説明

炊飯器

【課題】パッキン端部に糠などの食品成分が付着しても雑菌やカビが繁殖するのを抑制できるようにする。
【解決手段】本体1の上部開口を覆う蓋体4の下部に設けられる放熱板14を、ヒーター15により加熱される内蓋16と、内蓋16の周縁部に固定された枠部材18と、本体1に収納される内釜2のフランジ2aと内蓋16との間をシールする環状のパッキン19とで形成し、内蓋16と枠部材18とパッキン19を、いずれも抗菌性物質が配合された材料で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、炊飯器は、本体と、フランジを有し本体に着脱自在に収納される内釜と、内釜を加熱する加熱手段、例えば内釜を誘導加熱する誘導加熱コイルと、本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体とを有し、蓋体の下部に内蓋と環状のパッキンが設けられ、内釜のフランジと内蓋の間がパッキンにてシールされるようになっている。
そして、このようなものにおいて、パッキンを抗菌処理し、パッキンに付着した食品成分が放置されるようなことがあっても、雑菌やカビが発生しないようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、内蓋を抗菌作用のある銅を含有するステンレスで構成したものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−215591号公報(図2、図3)
【特許文献2】特開平10−165295号公報(段落0015、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パッキンや内蓋に抗菌処理を施したものにあっても、炊飯中に発生したおねばや米の表面に付着していた糠(ぬか)などの食品の成分は、内蓋やパッキンの端部に付着して竹串やようじでも取り除くことが困難であり、雑菌やカビの繁殖により臭いなどの原因となっていた。このような問題は、内蓋周辺に抗菌処理を施されていない部材が存在している場合に顕著に表れていた。
【0006】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、パッキン端部に糠などの食品成分が付着しても雑菌やカビが繁殖するのを抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る炊飯器は、本体と、フランジを有し前記本体に着脱自在に収納される内釜と、内釜を加熱する加熱手段と、本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体とを有するた炊飯器において、前記蓋体は、放熱板を下部に着脱自在に備え、前記放熱板は、ヒーターにより加熱される内蓋と、前記内蓋の周縁部に固定された枠部材と、前記内蓋と前記内釜の前記フランジとの間をシールする環状のパッキンとを備え、前記内蓋と前記枠部材と前記パッキンは、いずれも抗菌性物質が配合された材料で構成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の炊飯器においては、放熱板を構成している内蓋と枠部材とパッキンとをいずれも抗菌性物質が配合された材料で構成しているので、放熱板を清潔に保つことができ、パッキン端部に糠などの食品成分が付着しても雑菌やカビが繁殖するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る炊飯器を側方より見た縦断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る炊飯器の放熱板の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る炊飯器を蓋を開放した状態で示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る炊飯器の放熱板を拡大して部分的に示す正面図である。
【図5】図4のY−Y線矢視断面図である。
【図6】図4のZ−Z線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の実施形態に係る炊飯器を側方より見た縦断面図である。図2は本発明の実施形態に係る炊飯器の放熱板の断面図である。図3は本発明の実施形態に係る炊飯器を蓋を開放した状態で示す斜視図である。
本発明の実施形態の炊飯器は、図1乃至図3のようにフランジ2aを有する内釜2が着脱自在に収容される本体1と、調理中に発生する蒸気を本体外に放散させるための排気口3を有し本体1の後部にヒンジ結合されて内釜2の上部開口を開閉自在に閉塞する蓋体4と、内釜2と排気口3との間に介在して調理中に内釜2内の被加熱物から発生する蒸気を蒸気導入口5より導入して排気口3に導く蒸気通路6を形成するおねば分離ケース10とを有している。また、おねば分離ケース10には、蒸気と分離されたおねばを溜めるための溜まり凹部7と、溜まり凹部7に溜まったおねばを内釜2内に戻すためのおねば戻し穴8と、戻し穴8を開閉する開閉弁9が設けられている。
【0011】
本体1の正面には、蓋体4の係合解除ボタン11が設けられている。本体1内の内釜2の下方には、内釜2を誘導加熱する加熱コイル12が備えられている。また、本体1内の底部中央には、上方に付勢されて内釜2の底面に接触して中央部付近の発熱温度を検出する温度センサー13が取り付けられている。蓋体4は、下部に放熱板14が着脱自在に設けられており、放熱板14におねば分離ケース10が取り付けられている。
【0012】
放熱板14は、ヒーター15により加熱される内蓋16と、把手17が一体に設けられて内蓋16の周縁部に固定された枠部材18と、内蓋16と内釜2のフランジ2aとの間をシールする可撓性を備えた環状のパッキン19とを有しており、内蓋16と枠部材18とパッキン19とが、いずれも抗菌性物質が配合された材料で構成されている。なお、ヒーター15による内蓋16の加熱は、ご飯の炊飯・保温時に、内蓋16に露が結露するのを避けるために行われるものである。
【0013】
次に、放熱板14について図5及び図6を用い図1乃至図4を参照しながら更に詳述する。図5は図4のY−Y線矢視断面図である。図6は図4のZ−Z線矢視断面図である。
放熱板14は、内蓋16と枠部材18とパッキン19が、図5及び図6のように組み付けられる。まずパッキン19の基部側の外周に形成されている凹部19aを枠部材18の内周縁部に嵌め込み、次いで内蓋16の周縁部に複数設けた爪16aを枠部材18に複数形成したカシメ用穴18aにそれぞれ上方より差し込み、内蓋16と枠部材18との間にパッキン19の基部側を挟み込む。その後、爪16aの貫通端16bを内側に曲げる(カシメる)ことにより、内蓋16と枠部材18とパッキン19を一体化する。
【0014】
パッキン19は、抗菌剤が配合された樹脂、例えば抗菌剤が配合されたシリコンゴムで構成されている。これにより、耐熱性を確保でき、かつパッキン部で雑菌が繁殖するのを抑制することができる。
【0015】
内蓋16と枠部材18は、いずれも抗菌性物質が配合された金属、例えば抗菌効果が強い銀または銅を含有するアルミニウムやステンレスで構成されている。このように、内蓋16と枠部材18を抗菌性物質が配合された金属で構成することにより、内蓋16と枠部材18が熱劣化することを防止でき、強度アップとともに、内蓋16のヒーター15からの熱伝導がよくなって放熱板端部も高温となり、雑菌が繁殖するのを抑制することができる。
【0016】
また、内蓋16と枠部材18には、さらに抗菌、脱臭塗料が塗布されており、 炊飯時に発生した糠臭や保温時に発生した雑菌やカビの臭いを、脱臭塗料により吸着できるようになっている。このような抗菌、脱臭塗料は市販されており、その中から安全性の高いものを選択すればよい。
【0017】
また、枠部材18の把手17には、図5に示すように、当該把手17を構成する金属よりも熱が伝わりにくく、かつ抗菌剤が配合された樹脂、例えばシリコンゴムで構成された延長部21が、少なくとも当該把手17の先端部を覆うように一体化されて設けられている。このように、抗菌剤を配合したシリコンゴムで延長部21すなわち把手部を構成することで、枠部材18が金属製であっても、放熱板14の取り外し時に指や手を火傷するようなことが無くなり、安全性を確保することができるとともに、把手部を衛生的に保つことができる。このため、雑菌がご飯に付着し臭いの原因になるのを抑制することができる。
【0018】
このように、本発明の実施形態の炊飯器は、放熱板14となる内蓋16と枠部材18とパッキン19とを、いずれも抗菌性物質が配合された材料で構成したので、放熱板14を清潔に保つことができ、パッキン端部に糠などの食品成分が付着しても雑菌やカビが繁殖するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 本体、2 内釜、2a フランジ、3 排気口、4 蓋体、5 蒸気導入口、6 蒸気通路、7 溜まり凹部、8 戻し穴、9 開閉弁、10 おねば分離ケース、11 係合解除ボタン、12 加熱コイル、13 温度センサー、14 放熱板、15 ヒーター、16 内蓋、16a 爪、16b 貫通端、17 把手、18 枠部材、18a カシメ用穴、19 パッキン、19a 凹部、21 延長部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、フランジを有し前記本体に着脱自在に収納される内釜と、該内釜を加熱する加熱手段と、前記本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体とを有する炊飯器において、
前記蓋体は、放熱板を下部に着脱自在に備え、
前記放熱板は、
ヒーターにより加熱される内蓋と、
前記内蓋の周縁部に固定された枠部材と、
前記内蓋と前記内釜の前記フランジとの間をシールする環状のパッキンとを備え、
前記内蓋と前記枠部材と前記パッキンは、いずれも抗菌性物質が配合された材料で構成されていることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記内蓋と前記枠部材は、いずれも金属で構成されていることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記枠部材には把手が一体に設けられており、該把手は、少なくとも一部が当該把手を構成する金属よりも熱の伝わりにくい樹脂で覆われていることを特徴とする請求項2記載の炊飯器。
【請求項4】
前記把手を覆う樹脂は、抗菌剤を配合したシリコンゴムであることを特徴とする請求項3記載の炊飯器。
【請求項5】
前記金属で構成された内蓋と枠部材に、さらに抗菌、脱臭塗料を塗布したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−94555(P2013−94555A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242483(P2011−242483)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】