説明

灰色化抑制ポリマーを含有する液状の洗浄または清浄剤

本発明は、液状の洗浄または清浄剤における、編織布ウェブ材料を洗浄および/または清浄する際の灰色化を抑制するための、アニオン性ポリマーの使用、および、アクリル酸ホモポリマーを含有する液状の洗浄剤および清浄剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤、水および灰色化抑制ポリマーを含有する液状の洗浄または清浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄または清浄剤の洗浄または清浄力を高めるために、洗浄または清浄剤は1種以上の添加剤を含有することが多い。例えば、細かく分散させた既に放出された汚れが、再び沈着することを防ぐために、洗浄剤は、いわゆる灰色化抑制剤(例えばカルボキシメチルセルロース)を含む。
【0003】
そのため、欧州特許出願公開第054325号には、灰色化抑制剤としてカルボキシメチルセルロースを含有する洗浄剤が記載されている。
【0004】
液状の洗浄または清浄剤中での、カルボキシメチルセルロースの溶解性は低いため、灰色化抑制剤としてカルボキシメチルセルロースを含む液状の洗浄または清浄剤は、それほど市販されていない。別の問題は、洗浄または清浄剤のマトリックス中でカルボキシメチルセルロースの安定な分散体が極めて得られにくく、カルボキシメチルセルロースを含有する洗浄または清浄剤を保管している間に、沈殿および相分離が生じることである。さらに、液状の洗浄または清浄剤にカルボキシメチルセルロースを添加すると、好ましくない、顕著な粘度増加が生じる。
【0005】
これらは全て、粉末化した洗浄剤を使用する場合には、粉末化した洗浄剤にカルボキシメチルセルロースを問題なく導入することができることにつながり、その際、液状の洗浄剤を使用する場合よりも顕著に低い洗浄の灰色化が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第054325号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、灰色化抑制剤を含有する安定な液状の洗浄または清浄剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、編織布を洗浄および/または清浄する際に灰色化を抑制するための、水および界面活性剤を含有する液状の洗浄または清浄剤中における、アニオン性ポリマーの使用によって解決される。
【0009】
驚くべきことに、液状で水性の洗浄または清浄剤中で、アニオン性ポリマーが、灰色化抑制作用を有することが明らかになった。
【0010】
さらに、水、界面活性剤および灰色化抑制性多糖類を含有する液状の洗浄または清浄剤中でアニオン性ポリマーを使用することが、編織布を洗浄および/または清浄する際に、洗浄または清浄剤の灰色化抑制作用の増加をもたらすことが示された。
【発明を実施するための形態】
【0011】
アニオン性ポリマーを、アクリルポリマー、ポリアミノ酸、ポリウロン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアルケンジカルボン酸およびそれらの混合物を含む群から選択することが好ましい。特に好ましいポリマーは、アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸コポリマー、メタクリル酸ホモポリマー、メタクリル酸コポリマー、ポリアスパラギン酸、ポリ−D−ガラクツロン酸、ポリ−D−グルクロン酸、ポリ−L−イズロン酸、アルギン酸、ヒアルロン酸、ビニルスルホン酸ホモポリマー、ビニルスルホン酸コポリマー、マレイン酸ホモポリマー、マレイン酸コポリマー、フマル酸ホモポリマー、フマル酸コポリマーおよびそれらの混合物を含む。これらのアニオン性(コ)ポリマーは、非常に水溶性が高いか、または、沈殿、相分離および/または顕著な粘度増加を生じることなく、水性の液状洗浄または液状清浄剤のマトリックス中に、安定に分散させることができる。
【0012】
アニオン性ポリマーが、灰色化抑制性多糖類を含む洗浄または清浄剤の灰色化抑制作用の増加をもたらす場合、灰色化抑制性多糖類を、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプンのエーテルスルホン酸塩、セルロースのエーテルスルホン酸塩、セルロースの酸性硫酸エステル塩、デンプンの酸性硫酸エステル塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースおよびそれらの混合物を含む群から選択する場合、有利である。灰色化抑制性多糖類カルボキシメチルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムが極めて特に好ましい。
【0013】
これらの好ましい灰色化抑制性多糖類を、アニオン性ポリマーと組み合わせて、特に良好な灰色化抑制作用を洗浄または清浄剤に与えることが可能である。
【0014】
本発明は、さらに、編織布を10〜30℃で洗浄および/または清浄する際に灰色化を抑制するための、水および界面活性剤を含有する液状の洗浄または清浄剤中における、アニオン性ポリマーの使用に関する。
【0015】
さらには、本発明は、編織布を10〜30℃で洗浄および/または清浄する際に、洗浄または清浄剤の灰色化抑制作用を高めるための、水、界面活性剤および灰色化抑制性多糖類を含有する液状の洗浄または清浄剤中における、アニオン性ポリマーの使用に関する。
【0016】
別の態様において、本発明は、
・水、
・界面活性剤、0.1〜60重量%、および
・1200または4500の平均分子量Mwを有するアクリル酸ホモポリマー、0.5〜6重量%
を含む液状の洗浄または清浄剤に関する。
【0017】
灰色化を抑制する作用に関して効果的な、特に安定な液状の洗浄または清浄剤が、1200または4500の平均分子量Mwを有するアクリル酸ホモポリマーを用いることによって得られる。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は、
・水、
・界面活性剤、0.1〜60重量%、
・灰色化抑制性多糖類、0.1〜5重量%、
・キサンタン、0.05〜1重量%、
・硫酸ナトリウム、1〜20重量%、および
・1200または4500の平均分子量Mwを有するアクリル酸ホモポリマー、0.15〜20重量%
を含む液状の洗浄または清浄剤に関する。
【0019】
1200または4500の平均分子量Mwを有するアクリル酸ホモポリマーを添加することにより、格別に高い灰色化抑制作用を有する液状の洗浄または清浄剤が得られる。キサンタンと硫酸ナトリウムを併用するために、液状の洗浄または清浄剤のマトリックスは、界面活性剤が多いミクロ相、および、連続的な、界面活性剤が少ない相を示し、ここで、界面活性剤が多い相は、連続的な、界面活性剤が少ない相中に分散する。この特定の構造のために、灰色化抑制性多糖類、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムが、貯蔵安定な方法で分散することが可能となる。多糖類の灰色化抑制作用は、1200または4500の平均分子量を有するアクリル酸ホモポリマーの存在により、相乗的に、さらに高められる。
【0020】
本発明を、特に実施例を用いて、以下により詳細に記載する。
【0021】
アニオン性ポリマーを、灰色化抑制用の液状の洗浄または清浄剤中に、本発明により導入する。
【0022】
アニオン性ポリマーは、アクリルポリマー、ポリアミノ酸、ポリウロン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアルケンジカルボン酸およびそれらの混合物を含むことが好ましい。
【0023】
本発明に関して、用語「アクリルポリマー」は、モノマーとしてアクリル酸またはメタクリル酸を少なくとも含むホモポリマーまたはコポリマーを意味すると理解される。本発明に関して、称号「ポリアミノ酸」は、このポリマー種の天然のホモポリマーまたはコポリマー(例えばタンパク質)を含まないが、主にα-アミノ酸からなる、合成の重縮合生成物を含む。
【0024】
「ポリウロン酸」は、これらの糖酸のホモポリマーまたはコポリマーを含む。用語「ポリビニルスルホン酸」は、モノマーとしてビニルスルホン酸を含むホモポリマーまたはコポリマーを含む。本発明に関して、用語「ポリアルケンジカルボン酸」は、例えば、モノマーとしてマレイン酸またはフマル酸を有するホモポリマーまたはコポリマーを含む。
【0025】
特に好ましいポリマーは、アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸コポリマー、メタクリル酸ホモポリマー、メタクリル酸コポリマー、ポリアスパラギン酸、ポリ−D−ガラクツロン酸、ポリ−D−グルクロン酸、ポリ−L−イズロン酸、アルギン酸、ヒアルロン酸、ビニルスルホン酸ホモポリマー、ビニルスルホン酸コポリマー、マレイン酸ホモポリマー、マレイン酸コポリマー、フマル酸ホモポリマー、フマル酸コポリマーおよびそれらの混合物を含む。
【0026】
アクリル酸のホモポリマーまたはメタクリル酸のホモポリマーのアルカリ金属塩が、特に好ましく用いられる。それらは、600〜750000の平均分子量Mwを有し得る。しかしながら、1000〜15000、特に好ましくは1000〜8000の平均分子量Mwを有する、両方のモノマーの短鎖ホモポリマーが、その優れた溶解性のために、特に有利である。
【0027】
さらに適当な共重合性ポリカルボキシレートは、特に、アクリル酸とメタクリル酸との共重合性ポリカルボキシレート、および、アクリル酸またはメタクリル酸とマレイン酸との共重合性ポリカルボキシレートである。水溶性を改善するために、ポリマーが、アリルオキシベンゼンスルホン酸およびメタリルスルホン酸などのアリルスルホン酸をモノマーとして含むこともできる。
【0028】
適当なアクリル(コ)ポリマーおよびメタクリル(コ)ポリマーの好ましい例は、ポリアルケニルポリエーテル(特に蔗糖、ペンタエリスリトールまたはプロピレンのアリルエーテル)で架橋されたアクリル酸の高分子量ホモポリマーを含み(「The Cosmetic、Toiletry and Fragrance Association(CTFA)」の「International Dictionary of Cosmetic Ingredients」によるINCI名:Carbomer)、ここで、これらはカルボキシビニルポリマーとも称される。この種のポリアクリル酸は、Polygel(登録商標)およびCarbopol(登録商標)の商品名で市販されている。
【0029】
例えば、以下のアクリル酸コポリマーも適当である:(i)アクリル酸および/またはメタクリル酸のコポリマー(INCI:Acrylates Copolymer)、これは、例えばAculyn(登録商標)、Acusol(登録商標)またはTego(登録商標)Polymerの商品名で市販されている;(ii)架橋高分子量アクリル酸コポリマー、例えば、蔗糖のアリルエーテルまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋した、C10−30アルキルアクリレートとアクリル酸および/またはメタクリル酸とのコポリマー(INCI:Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer)がこれに属し、例えばCarbopol(登録商標)の商品名で市販されている。さらなる適当なポリマーは、Sokalan(登録商標)の種類の(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーである。
【0030】
さらに適当なアニオン性ポリマーは、アクリル酸、エチルアクリレートおよび2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペン−1−イル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸塩のナトリウム塩のコポリマー、4−スチレンスルホン酸およびマレイン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸のコポリマーまたはアクリル酸およびアクリルアミドのコポリマーを含む。
【0031】
本発明に関し、アニオン性ポリマーおよびそれらのモノマーに関連して酸が記載されているが、上記の(コ)ポリマーは、少なくとも部分的に中和された形態で、すなわちアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩の形態で添加される。
【0032】
アニオン性ポリマーを、洗浄または清浄剤の全体に基づいて0.15〜20重量%の量で添加する。アニオン性ポリマーを、洗浄または清浄剤の全体に基づいて、0.5〜6重量%添加することが特に好ましい。
【0033】
アニオン性ポリマーに加えて、洗浄または清浄剤は界面活性剤を含み、ここで、アニオン性、非イオン性、双性イオン性および/または両性界面活性剤を用いることができる。アニオン性および非イオン性界面活性剤の混合物が、産業用途の観点から好ましい。液状の洗浄または清浄剤の合計の界面活性剤含量は、液状の洗浄または清浄剤の全体に基づいて、好ましくは60重量%以下、特に好ましくは45重量%以下である。
【0034】
適当な非イオン性界面活性剤は、アルコキシ化脂肪アルコール、アルコキシ化脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸アミド、アルコキシ化脂肪酸アミド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、アミンオキシド、アルキルポリグルコシドおよびそれらの混合物を含む。
【0035】
好ましい非イオン性界面活性剤は、好ましくは8〜18個の炭素原子、および、アルコール1モルあたり平均して1〜12モルのエチレンオキシド(EO)を含有する、特にアルコキシ化された(有利にはエトキシ化された)第1級アルコールであり、ここで、アルコール基は、直鎖状であるか、または、好ましくは2位でメチル分枝状であってよく、または、直鎖状およびメチル分枝状の基を、例えば通常はオキソアルコール基で存在する混合物の状態で含有してよい。しかしながら、特に、12〜18個の炭素原子を有する天然起源の(例えばココアルコール、パームアルコール、獣脂アルコールまたはオレイルアルコールに由来する)直鎖状アルコール基を有する、アルコール1モルあたり平均して2〜8個のEOを有する、アルコールエトキシレートが好ましい。好ましいエトキシ化アルコールの例は、3EO、4EOまたは7EOを有するC12−14アルコール、7EOを有するC9−11アルコール、3EO、5EO、7EOまたは8EOを有するC13−15アルコール、3EO、5EOまたは7EOを有するC12−18アルコールおよびそれらの混合物、例えば3EOを有するC12−14アルコールと7EOを有するC12−18アルコールの混合物を含む。上記のエトキシ化度は、特定の生成物に対する、全体的な、または、部分的な統計的平均値であり得る。好ましいアルコールエトキシレートは、狭い同族体分布を有する(ナローレンジエトキシレート、NRE)。これらの非イオン性界面活性剤に加えて、12より多くのEOを有する脂肪アルコールを用いることもできる。これらの例は、14EO、25EO、30EOまたは40EOを有する獣脂脂肪アルコールである。また、分子内にEO基およびPO基を共に含む非イオン性界面活性剤が、本発明により使用できる。7EOを有するC16−18脂肪アルコールおよび7EOを有する2−プロピルヘプタノールの混合物などの、(高)分枝状のエトキシ化脂肪アルコールおよび直鎖状のエトキシ化脂肪アルコールの混合物も、さらに適当である。洗浄、清浄、後処理または補助洗浄剤が、非イオン性界面活性剤として、7EOを有するC12−18脂肪アルコールまたは7EOを有するC13−15オキソアルコールを含むことが、特に好ましい。
【0036】
非イオン性界面活性剤の、洗浄または清浄剤中の含量は、それぞれの場合に、洗浄または清浄剤の全体に基づいて、好ましくは3〜40重量%、有利には5〜30重量%、特に7〜20重量%である。
【0037】
非イオン性界面活性剤に加えて、洗浄または清浄剤は、アニオン性界面活性剤を含むこともできる。スルホン酸塩、硫酸塩、石鹸、アルキルホスフェート、アニオン性シリコ−界面活性剤およびそれらの混合物を、アニオン性界面活性剤として用いることが好ましい。
【0038】
スルホン酸塩型の適当な界面活性剤は、有利には、例えば末端二重結合または内部二重結合を有するC12−18モノオレフィンから、気体状の三酸化硫黄でスルホン化し、続いて、スルホン化生成物をアルカリ加水分解または酸加水分解することによって得られるような、C9−13アルキルベンゼンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、すなわちアルケンスルホン酸塩およびヒドロキシアルカンスルホン酸塩およびアルケンジスルホン酸塩およびヒドロキシアルカンジスルホン酸塩の混合物である。C12−18アルカンスルホン酸塩およびα−スルホ脂肪酸のエステル(エステルスルホン酸塩)、例えば水素化ココ−、パームナッツ−または獣脂酸のα−スルホン化メチルエステルが、同様に適当である。
【0039】
好ましいアルキル(アルケニル)硫酸塩は、C12−C18脂肪アルコール(例えばココナツバターアルコール、獣脂アルコール、ラウリル、ミリスチル、セチルまたはステアリルアルコール)から誘導した、または、C10−C20オキソアルコールから誘導した、硫酸半エステルの、および、これらの鎖長の第2級アルコールのこれら半エステルの、アルカリ金属塩(特にナトリウム塩)である。C12−C16アルキル硫酸塩およびC12−C15アルキル硫酸塩ならびにC14−C15アルキル硫酸塩が、洗浄性能の理由のため好ましい。2,3−アルキル硫酸塩は、適当なアニオン性界面活性剤でもある。
【0040】
1〜6モルのエチレンオキシドでエトキシ化した直鎖状または分枝状C7−21アルコールから誘導した、硫酸モノエステルも適当であり、例えば平均して3.5モルのエチレンオキシド(EO)を有する2−メチル分枝状C9−11アルコールまたは1〜4EOを有するC12−18脂肪アルコールである。
【0041】
石鹸は、好ましいアニオン性界面活性剤でもある。例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、(水素化)エルカ酸およびベヘン酸の塩などの、飽和および不飽和の脂肪酸石鹸、特にヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸または獣脂脂肪酸などの天然脂肪酸から得られる石鹸混合物が適当である。
【0042】
石鹸を含む、アニオン性界面活性剤は、そのナトリウム塩、カリウム塩またはマグネシウム塩またはアンモニウム塩の形態で存在することができる。アニオン性界面活性剤は、そのナトリウム塩の形態で存在することが好ましい。アニオン性界面活性剤に対する、さらに好ましい対イオンは、コリン、トリエチルアミンまたはメチルエチルアミンのプロトン化型でもある。
【0043】
洗浄または清浄剤中のアニオン性界面活性剤の含量は、それぞれの場合に、洗浄または清浄剤の全てに基づいて、1〜40重量%、有利には5〜30重量%、極めて好ましくは10〜25重量%である。
【0044】
本発明の1つの態様において、洗浄または清浄剤の灰色化抑制作用を高めるために、安定に分散した灰色化抑制性多糖類を含む液状の洗浄または清浄剤中に、アニオン性ポリマーを導入する。
【0045】
液状の洗浄または清浄剤が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプンのエーテルスルホン酸塩、セルロースのエーテルスルホン酸塩、セルロースの酸性硫酸エステル塩、デンプンの酸性硫酸エステル塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースまたはこれらの灰色化抑制性多糖類の混合物を、灰色化抑制性多糖類として含むことが好ましい。灰色化抑制性多糖類カルボキシメチルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムが、極めて好ましい。
【0046】
灰色化抑制性多糖類の量は、洗浄または清浄剤の総量に基づいて、0.1〜5重量%である。灰色化抑制性多糖類の量は、それぞれの場合において、洗浄または清浄剤の総量に基づいて、好ましくは0.2〜4重量%、極めて好ましくは0.5〜3重量%である。
【0047】
アニオン性ポリマーを液状の洗浄または清浄剤中に導入し、ここで、剤は、主な溶媒として水を含む。さらに、非水性溶媒を、洗浄または清浄剤に添加することができる。適当な非水性溶媒は、所定の濃度範囲で水と混和性である限り、一価または多価アルコール、アルカノールアミンまたはグリコールエーテルを含む。溶媒を、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール、グリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、ジグリコール、プロピルジグリコール、ブチルジグリコール、へキシレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルならびにこれらの溶媒の混合物から選択することが好ましい。非水性溶媒を、洗浄または清浄剤に、0.5〜15重量%、しかしながら、好ましくは12重量%以下の量で、添加することができる。
【0048】
洗浄または清浄剤の適用技術上の特性および/または美的特性をさらに改善するために、洗浄または清浄剤は、アニオン性ポリマー、界面活性剤および任意の灰色化抑制性多糖類に加えて、追加の成分を含むことができる。本発明に関して、洗浄または清浄剤は、ビルダー、漂白剤、漂白触媒、ブリーチアクチベーター、酵素、電解質、非水性溶媒、pH調整剤、香料、香料担体、蛍光剤、染料、ヒドロトロープ、発泡防止剤、シリコーンオイル、防汚ポリマー、追加の灰色化抑制剤、縮み防止剤、しわ防止剤、色移り防止剤、抗菌剤、殺菌剤、防かび剤、酸化防止剤、防腐剤、腐食防止剤、静電気防止剤、苦味剤、アイロンがけ助剤、撥水剤および含浸剤、膨張剤および滑り止め剤、柔軟成分およびUV吸収剤の群から選択される1つまたは複数を、さらに含むことが好ましい。
【実施例】
【0049】
次の表1に、2つの洗浄または清浄剤E1およびE2の組成、ならびに比較製剤V1の組成を示す(全ての量を、組成物に基づく重量%活性成分で示す)。
【表1】

【0050】
洗浄または清浄剤E1およびE2は両方とも、数週間の間、貯蔵安定であった。
【0051】
ポリアクリレートの灰色化抑制作用を明らかにするために、洗浄または清浄剤E2およびV1、ならびに市販の粉末化洗浄剤V2(Naカルボキシメチルセルロース含量:1.4重量%)、市販の液状洗浄剤V3(界面活性剤の合計含量〜33重量%)および別の市販の液状洗浄剤V4(界面活性剤の合計含量〜15重量%)で、洗浄試験を行った。液状洗浄剤V3およびV4は、いずれも、ビルダーとして、灰色化抑制性多糖類およびクエン酸のナトリウム塩を含まない。
【0052】
家庭用洗濯機(Miele W 526)を洗浄試験に用い、3.5kgの試験編織布(WFK 10A または WFK 20A)および標準化された汚れを有する4つのSBL 2004タオル(32g汚れバラスト)を詰めた。6回の連続洗浄を20℃で行い(投与量:E2=76g、V1=76g、V2=80g、V3=81gおよびV4=78g)、その後、洗濯物を干して乾かし、しわ伸ばし機にかけた。ガンツ/グリーサー(Ganz/Grieser)によって、白色度を分光光度的に測定した(表2参照)。
【表2】

【0053】
本発明の洗浄または清浄剤E2で処理した洗濯物は、明らかにより高い白色度を示し、その結果、比較製剤V1、V3およびV4で処理した洗濯物よりもずっと、灰色にならなかった。
【0054】
上記の値は、洗浄または清浄剤E2が、粉末化洗浄剤と同程度に良好な灰色化の抑制を示すことを表す。
【0055】
別の洗浄試験において、洗浄または清浄剤E1が、粉末化洗浄剤V2よりも、明らかにより高い灰色化抑制作用をさらに示すことがわかった。
【0056】
このために、家庭用洗濯機(Miele W 526)に、種々の物質(綿、ポリエステル、ポリアミド、混合編織布等)からなる少し汚れた白い洗濯物3.5kgを詰めた。5回の連続洗浄を40℃で行い(投与量:E1=76gおよびV2=80g)、その後、洗濯物を干して乾かし、しわ伸ばし機にかけ、明るさの値(三刺激値{X、Y、Z}のY値)を分光光度的に測定した。洗浄または清浄剤E1で処理した全ての布についての平均値は83であり、固体の洗浄または清浄剤V2で処理した全ての布についての平均値は80.9であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水および界面活性剤を含有する液状の洗浄または清浄剤における、編織布を洗浄および/または清浄する際に灰色化を抑制するための、アニオン性ポリマーの使用。
【請求項2】
水、界面活性剤および灰色化抑制性多糖類を含有する液状の洗浄または清浄剤における、編織布を洗浄および/または清浄する際に洗浄または清浄剤の灰色化抑制作用を高めるための、アニオン性ポリマーの使用。
【請求項3】
アニオン性ポリマーが、アクリルポリマー、ポリアミノ酸、ポリウロン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアルケンジカルボン酸およびそれらの混合物を含む群から選択される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
アニオン性ポリマーが、アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸コポリマー、メタクリル酸ホモポリマー、メタクリル酸コポリマー、ポリアスパラギン酸、ポリ−D−ガラクツロン酸、ポリ−D−グルクロン酸、ポリ−L−イズロン酸、アルギン酸、ヒアルロン酸、ビニルスルホン酸ホモポリマー、ビニルスルホン酸コポリマー、マレイン酸ホモポリマー、マレイン酸コポリマー、フマル酸ホモポリマー、フマル酸コポリマーおよびそれらの混合物を含む群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
灰色化抑制性多糖類が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプンのエーテルスルホン酸塩、セルロースのエーテルスルホン酸塩、セルロースの酸性硫酸エステル塩、デンプンの酸性硫酸エステル塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースメチル ヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースおよびそれらの混合物を含む群から選択される、請求項2〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
多糖類が、カルボキシメチルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
編織布を10〜30℃の温度で洗浄および/または清浄する、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
・水、
・界面活性剤、0.1〜60重量%、および
・4500の平均分子量Mwを有するアクリル酸ホモポリマー、0.5〜6重量%
を含む、液状の洗浄または清浄剤。
【請求項9】
・水、
・界面活性剤、0.1〜60重量%、および
・1200の平均分子量Mwを有するアクリル酸ホモポリマー、0.5〜6重量%
を含む、液状の洗浄または清浄剤。
【請求項10】
・水、
・界面活性剤、0.1〜60重量%、
・灰色化抑制性多糖類、0.1〜5重量%、
・キサンタン、0.05〜1重量%、
・硫酸ナトリウム、1〜20重量%、および
・4500の平均分子量Mwを有するアクリル酸ホモポリマー、0.15〜20重量%
を含む、液状の洗浄または清浄剤。
【請求項11】
・水、
・界面活性剤、0.1〜60重量%、
・灰色化抑制性多糖類、0.1〜5重量%、
・キサンタン、0.05〜1重量%、
・硫酸ナトリウム、1〜20重量%、および
・1200の平均分子量Mwを有するアクリル酸ホモポリマー、0.15〜20重量%
を含む、液状の洗浄または清浄剤。

【公表番号】特表2012−533638(P2012−533638A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519970(P2012−519970)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059585
【国際公開番号】WO2011/006792
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】