炊飯器
【課題】必要最小限の構造で製品強度を持たせ、コスト上昇の弊害を改善させた炊飯器を提供する。
【解決手段】本発明の炊飯器は、蓋体31の内部に蓋補強板411,412を設け、この蓋補強板411,412は蓋体31内において分割されており、各々の蓋補強板411,412は炊飯器の前後方向に沿った形状をなし、炊飯器の左右方向に配置したヒンジシャフト41やクランプシャフト45に連結する構成となっている。そして、蓋体31に配置される各々の蓋補強板411,412と、これらの蓋補強板411,412をつなぐヒンジシャフト41やクランプシャフト45との組み合わせによって、鍋11内が大気圧以上となった時の圧力上昇に対して、蓋体31を効果的に補強できる。
【解決手段】本発明の炊飯器は、蓋体31の内部に蓋補強板411,412を設け、この蓋補強板411,412は蓋体31内において分割されており、各々の蓋補強板411,412は炊飯器の前後方向に沿った形状をなし、炊飯器の左右方向に配置したヒンジシャフト41やクランプシャフト45に連結する構成となっている。そして、蓋体31に配置される各々の蓋補強板411,412と、これらの蓋補強板411,412をつなぐヒンジシャフト41やクランプシャフト45との組み合わせによって、鍋11内が大気圧以上となった時の圧力上昇に対して、蓋体31を効果的に補強できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体と蓋体とを係止する係止手段、及び係止手段と係合する受け手段とを備えた炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の炊飯器は特許文献1などに開示されるが、清掃性を考慮した形状を有している。
【0003】
また、製品強度を持たせるためにさまざまな補強構造が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−29402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、蓋体と本体とを係止する係止手段の受け手段は、上記特許文献1にもあるように入り組んだ形状であるため、清掃性が悪く、蓋体の動作を悪化させる場合がある。
【0006】
また、部品点数の増加によって、コスト上昇の弊害が付きまとっている。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、必要最小限の構造で製品強度を持たせ、コスト上昇の弊害を改善させた炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の炊飯器では、蓋体に配置される各々の補強手段と、これらの補強手段をつなぐ連結体との組み合わせによって、例えば炊飯時などの圧力上昇に対して、蓋体を効果的に補強できる。したがって、第1の補強手段を連結体に連結しただけの必要最小限の構造で、蓋体ひいては製品としての強度を持たせ、コスト上昇の弊害を改善することが可能になる。
【0009】
請求項2の炊飯器では、第1の軸を連結体とすることで、係止手段における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。或いは第2の軸を連結体とすることで、蓋体と本体との回動機構における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。
【0010】
請求項3の炊飯器では、本体を別な補強手段で補強することで、蓋体のみならず本体における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の構成によれば、必要最小限の構造で製品強度を持たせ、コスト上昇の弊害を改善させた炊飯器を提供できる。
【0012】
請求項2の構成によれば、係止手段或いは蓋体と本体との回動機構における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。
【0013】
請求項3の構成によれば、蓋体のみならず本体における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例における炊飯器の全体断面図である。
【図2】同上、蓋開ボタン周辺の構造を示す要部断面図である。
【図3】同上、炊飯器の平面図である。
【図4】同上、加圧時における調圧部およびその周辺の拡大断面図である。
【図5】同上、減圧時における調圧部およびその周辺の拡大断面図である。
【図6】同上、図2とは別な断面であらわした加圧時における要部の拡大断面図である。
【図7】同上、外蓋を外した状態の蓋体内部の斜視図である。
【図8】同上、クランプと、調圧用ソレノイドおよび開閉用ソレノイドの周辺の構造を示す斜視図である。
【図9】同上、調圧用ソレノイドとその周辺の構造を示す斜視図である。
【図10】同上、開閉用ソレノイドとその周辺の構造を示す斜視図である。
【図11】同上、開閉用ソレノイドの非通電時における要部の断面図である。
【図12】同上、図11に示す状態から、内蓋組立体を装着した場合の要部の断面図である。
【図13】同上、図12に示す状態から、内蓋に変形を生じたときの要部の断面図である。
【図14】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図15】同上、鍋内の温度および圧力の推移と、各部の動作状態をあらわしたタイミングチャートである。
【図16】同上、上枠および外枠を示す斜視図である。
【図17】同上、ヒンジ部周辺の断面図である。
【図18】同上、クランプ受け周辺の構造を示す要部断面図である。
【図19】同上、クランプ受け周辺の構造を示す要部断面図である。
【図20】同上、クランプおよびその周辺を部分的に示す要部斜視図である。
【図21】同上、蓋体の内部構造を示す斜視図である。
【図22】同上、外枠に枠板を取付けた状態の斜視図である。
【図23】同上、外枠に枠板を取付けた状態の要部斜視図である。
【図24】同上、クランプ補強板の取付け状態を示す要部斜視図である。
【図25】同上、クランプ補強板の取付け状態を示す断面図である。
【図26】同上、ヒンジ部の補強構造を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における炊飯器の好ましい実施例を説明する。
【0016】
まず図1に基づき、炊飯器の基本的な構成について説明する。同図において、炊飯器の外郭をなす本体1は、その上面と上側面を構成する上枠2と、側面を構成するほぼ筒状の外枠3とにより形成され、外枠3の下方にある底部開口を覆う底板4が設けられている。その際、上枠2や底板4は、PP(ポリプロピレン)などの合成樹脂で形成される一方で、外枠3は清掃性や外観品位を向上させるために、例えばステンレスなどの金属部材で形成される。また、上枠2の上面内周部から垂下され、この上枠2と一体化したPPなどの合成樹脂で形成されるほぼ筒状の鍋収容部6と、この鍋収容部6の下面開口を覆って設けられ、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂で形成される内枠8とにより、後述する鍋11を収納する有底筒状で非磁性材料からなる鍋収容体9が形成される。
【0017】
前記鍋収容体9内には、米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の鍋11が着脱自在に収容される。鍋11は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材料とした鍋本体12と、この鍋本体12の外面の側面下部から底面部にかけて接合されたフェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体13とにより構成される。鍋11の側面中央から上部に発熱体13を設けないのは、鍋11の軽量化を図るためである。また、鍋11の上端周囲には、その外周側に延出する円環状のフランジ部14が形成される。なお、鍋収容部6の外周には加熱手段を設けない構成となっている。
【0018】
前記内枠8の外面の発熱体13に対向する側面下部および底面部には、鍋11の特に底部を電磁誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル16が設けられている。そして、この加熱コイル16に高周波電流を供給すると、加熱コイル16から発生する交番磁界によって発熱体13が発熱し、炊飯時と保温時に鍋11ひいては鍋11内の被炊飯物を加熱するようになっている。
【0019】
また、内枠8の底部中央部には、鍋11の底部外面と弾発的に接触するように、温度検出手段としてサーミスタ式の鍋温度センサ17が配置され、この鍋温度センサ17の検出温度に応じて加熱コイル16の加熱量を調節し、鍋11を一定温度に保持する構成になっている。
【0020】
前記鍋収容体9の上端には、鍋11の側面上部、特にフランジ部14を加熱するためのコードヒータ18が円環状に配置される。このコードヒータ18は電熱式ヒータからなり、鍋収容体9の上端に載置して取付けられた熱放散抑止部材としてのヒータリング19上に保持されると共に、コードヒータ18を上から覆うようにしてヒータリング19に取付けられ、かつ熱伝導性に優れた例えばアルミ板からなる固定金具と放熱部とを兼用する金属板20を備えて、フランジヒータを構成している。この金属板20は、炊飯器本体1と蓋体31との隙間に対向して位置している。そして、前記金属板20の上面に鍋11のフランジ部14の下面が載置し、これにより、鍋11が本体1の上枠2に吊られた状態で、鍋収容体9内に収容されるようになっている。したがって、鍋11とこの鍋11が収容された鍋収容体9の上端との間における隙間がほとんどない構成になる。しかも、鍋11のフランジ部14は、外形がコードヒータ18と同等以上の大きさに形成されており、これにより、コードヒータ18が鍋11のフランジ部14で上から覆われるようになっている。但し、図示していないが、鍋11の持ち手部(フランジ部14)は非接触にし、部分的に隙間を形成することで、鍋11の外面に水が付着した状態で炊飯したときに、当該隙間から蒸気が排出されるようにしてある。
【0021】
蓋体31は、その上面外殻をなす外観部品としての外蓋32と、蓋体31の内面である下面を形成し、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属性の放熱板34と、外蓋32の下方に位置して前記鍋11の上方開口部を覆い、外蓋32および放熱板34を結合させる蓋ベース材としての外蓋カバー35とを主たる構成要素としている。また、前記蓋体31の内部にあって、放熱板34の上面には、蓋加熱手段としての蓋ヒータ36が設けられている。この蓋ヒータ36は、コードヒータなどの電熱式ヒータや、電磁誘導加熱式による加熱コイルでもよい。
【0022】
前記上枠2の後方には、蓋体31と連結するヒンジ部38が設けられる。このヒンジ部38には、正面から見て左右方向に一対の孔(図示せず)が設けられていると共に、ねじりコイルバネなどで形成したヒンジバネ40が、その内部に収納される。一方、外蓋カバー35の後方にも、前記ヒンジ部38に設けた孔と対向するようにヒンジ受部としての外蓋カバーヒンジ孔(図示せず)が設けられる。そして、このヒンジ孔とヒンジ部38の孔に共通して、棒状のヒンジシャフト41を挿通することで、本体1と蓋体31がヒンジシャフト41を支点として開閉自在に軸支される。さらに、前記ヒンジバネ40の一端と他端が、外蓋カバー35と外枠3にそれぞれ引掛けられることで、蓋体31は常時開方向に付勢されている。
【0023】
蓋体31の前方上面には、蓋開ボタン46が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン46を押すと、蓋体31と本体1との係合が解除され、ヒンジバネ40によって蓋体31が自動的に開く構成となっている。
【0024】
ここで、図2の断面図に基づいて、蓋開ボタン46周辺の構成をさらに詳しく説明すると、蓋体31には係止手段に相当するクランプ44が配置される。このクランプ44は、蓋体31の内部に設けた軸としてのクランプシャフト45を中心として、外蓋カバー35に対し回転自在に軸支される。蓋開閉手段に相当する蓋開ボタン46は、使用者が操作できるように蓋体31の前方上面から露出状態に配設される。蓋体31の内部には、クランプ44の基端部44Aを蓋開ボタン46側に付勢するバネなどのクランプ付勢手段(図示せず)が設けられ、これにより蓋開ボタン46を常時上方に押し上げる力が作用するようになっている。
【0025】
クランプ44は、蓋開ボタン46に当接する基端部44Aの他に、外蓋カバー35の下面にあるクランプ用孔48から下方に突出する垂下部44Bと、クランプ44の実質的な先端部に相当し、垂下部44Bの下端を起点として、そこから本体1の内方に延出する係合部44Cとにより構成される。クランプ44はステンレスなどの金属部品で形成し、係合部44Cは略L字状とする。そうすることで、クランプ44を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ受け50との係合を得られる。また、蓋体31の中央から左右の略均等位置に係合部44Cを設ける。これらの垂下部44Bや係合部44Cは、クランプ44の下側にあって左右一対に設けられる。クランプ44の回転中心となるクランプシャフト45は、垂下部44Bの上端に沿うように配置され、係合部44Cは本体1の略前後方向に遥動する。
【0026】
一方、上枠2に設けたヒンジ部38の略反対側に位置して、該上枠2の前方には受け手段に相当するクランプ受け50が配設されており、蓋体31を本体1側に閉じようとすると、クランプ付勢手段の付勢力により、クランプ44がクランプシャフト45を中心軸として回転し、当該クランプ受け50に係合することで、蓋体31を本体1に対し閉状態に保持するようになっている。クランプ受け50はステンレスなどの金属部品で形成する。そうすることで、クランプ受け50を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ44との係合を得られる。反対に蓋体31を開く場合には、蓋開ボタン46を押動操作し、クランプ44の基端部を下方に押下げてクランプ44を逆方向に回転させ、係合部44Cを本体1の前方に変位させて、クランプ44とクランプ受け50との係合を解除する。上枠2のクランプ受け下方部は、クランプ44がクランプシャフト45を軸として回転動作する際に、ぶつからない深さを有することが必要である。また、クランプ44とクランプ受け50下方部の隙間は、通常時のクランプ44とクランプ受け50の係合量よりも大となる寸法関係としておく。更に、外蓋カバー35と上枠2の隙間よりも大となる寸法関係としておく。
【0027】
なお、ここでは蓋体31側にある可動するクランプ44を係止手段といい、本体1側にある固定したクランプ受け50を受け手段としているが、蓋体31に固定した係止手段を設け、本体1に可動する受け手段を設けてもよい。
【0028】
55は、放熱板34の外側すなわち下側に設けられる内蓋組立体である。この内蓋組立体55は、鍋11の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有し、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属性の内蓋56と、鍋11と内蓋56との隙間を塞ぐために、当該内蓋56の外側全周に設けられ、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなる蓋パッキン57と、内釜の内圧力を調整する調圧部58とを備えている。そして、内蓋56と蓋パッキン57はパッキンベース59で一体化され、これにより外蓋カバー35内面に内蓋組立体55が着脱可能に設けられる。また、環状に形成された蓋パッキン57は、蓋体31を閉じた時(蓋閉時)に、鍋11のフランジ部14上面に当接して、この鍋11と内蓋56との間の隙間を塞ぎ、鍋11から発生する蒸気を密閉するものである。
【0029】
再度図1に戻って説明すると、前記放熱板34には、蓋体31に装着される内蓋56の温度を検知する蓋温度検知手段として、蓋ヒータ36による内蓋56の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ61が設けられる。また、蓋体31の上面後方寄り部には、蓋体31の上面側から着脱可能な蒸気口146が設けられる。
【0030】
前記内蓋56は、何れも鍋11の内部と連通する複数の孔すなわち連通孔77,181を備えている。また、これらの連通孔77,181を開閉する開閉手段として、調圧部58と開閉弁62がそれぞれ別個に設けられる。調圧部58および開閉弁62は、内蓋56を外蓋カバー35の下側に取付けたときに、何れも蒸気口146の入口側に臨んで設けられ、当該蒸気口146と蓋体31の内部で連通する。そして、これらの調圧部58や開閉弁62が連通孔77,181を開放または閉止することで、鍋11内の圧力を調節するようになっている。
【0031】
ここで、図4〜図6を参照しながら、連通孔77を開閉する調圧部58の構成をより詳しく説明する。調圧手段たる前記調圧部58は、調圧用の調圧弁65と、調圧弁65を保持する調圧弁ホルダー組立体66と、調圧弁65を覆うドーム状の調圧弁カバー67とを備えて構成される。調圧弁65は耐食性に優れた材料で、ある程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレス球で形成される。
【0032】
調圧弁ホルダー組立体66は、第1ホルダー68と、第2ホルダー69と、減圧支持部材に相当する第1調圧パッキン71と、第2調圧パッキン72と、鍋11内からの圧力が第1調圧パッキン71に直接加わらないように、この第1調圧パッキン71の下方にあって、加圧支持部材に相当する弁支持体73と、第1調圧パッキン71の下面に弁支持体73が当接する方向に、当該弁支持体73を付勢する弾性体としての調圧バネ74と、により構成される。弁支持体73には、鍋11内の加圧時にボール状の調圧弁65の下方に当接する調圧孔70が設けられる。この調圧孔70は、鍋11と蓋体31外部とを連通させる為のもので、鍋11内の蒸気が調圧孔70を通過すると、蒸気口146から外気へ放出されるようになっている。また、第1ホルダー68と第2ホルダー69には、互いを嵌合する為の凸状の係合部75と凹状の被係合部76がそれぞれ設けられている。これらの第1ホルダー68と第2ホルダー69は、前記第1調圧パッキン71や弁支持体73などを保持する保持部材として、内蓋56に設けた連通孔77に装着される。第1ホルダー68は全体がキャップ状に形成され、その中央部に貫通孔68Aを有し、貫通孔68Aの周辺部68Bと第2ホルダー69の上端部69Aとにより、第1調圧パッキン71の基部を挟持するようになっている。また、第2ホルダー69は筒状で、その下側には内蓋56の連通孔77周辺の下面に当接するフランジ69Bが形成されると共に、フランジ69Bの上方外周には、リング状の前記第2調圧パッキン72を嵌合させる凹溝69Cが形成される。さらに、第2ホルダー69の内周側には、調圧バネ74の一端部を嵌め込むために、断面L字状の突片69dが形成される。
【0033】
調圧弁ホルダー組立体66の組立に際しては、まず第2ホルダー69の凹溝69Cに調圧パッキン72を嵌め込んだものを、内蓋56に設けた連通孔77に差込み、第2ホルダー69の内周側で調圧バネ74を挟むようにして、弁支持体73を第2ホルダー69の上方から挿入する。次に、弁支持体73および第2ホルダー69の上端部69Aを覆うようにして、第1調圧パッキン71を弁支持体73に載置し、その状態から更に第1調圧パッキン71を挟む様にして、第1ホルダー68を上方から被せ、係合部75と被係合部76とを互いに嵌合させて、第2ホルダー69に第1ホルダー68を取付ける。そして、図4や図5に示すように、調圧弁ホルダー組立体66を組立てた状態では、鍋11内部に第2ホルダー69の内側面と弁支持体73の下面が直接対向し、これらの第2ホルダー69や弁支持体73の上側に配置された第1調圧パッキン71は、鍋11内から直接圧力を受けずに済む構造になっている。
【0034】
この様に組立てた調圧弁ホルダー組立体66で調圧弁65を保持し、上方から調圧弁カバー67を被せることで調圧部58を構成する。この時、調圧弁ホルダー組立体66と調圧弁カバー67との取付けは爪嵌合でも良いし、ネジやリベットなどの止着部材を利用して止めてもよい。調圧弁カバー67は、調圧弁65の移動範囲を規制するためのもので、調圧孔70から放出する蒸気を蒸気口146に導く複数の孔(図示せず)が設けられている。また内蓋56は、調圧弁ホルダー組立体66と調圧弁カバー67とで峡持されるので、内蓋56の連通孔77は露出しない。
【0035】
弁支持体73の調圧孔70の開口面積は、弁支持体73の下側に形成した脚部79の内側の、鍋11内から直接圧力を受ける面80の面積より小さくなっている。また、調圧弁65は調圧孔70を塞ぐように保持される。よって、調圧孔70の開口面積と調圧弁65との重量により、鍋11内の圧力を調整することができる。
【0036】
調圧弁65を動かして蓋体31の密閉度即ち鍋11の内圧を調節する動作源として、蓋体31内の外蓋カバー35には、調圧部58内にある調圧弁65を動かすソレノイド78が設けられる。ソレノイド78の非通電状態では、その先端部を進出位置に保持し、調圧弁65を調圧孔70から退避する一方、ソレノイド78の通電状態では、その先端部を退避させ、調圧弁65を調圧孔70に自重で転動させ、調圧孔70を塞いで鍋11内に圧力を投入する。
【0037】
第1調圧パッキン71および第2調圧パッキン72は、何れもシリコーンゴム等の弾性部材で構成する。これにより、特に図5に示す鍋11内の減圧時には、第1調圧パッキン71の弾性変形により、調圧弁65が当該第1調圧パッキン71に密着し、第1調圧パッキン71における開口部すなわち孔71Aのシール性が向上する。
【0038】
ここで、上記図1〜図6の他に、図7〜図9をもさらに参照しながら、前記調圧部58の操作手段について説明する。蓋体31の内部には、電磁力により内部からプランジャー151を出没させて、調圧部58内にある調圧弁65を動かす調圧用ソレノイド78が設けられる。また、外蓋カバー35に向けてプランジャー151と共に可動する調圧フレーム152や、蓋体31内部を水密状態に保持する可撓性の調圧パッキン153も、同様に蓋体31内の外蓋カバー35に設けられる。調圧パッキン153は、調圧部58に臨んで外蓋カバー35に設けた取付け孔の周縁に嵌合する凹字状の取付部153Aが形成される。そして、図6にも示すように、これらの調圧用ソレノイド78や調圧フレーム152は、外蓋カバー35により蓋体31内に形成された調圧収容部154に収容配置される。
【0039】
調圧フレーム152は、図7〜図9に示すように、調圧弁65に向けて突出した調圧弁操作手段としての調圧操作部161と、調圧用ソレノイド78を囲うようにして設けたフレーム部162と、調圧操作部161の略反対側に設けられた規制手段としてのクランプ動作規制部163とを備えて構成される。ソレノイド78のプランジャー151ひいては調圧フレーム152は、鍋11内を非加圧状態とするために、調圧弁65を押すように常時位置している。このときの調圧フレーム152の位置を、第1フレーム位置とする。特に調圧弁65を操作する調圧フレーム152の部分を、前記調圧操作部161としている。こうすることで、蓋体31を開けようとする場合には、鍋11内を外気と連通させ、負圧の影響を受けずにスムーズな蓋開動作を得ることができる。
【0040】
上記連通孔77に対向する調圧部58とは別に、別な連通孔181に対向して、当該連通孔181を開閉する開閉弁62が内蓋56の上面側に設けられる。当該開閉弁62は、図11〜図13に示すように、上下動可能な開閉弁シャフト201と、シャフト押え202と、弾性体であるコイルスプリングからなるシャフトバネ203と、開閉弁シャフト201の下部に装着するシャフトパッキン204とを備えて構成される。シャフト押え202は筒状で、下端が内蓋56の連通孔181周囲に当接する一方で、上端から開閉弁シャフト201が挿通するようになっている。シャフトバネ203は、開閉弁シャフト201の外周に形成したフランジ201Aと前記シャフト押え202の上端とに間に設けられ、シャフトパッキン204が連通孔181から離れる方向に、開閉弁シャフト201を常時付勢する。このように、シャフトパッキン204を含む開閉シャフト201は、シャフトバネ203により連通孔181を開放する方向に常時付勢されているが、これは内蓋56の上部に溜まったオネバを、連通孔181から鍋11内に戻すことと、蓋体31を閉じる時に、鍋11内から連通孔181を通して外気に空気を抜け易くし、蓋閉時に掛かる力を低減させるためである。さらに、連通孔181に臨んで設けたシャフトパッキン204は、開閉弁シャフト201が下方に移動したときに連通孔181を確実に塞ぐように、柔軟性を有する材料で形成される。
【0041】
205は、前記開閉弁シャフト201やシャフトバネ203の外周を覆い、シャフト押え202の上部に被着される筒状の開閉弁カバーである。この開閉弁カバー205は、前記調圧弁カバー67に取付けてもよいし、調圧弁カバー67とは別個に設けて取付けてもよい。
【0042】
開閉弁62の上部に位置して、外蓋カバー35には操作手段としての開閉弁操作手段211が取付けられる。開閉弁操作手段211は、開閉弁62を操作するための操作部材212としての第1開閉シャフト212Aおよび第2開閉シャフト212Bと、操作部材212を上下に動作させるフレーム部材である開閉フレーム175と、前記第1開閉シャフト212Aと第2開閉シャフト212Bとの間にあって、コイルスプリングからなる弾性部材215と、外蓋カバー35の孔部216を塞ぐ可撓性のシール部材217と、シール部材217の上部に取付けられるキャップ218と、により構成される。シール部材217は、その外周部に蓋体31の内部をシールするシール部221が形成される一方で、中心部には前記操作部材212を覆う有底筒状の操作部222が設けられ、この操作部222が前記開閉弁シャフト201の上端面に当接するようになっている。ここでのシール部221は、断面がコ字状で、外蓋カバー35の孔部216周縁に装着されるようになっており、さらにこの孔部216の周縁とキャップ218の外周部との間に挟持される。また、シール部221と操作部222との間には、これらのシール部221や操作部222よりも肉薄で、柔軟性に富む繋ぎ部223で連結される。この繋ぎ部223は断面が湾曲した形状に形成されるが、操作部222が操作部材212に連動して、開閉弁シャフト201と同じ上下方向に可動する形状であれば、湾曲以外の形状であってもよい。
【0043】
前記キャップ218に挿通する操作部材212と、シール部材217の操作部222との間には、弾性部材215が装着される。また、操作部材212の上方には、前記開閉フレーム175の操作部材可動部188が貫通し当接する孔213が設けられる。
【0044】
有底筒状をなす第1開閉シャフト212Aの上部外周には、円環状の溝241が形成される一方で、第2開閉シャフト212Bの下部内周に形成され、前記溝241に爪242を嵌合させつつ、弾性部材215を介在した状態で、第1開閉シャフト212Aの上部に第2開閉シャフト212Bが上下動可能に装着される。ここで、溝241に一定の幅を持たせることにより、第2開閉シャフト212Bに対する第1開閉シャフト212Aの移動範囲が、溝241の幅で規制されるようになっており、これにより操作部材212は、弾性部材215の所定の取付け位置に設けられる。つまり、ここでの溝241と爪242は、弾性部材215間の弾性力や寸法のばらつきに依存せず、上下方向に可変可能な操作部材212の全長の上限と下限を、一律に規制する規制手段として設けられている。
【0045】
ここで開閉フレーム175とその周辺の構成を、前述した図7および図8や、図10に基づき説明すると、外蓋カバー35により蓋体31内に形成された調圧収容部154とは別の開閉収容部171に、開閉用ソレノイド172が配置される。この開閉用ソレノイド172も、前記調圧用ソレノイド78と同様に、電磁力により内部からプランジャー173を出没させる構成となっている。そして、前記開閉フレーム175は、開閉用ソレノイド172と共に開閉収容部171に収容配置され、プランジャー173と共に可動するようになっている。このように、開閉弁操作手段211を構成する開閉フレーム175が、好ましくはソレノイドである開閉用ソレノイド172を駆動源として動作することで、炊飯行程において確実に開閉フレーム175を移動させることが可能になる。また同様に、調圧フレーム152が、好ましくはソレノイドである調圧用ソレノイド78を駆動源として動作することで、炊飯行程において確実に調圧フレーム152を移動させることが可能になる。
【0046】
前記操作部材可動部188は、操作部材212と開閉用ソレノイド172のプランジャー173との間にあって、開閉フレーム175の後方に一体化して腕片状に形成される。また、この開閉フレーム175の前方には、操作部材可動部188の略反対側に位置して、規制手段としての突出したクランプ動作規制部189が設けられる。この操作部材可動部188は、その中央部188Aと先端部188Bで高低差を有する形状となっており、さらに操作部材212に設けた孔213に貫通した状態でセットされる。つまり、ここでの操作部材可動部188は、操作部材212との当接部にカム面188Cを形成しており、プランジャー173ひいてはこれに連動する操作部材可動部188が出没するのに伴い、操作部材212が接するカム面188Cの位置が変わることで、開閉弁シャフト201ひいては開閉弁62が上下動するようになっている。
【0047】
251は、内蓋組立体55の内蓋56に設けられる安全弁である。この安全弁251は、鍋11内の圧力が何らかの要因で設定値以上である異常圧力に昇圧すると開弁して、鍋11の内圧を下げるものである。
【0048】
そして、内蓋組立体55を外蓋カバー35の下面に取付けると、シャフトバネ203によって上方に押し上げられた開閉弁シャフト201の上端面は、シール部材217の操作部222に当接する。このとき、開閉用ソレノイド172は非通電状態にあり、操作部材212の孔213には操作部材可動部188の中央部188Aが位置しているので、弾性部材215が撓んで操作部材212の第1開閉シャフト212Aが上方に押し上げられる。よって、シャフトパッキン204は連通孔181から離れて、当該連通孔181は開放された状態を保持する。つまり図11に示すように、通常時における開閉用ソレノイド172の非通電状態では、操作部材可動部188の中央部188Aに操作部材212が当接し、操作部材212の第1開閉シャフト212Aや開閉弁62の開閉弁シャフト201が上方に位置するので、内蓋56に形成した連通孔181は開放されたままの状態となる。
【0049】
逆に図12に示すように、炊飯の所定の行程が開始して、開閉用ソレノイド172が通電状態になると、開閉フレーム175が動作して、操作部材212の孔213内で操作部材可動部188が後退して貫通移動し、操作部材212は操作部材可動部188の先端部188Bに当接して保持される。前述のように、操作部材可動部188の中央部188Aと先端部188Bでは高低差を有しており、且つ先端部188Bは中央部188Aよりも操作部材212が当接するカム面188Cが下方に位置している。そのため、溝241と爪242との嵌合により操作部材212が一定範囲での全長を保ちながら、操作部材212およびシール部材217の操作部222は下方に移動し、内蓋組立体55に設けた開閉弁シャフト201が、シール部材217の操作部222によって下方に押し込まれることで、この開閉弁シャフト201の先端に取付けたシャフトパッキン204が連通孔181を閉止する。このとき、シャフトパッキン204が連通孔181を確実に閉塞するために、シール部材217の操作部222が開閉弁シャフト201を下方に押し込む力は、シャフトバネ203が開閉弁シャフト201を上方に付勢する力よりも大きくなるようにする。また本実施例では、開閉フレーム175の操作部材可動部188が開閉弁シャフト201を押す際のストローク(移動距離)が、溝241と爪242との嵌合により一定の範囲に規定されるため、シャフトパッキン204が連通孔181を安定して閉塞することができる。
【0050】
先に説明したように、調圧用ソレノイド78の周辺において、調圧フレーム152の後方には、調圧弁65を動かすための調圧操作部161が設けられる一方で、調圧フレーム152の前方には、突出したクランプ動作規制部163が設けられる。これと同様に、開閉用ソレノイド172の周辺において、開閉フレーム175の後方には、カム面188Cを有する操作部材可動部188が設けられ、開閉フレーム175の前方には、突出したクランプ動作規制部189が設けられる。そして、炊飯を開始し、加圧する所定の行程に移行するなどして、調圧用ソレノイド78のプランジャー151が第2のフレーム位置である後退位置に移動すると、クランプ44がクランプ受け50から係合解除する方向に動くのを規制するために、クランプ動作規制部163がクランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むように配置されると共に、開閉用ソレノイド172のプランジャー173が同様に第2のフレーム位置である後退位置に移動すると、クランプ動作規制部189がクランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むように配置される。このとき、蓋開ボタン46によりクランプ44を押し込もうとしても、クランプ44はその動きを規制されて、クランプ受け50との係合を解除できない。
【0051】
逆に、調圧用ソレノイド78のプランジャー151が、第1のフレーム位置である進出位置にあるときには、クランプ動作規制部163がクランプ44の基端部44Aから離れると共に、開閉用ソレノイド172のプランジャー173が、同様に第1のフレーム位置である進出位置にあるときにも、クランプ動作規制部189がクランプ44の基端部44Aから離れる。つまり、クランプ44の基端部44Aの下方に、クランプ動作規制部163とクランプ動作規制部189の両方またはどちらか一方が位置するときには、クランプ44の動作が規制され、クランプ44がクランプ受け50から係合解除できなくなるが、クランプ動作規制部163とクランプ動作規制部189の両方が、クランプ44の基端部44Aの下方から離れると、クランプ44の動作は規制されなくなり、蓋開ボタン46を押動操作すると、クランプ44がクランプ受け50から離脱して、蓋体31が開くようになっている。なお、クランプ動作規制部163,189は、クランプ44の基端部44Aの下方に潜り込まなくても、クランプ44の動作を規制する位置や形状を有していれば、どのようなものでも構わない。
【0052】
また別な例として、外蓋カバー35内における調圧フレーム152の可動部下方に、図示しない圧力検出手段を配置し、弾性部材である例えばバネによって、圧力検出弁を下方へ付勢するように構成してもよい。この場合、圧力検出弁の上部がクランプ動作規制手段を押し上げるように構成する。また、圧力検出弁とクランプ動作規制手段との間には、鍋11内部の圧力状態に応じた圧力検出弁の上下動に合わせて、クランプ動作規制手段を上下動させるパッキンを設ける。圧力検出弁は例えばカバーとホルダーで保持されるようにし、圧力検出弁の下方とカバーとの間に備えた前記ばねにより、当該圧力検出弁が常時下方に付勢される。また、これらの圧力検出ユニットと内蓋56との間をシールするパッキンを設けるのが好ましい。
【0053】
そしてこの例では、鍋11の内圧が所定値に到達すると、圧力検出弁は上方に移動する。これは圧力検出弁の下方で鍋11からの圧力を直接受ける面積と内圧力の割合が、ばねの付勢力よりも高くなったときに生じる。ばねの付勢力に抗して圧力検出弁が上部に移動すると、クランプ動作規制手段も上方へ移動する。上方へ移動突出したクランプ動作規制手段は、フレームの動作を妨げる位置、すなわち前記第2のフレーム位置から第1のフレーム位置への復帰を防止する第3のフレーム位置となる。この時、調圧弁58は調圧孔70を開放したまま、フレーム152がクランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むように配置される。
【0054】
81は、蓋体31を本体1に閉じた状態で、鍋11内を通常の大気圧よりも低くするために設けた減圧手段である。この減圧手段81は、減圧駆動源としての減圧ポンプ82と、この減圧ポンプ82から本体1および蓋体31を経て、内蓋56に設けた孔83に至る管状の経路84とにより構成される。また、蓋体31の内部には、経路84の基端部を開閉する開閉体としての電磁弁87と、この電磁弁87を収容する弁収容体88が設けられる。弁収容体88には、前記内蓋56の孔83の周囲に向けて放熱板34から下方に突出した筒状の減圧パッキン89が接続される。ここでの内蓋56の孔83は、真空引き用の真空連通孔として設けられており、電磁弁87は孔83と減圧ポンプ82との間に設けられる。また経路84は、例えばゴムチューブなどの管で形成され、減圧ポンプ82と電磁弁87との間を連結する。なお、図1では減圧ポンプ82が本体1の後部に設けられているが、これは図7に示すように、蓋体31の後部に設けてもよい。
【0055】
そして、内蓋56を含む内蓋組立体55を蓋体31の下面に装着すると、減圧パッキン89が弾性変形しながら内蓋56の上面に密閉当接し、これにより孔83と減圧ポンプ82とを連通する経路84が形成される。また、内蓋組立体55を装着した状態で蓋体31を閉じると、蓋パッキン57が鍋11に密着して、連通孔77,181が閉塞状態にあれば、密閉した鍋11と電磁ポンプ82との間が経路84により連通する。この状態から減圧ポンプ82を起動させると、電磁弁87ひいては経路84が開放して、鍋11内の空気が経路84および減圧ポンプ82を通って本体1の外部に排出され、密閉した鍋11内の圧力が低下する。また、鍋11内の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合に、電磁弁87ひいては経路84を閉塞して、鍋11内を減圧状態に保っている。さらに、スローリークにより鍋11内の圧力が上昇した場合にも、電磁弁87ひいては経路84を開放し、減圧ポンプ82を起動させて、鍋11内を大気圧よりも低い状態に維持している。
【0056】
この様な鍋11内が大気圧よりも低い減圧状態では、弁支持体73を構成する脚部79の内側の空気が鍋11内に吸引され、それに伴い調圧弁65や、この調圧弁65を載置支持する弁支持体73が、調圧バネ74の付勢に抗して下降する。しかし、弁支持体73の開口部70が第1調圧パッキン71の孔71Aよりも低い位置に移動すると、調圧弁65はそれまでの弁支持体73に代わって第1調圧パッキン71に載置され、当該第1調圧パッキン71の孔71Aを塞ぐので、鍋11内の密閉が確保され、減圧を継続して行なえる(図5参照)。
【0057】
逆に炊飯時などにおいて、鍋11内を大気圧以上に加圧する時には、弁支持体73を構成する脚部79の内側が鍋11内から直接圧力を受けるため、調圧弁65の自重に抗して弁支持体73が上昇する。ここで、弁支持体73の開口部70が第1調圧パッキン71の孔71Aよりも高い位置に移動すると、調圧弁65はそれまでの第1調圧パッキン71に代わって弁支持体73に載置され、調圧孔70を塞ぐと共に、弁支持体73に載置している調圧弁65も、弁支持体73と同様に上昇する。そして、弁支持体73は上昇後、第1調圧パッキン71に当接し、それにより第1調圧パッキン71の孔71Aを通過しようとする蒸気などを遮断して、鍋11内の密閉を保持できる(図4参照)。
【0058】
再度図1に戻り、前記本体1の前部には操作パネル101が設けられている。この操作パネル101の内側には、時間や選択したメニューを表示するLCD102や、他にいずれも図示しないが、現在の行程を表示するLEDや、炊飯を開始させたり、メニューを選択させたりする操作スイッチ103(図5参照)の他に、鍋11内の減圧状態を選択する減圧選択スイッチなどを配置した基板が配設される。操作パネル101にはボタン名などが表示され、電子部品である制御手段にほこりや水が付着することも防止している。なお、操作パネル101を蓋体31の正面側に設けてもよい。
【0059】
111は、本体1の内部前方に設けられた加熱制御手段である。この加熱制御手段111は、加熱手段である加熱コイル16を駆動させるための発熱素子(図示せず)を基板に備えて構成される。この加熱コイル16を駆動する素子は、加熱コイル16の発振と共に加熱されるが、動作状態を保証する使用条件温度を有するので、一定温度以下で使用する必要がある。そのために、加熱コイル16を駆動する素子は、例えばアルミニウムのような熱伝導性の良好な材料で構成されるフィン状の放熱器112に熱的に接続され、冷却手段である冷却ファン113から発する風を放熱器112に当てて熱を奪うことにより、使用条件温度内で素子を駆動するようにしている。
【0060】
冷却ファン113は、加熱制御手段111に取付けられた放熱器112の下方、若しくは側部に配置されている。また、本体1の底部若しくは側部には、冷却ファン113から発し、加熱制御手段111に取付けられた放熱器112から熱を奪って温かくなった風を、本体1の外部へ排出するための孔(図示せず)が複数設けられている。加熱制御手段111は製品内部すなわち本体1内に収納されるが、鍋11の外周囲のどの位置に配置してもよい。また、本体1の底部若しくは側部に設けた孔も、どの位置に配置してもよい。しかし、近年は製品の小形化設計が求められている背景もあり、加熱制御手段111や冷却ファン113と、温かな風を排出する孔114は、鍋11をはさんで略反対位置に配置するのが好ましい。
【0061】
また図2において、141は、蓋開ボタン46の裏(内)側部に取付けられた基板である。この基板141には、前記減圧手段81が動作すると点灯作動する警報手段としてのLED142と、磁気検知素子としてのホール素子143がそれぞれ実装される。LED142は、別な図3に示すように、蓋開ボタン46の上面に対向して設けられており、またホール素子143は、蓋開ボタン46が押されていない状態では、外蓋32に設けた磁性体としてのマグネット144に対向して配設される。ホール素子143は、前記クランプ44とクランプ受け50との係合を解除しようとしたときに、マグネット144から離れることにより、その動作を検知して後述する加熱制御手段111に検知信号を出力する検知手段として設けられる。なお、別なセンサにより同等の機能を有する検知手段を構成してもよい。
【0062】
LED142は、炊飯初期のひたしや保温の工程で減圧手段81が作動し、鍋11内が大気圧以下のときにのみ連続点灯すると共に、保温工程中に鍋11内が大気圧以下のときに、クランプ44とクランプ受け50との係合を解除しようとすると、ホール素子143からの検知出力を受けて所定時間点滅し、その後消灯する表示手段として設けられる。LED142に代わり、例えばLCDなどの他の表示手段を用いてもよいし、ブザーなどの報知手段を設けてもよい。この場合、報知手段も同様に工程や連動する構成としてよい。その他、前記蓋体31は、前述した外蓋32,放熱板34,外蓋カバー35,および内蓋組立体55の他に、蓋体31としての外観品位を向上させるために、外蓋32の上面部を覆う三次元形状の金属蓋33を備えてもよい。
【0063】
次に制御系統について、図14を参照しながら説明する。同図において、111は前述の加熱制御手段で、これは前記鍋温度センサ17および蓋温度センサ61からの各温度情報や、操作スイッチ103からの操作信号の他に、前記蓋開ボタン46に設けたホール素子143や、蓋体31の開閉を検知する別なホール素子191からの検知信号を受け付けて、炊飯時および保温時に鍋11の底部を加熱する加熱コイル16と、鍋11の側部を加熱するコードヒータ18と、蓋体31を加熱する蓋ヒータ36とを各々制御すると共に、前述した減圧ポンプ82や、電磁弁87や、蓋体31の内部に設けたソレノイド78,172や、LED142を含む表示手段128を各々制御するものである。特に本実施例の加熱制御手段111は、鍋温度センサ17の検出温度に基づいて主に加熱コイル16が制御されて鍋11の底部を温度管理し、蓋温度センサ52の検出温度に基づいて主に蓋ヒータ26が制御されて放熱板34ひいては内蓋56を温度管理するようになっている。加熱制御手段111は、自身の記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯時に前記鍋11内の被炊飯物を炊飯加熱する炊飯制御手段118と、保温時に鍋11内のご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段119とをそれぞれ備えている。
【0064】
ここで、蓋開閉検知手段であるホール素子191について説明すると、このホール素子191は例えば蓋体31の後方に設けられた磁性体であるマグネット(図示せず)に対向して、本体1の内部に取付けられる。なお、同様の機能を発揮できれば、ホール素子191に代わり他のセンサを用いてもよい。
【0065】
ここでの保温制御手段119はタイマー手段120を備えており、保温動作が開始するとタイマー手段120を起動させて保温経過時間を計時し、この保温経過時間が予め設定した時間(例えば1時間)に達したら、鍋11内の圧力が加圧状態からほぼ大気圧に戻り、且つ鍋11内の温度が保温温度にまで低下した、いわゆる保温が安定する状態と判断するようになっている。また、加熱制御手段11はその他に、操作スイッチ103からの予約炊飯開始の指令を受けて、予め記憶手段に記憶された所定時間に鍋11内の被炊飯物が炊き上がるように炊飯制御手段118を制御する予約炊飯コースを実行可能な予約炊飯制御手段121を備えている。なお、前記所定時間は、操作スイッチ103の例えば時間キーや分キーを操作することで、適宜変更することができる。
【0066】
122は、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、加熱コイル16に所定の高周波電流を供給する高周波インバータ回路などを内蔵した加熱コイル駆動手段である。またこれとは別に、加熱制御手段111の出力側には、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、放熱板34や内蓋56を加熱するように蓋ヒータ36を駆動させる蓋ヒータ駆動手段123と、コードヒータ18をオンにするコードヒータ駆動手段124と、ソレノイド78,172をオンまたはオフにするソレノイド駆動手段125と、減圧ポンプ82を駆動させるポンプ駆動手段126と、電磁弁87をオンまたはオフにする電磁弁駆動手段127と、表示手段128を駆動させる表示駆動手段129が各々設けられる。前記炊飯制御手段118による炊飯時、および保温制御手段119による保温時には、鍋温度センサ17と蓋温度センサ61からの各温度検出により、加熱コイル16による鍋11の底部への加熱と、コードヒータ18による鍋11の側面への加熱と、蓋ヒータ36による蓋体31への加熱が行なわれるように構成する。また、前記炊飯制御手段118による炊飯が終了し、鍋11内の被調理物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段119による保温に自動的に移行し、鍋温度センサ17の検知温度に基づき、加熱コイル16やコードヒータ18による鍋11への加熱を調節することで、ご飯を所定の保温温度(約70℃〜76℃)に保温するように構成している。
【0067】
特に前記コードヒータ18による加熱について補足説明すると、炊飯後にご飯の温度が約100℃から約73℃の保温温度に低下するまでと、約73℃の保温安定時に、コードヒータ18を発熱させて、蓋体31と本体1との隙間の空間に金属板20から熱放射して、この隙間からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、鍋11のフランジ部14を加熱する。また、保温時にご飯を再加熱する期間にもコードヒータ18により鍋11のフランジ部14を加熱し、ご飯の加熱により発生する水分が鍋11の内面上部に結露することを防止するように構成している。
【0068】
さらに、本実施例における加熱制御手段111は、予約炊飯制御手段121による予約炊飯の待機時の炊飯が開始するまでの期間や、炊飯制御手段118が実質的な炊飯を開始するまでのひたし行程の期間や、保温制御手段119により前述した保温が安定する状態と判断した後で、鍋11内が大気圧より低くなるように、減圧ポンプ82や減圧状態保持用の電磁弁87を動作させる減圧制御手段130としての機能をも備えている。
【0069】
次に、上記構成について、その作用を図15のタイミングチャートに基づき説明する。この図15において、最上段およびその次の段にある各グラフは、鍋11内における温度および圧力の各推移を示し、以下、調圧弁65(調圧用ソレノイド78)の動作タイミングと、開閉弁62(開閉用ソレノイド172)の動作タイミングとをそれぞれ示している(塗潰しの状態がオン)。
【0070】
炊飯や保温が行なわれていない切状態において、調圧用ソレノイド78と開閉用ソレノイド172は共に非通電(オフ)状態にある。このとき、調圧用ソレノイド78のプランジャー151は進出位置にあって、調圧孔70が開放するように調圧弁65が移動すると共に、開閉用ソレノイド172のプランジャー173も進出位置にあって、内蓋56の連通孔181が開放するように、開閉弁シャフト201が上方に移動する。したがって、鍋11内は調圧孔70および連通孔181を通して外部と連通し、大気圧に維持される。また、クランプ動作規制部163,189が、共にクランプ44の基端部44Aの下方から離れた位置にあるので、クランプ44の動作は規制されず、蓋開ボタン46を押動操作すれば、クランプ44がクランプ受け50から離脱する。すなわち切状態では、蓋体31を自由に開閉することができる。
【0071】
その後、鍋11内に被炊飯物である米および水を入れ、操作スイッチ103の例えば炊飯キーを操作すると、炊飯制御手段118による炊飯が開始する。ここで炊飯制御手段118は、実質的な炊飯を開始する前に、鍋11内の米に対する吸水を促進させるために、鍋温度センサ17による鍋11の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル16とコードヒータ18で鍋11の底部と側面部をそれぞれ加熱し、鍋11内の水温を約45〜60℃に15〜20分間保持するひたしを行なう。このひたし中は、減圧手段81の減圧ポンプ82と電磁弁87が作動すると共に、鍋11内が大気圧以下のときには、調圧用ソレノイド78と開閉用ソレノイド172が共に通電(オン)状態になって、調圧用ソレノイド78のプランジャー151と開閉用ソレノイド172のプランジャー173が各々後退位置に移動する。これにより、調圧操作部161が調圧弁65から離れて、調圧弁65が第1調圧パッキン71の孔71Aを塞ぎ、また操作部材可動部188の先端部188Bに操作部材212が当接して、開閉弁シャフト201が下方に押し込まれ、シャフトパッキン204が内蓋56の連通孔181を塞ぐので、鍋11内の密閉が確保される。また、クランプ動作規制部163,189が、何れもクランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むので、クランプ44の回動が規制され、蓋開ボタン46を押動操作しようとしても、クランプ44とクランプ受け50との係合が二重にロックされ、蓋体31が開かないようになる。
【0072】
また、ひたし行程が開始すると、減圧制御手段130は実質的な炊飯が開始する直前まで減圧選択スイッチをオンにすると共に、鍋11内が減圧中であることを表示手段128のLCDに表示させる。これにより、使用者は鍋11内が減圧中であることを知ることができる。その後、減圧制御手段130は減圧ポンプ82の駆動を停止させ、且つ電磁弁87ひいては経路84を閉じて、鍋11内を減圧状態に維持し、スローリークによる圧力上昇を考慮して、一定時間が経過すると、減圧制御手段130は再び減圧ポンプ82を駆動させると共に、電磁弁87ひいては経路84を開放させて、鍋11内から空気を排出する。このような動作を繰り返すことで、減圧ポンプ82と電磁弁87が同時にオン,オフ制御され、鍋11内の圧力が所望の範囲内の値に維持される。
【0073】
こうして、ひたし時には鍋11内は減圧状態が維持される。また、この減圧時には、調圧弁65が第1調圧パッキン71に載置され、当該第1調圧パッキン71の孔71Aを塞ぐので、鍋11内の密閉が確保される。そのため、ひたし時に密閉状態で鍋11内を減圧することができ、鍋11内において米に水を十分に吸水させることが可能になる。
【0074】
その後、所定時間のひたしが終了すると、炊飯制御手段118は実質的な炊飯動作を開始すると共に、減圧制御手段130による鍋11への減圧制御は中断し、減圧選択スイッチはオフになると共に、LCDによる減圧状態である旨の表示も停止する。併せて、減圧ポンプ82および電磁弁87は、その後の保温が安定した状態になるまでオフ状態となる。
【0075】
炊飯行程に移行すると、炊飯制御手段118は加熱コイル16により鍋11を強加熱し、被炊飯物への沸騰加熱を行なう。この沸騰加熱時に鍋11の底部の温度が90℃以上になり、蓋体31の温度が90℃以上で安定したら、鍋11内が沸騰状態になったものとして、それまでよりも加熱量を低減した沸騰継続加熱に移行する。沸騰加熱の途中で、炊飯制御手段118はソレノイド78をオフ状態にして、調圧弁65を調圧孔70から退避させる。これにより鍋11はほぼ大気圧に維持されるが、開閉用ソレノイド172は引き続きオン状態にあり、クランプ動作規制部189がクランプ44の基端部44Aの下方に位置して、蓋体31を開けることができないようになっている。
【0076】
なお、上述の蓋体31の温度が90℃以上で安定したことは、蓋温度センサ61からの検出温度の温度上昇率により検知される。また、この沸騰検知において、鍋温度センサ17と蓋温度センサ61とにより、鍋11の底部および蓋体31がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に鍋11内が沸騰したことを精度よく検知できる。
【0077】
また、前記鍋11の底部,鍋11の側面部または蓋体31のいずれかが120℃以上の通常ではあり得ない検知温度になったら、加熱制御手段111は何らかの異常があると判断して炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。逆に、前記鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃以上になって所定時間(例えば5分)経過しているのに、それ以外の鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃未満で低い状態の場合、この温度の低い状態の鍋温度センサ17または蓋温度センサ61が、何らかの理由(汚れや傾きや接触不良など)で温度検知精度が悪化していると判断し、同様に炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、むらしに移行するか、保温を行ない、これに対処する。
【0078】
沸騰継続に移行すると、炊飯制御手段118は蓋ヒータ36による蓋加熱を開始させる。ここでの蓋加熱は、内蓋56の温度が100〜110℃になるように、蓋温度センサ61の検知温度により管理される。そして、鍋11の底部が所定の温度上昇を生じたら、鍋11内の炊上がりを検知して、炊飯制御手段118による炊飯行程を終了し、保温制御手段119により保温行程に移行して、最初のむらしに移行する。むらし中は蓋温度センサ61の検出温度による温度管理によって蓋ヒータ36を通断電し、内蓋56への露付きを防止すると共に、ご飯が焦げない程度に高温(98〜100℃)が保持されるように、鍋11の底部の温度を管理する。むらしは所定時間(15〜20分)続けられ、むらしが終了したら保温制御手段119による保温に移行する。
【0079】
保温になると、加熱コイル16にて鍋11の底部と側面下部を加熱すると共に、鍋11内に収容するご飯の温度よりも僅かに高く、蓋ヒータ36により蓋体31の下面を加熱し、さらに鍋11の側面をコードヒータ18でご飯が乾燥せず、かつ露が多量に付着しないように温度管理する。鍋11内のご飯の温度は70〜76℃に温度保持されるが、この保温時においても、鍋温度センサ17や蓋温度センサ61が相互に異常に高かったり、あるいは異常に低かったりした場合には、異常を検知してこの異常加熱を防止する。
【0080】
前述したように、鍋11内の沸騰状態を検知すると、炊き上げ(沸騰継続加熱)とむらしが続けて行なわれるが、むらしの途中までは鍋11内を大気圧以上にするために、炊飯制御手段118は減圧手段81の作動を停止させつつ、調圧用ソレノイド78および開閉用ソレノイド172を何れもオン状態にし、連通孔77を調圧部58で閉止すると共に、別な連通孔181を開閉弁62で閉止する。これにより、炊飯加熱の継続中は、鍋11内と外部との連通が遮断され、鍋11内の圧力が上昇する。このとき、クランプ動作規制部163とクランプ動作規制部189の両方が、クランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むので、クランプ44とクランプ受け50との係合が二重にロックされ、蓋体31を開けることはできない。
【0081】
その後、鍋11内が所定の圧力に到達したことを検知すると、調圧用ソレノイド78がオン状態からオフ状態に切り換わるため、調圧操作部161が調圧弁65を押す方向に調圧フレーム152が移動し、調圧孔70が開放して鍋11内の圧力が大気圧に近づく。この状態では、調圧フレーム152のクランプ動作規制部163が、クランプ44の基端部44Aの下方から離れた位置に移動するものの、別な開閉フレーム175のクランプ動作規制部189が、引き続きクランプ44の基端部44Aの下方に位置しているため、蓋開ボタン46によりクランプ44を押し込もうとしても、クランプ44はその動きを規制されて、蓋体31を開けることはできない。
【0082】
むらしに移行すると、その後の保温開始直後に蓋体31が開けられることを考慮して、鍋11内を徐々に大気圧に戻す動作が行なわれる。そして炊飯制御手段118は、むらしの途中で調圧用ソレノイド78を先にオン状態からオフ状態に切り換えて、調圧弁65を調圧孔70から退避させ、連通孔77を開放して鍋11内を大気圧に戻す。その後で、開閉用ソレノイド172をオン状態からオフ状態に切り換え、別な連通孔181を開放する。こうすれば、少なくとも調圧孔70を開放した後も、開閉用ソレノイド172がオフ状態になるまでは、蓋体31を開けることができなくなり、鍋11内が大気圧に戻りきらないうちに、不用意に蓋体31が開くのを防止できる。
【0083】
実質的な炊飯であるむらしが終了して保温工程に移行した直後は、鍋11内が調圧孔70および連通孔181を通して外部と連通し、大気圧に維持される。それと共に、クランプ動作規制部163,189の両方が、クランプ44の基端部44Aの下方から離れた位置にあるので、蓋体31を自由に開閉することができる。
【0084】
保温制御手段119は、炊飯行程が終了するとタイマー手段120による保温経過時間の計時を開始する。このとき減圧制御手段130は、当該保温経過時間が予め設定した時間になるまで、すなわち保温が安定する状態と判断されるまで、表示手段128のLCDを利用して、減圧表示を短時間繰り返し行なわせる。これにより利用者は、炊き上げ後、鍋11内が未だ減圧状態に移行していないことを理解できる。保温制御手段119は、保温経過時間が予め設定した時間に達すると、減圧制御手段130により鍋11内の圧力が大気圧よりも低くなるように、減圧ポンプ82や電磁弁87が再び作動制御する。それと共に、鍋11内を密閉状態にするために、調圧用ソレノイド78と開閉用ソレノイド172を同時にオン状態にする。これにより、クランプ動作規制部163とクランプ動作規制部189の両方が、クランプ44の基端部44Aの下方に潜り込んで、クランプ44の回動が規制される。なお、こうした動作は、保温工程の所定時間後ではなく、保温工程で鍋11内が所定温度に到達したのを鍋温度センサ17が検出したときに、行なわれるようにしてもよい。
【0085】
その後、減圧制御手段130は減圧ポンプ82の駆動を停止させ、且つ電磁弁87ひいては経路84を閉じて、鍋11内を減圧状態に維持し、スローリークによる圧力上昇を考慮して、一定時間が経過すると、減圧制御手段130は再び減圧ポンプ82を駆動させると共に、電磁弁87ひいては経路84を開放させて、鍋11内から空気を排出する。その後は上述した動作が繰り返されて、減圧ポンプ82と電磁弁87が同時にオン,オフ制御され、鍋11内の圧力が所望の範囲内の値に維持される。
【0086】
保温工程に移行すると、保温制御手段119は前記ホール素子143,191からの検知信号を受け付ける。すなわち、鍋11内を減圧状態にする減圧手段81の作動制御中であって、調圧用ソレノイド78と開閉用ソレノイド172が同時にオンしている状態で、使用者が蓋体31を開けようと意図して蓋開ボタン46を押動操作しようとすると、クランプ44はその回動を規制されてはいるものの、蓋開ボタン46がクランプ44の弾性などにより若干下方に押し込まれ、ホール素子143がマグネット144から離れた位置に移動する。このときのホール素子143からの検知信号を保温制御手段119が受けると、調圧用ソレノイド78と開閉用ソレノイド172は連動してオフ状態になり、双方のプランジャー151,173が進出して、調圧孔70および連通孔181を開放すると共に、クランプ44に対する回動規制も解除され、蓋開ボタン46を押し続けることで、蓋体31を開けることができるようになる。
【0087】
その後、鍋11内から炊き上がったご飯を取り出すなどして、蓋体31を再度閉じると、今度は別なホール素子191が蓋体31の閉状態を検知し、その信号を保温制御手段119に送出する。これを受けて保温制御手段119は、所定時間後に再び減圧手段81を作動させ、且つ不用意に蓋体31が開かないように、調圧用ソレノイド78と開閉用ソレノイド172を同時にオン状態にする。
【0088】
このように、内蓋56に設けた2つの連通孔77,181をそれぞれ開閉する動作を繰り返すことで、鍋11内の圧力を自在に変化させることができる。そして、炊飯コースや炊飯量に応じて加圧時の圧力を変えることで、炊き上がりを可変することができるようになる。
【0089】
また、前記むらしや保温工程中において、減圧手段81が作動し、鍋11内が大気圧以下のときには、LED142を連続点灯させる制御信号を、加熱制御手段111が表示駆動手段129に送出する。これにより使用者は、鍋11内が減圧中であることにより、蓋体31と本体1が係合ロックされていることを直ぐに認識できる。また、蓋開ボタン46を押動操作しようと意図してから、実際に蓋体31を開放できるまでには、若干のタイムラグがあるので、蓋体31のクランプ44と本体1のクランプ受け50との係合を解除しようと意図したときの検知信号をホール素子143が出力すると、LED142が点滅動作に切り替わり、その後所定時間が経過したら、LED142を自動的に消灯させるようにすれば、何故直ぐに蓋体31が開かないのかを使用者に理解させることができる。
【0090】
次に、本実施例における特徴部分を、図16〜図26に基づき説明する。なお、上述した炊飯器の基本構成と共通する機能を有する部材には共通する符号を付し、その部材についての説明は重複を避けるため極力省略する。
【0091】
図16は、前記上枠2および外枠3を示す外観図である。前記本体1を構成する上枠2の上部には、鍋収容体9の上端より外側水平方向に拡がるようにして、湾曲状のなだらかな傾斜面401が形成される。この傾斜面401は、蓋31を開いたときに本体1の上部に露出するもので、鍋収容体9の上端外周の略全域に渡って、上枠2上部の外方より内方に向けて、次第に水平になるように下がる形状を有している。また本実施例では、上枠2の上面を覆う金属材料402に傾斜面401を形成しているが、上枠2(ここでは鍋収容部6)そのものに傾斜面401を形成してもよい。つまり、傾斜面401を形成する金属材料402は、上枠2とは異なる部材で形成される。
【0092】
また同図に示すように、本体1の前側にあって上枠2の上部にはクランプ受け50が設けられ、その反対側の本体1の前側には、同じく上枠2の上部にヒンジ部38が設けられる。図17は、鍋収容体9に鍋11を装着した状態のヒンジ部38周辺を示しているが、ここには図示しないヒンジバネ40やヒンジシャフト41を取付けるためのヒンジ部38の収納部38Aが、外枠3と一体的に形成されると共に、収納部38Aは外枠3の外方寄りに上方へ突出して設けられる。そして、収納部38Aから外枠3の内方にかけて、前記傾斜面401を有する金属材料402が配設される。
【0093】
一方、図18および図19はクランプ受け50周辺の構造を示している。これらの各図において、本例におけるクランプ受け50は、外枠3の内方寄りにこの外枠3と一体的に形成されており、本体1の前方水平方向に向けて開口する凹部50Aを備えている。また、凹部50Aから外枠3の外方にかけて、前記傾斜面401を有する金属材料402が配設される。
【0094】
クランプ受け50の特に凹部50A上面は、上枠2の実質的な上面に相当する金属材料402の最上面よりも上に配置される(図19の符号T1を参照)。すなわち、上枠2に形成したクランプ受け50の凹部50Aは、クランプ44がクランプシャフト45を軸として回動したときに、ぶつからない深さを有することが必要である。こうすることで、蓋31を閉じた時に、クランプ44の係合部44Cが支障なく凹部50Aに係合しやすくなる。また、傾斜面401は上枠2上部の外方から内方にかけて傾斜しているが、この傾斜はクランプ受け50の下方である凹部50Aの下面に継続し、この傾斜のままさらに上枠2の内方に連なっている。図19では、クランプ受け50の周辺において、本体1ひいては上枠2の上面の勾配が、傾斜面401によって外方よりも小さく緩やかに形成されており、この緩やかな勾配が本体1の内方にまで続くことと相俟って、本体1上面の特にクランプ受け50周辺を清掃し易くしている。
【0095】
図20は、クランプシャフト45によって蓋体31に軸支されたクランプ44と、上記傾斜面401を有する本体1との位置関係を示す図である。蓋体31の下方に対向する上枠2の上面に米粒などの異物が介在したまま、本体1に対して蓋体31を閉めると、蓋31と本体1との隙間が通常の異物が介在しない場合よりも大きくなる。このとき、クランプ44の係止部たる係合部44Cは、クランプ受け50の被係止部である凹部50Aに対して係止量が不足する。クランプ44の姿勢は通常に対して回転し、本体1側に傾くこととなる。クランプ44の傾きが所定以上の場合は、クランプ受け50との係止量も所定量以下となる。この場合にクランプ受け50の先端位置を、クランプ44の係合部44Cの先端位置よりも後方としておけば、クランプ44とクランプ受け50との係止は起こらない。また、この時のクランプ受け50の先端位置を、クランプシャフト45よりも後方にすることで、蓋体31が受ける蒸気圧によってクランプ44がクランプ受け50から解除しようとする回転を防止できる。
【0096】
クランプ44の係合部44Cは、垂下部44Bにつながる根元から先端に向かうに従い高くなるように形成する。これにより、クランプ44の姿勢が通常に対して回転し、本体1側に傾くことになっても、クランプ受け50に対してクランプ44の係合部44Cの先端を確実に係止することができる。またクランプ44の係合部44Cは、クランプシャフト45よりも後方でクランプ受け50に係止するので、蓋体31が受ける蒸気圧によってクランプ44がクランプ受け50から解除しようとする回転を防止できる。
【0097】
クランプ受け50の被係止部である凹部50Aは、開口する先端が根元よりも低く位置するように形成する。これは、鍋11内が大気圧以上となった時に、蓋体31と共にクランプ44が上方に持ち上げられてクランプ受け50が変形しても、クランプ44の係合部44C先端が凹部50Aの根元に確実に係止できるようにすることを目的としている。
【0098】
さらに、前記傾斜面401は、クランプシャフト45を中心として回転するクランプ44の軌跡に沿った形状で、クランプ44がどの回転位置にあっても、クランプ44と傾斜面401との間に一定の間隔T2を有するように形成される。
【0099】
以上のように、上記炊飯器の実施例では、容器である鍋11と、鍋11を収納する本体1と、鍋11を覆う蓋体31と、この蓋体31に設けられ、本体1と蓋体31とを係止する係止手段としてのクランプ44と、本体1に設けられ、クランプ44と係合する受け手段としてクランプ受け50とを備えた炊飯器において、クランプ受け50は本体1の上面より上方に配置され、その本体1の上部に、本体1の外方と内方とで上下位置が異なり、特に外方より内方に下がる形状の変化面としての傾斜面401を形成し、この傾斜面401は、クランプ受け50の下方から本体1の内方にまで続いて形成されている。
【0100】
こうすると、ご飯(米粒)などの異物が本体1の上部に落下しても、そこに形成した傾斜面401によって、そのまま止まらずに本体1の上部から内方に異物が移動しやすくなる。そのため、異物による蓋体31の特に開閉に関わる動作に影響を及ぼすことを防止し、蓋体31を確実に動作できるようにして、傾斜面401を形成しただけの簡単な構成でありながら、安全性を高めることができる。また、この傾斜面401をクランプ受け50の下方から本体1の内方にまで継続させることで、入り組んだクランプ受け50から本体1の内方に異物が移動しやすくなり、クランプ受け50に異物を残したままの状態にするのを回避して、清掃性を良好に維持できる。よって、簡単な構成でありながら清掃性が良好で、安全性の高い炊飯器を提供できる。
【0101】
また、上記構成における本体1は、鍋11のフランジ部14の所定方向である下方に配置された上枠2と、鍋11を覆ってその周囲に配置された外枠3とにより構成され、傾斜面401を形成する部材としての金属材料402は、上枠2とは異なるもので構成される。
【0102】
こうして傾斜面401を形成する部材である例えば金属材料402を、例えば上枠2よりも異物の滑りやすい材料とすることで、本体1の内方に異物を確実に移動させることが可能になる。そのため、より清掃性が良好になり、且つ安全性をさらに向上させた炊飯器を提供できる。
【0103】
さらに、上記構成におけるクランプ44は蓋体31に軸支され、このクランプ44の回転軌跡に近い形状で傾斜面401が形成される。
【0104】
したがって、クランプ44の回転軌跡に沿って、この回転軌跡に近い形状で傾斜面401を形成することで、傾斜面401に落下した異物がどの位置にあっても、回動するクランプ44にぶつかる可能性を低減させ、本体1の内方に異物を確実に移動させることが可能になる。そのため、より清掃性が良好になり、且つ安全性をさらに向上させた炊飯器を提供できる。
【0105】
次に、上記炊飯器の補強構造について、図21〜図26を参照しながら詳しく説明する。図21は前記図7で示した蓋体31における内部構造の変形例である。同図において、蓋体31のベース材である外蓋カバー35には、左右に分割した対をなす蓋補強手段としての蓋補強板411,412が配置される。この蓋補強板411,412は蓋体31の強度を補うためのものであって、合成樹脂製の外蓋カバー35よりも高い剛性を有する例えば金属材料で構成され、外蓋カバー35の両側面に沿って、蓋体31の前後方向に延びた直線状の形状をなす。また蓋補強板411,412は、例えばネジ413などの止着部材によって外蓋カバー35に固定される構造を有する。
【0106】
蓋補強板411,412の前側には、前記クランプシャフト45が貫通する孔414が設けられ、この孔414にクランプシャフト45の各端部を貫通させることで、クランプシャフト45が蓋補強板411,412と連結される。また、蓋補強板411,412の後側には、ヒンジ軸としてのヒンジシャフト41が貫通する孔415が設けられ、この孔415にヒンジシャフト41の各端部を貫通させることで、クランプシャフト45のみならずヒンジシャフト41も蓋補強板411,412と連結される。ヒンジシャフト41やクランプシャフト45は、何れも蓋体31ひいては炊飯器の左右方向に配置された金属製の部材であり、これらの部材と蓋補強板411,412との組合わせにより、効果的な補強がなされる。
【0107】
図22および図23は、上枠2における補強構造を示している。これらの各図において、上枠2の下面には、本体補強手段である枠板としてのクランプ補強板421が設けられる。この枠板は、鍋11が受ける加圧力に耐えるように全面を受けてもよいし、鍋11からの加圧力が低い場合には、蓋体31と連結するクランプ44とヒンジ部38の周辺にのみ設けてもよい。ここでのクランプ補強板421は、合成樹脂製の上枠2よりも高い剛性を有する例えば金属材料で構成され、上枠2の前面に沿って左右方向に延びて配設される。
【0108】
図24および図25は、クランプ補強板421の取付け状態を示す図であるが、クランプ補強板421は、クランプ受け50を形成するカバー部材50Bにネジ422などの止着部材を螺着することで、上枠2の下側に固定される。鍋11内の加圧時には蓋体31と共にクランプ44が上方に持ち上げられるため、クランプ44と係合するクランプ受け50は補強のために、枠板或いはクランプ補強板421と連結する構造とする。
【0109】
図26は、ヒンジ部38に対する補強構造を示す図である。ここでは本体補強手段として、ヒンジ部38の底部を補強するヒンジ補強板431と、ヒンジシャフト41と上枠2との取付けを補強するシャフト補強板432がそれぞれ設けられる。ヒンジ補強板431およびシャフト補強板432は、共に上枠2よりも高い剛性を有する例えば金属材料で構成され、上枠2の後面に沿って左右方向に延びて配設される。ヒンジ補強板431は、例えばネジ433などの止着部材によって上枠2に固定され、同様にシャフト補強板432も、別なネジ434などの止着部材によって上枠2に固定される。特にシャフト補強板432は、ヒンジシャフト41の外面形状に対応したU字状の受け部435を形成しており、鍋11内の加圧時などにおいて、ヒンジシャフト41が受け部435に当接することにより、ヒンジシャフト41から上枠2に加わる力を緩和できる。また、枠板をクランプ補強板421とヒンジ補強板431に分割する時は、分割された蓋補強板411,412と略直交する位置関係でそれぞれの部材を配置する。これは、加圧力に対して効果的に補強を行なうためである。
【0110】
このように、上記実施例における炊飯器は、蓋体31の例えば内部に第1の補強手段としての蓋補強板411,412を設け、この蓋補強板411,412は蓋体31内において分割されており、各々の蓋補強板411,412は炊飯器の前後方向に沿った形状をなし、炊飯器の左右方向に配置した連結体である例えばヒンジシャフト41やクランプシャフト45に連結する構成となっている。
【0111】
こうすると、蓋体31に配置される各々の蓋補強板411,412と、これらの蓋補強板411,412をつなぐヒンジシャフト41やクランプシャフト45との組み合わせによって、例えば炊飯時などに鍋11内が大気圧以上となった時の圧力上昇に対して、蓋体31を効果的に補強できる。したがって、蓋補強板411,412をヒンジシャフト41やクランプシャフト45に連結しただけの必要最小限の構造で、蓋体31ひいては製品としての強度を持たせ、製品サイズや重量の増加を回避しつつ、コスト上昇の弊害を改善することが可能になる。
【0112】
また本実施例では、蓋体31に設けられ、本体1と蓋体31とを係止する係止手段としてのクランプ44と、本体1に設けられ、クランプ44と係合する受け手段としてのクランプ受け50とを備え、クランプ44は第1の軸であるクランプシャフト45を中心に回動して、クランプ受け50に係脱自在に設けられ、このクランプ44の反対側に本体1と蓋体31とを軸支する第2の軸としてのヒンジシャフト41を備えて、本体1と蓋体31とを開閉自在にする構成とし、クランプシャフト45またはヒンジシャフト41の少なくとも一方を連結体としている。
【0113】
こうすれば、クランプシャフト45を連結体とすることで、クランプ44における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。或いはヒンジシャフト41を連結体とすることで、蓋体31と本体1との回動機構における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。
【0114】
さらに本実施例では、本体1の例えば内部に第2の補強手段としてのクランプ補強板421やヒンジ補強板431やシャフト補強板432を設け、この第2の補強手段は、特にヒンジシャフト41の補強部としてシャフト補強板432を備えている。
【0115】
つまり、本体1を別な補強手段であるクランプ補強板421やヒンジ補強板431やシャフト補強板432により補強することで、蓋体31のみならず本体1における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。
【0116】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 本体
31 蓋体
41 ヒンジシャフト(連結体,第2の軸)
44 クランプ(係止手段)
45 クランプシャフト(連結体,第1の軸)
50 クランプ受け(受け手段)
411,412 蓋補強板(第1の補強手段)
421 クランプ補強板(第2の補強手段)
431 ヒンジ補強板(第2の補強手段)
432 シャフト補強板(第2の補強手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体と蓋体とを係止する係止手段、及び係止手段と係合する受け手段とを備えた炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の炊飯器は特許文献1などに開示されるが、清掃性を考慮した形状を有している。
【0003】
また、製品強度を持たせるためにさまざまな補強構造が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−29402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、蓋体と本体とを係止する係止手段の受け手段は、上記特許文献1にもあるように入り組んだ形状であるため、清掃性が悪く、蓋体の動作を悪化させる場合がある。
【0006】
また、部品点数の増加によって、コスト上昇の弊害が付きまとっている。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、必要最小限の構造で製品強度を持たせ、コスト上昇の弊害を改善させた炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の炊飯器では、蓋体に配置される各々の補強手段と、これらの補強手段をつなぐ連結体との組み合わせによって、例えば炊飯時などの圧力上昇に対して、蓋体を効果的に補強できる。したがって、第1の補強手段を連結体に連結しただけの必要最小限の構造で、蓋体ひいては製品としての強度を持たせ、コスト上昇の弊害を改善することが可能になる。
【0009】
請求項2の炊飯器では、第1の軸を連結体とすることで、係止手段における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。或いは第2の軸を連結体とすることで、蓋体と本体との回動機構における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。
【0010】
請求項3の炊飯器では、本体を別な補強手段で補強することで、蓋体のみならず本体における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の構成によれば、必要最小限の構造で製品強度を持たせ、コスト上昇の弊害を改善させた炊飯器を提供できる。
【0012】
請求項2の構成によれば、係止手段或いは蓋体と本体との回動機構における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。
【0013】
請求項3の構成によれば、蓋体のみならず本体における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例における炊飯器の全体断面図である。
【図2】同上、蓋開ボタン周辺の構造を示す要部断面図である。
【図3】同上、炊飯器の平面図である。
【図4】同上、加圧時における調圧部およびその周辺の拡大断面図である。
【図5】同上、減圧時における調圧部およびその周辺の拡大断面図である。
【図6】同上、図2とは別な断面であらわした加圧時における要部の拡大断面図である。
【図7】同上、外蓋を外した状態の蓋体内部の斜視図である。
【図8】同上、クランプと、調圧用ソレノイドおよび開閉用ソレノイドの周辺の構造を示す斜視図である。
【図9】同上、調圧用ソレノイドとその周辺の構造を示す斜視図である。
【図10】同上、開閉用ソレノイドとその周辺の構造を示す斜視図である。
【図11】同上、開閉用ソレノイドの非通電時における要部の断面図である。
【図12】同上、図11に示す状態から、内蓋組立体を装着した場合の要部の断面図である。
【図13】同上、図12に示す状態から、内蓋に変形を生じたときの要部の断面図である。
【図14】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図15】同上、鍋内の温度および圧力の推移と、各部の動作状態をあらわしたタイミングチャートである。
【図16】同上、上枠および外枠を示す斜視図である。
【図17】同上、ヒンジ部周辺の断面図である。
【図18】同上、クランプ受け周辺の構造を示す要部断面図である。
【図19】同上、クランプ受け周辺の構造を示す要部断面図である。
【図20】同上、クランプおよびその周辺を部分的に示す要部斜視図である。
【図21】同上、蓋体の内部構造を示す斜視図である。
【図22】同上、外枠に枠板を取付けた状態の斜視図である。
【図23】同上、外枠に枠板を取付けた状態の要部斜視図である。
【図24】同上、クランプ補強板の取付け状態を示す要部斜視図である。
【図25】同上、クランプ補強板の取付け状態を示す断面図である。
【図26】同上、ヒンジ部の補強構造を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における炊飯器の好ましい実施例を説明する。
【0016】
まず図1に基づき、炊飯器の基本的な構成について説明する。同図において、炊飯器の外郭をなす本体1は、その上面と上側面を構成する上枠2と、側面を構成するほぼ筒状の外枠3とにより形成され、外枠3の下方にある底部開口を覆う底板4が設けられている。その際、上枠2や底板4は、PP(ポリプロピレン)などの合成樹脂で形成される一方で、外枠3は清掃性や外観品位を向上させるために、例えばステンレスなどの金属部材で形成される。また、上枠2の上面内周部から垂下され、この上枠2と一体化したPPなどの合成樹脂で形成されるほぼ筒状の鍋収容部6と、この鍋収容部6の下面開口を覆って設けられ、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂で形成される内枠8とにより、後述する鍋11を収納する有底筒状で非磁性材料からなる鍋収容体9が形成される。
【0017】
前記鍋収容体9内には、米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の鍋11が着脱自在に収容される。鍋11は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材料とした鍋本体12と、この鍋本体12の外面の側面下部から底面部にかけて接合されたフェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体13とにより構成される。鍋11の側面中央から上部に発熱体13を設けないのは、鍋11の軽量化を図るためである。また、鍋11の上端周囲には、その外周側に延出する円環状のフランジ部14が形成される。なお、鍋収容部6の外周には加熱手段を設けない構成となっている。
【0018】
前記内枠8の外面の発熱体13に対向する側面下部および底面部には、鍋11の特に底部を電磁誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル16が設けられている。そして、この加熱コイル16に高周波電流を供給すると、加熱コイル16から発生する交番磁界によって発熱体13が発熱し、炊飯時と保温時に鍋11ひいては鍋11内の被炊飯物を加熱するようになっている。
【0019】
また、内枠8の底部中央部には、鍋11の底部外面と弾発的に接触するように、温度検出手段としてサーミスタ式の鍋温度センサ17が配置され、この鍋温度センサ17の検出温度に応じて加熱コイル16の加熱量を調節し、鍋11を一定温度に保持する構成になっている。
【0020】
前記鍋収容体9の上端には、鍋11の側面上部、特にフランジ部14を加熱するためのコードヒータ18が円環状に配置される。このコードヒータ18は電熱式ヒータからなり、鍋収容体9の上端に載置して取付けられた熱放散抑止部材としてのヒータリング19上に保持されると共に、コードヒータ18を上から覆うようにしてヒータリング19に取付けられ、かつ熱伝導性に優れた例えばアルミ板からなる固定金具と放熱部とを兼用する金属板20を備えて、フランジヒータを構成している。この金属板20は、炊飯器本体1と蓋体31との隙間に対向して位置している。そして、前記金属板20の上面に鍋11のフランジ部14の下面が載置し、これにより、鍋11が本体1の上枠2に吊られた状態で、鍋収容体9内に収容されるようになっている。したがって、鍋11とこの鍋11が収容された鍋収容体9の上端との間における隙間がほとんどない構成になる。しかも、鍋11のフランジ部14は、外形がコードヒータ18と同等以上の大きさに形成されており、これにより、コードヒータ18が鍋11のフランジ部14で上から覆われるようになっている。但し、図示していないが、鍋11の持ち手部(フランジ部14)は非接触にし、部分的に隙間を形成することで、鍋11の外面に水が付着した状態で炊飯したときに、当該隙間から蒸気が排出されるようにしてある。
【0021】
蓋体31は、その上面外殻をなす外観部品としての外蓋32と、蓋体31の内面である下面を形成し、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属性の放熱板34と、外蓋32の下方に位置して前記鍋11の上方開口部を覆い、外蓋32および放熱板34を結合させる蓋ベース材としての外蓋カバー35とを主たる構成要素としている。また、前記蓋体31の内部にあって、放熱板34の上面には、蓋加熱手段としての蓋ヒータ36が設けられている。この蓋ヒータ36は、コードヒータなどの電熱式ヒータや、電磁誘導加熱式による加熱コイルでもよい。
【0022】
前記上枠2の後方には、蓋体31と連結するヒンジ部38が設けられる。このヒンジ部38には、正面から見て左右方向に一対の孔(図示せず)が設けられていると共に、ねじりコイルバネなどで形成したヒンジバネ40が、その内部に収納される。一方、外蓋カバー35の後方にも、前記ヒンジ部38に設けた孔と対向するようにヒンジ受部としての外蓋カバーヒンジ孔(図示せず)が設けられる。そして、このヒンジ孔とヒンジ部38の孔に共通して、棒状のヒンジシャフト41を挿通することで、本体1と蓋体31がヒンジシャフト41を支点として開閉自在に軸支される。さらに、前記ヒンジバネ40の一端と他端が、外蓋カバー35と外枠3にそれぞれ引掛けられることで、蓋体31は常時開方向に付勢されている。
【0023】
蓋体31の前方上面には、蓋開ボタン46が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン46を押すと、蓋体31と本体1との係合が解除され、ヒンジバネ40によって蓋体31が自動的に開く構成となっている。
【0024】
ここで、図2の断面図に基づいて、蓋開ボタン46周辺の構成をさらに詳しく説明すると、蓋体31には係止手段に相当するクランプ44が配置される。このクランプ44は、蓋体31の内部に設けた軸としてのクランプシャフト45を中心として、外蓋カバー35に対し回転自在に軸支される。蓋開閉手段に相当する蓋開ボタン46は、使用者が操作できるように蓋体31の前方上面から露出状態に配設される。蓋体31の内部には、クランプ44の基端部44Aを蓋開ボタン46側に付勢するバネなどのクランプ付勢手段(図示せず)が設けられ、これにより蓋開ボタン46を常時上方に押し上げる力が作用するようになっている。
【0025】
クランプ44は、蓋開ボタン46に当接する基端部44Aの他に、外蓋カバー35の下面にあるクランプ用孔48から下方に突出する垂下部44Bと、クランプ44の実質的な先端部に相当し、垂下部44Bの下端を起点として、そこから本体1の内方に延出する係合部44Cとにより構成される。クランプ44はステンレスなどの金属部品で形成し、係合部44Cは略L字状とする。そうすることで、クランプ44を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ受け50との係合を得られる。また、蓋体31の中央から左右の略均等位置に係合部44Cを設ける。これらの垂下部44Bや係合部44Cは、クランプ44の下側にあって左右一対に設けられる。クランプ44の回転中心となるクランプシャフト45は、垂下部44Bの上端に沿うように配置され、係合部44Cは本体1の略前後方向に遥動する。
【0026】
一方、上枠2に設けたヒンジ部38の略反対側に位置して、該上枠2の前方には受け手段に相当するクランプ受け50が配設されており、蓋体31を本体1側に閉じようとすると、クランプ付勢手段の付勢力により、クランプ44がクランプシャフト45を中心軸として回転し、当該クランプ受け50に係合することで、蓋体31を本体1に対し閉状態に保持するようになっている。クランプ受け50はステンレスなどの金属部品で形成する。そうすることで、クランプ受け50を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ44との係合を得られる。反対に蓋体31を開く場合には、蓋開ボタン46を押動操作し、クランプ44の基端部を下方に押下げてクランプ44を逆方向に回転させ、係合部44Cを本体1の前方に変位させて、クランプ44とクランプ受け50との係合を解除する。上枠2のクランプ受け下方部は、クランプ44がクランプシャフト45を軸として回転動作する際に、ぶつからない深さを有することが必要である。また、クランプ44とクランプ受け50下方部の隙間は、通常時のクランプ44とクランプ受け50の係合量よりも大となる寸法関係としておく。更に、外蓋カバー35と上枠2の隙間よりも大となる寸法関係としておく。
【0027】
なお、ここでは蓋体31側にある可動するクランプ44を係止手段といい、本体1側にある固定したクランプ受け50を受け手段としているが、蓋体31に固定した係止手段を設け、本体1に可動する受け手段を設けてもよい。
【0028】
55は、放熱板34の外側すなわち下側に設けられる内蓋組立体である。この内蓋組立体55は、鍋11の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有し、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属性の内蓋56と、鍋11と内蓋56との隙間を塞ぐために、当該内蓋56の外側全周に設けられ、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなる蓋パッキン57と、内釜の内圧力を調整する調圧部58とを備えている。そして、内蓋56と蓋パッキン57はパッキンベース59で一体化され、これにより外蓋カバー35内面に内蓋組立体55が着脱可能に設けられる。また、環状に形成された蓋パッキン57は、蓋体31を閉じた時(蓋閉時)に、鍋11のフランジ部14上面に当接して、この鍋11と内蓋56との間の隙間を塞ぎ、鍋11から発生する蒸気を密閉するものである。
【0029】
再度図1に戻って説明すると、前記放熱板34には、蓋体31に装着される内蓋56の温度を検知する蓋温度検知手段として、蓋ヒータ36による内蓋56の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ61が設けられる。また、蓋体31の上面後方寄り部には、蓋体31の上面側から着脱可能な蒸気口146が設けられる。
【0030】
前記内蓋56は、何れも鍋11の内部と連通する複数の孔すなわち連通孔77,181を備えている。また、これらの連通孔77,181を開閉する開閉手段として、調圧部58と開閉弁62がそれぞれ別個に設けられる。調圧部58および開閉弁62は、内蓋56を外蓋カバー35の下側に取付けたときに、何れも蒸気口146の入口側に臨んで設けられ、当該蒸気口146と蓋体31の内部で連通する。そして、これらの調圧部58や開閉弁62が連通孔77,181を開放または閉止することで、鍋11内の圧力を調節するようになっている。
【0031】
ここで、図4〜図6を参照しながら、連通孔77を開閉する調圧部58の構成をより詳しく説明する。調圧手段たる前記調圧部58は、調圧用の調圧弁65と、調圧弁65を保持する調圧弁ホルダー組立体66と、調圧弁65を覆うドーム状の調圧弁カバー67とを備えて構成される。調圧弁65は耐食性に優れた材料で、ある程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレス球で形成される。
【0032】
調圧弁ホルダー組立体66は、第1ホルダー68と、第2ホルダー69と、減圧支持部材に相当する第1調圧パッキン71と、第2調圧パッキン72と、鍋11内からの圧力が第1調圧パッキン71に直接加わらないように、この第1調圧パッキン71の下方にあって、加圧支持部材に相当する弁支持体73と、第1調圧パッキン71の下面に弁支持体73が当接する方向に、当該弁支持体73を付勢する弾性体としての調圧バネ74と、により構成される。弁支持体73には、鍋11内の加圧時にボール状の調圧弁65の下方に当接する調圧孔70が設けられる。この調圧孔70は、鍋11と蓋体31外部とを連通させる為のもので、鍋11内の蒸気が調圧孔70を通過すると、蒸気口146から外気へ放出されるようになっている。また、第1ホルダー68と第2ホルダー69には、互いを嵌合する為の凸状の係合部75と凹状の被係合部76がそれぞれ設けられている。これらの第1ホルダー68と第2ホルダー69は、前記第1調圧パッキン71や弁支持体73などを保持する保持部材として、内蓋56に設けた連通孔77に装着される。第1ホルダー68は全体がキャップ状に形成され、その中央部に貫通孔68Aを有し、貫通孔68Aの周辺部68Bと第2ホルダー69の上端部69Aとにより、第1調圧パッキン71の基部を挟持するようになっている。また、第2ホルダー69は筒状で、その下側には内蓋56の連通孔77周辺の下面に当接するフランジ69Bが形成されると共に、フランジ69Bの上方外周には、リング状の前記第2調圧パッキン72を嵌合させる凹溝69Cが形成される。さらに、第2ホルダー69の内周側には、調圧バネ74の一端部を嵌め込むために、断面L字状の突片69dが形成される。
【0033】
調圧弁ホルダー組立体66の組立に際しては、まず第2ホルダー69の凹溝69Cに調圧パッキン72を嵌め込んだものを、内蓋56に設けた連通孔77に差込み、第2ホルダー69の内周側で調圧バネ74を挟むようにして、弁支持体73を第2ホルダー69の上方から挿入する。次に、弁支持体73および第2ホルダー69の上端部69Aを覆うようにして、第1調圧パッキン71を弁支持体73に載置し、その状態から更に第1調圧パッキン71を挟む様にして、第1ホルダー68を上方から被せ、係合部75と被係合部76とを互いに嵌合させて、第2ホルダー69に第1ホルダー68を取付ける。そして、図4や図5に示すように、調圧弁ホルダー組立体66を組立てた状態では、鍋11内部に第2ホルダー69の内側面と弁支持体73の下面が直接対向し、これらの第2ホルダー69や弁支持体73の上側に配置された第1調圧パッキン71は、鍋11内から直接圧力を受けずに済む構造になっている。
【0034】
この様に組立てた調圧弁ホルダー組立体66で調圧弁65を保持し、上方から調圧弁カバー67を被せることで調圧部58を構成する。この時、調圧弁ホルダー組立体66と調圧弁カバー67との取付けは爪嵌合でも良いし、ネジやリベットなどの止着部材を利用して止めてもよい。調圧弁カバー67は、調圧弁65の移動範囲を規制するためのもので、調圧孔70から放出する蒸気を蒸気口146に導く複数の孔(図示せず)が設けられている。また内蓋56は、調圧弁ホルダー組立体66と調圧弁カバー67とで峡持されるので、内蓋56の連通孔77は露出しない。
【0035】
弁支持体73の調圧孔70の開口面積は、弁支持体73の下側に形成した脚部79の内側の、鍋11内から直接圧力を受ける面80の面積より小さくなっている。また、調圧弁65は調圧孔70を塞ぐように保持される。よって、調圧孔70の開口面積と調圧弁65との重量により、鍋11内の圧力を調整することができる。
【0036】
調圧弁65を動かして蓋体31の密閉度即ち鍋11の内圧を調節する動作源として、蓋体31内の外蓋カバー35には、調圧部58内にある調圧弁65を動かすソレノイド78が設けられる。ソレノイド78の非通電状態では、その先端部を進出位置に保持し、調圧弁65を調圧孔70から退避する一方、ソレノイド78の通電状態では、その先端部を退避させ、調圧弁65を調圧孔70に自重で転動させ、調圧孔70を塞いで鍋11内に圧力を投入する。
【0037】
第1調圧パッキン71および第2調圧パッキン72は、何れもシリコーンゴム等の弾性部材で構成する。これにより、特に図5に示す鍋11内の減圧時には、第1調圧パッキン71の弾性変形により、調圧弁65が当該第1調圧パッキン71に密着し、第1調圧パッキン71における開口部すなわち孔71Aのシール性が向上する。
【0038】
ここで、上記図1〜図6の他に、図7〜図9をもさらに参照しながら、前記調圧部58の操作手段について説明する。蓋体31の内部には、電磁力により内部からプランジャー151を出没させて、調圧部58内にある調圧弁65を動かす調圧用ソレノイド78が設けられる。また、外蓋カバー35に向けてプランジャー151と共に可動する調圧フレーム152や、蓋体31内部を水密状態に保持する可撓性の調圧パッキン153も、同様に蓋体31内の外蓋カバー35に設けられる。調圧パッキン153は、調圧部58に臨んで外蓋カバー35に設けた取付け孔の周縁に嵌合する凹字状の取付部153Aが形成される。そして、図6にも示すように、これらの調圧用ソレノイド78や調圧フレーム152は、外蓋カバー35により蓋体31内に形成された調圧収容部154に収容配置される。
【0039】
調圧フレーム152は、図7〜図9に示すように、調圧弁65に向けて突出した調圧弁操作手段としての調圧操作部161と、調圧用ソレノイド78を囲うようにして設けたフレーム部162と、調圧操作部161の略反対側に設けられた規制手段としてのクランプ動作規制部163とを備えて構成される。ソレノイド78のプランジャー151ひいては調圧フレーム152は、鍋11内を非加圧状態とするために、調圧弁65を押すように常時位置している。このときの調圧フレーム152の位置を、第1フレーム位置とする。特に調圧弁65を操作する調圧フレーム152の部分を、前記調圧操作部161としている。こうすることで、蓋体31を開けようとする場合には、鍋11内を外気と連通させ、負圧の影響を受けずにスムーズな蓋開動作を得ることができる。
【0040】
上記連通孔77に対向する調圧部58とは別に、別な連通孔181に対向して、当該連通孔181を開閉する開閉弁62が内蓋56の上面側に設けられる。当該開閉弁62は、図11〜図13に示すように、上下動可能な開閉弁シャフト201と、シャフト押え202と、弾性体であるコイルスプリングからなるシャフトバネ203と、開閉弁シャフト201の下部に装着するシャフトパッキン204とを備えて構成される。シャフト押え202は筒状で、下端が内蓋56の連通孔181周囲に当接する一方で、上端から開閉弁シャフト201が挿通するようになっている。シャフトバネ203は、開閉弁シャフト201の外周に形成したフランジ201Aと前記シャフト押え202の上端とに間に設けられ、シャフトパッキン204が連通孔181から離れる方向に、開閉弁シャフト201を常時付勢する。このように、シャフトパッキン204を含む開閉シャフト201は、シャフトバネ203により連通孔181を開放する方向に常時付勢されているが、これは内蓋56の上部に溜まったオネバを、連通孔181から鍋11内に戻すことと、蓋体31を閉じる時に、鍋11内から連通孔181を通して外気に空気を抜け易くし、蓋閉時に掛かる力を低減させるためである。さらに、連通孔181に臨んで設けたシャフトパッキン204は、開閉弁シャフト201が下方に移動したときに連通孔181を確実に塞ぐように、柔軟性を有する材料で形成される。
【0041】
205は、前記開閉弁シャフト201やシャフトバネ203の外周を覆い、シャフト押え202の上部に被着される筒状の開閉弁カバーである。この開閉弁カバー205は、前記調圧弁カバー67に取付けてもよいし、調圧弁カバー67とは別個に設けて取付けてもよい。
【0042】
開閉弁62の上部に位置して、外蓋カバー35には操作手段としての開閉弁操作手段211が取付けられる。開閉弁操作手段211は、開閉弁62を操作するための操作部材212としての第1開閉シャフト212Aおよび第2開閉シャフト212Bと、操作部材212を上下に動作させるフレーム部材である開閉フレーム175と、前記第1開閉シャフト212Aと第2開閉シャフト212Bとの間にあって、コイルスプリングからなる弾性部材215と、外蓋カバー35の孔部216を塞ぐ可撓性のシール部材217と、シール部材217の上部に取付けられるキャップ218と、により構成される。シール部材217は、その外周部に蓋体31の内部をシールするシール部221が形成される一方で、中心部には前記操作部材212を覆う有底筒状の操作部222が設けられ、この操作部222が前記開閉弁シャフト201の上端面に当接するようになっている。ここでのシール部221は、断面がコ字状で、外蓋カバー35の孔部216周縁に装着されるようになっており、さらにこの孔部216の周縁とキャップ218の外周部との間に挟持される。また、シール部221と操作部222との間には、これらのシール部221や操作部222よりも肉薄で、柔軟性に富む繋ぎ部223で連結される。この繋ぎ部223は断面が湾曲した形状に形成されるが、操作部222が操作部材212に連動して、開閉弁シャフト201と同じ上下方向に可動する形状であれば、湾曲以外の形状であってもよい。
【0043】
前記キャップ218に挿通する操作部材212と、シール部材217の操作部222との間には、弾性部材215が装着される。また、操作部材212の上方には、前記開閉フレーム175の操作部材可動部188が貫通し当接する孔213が設けられる。
【0044】
有底筒状をなす第1開閉シャフト212Aの上部外周には、円環状の溝241が形成される一方で、第2開閉シャフト212Bの下部内周に形成され、前記溝241に爪242を嵌合させつつ、弾性部材215を介在した状態で、第1開閉シャフト212Aの上部に第2開閉シャフト212Bが上下動可能に装着される。ここで、溝241に一定の幅を持たせることにより、第2開閉シャフト212Bに対する第1開閉シャフト212Aの移動範囲が、溝241の幅で規制されるようになっており、これにより操作部材212は、弾性部材215の所定の取付け位置に設けられる。つまり、ここでの溝241と爪242は、弾性部材215間の弾性力や寸法のばらつきに依存せず、上下方向に可変可能な操作部材212の全長の上限と下限を、一律に規制する規制手段として設けられている。
【0045】
ここで開閉フレーム175とその周辺の構成を、前述した図7および図8や、図10に基づき説明すると、外蓋カバー35により蓋体31内に形成された調圧収容部154とは別の開閉収容部171に、開閉用ソレノイド172が配置される。この開閉用ソレノイド172も、前記調圧用ソレノイド78と同様に、電磁力により内部からプランジャー173を出没させる構成となっている。そして、前記開閉フレーム175は、開閉用ソレノイド172と共に開閉収容部171に収容配置され、プランジャー173と共に可動するようになっている。このように、開閉弁操作手段211を構成する開閉フレーム175が、好ましくはソレノイドである開閉用ソレノイド172を駆動源として動作することで、炊飯行程において確実に開閉フレーム175を移動させることが可能になる。また同様に、調圧フレーム152が、好ましくはソレノイドである調圧用ソレノイド78を駆動源として動作することで、炊飯行程において確実に調圧フレーム152を移動させることが可能になる。
【0046】
前記操作部材可動部188は、操作部材212と開閉用ソレノイド172のプランジャー173との間にあって、開閉フレーム175の後方に一体化して腕片状に形成される。また、この開閉フレーム175の前方には、操作部材可動部188の略反対側に位置して、規制手段としての突出したクランプ動作規制部189が設けられる。この操作部材可動部188は、その中央部188Aと先端部188Bで高低差を有する形状となっており、さらに操作部材212に設けた孔213に貫通した状態でセットされる。つまり、ここでの操作部材可動部188は、操作部材212との当接部にカム面188Cを形成しており、プランジャー173ひいてはこれに連動する操作部材可動部188が出没するのに伴い、操作部材212が接するカム面188Cの位置が変わることで、開閉弁シャフト201ひいては開閉弁62が上下動するようになっている。
【0047】
251は、内蓋組立体55の内蓋56に設けられる安全弁である。この安全弁251は、鍋11内の圧力が何らかの要因で設定値以上である異常圧力に昇圧すると開弁して、鍋11の内圧を下げるものである。
【0048】
そして、内蓋組立体55を外蓋カバー35の下面に取付けると、シャフトバネ203によって上方に押し上げられた開閉弁シャフト201の上端面は、シール部材217の操作部222に当接する。このとき、開閉用ソレノイド172は非通電状態にあり、操作部材212の孔213には操作部材可動部188の中央部188Aが位置しているので、弾性部材215が撓んで操作部材212の第1開閉シャフト212Aが上方に押し上げられる。よって、シャフトパッキン204は連通孔181から離れて、当該連通孔181は開放された状態を保持する。つまり図11に示すように、通常時における開閉用ソレノイド172の非通電状態では、操作部材可動部188の中央部188Aに操作部材212が当接し、操作部材212の第1開閉シャフト212Aや開閉弁62の開閉弁シャフト201が上方に位置するので、内蓋56に形成した連通孔181は開放されたままの状態となる。
【0049】
逆に図12に示すように、炊飯の所定の行程が開始して、開閉用ソレノイド172が通電状態になると、開閉フレーム175が動作して、操作部材212の孔213内で操作部材可動部188が後退して貫通移動し、操作部材212は操作部材可動部188の先端部188Bに当接して保持される。前述のように、操作部材可動部188の中央部188Aと先端部188Bでは高低差を有しており、且つ先端部188Bは中央部188Aよりも操作部材212が当接するカム面188Cが下方に位置している。そのため、溝241と爪242との嵌合により操作部材212が一定範囲での全長を保ちながら、操作部材212およびシール部材217の操作部222は下方に移動し、内蓋組立体55に設けた開閉弁シャフト201が、シール部材217の操作部222によって下方に押し込まれることで、この開閉弁シャフト201の先端に取付けたシャフトパッキン204が連通孔181を閉止する。このとき、シャフトパッキン204が連通孔181を確実に閉塞するために、シール部材217の操作部222が開閉弁シャフト201を下方に押し込む力は、シャフトバネ203が開閉弁シャフト201を上方に付勢する力よりも大きくなるようにする。また本実施例では、開閉フレーム175の操作部材可動部188が開閉弁シャフト201を押す際のストローク(移動距離)が、溝241と爪242との嵌合により一定の範囲に規定されるため、シャフトパッキン204が連通孔181を安定して閉塞することができる。
【0050】
先に説明したように、調圧用ソレノイド78の周辺において、調圧フレーム152の後方には、調圧弁65を動かすための調圧操作部161が設けられる一方で、調圧フレーム152の前方には、突出したクランプ動作規制部163が設けられる。これと同様に、開閉用ソレノイド172の周辺において、開閉フレーム175の後方には、カム面188Cを有する操作部材可動部188が設けられ、開閉フレーム175の前方には、突出したクランプ動作規制部189が設けられる。そして、炊飯を開始し、加圧する所定の行程に移行するなどして、調圧用ソレノイド78のプランジャー151が第2のフレーム位置である後退位置に移動すると、クランプ44がクランプ受け50から係合解除する方向に動くのを規制するために、クランプ動作規制部163がクランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むように配置されると共に、開閉用ソレノイド172のプランジャー173が同様に第2のフレーム位置である後退位置に移動すると、クランプ動作規制部189がクランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むように配置される。このとき、蓋開ボタン46によりクランプ44を押し込もうとしても、クランプ44はその動きを規制されて、クランプ受け50との係合を解除できない。
【0051】
逆に、調圧用ソレノイド78のプランジャー151が、第1のフレーム位置である進出位置にあるときには、クランプ動作規制部163がクランプ44の基端部44Aから離れると共に、開閉用ソレノイド172のプランジャー173が、同様に第1のフレーム位置である進出位置にあるときにも、クランプ動作規制部189がクランプ44の基端部44Aから離れる。つまり、クランプ44の基端部44Aの下方に、クランプ動作規制部163とクランプ動作規制部189の両方またはどちらか一方が位置するときには、クランプ44の動作が規制され、クランプ44がクランプ受け50から係合解除できなくなるが、クランプ動作規制部163とクランプ動作規制部189の両方が、クランプ44の基端部44Aの下方から離れると、クランプ44の動作は規制されなくなり、蓋開ボタン46を押動操作すると、クランプ44がクランプ受け50から離脱して、蓋体31が開くようになっている。なお、クランプ動作規制部163,189は、クランプ44の基端部44Aの下方に潜り込まなくても、クランプ44の動作を規制する位置や形状を有していれば、どのようなものでも構わない。
【0052】
また別な例として、外蓋カバー35内における調圧フレーム152の可動部下方に、図示しない圧力検出手段を配置し、弾性部材である例えばバネによって、圧力検出弁を下方へ付勢するように構成してもよい。この場合、圧力検出弁の上部がクランプ動作規制手段を押し上げるように構成する。また、圧力検出弁とクランプ動作規制手段との間には、鍋11内部の圧力状態に応じた圧力検出弁の上下動に合わせて、クランプ動作規制手段を上下動させるパッキンを設ける。圧力検出弁は例えばカバーとホルダーで保持されるようにし、圧力検出弁の下方とカバーとの間に備えた前記ばねにより、当該圧力検出弁が常時下方に付勢される。また、これらの圧力検出ユニットと内蓋56との間をシールするパッキンを設けるのが好ましい。
【0053】
そしてこの例では、鍋11の内圧が所定値に到達すると、圧力検出弁は上方に移動する。これは圧力検出弁の下方で鍋11からの圧力を直接受ける面積と内圧力の割合が、ばねの付勢力よりも高くなったときに生じる。ばねの付勢力に抗して圧力検出弁が上部に移動すると、クランプ動作規制手段も上方へ移動する。上方へ移動突出したクランプ動作規制手段は、フレームの動作を妨げる位置、すなわち前記第2のフレーム位置から第1のフレーム位置への復帰を防止する第3のフレーム位置となる。この時、調圧弁58は調圧孔70を開放したまま、フレーム152がクランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むように配置される。
【0054】
81は、蓋体31を本体1に閉じた状態で、鍋11内を通常の大気圧よりも低くするために設けた減圧手段である。この減圧手段81は、減圧駆動源としての減圧ポンプ82と、この減圧ポンプ82から本体1および蓋体31を経て、内蓋56に設けた孔83に至る管状の経路84とにより構成される。また、蓋体31の内部には、経路84の基端部を開閉する開閉体としての電磁弁87と、この電磁弁87を収容する弁収容体88が設けられる。弁収容体88には、前記内蓋56の孔83の周囲に向けて放熱板34から下方に突出した筒状の減圧パッキン89が接続される。ここでの内蓋56の孔83は、真空引き用の真空連通孔として設けられており、電磁弁87は孔83と減圧ポンプ82との間に設けられる。また経路84は、例えばゴムチューブなどの管で形成され、減圧ポンプ82と電磁弁87との間を連結する。なお、図1では減圧ポンプ82が本体1の後部に設けられているが、これは図7に示すように、蓋体31の後部に設けてもよい。
【0055】
そして、内蓋56を含む内蓋組立体55を蓋体31の下面に装着すると、減圧パッキン89が弾性変形しながら内蓋56の上面に密閉当接し、これにより孔83と減圧ポンプ82とを連通する経路84が形成される。また、内蓋組立体55を装着した状態で蓋体31を閉じると、蓋パッキン57が鍋11に密着して、連通孔77,181が閉塞状態にあれば、密閉した鍋11と電磁ポンプ82との間が経路84により連通する。この状態から減圧ポンプ82を起動させると、電磁弁87ひいては経路84が開放して、鍋11内の空気が経路84および減圧ポンプ82を通って本体1の外部に排出され、密閉した鍋11内の圧力が低下する。また、鍋11内の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合に、電磁弁87ひいては経路84を閉塞して、鍋11内を減圧状態に保っている。さらに、スローリークにより鍋11内の圧力が上昇した場合にも、電磁弁87ひいては経路84を開放し、減圧ポンプ82を起動させて、鍋11内を大気圧よりも低い状態に維持している。
【0056】
この様な鍋11内が大気圧よりも低い減圧状態では、弁支持体73を構成する脚部79の内側の空気が鍋11内に吸引され、それに伴い調圧弁65や、この調圧弁65を載置支持する弁支持体73が、調圧バネ74の付勢に抗して下降する。しかし、弁支持体73の開口部70が第1調圧パッキン71の孔71Aよりも低い位置に移動すると、調圧弁65はそれまでの弁支持体73に代わって第1調圧パッキン71に載置され、当該第1調圧パッキン71の孔71Aを塞ぐので、鍋11内の密閉が確保され、減圧を継続して行なえる(図5参照)。
【0057】
逆に炊飯時などにおいて、鍋11内を大気圧以上に加圧する時には、弁支持体73を構成する脚部79の内側が鍋11内から直接圧力を受けるため、調圧弁65の自重に抗して弁支持体73が上昇する。ここで、弁支持体73の開口部70が第1調圧パッキン71の孔71Aよりも高い位置に移動すると、調圧弁65はそれまでの第1調圧パッキン71に代わって弁支持体73に載置され、調圧孔70を塞ぐと共に、弁支持体73に載置している調圧弁65も、弁支持体73と同様に上昇する。そして、弁支持体73は上昇後、第1調圧パッキン71に当接し、それにより第1調圧パッキン71の孔71Aを通過しようとする蒸気などを遮断して、鍋11内の密閉を保持できる(図4参照)。
【0058】
再度図1に戻り、前記本体1の前部には操作パネル101が設けられている。この操作パネル101の内側には、時間や選択したメニューを表示するLCD102や、他にいずれも図示しないが、現在の行程を表示するLEDや、炊飯を開始させたり、メニューを選択させたりする操作スイッチ103(図5参照)の他に、鍋11内の減圧状態を選択する減圧選択スイッチなどを配置した基板が配設される。操作パネル101にはボタン名などが表示され、電子部品である制御手段にほこりや水が付着することも防止している。なお、操作パネル101を蓋体31の正面側に設けてもよい。
【0059】
111は、本体1の内部前方に設けられた加熱制御手段である。この加熱制御手段111は、加熱手段である加熱コイル16を駆動させるための発熱素子(図示せず)を基板に備えて構成される。この加熱コイル16を駆動する素子は、加熱コイル16の発振と共に加熱されるが、動作状態を保証する使用条件温度を有するので、一定温度以下で使用する必要がある。そのために、加熱コイル16を駆動する素子は、例えばアルミニウムのような熱伝導性の良好な材料で構成されるフィン状の放熱器112に熱的に接続され、冷却手段である冷却ファン113から発する風を放熱器112に当てて熱を奪うことにより、使用条件温度内で素子を駆動するようにしている。
【0060】
冷却ファン113は、加熱制御手段111に取付けられた放熱器112の下方、若しくは側部に配置されている。また、本体1の底部若しくは側部には、冷却ファン113から発し、加熱制御手段111に取付けられた放熱器112から熱を奪って温かくなった風を、本体1の外部へ排出するための孔(図示せず)が複数設けられている。加熱制御手段111は製品内部すなわち本体1内に収納されるが、鍋11の外周囲のどの位置に配置してもよい。また、本体1の底部若しくは側部に設けた孔も、どの位置に配置してもよい。しかし、近年は製品の小形化設計が求められている背景もあり、加熱制御手段111や冷却ファン113と、温かな風を排出する孔114は、鍋11をはさんで略反対位置に配置するのが好ましい。
【0061】
また図2において、141は、蓋開ボタン46の裏(内)側部に取付けられた基板である。この基板141には、前記減圧手段81が動作すると点灯作動する警報手段としてのLED142と、磁気検知素子としてのホール素子143がそれぞれ実装される。LED142は、別な図3に示すように、蓋開ボタン46の上面に対向して設けられており、またホール素子143は、蓋開ボタン46が押されていない状態では、外蓋32に設けた磁性体としてのマグネット144に対向して配設される。ホール素子143は、前記クランプ44とクランプ受け50との係合を解除しようとしたときに、マグネット144から離れることにより、その動作を検知して後述する加熱制御手段111に検知信号を出力する検知手段として設けられる。なお、別なセンサにより同等の機能を有する検知手段を構成してもよい。
【0062】
LED142は、炊飯初期のひたしや保温の工程で減圧手段81が作動し、鍋11内が大気圧以下のときにのみ連続点灯すると共に、保温工程中に鍋11内が大気圧以下のときに、クランプ44とクランプ受け50との係合を解除しようとすると、ホール素子143からの検知出力を受けて所定時間点滅し、その後消灯する表示手段として設けられる。LED142に代わり、例えばLCDなどの他の表示手段を用いてもよいし、ブザーなどの報知手段を設けてもよい。この場合、報知手段も同様に工程や連動する構成としてよい。その他、前記蓋体31は、前述した外蓋32,放熱板34,外蓋カバー35,および内蓋組立体55の他に、蓋体31としての外観品位を向上させるために、外蓋32の上面部を覆う三次元形状の金属蓋33を備えてもよい。
【0063】
次に制御系統について、図14を参照しながら説明する。同図において、111は前述の加熱制御手段で、これは前記鍋温度センサ17および蓋温度センサ61からの各温度情報や、操作スイッチ103からの操作信号の他に、前記蓋開ボタン46に設けたホール素子143や、蓋体31の開閉を検知する別なホール素子191からの検知信号を受け付けて、炊飯時および保温時に鍋11の底部を加熱する加熱コイル16と、鍋11の側部を加熱するコードヒータ18と、蓋体31を加熱する蓋ヒータ36とを各々制御すると共に、前述した減圧ポンプ82や、電磁弁87や、蓋体31の内部に設けたソレノイド78,172や、LED142を含む表示手段128を各々制御するものである。特に本実施例の加熱制御手段111は、鍋温度センサ17の検出温度に基づいて主に加熱コイル16が制御されて鍋11の底部を温度管理し、蓋温度センサ52の検出温度に基づいて主に蓋ヒータ26が制御されて放熱板34ひいては内蓋56を温度管理するようになっている。加熱制御手段111は、自身の記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯時に前記鍋11内の被炊飯物を炊飯加熱する炊飯制御手段118と、保温時に鍋11内のご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段119とをそれぞれ備えている。
【0064】
ここで、蓋開閉検知手段であるホール素子191について説明すると、このホール素子191は例えば蓋体31の後方に設けられた磁性体であるマグネット(図示せず)に対向して、本体1の内部に取付けられる。なお、同様の機能を発揮できれば、ホール素子191に代わり他のセンサを用いてもよい。
【0065】
ここでの保温制御手段119はタイマー手段120を備えており、保温動作が開始するとタイマー手段120を起動させて保温経過時間を計時し、この保温経過時間が予め設定した時間(例えば1時間)に達したら、鍋11内の圧力が加圧状態からほぼ大気圧に戻り、且つ鍋11内の温度が保温温度にまで低下した、いわゆる保温が安定する状態と判断するようになっている。また、加熱制御手段11はその他に、操作スイッチ103からの予約炊飯開始の指令を受けて、予め記憶手段に記憶された所定時間に鍋11内の被炊飯物が炊き上がるように炊飯制御手段118を制御する予約炊飯コースを実行可能な予約炊飯制御手段121を備えている。なお、前記所定時間は、操作スイッチ103の例えば時間キーや分キーを操作することで、適宜変更することができる。
【0066】
122は、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、加熱コイル16に所定の高周波電流を供給する高周波インバータ回路などを内蔵した加熱コイル駆動手段である。またこれとは別に、加熱制御手段111の出力側には、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、放熱板34や内蓋56を加熱するように蓋ヒータ36を駆動させる蓋ヒータ駆動手段123と、コードヒータ18をオンにするコードヒータ駆動手段124と、ソレノイド78,172をオンまたはオフにするソレノイド駆動手段125と、減圧ポンプ82を駆動させるポンプ駆動手段126と、電磁弁87をオンまたはオフにする電磁弁駆動手段127と、表示手段128を駆動させる表示駆動手段129が各々設けられる。前記炊飯制御手段118による炊飯時、および保温制御手段119による保温時には、鍋温度センサ17と蓋温度センサ61からの各温度検出により、加熱コイル16による鍋11の底部への加熱と、コードヒータ18による鍋11の側面への加熱と、蓋ヒータ36による蓋体31への加熱が行なわれるように構成する。また、前記炊飯制御手段118による炊飯が終了し、鍋11内の被調理物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段119による保温に自動的に移行し、鍋温度センサ17の検知温度に基づき、加熱コイル16やコードヒータ18による鍋11への加熱を調節することで、ご飯を所定の保温温度(約70℃〜76℃)に保温するように構成している。
【0067】
特に前記コードヒータ18による加熱について補足説明すると、炊飯後にご飯の温度が約100℃から約73℃の保温温度に低下するまでと、約73℃の保温安定時に、コードヒータ18を発熱させて、蓋体31と本体1との隙間の空間に金属板20から熱放射して、この隙間からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、鍋11のフランジ部14を加熱する。また、保温時にご飯を再加熱する期間にもコードヒータ18により鍋11のフランジ部14を加熱し、ご飯の加熱により発生する水分が鍋11の内面上部に結露することを防止するように構成している。
【0068】
さらに、本実施例における加熱制御手段111は、予約炊飯制御手段121による予約炊飯の待機時の炊飯が開始するまでの期間や、炊飯制御手段118が実質的な炊飯を開始するまでのひたし行程の期間や、保温制御手段119により前述した保温が安定する状態と判断した後で、鍋11内が大気圧より低くなるように、減圧ポンプ82や減圧状態保持用の電磁弁87を動作させる減圧制御手段130としての機能をも備えている。
【0069】
次に、上記構成について、その作用を図15のタイミングチャートに基づき説明する。この図15において、最上段およびその次の段にある各グラフは、鍋11内における温度および圧力の各推移を示し、以下、調圧弁65(調圧用ソレノイド78)の動作タイミングと、開閉弁62(開閉用ソレノイド172)の動作タイミングとをそれぞれ示している(塗潰しの状態がオン)。
【0070】
炊飯や保温が行なわれていない切状態において、調圧用ソレノイド78と開閉用ソレノイド172は共に非通電(オフ)状態にある。このとき、調圧用ソレノイド78のプランジャー151は進出位置にあって、調圧孔70が開放するように調圧弁65が移動すると共に、開閉用ソレノイド172のプランジャー173も進出位置にあって、内蓋56の連通孔181が開放するように、開閉弁シャフト201が上方に移動する。したがって、鍋11内は調圧孔70および連通孔181を通して外部と連通し、大気圧に維持される。また、クランプ動作規制部163,189が、共にクランプ44の基端部44Aの下方から離れた位置にあるので、クランプ44の動作は規制されず、蓋開ボタン46を押動操作すれば、クランプ44がクランプ受け50から離脱する。すなわち切状態では、蓋体31を自由に開閉することができる。
【0071】
その後、鍋11内に被炊飯物である米および水を入れ、操作スイッチ103の例えば炊飯キーを操作すると、炊飯制御手段118による炊飯が開始する。ここで炊飯制御手段118は、実質的な炊飯を開始する前に、鍋11内の米に対する吸水を促進させるために、鍋温度センサ17による鍋11の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル16とコードヒータ18で鍋11の底部と側面部をそれぞれ加熱し、鍋11内の水温を約45〜60℃に15〜20分間保持するひたしを行なう。このひたし中は、減圧手段81の減圧ポンプ82と電磁弁87が作動すると共に、鍋11内が大気圧以下のときには、調圧用ソレノイド78と開閉用ソレノイド172が共に通電(オン)状態になって、調圧用ソレノイド78のプランジャー151と開閉用ソレノイド172のプランジャー173が各々後退位置に移動する。これにより、調圧操作部161が調圧弁65から離れて、調圧弁65が第1調圧パッキン71の孔71Aを塞ぎ、また操作部材可動部188の先端部188Bに操作部材212が当接して、開閉弁シャフト201が下方に押し込まれ、シャフトパッキン204が内蓋56の連通孔181を塞ぐので、鍋11内の密閉が確保される。また、クランプ動作規制部163,189が、何れもクランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むので、クランプ44の回動が規制され、蓋開ボタン46を押動操作しようとしても、クランプ44とクランプ受け50との係合が二重にロックされ、蓋体31が開かないようになる。
【0072】
また、ひたし行程が開始すると、減圧制御手段130は実質的な炊飯が開始する直前まで減圧選択スイッチをオンにすると共に、鍋11内が減圧中であることを表示手段128のLCDに表示させる。これにより、使用者は鍋11内が減圧中であることを知ることができる。その後、減圧制御手段130は減圧ポンプ82の駆動を停止させ、且つ電磁弁87ひいては経路84を閉じて、鍋11内を減圧状態に維持し、スローリークによる圧力上昇を考慮して、一定時間が経過すると、減圧制御手段130は再び減圧ポンプ82を駆動させると共に、電磁弁87ひいては経路84を開放させて、鍋11内から空気を排出する。このような動作を繰り返すことで、減圧ポンプ82と電磁弁87が同時にオン,オフ制御され、鍋11内の圧力が所望の範囲内の値に維持される。
【0073】
こうして、ひたし時には鍋11内は減圧状態が維持される。また、この減圧時には、調圧弁65が第1調圧パッキン71に載置され、当該第1調圧パッキン71の孔71Aを塞ぐので、鍋11内の密閉が確保される。そのため、ひたし時に密閉状態で鍋11内を減圧することができ、鍋11内において米に水を十分に吸水させることが可能になる。
【0074】
その後、所定時間のひたしが終了すると、炊飯制御手段118は実質的な炊飯動作を開始すると共に、減圧制御手段130による鍋11への減圧制御は中断し、減圧選択スイッチはオフになると共に、LCDによる減圧状態である旨の表示も停止する。併せて、減圧ポンプ82および電磁弁87は、その後の保温が安定した状態になるまでオフ状態となる。
【0075】
炊飯行程に移行すると、炊飯制御手段118は加熱コイル16により鍋11を強加熱し、被炊飯物への沸騰加熱を行なう。この沸騰加熱時に鍋11の底部の温度が90℃以上になり、蓋体31の温度が90℃以上で安定したら、鍋11内が沸騰状態になったものとして、それまでよりも加熱量を低減した沸騰継続加熱に移行する。沸騰加熱の途中で、炊飯制御手段118はソレノイド78をオフ状態にして、調圧弁65を調圧孔70から退避させる。これにより鍋11はほぼ大気圧に維持されるが、開閉用ソレノイド172は引き続きオン状態にあり、クランプ動作規制部189がクランプ44の基端部44Aの下方に位置して、蓋体31を開けることができないようになっている。
【0076】
なお、上述の蓋体31の温度が90℃以上で安定したことは、蓋温度センサ61からの検出温度の温度上昇率により検知される。また、この沸騰検知において、鍋温度センサ17と蓋温度センサ61とにより、鍋11の底部および蓋体31がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に鍋11内が沸騰したことを精度よく検知できる。
【0077】
また、前記鍋11の底部,鍋11の側面部または蓋体31のいずれかが120℃以上の通常ではあり得ない検知温度になったら、加熱制御手段111は何らかの異常があると判断して炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。逆に、前記鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃以上になって所定時間(例えば5分)経過しているのに、それ以外の鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃未満で低い状態の場合、この温度の低い状態の鍋温度センサ17または蓋温度センサ61が、何らかの理由(汚れや傾きや接触不良など)で温度検知精度が悪化していると判断し、同様に炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、むらしに移行するか、保温を行ない、これに対処する。
【0078】
沸騰継続に移行すると、炊飯制御手段118は蓋ヒータ36による蓋加熱を開始させる。ここでの蓋加熱は、内蓋56の温度が100〜110℃になるように、蓋温度センサ61の検知温度により管理される。そして、鍋11の底部が所定の温度上昇を生じたら、鍋11内の炊上がりを検知して、炊飯制御手段118による炊飯行程を終了し、保温制御手段119により保温行程に移行して、最初のむらしに移行する。むらし中は蓋温度センサ61の検出温度による温度管理によって蓋ヒータ36を通断電し、内蓋56への露付きを防止すると共に、ご飯が焦げない程度に高温(98〜100℃)が保持されるように、鍋11の底部の温度を管理する。むらしは所定時間(15〜20分)続けられ、むらしが終了したら保温制御手段119による保温に移行する。
【0079】
保温になると、加熱コイル16にて鍋11の底部と側面下部を加熱すると共に、鍋11内に収容するご飯の温度よりも僅かに高く、蓋ヒータ36により蓋体31の下面を加熱し、さらに鍋11の側面をコードヒータ18でご飯が乾燥せず、かつ露が多量に付着しないように温度管理する。鍋11内のご飯の温度は70〜76℃に温度保持されるが、この保温時においても、鍋温度センサ17や蓋温度センサ61が相互に異常に高かったり、あるいは異常に低かったりした場合には、異常を検知してこの異常加熱を防止する。
【0080】
前述したように、鍋11内の沸騰状態を検知すると、炊き上げ(沸騰継続加熱)とむらしが続けて行なわれるが、むらしの途中までは鍋11内を大気圧以上にするために、炊飯制御手段118は減圧手段81の作動を停止させつつ、調圧用ソレノイド78および開閉用ソレノイド172を何れもオン状態にし、連通孔77を調圧部58で閉止すると共に、別な連通孔181を開閉弁62で閉止する。これにより、炊飯加熱の継続中は、鍋11内と外部との連通が遮断され、鍋11内の圧力が上昇する。このとき、クランプ動作規制部163とクランプ動作規制部189の両方が、クランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むので、クランプ44とクランプ受け50との係合が二重にロックされ、蓋体31を開けることはできない。
【0081】
その後、鍋11内が所定の圧力に到達したことを検知すると、調圧用ソレノイド78がオン状態からオフ状態に切り換わるため、調圧操作部161が調圧弁65を押す方向に調圧フレーム152が移動し、調圧孔70が開放して鍋11内の圧力が大気圧に近づく。この状態では、調圧フレーム152のクランプ動作規制部163が、クランプ44の基端部44Aの下方から離れた位置に移動するものの、別な開閉フレーム175のクランプ動作規制部189が、引き続きクランプ44の基端部44Aの下方に位置しているため、蓋開ボタン46によりクランプ44を押し込もうとしても、クランプ44はその動きを規制されて、蓋体31を開けることはできない。
【0082】
むらしに移行すると、その後の保温開始直後に蓋体31が開けられることを考慮して、鍋11内を徐々に大気圧に戻す動作が行なわれる。そして炊飯制御手段118は、むらしの途中で調圧用ソレノイド78を先にオン状態からオフ状態に切り換えて、調圧弁65を調圧孔70から退避させ、連通孔77を開放して鍋11内を大気圧に戻す。その後で、開閉用ソレノイド172をオン状態からオフ状態に切り換え、別な連通孔181を開放する。こうすれば、少なくとも調圧孔70を開放した後も、開閉用ソレノイド172がオフ状態になるまでは、蓋体31を開けることができなくなり、鍋11内が大気圧に戻りきらないうちに、不用意に蓋体31が開くのを防止できる。
【0083】
実質的な炊飯であるむらしが終了して保温工程に移行した直後は、鍋11内が調圧孔70および連通孔181を通して外部と連通し、大気圧に維持される。それと共に、クランプ動作規制部163,189の両方が、クランプ44の基端部44Aの下方から離れた位置にあるので、蓋体31を自由に開閉することができる。
【0084】
保温制御手段119は、炊飯行程が終了するとタイマー手段120による保温経過時間の計時を開始する。このとき減圧制御手段130は、当該保温経過時間が予め設定した時間になるまで、すなわち保温が安定する状態と判断されるまで、表示手段128のLCDを利用して、減圧表示を短時間繰り返し行なわせる。これにより利用者は、炊き上げ後、鍋11内が未だ減圧状態に移行していないことを理解できる。保温制御手段119は、保温経過時間が予め設定した時間に達すると、減圧制御手段130により鍋11内の圧力が大気圧よりも低くなるように、減圧ポンプ82や電磁弁87が再び作動制御する。それと共に、鍋11内を密閉状態にするために、調圧用ソレノイド78と開閉用ソレノイド172を同時にオン状態にする。これにより、クランプ動作規制部163とクランプ動作規制部189の両方が、クランプ44の基端部44Aの下方に潜り込んで、クランプ44の回動が規制される。なお、こうした動作は、保温工程の所定時間後ではなく、保温工程で鍋11内が所定温度に到達したのを鍋温度センサ17が検出したときに、行なわれるようにしてもよい。
【0085】
その後、減圧制御手段130は減圧ポンプ82の駆動を停止させ、且つ電磁弁87ひいては経路84を閉じて、鍋11内を減圧状態に維持し、スローリークによる圧力上昇を考慮して、一定時間が経過すると、減圧制御手段130は再び減圧ポンプ82を駆動させると共に、電磁弁87ひいては経路84を開放させて、鍋11内から空気を排出する。その後は上述した動作が繰り返されて、減圧ポンプ82と電磁弁87が同時にオン,オフ制御され、鍋11内の圧力が所望の範囲内の値に維持される。
【0086】
保温工程に移行すると、保温制御手段119は前記ホール素子143,191からの検知信号を受け付ける。すなわち、鍋11内を減圧状態にする減圧手段81の作動制御中であって、調圧用ソレノイド78と開閉用ソレノイド172が同時にオンしている状態で、使用者が蓋体31を開けようと意図して蓋開ボタン46を押動操作しようとすると、クランプ44はその回動を規制されてはいるものの、蓋開ボタン46がクランプ44の弾性などにより若干下方に押し込まれ、ホール素子143がマグネット144から離れた位置に移動する。このときのホール素子143からの検知信号を保温制御手段119が受けると、調圧用ソレノイド78と開閉用ソレノイド172は連動してオフ状態になり、双方のプランジャー151,173が進出して、調圧孔70および連通孔181を開放すると共に、クランプ44に対する回動規制も解除され、蓋開ボタン46を押し続けることで、蓋体31を開けることができるようになる。
【0087】
その後、鍋11内から炊き上がったご飯を取り出すなどして、蓋体31を再度閉じると、今度は別なホール素子191が蓋体31の閉状態を検知し、その信号を保温制御手段119に送出する。これを受けて保温制御手段119は、所定時間後に再び減圧手段81を作動させ、且つ不用意に蓋体31が開かないように、調圧用ソレノイド78と開閉用ソレノイド172を同時にオン状態にする。
【0088】
このように、内蓋56に設けた2つの連通孔77,181をそれぞれ開閉する動作を繰り返すことで、鍋11内の圧力を自在に変化させることができる。そして、炊飯コースや炊飯量に応じて加圧時の圧力を変えることで、炊き上がりを可変することができるようになる。
【0089】
また、前記むらしや保温工程中において、減圧手段81が作動し、鍋11内が大気圧以下のときには、LED142を連続点灯させる制御信号を、加熱制御手段111が表示駆動手段129に送出する。これにより使用者は、鍋11内が減圧中であることにより、蓋体31と本体1が係合ロックされていることを直ぐに認識できる。また、蓋開ボタン46を押動操作しようと意図してから、実際に蓋体31を開放できるまでには、若干のタイムラグがあるので、蓋体31のクランプ44と本体1のクランプ受け50との係合を解除しようと意図したときの検知信号をホール素子143が出力すると、LED142が点滅動作に切り替わり、その後所定時間が経過したら、LED142を自動的に消灯させるようにすれば、何故直ぐに蓋体31が開かないのかを使用者に理解させることができる。
【0090】
次に、本実施例における特徴部分を、図16〜図26に基づき説明する。なお、上述した炊飯器の基本構成と共通する機能を有する部材には共通する符号を付し、その部材についての説明は重複を避けるため極力省略する。
【0091】
図16は、前記上枠2および外枠3を示す外観図である。前記本体1を構成する上枠2の上部には、鍋収容体9の上端より外側水平方向に拡がるようにして、湾曲状のなだらかな傾斜面401が形成される。この傾斜面401は、蓋31を開いたときに本体1の上部に露出するもので、鍋収容体9の上端外周の略全域に渡って、上枠2上部の外方より内方に向けて、次第に水平になるように下がる形状を有している。また本実施例では、上枠2の上面を覆う金属材料402に傾斜面401を形成しているが、上枠2(ここでは鍋収容部6)そのものに傾斜面401を形成してもよい。つまり、傾斜面401を形成する金属材料402は、上枠2とは異なる部材で形成される。
【0092】
また同図に示すように、本体1の前側にあって上枠2の上部にはクランプ受け50が設けられ、その反対側の本体1の前側には、同じく上枠2の上部にヒンジ部38が設けられる。図17は、鍋収容体9に鍋11を装着した状態のヒンジ部38周辺を示しているが、ここには図示しないヒンジバネ40やヒンジシャフト41を取付けるためのヒンジ部38の収納部38Aが、外枠3と一体的に形成されると共に、収納部38Aは外枠3の外方寄りに上方へ突出して設けられる。そして、収納部38Aから外枠3の内方にかけて、前記傾斜面401を有する金属材料402が配設される。
【0093】
一方、図18および図19はクランプ受け50周辺の構造を示している。これらの各図において、本例におけるクランプ受け50は、外枠3の内方寄りにこの外枠3と一体的に形成されており、本体1の前方水平方向に向けて開口する凹部50Aを備えている。また、凹部50Aから外枠3の外方にかけて、前記傾斜面401を有する金属材料402が配設される。
【0094】
クランプ受け50の特に凹部50A上面は、上枠2の実質的な上面に相当する金属材料402の最上面よりも上に配置される(図19の符号T1を参照)。すなわち、上枠2に形成したクランプ受け50の凹部50Aは、クランプ44がクランプシャフト45を軸として回動したときに、ぶつからない深さを有することが必要である。こうすることで、蓋31を閉じた時に、クランプ44の係合部44Cが支障なく凹部50Aに係合しやすくなる。また、傾斜面401は上枠2上部の外方から内方にかけて傾斜しているが、この傾斜はクランプ受け50の下方である凹部50Aの下面に継続し、この傾斜のままさらに上枠2の内方に連なっている。図19では、クランプ受け50の周辺において、本体1ひいては上枠2の上面の勾配が、傾斜面401によって外方よりも小さく緩やかに形成されており、この緩やかな勾配が本体1の内方にまで続くことと相俟って、本体1上面の特にクランプ受け50周辺を清掃し易くしている。
【0095】
図20は、クランプシャフト45によって蓋体31に軸支されたクランプ44と、上記傾斜面401を有する本体1との位置関係を示す図である。蓋体31の下方に対向する上枠2の上面に米粒などの異物が介在したまま、本体1に対して蓋体31を閉めると、蓋31と本体1との隙間が通常の異物が介在しない場合よりも大きくなる。このとき、クランプ44の係止部たる係合部44Cは、クランプ受け50の被係止部である凹部50Aに対して係止量が不足する。クランプ44の姿勢は通常に対して回転し、本体1側に傾くこととなる。クランプ44の傾きが所定以上の場合は、クランプ受け50との係止量も所定量以下となる。この場合にクランプ受け50の先端位置を、クランプ44の係合部44Cの先端位置よりも後方としておけば、クランプ44とクランプ受け50との係止は起こらない。また、この時のクランプ受け50の先端位置を、クランプシャフト45よりも後方にすることで、蓋体31が受ける蒸気圧によってクランプ44がクランプ受け50から解除しようとする回転を防止できる。
【0096】
クランプ44の係合部44Cは、垂下部44Bにつながる根元から先端に向かうに従い高くなるように形成する。これにより、クランプ44の姿勢が通常に対して回転し、本体1側に傾くことになっても、クランプ受け50に対してクランプ44の係合部44Cの先端を確実に係止することができる。またクランプ44の係合部44Cは、クランプシャフト45よりも後方でクランプ受け50に係止するので、蓋体31が受ける蒸気圧によってクランプ44がクランプ受け50から解除しようとする回転を防止できる。
【0097】
クランプ受け50の被係止部である凹部50Aは、開口する先端が根元よりも低く位置するように形成する。これは、鍋11内が大気圧以上となった時に、蓋体31と共にクランプ44が上方に持ち上げられてクランプ受け50が変形しても、クランプ44の係合部44C先端が凹部50Aの根元に確実に係止できるようにすることを目的としている。
【0098】
さらに、前記傾斜面401は、クランプシャフト45を中心として回転するクランプ44の軌跡に沿った形状で、クランプ44がどの回転位置にあっても、クランプ44と傾斜面401との間に一定の間隔T2を有するように形成される。
【0099】
以上のように、上記炊飯器の実施例では、容器である鍋11と、鍋11を収納する本体1と、鍋11を覆う蓋体31と、この蓋体31に設けられ、本体1と蓋体31とを係止する係止手段としてのクランプ44と、本体1に設けられ、クランプ44と係合する受け手段としてクランプ受け50とを備えた炊飯器において、クランプ受け50は本体1の上面より上方に配置され、その本体1の上部に、本体1の外方と内方とで上下位置が異なり、特に外方より内方に下がる形状の変化面としての傾斜面401を形成し、この傾斜面401は、クランプ受け50の下方から本体1の内方にまで続いて形成されている。
【0100】
こうすると、ご飯(米粒)などの異物が本体1の上部に落下しても、そこに形成した傾斜面401によって、そのまま止まらずに本体1の上部から内方に異物が移動しやすくなる。そのため、異物による蓋体31の特に開閉に関わる動作に影響を及ぼすことを防止し、蓋体31を確実に動作できるようにして、傾斜面401を形成しただけの簡単な構成でありながら、安全性を高めることができる。また、この傾斜面401をクランプ受け50の下方から本体1の内方にまで継続させることで、入り組んだクランプ受け50から本体1の内方に異物が移動しやすくなり、クランプ受け50に異物を残したままの状態にするのを回避して、清掃性を良好に維持できる。よって、簡単な構成でありながら清掃性が良好で、安全性の高い炊飯器を提供できる。
【0101】
また、上記構成における本体1は、鍋11のフランジ部14の所定方向である下方に配置された上枠2と、鍋11を覆ってその周囲に配置された外枠3とにより構成され、傾斜面401を形成する部材としての金属材料402は、上枠2とは異なるもので構成される。
【0102】
こうして傾斜面401を形成する部材である例えば金属材料402を、例えば上枠2よりも異物の滑りやすい材料とすることで、本体1の内方に異物を確実に移動させることが可能になる。そのため、より清掃性が良好になり、且つ安全性をさらに向上させた炊飯器を提供できる。
【0103】
さらに、上記構成におけるクランプ44は蓋体31に軸支され、このクランプ44の回転軌跡に近い形状で傾斜面401が形成される。
【0104】
したがって、クランプ44の回転軌跡に沿って、この回転軌跡に近い形状で傾斜面401を形成することで、傾斜面401に落下した異物がどの位置にあっても、回動するクランプ44にぶつかる可能性を低減させ、本体1の内方に異物を確実に移動させることが可能になる。そのため、より清掃性が良好になり、且つ安全性をさらに向上させた炊飯器を提供できる。
【0105】
次に、上記炊飯器の補強構造について、図21〜図26を参照しながら詳しく説明する。図21は前記図7で示した蓋体31における内部構造の変形例である。同図において、蓋体31のベース材である外蓋カバー35には、左右に分割した対をなす蓋補強手段としての蓋補強板411,412が配置される。この蓋補強板411,412は蓋体31の強度を補うためのものであって、合成樹脂製の外蓋カバー35よりも高い剛性を有する例えば金属材料で構成され、外蓋カバー35の両側面に沿って、蓋体31の前後方向に延びた直線状の形状をなす。また蓋補強板411,412は、例えばネジ413などの止着部材によって外蓋カバー35に固定される構造を有する。
【0106】
蓋補強板411,412の前側には、前記クランプシャフト45が貫通する孔414が設けられ、この孔414にクランプシャフト45の各端部を貫通させることで、クランプシャフト45が蓋補強板411,412と連結される。また、蓋補強板411,412の後側には、ヒンジ軸としてのヒンジシャフト41が貫通する孔415が設けられ、この孔415にヒンジシャフト41の各端部を貫通させることで、クランプシャフト45のみならずヒンジシャフト41も蓋補強板411,412と連結される。ヒンジシャフト41やクランプシャフト45は、何れも蓋体31ひいては炊飯器の左右方向に配置された金属製の部材であり、これらの部材と蓋補強板411,412との組合わせにより、効果的な補強がなされる。
【0107】
図22および図23は、上枠2における補強構造を示している。これらの各図において、上枠2の下面には、本体補強手段である枠板としてのクランプ補強板421が設けられる。この枠板は、鍋11が受ける加圧力に耐えるように全面を受けてもよいし、鍋11からの加圧力が低い場合には、蓋体31と連結するクランプ44とヒンジ部38の周辺にのみ設けてもよい。ここでのクランプ補強板421は、合成樹脂製の上枠2よりも高い剛性を有する例えば金属材料で構成され、上枠2の前面に沿って左右方向に延びて配設される。
【0108】
図24および図25は、クランプ補強板421の取付け状態を示す図であるが、クランプ補強板421は、クランプ受け50を形成するカバー部材50Bにネジ422などの止着部材を螺着することで、上枠2の下側に固定される。鍋11内の加圧時には蓋体31と共にクランプ44が上方に持ち上げられるため、クランプ44と係合するクランプ受け50は補強のために、枠板或いはクランプ補強板421と連結する構造とする。
【0109】
図26は、ヒンジ部38に対する補強構造を示す図である。ここでは本体補強手段として、ヒンジ部38の底部を補強するヒンジ補強板431と、ヒンジシャフト41と上枠2との取付けを補強するシャフト補強板432がそれぞれ設けられる。ヒンジ補強板431およびシャフト補強板432は、共に上枠2よりも高い剛性を有する例えば金属材料で構成され、上枠2の後面に沿って左右方向に延びて配設される。ヒンジ補強板431は、例えばネジ433などの止着部材によって上枠2に固定され、同様にシャフト補強板432も、別なネジ434などの止着部材によって上枠2に固定される。特にシャフト補強板432は、ヒンジシャフト41の外面形状に対応したU字状の受け部435を形成しており、鍋11内の加圧時などにおいて、ヒンジシャフト41が受け部435に当接することにより、ヒンジシャフト41から上枠2に加わる力を緩和できる。また、枠板をクランプ補強板421とヒンジ補強板431に分割する時は、分割された蓋補強板411,412と略直交する位置関係でそれぞれの部材を配置する。これは、加圧力に対して効果的に補強を行なうためである。
【0110】
このように、上記実施例における炊飯器は、蓋体31の例えば内部に第1の補強手段としての蓋補強板411,412を設け、この蓋補強板411,412は蓋体31内において分割されており、各々の蓋補強板411,412は炊飯器の前後方向に沿った形状をなし、炊飯器の左右方向に配置した連結体である例えばヒンジシャフト41やクランプシャフト45に連結する構成となっている。
【0111】
こうすると、蓋体31に配置される各々の蓋補強板411,412と、これらの蓋補強板411,412をつなぐヒンジシャフト41やクランプシャフト45との組み合わせによって、例えば炊飯時などに鍋11内が大気圧以上となった時の圧力上昇に対して、蓋体31を効果的に補強できる。したがって、蓋補強板411,412をヒンジシャフト41やクランプシャフト45に連結しただけの必要最小限の構造で、蓋体31ひいては製品としての強度を持たせ、製品サイズや重量の増加を回避しつつ、コスト上昇の弊害を改善することが可能になる。
【0112】
また本実施例では、蓋体31に設けられ、本体1と蓋体31とを係止する係止手段としてのクランプ44と、本体1に設けられ、クランプ44と係合する受け手段としてのクランプ受け50とを備え、クランプ44は第1の軸であるクランプシャフト45を中心に回動して、クランプ受け50に係脱自在に設けられ、このクランプ44の反対側に本体1と蓋体31とを軸支する第2の軸としてのヒンジシャフト41を備えて、本体1と蓋体31とを開閉自在にする構成とし、クランプシャフト45またはヒンジシャフト41の少なくとも一方を連結体としている。
【0113】
こうすれば、クランプシャフト45を連結体とすることで、クランプ44における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。或いはヒンジシャフト41を連結体とすることで、蓋体31と本体1との回動機構における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。
【0114】
さらに本実施例では、本体1の例えば内部に第2の補強手段としてのクランプ補強板421やヒンジ補強板431やシャフト補強板432を設け、この第2の補強手段は、特にヒンジシャフト41の補強部としてシャフト補強板432を備えている。
【0115】
つまり、本体1を別な補強手段であるクランプ補強板421やヒンジ補強板431やシャフト補強板432により補強することで、蓋体31のみならず本体1における効果的な補強を、必要最小限の構造で実現できる。
【0116】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 本体
31 蓋体
41 ヒンジシャフト(連結体,第2の軸)
44 クランプ(係止手段)
45 クランプシャフト(連結体,第1の軸)
50 クランプ受け(受け手段)
411,412 蓋補強板(第1の補強手段)
421 クランプ補強板(第2の補強手段)
431 ヒンジ補強板(第2の補強手段)
432 シャフト補強板(第2の補強手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と蓋体とを備えた炊飯器において、
前記蓋体に第1の補強手段を設け、
この第1の補強手段は分割されており、各々は前後方向に沿った形状をなし、左右方向に配置した連結体に連結することを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記蓋体に設けられ、前記本体と前記蓋体とを係止する係止手段と、前記本体に設けられ、前記係止手段と係合する受け手段とを備え、
前記係止手段は第1の軸を中心に回動して、前記受け手段に係脱自在に設けられ、
この係止手段の反対側に前記本体と前記蓋体とを軸支する第2の軸を備えて、前記本体と前記蓋体を開閉自在にする構成とし、
前記連結体は、前記第1の軸または前記第2の軸の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記本体に第2の補強手段を設け、
この第2の補強手段は、前記第2の軸の補強部を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の炊飯器。
【請求項1】
本体と蓋体とを備えた炊飯器において、
前記蓋体に第1の補強手段を設け、
この第1の補強手段は分割されており、各々は前後方向に沿った形状をなし、左右方向に配置した連結体に連結することを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記蓋体に設けられ、前記本体と前記蓋体とを係止する係止手段と、前記本体に設けられ、前記係止手段と係合する受け手段とを備え、
前記係止手段は第1の軸を中心に回動して、前記受け手段に係脱自在に設けられ、
この係止手段の反対側に前記本体と前記蓋体とを軸支する第2の軸を備えて、前記本体と前記蓋体を開閉自在にする構成とし、
前記連結体は、前記第1の軸または前記第2の軸の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記本体に第2の補強手段を設け、
この第2の補強手段は、前記第2の軸の補強部を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の炊飯器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図21】
【公開番号】特開2012−157757(P2012−157757A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−121652(P2012−121652)
【出願日】平成24年5月29日(2012.5.29)
【分割の表示】特願2009−106560(P2009−106560)の分割
【原出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月29日(2012.5.29)
【分割の表示】特願2009−106560(P2009−106560)の分割
【原出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
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