災害伝言登録システム
【課題】 地方自治体の安否情報システム,災害用伝言ダイヤルシステム等の既存のインフラを連携させることにより、被災地外の第三者に対して迅速かつ正確な安否情報の提供を可能にする災害伝言登録システムを提供する。
【解決手段】 災害伝言登録システム100は、地方自治体等により設置されている安否情報システム150から取得した個人安否情報に基づき家族安否情報を生成する安否情報生成・更新手段110と、災害用伝言ダイヤルシステム160への発呼制御を行う伝言登録発信制御手段120と、伝言登録発信制御手段120の指示に応じて災害用伝言ダイヤルシステム160への発呼及び伝言登録を行う伝言登録手段130と、個人安否情報又は家族安否情報に基づき災害用伝言ダイヤルシステム160に登録する伝言メッセージを生成する伝言生成手段140とを備える。
【解決手段】 災害伝言登録システム100は、地方自治体等により設置されている安否情報システム150から取得した個人安否情報に基づき家族安否情報を生成する安否情報生成・更新手段110と、災害用伝言ダイヤルシステム160への発呼制御を行う伝言登録発信制御手段120と、伝言登録発信制御手段120の指示に応じて災害用伝言ダイヤルシステム160への発呼及び伝言登録を行う伝言登録手段130と、個人安否情報又は家族安否情報に基づき災害用伝言ダイヤルシステム160に登録する伝言メッセージを生成する伝言生成手段140とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模災害時等に、被災者の安否情報を提供するシステムに対して、安否情報の生成,登録を行うシステムに関し、特に、既存の災害用伝言ダイヤルシステムを利用して安否情報を提供するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地方自治体、電気,ガス等のライフラインに関連するサービスを提供する企業又はボランティア団体等により、防災支援システムや防災情報ポータルサイトがインターネット上に設置して、地域住民の安全を確保するための計画が増えてきている。特に、地方自治体において防災業務は住民サービスの中でも福祉,教育と並んで重点項目としている場合が多く、eJapan計画,地域イントラ計画の走りを受けて加速しているものだと思われる。
このようなインターネット上の防災支援システム,防災情報ポータルサイトの中には、大規模災害時等における被災者の安否情報を登録,蓄積し、その情報の検索サービスを提供しようとするものが存在する。
このような安否情報確認システムとしては、電話通話やブラウザ等で被災者が自身の安否情報登録を行い、第三者が安否情報の登録されたポータルサイトを閲覧することにより、被災者の安否状況を提供可能とした構成が公知となっている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、大規模地震発生時の安否情報の確認手段としては、NTT各社により1998年3月31日から提供されている災害用伝言ダイヤルシステムとして、被災地内の電話番号をキーにボイスメールとして音声メッセージを蓄えておき、被災者が録音した安否情報等を、その他の地域の親戚や友人等の第三者に対して提供するものが広く知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−342859号公報
【非特許文献1】NTT東日本 災害用伝言ダイヤル [online]、[平成16年 6月16日検索]、インターネット<URL:http://www.ntt-east.co.jp/voiceml/index.html>
【0003】
前記特許文献1に記載のシステムにおいて、例えば、地方自治体の運用するシステムでは、被災者自身による個別の情報登録ではなく、避難場所に設置された登録用端末を利用して、避難済みの住民を一括して登録する運用等が行われている。
このように安否情報システムを地方自治体が管理することで、避難済みの住民に関する安否情報を迅速かつ正確に提供することが可能になるとともに、地方自治体自身が地域内における被災状況を正確に把握できることとなり、行政業務の支援にも役立っている。
また、前記非特許文献1に記載の災害用伝言ダイヤルシステムでは、被災者の電話番号を知る第三者に対し、容易かつ確実に音声メッセージを提供することができ、また、災害時に問合せ先に電話した際に輻輳状態であると災害用伝言ダイヤルシステムの利用を促すアナウンスが流れることもあって被災地外部からの安否確認手段として知名度が高いものとなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1に記載の安否情報システム及び前記非特許文献1に記載の災害用伝言ダイヤルシステムは、それぞれ独立した運用がなされているため、実際の運用上、いくつかの問題が生じていた。
例えば、地方自治体の提供する安否情報システムは、当該地域内ではその存在が知られているものの、地域外ではあまり知られていないのが現状であるため、大規模災害時等においては、地方自治体が被災状況を確認する場合や、地域内の住民が安否情報を確認する場合には利用されるが、地域外の第三者による利用はほとんどされていなかった。
一方、地域外の第三者については、災害用伝言ダイヤルシステムが利用されることとなるが、登録手段が電話に限られるため、安否情報の登録自体が困難な場合があった。特に、大規模災害時においては、携帯電話は輻輳し、また、避難所に臨時に設置された特設電話にも長蛇の列が発生してしまい、多数の被災者が安否情報の登録を行えないことがあった。
また、災害用伝言ダイヤルシステムを利用するほとんどの被災者は、無事に避難した旨の報告を行うだけであるが、特別な連絡が必要な被災者の情報登録が妨げられるという問題があった。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためのものであり、地方自治体の安否情報システム,災害用伝言ダイヤルシステム等の既存のインフラを連携させることにより、被災地外の第三者に対して迅速かつ正確な安否情報の提供を可能にする災害伝言登録システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は、ネットワークを介してアクセス可能に接続された安否情報システムから個人情報及び個人安否情報を取得して更新する安否情報更新手段と、災害用伝言ダイヤルシステムに対する発呼制御を行う伝言発呼制御手段と、伝言発呼制御手段の指示に応じて、前記災害用伝言ダイヤルシステムに対する発呼処理と、伝言登録要求処理と、伝言メッセージ音声信号発信処理とを行う伝言登録手段と、予め定義されたメッセージパタンに従って、前記個人情報及び個人安否情報に基づき個別伝言メッセージを生成するとともに、当該個別伝言メッセージを音声信号に変換する伝言生成手段とを備えることを特徴とする。
また、前記個人情報は、家族グループ識別情報を含むものとし、前記安否情報更新手段は、前記家族グループ識別情報に基づき家族グループの構成員情報を含む家族情報を生成するとともに、前記家族情報及び個人安否情報から家族グループ内の構成員についての避難人数及び不明人数を含む家族安否情報を生成する安否情報生成手段を備え、前記伝言生成手段は、予め定義されたメッセージパタンに従って、前記家族情報及び前記家族安否情報に基づき家族伝言メッセージを生成するとともに、当該家族伝言メッセージを音声信号に変換する手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上の構成により本発明の災害伝言登録システムによれば、地方自治体の安否情報システムで登録された情報に基づき、災害用伝言ダイヤルシステムでの情報提供が可能となる。
従って、被災者にとっては、避難場所に避難すること等により地方自治体の安否情報システムで登録されれば、自らが電話を掛けずに災害用伝言ダイヤルシステムでの安否情報の登録が可能となる。これにより、避難場所における特設電話の順番待ち混雑が緩和され、緊急を要する伝言メッセージの登録が容易なものとなる。
また、被災地域外の家族・親戚・友人等の第三者にとっては、被災者の安否情報が全て災害用伝言ダイヤルシステムに登録されることとなるため、災害用伝言ダイヤルシステムの登録情報を確認するだけで容易に安否情報を確認することが可能となる。
また、地方自治体等の安否情報システム運用者にとっては、従来の安否情報システムの実用運用性が増すことで、その利用を推進させることができ、被災状況の的確な把握から、被災者支援業務、災害復旧業務を効率よく遂行できる。
また、これまでのパソコンで閲覧する安否情報システムを利用できず電話でしか確認手段がなかった確認者が災害用伝言ダイヤルシステムに登録されたメッセージを聞くだけで済むケースを増やしたこと、WEBベースの安否情報システムによる安否確認を促すアナウンスを行ったことで、被災時における自治体への電話問合せ対応の煩雑さが緩和される。また住民サービス向上の観点から、住民への安心の提供が既存インフラ活用により低予算で実現できることとなる。
【0008】
また、個人安否情報に基づき家族安否情報を生成して、災害用伝言ダイヤルシステムに登録することとしたので、メッセージボックスの保有可能件数を圧迫する問題を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態に係る災害伝言登録システムについて、図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る災害伝言登録システムの概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態に係る災害伝言登録システム100は、安否情報生成・更新手段110と、伝言登録発信制御手段120と、伝言登録手段130と、伝言生成手段140とから構成され、地方自治体等により設置されている安否情報システム150に対しネットワークを介してアクセス可能に接続されるとともに、災害用伝言ダイヤルシステム160に対して、伝言登録可能なように構成されている。
安否情報生成・更新手段110は、安否情報システム150に登録された個人情報151及び個人安否情報152を取得して、家族情報及び家族安否情報を生成する処理を行うものであり、各情報格納手段として個人情報格納手段111と個人安否情報格納手段112と家族情報格納手段113と家族安否情報格納手段114とを備える。
伝言登録発信制御手段120は、伝言登録手段130による災害用伝言ダイヤルシステム160への伝言登録発信制御を行うものであり、安否監視登録手段121と、定時間隔登録手段122と、再発呼制御手段123と、発呼制御情報格納手段124とを備える。安否監視登録手段121は、安否情報生成・更新手段110による更新処理が行われたときに、また定時間隔登録手段122は一定時間毎に定期的に、災害用伝言ダイヤルシステム160に対する伝言メッセージの発信制御を行う。再発呼制御手段123は、各登録手段121,122による伝言登録を行った際に通話中であったりメッセージボックスが一杯で登録できなかった場合に、一定時間経過後に再び発呼し直す制御を行う。発呼制御情報格納手段124は、各登録手段121,122により生成された発呼スケジュール情報を格納する。
伝言登録手段130は、伝言登録発信制御手段120の制御に応じて、災害用伝言ダイヤルシステム160への伝言メッセージの登録処理を行うものであり、発呼手段131と、プッシュ信号発信手段132と、信号認識手段133と、音声発信手段134とを備える。
伝言生成手段140は、災害用伝言ダイヤルシステム160に登録するメッセージを生成する処理を行うものであり、メッセージ生成手段141と、音声合成手段142と、電話番号音合成手段143と、音声・信号部品格納手段144とを備える。メッセージ生成手段141は、各情報各格納手段111〜114に格納された情報に基づき、予め定義されたメッセージパタンに応じて伝言メッセージを生成する。音声合成手段142は、音声・信号部品格納手段144に格納された音声部品を用いて、メッセージ生成手段141により生成された伝言メッセージを音声メッセージに変換する。電話番号音合成手段143は、音声・信号部品格納手段144に格納された信号部品を用いて、災害用伝言ダイヤルシステム160において伝言メッセージを再生するときのキーとなる電話番号を示すプッシュ音信号を合成する。
安否情報システム150は、避難所に設置された安否情報登録端末151又は被災者等の所持する安否情報登録端末152からの情報登録を受付け、個人情報格納手段153及び個人安否情報格納手段154に格納する。
災害用伝言ダイヤルシステム160は、災害伝言登録システム100又は電話端末161からの登録要求に応じて伝言メッセージを伝言情報格納手段162に格納するとともに、電話端末163からの再生要求に応じて伝言情報格納手段162に格納された伝言情報を再生する。
以上の構成により、本実施の形態に係る災害伝言登録システム100は、地方自治体の職員等により登録された避難所等における安否情報を安否情報システム150から取得し、当該安否情報に基づく音声メッセージを生成して、災害用伝言システム160に登録する処理を行う。
この場合、災害用伝言ダイヤルシステム160では、保管できる伝言メッセージの上限件数及び1件ごとの保管期間が定められており、この上限件数を超えた場合、登録メッセージが保管期間を超えて削除されるまで、新規の伝言メッセージを登録できないものとなっている。そのため、家族情報として一件のメッセージに集約するものとしている。
【0010】
図2は、安否情報システムから取得した個人情報及び個人安否情報を格納する各情報格納手段111,112の各データ構造を示す図である。
図2(a)に示すように、個人情報格納手段111は、個人ID201,名前202,
フリガナ(姓)204,フリガナ(名)205,家族グループ205,公開フラグ206,電話番号207の各データ項目を有する。個人情報格納手段111に格納される情報は、災害伝言登録システムの準備段階で予め登録しておくものとする。
家族グループ205は、家族のグルーピングを示すIDであり、家族グループが同一IDの場合には同じ家族の一員として扱うことができる。
公開フラグ206は、災害用伝言ダイヤルシステム160に登録する際に、家族安否情報として集約したメッセージを登録するか、あるいは、個別に一個人につき1件の個人安否情報としてメッセージを登録するかを示すものであり、「家族」又は「個別」が利用者により予め選択される。なお、公開フラグが「個別」に設定されている場合であっても、家族の構成員のうち、公開フラグが「家族」に設定されている者が一人でもいる場合には、個別安否情報及び家族安否情報の双方が公開されることとなる。
電話番号207は、災害用伝言ダイヤルシステムにおいて、伝言情報を登録,再生する際にキーとなる情報であり、家族グループ205の代わりに電話番号207による識別を行い、同じ固定電話番号を持つ個人は、同じ家族であると判断させることも可能である。
図2(b)に示すように、個人安否情報格納手段112は、個人ID208,登録時間209,ステータス210,避難先211,怪我212の各データ項目を有する。
個人安否情報格納手段112には、安否情報システム150に対し、被災時に、被災者自身が携帯電話やパソコンの利用者端末から直接安否登録されるか、または、避難場所において地方自治体等が設置した避難者登録システムによってまとめて登録された情報が格納される。
登録時間209は実際にデータが入力された日時を、ステータスは避難できたのか否かを示している。
【0011】
図3は、安否情報生成・更新手段110が生成する家族情報及び家族安否情報を格納する各情報格納手段113,114の各データ構造を示す図である。なお、家族情報及び家族安否情報は、個人情報格納手段111の公開フラグ206が「個別」に設定されている場合であっても生成されるものとする。
家族情報格納手段113は、家族ID301,家族名称302,人数303,構成員304,電話番号305の各データ項目を有する。
個人情報格納手段111に格納される情報は、災害伝言登録システムの準備段階で、個人情報格納手段111に格納された情報に基づき予め生成して登録しておくものとする。
家族名称302は、個人情報格納手段111に格納されたフリガナ(性)204の情報に基づき設定される。
人数303は家族グループを構成する人員の総数を示す。
構成員304には、家族グループを構成する人員の個人IDが設定される。
電話番号305も個人情報からの振り替えによって設定され、電話番号をキーにして西郷用伝言ダイヤルシステム160における伝言情報の再生,登録を行う。
家族安否情報登録手段112は、個人安否家族安否情報は、ID306,避難307,不明308,更新日時309の各データ項目を有する。
家族安否情報は、家族グループを構成する人員の個人安否情報に基づき生成する。
例えば、「2004/06/20 15:00」の時点で、「f001」によって示される家族は、避難済の人員が1名、いまだ避難できていない人員が2名であることがわかる。家族安否情報は、個人安否情報に何らかの変更があった際に随時更新される。
【0012】
図4は、メッセージ生成手段141が伝言メッセージの生成の際に用いるメッセージパタンの一例を示す図である。
メッセージ生成手段141の利用するメッセージパタンとしては、家族集約安否伝言メッセージパタン410と、個別安否伝言メッセージパタン420との2種類が用意されている。
家族集約安否メッセージパタン410は、個人情報格納手段112に格納された公開フラグ206が「家族」となっている被災者について用いるものであり、日時情報411,家族名412,構成人数413,避難人数414,不明人数415,補足メッセージ416の各項目から構成されている。
メッセージ生成手段141は、家族集約安否メッセージパタン410を用いて、各情報格納手段111〜114から取得した情報に基づき、例えば、「6月21日11時00分現在、ヤマダ家3名中、無事避難1名、不明2名。詳細は**市役所ホームページを参照して下さい。」のような伝言メッセージを生成する。
個別安否メッセージパタン420は、個人情報格納手段112に格納された公開フラグ206が「個別」となっている被災者について用いるものであり、日時情報421,氏名412,避難場所413,怪我414の各項目から構成されている。
メッセージ生成手段141は、個別安否メッセージパタン420を用いて、各情報格納手段111〜114から取得した情報に基づき、例えば、「6月21日15時00分現在、スズキエイサク、××小学校避難、軽傷。」のような伝言メッセージを生成する。
【0013】
図5は、発呼制御情報格納手段のデータ構造の一例を示す図である。
発呼制御情報格納手段は124、発呼記録情報テーブル510と、発呼スケジュール情報テーブル520とを備える。
発呼記録情報テーブル510は、電話番号511,単位512,ID513,発呼日時514,発呼状況515,伝言登録日時516の各データ項目を有する。発呼制御情報は、電話番号511,単位512,ID513によって識別される。発呼日時514は、伝言登録手段130が、災害用伝言ダイヤルシステム160に自動発呼した記録日時である。発呼状況515は、自動発呼の結果として、登録できたのか(登録)、通話中などの理由によって掛からなかったのか(通話中)、メッセージボックスが上限件数一杯で登録できない状態であったのか(overflow)のいずれかを示す。伝言登録日時516は、自動発呼の結果、伝言メッセージが登録された場合の記録日時を示す。
発呼スケジュール情報テーブル520は、電話番号521,単位522,ID523,発呼予定日時524の各データ項目を有する。
発呼スケジュール情報は、電話番号521,単位522,ID523によって識別される。現在時刻が発呼予定日時512を超えた発呼スケジュール情報に基づき、伝言メッセージ登録を行うために災害用伝言ダイヤルシステム160に自動発呼する。自動発呼したものについては、発呼スケジュール情報をテーブル上から削除する。
【0014】
図6は、音声・信号部品格納手段143のデータ構造の一例を示す図である。
音声・信号部品格納手段143は、避難場所テーブル601,文字・数字テーブル602,単語テーブル603,プッシュ音信号テーブル604とを備え、各テーブル601〜604は、文字情報に対応する音声又はプッシュ音信号が格納されている。
また、伝言登録手段130による伝言ダイヤル操作時におけるプッシュ音もあらかじめ登録した操作手順にあわせて、このプッシュ信号音テーブル604から取得したプッシュ音を使用する。操作に必要な識別信号についてもテーブルとして保持しておくことが望ましい。
【0015】
以上の構成に基づき、本実施の形態に係る災害伝言登録システム100の行う各処理について説明する。
図7は、災害伝言登録システム100の行う処理全体の流れを示すフローチャートである。
図7(a)に示すように、まず、事前準備として、音声・信号部品の登録を受付け、音声・信号部品格納手段に格納する(ステップ701)。
また、個人情報の登録を受付け、個人情報格納手段に格納する(ステップ702)
とともに、登録された個人情報に基づき家族情報を生成して、家族情報格納手段に格納する(ステップ703)。
以上により準備フェーズが完了する。
図7(b)に示すように、災害発生時には、安否情報生成・更新手段110により、安否情報の取得(ステップ704),家族安否情報の生成(ステップ705)を災害収束まで繰返す(ステップ706)。
一方、それと並行して、伝言登録発信制御手段120及び伝言登録手段130により、伝言登録発呼制御処理(ステップ707),伝言登録処理(ステップ708)を災害収束まで繰返す(ステップ709)。
なお、家族安否情報生成処理(ステップ705),伝言登録発呼制御処理(ステップ707),伝言登録処理(ステップ708)の詳細については後述する。
【0016】
図8は、家族安否情報生成処理(ステップ705)の詳細を示すフローチャートである。
家族安否情報の生成では、安否情報生成・更新手段110が、安否情報システム150から個人安否情報を取得して、個人安否情報格納手段112に格納された情報を更新する(ステップ801)。更新した個人安否情報について、家族IDと同一の家族IDの避難済み人数と、避難先がまだ設定されていない人数とをそれぞれ集計して家族安否情報に設定し(ステップ802,803)、個人安否情報の登録日時を家族安否情報の更新日時に設定する(ステップ804)。以上の設定処理を行った後、後述する伝言登録制御処理における安否監視登録処理を行う(ステップ805)。
【0017】
図9は、伝言登録発呼制御処理(ステップ707)全体の流れを示すフローチャートである。
既存の災害用伝言ダイヤルシステム160では、1つの固定電話のTEL番号に対して登録可能な伝言件数が10件、一つの伝言保存期間が48時間といった制限がある。そのため、以下のタイミングで災害用伝言ダイヤルシステム160に発信するのが望ましいと考えられる。
1.家族集約での登録の場合
(1)家族全員の避難が登録された場合
(2)家族全員の避難が認められないが、災害発生から一定時間(例えば1日)経過した場合
(3)一度目の伝言登録から一定時間(例えば48時間)経過した場合
(4)災害用伝言ダイヤルシステム160のメッセージボックスが一杯だった際、その一定時間後(例えば1時間)
2.個人ごと登録の場合
(1)一回目の安否登録があった場合
(2)一度目の伝言登録から一定時間(例えば48時間)経過した場合
(3)災害用伝言ダイヤルシステム160のメッセージボックスが一杯だった際、その一定時間後(例えば1時間)
以上を考慮して、伝言登録発信制御手段120は、図9に示すように、伝言登録発呼制御処理として、後述する安否監視登録処理(ステップ901)と、定時間隔登録処理(ステップ902)と、再発呼制御処理(ステップ903)との各処理を行う。
【0018】
図10は、伝言登録制御処理における安否監視登録処理(ステップ901)の詳細を示すフローチャートである。
安否監視登録処理では、安否情報生成・更新手段110による安否情報の更新処理が行われたか否かをチェックし(ステップ1001)。安否情報が更新されていなければ処理を行わない。
一方、安否情報の更新されている場合には、更新された安否情報に関連する個人情報の公開フラグをチェックし(ステップ1002)、公開フラグが「家族」であれば、家族安否情報の家族全員が避難済であること確認し(ステップ1003)、現在時刻で発呼スケジュールに追加する(ステップ1004)。公開フラグが「個別」であれば、現在時刻で個人安否情報を発呼スケジュールとして追加する(ステップ1005)。さらに、公開単位が「個別」の者について、家族の構成員中に公開単位を「家族」としている者がいるか否かを判定する(ステップ1006)。その結果、公開単位を「家族」としている者がいる場合には、ステップ1003の判定処理を行い、家族全員が避難済であれば家族安否情報についても発呼スケジュールに追加する。
【0019】
図11は、伝言登録制御処理における定時間隔登録処理(ステップ902)の詳細を示すフローチャートである。
定時間隔登録処理では、災害発生から例えば一日といった予め定めた一定時間が経過した際に(ステップ1101)、公開単位が「家族」となっており、かつ発呼記録のこれまでない家族の家族安否情報を元に、現在時刻で発呼スケジュールに追加する(ステップ1102)。この場合、家族の構成員中に公開単位を「家族」としている者が一人でもいる場合には、公開単位を「個別」としている者についても家族安否情報が発呼スケジュールに追加されることとなる。
一方、発呼記録の伝言登録日時から例えば48時間といった一定時間以上経過しているものについては(ステップ1103)、伝言登録日時から一定時間以上経過している安否情報を現在時刻で発呼スケジュールに追加する(ステップ1104)。
【0020】
図12は、、伝言登録制御処理における再発呼制御処理(ステップ903)の詳細を示すフローチャートである。
再発呼制御処理では、発呼記録の発呼状況が通話中で、発呼スケジュールに未登録のものがないかをチェックする(ステップ1201)。未登録のものがあれば、例えば一時間後といった一定時間後の時刻によるスケジュールを追加する(ステップ1202)。
一方、また、発呼記録の発呼状況がoverflowで、発呼スケジュールに未登録のものがないかをチェックする(ステップ1203)。未登録のものがあれば、例えば一時間後といった一定時間後の時刻によるスケジュールを追加する(ステップ1204)。
【0021】
図13は、伝言登録処理(ステップ708)の詳細を示すフローチャートである。
伝言登録処理では、発呼スケジュールスケジュールされている時刻をもとに、現在時刻を越えたものすべてについて以下ステップ1302〜1313を繰返す(ステップ1301)。
まず、発呼スケジュール情報に基づき、災害用伝言ダイヤルシステム160に発呼する(ステップ1302)。信号認識により通話状態をチェックし、通話可能な状態であれば(ステップ1303)、電話番号をキーに情報登録信号を発信する(ステップ1304)。具体的には録音操作要求を示す「1」のプッシュ音信号発信後、電話番号の数字列+#をプッシュ音信号で送る。
次に、メッセージボックスの空きを録音開始合図音により確認した後(ステップ1306)、後述する伝言メッセージ生成処理を行い(ステップ1307)伝言メッセージを登録した後、通話を切断する(ステップ1308)。発呼記録情報に、発呼状況として登録のフラグと、伝言登録日時として現在日時を設定する(ステップ1309)。
一方、通話が通話中など回線接続が失敗した際には(ステップ1303)、発呼記録情報の発呼状況に通話中を設定し、回線を切断する(ステップ1305)。また、録音開始合図音が認識できなかった場合(ステップ1310)、発呼記録情報の発呼状況に「overflow」を設定し回線を切断する(ステップ1310)。
通話終了後、発呼記録情報に電話番号、単位、IDを設定し(ステップ1311)、発呼記録情報の発呼日時を現在時刻に設定し(ステップ1312)、発呼スケジュールから削除する(ステップ1313)。
【0022】
図14は、伝言メッセージ生成処理(ステップ1307)の詳細を示すフローチャートである。
伝言メッセージ生成処理では、そのスケジュール情報の単位が「家族」である場合(ステップ1401)、発呼スケジュールのIDに基づき、家族安否情報を参照し(ステップ1402)、家族集約安否伝言メッセージパタン410に従って、現在時刻をもとに音声部品から日時情報を合成し(ステップ1403)、家族名を家族情報から取得し音声部品から家族名を合成し(ステップ1404)、人員数を家族情報から取得し音声部品から構成人数を合成し(ステップ1405)、避難人数を家族安否情報から取得し、音声部品から避難人数を合成し(ステップ1406)、不明人数を家族安否情報から取得し、音声部品から不明人数を合成し(ステップ1407)、さらに音声部品から補足メッセージを合成する(ステップ1409)。
一方、スケジュール情報の単位が「個別」である場合(ステップ1401)、発呼スケジュールのIDに基づき、個人安否情報を参照し(ステップ1409)、個別安否伝言メッセージパタン420に従って、現在時刻をもとに音声部品から日時情報を合成し(ステップ1410)、フリガナ(姓)フリガナ(名)を元に音声部品から名前を合成し(ステップ1411)、避難場所を元に音声部品から避難場所を合成し(ステップ1412)、怪我情報を元に、音声部品から怪我情報を合成する(ステップ1413)。
【0023】
以上の各処理により、本実施の形態に係る災害伝言登録システムによれば、地方自治体等が設置する安否情報システム等に登録された個人安否情報と、災害用伝言ダイヤルシステムとを連携させることができ、災害用伝言ダイヤルシステムでの安否情報の提供が可能となる。
従って、被災者にとっては、避難場所に避難すること等により地方自治体の安否情報システムで登録されれば、自らが電話を掛けずに災害用伝言ダイヤルシステムでの安否情報の登録が可能となる。これにより、避難場所における特設電話の順番待ち混雑が緩和され、緊急を要する伝言メッセージの登録が容易なものとなる。
また、被災地域外の家族・親戚・友人等の第三者にとっては、被災者の安否情報が全て災害用伝言ダイヤルシステムに登録されることとなるため、災害用伝言ダイヤルシステムの登録情報を確認するだけで容易に安否情報を確認することが可能となる。
また、地方自治体等の安否情報システム運用者にとっては、従来の安否情報システムの実用運用性が増すことで、その利用を推進させることができ、被災状況の的確な把握から、被災者支援業務、災害復旧業務を効率よく遂行できる。
また、これまでのパソコンで閲覧する安否情報システムを利用できず電話でしか確認手段がなかった確認者が災害用伝言ダイヤルシステムに登録されたメッセージを聞くだけで済むケースを増やしたこと、WEBベースの安否情報システムによる安否確認を促すアナウンスを行ったことで、被災時における自治体への電話問合せ対応の煩雑さが緩和される。また住民サービス向上の観点から、住民への安心の提供が既存インフラ活用により低予算で実現できることとなる。
特に、避難場所から一括投入された避難者情報や個別安否登録がされた個人安否情報から、固定電話番号等の家族識別情報をキーに家族安否情報として集約した形で保持し、この家族安否情報を元に伝言メッセージを生成することとしたので、家族の構成員が複数の避難場所に分かれて避難している場合であっても、家族全体の安否情報を容易に把握することが可能となる。また、災害用伝言ダイヤルシステムのメッセージボックスに登録するメッセージ数を削減することが可能となるため、本来必要な緊急の伝言メッセージを登録するためのメッセージボックス内の件数を確保することが可能となる。
また、公開単位を「家族」,「個別」のいずれかに設定可能としたので、特定の個人について詳細な安否情報が必要な場合にも、適切な安否情報の提供が可能となる。この場合、家族の構成員中に公開単位を「家族」とする者がいる場合には、個別安否情報及び家族安否情報の双方を公開することとしたので、より適切な安否情報の提供が可能となる。
また、安否情報の更新と、定時間隔とで伝言登録を行うこととしたので、一定時間で伝言メッセージが削除されるシステムの場合であっても、常に最新の安否情報を確認することが可能となる。
また、再発呼制御処理として、通話中又はメッセージボックスが一杯で登録できなかった場合に、言って時間経過後に再び発呼し直す制御を行うことにより、確実に伝言メッセージを登録することが可能となる。
【0024】
なお、前記実施の形態に限られるものでは無く、同様の処理が可能であれば、各処理部の構成,処理の順序及び情報格納部のデータ構造等を変更してもよい。
例えば、前記実施の形態では、伝言登録処理において伝言メッセージ音声信号を生成することとしているが、これに限らず、安否情報の更新がされた際に、予め伝言メッセージ音声信号を生成して情報格納手段に格納することとしてもよい。
また、前記実施の形態では、安否情報システムから取得した個人安否情報に基づき家族安否情報を生成することとしているが、安否情報システムから家族安否情報が取得可能な場合には、それを利用することとしてもよい。
また、前記実施の形態では、災害用伝言ダイヤルシステムに対する伝言登録を、災害伝言登録システムからの自動発呼によって、電話回線を通じた連携を実現しているが、IP接続によって直接災害用伝言ダイヤルの持つ伝言情報へ書き込むことによるデータ連携を行うこととしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態に係る災害伝言登録システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】個人情報及び安否情報登録手段のデータ構造の一例を示す図である。
【図3】家族情報及び家族安否情報登録手段のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】伝言メッセージパタンのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】発呼制御情報格納手段のデータ構造の一例を示す図である。
【図6】音声・信号部品格納手段のデータ構造の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る災害伝言登録システムの行う処理全体の流れを示すフローチャートである。
【図8】家族安否情報生成処理手順を示すフローチャートである。
【図9】伝言登録制御処理の概略を示すフローチャートである。
【図10】安否監視登録処理手順を示すフローチャートである。
【図11】定時間隔登録処理手順を示すフローチャートである。
【図12】再発呼制御処理手順を示すフローチャートである。
【図13】伝言登録制御処理手順を示すフローチャートである。
【図14】伝言メッセージ生成処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0026】
100 災害伝言登録システム、110 安否情報生成・更新手段、111 個人情報格納手段、112 個人安否情報格納手段、113 家族情報格納手段、114 家族安否情報格納手段、120 伝言登録発信制御手段、121 安否監視登録手段、122 定時間隔登録処理手段、123 再発呼制御処理手段、130 伝言登録手段、131 発呼手段、132 プッシュ信号発信手段、133 信号認識手段、134 音声発信手段、140 伝言生成手段、141 メッセージ生成手段、142 音声合成手段、143 電話番号音合成手段、144 音声・信号部品格納手段、150 安否情報システム、160 災害用伝言ダイヤルシステム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模災害時等に、被災者の安否情報を提供するシステムに対して、安否情報の生成,登録を行うシステムに関し、特に、既存の災害用伝言ダイヤルシステムを利用して安否情報を提供するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地方自治体、電気,ガス等のライフラインに関連するサービスを提供する企業又はボランティア団体等により、防災支援システムや防災情報ポータルサイトがインターネット上に設置して、地域住民の安全を確保するための計画が増えてきている。特に、地方自治体において防災業務は住民サービスの中でも福祉,教育と並んで重点項目としている場合が多く、eJapan計画,地域イントラ計画の走りを受けて加速しているものだと思われる。
このようなインターネット上の防災支援システム,防災情報ポータルサイトの中には、大規模災害時等における被災者の安否情報を登録,蓄積し、その情報の検索サービスを提供しようとするものが存在する。
このような安否情報確認システムとしては、電話通話やブラウザ等で被災者が自身の安否情報登録を行い、第三者が安否情報の登録されたポータルサイトを閲覧することにより、被災者の安否状況を提供可能とした構成が公知となっている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、大規模地震発生時の安否情報の確認手段としては、NTT各社により1998年3月31日から提供されている災害用伝言ダイヤルシステムとして、被災地内の電話番号をキーにボイスメールとして音声メッセージを蓄えておき、被災者が録音した安否情報等を、その他の地域の親戚や友人等の第三者に対して提供するものが広く知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−342859号公報
【非特許文献1】NTT東日本 災害用伝言ダイヤル [online]、[平成16年 6月16日検索]、インターネット<URL:http://www.ntt-east.co.jp/voiceml/index.html>
【0003】
前記特許文献1に記載のシステムにおいて、例えば、地方自治体の運用するシステムでは、被災者自身による個別の情報登録ではなく、避難場所に設置された登録用端末を利用して、避難済みの住民を一括して登録する運用等が行われている。
このように安否情報システムを地方自治体が管理することで、避難済みの住民に関する安否情報を迅速かつ正確に提供することが可能になるとともに、地方自治体自身が地域内における被災状況を正確に把握できることとなり、行政業務の支援にも役立っている。
また、前記非特許文献1に記載の災害用伝言ダイヤルシステムでは、被災者の電話番号を知る第三者に対し、容易かつ確実に音声メッセージを提供することができ、また、災害時に問合せ先に電話した際に輻輳状態であると災害用伝言ダイヤルシステムの利用を促すアナウンスが流れることもあって被災地外部からの安否確認手段として知名度が高いものとなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1に記載の安否情報システム及び前記非特許文献1に記載の災害用伝言ダイヤルシステムは、それぞれ独立した運用がなされているため、実際の運用上、いくつかの問題が生じていた。
例えば、地方自治体の提供する安否情報システムは、当該地域内ではその存在が知られているものの、地域外ではあまり知られていないのが現状であるため、大規模災害時等においては、地方自治体が被災状況を確認する場合や、地域内の住民が安否情報を確認する場合には利用されるが、地域外の第三者による利用はほとんどされていなかった。
一方、地域外の第三者については、災害用伝言ダイヤルシステムが利用されることとなるが、登録手段が電話に限られるため、安否情報の登録自体が困難な場合があった。特に、大規模災害時においては、携帯電話は輻輳し、また、避難所に臨時に設置された特設電話にも長蛇の列が発生してしまい、多数の被災者が安否情報の登録を行えないことがあった。
また、災害用伝言ダイヤルシステムを利用するほとんどの被災者は、無事に避難した旨の報告を行うだけであるが、特別な連絡が必要な被災者の情報登録が妨げられるという問題があった。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためのものであり、地方自治体の安否情報システム,災害用伝言ダイヤルシステム等の既存のインフラを連携させることにより、被災地外の第三者に対して迅速かつ正確な安否情報の提供を可能にする災害伝言登録システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は、ネットワークを介してアクセス可能に接続された安否情報システムから個人情報及び個人安否情報を取得して更新する安否情報更新手段と、災害用伝言ダイヤルシステムに対する発呼制御を行う伝言発呼制御手段と、伝言発呼制御手段の指示に応じて、前記災害用伝言ダイヤルシステムに対する発呼処理と、伝言登録要求処理と、伝言メッセージ音声信号発信処理とを行う伝言登録手段と、予め定義されたメッセージパタンに従って、前記個人情報及び個人安否情報に基づき個別伝言メッセージを生成するとともに、当該個別伝言メッセージを音声信号に変換する伝言生成手段とを備えることを特徴とする。
また、前記個人情報は、家族グループ識別情報を含むものとし、前記安否情報更新手段は、前記家族グループ識別情報に基づき家族グループの構成員情報を含む家族情報を生成するとともに、前記家族情報及び個人安否情報から家族グループ内の構成員についての避難人数及び不明人数を含む家族安否情報を生成する安否情報生成手段を備え、前記伝言生成手段は、予め定義されたメッセージパタンに従って、前記家族情報及び前記家族安否情報に基づき家族伝言メッセージを生成するとともに、当該家族伝言メッセージを音声信号に変換する手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上の構成により本発明の災害伝言登録システムによれば、地方自治体の安否情報システムで登録された情報に基づき、災害用伝言ダイヤルシステムでの情報提供が可能となる。
従って、被災者にとっては、避難場所に避難すること等により地方自治体の安否情報システムで登録されれば、自らが電話を掛けずに災害用伝言ダイヤルシステムでの安否情報の登録が可能となる。これにより、避難場所における特設電話の順番待ち混雑が緩和され、緊急を要する伝言メッセージの登録が容易なものとなる。
また、被災地域外の家族・親戚・友人等の第三者にとっては、被災者の安否情報が全て災害用伝言ダイヤルシステムに登録されることとなるため、災害用伝言ダイヤルシステムの登録情報を確認するだけで容易に安否情報を確認することが可能となる。
また、地方自治体等の安否情報システム運用者にとっては、従来の安否情報システムの実用運用性が増すことで、その利用を推進させることができ、被災状況の的確な把握から、被災者支援業務、災害復旧業務を効率よく遂行できる。
また、これまでのパソコンで閲覧する安否情報システムを利用できず電話でしか確認手段がなかった確認者が災害用伝言ダイヤルシステムに登録されたメッセージを聞くだけで済むケースを増やしたこと、WEBベースの安否情報システムによる安否確認を促すアナウンスを行ったことで、被災時における自治体への電話問合せ対応の煩雑さが緩和される。また住民サービス向上の観点から、住民への安心の提供が既存インフラ活用により低予算で実現できることとなる。
【0008】
また、個人安否情報に基づき家族安否情報を生成して、災害用伝言ダイヤルシステムに登録することとしたので、メッセージボックスの保有可能件数を圧迫する問題を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態に係る災害伝言登録システムについて、図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る災害伝言登録システムの概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態に係る災害伝言登録システム100は、安否情報生成・更新手段110と、伝言登録発信制御手段120と、伝言登録手段130と、伝言生成手段140とから構成され、地方自治体等により設置されている安否情報システム150に対しネットワークを介してアクセス可能に接続されるとともに、災害用伝言ダイヤルシステム160に対して、伝言登録可能なように構成されている。
安否情報生成・更新手段110は、安否情報システム150に登録された個人情報151及び個人安否情報152を取得して、家族情報及び家族安否情報を生成する処理を行うものであり、各情報格納手段として個人情報格納手段111と個人安否情報格納手段112と家族情報格納手段113と家族安否情報格納手段114とを備える。
伝言登録発信制御手段120は、伝言登録手段130による災害用伝言ダイヤルシステム160への伝言登録発信制御を行うものであり、安否監視登録手段121と、定時間隔登録手段122と、再発呼制御手段123と、発呼制御情報格納手段124とを備える。安否監視登録手段121は、安否情報生成・更新手段110による更新処理が行われたときに、また定時間隔登録手段122は一定時間毎に定期的に、災害用伝言ダイヤルシステム160に対する伝言メッセージの発信制御を行う。再発呼制御手段123は、各登録手段121,122による伝言登録を行った際に通話中であったりメッセージボックスが一杯で登録できなかった場合に、一定時間経過後に再び発呼し直す制御を行う。発呼制御情報格納手段124は、各登録手段121,122により生成された発呼スケジュール情報を格納する。
伝言登録手段130は、伝言登録発信制御手段120の制御に応じて、災害用伝言ダイヤルシステム160への伝言メッセージの登録処理を行うものであり、発呼手段131と、プッシュ信号発信手段132と、信号認識手段133と、音声発信手段134とを備える。
伝言生成手段140は、災害用伝言ダイヤルシステム160に登録するメッセージを生成する処理を行うものであり、メッセージ生成手段141と、音声合成手段142と、電話番号音合成手段143と、音声・信号部品格納手段144とを備える。メッセージ生成手段141は、各情報各格納手段111〜114に格納された情報に基づき、予め定義されたメッセージパタンに応じて伝言メッセージを生成する。音声合成手段142は、音声・信号部品格納手段144に格納された音声部品を用いて、メッセージ生成手段141により生成された伝言メッセージを音声メッセージに変換する。電話番号音合成手段143は、音声・信号部品格納手段144に格納された信号部品を用いて、災害用伝言ダイヤルシステム160において伝言メッセージを再生するときのキーとなる電話番号を示すプッシュ音信号を合成する。
安否情報システム150は、避難所に設置された安否情報登録端末151又は被災者等の所持する安否情報登録端末152からの情報登録を受付け、個人情報格納手段153及び個人安否情報格納手段154に格納する。
災害用伝言ダイヤルシステム160は、災害伝言登録システム100又は電話端末161からの登録要求に応じて伝言メッセージを伝言情報格納手段162に格納するとともに、電話端末163からの再生要求に応じて伝言情報格納手段162に格納された伝言情報を再生する。
以上の構成により、本実施の形態に係る災害伝言登録システム100は、地方自治体の職員等により登録された避難所等における安否情報を安否情報システム150から取得し、当該安否情報に基づく音声メッセージを生成して、災害用伝言システム160に登録する処理を行う。
この場合、災害用伝言ダイヤルシステム160では、保管できる伝言メッセージの上限件数及び1件ごとの保管期間が定められており、この上限件数を超えた場合、登録メッセージが保管期間を超えて削除されるまで、新規の伝言メッセージを登録できないものとなっている。そのため、家族情報として一件のメッセージに集約するものとしている。
【0010】
図2は、安否情報システムから取得した個人情報及び個人安否情報を格納する各情報格納手段111,112の各データ構造を示す図である。
図2(a)に示すように、個人情報格納手段111は、個人ID201,名前202,
フリガナ(姓)204,フリガナ(名)205,家族グループ205,公開フラグ206,電話番号207の各データ項目を有する。個人情報格納手段111に格納される情報は、災害伝言登録システムの準備段階で予め登録しておくものとする。
家族グループ205は、家族のグルーピングを示すIDであり、家族グループが同一IDの場合には同じ家族の一員として扱うことができる。
公開フラグ206は、災害用伝言ダイヤルシステム160に登録する際に、家族安否情報として集約したメッセージを登録するか、あるいは、個別に一個人につき1件の個人安否情報としてメッセージを登録するかを示すものであり、「家族」又は「個別」が利用者により予め選択される。なお、公開フラグが「個別」に設定されている場合であっても、家族の構成員のうち、公開フラグが「家族」に設定されている者が一人でもいる場合には、個別安否情報及び家族安否情報の双方が公開されることとなる。
電話番号207は、災害用伝言ダイヤルシステムにおいて、伝言情報を登録,再生する際にキーとなる情報であり、家族グループ205の代わりに電話番号207による識別を行い、同じ固定電話番号を持つ個人は、同じ家族であると判断させることも可能である。
図2(b)に示すように、個人安否情報格納手段112は、個人ID208,登録時間209,ステータス210,避難先211,怪我212の各データ項目を有する。
個人安否情報格納手段112には、安否情報システム150に対し、被災時に、被災者自身が携帯電話やパソコンの利用者端末から直接安否登録されるか、または、避難場所において地方自治体等が設置した避難者登録システムによってまとめて登録された情報が格納される。
登録時間209は実際にデータが入力された日時を、ステータスは避難できたのか否かを示している。
【0011】
図3は、安否情報生成・更新手段110が生成する家族情報及び家族安否情報を格納する各情報格納手段113,114の各データ構造を示す図である。なお、家族情報及び家族安否情報は、個人情報格納手段111の公開フラグ206が「個別」に設定されている場合であっても生成されるものとする。
家族情報格納手段113は、家族ID301,家族名称302,人数303,構成員304,電話番号305の各データ項目を有する。
個人情報格納手段111に格納される情報は、災害伝言登録システムの準備段階で、個人情報格納手段111に格納された情報に基づき予め生成して登録しておくものとする。
家族名称302は、個人情報格納手段111に格納されたフリガナ(性)204の情報に基づき設定される。
人数303は家族グループを構成する人員の総数を示す。
構成員304には、家族グループを構成する人員の個人IDが設定される。
電話番号305も個人情報からの振り替えによって設定され、電話番号をキーにして西郷用伝言ダイヤルシステム160における伝言情報の再生,登録を行う。
家族安否情報登録手段112は、個人安否家族安否情報は、ID306,避難307,不明308,更新日時309の各データ項目を有する。
家族安否情報は、家族グループを構成する人員の個人安否情報に基づき生成する。
例えば、「2004/06/20 15:00」の時点で、「f001」によって示される家族は、避難済の人員が1名、いまだ避難できていない人員が2名であることがわかる。家族安否情報は、個人安否情報に何らかの変更があった際に随時更新される。
【0012】
図4は、メッセージ生成手段141が伝言メッセージの生成の際に用いるメッセージパタンの一例を示す図である。
メッセージ生成手段141の利用するメッセージパタンとしては、家族集約安否伝言メッセージパタン410と、個別安否伝言メッセージパタン420との2種類が用意されている。
家族集約安否メッセージパタン410は、個人情報格納手段112に格納された公開フラグ206が「家族」となっている被災者について用いるものであり、日時情報411,家族名412,構成人数413,避難人数414,不明人数415,補足メッセージ416の各項目から構成されている。
メッセージ生成手段141は、家族集約安否メッセージパタン410を用いて、各情報格納手段111〜114から取得した情報に基づき、例えば、「6月21日11時00分現在、ヤマダ家3名中、無事避難1名、不明2名。詳細は**市役所ホームページを参照して下さい。」のような伝言メッセージを生成する。
個別安否メッセージパタン420は、個人情報格納手段112に格納された公開フラグ206が「個別」となっている被災者について用いるものであり、日時情報421,氏名412,避難場所413,怪我414の各項目から構成されている。
メッセージ生成手段141は、個別安否メッセージパタン420を用いて、各情報格納手段111〜114から取得した情報に基づき、例えば、「6月21日15時00分現在、スズキエイサク、××小学校避難、軽傷。」のような伝言メッセージを生成する。
【0013】
図5は、発呼制御情報格納手段のデータ構造の一例を示す図である。
発呼制御情報格納手段は124、発呼記録情報テーブル510と、発呼スケジュール情報テーブル520とを備える。
発呼記録情報テーブル510は、電話番号511,単位512,ID513,発呼日時514,発呼状況515,伝言登録日時516の各データ項目を有する。発呼制御情報は、電話番号511,単位512,ID513によって識別される。発呼日時514は、伝言登録手段130が、災害用伝言ダイヤルシステム160に自動発呼した記録日時である。発呼状況515は、自動発呼の結果として、登録できたのか(登録)、通話中などの理由によって掛からなかったのか(通話中)、メッセージボックスが上限件数一杯で登録できない状態であったのか(overflow)のいずれかを示す。伝言登録日時516は、自動発呼の結果、伝言メッセージが登録された場合の記録日時を示す。
発呼スケジュール情報テーブル520は、電話番号521,単位522,ID523,発呼予定日時524の各データ項目を有する。
発呼スケジュール情報は、電話番号521,単位522,ID523によって識別される。現在時刻が発呼予定日時512を超えた発呼スケジュール情報に基づき、伝言メッセージ登録を行うために災害用伝言ダイヤルシステム160に自動発呼する。自動発呼したものについては、発呼スケジュール情報をテーブル上から削除する。
【0014】
図6は、音声・信号部品格納手段143のデータ構造の一例を示す図である。
音声・信号部品格納手段143は、避難場所テーブル601,文字・数字テーブル602,単語テーブル603,プッシュ音信号テーブル604とを備え、各テーブル601〜604は、文字情報に対応する音声又はプッシュ音信号が格納されている。
また、伝言登録手段130による伝言ダイヤル操作時におけるプッシュ音もあらかじめ登録した操作手順にあわせて、このプッシュ信号音テーブル604から取得したプッシュ音を使用する。操作に必要な識別信号についてもテーブルとして保持しておくことが望ましい。
【0015】
以上の構成に基づき、本実施の形態に係る災害伝言登録システム100の行う各処理について説明する。
図7は、災害伝言登録システム100の行う処理全体の流れを示すフローチャートである。
図7(a)に示すように、まず、事前準備として、音声・信号部品の登録を受付け、音声・信号部品格納手段に格納する(ステップ701)。
また、個人情報の登録を受付け、個人情報格納手段に格納する(ステップ702)
とともに、登録された個人情報に基づき家族情報を生成して、家族情報格納手段に格納する(ステップ703)。
以上により準備フェーズが完了する。
図7(b)に示すように、災害発生時には、安否情報生成・更新手段110により、安否情報の取得(ステップ704),家族安否情報の生成(ステップ705)を災害収束まで繰返す(ステップ706)。
一方、それと並行して、伝言登録発信制御手段120及び伝言登録手段130により、伝言登録発呼制御処理(ステップ707),伝言登録処理(ステップ708)を災害収束まで繰返す(ステップ709)。
なお、家族安否情報生成処理(ステップ705),伝言登録発呼制御処理(ステップ707),伝言登録処理(ステップ708)の詳細については後述する。
【0016】
図8は、家族安否情報生成処理(ステップ705)の詳細を示すフローチャートである。
家族安否情報の生成では、安否情報生成・更新手段110が、安否情報システム150から個人安否情報を取得して、個人安否情報格納手段112に格納された情報を更新する(ステップ801)。更新した個人安否情報について、家族IDと同一の家族IDの避難済み人数と、避難先がまだ設定されていない人数とをそれぞれ集計して家族安否情報に設定し(ステップ802,803)、個人安否情報の登録日時を家族安否情報の更新日時に設定する(ステップ804)。以上の設定処理を行った後、後述する伝言登録制御処理における安否監視登録処理を行う(ステップ805)。
【0017】
図9は、伝言登録発呼制御処理(ステップ707)全体の流れを示すフローチャートである。
既存の災害用伝言ダイヤルシステム160では、1つの固定電話のTEL番号に対して登録可能な伝言件数が10件、一つの伝言保存期間が48時間といった制限がある。そのため、以下のタイミングで災害用伝言ダイヤルシステム160に発信するのが望ましいと考えられる。
1.家族集約での登録の場合
(1)家族全員の避難が登録された場合
(2)家族全員の避難が認められないが、災害発生から一定時間(例えば1日)経過した場合
(3)一度目の伝言登録から一定時間(例えば48時間)経過した場合
(4)災害用伝言ダイヤルシステム160のメッセージボックスが一杯だった際、その一定時間後(例えば1時間)
2.個人ごと登録の場合
(1)一回目の安否登録があった場合
(2)一度目の伝言登録から一定時間(例えば48時間)経過した場合
(3)災害用伝言ダイヤルシステム160のメッセージボックスが一杯だった際、その一定時間後(例えば1時間)
以上を考慮して、伝言登録発信制御手段120は、図9に示すように、伝言登録発呼制御処理として、後述する安否監視登録処理(ステップ901)と、定時間隔登録処理(ステップ902)と、再発呼制御処理(ステップ903)との各処理を行う。
【0018】
図10は、伝言登録制御処理における安否監視登録処理(ステップ901)の詳細を示すフローチャートである。
安否監視登録処理では、安否情報生成・更新手段110による安否情報の更新処理が行われたか否かをチェックし(ステップ1001)。安否情報が更新されていなければ処理を行わない。
一方、安否情報の更新されている場合には、更新された安否情報に関連する個人情報の公開フラグをチェックし(ステップ1002)、公開フラグが「家族」であれば、家族安否情報の家族全員が避難済であること確認し(ステップ1003)、現在時刻で発呼スケジュールに追加する(ステップ1004)。公開フラグが「個別」であれば、現在時刻で個人安否情報を発呼スケジュールとして追加する(ステップ1005)。さらに、公開単位が「個別」の者について、家族の構成員中に公開単位を「家族」としている者がいるか否かを判定する(ステップ1006)。その結果、公開単位を「家族」としている者がいる場合には、ステップ1003の判定処理を行い、家族全員が避難済であれば家族安否情報についても発呼スケジュールに追加する。
【0019】
図11は、伝言登録制御処理における定時間隔登録処理(ステップ902)の詳細を示すフローチャートである。
定時間隔登録処理では、災害発生から例えば一日といった予め定めた一定時間が経過した際に(ステップ1101)、公開単位が「家族」となっており、かつ発呼記録のこれまでない家族の家族安否情報を元に、現在時刻で発呼スケジュールに追加する(ステップ1102)。この場合、家族の構成員中に公開単位を「家族」としている者が一人でもいる場合には、公開単位を「個別」としている者についても家族安否情報が発呼スケジュールに追加されることとなる。
一方、発呼記録の伝言登録日時から例えば48時間といった一定時間以上経過しているものについては(ステップ1103)、伝言登録日時から一定時間以上経過している安否情報を現在時刻で発呼スケジュールに追加する(ステップ1104)。
【0020】
図12は、、伝言登録制御処理における再発呼制御処理(ステップ903)の詳細を示すフローチャートである。
再発呼制御処理では、発呼記録の発呼状況が通話中で、発呼スケジュールに未登録のものがないかをチェックする(ステップ1201)。未登録のものがあれば、例えば一時間後といった一定時間後の時刻によるスケジュールを追加する(ステップ1202)。
一方、また、発呼記録の発呼状況がoverflowで、発呼スケジュールに未登録のものがないかをチェックする(ステップ1203)。未登録のものがあれば、例えば一時間後といった一定時間後の時刻によるスケジュールを追加する(ステップ1204)。
【0021】
図13は、伝言登録処理(ステップ708)の詳細を示すフローチャートである。
伝言登録処理では、発呼スケジュールスケジュールされている時刻をもとに、現在時刻を越えたものすべてについて以下ステップ1302〜1313を繰返す(ステップ1301)。
まず、発呼スケジュール情報に基づき、災害用伝言ダイヤルシステム160に発呼する(ステップ1302)。信号認識により通話状態をチェックし、通話可能な状態であれば(ステップ1303)、電話番号をキーに情報登録信号を発信する(ステップ1304)。具体的には録音操作要求を示す「1」のプッシュ音信号発信後、電話番号の数字列+#をプッシュ音信号で送る。
次に、メッセージボックスの空きを録音開始合図音により確認した後(ステップ1306)、後述する伝言メッセージ生成処理を行い(ステップ1307)伝言メッセージを登録した後、通話を切断する(ステップ1308)。発呼記録情報に、発呼状況として登録のフラグと、伝言登録日時として現在日時を設定する(ステップ1309)。
一方、通話が通話中など回線接続が失敗した際には(ステップ1303)、発呼記録情報の発呼状況に通話中を設定し、回線を切断する(ステップ1305)。また、録音開始合図音が認識できなかった場合(ステップ1310)、発呼記録情報の発呼状況に「overflow」を設定し回線を切断する(ステップ1310)。
通話終了後、発呼記録情報に電話番号、単位、IDを設定し(ステップ1311)、発呼記録情報の発呼日時を現在時刻に設定し(ステップ1312)、発呼スケジュールから削除する(ステップ1313)。
【0022】
図14は、伝言メッセージ生成処理(ステップ1307)の詳細を示すフローチャートである。
伝言メッセージ生成処理では、そのスケジュール情報の単位が「家族」である場合(ステップ1401)、発呼スケジュールのIDに基づき、家族安否情報を参照し(ステップ1402)、家族集約安否伝言メッセージパタン410に従って、現在時刻をもとに音声部品から日時情報を合成し(ステップ1403)、家族名を家族情報から取得し音声部品から家族名を合成し(ステップ1404)、人員数を家族情報から取得し音声部品から構成人数を合成し(ステップ1405)、避難人数を家族安否情報から取得し、音声部品から避難人数を合成し(ステップ1406)、不明人数を家族安否情報から取得し、音声部品から不明人数を合成し(ステップ1407)、さらに音声部品から補足メッセージを合成する(ステップ1409)。
一方、スケジュール情報の単位が「個別」である場合(ステップ1401)、発呼スケジュールのIDに基づき、個人安否情報を参照し(ステップ1409)、個別安否伝言メッセージパタン420に従って、現在時刻をもとに音声部品から日時情報を合成し(ステップ1410)、フリガナ(姓)フリガナ(名)を元に音声部品から名前を合成し(ステップ1411)、避難場所を元に音声部品から避難場所を合成し(ステップ1412)、怪我情報を元に、音声部品から怪我情報を合成する(ステップ1413)。
【0023】
以上の各処理により、本実施の形態に係る災害伝言登録システムによれば、地方自治体等が設置する安否情報システム等に登録された個人安否情報と、災害用伝言ダイヤルシステムとを連携させることができ、災害用伝言ダイヤルシステムでの安否情報の提供が可能となる。
従って、被災者にとっては、避難場所に避難すること等により地方自治体の安否情報システムで登録されれば、自らが電話を掛けずに災害用伝言ダイヤルシステムでの安否情報の登録が可能となる。これにより、避難場所における特設電話の順番待ち混雑が緩和され、緊急を要する伝言メッセージの登録が容易なものとなる。
また、被災地域外の家族・親戚・友人等の第三者にとっては、被災者の安否情報が全て災害用伝言ダイヤルシステムに登録されることとなるため、災害用伝言ダイヤルシステムの登録情報を確認するだけで容易に安否情報を確認することが可能となる。
また、地方自治体等の安否情報システム運用者にとっては、従来の安否情報システムの実用運用性が増すことで、その利用を推進させることができ、被災状況の的確な把握から、被災者支援業務、災害復旧業務を効率よく遂行できる。
また、これまでのパソコンで閲覧する安否情報システムを利用できず電話でしか確認手段がなかった確認者が災害用伝言ダイヤルシステムに登録されたメッセージを聞くだけで済むケースを増やしたこと、WEBベースの安否情報システムによる安否確認を促すアナウンスを行ったことで、被災時における自治体への電話問合せ対応の煩雑さが緩和される。また住民サービス向上の観点から、住民への安心の提供が既存インフラ活用により低予算で実現できることとなる。
特に、避難場所から一括投入された避難者情報や個別安否登録がされた個人安否情報から、固定電話番号等の家族識別情報をキーに家族安否情報として集約した形で保持し、この家族安否情報を元に伝言メッセージを生成することとしたので、家族の構成員が複数の避難場所に分かれて避難している場合であっても、家族全体の安否情報を容易に把握することが可能となる。また、災害用伝言ダイヤルシステムのメッセージボックスに登録するメッセージ数を削減することが可能となるため、本来必要な緊急の伝言メッセージを登録するためのメッセージボックス内の件数を確保することが可能となる。
また、公開単位を「家族」,「個別」のいずれかに設定可能としたので、特定の個人について詳細な安否情報が必要な場合にも、適切な安否情報の提供が可能となる。この場合、家族の構成員中に公開単位を「家族」とする者がいる場合には、個別安否情報及び家族安否情報の双方を公開することとしたので、より適切な安否情報の提供が可能となる。
また、安否情報の更新と、定時間隔とで伝言登録を行うこととしたので、一定時間で伝言メッセージが削除されるシステムの場合であっても、常に最新の安否情報を確認することが可能となる。
また、再発呼制御処理として、通話中又はメッセージボックスが一杯で登録できなかった場合に、言って時間経過後に再び発呼し直す制御を行うことにより、確実に伝言メッセージを登録することが可能となる。
【0024】
なお、前記実施の形態に限られるものでは無く、同様の処理が可能であれば、各処理部の構成,処理の順序及び情報格納部のデータ構造等を変更してもよい。
例えば、前記実施の形態では、伝言登録処理において伝言メッセージ音声信号を生成することとしているが、これに限らず、安否情報の更新がされた際に、予め伝言メッセージ音声信号を生成して情報格納手段に格納することとしてもよい。
また、前記実施の形態では、安否情報システムから取得した個人安否情報に基づき家族安否情報を生成することとしているが、安否情報システムから家族安否情報が取得可能な場合には、それを利用することとしてもよい。
また、前記実施の形態では、災害用伝言ダイヤルシステムに対する伝言登録を、災害伝言登録システムからの自動発呼によって、電話回線を通じた連携を実現しているが、IP接続によって直接災害用伝言ダイヤルの持つ伝言情報へ書き込むことによるデータ連携を行うこととしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態に係る災害伝言登録システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】個人情報及び安否情報登録手段のデータ構造の一例を示す図である。
【図3】家族情報及び家族安否情報登録手段のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】伝言メッセージパタンのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】発呼制御情報格納手段のデータ構造の一例を示す図である。
【図6】音声・信号部品格納手段のデータ構造の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る災害伝言登録システムの行う処理全体の流れを示すフローチャートである。
【図8】家族安否情報生成処理手順を示すフローチャートである。
【図9】伝言登録制御処理の概略を示すフローチャートである。
【図10】安否監視登録処理手順を示すフローチャートである。
【図11】定時間隔登録処理手順を示すフローチャートである。
【図12】再発呼制御処理手順を示すフローチャートである。
【図13】伝言登録制御処理手順を示すフローチャートである。
【図14】伝言メッセージ生成処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0026】
100 災害伝言登録システム、110 安否情報生成・更新手段、111 個人情報格納手段、112 個人安否情報格納手段、113 家族情報格納手段、114 家族安否情報格納手段、120 伝言登録発信制御手段、121 安否監視登録手段、122 定時間隔登録処理手段、123 再発呼制御処理手段、130 伝言登録手段、131 発呼手段、132 プッシュ信号発信手段、133 信号認識手段、134 音声発信手段、140 伝言生成手段、141 メッセージ生成手段、142 音声合成手段、143 電話番号音合成手段、144 音声・信号部品格納手段、150 安否情報システム、160 災害用伝言ダイヤルシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してアクセス可能に接続された安否情報システムから個人情報及び個人安否情報を取得して更新する安否情報更新手段と、災害用伝言ダイヤルシステムに対する発呼制御を行う伝言発呼制御手段と、伝言発呼制御手段の指示に応じて、前記災害用伝言ダイヤルシステムに対する発呼処理と、伝言登録要求処理と、伝言メッセージ音声信号発信処理とを行う伝言登録手段と、予め定義されたメッセージパタンに従って、前記個人情報及び個人安否情報に基づき個別伝言メッセージを生成するとともに、当該個別伝言メッセージを音声信号に変換する伝言生成手段とを備えることを特徴とする災害伝言登録システム。
【請求項2】
前記個人情報は、家族グループ識別情報を含むものとし、
前記安否情報更新手段は、前記家族グループ識別情報に基づき家族グループの構成員情報を含む家族情報を生成するとともに、前記家族情報及び個人安否情報から家族グループ内の構成員についての避難人数及び不明人数を含む家族安否情報を生成する安否情報生成手段を備え、
前記伝言生成手段は、予め定義されたメッセージパタンに従って、前記家族情報及び前記家族安否情報に基づき家族伝言メッセージを生成するとともに、当該家族伝言メッセージを音声信号に変換する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の災害伝言登録システム。
【請求項1】
ネットワークを介してアクセス可能に接続された安否情報システムから個人情報及び個人安否情報を取得して更新する安否情報更新手段と、災害用伝言ダイヤルシステムに対する発呼制御を行う伝言発呼制御手段と、伝言発呼制御手段の指示に応じて、前記災害用伝言ダイヤルシステムに対する発呼処理と、伝言登録要求処理と、伝言メッセージ音声信号発信処理とを行う伝言登録手段と、予め定義されたメッセージパタンに従って、前記個人情報及び個人安否情報に基づき個別伝言メッセージを生成するとともに、当該個別伝言メッセージを音声信号に変換する伝言生成手段とを備えることを特徴とする災害伝言登録システム。
【請求項2】
前記個人情報は、家族グループ識別情報を含むものとし、
前記安否情報更新手段は、前記家族グループ識別情報に基づき家族グループの構成員情報を含む家族情報を生成するとともに、前記家族情報及び個人安否情報から家族グループ内の構成員についての避難人数及び不明人数を含む家族安否情報を生成する安否情報生成手段を備え、
前記伝言生成手段は、予め定義されたメッセージパタンに従って、前記家族情報及び前記家族安否情報に基づき家族伝言メッセージを生成するとともに、当該家族伝言メッセージを音声信号に変換する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の災害伝言登録システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−86767(P2006−86767A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269022(P2004−269022)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】
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