炊飯器
【課題】赤外線検知部の検知環境を常時良好に保ち、鍋の赤外線による温度検知精度を高めることを目的とするものである。
【解決手段】鍋収納部1に着脱自在に収納されて鍋加熱手段7により加熱され、上方開放部が蓋体8で開閉される鍋4から放射される赤外線を赤外線検知部15で検知し、その検知結果にもとづき前記鍋加熱手段7を制御手段20を介して制御するようにし、前記赤外線検知部15は鍋収納部1を構成する保護枠2の赤外線透過窓14を介して鍋4の外面に対向するようにその保護枠2の外側に配置するとともに、赤外線透過窓14を介した鍋4に対する赤外線検知部15の対向関係を遮断手段で任意に遮断するようにした。遮断手段は、例えばシャッター19で構成したものが考えられる。
【解決手段】鍋収納部1に着脱自在に収納されて鍋加熱手段7により加熱され、上方開放部が蓋体8で開閉される鍋4から放射される赤外線を赤外線検知部15で検知し、その検知結果にもとづき前記鍋加熱手段7を制御手段20を介して制御するようにし、前記赤外線検知部15は鍋収納部1を構成する保護枠2の赤外線透過窓14を介して鍋4の外面に対向するようにその保護枠2の外側に配置するとともに、赤外線透過窓14を介した鍋4に対する赤外線検知部15の対向関係を遮断手段で任意に遮断するようにした。遮断手段は、例えばシャッター19で構成したものが考えられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は赤外線検知部を介して鍋の温度を非接触状態下で検知して炊飯動作を制御するようにした炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種炊飯器は、図15に示すように、鍋101を収納した保護枠102に開口103を設けて筒体104を臨ませ、この筒体104の内部下方に赤外線検知部105を配設していた。
【0003】
前記赤外線検知部105の検知素子106は筒体104の内部空間を介して鍋101の外面に対向しており、そこから放射される赤外線を温度信号として検知し、鍋加熱手段の出力を制御手段を介して制御するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−49911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の構成では、赤外線のエネルギー量の強弱により、鍋101の温度を直接検知することができ、接触式の温度検知手段に比べ鍋101の温度変化に対する応答速度が高まり、その結果、鍋温度を緻密にコントロールしてご飯の食味を向上させることができるものである。
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、赤外線検知部105の検知素子106が鍋101の収納部である保護枠102に常時露出しているため、炊飯器使用過程で、鍋101に付着した水滴の落下、米粒の侵入、埃の堆積など、経時的に赤外線検知部105の検知素子106に異物が付着して鍋101からの赤外線量を遮断するため、炊飯などの温度制御が的確にできず、ご飯の食味を低下させてしまうという課題があった。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解消したもので、赤外線検知部の検知環境を常時良好に保ち、鍋の赤外線による温度検知精度を高めることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、鍋収納部を構成する保護枠を内設した炊飯器本体と、前記鍋収納部に着脱自在に収納されて鍋加熱手段により加熱される鍋と、この鍋の上方開放部を開閉自在に覆う蓋体と、前記鍋から放射される赤外線を検知する赤外線検知部と、この赤外線検知部の検知結果にもとづき前記鍋加熱手段を制御する制御手段とを具備し、前記赤外線検知部は保護枠の赤外線透過窓を介して鍋の外面に対向させるとともに、赤外線透過窓を介した鍋の外面に対する赤外線検知部の対向関係を任意に遮断する遮断手段を装備したものである。
【0008】
これにより、必要に応じて遮断手段を介して赤外線検知部を遮断することにより、その検知環境を常時良好に保つことができるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の炊飯器によれば、鍋の赤外線による温度検知精度を著しく高めて炊飯動作時の温度制御を的確とし、これより、食味のよいご飯を炊くことができるもので、すぐれた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、鍋収納部を構成する保護枠を内設した炊飯器本体と、前記鍋収納部に着脱自在に収納されて鍋加熱手段により加熱される鍋と、この鍋の上方開放部を開閉自在に覆う蓋体と、前記鍋から放射される赤外線を検知する赤外線検知部と、この赤外線検知部の検知結果にもとづき前記鍋加熱手段を制御する制御手段とを具備し、前記赤外線検知部は保護枠の赤外線透過窓を介して鍋の外面に対向させるとともに、赤外線透過窓を介した鍋の外面に対する赤外線検知部の対向関係を任意に遮断する遮断手段を装備したもので、これにより、必要に応じて遮断手段を介して赤外線検知部を遮断することにより、その検知環境を常時良好に保つことができることとなる。
【0011】
そして、前記遮断手段としては、駆動源と連係したシャッターであって、開口と赤外線検知部との間を開閉するようにしたものとか、或いは、赤外線検知部と赤外線透過窓との位置関係を相対的変移させる、例えば、赤外線検知部を変移自在に構成して任意に赤外線透過窓からずらすものが考えられる。
【0012】
赤外線検知部を少なくとも一部を赤外線透過材で構成したケースで覆って、所謂、密閉タイプとすれば、異物に対する保護がより一層向上できる。
【0013】
この場合、ケースの赤外線検知部と対応する部分を赤外線透過材で、他の部分を金属材でそれぞれ形成すれば、赤外線検知部が静電気などの影響を受けにくくなる。
【0014】
そして、遮断手段の開閉条件の具体例としては、鍋収納部に対する鍋の有無に遮断手段を連係させ、鍋有りのときに遮断手段を開放状態に設定して、保護枠の赤外線透過窓を介した鍋の外面と赤外線検知部との対向関係を許容するようにした。
【0015】
鍋有無の検知は、例えば、鍋加熱手段を電磁誘導コイルにより構成し、この電磁誘導コイルに流れる電流により行うものとか、或いは、単純に、機械的スイッチにより鍋の有無を検知するものでもよい。
【0016】
他の開閉条件としては、炊飯動作に遮断手段を連係させ、保温を含む炊飯工程に限って遮断手段を開放状態に設定するものとか、蓋体の開閉に遮断手段を連係させ、蓋体が閉じられているときに限って遮断手段を開放状態に設定するもの、さらに、遮断手段を手動により開閉するものなどがあろう。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1〜図5において、鍋収納部1を構成する保護枠2が炊飯器本体3に内設してり、磁性材製の鍋4が前記鍋収納部1に出入自在に収納されるようにしてある。
【0019】
前記保護枠2は筒状の上部材5に有底筒状で非磁性材製の下部材6を結合して構成したもので、その下部材6の外底面、および周面下部には鍋加熱手段としての電磁誘導コイル7が配設してある。
【0020】
すなわち、鍋4は電磁誘導コイル7により誘導加熱されるようになっている。
【0021】
なお、技術的には鍋4が電磁誘導により発熱してその中の水、米などの内容物を加熱するものであるが、ここでは、便宜上、鍋4の昇温を加熱として表現することとした。
【0022】
炊飯器本体3の上方には開閉自在な蓋体8が装備してあり、合成樹脂などの非磁性材からなるその下カバー9には、鍋4の上方開口を開閉する磁性材製の内蓋10が設けてある。
【0023】
そして、前記下カバー9の上面にも内蓋10を誘導加熱するもう一つの電磁誘導コイル11が配置してある。内蓋10を誘導加熱する電磁誘導コイル11は、主に鍋4内の上層部位の加熱、および結露防止に有効に機能し、これも一つの鍋加熱手段ということができるであろう。
【0024】
蓋体8は、鍋4内から発生する蒸気を外部に排出するための蒸気筒12を有し、これと対応して内蓋10には蒸気通過用の孔13が形成してある。
【0025】
ところで、前記保護枠2の底壁中央に赤外線透過窓14を形成し、その下方に赤外線検知部15が対設してある。
【0026】
この赤外線検知部15の検知素子16は鍋4から放射される赤外線エネルギーを受けるもので、サーモパイル方式などの熱電対型や、焦電素子型、フォトダイオード型など赤外線エネルギーを受けて起電力を生じるものであれば限定されるものではない。但し、赤外線検知部15が鍋4以外の、例えば保護枠2などからの赤外線エネルギーを受熱しないように、鍋4との距離を最適に設定するのが望ましい。
【0027】
また、前記赤外線透過窓14と赤外線検知部15との間を適宜遮断する遮断手段17が装備してある。この遮断手段17はモータなどの駆動源18と連係して回転するシャッター19で構成してあって、赤外線透過窓14と上下非対向位置まで回転すれば、この赤外線透過窓14を介して赤外線検知部15が鍋4の外底面に対向してそれからの赤外線エネルギーを受熱し得る状態となり、赤外線透過窓14と上下対向位置まで回転すると、赤外線検知部15の上方が遮断されることとなる。
【0028】
炊飯器本体3の内部に配置した制御手段20の一つの機能は、浸水行程―炊き上げ行程―むらし行程―保温行程など、所謂、炊飯行程にそって電磁誘導コイル7,11への電流を制御する。そして、その制御の前提になるのが鍋4の温度を検知する赤外線検知部15からの出力、および内蓋10と接してその温度を検知する内蓋温度検知センサ21であり、それらの出力信号に応じて電磁誘導コイル7,11への電流が制御される。
【0029】
制御手段20の他の一つの機能は、炊飯動作と応動して遮断手段17を開放させることである。
【0030】
すなわち、炊飯動作時には駆動源18と連係してのシャッター19を開き位置まで回転し、これにより、赤外線透過窓14を通して赤外線検知部15を鍋4の外底面に対面させ、それからの赤外線エネルギーを受熱し得るようにするものである。
【0031】
また、炊飯非動作時には駆動源18でシャッター19を閉じ位置まで回転し、これにより、赤外線透過窓14と赤外線検知部15との間が遮断された形態となる。
【0032】
図4はその制御ブロックで、先ず、炊飯動作の判別は鍋4がセットされているか否かで行うようになっており、そのために鍋4の有無を検知する鍋検知手段22を設けている。鍋検知手段22の具体的手段は、電磁誘導コイル7に流れる電流を検知するとか、機械的スイッチを設けることなどが考えられる。
【0033】
炊飯・保温操作スイッチ23がオンされ、鍋収納部1への鍋4の存在を鍋検知手段22
が検知すると、制御手段20は遮断手段17のシャッター19を開動する。逆に、鍋収納部1への鍋4の不存在を鍋検知手段22が検知すると、制御手段20はシャッター19を閉動する。
【0034】
本実施の形態ではシャッター19に開閉不良検知手段24が付加してあり、鍋4の存在を鍋検知手段22が検知しているにもかかわらずシャッター19が開動しない場合とか、鍋4の不存在を鍋検知手段22が検知しているにもかかわらずシャッター19が閉動しない場合にはこれを検知して警告を発するようにしてある。
【0035】
図5のフローチャートで詳述する。今、炊飯開始のスタート指令を出し(ST1)、電磁コイル7,8に通電するととともに(ST2)、鍋検知手段22を介して鍋4の存在を確認する(ST3)。
【0036】
ここで鍋4がなければ異常報知をして(ST4)をして最初に戻り、鍋4がセットされていれば、シャッター19の開成指示を出す(ST5)。
【0037】
したがって、遮断装置17の駆動源18がシャッター19を開方向に回転させる。ここでシャッター19の状態確認が行われ(ST6)、もし、開動が確認されない場合には、異常報知を行う(ST7)ようにしている。
【0038】
シャッター19の開成が確認されると、赤外線検知部15の検知素子16が保護枠2の赤外線透過窓14を介して鍋4の外底面と対応することとなる。
【0039】
これにより、鍋4からの赤外線が赤外線検知部15の検知素子16で検知されるようになり、その温度に関連して電磁誘導コイル7の電力が制御され、また内蓋10を加熱する電磁誘導コイル11は内蓋温度検知センサ21の検知信号で制御されて、炊飯行程が進行されていく(ST8)。
【0040】
炊飯行程のむらしが終了した時点で炊飯の終了となり(ST9)、保温行程に移行するものである。
【0041】
保温行程が継続されている限り鍋4の存在が確認され(ST10)、ここで保温の取消し操作が行われると(ST11)、この時点で炊飯が完了し、鍋4が取出される。
【0042】
その結果、遮断装置17の駆動源18にシャッター19を閉方向に回転させる指示を出す(ST12)。
【0043】
そして、ここでもシャッター19の状態確認が行われ(ST13)、もし、閉動が確認されない場合には、異常報知を行う(ST14)ようにしている。
【0044】
シャッター19の閉成が確認されたところで前行程の完了となる(ST15)。
【0045】
このように、本実施の形態では、鍋4がない状態ではシャッター19が赤外線透過窓14と赤外線検知部15との間を遮断するものでところから、この赤外線検知部15の検知素子16に埃が堆積したり、鍋4の出し入れにともなう水滴、米粒の付着を防止することができるものである。
【0046】
(実施の形態2)
図6は実施の形態2を示し、赤外線検知部15をケース25で包囲するとともに、少なくとも検知素子16との対応部位を赤外線透過材26で形成したものである。
【0047】
なお、図2と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明は実施の形態1のものを援用した。
【0048】
この構成によれば、赤外線検知部15の保護や汚れ付着時の清掃性を向上できるとともに、検知素子16自体への水滴付着による故障のリスクも回避することができる。
【0049】
ケース25の材質は、樹脂、金属等の材質を用いるが、金属素材を使用した場合は、炊飯器の電気回路からのノイズ防止や、赤外線検知部15の周囲温度を均温化できるなど、精度向上の面での効果が得られる。
【0050】
(実施の形態3)
図7,8は実施の形態3を示すもので、図2,3と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明は実施の形態1のものを援用した。
【0051】
本実施の形態では、駆動源18で赤外線検知部15を回転変位させるようにしたもので、実施の形態1のシャッターをなくしたものである。
【0052】
すなわち、図8(a)のように、赤外線透過窓14と対応する位置まで赤外線検知部15を回転変位させれば、その検知素子16で鍋4からの赤外線を授受でき、また図8(b)のように、赤外線透過窓14から外れた位置まで赤外線検知部15を回転変位させれば、保護枠2が遮断部材となり異物などの検知素子16への付着を防止するものである。
【0053】
(実施の形態4)
図9〜図11は実施の形態4を示し、実施の形態1と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明はその実施の形態1のものを援用した。また、赤外線検知部15は実施の形態2で述べたケース25で包囲したものを採用している。
【0054】
図9のように、蓋体8の蒸気筒12に蓋開閉検知手段27が装備してある。この蓋開閉検知手段27は、蒸気筒12内に蓋体8の開閉に連動して移動するとともに、磁石を組み込んだ回転子28と、この回転子28の磁力に応答する磁力センサ29とから構成したものである。
【0055】
そして、図10のように制御手段20に蓋開閉検知手段27からの信号が入力されるようにしてある。
【0056】
本実施の形態では、蓋体8が開かれている状態、すなわち、蓋開閉検知手段27の磁石を組み込んだ回転子28が移動して、それにより磁力センサ29がオンしている状態を炊飯非動作に、蓋体8が閉じられて、蓋開閉検知手段27の磁石を組み込んだ回転子28が磁力センサ29より離れる方向に移動してそれにより同磁力センサ29がオフしている状態を炊飯動作にそれぞれ設定されている。
【0057】
したがって、磁力センサ29のオンに連係して遮断装置17のシャッター19を閉じ、磁力センサ29のオフに連係してシャッター19を開くようにしている。
【0058】
つまり、炊飯非動作状態ではシャッター19が閉じられているところから、蓋体8が開かれ、鍋4がないときでも、赤外線検知部15の検知素子16に汚れとか、異物の付着などを防止できるものである。
【0059】
さらに、図11で一連のフローを述べる。
【0060】
先ず、ST21からST27は炊飯工程に関するフローであり、鍋4に計量した米と水を入れて、保護枠2にセットする際、蓋開閉検知手段27が蓋体8が開閉されたことを検知する。
【0061】
使用者が炊飯・保温操作スイッチにより炊飯メニュー選択、炊飯開始ボタンを押した(ST22)のち、ST23にて炊飯開始判定を行う。
【0062】
このST23の炊飯開始判定は、例えば、使用者が予約操作を行い、炊飯開始ボタンを押した場合のように、すぐに鍋4の加熱工程に入らない場合は、次のシャッター開指示ST24に進めず待機することとなり、赤外線検知部15を保護枠2の空間内に露出させる時間を少なくできる。
【0063】
この制御により、鍋4の底面に水滴などが付着したままで、予約炊飯をセットされた場合でも、炊飯開始までは赤外線検知部15を隔離状態とすることで、水滴が赤外線検知部15に落下することを防止できる。
【0064】
そして、炊飯開始までの時間で鍋4の付着水分は乾燥が進むことになるため、赤外線検知部15に異物が付着するリスクをより低減し、鍋4の温度検知精度を長期間にわたってより確実に維持することができることとなる。
【0065】
ST23において、炊飯開始を認識した場合は、シャッター開の指示が出され(ST24)、シャッター19を開動作させ、赤外線検知部15による鍋4の温度検知体制を許容するものとなる。
【0066】
シャッター19の開動は開閉不良検知手段24で判定され、このとき、シャッター19が閉じたままであれば異常報知を行うようにしている(ST26)。
【0067】
シャッター19の開成が確認されると、赤外線検知部15の検知素子16が保護枠2の赤外線透過窓14を介して鍋4の外底面と対応することとなる。
【0068】
これにより、鍋4からの赤外線が赤外線検知部15の検知素子16で検知されるようになり、その温度に関連して電磁誘導コイル7の電力が制御され、また内蓋10を加熱する電磁誘導コイル11は内蓋温度検知センサ21の検知信号で制御されて、炊飯行程が進行されていく(ST27)。
【0069】
炊飯行程のむらしが終了した時点で炊飯の終了となり(ST28)、保温行程に移行するものである。
【0070】
次に、蓋体8の開閉検知が制御手段20に入力(ST29)された後、赤外線検知部15による鍋温度判定を行う(ST30)。
【0071】
鍋4の温度が50℃より大きい場合は、鍋4が保護枠2から取り出されていないと認識し、保温取り消し操作(ST31)が行われるまで、ST30前に戻り、フローを継続する。
【0072】
一方、赤外線検知部15により鍋4の温度が50℃以下と検知した場合は、鍋4が保護枠2から取り外されたと認識して、シャッター閉指示(ST32)を出し、シャッター19を閉動させる。
【0073】
この場合、シャッター19の閉動は開閉不良検知手段24で判定され(ST33)、シャッター19が開いたままであれば異常報知を行うようにしている(ST34)。
【0074】
以上にように、鍋4がセットされて、かつ炊飯工程を実施する際に、予約炊飯のように鍋4をセット後すぐに炊飯を開始されない場合は、赤外線検知部15の隔離状態を継続することで、同赤外線検知部15への異物付着リスクをより低減し、また保温工程においても、保温が実行されているとき以外は、赤外線検知部15を保護枠2空間から隔離する制御により、炊飯器を長期に渡って使用する中で、赤外線検知部15に埃、水滴、米粒などの食材が付着する可能性を低減し、その温度検知精度をより長期間にわたって安定させることができる。
【0075】
蓋開閉検知手段27としては、蓋体8の開閉により通電、非通電するリレースイッチをその開動支点となるヒンジ付近に設けたり、蓋体8の閉状態を保持するロック手段に連動させたりしてもよい。
【0076】
なお、図12に示すように、本実施の形態に実施の形態1で説明した鍋検知手段22を組合わせたり、図13,14に示すように、炊飯工程を開始した後、炊飯時間を計測する炊飯計測手段28を制御手段20に接続し、鍋4が一定時間加熱された後、シャッター19を開放することで、鍋4に水分が付着していた場合でも、初期の鍋4の加熱により水分が蒸発したあとから、赤外線検知部15の検知を開始することで、同赤外線検知部15への異物付着の可能性をさらに低減することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明した本発明にかかる炊飯器は、鍋の赤外線による温度検知精度を著しく高めて炊飯動作時の温度制御を的確とし、これより、食味のよいご飯を炊くことができるもので、一般家庭用は勿論、業務用の加熱調理器全般に利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図2】同炊飯器の赤外線検知部の設置部位を示す拡大断面図
【図3】同赤外線検知部の作動説明図
【図4】同炊飯器の制御ブロック図
【図5】同炊飯器の動作フローチャート
【図6】本発明の実施の形態2における赤外線検知部の設置部位を示す拡大断面図
【図7】本発明の実施の形態3における赤外線検知部の設置部位を示す拡大断面図
【図8】同赤外線検知部の作動説明図
【図9】本発明の実施の形態4における炊飯器の断面図
【図10】同炊飯器の制御ブロック図
【図11】同炊飯器の動作フローチャート
【図12】同炊飯器の他の例を示す制御ブロック図
【図13】同炊飯器のさらに他の例を示す制御ブロック図
【図14】同他の例の動作フローチャート
【図15】従来の炊飯器の赤外線温度検知手段周辺の拡大断面図
【符号の説明】
【0079】
1 鍋収納部
2 保護枠
3 炊飯器本体
4 鍋
7 鍋加熱手段(電磁誘導コイル)
8 蓋体
14 赤外線透過窓
15 赤外線検知部
18 駆動源
19 遮断手段(シャッター)
20 制御手段
25 ケース
26 赤外線透過材
【技術分野】
【0001】
本発明は赤外線検知部を介して鍋の温度を非接触状態下で検知して炊飯動作を制御するようにした炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種炊飯器は、図15に示すように、鍋101を収納した保護枠102に開口103を設けて筒体104を臨ませ、この筒体104の内部下方に赤外線検知部105を配設していた。
【0003】
前記赤外線検知部105の検知素子106は筒体104の内部空間を介して鍋101の外面に対向しており、そこから放射される赤外線を温度信号として検知し、鍋加熱手段の出力を制御手段を介して制御するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−49911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の構成では、赤外線のエネルギー量の強弱により、鍋101の温度を直接検知することができ、接触式の温度検知手段に比べ鍋101の温度変化に対する応答速度が高まり、その結果、鍋温度を緻密にコントロールしてご飯の食味を向上させることができるものである。
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、赤外線検知部105の検知素子106が鍋101の収納部である保護枠102に常時露出しているため、炊飯器使用過程で、鍋101に付着した水滴の落下、米粒の侵入、埃の堆積など、経時的に赤外線検知部105の検知素子106に異物が付着して鍋101からの赤外線量を遮断するため、炊飯などの温度制御が的確にできず、ご飯の食味を低下させてしまうという課題があった。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解消したもので、赤外線検知部の検知環境を常時良好に保ち、鍋の赤外線による温度検知精度を高めることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、鍋収納部を構成する保護枠を内設した炊飯器本体と、前記鍋収納部に着脱自在に収納されて鍋加熱手段により加熱される鍋と、この鍋の上方開放部を開閉自在に覆う蓋体と、前記鍋から放射される赤外線を検知する赤外線検知部と、この赤外線検知部の検知結果にもとづき前記鍋加熱手段を制御する制御手段とを具備し、前記赤外線検知部は保護枠の赤外線透過窓を介して鍋の外面に対向させるとともに、赤外線透過窓を介した鍋の外面に対する赤外線検知部の対向関係を任意に遮断する遮断手段を装備したものである。
【0008】
これにより、必要に応じて遮断手段を介して赤外線検知部を遮断することにより、その検知環境を常時良好に保つことができるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の炊飯器によれば、鍋の赤外線による温度検知精度を著しく高めて炊飯動作時の温度制御を的確とし、これより、食味のよいご飯を炊くことができるもので、すぐれた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、鍋収納部を構成する保護枠を内設した炊飯器本体と、前記鍋収納部に着脱自在に収納されて鍋加熱手段により加熱される鍋と、この鍋の上方開放部を開閉自在に覆う蓋体と、前記鍋から放射される赤外線を検知する赤外線検知部と、この赤外線検知部の検知結果にもとづき前記鍋加熱手段を制御する制御手段とを具備し、前記赤外線検知部は保護枠の赤外線透過窓を介して鍋の外面に対向させるとともに、赤外線透過窓を介した鍋の外面に対する赤外線検知部の対向関係を任意に遮断する遮断手段を装備したもので、これにより、必要に応じて遮断手段を介して赤外線検知部を遮断することにより、その検知環境を常時良好に保つことができることとなる。
【0011】
そして、前記遮断手段としては、駆動源と連係したシャッターであって、開口と赤外線検知部との間を開閉するようにしたものとか、或いは、赤外線検知部と赤外線透過窓との位置関係を相対的変移させる、例えば、赤外線検知部を変移自在に構成して任意に赤外線透過窓からずらすものが考えられる。
【0012】
赤外線検知部を少なくとも一部を赤外線透過材で構成したケースで覆って、所謂、密閉タイプとすれば、異物に対する保護がより一層向上できる。
【0013】
この場合、ケースの赤外線検知部と対応する部分を赤外線透過材で、他の部分を金属材でそれぞれ形成すれば、赤外線検知部が静電気などの影響を受けにくくなる。
【0014】
そして、遮断手段の開閉条件の具体例としては、鍋収納部に対する鍋の有無に遮断手段を連係させ、鍋有りのときに遮断手段を開放状態に設定して、保護枠の赤外線透過窓を介した鍋の外面と赤外線検知部との対向関係を許容するようにした。
【0015】
鍋有無の検知は、例えば、鍋加熱手段を電磁誘導コイルにより構成し、この電磁誘導コイルに流れる電流により行うものとか、或いは、単純に、機械的スイッチにより鍋の有無を検知するものでもよい。
【0016】
他の開閉条件としては、炊飯動作に遮断手段を連係させ、保温を含む炊飯工程に限って遮断手段を開放状態に設定するものとか、蓋体の開閉に遮断手段を連係させ、蓋体が閉じられているときに限って遮断手段を開放状態に設定するもの、さらに、遮断手段を手動により開閉するものなどがあろう。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1〜図5において、鍋収納部1を構成する保護枠2が炊飯器本体3に内設してり、磁性材製の鍋4が前記鍋収納部1に出入自在に収納されるようにしてある。
【0019】
前記保護枠2は筒状の上部材5に有底筒状で非磁性材製の下部材6を結合して構成したもので、その下部材6の外底面、および周面下部には鍋加熱手段としての電磁誘導コイル7が配設してある。
【0020】
すなわち、鍋4は電磁誘導コイル7により誘導加熱されるようになっている。
【0021】
なお、技術的には鍋4が電磁誘導により発熱してその中の水、米などの内容物を加熱するものであるが、ここでは、便宜上、鍋4の昇温を加熱として表現することとした。
【0022】
炊飯器本体3の上方には開閉自在な蓋体8が装備してあり、合成樹脂などの非磁性材からなるその下カバー9には、鍋4の上方開口を開閉する磁性材製の内蓋10が設けてある。
【0023】
そして、前記下カバー9の上面にも内蓋10を誘導加熱するもう一つの電磁誘導コイル11が配置してある。内蓋10を誘導加熱する電磁誘導コイル11は、主に鍋4内の上層部位の加熱、および結露防止に有効に機能し、これも一つの鍋加熱手段ということができるであろう。
【0024】
蓋体8は、鍋4内から発生する蒸気を外部に排出するための蒸気筒12を有し、これと対応して内蓋10には蒸気通過用の孔13が形成してある。
【0025】
ところで、前記保護枠2の底壁中央に赤外線透過窓14を形成し、その下方に赤外線検知部15が対設してある。
【0026】
この赤外線検知部15の検知素子16は鍋4から放射される赤外線エネルギーを受けるもので、サーモパイル方式などの熱電対型や、焦電素子型、フォトダイオード型など赤外線エネルギーを受けて起電力を生じるものであれば限定されるものではない。但し、赤外線検知部15が鍋4以外の、例えば保護枠2などからの赤外線エネルギーを受熱しないように、鍋4との距離を最適に設定するのが望ましい。
【0027】
また、前記赤外線透過窓14と赤外線検知部15との間を適宜遮断する遮断手段17が装備してある。この遮断手段17はモータなどの駆動源18と連係して回転するシャッター19で構成してあって、赤外線透過窓14と上下非対向位置まで回転すれば、この赤外線透過窓14を介して赤外線検知部15が鍋4の外底面に対向してそれからの赤外線エネルギーを受熱し得る状態となり、赤外線透過窓14と上下対向位置まで回転すると、赤外線検知部15の上方が遮断されることとなる。
【0028】
炊飯器本体3の内部に配置した制御手段20の一つの機能は、浸水行程―炊き上げ行程―むらし行程―保温行程など、所謂、炊飯行程にそって電磁誘導コイル7,11への電流を制御する。そして、その制御の前提になるのが鍋4の温度を検知する赤外線検知部15からの出力、および内蓋10と接してその温度を検知する内蓋温度検知センサ21であり、それらの出力信号に応じて電磁誘導コイル7,11への電流が制御される。
【0029】
制御手段20の他の一つの機能は、炊飯動作と応動して遮断手段17を開放させることである。
【0030】
すなわち、炊飯動作時には駆動源18と連係してのシャッター19を開き位置まで回転し、これにより、赤外線透過窓14を通して赤外線検知部15を鍋4の外底面に対面させ、それからの赤外線エネルギーを受熱し得るようにするものである。
【0031】
また、炊飯非動作時には駆動源18でシャッター19を閉じ位置まで回転し、これにより、赤外線透過窓14と赤外線検知部15との間が遮断された形態となる。
【0032】
図4はその制御ブロックで、先ず、炊飯動作の判別は鍋4がセットされているか否かで行うようになっており、そのために鍋4の有無を検知する鍋検知手段22を設けている。鍋検知手段22の具体的手段は、電磁誘導コイル7に流れる電流を検知するとか、機械的スイッチを設けることなどが考えられる。
【0033】
炊飯・保温操作スイッチ23がオンされ、鍋収納部1への鍋4の存在を鍋検知手段22
が検知すると、制御手段20は遮断手段17のシャッター19を開動する。逆に、鍋収納部1への鍋4の不存在を鍋検知手段22が検知すると、制御手段20はシャッター19を閉動する。
【0034】
本実施の形態ではシャッター19に開閉不良検知手段24が付加してあり、鍋4の存在を鍋検知手段22が検知しているにもかかわらずシャッター19が開動しない場合とか、鍋4の不存在を鍋検知手段22が検知しているにもかかわらずシャッター19が閉動しない場合にはこれを検知して警告を発するようにしてある。
【0035】
図5のフローチャートで詳述する。今、炊飯開始のスタート指令を出し(ST1)、電磁コイル7,8に通電するととともに(ST2)、鍋検知手段22を介して鍋4の存在を確認する(ST3)。
【0036】
ここで鍋4がなければ異常報知をして(ST4)をして最初に戻り、鍋4がセットされていれば、シャッター19の開成指示を出す(ST5)。
【0037】
したがって、遮断装置17の駆動源18がシャッター19を開方向に回転させる。ここでシャッター19の状態確認が行われ(ST6)、もし、開動が確認されない場合には、異常報知を行う(ST7)ようにしている。
【0038】
シャッター19の開成が確認されると、赤外線検知部15の検知素子16が保護枠2の赤外線透過窓14を介して鍋4の外底面と対応することとなる。
【0039】
これにより、鍋4からの赤外線が赤外線検知部15の検知素子16で検知されるようになり、その温度に関連して電磁誘導コイル7の電力が制御され、また内蓋10を加熱する電磁誘導コイル11は内蓋温度検知センサ21の検知信号で制御されて、炊飯行程が進行されていく(ST8)。
【0040】
炊飯行程のむらしが終了した時点で炊飯の終了となり(ST9)、保温行程に移行するものである。
【0041】
保温行程が継続されている限り鍋4の存在が確認され(ST10)、ここで保温の取消し操作が行われると(ST11)、この時点で炊飯が完了し、鍋4が取出される。
【0042】
その結果、遮断装置17の駆動源18にシャッター19を閉方向に回転させる指示を出す(ST12)。
【0043】
そして、ここでもシャッター19の状態確認が行われ(ST13)、もし、閉動が確認されない場合には、異常報知を行う(ST14)ようにしている。
【0044】
シャッター19の閉成が確認されたところで前行程の完了となる(ST15)。
【0045】
このように、本実施の形態では、鍋4がない状態ではシャッター19が赤外線透過窓14と赤外線検知部15との間を遮断するものでところから、この赤外線検知部15の検知素子16に埃が堆積したり、鍋4の出し入れにともなう水滴、米粒の付着を防止することができるものである。
【0046】
(実施の形態2)
図6は実施の形態2を示し、赤外線検知部15をケース25で包囲するとともに、少なくとも検知素子16との対応部位を赤外線透過材26で形成したものである。
【0047】
なお、図2と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明は実施の形態1のものを援用した。
【0048】
この構成によれば、赤外線検知部15の保護や汚れ付着時の清掃性を向上できるとともに、検知素子16自体への水滴付着による故障のリスクも回避することができる。
【0049】
ケース25の材質は、樹脂、金属等の材質を用いるが、金属素材を使用した場合は、炊飯器の電気回路からのノイズ防止や、赤外線検知部15の周囲温度を均温化できるなど、精度向上の面での効果が得られる。
【0050】
(実施の形態3)
図7,8は実施の形態3を示すもので、図2,3と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明は実施の形態1のものを援用した。
【0051】
本実施の形態では、駆動源18で赤外線検知部15を回転変位させるようにしたもので、実施の形態1のシャッターをなくしたものである。
【0052】
すなわち、図8(a)のように、赤外線透過窓14と対応する位置まで赤外線検知部15を回転変位させれば、その検知素子16で鍋4からの赤外線を授受でき、また図8(b)のように、赤外線透過窓14から外れた位置まで赤外線検知部15を回転変位させれば、保護枠2が遮断部材となり異物などの検知素子16への付着を防止するものである。
【0053】
(実施の形態4)
図9〜図11は実施の形態4を示し、実施の形態1と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明はその実施の形態1のものを援用した。また、赤外線検知部15は実施の形態2で述べたケース25で包囲したものを採用している。
【0054】
図9のように、蓋体8の蒸気筒12に蓋開閉検知手段27が装備してある。この蓋開閉検知手段27は、蒸気筒12内に蓋体8の開閉に連動して移動するとともに、磁石を組み込んだ回転子28と、この回転子28の磁力に応答する磁力センサ29とから構成したものである。
【0055】
そして、図10のように制御手段20に蓋開閉検知手段27からの信号が入力されるようにしてある。
【0056】
本実施の形態では、蓋体8が開かれている状態、すなわち、蓋開閉検知手段27の磁石を組み込んだ回転子28が移動して、それにより磁力センサ29がオンしている状態を炊飯非動作に、蓋体8が閉じられて、蓋開閉検知手段27の磁石を組み込んだ回転子28が磁力センサ29より離れる方向に移動してそれにより同磁力センサ29がオフしている状態を炊飯動作にそれぞれ設定されている。
【0057】
したがって、磁力センサ29のオンに連係して遮断装置17のシャッター19を閉じ、磁力センサ29のオフに連係してシャッター19を開くようにしている。
【0058】
つまり、炊飯非動作状態ではシャッター19が閉じられているところから、蓋体8が開かれ、鍋4がないときでも、赤外線検知部15の検知素子16に汚れとか、異物の付着などを防止できるものである。
【0059】
さらに、図11で一連のフローを述べる。
【0060】
先ず、ST21からST27は炊飯工程に関するフローであり、鍋4に計量した米と水を入れて、保護枠2にセットする際、蓋開閉検知手段27が蓋体8が開閉されたことを検知する。
【0061】
使用者が炊飯・保温操作スイッチにより炊飯メニュー選択、炊飯開始ボタンを押した(ST22)のち、ST23にて炊飯開始判定を行う。
【0062】
このST23の炊飯開始判定は、例えば、使用者が予約操作を行い、炊飯開始ボタンを押した場合のように、すぐに鍋4の加熱工程に入らない場合は、次のシャッター開指示ST24に進めず待機することとなり、赤外線検知部15を保護枠2の空間内に露出させる時間を少なくできる。
【0063】
この制御により、鍋4の底面に水滴などが付着したままで、予約炊飯をセットされた場合でも、炊飯開始までは赤外線検知部15を隔離状態とすることで、水滴が赤外線検知部15に落下することを防止できる。
【0064】
そして、炊飯開始までの時間で鍋4の付着水分は乾燥が進むことになるため、赤外線検知部15に異物が付着するリスクをより低減し、鍋4の温度検知精度を長期間にわたってより確実に維持することができることとなる。
【0065】
ST23において、炊飯開始を認識した場合は、シャッター開の指示が出され(ST24)、シャッター19を開動作させ、赤外線検知部15による鍋4の温度検知体制を許容するものとなる。
【0066】
シャッター19の開動は開閉不良検知手段24で判定され、このとき、シャッター19が閉じたままであれば異常報知を行うようにしている(ST26)。
【0067】
シャッター19の開成が確認されると、赤外線検知部15の検知素子16が保護枠2の赤外線透過窓14を介して鍋4の外底面と対応することとなる。
【0068】
これにより、鍋4からの赤外線が赤外線検知部15の検知素子16で検知されるようになり、その温度に関連して電磁誘導コイル7の電力が制御され、また内蓋10を加熱する電磁誘導コイル11は内蓋温度検知センサ21の検知信号で制御されて、炊飯行程が進行されていく(ST27)。
【0069】
炊飯行程のむらしが終了した時点で炊飯の終了となり(ST28)、保温行程に移行するものである。
【0070】
次に、蓋体8の開閉検知が制御手段20に入力(ST29)された後、赤外線検知部15による鍋温度判定を行う(ST30)。
【0071】
鍋4の温度が50℃より大きい場合は、鍋4が保護枠2から取り出されていないと認識し、保温取り消し操作(ST31)が行われるまで、ST30前に戻り、フローを継続する。
【0072】
一方、赤外線検知部15により鍋4の温度が50℃以下と検知した場合は、鍋4が保護枠2から取り外されたと認識して、シャッター閉指示(ST32)を出し、シャッター19を閉動させる。
【0073】
この場合、シャッター19の閉動は開閉不良検知手段24で判定され(ST33)、シャッター19が開いたままであれば異常報知を行うようにしている(ST34)。
【0074】
以上にように、鍋4がセットされて、かつ炊飯工程を実施する際に、予約炊飯のように鍋4をセット後すぐに炊飯を開始されない場合は、赤外線検知部15の隔離状態を継続することで、同赤外線検知部15への異物付着リスクをより低減し、また保温工程においても、保温が実行されているとき以外は、赤外線検知部15を保護枠2空間から隔離する制御により、炊飯器を長期に渡って使用する中で、赤外線検知部15に埃、水滴、米粒などの食材が付着する可能性を低減し、その温度検知精度をより長期間にわたって安定させることができる。
【0075】
蓋開閉検知手段27としては、蓋体8の開閉により通電、非通電するリレースイッチをその開動支点となるヒンジ付近に設けたり、蓋体8の閉状態を保持するロック手段に連動させたりしてもよい。
【0076】
なお、図12に示すように、本実施の形態に実施の形態1で説明した鍋検知手段22を組合わせたり、図13,14に示すように、炊飯工程を開始した後、炊飯時間を計測する炊飯計測手段28を制御手段20に接続し、鍋4が一定時間加熱された後、シャッター19を開放することで、鍋4に水分が付着していた場合でも、初期の鍋4の加熱により水分が蒸発したあとから、赤外線検知部15の検知を開始することで、同赤外線検知部15への異物付着の可能性をさらに低減することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明した本発明にかかる炊飯器は、鍋の赤外線による温度検知精度を著しく高めて炊飯動作時の温度制御を的確とし、これより、食味のよいご飯を炊くことができるもので、一般家庭用は勿論、業務用の加熱調理器全般に利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図2】同炊飯器の赤外線検知部の設置部位を示す拡大断面図
【図3】同赤外線検知部の作動説明図
【図4】同炊飯器の制御ブロック図
【図5】同炊飯器の動作フローチャート
【図6】本発明の実施の形態2における赤外線検知部の設置部位を示す拡大断面図
【図7】本発明の実施の形態3における赤外線検知部の設置部位を示す拡大断面図
【図8】同赤外線検知部の作動説明図
【図9】本発明の実施の形態4における炊飯器の断面図
【図10】同炊飯器の制御ブロック図
【図11】同炊飯器の動作フローチャート
【図12】同炊飯器の他の例を示す制御ブロック図
【図13】同炊飯器のさらに他の例を示す制御ブロック図
【図14】同他の例の動作フローチャート
【図15】従来の炊飯器の赤外線温度検知手段周辺の拡大断面図
【符号の説明】
【0079】
1 鍋収納部
2 保護枠
3 炊飯器本体
4 鍋
7 鍋加熱手段(電磁誘導コイル)
8 蓋体
14 赤外線透過窓
15 赤外線検知部
18 駆動源
19 遮断手段(シャッター)
20 制御手段
25 ケース
26 赤外線透過材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋収納部を構成する保護枠を内設した炊飯器本体と、前記鍋収納部に着脱自在に収納されて鍋加熱手段により加熱される鍋と、この鍋の上方開放部を開閉自在に覆う蓋体と、前記鍋から放射される赤外線を検知する赤外線検知部と、この赤外線検知部の検知結果にもとづき前記鍋加熱手段を制御する制御手段とを具備し、前記赤外線検知部は保護枠の赤外線透過窓を介して鍋の外面に対向するようにその保護枠の外側に配置するとともに、赤外線透過窓を介した鍋の外面に対する赤外線検知部の対向関係を任意に遮断する遮断手段を装備した炊飯器。
【請求項2】
遮断手段は、駆動源と連係したシャッターであって、赤外線透過窓と赤外線検知部との間を開閉するようにした請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
遮断手段は、赤外線検知部と赤外線透過窓との位置関係を相対的に変異させるもので、前記赤外線検知部を任意に赤外線透過窓からずらすようにした請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
赤外線検知部を変移自在に構成した請求項3記載の炊飯器。
【請求項5】
少なくとも一部を赤外線透過材で構成したケースで赤外線検知部を覆った請求項1〜4いずれか1項記載の炊飯器。
【請求項6】
ケースの赤外線検知部と対応する部分を赤外線透過材で、他の部分を金属材でそれぞれ形成した請求項5記載の炊飯器。
【請求項7】
鍋収納部に対する鍋の有無に遮断手段を連係させ、鍋有りのときに遮断手段を開放状態に設定して、保護枠の赤外線透過窓を介した鍋の外面と赤外線検知部との対向関係を許容するようにした請求項1〜4いずれか1項記載の炊飯器。
【請求項8】
鍋加熱手段を電磁誘導コイルにより構成し、この電磁誘導コイルに流れる電流により鍋の有無を検知するようにした請求項7記載の炊飯器。
【請求項9】
機械的スイッチにより鍋の有無を検知するようにした請求項7記載の炊飯器。
【請求項10】
炊飯動作に遮断手段を連係させ、保温を含む炊飯工程に限って遮断手段を開放状態に設定して、保護枠の赤外線透過窓を介した鍋の外面と赤外線検知部との対向関係を許容するようにした請求項1〜4いずれか1項記載の炊飯器。
【請求項11】
蓋体の開閉に遮断手段を連係させ、蓋体が閉じられているときに限って遮断手段を開放状態に設定して、保護枠の赤外線透過窓を介した鍋の外面と赤外線検知部との対向関係を許容するようにした請求項1〜4いずれか1項記載の炊飯器。
【請求項12】
遮断手段を手動により開閉する手段を設けた請求項1〜4いずれか1項記載の炊飯器。
【請求項1】
鍋収納部を構成する保護枠を内設した炊飯器本体と、前記鍋収納部に着脱自在に収納されて鍋加熱手段により加熱される鍋と、この鍋の上方開放部を開閉自在に覆う蓋体と、前記鍋から放射される赤外線を検知する赤外線検知部と、この赤外線検知部の検知結果にもとづき前記鍋加熱手段を制御する制御手段とを具備し、前記赤外線検知部は保護枠の赤外線透過窓を介して鍋の外面に対向するようにその保護枠の外側に配置するとともに、赤外線透過窓を介した鍋の外面に対する赤外線検知部の対向関係を任意に遮断する遮断手段を装備した炊飯器。
【請求項2】
遮断手段は、駆動源と連係したシャッターであって、赤外線透過窓と赤外線検知部との間を開閉するようにした請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
遮断手段は、赤外線検知部と赤外線透過窓との位置関係を相対的に変異させるもので、前記赤外線検知部を任意に赤外線透過窓からずらすようにした請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
赤外線検知部を変移自在に構成した請求項3記載の炊飯器。
【請求項5】
少なくとも一部を赤外線透過材で構成したケースで赤外線検知部を覆った請求項1〜4いずれか1項記載の炊飯器。
【請求項6】
ケースの赤外線検知部と対応する部分を赤外線透過材で、他の部分を金属材でそれぞれ形成した請求項5記載の炊飯器。
【請求項7】
鍋収納部に対する鍋の有無に遮断手段を連係させ、鍋有りのときに遮断手段を開放状態に設定して、保護枠の赤外線透過窓を介した鍋の外面と赤外線検知部との対向関係を許容するようにした請求項1〜4いずれか1項記載の炊飯器。
【請求項8】
鍋加熱手段を電磁誘導コイルにより構成し、この電磁誘導コイルに流れる電流により鍋の有無を検知するようにした請求項7記載の炊飯器。
【請求項9】
機械的スイッチにより鍋の有無を検知するようにした請求項7記載の炊飯器。
【請求項10】
炊飯動作に遮断手段を連係させ、保温を含む炊飯工程に限って遮断手段を開放状態に設定して、保護枠の赤外線透過窓を介した鍋の外面と赤外線検知部との対向関係を許容するようにした請求項1〜4いずれか1項記載の炊飯器。
【請求項11】
蓋体の開閉に遮断手段を連係させ、蓋体が閉じられているときに限って遮断手段を開放状態に設定して、保護枠の赤外線透過窓を介した鍋の外面と赤外線検知部との対向関係を許容するようにした請求項1〜4いずれか1項記載の炊飯器。
【請求項12】
遮断手段を手動により開閉する手段を設けた請求項1〜4いずれか1項記載の炊飯器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−136797(P2010−136797A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314045(P2008−314045)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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