火災感知器の状態表示器
【課題】 火災感知器と状態表示器との間での通信状態について、状態表示器の表示部で把握できるようにする。
【解決手段】 火災感知器の状態情報を受信して表示する状態表示器であって、2桁以上の数値が表示できる、または2以上のドットを備える表示部を有し、前記状態表示器は、前記火災感知器からの信号受信待ちの第1の状態と前記信号受信後の第2の状態とを経て、前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、前記第1および第2の状態は、前記2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされる。数値が表示される表示部の点灯状態によって、火災感知器との通信状態が把握でき、結果的に通信がエラーで終了する場合、どの状態まで進行したかを把握できる。
【解決手段】 火災感知器の状態情報を受信して表示する状態表示器であって、2桁以上の数値が表示できる、または2以上のドットを備える表示部を有し、前記状態表示器は、前記火災感知器からの信号受信待ちの第1の状態と前記信号受信後の第2の状態とを経て、前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、前記第1および第2の状態は、前記2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされる。数値が表示される表示部の点灯状態によって、火災感知器との通信状態が把握でき、結果的に通信がエラーで終了する場合、どの状態まで進行したかを把握できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災感知器の状態情報取得システムに用いられる状態表示器に関し、とくに状態情報の一つとして感度情報を発信する火災感知器の情報を表示する状態表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の火災感知器では、火災受信機と信号線を介して接続されて、火災の検出時に、火災信号を出力して、火災受信機が必要な火災警報動作を行うようになっている。このような火災感知器から状態情報を受信する方式として、信号伝送を用いて火災受信機と交信するシステムの場合に、火災受信機からの呼出信号を受信すると、感度データをコード化した伝送信号を火災受信機に返送するとともに、感度の受信器に対しては伝送データ「0」、「1」に応じて赤外の発光素子を発光させて外部に伝送させていた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−262467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような赤外光を利用する光伝送によって状態情報を送受信するとき、火災感知器が赤外の発光素子の発光と同時に可視の発光素子を発光させたとしても、火災感知器と状態表示器との間の通信状態については把握できない。そのため、状態表示器が状態情報を受信できなかった場合、結果としてエラー表示することになり、エラーであったことは把握できるが、そのエラーの原因は把握できない。
【0004】
したがって、この発明では、火災感知器と状態表示器との間での通信状態について、状態表示器の表示部で把握できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の請求項1に係る火災感知器の状態表示器は、火災感知器の状態情報を受信して表示する状態表示器であって、2桁以上の数値が表示できる、またはそれに加えて2以上のドットを備える表示部を有し、前記状態表示器は、前記火災感知器からの信号受信待ちの第1の状態と前記信号受信後の第2の状態とを経て、前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、前記第1および第2の状態は、前記2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされることを特徴とするものである。
【0006】
また、この発明の請求項2に係る火災感知器の状態表示器は、火災感知器へ起動信号を送信して該火災感知器からの信号を受信するものであって、前記起動信号送信中の第3の状態を加えて、第1および第2の状態を経て前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、前記第1、第2および第3の状態は、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされるものである。
【0007】
また、この発明の請求項3に係る火災感知器の状態表示器は、火災感知器からの信号受信後にエラー検出動作を行うものであって、第1および第2の状態、またはさらに第3の状態を含め、それぞれの状態を経て前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、前記第1および第2の状態あるいは前記第1、第2および第3の状態は、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされるものである。
【0008】
また、この発明の請求項4に係る火災感知器の状態表示器は、状態情報は、感度データまたはアドレスである。
【0009】
また、この発明の請求項5に係る火災感知器の状態表示器は、第1、第2および第3の状態それぞれの点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の連続点灯ならびに前記表示部の2桁以上の数値または2以上のドットを交互に点灯させることによって、簡単な制御で容易に区別することができる。
【0010】
また、この発明の請求項6に係る火災感知器の状態表示器は、点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の点滅点灯を含むものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る火災感知器の状態表示器では、数値が表示される表示部の点灯状態によって、火災感知器との通信状態が把握でき、結果的に通信がエラーで終了する場合、どの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。例えば、信号受信待ち状態でエラー表示となった場合、火災感知器からの信号が届いていない可能性があり、信号受信後の状態でエラー表示となった場合には、火災感知器からの信号自体は何とか届いていると解することができる。なお、情報を表示する表示部において状態を表すので、別途異なる表示灯などを設ける必要がなく、記号のような形状を用いず点灯制御で状態を区別することで、簡易な制御となる。
【0012】
また、請求項2に係る火災感知器の状態表示器は、請求項1に係る火災感知器の状態表示器と同様であり、起動信号を送出する場合を含めて、通信状態が把握でき、エラーの場合にどの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。
【0013】
また、請求項3に係る火災感知器の状態表示器は、請求項1に係る火災感知器の状態表示器と同様であり、ノイズ検出のようなエラー検出動作を行う場合を含めて、通信状態が把握でき、エラーの場合にどの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。このエラー検出動作は、請求項1における第2の状態であってよく、また、第2の状態とは別に第4の状態としてもよい。
【0014】
また、請求項4に係る火災感知器の状態表示器は、火災感知器の感度データまたはアドレスを取得する場合に利用され、火災感知器との通信状態が把握でき、結果的に通信がエラーで終了する場合、どの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。
【0015】
また、請求項5および請求項6に係る火災感知器の状態表示器は、それぞれの点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の連続点灯または点滅点灯ならびに前記表示部の2桁以上の数値または2以上のドットを交互に点灯させることのいずれかを割り当てるので、簡単な制御で容易に区別することができる。
【0016】
なお、一方または双方の連続点灯および交互に点灯させることを選択することによって、いずれかの点灯による制御中が確認でき、消灯すなわち停止と理解できる。
【0017】
さらに、2以上のドットを利用することは、結果表示との違いが明らかであり、点検者の誤った判断につながらない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施形態1
図1に基づき、火災感知器の状態情報取得システムは、例えば天井に取り付けられて火災を検知する火災感知器1と、火災感知器1に電源兼信号線4で接続され、火災感知器1に電源を供給するとともに、火災感知器からの火災信号を受信する火災受信機2と、点検者が火災感知器1の検出部の状態を確認する際に、火災感知器1からの状態信号を受信・表示する状態表示器として感度テスター3とから構成されている。
【0019】
つぎに、火災感知器1の構成について、図2から図4に基づいて説明する。なお、ここでは、火災感知器1として煙感知器を用いるものとする。
【0020】
煙検出用発光素子11は、煙を検出するための発光を行う発光ダイオード(LED)であり、煙検出用受光素子12は、煙検出用発光素子11から発光された光を受光するためのフォトダイオードである。煙検出用発光素子11および煙検出用受光素子12は、本体10内に設けられた暗箱(図示せず)内に設置され、煙検出部を構成している。この暗箱は、煙が入るラビリンスを備えている。そして、煙検出用発光素子11から発光された光がラビリンスから入った煙粒子により散乱され、その散乱光が煙検出用受光素子12に受光される。この煙検出用受光素子12の出力がアンプ13によって増幅される。
【0021】
マイコン14は、火災感知器1全体の動作を制御する回路チップであり、マイクロプロセッサ(MPU)およびデータを保持するための記憶手段(メモリ)を内部に備え、各部に入出力するための複数のポートおよびアナログデジタル変換器(A/D)を有している。そして、マイコン14は、アンプ13の出力をA/D変換してデータ(A/D値)として取り込む。ここで、マイコン14は、アンプ13のゲインを火災判別時に対して感度測定時に高くなるように切り換えている。
【0022】
EEPROM15は、書き換え可能な不揮発性メモリであり、火災判別レベル、初期状態での出力レベル、煙検出機能に関する断線判別レベル、感度許容範囲の上限値および下限値のレベルなどがA/D値と対比されるデータとして格納されている。これらのデータは、製造時に、感度調整されて書き込まれることになる。
【0023】
火災表示灯16は、火災(煙)を検知したことを視覚的に報知するものであり、赤色などの可視光を発光するLEDが用いられる。この火災表示灯16は、火災感知器1の設置場所のどの方向からも見えるように、本体10の外面に2つ設けられている。
【0024】
ブリンキング用トランジスタ17は、マイコン14からのパルス出力を受けて例えば10.5秒間隔で周期的にオンする。そこで、火災表示灯16が、例えば10.5秒間隔で周期的に点灯(ブリンキング)し、火災感知器1が稼働していることを視覚的に判別できる。
【0025】
スイッチング回路18は、火災を検出したときに、マイコン14からの出力に基づいてオンされる自己保持回路である。このスイッチング回路18のオン状態保持により、受信機2からの一対の電源兼信号線4間のインピーダンスが高インピーダンスから低インピーダンスに変化され、火災受信機2に火災信号を送出する。また、この火災信号の送出と同時に、火災表示灯16が連続点灯する。
【0026】
端子19は、火災受信機2からの一対の電源兼信号線4が接続される端子であり、火災信号出力端子と電源端子とを兼ねている。
【0027】
発信素子としての感度データ送信用発光素子20は、感度データを送信する赤外LEDであり、マイコン14の制御により、例えば10.5秒間隔の周期で火災表示灯16の点灯に同期して発光(送信)している。この感度データ送信用発光素子20は、その発光が火災感知器1の設置面である天井から床面に向かって円錐状に出射されるように本体10の正面側に配設されている。即ち、感度データ送信用発光素子20の送信角度範囲が広角度となっている。
【0028】
ここで、EEPROM15に書き込まれるデータについて図13を参照しつつ説明する。なお、図13は火災感知器1における感度とA/D値との関係を示している。
【0029】
この火災感知器1における感度許容範囲は、例えば1%/ft〜3%/ftとなっている。そして、初期の特性(NORMAL LEVEL)に基づいて、上下限の状態の特性を予想して、その状態の0%/ftのA/D値をD2、D3として、D1、D2、D3およびD4(A/D値)が、それぞれ断線判定レベル、感度許容範囲の下限値、感度許容範囲の上限値および火災判定レベルとして予め設定されて、EEPROM15に書き込まれる。また、感度許容範囲における上限領域(D3近辺)及び下限領域(D2近辺)を密に、かつ、中央領域を粗にして、例えばトータル30段に分割して得られた30段のレベル(A/D値)が感度出力されるパルス間隔TwのレベルとしてEEPROM15に書き込まれる。この30段の分割に関する粗密によって、限られた段数の中で、異常に近い部分のレベルを詳細に出力することができる。なお、D1、D2、D3およびD4の関係は、D1<D2<D3<D4となっている。
【0030】
さらに、上記の30段に対応するパルス間隔Twが各感度レベルに対応付けられてEEPROM15に書き込まれる。つまり、D3に対応するパルス間隔Twは1msに設定され、D2に対応するパルス間隔Twは40msに設定されている。また、1msと40msとの間をトータル30分割して得られたパルス間隔Twが、それぞれ上述の30段の感度レベルに対応する。さらに、感度異常の送信信号を表すパルス間隔Tw1、Tw2が例えば感度許容範囲に対応するパルス間隔1ms〜40msの範囲外である60ms、65msに設定されてEEPROM5に格納されている。
【0031】
なお、後述するように、マイコン14は、感度としてA/D値が上下限D2、D3の範囲を外れるときに感度異常と判断して、火災表示灯16によって異常状態を示す点滅を行うので、異常時の範囲を上記30段から外しているが、異常時の範囲を含めて、上記30段のレベルを設定してもよい。
【0032】
また、マイコン14のMPUには、検出部の状態に応じた状態情報を判定・出力する状態情報判定・出力手段23と、状態情報に基づいてパルスの時間的要素を設定し、設定された時間的要素に基づいて感度データ送信用発光素子20からパルスを発せさせる状態情報送信手段24とが格納されている。そして、状態情報判定・出力手段23は、取り込まれた6回分ののA/D値を平均化して現在の感度とし現在の感度が感度許容範囲内に入っているか否かを判定するとともに、出力する。一方、状態情報送信手段24は、状態情報判定・出力手段23により得られた現在の感度が感度許容範囲を30段に分割して得られた感度レベルのいずれの段の感度レベルに合致しているかを判定し、合致する段の感度レベルに適合する2パルスのパルス間隔Twを設定して感度データ送信用発光素子20にパルス発光させる。また、状態情報送信手段24は、状態情報判定・出力手段23により得られた現在の感度が感度許容範囲外と判定すると、パルス間隔Tw1(Tw2)を選定して感度データ送信用発光素子20にパルス発光させる。ここで、状態情報は検出部の感度である。
【0033】
つぎに、感度テスター3の構成について、図5から図7に基づいて説明する。
【0034】
電源兼切換表示灯31は、緑色とオレンジ色の2色のLEDで構成され、感度テスター3の電源がオンされている状態を示すとともに、火災感知器が光電式/イオン化式の切換状態を示す。そして、感度を測定する対象として、光電式の火災感知器の場合には緑色のLEDを点灯させ、イオン化式の火災感知器である場合にはオレンジ色のLEDを点灯させる。なお、電源投入時には、光電式が選択されるようになっている。
【0035】
エラー表示灯32は赤色のLEDで構成され、感度テスター3が火災感知器1からの感度データを正常に受信できなかった場合に点灯する。表示器33は感度の数値を表示する7セグメント表示器であり、また、受信した感度データが許容範囲の上限値を超えている場合に「00」を表示し、下限値を下回っている場合に「88」を表示する。なお、感度データが許容範囲外であることがわかれば「00」又は「88」以外の表示であってもよい。さらに、表示器33は、数値表示の際の小数点に利用する2つのドットを有し、これらを感度データ受信状態の表示にも利用している。
【0036】
感度データ受信用受光素子34は、火災感知器1の感度データ送信用発光素子20から発光された赤外光を受光するためのフォトダイオードである。そして、光学フィルタ(図示せず)が感度データ受信用受光素子34の前面に配置され、可視光をカットしている。また、感度データ受信用受光素子34は本体30に穿設された開口30aから離間させて本体30内に配設され、受光角度を狭くして指向性を高めている。
【0037】
電源スイッチ35は、本体30の表面に設けられた押し釦式のスイッチであり、長押しにより電源をオン/オフする。そして、電源投入後の通常操作(長押しでない操作)により、光電式とイオン化式とのモード切替が行われる。測定開始スイッチ36は、本体30の表面に設けられた押し釦式のスイッチであり、この測定開始スイッチ36の作動により、火災感知器1から発信される感度データの信号の受信を開始する。
【0038】
マイコン37は、感度テスター3全体の動作を制御する回路チップであり、マイクロプロセッサ(MPU)38およびデータを保持するための記憶手段(メモリ)39を内部に備え、各部に入出力するための複数のポートを有している。
【0039】
そして、感度データ受信用受光素子34の出力はアンプ40によって増幅され、搬送波復調器41により復調された後、マイコン37に取り込まれる。マイコン37に取り込まれた感度データのパルス間隔Twが、パルス間隔測定部42によって測定される。MPU38は、測定されたパルス間隔Twとメモリ39に格納されているデータとを比較して火災感知器1の感度の状態を判定し、判定結果を表示駆動部43に出力して表示器33に表示させる。ここで、感度データ受信用受光素子34、アンプ40、搬送波復調器41およびマイコン37などから状態情報取得手段が構成されている。なお、感度テスター3は手のひらサイズで、携帯型であり、感度テスター3には、電池44が内蔵されている。
【0040】
つぎに、このように構成された火災感知器の動作について図8乃至図11に示されるフローチャートおよび図14乃至図16に示されるタイムチャートを参照しつつ説明する。なお、以降および各図において、ステップ1、ステップ2・・を便宜上S1、S2・・と示している。
【0041】
まず、火災感知器1全体の動作を制御するマイコン14の動作について、図8に示されるフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
電源が火災感知器1に投入され、動作をスタートする(S1)。そして、イニシャル処理(S2)を行った後、マイコン14を所定周期で起動させるタイマー回路21が動作を開始する。このタイマー回路21は3.5秒毎にタイムアップし(S3)、マイコン14に起動出力を出力する。これにより、マイコン14が、図14の(a)に示されるように、3.5秒周期でスリープ状態からラン状態となる。
【0043】
ついで、マイコン14が起動すると、計数C1を1インクリメントする(S4)。そして、計数C1が3であるか否かを判定する(S5)。
【0044】
S5において、C1≠3であれば、S6に移行して火災判別ルーチンを実行した後、S9に移行してブリンキングルーチンを実行する。また、S5において、C1=3であれば、C1を0に戻し(S7)、S8に移行して感度測定ルーチンを実行した後、S9に移行してブリンキングルーチンを実行する。このS4およびS5における計数動作は、3回に1回、火災判別ルーチンに代えて感度測定ルーチンを実行させるものである。
【0045】
そして、S9のブリンキングルーチンが終了すれば、初期に戻って、タイムアップ(S3)を待つ。この時、マイコン14はスリープ状態であり、ステップとして示されていないが、ブリンキングルーチンの処理後に、マイコン14は自動的にラン状態からスリープ状態に入る。
【0046】
つぎに、火災判別ルーチンの処理について図9を参照しつつ説明する。
【0047】
火災判別ルーチンでは、マイコン14は、まずアンプ13を起動させ(S11)、ついで煙検出用発光素子11を発光させる。そして、マイコン14は、アンプ13で増幅された煙検出用受光素子12の受光出力をA/D変換して取り込む(S12)。
【0048】
ついで、マイコン14は、取り込んだA/D値とEEPROM15に格納されている断線判別レベル(D1)とを比較し、煙検出用発光素子11または煙検出用受光素子12の断線などの異常を判別する(S13)。S13において、断線(取り込んだA/D値≦D1)と判別されると、S14に移行して断線フラグF1をオンする。また、断線でない(取り込んだA/D値>D1)と判別されると、S15に移行して断線フラグF1をオフとする。
【0049】
続いて、マイコン14は、A/D値をEEPROM15に格納されている火災判別レベル(D4)と比較し、火災が発生したかを判別する(S16)。S16において、火災が発生していない(取り込んだA/D値<D4)と判別されると、S9に移行してブリンキングルーチンが実行される。一方、S16において、火災が発生している(取り込んだA/D値≧D4)と判別されると、S17に移行してスイッチング回路18に火災出力を出力し、その後マイコン14がストップ状態となる。
【0050】
そして、スイッチング回路18は、火災出力を受けてオンして自己保持し、端子19間を低インピーダンス状態に維持する。これにより、端子19に接続されている電源兼信号線電線4を介して火災受信機2に火災信号が出力される。また、スイッチング回路18がオン状態に自己保持されているので、火災表示灯16が、図14の(c)に示されるように、点灯状態を維持し、火災発生が視覚的に報知される。ここで、マイコン14を火災出力後にストップ状態とすることは、スイッチング回路18がオン状態となると、低インピーダンス状態となり、電源電位が低下してしまい、火災感知器1が通常通りに動作できなくなるからである。
【0051】
つぎに、感度測定ルーチンの処理について図10を参照しつつ説明する。
【0052】
感度測定ルーチンでは、マイコン14は、ますアンプ13を起動させ(S21)、ついで煙検出用発光素子11を発光させる。そして、マイコン14は、アンプ13で増幅された煙検出用受光素子12の受光出力をA/D変換して取り込む(S22)。この感度測定ルーチンでは、煙が存在していないため、煙検出用受光素子12の出力は低レベルとなる。そこで、低レベルの出力を正確に判別するために、アンプ13のゲインを高く設定し、大きく増幅した受光出力を取り込んでいる。
【0053】
ついで、マイコン14は、メモリに記憶されているA/D値を書き換える。すなわち、メモリに格納されている一番古いデータを最新のデータに更新するフィルター処理を行う。そして、メモリに格納されている6個のデータからA/D値の平均値を算出する(S23)。この算出した平均値を現在の感度としてメモリの所定位置に格納する(S24)。
【0054】
ついで、マイコン14は、メモリに格納されている平均値と、EEPROM15に格納されている許容範囲の上限値および下限値のレベル(D3、D2)とを比較し、現在の感度が許容範囲内であるかを判別する(S25)。S25において、現在の感度が許容範囲外(取り込んだA/D値<D2、あるいは、A/D値>D3)であると判別されると、S26に移行して異常フラグF2をオンとする。一方、S25において、現在の感度が許容範囲内(D2≦取り込んだA/D値≦D3)であると判別されると、S27に移行して異常フラグF2をオフとする。その後、S9に移行してブリンキングルーチンが実行される。ここで、S23〜S27が状態情報判定・出力手段23の動作に相当する。
【0055】
なお、火災感知器1の経年変化は、暗箱内の汚れや回路素子の劣化などにより感度が徐々に変化することにより発生するものである。この感度変化は徐々に変化することから、この感度測定ルーチンでは、1分間の平均値をとることで、一瞬の異常値の影響をなくしている。
【0056】
つぎに、ブリンキングルーチンの処理について図11を参照しつつ説明する。
【0057】
ブリンキングルーチンでは、マイコン14は、まず計数C1が0であるかを判別する(S31)。S31において、C1≠0であると判別されると、初期に戻って、タイムアップ(S3)を待つ。また、S31において、C1=0であると判別されると、S32に移行して断線フラグF1がオンしているかを判別する。
【0058】
そして、S32において、断線フラグF1がオンしていると判別されると、初期に戻って、タイムアップ(S3)を待つ。この時、マイコン14はブリンキング用トランジスタ17の消灯を維持する。そして、火災表示灯16は、図14の(d)に示されるように、消灯し、断線不良の発生、あるいは電源オフが視覚的に報知される、一方、S32において、断線フラグF1がオフしていると判別されると、S33に移行して異常フラグF2がオンしているかを判別する。
【0059】
そして、S33において、異常フラグF2がオフしていると判別されると、S34に移行し、マイコン14はブリンキング用トランジスタ17に通常のパルス点灯出力を行う。このパルス点灯出力により、ブリンキング用トランジスタ17がパルス的にオンし、火災表示灯16はパルス点灯し、火災感知器1が正常に動作していることを視覚的に報知する。この火災表示灯16のパルス点灯は、計数C1が0のときのみ行われ、図14の(b)に示されるように、10.5秒に1回の割合で、周期的にパルス点灯するブリンキング動作となる。
【0060】
ついで、マイコン14は、メモリに格納されている現在の感度のデータを読み出し(S36)、当該データに対応した発光出力を出力し(S37)、初期に戻って、タイムアップ(S3)を待つ。S37においては、マイコン14は、EEPROM15に格納されている感度許容範囲の上限値(D3)から下限値(D2)までに対して、現在の感度のデータがD2とD3との間のいずれの段の感度レベルに属しているかを判断する。そして、例えば現在の感度のデータがD3に一致していれば、図16の(a)に示されるように、1msのパルス間隔Twの発光出力を出力する。また、現在の感度のデータがD2に一致していれば、図16の(b)に示されるように、40msのパルス間隔Twの発光出力を出力する。そして、EEPROM15に格納されている30段の感度レベルに対応するパルス間隔Twから、現在の感度のデータが属する段の感度レベルに対応するパルス間隔Twを選択し、選択されたパルス間隔Twの発光出力を出力する。
【0061】
また、S37において、現在の感度のデータが感度許容範囲より下回っていると、パルス間隔Tw1を選択し、パルス間隔Tw1の発光出力を出力する。また、現在の感度のデータが感度許容範囲を上回っていると、パルス間隔Tw2を選択し、パルス間隔Tw2の発光出力を出力する。
【0062】
この感度のデータに対応した発光出力は、図15に示されるように、特定の周波数fc、例えば38kHzで変調されて、感度データ送信用発光素子20に出力される。これにより、感度データ送信用発光素子20から発光される光が白熱電球や蛍光灯などのノイズ光源から光と区別される。
【0063】
このように、この感度のデータに対応した発光出力は、現在の感度を2つのパルス間隔Twに換算し、換算されたパルス間隔Twとなるように感度データ送信用発光素子20を2回パルス発光させるものである。これにより、最初のパルス発光から次のパルス発光までの時間が現在の感度を表すことになる。この感度のデータの送信は、図14の(f)に示されるように、火災表示灯16のブリンキングと同じタイミングで10.5秒ごとに行われ、火災表示灯16のブリンキングが行われないときには、感度のデータの送信も行われない。なお、図14の(f)における1回のオンでは、図15に示されるように2回のパルスが発光されているが、タイミングとして1回に示している。
【0064】
S33において、異常フラグF2がオンしていると判別されると、S35に移行してブリンキング用トランジスタ17にパルス点灯出力を2回出力した後、S36に移行する。そして、パルス点灯出力がブリンキング用トランジスタ17に2回出力されると、火災表示灯16が、図14の(e)に示されるように、例えば100msの間隔で2回続けてパルス点灯するダブルブリンキングを行い、通常のブリンキングと明確に区別でき、火災感知器1が感度異常であることが視覚的に報知される。また、S36では、メモリに格納されている現在の感度のデータを読み出し、当該データに対応した発光出力を出力する(S37)。この時、現在の感度のデータが感度許容範囲より下回っていると、パルス間隔Tw1を選択し、パルス間隔Tw1の発光出力を出力する。また、現在の感度のデータが感度許容範囲を上回っていると、パルス間隔Tw2を選択し、パルス間隔Tw2の発光出力を出力する。ここで、S31〜S37が状態情報送信手段24の動作に相当する。
【0065】
つぎに、感度テスター3の動作について、図12、図17および図18に基づいて説明する。なお、図12に示されるフローチャートは、感度テスター3全体の動作を制御するマイコン37の動作であり、図18は、表示器33の表示状態についての説明図である。
【0066】
感度テスター3は、まず電源スイッチ35を長押しにより電源が投入されてスタートする(S41)。そこで、マイコン37はイニシャル処理(S42)を行った後、スイッチ操作を監視する。
【0067】
そして、S43において、電源スイッチ35が通常操作されると、モード切替が行われ(S44)、感度測定される火災感知器1が光電式かイオン式かが選択され、電源兼切換表示灯31が選択されたモードに応じて点灯する。
【0068】
ついで、S45において、測定開始スイッチ36がオンされたか否かを判別する。測定開始スイッチ36がオンされたと判別されると、S46に移行してタイマーT1がスタートされ、感度データを示す1回目のパルスP1を待つ(S47)。この測定開始スイッチ36のオンの時点で、図18に示されるように、表示器33のドットは、双方のうち一方が点灯する交互点灯の動作を開始する。そして、タイマーT1は例えば30秒に設定され、タイマーT1がタイムアップするまで1回目のパルスP1を待つ(S48)。そして、タイマーT1がタイムアップすると、エラーと判断し、図18に示される表示器33のドットの交互点灯を停止し、S62に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する(表示器33は無表示に)。
【0069】
そして、S47において1回目のパルスP1が受信されると、カウンタがスタートされ(S49)、タイマーT1がクリアされる(S50)。ついで、タイマーT2がスタートされ(S51)、感度データを示す2回目のパルスP2を待つ(S52)。この間も、図18に示されるように、表示器33のドットは、双方のうち一方が点灯する交互点灯の動作を継続する。そして、タイマーT2は例えば0.5秒に設定され、タイマーT2がタイムアップするまで2回目のパルスP2を待つ(S53)。そして、タイマーT2がタイムアップすると、エラーと判断し、図18に示される表示器33のドットの交互点灯を停止し、S62に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する(表示器33は無表示に)。
【0070】
そして、S52において2回目のパルスP2が受信されると、カウンタがストップされ(S54)、タイマーT2がクリアされる(S55)。ついで、タイマーT3がスタートされ(S56)、パルスを待つ(S57)。この時、表示器33のドットの表示状態は、図18に示されるように、ドットの交互点灯からドットの一方のみの点灯に移行する。なお、このとき点灯するドットはタイミングとして交互点灯の最終時点で点灯しているドットが継続される。そして、タイマーT3は例えば3.0秒に設定されている。そして、タイマーT3がタイムアップするまでに3回目のパルスが受信されると、ノイズによるエラーと判断し、図18に示される表示器33のドットの一方のみの点灯を停止し、タイマーT3がクリアされ(S58)、S62に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する(表示器33は無表示に)。つまり、必要のないパルスを検出していることであり、図17の(b)に示されるように、3回目のパルスがノイズパルスPnと認識され、エラー表示されることになる。
【0071】
また、図17の(a)に示されるように、3回目のパルスが受信されることなくタイマーT3がタイムアップする(S59)と、S60に移行し、図18に示される表示器33のドットの一方のみの点灯を停止する。そこで、マイコン37は、カウンタがスタートしてストップするまでのカウント値から現在の感度を換算し、現在の感度の数値(単位:%/ft)を表示器33に表示する(S61)。また、カウント値から換算された現在の感度が感度許容範囲を下回っていると、「00」を表示器33に表示し、上回っていると、「88」を表示器33に表示する。これにより、点検者が、感度の異常を認識できる。この時、マイコン37は、取得した現在の感度をメモリ39に保持し、表示器33への表示を維持する。
【0072】
このように、感度テスター3は、測定開始スイッチ36の操作に基づいて火災感知器1からの感度データの受信動作を行い、表示器33に受信した現在の感度を表示(S61)し、あるいは、エラー表示灯32にエラー表示するが(S62)、その受信状態について、図18に示すように、表示器33の2つのドットを用い、進行状態が把握できるようになっている。なお、この表示器33の受信状態表示に2つのドットを用いているが、同様の動作を2桁の数字を用いて行っても良く、感度表示との関係からは「−−」や「EE」等の数字に見えない表示であって良い。
【0073】
その後、マイコン37は、イニシャル処理を行った後のスイッチ操作の監視に戻る。そして、測定開始スイッチ36の操作があるたびに、上述の動作を繰り返す。なお、測定開始スイッチ36の操作時には、表示器33またはエラー表示灯32の表示はクリアされ、メモリ39に格納されている現在の感度もクリアされる。
【0074】
また、タイマーT1、T2がタイムアップしてしまった場合(S48、S53)、あるいはタイマーT3がタイムアップする前にパルスが受信された場合(S57)には、感度データを示す2つのパルスP1、P2が正常に受信されなかったとし、マイコン37は、エラー表示灯32を点灯し、エラー表示を行う。そのとき、点検者は、測定開始スイッチ36を操作して、感度測定を再度実行することになるが、エラーになった原因について、感度テスター3の表示器33の2つのドットで進行状態が把握できるので、ドットの一方点灯まで進んでエラーとなった場合には、パルスP1、P2が正常に受信できていて、ノイズが存在することが分かり、ドットの一方点灯まで進まずに、交互点灯のみでエラーとなった場合には、パルスP1、P2が正常に受信できていないことが分かる。
【0075】
したがって、点検者は、ノイズが存在する場合には、周囲のノイズ源を考慮しながら、感度測定を再度実行することができ、また、パルスP1、P2が正常に受信できていない場合には、感知器側の不具合の可能性も有るが、まず距離を近付けて、感度測定を再度実行することができる。
【0076】
なお、ノイズ源につき、火災感知器1の近傍に設置されている照明機器から照明光として赤外光が照射されることがある。この照明機器からの赤外光が感度テスター3に受信されると、タイマーT3がタイムアップする前に3つ目のパルス、即ちノイズが受信されたことになる。そこで、点検者は、感度テスター3を火災感知器1に近づけるとともに、照明機器を避けることで、ノイズを確実に排除することができる。
【0077】
このように、この実施の形態1によれば、火災感知器1の状態情報を受信して表示する感度テスター3であって、2桁以上の数値が表示できる、またはそれに加えて2以上のドットを備える表示部としての表示器33を有し、感度テスター3は、火災感知器1からのパルスP1、P2の受信待ちの第1の状態と受信後の第2の状態とを経て、パルスP1、P2に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、第1および第2の状態は、2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされる。
【0078】
このことによって、数値が表示される表示器33の点灯状態によって、火災感知器1との通信状態が把握でき、結果的に通信がエラーで終了する場合、どの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。なお、情報を表示する表示器33において状態を表すので、別途異なる表示灯などを設ける必要がなく、記号のような形状を認識する必要はなく、点灯制御で状態を区別することで、簡易な制御となる。
【0079】
また、感度テスター3は、火災感知器1からの信号受信後に第2の状態としてノイズ検出動作を行うものであって、ノイズ検出のようなエラー検出動作を行う場合を含めて、通信状態が把握でき、エラーの場合にどの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。
【0080】
また、感度テスター3は、各々の状態それぞれの点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の連続点灯ならびに前記表示部の2桁以上の数値または2以上のドットを交互に点灯させることによって、簡単な制御で容易に区別することができ、一方または双方の連続点灯および交互に点灯させることを選択することによって、いずれかの点灯による制御中が確認でき、双方の消灯は、すなわち停止と容易に理解できる。
【0081】
さらに、2以上のドットを利用することは、結果表示との違いが明らかであり、点検者の誤った判断につながらない。
【0082】
なお、この実施の形態1によれば、現在の感度が感度許容範囲内のいずれの段の感度レベルに入っているかを判断し、現在の感度が入っている段の感度レベルに適合するパルス間隔Twを設定し、設定されたパルス間隔Twで感度データ送信用発光素子20に2パルスを所定のタイミングで発信させるようにしている。そこで、感度データをコード化した伝送データに基づいて発光素子を発光させて感度データを送信する従来技術に比べて、感度データ送信用発光素子20の発光回数が極めて低減され、低消費電力の火災感知器1およびその状態情報取得システムを実現できる。
【0083】
また、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲を密に分割し、感度許容範囲の中央領域を粗に分割して、30段の感度レベルを得ているので、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲の分解能が高くなり、感度許容範囲の上限範囲または下限範囲に到達した時の現在の感度を高精度に検知できる。そこで、現在の感度が感度許容範囲外となる前に、火災感知器1の検出部を交換することができ、安定した火災検知を実現できる。
【0084】
また、感度データ送信用発光素子20から感度データを送信するパルスに同期して、火災表示灯16をブリンキングさせているので、点検者が火災感知器1から感度データが送信されていることを目視確認でき、感度データの点検作業が容易となる。
【0085】
また、感度テスター3が、所定のタイミングに2つ以上のパルスを受信したときに、または、所定のタイミング外でパルスを受信したときに、エラー表示灯32にエラー表示するようにしているので、ノイズによる感度データの誤検出を目視確認できる。そこで、エラー表示32にエラー表示されたら、再度測定をし直すことで、ノイズの影響を排除して、正確な感度データを得ることができる。
【0086】
また、感度データ送信用発光素子20の送信角度範囲が広角度範囲に設定され、感度データ受信用受光素子34の受信角度範囲が狭角度範囲に設定されている。そこで、感度テスター3の作業位置が限定されず、感度テスター3の受信方向を火災感知器1に向けることで、ノイズ成分を拾わずに確実な信号の受信を行うことができる。
【0087】
また、現在の感度が感度許容範囲内であるか否かを判別し、感度許容範囲外である(感度異常)と判別したときに、パルス間隔Tw1、Tw2で2パルスを感度データ送信用発光素子20から発光させるとともに、火災表示灯16をダブルブリンキングさせている。そこで、作業者が、感度テスター3の表示器33に「00」又は「88」の表示から感度異常を認識できるとともに、火災表示灯16のダブルブリンキングから感度異常を認識できるので、感度異常が実際に発生していることを明確に判断できる。
【0088】
また、感度許容範囲内に入っている感度情報と感度許容範囲内に入っていない異常情報とが単一の感度データ送信用発光素子20を用いて送信されているので、部品点数が削減され、火災感知器1の低コスト化、小型化が図られる。
【0089】
実施の形態2.
図19に基づき、火災感知器の状態情報取得システムは、例えば天井に取り付けられて火災を検知する火災感知器1Aと、火災感知器1Aに電源兼信号線4で接続され、火災感知器1Aに電力を供給するとともに、火災感知器1Aからの火災信号を受信する火災受信機2と、点検者が火災感知器1Aの検出部の状態を確認する際に、火災感知器1Aからの状態信号を受信・表示する受信装置としての感度テスター3Aとから構成されている。
【0090】
火災感知器1Aの構成について説明すると、図20から図22において、起動パルス受信用受光素子27は、感度テスター3Aから送信される起動パルスを受光するためのフォトダイオードである。そして、光学フィルタ(図示せず)が起動パルス受信用受光素子27の前面に配置され、可視光をカットしている。さらに、起動パルス受信用受光素子27の受信角度範囲が、感度データ送信用発光素子20と同様に、広角度となっている。また、マイコン14は、起動パルス受信用受光素子27による起動パルスの受信を周期的に確認し、起動パルスの受信時に、感度データ送信用発光素子20から感度データ(P1+P2)に代えて応答パルスP0を送信した後、状態情報判定・出力手段23および状態情報送信手段24などを実行させるようになっている。
【0091】
なお、火災感知器1Aの他の構成は上述の火災感知器1と同様に構成されている。
【0092】
つぎに、感度テスター3Aの構成について説明すると、図23から図25において、起動パルス送信用発光素子45は、火災感知器1Aに向けて起動パルスを送信する赤外LEDである。この起動パルス送信用発光素子45は、マイコン37からの制御により、起動パルスを発光・送信する。また、起動パルス送信用発光素子45は本体30に穿設された開口30bから離間させて本体30内に配設され、送信角度範囲を狭くして指向性を高めている。
【0093】
起動パルス送信・測定開始スイッチ46は、本体30の表面に設けられた押し釦式のスイッチであり、この起動パルス送信・測定開始スイッチ46の作動により、火災感知器1Aに起動パルスを送信するとともに、火災感知器1Aから送信される感度データの信号の受信を開始する。
【0094】
マイコン37は、感度テスター3A全体の動作を制御する回路チップであり、マイクロプロセッサ(MPU)38およびデータを保持するための記憶手段(メモリ)39を内部に備え、各部に入出力するための複数のポートを有している。
【0095】
そして、マイコン37は、起動パルス送信・測定開始スイッチ46の作動を受けて、起動パルス送信用発光素子45から起動パルスを発光させ、火災感知器1Aに起動パルスを送信する。また、マイコン37は、火災感知器1Aからの送信信号を受信して、火災感知器1Aへの起動パルスの送信を停止するとともに、火災感知器1Aから発信される感度データの信号の受信を開始する。
【0096】
そして、感度データ受信用受光素子34の出力はアンプ40によって増幅され、搬送波復調器41により復調された後、マイコン37に取り込まれる。マイコン37に取り込まれた感度データのパルス間隔Twが、パルス間隔測定部42Aによって測定される。MPU38は、測定されたパルス間隔Twとメモリ39に格納されているデータとを比較して火災感知器1Aの感度の状態を判定し、判定結果を表示駆動部43に出力して表示器33に表示させる。
【0097】
なお、感度テスター3Aの他の構成は上述の感度テスター3と同様に構成されている。
【0098】
つぎに、このように構成された火災感知器の動作について、図26から図29に示されるフローチャートおよび図31、図15および図16に示されるタイムチャートに基づいて説明する。なお、以降および各図において、ステップ101、ステップ102・・・を便宜上S101、S102・・・と示している。
【0099】
まず、火災感知器1A全体の動作を制御するマイコン14の動作について、図26に示されるフローチャートに基づいて説明する。
【0100】
電源が火災感知器1Aに投入され、動作をスタートする(S101)。そして、イニシャル処理(S102)を行った後、マイコン14を所定周期で起動させるタイマー回路21が動作を開始する。このタイマー回路21は3.5秒毎にタイムアップし(S103)、マイコン14に起動出力を出力する。これにより、マイコン14が、図31の(a)に示されるように、3.5秒周期でスリープ状態からラン状態となる。
【0101】
ついで、マイコン14が起動すると、計数C1を1インクリメントする(S104)。そして、計数C1が3であるか否かを判定する(S105)。
【0102】
S105において、C1≠3であれば、S106に移行して火災判別ルーチンを実行した後、S109に移行してブリンキングルーチンを実行する。また、S105において、C1=3であれば、C1を0に戻し(S107)、S108に移行して感度測定ルーチンを実行した後、S109に移行してブリンキングルーチンを実行する。このS104およびS105における計数動作は、3回に1回、火災判別ルーチンに代えて感度測定ルーチンを実行させるものである。
【0103】
そして、S109のブリンキングルーチンが終了すれば、初期に戻って、タイムアップ(S103)を待つ。この時、マイコン14はスリープ状態であり、ステップとして示されていないが、ブリンキングルーチンの処理後に、マイコン14は自動的にラン状態からスリープ状態に入る。
【0104】
つぎに、火災判別ルーチンの処理について、図27に基づいて説明する。
【0105】
火災判別ルーチンでは、マイコン14は、まずアンプ13を起動させる(S111)。このアンプ13の起動時、アンプ13の立ち上がり時間があるので、それに合わせて、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信しているか否かを判別する(S112)。S112において、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信していると判別されると、S113に移行して起動フラグF3をオンする。ついで、S114に移行して感度データ送信用発光素子20から応答パルスP0を送信した後、受光出力を取り込むことなくS109に移行してブリンキングルーチンが実行される。
【0106】
ここで、S114の後にすぐS109へ移行するのは、応答パルスP0の発光によるわずかな電源電圧変動の影響を受けることが考えられ、正確なA/D値取り込みが確保できないからである。
【0107】
また、S112において、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信していないと判別されると、S115に移行する。そして、S115において、マイコン14は、煙検出用発光素子11を発光させ、アンプ13で増幅された煙検出用受光素子12の受光出力をA/D変換して取り込む。
【0108】
ついで、マイコン14は、取り込んだA/D値とEEPROM15に格納されている断線判別レベル(D1)とを比較し、煙検出用発光素子11または煙検出用受光素子12の断線などの異常を判別する(S116)。S116において、断線(取り込んだA/D値≦D1)と判別されると、S118に移行して断線フラグF1をオンする。また、断線でない(取り込んだA/D値>D1)と判別されると、S117に移行して断線フラグF1をオフとする。
【0109】
続いて、マイコン14は、A/D値をEEPROM15に格納されている火災判別レべル(D4)と比較し、火災が発生したかを判別する(S119)。S119において、火災が発生していない(取り込んだA/D値<D4)と判別されると、S109に移行してブリンキングルーチンが実行される。一方、S119において、火災が発生している(取り込んだA/D値≧D4)と判別されると、S120に移行してスイッチング回路18に火災出力を出力し、その後S121に移行してマイコン14がストップ状態となる。
【0110】
そして、スイッチング回路18は、火災出力を受けてオンして自己保持し、端子19間を低インピーダンス状態に維持する。これにより、端子19に接続されている電源兼信号線4を介して火災受信機2に火災信号が出力される。また、スイッチング回路18がオン状態に自己保持されているので、火災表示灯16が、図31の(c)に示されるように、点灯状態を維持し、火災発生が視覚的に報知される。ここで、マイコン14を火災出力後にストップ状態とすることは、スイッチング回路18がオン状態となると、低インピーダンス状態となり、電源電位が低下してしまい、火災感知器1Aが通常通りに動作できなくなるからである。
【0111】
つぎに、感度測定ルーチンの処理について、図28に基づいて説明する。
【0112】
感度測定ルーチンでは、マイコン14は、まずアンプ13を起動させる(S131)。このアンプ13の起動時、アンプ13の立ち上がり時間があるので、それに合わせて、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信しているか否かを判別する(S132)。S132において、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信していると判別されると、S133に移行して起動フラグF3をオンする。ついで、S134に移行して感度データ送信用発光素子20から応答パルスP0を送信した後、受光出力を取り込むことなくS109に移行してブリンキングルーチンが実行される。
【0113】
また、S132において、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信していないと判別されると、S135に移行する。そして、S135において、マイコン14は、煙検出用発光素子11を発光させ、アンプ13で増幅された煙検出用受光素子12の受光出力をA/D変換して取り込む。この感度測定ルーチンでは、煙が存在していないため、煙検出用受光素子12の出力は低レベルとなる。そこで、低レベルの出力を正確に判別するために、アンプ13のゲインを高く設定し、大きく増幅した受光出力を取り込んでいる。
【0114】
ついで、マイコン14は、メモリに記憶されているA/D値を書き換える。すなわち、メモリに格納されている一番古いデータを最新のデータに更新するフィルター処理を行う。そして、メモリに格納されている6個のデータからA/D値の平均値を算出する(S136)。この算出した平均値を現在の感度としてメモリの所定位置に格納する(S137)。
【0115】
ついで、マイコン14は、メモリに格納されている平均値と、EEPROM15に格納されている許容範囲の上限値および下限値のレベル(D3、D2)とを比較し、現在の感度が許容範囲内であるかを判別する(S138)。S138において、現在の感度が許容範囲外(取り込んだA/D値<D2、あるいはA/D値>D3)であると判別されると、S140に移行して異常フラグF2をオンとする。一方、S138において、現在の感度が許容範囲内(D2≦取り込んだA/D値≦D3)であると判別されると、S139に移行して異常フラグF2をオフとする。その後、S109に移行してブリンキングルーチンが実行される。
【0116】
なお、火災感知器1Aの経年変化は、暗箱内の汚れや回路素子の劣化などにより感度が徐々に変化することにより発生するものである。この感度変化は徐々に変化することから、この感度測定ルーチンでは、1分間の平均値をとることで、一瞬の異常値の影響をなくしている。
【0117】
つぎに、ブリンキングルーチンの処理について、図29に基づいて説明する。
【0118】
ブリンキングルーチンでは、マイコン14は、まず送信フラグF4がオンされているか否かを判別する(S141)。そして、S141において、送信フラグF4がオンされていると判別されると、マイコン14は、メモリに格納されている現在の感度のデータを読み出し(S142)、当該データに対応した発光出力を出力し(S143)、送信フラグF4をオフとして(S144)、S147に移行する。
【0119】
そして、S143においては、マイコン14は、EEPROM15に格納されている感度許容範囲の上限値(D3)から下限値(D2)までに対して、現在の感度のデータがD2とD3との間のいずれの段の感度レベルに属しているかを判断する。そして、例えば現在の感度のデータがD3に一致していれば、図16の(a)に示されるように、1msのパルス間隔Twの発光出力を出力する。また、現在の感度のデータがD2に一致していれば、図16の(b)に示されるように、40msのパルス間隔Twの発光出力を出力する。そして、EEPROM15に格納されている30段の感度レベルに対応するパルス間隔Twから、現在の感度のデータが属する段の感度レベルに対応するパルス間隔Twを選択し、選択されたパルス間隔Twの発光出力を出力する。
【0120】
また、S143において、現在の感度のデータが感度許容範囲より下回っていると、パルス間隔Tw1を選択し、パルス間隔Tw1の発光出力を出力する。また、現在の感度のデータが感度許容範囲を上回っていると、パルス間隔Tw2を選択し、パルス間隔Tw2の発光出力を出力する。
【0121】
この感度のデータに対応した発光出力は、図15に示されるように、特定の周波数fc、例えば38kHzで変調されて、感度データ送信用発光素子20に出力される。これにより、感度データ送信用発光素子20から発光される光が白熱電球や蛍光灯などのノイズ光源から光と区別される。
【0122】
また、S141において、送信フラグF4がオフされていると判別されると、S145に移行して計数C1が0であるかを判別する。S145において、C1≠0であると判別されると、S150に移行する。また、S145において、C1=0であると判別されると、S146に移行して断線フラグF1がオンしているかを判別する。
【0123】
そして、S146において、断線フラグF1がオンしていると判別されると、マイコン14はブリンキング用トランジスタ17の消灯を維持させ、S150に移行する。そして、火災表示灯16は、図31の(d)に示されるように、消灯し、断線不良の発生、あるいは電源オフが視覚的に報知される。
【0124】
また、S146において、断線フラグF1がオフしていると判別されると、S147に移行して異常フラグF2がオンしているかを判別する。
【0125】
そして、S147において、異常フラグF2がオフしていると判別されると、S148に移行し、マイコン14はブリンキング用トランジスタ17に通常のパルス点灯出力を出力した後、S150に移行する。このパルス点灯出力により、ブリンキング用トランジスタ17がパルス的にオンし、火災表示灯16はパルス点灯し、火災感知器1Aが正常に動作していることが視覚的に報知される。この火災表示灯16のパルス点灯は、計数C1が0、フラグF1がオフ、かつ、異常フラグF2がオフの場合に行われ、図31の(b)に示されるように、10.5秒に1回の割合で、周期的にパルス点灯するブリンキング動作となる。
【0126】
また、S147において、異常フラグF2がオンしていると判別されると、S149に移行してブリンキング用トランジスタ17にパルス点灯出力を2回出力した後、S150に移行する。そして、パルス点灯出力がブリンキング用トランジスタ17に2回出力されると、火災表示灯16が、図31の(e)に示されるように、2回続けてパルス点灯するダブルブリンキングを行い、通常のブリンキングと明確に区別でき、火災感知器1Aが感度異常であることが視覚的に報知される。
【0127】
ついで、S150において、起動フラグF3がオンしているか否かを判別する。そして、起動フラグF3がオンしていると判別されると、S151に移行して送信フラグF4をオンし、ついでS152に移行して起動フラグF3をオフとした後、初期に戻って、タイムアップ(S103)を待つ。また、S150において、起動フラグF3がオフしていると判別されると、初期に戻って、タイムアップ(S103)を待つ。
【0128】
これにより、起動パルスを受信した場合(起動フラグF3がオンしている場合)、次のタイムアップ後(3.5秒後)、現在の感度のデータを表すパルス間隔Twの2パルスが感度データ発信用発光素子20から発光される。そして、この感度のデータの送信は、計数C1にかかわらず行われ、同時に、火災表示灯16のパルス点灯が同じタイミングで行われ、感度データが送信されていることが目視確認できる。
【0129】
ここで、S135からS140およびS147からS149が状態情報判定・出力手段23の動作に相当し、S142およびS143が状態情報送信手段24の動作に相当する。
【0130】
つぎに、感度テスター3Aの動作について図30に図17および図32を参照しつつ説明する。なお、図30に示されるフローチャートは、感度テスター3A全体の動作を制御するマイコン37の動作であり、図32は、表示器33の表示状態についての説明図である。
【0131】
感度テスター3Aは、まず電源スイッチ35の長押しにより電源が投入されてスタートする。そこで、マイコン37はイニシャル処理(S161)を行った後、スイッチ操作を監視する。
【0132】
そして、S162において、電源スイッチ35が通常操作されると、モード切替が行われ(S163)、感度測定される火災感知器1が光電式かイオン化式かが選択され、電源兼切換表示灯31が選択されたモードに応じて点灯する。
【0133】
ついで、S164において、起動パルス送信・測定開始スイッチ46がオンされたか否かを判別する。起動パルス送信・測定開始スイッチ46がオンされたと判別されると、S165に移行してタイマーT4がスタートされ、ついでS166に移行して起動パルス送信用発光素子45を発光させ、起動パルスを送信させる。そして、S167に移行して応答パルスP0の有無を判別する。この起動パルス送信・測定開始スイッチ46のオンの時点で、図32に示されるように、表示器33のドットは双方とも点灯動作を開始する。そして、タイマーT4は、10秒に設定されている。そこで、タイマーT4がタイムアップするまで、起動パルスを連続して送信する。そして、応答パルスP0が受信されることなくタイマーT4がタイムアップすると(S168)、図32に示される表示器33のドットの双方点灯を停止し、S186に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する。
【0134】
また、タイマーT4がタイムアップするまでに応答パルスP0が受信されると、図32に示される表示器33のドットの双方点灯を停止し、S169に移行してタイマーT4をクリアし、S170に移行してタイマーT1をスタートさせた後、S171に移行して感度データを示す1回目のパルスP1を待つ。この時、図31に示されるように、表示器33のドットは、双方のうち一方が点灯する交互点灯の動作を開始する。そして、タイマーT1は例えば30秒に設定され、タイマーT1がタイムアップするまで1回目のパルスP1を待つ(S172)。そして、タイマーT1がタイムアップすると、エラーと判断し、図32に示される表示器33のドットの交互点灯を停止し、S186に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する(表示器33は無表示に)。
【0135】
そして、S171において1回目のパルスP1が受信されると、カウンタがスタートされ(S173)、タイマーTlがクリアされる(S174)。ついで、タイマーT2がスタートされ(S175)、感度データを示す2回目のパルスP2を待つ(S176)。この間も、図32に示されるように、表示器33のドットは、双方のうち一方が点灯する交互点灯の動作を継続する。そして、タイマーT2は例えば0.5秒に設定され、タイマーT2がタイムアップするまで2回目のパルスP2を待つ(S177)。そして、タイマーT2がタイムアップすると、エラーと判断し、図32に示される表示器33のドットの交互点灯を停止し、S186に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する(表示器33は無表示に)。
【0136】
そして、S176において2回目のパルスP2が受信されると、カウンタがストップされ(S178)、タイマーT2がクリアされる(S179)。ついで、タイマーT3がスタートされ(S180)、パルスを待つ(S181)。この時、表示器33のドットの表示状態は、図32に示されるように、ドットの交互点灯からドットの一方のみの点灯に移行する。なお、このとき点灯するドットはタイミングとして交互点灯の最終時点で点灯しているドットが継続される。そして、タイマーT3は例えば3.0秒に設定されている。そして、タイマーT3がタイムアップするまでに3回目のパルスが受信されると、ノイズによるエラーと判断し、図32に示される表示器33のドットの一方の点灯を停止し、タイマーT3がクリアされ(S182)、S186に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する(表示器33は無表示に)。つまり、必要のないパルスを検出していることであり、図17の(b)に示されるように、3回目のパルスがノイズパルスPnと認識され、エラー表示されることになる。
【0137】
また、図17の(a)に示されるように、3回目のパルスが受信されることなくタイマーT3がタイムアップする(S183)と、S184に移行し、図32に示される表示器33のドットの一方の点灯を停止する。そこで、マイコン37は、カウンタがスタートしてストップするまでのカウント値から現在の感度を換算し、現在の感度の数値(単位:%/ft)を表示器33に表示する(S185)。また、カウント値から換算された現在の感度が感度許容範囲を下回っていると、「88」を表示器33に表示し、上回っていると、「00」を表示器33に表示する。これにより、点検者が感度の異常を認識できる。このとき、マイコン37は、取得した現在の感度をメモリ39に保持し、表示器33への表示を維持する。
【0138】
このように、感度テスター3Aは、起動パルス送信・測定開始スイッチ46の操作に基づいて火災感知器1Aからの感度データの受信動作を行い、表示器33に受信した現在の感度を表示(S185)し、あるいは、エラー表示灯32にエラー表示するが(S186)、その受信状態について、図32に示すように、表示器33の2つのドットを用い、進行状態が把握できるようになっている。なお、この表示器33の受信状態表示に2つのドットを用いているが、同様の動作を2桁の数字を用いて行っても良く、感度表示との関係からは「−−」や「EE」等の数字に見えない表示であって良い。
【0139】
その後、マイコン37は、イニシャル処理を行った後のスイッチ操作の監視に戻る。そして、起動パルス送信・測定開始スイッチ46の操作があるたびに、上述の動作を繰り返す。なお、起動パルス送信・測定開始スイッチ46の操作時には、表示器33またはエラー表示灯32の表示はクリアされ、メモリ39に格納されている現在の感度もクリアされる。
【0140】
また、タイマーT1、T2、T4がタイムアップしてしまった場合(S168、S172、S177)、或いはタイマーT3がタイムアップする前にパルスが受信された場合(S181)には、応答パルスP0または感度データを示す2つのパルスP1、P2が正常に受信されなかったとし、マイコン37は、エラー表示灯32を点灯し、エラー表示を行う。そのとき、点検者は、起動パルス送信・測定開始スイッチ46を操作して、感度測定を再度実行することになるが、エラーになった原因について、感度テスター3の表示器33の2つのドットで進行状態が把握できるので、ドットの交互点灯まで進んでエラーとなれば、応答パルスP0が受信できていることが分かり、ドットの一方点灯まで進んでエラーとなれば、パルスP1、P2が正常に受信できていることが分かる。
【0141】
したがって、点検者は、ノイズが存在する場合には、周囲のノイズ源を考慮しながら、感度測定を再度実行することができ、また、応答パルスP0やパルスP1、P2が正常に受信できていない場合には、感知器側の不具合の可能性も有るが、まず距離を近付けて、感度測定を再実行することができる。
【0142】
なお、ノイズ源につき、火災感知器1Aの近傍に設置されている照明機器から照明光として赤外光が照射されることがある。この照明機器からの赤外光が感度テスター3に受信されると、タイマーT3がタイムアップする前に3つめのパルス、即ちノイズが受信されたことになる。この場合、エラー表示灯32が点灯し、点検者が視覚的にエラーを認識できる。そこで、点検者は、感度テスター3を火災感知器1に近づけて感度測定を再度実行することができ、ノイズを確実に排除することができる。
【0143】
このように、この実施の形態2によれば、火災感知器1Aの状態情報を受信して表示する感度テスター3Aであって、2桁以上の数値が表示できる、またはそれに加えて2以上のドットを備える表示部としての表示器33を有し、感度テスター3Aは、火災感知器1AからのパルスP1、P2の受信待ちの第1の状態と受信後の第2の状態とを経て、パルスP1、P2に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、第1および第2の状態は、2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされる。
【0144】
さらに、火災感知器1Aへ起動パルスを送信して火災感知器1Aからの応答パルスP0を受信するものであって、起動パルス送信中の第3の状態を加えて、第1および第2の状態を経て前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、第1、第2および第3の状態は、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされる。
【0145】
このことによって、数値が表示される表示器33の点灯状態によって、火災感知器1との通信状態が把握でき、結果的に通信がエラーで終了する場合、どの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。なお、情報を表示する表示器33において状態を表すので、別途異なる表示灯などを設ける必要がなく、記号のような形状を認識する必要がなく、点灯制御で状態を区別することで、簡易な制御となる。
【0146】
また、感度テスター3Aは、火災感知器1Aからの信号受信後に第2の状態としてノイズ検出動作を行うものであって、ノイズ検出のようなエラー検出動作を行う場合を含めて、通信状態が把握でき、エラーの場合にどの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。
【0147】
また、感度テスター3Aは、各々の状態それぞれの点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の連続点灯ならびに前記表示部の2桁以上の数値または2以上のドットを交互に点灯させることによって、簡単な制御で容易に区別することができ、一方または双方の連続点灯および交互に点灯させることを選択することによって、いずれかの点灯による制御中が確認でき、双方の消灯は、すなわち停止と理解できる。
【0148】
さらに、2以上のドットを利用することは、結果表示との違いが明らかであり、点検者の誤った判断につながらない。
【0149】
なお、この実施の形態2によれば、マイコン14が、起動パルス受信用受光素子27の起動パルスの受信の有無を周期的(3.5秒毎)に確認して起動パルスの受信時に状態情報判定・出力手段23および状態情報送信手段24等の動作を実行している。そして、感度テスター3Aが、起動パルス送信用発光素子45から起動パルスを上記周期以上(10秒)の期間、連続的に発生している。そこで、火災感知器1Aは、例えばマイコン14の起動するタイミングで起動パルスの受信の有無を確認でき、起動パルスの受信時に状態情報判定・出力手段23および状態情報送信手段24等の動作を実行できるので、消費電力を低減することができる。
【0150】
また、火災感知器1Aは、起動パルスの受信がある時に、状態情報判定・出力手段23および状態情報送信手段24等の動作の実行に先だって応答パルスP0を送信し、感度テスター3Aは、応答パルスP0を受信すると、起動パルスの送信を停止し、感度データの信号の受信を開始している。そこで、感度テスター3Aによる感度データの受信動作が火災感知器1Aによる感度データの送信動作に同期して行われ、より消費電力を低減することができる。
【0151】
また、感度データ送信用発光素子20および起動パルス受信用受光素子27の送受信角度範囲が広角度範囲に設定され、感度データ受信用受光素子34および起動パルス送信用発光素子45の送受信角度範囲が狭角度範囲に設定されている。そこで、感度テスター3Aの作業位置が限定されず、感度テスター3Aの送受信方向を火災感知器1Aに向けることで、ノイズ成分を拾わずに確実な信号の送受信を行うことができる。
【0152】
また、現在の感度が感度許容範囲内であるか否かを判別し、感度許容範囲外である(感度異常)と判別したときに、パルス間隔Tw1、Tw2で2パルスを感度データ送信用発光素子20から発光させるとともに、火災表示灯16をダブルブリンキングさせている。そこで、点検者が、火災感知器1Aの点検作業時に、感度テスター3Aの表示器33の「00」又は「88」の表示から感度異常を認識できるとともに、火災表示灯16のダブルブリンキングから感度異常を認識できるので、感度異常が実際に発生していることを明確に判断できる。
【0153】
また、感度許容範囲内に入っている感度情報と感度許容範囲内に入っていない異常情報とが単一の感度データ送信用発光素子20を用いて送信されているので、部品点数が削減され、火災感知器1の低コスト化、小型化が図られる。
【0154】
また、現在の感度が感度許容範囲内のいずれの段の感度レベルに入っているかを判断し、現在の感度が入っている段の感度レベルに適合するパルス間隔Twを設定し、設定されたパルス間隔Twで感度データ送信用発光素子20に2パルスを所定のタイミングで発信させるようにしている。そこで、感度データをコード化した伝送データに基づいて発光素子を発光させて感度データを送信する従来技術に比べて、感度データ送信用発光素子20の発光回数が極めて低減され、低消費電力化が図られる。
【0155】
また、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲を密に分割し、感度許容範囲の中央領域を粗に分割して、30段の感度レベルを得ているので、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲の分解能が高くなり、感度許容範囲の上限範囲または下限範囲に到達した時の現在の感度を高精度に検知できる。そこで、現在の感度が感度許容範囲外となる前に、火災感知器1Aの検出部を交換することができ、安定した火災検知を実現できる。
【0156】
また、感度データ送信用発光素子20から感度データを送信するパルスに同期して、火災表示灯16をブリンキングさせているので、点検者が火災感知器1から感度データが送信されていることを目視確認でき、感度データの点検作業が容易となる。
【0157】
また、感度テスター3Aが、所定のタイミングに2つ以上のパルスを受信したときに、又は、所定のタイミング外でパルスを受信したときに、エラー表示灯32にエラー表示するようにしているので、ノイズによる感度データの誤検出を防止できる。そこで、エラー表示32にエラー表示されたら、再度測定をし直すことで、ノイズの影響を排除して、正確な感度データを得ることができる。
【0158】
なお、上記各実施の形態では、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲を密に分割し、感度許容範囲の中央領域を粗に分割して、30段の感度レベルを得るものとして説明しているが、感度許容範囲を均一に30段に分割して感度レベルを得るようにしてもよい。
【0159】
また、上記各実施の形態では、感度レベルの段数は30段に限定されるものではなく、火災感知器1の仕様に基づいて適宜設定されるものである。
【0160】
また、上記各実施の形態では、現在の感度を表すための30段の感度レベルに対応するパルス間隔TwをEEPROM15に予め格納するものとして説明しているが、マイコン14が、現在の感度が30段の感度レベルのいずれの段の感度レベルに対応するかを判別した後、該当する段の感度レベルに対応するパルス間隔Twを演算処理して算出するようにしてもよい。この場合、マイコン14が、EEPROM15に格納されている感度許容範囲の上限値(D3)および下限値(D2)を読み出し、読み出された上限値(D3)および下限値(D2)に基づいて30段の感度レベルを演算処理して算出するようにしてもよい。
【0161】
また、上記各実施の形態では、現在の感度(感度レベル)を2パルスのパルス間隔で表すものとして説明しているが、感度レベルを表すパルスの時間的要素はパルス間隔に限定されるものではなく、例えばパルス幅で表すようにしてもよい。
【0162】
また、上記各実施の形態では、表示器33を用いて感度表示を行い、エラー表示灯32を用いてエラー表示を行うものとしているが、表示器33を用いて感度表示とエラー表示を行うようにしてもよい。
【0163】
また、上記各実施の形態では、火災感知器として煙感知器を用いるものとして説明しているが、火災感知器は煙感知器に限定されるものではなく、例えば熱感知器などを用いてもよい。
【0164】
また、上記各実施の形態では、感度異常を火災表示灯16のダブルブリンキングにより報知するものとしているが、感度異常の報知は火災表示灯16のダブルブリンキングに限定されるものではなく、正常な感度情報の送信時と感度異常の送信時とを区別できればよく、両者のブリンキング回数が異なればよい。
【0165】
また、上記実施の形態では、検出部の状態に応じた状態情報として感度を用いるものとして説明しているが、検出部の状態に応じた状態情報は感度に限定されるものではなく、例えば、自動試験機能を有するときの正常または異常を示す結果、設定されているアドレスやシリアル番号、火災感知器としての種別、動作の履歴などを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】この発明の実施の形態1に係る火災感知器の状態情報取得システムを模式的に示すシステム図。
【図2】図1の火災感知器を示す正面図。
【図3】図1の火災感知器の構成を模式的に示すブロック図。
【図4】図1の火災感知器の回路構成を示すブロック回路図。
【図5】図1の感度テスターを示す正面図。
【図6】図1の感度テスターの構成を模式的に示すブロック図。
【図7】図1の感度テスターの回路構成を示すブロック回路図。
【図8】図1の火災感知器の全体動作を示すフロー図。
【図9】図1の火災感知器における火災判別動作を示すフロー図。
【図10】図1の火災感知器における感度測定動作を示すフロー図。
【図11】図1の火災感知器におけるブリンキング動作を示すフロー図。
【図12】図1の感度テスターの動作を示すフロー図。
【図13】図1の火災感知器における感度とA/D値との関係を示す説明図。
【図14】図1の火災感知器における火災表示灯点灯および感度送信を示す説明図。
【図15】図1の火災感知器における感度送信のためのパルスを示す説明図。
【図16】図1の火災感知器における感度データを示す2つのパルスを示す説明図。
【図17】図1の火災感知器におけるパルスとノイズの関係を示す説明図。
【図18】図1の感度テスターの表示部における状態表示を示す説明図。
【図19】この発明の実施の形態2に係る火災感知器の状態情報取得システムを模式的に示すシステム図。
【図20】図19の火災感知器を示す正面図。
【図21】図19の火災感知器の構成を模式的に示すブロック図。
【図22】図19の火災感知器の回路構成を示すブロック回路図。
【図23】図19の感度テスターを示す正面図。
【図24】図19の感度テスターの構成を模式的に示すブロック図。
【図25】図19の感度テスターの回路構成を示すブロック回路図。
【図26】図19の火災感知器の全体動作を示すフロー図。
【図27】図19の火災感知器における火災判別動作を示すフロー図。
【図28】図19の火災感知器における感度測定動作を示すフロー図。
【図29】図19の火災感知器におけるブリンキング動作を示すフロー図。
【図30】図19の感度テスターの動作を示すフロー図。
【図31】図19の火災感知器における火災表示灯点灯および感度送信を示す説明図。
【図32】図19の感度テスターの表示部における状態表示を示す説明図。
【符号の説明】
【0167】
1、1A 火災感知器
3、3A 感度テスター
33 表示器
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災感知器の状態情報取得システムに用いられる状態表示器に関し、とくに状態情報の一つとして感度情報を発信する火災感知器の情報を表示する状態表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の火災感知器では、火災受信機と信号線を介して接続されて、火災の検出時に、火災信号を出力して、火災受信機が必要な火災警報動作を行うようになっている。このような火災感知器から状態情報を受信する方式として、信号伝送を用いて火災受信機と交信するシステムの場合に、火災受信機からの呼出信号を受信すると、感度データをコード化した伝送信号を火災受信機に返送するとともに、感度の受信器に対しては伝送データ「0」、「1」に応じて赤外の発光素子を発光させて外部に伝送させていた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−262467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような赤外光を利用する光伝送によって状態情報を送受信するとき、火災感知器が赤外の発光素子の発光と同時に可視の発光素子を発光させたとしても、火災感知器と状態表示器との間の通信状態については把握できない。そのため、状態表示器が状態情報を受信できなかった場合、結果としてエラー表示することになり、エラーであったことは把握できるが、そのエラーの原因は把握できない。
【0004】
したがって、この発明では、火災感知器と状態表示器との間での通信状態について、状態表示器の表示部で把握できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の請求項1に係る火災感知器の状態表示器は、火災感知器の状態情報を受信して表示する状態表示器であって、2桁以上の数値が表示できる、またはそれに加えて2以上のドットを備える表示部を有し、前記状態表示器は、前記火災感知器からの信号受信待ちの第1の状態と前記信号受信後の第2の状態とを経て、前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、前記第1および第2の状態は、前記2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされることを特徴とするものである。
【0006】
また、この発明の請求項2に係る火災感知器の状態表示器は、火災感知器へ起動信号を送信して該火災感知器からの信号を受信するものであって、前記起動信号送信中の第3の状態を加えて、第1および第2の状態を経て前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、前記第1、第2および第3の状態は、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされるものである。
【0007】
また、この発明の請求項3に係る火災感知器の状態表示器は、火災感知器からの信号受信後にエラー検出動作を行うものであって、第1および第2の状態、またはさらに第3の状態を含め、それぞれの状態を経て前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、前記第1および第2の状態あるいは前記第1、第2および第3の状態は、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされるものである。
【0008】
また、この発明の請求項4に係る火災感知器の状態表示器は、状態情報は、感度データまたはアドレスである。
【0009】
また、この発明の請求項5に係る火災感知器の状態表示器は、第1、第2および第3の状態それぞれの点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の連続点灯ならびに前記表示部の2桁以上の数値または2以上のドットを交互に点灯させることによって、簡単な制御で容易に区別することができる。
【0010】
また、この発明の請求項6に係る火災感知器の状態表示器は、点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の点滅点灯を含むものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る火災感知器の状態表示器では、数値が表示される表示部の点灯状態によって、火災感知器との通信状態が把握でき、結果的に通信がエラーで終了する場合、どの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。例えば、信号受信待ち状態でエラー表示となった場合、火災感知器からの信号が届いていない可能性があり、信号受信後の状態でエラー表示となった場合には、火災感知器からの信号自体は何とか届いていると解することができる。なお、情報を表示する表示部において状態を表すので、別途異なる表示灯などを設ける必要がなく、記号のような形状を用いず点灯制御で状態を区別することで、簡易な制御となる。
【0012】
また、請求項2に係る火災感知器の状態表示器は、請求項1に係る火災感知器の状態表示器と同様であり、起動信号を送出する場合を含めて、通信状態が把握でき、エラーの場合にどの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。
【0013】
また、請求項3に係る火災感知器の状態表示器は、請求項1に係る火災感知器の状態表示器と同様であり、ノイズ検出のようなエラー検出動作を行う場合を含めて、通信状態が把握でき、エラーの場合にどの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。このエラー検出動作は、請求項1における第2の状態であってよく、また、第2の状態とは別に第4の状態としてもよい。
【0014】
また、請求項4に係る火災感知器の状態表示器は、火災感知器の感度データまたはアドレスを取得する場合に利用され、火災感知器との通信状態が把握でき、結果的に通信がエラーで終了する場合、どの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。
【0015】
また、請求項5および請求項6に係る火災感知器の状態表示器は、それぞれの点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の連続点灯または点滅点灯ならびに前記表示部の2桁以上の数値または2以上のドットを交互に点灯させることのいずれかを割り当てるので、簡単な制御で容易に区別することができる。
【0016】
なお、一方または双方の連続点灯および交互に点灯させることを選択することによって、いずれかの点灯による制御中が確認でき、消灯すなわち停止と理解できる。
【0017】
さらに、2以上のドットを利用することは、結果表示との違いが明らかであり、点検者の誤った判断につながらない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施形態1
図1に基づき、火災感知器の状態情報取得システムは、例えば天井に取り付けられて火災を検知する火災感知器1と、火災感知器1に電源兼信号線4で接続され、火災感知器1に電源を供給するとともに、火災感知器からの火災信号を受信する火災受信機2と、点検者が火災感知器1の検出部の状態を確認する際に、火災感知器1からの状態信号を受信・表示する状態表示器として感度テスター3とから構成されている。
【0019】
つぎに、火災感知器1の構成について、図2から図4に基づいて説明する。なお、ここでは、火災感知器1として煙感知器を用いるものとする。
【0020】
煙検出用発光素子11は、煙を検出するための発光を行う発光ダイオード(LED)であり、煙検出用受光素子12は、煙検出用発光素子11から発光された光を受光するためのフォトダイオードである。煙検出用発光素子11および煙検出用受光素子12は、本体10内に設けられた暗箱(図示せず)内に設置され、煙検出部を構成している。この暗箱は、煙が入るラビリンスを備えている。そして、煙検出用発光素子11から発光された光がラビリンスから入った煙粒子により散乱され、その散乱光が煙検出用受光素子12に受光される。この煙検出用受光素子12の出力がアンプ13によって増幅される。
【0021】
マイコン14は、火災感知器1全体の動作を制御する回路チップであり、マイクロプロセッサ(MPU)およびデータを保持するための記憶手段(メモリ)を内部に備え、各部に入出力するための複数のポートおよびアナログデジタル変換器(A/D)を有している。そして、マイコン14は、アンプ13の出力をA/D変換してデータ(A/D値)として取り込む。ここで、マイコン14は、アンプ13のゲインを火災判別時に対して感度測定時に高くなるように切り換えている。
【0022】
EEPROM15は、書き換え可能な不揮発性メモリであり、火災判別レベル、初期状態での出力レベル、煙検出機能に関する断線判別レベル、感度許容範囲の上限値および下限値のレベルなどがA/D値と対比されるデータとして格納されている。これらのデータは、製造時に、感度調整されて書き込まれることになる。
【0023】
火災表示灯16は、火災(煙)を検知したことを視覚的に報知するものであり、赤色などの可視光を発光するLEDが用いられる。この火災表示灯16は、火災感知器1の設置場所のどの方向からも見えるように、本体10の外面に2つ設けられている。
【0024】
ブリンキング用トランジスタ17は、マイコン14からのパルス出力を受けて例えば10.5秒間隔で周期的にオンする。そこで、火災表示灯16が、例えば10.5秒間隔で周期的に点灯(ブリンキング)し、火災感知器1が稼働していることを視覚的に判別できる。
【0025】
スイッチング回路18は、火災を検出したときに、マイコン14からの出力に基づいてオンされる自己保持回路である。このスイッチング回路18のオン状態保持により、受信機2からの一対の電源兼信号線4間のインピーダンスが高インピーダンスから低インピーダンスに変化され、火災受信機2に火災信号を送出する。また、この火災信号の送出と同時に、火災表示灯16が連続点灯する。
【0026】
端子19は、火災受信機2からの一対の電源兼信号線4が接続される端子であり、火災信号出力端子と電源端子とを兼ねている。
【0027】
発信素子としての感度データ送信用発光素子20は、感度データを送信する赤外LEDであり、マイコン14の制御により、例えば10.5秒間隔の周期で火災表示灯16の点灯に同期して発光(送信)している。この感度データ送信用発光素子20は、その発光が火災感知器1の設置面である天井から床面に向かって円錐状に出射されるように本体10の正面側に配設されている。即ち、感度データ送信用発光素子20の送信角度範囲が広角度となっている。
【0028】
ここで、EEPROM15に書き込まれるデータについて図13を参照しつつ説明する。なお、図13は火災感知器1における感度とA/D値との関係を示している。
【0029】
この火災感知器1における感度許容範囲は、例えば1%/ft〜3%/ftとなっている。そして、初期の特性(NORMAL LEVEL)に基づいて、上下限の状態の特性を予想して、その状態の0%/ftのA/D値をD2、D3として、D1、D2、D3およびD4(A/D値)が、それぞれ断線判定レベル、感度許容範囲の下限値、感度許容範囲の上限値および火災判定レベルとして予め設定されて、EEPROM15に書き込まれる。また、感度許容範囲における上限領域(D3近辺)及び下限領域(D2近辺)を密に、かつ、中央領域を粗にして、例えばトータル30段に分割して得られた30段のレベル(A/D値)が感度出力されるパルス間隔TwのレベルとしてEEPROM15に書き込まれる。この30段の分割に関する粗密によって、限られた段数の中で、異常に近い部分のレベルを詳細に出力することができる。なお、D1、D2、D3およびD4の関係は、D1<D2<D3<D4となっている。
【0030】
さらに、上記の30段に対応するパルス間隔Twが各感度レベルに対応付けられてEEPROM15に書き込まれる。つまり、D3に対応するパルス間隔Twは1msに設定され、D2に対応するパルス間隔Twは40msに設定されている。また、1msと40msとの間をトータル30分割して得られたパルス間隔Twが、それぞれ上述の30段の感度レベルに対応する。さらに、感度異常の送信信号を表すパルス間隔Tw1、Tw2が例えば感度許容範囲に対応するパルス間隔1ms〜40msの範囲外である60ms、65msに設定されてEEPROM5に格納されている。
【0031】
なお、後述するように、マイコン14は、感度としてA/D値が上下限D2、D3の範囲を外れるときに感度異常と判断して、火災表示灯16によって異常状態を示す点滅を行うので、異常時の範囲を上記30段から外しているが、異常時の範囲を含めて、上記30段のレベルを設定してもよい。
【0032】
また、マイコン14のMPUには、検出部の状態に応じた状態情報を判定・出力する状態情報判定・出力手段23と、状態情報に基づいてパルスの時間的要素を設定し、設定された時間的要素に基づいて感度データ送信用発光素子20からパルスを発せさせる状態情報送信手段24とが格納されている。そして、状態情報判定・出力手段23は、取り込まれた6回分ののA/D値を平均化して現在の感度とし現在の感度が感度許容範囲内に入っているか否かを判定するとともに、出力する。一方、状態情報送信手段24は、状態情報判定・出力手段23により得られた現在の感度が感度許容範囲を30段に分割して得られた感度レベルのいずれの段の感度レベルに合致しているかを判定し、合致する段の感度レベルに適合する2パルスのパルス間隔Twを設定して感度データ送信用発光素子20にパルス発光させる。また、状態情報送信手段24は、状態情報判定・出力手段23により得られた現在の感度が感度許容範囲外と判定すると、パルス間隔Tw1(Tw2)を選定して感度データ送信用発光素子20にパルス発光させる。ここで、状態情報は検出部の感度である。
【0033】
つぎに、感度テスター3の構成について、図5から図7に基づいて説明する。
【0034】
電源兼切換表示灯31は、緑色とオレンジ色の2色のLEDで構成され、感度テスター3の電源がオンされている状態を示すとともに、火災感知器が光電式/イオン化式の切換状態を示す。そして、感度を測定する対象として、光電式の火災感知器の場合には緑色のLEDを点灯させ、イオン化式の火災感知器である場合にはオレンジ色のLEDを点灯させる。なお、電源投入時には、光電式が選択されるようになっている。
【0035】
エラー表示灯32は赤色のLEDで構成され、感度テスター3が火災感知器1からの感度データを正常に受信できなかった場合に点灯する。表示器33は感度の数値を表示する7セグメント表示器であり、また、受信した感度データが許容範囲の上限値を超えている場合に「00」を表示し、下限値を下回っている場合に「88」を表示する。なお、感度データが許容範囲外であることがわかれば「00」又は「88」以外の表示であってもよい。さらに、表示器33は、数値表示の際の小数点に利用する2つのドットを有し、これらを感度データ受信状態の表示にも利用している。
【0036】
感度データ受信用受光素子34は、火災感知器1の感度データ送信用発光素子20から発光された赤外光を受光するためのフォトダイオードである。そして、光学フィルタ(図示せず)が感度データ受信用受光素子34の前面に配置され、可視光をカットしている。また、感度データ受信用受光素子34は本体30に穿設された開口30aから離間させて本体30内に配設され、受光角度を狭くして指向性を高めている。
【0037】
電源スイッチ35は、本体30の表面に設けられた押し釦式のスイッチであり、長押しにより電源をオン/オフする。そして、電源投入後の通常操作(長押しでない操作)により、光電式とイオン化式とのモード切替が行われる。測定開始スイッチ36は、本体30の表面に設けられた押し釦式のスイッチであり、この測定開始スイッチ36の作動により、火災感知器1から発信される感度データの信号の受信を開始する。
【0038】
マイコン37は、感度テスター3全体の動作を制御する回路チップであり、マイクロプロセッサ(MPU)38およびデータを保持するための記憶手段(メモリ)39を内部に備え、各部に入出力するための複数のポートを有している。
【0039】
そして、感度データ受信用受光素子34の出力はアンプ40によって増幅され、搬送波復調器41により復調された後、マイコン37に取り込まれる。マイコン37に取り込まれた感度データのパルス間隔Twが、パルス間隔測定部42によって測定される。MPU38は、測定されたパルス間隔Twとメモリ39に格納されているデータとを比較して火災感知器1の感度の状態を判定し、判定結果を表示駆動部43に出力して表示器33に表示させる。ここで、感度データ受信用受光素子34、アンプ40、搬送波復調器41およびマイコン37などから状態情報取得手段が構成されている。なお、感度テスター3は手のひらサイズで、携帯型であり、感度テスター3には、電池44が内蔵されている。
【0040】
つぎに、このように構成された火災感知器の動作について図8乃至図11に示されるフローチャートおよび図14乃至図16に示されるタイムチャートを参照しつつ説明する。なお、以降および各図において、ステップ1、ステップ2・・を便宜上S1、S2・・と示している。
【0041】
まず、火災感知器1全体の動作を制御するマイコン14の動作について、図8に示されるフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
電源が火災感知器1に投入され、動作をスタートする(S1)。そして、イニシャル処理(S2)を行った後、マイコン14を所定周期で起動させるタイマー回路21が動作を開始する。このタイマー回路21は3.5秒毎にタイムアップし(S3)、マイコン14に起動出力を出力する。これにより、マイコン14が、図14の(a)に示されるように、3.5秒周期でスリープ状態からラン状態となる。
【0043】
ついで、マイコン14が起動すると、計数C1を1インクリメントする(S4)。そして、計数C1が3であるか否かを判定する(S5)。
【0044】
S5において、C1≠3であれば、S6に移行して火災判別ルーチンを実行した後、S9に移行してブリンキングルーチンを実行する。また、S5において、C1=3であれば、C1を0に戻し(S7)、S8に移行して感度測定ルーチンを実行した後、S9に移行してブリンキングルーチンを実行する。このS4およびS5における計数動作は、3回に1回、火災判別ルーチンに代えて感度測定ルーチンを実行させるものである。
【0045】
そして、S9のブリンキングルーチンが終了すれば、初期に戻って、タイムアップ(S3)を待つ。この時、マイコン14はスリープ状態であり、ステップとして示されていないが、ブリンキングルーチンの処理後に、マイコン14は自動的にラン状態からスリープ状態に入る。
【0046】
つぎに、火災判別ルーチンの処理について図9を参照しつつ説明する。
【0047】
火災判別ルーチンでは、マイコン14は、まずアンプ13を起動させ(S11)、ついで煙検出用発光素子11を発光させる。そして、マイコン14は、アンプ13で増幅された煙検出用受光素子12の受光出力をA/D変換して取り込む(S12)。
【0048】
ついで、マイコン14は、取り込んだA/D値とEEPROM15に格納されている断線判別レベル(D1)とを比較し、煙検出用発光素子11または煙検出用受光素子12の断線などの異常を判別する(S13)。S13において、断線(取り込んだA/D値≦D1)と判別されると、S14に移行して断線フラグF1をオンする。また、断線でない(取り込んだA/D値>D1)と判別されると、S15に移行して断線フラグF1をオフとする。
【0049】
続いて、マイコン14は、A/D値をEEPROM15に格納されている火災判別レベル(D4)と比較し、火災が発生したかを判別する(S16)。S16において、火災が発生していない(取り込んだA/D値<D4)と判別されると、S9に移行してブリンキングルーチンが実行される。一方、S16において、火災が発生している(取り込んだA/D値≧D4)と判別されると、S17に移行してスイッチング回路18に火災出力を出力し、その後マイコン14がストップ状態となる。
【0050】
そして、スイッチング回路18は、火災出力を受けてオンして自己保持し、端子19間を低インピーダンス状態に維持する。これにより、端子19に接続されている電源兼信号線電線4を介して火災受信機2に火災信号が出力される。また、スイッチング回路18がオン状態に自己保持されているので、火災表示灯16が、図14の(c)に示されるように、点灯状態を維持し、火災発生が視覚的に報知される。ここで、マイコン14を火災出力後にストップ状態とすることは、スイッチング回路18がオン状態となると、低インピーダンス状態となり、電源電位が低下してしまい、火災感知器1が通常通りに動作できなくなるからである。
【0051】
つぎに、感度測定ルーチンの処理について図10を参照しつつ説明する。
【0052】
感度測定ルーチンでは、マイコン14は、ますアンプ13を起動させ(S21)、ついで煙検出用発光素子11を発光させる。そして、マイコン14は、アンプ13で増幅された煙検出用受光素子12の受光出力をA/D変換して取り込む(S22)。この感度測定ルーチンでは、煙が存在していないため、煙検出用受光素子12の出力は低レベルとなる。そこで、低レベルの出力を正確に判別するために、アンプ13のゲインを高く設定し、大きく増幅した受光出力を取り込んでいる。
【0053】
ついで、マイコン14は、メモリに記憶されているA/D値を書き換える。すなわち、メモリに格納されている一番古いデータを最新のデータに更新するフィルター処理を行う。そして、メモリに格納されている6個のデータからA/D値の平均値を算出する(S23)。この算出した平均値を現在の感度としてメモリの所定位置に格納する(S24)。
【0054】
ついで、マイコン14は、メモリに格納されている平均値と、EEPROM15に格納されている許容範囲の上限値および下限値のレベル(D3、D2)とを比較し、現在の感度が許容範囲内であるかを判別する(S25)。S25において、現在の感度が許容範囲外(取り込んだA/D値<D2、あるいは、A/D値>D3)であると判別されると、S26に移行して異常フラグF2をオンとする。一方、S25において、現在の感度が許容範囲内(D2≦取り込んだA/D値≦D3)であると判別されると、S27に移行して異常フラグF2をオフとする。その後、S9に移行してブリンキングルーチンが実行される。ここで、S23〜S27が状態情報判定・出力手段23の動作に相当する。
【0055】
なお、火災感知器1の経年変化は、暗箱内の汚れや回路素子の劣化などにより感度が徐々に変化することにより発生するものである。この感度変化は徐々に変化することから、この感度測定ルーチンでは、1分間の平均値をとることで、一瞬の異常値の影響をなくしている。
【0056】
つぎに、ブリンキングルーチンの処理について図11を参照しつつ説明する。
【0057】
ブリンキングルーチンでは、マイコン14は、まず計数C1が0であるかを判別する(S31)。S31において、C1≠0であると判別されると、初期に戻って、タイムアップ(S3)を待つ。また、S31において、C1=0であると判別されると、S32に移行して断線フラグF1がオンしているかを判別する。
【0058】
そして、S32において、断線フラグF1がオンしていると判別されると、初期に戻って、タイムアップ(S3)を待つ。この時、マイコン14はブリンキング用トランジスタ17の消灯を維持する。そして、火災表示灯16は、図14の(d)に示されるように、消灯し、断線不良の発生、あるいは電源オフが視覚的に報知される、一方、S32において、断線フラグF1がオフしていると判別されると、S33に移行して異常フラグF2がオンしているかを判別する。
【0059】
そして、S33において、異常フラグF2がオフしていると判別されると、S34に移行し、マイコン14はブリンキング用トランジスタ17に通常のパルス点灯出力を行う。このパルス点灯出力により、ブリンキング用トランジスタ17がパルス的にオンし、火災表示灯16はパルス点灯し、火災感知器1が正常に動作していることを視覚的に報知する。この火災表示灯16のパルス点灯は、計数C1が0のときのみ行われ、図14の(b)に示されるように、10.5秒に1回の割合で、周期的にパルス点灯するブリンキング動作となる。
【0060】
ついで、マイコン14は、メモリに格納されている現在の感度のデータを読み出し(S36)、当該データに対応した発光出力を出力し(S37)、初期に戻って、タイムアップ(S3)を待つ。S37においては、マイコン14は、EEPROM15に格納されている感度許容範囲の上限値(D3)から下限値(D2)までに対して、現在の感度のデータがD2とD3との間のいずれの段の感度レベルに属しているかを判断する。そして、例えば現在の感度のデータがD3に一致していれば、図16の(a)に示されるように、1msのパルス間隔Twの発光出力を出力する。また、現在の感度のデータがD2に一致していれば、図16の(b)に示されるように、40msのパルス間隔Twの発光出力を出力する。そして、EEPROM15に格納されている30段の感度レベルに対応するパルス間隔Twから、現在の感度のデータが属する段の感度レベルに対応するパルス間隔Twを選択し、選択されたパルス間隔Twの発光出力を出力する。
【0061】
また、S37において、現在の感度のデータが感度許容範囲より下回っていると、パルス間隔Tw1を選択し、パルス間隔Tw1の発光出力を出力する。また、現在の感度のデータが感度許容範囲を上回っていると、パルス間隔Tw2を選択し、パルス間隔Tw2の発光出力を出力する。
【0062】
この感度のデータに対応した発光出力は、図15に示されるように、特定の周波数fc、例えば38kHzで変調されて、感度データ送信用発光素子20に出力される。これにより、感度データ送信用発光素子20から発光される光が白熱電球や蛍光灯などのノイズ光源から光と区別される。
【0063】
このように、この感度のデータに対応した発光出力は、現在の感度を2つのパルス間隔Twに換算し、換算されたパルス間隔Twとなるように感度データ送信用発光素子20を2回パルス発光させるものである。これにより、最初のパルス発光から次のパルス発光までの時間が現在の感度を表すことになる。この感度のデータの送信は、図14の(f)に示されるように、火災表示灯16のブリンキングと同じタイミングで10.5秒ごとに行われ、火災表示灯16のブリンキングが行われないときには、感度のデータの送信も行われない。なお、図14の(f)における1回のオンでは、図15に示されるように2回のパルスが発光されているが、タイミングとして1回に示している。
【0064】
S33において、異常フラグF2がオンしていると判別されると、S35に移行してブリンキング用トランジスタ17にパルス点灯出力を2回出力した後、S36に移行する。そして、パルス点灯出力がブリンキング用トランジスタ17に2回出力されると、火災表示灯16が、図14の(e)に示されるように、例えば100msの間隔で2回続けてパルス点灯するダブルブリンキングを行い、通常のブリンキングと明確に区別でき、火災感知器1が感度異常であることが視覚的に報知される。また、S36では、メモリに格納されている現在の感度のデータを読み出し、当該データに対応した発光出力を出力する(S37)。この時、現在の感度のデータが感度許容範囲より下回っていると、パルス間隔Tw1を選択し、パルス間隔Tw1の発光出力を出力する。また、現在の感度のデータが感度許容範囲を上回っていると、パルス間隔Tw2を選択し、パルス間隔Tw2の発光出力を出力する。ここで、S31〜S37が状態情報送信手段24の動作に相当する。
【0065】
つぎに、感度テスター3の動作について、図12、図17および図18に基づいて説明する。なお、図12に示されるフローチャートは、感度テスター3全体の動作を制御するマイコン37の動作であり、図18は、表示器33の表示状態についての説明図である。
【0066】
感度テスター3は、まず電源スイッチ35を長押しにより電源が投入されてスタートする(S41)。そこで、マイコン37はイニシャル処理(S42)を行った後、スイッチ操作を監視する。
【0067】
そして、S43において、電源スイッチ35が通常操作されると、モード切替が行われ(S44)、感度測定される火災感知器1が光電式かイオン式かが選択され、電源兼切換表示灯31が選択されたモードに応じて点灯する。
【0068】
ついで、S45において、測定開始スイッチ36がオンされたか否かを判別する。測定開始スイッチ36がオンされたと判別されると、S46に移行してタイマーT1がスタートされ、感度データを示す1回目のパルスP1を待つ(S47)。この測定開始スイッチ36のオンの時点で、図18に示されるように、表示器33のドットは、双方のうち一方が点灯する交互点灯の動作を開始する。そして、タイマーT1は例えば30秒に設定され、タイマーT1がタイムアップするまで1回目のパルスP1を待つ(S48)。そして、タイマーT1がタイムアップすると、エラーと判断し、図18に示される表示器33のドットの交互点灯を停止し、S62に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する(表示器33は無表示に)。
【0069】
そして、S47において1回目のパルスP1が受信されると、カウンタがスタートされ(S49)、タイマーT1がクリアされる(S50)。ついで、タイマーT2がスタートされ(S51)、感度データを示す2回目のパルスP2を待つ(S52)。この間も、図18に示されるように、表示器33のドットは、双方のうち一方が点灯する交互点灯の動作を継続する。そして、タイマーT2は例えば0.5秒に設定され、タイマーT2がタイムアップするまで2回目のパルスP2を待つ(S53)。そして、タイマーT2がタイムアップすると、エラーと判断し、図18に示される表示器33のドットの交互点灯を停止し、S62に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する(表示器33は無表示に)。
【0070】
そして、S52において2回目のパルスP2が受信されると、カウンタがストップされ(S54)、タイマーT2がクリアされる(S55)。ついで、タイマーT3がスタートされ(S56)、パルスを待つ(S57)。この時、表示器33のドットの表示状態は、図18に示されるように、ドットの交互点灯からドットの一方のみの点灯に移行する。なお、このとき点灯するドットはタイミングとして交互点灯の最終時点で点灯しているドットが継続される。そして、タイマーT3は例えば3.0秒に設定されている。そして、タイマーT3がタイムアップするまでに3回目のパルスが受信されると、ノイズによるエラーと判断し、図18に示される表示器33のドットの一方のみの点灯を停止し、タイマーT3がクリアされ(S58)、S62に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する(表示器33は無表示に)。つまり、必要のないパルスを検出していることであり、図17の(b)に示されるように、3回目のパルスがノイズパルスPnと認識され、エラー表示されることになる。
【0071】
また、図17の(a)に示されるように、3回目のパルスが受信されることなくタイマーT3がタイムアップする(S59)と、S60に移行し、図18に示される表示器33のドットの一方のみの点灯を停止する。そこで、マイコン37は、カウンタがスタートしてストップするまでのカウント値から現在の感度を換算し、現在の感度の数値(単位:%/ft)を表示器33に表示する(S61)。また、カウント値から換算された現在の感度が感度許容範囲を下回っていると、「00」を表示器33に表示し、上回っていると、「88」を表示器33に表示する。これにより、点検者が、感度の異常を認識できる。この時、マイコン37は、取得した現在の感度をメモリ39に保持し、表示器33への表示を維持する。
【0072】
このように、感度テスター3は、測定開始スイッチ36の操作に基づいて火災感知器1からの感度データの受信動作を行い、表示器33に受信した現在の感度を表示(S61)し、あるいは、エラー表示灯32にエラー表示するが(S62)、その受信状態について、図18に示すように、表示器33の2つのドットを用い、進行状態が把握できるようになっている。なお、この表示器33の受信状態表示に2つのドットを用いているが、同様の動作を2桁の数字を用いて行っても良く、感度表示との関係からは「−−」や「EE」等の数字に見えない表示であって良い。
【0073】
その後、マイコン37は、イニシャル処理を行った後のスイッチ操作の監視に戻る。そして、測定開始スイッチ36の操作があるたびに、上述の動作を繰り返す。なお、測定開始スイッチ36の操作時には、表示器33またはエラー表示灯32の表示はクリアされ、メモリ39に格納されている現在の感度もクリアされる。
【0074】
また、タイマーT1、T2がタイムアップしてしまった場合(S48、S53)、あるいはタイマーT3がタイムアップする前にパルスが受信された場合(S57)には、感度データを示す2つのパルスP1、P2が正常に受信されなかったとし、マイコン37は、エラー表示灯32を点灯し、エラー表示を行う。そのとき、点検者は、測定開始スイッチ36を操作して、感度測定を再度実行することになるが、エラーになった原因について、感度テスター3の表示器33の2つのドットで進行状態が把握できるので、ドットの一方点灯まで進んでエラーとなった場合には、パルスP1、P2が正常に受信できていて、ノイズが存在することが分かり、ドットの一方点灯まで進まずに、交互点灯のみでエラーとなった場合には、パルスP1、P2が正常に受信できていないことが分かる。
【0075】
したがって、点検者は、ノイズが存在する場合には、周囲のノイズ源を考慮しながら、感度測定を再度実行することができ、また、パルスP1、P2が正常に受信できていない場合には、感知器側の不具合の可能性も有るが、まず距離を近付けて、感度測定を再度実行することができる。
【0076】
なお、ノイズ源につき、火災感知器1の近傍に設置されている照明機器から照明光として赤外光が照射されることがある。この照明機器からの赤外光が感度テスター3に受信されると、タイマーT3がタイムアップする前に3つ目のパルス、即ちノイズが受信されたことになる。そこで、点検者は、感度テスター3を火災感知器1に近づけるとともに、照明機器を避けることで、ノイズを確実に排除することができる。
【0077】
このように、この実施の形態1によれば、火災感知器1の状態情報を受信して表示する感度テスター3であって、2桁以上の数値が表示できる、またはそれに加えて2以上のドットを備える表示部としての表示器33を有し、感度テスター3は、火災感知器1からのパルスP1、P2の受信待ちの第1の状態と受信後の第2の状態とを経て、パルスP1、P2に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、第1および第2の状態は、2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされる。
【0078】
このことによって、数値が表示される表示器33の点灯状態によって、火災感知器1との通信状態が把握でき、結果的に通信がエラーで終了する場合、どの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。なお、情報を表示する表示器33において状態を表すので、別途異なる表示灯などを設ける必要がなく、記号のような形状を認識する必要はなく、点灯制御で状態を区別することで、簡易な制御となる。
【0079】
また、感度テスター3は、火災感知器1からの信号受信後に第2の状態としてノイズ検出動作を行うものであって、ノイズ検出のようなエラー検出動作を行う場合を含めて、通信状態が把握でき、エラーの場合にどの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。
【0080】
また、感度テスター3は、各々の状態それぞれの点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の連続点灯ならびに前記表示部の2桁以上の数値または2以上のドットを交互に点灯させることによって、簡単な制御で容易に区別することができ、一方または双方の連続点灯および交互に点灯させることを選択することによって、いずれかの点灯による制御中が確認でき、双方の消灯は、すなわち停止と容易に理解できる。
【0081】
さらに、2以上のドットを利用することは、結果表示との違いが明らかであり、点検者の誤った判断につながらない。
【0082】
なお、この実施の形態1によれば、現在の感度が感度許容範囲内のいずれの段の感度レベルに入っているかを判断し、現在の感度が入っている段の感度レベルに適合するパルス間隔Twを設定し、設定されたパルス間隔Twで感度データ送信用発光素子20に2パルスを所定のタイミングで発信させるようにしている。そこで、感度データをコード化した伝送データに基づいて発光素子を発光させて感度データを送信する従来技術に比べて、感度データ送信用発光素子20の発光回数が極めて低減され、低消費電力の火災感知器1およびその状態情報取得システムを実現できる。
【0083】
また、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲を密に分割し、感度許容範囲の中央領域を粗に分割して、30段の感度レベルを得ているので、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲の分解能が高くなり、感度許容範囲の上限範囲または下限範囲に到達した時の現在の感度を高精度に検知できる。そこで、現在の感度が感度許容範囲外となる前に、火災感知器1の検出部を交換することができ、安定した火災検知を実現できる。
【0084】
また、感度データ送信用発光素子20から感度データを送信するパルスに同期して、火災表示灯16をブリンキングさせているので、点検者が火災感知器1から感度データが送信されていることを目視確認でき、感度データの点検作業が容易となる。
【0085】
また、感度テスター3が、所定のタイミングに2つ以上のパルスを受信したときに、または、所定のタイミング外でパルスを受信したときに、エラー表示灯32にエラー表示するようにしているので、ノイズによる感度データの誤検出を目視確認できる。そこで、エラー表示32にエラー表示されたら、再度測定をし直すことで、ノイズの影響を排除して、正確な感度データを得ることができる。
【0086】
また、感度データ送信用発光素子20の送信角度範囲が広角度範囲に設定され、感度データ受信用受光素子34の受信角度範囲が狭角度範囲に設定されている。そこで、感度テスター3の作業位置が限定されず、感度テスター3の受信方向を火災感知器1に向けることで、ノイズ成分を拾わずに確実な信号の受信を行うことができる。
【0087】
また、現在の感度が感度許容範囲内であるか否かを判別し、感度許容範囲外である(感度異常)と判別したときに、パルス間隔Tw1、Tw2で2パルスを感度データ送信用発光素子20から発光させるとともに、火災表示灯16をダブルブリンキングさせている。そこで、作業者が、感度テスター3の表示器33に「00」又は「88」の表示から感度異常を認識できるとともに、火災表示灯16のダブルブリンキングから感度異常を認識できるので、感度異常が実際に発生していることを明確に判断できる。
【0088】
また、感度許容範囲内に入っている感度情報と感度許容範囲内に入っていない異常情報とが単一の感度データ送信用発光素子20を用いて送信されているので、部品点数が削減され、火災感知器1の低コスト化、小型化が図られる。
【0089】
実施の形態2.
図19に基づき、火災感知器の状態情報取得システムは、例えば天井に取り付けられて火災を検知する火災感知器1Aと、火災感知器1Aに電源兼信号線4で接続され、火災感知器1Aに電力を供給するとともに、火災感知器1Aからの火災信号を受信する火災受信機2と、点検者が火災感知器1Aの検出部の状態を確認する際に、火災感知器1Aからの状態信号を受信・表示する受信装置としての感度テスター3Aとから構成されている。
【0090】
火災感知器1Aの構成について説明すると、図20から図22において、起動パルス受信用受光素子27は、感度テスター3Aから送信される起動パルスを受光するためのフォトダイオードである。そして、光学フィルタ(図示せず)が起動パルス受信用受光素子27の前面に配置され、可視光をカットしている。さらに、起動パルス受信用受光素子27の受信角度範囲が、感度データ送信用発光素子20と同様に、広角度となっている。また、マイコン14は、起動パルス受信用受光素子27による起動パルスの受信を周期的に確認し、起動パルスの受信時に、感度データ送信用発光素子20から感度データ(P1+P2)に代えて応答パルスP0を送信した後、状態情報判定・出力手段23および状態情報送信手段24などを実行させるようになっている。
【0091】
なお、火災感知器1Aの他の構成は上述の火災感知器1と同様に構成されている。
【0092】
つぎに、感度テスター3Aの構成について説明すると、図23から図25において、起動パルス送信用発光素子45は、火災感知器1Aに向けて起動パルスを送信する赤外LEDである。この起動パルス送信用発光素子45は、マイコン37からの制御により、起動パルスを発光・送信する。また、起動パルス送信用発光素子45は本体30に穿設された開口30bから離間させて本体30内に配設され、送信角度範囲を狭くして指向性を高めている。
【0093】
起動パルス送信・測定開始スイッチ46は、本体30の表面に設けられた押し釦式のスイッチであり、この起動パルス送信・測定開始スイッチ46の作動により、火災感知器1Aに起動パルスを送信するとともに、火災感知器1Aから送信される感度データの信号の受信を開始する。
【0094】
マイコン37は、感度テスター3A全体の動作を制御する回路チップであり、マイクロプロセッサ(MPU)38およびデータを保持するための記憶手段(メモリ)39を内部に備え、各部に入出力するための複数のポートを有している。
【0095】
そして、マイコン37は、起動パルス送信・測定開始スイッチ46の作動を受けて、起動パルス送信用発光素子45から起動パルスを発光させ、火災感知器1Aに起動パルスを送信する。また、マイコン37は、火災感知器1Aからの送信信号を受信して、火災感知器1Aへの起動パルスの送信を停止するとともに、火災感知器1Aから発信される感度データの信号の受信を開始する。
【0096】
そして、感度データ受信用受光素子34の出力はアンプ40によって増幅され、搬送波復調器41により復調された後、マイコン37に取り込まれる。マイコン37に取り込まれた感度データのパルス間隔Twが、パルス間隔測定部42Aによって測定される。MPU38は、測定されたパルス間隔Twとメモリ39に格納されているデータとを比較して火災感知器1Aの感度の状態を判定し、判定結果を表示駆動部43に出力して表示器33に表示させる。
【0097】
なお、感度テスター3Aの他の構成は上述の感度テスター3と同様に構成されている。
【0098】
つぎに、このように構成された火災感知器の動作について、図26から図29に示されるフローチャートおよび図31、図15および図16に示されるタイムチャートに基づいて説明する。なお、以降および各図において、ステップ101、ステップ102・・・を便宜上S101、S102・・・と示している。
【0099】
まず、火災感知器1A全体の動作を制御するマイコン14の動作について、図26に示されるフローチャートに基づいて説明する。
【0100】
電源が火災感知器1Aに投入され、動作をスタートする(S101)。そして、イニシャル処理(S102)を行った後、マイコン14を所定周期で起動させるタイマー回路21が動作を開始する。このタイマー回路21は3.5秒毎にタイムアップし(S103)、マイコン14に起動出力を出力する。これにより、マイコン14が、図31の(a)に示されるように、3.5秒周期でスリープ状態からラン状態となる。
【0101】
ついで、マイコン14が起動すると、計数C1を1インクリメントする(S104)。そして、計数C1が3であるか否かを判定する(S105)。
【0102】
S105において、C1≠3であれば、S106に移行して火災判別ルーチンを実行した後、S109に移行してブリンキングルーチンを実行する。また、S105において、C1=3であれば、C1を0に戻し(S107)、S108に移行して感度測定ルーチンを実行した後、S109に移行してブリンキングルーチンを実行する。このS104およびS105における計数動作は、3回に1回、火災判別ルーチンに代えて感度測定ルーチンを実行させるものである。
【0103】
そして、S109のブリンキングルーチンが終了すれば、初期に戻って、タイムアップ(S103)を待つ。この時、マイコン14はスリープ状態であり、ステップとして示されていないが、ブリンキングルーチンの処理後に、マイコン14は自動的にラン状態からスリープ状態に入る。
【0104】
つぎに、火災判別ルーチンの処理について、図27に基づいて説明する。
【0105】
火災判別ルーチンでは、マイコン14は、まずアンプ13を起動させる(S111)。このアンプ13の起動時、アンプ13の立ち上がり時間があるので、それに合わせて、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信しているか否かを判別する(S112)。S112において、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信していると判別されると、S113に移行して起動フラグF3をオンする。ついで、S114に移行して感度データ送信用発光素子20から応答パルスP0を送信した後、受光出力を取り込むことなくS109に移行してブリンキングルーチンが実行される。
【0106】
ここで、S114の後にすぐS109へ移行するのは、応答パルスP0の発光によるわずかな電源電圧変動の影響を受けることが考えられ、正確なA/D値取り込みが確保できないからである。
【0107】
また、S112において、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信していないと判別されると、S115に移行する。そして、S115において、マイコン14は、煙検出用発光素子11を発光させ、アンプ13で増幅された煙検出用受光素子12の受光出力をA/D変換して取り込む。
【0108】
ついで、マイコン14は、取り込んだA/D値とEEPROM15に格納されている断線判別レベル(D1)とを比較し、煙検出用発光素子11または煙検出用受光素子12の断線などの異常を判別する(S116)。S116において、断線(取り込んだA/D値≦D1)と判別されると、S118に移行して断線フラグF1をオンする。また、断線でない(取り込んだA/D値>D1)と判別されると、S117に移行して断線フラグF1をオフとする。
【0109】
続いて、マイコン14は、A/D値をEEPROM15に格納されている火災判別レべル(D4)と比較し、火災が発生したかを判別する(S119)。S119において、火災が発生していない(取り込んだA/D値<D4)と判別されると、S109に移行してブリンキングルーチンが実行される。一方、S119において、火災が発生している(取り込んだA/D値≧D4)と判別されると、S120に移行してスイッチング回路18に火災出力を出力し、その後S121に移行してマイコン14がストップ状態となる。
【0110】
そして、スイッチング回路18は、火災出力を受けてオンして自己保持し、端子19間を低インピーダンス状態に維持する。これにより、端子19に接続されている電源兼信号線4を介して火災受信機2に火災信号が出力される。また、スイッチング回路18がオン状態に自己保持されているので、火災表示灯16が、図31の(c)に示されるように、点灯状態を維持し、火災発生が視覚的に報知される。ここで、マイコン14を火災出力後にストップ状態とすることは、スイッチング回路18がオン状態となると、低インピーダンス状態となり、電源電位が低下してしまい、火災感知器1Aが通常通りに動作できなくなるからである。
【0111】
つぎに、感度測定ルーチンの処理について、図28に基づいて説明する。
【0112】
感度測定ルーチンでは、マイコン14は、まずアンプ13を起動させる(S131)。このアンプ13の起動時、アンプ13の立ち上がり時間があるので、それに合わせて、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信しているか否かを判別する(S132)。S132において、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信していると判別されると、S133に移行して起動フラグF3をオンする。ついで、S134に移行して感度データ送信用発光素子20から応答パルスP0を送信した後、受光出力を取り込むことなくS109に移行してブリンキングルーチンが実行される。
【0113】
また、S132において、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信していないと判別されると、S135に移行する。そして、S135において、マイコン14は、煙検出用発光素子11を発光させ、アンプ13で増幅された煙検出用受光素子12の受光出力をA/D変換して取り込む。この感度測定ルーチンでは、煙が存在していないため、煙検出用受光素子12の出力は低レベルとなる。そこで、低レベルの出力を正確に判別するために、アンプ13のゲインを高く設定し、大きく増幅した受光出力を取り込んでいる。
【0114】
ついで、マイコン14は、メモリに記憶されているA/D値を書き換える。すなわち、メモリに格納されている一番古いデータを最新のデータに更新するフィルター処理を行う。そして、メモリに格納されている6個のデータからA/D値の平均値を算出する(S136)。この算出した平均値を現在の感度としてメモリの所定位置に格納する(S137)。
【0115】
ついで、マイコン14は、メモリに格納されている平均値と、EEPROM15に格納されている許容範囲の上限値および下限値のレベル(D3、D2)とを比較し、現在の感度が許容範囲内であるかを判別する(S138)。S138において、現在の感度が許容範囲外(取り込んだA/D値<D2、あるいはA/D値>D3)であると判別されると、S140に移行して異常フラグF2をオンとする。一方、S138において、現在の感度が許容範囲内(D2≦取り込んだA/D値≦D3)であると判別されると、S139に移行して異常フラグF2をオフとする。その後、S109に移行してブリンキングルーチンが実行される。
【0116】
なお、火災感知器1Aの経年変化は、暗箱内の汚れや回路素子の劣化などにより感度が徐々に変化することにより発生するものである。この感度変化は徐々に変化することから、この感度測定ルーチンでは、1分間の平均値をとることで、一瞬の異常値の影響をなくしている。
【0117】
つぎに、ブリンキングルーチンの処理について、図29に基づいて説明する。
【0118】
ブリンキングルーチンでは、マイコン14は、まず送信フラグF4がオンされているか否かを判別する(S141)。そして、S141において、送信フラグF4がオンされていると判別されると、マイコン14は、メモリに格納されている現在の感度のデータを読み出し(S142)、当該データに対応した発光出力を出力し(S143)、送信フラグF4をオフとして(S144)、S147に移行する。
【0119】
そして、S143においては、マイコン14は、EEPROM15に格納されている感度許容範囲の上限値(D3)から下限値(D2)までに対して、現在の感度のデータがD2とD3との間のいずれの段の感度レベルに属しているかを判断する。そして、例えば現在の感度のデータがD3に一致していれば、図16の(a)に示されるように、1msのパルス間隔Twの発光出力を出力する。また、現在の感度のデータがD2に一致していれば、図16の(b)に示されるように、40msのパルス間隔Twの発光出力を出力する。そして、EEPROM15に格納されている30段の感度レベルに対応するパルス間隔Twから、現在の感度のデータが属する段の感度レベルに対応するパルス間隔Twを選択し、選択されたパルス間隔Twの発光出力を出力する。
【0120】
また、S143において、現在の感度のデータが感度許容範囲より下回っていると、パルス間隔Tw1を選択し、パルス間隔Tw1の発光出力を出力する。また、現在の感度のデータが感度許容範囲を上回っていると、パルス間隔Tw2を選択し、パルス間隔Tw2の発光出力を出力する。
【0121】
この感度のデータに対応した発光出力は、図15に示されるように、特定の周波数fc、例えば38kHzで変調されて、感度データ送信用発光素子20に出力される。これにより、感度データ送信用発光素子20から発光される光が白熱電球や蛍光灯などのノイズ光源から光と区別される。
【0122】
また、S141において、送信フラグF4がオフされていると判別されると、S145に移行して計数C1が0であるかを判別する。S145において、C1≠0であると判別されると、S150に移行する。また、S145において、C1=0であると判別されると、S146に移行して断線フラグF1がオンしているかを判別する。
【0123】
そして、S146において、断線フラグF1がオンしていると判別されると、マイコン14はブリンキング用トランジスタ17の消灯を維持させ、S150に移行する。そして、火災表示灯16は、図31の(d)に示されるように、消灯し、断線不良の発生、あるいは電源オフが視覚的に報知される。
【0124】
また、S146において、断線フラグF1がオフしていると判別されると、S147に移行して異常フラグF2がオンしているかを判別する。
【0125】
そして、S147において、異常フラグF2がオフしていると判別されると、S148に移行し、マイコン14はブリンキング用トランジスタ17に通常のパルス点灯出力を出力した後、S150に移行する。このパルス点灯出力により、ブリンキング用トランジスタ17がパルス的にオンし、火災表示灯16はパルス点灯し、火災感知器1Aが正常に動作していることが視覚的に報知される。この火災表示灯16のパルス点灯は、計数C1が0、フラグF1がオフ、かつ、異常フラグF2がオフの場合に行われ、図31の(b)に示されるように、10.5秒に1回の割合で、周期的にパルス点灯するブリンキング動作となる。
【0126】
また、S147において、異常フラグF2がオンしていると判別されると、S149に移行してブリンキング用トランジスタ17にパルス点灯出力を2回出力した後、S150に移行する。そして、パルス点灯出力がブリンキング用トランジスタ17に2回出力されると、火災表示灯16が、図31の(e)に示されるように、2回続けてパルス点灯するダブルブリンキングを行い、通常のブリンキングと明確に区別でき、火災感知器1Aが感度異常であることが視覚的に報知される。
【0127】
ついで、S150において、起動フラグF3がオンしているか否かを判別する。そして、起動フラグF3がオンしていると判別されると、S151に移行して送信フラグF4をオンし、ついでS152に移行して起動フラグF3をオフとした後、初期に戻って、タイムアップ(S103)を待つ。また、S150において、起動フラグF3がオフしていると判別されると、初期に戻って、タイムアップ(S103)を待つ。
【0128】
これにより、起動パルスを受信した場合(起動フラグF3がオンしている場合)、次のタイムアップ後(3.5秒後)、現在の感度のデータを表すパルス間隔Twの2パルスが感度データ発信用発光素子20から発光される。そして、この感度のデータの送信は、計数C1にかかわらず行われ、同時に、火災表示灯16のパルス点灯が同じタイミングで行われ、感度データが送信されていることが目視確認できる。
【0129】
ここで、S135からS140およびS147からS149が状態情報判定・出力手段23の動作に相当し、S142およびS143が状態情報送信手段24の動作に相当する。
【0130】
つぎに、感度テスター3Aの動作について図30に図17および図32を参照しつつ説明する。なお、図30に示されるフローチャートは、感度テスター3A全体の動作を制御するマイコン37の動作であり、図32は、表示器33の表示状態についての説明図である。
【0131】
感度テスター3Aは、まず電源スイッチ35の長押しにより電源が投入されてスタートする。そこで、マイコン37はイニシャル処理(S161)を行った後、スイッチ操作を監視する。
【0132】
そして、S162において、電源スイッチ35が通常操作されると、モード切替が行われ(S163)、感度測定される火災感知器1が光電式かイオン化式かが選択され、電源兼切換表示灯31が選択されたモードに応じて点灯する。
【0133】
ついで、S164において、起動パルス送信・測定開始スイッチ46がオンされたか否かを判別する。起動パルス送信・測定開始スイッチ46がオンされたと判別されると、S165に移行してタイマーT4がスタートされ、ついでS166に移行して起動パルス送信用発光素子45を発光させ、起動パルスを送信させる。そして、S167に移行して応答パルスP0の有無を判別する。この起動パルス送信・測定開始スイッチ46のオンの時点で、図32に示されるように、表示器33のドットは双方とも点灯動作を開始する。そして、タイマーT4は、10秒に設定されている。そこで、タイマーT4がタイムアップするまで、起動パルスを連続して送信する。そして、応答パルスP0が受信されることなくタイマーT4がタイムアップすると(S168)、図32に示される表示器33のドットの双方点灯を停止し、S186に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する。
【0134】
また、タイマーT4がタイムアップするまでに応答パルスP0が受信されると、図32に示される表示器33のドットの双方点灯を停止し、S169に移行してタイマーT4をクリアし、S170に移行してタイマーT1をスタートさせた後、S171に移行して感度データを示す1回目のパルスP1を待つ。この時、図31に示されるように、表示器33のドットは、双方のうち一方が点灯する交互点灯の動作を開始する。そして、タイマーT1は例えば30秒に設定され、タイマーT1がタイムアップするまで1回目のパルスP1を待つ(S172)。そして、タイマーT1がタイムアップすると、エラーと判断し、図32に示される表示器33のドットの交互点灯を停止し、S186に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する(表示器33は無表示に)。
【0135】
そして、S171において1回目のパルスP1が受信されると、カウンタがスタートされ(S173)、タイマーTlがクリアされる(S174)。ついで、タイマーT2がスタートされ(S175)、感度データを示す2回目のパルスP2を待つ(S176)。この間も、図32に示されるように、表示器33のドットは、双方のうち一方が点灯する交互点灯の動作を継続する。そして、タイマーT2は例えば0.5秒に設定され、タイマーT2がタイムアップするまで2回目のパルスP2を待つ(S177)。そして、タイマーT2がタイムアップすると、エラーと判断し、図32に示される表示器33のドットの交互点灯を停止し、S186に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する(表示器33は無表示に)。
【0136】
そして、S176において2回目のパルスP2が受信されると、カウンタがストップされ(S178)、タイマーT2がクリアされる(S179)。ついで、タイマーT3がスタートされ(S180)、パルスを待つ(S181)。この時、表示器33のドットの表示状態は、図32に示されるように、ドットの交互点灯からドットの一方のみの点灯に移行する。なお、このとき点灯するドットはタイミングとして交互点灯の最終時点で点灯しているドットが継続される。そして、タイマーT3は例えば3.0秒に設定されている。そして、タイマーT3がタイムアップするまでに3回目のパルスが受信されると、ノイズによるエラーと判断し、図32に示される表示器33のドットの一方の点灯を停止し、タイマーT3がクリアされ(S182)、S186に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する(表示器33は無表示に)。つまり、必要のないパルスを検出していることであり、図17の(b)に示されるように、3回目のパルスがノイズパルスPnと認識され、エラー表示されることになる。
【0137】
また、図17の(a)に示されるように、3回目のパルスが受信されることなくタイマーT3がタイムアップする(S183)と、S184に移行し、図32に示される表示器33のドットの一方の点灯を停止する。そこで、マイコン37は、カウンタがスタートしてストップするまでのカウント値から現在の感度を換算し、現在の感度の数値(単位:%/ft)を表示器33に表示する(S185)。また、カウント値から換算された現在の感度が感度許容範囲を下回っていると、「88」を表示器33に表示し、上回っていると、「00」を表示器33に表示する。これにより、点検者が感度の異常を認識できる。このとき、マイコン37は、取得した現在の感度をメモリ39に保持し、表示器33への表示を維持する。
【0138】
このように、感度テスター3Aは、起動パルス送信・測定開始スイッチ46の操作に基づいて火災感知器1Aからの感度データの受信動作を行い、表示器33に受信した現在の感度を表示(S185)し、あるいは、エラー表示灯32にエラー表示するが(S186)、その受信状態について、図32に示すように、表示器33の2つのドットを用い、進行状態が把握できるようになっている。なお、この表示器33の受信状態表示に2つのドットを用いているが、同様の動作を2桁の数字を用いて行っても良く、感度表示との関係からは「−−」や「EE」等の数字に見えない表示であって良い。
【0139】
その後、マイコン37は、イニシャル処理を行った後のスイッチ操作の監視に戻る。そして、起動パルス送信・測定開始スイッチ46の操作があるたびに、上述の動作を繰り返す。なお、起動パルス送信・測定開始スイッチ46の操作時には、表示器33またはエラー表示灯32の表示はクリアされ、メモリ39に格納されている現在の感度もクリアされる。
【0140】
また、タイマーT1、T2、T4がタイムアップしてしまった場合(S168、S172、S177)、或いはタイマーT3がタイムアップする前にパルスが受信された場合(S181)には、応答パルスP0または感度データを示す2つのパルスP1、P2が正常に受信されなかったとし、マイコン37は、エラー表示灯32を点灯し、エラー表示を行う。そのとき、点検者は、起動パルス送信・測定開始スイッチ46を操作して、感度測定を再度実行することになるが、エラーになった原因について、感度テスター3の表示器33の2つのドットで進行状態が把握できるので、ドットの交互点灯まで進んでエラーとなれば、応答パルスP0が受信できていることが分かり、ドットの一方点灯まで進んでエラーとなれば、パルスP1、P2が正常に受信できていることが分かる。
【0141】
したがって、点検者は、ノイズが存在する場合には、周囲のノイズ源を考慮しながら、感度測定を再度実行することができ、また、応答パルスP0やパルスP1、P2が正常に受信できていない場合には、感知器側の不具合の可能性も有るが、まず距離を近付けて、感度測定を再実行することができる。
【0142】
なお、ノイズ源につき、火災感知器1Aの近傍に設置されている照明機器から照明光として赤外光が照射されることがある。この照明機器からの赤外光が感度テスター3に受信されると、タイマーT3がタイムアップする前に3つめのパルス、即ちノイズが受信されたことになる。この場合、エラー表示灯32が点灯し、点検者が視覚的にエラーを認識できる。そこで、点検者は、感度テスター3を火災感知器1に近づけて感度測定を再度実行することができ、ノイズを確実に排除することができる。
【0143】
このように、この実施の形態2によれば、火災感知器1Aの状態情報を受信して表示する感度テスター3Aであって、2桁以上の数値が表示できる、またはそれに加えて2以上のドットを備える表示部としての表示器33を有し、感度テスター3Aは、火災感知器1AからのパルスP1、P2の受信待ちの第1の状態と受信後の第2の状態とを経て、パルスP1、P2に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、第1および第2の状態は、2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされる。
【0144】
さらに、火災感知器1Aへ起動パルスを送信して火災感知器1Aからの応答パルスP0を受信するものであって、起動パルス送信中の第3の状態を加えて、第1および第2の状態を経て前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、第1、第2および第3の状態は、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされる。
【0145】
このことによって、数値が表示される表示器33の点灯状態によって、火災感知器1との通信状態が把握でき、結果的に通信がエラーで終了する場合、どの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。なお、情報を表示する表示器33において状態を表すので、別途異なる表示灯などを設ける必要がなく、記号のような形状を認識する必要がなく、点灯制御で状態を区別することで、簡易な制御となる。
【0146】
また、感度テスター3Aは、火災感知器1Aからの信号受信後に第2の状態としてノイズ検出動作を行うものであって、ノイズ検出のようなエラー検出動作を行う場合を含めて、通信状態が把握でき、エラーの場合にどの状態まで進行したかを点検者が識別できるという効果がある。
【0147】
また、感度テスター3Aは、各々の状態それぞれの点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の連続点灯ならびに前記表示部の2桁以上の数値または2以上のドットを交互に点灯させることによって、簡単な制御で容易に区別することができ、一方または双方の連続点灯および交互に点灯させることを選択することによって、いずれかの点灯による制御中が確認でき、双方の消灯は、すなわち停止と理解できる。
【0148】
さらに、2以上のドットを利用することは、結果表示との違いが明らかであり、点検者の誤った判断につながらない。
【0149】
なお、この実施の形態2によれば、マイコン14が、起動パルス受信用受光素子27の起動パルスの受信の有無を周期的(3.5秒毎)に確認して起動パルスの受信時に状態情報判定・出力手段23および状態情報送信手段24等の動作を実行している。そして、感度テスター3Aが、起動パルス送信用発光素子45から起動パルスを上記周期以上(10秒)の期間、連続的に発生している。そこで、火災感知器1Aは、例えばマイコン14の起動するタイミングで起動パルスの受信の有無を確認でき、起動パルスの受信時に状態情報判定・出力手段23および状態情報送信手段24等の動作を実行できるので、消費電力を低減することができる。
【0150】
また、火災感知器1Aは、起動パルスの受信がある時に、状態情報判定・出力手段23および状態情報送信手段24等の動作の実行に先だって応答パルスP0を送信し、感度テスター3Aは、応答パルスP0を受信すると、起動パルスの送信を停止し、感度データの信号の受信を開始している。そこで、感度テスター3Aによる感度データの受信動作が火災感知器1Aによる感度データの送信動作に同期して行われ、より消費電力を低減することができる。
【0151】
また、感度データ送信用発光素子20および起動パルス受信用受光素子27の送受信角度範囲が広角度範囲に設定され、感度データ受信用受光素子34および起動パルス送信用発光素子45の送受信角度範囲が狭角度範囲に設定されている。そこで、感度テスター3Aの作業位置が限定されず、感度テスター3Aの送受信方向を火災感知器1Aに向けることで、ノイズ成分を拾わずに確実な信号の送受信を行うことができる。
【0152】
また、現在の感度が感度許容範囲内であるか否かを判別し、感度許容範囲外である(感度異常)と判別したときに、パルス間隔Tw1、Tw2で2パルスを感度データ送信用発光素子20から発光させるとともに、火災表示灯16をダブルブリンキングさせている。そこで、点検者が、火災感知器1Aの点検作業時に、感度テスター3Aの表示器33の「00」又は「88」の表示から感度異常を認識できるとともに、火災表示灯16のダブルブリンキングから感度異常を認識できるので、感度異常が実際に発生していることを明確に判断できる。
【0153】
また、感度許容範囲内に入っている感度情報と感度許容範囲内に入っていない異常情報とが単一の感度データ送信用発光素子20を用いて送信されているので、部品点数が削減され、火災感知器1の低コスト化、小型化が図られる。
【0154】
また、現在の感度が感度許容範囲内のいずれの段の感度レベルに入っているかを判断し、現在の感度が入っている段の感度レベルに適合するパルス間隔Twを設定し、設定されたパルス間隔Twで感度データ送信用発光素子20に2パルスを所定のタイミングで発信させるようにしている。そこで、感度データをコード化した伝送データに基づいて発光素子を発光させて感度データを送信する従来技術に比べて、感度データ送信用発光素子20の発光回数が極めて低減され、低消費電力化が図られる。
【0155】
また、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲を密に分割し、感度許容範囲の中央領域を粗に分割して、30段の感度レベルを得ているので、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲の分解能が高くなり、感度許容範囲の上限範囲または下限範囲に到達した時の現在の感度を高精度に検知できる。そこで、現在の感度が感度許容範囲外となる前に、火災感知器1Aの検出部を交換することができ、安定した火災検知を実現できる。
【0156】
また、感度データ送信用発光素子20から感度データを送信するパルスに同期して、火災表示灯16をブリンキングさせているので、点検者が火災感知器1から感度データが送信されていることを目視確認でき、感度データの点検作業が容易となる。
【0157】
また、感度テスター3Aが、所定のタイミングに2つ以上のパルスを受信したときに、又は、所定のタイミング外でパルスを受信したときに、エラー表示灯32にエラー表示するようにしているので、ノイズによる感度データの誤検出を防止できる。そこで、エラー表示32にエラー表示されたら、再度測定をし直すことで、ノイズの影響を排除して、正確な感度データを得ることができる。
【0158】
なお、上記各実施の形態では、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲を密に分割し、感度許容範囲の中央領域を粗に分割して、30段の感度レベルを得るものとして説明しているが、感度許容範囲を均一に30段に分割して感度レベルを得るようにしてもよい。
【0159】
また、上記各実施の形態では、感度レベルの段数は30段に限定されるものではなく、火災感知器1の仕様に基づいて適宜設定されるものである。
【0160】
また、上記各実施の形態では、現在の感度を表すための30段の感度レベルに対応するパルス間隔TwをEEPROM15に予め格納するものとして説明しているが、マイコン14が、現在の感度が30段の感度レベルのいずれの段の感度レベルに対応するかを判別した後、該当する段の感度レベルに対応するパルス間隔Twを演算処理して算出するようにしてもよい。この場合、マイコン14が、EEPROM15に格納されている感度許容範囲の上限値(D3)および下限値(D2)を読み出し、読み出された上限値(D3)および下限値(D2)に基づいて30段の感度レベルを演算処理して算出するようにしてもよい。
【0161】
また、上記各実施の形態では、現在の感度(感度レベル)を2パルスのパルス間隔で表すものとして説明しているが、感度レベルを表すパルスの時間的要素はパルス間隔に限定されるものではなく、例えばパルス幅で表すようにしてもよい。
【0162】
また、上記各実施の形態では、表示器33を用いて感度表示を行い、エラー表示灯32を用いてエラー表示を行うものとしているが、表示器33を用いて感度表示とエラー表示を行うようにしてもよい。
【0163】
また、上記各実施の形態では、火災感知器として煙感知器を用いるものとして説明しているが、火災感知器は煙感知器に限定されるものではなく、例えば熱感知器などを用いてもよい。
【0164】
また、上記各実施の形態では、感度異常を火災表示灯16のダブルブリンキングにより報知するものとしているが、感度異常の報知は火災表示灯16のダブルブリンキングに限定されるものではなく、正常な感度情報の送信時と感度異常の送信時とを区別できればよく、両者のブリンキング回数が異なればよい。
【0165】
また、上記実施の形態では、検出部の状態に応じた状態情報として感度を用いるものとして説明しているが、検出部の状態に応じた状態情報は感度に限定されるものではなく、例えば、自動試験機能を有するときの正常または異常を示す結果、設定されているアドレスやシリアル番号、火災感知器としての種別、動作の履歴などを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】この発明の実施の形態1に係る火災感知器の状態情報取得システムを模式的に示すシステム図。
【図2】図1の火災感知器を示す正面図。
【図3】図1の火災感知器の構成を模式的に示すブロック図。
【図4】図1の火災感知器の回路構成を示すブロック回路図。
【図5】図1の感度テスターを示す正面図。
【図6】図1の感度テスターの構成を模式的に示すブロック図。
【図7】図1の感度テスターの回路構成を示すブロック回路図。
【図8】図1の火災感知器の全体動作を示すフロー図。
【図9】図1の火災感知器における火災判別動作を示すフロー図。
【図10】図1の火災感知器における感度測定動作を示すフロー図。
【図11】図1の火災感知器におけるブリンキング動作を示すフロー図。
【図12】図1の感度テスターの動作を示すフロー図。
【図13】図1の火災感知器における感度とA/D値との関係を示す説明図。
【図14】図1の火災感知器における火災表示灯点灯および感度送信を示す説明図。
【図15】図1の火災感知器における感度送信のためのパルスを示す説明図。
【図16】図1の火災感知器における感度データを示す2つのパルスを示す説明図。
【図17】図1の火災感知器におけるパルスとノイズの関係を示す説明図。
【図18】図1の感度テスターの表示部における状態表示を示す説明図。
【図19】この発明の実施の形態2に係る火災感知器の状態情報取得システムを模式的に示すシステム図。
【図20】図19の火災感知器を示す正面図。
【図21】図19の火災感知器の構成を模式的に示すブロック図。
【図22】図19の火災感知器の回路構成を示すブロック回路図。
【図23】図19の感度テスターを示す正面図。
【図24】図19の感度テスターの構成を模式的に示すブロック図。
【図25】図19の感度テスターの回路構成を示すブロック回路図。
【図26】図19の火災感知器の全体動作を示すフロー図。
【図27】図19の火災感知器における火災判別動作を示すフロー図。
【図28】図19の火災感知器における感度測定動作を示すフロー図。
【図29】図19の火災感知器におけるブリンキング動作を示すフロー図。
【図30】図19の感度テスターの動作を示すフロー図。
【図31】図19の火災感知器における火災表示灯点灯および感度送信を示す説明図。
【図32】図19の感度テスターの表示部における状態表示を示す説明図。
【符号の説明】
【0167】
1、1A 火災感知器
3、3A 感度テスター
33 表示器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災感知器の状態情報を受信して表示する状態表示器であって、2桁以上の数値が表示できる、またはそれに加えて2以上のドットを備える表示部を有し、
前記状態表示器は、前記火災感知器からの信号受信待ちの第1の状態と前記信号受信後の第2の状態とを経て、前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、
前記第1および第2の状態は、前記2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされることを特徴とする火災感知器の状態表示器。
【請求項2】
状態表示器は、火災感知器へ起動信号を送信して該火災感知器からの信号を受信するものであって、前記起動信号送信中の第3の状態を加えて、第1および第2の状態を経て前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、前記第1、第2および第3の状態は、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされる請求項1の火災感知器の状態表示器。
【請求項3】
状態表示器は、火災感知器からの信号受信後にエラー検出動作を行うものであって、第1および第2の状態、またはさらに第3の状態を含め、それぞれの状態を経て前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、前記第1および第2の状態あるいは前記第1、第2および第3の状態は、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされる請求項1または請求項2の火災感知器の状態表示器。
【請求項4】
状態情報は、感度データまたはアドレスである請求項1乃至請求項3の火災感知器の状態表示器。
【請求項5】
第1、第2および第3の状態それぞれの点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の連続点灯ならびに前記表示部の2桁以上の数値または2以上のドットを交互に点灯させることのいずれかを割り当てている請求項1乃至請求項4の火災感知器の状態表示器。
【請求項6】
点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の点滅点灯を含む請求項5の火災感知器の状態表示器。
【請求項1】
火災感知器の状態情報を受信して表示する状態表示器であって、2桁以上の数値が表示できる、またはそれに加えて2以上のドットを備える表示部を有し、
前記状態表示器は、前記火災感知器からの信号受信待ちの第1の状態と前記信号受信後の第2の状態とを経て、前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、
前記第1および第2の状態は、前記2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされることを特徴とする火災感知器の状態表示器。
【請求項2】
状態表示器は、火災感知器へ起動信号を送信して該火災感知器からの信号を受信するものであって、前記起動信号送信中の第3の状態を加えて、第1および第2の状態を経て前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、前記第1、第2および第3の状態は、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされる請求項1の火災感知器の状態表示器。
【請求項3】
状態表示器は、火災感知器からの信号受信後にエラー検出動作を行うものであって、第1および第2の状態、またはさらに第3の状態を含め、それぞれの状態を経て前記信号に基づく状態情報あるいはエラー表示を行うものであって、前記第1および第2の状態あるいは前記第1、第2および第3の状態は、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの点灯制御によって異なる点灯状態とされる請求項1または請求項2の火災感知器の状態表示器。
【請求項4】
状態情報は、感度データまたはアドレスである請求項1乃至請求項3の火災感知器の状態表示器。
【請求項5】
第1、第2および第3の状態それぞれの点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の連続点灯ならびに前記表示部の2桁以上の数値または2以上のドットを交互に点灯させることのいずれかを割り当てている請求項1乃至請求項4の火災感知器の状態表示器。
【請求項6】
点灯制御として、表示部の2桁以上の数値または2以上のドットの一方または双方の点滅点灯を含む請求項5の火災感知器の状態表示器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2006−65545(P2006−65545A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−246398(P2004−246398)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]