炊飯器および炊飯器の保温制御方法
【課題】保温中の米飯残量を正確に判断し、適切な保温処理を実行する。
【解決手段】炊飯器本体11に収容した炊飯鍋10内の飯米および米飯を加熱手段(誘導加熱コイル19、胴ヒータ21、蓋ヒータ36)で加熱し、制御手段(マイコン72)により炊飯処理を実行し続いて保温処理を実行するとともに、炊飯処理時に炊飯容量を判別する炊飯器において、蓋体23の開閉状態を検出する蓋状態検出手段(揺動部材59、フォトインタラプタ65)と、保温処理時に、蓋体23の開放を検出すると開放時間のカウントを開始し、蓋体23の閉塞を検出するとカウントを停止するカウント手段(マイコン72)と、炊飯容量と開放時間と特定容量取出時間とに基づいて炊飯鍋10内の米飯残量を判断する保温量判断手段(マイコン72)とを設け、予測された米飯残量に応じて加熱手段による保温処理での加熱制御を変更する。
【解決手段】炊飯器本体11に収容した炊飯鍋10内の飯米および米飯を加熱手段(誘導加熱コイル19、胴ヒータ21、蓋ヒータ36)で加熱し、制御手段(マイコン72)により炊飯処理を実行し続いて保温処理を実行するとともに、炊飯処理時に炊飯容量を判別する炊飯器において、蓋体23の開閉状態を検出する蓋状態検出手段(揺動部材59、フォトインタラプタ65)と、保温処理時に、蓋体23の開放を検出すると開放時間のカウントを開始し、蓋体23の閉塞を検出するとカウントを停止するカウント手段(マイコン72)と、炊飯容量と開放時間と特定容量取出時間とに基づいて炊飯鍋10内の米飯残量を判断する保温量判断手段(マイコン72)とを設け、予測された米飯残量に応じて加熱手段による保温処理での加熱制御を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器および炊飯器の保温制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より家庭用の炊飯器は、炊飯器本体内に炊飯鍋を収容し、その上方の開口部を炊飯器本体に回動可能に設けた蓋体にて閉塞している。そして、ユーザが操作パネルの操作により炊飯処理を実行すると、炊飯器本体内に配設された加熱手段(誘導加熱コイル等)によって炊飯鍋を加熱することにより炊飯処理を実行し、この炊飯処理が終了すると続いて保温処理を実行する。
【0003】
しかし、保温処理では、適切な温度で加熱を行わなければ炊飯鍋内の米飯が過剰に乾燥したり、腐敗菌(枯草菌)が繁殖するという問題がある。そのうち、腐敗菌は、保温処理での温調の設定温度を高くすることにより防止できるが、この場合には米飯の乾燥を防ぐことはできない。
【0004】
これに対して、特許文献1では、保温処理時に1回蓋体を開閉することによる米飯の減少量を予測し、蓋体の開閉を検出すると保温処理での加熱制御を変更するようにした炊飯器が提供されている。この炊飯器は、保温処理時に蓋体の開閉を監視する。そして、1回の保温処理での開閉回数と、その保温処理の前の炊飯処理で判別した炊飯容量に基づいて、1回の開閉での減少量を設定する構成としている。
【0005】
しかしながら、蓋体を開放することによって米飯を茶碗によそう量は、ユーザ宅の家族構成で全く違う。即ち、1人で暮らす家庭と複数人で暮らす家庭とでは、1回の米飯減少量は全く違う。しかも、複数人で暮らす家庭の場合、家族全員が揃っている状態と、揃っていない状態とでは、1回の蓋体の開閉による米飯減少量は全く違う。そのため、特許文献1のように、蓋体の開閉回数と炊飯容量から1回の減少量を判断すると、予測米飯残量に誤差が生じ易い。また、この特許文献1の判断方法は、過去複数回の実測データが必要になるため、直ぐに適切な加熱制御を実行できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−195730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、保温中の米飯残量を正確に判断し、適切な保温処理を実行可能な炊飯器およびその保温制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の炊飯器は、炊飯鍋を収容する炊飯器本体と、前記炊飯鍋内の飯米および米飯を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体に開閉可能に取り付けられ前記炊飯鍋を閉塞する蓋体と、前記加熱手段を制御して炊飯処理を実行し続いて保温処理を実行する制御手段と、炊飯処理時に炊飯容量を判別する容量判別手段とを備えた炊飯器において、前記蓋体の開閉状態を検出する蓋状態検出手段と、保温処理時に、前記蓋状態検出手段の信号に基づいて蓋体の開放を検出すると開放時間のカウントを開始し、前記蓋体の閉塞を検出すると開放時間のカウントを停止するカウント手段と、前記容量判別手段によって炊飯処理中に判別した炊飯容量と、この炊飯処理に続いて実行した保温処理中に前記カウント手段でカウントした開放時間と、設定された特定容量取出時間とに基づいて、前記炊飯鍋内の米飯残量を判断する保温量判断手段とを設け、前記制御手段は、前記保温量判断手段により予測された米飯残量に応じて前記加熱手段による保温処理での加熱制御を変更する構成としている。
【0009】
そして、この炊飯器の保温制御方法は、制御手段によって加熱手段を制御することにより炊飯鍋内の飯米を加熱して炊飯処理を実行した後、続いて前記炊飯鍋内の米飯を加熱して保温処理を実行する炊飯器の保温制御方法であって、炊飯処理の実行時に、容量判別手段によって炊飯容量を判別しておき、引き続いて実行する保温処理時に、蓋状態検出手段によって蓋体の開閉を監視し、前記蓋状態検出手段によって蓋体の開放を検出するとカウント手段によって開放時間をカウントするとともに、前記蓋状態検出手段によって蓋体の閉塞を検出するとカウント手段による開放時間のカウントを停止した後、保温量判断手段が、前記容量判別手段によって判別した炊飯容量と、前記カウント手段でカウントした開放時間と、設定された特定容量取出時間とに基づいて、前記炊飯鍋内の米飯残量を判断し、前記制御手段は、前記保温量判断手段により予測された米飯残量に応じて前記加熱手段による加熱制御を変更するものである。
【0010】
ユーザが茶碗に米飯をよそう場合、その量と時間とは略比例する。そして、本発明では、容量判別手段によって判別した炊飯容量と、保温処理中に蓋体が開閉された際の開放時間と、設定された特定容量取出時間とに基づいて、炊飯鍋から取り出された米飯容量を判断し、炊飯鍋内の米飯残量を判断するため、略正確な判断を行うことができる。これにより、保温処理では、判断した米飯残量に基づいて適切な加熱制御を実行できるため、米飯の乾燥や腐敗菌の繁殖を防止できる。即ち、炊飯鍋内の米飯は、例えば満量と少量では同一の温調設定温度で加熱制御しても、実際の飯温は異なるため、残量に応じた加熱制御を実行することにより、菌の繁殖を防止できる。
【0011】
なお、炊き上げた米飯の味のムラをなくし、おいしいごはんを食べられるようにするには、炊き終わった米飯を全体的に攪拌して混ぜ合わせ、米飯間の蒸気を放出させることが好ましく、通常、ユーザは炊飯処理が終了して保温処理に移行すると、米飯の攪拌を行うのが一般的である。
【0012】
そのため、この炊飯器では、前記保温量判断手段は、炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体の開閉は、その開放時間に拘わらず炊飯鍋から米飯が減少したと判断しないことが好ましい。
【0013】
または、炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体の開閉が、前記炊飯鍋内の米飯を攪拌するものか否かを判断する攪拌判断手段を設け、前記保温量判断手段は、前記攪拌判断手段が攪拌であると判断すると、その開放時間に拘わらず炊飯鍋から米飯が減少したと判断せず、前記攪拌判断手段が攪拌でないと判断すると、その開放時間に基づいて米飯残量を判断することが好ましい。
この場合、前記攪拌判断手段は、前記蓋体の開放時間が予め設定した攪拌判断時間を超えたか否かにより、攪拌であるか否かを判断することが好ましい。
【0014】
または、炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体の開閉で、前記蓋体の開放時間が予め設定した第1攪拌判断時間を超えたか否かにより、前記炊飯鍋内の米飯の攪拌が終了したか否かを判断する攪拌判断手段を設け、前記保温量判断手段は、前記蓋体の開放時間が第1攪拌判断時間を超えると、開放時間から第1攪拌判断時間を減算した時間に基づいて米飯残量を判断することが好ましい。
この場合、前記攪拌判断手段は、前記蓋体の開放時間が予め設定した第2攪拌判断時間を超えたか否かにより、攪拌であるか否かを判断し、前記蓋体の開放時間が第2攪拌判断時間未満の場合には、その開放時間に基づいて米飯残量を判断し、前記蓋体の開放時間が第2攪拌判断時間以上第1攪拌判断時間以下の場合には、攪拌のみであると判断し、その開放時間に拘わらず前記炊飯鍋から米飯が減少したと判断しないことが好ましい。
【0015】
なお、攪拌判断手段は、静電容量の変化等によって炊飯器本体に人が触れたことを検出する人体検出センサを設け、この人体検出センサの信号に基づいて、攪拌であるか否かを判断してもよい。
【0016】
また、前記保温量判断手段は、前記蓋体の開閉による1回の開放時間と特定容量取出時間に基づいて米飯の減少量を判断し、この減少量と前記容量判別手段によって判別した炊飯容量から前記炊飯鍋内の米飯残量を判断するものである。このようにすれば、ユーザが炊飯器内の米飯残量を確認することを目的で蓋体を開放した際の開放時間を除外できる。
または、前記保温量判断手段は、前記蓋体の開閉毎の開放時間を積算し、その積算開放時間と特定容量取出時間に基づいて米飯の減少量を判断し、この減少量と前記容量判別手段によって判別した炊飯容量から前記炊飯鍋内の米飯残量を判断するものである。ここで、「積算開放時間」は、個別にカウントした開放時間を加算する構成、および、前回の開放時間をクリアすることなく継続してカウントする構成の両方を含む。このようにすれば、家庭毎で異なる米飯を「よそう」のに必要な時間による米飯残量の誤認を抑制できる。
【0017】
さらに、操作パネルの操作により保温処理が停止されたときまでに、前記カウント手段によりカウントした蓋体の開放時間を積算し、その積算時間と前記容量判別手段による炊飯容量とに基づいて特定容量取出時間を演算および変更する設定時間変更手段を設けることが好ましい。
この場合、前記設定時間変更手段は、保温処理での演算結果が予め設定した同等比較条件に2回以上の予め設定した設定回数一致した場合のみ、特定容量取出時間の設定時間を変更することが好ましい。
このようにすれば、特定容量取出時間、即ち、特定容量の米飯を取り出すために要する蓋体の開放時間を、各家庭で異なる実際の使用状況に応じて確実に設定できる。そのため、米飯残量の誤認を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の炊飯器では、炊飯容量と蓋体の開放時間と特定容量取出時間とに基づいて、炊飯鍋から取り出された米飯容量を判断し、炊飯鍋内の米飯残量を判断するため、略正確な判断を行うことができる。これにより、保温処理では、米飯残量に基づいて適切な加熱制御を実行できるため、米飯の乾燥や腐敗菌の繁殖を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る炊飯器を示す断面図である。
【図2】蓋体の構成を示す平面図である。
【図3】図2の要部断面図である。
【図4】図2の蓋状態検出手段の構成を示す分解斜視図である。
【図5】(A),(B),(C),(D)は揺動部材の作動状態と蓋状態検出手段の検出状態の関係を示す側面図である。
【図6】(A),(B)は蓋体の開放に伴う蓋状態検出手段の作動状態を示す断面図である。
【図7】(A),(B)は移動部材の移動に伴う蓋状態検出手段の作動状態を示す断面図である。
【図8】(A)は炊飯器の構成を示すブロック図、(B)はソレノイドの駆動状態とフォトインタラプタの検出状態との関係によるマイコンの判断を示す図表である。
【図9】(A)は蓋体の開放時間と米飯の減少量の関係を示す図表、(B)は減少量計算の一例を示す図表である。
【図10】炊飯容量および室温と温調設定温度との関係を示し、(A)は高温保温の場合を示す図表、(B)は低温保温の場合を示す図表である。
【図11】マイコンによる炊飯処理を示すフローチャートである。
【図12】マイコンによる保温処理を示すフローチャートである。
【図13】図12の米飯残量判断工程を示すフローチャートである。
【図14】第2実施形態の減少量計算の一例を示す図表である。
【図15】第2実施形態の保温処理を示すフローチャートである。
【図16】図15の特定容量取出時間変更工程を示すフローチャートである。
【図17】第3実施形態の減少量計算の一例を示す図表である。
【図18】(A),(B)は第4実施形態のマイコンの攪拌判断に伴う減少量計算の一例を示す図表である。
【図19】第4実施形態の米飯残量判断工程を示すフローチャートである。
【図20】(A),(B)は第5実施形態のマイコンの攪拌判断に伴う減少量計算の一例を示す図表である。
【図21】蓋体の開放時間と米飯の減少量の関係の変形例を示し、(A)は蓋体開放時間と蓋体開閉に要する時間との関係を示すタイムチャート、(B)は減少量計算を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る圧力炊飯方式の炊飯器を示す。この炊飯器は、電磁誘導加熱される炊飯鍋10を着脱可能に収容する炊飯器本体11と、該炊飯器本体11に回動可能に取り付けた蓋体23とを備えている。この炊飯器は、制御手段であるマイコン72により、予め設定されたプログラムに従って炊飯処理を実行した後、引き続いて第1保温処理を実行する。そして、本実施形態の炊飯器は、第1保温処理中に炊飯鍋10内の米飯残量を判断し、その米飯残量に応じて加熱制御(温調設定温度)を変更する構成としている。
【0022】
炊飯器本体11は、筒形状をなす胴体12と、該胴体12の下端開口を閉塞する底体13と、胴体12の上端開口を覆うように取り付けた肩体14とからなる外装体を備えている。この肩体14は、その略中央に炊飯鍋10を着脱可能に配置するための開口部15を備え、この開口部15の正面側(図1中左側)に、蓋体23の閉塞状態を維持するための孔からなる係合受部16が設けられている。また、肩体14の開口部15には、筒状をなす内胴17と、非導電性材料からなる受け皿状の保護枠18とが配設されている。この保護枠18の下部外周面には、第1加熱手段である誘導加熱コイル19がフェライトコア20を介して配設されている。また、内胴17の外周部には、第2加熱手段である胴ヒータ21が配設されている。さらに、保護枠18には、該保護枠18を貫通して内部の炊飯鍋10を介して飯米および米飯の温度を検出するための第1鍋温度検出手段である炊飯鍋用温度センサ22(サーミスタ)が配設されている。
【0023】
蓋体23は、肩体14の背部に形成されたヒンジ受部に開閉(回動)可能に取り付けられ、炊飯器本体11の上端開口を閉塞するものである。この蓋体23は、炊飯器本体11の外装体と共に外表面材を構成する上板24と、該上板24の底を閉塞する下板29と、該下板29の下面に着脱可能に装着される内蓋46とを備えている。そして、この蓋体23の内部には、炊飯鍋10内と外部とを連通する排気通路が設けられ、この排気通路に炊飯鍋10内を大気圧より高い圧力に昇圧するための圧力投入手段であるリリーフ弁49が設けられている。
【0024】
上板24には、その前部に蓋体23を開放操作するための操作部材25が配設されている。この操作部材25は、外装体の表面に露出されるロック解除操作部26を備え、その内面に、後述するロック部材31をロック解除方向に回転させるための押圧部27が設けられている。この操作部材25は、図示しないキックバネによって上向きに付勢されている。また、上板24の背部には、排気通路の出口を構成する蒸気口ユニット28が配設されている。
【0025】
図1および図2に示すように、下板29は、肩体14の上側の凹状の窪み形状と対応する形状をなす。この下板29の背部には、肩体14のヒンジ受部に軸によって回動可能に軸着されるヒンジ接続部30が設けられている。さらに、下板29の前部にはロック部材31が回動可能に取り付けられている。このロック部材31は、蓋体23を炊飯器本体11に対して閉塞した状態に維持するためのもので、図2および図3に示すように、金属板を屈曲加工することにより形成されている。このロック部材31には、その両側面に下板29に対して軸着するための軸部32が設けられている。また、ロック部材31の下端縁両側には、肩体14の係合受部16に着脱可能に係合し、肩体14の樹脂壁を挟んで炊飯鍋10のフランジ部に係止する一対の係合爪部33がL字形状をなすように設けられている。さらに、ロック部材31には、上端中央に背面(ヒンジ接続部30)側上向きに傾斜して延び、操作部材25の押圧部27が当接する受部34が設けられている。なお、このロック部材31は、図示しない付勢手段であるキックバネによって図1に示す係合位置に付勢されている。
【0026】
また、図1に示すように、下板29の底には、金属製のヒータカバー35を介して第3加熱手段である蓋ヒータ36が配設されるとともに、第2の鍋温度検出手段である蓋体用温度センサ37(図8(A)参照)が配設されている。また、下板29には、内蓋46に配設されたリリーフ弁49を収容し、排気通路の入り口部を構成する第1収容部38が設けられている。さらに、この第1収容部38の横には、内蓋46に配設された調圧弁を収容する第2収容部39が設けられている。
【0027】
そして、下板29には、第1収容部38の正面側にリリーフ弁49の駆動手段である第1ソレノイド40が配設され、第2収容部39の正面側には、調圧弁の駆動手段である第2ソレノイド41が配設されている。これらソレノイド40,41は、2ポジションソレノイドであり、通電の有無により進退するロッドを備えている。また、これらソレノイド40,41は、通電によりロッドが図1中左向きに後退する一方、通電が遮断されることによりスプリングの付勢力で図1中右向きに進出するように構成されている。そして、第1ソレノイド40のロッドの先端には、第1収容部38内に位置するリリーフ弁49の球状部材52を押圧する押圧部材42が配設されている。また、第2ソレノイド41の先端には、調圧弁を下向きに押圧可能な押下部材43が配設されている。
【0028】
押圧部材42には、第1ソレノイド40の駆動力を利用して蓋体23を開放不可能にロックする移動部材44が配設されている。この移動部材44は、図2に示すように矩形状の枠体からなり、第1ソレノイド40に通電されると、ロッドが後退することにより押圧部材42を介してロック部材31の側に移動する一方、第1ソレノイド40に対する通電が遮断されると、ロッドが進出することによりロック部材31から離反するように移動する。この移動部材44におけるロック部材31の側の端部は、ロック部材31の移動領域に進退可能なロック部45を構成する。なお、この移動部材44は、図7(A)に示すように、ロック部材31の係合爪部33が炊飯器本体11の係合受部16に正常な係合代で係合している状態では、ロック部材31の受部34の下部に進入したロック位置まで移動可能である。また、図7(B)に示すように、係合爪部33と係合受部16との係合代が不足し、内鍋の内圧が高まると蓋体23が開放する可能性がある異常係合状態では、ロック部材31の受部34に当接することにより、受部34の下部に進入できないハーフロック位置で停止する(図5(D)参照)。
【0029】
内蓋46は、図1に示すように、金属製の内蓋本体47と蓋パッキン48とを備え、ヒータカバー35の下部に着脱可能に配設されるものである。この内蓋46の内蓋本体47には、下板29の第1収容部38内に配置されるリリーフ弁49と、第2収容部39内に配置される調圧弁(図示せず)とが一体的に配設されている。
【0030】
リリーフ弁49は、台形筒状をなす弁座部材50と、該弁座部材50を覆うカバー51とを備え、その内部に球状部材52を転動可能に配設したものである。この球状部材52は、転動により弁座部材50に形成した通気孔53を閉塞すると、炊飯鍋10内の空気が外部に排気されるのを防止し、炊飯鍋10内を大気圧より高い圧力に加圧可能とする。また、押圧部材42に押圧されて排気通路の閉塞を解除(開放)することにより、炊飯鍋10の内圧を大気圧に戻す(平衡)ものである。なお、球状部材52は、炊飯鍋10内の圧力が1.30atmに昇圧すると、その圧力で通気孔53上から離反するように転動する重量のものを使用している。
【0031】
調圧弁(図示せず)は、スプリングにより下向きに付勢された弁体を備え、該弁体により通気孔を閉塞したものである。この調圧弁は、押下部材43によりスプリングの付勢力が変更されることにより、通気孔を閉塞する力が変更される。これにより、炊飯鍋10内を1.15atmから1.20atmの範囲で加圧可能な圧力を変更可能とするものである。
【0032】
なお、内蓋46を装着した蓋体23は、リリーフ弁49および調圧弁の内部、これらと収容部38,39との隙間から、内蓋本体47とヒータカバー35との隙間、および、蒸気口ユニット28内を経た経路が、炊飯鍋10内と外部とを連通させる排気通路を構成する。
【0033】
本実施形態の蓋体23には、蓋体23の開閉状態を検出する蓋状態検出手段として、揺動部材59を配設し、この揺動部材59の可動位置を非接触式センサであるフォトインタラプタ65によって検出する構成としている。また、本実施形態では、この揺動部材59を揺動可能な状態で配設する保持部54を移動部材44に設けることにより、1個のフォトインタラプタ65で、ロック部材31の係合爪部33と炊飯器本体11の係合受部16との係合状態を更に検出できるように構成している。
【0034】
保持部54は、移動部材44の側部に突設されており、一対の支持壁55A,55Bを備えている。これら支持壁55A,55Bの上部には第1装着孔56が設けられ、これらに別体のピン57を貫通させることにより、揺動部材59を揺動可能に装着する。また、支持壁55A,55Bには、第1装着孔56の上部に揺動部材59の回動を停止するストッパ部58が架設されている。
【0035】
揺動部材59は、ストッパ部58に対して所定間隔をもって下側に位置して延びる棒状の検知部60を備えている。この検知部60の先端には、移動部材44がロック部材31の受部34の下部に進入したロック位置で、フォトインタラプタ65の発光部66と受光部67との対向空間内の検出領域を除く位置に突出する突出部61が設けられている(図5(B)参照)。また、揺動部材59には、下向きに突出する釣合部62が設けられ、この釣合部62の上部に第1装着孔56に対応する第2装着孔63が設けられている。この釣合部62の下端には、別体の錘64が配設され、検知部60が水平方向に延びた状態で釣り合うように構成している。そして、この揺動部材59は、検知部60がストッパ部58に当接した状態で、検知部60がフォトインタラプタ65の対向空間内の検出領域を除く位置に一部が進入した状態を維持するように構成している(図5(C)参照)。
【0036】
フォトインタラプタ65は、揺動部材59の検知部60の近接および離反を非接触状態で検出するもので、発光素子を配設した発光部66と、受光素子を配設した受光部67とを備えている。これら発光部66と受光部67とは、略U字形状をなすガイド枠の対向壁部内に配設されている。このガイド枠は、対向空間内に揺動部材59を移動可能にガイドするものである。そのため、この対向空間は、その中の一部が検出領域を構成する。このフォトインタラプタ65は、検出領域に遮蔽物である検知部60が存在しない状態では、発光素子の光を受光素子が受光可能であり、検出領域に検知部60が進入した状態では、発光素子の光を受光素子が受光できない。そして、検知部60の検出状態を意味する受光状態または非受光状態を、所定の信号としてマイコン72に出力する。
【0037】
このフォトインタラプタ65は検出基板68に実装され、揺動部材59の検知部60と対応する高さに設置されている。ここで、受光部67の実質的な検出部は、対向面に設けた露出孔67aの内部に位置する。そのため、この露出孔67aの軸方向の同一形状領域が、検出領域を構成する。この露出孔67aは、図5(B)に示すように、移動部材44がロック位置にある状態で、揺動部材59の突出部61の上方に位置され、この突出部61では発光部66からの受光路を遮断しないように構成している。また、露出孔67aは、図5(C)に示すように、検知部60がストッパ部58に当接した第2可動位置で、検知部60の下端より下側に位置され、この第2可動位置で検知部60により受光路を遮断しない構成している。即ち、このフォトインタラプタ65は、蓋体23が閉じている状態で、かつ、移動部材44がアンロック位置およびハーフロック位置に移動した状態では、検知部60で受光路を遮断し、移動部材44がロック位置に移動した状態では突出部61が受光路下に位置し、検知部60で受光路を遮断しない位置に設置されている。なお、移動部材44がアンロック位置からハーフロック位置までの移動距離(間隔)をL1、アンロック位置からロック位置までの移動距離をL2とすると、これらはL1<L2である。そのため、その移動距離L1以下の領域が、フォトインタラプタ65の非検出領域となるように設置する。即ち、非検出領域とは、検知部60が受光路を遮断している状態になっているため、フォトインタラプタ65の受光部67が、発光部66の発光素子からの光を受光できない領域を意味する。これにより、移動部材44を介して揺動部材59が距離L1を越えて移動すると、検知部60が非検出領域から逸脱し、その状態を検出できるように構成している。
【0038】
この炊飯器には、肩体14の正面上部に、ユーザが炊飯条件を入力するためのスイッチと、その選択状態や動作状態を表示する液晶表示板とを有する操作パネル69が配設されている。また、図1に示すように、外装体と保護枠18との間には制御基板70が配設されている。この制御基板70には、炊飯鍋10の外部雰囲気の温度を検出するための外部温度検出手段である外部温度センサ71が配設されている。この外部温度センサ71は、塵埃や湿度に対する抗力に優れたサーミスタである。なお、本実施形態の底体13には、制御基板70を配設した正面側に図示しない吸気口が配設され、その更に正面側には吸気用の排気ファンが配設されている。そのため、外部温度センサ71は、外装体内に吸引され、未だ何ら機器を冷却していない外気の温度を検出できるように構成されている。また、制御基板70にはマイコン72が実装され、このマイコン72により予め設定したプログラムに従って制御が実行される。
【0039】
本実施形態では、操作パネル69に配設した炊飯スイッチの操作を検出すると、液晶表示板によって設定された炊飯条件に基づいて、炊飯プログラムに従って、飯米の予熱、昇温(中ぱっぱ)、沸騰維持、2度炊き、および、むらしの各工程からなる炊飯処理を実行した後、引き続いて、炊き上げた米飯を所定温度に保温する第1保温処理を実行する。また、予約を含む炊飯処理および第1保温処理も何ら実行していない待機モードで、操作パネル69の保温スイッチが操作されると、第1保温処理とは異なる第2保温処理を実行する。
【0040】
炊飯処理では、炊飯スイッチの受付直後、および、昇温工程の開始時に、第1ソレノイド40の駆動を伴って、フォトインタラプタ65からの信号に基づいて、蓋体23の開閉状態を検出(判断)した後、炊飯器本体11の係合受部16およびロック部材31の係合爪部33の係合状態を検出(判断)する蓋状態検査工程を実行する。そして、蓋体23が閉塞状態であると判断し、かつ、係合受部16および係合爪部33が正常係合状態であると判断した場合には、炊飯処理を実行(続行)する。一方、蓋体23が開放状態であると判断した場合、および、係合受部16および係合爪部33が異常係合状態であると判断した場合には、第1ソレノイド40への通電を停止し、移動部材44をアンロック作動させて炊飯処理を停止する。
【0041】
また、マイコン72は、炊飯処理中に炊飯容量を判別する容量判別手段の役割をなす。具体的には、炊飯処理中の昇温工程では、誘導加熱コイル19に対してフルパワーで電力を投入することにより、飯米を水と一緒に加熱する。そして、この際に、予め設定した第1設定温度から第2設定温度まで昇温するのに要した実際の昇温時間と、予め記憶した容量判別データとに基づいて、実際の炊飯容量を判別する。なお、容量判別データとは、予め計測した炊飯容量と昇温時間による容量判別勾配に基づいて設定した演算式、および、複数の炊飯容量に対応する昇温時間のデータテーブルの両方を含む。
【0042】
一方、第1保温処理では、マイコン72は、フォトインタラプタ65からの信号に基づいて、蓋体23の開閉を検出(監視)する。そして、マイコン72はカウント手段の役割をなし、フォトインタラプタ65を介して蓋体23の開放を検出すると開放時間tのカウントを開始し、蓋体23の閉塞を検出すると開放時間tのカウントを停止する。その後、マイコン72は炊飯鍋10内の保温量判断手段の役割をなし、蓋体23の開閉を検出する毎に、この第1保温処理の前の炊飯処理中に判別した炊飯容量と、計測した蓋体23の開放時間tと、設定された特定容量取出時間taと、に基づいて炊飯鍋10内の米飯残量を判断する。具体的には、1回の開放時間tと特定容量取出時間taから取り出された米飯量(Cup数)を判断し、炊飯容量から取り出された米飯量(減少量)を減算することにより米飯残量を判断(監視)する。そして、マイコン72は、この予測された米飯残量に応じて誘導加熱コイル19、胴ヒータ21および蓋ヒータ36による加熱制御を変更する構成としている。
【0043】
なお、炊き上げた米飯の味のムラをなくし、おいしいごはんを食べられるようにするには、炊き終わった米飯を全体的に攪拌(ほぐし)して混ぜ合わせ、米飯間の蒸気を放出させることが好ましいことが広く知られている。そして、ユーザの多くは、この作業を実際に行っていると考えられる。そのため、本実施形態では、保温量判断手段としてのマイコン72は、炊飯処理から第1保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体23の開閉は、ご飯の混ぜ合わせであると判断し、蓋体23の開放時間tに拘わらず炊飯鍋10から米飯が減少したと判断しない(米飯残量を減らさない)ようにしている。
【0044】
また、マイコン72による加熱制御は、第1保温処理中に炊飯鍋10内の米飯が予め設定した特定容量以上減少したと判断すると、炊飯鍋用温度センサ22の検出値に基づいて温調する温調設定温度を上げるように構成している。しかも、本実施形態では、外部温度センサ71による検出温度と、予め設定した基準(標準)温度とに基づいて、温調設定温度を更に変更する。具体的には、外部温度センサ71による検出温度が予め設定した基準温度より低い場合には温調設定温度を下げ、外部温度センサ71による検出温度が基準温度より高い場合に温調設定温度を上げる構成としている。ここで、温調設定温度とは、炊飯鍋用温度センサ22の設定温度である。
【0045】
次に、マイコン72による蓋体23の開閉状態判断、および、係合受部16と係合爪部33の係合状態判断を含む、蓋状態検査工程について説明する。
【0046】
この蓋状態検査工程では、マイコン72は、第1ソレノイド40に対して通電を遮断したアンロック作動状態で、フォトインタラプタ65の信号に基づいて蓋体23の開閉状態を判断する。また、マイコン72は、第1ソレノイド40に対して通電を行ったロック作動状態で、フォトインタラプタ65の信号に基づいて係合受部16と係合爪部33の係合状態を判断する。
【0047】
具体的には、炊飯器本体11に対して蓋体23を略水平方向に位置するように閉塞し、第1ソレノイド40を介して移動部材44をアンロック位置に移動させている状態では、揺動部材59は図3および図5(A)に示す状態をなす。この状態では、第1可動位置にある揺動部材59の検知部60がフォトインタラプタ65の検出領域に進入しているため、該フォトインタラプタ65はオフしている。そのため、マイコン72は、図8(B)に示すように、第1ソレノイド40を駆動していないオフ状態で、フォトインタラプタ65がオフしている状態を検出することにより、蓋体23を閉塞した状態を判断できる。
【0048】
また、ユーザが炊飯器本体11に対して蓋体23の開放操作を行うと、蓋体23は、図6(A)に示す傾斜した状態を経て、図6(B)に示す略上向きに延びる位置まで回動する。そして、揺動部材59が保持部54のストッパ部58に当接するまでは、図6(A)に示すように、揺動部材59の検知部60は、水平方向に延びた状態を維持する。また、蓋体23の開放状態では、図5(C)および図6(B)に示すように、揺動部材59の検知部60がフォトインタラプタ65の検出領域から離反し、該フォトインタラプタ65はオン信号を出力する。そのため、マイコン72は、図8(B)に示すように、第1ソレノイド40を駆動していないオフ状態で、フォトインタラプタ65がオン信号を出力している状態を検出することにより、蓋体23を開放した状態を判断できる。
【0049】
さらに、炊飯器本体11に対して蓋体23を閉塞し、係合爪部33と係合受部16とが正常係合状態である場合に、第1ソレノイド40をロック作動させると、移動部材44を介して揺動部材59は図5(B)および図7(A)に示す状態に位置する。この状態では、揺動部材59の検知部60がフォトインタラプタ65の検出領域から離反しているため、該フォトインタラプタ65はオン信号を出力する。そのため、マイコン72は、図8(B)に示すように、第1ソレノイド40を駆動しているオン状態で、フォトインタラプタ65がオン信号を出力している状態を検出することにより、係合爪部33と係合受部16とが正常係合状態であることを判断できる。
【0050】
そして、炊飯器本体11に対して蓋体23を閉塞し、係合爪部33と係合受部16とが異常係合状態である場合に、第1ソレノイド40をロック作動させると、移動部材44を介して揺動部材59は図5(D)および図7(B)に示す状態に位置する。この状態では、揺動部材59の検知部60がフォトインタラプタ65の検出領域に進入している(検出領域から離脱した状態でない)ため、該フォトインタラプタ65はオフしている。そのため、マイコン72は、図8(B)に示すように、第1ソレノイド40を駆動しているオン状態で、フォトインタラプタ65がオフしている状態を検出することにより、係合爪部33と係合受部16とが異常係合状態であることを検出できる。
【0051】
このように、本実施形態の炊飯器は、1個のセンサ65で、蓋体23の開閉状態、および、係合爪部33と係合受部16との係合状態を判断できる。そのため、製品コストの増大を抑制できるとともに、大型化を防止できる。しかも、揺動部材59を配設する移動部材44は、リリーフ弁49を開閉作動させる第1ソレノイド40を駆動手段として兼用しているため、部品点数の削減を図り、コストダウンを図ることができる。
【0052】
次に、マイコン72による炊飯鍋10内の米飯の残量判断について説明する。なお、以下の例では、炊飯可能容量が5Cupのものを用いているが、炊飯可能容量が変わった場合でも同様に設定可能である。
【0053】
マイコン72には、読み書き可能な記憶手段であるRAM(図示せず)に、特定容量が取り出されたか否かを判断するための特定容量取出時間taが記憶されている。そして、図9(A)に示すように、蓋体23の開放時間tが特定容量取出時間ta未満である場合には、米飯の減少は無いと判断する。また、蓋体23の開放時間tが特定容量取出時間ta以上2ta未満である場合には、米飯の減少は0.5cupであると判断する。そしてtが2ta以上3ta未満である場合には減少量が1.0cup、tが3ta以上4ta未満である場合には減少量が1.5cup、tが4ta以上5ta未満である場合には減少量が2.0cup、tが5ta以上6ta未満である場合には減少量が2.5cup、tが6ta以上7ta未満である場合には減少量が3.0cup、tが7ta以上8ta未満である場合には減少量が3.5cup、tが8ta以上9ta未満である場合には減少量が4.0cup、tが9ta以上10ta未満である場合には減少量が4.5cup、tが10ta以上11ta未満である場合には減少量が5.0cupであると判断する。
【0054】
例えば、図9(B)に示すように、特定容量取出時間の設定時間taを9秒とすると、1回目の蓋体23の開放時間tは、設定時間taを越える30秒であったとしても、米飯の攪拌によるものであるため、米飯量の減算は行わない。また、2回目の蓋体23の開放時間tが15秒である場合には0.5Cup減少したと判断し、3回目の蓋体23の開放時間tが8秒である場合には減少は無いと判断し、4回目の蓋体23の開放時間tが28秒である場合には1.5Cup(合計で2.0Cup)減少したと判断し、5回目の蓋体23の開放時間tが9秒である場合には0.5Cup(合計で2.5Cup)減少したと判断する。このようにして、開放時間tと特定容量取出時間taに基づいて、2回目以降の蓋体23の開閉による炊飯鍋10内の米飯の減少量を判断する。そして、炊飯処理時に判断した炊飯容量から、蓋体23の開閉毎に減少量を減算することにより、現状の米飯残量を判断(予測)する。
【0055】
次に、マイコン72による炊飯鍋10内の米飯残量に応じた温調の設定温度変更について説明する。
【0056】
まず、本実施形態では、炊飯可能容量を3段階で区画している。そして、0Cup以上1Cup以下の少量の場合、1Cupを越え3Cup以下の中量の場合、および、3Cupを越える満量の場合の各区画毎に、第1保温処理では炊飯鍋用温度センサ22の検出値に基づいて温調設定温度を変更する構成としている。なお、高温保温時の米飯の目標温調設定温度(飯温)は73℃で、低温保温時の目標温調設定温度は60℃である。
【0057】
ここで、図10(A)に示すように、標準室温(20℃)で高温保温すると、実際の飯温は、少量の場合には目標温度と同等の73.0℃であり、中量の場合には目標温度より高い73.5℃であり、満量の場合には目標温度より更に高い74.0℃である。低室温(5℃)および高室温(35℃)で高温保温した場合も同様に、実際の飯温は、米飯残量が多いほど、炊飯鍋用温度センサ22の検出値に基づいて73℃に温調(オンオフ制御)しているにも拘わらず、高い実測値を示す。なお、図10(B)に示すように、低温保温した場合も同様である。これは、炊飯鍋10内の米飯残量が少ない場合には、その上部に形成される空間容積は、米飯残量が多い場合と比較すると多い。そして、空間容積が多い場合には、胴ヒータ21や蓋ヒータ36による加熱量に対して実際に米飯が加熱される加熱効率が悪い。しかも、空間に面する炊飯鍋10の領域は、内部温度を放熱するように作用する。その結果、米飯残量が少ない場合と多い場合とでは、同一の温調設定温度としているにも拘わらず、実際に温調されている飯温は異なるものと考えられる。
【0058】
そこで、本実施形態では、炊飯鍋10内が如何なる容量であっても実際の米飯の保温温度を目標の73℃とするために、米飯残量が多くなるに従って温調設定温度が目標温度より低くなるように設定している。そして、蓋体23の開閉により炊飯鍋10内の米飯残量が特定容量以上減少したと判断すると、温調設定温度を上げるように構成している。具体的には、標準室温(20℃)で高温保温する場合、炊飯鍋用温度センサ22の検出値に基づいた温調設定温度は、少量の場合には73.0℃とし、中量の場合には72.5℃とし、満量の場合には72.0℃としている。また、標準室温(20℃)で低温保温する場合、温調設定温度は、少量の場合には60.0℃とし、中量の場合には59.5℃とし、満量の場合には59.0℃としている。
【0059】
なお、保温中の飯温は、炊飯鍋10内の米飯残量だけでなく、周囲の室温によっても異なる。即ち、図10(A)に示すように、標準室温(20℃)で高温保温している状態では、少量の場合には実際の飯温は目標温度と同様の73℃であるのに対し、低室温(5℃)の場合の実際の飯温は74℃と高く、高室温(35℃)の場合の実際の飯温は72℃と低い。中量および満量で高温保温した場合も同様に、実際の飯温は、室温が低いほど高い実測値を示し、室温が高いほど低い実測値を示す。なお、図10(B)に示すように、低温保温した場合も同様である。このように室温が低いほど飯温が高い実測値を示すのは、室温により金属製の炊飯鍋10が冷却されることにより、炊飯鍋用温度センサ22の検出値が低くなるため、過剰加熱状態になっているためと考えられる。
【0060】
そこで、本実施形態では、室温に拘わらず炊飯鍋10内の米飯の保温温度を目標の73℃とするために、室温(炊飯鍋10の外部温度)が、基準(標準)温度より低い場合には温調設定温度を目標温度より低くなるように設定し、基準温度より高い場合に温調設定温度を目標温度より高くなるように設定している。具体的には、高温保温で少量保温する場合、炊飯鍋用温度センサ22の検出値に基づいた温調設定温度は、標準室温の場合には73.0℃とし、低室温の場合には72.0℃とし、高室温の場合には74.0℃としている。また、低温保温で少量保温する場合、温調設定温度は、標準室温の場合には60.0℃とし、低室温の場合には59.0℃とし、高室温の場合には61.0℃としている。中量および満量の場合も同様にして、標準室温を基準として低室温の場合には温調設定温度を低くし、高室温の場合には温調設定温度を高くなるように設定している。
【0061】
次に、マイコン72による制御について具体的に説明する。
【0062】
まず、ユーザが炊飯器を購入した状態では、マイコン72は、一次電池(図示せず)による3Vの電圧によるバックアップモードで動作している。この状態で、電源コードの接続により商用電源が投入されると、電源回路を介してゼロクロスパルスが入力されることにより、商用電源からの電圧で動作を開始する。そして、操作パネル69のスイッチが操作されるまで待機し、いずれかの操作を検出すると、その入力処理を実行する。
【0063】
そして、炊飯スイッチの操作を検出すると、マイコン72は、図11に示すように、まず、ステップS1で、第1蓋状態検査工程を実行する。この第1蓋状態検査工程は、前述のように、第1ソレノイド40への通電を遮断したアンロック作動状態で、フォトインタラプタ65からの信号により蓋体23の開閉状態を判断する。そして、蓋体23が開放状態であると判断した場合には、炊飯処理を終了するためのフラグを立て、蓋体23が閉塞状態であると判断した場合には、係合受部16と係合爪部33の係合状態を判断する。この係合状態判断は、第1ソレノイド40への通電(オン)を行ったロック作動状態として、フォトインタラプタ65からの信号により係合受部16と係合爪部33との係合状態を判断する。そして、異常係合状態であると判断した場合には、炊飯処理を終了するためのフラグを立て、正常係合状態であると判断した場合には、炊飯処理を継続するためのフラグを立てる。
【0064】
第1蓋状態検査工程が完了すると、ステップS2で、蓋体23の状態が正常であるか否かをフラグにより判断する。そして、蓋体23が閉塞され、かつ、係合受部16と係合爪部33とが正常係合状態である場合には、ステップS3に進む。また、蓋体23が開放されている場合、または、係合受部16と係合爪部33とが異常係合状態である場合には、ステップS11に進む。
【0065】
ステップS3では、誘導加熱コイル19に通電を開始し、炊飯鍋10の温度が約50℃程度となるように温度調節して加熱する予熱工程を実行する。
【0066】
そして、予め設定した時間が経過することにより予熱工程が終了すると、ステップS4で、第2蓋状態検査工程を実行する。この第2蓋状態検査工程は、第1蓋状態検査工程と略同一であり、蓋状態が正常であると判断した場合、即ち、蓋体23が閉塞され、正常係合状態である場合には、第1ソレノイド40への通電を遮断することなくステップS5に進み、蓋状態が異常であると判断した場合、即ち、蓋体23が開放され、または、異常係合状態である場合には、第1ソレノイド40への通電を遮断してステップS5に進む点でのみ、相違する。
【0067】
ステップS5では、フラグにより蓋状態が正常である場合にはステップS6,7に進み、蓋状態が異常である場合にはステップS11に進む。
【0068】
ステップS6,7では、昇温工程と容量判別工程とを並行処理する。ステップS6の昇温工程は、誘導加熱コイル19に対して100%(フルパワー)の電力で通電し、炊飯鍋10内の飯米を含む水を沸騰させる。なお、この昇温工程では、第1ソレノイド40が通電状態を維持され、球状部材52は通気孔53上に転動して通気孔53を閉塞している。その結果、炊飯鍋10内は徐々に昇圧し、大気圧より高い圧力状態となる。ステップS7の容量判別工程は、加熱中の炊飯鍋10の温度の上昇勾配により、炊飯鍋10内に収容された炊飯容量を判別する。
【0069】
昇温工程が終了すると、ステップS8で、蓋体用温度センサ37の入力値に基づいて誘導加熱コイル19を制御して沸騰維持工程を実行する。そして、判別した炊飯容量に基づいて予め設定した時間が経過することにより沸騰維持工程が終了すると、ステップS9で、誘導加熱コイル19に対する通電量を上げて炊き上げ工程を実行する。
【0070】
炊き上げ工程で、検出温度に基づいて炊飯鍋10内のドライアップを検出すると、ステップS10でむらし工程を実行する。このむらし工程は、第1ソレノイド40への通電を遮断し、炊飯鍋10内への圧力投入を解除する。そして、胴ヒータ21および蓋ヒータ36に通電を開始する一方、誘導加熱コイル19への通電は遮断する。
【0071】
予め設定した時間が経過することにより、むらし工程が終了すると炊飯処理を終了し、引き続いて第1保温処理に移行する。
【0072】
一方、第1および第2蓋状態検査工程にて、蓋体23の状態が異常であると判断した場合には、ステップS11で、炊飯処理の終了処理を実行した後、ステップS12で、圧電ブザーまたは液晶表示板によりユーザへ知らせる報知処理を実行する。
【0073】
次に、この炊飯処理に引き続いて実行する第1保温処理について説明する。なお、第1保温処理と第2保温処理は、炊飯鍋10内の米飯残量の判断、および、それに伴う加熱制御を行うことなく、図10(A),(B)に示す中量保温状態で温調する点でのみ、相違する。
【0074】
第1実施形態の第1保温処理は、図12に示すように、操作パネル69のとりけしスイッチが操作されるまで、ステップS20〜S23に示す温調設定工程を実行した後、その設定に従って温調工程を実行するとともに米飯残量判断工程を実行するものである。
【0075】
具体的には、マイコン72は、まず、ステップS20で、保温量ランクを読み込む。この保温量ランクは、保温処理に移行した直後は、炊飯処理で判別した炊飯容量に基づき、後述する米飯残量判断工程を実行した後は、減少量に応じた米飯残量に基づいて決定される。
【0076】
ついで、ステップS21で、外部温度センサ71により外部温度を検出した後、ステップS22で、図10のように炊飯鍋10内の米飯残量と外部温度に基づいて温調設定温度を読み込んで設定する。そして、ステップS23で、温調設定温度を設定(変更)しているか否かを示すフラグfaに0(設定完了)を入力してステップS24,S25に進む。
【0077】
ステップS24,S25では、温調工程と米飯残量判断工程とを並行処理する。ステップS24の温調工程は、設定されたセンサ温度をしきい値として、誘導加熱コイル19、胴ヒータ21および蓋ヒータ36をオンオフ制御することにより、その設定温度になるように加熱制御するものである。なお、ステップS25の米飯残量判断工程は、後で詳細に説明する。
【0078】
ステップS24の温調工程および米飯残量判断工程が終了すると、ステップS26で、操作パネル69のとりけしスイッチが操作されたか否かを検出する。そして、とりけしスイッチの操作を検出しない場合にはステップS27に進み、温調設定温度の変更が必要であるか否かをfaに1(再設定必要)が入力されているか否かにより判断する。そして、faが1である場合にはステップS20に進み、faが0である場合にはステップS24,S25に進む。また、とりけしスイッチの操作を検出した場合には、誘導加熱コイル19、胴ヒータ21および蓋ヒータ36による加熱を停止してステップS28に進み、保温処理に移行した後、1回目の蓋体23の開放であるか否かを示すフラグfbに0を入力(リセット)して待機モードへ移行する。
【0079】
次に、ステップS25の米飯残量判断工程について具体的に説明する。
【0080】
この米飯残量判断工程では、マイコン72は、図13に示すように、まず、ステップS25−1で、フォトインタラプタ65の信号により蓋体23が開放されたか否かを検出する。そして、蓋体23の開放を検出した場合にはステップS25−2に進み、蓋体23の開放を検出しない場合にはそのままリターンする。なお、この状態では、第1ソレノイド40への通電は遮断されている(ステップS10)。
【0081】
蓋体23の開放を検出した場合には、ステップS25−2で、保温処理への移行後に始めての蓋体23の開放であるか否かを、fbに1が入力されているか否かにより判断する。そして、fbが0である場合、即ち、移行後1回目の開放である場合には、ステップS25−3に進み、fbに1を入力してそのままリターンする。また、fbが1である場合、即ち、移行後2回目以上の開放である場合には、ステップS25−4に進む。
【0082】
ステップS25−4では、開放時間tを計測するためのカウンタをリセットしてスタートさせた後、ステップS25−5で、フォトインタラプタ65の信号により蓋体23が閉塞されたことを検出するまで待機する。
【0083】
そして、蓋体23の閉塞を検出すると、ステップS25−6で、開放時間tの計測を停止した後、ステップS25−7で、図9のようにして炊飯鍋10内の米飯の減少量を判断する。その後、ステップS25−8で、炊飯容量と減少量に基づいて米飯残量を演算し、その予測された米飯残量により図10のようにして保温量ランクの変更が必要であるか否かを判断する。そして、保温量ランクの変更が必要である場合にはステップS25−9に進み、温調設定温度の変更を実行するためにfaに1(再設定必要)を入力してリターンする。その結果、ステップS27からステップS20を経て、温調設定工程が実行される。一方、保温量ランクの変更は不要である場合にはそのままリターンする。
【0084】
このように、本実施形態では、炊飯処理で判別した炊飯容量と、蓋体23の開放時間tと、予め設定した特定容量取出時間とに基づいて、炊飯鍋10内の米飯残量を判断する。そして、ユーザが茶碗に米飯をよそう場合、その量と時間とは略比例する。そのため、本実施形態の構成によれば、炊飯鍋10内の米飯残量を略正確に判断することができる。
【0085】
また、本実施形態では、予測された米飯残量に応じて温調する加熱制御を変更する。具体的には、炊飯鍋10内の米飯残量が減少したと判断すると、温調設定温度を上げるため、米飯の実際の温度を目標温度に維持できる。そのため、予め設定した通りの保温効果、即ち、米飯の乾燥や腐敗菌の繁殖を防止できる。
【0086】
また、本実施形態では、炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体23の開閉は「ほぐし」であると判断し、米飯は減少していないこととするため、米飯残量の誤認を防止できる。さらに、本実施形態では、蓋体23の開閉による1回の開放時間tと特定容量取出時間taに基づいて米飯の減少量を判断するものである。そのため、例えばユーザが炊飯器内の米飯残量を確認することを目的で、ほんの僅かな時間だけ蓋体23を開放した際の開放時間tを除外できる。その結果、米飯残量の誤認を更に防止できる。
【0087】
図14から図16は第2実施形態の炊飯器のマイコン72による制御を示す。この第2実施形態では、特定容量取出時間の設定時間taを、ユーザの実際の使用状況に応じて変更(学習)できるようにした点で、第1実施形態と大きく相違している。
【0088】
具体的には、第2実施形態のマイコン72は、特定容量取出時間の設定時間taを演算および変更する設定時間変更手段の役割をなす。この設定時間変更手段としてのマイコン72は、操作パネル69のとりけしスイッチの操作により保温処理が停止されるまで、蓋体23が開放された時間tを記憶し、保温処理の終了時にその開放時間tを積算する。その後、その積算時間と炊飯処理で判別した炊飯容量とに基づき、積算時間から炊飯容量を除算する。そして、その演算値が現在設定している設定時間taより大きいか否かにより、変更の要否を判断する。しかも、本実施形態では、保温処理での演算結果が予め設定した同等比較条件に2回以上(例えば3回)連続して一致した場合のみ、特定容量取出時間の設定時間taを変更する構成としている。
【0089】
ここで、本実施形態の「同等比較条件」は、炊飯処理の実行メニュー、炊飯処理で判別した炊飯容量、現設定時間taに対する大小比較としている。そして、全ての条件が3回一致し、演算値が現設定時間taより低い場合には設定時間taを1秒少なくし、演算値が現設定時間taより高い場合には設定時間taを1秒多くする。即ち、図14に示すように、現設定時間taが9秒であり、演算値が9秒未満である場合には、設定時間taを8秒に変更する。逆に、演算値が9秒を越えている場合には、設定時間taを10秒に変更する。なお、その変更後には、同様に条件比較を実行し、演算値が現設定温度より低い場合には順次1秒づつ少なくする一方、演算値が現設定温度より高い場合には順次1秒づつ多くする。
【0090】
次に、第2実施形態のマイコン72による制御について具体的に説明する。なお、炊飯処理は第1実施形態と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0091】
第2実施形態のマイコン72による保温処理は、図15に示す通りである。この保温処理は、第1実施形態のステップS28のfbのリセット後に、ステップS29として特定容量取出時間変更工程を追加している点でのみ、相違する。また、第2実施形態の米飯残量判断工程は、ステップS25−6で、開放時間tのカウンタを停止した後、RAMに記憶させる点でのみ、相違する。
【0092】
特定容量取出時間変更工程では、マイコン72は、図16に示すように、まず、ステップS29−1で、保温時間が24時間未満であるか否かを判断する。そして、保温時間が24時間未満である場合にはステップS29−2に進み、保温時間が24時間以上である場合にはリターンする。即ち、炊飯後に保温処理を24時間以上行うという状況は、ユーザの消し忘れ等による極めて希な状況である。そのため、本実施形態では、この24時間を超える保温処理での蓋体23の開放時間tは加味しない構成としている。
【0093】
ステップS29−2では、ステップS25−6で記憶した全ての開放時間t(t1,t2,…,tn)を積算(加算)した後、ステップS29−3で、その第1保温処理前に実行した炊飯処理で判別した容量を読み込む。そして、ステップS29−4で、特定容量(0.5Cup)取り出すのに要した実際の時間を演算して記憶する。
【0094】
ついで、ステップS29−5で、過去(2回分)の炊飯条件を読み込み、ステップS29−6で、全ての炊飯条件が一致しているか否かを判断する。そして、一致している場合にはステップS29−7に進み、一致していない場合にはそのままリターンする。なお、RAMへの記憶容量は過去3回分のみであり、新たな情報を記憶する場合には、最も古い情報を消去する。因みに、回数、連続であるか否か等、一致したと判断する条件は希望に応じて変更が可能である。勿論、ステップS29−5,6は行うことなく、即ち過去の炊飯条件と同等比較は行うことなく、ステップS29−7に進む構成としてもよい。
【0095】
ステップS29−7では、全ての演算値が現設定時間taより低いか否かを比較する。そして、全ての演算値が現設定時間taより低い場合にはステップS29−8に進み、特定容量取出時間の設定時間taを1秒減算してリターンする。また、1つでも演算値が現設定時間taより高い場合にはステップS29−9に進む。
【0096】
ステップS29−9では、全ての演算値が現設定時間taより高いか否かを比較する。そして、全ての演算値が現設定時間taより高い場合にはステップS29−10に進み、特定容量取出時間の設定時間taを1秒加算してリターンする。また、1つでも演算値が現設定時間taより低い場合には、設定時間taを変更することなく、そのままリターンする。
【0097】
このように、第2実施形態の炊飯器は、炊飯処理に引き続いて実行した1回の第1保温処理での蓋体23の総開放時間tと炊飯容量に基づいて特定容量取出時間の設定時間taを変更する構成としている。そのため、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができるうえ、各家庭で異なる実際の使用状況に応じて特定容量取出時間を確実に設定できる。その結果、米飯残量の誤認を確実に防止できる。
【0098】
図17は第3実施形態の炊飯器のマイコン72による制御を示す。この第3実施形態では、第2実施形態と同様に、第1保温処理の終了時に特定容量取出時間の設定時間taを変更可能し、かつ、蓋体23の開閉時間tによる米飯の減少量の判断方法を変更した点で、第2実施形態と相違している。
【0099】
具体的には、第1および第2実施形態では、1回の蓋体23の開放時間tと、設定した特定容量取出時間の設定時間taとに基づいて減少量を判断したが、第3実施形態では、蓋体23の開閉毎の開放時間tを随時積算し、その積算開放時間と特定容量取出時間に基づいて米飯の減少量を判断する構成としている。なお、この積算開放時間は、個別にカウントした開放時間tを加算する構成としてもよく、前回の開放時間をクリアすることなく継続してカウントする構成としてもよい。
【0100】
即ち、特定容量取出時間の設定時間taを9秒としている場合、1回目の蓋体23の開放時間tは、設定時間taを越える30秒であったとしても、米飯の攪拌によるものであるため、米飯量の減算は行わない。また、2回目の蓋体23の開放時間tが15秒である場合には0.5Cup減少したと判断する。そして、3回目の蓋体23の開放時間tが8秒である場合には、総開放時間が23秒になるため、総取出容量が1.0Cupになったと判断する。4回目の蓋体23の開放時間tが28秒である場合には、総開放時間が51秒になるため、総取出容量が2.5Cupになったと判断する。5回目の蓋体23の開放時間tが9秒である場合には、総開放時間が60秒になるため、総取出容量が3.0Cupになったと判断する。そして、炊飯処理時に判断した炊飯容量から、蓋体23の開閉毎に減少量を減算することにより、現状の米飯残量を判断(予測)する。
【0101】
また、操作パネル69のとりけしスイッチの操作により第1保温処理が終了されると、第2実施形態と同様に、炊飯容量と総開放時間に基づいて、1回の第1保温処理での特定容量取出時間の設定時間taを変更する。
【0102】
このように構成した第3実施形態の炊飯器は、第2実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。しかも、その実行中の第1保温処理内においても、家庭毎で異なる米飯を「よそう」のに必要な時間による米飯残量の誤認を抑制できる。
【0103】
なお、この第3実施形態のように、積算開放時間と特定容量取出時間とに基づいた減少量の判断は、特定容量取出時間を変更可能とした構成だけに限られず、第1実施形態のように、特定容量取出時間を変更不可能とした構成でも、同様に適用可能である。
【0104】
図18および図19は第4実施形態の炊飯器のマイコン72による制御を示す。この第4実施形態では、マイコン72は、炊飯処理から第1保温処理に移行した後の1回目の蓋体23の開閉を、攪拌を目的としたものか否かを判断する攪拌判断手段の役割をなすように構成している。そして、攪拌を目的としたものであると判断した場合には、その開放時間tに拘わらず炊飯鍋10から米飯が減少したと判断せず、攪拌を目的としたものでないと判断すると、その開放時間tと特定容量取出時間に基づいて米飯残量を判断する構成としている。
【0105】
本実施形態では、攪拌判断手段としてのマイコン72は、蓋体23の開放時間tが、予め設定した攪拌判断時間(例えば20秒)を超えたか否かにより、攪拌を目的としたものか否かを判断する構成としている。即ち、図18(A)に示すように、蓋体23の開放時間tが攪拌判断時間を超える30秒である場合には、攪拌を目的とした蓋体23の開放であると判断し、その開放時間tは加味することなく、米飯残量を減少させない。また、図18(B)に示すように、蓋体23の開放時間tが攪拌判断時間以下の10秒である場合には、攪拌を目的とせず「よそう」ことを目的としたものであると判断し、その開放時間tを加味し、0.5Cup減少したものと判断する構成としている。なお、攪拌判断時間は、炊飯容量に応じて異なる時間設定としてもよい。
【0106】
次に、第4実施形態のマイコン72による制御について具体的に説明する。なお、第4実施形態の炊飯処理は第1実施形態と同一であり、第1保温処理は図12に示す第1実施形態、または、図15に示す第2実施形態と同一である。即ち、第4実施形態のように1回目の蓋体23の開閉を加味するか否かは、特定容量取出時間を変更することのない第1実施形態、特定容量取出時間を変更する第2,第3実施形態のいずれにも適用可能である。そして、第4実施形態では、各第1保温処理において、ステップS25の米飯残量判断工程のみが相違する。
【0107】
具体的には、第4実施形態の米飯残量判断工程では、マイコン72は、図19に示すように、まず、ステップS30で、フォトインタラプタ65の信号により蓋体23が開放されたか否かを検出する。そして、蓋体23の開放を検出した場合にはステップS31に進み、蓋体23の開放を検出しない場合にはそのままリターンする。
【0108】
ステップS31では、fbに1が入力されているか否かにより保温処理への移行後に始めての蓋体23が開放されたか否かを判断する。そして、fbが0である場合にはステップS32に進み、fbが1である場合にはステップS36に進む。
【0109】
ステップS32では、fbに1を入力した後、ステップS33で、攪拌判断工程を実行する。この攪拌判断工程では、蓋体23が閉塞されるまでの開放時間を検出し、攪拌判断時間と比較することにより攪拌を目的とした開放であるか否かを判断する。そして、ステップS34で、攪拌と判断した場合にはそのままリターンする。また、攪拌でないと判断した場合にはステップS35に進み、開放時間tを記憶してステップS39に進む。
【0110】
一方、ステップS36では、開放時間tを計測するためのカウンタをリセットしてスタートさせた後、ステップS37で、フォトインタラプタ65の信号により蓋体23が閉塞されたことを検出するまで待機する。そして、蓋体23の閉塞を検出すると、ステップS38で、開放時間tの計測を停止して記憶した後、ステップS39に進む。
【0111】
ステップS39では、ステップS35またはステップS38で記憶した蓋体23の開放時間tと特定容量取出時間に基づいて米飯の減少量を判断する。その後、ステップS40で、炊飯容量と減少量に基づいて米飯残量を演算し、その予測された米飯残量により保温量ランクの変更が必要であるか否かを判断する。そして、保温量ランクの変更が必要である場合にはステップS41に進み、温調設定温度の変更を実行するためにfaに1を入力してリターンする。また、保温量ランクの変更は不要である場合にはそのままリターンする。
【0112】
このように、第4実施形態の炊飯器では、1回目の蓋体23の開放が攪拌を目的としたものであるか否かを判断し、攪拌を目的としたものであると判断した場合には、その開放時間tを米飯減少に加味させず、攪拌を目的としたものでないと判断した場合には、その開放時間tを米飯減少に加味させる構成としている。そのため、米飯残量の誤認を更に確実に防止できる。
【0113】
図20(A),(B)は第5実施形態の炊飯器のマイコン72による制御を示す。この第5実施形態では、マイコン72は、1回の蓋体23の開閉が、「攪拌」という行為であるか、「よそう」という行為であるか、さらに「攪拌」および「よそう」という両方の行為であるかを判断するようにした点で、第4実施形態と相違している。そして、「攪拌」を目的としたものであると判断した場合には、その開放時間tに拘わらず炊飯鍋10から米飯が減少したと判断せず、「よそう」ことを目的としたものであると判断した場合には、その開放時間tと特定容量取出時間に基づいて米飯残量を判断し、「攪拌」と「よそう」の両方であると判断した場合には、攪拌判断時間と開放時間tと特定容量取出時間に基づいて米飯残量を判断する構成としている。
【0114】
具体的には、第5実施形態の攪拌判断手段としてのマイコン72は、蓋体23の開放時間tが、予め設定した攪拌判断時間帯(例えば20秒以上50秒以下)内であるか否かにより、「攪拌」および/または「よそう」ことを目的としたものかを判断する構成としている。即ち、図18(A)のように、蓋体23の開放時間tが攪拌判断時間帯内の30秒である場合には、「攪拌」を目的とした蓋体23の開放であると判断し、その開放時間tは加味することなく、米飯残量を減少させない。また、図18(B)のように、蓋体23の開放時間tが攪拌判断時間帯の下限値(攪拌であるか否かを判断する第2攪拌判断時間)未満の10秒である場合には、「攪拌」を目的とせず「よそう」ことを目的としたものであると判断し、その開放時間tを加味し、0.5Cup減少させる。さらに、図20(A)のように、蓋体23の開放時間tが攪拌判断時間帯の上限値(米飯の攪拌が終了したか否かを判断する第1攪拌判断時間)を越える60秒である場合には、米飯の「攪拌」後に「よそう」ことを目的としたものであると判断し、その開放時間tから攪拌判断時間帯の上限値(50秒)を減算し、10秒間「よそう」という行為を行ったと判断し、0.5Cup減少させる。同様に、図20(B)のように、蓋体23の開放時間tが攪拌判断時間帯を越える70秒である場合には、米飯の「攪拌」後に20秒間「よそう」という行為を行ったと判断し、1.0Cup減少させる。勿論、攪拌判断時間帯(第1,第2攪拌判断時間)は、第4実施形態と同様に、炊飯容量に応じて異なる時間帯設定としてもよい。
【0115】
このように構成した第5実施形態の炊飯器は、第4実施形態のステップS33での攪拌判断工程で、前述のように、蓋体23の開放時間taが攪拌判断時間帯内であるか否かにより攪拌を目的としたものか否かを判断する。そして、「よそう」という行為およびその行為を含む場合には、米飯の減少量を判断する。そのため、米飯残量の誤認を更に確実に防止できる。
【0116】
なお、本発明の炊飯器は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0117】
例えば、各実施形態では、蓋体23の開閉を検出する蓋状態検出手段を揺動部材59とフォトインタラプタ65により構成したが、磁石とリードスイッチにより構成してもよく、マイクロスイッチにより構成してもよい。即ち、蓋体23の開放と閉塞を区別して検出できる構成であれば、いずれでも適用可能である。
【0118】
また、各実施形態では、図9に示すように、1回の蓋体23の開放時間tにより減少したと判断する設定時間(特定容量取出時間)taを、0.5Cupと1.0Cup以上とで同一に設定したが、1.0Cup以上の設定時間は異なるように構成してもよい。即ち、図21(A)に示すように、蓋体23が開放するのに要する開放動作時間tαと、蓋体23を閉塞するのに要する閉塞動作時間tβとすると、これらの動作時間(tα+tβ)を減算した時間tγが実際に米飯を「よそう」のに必要な時間である。そのため、1.0Cupの設定(判断)時間は、図21(B)に示すように、第1特定容量取出時間taに、第2特定容量取出時間tγを加算した時間としてもよい。即ち、蓋体23の開放時間tが特定容量取出時間ta未満である場合には、米飯の減少は無いと判断する。また、蓋体23の開放時間tが特定容量取出時間ta以上ta+tγ未満である場合には、米飯の減少は0.5cupであると判断する。そしてtがta+tγ以上ta+2tγ未満である場合には減少量が1.0cup、tがta+2tγ以上ta+3tγ未満である場合には減少量が1.5cup、tがta+3tγ以上ta+4tγ未満である場合には減少量が2.0cup、tがta+4tγ以上ta+5tγ未満である場合には減少量が2.5cup、tがta+5tγ以上ta+6tγ未満である場合には減少量が3.0cup、tがta+6tγ以上ta+7tγ未満である場合には減少量が3.5cup、tがta+7tγ以上ta+8tγ未満である場合には減少量が4.0cup、tがta+8tγ以上ta+9tγ未満である場合には減少量が4.5cup、tがta+9tγ以上ta+10tγ未満である場合には減少量が5.0cupであると判断する。勿論、各動作時間tα,tβは、蓋状態検出手段による検知時間を加味して設定する。
【0119】
また、第2実施形態では、第1保温処理での総開放時間tと炊飯容量に基づいて演算した演算値を、特定容量取出時間の現設定時間taと大小比較だけを行い、条件に一致している場合には1秒毎に減算または加算する構成としたが、複数回分の演算値の平均値を特定容量取出時間として設定してもよい。
【0120】
さらに、第4および第5実施形態では、攪拌判断手段をマイコン72により構成し、蓋体23の開放時間tと予め設定した攪拌判断時間または攪拌判断時間帯から攪拌であるか否かを判断する構成としたが、炊飯器本体11の外装体に静電容量の変化等によって人が触れたことを検出する人体検出センサを設け、この人体検出センサの信号に基づいて攪拌であるか否かを判断する構成としてもよい。即ち、ユーザが炊飯鍋10内の米飯を攪拌する場合には、炊飯器本体11に大きな回転力が加わるため、炊飯器本体11における肩体14を手で押さえることが多い。そのため、人体検出センサが、外装体に人体が触れていることを意味する信号を出力している場合には攪拌であると判断し、蓋体23の開放時間を米飯の減少に考慮しないように構成する。また、米飯を「よそう」場合、通常はしゃもじと茶碗を両手に持つため、炊飯器本体11にユーザが触れることはない。そのため、人体検出センサが、人体が触れていることを意味する信号を出力していない場合、または、何ら信号を出力していない場合、攪拌ではないと判断し、蓋体23の開放時間に基づいて米飯残量を減少させるように構成する。勿論、攪拌判断手段は、攪拌に伴う炊飯器の変化を検出できる構成であれば、希望に応じて変更が可能である。
【0121】
そして、第4および第5実施形態のように、保温処理に移行した最初の蓋体23の開放が攪拌を目的としたものか否かを判断する攪拌判断手段の構成は、第1実施形態のように特定容量取出時間の設定時間taを変更しない構成、第2および第3実施形態のように特定容量取出時間の設定時間taを変更する構成のいずれにも適用可能である。そして、特に第2および第3実施形態に採用することにより、米飯残量の誤認を一層抑制できる。
【0122】
また、前記実施形態では、蓋体23の開閉を検出する毎に炊飯鍋10内の米飯残量を判断する構成としたが、例えば2回等の所定回数の開閉を検出すると、炊飯鍋10の米飯残量を判断する構成としてもよい。この場合、米飯残量を判断しないときには、蓋体23の開放時間tを記憶し、米飯残量を判断する際に記憶した開放時間tを積算して判断することが好ましい。
【符号の説明】
【0123】
10…炊飯鍋、11…炊飯器本体、19…誘導加熱コイル(加熱手段)、21…胴ヒータ(加熱手段)、22…炊飯鍋用温度センサ(鍋温度検出手段)、23…蓋体、36…蓋ヒータ(加熱手段)、37…蓋体用温度センサ(鍋温度検出手段)、44…移動部材、54…保持部、59…揺動部材(蓋状態検出手段)、65…フォトインタラプタ(蓋状態検出手段)、69…操作パネル、71…外部温度センサ(外部温度検出手段)、72…マイコン(制御手段、容量判別手段、カウント手段、保温量判断手段、攪拌判断手段、設定時間変更手段)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器および炊飯器の保温制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より家庭用の炊飯器は、炊飯器本体内に炊飯鍋を収容し、その上方の開口部を炊飯器本体に回動可能に設けた蓋体にて閉塞している。そして、ユーザが操作パネルの操作により炊飯処理を実行すると、炊飯器本体内に配設された加熱手段(誘導加熱コイル等)によって炊飯鍋を加熱することにより炊飯処理を実行し、この炊飯処理が終了すると続いて保温処理を実行する。
【0003】
しかし、保温処理では、適切な温度で加熱を行わなければ炊飯鍋内の米飯が過剰に乾燥したり、腐敗菌(枯草菌)が繁殖するという問題がある。そのうち、腐敗菌は、保温処理での温調の設定温度を高くすることにより防止できるが、この場合には米飯の乾燥を防ぐことはできない。
【0004】
これに対して、特許文献1では、保温処理時に1回蓋体を開閉することによる米飯の減少量を予測し、蓋体の開閉を検出すると保温処理での加熱制御を変更するようにした炊飯器が提供されている。この炊飯器は、保温処理時に蓋体の開閉を監視する。そして、1回の保温処理での開閉回数と、その保温処理の前の炊飯処理で判別した炊飯容量に基づいて、1回の開閉での減少量を設定する構成としている。
【0005】
しかしながら、蓋体を開放することによって米飯を茶碗によそう量は、ユーザ宅の家族構成で全く違う。即ち、1人で暮らす家庭と複数人で暮らす家庭とでは、1回の米飯減少量は全く違う。しかも、複数人で暮らす家庭の場合、家族全員が揃っている状態と、揃っていない状態とでは、1回の蓋体の開閉による米飯減少量は全く違う。そのため、特許文献1のように、蓋体の開閉回数と炊飯容量から1回の減少量を判断すると、予測米飯残量に誤差が生じ易い。また、この特許文献1の判断方法は、過去複数回の実測データが必要になるため、直ぐに適切な加熱制御を実行できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−195730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、保温中の米飯残量を正確に判断し、適切な保温処理を実行可能な炊飯器およびその保温制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の炊飯器は、炊飯鍋を収容する炊飯器本体と、前記炊飯鍋内の飯米および米飯を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体に開閉可能に取り付けられ前記炊飯鍋を閉塞する蓋体と、前記加熱手段を制御して炊飯処理を実行し続いて保温処理を実行する制御手段と、炊飯処理時に炊飯容量を判別する容量判別手段とを備えた炊飯器において、前記蓋体の開閉状態を検出する蓋状態検出手段と、保温処理時に、前記蓋状態検出手段の信号に基づいて蓋体の開放を検出すると開放時間のカウントを開始し、前記蓋体の閉塞を検出すると開放時間のカウントを停止するカウント手段と、前記容量判別手段によって炊飯処理中に判別した炊飯容量と、この炊飯処理に続いて実行した保温処理中に前記カウント手段でカウントした開放時間と、設定された特定容量取出時間とに基づいて、前記炊飯鍋内の米飯残量を判断する保温量判断手段とを設け、前記制御手段は、前記保温量判断手段により予測された米飯残量に応じて前記加熱手段による保温処理での加熱制御を変更する構成としている。
【0009】
そして、この炊飯器の保温制御方法は、制御手段によって加熱手段を制御することにより炊飯鍋内の飯米を加熱して炊飯処理を実行した後、続いて前記炊飯鍋内の米飯を加熱して保温処理を実行する炊飯器の保温制御方法であって、炊飯処理の実行時に、容量判別手段によって炊飯容量を判別しておき、引き続いて実行する保温処理時に、蓋状態検出手段によって蓋体の開閉を監視し、前記蓋状態検出手段によって蓋体の開放を検出するとカウント手段によって開放時間をカウントするとともに、前記蓋状態検出手段によって蓋体の閉塞を検出するとカウント手段による開放時間のカウントを停止した後、保温量判断手段が、前記容量判別手段によって判別した炊飯容量と、前記カウント手段でカウントした開放時間と、設定された特定容量取出時間とに基づいて、前記炊飯鍋内の米飯残量を判断し、前記制御手段は、前記保温量判断手段により予測された米飯残量に応じて前記加熱手段による加熱制御を変更するものである。
【0010】
ユーザが茶碗に米飯をよそう場合、その量と時間とは略比例する。そして、本発明では、容量判別手段によって判別した炊飯容量と、保温処理中に蓋体が開閉された際の開放時間と、設定された特定容量取出時間とに基づいて、炊飯鍋から取り出された米飯容量を判断し、炊飯鍋内の米飯残量を判断するため、略正確な判断を行うことができる。これにより、保温処理では、判断した米飯残量に基づいて適切な加熱制御を実行できるため、米飯の乾燥や腐敗菌の繁殖を防止できる。即ち、炊飯鍋内の米飯は、例えば満量と少量では同一の温調設定温度で加熱制御しても、実際の飯温は異なるため、残量に応じた加熱制御を実行することにより、菌の繁殖を防止できる。
【0011】
なお、炊き上げた米飯の味のムラをなくし、おいしいごはんを食べられるようにするには、炊き終わった米飯を全体的に攪拌して混ぜ合わせ、米飯間の蒸気を放出させることが好ましく、通常、ユーザは炊飯処理が終了して保温処理に移行すると、米飯の攪拌を行うのが一般的である。
【0012】
そのため、この炊飯器では、前記保温量判断手段は、炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体の開閉は、その開放時間に拘わらず炊飯鍋から米飯が減少したと判断しないことが好ましい。
【0013】
または、炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体の開閉が、前記炊飯鍋内の米飯を攪拌するものか否かを判断する攪拌判断手段を設け、前記保温量判断手段は、前記攪拌判断手段が攪拌であると判断すると、その開放時間に拘わらず炊飯鍋から米飯が減少したと判断せず、前記攪拌判断手段が攪拌でないと判断すると、その開放時間に基づいて米飯残量を判断することが好ましい。
この場合、前記攪拌判断手段は、前記蓋体の開放時間が予め設定した攪拌判断時間を超えたか否かにより、攪拌であるか否かを判断することが好ましい。
【0014】
または、炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体の開閉で、前記蓋体の開放時間が予め設定した第1攪拌判断時間を超えたか否かにより、前記炊飯鍋内の米飯の攪拌が終了したか否かを判断する攪拌判断手段を設け、前記保温量判断手段は、前記蓋体の開放時間が第1攪拌判断時間を超えると、開放時間から第1攪拌判断時間を減算した時間に基づいて米飯残量を判断することが好ましい。
この場合、前記攪拌判断手段は、前記蓋体の開放時間が予め設定した第2攪拌判断時間を超えたか否かにより、攪拌であるか否かを判断し、前記蓋体の開放時間が第2攪拌判断時間未満の場合には、その開放時間に基づいて米飯残量を判断し、前記蓋体の開放時間が第2攪拌判断時間以上第1攪拌判断時間以下の場合には、攪拌のみであると判断し、その開放時間に拘わらず前記炊飯鍋から米飯が減少したと判断しないことが好ましい。
【0015】
なお、攪拌判断手段は、静電容量の変化等によって炊飯器本体に人が触れたことを検出する人体検出センサを設け、この人体検出センサの信号に基づいて、攪拌であるか否かを判断してもよい。
【0016】
また、前記保温量判断手段は、前記蓋体の開閉による1回の開放時間と特定容量取出時間に基づいて米飯の減少量を判断し、この減少量と前記容量判別手段によって判別した炊飯容量から前記炊飯鍋内の米飯残量を判断するものである。このようにすれば、ユーザが炊飯器内の米飯残量を確認することを目的で蓋体を開放した際の開放時間を除外できる。
または、前記保温量判断手段は、前記蓋体の開閉毎の開放時間を積算し、その積算開放時間と特定容量取出時間に基づいて米飯の減少量を判断し、この減少量と前記容量判別手段によって判別した炊飯容量から前記炊飯鍋内の米飯残量を判断するものである。ここで、「積算開放時間」は、個別にカウントした開放時間を加算する構成、および、前回の開放時間をクリアすることなく継続してカウントする構成の両方を含む。このようにすれば、家庭毎で異なる米飯を「よそう」のに必要な時間による米飯残量の誤認を抑制できる。
【0017】
さらに、操作パネルの操作により保温処理が停止されたときまでに、前記カウント手段によりカウントした蓋体の開放時間を積算し、その積算時間と前記容量判別手段による炊飯容量とに基づいて特定容量取出時間を演算および変更する設定時間変更手段を設けることが好ましい。
この場合、前記設定時間変更手段は、保温処理での演算結果が予め設定した同等比較条件に2回以上の予め設定した設定回数一致した場合のみ、特定容量取出時間の設定時間を変更することが好ましい。
このようにすれば、特定容量取出時間、即ち、特定容量の米飯を取り出すために要する蓋体の開放時間を、各家庭で異なる実際の使用状況に応じて確実に設定できる。そのため、米飯残量の誤認を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の炊飯器では、炊飯容量と蓋体の開放時間と特定容量取出時間とに基づいて、炊飯鍋から取り出された米飯容量を判断し、炊飯鍋内の米飯残量を判断するため、略正確な判断を行うことができる。これにより、保温処理では、米飯残量に基づいて適切な加熱制御を実行できるため、米飯の乾燥や腐敗菌の繁殖を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る炊飯器を示す断面図である。
【図2】蓋体の構成を示す平面図である。
【図3】図2の要部断面図である。
【図4】図2の蓋状態検出手段の構成を示す分解斜視図である。
【図5】(A),(B),(C),(D)は揺動部材の作動状態と蓋状態検出手段の検出状態の関係を示す側面図である。
【図6】(A),(B)は蓋体の開放に伴う蓋状態検出手段の作動状態を示す断面図である。
【図7】(A),(B)は移動部材の移動に伴う蓋状態検出手段の作動状態を示す断面図である。
【図8】(A)は炊飯器の構成を示すブロック図、(B)はソレノイドの駆動状態とフォトインタラプタの検出状態との関係によるマイコンの判断を示す図表である。
【図9】(A)は蓋体の開放時間と米飯の減少量の関係を示す図表、(B)は減少量計算の一例を示す図表である。
【図10】炊飯容量および室温と温調設定温度との関係を示し、(A)は高温保温の場合を示す図表、(B)は低温保温の場合を示す図表である。
【図11】マイコンによる炊飯処理を示すフローチャートである。
【図12】マイコンによる保温処理を示すフローチャートである。
【図13】図12の米飯残量判断工程を示すフローチャートである。
【図14】第2実施形態の減少量計算の一例を示す図表である。
【図15】第2実施形態の保温処理を示すフローチャートである。
【図16】図15の特定容量取出時間変更工程を示すフローチャートである。
【図17】第3実施形態の減少量計算の一例を示す図表である。
【図18】(A),(B)は第4実施形態のマイコンの攪拌判断に伴う減少量計算の一例を示す図表である。
【図19】第4実施形態の米飯残量判断工程を示すフローチャートである。
【図20】(A),(B)は第5実施形態のマイコンの攪拌判断に伴う減少量計算の一例を示す図表である。
【図21】蓋体の開放時間と米飯の減少量の関係の変形例を示し、(A)は蓋体開放時間と蓋体開閉に要する時間との関係を示すタイムチャート、(B)は減少量計算を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る圧力炊飯方式の炊飯器を示す。この炊飯器は、電磁誘導加熱される炊飯鍋10を着脱可能に収容する炊飯器本体11と、該炊飯器本体11に回動可能に取り付けた蓋体23とを備えている。この炊飯器は、制御手段であるマイコン72により、予め設定されたプログラムに従って炊飯処理を実行した後、引き続いて第1保温処理を実行する。そして、本実施形態の炊飯器は、第1保温処理中に炊飯鍋10内の米飯残量を判断し、その米飯残量に応じて加熱制御(温調設定温度)を変更する構成としている。
【0022】
炊飯器本体11は、筒形状をなす胴体12と、該胴体12の下端開口を閉塞する底体13と、胴体12の上端開口を覆うように取り付けた肩体14とからなる外装体を備えている。この肩体14は、その略中央に炊飯鍋10を着脱可能に配置するための開口部15を備え、この開口部15の正面側(図1中左側)に、蓋体23の閉塞状態を維持するための孔からなる係合受部16が設けられている。また、肩体14の開口部15には、筒状をなす内胴17と、非導電性材料からなる受け皿状の保護枠18とが配設されている。この保護枠18の下部外周面には、第1加熱手段である誘導加熱コイル19がフェライトコア20を介して配設されている。また、内胴17の外周部には、第2加熱手段である胴ヒータ21が配設されている。さらに、保護枠18には、該保護枠18を貫通して内部の炊飯鍋10を介して飯米および米飯の温度を検出するための第1鍋温度検出手段である炊飯鍋用温度センサ22(サーミスタ)が配設されている。
【0023】
蓋体23は、肩体14の背部に形成されたヒンジ受部に開閉(回動)可能に取り付けられ、炊飯器本体11の上端開口を閉塞するものである。この蓋体23は、炊飯器本体11の外装体と共に外表面材を構成する上板24と、該上板24の底を閉塞する下板29と、該下板29の下面に着脱可能に装着される内蓋46とを備えている。そして、この蓋体23の内部には、炊飯鍋10内と外部とを連通する排気通路が設けられ、この排気通路に炊飯鍋10内を大気圧より高い圧力に昇圧するための圧力投入手段であるリリーフ弁49が設けられている。
【0024】
上板24には、その前部に蓋体23を開放操作するための操作部材25が配設されている。この操作部材25は、外装体の表面に露出されるロック解除操作部26を備え、その内面に、後述するロック部材31をロック解除方向に回転させるための押圧部27が設けられている。この操作部材25は、図示しないキックバネによって上向きに付勢されている。また、上板24の背部には、排気通路の出口を構成する蒸気口ユニット28が配設されている。
【0025】
図1および図2に示すように、下板29は、肩体14の上側の凹状の窪み形状と対応する形状をなす。この下板29の背部には、肩体14のヒンジ受部に軸によって回動可能に軸着されるヒンジ接続部30が設けられている。さらに、下板29の前部にはロック部材31が回動可能に取り付けられている。このロック部材31は、蓋体23を炊飯器本体11に対して閉塞した状態に維持するためのもので、図2および図3に示すように、金属板を屈曲加工することにより形成されている。このロック部材31には、その両側面に下板29に対して軸着するための軸部32が設けられている。また、ロック部材31の下端縁両側には、肩体14の係合受部16に着脱可能に係合し、肩体14の樹脂壁を挟んで炊飯鍋10のフランジ部に係止する一対の係合爪部33がL字形状をなすように設けられている。さらに、ロック部材31には、上端中央に背面(ヒンジ接続部30)側上向きに傾斜して延び、操作部材25の押圧部27が当接する受部34が設けられている。なお、このロック部材31は、図示しない付勢手段であるキックバネによって図1に示す係合位置に付勢されている。
【0026】
また、図1に示すように、下板29の底には、金属製のヒータカバー35を介して第3加熱手段である蓋ヒータ36が配設されるとともに、第2の鍋温度検出手段である蓋体用温度センサ37(図8(A)参照)が配設されている。また、下板29には、内蓋46に配設されたリリーフ弁49を収容し、排気通路の入り口部を構成する第1収容部38が設けられている。さらに、この第1収容部38の横には、内蓋46に配設された調圧弁を収容する第2収容部39が設けられている。
【0027】
そして、下板29には、第1収容部38の正面側にリリーフ弁49の駆動手段である第1ソレノイド40が配設され、第2収容部39の正面側には、調圧弁の駆動手段である第2ソレノイド41が配設されている。これらソレノイド40,41は、2ポジションソレノイドであり、通電の有無により進退するロッドを備えている。また、これらソレノイド40,41は、通電によりロッドが図1中左向きに後退する一方、通電が遮断されることによりスプリングの付勢力で図1中右向きに進出するように構成されている。そして、第1ソレノイド40のロッドの先端には、第1収容部38内に位置するリリーフ弁49の球状部材52を押圧する押圧部材42が配設されている。また、第2ソレノイド41の先端には、調圧弁を下向きに押圧可能な押下部材43が配設されている。
【0028】
押圧部材42には、第1ソレノイド40の駆動力を利用して蓋体23を開放不可能にロックする移動部材44が配設されている。この移動部材44は、図2に示すように矩形状の枠体からなり、第1ソレノイド40に通電されると、ロッドが後退することにより押圧部材42を介してロック部材31の側に移動する一方、第1ソレノイド40に対する通電が遮断されると、ロッドが進出することによりロック部材31から離反するように移動する。この移動部材44におけるロック部材31の側の端部は、ロック部材31の移動領域に進退可能なロック部45を構成する。なお、この移動部材44は、図7(A)に示すように、ロック部材31の係合爪部33が炊飯器本体11の係合受部16に正常な係合代で係合している状態では、ロック部材31の受部34の下部に進入したロック位置まで移動可能である。また、図7(B)に示すように、係合爪部33と係合受部16との係合代が不足し、内鍋の内圧が高まると蓋体23が開放する可能性がある異常係合状態では、ロック部材31の受部34に当接することにより、受部34の下部に進入できないハーフロック位置で停止する(図5(D)参照)。
【0029】
内蓋46は、図1に示すように、金属製の内蓋本体47と蓋パッキン48とを備え、ヒータカバー35の下部に着脱可能に配設されるものである。この内蓋46の内蓋本体47には、下板29の第1収容部38内に配置されるリリーフ弁49と、第2収容部39内に配置される調圧弁(図示せず)とが一体的に配設されている。
【0030】
リリーフ弁49は、台形筒状をなす弁座部材50と、該弁座部材50を覆うカバー51とを備え、その内部に球状部材52を転動可能に配設したものである。この球状部材52は、転動により弁座部材50に形成した通気孔53を閉塞すると、炊飯鍋10内の空気が外部に排気されるのを防止し、炊飯鍋10内を大気圧より高い圧力に加圧可能とする。また、押圧部材42に押圧されて排気通路の閉塞を解除(開放)することにより、炊飯鍋10の内圧を大気圧に戻す(平衡)ものである。なお、球状部材52は、炊飯鍋10内の圧力が1.30atmに昇圧すると、その圧力で通気孔53上から離反するように転動する重量のものを使用している。
【0031】
調圧弁(図示せず)は、スプリングにより下向きに付勢された弁体を備え、該弁体により通気孔を閉塞したものである。この調圧弁は、押下部材43によりスプリングの付勢力が変更されることにより、通気孔を閉塞する力が変更される。これにより、炊飯鍋10内を1.15atmから1.20atmの範囲で加圧可能な圧力を変更可能とするものである。
【0032】
なお、内蓋46を装着した蓋体23は、リリーフ弁49および調圧弁の内部、これらと収容部38,39との隙間から、内蓋本体47とヒータカバー35との隙間、および、蒸気口ユニット28内を経た経路が、炊飯鍋10内と外部とを連通させる排気通路を構成する。
【0033】
本実施形態の蓋体23には、蓋体23の開閉状態を検出する蓋状態検出手段として、揺動部材59を配設し、この揺動部材59の可動位置を非接触式センサであるフォトインタラプタ65によって検出する構成としている。また、本実施形態では、この揺動部材59を揺動可能な状態で配設する保持部54を移動部材44に設けることにより、1個のフォトインタラプタ65で、ロック部材31の係合爪部33と炊飯器本体11の係合受部16との係合状態を更に検出できるように構成している。
【0034】
保持部54は、移動部材44の側部に突設されており、一対の支持壁55A,55Bを備えている。これら支持壁55A,55Bの上部には第1装着孔56が設けられ、これらに別体のピン57を貫通させることにより、揺動部材59を揺動可能に装着する。また、支持壁55A,55Bには、第1装着孔56の上部に揺動部材59の回動を停止するストッパ部58が架設されている。
【0035】
揺動部材59は、ストッパ部58に対して所定間隔をもって下側に位置して延びる棒状の検知部60を備えている。この検知部60の先端には、移動部材44がロック部材31の受部34の下部に進入したロック位置で、フォトインタラプタ65の発光部66と受光部67との対向空間内の検出領域を除く位置に突出する突出部61が設けられている(図5(B)参照)。また、揺動部材59には、下向きに突出する釣合部62が設けられ、この釣合部62の上部に第1装着孔56に対応する第2装着孔63が設けられている。この釣合部62の下端には、別体の錘64が配設され、検知部60が水平方向に延びた状態で釣り合うように構成している。そして、この揺動部材59は、検知部60がストッパ部58に当接した状態で、検知部60がフォトインタラプタ65の対向空間内の検出領域を除く位置に一部が進入した状態を維持するように構成している(図5(C)参照)。
【0036】
フォトインタラプタ65は、揺動部材59の検知部60の近接および離反を非接触状態で検出するもので、発光素子を配設した発光部66と、受光素子を配設した受光部67とを備えている。これら発光部66と受光部67とは、略U字形状をなすガイド枠の対向壁部内に配設されている。このガイド枠は、対向空間内に揺動部材59を移動可能にガイドするものである。そのため、この対向空間は、その中の一部が検出領域を構成する。このフォトインタラプタ65は、検出領域に遮蔽物である検知部60が存在しない状態では、発光素子の光を受光素子が受光可能であり、検出領域に検知部60が進入した状態では、発光素子の光を受光素子が受光できない。そして、検知部60の検出状態を意味する受光状態または非受光状態を、所定の信号としてマイコン72に出力する。
【0037】
このフォトインタラプタ65は検出基板68に実装され、揺動部材59の検知部60と対応する高さに設置されている。ここで、受光部67の実質的な検出部は、対向面に設けた露出孔67aの内部に位置する。そのため、この露出孔67aの軸方向の同一形状領域が、検出領域を構成する。この露出孔67aは、図5(B)に示すように、移動部材44がロック位置にある状態で、揺動部材59の突出部61の上方に位置され、この突出部61では発光部66からの受光路を遮断しないように構成している。また、露出孔67aは、図5(C)に示すように、検知部60がストッパ部58に当接した第2可動位置で、検知部60の下端より下側に位置され、この第2可動位置で検知部60により受光路を遮断しない構成している。即ち、このフォトインタラプタ65は、蓋体23が閉じている状態で、かつ、移動部材44がアンロック位置およびハーフロック位置に移動した状態では、検知部60で受光路を遮断し、移動部材44がロック位置に移動した状態では突出部61が受光路下に位置し、検知部60で受光路を遮断しない位置に設置されている。なお、移動部材44がアンロック位置からハーフロック位置までの移動距離(間隔)をL1、アンロック位置からロック位置までの移動距離をL2とすると、これらはL1<L2である。そのため、その移動距離L1以下の領域が、フォトインタラプタ65の非検出領域となるように設置する。即ち、非検出領域とは、検知部60が受光路を遮断している状態になっているため、フォトインタラプタ65の受光部67が、発光部66の発光素子からの光を受光できない領域を意味する。これにより、移動部材44を介して揺動部材59が距離L1を越えて移動すると、検知部60が非検出領域から逸脱し、その状態を検出できるように構成している。
【0038】
この炊飯器には、肩体14の正面上部に、ユーザが炊飯条件を入力するためのスイッチと、その選択状態や動作状態を表示する液晶表示板とを有する操作パネル69が配設されている。また、図1に示すように、外装体と保護枠18との間には制御基板70が配設されている。この制御基板70には、炊飯鍋10の外部雰囲気の温度を検出するための外部温度検出手段である外部温度センサ71が配設されている。この外部温度センサ71は、塵埃や湿度に対する抗力に優れたサーミスタである。なお、本実施形態の底体13には、制御基板70を配設した正面側に図示しない吸気口が配設され、その更に正面側には吸気用の排気ファンが配設されている。そのため、外部温度センサ71は、外装体内に吸引され、未だ何ら機器を冷却していない外気の温度を検出できるように構成されている。また、制御基板70にはマイコン72が実装され、このマイコン72により予め設定したプログラムに従って制御が実行される。
【0039】
本実施形態では、操作パネル69に配設した炊飯スイッチの操作を検出すると、液晶表示板によって設定された炊飯条件に基づいて、炊飯プログラムに従って、飯米の予熱、昇温(中ぱっぱ)、沸騰維持、2度炊き、および、むらしの各工程からなる炊飯処理を実行した後、引き続いて、炊き上げた米飯を所定温度に保温する第1保温処理を実行する。また、予約を含む炊飯処理および第1保温処理も何ら実行していない待機モードで、操作パネル69の保温スイッチが操作されると、第1保温処理とは異なる第2保温処理を実行する。
【0040】
炊飯処理では、炊飯スイッチの受付直後、および、昇温工程の開始時に、第1ソレノイド40の駆動を伴って、フォトインタラプタ65からの信号に基づいて、蓋体23の開閉状態を検出(判断)した後、炊飯器本体11の係合受部16およびロック部材31の係合爪部33の係合状態を検出(判断)する蓋状態検査工程を実行する。そして、蓋体23が閉塞状態であると判断し、かつ、係合受部16および係合爪部33が正常係合状態であると判断した場合には、炊飯処理を実行(続行)する。一方、蓋体23が開放状態であると判断した場合、および、係合受部16および係合爪部33が異常係合状態であると判断した場合には、第1ソレノイド40への通電を停止し、移動部材44をアンロック作動させて炊飯処理を停止する。
【0041】
また、マイコン72は、炊飯処理中に炊飯容量を判別する容量判別手段の役割をなす。具体的には、炊飯処理中の昇温工程では、誘導加熱コイル19に対してフルパワーで電力を投入することにより、飯米を水と一緒に加熱する。そして、この際に、予め設定した第1設定温度から第2設定温度まで昇温するのに要した実際の昇温時間と、予め記憶した容量判別データとに基づいて、実際の炊飯容量を判別する。なお、容量判別データとは、予め計測した炊飯容量と昇温時間による容量判別勾配に基づいて設定した演算式、および、複数の炊飯容量に対応する昇温時間のデータテーブルの両方を含む。
【0042】
一方、第1保温処理では、マイコン72は、フォトインタラプタ65からの信号に基づいて、蓋体23の開閉を検出(監視)する。そして、マイコン72はカウント手段の役割をなし、フォトインタラプタ65を介して蓋体23の開放を検出すると開放時間tのカウントを開始し、蓋体23の閉塞を検出すると開放時間tのカウントを停止する。その後、マイコン72は炊飯鍋10内の保温量判断手段の役割をなし、蓋体23の開閉を検出する毎に、この第1保温処理の前の炊飯処理中に判別した炊飯容量と、計測した蓋体23の開放時間tと、設定された特定容量取出時間taと、に基づいて炊飯鍋10内の米飯残量を判断する。具体的には、1回の開放時間tと特定容量取出時間taから取り出された米飯量(Cup数)を判断し、炊飯容量から取り出された米飯量(減少量)を減算することにより米飯残量を判断(監視)する。そして、マイコン72は、この予測された米飯残量に応じて誘導加熱コイル19、胴ヒータ21および蓋ヒータ36による加熱制御を変更する構成としている。
【0043】
なお、炊き上げた米飯の味のムラをなくし、おいしいごはんを食べられるようにするには、炊き終わった米飯を全体的に攪拌(ほぐし)して混ぜ合わせ、米飯間の蒸気を放出させることが好ましいことが広く知られている。そして、ユーザの多くは、この作業を実際に行っていると考えられる。そのため、本実施形態では、保温量判断手段としてのマイコン72は、炊飯処理から第1保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体23の開閉は、ご飯の混ぜ合わせであると判断し、蓋体23の開放時間tに拘わらず炊飯鍋10から米飯が減少したと判断しない(米飯残量を減らさない)ようにしている。
【0044】
また、マイコン72による加熱制御は、第1保温処理中に炊飯鍋10内の米飯が予め設定した特定容量以上減少したと判断すると、炊飯鍋用温度センサ22の検出値に基づいて温調する温調設定温度を上げるように構成している。しかも、本実施形態では、外部温度センサ71による検出温度と、予め設定した基準(標準)温度とに基づいて、温調設定温度を更に変更する。具体的には、外部温度センサ71による検出温度が予め設定した基準温度より低い場合には温調設定温度を下げ、外部温度センサ71による検出温度が基準温度より高い場合に温調設定温度を上げる構成としている。ここで、温調設定温度とは、炊飯鍋用温度センサ22の設定温度である。
【0045】
次に、マイコン72による蓋体23の開閉状態判断、および、係合受部16と係合爪部33の係合状態判断を含む、蓋状態検査工程について説明する。
【0046】
この蓋状態検査工程では、マイコン72は、第1ソレノイド40に対して通電を遮断したアンロック作動状態で、フォトインタラプタ65の信号に基づいて蓋体23の開閉状態を判断する。また、マイコン72は、第1ソレノイド40に対して通電を行ったロック作動状態で、フォトインタラプタ65の信号に基づいて係合受部16と係合爪部33の係合状態を判断する。
【0047】
具体的には、炊飯器本体11に対して蓋体23を略水平方向に位置するように閉塞し、第1ソレノイド40を介して移動部材44をアンロック位置に移動させている状態では、揺動部材59は図3および図5(A)に示す状態をなす。この状態では、第1可動位置にある揺動部材59の検知部60がフォトインタラプタ65の検出領域に進入しているため、該フォトインタラプタ65はオフしている。そのため、マイコン72は、図8(B)に示すように、第1ソレノイド40を駆動していないオフ状態で、フォトインタラプタ65がオフしている状態を検出することにより、蓋体23を閉塞した状態を判断できる。
【0048】
また、ユーザが炊飯器本体11に対して蓋体23の開放操作を行うと、蓋体23は、図6(A)に示す傾斜した状態を経て、図6(B)に示す略上向きに延びる位置まで回動する。そして、揺動部材59が保持部54のストッパ部58に当接するまでは、図6(A)に示すように、揺動部材59の検知部60は、水平方向に延びた状態を維持する。また、蓋体23の開放状態では、図5(C)および図6(B)に示すように、揺動部材59の検知部60がフォトインタラプタ65の検出領域から離反し、該フォトインタラプタ65はオン信号を出力する。そのため、マイコン72は、図8(B)に示すように、第1ソレノイド40を駆動していないオフ状態で、フォトインタラプタ65がオン信号を出力している状態を検出することにより、蓋体23を開放した状態を判断できる。
【0049】
さらに、炊飯器本体11に対して蓋体23を閉塞し、係合爪部33と係合受部16とが正常係合状態である場合に、第1ソレノイド40をロック作動させると、移動部材44を介して揺動部材59は図5(B)および図7(A)に示す状態に位置する。この状態では、揺動部材59の検知部60がフォトインタラプタ65の検出領域から離反しているため、該フォトインタラプタ65はオン信号を出力する。そのため、マイコン72は、図8(B)に示すように、第1ソレノイド40を駆動しているオン状態で、フォトインタラプタ65がオン信号を出力している状態を検出することにより、係合爪部33と係合受部16とが正常係合状態であることを判断できる。
【0050】
そして、炊飯器本体11に対して蓋体23を閉塞し、係合爪部33と係合受部16とが異常係合状態である場合に、第1ソレノイド40をロック作動させると、移動部材44を介して揺動部材59は図5(D)および図7(B)に示す状態に位置する。この状態では、揺動部材59の検知部60がフォトインタラプタ65の検出領域に進入している(検出領域から離脱した状態でない)ため、該フォトインタラプタ65はオフしている。そのため、マイコン72は、図8(B)に示すように、第1ソレノイド40を駆動しているオン状態で、フォトインタラプタ65がオフしている状態を検出することにより、係合爪部33と係合受部16とが異常係合状態であることを検出できる。
【0051】
このように、本実施形態の炊飯器は、1個のセンサ65で、蓋体23の開閉状態、および、係合爪部33と係合受部16との係合状態を判断できる。そのため、製品コストの増大を抑制できるとともに、大型化を防止できる。しかも、揺動部材59を配設する移動部材44は、リリーフ弁49を開閉作動させる第1ソレノイド40を駆動手段として兼用しているため、部品点数の削減を図り、コストダウンを図ることができる。
【0052】
次に、マイコン72による炊飯鍋10内の米飯の残量判断について説明する。なお、以下の例では、炊飯可能容量が5Cupのものを用いているが、炊飯可能容量が変わった場合でも同様に設定可能である。
【0053】
マイコン72には、読み書き可能な記憶手段であるRAM(図示せず)に、特定容量が取り出されたか否かを判断するための特定容量取出時間taが記憶されている。そして、図9(A)に示すように、蓋体23の開放時間tが特定容量取出時間ta未満である場合には、米飯の減少は無いと判断する。また、蓋体23の開放時間tが特定容量取出時間ta以上2ta未満である場合には、米飯の減少は0.5cupであると判断する。そしてtが2ta以上3ta未満である場合には減少量が1.0cup、tが3ta以上4ta未満である場合には減少量が1.5cup、tが4ta以上5ta未満である場合には減少量が2.0cup、tが5ta以上6ta未満である場合には減少量が2.5cup、tが6ta以上7ta未満である場合には減少量が3.0cup、tが7ta以上8ta未満である場合には減少量が3.5cup、tが8ta以上9ta未満である場合には減少量が4.0cup、tが9ta以上10ta未満である場合には減少量が4.5cup、tが10ta以上11ta未満である場合には減少量が5.0cupであると判断する。
【0054】
例えば、図9(B)に示すように、特定容量取出時間の設定時間taを9秒とすると、1回目の蓋体23の開放時間tは、設定時間taを越える30秒であったとしても、米飯の攪拌によるものであるため、米飯量の減算は行わない。また、2回目の蓋体23の開放時間tが15秒である場合には0.5Cup減少したと判断し、3回目の蓋体23の開放時間tが8秒である場合には減少は無いと判断し、4回目の蓋体23の開放時間tが28秒である場合には1.5Cup(合計で2.0Cup)減少したと判断し、5回目の蓋体23の開放時間tが9秒である場合には0.5Cup(合計で2.5Cup)減少したと判断する。このようにして、開放時間tと特定容量取出時間taに基づいて、2回目以降の蓋体23の開閉による炊飯鍋10内の米飯の減少量を判断する。そして、炊飯処理時に判断した炊飯容量から、蓋体23の開閉毎に減少量を減算することにより、現状の米飯残量を判断(予測)する。
【0055】
次に、マイコン72による炊飯鍋10内の米飯残量に応じた温調の設定温度変更について説明する。
【0056】
まず、本実施形態では、炊飯可能容量を3段階で区画している。そして、0Cup以上1Cup以下の少量の場合、1Cupを越え3Cup以下の中量の場合、および、3Cupを越える満量の場合の各区画毎に、第1保温処理では炊飯鍋用温度センサ22の検出値に基づいて温調設定温度を変更する構成としている。なお、高温保温時の米飯の目標温調設定温度(飯温)は73℃で、低温保温時の目標温調設定温度は60℃である。
【0057】
ここで、図10(A)に示すように、標準室温(20℃)で高温保温すると、実際の飯温は、少量の場合には目標温度と同等の73.0℃であり、中量の場合には目標温度より高い73.5℃であり、満量の場合には目標温度より更に高い74.0℃である。低室温(5℃)および高室温(35℃)で高温保温した場合も同様に、実際の飯温は、米飯残量が多いほど、炊飯鍋用温度センサ22の検出値に基づいて73℃に温調(オンオフ制御)しているにも拘わらず、高い実測値を示す。なお、図10(B)に示すように、低温保温した場合も同様である。これは、炊飯鍋10内の米飯残量が少ない場合には、その上部に形成される空間容積は、米飯残量が多い場合と比較すると多い。そして、空間容積が多い場合には、胴ヒータ21や蓋ヒータ36による加熱量に対して実際に米飯が加熱される加熱効率が悪い。しかも、空間に面する炊飯鍋10の領域は、内部温度を放熱するように作用する。その結果、米飯残量が少ない場合と多い場合とでは、同一の温調設定温度としているにも拘わらず、実際に温調されている飯温は異なるものと考えられる。
【0058】
そこで、本実施形態では、炊飯鍋10内が如何なる容量であっても実際の米飯の保温温度を目標の73℃とするために、米飯残量が多くなるに従って温調設定温度が目標温度より低くなるように設定している。そして、蓋体23の開閉により炊飯鍋10内の米飯残量が特定容量以上減少したと判断すると、温調設定温度を上げるように構成している。具体的には、標準室温(20℃)で高温保温する場合、炊飯鍋用温度センサ22の検出値に基づいた温調設定温度は、少量の場合には73.0℃とし、中量の場合には72.5℃とし、満量の場合には72.0℃としている。また、標準室温(20℃)で低温保温する場合、温調設定温度は、少量の場合には60.0℃とし、中量の場合には59.5℃とし、満量の場合には59.0℃としている。
【0059】
なお、保温中の飯温は、炊飯鍋10内の米飯残量だけでなく、周囲の室温によっても異なる。即ち、図10(A)に示すように、標準室温(20℃)で高温保温している状態では、少量の場合には実際の飯温は目標温度と同様の73℃であるのに対し、低室温(5℃)の場合の実際の飯温は74℃と高く、高室温(35℃)の場合の実際の飯温は72℃と低い。中量および満量で高温保温した場合も同様に、実際の飯温は、室温が低いほど高い実測値を示し、室温が高いほど低い実測値を示す。なお、図10(B)に示すように、低温保温した場合も同様である。このように室温が低いほど飯温が高い実測値を示すのは、室温により金属製の炊飯鍋10が冷却されることにより、炊飯鍋用温度センサ22の検出値が低くなるため、過剰加熱状態になっているためと考えられる。
【0060】
そこで、本実施形態では、室温に拘わらず炊飯鍋10内の米飯の保温温度を目標の73℃とするために、室温(炊飯鍋10の外部温度)が、基準(標準)温度より低い場合には温調設定温度を目標温度より低くなるように設定し、基準温度より高い場合に温調設定温度を目標温度より高くなるように設定している。具体的には、高温保温で少量保温する場合、炊飯鍋用温度センサ22の検出値に基づいた温調設定温度は、標準室温の場合には73.0℃とし、低室温の場合には72.0℃とし、高室温の場合には74.0℃としている。また、低温保温で少量保温する場合、温調設定温度は、標準室温の場合には60.0℃とし、低室温の場合には59.0℃とし、高室温の場合には61.0℃としている。中量および満量の場合も同様にして、標準室温を基準として低室温の場合には温調設定温度を低くし、高室温の場合には温調設定温度を高くなるように設定している。
【0061】
次に、マイコン72による制御について具体的に説明する。
【0062】
まず、ユーザが炊飯器を購入した状態では、マイコン72は、一次電池(図示せず)による3Vの電圧によるバックアップモードで動作している。この状態で、電源コードの接続により商用電源が投入されると、電源回路を介してゼロクロスパルスが入力されることにより、商用電源からの電圧で動作を開始する。そして、操作パネル69のスイッチが操作されるまで待機し、いずれかの操作を検出すると、その入力処理を実行する。
【0063】
そして、炊飯スイッチの操作を検出すると、マイコン72は、図11に示すように、まず、ステップS1で、第1蓋状態検査工程を実行する。この第1蓋状態検査工程は、前述のように、第1ソレノイド40への通電を遮断したアンロック作動状態で、フォトインタラプタ65からの信号により蓋体23の開閉状態を判断する。そして、蓋体23が開放状態であると判断した場合には、炊飯処理を終了するためのフラグを立て、蓋体23が閉塞状態であると判断した場合には、係合受部16と係合爪部33の係合状態を判断する。この係合状態判断は、第1ソレノイド40への通電(オン)を行ったロック作動状態として、フォトインタラプタ65からの信号により係合受部16と係合爪部33との係合状態を判断する。そして、異常係合状態であると判断した場合には、炊飯処理を終了するためのフラグを立て、正常係合状態であると判断した場合には、炊飯処理を継続するためのフラグを立てる。
【0064】
第1蓋状態検査工程が完了すると、ステップS2で、蓋体23の状態が正常であるか否かをフラグにより判断する。そして、蓋体23が閉塞され、かつ、係合受部16と係合爪部33とが正常係合状態である場合には、ステップS3に進む。また、蓋体23が開放されている場合、または、係合受部16と係合爪部33とが異常係合状態である場合には、ステップS11に進む。
【0065】
ステップS3では、誘導加熱コイル19に通電を開始し、炊飯鍋10の温度が約50℃程度となるように温度調節して加熱する予熱工程を実行する。
【0066】
そして、予め設定した時間が経過することにより予熱工程が終了すると、ステップS4で、第2蓋状態検査工程を実行する。この第2蓋状態検査工程は、第1蓋状態検査工程と略同一であり、蓋状態が正常であると判断した場合、即ち、蓋体23が閉塞され、正常係合状態である場合には、第1ソレノイド40への通電を遮断することなくステップS5に進み、蓋状態が異常であると判断した場合、即ち、蓋体23が開放され、または、異常係合状態である場合には、第1ソレノイド40への通電を遮断してステップS5に進む点でのみ、相違する。
【0067】
ステップS5では、フラグにより蓋状態が正常である場合にはステップS6,7に進み、蓋状態が異常である場合にはステップS11に進む。
【0068】
ステップS6,7では、昇温工程と容量判別工程とを並行処理する。ステップS6の昇温工程は、誘導加熱コイル19に対して100%(フルパワー)の電力で通電し、炊飯鍋10内の飯米を含む水を沸騰させる。なお、この昇温工程では、第1ソレノイド40が通電状態を維持され、球状部材52は通気孔53上に転動して通気孔53を閉塞している。その結果、炊飯鍋10内は徐々に昇圧し、大気圧より高い圧力状態となる。ステップS7の容量判別工程は、加熱中の炊飯鍋10の温度の上昇勾配により、炊飯鍋10内に収容された炊飯容量を判別する。
【0069】
昇温工程が終了すると、ステップS8で、蓋体用温度センサ37の入力値に基づいて誘導加熱コイル19を制御して沸騰維持工程を実行する。そして、判別した炊飯容量に基づいて予め設定した時間が経過することにより沸騰維持工程が終了すると、ステップS9で、誘導加熱コイル19に対する通電量を上げて炊き上げ工程を実行する。
【0070】
炊き上げ工程で、検出温度に基づいて炊飯鍋10内のドライアップを検出すると、ステップS10でむらし工程を実行する。このむらし工程は、第1ソレノイド40への通電を遮断し、炊飯鍋10内への圧力投入を解除する。そして、胴ヒータ21および蓋ヒータ36に通電を開始する一方、誘導加熱コイル19への通電は遮断する。
【0071】
予め設定した時間が経過することにより、むらし工程が終了すると炊飯処理を終了し、引き続いて第1保温処理に移行する。
【0072】
一方、第1および第2蓋状態検査工程にて、蓋体23の状態が異常であると判断した場合には、ステップS11で、炊飯処理の終了処理を実行した後、ステップS12で、圧電ブザーまたは液晶表示板によりユーザへ知らせる報知処理を実行する。
【0073】
次に、この炊飯処理に引き続いて実行する第1保温処理について説明する。なお、第1保温処理と第2保温処理は、炊飯鍋10内の米飯残量の判断、および、それに伴う加熱制御を行うことなく、図10(A),(B)に示す中量保温状態で温調する点でのみ、相違する。
【0074】
第1実施形態の第1保温処理は、図12に示すように、操作パネル69のとりけしスイッチが操作されるまで、ステップS20〜S23に示す温調設定工程を実行した後、その設定に従って温調工程を実行するとともに米飯残量判断工程を実行するものである。
【0075】
具体的には、マイコン72は、まず、ステップS20で、保温量ランクを読み込む。この保温量ランクは、保温処理に移行した直後は、炊飯処理で判別した炊飯容量に基づき、後述する米飯残量判断工程を実行した後は、減少量に応じた米飯残量に基づいて決定される。
【0076】
ついで、ステップS21で、外部温度センサ71により外部温度を検出した後、ステップS22で、図10のように炊飯鍋10内の米飯残量と外部温度に基づいて温調設定温度を読み込んで設定する。そして、ステップS23で、温調設定温度を設定(変更)しているか否かを示すフラグfaに0(設定完了)を入力してステップS24,S25に進む。
【0077】
ステップS24,S25では、温調工程と米飯残量判断工程とを並行処理する。ステップS24の温調工程は、設定されたセンサ温度をしきい値として、誘導加熱コイル19、胴ヒータ21および蓋ヒータ36をオンオフ制御することにより、その設定温度になるように加熱制御するものである。なお、ステップS25の米飯残量判断工程は、後で詳細に説明する。
【0078】
ステップS24の温調工程および米飯残量判断工程が終了すると、ステップS26で、操作パネル69のとりけしスイッチが操作されたか否かを検出する。そして、とりけしスイッチの操作を検出しない場合にはステップS27に進み、温調設定温度の変更が必要であるか否かをfaに1(再設定必要)が入力されているか否かにより判断する。そして、faが1である場合にはステップS20に進み、faが0である場合にはステップS24,S25に進む。また、とりけしスイッチの操作を検出した場合には、誘導加熱コイル19、胴ヒータ21および蓋ヒータ36による加熱を停止してステップS28に進み、保温処理に移行した後、1回目の蓋体23の開放であるか否かを示すフラグfbに0を入力(リセット)して待機モードへ移行する。
【0079】
次に、ステップS25の米飯残量判断工程について具体的に説明する。
【0080】
この米飯残量判断工程では、マイコン72は、図13に示すように、まず、ステップS25−1で、フォトインタラプタ65の信号により蓋体23が開放されたか否かを検出する。そして、蓋体23の開放を検出した場合にはステップS25−2に進み、蓋体23の開放を検出しない場合にはそのままリターンする。なお、この状態では、第1ソレノイド40への通電は遮断されている(ステップS10)。
【0081】
蓋体23の開放を検出した場合には、ステップS25−2で、保温処理への移行後に始めての蓋体23の開放であるか否かを、fbに1が入力されているか否かにより判断する。そして、fbが0である場合、即ち、移行後1回目の開放である場合には、ステップS25−3に進み、fbに1を入力してそのままリターンする。また、fbが1である場合、即ち、移行後2回目以上の開放である場合には、ステップS25−4に進む。
【0082】
ステップS25−4では、開放時間tを計測するためのカウンタをリセットしてスタートさせた後、ステップS25−5で、フォトインタラプタ65の信号により蓋体23が閉塞されたことを検出するまで待機する。
【0083】
そして、蓋体23の閉塞を検出すると、ステップS25−6で、開放時間tの計測を停止した後、ステップS25−7で、図9のようにして炊飯鍋10内の米飯の減少量を判断する。その後、ステップS25−8で、炊飯容量と減少量に基づいて米飯残量を演算し、その予測された米飯残量により図10のようにして保温量ランクの変更が必要であるか否かを判断する。そして、保温量ランクの変更が必要である場合にはステップS25−9に進み、温調設定温度の変更を実行するためにfaに1(再設定必要)を入力してリターンする。その結果、ステップS27からステップS20を経て、温調設定工程が実行される。一方、保温量ランクの変更は不要である場合にはそのままリターンする。
【0084】
このように、本実施形態では、炊飯処理で判別した炊飯容量と、蓋体23の開放時間tと、予め設定した特定容量取出時間とに基づいて、炊飯鍋10内の米飯残量を判断する。そして、ユーザが茶碗に米飯をよそう場合、その量と時間とは略比例する。そのため、本実施形態の構成によれば、炊飯鍋10内の米飯残量を略正確に判断することができる。
【0085】
また、本実施形態では、予測された米飯残量に応じて温調する加熱制御を変更する。具体的には、炊飯鍋10内の米飯残量が減少したと判断すると、温調設定温度を上げるため、米飯の実際の温度を目標温度に維持できる。そのため、予め設定した通りの保温効果、即ち、米飯の乾燥や腐敗菌の繁殖を防止できる。
【0086】
また、本実施形態では、炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体23の開閉は「ほぐし」であると判断し、米飯は減少していないこととするため、米飯残量の誤認を防止できる。さらに、本実施形態では、蓋体23の開閉による1回の開放時間tと特定容量取出時間taに基づいて米飯の減少量を判断するものである。そのため、例えばユーザが炊飯器内の米飯残量を確認することを目的で、ほんの僅かな時間だけ蓋体23を開放した際の開放時間tを除外できる。その結果、米飯残量の誤認を更に防止できる。
【0087】
図14から図16は第2実施形態の炊飯器のマイコン72による制御を示す。この第2実施形態では、特定容量取出時間の設定時間taを、ユーザの実際の使用状況に応じて変更(学習)できるようにした点で、第1実施形態と大きく相違している。
【0088】
具体的には、第2実施形態のマイコン72は、特定容量取出時間の設定時間taを演算および変更する設定時間変更手段の役割をなす。この設定時間変更手段としてのマイコン72は、操作パネル69のとりけしスイッチの操作により保温処理が停止されるまで、蓋体23が開放された時間tを記憶し、保温処理の終了時にその開放時間tを積算する。その後、その積算時間と炊飯処理で判別した炊飯容量とに基づき、積算時間から炊飯容量を除算する。そして、その演算値が現在設定している設定時間taより大きいか否かにより、変更の要否を判断する。しかも、本実施形態では、保温処理での演算結果が予め設定した同等比較条件に2回以上(例えば3回)連続して一致した場合のみ、特定容量取出時間の設定時間taを変更する構成としている。
【0089】
ここで、本実施形態の「同等比較条件」は、炊飯処理の実行メニュー、炊飯処理で判別した炊飯容量、現設定時間taに対する大小比較としている。そして、全ての条件が3回一致し、演算値が現設定時間taより低い場合には設定時間taを1秒少なくし、演算値が現設定時間taより高い場合には設定時間taを1秒多くする。即ち、図14に示すように、現設定時間taが9秒であり、演算値が9秒未満である場合には、設定時間taを8秒に変更する。逆に、演算値が9秒を越えている場合には、設定時間taを10秒に変更する。なお、その変更後には、同様に条件比較を実行し、演算値が現設定温度より低い場合には順次1秒づつ少なくする一方、演算値が現設定温度より高い場合には順次1秒づつ多くする。
【0090】
次に、第2実施形態のマイコン72による制御について具体的に説明する。なお、炊飯処理は第1実施形態と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0091】
第2実施形態のマイコン72による保温処理は、図15に示す通りである。この保温処理は、第1実施形態のステップS28のfbのリセット後に、ステップS29として特定容量取出時間変更工程を追加している点でのみ、相違する。また、第2実施形態の米飯残量判断工程は、ステップS25−6で、開放時間tのカウンタを停止した後、RAMに記憶させる点でのみ、相違する。
【0092】
特定容量取出時間変更工程では、マイコン72は、図16に示すように、まず、ステップS29−1で、保温時間が24時間未満であるか否かを判断する。そして、保温時間が24時間未満である場合にはステップS29−2に進み、保温時間が24時間以上である場合にはリターンする。即ち、炊飯後に保温処理を24時間以上行うという状況は、ユーザの消し忘れ等による極めて希な状況である。そのため、本実施形態では、この24時間を超える保温処理での蓋体23の開放時間tは加味しない構成としている。
【0093】
ステップS29−2では、ステップS25−6で記憶した全ての開放時間t(t1,t2,…,tn)を積算(加算)した後、ステップS29−3で、その第1保温処理前に実行した炊飯処理で判別した容量を読み込む。そして、ステップS29−4で、特定容量(0.5Cup)取り出すのに要した実際の時間を演算して記憶する。
【0094】
ついで、ステップS29−5で、過去(2回分)の炊飯条件を読み込み、ステップS29−6で、全ての炊飯条件が一致しているか否かを判断する。そして、一致している場合にはステップS29−7に進み、一致していない場合にはそのままリターンする。なお、RAMへの記憶容量は過去3回分のみであり、新たな情報を記憶する場合には、最も古い情報を消去する。因みに、回数、連続であるか否か等、一致したと判断する条件は希望に応じて変更が可能である。勿論、ステップS29−5,6は行うことなく、即ち過去の炊飯条件と同等比較は行うことなく、ステップS29−7に進む構成としてもよい。
【0095】
ステップS29−7では、全ての演算値が現設定時間taより低いか否かを比較する。そして、全ての演算値が現設定時間taより低い場合にはステップS29−8に進み、特定容量取出時間の設定時間taを1秒減算してリターンする。また、1つでも演算値が現設定時間taより高い場合にはステップS29−9に進む。
【0096】
ステップS29−9では、全ての演算値が現設定時間taより高いか否かを比較する。そして、全ての演算値が現設定時間taより高い場合にはステップS29−10に進み、特定容量取出時間の設定時間taを1秒加算してリターンする。また、1つでも演算値が現設定時間taより低い場合には、設定時間taを変更することなく、そのままリターンする。
【0097】
このように、第2実施形態の炊飯器は、炊飯処理に引き続いて実行した1回の第1保温処理での蓋体23の総開放時間tと炊飯容量に基づいて特定容量取出時間の設定時間taを変更する構成としている。そのため、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができるうえ、各家庭で異なる実際の使用状況に応じて特定容量取出時間を確実に設定できる。その結果、米飯残量の誤認を確実に防止できる。
【0098】
図17は第3実施形態の炊飯器のマイコン72による制御を示す。この第3実施形態では、第2実施形態と同様に、第1保温処理の終了時に特定容量取出時間の設定時間taを変更可能し、かつ、蓋体23の開閉時間tによる米飯の減少量の判断方法を変更した点で、第2実施形態と相違している。
【0099】
具体的には、第1および第2実施形態では、1回の蓋体23の開放時間tと、設定した特定容量取出時間の設定時間taとに基づいて減少量を判断したが、第3実施形態では、蓋体23の開閉毎の開放時間tを随時積算し、その積算開放時間と特定容量取出時間に基づいて米飯の減少量を判断する構成としている。なお、この積算開放時間は、個別にカウントした開放時間tを加算する構成としてもよく、前回の開放時間をクリアすることなく継続してカウントする構成としてもよい。
【0100】
即ち、特定容量取出時間の設定時間taを9秒としている場合、1回目の蓋体23の開放時間tは、設定時間taを越える30秒であったとしても、米飯の攪拌によるものであるため、米飯量の減算は行わない。また、2回目の蓋体23の開放時間tが15秒である場合には0.5Cup減少したと判断する。そして、3回目の蓋体23の開放時間tが8秒である場合には、総開放時間が23秒になるため、総取出容量が1.0Cupになったと判断する。4回目の蓋体23の開放時間tが28秒である場合には、総開放時間が51秒になるため、総取出容量が2.5Cupになったと判断する。5回目の蓋体23の開放時間tが9秒である場合には、総開放時間が60秒になるため、総取出容量が3.0Cupになったと判断する。そして、炊飯処理時に判断した炊飯容量から、蓋体23の開閉毎に減少量を減算することにより、現状の米飯残量を判断(予測)する。
【0101】
また、操作パネル69のとりけしスイッチの操作により第1保温処理が終了されると、第2実施形態と同様に、炊飯容量と総開放時間に基づいて、1回の第1保温処理での特定容量取出時間の設定時間taを変更する。
【0102】
このように構成した第3実施形態の炊飯器は、第2実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。しかも、その実行中の第1保温処理内においても、家庭毎で異なる米飯を「よそう」のに必要な時間による米飯残量の誤認を抑制できる。
【0103】
なお、この第3実施形態のように、積算開放時間と特定容量取出時間とに基づいた減少量の判断は、特定容量取出時間を変更可能とした構成だけに限られず、第1実施形態のように、特定容量取出時間を変更不可能とした構成でも、同様に適用可能である。
【0104】
図18および図19は第4実施形態の炊飯器のマイコン72による制御を示す。この第4実施形態では、マイコン72は、炊飯処理から第1保温処理に移行した後の1回目の蓋体23の開閉を、攪拌を目的としたものか否かを判断する攪拌判断手段の役割をなすように構成している。そして、攪拌を目的としたものであると判断した場合には、その開放時間tに拘わらず炊飯鍋10から米飯が減少したと判断せず、攪拌を目的としたものでないと判断すると、その開放時間tと特定容量取出時間に基づいて米飯残量を判断する構成としている。
【0105】
本実施形態では、攪拌判断手段としてのマイコン72は、蓋体23の開放時間tが、予め設定した攪拌判断時間(例えば20秒)を超えたか否かにより、攪拌を目的としたものか否かを判断する構成としている。即ち、図18(A)に示すように、蓋体23の開放時間tが攪拌判断時間を超える30秒である場合には、攪拌を目的とした蓋体23の開放であると判断し、その開放時間tは加味することなく、米飯残量を減少させない。また、図18(B)に示すように、蓋体23の開放時間tが攪拌判断時間以下の10秒である場合には、攪拌を目的とせず「よそう」ことを目的としたものであると判断し、その開放時間tを加味し、0.5Cup減少したものと判断する構成としている。なお、攪拌判断時間は、炊飯容量に応じて異なる時間設定としてもよい。
【0106】
次に、第4実施形態のマイコン72による制御について具体的に説明する。なお、第4実施形態の炊飯処理は第1実施形態と同一であり、第1保温処理は図12に示す第1実施形態、または、図15に示す第2実施形態と同一である。即ち、第4実施形態のように1回目の蓋体23の開閉を加味するか否かは、特定容量取出時間を変更することのない第1実施形態、特定容量取出時間を変更する第2,第3実施形態のいずれにも適用可能である。そして、第4実施形態では、各第1保温処理において、ステップS25の米飯残量判断工程のみが相違する。
【0107】
具体的には、第4実施形態の米飯残量判断工程では、マイコン72は、図19に示すように、まず、ステップS30で、フォトインタラプタ65の信号により蓋体23が開放されたか否かを検出する。そして、蓋体23の開放を検出した場合にはステップS31に進み、蓋体23の開放を検出しない場合にはそのままリターンする。
【0108】
ステップS31では、fbに1が入力されているか否かにより保温処理への移行後に始めての蓋体23が開放されたか否かを判断する。そして、fbが0である場合にはステップS32に進み、fbが1である場合にはステップS36に進む。
【0109】
ステップS32では、fbに1を入力した後、ステップS33で、攪拌判断工程を実行する。この攪拌判断工程では、蓋体23が閉塞されるまでの開放時間を検出し、攪拌判断時間と比較することにより攪拌を目的とした開放であるか否かを判断する。そして、ステップS34で、攪拌と判断した場合にはそのままリターンする。また、攪拌でないと判断した場合にはステップS35に進み、開放時間tを記憶してステップS39に進む。
【0110】
一方、ステップS36では、開放時間tを計測するためのカウンタをリセットしてスタートさせた後、ステップS37で、フォトインタラプタ65の信号により蓋体23が閉塞されたことを検出するまで待機する。そして、蓋体23の閉塞を検出すると、ステップS38で、開放時間tの計測を停止して記憶した後、ステップS39に進む。
【0111】
ステップS39では、ステップS35またはステップS38で記憶した蓋体23の開放時間tと特定容量取出時間に基づいて米飯の減少量を判断する。その後、ステップS40で、炊飯容量と減少量に基づいて米飯残量を演算し、その予測された米飯残量により保温量ランクの変更が必要であるか否かを判断する。そして、保温量ランクの変更が必要である場合にはステップS41に進み、温調設定温度の変更を実行するためにfaに1を入力してリターンする。また、保温量ランクの変更は不要である場合にはそのままリターンする。
【0112】
このように、第4実施形態の炊飯器では、1回目の蓋体23の開放が攪拌を目的としたものであるか否かを判断し、攪拌を目的としたものであると判断した場合には、その開放時間tを米飯減少に加味させず、攪拌を目的としたものでないと判断した場合には、その開放時間tを米飯減少に加味させる構成としている。そのため、米飯残量の誤認を更に確実に防止できる。
【0113】
図20(A),(B)は第5実施形態の炊飯器のマイコン72による制御を示す。この第5実施形態では、マイコン72は、1回の蓋体23の開閉が、「攪拌」という行為であるか、「よそう」という行為であるか、さらに「攪拌」および「よそう」という両方の行為であるかを判断するようにした点で、第4実施形態と相違している。そして、「攪拌」を目的としたものであると判断した場合には、その開放時間tに拘わらず炊飯鍋10から米飯が減少したと判断せず、「よそう」ことを目的としたものであると判断した場合には、その開放時間tと特定容量取出時間に基づいて米飯残量を判断し、「攪拌」と「よそう」の両方であると判断した場合には、攪拌判断時間と開放時間tと特定容量取出時間に基づいて米飯残量を判断する構成としている。
【0114】
具体的には、第5実施形態の攪拌判断手段としてのマイコン72は、蓋体23の開放時間tが、予め設定した攪拌判断時間帯(例えば20秒以上50秒以下)内であるか否かにより、「攪拌」および/または「よそう」ことを目的としたものかを判断する構成としている。即ち、図18(A)のように、蓋体23の開放時間tが攪拌判断時間帯内の30秒である場合には、「攪拌」を目的とした蓋体23の開放であると判断し、その開放時間tは加味することなく、米飯残量を減少させない。また、図18(B)のように、蓋体23の開放時間tが攪拌判断時間帯の下限値(攪拌であるか否かを判断する第2攪拌判断時間)未満の10秒である場合には、「攪拌」を目的とせず「よそう」ことを目的としたものであると判断し、その開放時間tを加味し、0.5Cup減少させる。さらに、図20(A)のように、蓋体23の開放時間tが攪拌判断時間帯の上限値(米飯の攪拌が終了したか否かを判断する第1攪拌判断時間)を越える60秒である場合には、米飯の「攪拌」後に「よそう」ことを目的としたものであると判断し、その開放時間tから攪拌判断時間帯の上限値(50秒)を減算し、10秒間「よそう」という行為を行ったと判断し、0.5Cup減少させる。同様に、図20(B)のように、蓋体23の開放時間tが攪拌判断時間帯を越える70秒である場合には、米飯の「攪拌」後に20秒間「よそう」という行為を行ったと判断し、1.0Cup減少させる。勿論、攪拌判断時間帯(第1,第2攪拌判断時間)は、第4実施形態と同様に、炊飯容量に応じて異なる時間帯設定としてもよい。
【0115】
このように構成した第5実施形態の炊飯器は、第4実施形態のステップS33での攪拌判断工程で、前述のように、蓋体23の開放時間taが攪拌判断時間帯内であるか否かにより攪拌を目的としたものか否かを判断する。そして、「よそう」という行為およびその行為を含む場合には、米飯の減少量を判断する。そのため、米飯残量の誤認を更に確実に防止できる。
【0116】
なお、本発明の炊飯器は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0117】
例えば、各実施形態では、蓋体23の開閉を検出する蓋状態検出手段を揺動部材59とフォトインタラプタ65により構成したが、磁石とリードスイッチにより構成してもよく、マイクロスイッチにより構成してもよい。即ち、蓋体23の開放と閉塞を区別して検出できる構成であれば、いずれでも適用可能である。
【0118】
また、各実施形態では、図9に示すように、1回の蓋体23の開放時間tにより減少したと判断する設定時間(特定容量取出時間)taを、0.5Cupと1.0Cup以上とで同一に設定したが、1.0Cup以上の設定時間は異なるように構成してもよい。即ち、図21(A)に示すように、蓋体23が開放するのに要する開放動作時間tαと、蓋体23を閉塞するのに要する閉塞動作時間tβとすると、これらの動作時間(tα+tβ)を減算した時間tγが実際に米飯を「よそう」のに必要な時間である。そのため、1.0Cupの設定(判断)時間は、図21(B)に示すように、第1特定容量取出時間taに、第2特定容量取出時間tγを加算した時間としてもよい。即ち、蓋体23の開放時間tが特定容量取出時間ta未満である場合には、米飯の減少は無いと判断する。また、蓋体23の開放時間tが特定容量取出時間ta以上ta+tγ未満である場合には、米飯の減少は0.5cupであると判断する。そしてtがta+tγ以上ta+2tγ未満である場合には減少量が1.0cup、tがta+2tγ以上ta+3tγ未満である場合には減少量が1.5cup、tがta+3tγ以上ta+4tγ未満である場合には減少量が2.0cup、tがta+4tγ以上ta+5tγ未満である場合には減少量が2.5cup、tがta+5tγ以上ta+6tγ未満である場合には減少量が3.0cup、tがta+6tγ以上ta+7tγ未満である場合には減少量が3.5cup、tがta+7tγ以上ta+8tγ未満である場合には減少量が4.0cup、tがta+8tγ以上ta+9tγ未満である場合には減少量が4.5cup、tがta+9tγ以上ta+10tγ未満である場合には減少量が5.0cupであると判断する。勿論、各動作時間tα,tβは、蓋状態検出手段による検知時間を加味して設定する。
【0119】
また、第2実施形態では、第1保温処理での総開放時間tと炊飯容量に基づいて演算した演算値を、特定容量取出時間の現設定時間taと大小比較だけを行い、条件に一致している場合には1秒毎に減算または加算する構成としたが、複数回分の演算値の平均値を特定容量取出時間として設定してもよい。
【0120】
さらに、第4および第5実施形態では、攪拌判断手段をマイコン72により構成し、蓋体23の開放時間tと予め設定した攪拌判断時間または攪拌判断時間帯から攪拌であるか否かを判断する構成としたが、炊飯器本体11の外装体に静電容量の変化等によって人が触れたことを検出する人体検出センサを設け、この人体検出センサの信号に基づいて攪拌であるか否かを判断する構成としてもよい。即ち、ユーザが炊飯鍋10内の米飯を攪拌する場合には、炊飯器本体11に大きな回転力が加わるため、炊飯器本体11における肩体14を手で押さえることが多い。そのため、人体検出センサが、外装体に人体が触れていることを意味する信号を出力している場合には攪拌であると判断し、蓋体23の開放時間を米飯の減少に考慮しないように構成する。また、米飯を「よそう」場合、通常はしゃもじと茶碗を両手に持つため、炊飯器本体11にユーザが触れることはない。そのため、人体検出センサが、人体が触れていることを意味する信号を出力していない場合、または、何ら信号を出力していない場合、攪拌ではないと判断し、蓋体23の開放時間に基づいて米飯残量を減少させるように構成する。勿論、攪拌判断手段は、攪拌に伴う炊飯器の変化を検出できる構成であれば、希望に応じて変更が可能である。
【0121】
そして、第4および第5実施形態のように、保温処理に移行した最初の蓋体23の開放が攪拌を目的としたものか否かを判断する攪拌判断手段の構成は、第1実施形態のように特定容量取出時間の設定時間taを変更しない構成、第2および第3実施形態のように特定容量取出時間の設定時間taを変更する構成のいずれにも適用可能である。そして、特に第2および第3実施形態に採用することにより、米飯残量の誤認を一層抑制できる。
【0122】
また、前記実施形態では、蓋体23の開閉を検出する毎に炊飯鍋10内の米飯残量を判断する構成としたが、例えば2回等の所定回数の開閉を検出すると、炊飯鍋10の米飯残量を判断する構成としてもよい。この場合、米飯残量を判断しないときには、蓋体23の開放時間tを記憶し、米飯残量を判断する際に記憶した開放時間tを積算して判断することが好ましい。
【符号の説明】
【0123】
10…炊飯鍋、11…炊飯器本体、19…誘導加熱コイル(加熱手段)、21…胴ヒータ(加熱手段)、22…炊飯鍋用温度センサ(鍋温度検出手段)、23…蓋体、36…蓋ヒータ(加熱手段)、37…蓋体用温度センサ(鍋温度検出手段)、44…移動部材、54…保持部、59…揺動部材(蓋状態検出手段)、65…フォトインタラプタ(蓋状態検出手段)、69…操作パネル、71…外部温度センサ(外部温度検出手段)、72…マイコン(制御手段、容量判別手段、カウント手段、保温量判断手段、攪拌判断手段、設定時間変更手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯鍋を収容する炊飯器本体と、前記炊飯鍋内の飯米および米飯を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体に開閉可能に取り付けられ前記炊飯鍋を閉塞する蓋体と、前記加熱手段を制御して炊飯処理を実行し続いて保温処理を実行する制御手段と、炊飯処理時に炊飯容量を判別する容量判別手段とを備えた炊飯器において、
前記蓋体の開閉状態を検出する蓋状態検出手段と、
保温処理時に、前記蓋状態検出手段の信号に基づいて蓋体の開放を検出すると開放時間のカウントを開始し、前記蓋体の閉塞を検出すると開放時間のカウントを停止するカウント手段と、
前記容量判別手段によって炊飯処理中に判別した炊飯容量と、この炊飯処理に続いて実行した保温処理中に前記カウント手段でカウントした開放時間と、設定された特定容量取出時間とに基づいて、前記炊飯鍋内の米飯残量を判断する保温量判断手段とを設け、
前記制御手段は、前記保温量判断手段により予測された米飯残量に応じて前記加熱手段による保温処理での加熱制御を変更するようにしたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記保温量判断手段は、炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体の開閉は、その開放時間に拘わらず炊飯鍋から米飯が減少したと判断しないことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体の開閉が、前記炊飯鍋内の米飯を攪拌するものか否かを判断する攪拌判断手段を設け、
前記保温量判断手段は、前記攪拌判断手段が攪拌であると判断すると、その開放時間に拘わらず炊飯鍋から米飯が減少したと判断せず、前記攪拌判断手段が攪拌でないと判断すると、その開放時間に基づいて米飯残量を判断することを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記攪拌判断手段は、前記蓋体の開放時間が予め設定した攪拌判断時間を超えたか否かにより、攪拌であるか否かを判断することを特徴とする請求項3に記載の炊飯器。
【請求項5】
炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体の開閉で、前記蓋体の開放時間が予め設定した第1攪拌判断時間を超えたか否かにより、前記炊飯鍋内の米飯の攪拌が終了したか否かを判断する攪拌判断手段を設け、
前記保温量判断手段は、前記蓋体の開放時間が第1攪拌判断時間を超えると、開放時間から第1攪拌判断時間を減算した時間に基づいて米飯残量を判断することを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記攪拌判断手段は、前記蓋体の開放時間が予め設定した第2攪拌判断時間を超えたか否かにより、攪拌であるか否かを判断し、
前記蓋体の開放時間が第2攪拌判断時間未満の場合には、その開放時間に基づいて米飯残量を判断し、
前記蓋体の開放時間が第2攪拌判断時間以上第1攪拌判断時間以下の場合には、攪拌のみであると判断し、その開放時間に拘わらず前記炊飯鍋から米飯が減少したと判断しない
ことを特徴とする請求項5に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記保温量判断手段は、前記蓋体の開閉による1回の開放時間と特定容量取出時間に基づいて米飯の減少量を判断し、この減少量と前記容量判別手段によって判別した炊飯容量から前記炊飯鍋内の米飯残量を判断することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記保温量判断手段は、前記蓋体の開閉毎の開放時間を積算し、その積算開放時間と特定容量取出時間に基づいて米飯の減少量を判断し、この減少量と前記容量判別手段によって判別した炊飯容量から前記炊飯鍋内の米飯残量を判断することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項9】
操作パネルの操作により保温処理が停止されたときまでに、前記カウント手段によりカウントした蓋体の開放時間を積算し、その積算時間と前記容量判別手段による炊飯容量とに基づいて特定容量取出時間を演算および変更する設定時間変更手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項10】
前記設定時間変更手段は、保温処理での演算結果が予め設定した同等比較条件に2回以上の予め設定した設定回数一致した場合のみ、特定容量取出時間の設定時間を変更することを特徴とする請求項9に記載の炊飯器。
【請求項11】
制御手段によって加熱手段を制御することにより炊飯鍋内の飯米を加熱して炊飯処理を実行した後、続いて前記炊飯鍋内の米飯を加熱して保温処理を実行する炊飯器の保温制御方法であって、
炊飯処理の実行時に、容量判別手段によって炊飯容量を判別しておき、
引き続いて実行する保温処理時に、蓋状態検出手段によって蓋体の開閉を監視し、
前記蓋状態検出手段によって蓋体の開放を検出するとカウント手段によって開放時間をカウントするとともに、前記蓋状態検出手段によって蓋体の閉塞を検出するとカウント手段による開放時間のカウントを停止した後、
保温量判断手段が、前記容量判別手段によって判別した炊飯容量と、前記カウント手段でカウントした開放時間と、設定された特定容量取出時間とに基づいて、前記炊飯鍋内の米飯残量を判断し、
前記制御手段は、前記保温量判断手段により予測された米飯残量に応じて前記加熱手段による加熱制御を変更することを特徴とする炊飯器の保温制御方法。
【請求項1】
炊飯鍋を収容する炊飯器本体と、前記炊飯鍋内の飯米および米飯を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体に開閉可能に取り付けられ前記炊飯鍋を閉塞する蓋体と、前記加熱手段を制御して炊飯処理を実行し続いて保温処理を実行する制御手段と、炊飯処理時に炊飯容量を判別する容量判別手段とを備えた炊飯器において、
前記蓋体の開閉状態を検出する蓋状態検出手段と、
保温処理時に、前記蓋状態検出手段の信号に基づいて蓋体の開放を検出すると開放時間のカウントを開始し、前記蓋体の閉塞を検出すると開放時間のカウントを停止するカウント手段と、
前記容量判別手段によって炊飯処理中に判別した炊飯容量と、この炊飯処理に続いて実行した保温処理中に前記カウント手段でカウントした開放時間と、設定された特定容量取出時間とに基づいて、前記炊飯鍋内の米飯残量を判断する保温量判断手段とを設け、
前記制御手段は、前記保温量判断手段により予測された米飯残量に応じて前記加熱手段による保温処理での加熱制御を変更するようにしたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記保温量判断手段は、炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体の開閉は、その開放時間に拘わらず炊飯鍋から米飯が減少したと判断しないことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体の開閉が、前記炊飯鍋内の米飯を攪拌するものか否かを判断する攪拌判断手段を設け、
前記保温量判断手段は、前記攪拌判断手段が攪拌であると判断すると、その開放時間に拘わらず炊飯鍋から米飯が減少したと判断せず、前記攪拌判断手段が攪拌でないと判断すると、その開放時間に基づいて米飯残量を判断することを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記攪拌判断手段は、前記蓋体の開放時間が予め設定した攪拌判断時間を超えたか否かにより、攪拌であるか否かを判断することを特徴とする請求項3に記載の炊飯器。
【請求項5】
炊飯処理から保温処理に移行した後の最初の1回の蓋体の開閉で、前記蓋体の開放時間が予め設定した第1攪拌判断時間を超えたか否かにより、前記炊飯鍋内の米飯の攪拌が終了したか否かを判断する攪拌判断手段を設け、
前記保温量判断手段は、前記蓋体の開放時間が第1攪拌判断時間を超えると、開放時間から第1攪拌判断時間を減算した時間に基づいて米飯残量を判断することを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記攪拌判断手段は、前記蓋体の開放時間が予め設定した第2攪拌判断時間を超えたか否かにより、攪拌であるか否かを判断し、
前記蓋体の開放時間が第2攪拌判断時間未満の場合には、その開放時間に基づいて米飯残量を判断し、
前記蓋体の開放時間が第2攪拌判断時間以上第1攪拌判断時間以下の場合には、攪拌のみであると判断し、その開放時間に拘わらず前記炊飯鍋から米飯が減少したと判断しない
ことを特徴とする請求項5に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記保温量判断手段は、前記蓋体の開閉による1回の開放時間と特定容量取出時間に基づいて米飯の減少量を判断し、この減少量と前記容量判別手段によって判別した炊飯容量から前記炊飯鍋内の米飯残量を判断することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記保温量判断手段は、前記蓋体の開閉毎の開放時間を積算し、その積算開放時間と特定容量取出時間に基づいて米飯の減少量を判断し、この減少量と前記容量判別手段によって判別した炊飯容量から前記炊飯鍋内の米飯残量を判断することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項9】
操作パネルの操作により保温処理が停止されたときまでに、前記カウント手段によりカウントした蓋体の開放時間を積算し、その積算時間と前記容量判別手段による炊飯容量とに基づいて特定容量取出時間を演算および変更する設定時間変更手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項10】
前記設定時間変更手段は、保温処理での演算結果が予め設定した同等比較条件に2回以上の予め設定した設定回数一致した場合のみ、特定容量取出時間の設定時間を変更することを特徴とする請求項9に記載の炊飯器。
【請求項11】
制御手段によって加熱手段を制御することにより炊飯鍋内の飯米を加熱して炊飯処理を実行した後、続いて前記炊飯鍋内の米飯を加熱して保温処理を実行する炊飯器の保温制御方法であって、
炊飯処理の実行時に、容量判別手段によって炊飯容量を判別しておき、
引き続いて実行する保温処理時に、蓋状態検出手段によって蓋体の開閉を監視し、
前記蓋状態検出手段によって蓋体の開放を検出するとカウント手段によって開放時間をカウントするとともに、前記蓋状態検出手段によって蓋体の閉塞を検出するとカウント手段による開放時間のカウントを停止した後、
保温量判断手段が、前記容量判別手段によって判別した炊飯容量と、前記カウント手段でカウントした開放時間と、設定された特定容量取出時間とに基づいて、前記炊飯鍋内の米飯残量を判断し、
前記制御手段は、前記保温量判断手段により予測された米飯残量に応じて前記加熱手段による加熱制御を変更することを特徴とする炊飯器の保温制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−268848(P2010−268848A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121001(P2009−121001)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】
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