熱部28を通過する。後部伝熱部28には再熱器21、過熱器22、節炭器23などの熱交換器が設置されている。ここに示しているのは一例であり、熱サイクルや、蒸気温度、ガス温度条件に応じて最適な熱交換器の配置は異なる。後部伝熱部28の熱交換器の下流にパラレルダンパ27が設置されている。パラレルダンパ27は、再熱蒸気系と主蒸気系のガス流量を調整して主蒸気と再熱蒸気の温度を制御するために使用される。パラレルダンパ27の下には、灰を受けるホッパ29が設置される。
〔排ガス処理系統〕
次に、排ガス処理系統において、後部伝熱部28を通過した燃焼ガス(排ガス)は、連絡ダクト106を経由してボイラ建屋13の脱硝装置101に供給される。実施例1ではタービン建屋1がボイラ建屋13の排ガス浄化装置側に設置されているため、連絡ダクト106をボイラ建屋13から排ガス処理装置側には直接取り出せない。そこで、ボイラ建屋13の側壁に連絡ダクト106を取り付けた。すなわち燃焼ガスは、後部伝熱部28の左右の側壁から左右一対の連絡ダクト106を通過して取り出される。この場合に連絡ダクト106への出口面積が小さいと流速が高くなり、圧力損失が大きくなりダクト106の振動も発生する。一方、流速が小さく(例えば20m/s以下)なるように後部伝熱部28の出口面積を大きく設定すると、プラントの効率が良くなり振動も発生しないので故障も少なくできる。
【0033】
脱硝装置101で燃焼ガス中のNOxが除去される。脱硝方法として、選択接触触媒還元法が用いられる場合がある。この脱硝方法は触媒を用いてアンモニアとNOxを反応させるもので、適切なガス温度が決まっている。
【0034】
プラントの負荷が低い場合は、脱硝装置のガス温度が低くなりNOxを除去できない場合がある。このために、燃焼ガスの一部を熱交換器を迂回して流すバイパスダクトが設置される。図2A、2Bは、バイパスダクト116を設けた場合の応用例を示す。この場合は、後部伝熱部28の側壁から燃焼ガスを排出し、一部の熱交換器(過熱器21、節炭器23等)を迂回して連絡ダクト106に接続している。このときバイパスダクト116の入口(後部伝熱部28に接続する場所)の断面積が小さくなる場合がある。このような場合には図3の応用例に示すように、後部伝熱部28の火炉と反対側から一旦燃焼ガスを取り出し、バイパスダクト116を使って連絡ダクト106に接続すると良い。
【0035】
脱硝装置101を通過した燃焼ガスはエアヒータ102に供給され、空気と燃焼ガスの間で熱交換を行い、空気を加熱して熱エネルギーを回収する。これによって、燃焼ガスの温度は低下する。エアヒータとしてはユングストローム型や、シェルアンドチューブ型等を使用可能である。
【0036】
エアヒータ102を出た後の燃焼ガスは電気集塵機103を通過する。これにより燃焼ガス中に含まれる未燃成分や灰を除去する。さらに、脱硫装置104により燃焼ガス中の硫黄酸化物を除去する。実施例1では脱硝装置101、エアヒータ102、電気集塵機103を夫々2台使用しているがこれらは1台であってもよく、この場合は蒸気タービンが排ガス処理装置に囲まれないため蒸気タービンの据付、保守が容易になる。
【0037】
実施例1では、脱硫装置104の下流に煙突105とCO2回収装置107を設置している。CO2回収装置は本発明に必須ではないがCO2回収装置を設置したときの方が効果が高い。煙突105、CO2回収装置107へ流れる燃焼ガスは、ダクト内に設置した図示しないダンパにより流量の調整が可能である。CO2を回収する場合はCO2回収装置107へ流れる流量を増加する。
【0038】
CO2回収法の中で、化学吸収法はアミン等の吸収液を用いてCO2を回収する。CO2を吸収液から分離するために加熱する必要があり、加熱用の熱源としては高圧蒸気、再熱蒸気、抽気蒸気などの蒸気が考えられる。高圧蒸気はタービンを回転させるのに適しているので、再熱蒸気・抽気蒸気を加熱用に使用すると良い。
【0039】
実施例1では、CO2回収装置107と蒸気タービン建屋1が隣接しているので、蒸気配管の距離を短くできる。これにより、コスト低減だけでなく、熱伸びの低減による信頼性向上や、熱ロスの低減により効率向上を図ることができる。
〔水・蒸気系統〕
さらに、水・蒸気系統について説明する。復水器から供給された水は、図示しない復水ポンプ、低圧給水加熱器5、脱気器7、給水ポンプ8、高圧給水加熱器6を通過し、給水管30を通ってボイラBに供給される。これら機器を通過する順番やタービン建屋1での位置は、採用する蒸気サイクル、出力、蒸気タービンの構造などで変化する。実施例1では高圧給水加熱器6と節炭器23が非常に近く設けられており、給水管30の長さを短くできる。これにより、材料コスト、据付コストを低減し、さらに、熱伸びが小さいことにより機器の信頼性が向上する。実施例1では給水管は1系統だけ設けられているが、2系統設置しても良い。
【0040】
水は給水管30を経由して節炭器23に供給される。この系統を主蒸気系と呼ぶ。節炭器23で暖められた水は、ボイラBの火炉14に供給される。この後、水は火炉14で加熱されて以下に説明する蒸気発生器により蒸気に変化する。蒸気は加熱器22を通過し、1段目吊り下げ過熱器19、2段目吊り下げ過熱器20を通過する。これら熱交換器の入口・出口にはヘッダが設置されている。ヘッダは全てを図示していないが、伝熱管に蒸気を分配したり、伝熱管の蒸気を混ぜ合わせて温度を均一化したりさせる働きがある。また各ヘッダ間は図示しない連絡管で接続されている。蒸気温度の調整のためスプレーが連絡管に設置されることがある。
【0041】
主蒸気系の最終熱交換器の後には、主蒸気最終ヘッダ25が設置されている。蒸気は主蒸気最終ヘッダ25で集められ、2本の主蒸気管17を用いて高圧タービン2へ供給される。実施例1の火力発電プラントでは、主蒸気最終ヘッダ25と高圧タービンの軸が火力発電プラントの設置平面上で2次元的に見ると直交している。また、2本の主蒸気管を高圧タービンの軸に対して左右対称とすることができる。この構造による利点は、(1)設計が容易であること、(2)左右の熱伸びが等しく、主蒸気最終ヘッダ25・主蒸気管17・タービンに左右不均一な応力を生じさせないこと、(3)左右の主蒸気管での熱ロスを同じにし、高圧タービン2の入口温度を同じにできること、(4)左右の主蒸気管での圧力損失を同じにし高圧タービン2の入口圧力を同じにできることである。
【0042】
また、ボイラ建屋13とタービン建屋1が近いことで主蒸気管17を短くできる。これにより主蒸気管17の熱伸びが低下し、機器に発生する応力が低下する。また、蒸気温度の高温化・高圧化はプラントの発電効率を向上させるが、このような条件に対応する配管材料は非常に高価であり、できるだけ短縮して設置することが望まれている。このように実施例1では主蒸気管17の長さを従来よりも短縮でき、材料コストを削減できる。
【0043】
従来の配置では、タービンはサイロに対し火炉と反対側に設置されており、主蒸気管は火炉の近くを通過する必要があった。しかし火炉の周りには石炭供給ライン、空気ダクト、サイロなどの機器が多数存在するために、主蒸気管をこれらの機器を避けながら通過させるのは難しかった。これに対し実施例1では、主蒸気管17はボイラ建屋13の後部伝熱部28の近くを通過するが、この付近には主蒸気管17の通過を妨げる機器が少なく、自由に主蒸気管17の位置を決めることができる。また、高温・高圧条件に対応する配管材料は高強度で加工が難しいためなるべく曲がる回数を少なくする。実施例1では主蒸気管の位置を自由に決められることから配管材料の曲がる回数をすくなくでき、これによりコスト低減や信頼性向上を図ることができる。
【0044】
実施例1では2本の主蒸気管が設置されているが、ヘッダから出た後で主蒸気管をまとめて1本とすることも可能である。この場合、タービン入口で再度2本に分岐させるとタービン入口形状を左右対称にできる。
【0045】
実施例1では、タービンは、高圧タービン2、中低圧タービン3、発電機4が1列に並んだ1軸構成になっているが、2軸構成であっても同様の効果を得ることができる。この場合、例えば、高圧タービンと中圧タービンを1つの軸として、低圧タービンをもう一つの軸にし、各軸には各々発電機を取り付けると良い。この場合、ヘッダの中心位置と高圧・中圧の蒸気タービンの中心軸を同じにすると良い。これにより、圧力・温度の高い蒸気管の対称性を高くし、これら配管の応力を低減することができる。
【0046】
高圧タービン2を出た蒸気は再度ボイラBで加熱され、この蒸気を再熱蒸気と呼ぶ。実施例1では、再熱器21、吊り下げ再熱器24を通過して蒸気の温度が高められる。パラレルダンパ27を動作させ、再熱器21と吊り下げ再熱器24の伝熱配分を調整し、再熱蒸気の温度を調整する。吊り下げ再熱器24の出口には、再熱蒸気最終ヘッダ26が備えられている。再熱蒸気は再熱蒸気最終ヘッダ26で集合し、再熱蒸気管18を通って中低圧タービン3へ供給される。
【0047】
再熱蒸気管18も主蒸気管17と同様に左右で対称に配置して、長さを同じにすることができ、これにより主蒸気と同様の効果を得ることができる。すなわち、(1)設計が容易であること、(2)左右の熱伸びが等しく、再熱蒸気最終ヘッダ26・再熱蒸気管18・タービンに左右不均一な応力を生じさせないこと、(3)左右の再熱蒸気管での熱ロスを同じにし、中低圧タービン3の入口温度を同じにできること、(4)左右の再熱蒸気管での圧力損失を同じにし、中低圧タービン3の入口圧力を同じにできることである。
【0048】
再熱蒸気管18の圧力は、主蒸気管17の圧力より低いため蒸気の密度が小さい。流速を同程度で同じ流量を流すためには、管の直径を大きくしなければならない。すなわち、再熱蒸気管は、主蒸気管よりも配置スペースを必要とする。実施例1では、再熱蒸気管の通過を妨げる機器の少ない後部伝熱部の近傍を通過するため、設計が容易になる。また主蒸気管と同様に再熱蒸気管18の長さは短くなり、材料コストを削減できる。さらに、曲げの回数を少なくすることで加工コストを削減できる。中低圧タービンを出た蒸気は復水器9に供給され水に戻される。
【0049】
火力発電プラントの建設時には、タービン建屋内に機器を搬入する。また、火力発電プラントの定期点検時には、これら機器を取り外して修理することがある。このような場合に、図1に示すようにタービン建屋1が、ボイラ建屋106、電気集塵機103、脱硫装置104、CO2回収装置107に囲まれていると機器の搬入が難しい。そこで、例えば、電気集塵機103と脱硫装置104を接続するダクト118の高さを、トラックやトレーラなどの運搬車が通行できる高さまで高く設置すると良い。この場合に全てのダクトの高さを高くする必要はなく、1または2箇所高くするだけでも機器の搬入が容易になる。
【実施例2】
【0050】
図4A、4Bは、本発明の実施例2を示す。実施例2では電気集塵機103、脱硫装置104などの排ガス処理装置をボイラ建屋13とタービン建屋1の片側に配置している。この配置のメリットは、(1)タービン建屋が、排ガス処理装置に囲まれていないので機器の搬入が容易、(2)排ガス処理装置が集中しているのでメンテナンスが容易、(3)後部伝熱部28の片側に連絡ダクト106などがないために後部伝熱部28の下部への装置の搬入が容易で、またホッパに溜まった灰を取り除くための装置を設置可能である。
【0051】
この配置とするとボイラBの後部伝熱部28から燃焼ガスを取り出す連絡ダクト106を片側に設置しなければならない。従って連絡ダクト106への出口面積を確保するために、後部伝熱部28のホッパ29を下方向に移動させ、または後部伝熱部28の幅(火炉から後部伝熱部28の方向)を広くすると良い。
【0052】
また、実施例2ではダクト117の長さが左右で異なるため、左右のダクトでガス流量の偏差が発生する可能性がある。そこで、流量計をダクトにつけ制御装置を用いて流量を等しくなるように制御すると良い。
【実施例3】
【0053】
図5A、5Bは、本発明の実施例3を示す。CO2回収装置107の位置以外は図4と同じ構成である。CO2回収装置107として化学吸収方式を使用する場合には、蒸気を大量に使用する。このため蒸気の配管が長いと、放熱が多くなりプラントの効率が低下する。実施例3では、CO2回収装置107をタービン建屋1の隣に設置することで、CO2回収装置用蒸気供給管108の長さを短くした。さらにタービン建屋とCO2回収装置107の間に一定の空間を設け、据付や修理のための車両、機材がこの空間に入ることができるようにしている。
【実施例4】
【0054】
図6A、6B、6Cは、本発明の実施例4を示す。燃焼ガスは接続ダクト113によりタービン建屋の上で90°直角に方向を転換し、さらに連絡ダクト106を通じて脱硝装置101、エアヒータ102へ流れる。接続ダクト113にはダクト分離壁114が設置されており、燃焼ガスが方向転換をする際に、流れの不均一を生じないようにしている。また、このようにダクトを分割することで、流れの剥離を防ぎ圧力損失を少なくできる。すなわち、排ガス吸引ファンや押し込み通風ファンの動力を低減し、プラントの効率を向上する。同様の効果を得るために、接続ダクト113の中に流れを整流する案内羽根を設置しても良い。また、流れの剥離を防ぐとダクトの振動を少なくすることができ、機器の寿命を長くすることができる。
【0055】
実施例4では、接続ダクト113の幅は、後部伝熱部2と同じである。これにより、後部伝熱部28との取り合い面積を大きくすることができる。すなわち、燃焼ガス流の圧力損失を低減できる。また、後部伝熱部28の出口形状は、従来ボイラと同じであり、ここでは図示しないが、バイパスダクトを設置しやすい。
【0056】
接続ダクト113は、タービン建屋1の上に設置されており、燃焼ガスや燃焼ガスに含まれる灰が漏れ出す可能性がある。このため機器の点検をしやすい構造にすると良い。例えば、図6のように、タービン建屋の屋上と接続ダクトに隙間を設け、接続ダクト113を点検しやすいようにする。この場合、タービン建屋の屋上に人が上っても、強度的に問題のない構造とする必要がある。また、接続ダクト113は熱により伸びる可能性があるので、接続ダクト113に熱伸びを吸収するエクスパンションを設置すると良い。接続ダクト113の強度を高めるために、タービン建屋と接続ダクト113の間に支持柱を設置すると良い。この場合、支持柱にも伸びを吸収する構造を設けると良い。
【0057】
また、逆に接続ダクト113をタービン建屋103に接するように配置することで構造を簡単にできる。この場合は、点検が難しいので、強度の高い材料を用いると良い。
【0058】
実施例4の場合、ボイラ建屋13からエアヒータ102まで空気を供給し、加熱された空気を戻す接続ダクト115が必要である。実施例4では排ガス処理系の右と左用に2本の接続ダクト115を設置し、接続ダクトの長さを短くするために、ボイラ建屋13の片側から接続ダクト115を取り出しエアヒータ102に接続している。
【実施例5】
【0059】
図7A、7Bは、本発明の実施例5を示す。通常、タービン建屋1には、非常に重いタービンを吊り下げるクレーンが設置されている。このため、タービン建屋1は非常に頑丈に設計されており、タービン建屋1の上に脱硝装置101を設置しても強度的な補強はほとんど必要ない。すなわち、低コストで脱硝装置101の設置場所を確保できる。脱硝装置ではアンモニアを使用するため、タービン建屋の上にもれると危険である。従ってアンモニアが漏れているかを確認するセンサーをタービン建屋1の上や脱硝装置近くに設置すると良い。
【0060】
実施例5では、連絡ダクト106を用いて脱硝装置101に燃焼ガスを供給する。接続ダクト115と連絡ダクト106を使用して、脱硝装置101から出た燃焼ガスをエアヒータに供給している。この場合も、脱硝装置に供給するガス温度を調整するためにバイパスダクトを設置すると良い。
【実施例6】
【0061】
図8は、本発明の実施例6を示す。実施例6はの実施例5と類似しているが、タービン建屋の上に脱硝装置101に加えてエアヒータ102を設置している点に特徴をもち、これにより機器を配置する敷地面積の削減が可能になる。さらに、エアヒータ102と電気集塵機103とを結ぶダクト117のガス温度は低いので、ダクトの保温材の使用量を少なくすることができる。
【実施例7】
【0062】
図9A、9Bは、本発明の実施例7を示す。実施例7でも主蒸気管17、再熱蒸気管18、給水管30の長さが短くなるように各設備を配置するが、特に主蒸気管17は温度・圧力が高いので短くする必要がある。このためにタービン建屋1はボイラ建屋13の後部伝熱部28の横に設置されている。このような構成にすると排ガス処理系の構造を従来と同じにすることができる。また、CO2回収装置107とタービン建屋1をつなぐ蒸気供給管108の長さを短くできる。この配置ではタービンの軸と主蒸気最終ヘッダ25、再熱蒸気最終ヘッダ26が平行になる。
【実施例8】
【0063】
図10A、10Bは本発明の実施例8で、CO2回収装置に酸素燃焼方式を採用した場合を示し、この場合にも上記各実施例と同様に主蒸気管17、再熱蒸気館18、給水管30を従来より短くできる。
【0064】
酸素製造装置109により酸素を製造し、ダクト120から取り込んだCO2を主成分とする燃焼ガスと混合し、ダクト121からエアヒータ102に供給する。この混合ガスである酸化剤はエアヒータ102で加熱され、火炉14のバーナ15やOFA16から供給されて燃料の燃焼に使用される。燃焼ガスは、火炉14、後部伝熱部28、脱硝装置101、エアヒータ102、ダクト117、電気集塵機103、脱硫装置104、ダクト119を通過し、CO2回収装置107に供給される。
【0065】
酸素燃焼方式では、CO2回収装置に供給されるCO2濃度が80%以上と非常に高いので、CO2と窒素、酸素、水分等のガスとの分離が容易である。本発明を酸素燃焼方式に適用した場合の利点は、ボイラ建屋13の片側にエアヒータ102が存在しているため、酸素製造装置109で製造した酸素と燃焼ガスを混合した酸化剤をエアヒータ102に供給しやすいことである。
【実施例9】
【0066】
図11A、11Bは、本発明の実施例9を示す。実施例9ではタービン建屋1が2階建て構造になっている。1階には復水器9と蒸気による加熱を使用するCO2回収装置110が設置されている。復水器9を1階に設置するのは復水器9の重量が重いためである。2階には高圧タービン2、中低圧タービン3、発電機4、脱気器6、低圧給水過熱器5、高圧給水過熱器6などが設置されている。タービンを高い位置に設置することで主蒸気管17、再熱蒸気館18、給水管30の距離を短くすることができ、これにより主配管の熱伸びによる応力を低減できる。
【0067】
さらに蒸気を使用するCO2回収装置110を蒸気タービンの下部に設置することで、CO2回収装置用蒸気供給管108の長さを短くできる。CO2回収装置は2つに分けられており、蒸気を使用しないCO2回収装置111と蒸気を使用するCO2回収装置110の間は、CO2回収液がCO2回収液循環ダクト112を通って循環する。蒸気タービン建屋1を高層化したことで、CO2回収装置111の設置面積が狭くなりプラントの敷地を有効に使用できる。
【実施例10】
【0068】
図12A、12Bは、本発明の実施例10を示す。実施例10は蒸気タービンの熱サイクルとして2段再熱システムを採用した例である。2段再熱システムは蒸気管の本数が多くなるので、実施例10のように蒸気管を短くできると材料コストや据付コストを大幅に低減できる。
【0069】
2段再熱システムでは、給水管30から供給された水は後部伝熱部28の節炭器23に供給される。節炭器23から出た水は火炉14に供給され、過熱器22、1段目吊り下げ過熱器19、2段目吊り下げ過熱器20へ供給される。その後、超高圧主蒸気最終ヘッダ31で蒸気が集められ、超高圧主蒸気管33を経由して超高圧タービン32に供給される。
【0070】
超高圧タービン32から出た蒸気は再び後部伝熱部28の再熱器21に戻され、さらに吊り下げ再熱器24を経由して主蒸気最終ヘッダ25でまとめられる。この蒸気は、主蒸気管17を経由して高圧タービン2へ供給される。さらに、高圧タービン2から出た蒸気は再び後部伝熱部28の再熱器34へ供給され、所定の温度まで加熱される。この蒸気は、再熱蒸気最終ヘッダ26でまとめられ、再熱蒸気管18を経由して中低圧タービン3へ供給される。
【0071】
本発明を2段再熱システムに適用する利点は、(1)蒸気管が短いこと、(2)蒸気管の配置が左右対称であるので、タービンに左右非対称な応力が生じないこと、(3)2段再熱システムでは、蒸気管の数が多いが後部伝熱部28付近には機器が少ないので、蒸気管のルートを容易に決定可能なことである。
【実施例11】
【0072】
図13A、13Bは本発明の実施例11を示す。実施例11はタービン建屋1をボイラ建屋13の後部伝熱部28側に設置すると共に、排ガス浄化装置もボイラ建屋13の後部伝熱部28側に並列して設置している。すなわち、ボイラ建屋13の壁面で後部伝熱部側を二つに分割し、一方がタービン建屋1と接し、他方は脱硝装置101やエアヒータ102の装置と接している。脱硝装置101とエアヒータ102は連絡ダクト106の下部に設置されている。
【0073】
実施例11では、ボイラBの火炉14と後部伝熱部28を結ぶ中心軸とタービン軸は完全には一致していないが、主蒸気管17や再熱蒸気管18などの主配管を短くすることができる。すなわち、実施例11の利点は(1)主配管の長さを短くできること、(2)連絡ダクト106の形状が従来と近く空気ダクトや排ガスダクトの取り回しが容易であることである。
【0074】
また、実施例11ではこれらの主配管をを1系統だけとしている。主配管が2系統の場合にはボイラとタービンの中心軸がずれると各配管の長さが異なり、ボイラに左右不均一な応力が発生して左右配管で蒸気の温度・圧力が異なる可能性があるが、1系統の場合にはこのような問題は発生しない。タービン入口で2箇所から投入するとタービンへかかる力が均等化されるため、実施例11では主蒸気管を途中で2つに分岐して蒸気を供給している。
【実施例12】
【0075】
図14A、14Bは本発明の実施例12を示す。実施例12はタービン建屋1をボイラ建屋13の後部伝熱部28側に設置している。タービン軸とボイラ中心軸は上部から2次元的に見たときに直交している。すなわち、タービン軸と主蒸気管最終ヘッダ25は平行である。ボイラBの後部伝熱部28から脱硝装置101までは連絡ダクト106で接続されている。連絡ダクト106はタービン建屋1の上を通過している。連絡ダクト106には灰が堆積する可能性があるので灰除去装置を設置すると良い。実施例12のメリットは(1)主配管を短くできること、(2)連絡ダクト106の後部伝熱部28との取り合い部が従来と同様の形状で簡易になることである。
【実施例13】
【0076】
図15は、本発明の実施例13を示す。実施例13はタービン建屋1をボイラ建屋13の後部伝熱部28の近くに設置している。タービン軸とボイラ中心軸は平行になっている。すなわち、タービン軸と主蒸気管最終ヘッダ25は互いに直交している。高圧タービン2がボイラBの火炉14側で、中低圧タービン3が後部伝熱部28側に設置されている。このようにボイラ建屋13とタービン建屋1を設置することで、主蒸気管17及び再熱蒸気管18などの主配管を短くすることができる。特に、図15に示すように蒸気管を1系統にした場合に蒸気管が短くなる。また、排ガス処理系は従来と同様の配置にできる。
【符号の説明】
【0077】
1・・・タービン建屋
2・・・高圧タービン
3・・・中低圧タービン
4・・・発電機
13・・・ボイラ建屋
14・・・火炉
17・・・主蒸気管
18・・・再熱蒸気管
19・・・1段目吊り下げ過熱器
20・・・2段目吊り下げ過熱器
22・・・加熱器
23・・・節炭器
25・・・主蒸気最終ヘッダ
26・・・再熱蒸気最終ヘッダ
28・・・後部伝熱部
30・・・給水管
31・・・超高圧主蒸気最終ヘッダ
32・・・超高圧タービン
33・・・超高圧主蒸気管
101・・・脱硝装置
102・・・エアヒータ
103・・・電機集塵機
106・・・連絡ダクト
107・・・CO2回収装置
108・・・CO2回収装置用蒸気供給管
109・・・酸素製造装置
110・・・CO2回収装置
111・・・CO2回収装置
112・・・CO2回収液循環ダクト
113・・・接続ダクト
114・・・ダクト分割壁
115・・・接続ダクト
116・・・バイパスダクト
117、118、119、120、121・・・ダクト
B・・・ボイラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼する火炉と、排出された燃焼ガスから熱を回収する後部伝熱部とを並列に配置した2パス構造を有するボイラと、該ボイラの前記火炉と前記後部伝熱部から回収した熱により水を加熱して蒸気を発生させる蒸気発生器と、発生した蒸気により少なくとも高圧タービンを含む蒸気タービンを回転して回転エネルギーを電気に変換する発電機を有する火力発電プラントにおいて、
前記蒸気タービンの前記高圧タービンを前記ボイラの前記後部伝熱部に近接して配置したことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項2】
請求項1に記載された火力発電プラントにおいて、前記ボイラの火炉と後部伝熱部とを格納するボイラ建屋と、前記蒸気タービンを格納するタービン建屋を有し、前記ボイラ建屋の後部伝熱部側に近接して前記タービン建屋を配置したことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項3】
請求項2に記載された火力発電プラントにおいて、前記火炉と後部伝熱部を結ぶボイラの中心軸方向に排出された前記後部伝熱部の燃焼ガスを、前記ボイラの中心軸方向に対しほぼ直交方向に排出方向を変化させる接続ダクトを前記タービン建屋の上に設置し、前記接続ダクトを出た後の燃焼ガスを供給する脱硝装置を前記接続ダクト下流に設けたことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項4】
請求項1に記載された火力発電プラントにおいて、前記火炉と前記後部伝熱部とを結ぶボイラの中心軸の方向と前記蒸気タービン軸の方向を、火力発電プラントの設置平面上で一致させたことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項5】
請求項4に記載された火力発電プラントにおいて、前記蒸気タービンを格納するタービン建屋を設け、前記ボイラの前記後部伝熱部出口を分割して該後部伝熱部出口に対し前記タービン建屋と排ガス処理装置を配置するとともに火力発電プラントの設置平面上で並列に配置し、蒸気タービンの軸と前記排ガス処理装置内で燃焼ガスの流れる向きを同一方向としたことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項6】
請求項4に記載された火力発電プラントにおいて、前記火炉または前記後部伝熱部に蒸気をまとめるヘッダを設け、該ヘッダから出た蒸気を前記蒸気タービンへ供給する蒸気管を2系統備え、該2系統の蒸気管を火力発電プラントの設置平面上で前記ボイラの中心軸と前記蒸気タービンの軸に対して反対側に各々設けたことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項7】
請求項4に記載された火力発電プラントにおいて、前記ボイラの後部伝熱部から燃焼ガスをボイラ中心軸方向に排出し、前記蒸気タービンを格納するタービン建屋を設け、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置を前記後部伝熱部下流の前記タービン建屋上部に設けたことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項8】
請求項4に記載された火力発電プラントにおいて、前記ボイラの後部伝熱部から燃焼ガスをボイラ中心軸方向に排出し、蒸気タービンを格納するタービン建屋を設け、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と空気を過熱するエアヒータを前記後部伝熱部下流の前記タービン建屋上部に設けたことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項9】
請求項1に記載された火力発電プラントにおいて、前記ボイラの後部伝熱部から排出される燃焼ガスを、火力発電プラントの設置平面上で前記ボイラの火炉と後部伝熱部を結ぶボイラの中心軸方向に対してほぼ直交方向に排出することを特徴とする火力発電プラント。
【請求項10】
請求項9に記載された火力発電プラントにおいて、前記ボイラの後部伝熱部から排出される燃焼ガスを、火力発電プラントの設置平面上で前記ボイラの火炉と後部伝熱部を結ぶボイラの中心軸方向に対して垂直な反対方向の2箇所から排出することを特徴とする火力発電プラント。
【請求項11】
請求項9に記載された火力発電プラントにおいて、燃焼ガスの窒素酸化物を除去する脱硝装置を前記ボイラの後部伝熱部の下流に設け、前記後部伝熱部に水を加熱する節炭器を設け、前記脱硝装置のガス温度が低下しないように前記節炭器上流に燃焼ガスの一部を取り出すバイパスダクトを取り付け、該バイパスダクトの取り出し方向を前記ボイラの中心軸方向に対してほぼ直交方向としたことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項12】
請求項9に記載された火力発電プラントにおいて、燃焼ガスの窒素酸化物を除去する脱硝装置を前記ボイラの後部伝熱部の下流に設け、前記後部伝熱部に水を加熱する節炭器を設け、前記脱硝装置のガス温度が低下しないように前記節炭器上流に燃焼ガスの一部を取り出すバイパスダクトを取り付け、前記バイパスダクトの取り出し方向を前記ボイラの中心軸方向に対してほぼ平行としたことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項13】
請求項9に記載された火力発電プラントにおいて、燃焼ガスの窒素酸化物を除去する脱硝装置と空気を燃焼ガスで過熱するエアヒータと燃焼ガスの灰を除去する集塵機とを2系統備え、前記ボイラの後部伝熱部から排出される燃焼ガスを前記後部伝熱部の片側の側面から排出し二つに分岐して前記2系統の脱硝装置、エアヒータ、集塵機へ供給することを特徴とする火力発電プラント。
【請求項14】
請求項1に記載された火力発電プラントにおいて、前記ボイラの後部伝熱部から排出された燃焼ガスのCO2を分離回収するCO2回収装置を前記ボイラ下流に設け、前記CO2回収装置を前記蒸気タービンに近接して配置したことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項15】
請求項14に記載された火力発電プラントにおいて、前記CO2回収装置に蒸気を使用し、前記CO2回収装置の一部を前記蒸気タービンの下部に設置したことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項16】
請求項1に記載された火力発電プラントにおいて、エアヒータと、酸素製造装置と、燃焼ガスの一部を循環させるダクトと、前記酸素製造装置で製造した酸素と循環した燃焼ガスとの混合装置と、混合した酸素ガスを前記エアヒータへ供給するダクトを備え、火炉と後部伝熱部を有するボイラを格納するボイラ建屋の前記後部伝熱部の燃焼ガス排出方向を、火力発電プラントの設置平面上で前記火炉と後部伝熱部を結ぶボイラの中心軸方向に対してほぼ直交方向に1方向から排出させ、前記ボイラ建屋の燃焼ガスの排出側に前記酸素製造装置を設けたことを特徴とする火力発電プラント。
【請求項17】
請求項1に記載された火力発電プラントにおいて、蒸気タービンとして2段再熱式タービンを用いたことを特徴とする火力発電プラント。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−92732(P2012−92732A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240209(P2010−240209)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】