説明

炊飯器

【課題】使用時におけるパネル浮き・剥がれを防止し、最悪の場合内部基板の露出やシール性能の低下による不安全を回避する、信頼性、安全性の高い炊飯器を実現する。
【解決手段】本体と、本体内部に着脱自在に収納される鍋と、本体上面を開閉自在に覆う蓋体と、本体前面には、機器を操作する操作部と、機器の動作状態を示す表示部の少なくともいずれか一方を有し、前記操作部および表示部の外面を形成するパネルを有する構成において、前記パネル裏面には前記本体に対する嵌合用の複数個のツメが配設されており、前記ツメはある一定以上倒れないように、ツメ折れ防止機構を設けることにより、機器組み立て時におけるパネルのツメ折れが防止でき、使用時におけるパネル浮き・剥がれを防止できるため、最悪の場合内部基板の露出やシール性能の低下による不安全を回避することが可能となるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭、あるいは業務用に使用する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器は、本体と、本体に着脱自在に設けられた鍋と、鍋上面を開閉自在に覆う蓋体と、本体前部には機器を操作する操作部が設けられており、操作部の表面は透明の合成樹脂製のパネルにより覆われた構成を有している。パネル裏面には、複数のツメが設けられており、このツメが本体に嵌合することにより、パネルを固定している。また、パネル裏面には、機器を動作させる基板が配設されているため、機器使用時やお手入れ時に本体に付着した水が、パネルと本体の隙間から本体内部に流入することを防止するために、パネルと本体の隙間に両面テープなどのシール部材を補助的に設ける場合が多い。
【特許文献1】特開2001−321264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来構成の炊飯器においては、ツメが嵌合している前提で変形や浮きに対する配慮を行ってきている。しかしながら、現状の機器組み立て工程においては、パネル表面の傷や異物が内部に混入することを防ぐために、機器組み立て工程の最後の方でパネルをセットしており、パネルセット時にはツメが折れているかどうかの確認はできない。したがって、パネルセットの作業ばらつきあるいは作業環境ばらつき、例えば低温環境下での組み立てなどにより、パネルのツメ折れが発生する場合があったとしても、そのまま市場に流出する可能性があった。ツメ折れが発生すると、使用時におけるパネル浮き・剥がれの発生につながる可能性があり、最悪の場合内部基板の露出やシール性能の低下による不安全が懸念される。また、蓋体に操作部を有する構成の炊飯器においては、パネルの浮き・剥がれにより、水だけではなく炊飯中の蒸気がパネルと蓋体の隙間から流入する可能性があり、表示の曇りや操作異常などの不具合も懸念される。
【0004】
本発明は以上の事情に鑑みてなされたもので、ツメ折れ防止機構を設けることにより、機器組み立て時におけるパネルのツメ折れが防止でき、ツメが折れることによるパネル浮き・剥がれを防止でき、結果として水や蒸気の浸入による表示の曇りや操作異常、内部基板の露出やその他シール性能の低下による不安全を回避するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために本発明は、操作部および/または表示部の外面を形成するパネルと、パネル裏面に設けられるとともに本体に嵌合するツメと、ツメが所定距離以上傾動すると当接するツメ折れ防止リブとを有する炊飯器である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、機器組み立て時におけるパネルのツメ折れが防止できるため、機器使用時におけるツメ折れによる嵌合不具合が引き起こすパネル浮き・剥がれを防止でき、シールを確実に行うことが可能となるため、水や蒸気の浸入による表示の曇りや操作異常、内部基板の露出やその他シール性能の低下による不安全を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、本体と、本体内部に着脱自在に収納される鍋と、本体上面を開閉自在に覆う蓋体と、機器を操作する操作部と、前記操作部の外面を形成するパネルを有する構成において、前記パネル裏面には前記本体に対する嵌合用の複数個のツメが配設されており、前記ツメがある一定以上倒れないように規制する、ツメ折れ防止機構を設けることにより、機器組み立て時におけるパネルのツメ折れが防止でき、機器使用時におけるツメ折れによる嵌合不具合が引き起こすパネル浮き・剥がれを防止でき、シールを確実に行うことが可能となるため、水や蒸気の浸入による表示の曇りや操作異常、内部基板の露出やその他シール性能の低下による不安全を回避することができるものである。
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0009】
(実施の形態1)
以下、本発明の第1の実施の形態を図1により説明する。
【0010】
図1において、1は上面が開口する本体であり、2は鍋で、本体1に着脱自在に内蔵されている。本体1の上面開口部を覆う位置には蓋体3が設けられており、蓋体3は本体1の後方に設けられたヒンジ軸4および蓋体3を開方向に付勢するヒンジバネ(図示せず)により、回動自在に枢支されている。蓋体3の下方には、鍋内に上面から熱を加える加熱板5と、加熱板5の外周部には、鍋2とのシールを行う鍋パッキン6を一体に設けた加熱板ユニット7が着脱自在に設けられており、加熱板ユニット7の先端には、蓋体3を閉封保持するためのフック部8が設けられている。本体1の前部には、機器の操作を行うための操作部9と機器の動作状態を表示する表示部10が設けられており、操作部9と表示部10の外側を覆うように、パネル11が設けられている。パネル11の裏面には、複数のツメ12が設けられており、ツメ12により本体1に嵌合、固定されている。機器組み立て時においては、パネル11を本体1に取付けてから、操作部9や表示部10を取付けると、パネル11のツメ折れの確認はできるが、組み立て作業中のパネル11の傷付きや、パネル11裏面への異物付着の懸念があり、品質確保が困難である。したがって、本体1に操作部9や表示部10を取りつけた後、パネル11を本体1に取付ける構成となっている。パネル11と本体1の間には、使用時やお手入れ時における本体内部への水侵入を防止するために、発泡シリコンゴム製のφ3の紐状シールパッキン13が設けられている。シールパッキン13は、パネル11裏面に設けられたシール用リブ15により約1mm押しつぶされることにより、シール性を確保している。
【0011】
ツメ12の背面にはツメ折れ防止リブ14が設けられており、機器組み立て時においてある一定以上ツメ12がたわまないように規制している。
【0012】
図2にツメ部の部分拡大図を示す。(a)は、ツメ12が本体1に嵌合している状態である。このとき、ツメ12の係り代をaとすると、機器組み立て時には、(b)に示すように、ツメ12は係り代aの寸法だけたわみながら本体1にセットされる。このとき、ツメ折れ防止リブ14がない構成の場合(c)、パネルセット時の部品や作業ばらつきにより、ツメ12に想定以上の負荷や曲げが加えられてツメ12が折れる場合がある。そこで、ツメ12のたわみが、係り代aに0.2程度の余裕を加えたb寸法以上とならないように、ツメ12の背面にツメ折れ防止リブ14を設けた構成(d)により、ツメ12が必要以上曲がらないように規制することが可能となり、パネルセット時の部品や作業ばらつきによるツメ折れを防止することができる。これにより、パネル11と本体1の嵌合が確実となり、機器使用時におけるツメ折れによる嵌合不具合が引き起こすパネル浮き・剥がれを防止でき、シールを確実に行うことが可能となるため、水や蒸気の浸入による表示の曇りや操作異常、内部基板の露出やその他シール性能の低下による不安全を回避することができる。
【0013】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態における炊飯器の要部断面図を示すものである。
【0014】
図3において、1は上面が開口する本体であり、2は鍋で、本体1に着脱自在に内蔵されている。本体1の上面開口部を覆う位置には蓋体3が設けられており、蓋体3は本体1の後方に設けられたヒンジ軸4および蓋体3を開方向に付勢するヒンジバネ(図示せず)により、回動自在に枢支されている。蓋体3の下方には、鍋内に上面から熱を加える加熱板5と、加熱板5の外周部には、鍋2とのシールを行う鍋パッキン6を一体に設けた加熱板ユニット7が着脱自在に設けられている。蓋体3には、動作状態を表示する表示部10を有する操作基板15が設けられており、操作基板15の表面はパネル11によって覆われている。パネル11の裏面には、複数のツメ12が設けられており、ツメ12により蓋体3に嵌合、固定されている。16は鍋2内で発生した蒸気を外部に排出する蒸気口であり、17は蒸気口16から排出される蒸気や、使用時やお手入れ時にかかる水が、パネル11と外蓋3の隙間から内部に侵入することを防止するためのシール用両面テープである。また、ツメ12の背面には、ツメ12が係り代に0.2程度の余裕を確保した寸法以上たわまないように、たわみを規制するツメ折れ防止リブ14が設けられており、機器組み立て時においてある一定以上ツメ12がたわまないように規制している。特に本実施の形態が示すような、蓋体3に操作部を有する構成においては、使用時にふきん等をかけて使用された場合には、炊飯中に発生する蒸気が直接パネル11にかかることとなり、パネル11が高温高湿雰囲気中に暴露され、変形しやすい環境となる。このような使用状態においても、操作基板15に蒸気が流入しないように、パネル11と蓋体3の間は、ツメ12による嵌合とシール用両面テープ17によりシールされている。したがって、パネル11セット時にツメ折れが発生すると、上記シール性の確保は困難となり、操作基板15に水や蒸気の流入する可能性が生じ、機器の誤動作や、内部基板の露出の恐れがある。そこで、ツメ12の背面にツメ折れ防止リブ14を設けることにより、パネルセット時における部品、作業ばらつきによるツメ折れを防止することができ、機器使用時におけるツメ折れによる嵌合不具合が引き起こすパネル浮き・剥がれを防止でき、シールを確実に行うことが可能となるため、水や蒸気の浸入による表示の曇りや操作異常、内部基板の露出やその他シール性能の低下による不安全を回避することが可能となり、より信頼性、安全性の高い炊飯器を提供できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0015】
以上のように、家庭用のみならず業務用の炊飯器等の用途にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図2】本発明の実施の形態1における炊飯器の要部断面図
【図3】本発明の実施の形態2における炊飯器の要部断面図
【符号の説明】
【0017】
1 本体
2 鍋
3 蓋体
9 操作部
10 表示部
11 パネル
12 ツメ
14 ツメ折れ防止リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体内部に着脱自在に収納される鍋と、前記本体開口面を開閉自在に覆う蓋体と、動作を操作入力する操作部と、動作状態を表示する表示部と、前記操作部および/または前記表示部の外面を形成するパネルと、前記パネル裏面に設けられるとともに前記本体に嵌合するツメと、前記ツメが所定距離以上傾動すると当接するツメ折れ防止リブとを有することを特徴とした炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−141600(P2006−141600A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334132(P2004−334132)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】