炎症性疾患の新規治療方法
本発明は、慢性関節リウマチおよびエンドトキシン血症のような炎症性疾患の治療に用いる薬剤の製造に対するニコチンアミドアデニルジヌクレオチドの生成阻害剤の使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性疾患の治療に使用される薬剤を製造するためのニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤の使用に関する。本発明はまた、炎症性疾患の治療用薬剤の製造方法、および最終的にはこのような阻害剤を含んだ薬剤キットにも関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチンアミドアデニルヌクレオチドの生成阻害剤として作用する、いくつかのサブクラスを含んだ1群の化合物の製造、ならびにそれらの抗腫瘍薬としての使用は下記の特許出願に既に記載されている:WO00/50399,WO97/48695,WO97/48397,WO99/31063,WO99/31060,WO99/31087,WO99/31064,WO00/50399およびWO03/80054。特に有用な化合物はPCT出願WO97/48696に記載されている。
【0003】
このような阻害剤の1つ、(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドは、APO866,FK866,WK175,またはWK22.175としても知られており(以下ではFK866[国際一般名称]と呼ぶ)、この化合物は特に抗がん薬として文献に記載されている。
【0004】
FK866は、がんのような統制のきかないアポトーシスが関係する疾患の治療に使用されうる。FK866がニコチンアミドアデニルジヌクレオチド(NADとしても知られ、以下ではそのように呼ぶ)生合成を阻害し、DNA損傷作用を全く伴わずにアポトーシス性細胞死を誘導することが従来技術において実証された。
【0005】
FK866の抗血管形成および抗腫瘍効果も多くの刊行物に記載されている。
刊行物「ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼの高特異的非競合性阻害剤のFK866は腫瘍細胞アポトーシス誘導に対する新規機序を示す」M. Hasmann et al., Cancer Research 63, 7436-7442, 2003年11月1日は、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼに対する高い薬効および特異性を持つ初の阻害剤としてのFK866およびその抗腫瘍化合物としての特性をより一般的に記載している。
【0006】
例えば、白血病の治療に対する抗腫瘍薬としてのその薬効について、「新規抗腫瘍薬のWK175は細胞内ニコチンアミドアデニルジヌクレオチド濃度を低下させ、ヒト白血病細胞においてアポトーシスカスケードを誘導する」と記載されている。K.Wosikowski et al., Cancer Research 62, 1057-1062, 2002年2月15日。
【0007】
腎がん治療用抗腫瘍薬としてのその薬効は、「細胞内NAD生合成の新規阻害剤FK866/K22.175のマウス腎細胞がんにおける抗血管形成効果」J. Dreves et al., Anticancer Research 23: 4853-4858 (2003)に実証されている。
【0008】
EP1348434は、FK866を含むピリジルアミド類の血管形成阻害剤としての使用を記載している。この文書によると、炎症性疾患、増殖性網膜症、慢性関節リウマチ(リウマチ様関節炎)、黄斑変性症、新生物発生前(前がん)病変、前立腺肥大症、静脈新生内膜過形成(venous neointimal hyerplasia)、および乾癬のような多くの疾患が無秩序な血管形成を特徴とする。しかし、EP1348434はマウス腎細胞がんにおける血管形成に対するFK866の効果しか記載していない。しかし、慢性関節リウマチをはじめとする大部分の炎症性疾患にとって、血管形成はおそらく炎症の原因ではなく、結果である。
【0009】
ニコチンアミドアデニルジヌクレオチドの生成に対する公知阻害剤の既知の医学的適応が上記のように完全に異なることを考慮すると、炎症性疾患に対する有利な治療特性を有する本発明に従って使用される化合物の活性は当業者にとって完全に予想外である。
【0010】
炎症性疾患の概念は、先天性または適応型の免疫系成分に関連する、感染が存在しないか、または誘因がないように見える慢性炎症を特徴とする、1群の異質病状群であると記述される。このような疾患の例は、遺伝性周期熱、マックル−ウェルズ症候群、家族性地中海熱、家族性寒冷誘発自己炎症症候群、慢性関節リウマチ、全身発症型若年性突発性関節炎、変形性関節症、クローン病、多発性硬化症、代謝性疾患の通風および偽通風、アテローム性硬化症、アルツハイマー病およびパーキンソン病である。
【0011】
腫瘍壊死因子α(TNA−α)、インターロイキン1(IL−1)、およびインターロイキン6(IL−6)は、微生物活性化により先天免疫系の細胞により産生されるサイトカインであり、局所性および全身性の両方の炎症の重要なメディエータ(媒介物)である。多くの場合、これらのサイトカインの分泌は炎症性疾患では調整がきかず、慢性炎症に至る。
【0012】
TNF−α、IL−1、およびIL−6産生の阻害はいくつもの炎症性疾患に有益であり、これらの重要な炎症促進性サイトカイン類の産生および/または生物学的作用のブロックを目指した新規治療法の設計に数多くの研究が向けられてきた。
【0013】
本発明では、ニコチンアミドアデニルジヌクレオチドの阻害の予想外の抗炎症特性が明らかにされた。ニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生合成を阻害することにより、TNF−α、IL−1、およびIL−6の分泌が阻害されることが意外にも判明した。
【0014】
本発明では、TNF−α、IL−1、およびIL−6を含む最適の炎症促進性サイトカインレベルは十分なニコチンアミドアデニルジヌクレオチド細胞内濃度を必要とすることが実証される。
【0015】
この現状を考えると、ニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成の阻害剤が有する活性により、それらが炎症性疾患の治療に優れて特に適したものとなるという発見は、完全に予想外であった。
【0016】
本発明は、代謝と炎症との間の機能的な連結を確立し、TNF−α、IL−1、およびIL−6を含む炎症促進性サイトカインの合成の調節におけるNAD依存性酵素に対する潜在的な重要な役割を実証する。
【0017】
よって、第1の態様では、本発明は炎症性疾患の治療に使用する薬剤の製造のためにニコチンアミドアデニルジヌクレオチドの生成阻害剤を使用することに関する。
第2の態様では、本発明は炎症性疾患の治療用薬剤の製造方法に関する。
【0018】
第3の態様では、本発明は、有効量のニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤を個体に投与することを含む炎症性疾患の治療方法にも関する。
さらに、本発明は、有効量のニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤を炎症性疾患の治療に使用するための使用説明書と共に少なくとも含んでいる薬剤キットにも関する。
【0019】
用語「阻害剤」とは、特定の生物学的作用(生物学的活性)をブロック(遮断)する基質分子を意味する。
表現「競合的阻害剤」とは、正常な酵素基質と同じ活性サイトに、反応を受けずに直接結合する基質分子を意味する。
【0020】
ここで用いた表現「非競合的阻害剤」とは、常に酵素活性サイト以外のサイトで酵素に結合する基質分子のことである。この結合は、阻害剤の存在は酵素の構造および形状の変化を引き起こすことから酵素の活性に影響するが、正常酵素基質の見かけ結合親和性は変化させない。
【0021】
用語「炎症性疾患」とは、免疫系が疾患に至る異常な水準に活性化されたことを特徴とする疾患を意味する。
用語「慢性関節リウマチ」とは、関節の炎症を引き起こす慢性の炎症性自己免疫疾患を意味する。
【0022】
表現「有効量」とは、有効物質が治療効果を有する量を一般に意味する。本発明の場合、有効物質はニコチンアミドアデニルジヌクレオチドの生成阻害剤である。
「ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ」はNMPRT、NMPRTアーゼまたはNAmPRTアーゼ(国際命名名称:E.C.2.4.2.12)とも呼ばれ、これは天然の前駆ニコチンアミドからのニコチンアミドアデニルジヌクレオチド(NAD)生合成の基本的な酵素である。
【0023】
「ニコチン酸」はNADの前駆体である。
本発明において、「TNF」および「TNF−α」の両方の用語は「腫瘍壊死因子α」と名付けられたサイトカインを意味するために使用される。
【0024】
治療剤として使用する場合、ここに記載したニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤は生理学的に許容される担体と共に投与することが好ましい。生理学的に許容される担体は、それに本化合物をその溶解のため、あるいは他の手法でその投与を容易にするために添加することができる処方組成物である。生理学的に許容される担体の例としてはプロピレングリコールを挙げることができる。適当な生理学的に許容される担体を選ぶ時の重要な因子は、本化合物が活性なままであるか、あるいは該担体と本化合物との組み合わせが活性化合物を生ずるような担体を選ぶことである。
【0025】
本発明の利点としては、最適量のNAD生合成阻害剤の経口投与が挙げられる。
これらの結果に基づいて、本発明は炎症性疾患に罹患した患者に対する新規な治療戦略の設計に重要な関わりを有する。
【0026】
すなわち、本発明の第1の側面は、炎症性疾患の治療に使用される薬剤の製造にニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤を使用することに関する。
本発明によると、該阻害剤は好ましくはニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素の競合的または非競合的阻害剤である。
【0027】
本発明によると、この阻害剤は好ましくは下記一般式(I)で示される化合物である。
【0028】
【化1】
【0029】
式中、
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C4ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、ベンジルオキシ、C1〜C4アルカノイルオキシ、C1〜C4アルキルチオ、C2〜C5アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C3〜C9ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシ、フェニル、フェノキシ、ピリジルオキシおよびNR5R6よりなる群から選ばれ、ここで
R5およびR6は、互いに独立して水素およびC1〜C6アルキルから選ばれ、
R2は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、ここで
R1とR2とが隣接している場合、それらは、−(CH2)4−および−(CH=CH)2−および−CH2O−CR7R8−O−なる架橋要素の群から選ばれる架橋を場合により形成していてもよく、ここで
R7およびR8は、互いに独立して、水素またはC1〜C6アルキルであり、
R3は、水素、ハロゲンおよびC1〜C6アルキルから選ばれ、
R4は、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシおよびベンジルオキシから選ばれ、
kは、0または1であり、
Aは下記の群から選ばれ:
・場合によりC1〜C3アルキル、ヒドロキシ、フッ素、シアノもしくはフェニルにより1〜3回置換されていてもよい、C2〜C6アルケニレン、
・場合によりC1〜C3アルキル、フッ素、シアノもしくはフェニルにより1〜2回置換されていてもよい、C4〜C6アルカジエニレン、
・場合によりC1〜C3アルキル、フッ素もしくはシアノにより置換されていてもよい、1,3,5−ヘキサトリエニレン、ならびに
・エチニレン、
Dは下記の群から選ばれ:
・場合によりC1〜C3アルキルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよい、C1〜C10アルキレン、
・場合によりC1〜C3アルキルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよい、C2〜C10アルケニレン、ここで該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよく、
・場合によりC1〜C3アルキルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC3〜C10アルキニレン、ならびに
・1〜3個のメチレン単位がO、S、NR9、CO、SOもしくはSO2により等配電子的に(isosterically)置換されているC1〜C10アルキレン、C2〜C10アルケニレンおよびC3〜C10アルキニレンよりなる群、ここで
R9は、C1〜C3アルキル、C1〜C6アシルおよびメタンスルホニルから選ばれ、
Eは、下記から選ばれ、
【0030】
【化2】
【0031】
ここで上記式中の複素環は場合により1個の二重結合を有していてもよく、
nおよびpは、互いに独立して0、1、2または3であり、但し、n+p≦4であり、
qは、1または2であり、
R10は、水素、C1〜C3アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、カルボキシおよびC2〜C7アルコキシカルボニルから選ばれ、
R11は、水素または該窒素原子に隣接したオキソ基であり、
Gは、水素、G1、G2、G3、G4およびG5から選ばれ、ここで
G1は、残基:−(CH2)r−(CR13R14)s−R12 (G1) を表し、ここで
rは0、1または2であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、C3〜C6アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・N、SおよびOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含有し、直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで結合している、単環式芳香族5および6員複素環よりなる群、
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の(anellated、縮合環型の)二および三環式芳香族もしくは部分水素化炭素環式環系よりなる群、および
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、1〜3個の環原子がN、SおよびOから選ばれ、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化複素環式環系よりなる群、
R13は、R12と同じ意味を有し、但し、それとは独立して選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・N、SおよびOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含有し、直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで結合している、単環式芳香族5および6員複素環よりなる群、
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化炭素環式環系よりなる群、および
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、1〜3個の環原子がN、SおよびOから選ばれ、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化複素環式環系よりなる群、
G2は、下記残基から選ばれ、
【0032】
【化3】
【0033】
式中、置換基R12およびR14は上記の意味を有するか、或いは
−NR12R14基は、下記の群から選ばれた、窒素原子上で結合している窒素含有複素環であり:
・必須の窒素原子の他に、場合によりN、SおよびOから選ばれた1または2個のヘテロ原子をさらに含有していてもよい、飽和および不飽和の単環式4〜8員複素環の群、ならびに
・必須の窒素原子の他に、場合によりN、SおよびOから選ばれた1または2個のヘテロ原子をさらに含有していてもよい、環原子数が8〜16の飽和および不飽和の二もしくは三環式の環化型もしくは架橋型の複素環の群、
G3は、残基:−SO2−(CH2)rR12 (G3) を表し、
G4は、次式で示される残基であり
【0034】
【化4】
【0035】
式中、
Ar1およびAr2は、互いに独立してフェニル、ピリジルおよびナフチルから選ばれ、
G5は、残基:−COR15 (G5) であり、ここで、
R15は、トリフルオロメチル、C1〜C6アルコキシ、C3〜C6アルケニルオキシおよびベンジルオキシから選ばれ、
ここで、置換基R1、R2、R4、R12、R13、R14、R15、Ar1およびAr2中、ならびに環系−NR12R14中における芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、場合により完全にもしくは部分的にフッ素で置換されていてもよいC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基を有していてもよく、ここで、芳香環または環系の隣接する2つの基は、場合により、メチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよく、
複素環または環化された環系における遊離ヒドロキシ、メルカプトおよび/もしくはアミノ基による置換の場合の互変異性体、
立体異性体ならびに/またはそれらの混合物、ならびに、(E)−3−(3−ピリジル)−N−[2−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)エチル]−2−プロペンアミド塩酸塩を除いた薬理学的に許容される酸付加塩。
【0036】
好適態様において、前記阻害剤は下記のとおりの一般式(I)で示される化合物である:
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、エチルチオ、メトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、アミノカルボニル、カルボキシ、およびフェノキシから選ばれ、
R2は、水素、ハロゲン、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、
R3は、水素またはハロゲンであり、
R4は、水素、C1〜C3アルキル、ヒドロキシおよびC1〜C3アルコキシから選ばれ、
kは、0または1であり、
Aは、場合によりC1〜C3アルキル、ヒドロキシもしくはフッ素により1〜2回置換されていてもよいC2〜C6アルケニレン;場合によりC1〜C3アルキルまたは1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいC4〜C6アルカジエニレン;ならびに場合によりフッ素により置換されていてもよい1,3,5−ヘキサトリエニレンから選ばれ、
Dは、場合によりメチルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC1〜C8アルキレン;場合によりメチルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC2〜C8アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい);場合によりメチルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC3〜C8アルキニレン;ならびに1〜3個のメチレン単位がO、S、NH、N(CH3)、N(COCH3)、N(SO2CH3)、CO、SOもしくはSO2により等配電子的に置換されているC1〜C8アルキレン、C2〜C8アルケニレンおよびC3〜C8アルキニレンよりなる群から選ばれ、
Eは、下記から選ばれ、
【0037】
【化5】
【0038】
ここで上記式中の複素環は場合により1個の二重結合を有していてもよく、
nおよびpは、互いに独立して0、1、2または3であり、但し、n+p≦3であり、
qは、1または2であり、
R10は、水素、C1〜C3アルキル、ヒドロキシおよびヒドロキシメチルから選ばれ、
R11は、水素または該窒素原子に隣接したオキソ基であり、
Gは、水素、G1、G2、G3、G4およびG5から選ばれ、ここで
G1は、残基:−(CH2)r−(CR13R14)s−R12 (G1) を表し、ここで
rは0、1または2であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C8シクロアルキル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、ベンゾシクロブチル、インダニル、インデニル、オキソインダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、オキソテトラヒドロナフチル、ビエフェニレニル、フルオレニル、オキソフルオレニル、アントリル、ジヒドロアントリル、オキソジヒドロアントリル、ジオキソジヒドロアントリル、フェナントリル、ジヒドロフェナントリル、オキソジヒドロフェナントリル、ジベンゾシクロヘプテニル、オキソジベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、オキソジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロジベンゾシクロオクテニル、テトラヒドロジベンゾシクロオクテニル、およびオキソテトラヒドロジベンゾシクロオクテニルよりなる群、および
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾフリル、ジヒドロベンゾフリル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、オキソインドリニル、ジオキソインドリニル、ベンゾオキサゾリル、オキソベンゾオキサゾリニル、ベンゾイソオキサゾリル、オキソベンゾイソオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、オキソベンゾチアゾリニル、ベンゾイソチアゾリル、オキソベンゾイソチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、オキソベンゾイミダゾリニル、インダゾリル、オキソインダゾリニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、オキサゾロピリジル、オキソジヒドロオキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、オキソジヒドロチアゾロピリジル、イソチアゾロピリジル、イミダゾピリジル、オキソジヒドロイミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、オキソジヒドロピラゾロピリジル、チエノピリミジニル、クロマニル、クロマノニル、ベンゾピラニル、クロモニル、キノリル、イソキノリル、ジヒドロキノリル、オキソジヒドロキノリニルキノリル、テトラヒドロキノリル、オキソテトラヒドロキノリニル、ベンゾジオキサニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、テトラヒドロカルバゾリル、オキソテトラヒドロカルバゾリル、ピリドインドリル、アクリジニル、オキソジヒドロアクリジニル、フェノチアジニル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、オキソジヒドロジベンゾオキセピニル、ベンゾシクロヘプタチエニル、オキソベンゾシクロヘプタチエニル、ジヒドロチエノベンゾチエピニル、オキソジヒドロチエノベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、オキソジヒドロジベンゾチエピニル、オクタヒドロジベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾアゼピニル、オクタヒドロジベンゾアゼピニル、ベンゾシクロヘプタピリジル、オキソベンゾシクロヘプタピリジル、ジヒドロピリドベンゾジアゼピニル、ジヒドロジベンゾオキサゼピニル、ジヒドロピリドベンゾオキセピニル、ジヒドロピリドベンゾオキサゼピニル、オキソジヒドロピリドベンゾオキサゼピニル、ジヒドロジベンゾチアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾチアゼピニル、ジヒドロピリドベンゾチアゼピニル、およびオキソジヒドロピリドベンゾチアゼピニルよりなる群、
R13は、R12と同じ意味を有し、但し、それとは独立して選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、インダニル、インデニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、クロマニル、キノリル、およびテトラヒドロキノリルよりなる群、
G2は、下記残基から選ばれ、
【0039】
【化6】
【0040】
式中、置換基R12およびR14は上記の意味を有するか、或いは
−NR12R14基は、下記の群から選ばれた、窒素原子上で結合している窒素含有複素環であり:
・アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、(1H)−テトラヒドロピリジン、ヘキサヒドロアゼピン、(1H)−テトラヒドロアゼピン、オクタヒドロアゾシン、ピラゾリジン、ピペラジン、ヘキサヒドロジアゼピン、モルホリン、ヘキサヒドロオキサゼピン、チオモルホリン、チオモルホリン−1,1−ジオキシド、5−アザビシクロ[2.1.1]ヘキサン、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2−アザビシクロ[2.2.2]オクタン、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン、インドリン、イソインドリン、(1H)−ジヒドロキノリン、(1H)−テトラヒドロキノリン、(2H)−テトラヒドロイソキノリン、(1H)−テトラヒドロキノキサリン、(4H)−ジヒドロベンゾオキサジン、(4H)−ジヒドロベンゾチアジン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[b]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]オキサゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]チアゼピン、1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4−b]インドール、(10H)−ジヒドロアクリジン、1,2,3,4−テトラヒドロアクリダノン、(10H)−フェノキサジン、(10H)−フェノチアジン、(5H)−ジベンゾアゼピン、(5H)−ジヒドロジベンゾアゼピン、(5H)−オクタヒドロジベンゾアゼピン、(5H)−ジヒドロジベンゾジアゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキサゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]チアゼピン、(10H)−ジヒドロジベンゾ[b,f]オキサゼピン、(10H)−ジヒドロジベンゾ[b,f]チアゼピンおよび(5H)−テトラヒドロジベンゾアゾシンよりなる群、
G3は、残基:−SO2−(CH2)rR12 (G3) であり、
G4は、次式で示される残基であり
【0041】
【化7】
【0042】
式中、
Ar1およびAr2は、互いに独立してフェニル、ピリジルおよびナフチルから選ばれ、
G5は、残基:−COR15 (G5) であり、ここで、
R15は、トリフルオロメチル、C1〜C6アルコキシ、C3〜C6アルケニルオキシおよびベンジルオキシから選ばれ、
ここで、芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、環または環系の隣接する2つの基は、場合によりメチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよい。
【0043】
さらに好ましい態様において、前記阻害剤は下記のとおりの一般式(I)で示される化合物である:
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、メトキシ、およびメトキシカルボニルから選ばれ、
R2は、水素またはハロゲンであり、
R3は、水素であり、
R4は、水素、C1〜C3アルキルおよびヒドロキシから選ばれ、
kは、0または1であり、
Aは、場合によりヒドロキシもしくはフッ素により1〜2回置換されていてもよいC2〜C6アルケニレン;場合により1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいC4〜C6アルカジエニレン;ならびに1,3,5−ヘキサトリエニレンから選ばれ、
Dは、場合によりメチルもしくはヒドロキシにより置換されていてもよいC2〜C8アルキレン;場合によりメチルもしくはヒドロキシにより置換されていてもよいC2〜C8アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい);ならびに1〜3個のメチレン単位がO、NH、N(CH3)、N(COCH3)、N(SO2CH3)もしくはCOにより等配電子的に置換されているC2〜C8アルキレンおよびC2〜C8アルケニレンよりなる群、から選ばれ、
Eは、下記残基から選ばれ、
【0044】
【化8】
【0045】
ここで上記式中の複素環は場合により1個の二重結合を有していてもよく、
nおよびpは、互いに独立して0、1、2または3であり、但し、n+p≦3であり、
qは、1または2であり、
R10は、水素、メチルおよびヒドロキシルから選ばれ、
R11は、水素または該窒素原子に隣接したオキソ基であり、
Gは、水素、C3〜C8シクロアルキル、メトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、ジフェニルホスフィノイル、ならびに下記残基から選ばれ:
【0046】
【化9】
【0047】
ここで、
rは0、1または2であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、インダニル、インデニル、オキソインダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、オキソテトラヒドロナフチル、フルオレニル、オキソフルオレニル、アントリル、ジヒドロアントリル、オキソジヒドロアントリル、ジオキソジヒドロアントリル、ジベンゾシクロヘプテニル、オキソジベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、およびオキソジヒドロジベンゾシクロヘプテニルよりなる群、ならびに
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾフリル、ジヒドロベンゾフリル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、オキソインドリニル、ジオキソインドリニル、ベンゾオキサゾリル、オキソベンゾオキサゾリニル、ベンゾイソオキサゾリル、オキソベンゾイソオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、オキソベンゾチアゾリニル、ベンゾイソチアゾリル、オキソベンゾイソチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、オキソベンゾイミダゾリニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、オキサゾロピリジル、オキソジヒドロオキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、オキソジヒドロチアゾロピリジル、イソチアゾロピリジル、イミダゾピリジル、オキソジヒドロイミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、チエノピリミジニル、クロマニル、クロマノニル、ベンゾピラニル、クロモニル、キノリル、イソキノリル、ジヒドロキノリル、オキソジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリル、オキソテトラヒドロキノリニル、ベンゾジオキサニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、テトラヒドロカルバゾリル、オキソテトラヒドロカルバゾリル、ピリドインドリル、アクリジニル、オキソジヒドロアクリジニル、フェノチアジニル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、ベンゾシクロヘプタチエニル、オキソベンゾシクロヘプタチエニル、ジヒドロチエノベンゾチエピニル、オキソジヒドロチエノベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、オキソジヒドロジベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾアゼピニル、オクタヒドロジベンゾアゼピニル、ベンゾシクロヘプタピリジル、オキソベンゾシクロヘプタピリジル、ジヒドロピリドベンゾオキセピニル、ジヒドロジベンゾチアゼピニル、およびオキソジヒドロジベンゾチアゼピニルよりなる群、
R13は、水素、メチル、ベンジルおよびフェニルから選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、ナフチル、フリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、クロマニル、キノリル、およびテトラヒドロキノリルよりなる群、
ここで、次式
【0048】
【化10】
【0049】
における−NR12R14は、場合により、ピロリジン、ピペリジン、(1H)−テトラヒドロピリジン、ヘキサヒドロアゼピン、オクタヒドロアゾシン、ピペラジン、ヘキサヒドロジアゼピン、モルホリン、ヘキサヒドロオキサゼピン、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、インドリン、イソインドリン、(1H)−ジヒドロキノリン、(1H)−テトラヒドロキノリン、(2H)−テトラヒドロイソキノリン、(1H)−テトラヒドロキノキサリン、(4H)−ジヒドロベンゾオキサジン、(4H)−ジヒドロベンゾチアジン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[b]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]オキサゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]チアゼピン、1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4−b]インドール、(10H)−ジヒドロアクリジン、1,2,3,4−テトラヒドロアクリダノン、(5H)−ジヒドロジベンゾアゼピン、(5H)−ジヒドロジベンゾジアゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキサゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]チアゼピン、(10H)−ジヒドロジベンゾ[b,f]オキサゼピン、および(5H)−テトラヒドロジベンザゾシンから選ばれてもよい。
【0050】
本発明に係るより一層好ましい態様において、前記阻害剤は下記のとおりの一般式(I)で示される化合物である:
R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、
R2およびR3は、水素であり、
R4は、水素またはヒドロキシであり、
kは、0または1であり、
Aは、場合によりフッ素で置換されていてもよいC2〜C4アルケニレンであり、
Dは、C2〜C6アルキレン;C2〜C6アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい);ならびに1個のメチレン単位がO、NH、N(CH3)もしくはCOで等配電子的に置換されているか、1個のエチレン基がNH−COもしくはCO−NHで等配電子的に置換されているか、もしくは1個のプロピレン基がNH−CO−OもしくはO−CO−NHで等配電子的に置換されているC2〜C6アルキレンおよびC2〜C6アルケニレンよりなる群から選ばれ、
Eは、ピロリジン、ピペリジン、1,2,5,6−テトラヒドロピリジン、ヘキサヒドロアゼピン、モルホリンおよびヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピンから選ばれ、ここでこれらの複素環は場合により該窒素原子に隣接したオキソ基により置換されていてもよく
Gは、水素、tert−ブトキシカルボニル、ジフェニルホスフィノイル、ならびに下記残基の1つから選ばれ:
【0051】
【化11】
【0052】
ここで、
rは0または1であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、インデニル、オキソインダニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル、オキソフルオレニル、アントリル、ジヒドロアントリル、オキソジヒドロアントリル、ジオキソジヒドロアントリル、ジベンゾシクロヘプテニル、およびジヒドロジベンゾシクロヘプテニルよりなる群、ならびに
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、フリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、オキソインドリニル、ジオキソインドリニル、ベンゾオキサゾリル、オキソベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、オキソベンゾチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、オキソベンゾイミダゾリニル、ベンゾフラザニル、ベンゾトリアゾリル、オキサゾロピリジル、オキソジヒドロオキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、オキソジヒドロチアゾロピリジル、クロマニル、クロマノニル、ベンゾピラニル、クロモニル、キノリル、イソキノリル、オキソジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリル、オキソテトラヒドロキノリニル、ベンゾジオキサニル、キナゾリニル、アクリジニル、オキソジヒドロアクリジニル、フェノチアジニル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、ベンゾシクロヘプタチエニル、ジヒドロチエノベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、オキソジヒドロジベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾアゼピニル、オクタヒドロジベンゾアゼピニル、ベンゾシクロヘプタピリジル、オキソベンゾシクロヘプタピリジルおよびジヒドロジベンゾチアゼピニルよりなる群、
R13は、水素、メチル、ベンジルおよびフェニルから選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、ナフチル、フリル、チエニル、ピリジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、クロマニル、キノリル、およびテトラヒドロキノリルよりなる群、
ここで、次式
【0053】
【化12】
【0054】
における−NR12R14は、場合により、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサヒドロアゼピン、モルホリン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、インドリン、イソインドリン、(1H)−ジヒドロキノリン、(1H)−テトラヒドロキノリン、(2H)−テトラヒドロイソキノリン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[b]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]オキサゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]チアゼピン、1,2,3,4−テトラヒドロアクリダノン、(5H)−ジヒドロジベンゾアゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキサゼピンおよび(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]チアゼピンから選ばれてもよく、
ここで、芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、芳香環または環系の隣接する2つの基は、場合によりメチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよい。
【0055】
本発明に係る特に好ましい態様は次の通りの一般式(I)で示される化合物に関する:
R1は、水素、フッ素、メチル、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、
R2およびR3は、水素であり、
R4は、水素またはヒドロキシであり、
kは、0であり、
Aは、エテニレンまたは1,3−ブタジエニレンであり、
Dは、C2〜C6アルキレンまたはC2〜C6アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい)であり、
Eは、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサヒドロアゼピンおよびモルホリンから選ばれ、
Gは、ベンジル、フェネチル、フルオレニルメチル、アントリルメチル、ジフェニルメチル、フルオレニル、ジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、フリルメチル、チエニルメチル、チアゾリルメチル、ピリジルメチル、ベンゾチエニルメチル、キノリルメチル、フェニル−チエニルメチル、フェニル−ピリジルメチル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、アセチル、ピバロイル、フェニルアセチル、ジフェニルアセチル、ジフェニルプロピオニル、ナフチルアセチル、ベンゾイル、ナフトイル、アントリルカルボニル、オキソフルオレニルカルボニル、オキソジヒドロアントリルカルボニル、ジオキソジヒドロアントリルカルボニル、フロイル、ピリジルカルボニル、クロモニルカルボニル、キノリルカルボニル、ナフチルアミノカルボニル、ジベンジルアミノカルボニル、ベンジルフェニルアミノカルボニル、ジフェニルアミノカルボニル、インドリニル−1−カルボニル、ジヒドロジベンゾアゼピン−N−カルボニル、テトラヒドロキノリニル−N−カルボニル、テトラヒドロベンゾ[b]アゼピニル−N−カルボニル、メタンスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル、ナフチルスルホニル、キノリンスルホニル、およびジフェニルホスフィノイルから選ばれ、
ここで、芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、環または環系の隣接する2つの基は、場合によりメチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよい。
【0056】
本発明の例示として、それぞれの置換基の定義を満たす一連の化合物の例を次の表に列挙する。
【0057】
【表1−1】
【0058】
【表1−2】
【0059】
【表1−3】
【0060】
【表1−4】
【0061】
【表1−5】
【0062】
【表1−6】
【0063】
【表1−7】
【0064】
【表1−8】
【0065】
【表1−9】
【0066】
【表1−10】
【0067】
【表1−11】
【0068】
【表1−12】
【0069】
【表1−13】
【0070】
【表1−14】
【0071】
【表1−15】
【0072】
【表1−16】
【0073】
【表1−17】
【0074】
【表1−18】
【0075】
【表1−19】
【0076】
【表1−20】
【0077】
【表1−21】
【0078】
【表1−22】
【0079】
【表1−23】
【0080】
【表1−24】
【0081】
【表1−25】
【0082】
【表1−26】
【0083】
【表1−27】
【0084】
【表1−28】
【0085】
【表1−29】
【0086】
【表1−30】
【0087】
より好ましくは、本阻害剤は(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドである。
合成法は例えばEP0923570に記載されている。
【0088】
1好適態様において、本発明は慢性関節リウマチの治療用薬剤の製造に対する上記阻害剤の使用に関する。
有利には、本発明は、慢性関節リウマチの治療用薬剤の製造への(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドの使用に関する。
【0089】
1好適態様において、本発明はエンドトキシン(内毒素)血症の治療用薬剤の製造に対する上記阻害剤の使用に関する。
有利には、本発明は、エンドトキシン血症の治療用薬剤の製造への(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドの使用に関する。
【0090】
さらに、本発明は、有効量のニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤を使用した炎症性疾患の治療用薬剤の製造方法にも関する。
本発明に係る方法において、該阻害剤は好ましくは酵素ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼの競合的または非競合的阻害剤である。
【0091】
好ましくは、該阻害剤は上述した化合物である。
より好ましくは、該阻害剤は(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドである。
【0092】
第1の態様において、該薬剤は慢性関節リウマチの治療用である。
第2の態様において、該薬剤はエンドトキシン血症の治療用である。
本発明に係る方法において、有効量の本阻害剤が、症状の持続した改善を引き出すのに十分な量および時間で患者に投与されうる。
【0093】
本発明によると、阻害剤の投与量範囲は、投与経路ならびに患者の状態(年齢、性別、体重、疾患の程度など)により変動しうる。理想的には、用量範囲は1〜100mg/kg体重/日の範囲内となろう。
【0094】
上記薬剤の製造方法において、治療有効量の本発明に係る阻害剤を少なくとも1種の薬剤に許容される担体と共に含有する薬剤組成物を、自体公知の方法により製造することができ、該組成物は、ヒトを含む哺乳動物への経口もしくは直腸のような経腸投与、または腸管外投与に適したものとする。
【0095】
経口剤形用の組成物の製造においては、任意の慣用の製薬用媒体を採用しうる。例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、香料、保存料、着色料などを用いて懸濁液剤、エリキシル剤および溶液剤などの経口液状製剤を形成することができる。一方、散剤、カプセル剤、および錠剤のような経口固体剤形を形成するには、でんぷん、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を使用しうる。投与の容易さの理由で、錠剤およびカプセル剤が好ましい経口剤形単位であり、その場合には固体製薬用担体が採用される。場合により、錠剤は標準的な水性または非水性の方法により被覆してもよい。
【0096】
本発明の組成物を含有する錠剤は、場合により1種または2種以上の補助成分または佐剤と共に圧縮または型成形することにより製造されうる。
圧縮錠剤は、適当な機械の中で、粉末または顆粒のような易流動性形態の配合成分を、場合により結合剤、滑剤、不活性希釈剤、界面活性もしくは分散剤などと混合して圧縮することにより製造することができる。型成形錠剤(湿製錠剤)は、不活性液体希釈剤により湿らせた粉末化合物の混合物を適当な機械で型成形することにより製造することができる。各錠剤は好ましくは約10mgから約2gまでの配合成分を含有し、各カシェ剤もしくはカプセル剤は好ましくは約10mgから約2gまでの配合成分を含有する。
【0097】
非経口(腸管外)投与に適した薬剤組成物は、配合成分の水中での溶液剤または懸濁液剤として製造することができる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどの適当な界面活性剤を含有させてもよい。グリセロール、液状ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびそれらの混合物(油中)中で分散液を製造することもできる。また、有害な微生物の増殖を防止するために保存料(防腐剤)を含有させてもよい。
【0098】
注射用に適した薬剤組成物としては、滅菌水溶液剤または分散液剤が挙げられる。さらに、本組成物は、このような滅菌注射用溶液剤または分散液剤の即時調製用の滅菌粉末の形態とすることもできる。いずれの場合も、最終的な注射液形態は、無菌で、かつ注射器で容易に使用できるように実質的に流体でなければならない。この薬剤組成物は、製造および保存条件下で安定でなければならず、従って、好ましくは細菌および真菌のような微生物の汚染作用から防護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例、グリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコール)、植物油、およびそれらの適当な混合物を包含する、溶媒または分散媒でよい。
【0099】
本発明はまた、少なくとも有効量のニコチンアミドアデニルジヌクレオチドの生成阻害剤を、炎症性疾患の治療に使用するための印刷された使用説明書と共に含んでいる薬剤キットにも関する。
【0100】
本発明に係る薬剤キットでは、ニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤は好ましくは上述した化合物である。
本発明に係る薬剤キットにおいて、ニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤は好ましくは(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドである。
【0101】
第1の態様において、本発明の薬剤キットは慢性関節リウマチの治療用の印刷された使用説明書を含んでいる。
第2の態様において、本発明の薬剤キットはエンドトキシン血症の治療用の印刷された使用説明書を含んでいる。
【0102】
本発明に係る薬剤キットは、少なくとも該阻害剤を収容した容器を含んでいてもよい。好適態様において、本キット容器はさらに薬剤に許容される担体を含んでいてもよい。本キットはさらに滅菌希釈剤を含んでいてもよいが、それは別の追加容器内で保管する方が好ましい。
【0103】
最後に、本発明は、有効量のニコチンアミドアデニルジヌクレオチドの生成阻害剤を個体に投与することを含む、炎症性疾患の治療方法に関する。
好ましくは、本発明は使用する阻害剤が酵素ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼの非競合的または競合的阻害剤である炎症性疾患の治療方法に関する。
【0104】
より好ましくは、本発明は、使用する阻害剤が上述した化合物である炎症性疾患の治療方法に関する。
第1の側面では、本発明は慢性関節リウマチの治療方法に関する。
【0105】
第2の側面では、本発明はエンドトキシン血症の治療方法に関する。
本発明は以下の実験の詳細に関する説明からよりよく理解されよう。しかし、当業者であれば、そこに説明した特定の方法および結果は、その後に続く特許請求の範囲により詳しく記載された本発明の単なる例示にすぎず、いかなる意味でも本発明をそれに制限するものではないことは容易に理解しよう。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】細胞のNADレベルと炎症促進性(pro-inflammatory)サイトカイン分泌との間の直接的関係。 ヒト単球性細胞株THP−1を、NADの前駆体であるニコチン酸(NA)の異なる量の存在下で一晩培養した後、グラム陰性菌由来のリポ多糖(LPS)で2時間刺激した。細胞上清をELISAにより腫瘍壊死因子(TNF)含有量について試験し、NADの細胞内プールを酵素分析により測定した。
【0107】
【図2】NMPRTの競合的阻害剤FK866はLPSに反応した炎症細胞内の炎症促進性サイトカイン産生を阻害する。 ヒト単球性細胞株THP−1、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、ヒト単球由来樹状細胞、またはマウス腹腔マクロファージを単離し、増大する量(実験ごとに量を増やした)FK866と共に一晩培養した後、LPSで6時間刺激した。培養物の上清をTNFおよびIL−6含有量についてELISAにより試験した。
【0108】
【図3】FK866は転写後レベルでのTNFαの分泌を阻害する。 マウスRAW264.7細胞株をFK866(図中、APO866)の存在下でLPSにより刺激した。TNFタンパク質濃度をELISAにより定量し(上段グラフ)、mRNAレベルをRT−PCRにより定量した(下段グラフ)。
【0109】
【図4】FK866はヒト樹状細胞の炎症促進性サイトカインTNFα、IL−12およびIL−23の分泌を阻害する。 ヒト樹状細胞(5名の異なるドナーからの平均及びSD)を20nMのFK866と共にインキュベーションしてから、LPSまたはLPS+IFNγで刺激した。上清の炎症促進性サイトカインレベルを16時間の培養後にELISAにより測定した。
【0110】
【図5】細胞における炎症促進性サイトカイン分泌とNADレベルとの相関関係 (A)マウスマクロファージ細胞株RAW264.7を増大する量のFK866と共に一晩培養した後、LPSにより2時間刺激した。培養物の上清をTNF含有量についてELISAにより試験し、細胞内NADレベルを酵素分析により測定した。 (B)RAW264.7細胞をFK866の存在下で一晩培養し、NADの細胞内プールを、該細胞をニコチン酸(NA)と共培養することにより回復させた。次いで、細胞をLPSで2時間刺激し、培養物の上清をTNF含有量についてELISAにより試験した。 (C)RAW264.7細胞をFK866の存在下で一晩培養し、細胞外NADの存在下で該細胞を培養することによりNADレベルを維持した。次いで、細胞をLPSで2時間刺激し、培養物の上清をTNF含有量についてELISAにより試験した。
【0111】
【図6】細胞内NADレベルの低下により誘導した炎症促進性サイトカイン分泌の阻害はアポトーシス誘導によるものではない。 (A)ヒトPBMCを単離し、増大する量のFK866と共に一晩培養した後、LPSで6時間刺激した。この培養の終了後、MTT(臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム)分析を用いて細胞生存率を評価した。 (B)ヒト単球由来樹状細胞を単離し、増大する量のFK866と共に一晩培養した後、LPSで6時間刺激した。この培養の終了後に、アネキシンVおよびヨウ化プロピジウム(PI)染色により細胞の残存率を測定した。
【0112】
【図7】ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は、FK866の細胞内レベルおよびTNFα分泌への阻害作用を復帰させる。 THP−1細胞を10nMのFK866および変化させた量のNMNの存在下でインキュベーションした。細胞をさらにLPSで刺激し、標準的な分析法を用いて細胞内NADレベルおよびTNFα分泌を求めた。
【0113】
【図8】コラーゲン誘導慢性関節リウマチ(RA)の実験マウスモデルにおけるFK866治療後のRAの疾患重症度の低減 8〜10週齢の雄性DBA/1マウスを、5mg/mlの結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を含有する完全フロイントアジュバント中に乳化させた天然II型コラーゲン(CII)100μgを用いて尾部根元での皮内経路により免疫した。21日後、マウスの追加免疫を、不完全フロイントアジュバント中コラーゲン100μgにより尾部根元での皮内経路により実施した。最初の免疫から数えて15日目以降、臨床的な関節炎の発症についてマウスを毎日検査する。関節炎の重症度は次の3点スケールでのスコアにより評価する:0=正常な見かけ、1=軽い腫脹及び/若しくは紅斑、2=顕著な腫脹および紅斑、3=関節硬直。四肢すべての評点をつけるので、動物あたりの最大臨床スコアは12点となる。FK866による治療は、CIA(コラーゲン誘導関節炎)が臨床的に検出可能(臨床スコア≧1)になった日から合計15日間、毎日2回の10mg/kgの腹腔内投与により行った。値は各群10匹ずつでの臨床スコアの±標準誤差(s.e.m.)である。
【0114】
【図9】コラーゲン誘導関節炎におけるNAMPT(ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ)発現の誘導 14日目のCIAマウス(n=8)および関節炎ではなく、免疫を受けていない自然(未処置)マウス(n=7)からの血清(a)および前足(paw)の組織抽出物(b)を準備し、NAMPT ELISAにより分析した。*P<0.05:グラフaおよびbにおける自然マウスに対する関節炎マウス
【0115】
【図10】定着化した関節炎に及ぼすNAMPT阻害の臨床、組織学的および生化学的作用 (a)FK866の用量反応効果:試験マウスを2、5または10mg/kgのFK866で(各群ともn=10)で15日間毎日2回のip(腹腔内)投与により治療した。プラシーボのマウス(n=10)はビヒクル(賦形剤)のみを投与された。 (b)15日間にわたる、1日2回の10mg/kg−FK866のip投与または3日おきの15mg/kgの治療薬エタネルセプト(etanercept)の投与を受けたCIAマウス(各群n=10)の関節炎の重症度。マウス群を二方向ANOVA(分散分析)により比較した。*P<0.05:グラフaおよびbにおいてプラシーボに対するFK866またはエタネルセプト。
【0116】
試験マウス(n=20)を臨床での関節炎の徴候(臨床スコア>1)が現れた最初の日から始めて14日間、10mg/kgのFK866で1日に2回ip治療した。プラシーボのマウス(n=20)はビヒクルのみを投与された。両群の動物を、それらの臨床スコアおよび体重の変化に関して、二方向ANOVAを用いた統計解析により比較した(d)。炎症性浸潤および滑膜過形成(肥厚)を評価するため、4点(0〜3)スコアシステムを用いて膝関節切開部についての半定量的組織学的評価を実施した。(c)循環系SAA(血清アミロイドAタンパク質)レベル:14日目のプラシーボおよびFK866治療CIAマウス(それぞれn=8およびn=7)からの血清を準備し、製造業者の指示に従ってSAA ELISAにより分析した。
【0117】
【図11】FK866はin vivoで炎症細胞の細胞内NADを減少させる。 PEC(腹腔滲出細胞)を誘発させるためにマウスをチオグリコレートで処置し、次いでip注射により10mg/kgのFK866を投与した。異なる経過時点後にPECを洗浄法により取得し、細胞内NADを求めた。データは1群あたり3匹のマウスでの平均+sem(標準誤差)である。
【0118】
【図12】FK866はLPS攻撃後のTNFα産生を阻害する。 PEC(腹腔滲出細胞)を誘発させるためにマウスをチオグリコレートで処置し、次いでLPSによるip攻撃の7時間前に、ip注射により10mg/kgのFK866またはプラシーボを投与した。各群3匹ずつでの90分での平均血清TNFα+semを示す。PECを洗浄法により取得し、細胞内NADを求めた。データは1群あたり3匹のマウスでの平均+semである。
【実施例】
【0119】
(実施例1)
本例は、細胞のNADレベルと炎症促進性サイトカイン分泌との間の直接的関係を例示する。ヒト単球性細胞株THP−1を、NADの前駆体であるニコチン酸(NA)の存在下で一晩培養した後、グラム陰性菌由来のリポ多糖(LPS)で2時間刺激した。細胞上清をELISAにより腫瘍壊死因子(TNF)含有量について試験し、またNADの細胞内プールを酵素分析により測定した。図1は、ニコチン酸の存在下において、TNF分泌とNADレベルが用量依存性の関係で平行して増大したことを示している。
【0120】
(実施例2)
本例は、NMPRTの競合的小分子量化合物阻害剤[(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、FK866と命名]による炎症促進性サイトカイン産生の阻害を説明する。ヒト単球細胞株THP−1、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、ヒト単球由来樹状細胞、またはマウス腹腔マクロファージを単離し、少しずつ増やした量のFK866と共に一晩培養した後、LPSで6時間刺激した。培養物の上清をTNFおよびIL−6含有量についてELISAにより試験した。図2は、FK866が、試験したすべての炎症細胞において用量依存性の関係でサイトカイン分泌を阻害したことを示す。
【0121】
(実施例3)
本例は、FK866(図中ではAPO866)が転写後レベルでのTNFαの分泌を阻害することを例示する。マウスRAW264.7細胞株を異なる量のFK866の存在下で培養し、微生物産生物により刺激し、上清中に放出されたTNFαレベルをELISAにより評価した。図3に示すように、FK866はこの実験の設定でTNFα分泌を強力に阻害した。FK866はTNFα mRNAレベルには顕著な影響を与えなかった。このことは、細胞内NADがTNFα mRNAの転写効率を調節していることを示す。
【0122】
(実施例4)
本例は、FK866による、TNFα、IL−1βおよびIL−6以外の他の炎症促進性サイトカイン産生の阻害を説明する。5名の異なるドナーからのヒト樹状細胞をFK866と共に培養してから、LPSまたはLPS+IFNγによって刺激した。培養物上清を、TNFα、IL−12(p40およびp70)、ならびにIL−23含有量についてELISAにより試験した。図4は、FK866がTNFα(本出願で説明するように)ならびにIL−12およびIL−23産生を阻害したことを示している。
【0123】
(実施例5)
本例は、細胞における炎症促進性サイトカイン分泌とNADとの相関関係を例示する。マウスマクロファージ細胞株RAW264.7を、少しずつ増やした量のFK866と共に一晩培養した後、LPSにより2時間刺激した。培養物の上清をTNF含有量についてELISAにより試験し、細胞内NADレベルを酵素分析により測定した。図5Aは、TNF産生の阻害が細胞内NADレベルの阻害と相関したことを示している。
【0124】
別の実験では、RAW264.7細胞をFK866の存在下で一晩培養し、NADの細胞内プールを、該細胞をニコチン酸(NA)と共培養することにより回復させた。ニコチン酸はNADの前駆体であるが、そのNADへの変換はNMPRTには依存せず、従ってFK866により阻害されない。細胞を次いでLPSで2時間刺激し、培養物の上清をTNF含有量についてELISAにより試験した。図5Bは、ニコチン酸の添加が、FK866の存在下でもNADの高レベルを維持したことを示している。TNFの合成も回復された。これは細胞内NADレベルと炎症促進性サイトカイン分泌との間の直接的な関係を示している。
【0125】
別の実験では、RAW264.7細胞をFK866の存在下で一晩培養し、細胞外NADの存在下で該細胞を培養することによりNADレベルを維持した。次いで、細胞をLPSで2時間刺激し、培養物の上清をTNF含有量についてELISAにより試験した。図5Cは、NADレベルがFK866の存在下でも高いまま維持され、TNF合成が回復したことを示している。
【0126】
(実施例6)
本例は、細胞内NADレベルの低下により誘導した炎症促進性サイトカイン分泌の阻害はアポトーシス誘導によるものではないことを例示する。ヒトPBMCを単離し、少しずつ増やした量のFK866と共に一晩培養した後、LPSで6時間刺激した。この培養の最後に、MTT(臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム)分析を用いて細胞生存率を評価した。図6Aは、細胞生存率がFK866により影響されなかったことを示している。
【0127】
別の実験では、ヒト単球由来樹状細胞を単離し、少しずつ増やした量のFK866と共に一晩培養した後、LPSで6時間刺激した。この培養の最後に、アネキシンVおよびヨウ化プロピジウム(PI)染色により細胞の残存率を測定したところ、未処置の細胞に比べたFK866で処置された細胞の残存率の差異は何ら認められなかった(図6B)。これは、NADおよび炎症促進性サイトカイン分泌の阻害が、単に細胞死の誘導によるものではないことを示している。
【0128】
(実施例7)
本例は、NAMPT(=NMPRT)がFK866の唯一の分子標的であることを例示する。ヒトTHP−1単球性細胞株を培地またはFK866の存在下で培養し、LPSで刺激した。NAMPT触媒反応の産生物であるニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の添加は、FK866への連続的な露出にもかかわらず、細胞内NADレベルおよびTNFα産生の両方を回復させた(図7)。NMNがその効果を発揮する根源的な作用機序は、NMNATにより触媒されるNMNからNADへの変換によるNAD生成に結びつけられる。これらの結果は、FK866の作用の特異性およびTNFα分泌調節における細胞内NADの役割の両方を確認するものである。
【0129】
(実施例8)
本例は、コラーゲン誘導慢性関節リウマチ(RA)の実験マウスモデルにおいてFK866治療後にRAの疾患重症度が低減することを説明する。RAは、関節の慢性炎症からその破壊に至ることを特徴とする自己免疫疾患である。炎症促進性サイトカインは、本疾患の進行および維持に主要な役割を果たし、RAの症状緩和のためにTNFまたはIL−1をブロック(遮断)することは現在では臨床処置法として確立している。8〜10週齢の雄性DBA/1マウスを、5mg/mlの結核菌を含有する完全フロイントアジュバント中に乳化させた天然II型コラーゲン(CII)100μgを用いて尾部根元での皮内投与により免疫した。21日後、マウスの追加免疫を、不完全フロイントアジュバント中コラーゲン100μgにより尾部根元での皮内投与により実施した。最初の免疫から数えて15日目以降、臨床的な関節炎の発症についてマウスを毎日検査する。関節炎の重症度は次の3点スケールでのスコアにより評価する:0=正常な見かけ、1=軽い腫脹及び/若しくは紅斑、2=顕著な腫脹および紅斑、3=関節硬直。四肢すべての評点をつけるので、動物あたりの最大臨床スコアは12点となる。FK866による治療は、CIA(慢性関節リウマチ)が臨床的に検出可能(臨床スコア≧1)になった日から合計15日間、毎日2回の10mg/kgの腹腔内投与によって行った。図8に示した結果は、FK866がRAの動物モデルにおける関節炎の症状を改善することを示している。
【0130】
(実施例9)
本例は、FK866標的酵素NAMPTの発現がコラーゲン誘導関節炎(CIA)において上方調節(upregulate)されることを説明する。CIA時には、NAMPTレベルは、ELISAにより測定して、関節炎ではない自然の対照に比べて関節炎マウスからの血清および前足抽出物において有意に上昇した(それぞれ図9aおよびb)。これらの結果は、NAMPT免疫組織化学によっても支持された。実際、我々は、CIAからの関節炎に罹患した前足および膝関節では濃い染色を認めたが、自然マウスの関節炎に罹患していない関節の染色は著しく低減した。罹患関節では、NAMPT染色は、滑膜内層(SLL, synovial lining layer)、内膜下滑膜およびパンヌス(P)の滑膜細胞および一部の炎症細胞において顕著であった。血管の大部分も陽性であった。また、正常および関節炎の両方の関節においていくらかの陽性軟骨細胞が観察された。
【0131】
(実施例10)
本例は、FK866(図中ではAPO866)によるNAMPT阻害が、定着化したコラーゲン誘導関節炎(CIA)を軽減することを例示する。関節炎の最初の臨床症状の出現の翌日からFK866を投与し、投与を15日間続けた。FK866はCIAに対して用量依存性の著しい防護効果を示し、最大治療効果は10mg/kgを投与した時であった(図10a)。有益な効果は治療開始から10日以内に明らかとなり、活性はエタネルセプト(抗TNFα治療)と同等であった(図10b)。
【0132】
CIAに対するFK866の作用の阻害機序をより詳しく検討するため、最適用量のFK866を用いてCIA治療実験を繰り返し、より多くのパラメータを分析した。FK866治療マウスの前足は治療2週間後に最小の炎症症候しか示さなかったのに対し、プラシーボ治療マウスの前足はなお炎症状態であり、これは臨床評点にも反映していた。従って、これらのin vivo臨床観察は、観察された炎症がFK866治療群ではずっと少ないという膝および前足の組織学的結果と一致していた。プラシーボマウスとFK866治療マウスの膝関節を、炎症性浸潤および滑膜過形成(synovial hyperplasia)について評価した。組織学的切片では、プラシーボ治療の対照群に比べてFK866で治療されたマウスにおける炎症性浸潤および滑膜過形成が統計学的に有意な減少を示した。
【0133】
全身性炎症反応を反映する血清アミロイドAタンパク質(SAA)レベルは、FK866治療マウスでは減少した(図10c)。これはFK866投与の抗炎症効果をさらに示唆する。FK866によるCIAの改善に関係する考えられる分子機序としては、炎症促進性サイトカインの減少が考えられる。実験の最後に前足組織抽出物中の各種サイトカイン類の発現を調査した。TNFαは分析検出レベルを下回っていた。局部的に産生したIL−1βおよびIL−6は、FK866治療動物では有意に低減していた。MCP−1は減少し、最後に、IL−10分泌はFK866治療では未変化のままであった。
【0134】
マウスの体重はプラシーボ群とFK866治療群とで同等であったので、FK866による治療から生ずる毒性の徴候は認められなかった(図10d)。実際、FK866はよく許容され、治療群における早期の死は起こらず、この群における肝臓、脾臓、肺、腸、腎臓、鼠径リンパ節および脳の対応する組織検査は、対照動物と全く変わらなかった。また、アラニンアミノトランスフェラーゼの測定結果は、対照マウスに対してFK866治療マウスにおいても同等の低いレベルであったので、肝毒性の可能性も否定された。最後に、血液検査は治療マウスと対照マウスとの間の類似性を示した(表1)。
【0135】
【表1】
【0136】
FK866治療マウスがII型コラーゲンに対して十分な免疫反応を生じたことを検証するため、治療の最後(15日目)に全抗コラーゲンIgGレベルをELISAにより測定した。対照マウスとFK866治療マウスとの間に抗コラーゲンIgGレベルの有意な差は認められなかった[対照マウス:140±20.2任意単位(n=18)、治療マウス:106.5±17.6任意単位(n=15)]。
【0137】
まとめると、以上のデータは、定着化したCIAに対するFK866の上記の有益な効果は、毒性やコラーゲンIIに対する免疫反応の阻害に起因するものではなく、炎症性サイトカインの分泌の阻害に起因するものであることを示している。
【0138】
(実施例11)
本例は、FK866がin vivoで炎症細胞の細胞内NADレベルを減少させることを例示する。炎症細胞を誘発させるために、自然(未処置)マウスをチオグリコレートでip処置し、次いで10mg/kgのFK866をip投与した。腹腔滲出細胞(PEC)を処置後の異なる経過時点で洗浄法により取得し、細胞内NADをレベルを酵素分析を用いて求めた。図11は、FK866がin vivoでマクロファージ中の有意な時間依存性のNADレベル低減を誘導し、注射から9時間後に最小値に到達し、14時間前後に回復したことを示す。
【0139】
(実施例12)
本例は、NAMPT阻害がエンドトキシン血症時に循環系TNFαを低減させ、炎症細胞中の細胞内NAD減少と相関することを例示する。炎症細胞誘発させるために自然マウスをチオグリコレートでip処置し、次いでLPSによる腹腔内注射の7時間前に、プラシーボまたは10mg/kgのFK866(図中ではAPO866)またはプラシーボを用いてip処置した。血清TNFαレベルを評価するためにマウスを90分後に採血した。図12に示すように、FK866はプラシーボに比べて循環系TNFαレベルの有意な減少を誘導した。TNFα分泌の減少は、同じマウスから得られたPEC中の細胞内NADの有意な減少を伴っていた。
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性疾患の治療に使用される薬剤を製造するためのニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤の使用に関する。本発明はまた、炎症性疾患の治療用薬剤の製造方法、および最終的にはこのような阻害剤を含んだ薬剤キットにも関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチンアミドアデニルヌクレオチドの生成阻害剤として作用する、いくつかのサブクラスを含んだ1群の化合物の製造、ならびにそれらの抗腫瘍薬としての使用は下記の特許出願に既に記載されている:WO00/50399,WO97/48695,WO97/48397,WO99/31063,WO99/31060,WO99/31087,WO99/31064,WO00/50399およびWO03/80054。特に有用な化合物はPCT出願WO97/48696に記載されている。
【0003】
このような阻害剤の1つ、(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドは、APO866,FK866,WK175,またはWK22.175としても知られており(以下ではFK866[国際一般名称]と呼ぶ)、この化合物は特に抗がん薬として文献に記載されている。
【0004】
FK866は、がんのような統制のきかないアポトーシスが関係する疾患の治療に使用されうる。FK866がニコチンアミドアデニルジヌクレオチド(NADとしても知られ、以下ではそのように呼ぶ)生合成を阻害し、DNA損傷作用を全く伴わずにアポトーシス性細胞死を誘導することが従来技術において実証された。
【0005】
FK866の抗血管形成および抗腫瘍効果も多くの刊行物に記載されている。
刊行物「ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼの高特異的非競合性阻害剤のFK866は腫瘍細胞アポトーシス誘導に対する新規機序を示す」M. Hasmann et al., Cancer Research 63, 7436-7442, 2003年11月1日は、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼに対する高い薬効および特異性を持つ初の阻害剤としてのFK866およびその抗腫瘍化合物としての特性をより一般的に記載している。
【0006】
例えば、白血病の治療に対する抗腫瘍薬としてのその薬効について、「新規抗腫瘍薬のWK175は細胞内ニコチンアミドアデニルジヌクレオチド濃度を低下させ、ヒト白血病細胞においてアポトーシスカスケードを誘導する」と記載されている。K.Wosikowski et al., Cancer Research 62, 1057-1062, 2002年2月15日。
【0007】
腎がん治療用抗腫瘍薬としてのその薬効は、「細胞内NAD生合成の新規阻害剤FK866/K22.175のマウス腎細胞がんにおける抗血管形成効果」J. Dreves et al., Anticancer Research 23: 4853-4858 (2003)に実証されている。
【0008】
EP1348434は、FK866を含むピリジルアミド類の血管形成阻害剤としての使用を記載している。この文書によると、炎症性疾患、増殖性網膜症、慢性関節リウマチ(リウマチ様関節炎)、黄斑変性症、新生物発生前(前がん)病変、前立腺肥大症、静脈新生内膜過形成(venous neointimal hyerplasia)、および乾癬のような多くの疾患が無秩序な血管形成を特徴とする。しかし、EP1348434はマウス腎細胞がんにおける血管形成に対するFK866の効果しか記載していない。しかし、慢性関節リウマチをはじめとする大部分の炎症性疾患にとって、血管形成はおそらく炎症の原因ではなく、結果である。
【0009】
ニコチンアミドアデニルジヌクレオチドの生成に対する公知阻害剤の既知の医学的適応が上記のように完全に異なることを考慮すると、炎症性疾患に対する有利な治療特性を有する本発明に従って使用される化合物の活性は当業者にとって完全に予想外である。
【0010】
炎症性疾患の概念は、先天性または適応型の免疫系成分に関連する、感染が存在しないか、または誘因がないように見える慢性炎症を特徴とする、1群の異質病状群であると記述される。このような疾患の例は、遺伝性周期熱、マックル−ウェルズ症候群、家族性地中海熱、家族性寒冷誘発自己炎症症候群、慢性関節リウマチ、全身発症型若年性突発性関節炎、変形性関節症、クローン病、多発性硬化症、代謝性疾患の通風および偽通風、アテローム性硬化症、アルツハイマー病およびパーキンソン病である。
【0011】
腫瘍壊死因子α(TNA−α)、インターロイキン1(IL−1)、およびインターロイキン6(IL−6)は、微生物活性化により先天免疫系の細胞により産生されるサイトカインであり、局所性および全身性の両方の炎症の重要なメディエータ(媒介物)である。多くの場合、これらのサイトカインの分泌は炎症性疾患では調整がきかず、慢性炎症に至る。
【0012】
TNF−α、IL−1、およびIL−6産生の阻害はいくつもの炎症性疾患に有益であり、これらの重要な炎症促進性サイトカイン類の産生および/または生物学的作用のブロックを目指した新規治療法の設計に数多くの研究が向けられてきた。
【0013】
本発明では、ニコチンアミドアデニルジヌクレオチドの阻害の予想外の抗炎症特性が明らかにされた。ニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生合成を阻害することにより、TNF−α、IL−1、およびIL−6の分泌が阻害されることが意外にも判明した。
【0014】
本発明では、TNF−α、IL−1、およびIL−6を含む最適の炎症促進性サイトカインレベルは十分なニコチンアミドアデニルジヌクレオチド細胞内濃度を必要とすることが実証される。
【0015】
この現状を考えると、ニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成の阻害剤が有する活性により、それらが炎症性疾患の治療に優れて特に適したものとなるという発見は、完全に予想外であった。
【0016】
本発明は、代謝と炎症との間の機能的な連結を確立し、TNF−α、IL−1、およびIL−6を含む炎症促進性サイトカインの合成の調節におけるNAD依存性酵素に対する潜在的な重要な役割を実証する。
【0017】
よって、第1の態様では、本発明は炎症性疾患の治療に使用する薬剤の製造のためにニコチンアミドアデニルジヌクレオチドの生成阻害剤を使用することに関する。
第2の態様では、本発明は炎症性疾患の治療用薬剤の製造方法に関する。
【0018】
第3の態様では、本発明は、有効量のニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤を個体に投与することを含む炎症性疾患の治療方法にも関する。
さらに、本発明は、有効量のニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤を炎症性疾患の治療に使用するための使用説明書と共に少なくとも含んでいる薬剤キットにも関する。
【0019】
用語「阻害剤」とは、特定の生物学的作用(生物学的活性)をブロック(遮断)する基質分子を意味する。
表現「競合的阻害剤」とは、正常な酵素基質と同じ活性サイトに、反応を受けずに直接結合する基質分子を意味する。
【0020】
ここで用いた表現「非競合的阻害剤」とは、常に酵素活性サイト以外のサイトで酵素に結合する基質分子のことである。この結合は、阻害剤の存在は酵素の構造および形状の変化を引き起こすことから酵素の活性に影響するが、正常酵素基質の見かけ結合親和性は変化させない。
【0021】
用語「炎症性疾患」とは、免疫系が疾患に至る異常な水準に活性化されたことを特徴とする疾患を意味する。
用語「慢性関節リウマチ」とは、関節の炎症を引き起こす慢性の炎症性自己免疫疾患を意味する。
【0022】
表現「有効量」とは、有効物質が治療効果を有する量を一般に意味する。本発明の場合、有効物質はニコチンアミドアデニルジヌクレオチドの生成阻害剤である。
「ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ」はNMPRT、NMPRTアーゼまたはNAmPRTアーゼ(国際命名名称:E.C.2.4.2.12)とも呼ばれ、これは天然の前駆ニコチンアミドからのニコチンアミドアデニルジヌクレオチド(NAD)生合成の基本的な酵素である。
【0023】
「ニコチン酸」はNADの前駆体である。
本発明において、「TNF」および「TNF−α」の両方の用語は「腫瘍壊死因子α」と名付けられたサイトカインを意味するために使用される。
【0024】
治療剤として使用する場合、ここに記載したニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤は生理学的に許容される担体と共に投与することが好ましい。生理学的に許容される担体は、それに本化合物をその溶解のため、あるいは他の手法でその投与を容易にするために添加することができる処方組成物である。生理学的に許容される担体の例としてはプロピレングリコールを挙げることができる。適当な生理学的に許容される担体を選ぶ時の重要な因子は、本化合物が活性なままであるか、あるいは該担体と本化合物との組み合わせが活性化合物を生ずるような担体を選ぶことである。
【0025】
本発明の利点としては、最適量のNAD生合成阻害剤の経口投与が挙げられる。
これらの結果に基づいて、本発明は炎症性疾患に罹患した患者に対する新規な治療戦略の設計に重要な関わりを有する。
【0026】
すなわち、本発明の第1の側面は、炎症性疾患の治療に使用される薬剤の製造にニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤を使用することに関する。
本発明によると、該阻害剤は好ましくはニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素の競合的または非競合的阻害剤である。
【0027】
本発明によると、この阻害剤は好ましくは下記一般式(I)で示される化合物である。
【0028】
【化1】
【0029】
式中、
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C4ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、ベンジルオキシ、C1〜C4アルカノイルオキシ、C1〜C4アルキルチオ、C2〜C5アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C3〜C9ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシ、フェニル、フェノキシ、ピリジルオキシおよびNR5R6よりなる群から選ばれ、ここで
R5およびR6は、互いに独立して水素およびC1〜C6アルキルから選ばれ、
R2は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、ここで
R1とR2とが隣接している場合、それらは、−(CH2)4−および−(CH=CH)2−および−CH2O−CR7R8−O−なる架橋要素の群から選ばれる架橋を場合により形成していてもよく、ここで
R7およびR8は、互いに独立して、水素またはC1〜C6アルキルであり、
R3は、水素、ハロゲンおよびC1〜C6アルキルから選ばれ、
R4は、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシおよびベンジルオキシから選ばれ、
kは、0または1であり、
Aは下記の群から選ばれ:
・場合によりC1〜C3アルキル、ヒドロキシ、フッ素、シアノもしくはフェニルにより1〜3回置換されていてもよい、C2〜C6アルケニレン、
・場合によりC1〜C3アルキル、フッ素、シアノもしくはフェニルにより1〜2回置換されていてもよい、C4〜C6アルカジエニレン、
・場合によりC1〜C3アルキル、フッ素もしくはシアノにより置換されていてもよい、1,3,5−ヘキサトリエニレン、ならびに
・エチニレン、
Dは下記の群から選ばれ:
・場合によりC1〜C3アルキルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよい、C1〜C10アルキレン、
・場合によりC1〜C3アルキルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよい、C2〜C10アルケニレン、ここで該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよく、
・場合によりC1〜C3アルキルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC3〜C10アルキニレン、ならびに
・1〜3個のメチレン単位がO、S、NR9、CO、SOもしくはSO2により等配電子的に(isosterically)置換されているC1〜C10アルキレン、C2〜C10アルケニレンおよびC3〜C10アルキニレンよりなる群、ここで
R9は、C1〜C3アルキル、C1〜C6アシルおよびメタンスルホニルから選ばれ、
Eは、下記から選ばれ、
【0030】
【化2】
【0031】
ここで上記式中の複素環は場合により1個の二重結合を有していてもよく、
nおよびpは、互いに独立して0、1、2または3であり、但し、n+p≦4であり、
qは、1または2であり、
R10は、水素、C1〜C3アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、カルボキシおよびC2〜C7アルコキシカルボニルから選ばれ、
R11は、水素または該窒素原子に隣接したオキソ基であり、
Gは、水素、G1、G2、G3、G4およびG5から選ばれ、ここで
G1は、残基:−(CH2)r−(CR13R14)s−R12 (G1) を表し、ここで
rは0、1または2であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、C3〜C6アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・N、SおよびOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含有し、直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで結合している、単環式芳香族5および6員複素環よりなる群、
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の(anellated、縮合環型の)二および三環式芳香族もしくは部分水素化炭素環式環系よりなる群、および
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、1〜3個の環原子がN、SおよびOから選ばれ、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化複素環式環系よりなる群、
R13は、R12と同じ意味を有し、但し、それとは独立して選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・N、SおよびOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含有し、直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで結合している、単環式芳香族5および6員複素環よりなる群、
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化炭素環式環系よりなる群、および
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、1〜3個の環原子がN、SおよびOから選ばれ、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化複素環式環系よりなる群、
G2は、下記残基から選ばれ、
【0032】
【化3】
【0033】
式中、置換基R12およびR14は上記の意味を有するか、或いは
−NR12R14基は、下記の群から選ばれた、窒素原子上で結合している窒素含有複素環であり:
・必須の窒素原子の他に、場合によりN、SおよびOから選ばれた1または2個のヘテロ原子をさらに含有していてもよい、飽和および不飽和の単環式4〜8員複素環の群、ならびに
・必須の窒素原子の他に、場合によりN、SおよびOから選ばれた1または2個のヘテロ原子をさらに含有していてもよい、環原子数が8〜16の飽和および不飽和の二もしくは三環式の環化型もしくは架橋型の複素環の群、
G3は、残基:−SO2−(CH2)rR12 (G3) を表し、
G4は、次式で示される残基であり
【0034】
【化4】
【0035】
式中、
Ar1およびAr2は、互いに独立してフェニル、ピリジルおよびナフチルから選ばれ、
G5は、残基:−COR15 (G5) であり、ここで、
R15は、トリフルオロメチル、C1〜C6アルコキシ、C3〜C6アルケニルオキシおよびベンジルオキシから選ばれ、
ここで、置換基R1、R2、R4、R12、R13、R14、R15、Ar1およびAr2中、ならびに環系−NR12R14中における芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、場合により完全にもしくは部分的にフッ素で置換されていてもよいC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基を有していてもよく、ここで、芳香環または環系の隣接する2つの基は、場合により、メチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよく、
複素環または環化された環系における遊離ヒドロキシ、メルカプトおよび/もしくはアミノ基による置換の場合の互変異性体、
立体異性体ならびに/またはそれらの混合物、ならびに、(E)−3−(3−ピリジル)−N−[2−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)エチル]−2−プロペンアミド塩酸塩を除いた薬理学的に許容される酸付加塩。
【0036】
好適態様において、前記阻害剤は下記のとおりの一般式(I)で示される化合物である:
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、エチルチオ、メトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、アミノカルボニル、カルボキシ、およびフェノキシから選ばれ、
R2は、水素、ハロゲン、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、
R3は、水素またはハロゲンであり、
R4は、水素、C1〜C3アルキル、ヒドロキシおよびC1〜C3アルコキシから選ばれ、
kは、0または1であり、
Aは、場合によりC1〜C3アルキル、ヒドロキシもしくはフッ素により1〜2回置換されていてもよいC2〜C6アルケニレン;場合によりC1〜C3アルキルまたは1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいC4〜C6アルカジエニレン;ならびに場合によりフッ素により置換されていてもよい1,3,5−ヘキサトリエニレンから選ばれ、
Dは、場合によりメチルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC1〜C8アルキレン;場合によりメチルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC2〜C8アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい);場合によりメチルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC3〜C8アルキニレン;ならびに1〜3個のメチレン単位がO、S、NH、N(CH3)、N(COCH3)、N(SO2CH3)、CO、SOもしくはSO2により等配電子的に置換されているC1〜C8アルキレン、C2〜C8アルケニレンおよびC3〜C8アルキニレンよりなる群から選ばれ、
Eは、下記から選ばれ、
【0037】
【化5】
【0038】
ここで上記式中の複素環は場合により1個の二重結合を有していてもよく、
nおよびpは、互いに独立して0、1、2または3であり、但し、n+p≦3であり、
qは、1または2であり、
R10は、水素、C1〜C3アルキル、ヒドロキシおよびヒドロキシメチルから選ばれ、
R11は、水素または該窒素原子に隣接したオキソ基であり、
Gは、水素、G1、G2、G3、G4およびG5から選ばれ、ここで
G1は、残基:−(CH2)r−(CR13R14)s−R12 (G1) を表し、ここで
rは0、1または2であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C8シクロアルキル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、ベンゾシクロブチル、インダニル、インデニル、オキソインダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、オキソテトラヒドロナフチル、ビエフェニレニル、フルオレニル、オキソフルオレニル、アントリル、ジヒドロアントリル、オキソジヒドロアントリル、ジオキソジヒドロアントリル、フェナントリル、ジヒドロフェナントリル、オキソジヒドロフェナントリル、ジベンゾシクロヘプテニル、オキソジベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、オキソジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロジベンゾシクロオクテニル、テトラヒドロジベンゾシクロオクテニル、およびオキソテトラヒドロジベンゾシクロオクテニルよりなる群、および
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾフリル、ジヒドロベンゾフリル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、オキソインドリニル、ジオキソインドリニル、ベンゾオキサゾリル、オキソベンゾオキサゾリニル、ベンゾイソオキサゾリル、オキソベンゾイソオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、オキソベンゾチアゾリニル、ベンゾイソチアゾリル、オキソベンゾイソチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、オキソベンゾイミダゾリニル、インダゾリル、オキソインダゾリニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、オキサゾロピリジル、オキソジヒドロオキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、オキソジヒドロチアゾロピリジル、イソチアゾロピリジル、イミダゾピリジル、オキソジヒドロイミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、オキソジヒドロピラゾロピリジル、チエノピリミジニル、クロマニル、クロマノニル、ベンゾピラニル、クロモニル、キノリル、イソキノリル、ジヒドロキノリル、オキソジヒドロキノリニルキノリル、テトラヒドロキノリル、オキソテトラヒドロキノリニル、ベンゾジオキサニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、テトラヒドロカルバゾリル、オキソテトラヒドロカルバゾリル、ピリドインドリル、アクリジニル、オキソジヒドロアクリジニル、フェノチアジニル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、オキソジヒドロジベンゾオキセピニル、ベンゾシクロヘプタチエニル、オキソベンゾシクロヘプタチエニル、ジヒドロチエノベンゾチエピニル、オキソジヒドロチエノベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、オキソジヒドロジベンゾチエピニル、オクタヒドロジベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾアゼピニル、オクタヒドロジベンゾアゼピニル、ベンゾシクロヘプタピリジル、オキソベンゾシクロヘプタピリジル、ジヒドロピリドベンゾジアゼピニル、ジヒドロジベンゾオキサゼピニル、ジヒドロピリドベンゾオキセピニル、ジヒドロピリドベンゾオキサゼピニル、オキソジヒドロピリドベンゾオキサゼピニル、ジヒドロジベンゾチアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾチアゼピニル、ジヒドロピリドベンゾチアゼピニル、およびオキソジヒドロピリドベンゾチアゼピニルよりなる群、
R13は、R12と同じ意味を有し、但し、それとは独立して選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、インダニル、インデニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、クロマニル、キノリル、およびテトラヒドロキノリルよりなる群、
G2は、下記残基から選ばれ、
【0039】
【化6】
【0040】
式中、置換基R12およびR14は上記の意味を有するか、或いは
−NR12R14基は、下記の群から選ばれた、窒素原子上で結合している窒素含有複素環であり:
・アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、(1H)−テトラヒドロピリジン、ヘキサヒドロアゼピン、(1H)−テトラヒドロアゼピン、オクタヒドロアゾシン、ピラゾリジン、ピペラジン、ヘキサヒドロジアゼピン、モルホリン、ヘキサヒドロオキサゼピン、チオモルホリン、チオモルホリン−1,1−ジオキシド、5−アザビシクロ[2.1.1]ヘキサン、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2−アザビシクロ[2.2.2]オクタン、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン、インドリン、イソインドリン、(1H)−ジヒドロキノリン、(1H)−テトラヒドロキノリン、(2H)−テトラヒドロイソキノリン、(1H)−テトラヒドロキノキサリン、(4H)−ジヒドロベンゾオキサジン、(4H)−ジヒドロベンゾチアジン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[b]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]オキサゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]チアゼピン、1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4−b]インドール、(10H)−ジヒドロアクリジン、1,2,3,4−テトラヒドロアクリダノン、(10H)−フェノキサジン、(10H)−フェノチアジン、(5H)−ジベンゾアゼピン、(5H)−ジヒドロジベンゾアゼピン、(5H)−オクタヒドロジベンゾアゼピン、(5H)−ジヒドロジベンゾジアゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキサゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]チアゼピン、(10H)−ジヒドロジベンゾ[b,f]オキサゼピン、(10H)−ジヒドロジベンゾ[b,f]チアゼピンおよび(5H)−テトラヒドロジベンゾアゾシンよりなる群、
G3は、残基:−SO2−(CH2)rR12 (G3) であり、
G4は、次式で示される残基であり
【0041】
【化7】
【0042】
式中、
Ar1およびAr2は、互いに独立してフェニル、ピリジルおよびナフチルから選ばれ、
G5は、残基:−COR15 (G5) であり、ここで、
R15は、トリフルオロメチル、C1〜C6アルコキシ、C3〜C6アルケニルオキシおよびベンジルオキシから選ばれ、
ここで、芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、環または環系の隣接する2つの基は、場合によりメチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよい。
【0043】
さらに好ましい態様において、前記阻害剤は下記のとおりの一般式(I)で示される化合物である:
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、メトキシ、およびメトキシカルボニルから選ばれ、
R2は、水素またはハロゲンであり、
R3は、水素であり、
R4は、水素、C1〜C3アルキルおよびヒドロキシから選ばれ、
kは、0または1であり、
Aは、場合によりヒドロキシもしくはフッ素により1〜2回置換されていてもよいC2〜C6アルケニレン;場合により1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいC4〜C6アルカジエニレン;ならびに1,3,5−ヘキサトリエニレンから選ばれ、
Dは、場合によりメチルもしくはヒドロキシにより置換されていてもよいC2〜C8アルキレン;場合によりメチルもしくはヒドロキシにより置換されていてもよいC2〜C8アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい);ならびに1〜3個のメチレン単位がO、NH、N(CH3)、N(COCH3)、N(SO2CH3)もしくはCOにより等配電子的に置換されているC2〜C8アルキレンおよびC2〜C8アルケニレンよりなる群、から選ばれ、
Eは、下記残基から選ばれ、
【0044】
【化8】
【0045】
ここで上記式中の複素環は場合により1個の二重結合を有していてもよく、
nおよびpは、互いに独立して0、1、2または3であり、但し、n+p≦3であり、
qは、1または2であり、
R10は、水素、メチルおよびヒドロキシルから選ばれ、
R11は、水素または該窒素原子に隣接したオキソ基であり、
Gは、水素、C3〜C8シクロアルキル、メトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、ジフェニルホスフィノイル、ならびに下記残基から選ばれ:
【0046】
【化9】
【0047】
ここで、
rは0、1または2であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、インダニル、インデニル、オキソインダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、オキソテトラヒドロナフチル、フルオレニル、オキソフルオレニル、アントリル、ジヒドロアントリル、オキソジヒドロアントリル、ジオキソジヒドロアントリル、ジベンゾシクロヘプテニル、オキソジベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、およびオキソジヒドロジベンゾシクロヘプテニルよりなる群、ならびに
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾフリル、ジヒドロベンゾフリル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、オキソインドリニル、ジオキソインドリニル、ベンゾオキサゾリル、オキソベンゾオキサゾリニル、ベンゾイソオキサゾリル、オキソベンゾイソオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、オキソベンゾチアゾリニル、ベンゾイソチアゾリル、オキソベンゾイソチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、オキソベンゾイミダゾリニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、オキサゾロピリジル、オキソジヒドロオキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、オキソジヒドロチアゾロピリジル、イソチアゾロピリジル、イミダゾピリジル、オキソジヒドロイミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、チエノピリミジニル、クロマニル、クロマノニル、ベンゾピラニル、クロモニル、キノリル、イソキノリル、ジヒドロキノリル、オキソジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリル、オキソテトラヒドロキノリニル、ベンゾジオキサニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、テトラヒドロカルバゾリル、オキソテトラヒドロカルバゾリル、ピリドインドリル、アクリジニル、オキソジヒドロアクリジニル、フェノチアジニル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、ベンゾシクロヘプタチエニル、オキソベンゾシクロヘプタチエニル、ジヒドロチエノベンゾチエピニル、オキソジヒドロチエノベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、オキソジヒドロジベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾアゼピニル、オクタヒドロジベンゾアゼピニル、ベンゾシクロヘプタピリジル、オキソベンゾシクロヘプタピリジル、ジヒドロピリドベンゾオキセピニル、ジヒドロジベンゾチアゼピニル、およびオキソジヒドロジベンゾチアゼピニルよりなる群、
R13は、水素、メチル、ベンジルおよびフェニルから選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、ナフチル、フリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、クロマニル、キノリル、およびテトラヒドロキノリルよりなる群、
ここで、次式
【0048】
【化10】
【0049】
における−NR12R14は、場合により、ピロリジン、ピペリジン、(1H)−テトラヒドロピリジン、ヘキサヒドロアゼピン、オクタヒドロアゾシン、ピペラジン、ヘキサヒドロジアゼピン、モルホリン、ヘキサヒドロオキサゼピン、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、インドリン、イソインドリン、(1H)−ジヒドロキノリン、(1H)−テトラヒドロキノリン、(2H)−テトラヒドロイソキノリン、(1H)−テトラヒドロキノキサリン、(4H)−ジヒドロベンゾオキサジン、(4H)−ジヒドロベンゾチアジン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[b]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]オキサゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]チアゼピン、1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4−b]インドール、(10H)−ジヒドロアクリジン、1,2,3,4−テトラヒドロアクリダノン、(5H)−ジヒドロジベンゾアゼピン、(5H)−ジヒドロジベンゾジアゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキサゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]チアゼピン、(10H)−ジヒドロジベンゾ[b,f]オキサゼピン、および(5H)−テトラヒドロジベンザゾシンから選ばれてもよい。
【0050】
本発明に係るより一層好ましい態様において、前記阻害剤は下記のとおりの一般式(I)で示される化合物である:
R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、
R2およびR3は、水素であり、
R4は、水素またはヒドロキシであり、
kは、0または1であり、
Aは、場合によりフッ素で置換されていてもよいC2〜C4アルケニレンであり、
Dは、C2〜C6アルキレン;C2〜C6アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい);ならびに1個のメチレン単位がO、NH、N(CH3)もしくはCOで等配電子的に置換されているか、1個のエチレン基がNH−COもしくはCO−NHで等配電子的に置換されているか、もしくは1個のプロピレン基がNH−CO−OもしくはO−CO−NHで等配電子的に置換されているC2〜C6アルキレンおよびC2〜C6アルケニレンよりなる群から選ばれ、
Eは、ピロリジン、ピペリジン、1,2,5,6−テトラヒドロピリジン、ヘキサヒドロアゼピン、モルホリンおよびヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピンから選ばれ、ここでこれらの複素環は場合により該窒素原子に隣接したオキソ基により置換されていてもよく
Gは、水素、tert−ブトキシカルボニル、ジフェニルホスフィノイル、ならびに下記残基の1つから選ばれ:
【0051】
【化11】
【0052】
ここで、
rは0または1であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、インデニル、オキソインダニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル、オキソフルオレニル、アントリル、ジヒドロアントリル、オキソジヒドロアントリル、ジオキソジヒドロアントリル、ジベンゾシクロヘプテニル、およびジヒドロジベンゾシクロヘプテニルよりなる群、ならびに
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、フリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、オキソインドリニル、ジオキソインドリニル、ベンゾオキサゾリル、オキソベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、オキソベンゾチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、オキソベンゾイミダゾリニル、ベンゾフラザニル、ベンゾトリアゾリル、オキサゾロピリジル、オキソジヒドロオキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、オキソジヒドロチアゾロピリジル、クロマニル、クロマノニル、ベンゾピラニル、クロモニル、キノリル、イソキノリル、オキソジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリル、オキソテトラヒドロキノリニル、ベンゾジオキサニル、キナゾリニル、アクリジニル、オキソジヒドロアクリジニル、フェノチアジニル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、ベンゾシクロヘプタチエニル、ジヒドロチエノベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、オキソジヒドロジベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾアゼピニル、オクタヒドロジベンゾアゼピニル、ベンゾシクロヘプタピリジル、オキソベンゾシクロヘプタピリジルおよびジヒドロジベンゾチアゼピニルよりなる群、
R13は、水素、メチル、ベンジルおよびフェニルから選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、ナフチル、フリル、チエニル、ピリジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、クロマニル、キノリル、およびテトラヒドロキノリルよりなる群、
ここで、次式
【0053】
【化12】
【0054】
における−NR12R14は、場合により、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサヒドロアゼピン、モルホリン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、インドリン、イソインドリン、(1H)−ジヒドロキノリン、(1H)−テトラヒドロキノリン、(2H)−テトラヒドロイソキノリン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[b]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]オキサゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]チアゼピン、1,2,3,4−テトラヒドロアクリダノン、(5H)−ジヒドロジベンゾアゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキサゼピンおよび(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]チアゼピンから選ばれてもよく、
ここで、芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、芳香環または環系の隣接する2つの基は、場合によりメチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよい。
【0055】
本発明に係る特に好ましい態様は次の通りの一般式(I)で示される化合物に関する:
R1は、水素、フッ素、メチル、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、
R2およびR3は、水素であり、
R4は、水素またはヒドロキシであり、
kは、0であり、
Aは、エテニレンまたは1,3−ブタジエニレンであり、
Dは、C2〜C6アルキレンまたはC2〜C6アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい)であり、
Eは、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサヒドロアゼピンおよびモルホリンから選ばれ、
Gは、ベンジル、フェネチル、フルオレニルメチル、アントリルメチル、ジフェニルメチル、フルオレニル、ジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、フリルメチル、チエニルメチル、チアゾリルメチル、ピリジルメチル、ベンゾチエニルメチル、キノリルメチル、フェニル−チエニルメチル、フェニル−ピリジルメチル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、アセチル、ピバロイル、フェニルアセチル、ジフェニルアセチル、ジフェニルプロピオニル、ナフチルアセチル、ベンゾイル、ナフトイル、アントリルカルボニル、オキソフルオレニルカルボニル、オキソジヒドロアントリルカルボニル、ジオキソジヒドロアントリルカルボニル、フロイル、ピリジルカルボニル、クロモニルカルボニル、キノリルカルボニル、ナフチルアミノカルボニル、ジベンジルアミノカルボニル、ベンジルフェニルアミノカルボニル、ジフェニルアミノカルボニル、インドリニル−1−カルボニル、ジヒドロジベンゾアゼピン−N−カルボニル、テトラヒドロキノリニル−N−カルボニル、テトラヒドロベンゾ[b]アゼピニル−N−カルボニル、メタンスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル、ナフチルスルホニル、キノリンスルホニル、およびジフェニルホスフィノイルから選ばれ、
ここで、芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、環または環系の隣接する2つの基は、場合によりメチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよい。
【0056】
本発明の例示として、それぞれの置換基の定義を満たす一連の化合物の例を次の表に列挙する。
【0057】
【表1−1】
【0058】
【表1−2】
【0059】
【表1−3】
【0060】
【表1−4】
【0061】
【表1−5】
【0062】
【表1−6】
【0063】
【表1−7】
【0064】
【表1−8】
【0065】
【表1−9】
【0066】
【表1−10】
【0067】
【表1−11】
【0068】
【表1−12】
【0069】
【表1−13】
【0070】
【表1−14】
【0071】
【表1−15】
【0072】
【表1−16】
【0073】
【表1−17】
【0074】
【表1−18】
【0075】
【表1−19】
【0076】
【表1−20】
【0077】
【表1−21】
【0078】
【表1−22】
【0079】
【表1−23】
【0080】
【表1−24】
【0081】
【表1−25】
【0082】
【表1−26】
【0083】
【表1−27】
【0084】
【表1−28】
【0085】
【表1−29】
【0086】
【表1−30】
【0087】
より好ましくは、本阻害剤は(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドである。
合成法は例えばEP0923570に記載されている。
【0088】
1好適態様において、本発明は慢性関節リウマチの治療用薬剤の製造に対する上記阻害剤の使用に関する。
有利には、本発明は、慢性関節リウマチの治療用薬剤の製造への(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドの使用に関する。
【0089】
1好適態様において、本発明はエンドトキシン(内毒素)血症の治療用薬剤の製造に対する上記阻害剤の使用に関する。
有利には、本発明は、エンドトキシン血症の治療用薬剤の製造への(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドの使用に関する。
【0090】
さらに、本発明は、有効量のニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤を使用した炎症性疾患の治療用薬剤の製造方法にも関する。
本発明に係る方法において、該阻害剤は好ましくは酵素ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼの競合的または非競合的阻害剤である。
【0091】
好ましくは、該阻害剤は上述した化合物である。
より好ましくは、該阻害剤は(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドである。
【0092】
第1の態様において、該薬剤は慢性関節リウマチの治療用である。
第2の態様において、該薬剤はエンドトキシン血症の治療用である。
本発明に係る方法において、有効量の本阻害剤が、症状の持続した改善を引き出すのに十分な量および時間で患者に投与されうる。
【0093】
本発明によると、阻害剤の投与量範囲は、投与経路ならびに患者の状態(年齢、性別、体重、疾患の程度など)により変動しうる。理想的には、用量範囲は1〜100mg/kg体重/日の範囲内となろう。
【0094】
上記薬剤の製造方法において、治療有効量の本発明に係る阻害剤を少なくとも1種の薬剤に許容される担体と共に含有する薬剤組成物を、自体公知の方法により製造することができ、該組成物は、ヒトを含む哺乳動物への経口もしくは直腸のような経腸投与、または腸管外投与に適したものとする。
【0095】
経口剤形用の組成物の製造においては、任意の慣用の製薬用媒体を採用しうる。例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、香料、保存料、着色料などを用いて懸濁液剤、エリキシル剤および溶液剤などの経口液状製剤を形成することができる。一方、散剤、カプセル剤、および錠剤のような経口固体剤形を形成するには、でんぷん、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を使用しうる。投与の容易さの理由で、錠剤およびカプセル剤が好ましい経口剤形単位であり、その場合には固体製薬用担体が採用される。場合により、錠剤は標準的な水性または非水性の方法により被覆してもよい。
【0096】
本発明の組成物を含有する錠剤は、場合により1種または2種以上の補助成分または佐剤と共に圧縮または型成形することにより製造されうる。
圧縮錠剤は、適当な機械の中で、粉末または顆粒のような易流動性形態の配合成分を、場合により結合剤、滑剤、不活性希釈剤、界面活性もしくは分散剤などと混合して圧縮することにより製造することができる。型成形錠剤(湿製錠剤)は、不活性液体希釈剤により湿らせた粉末化合物の混合物を適当な機械で型成形することにより製造することができる。各錠剤は好ましくは約10mgから約2gまでの配合成分を含有し、各カシェ剤もしくはカプセル剤は好ましくは約10mgから約2gまでの配合成分を含有する。
【0097】
非経口(腸管外)投与に適した薬剤組成物は、配合成分の水中での溶液剤または懸濁液剤として製造することができる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどの適当な界面活性剤を含有させてもよい。グリセロール、液状ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびそれらの混合物(油中)中で分散液を製造することもできる。また、有害な微生物の増殖を防止するために保存料(防腐剤)を含有させてもよい。
【0098】
注射用に適した薬剤組成物としては、滅菌水溶液剤または分散液剤が挙げられる。さらに、本組成物は、このような滅菌注射用溶液剤または分散液剤の即時調製用の滅菌粉末の形態とすることもできる。いずれの場合も、最終的な注射液形態は、無菌で、かつ注射器で容易に使用できるように実質的に流体でなければならない。この薬剤組成物は、製造および保存条件下で安定でなければならず、従って、好ましくは細菌および真菌のような微生物の汚染作用から防護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例、グリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコール)、植物油、およびそれらの適当な混合物を包含する、溶媒または分散媒でよい。
【0099】
本発明はまた、少なくとも有効量のニコチンアミドアデニルジヌクレオチドの生成阻害剤を、炎症性疾患の治療に使用するための印刷された使用説明書と共に含んでいる薬剤キットにも関する。
【0100】
本発明に係る薬剤キットでは、ニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤は好ましくは上述した化合物である。
本発明に係る薬剤キットにおいて、ニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤は好ましくは(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドである。
【0101】
第1の態様において、本発明の薬剤キットは慢性関節リウマチの治療用の印刷された使用説明書を含んでいる。
第2の態様において、本発明の薬剤キットはエンドトキシン血症の治療用の印刷された使用説明書を含んでいる。
【0102】
本発明に係る薬剤キットは、少なくとも該阻害剤を収容した容器を含んでいてもよい。好適態様において、本キット容器はさらに薬剤に許容される担体を含んでいてもよい。本キットはさらに滅菌希釈剤を含んでいてもよいが、それは別の追加容器内で保管する方が好ましい。
【0103】
最後に、本発明は、有効量のニコチンアミドアデニルジヌクレオチドの生成阻害剤を個体に投与することを含む、炎症性疾患の治療方法に関する。
好ましくは、本発明は使用する阻害剤が酵素ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼの非競合的または競合的阻害剤である炎症性疾患の治療方法に関する。
【0104】
より好ましくは、本発明は、使用する阻害剤が上述した化合物である炎症性疾患の治療方法に関する。
第1の側面では、本発明は慢性関節リウマチの治療方法に関する。
【0105】
第2の側面では、本発明はエンドトキシン血症の治療方法に関する。
本発明は以下の実験の詳細に関する説明からよりよく理解されよう。しかし、当業者であれば、そこに説明した特定の方法および結果は、その後に続く特許請求の範囲により詳しく記載された本発明の単なる例示にすぎず、いかなる意味でも本発明をそれに制限するものではないことは容易に理解しよう。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】細胞のNADレベルと炎症促進性(pro-inflammatory)サイトカイン分泌との間の直接的関係。 ヒト単球性細胞株THP−1を、NADの前駆体であるニコチン酸(NA)の異なる量の存在下で一晩培養した後、グラム陰性菌由来のリポ多糖(LPS)で2時間刺激した。細胞上清をELISAにより腫瘍壊死因子(TNF)含有量について試験し、NADの細胞内プールを酵素分析により測定した。
【0107】
【図2】NMPRTの競合的阻害剤FK866はLPSに反応した炎症細胞内の炎症促進性サイトカイン産生を阻害する。 ヒト単球性細胞株THP−1、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、ヒト単球由来樹状細胞、またはマウス腹腔マクロファージを単離し、増大する量(実験ごとに量を増やした)FK866と共に一晩培養した後、LPSで6時間刺激した。培養物の上清をTNFおよびIL−6含有量についてELISAにより試験した。
【0108】
【図3】FK866は転写後レベルでのTNFαの分泌を阻害する。 マウスRAW264.7細胞株をFK866(図中、APO866)の存在下でLPSにより刺激した。TNFタンパク質濃度をELISAにより定量し(上段グラフ)、mRNAレベルをRT−PCRにより定量した(下段グラフ)。
【0109】
【図4】FK866はヒト樹状細胞の炎症促進性サイトカインTNFα、IL−12およびIL−23の分泌を阻害する。 ヒト樹状細胞(5名の異なるドナーからの平均及びSD)を20nMのFK866と共にインキュベーションしてから、LPSまたはLPS+IFNγで刺激した。上清の炎症促進性サイトカインレベルを16時間の培養後にELISAにより測定した。
【0110】
【図5】細胞における炎症促進性サイトカイン分泌とNADレベルとの相関関係 (A)マウスマクロファージ細胞株RAW264.7を増大する量のFK866と共に一晩培養した後、LPSにより2時間刺激した。培養物の上清をTNF含有量についてELISAにより試験し、細胞内NADレベルを酵素分析により測定した。 (B)RAW264.7細胞をFK866の存在下で一晩培養し、NADの細胞内プールを、該細胞をニコチン酸(NA)と共培養することにより回復させた。次いで、細胞をLPSで2時間刺激し、培養物の上清をTNF含有量についてELISAにより試験した。 (C)RAW264.7細胞をFK866の存在下で一晩培養し、細胞外NADの存在下で該細胞を培養することによりNADレベルを維持した。次いで、細胞をLPSで2時間刺激し、培養物の上清をTNF含有量についてELISAにより試験した。
【0111】
【図6】細胞内NADレベルの低下により誘導した炎症促進性サイトカイン分泌の阻害はアポトーシス誘導によるものではない。 (A)ヒトPBMCを単離し、増大する量のFK866と共に一晩培養した後、LPSで6時間刺激した。この培養の終了後、MTT(臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム)分析を用いて細胞生存率を評価した。 (B)ヒト単球由来樹状細胞を単離し、増大する量のFK866と共に一晩培養した後、LPSで6時間刺激した。この培養の終了後に、アネキシンVおよびヨウ化プロピジウム(PI)染色により細胞の残存率を測定した。
【0112】
【図7】ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は、FK866の細胞内レベルおよびTNFα分泌への阻害作用を復帰させる。 THP−1細胞を10nMのFK866および変化させた量のNMNの存在下でインキュベーションした。細胞をさらにLPSで刺激し、標準的な分析法を用いて細胞内NADレベルおよびTNFα分泌を求めた。
【0113】
【図8】コラーゲン誘導慢性関節リウマチ(RA)の実験マウスモデルにおけるFK866治療後のRAの疾患重症度の低減 8〜10週齢の雄性DBA/1マウスを、5mg/mlの結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を含有する完全フロイントアジュバント中に乳化させた天然II型コラーゲン(CII)100μgを用いて尾部根元での皮内経路により免疫した。21日後、マウスの追加免疫を、不完全フロイントアジュバント中コラーゲン100μgにより尾部根元での皮内経路により実施した。最初の免疫から数えて15日目以降、臨床的な関節炎の発症についてマウスを毎日検査する。関節炎の重症度は次の3点スケールでのスコアにより評価する:0=正常な見かけ、1=軽い腫脹及び/若しくは紅斑、2=顕著な腫脹および紅斑、3=関節硬直。四肢すべての評点をつけるので、動物あたりの最大臨床スコアは12点となる。FK866による治療は、CIA(コラーゲン誘導関節炎)が臨床的に検出可能(臨床スコア≧1)になった日から合計15日間、毎日2回の10mg/kgの腹腔内投与により行った。値は各群10匹ずつでの臨床スコアの±標準誤差(s.e.m.)である。
【0114】
【図9】コラーゲン誘導関節炎におけるNAMPT(ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ)発現の誘導 14日目のCIAマウス(n=8)および関節炎ではなく、免疫を受けていない自然(未処置)マウス(n=7)からの血清(a)および前足(paw)の組織抽出物(b)を準備し、NAMPT ELISAにより分析した。*P<0.05:グラフaおよびbにおける自然マウスに対する関節炎マウス
【0115】
【図10】定着化した関節炎に及ぼすNAMPT阻害の臨床、組織学的および生化学的作用 (a)FK866の用量反応効果:試験マウスを2、5または10mg/kgのFK866で(各群ともn=10)で15日間毎日2回のip(腹腔内)投与により治療した。プラシーボのマウス(n=10)はビヒクル(賦形剤)のみを投与された。 (b)15日間にわたる、1日2回の10mg/kg−FK866のip投与または3日おきの15mg/kgの治療薬エタネルセプト(etanercept)の投与を受けたCIAマウス(各群n=10)の関節炎の重症度。マウス群を二方向ANOVA(分散分析)により比較した。*P<0.05:グラフaおよびbにおいてプラシーボに対するFK866またはエタネルセプト。
【0116】
試験マウス(n=20)を臨床での関節炎の徴候(臨床スコア>1)が現れた最初の日から始めて14日間、10mg/kgのFK866で1日に2回ip治療した。プラシーボのマウス(n=20)はビヒクルのみを投与された。両群の動物を、それらの臨床スコアおよび体重の変化に関して、二方向ANOVAを用いた統計解析により比較した(d)。炎症性浸潤および滑膜過形成(肥厚)を評価するため、4点(0〜3)スコアシステムを用いて膝関節切開部についての半定量的組織学的評価を実施した。(c)循環系SAA(血清アミロイドAタンパク質)レベル:14日目のプラシーボおよびFK866治療CIAマウス(それぞれn=8およびn=7)からの血清を準備し、製造業者の指示に従ってSAA ELISAにより分析した。
【0117】
【図11】FK866はin vivoで炎症細胞の細胞内NADを減少させる。 PEC(腹腔滲出細胞)を誘発させるためにマウスをチオグリコレートで処置し、次いでip注射により10mg/kgのFK866を投与した。異なる経過時点後にPECを洗浄法により取得し、細胞内NADを求めた。データは1群あたり3匹のマウスでの平均+sem(標準誤差)である。
【0118】
【図12】FK866はLPS攻撃後のTNFα産生を阻害する。 PEC(腹腔滲出細胞)を誘発させるためにマウスをチオグリコレートで処置し、次いでLPSによるip攻撃の7時間前に、ip注射により10mg/kgのFK866またはプラシーボを投与した。各群3匹ずつでの90分での平均血清TNFα+semを示す。PECを洗浄法により取得し、細胞内NADを求めた。データは1群あたり3匹のマウスでの平均+semである。
【実施例】
【0119】
(実施例1)
本例は、細胞のNADレベルと炎症促進性サイトカイン分泌との間の直接的関係を例示する。ヒト単球性細胞株THP−1を、NADの前駆体であるニコチン酸(NA)の存在下で一晩培養した後、グラム陰性菌由来のリポ多糖(LPS)で2時間刺激した。細胞上清をELISAにより腫瘍壊死因子(TNF)含有量について試験し、またNADの細胞内プールを酵素分析により測定した。図1は、ニコチン酸の存在下において、TNF分泌とNADレベルが用量依存性の関係で平行して増大したことを示している。
【0120】
(実施例2)
本例は、NMPRTの競合的小分子量化合物阻害剤[(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、FK866と命名]による炎症促進性サイトカイン産生の阻害を説明する。ヒト単球細胞株THP−1、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、ヒト単球由来樹状細胞、またはマウス腹腔マクロファージを単離し、少しずつ増やした量のFK866と共に一晩培養した後、LPSで6時間刺激した。培養物の上清をTNFおよびIL−6含有量についてELISAにより試験した。図2は、FK866が、試験したすべての炎症細胞において用量依存性の関係でサイトカイン分泌を阻害したことを示す。
【0121】
(実施例3)
本例は、FK866(図中ではAPO866)が転写後レベルでのTNFαの分泌を阻害することを例示する。マウスRAW264.7細胞株を異なる量のFK866の存在下で培養し、微生物産生物により刺激し、上清中に放出されたTNFαレベルをELISAにより評価した。図3に示すように、FK866はこの実験の設定でTNFα分泌を強力に阻害した。FK866はTNFα mRNAレベルには顕著な影響を与えなかった。このことは、細胞内NADがTNFα mRNAの転写効率を調節していることを示す。
【0122】
(実施例4)
本例は、FK866による、TNFα、IL−1βおよびIL−6以外の他の炎症促進性サイトカイン産生の阻害を説明する。5名の異なるドナーからのヒト樹状細胞をFK866と共に培養してから、LPSまたはLPS+IFNγによって刺激した。培養物上清を、TNFα、IL−12(p40およびp70)、ならびにIL−23含有量についてELISAにより試験した。図4は、FK866がTNFα(本出願で説明するように)ならびにIL−12およびIL−23産生を阻害したことを示している。
【0123】
(実施例5)
本例は、細胞における炎症促進性サイトカイン分泌とNADとの相関関係を例示する。マウスマクロファージ細胞株RAW264.7を、少しずつ増やした量のFK866と共に一晩培養した後、LPSにより2時間刺激した。培養物の上清をTNF含有量についてELISAにより試験し、細胞内NADレベルを酵素分析により測定した。図5Aは、TNF産生の阻害が細胞内NADレベルの阻害と相関したことを示している。
【0124】
別の実験では、RAW264.7細胞をFK866の存在下で一晩培養し、NADの細胞内プールを、該細胞をニコチン酸(NA)と共培養することにより回復させた。ニコチン酸はNADの前駆体であるが、そのNADへの変換はNMPRTには依存せず、従ってFK866により阻害されない。細胞を次いでLPSで2時間刺激し、培養物の上清をTNF含有量についてELISAにより試験した。図5Bは、ニコチン酸の添加が、FK866の存在下でもNADの高レベルを維持したことを示している。TNFの合成も回復された。これは細胞内NADレベルと炎症促進性サイトカイン分泌との間の直接的な関係を示している。
【0125】
別の実験では、RAW264.7細胞をFK866の存在下で一晩培養し、細胞外NADの存在下で該細胞を培養することによりNADレベルを維持した。次いで、細胞をLPSで2時間刺激し、培養物の上清をTNF含有量についてELISAにより試験した。図5Cは、NADレベルがFK866の存在下でも高いまま維持され、TNF合成が回復したことを示している。
【0126】
(実施例6)
本例は、細胞内NADレベルの低下により誘導した炎症促進性サイトカイン分泌の阻害はアポトーシス誘導によるものではないことを例示する。ヒトPBMCを単離し、少しずつ増やした量のFK866と共に一晩培養した後、LPSで6時間刺激した。この培養の最後に、MTT(臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム)分析を用いて細胞生存率を評価した。図6Aは、細胞生存率がFK866により影響されなかったことを示している。
【0127】
別の実験では、ヒト単球由来樹状細胞を単離し、少しずつ増やした量のFK866と共に一晩培養した後、LPSで6時間刺激した。この培養の最後に、アネキシンVおよびヨウ化プロピジウム(PI)染色により細胞の残存率を測定したところ、未処置の細胞に比べたFK866で処置された細胞の残存率の差異は何ら認められなかった(図6B)。これは、NADおよび炎症促進性サイトカイン分泌の阻害が、単に細胞死の誘導によるものではないことを示している。
【0128】
(実施例7)
本例は、NAMPT(=NMPRT)がFK866の唯一の分子標的であることを例示する。ヒトTHP−1単球性細胞株を培地またはFK866の存在下で培養し、LPSで刺激した。NAMPT触媒反応の産生物であるニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の添加は、FK866への連続的な露出にもかかわらず、細胞内NADレベルおよびTNFα産生の両方を回復させた(図7)。NMNがその効果を発揮する根源的な作用機序は、NMNATにより触媒されるNMNからNADへの変換によるNAD生成に結びつけられる。これらの結果は、FK866の作用の特異性およびTNFα分泌調節における細胞内NADの役割の両方を確認するものである。
【0129】
(実施例8)
本例は、コラーゲン誘導慢性関節リウマチ(RA)の実験マウスモデルにおいてFK866治療後にRAの疾患重症度が低減することを説明する。RAは、関節の慢性炎症からその破壊に至ることを特徴とする自己免疫疾患である。炎症促進性サイトカインは、本疾患の進行および維持に主要な役割を果たし、RAの症状緩和のためにTNFまたはIL−1をブロック(遮断)することは現在では臨床処置法として確立している。8〜10週齢の雄性DBA/1マウスを、5mg/mlの結核菌を含有する完全フロイントアジュバント中に乳化させた天然II型コラーゲン(CII)100μgを用いて尾部根元での皮内投与により免疫した。21日後、マウスの追加免疫を、不完全フロイントアジュバント中コラーゲン100μgにより尾部根元での皮内投与により実施した。最初の免疫から数えて15日目以降、臨床的な関節炎の発症についてマウスを毎日検査する。関節炎の重症度は次の3点スケールでのスコアにより評価する:0=正常な見かけ、1=軽い腫脹及び/若しくは紅斑、2=顕著な腫脹および紅斑、3=関節硬直。四肢すべての評点をつけるので、動物あたりの最大臨床スコアは12点となる。FK866による治療は、CIA(慢性関節リウマチ)が臨床的に検出可能(臨床スコア≧1)になった日から合計15日間、毎日2回の10mg/kgの腹腔内投与によって行った。図8に示した結果は、FK866がRAの動物モデルにおける関節炎の症状を改善することを示している。
【0130】
(実施例9)
本例は、FK866標的酵素NAMPTの発現がコラーゲン誘導関節炎(CIA)において上方調節(upregulate)されることを説明する。CIA時には、NAMPTレベルは、ELISAにより測定して、関節炎ではない自然の対照に比べて関節炎マウスからの血清および前足抽出物において有意に上昇した(それぞれ図9aおよびb)。これらの結果は、NAMPT免疫組織化学によっても支持された。実際、我々は、CIAからの関節炎に罹患した前足および膝関節では濃い染色を認めたが、自然マウスの関節炎に罹患していない関節の染色は著しく低減した。罹患関節では、NAMPT染色は、滑膜内層(SLL, synovial lining layer)、内膜下滑膜およびパンヌス(P)の滑膜細胞および一部の炎症細胞において顕著であった。血管の大部分も陽性であった。また、正常および関節炎の両方の関節においていくらかの陽性軟骨細胞が観察された。
【0131】
(実施例10)
本例は、FK866(図中ではAPO866)によるNAMPT阻害が、定着化したコラーゲン誘導関節炎(CIA)を軽減することを例示する。関節炎の最初の臨床症状の出現の翌日からFK866を投与し、投与を15日間続けた。FK866はCIAに対して用量依存性の著しい防護効果を示し、最大治療効果は10mg/kgを投与した時であった(図10a)。有益な効果は治療開始から10日以内に明らかとなり、活性はエタネルセプト(抗TNFα治療)と同等であった(図10b)。
【0132】
CIAに対するFK866の作用の阻害機序をより詳しく検討するため、最適用量のFK866を用いてCIA治療実験を繰り返し、より多くのパラメータを分析した。FK866治療マウスの前足は治療2週間後に最小の炎症症候しか示さなかったのに対し、プラシーボ治療マウスの前足はなお炎症状態であり、これは臨床評点にも反映していた。従って、これらのin vivo臨床観察は、観察された炎症がFK866治療群ではずっと少ないという膝および前足の組織学的結果と一致していた。プラシーボマウスとFK866治療マウスの膝関節を、炎症性浸潤および滑膜過形成(synovial hyperplasia)について評価した。組織学的切片では、プラシーボ治療の対照群に比べてFK866で治療されたマウスにおける炎症性浸潤および滑膜過形成が統計学的に有意な減少を示した。
【0133】
全身性炎症反応を反映する血清アミロイドAタンパク質(SAA)レベルは、FK866治療マウスでは減少した(図10c)。これはFK866投与の抗炎症効果をさらに示唆する。FK866によるCIAの改善に関係する考えられる分子機序としては、炎症促進性サイトカインの減少が考えられる。実験の最後に前足組織抽出物中の各種サイトカイン類の発現を調査した。TNFαは分析検出レベルを下回っていた。局部的に産生したIL−1βおよびIL−6は、FK866治療動物では有意に低減していた。MCP−1は減少し、最後に、IL−10分泌はFK866治療では未変化のままであった。
【0134】
マウスの体重はプラシーボ群とFK866治療群とで同等であったので、FK866による治療から生ずる毒性の徴候は認められなかった(図10d)。実際、FK866はよく許容され、治療群における早期の死は起こらず、この群における肝臓、脾臓、肺、腸、腎臓、鼠径リンパ節および脳の対応する組織検査は、対照動物と全く変わらなかった。また、アラニンアミノトランスフェラーゼの測定結果は、対照マウスに対してFK866治療マウスにおいても同等の低いレベルであったので、肝毒性の可能性も否定された。最後に、血液検査は治療マウスと対照マウスとの間の類似性を示した(表1)。
【0135】
【表1】
【0136】
FK866治療マウスがII型コラーゲンに対して十分な免疫反応を生じたことを検証するため、治療の最後(15日目)に全抗コラーゲンIgGレベルをELISAにより測定した。対照マウスとFK866治療マウスとの間に抗コラーゲンIgGレベルの有意な差は認められなかった[対照マウス:140±20.2任意単位(n=18)、治療マウス:106.5±17.6任意単位(n=15)]。
【0137】
まとめると、以上のデータは、定着化したCIAに対するFK866の上記の有益な効果は、毒性やコラーゲンIIに対する免疫反応の阻害に起因するものではなく、炎症性サイトカインの分泌の阻害に起因するものであることを示している。
【0138】
(実施例11)
本例は、FK866がin vivoで炎症細胞の細胞内NADレベルを減少させることを例示する。炎症細胞を誘発させるために、自然(未処置)マウスをチオグリコレートでip処置し、次いで10mg/kgのFK866をip投与した。腹腔滲出細胞(PEC)を処置後の異なる経過時点で洗浄法により取得し、細胞内NADをレベルを酵素分析を用いて求めた。図11は、FK866がin vivoでマクロファージ中の有意な時間依存性のNADレベル低減を誘導し、注射から9時間後に最小値に到達し、14時間前後に回復したことを示す。
【0139】
(実施例12)
本例は、NAMPT阻害がエンドトキシン血症時に循環系TNFαを低減させ、炎症細胞中の細胞内NAD減少と相関することを例示する。炎症細胞誘発させるために自然マウスをチオグリコレートでip処置し、次いでLPSによる腹腔内注射の7時間前に、プラシーボまたは10mg/kgのFK866(図中ではAPO866)またはプラシーボを用いてip処置した。血清TNFαレベルを評価するためにマウスを90分後に採血した。図12に示すように、FK866はプラシーボに比べて循環系TNFαレベルの有意な減少を誘導した。TNFα分泌の減少は、同じマウスから得られたPEC中の細胞内NADの有意な減少を伴っていた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤の、炎症性疾患治療用薬剤の製造への使用。
【請求項2】
前記阻害剤がニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素の非競合的または競合的阻害剤である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記阻害剤が下記一般式(I)で示される化合物である請求項1または2に記載の使用:
【化13】
式中、
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C4ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、ベンジルオキシ、C1〜C4アルカノイルオキシ、C1〜C4アルキルチオ、C2〜C5アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C3〜C9ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシ、フェニル、フェノキシ、ピリジルオキシおよびNR5R6よりなる群から選ばれ、ここで
R5およびR6は、互いに独立して水素およびC1〜C6アルキルから選ばれ、
R2は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、ここで
R1とR2とが隣接している場合、それらは、−(CH2)4−および−(CH=CH)2−および−CH2O−CR7R8−O−なる架橋要素の群から選ばれる架橋を場合により形成していてもよく、ここで
R7およびR8は、互いに独立して、水素またはC1〜C6アルキルであり、
R3は、水素、ハロゲンおよびC1〜C6アルキルから選ばれ、
R4は、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシおよびベンジルオキシから選ばれ、
kは、0または1であり、
Aは下記の群から選ばれ:
・場合によりC1〜C3アルキル、ヒドロキシ、フッ素、シアノもしくはフェニルにより1〜3回置換されていてもよい、C2〜C6アルケニレン、
・場合によりC1〜C3アルキル、フッ素、シアノもしくはフェニルにより1〜2回置換されていてもよい、C4〜C6アルカジエニレン、
・場合によりC1〜C3アルキル、フッ素もしくはシアノにより置換されていてもよい、1,3,5−ヘキサトリエニレン、ならびに
・エチニレン、
Dは下記の群から選ばれ:
・場合によりC1〜C3アルキルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよい、C1〜C10アルキレン、
・場合によりC1〜C3アルキルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよい、C2〜C10アルケニレン、ここで該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよく、
・場合によりC1〜C3アルキルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC3〜C10アルキニレン、ならびに
・1〜3個のメチレン単位がO、S、NR9、CO、SOもしくはSO2により等配電子的に置換されているC1〜C10アルキレン、C2〜C10アルケニレンおよびC3〜C10アルキニレンよりなる群、ここで
R9は、C1〜C3アルキル、C1〜C6アシルおよびメタンスルホニルから選ばれ、
Eは、下記から選ばれ、
【化14】
ここで上記式中の複素環は場合により1個の二重結合を有していてもよく、
nおよびpは、互いに独立して0、1、2または3であり、但し、n+p≦4であり、
qは、1または2であり、
R10は、水素、C1〜C3アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、カルボキシおよびC2〜C7アルコキシカルボニルから選ばれ、
R11は、水素または該窒素原子に隣接したオキソ基であり、
Gは、水素、G1、G2、G3、G4およびG5から選ばれ、ここで
G1は、残基:−(CH2)r−(CR13R14)s−R12 (G1) を表し、ここで
rは0、1または2であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、C3〜C6アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・N、SおよびOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含有し、直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで結合している、単環式芳香族5および6員複素環よりなる群、
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化炭素環式環系よりなる群、および
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、1〜3個の環原子がN、SおよびOから選ばれ、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化複素環式環系よりなる群、
R13は、R12と同じ意味を有し、但し、それとは独立して選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・N、SおよびOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含有し、直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで結合している、単環式芳香族5および6員複素環よりなる群、
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化炭素環式環系よりなる群、および
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、1〜3個の環原子がN、SおよびOから選ばれ、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化複素環式環系よりなる群、
G2は、下記残基から選ばれ、
【化15】
式中、置換基R12およびR14は上記の意味を有するか、或いは
−NR12R14基は、下記の群から選ばれた、窒素原子上で結合している窒素含有複素環であり:
・必須の窒素原子の他に、場合によりN、SおよびOから選ばれた1または2個のヘテロ原子をさらに含有していてもよい、飽和および不飽和の単環式4〜8員複素環の群、ならびに
・必須の窒素原子の他に、場合によりN、SおよびOから選ばれた1または2個のヘテロ原子をさらに含有していてもよい、環原子数が8〜16の飽和および不飽和の二もしくは三環式の環化型もしくは架橋型の複素環の群、
G3は、残基:−SO2−(CH2)rR12 (G3) を表し、
G4は、次式で示される残基であり
【化16】
式中、
Ar1およびAr2は、互いに独立してフェニル、ピリジルおよびナフチルから選ばれ、
G5は、残基:−COR15 (G5) であり、ここで、
R15は、トリフルオロメチル、C1〜C6アルコキシ、C3〜C6アルケニルオキシおよびベンジルオキシから選ばれ、
ここで、置換基R1、R2、R4、R12、R13、R14、R15、Ar1およびAr2中、ならびに環系−NR12R14中における芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ(該アルコキシ基は場合により完全にもしくは部分的にフッ素で置換されていてもよい)、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基を有していてもよく、ここで、芳香環または環系の隣接する2つの基は、場合により、メチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよく、
複素環または環化された環系における遊離ヒドロキシ、メルカプトおよび/もしくはアミノ基による置換の場合の互変異性体、
立体異性体ならびに/またはそれらの混合物、ならびに、(E)−3−(3−ピリジル)−N−[2−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)エチル]−2−プロペンアミド塩酸塩を除いた薬理学的に許容される酸付加塩。
【請求項4】
式中の各基が次の通りである請求項3に記載の使用:
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、エチルチオ、メトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、アミノカルボニル、カルボキシ、およびフェノキシから選ばれ、
R2は、水素、ハロゲン、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、
R3は、水素またはハロゲンであり、
R4は、水素、C1〜C3アルキル、ヒドロキシおよびC1〜C3アルコキシから選ばれ、
kは、0または1であり、
Aは、場合によりC1〜C3アルキル、ヒドロキシもしくはフッ素により1〜2回置換されていてもよいC2〜C6アルケニレン;場合によりC1〜C3アルキルまたは1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいC4〜C6アルカジエニレン;ならびに場合によりフッ素により置換されていてもよい1,3,5−ヘキサトリエニレンから選ばれ、
Dは、場合によりメチルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC1〜C8アルキレン;場合によりメチルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC2〜C8アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい);場合によりメチルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC3〜C8アルキニレン;ならびに1〜3個のメチレン単位がO、S、NH、N(CH3)、N(COCH3)、N(SO2CH3)、CO、SOもしくはSO2により等配電子的に置換されているC1〜C8アルキレン、C2〜C8アルケニレンおよびC3〜C8アルキニレンよりなる群から選ばれ、
Eは、下記から選ばれ、
【化17】
ここで上記式中の複素環は場合により1個の二重結合を有していてもよく、
nおよびpは、互いに独立して0、1、2または3であり、但し、n+p≦3であり、
qは、1または2であり、
R10は、水素、C1〜C3アルキル、ヒドロキシおよびヒドロキシメチルから選ばれ、
R11は、水素または該窒素原子に隣接したオキソ基であり、
Gは、水素、G1、G2、G3、G4およびG5から選ばれ、ここで
G1は、残基:−(CH2)r−(CR13R14)s−R12 (G1) を表し、ここで
rは0、1または2であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C8シクロアルキル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、ベンゾシクロブチル、インダニル、インデニル、オキソインダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、オキソテトラヒドロナフチル、ビエフェニレニル、フルオレニル、オキソフルオレニル、アントリル、ジヒドロアントリル、オキソジヒドロアントリル、ジオキソジヒドロアントリル、フェナントリル、ジヒドロフェナントリル、オキソジヒドロフェナントリル、ジベンゾシクロヘプテニル、オキソジベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、オキソジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロジベンゾシクロオクテニル、テトラヒドロジベンゾシクロオクテニル、およびオキソテトラヒドロジベンゾシクロオクテニルよりなる群、および
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾフリル、ジヒドロベンゾフリル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、オキソインドリニル、ジオキソインドリニル、ベンゾオキサゾリル、オキソベンゾオキサゾリニル、ベンゾイソオキサゾリル、オキソベンゾイソオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、オキソベンゾチアゾリニル、ベンゾイソチアゾリル、オキソベンゾイソチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、オキソベンゾイミダゾリニル、インダゾリル、オキソインダゾリニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、オキサゾロピリジル、オキソジヒドロオキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、オキソジヒドロチアゾロピリジル、イソチアゾロピリジル、イミダゾピリジル、オキソジヒドロイミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、オキソジヒドロピラゾロピリジル、チエノピリミジニル、クロマニル、クロマノニル、ベンゾピラニル、クロモニル、キノリル、イソキノリル、ジヒドロキノリル、オキソジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリル、オキソテトラヒドロキノリニル、ベンゾジオキサニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、テトラヒドロカルバゾリル、オキソテトラヒドロカルバゾリル、ピリドインドリル、アクリジニル、オキソジヒドロアクリジニル、フェノチアジニル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、オキソジヒドロジベンゾオキセピニル、ベンゾシクロヘプタチエニル、オキソベンゾシクロヘプタチエニル、ジヒドロチエノベンゾチエピニル、オキソジヒドロチエノベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、オキソジヒドロジベンゾチエピニル、オクタヒドロジベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾアゼピニル、オクタヒドロジベンゾアゼピニル、ベンゾシクロヘプタピリジル、オキソベンゾシクロヘプタピリジル、ジヒドロピリドベンゾジアゼピニル、ジヒドロジベンゾオキサゼピニル、ジヒドロピリドベンゾオキセピニル、ジヒドロピリドベンゾオキサゼピニル、オキソジヒドロピリドベンゾオキサゼピニル、ジヒドロジベンゾチアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾチアゼピニル、ジヒドロピリドベンゾチアゼピニル、およびオキソジヒドロピリドベンゾチアゼピニルよりなる群、
R13は、R12と同じ意味を有し、但し、それとは独立して選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、インダニル、インデニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、クロマニル、キノリル、およびテトラヒドロキノリルよりなる群、
G2は、下記残基から選ばれ、
【化18】
式中、置換基R12およびR14は上記の意味を有するか、或いは
−NR12R14基は、下記の群から選ばれた、窒素原子上で結合している窒素含有複素環であり:
・アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、(1H)−テトラヒドロピリジン、ヘキサヒドロアゼピン、(1H)−テトラヒドロアゼピン、オクタヒドロアゾシン、ピラゾリジン、ピペラジン、ヘキサヒドロジアゼピン、モルホリン、ヘキサヒドロオキサゼピン、チオモルホリン、チオモルホリン−1,1−ジオキシド、5−アザビシクロ[2.1.1]ヘキサン、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2−アザビシクロ[2.2.2]オクタン、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン、インドリン、イソインドリン、(1H)−ジヒドロキノリン、(1H)−テトラヒドロキノリン、(2H)−テトラヒドロイソキノリン、(1H)−テトラヒドロキノキサリン、(4H)−ジヒドロベンゾオキサジン、(4H)−ジヒドロベンゾチアジン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[b]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]オキサゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]チアゼピン、1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4−b]インドール、(10H)−ジヒドロアクリジン、1,2,3,4−テトラヒドロアクリダノン、(10H)−フェノキサジン、(10H)−フェノチアジン、(5H)−ジベンゾアゼピン、(5H)−ジヒドロジベンゾアゼピン、(5H)−オクタヒドロジベンゾアゼピン、(5H)−ジヒドロジベンゾジアゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキサゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]チアゼピン、(10H)−ジヒドロジベンゾ[b,f]オキサゼピン、(10H)−ジヒドロジベンゾ[b,f]チアゼピンおよび(5H)−テトラヒドロジベンゾアゾシンよりなる群、
G3は、残基:−SO2−(CH2)rR12 (G3) であり、
G4は、次式で示される残基であり
【化19】
式中、
Ar1およびAr2は、互いに独立してフェニル、ピリジルおよびナフチルから選ばれ、
G5は、残基:−COR15 (G5) であり、ここで、
R15は、トリフルオロメチル、C1〜C6アルコキシ、C3〜C6アルケニルオキシおよびベンジルオキシから選ばれ、
ここで、芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、環または環系の隣接する2つの基は、場合によりメチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよい。
【請求項5】
式中の各基が次の通りである請求項3または4に記載の使用:
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、メトキシ、およびメトキシカルボニルから選ばれ、
R2は、水素またはハロゲンであり、
R3は、水素であり、
R4は、水素、C1〜C3アルキルおよびヒドロキシから選ばれ、
kは、0または1であり、
Aは、場合によりヒドロキシもしくはフッ素により1〜2回置換されていてもよいC2〜C6アルケニレン;場合により1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいC4〜C6アルカジエニレン;ならびに1,3,5−ヘキサトリエニレンから選ばれ、
Dは、場合によりメチルもしくはヒドロキシにより置換されていてもよいC2〜C8アルキレン;場合によりメチルもしくはヒドロキシにより置換されていてもよいC2〜C8アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい);ならびに1〜3個のメチレン単位がO、NH、N(CH3)、N(COCH3)、N(SO2CH3)もしくはCOにより等配電子的に置換されているC2〜C8アルキレンおよびC2〜C8アルケニレンよりなる群、から選ばれ、
Eは、下記残基から選ばれ、
【化20】
ここで上記式中の複素環は場合により1個の二重結合を有していてもよく、
nおよびpは、互いに独立して0、1、2または3であり、但し、n+p≦3であり、
qは、1または2であり、
R10は、水素、メチルおよびヒドロキシルから選ばれ、
R11は、水素または該窒素原子に隣接したオキソ基であり、
Gは、水素、C3〜C8シクロアルキル、メトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、ジフェニルホスフィノイル、ならびに下記残基から選ばれ:
【化21】
ここで、
rは0、1または2であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、インダニル、インデニル、オキソインダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、オキソテトラヒドロナフチル、フルオレニル、オキソフルオレニル、アントリル、ジヒドロアントリル、オキソジヒドロアントリル、ジオキソジヒドロアントリル、ジベンゾシクロヘプテニル、オキソジベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、およびオキソジヒドロジベンゾシクロヘプテニルよりなる群、ならびに
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾフリル、ジヒドロベンゾフリル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、オキソインドリニル、ジオキソインドリニル、ベンゾオキサゾリル、オキソベンゾオキサゾリニル、ベンゾイソオキサゾリル、オキソベンゾイソオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、オキソベンゾチアゾリニル、ベンゾイソチアゾリル、オキソベンゾイソチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、オキソベンゾイミダゾリニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、オキサゾロピリジル、オキソジヒドロオキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、オキソジヒドロチアゾロピリジル、イソチアゾロピリジル、イミダゾピリジル、オキソジヒドロイミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、チエノピリミジニル、クロマニル、クロマノニル、ベンゾピラニル、クロモニル、キノリル、イソキノリル、ジヒドロキノリル、オキソジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリル、オキソテトラヒドロキノリニル、ベンゾジオキサニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、テトラヒドロカルバゾリル、オキソテトラヒドロカルバゾリル、ピリドインドリル、アクリジニル、オキソジヒドロアクリジニル、フェノチアジニル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、ベンゾシクロヘプタチエニル、オキソベンゾシクロヘプタチエニル、ジヒドロチエノベンゾチエピニル、オキソジヒドロチエノベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、オキソジヒドロジベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾアゼピニル、オクタヒドロジベンゾアゼピニル、ベンゾシクロヘプタピリジル、オキソベンゾシクロヘプタピリジル、ジヒドロピリドベンゾオキセピニル、ジヒドロジベンゾチアゼピニル、およびオキソジヒドロジベンゾチアゼピニルよりなる群、
R13は、水素、メチル、ベンジルおよびフェニルから選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、ナフチル、フリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、クロマニル、キノリル、およびテトラヒドロキノリルよりなる群、
ここで、次式
【化22】
における−NR12R14は、場合により、ピロリジン、ピペリジン、(1H)−テトラヒドロピリジン、ヘキサヒドロアゼピン、オクタヒドロアゾシン、ピペラジン、ヘキサヒドロジアゼピン、モルホリン、ヘキサヒドロオキサゼピン、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、インドリン、イソインドリン、(1H)−ジヒドロキノリン、(1H)−テトラヒドロキノリン、(2H)−テトラヒドロイソキノリン、(1H)−テトラヒドロキノキサリン、(4H)−ジヒドロベンゾオキサジン、(4H)−ジヒドロベンゾチアジン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[b]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]オキサゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]チアゼピン、1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4−b]インドール、(10H)−ジヒドロアクリジン、1,2,3,4−テトラヒドロアクリダノン、(5H)−ジヒドロジベンゾアゼピン、(5H)−ジヒドロジベンゾジアゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキサゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]チアゼピン、(10H)−ジヒドロジベンゾ[b,f]オキサゼピン、および(5H)−テトラヒドロジベンザゾシンから選ばれていてもよい。
【請求項6】
式中の各基が次の通りである請求項3〜5のいずれかに記載の使用:
R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、
R2およびR3は、水素であり、
R4は、水素またはヒドロキシであり、
kは、0または1であり、
Aは、場合によりフッ素で置換されていてもよいC2〜C4アルケニレンであり、
Dは、C2〜C6アルキレン;C2〜C6アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい);ならびに1個のメチレン単位がO、NH、N(CH3)もしくはCOで等配電子的に置換されているか、1個のエチレン基がNH−COもしくはCO−NHで等配電子的に置換されているか、もしくは1個のプロピレン基がNH−CO−OもしくはO−CO−NHで等配電子的に置換されているC2〜C6アルキレンおよびC2〜C6アルケニレンよりなる群から選ばれ、
Eは、ピロリジン、ピペリジン、1,2,5,6−テトラヒドロピリジン、ヘキサヒドロアゼピン、モルホリンおよびヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピンから選ばれ、ここでこれらの複素環は場合により該窒素原子に隣接したオキソ基により置換されていてもよく
Gは、水素、tert−ブトキシカルボニル、ジフェニルホスフィノイル、ならびに下記残基の1つから選ばれ:
【化23】
ここで、
rは0または1であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、インデニル、オキソインダニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル、オキソフルオレニル、アントリル、ジヒドロアントリル、オキソジヒドロアントリル、ジオキソジヒドロアントリル、ジベンゾシクロヘプテニル、およびジヒドロジベンゾシクロヘプテニルよりなる群、ならびに
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、フリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、オキソインドリニル、ジオキソインドリニル、ベンゾオキサゾリル、オキソベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、オキソベンゾチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、オキソベンゾイミダゾリニル、ベンゾフラザニル、ベンゾトリアゾリル、オキサゾロピリジル、オキソジヒドロオキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、オキソジヒドロチアゾロピリジル、クロマニル、クロマノニル、ベンゾピラニル、クロモニル、キノリル、イソキノリル、オキソジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリル、オキソテトラヒドロキノリニル、ベンゾジオキサニル、キナゾリニル、アクリジニル、オキソジヒドロアクリジニル、フェノチアジニル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、ベンゾシクロヘプタチエニル、ジヒドロチエノベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、オキソジヒドロジベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾアゼピニル、オクタヒドロジベンゾアゼピニル、ベンゾシクロヘプタピリジル、オキソベンゾシクロヘプタピリジルおよびジヒドロジベンゾチアゼピニルよりなる群、
R13は、水素、メチル、ベンジルおよびフェニルから選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、ナフチル、フリル、チエニル、ピリジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、クロマニル、キノリル、およびテトラヒドロキノリルよりなる群、
ここで、次式
【化24】
における−NR12R14は、場合により、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサヒドロアゼピン、モルホリン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、インドリン、イソインドリン、(1H)−ジヒドロキノリン、(1H)−テトラヒドロキノリン、(2H)−テトラヒドロイソキノリン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[b]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]オキサゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]チアゼピン、1,2,3,4−テトラヒドロアクリダノン、(5H)−ジヒドロジベンゾアゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキサゼピンおよび(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]チアゼピンから選ばれてもよく、
ここで、芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、芳香環または環系上の隣接する2つの基は、場合によりメチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよい。
【請求項7】
式中の各基が次の通りである請求項3〜6のいずれかに記載の使用:
R1は、水素、フッ素、メチル、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、
R2およびR3は、水素であり、
R4は、水素またはヒドロキシであり、
kは、0であり、
Aは、エテニレンまたは1,3−ブタジエニレンであり、
Dは、C2〜C6アルキレンまたはC2〜C6アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい)であり、
Eは、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサヒドロアゼピンおよびモルホリンから選ばれ、
Gは、ベンジル、フェネチル、フルオレニルメチル、アントリルメチル、ジフェニルメチル、フルオレニル、ジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、フリルメチル、チエニルメチル、チアゾリルメチル、ピリジルメチル、ベンゾチエニルメチル、キノリルメチル、フェニル−チエニルメチル、フェニル−ピリジルメチル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、アセチル、ピバロイル、フェニルアセチル、ジフェニルアセチル、ジフェニルプロピオニル、ナフチルアセチル、ベンゾイル、ナフトイル、アントリルカルボニル、オキソフルオレニルカルボニル、オキソジヒドロアントリルカルボニル、ジオキソジヒドロアントリルカルボニル、フロイル、ピリジルカルボニル、クロモニルカルボニル、キノリルカルボニル、ナフチルアミノカルボニル、ジベンジルアミノカルボニル、ベンジルフェニルアミノカルボニル、ジフェニルアミノカルボニル、インドリニル−1−カルボニル、ジヒドロジベンゾアゼピン−N−カルボニル、テトラヒドロキノリニル−N−カルボニル、テトラヒドロベンゾ[b]アゼピニル−N−カルボニル、メタンスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル、ナフチルスルホニル、キノリンスルホニル、およびジフェニルホスフィノイルから選ばれ、
ここで、芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、環または環系の隣接する2つの基は、場合によりメチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよい。
【請求項8】
前記阻害剤が下記から選ばれた化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の使用:
N−[4−(1−メチルスルホニルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−{4−[1−(2−ナフチルスルホニル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−{4−[1−(2−ナフチルスルホニル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、
N−{4−[1−(1−ナフチルアミノカルボニル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[4−(1−ジフェニルアミノカルボニル−ピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[4−(1−ジフェニルアミノカルボニル−ピペリジン−4−イル)ブチル]−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、
N−{4−[1−(10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]アゼピン−5−イルカルボニル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、および
N−[4−(1−ジフェニルホスフィノイル−ピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、または
これらの薬剤に許容される酸付加塩。
【請求項9】
前記阻害剤が下記から選ばれた化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の使用:
N−[4−(1−アセチルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[4−(1−ジフェニルアセチルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−{4−[1−(3,3−ジフェニルプロピオニル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、および
N−{4−[1−(9−オキソ−9H−フルオレン−4−イル−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、または
これらの薬剤に許容される酸付加塩。
【請求項10】
前記阻害剤が下記から選ばれた化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の使用:
N−{4−[1−(フェニルピリジン−3−イル−メチル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−{4−[1−(フェニルピリジン−4−イル−メチル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−{4−[1−(6,11−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、および
N−{4−[1−(6,11−ジヒドロジベンゾ[b,e]チエピン−11−イル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、または
これらの薬剤に許容される酸付加塩。
【請求項11】
前記阻害剤が下記から選ばれた化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の使用:
N−[7−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イル)へプチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[8−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イル)オクチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[3−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イルオキシ)プロピル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、および
N−[3−(1−ベンジルピペリジン−4−イルオキシ)プロピル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、または
これらの薬剤に許容される酸付加塩。
【請求項12】
前記阻害剤が下記から選ばれた化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の使用:
N−[2−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イル)エチル]−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、
N−[4−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イル)ブチル]−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、
N−[5−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イル)ペンチル]−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、および
N−[6−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イル)ヘキシル]−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、または
これらの薬剤に許容される酸付加塩。
【請求項13】
前記阻害剤が(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドである、請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
炎症性疾患が慢性関節リウマチである請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
炎症性疾患がエンドトキシン血症である請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
有効量のコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤を炎症性疾患の治療に使用するための使用説明書と共に少なくとも含んでいる薬剤キット。
【請求項17】
慢性関節リウマチの治療用の使用説明書を含んでいる請求項16記載の薬剤キット。
【請求項18】
エンドトキシン血症の治療用の使用説明書を含んでいる請求項16記載の薬剤キット。
【請求項19】
有効量のニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤を患者に投与することからなる、炎症性疾患の治療方法。
【請求項20】
前記阻害剤が酵素ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼの非競合的または競合的阻害剤である、請求項19に記載の炎症性疾患の治療方法。
【請求項21】
前記炎症性疾患が慢性関節リウマチである請求項19〜20のいずれか記載の方法。
【請求項22】
前記炎症性疾患がエンドトキシン血症である請求項19〜20のいずれか記載の方法。
【請求項1】
ニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤の、炎症性疾患治療用薬剤の製造への使用。
【請求項2】
前記阻害剤がニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ酵素の非競合的または競合的阻害剤である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記阻害剤が下記一般式(I)で示される化合物である請求項1または2に記載の使用:
【化13】
式中、
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C4ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、ベンジルオキシ、C1〜C4アルカノイルオキシ、C1〜C4アルキルチオ、C2〜C5アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C3〜C9ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシ、フェニル、フェノキシ、ピリジルオキシおよびNR5R6よりなる群から選ばれ、ここで
R5およびR6は、互いに独立して水素およびC1〜C6アルキルから選ばれ、
R2は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、ここで
R1とR2とが隣接している場合、それらは、−(CH2)4−および−(CH=CH)2−および−CH2O−CR7R8−O−なる架橋要素の群から選ばれる架橋を場合により形成していてもよく、ここで
R7およびR8は、互いに独立して、水素またはC1〜C6アルキルであり、
R3は、水素、ハロゲンおよびC1〜C6アルキルから選ばれ、
R4は、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシおよびベンジルオキシから選ばれ、
kは、0または1であり、
Aは下記の群から選ばれ:
・場合によりC1〜C3アルキル、ヒドロキシ、フッ素、シアノもしくはフェニルにより1〜3回置換されていてもよい、C2〜C6アルケニレン、
・場合によりC1〜C3アルキル、フッ素、シアノもしくはフェニルにより1〜2回置換されていてもよい、C4〜C6アルカジエニレン、
・場合によりC1〜C3アルキル、フッ素もしくはシアノにより置換されていてもよい、1,3,5−ヘキサトリエニレン、ならびに
・エチニレン、
Dは下記の群から選ばれ:
・場合によりC1〜C3アルキルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよい、C1〜C10アルキレン、
・場合によりC1〜C3アルキルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよい、C2〜C10アルケニレン、ここで該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよく、
・場合によりC1〜C3アルキルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC3〜C10アルキニレン、ならびに
・1〜3個のメチレン単位がO、S、NR9、CO、SOもしくはSO2により等配電子的に置換されているC1〜C10アルキレン、C2〜C10アルケニレンおよびC3〜C10アルキニレンよりなる群、ここで
R9は、C1〜C3アルキル、C1〜C6アシルおよびメタンスルホニルから選ばれ、
Eは、下記から選ばれ、
【化14】
ここで上記式中の複素環は場合により1個の二重結合を有していてもよく、
nおよびpは、互いに独立して0、1、2または3であり、但し、n+p≦4であり、
qは、1または2であり、
R10は、水素、C1〜C3アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、カルボキシおよびC2〜C7アルコキシカルボニルから選ばれ、
R11は、水素または該窒素原子に隣接したオキソ基であり、
Gは、水素、G1、G2、G3、G4およびG5から選ばれ、ここで
G1は、残基:−(CH2)r−(CR13R14)s−R12 (G1) を表し、ここで
rは0、1または2であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、C3〜C6アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・N、SおよびOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含有し、直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで結合している、単環式芳香族5および6員複素環よりなる群、
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化炭素環式環系よりなる群、および
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、1〜3個の環原子がN、SおよびOから選ばれ、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化複素環式環系よりなる群、
R13は、R12と同じ意味を有し、但し、それとは独立して選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・N、SおよびOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含有し、直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで結合している、単環式芳香族5および6員複素環よりなる群、
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化炭素環式環系よりなる群、および
・環原子数が8〜16で、少なくとも1つの芳香環を持ち、1〜3個の環原子がN、SおよびOから選ばれ、結合が芳香環上もしくは水素化環上のいずれかで直接もしくはメチレン基を介してのいずれかで起こっている、環化型の二および三環式芳香族もしくは部分水素化複素環式環系よりなる群、
G2は、下記残基から選ばれ、
【化15】
式中、置換基R12およびR14は上記の意味を有するか、或いは
−NR12R14基は、下記の群から選ばれた、窒素原子上で結合している窒素含有複素環であり:
・必須の窒素原子の他に、場合によりN、SおよびOから選ばれた1または2個のヘテロ原子をさらに含有していてもよい、飽和および不飽和の単環式4〜8員複素環の群、ならびに
・必須の窒素原子の他に、場合によりN、SおよびOから選ばれた1または2個のヘテロ原子をさらに含有していてもよい、環原子数が8〜16の飽和および不飽和の二もしくは三環式の環化型もしくは架橋型の複素環の群、
G3は、残基:−SO2−(CH2)rR12 (G3) を表し、
G4は、次式で示される残基であり
【化16】
式中、
Ar1およびAr2は、互いに独立してフェニル、ピリジルおよびナフチルから選ばれ、
G5は、残基:−COR15 (G5) であり、ここで、
R15は、トリフルオロメチル、C1〜C6アルコキシ、C3〜C6アルケニルオキシおよびベンジルオキシから選ばれ、
ここで、置換基R1、R2、R4、R12、R13、R14、R15、Ar1およびAr2中、ならびに環系−NR12R14中における芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ(該アルコキシ基は場合により完全にもしくは部分的にフッ素で置換されていてもよい)、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基を有していてもよく、ここで、芳香環または環系の隣接する2つの基は、場合により、メチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよく、
複素環または環化された環系における遊離ヒドロキシ、メルカプトおよび/もしくはアミノ基による置換の場合の互変異性体、
立体異性体ならびに/またはそれらの混合物、ならびに、(E)−3−(3−ピリジル)−N−[2−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)エチル]−2−プロペンアミド塩酸塩を除いた薬理学的に許容される酸付加塩。
【請求項4】
式中の各基が次の通りである請求項3に記載の使用:
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、エチルチオ、メトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、アミノカルボニル、カルボキシ、およびフェノキシから選ばれ、
R2は、水素、ハロゲン、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、
R3は、水素またはハロゲンであり、
R4は、水素、C1〜C3アルキル、ヒドロキシおよびC1〜C3アルコキシから選ばれ、
kは、0または1であり、
Aは、場合によりC1〜C3アルキル、ヒドロキシもしくはフッ素により1〜2回置換されていてもよいC2〜C6アルケニレン;場合によりC1〜C3アルキルまたは1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいC4〜C6アルカジエニレン;ならびに場合によりフッ素により置換されていてもよい1,3,5−ヘキサトリエニレンから選ばれ、
Dは、場合によりメチルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC1〜C8アルキレン;場合によりメチルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC2〜C8アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい);場合によりメチルもしくはヒドロキシにより1〜2回置換されていてもよいC3〜C8アルキニレン;ならびに1〜3個のメチレン単位がO、S、NH、N(CH3)、N(COCH3)、N(SO2CH3)、CO、SOもしくはSO2により等配電子的に置換されているC1〜C8アルキレン、C2〜C8アルケニレンおよびC3〜C8アルキニレンよりなる群から選ばれ、
Eは、下記から選ばれ、
【化17】
ここで上記式中の複素環は場合により1個の二重結合を有していてもよく、
nおよびpは、互いに独立して0、1、2または3であり、但し、n+p≦3であり、
qは、1または2であり、
R10は、水素、C1〜C3アルキル、ヒドロキシおよびヒドロキシメチルから選ばれ、
R11は、水素または該窒素原子に隣接したオキソ基であり、
Gは、水素、G1、G2、G3、G4およびG5から選ばれ、ここで
G1は、残基:−(CH2)r−(CR13R14)s−R12 (G1) を表し、ここで
rは0、1または2であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C8シクロアルキル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、ベンゾシクロブチル、インダニル、インデニル、オキソインダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、オキソテトラヒドロナフチル、ビエフェニレニル、フルオレニル、オキソフルオレニル、アントリル、ジヒドロアントリル、オキソジヒドロアントリル、ジオキソジヒドロアントリル、フェナントリル、ジヒドロフェナントリル、オキソジヒドロフェナントリル、ジベンゾシクロヘプテニル、オキソジベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、オキソジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロジベンゾシクロオクテニル、テトラヒドロジベンゾシクロオクテニル、およびオキソテトラヒドロジベンゾシクロオクテニルよりなる群、および
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾフリル、ジヒドロベンゾフリル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、オキソインドリニル、ジオキソインドリニル、ベンゾオキサゾリル、オキソベンゾオキサゾリニル、ベンゾイソオキサゾリル、オキソベンゾイソオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、オキソベンゾチアゾリニル、ベンゾイソチアゾリル、オキソベンゾイソチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、オキソベンゾイミダゾリニル、インダゾリル、オキソインダゾリニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、オキサゾロピリジル、オキソジヒドロオキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、オキソジヒドロチアゾロピリジル、イソチアゾロピリジル、イミダゾピリジル、オキソジヒドロイミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、オキソジヒドロピラゾロピリジル、チエノピリミジニル、クロマニル、クロマノニル、ベンゾピラニル、クロモニル、キノリル、イソキノリル、ジヒドロキノリル、オキソジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリル、オキソテトラヒドロキノリニル、ベンゾジオキサニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、テトラヒドロカルバゾリル、オキソテトラヒドロカルバゾリル、ピリドインドリル、アクリジニル、オキソジヒドロアクリジニル、フェノチアジニル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、オキソジヒドロジベンゾオキセピニル、ベンゾシクロヘプタチエニル、オキソベンゾシクロヘプタチエニル、ジヒドロチエノベンゾチエピニル、オキソジヒドロチエノベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、オキソジヒドロジベンゾチエピニル、オクタヒドロジベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾアゼピニル、オクタヒドロジベンゾアゼピニル、ベンゾシクロヘプタピリジル、オキソベンゾシクロヘプタピリジル、ジヒドロピリドベンゾジアゼピニル、ジヒドロジベンゾオキサゼピニル、ジヒドロピリドベンゾオキセピニル、ジヒドロピリドベンゾオキサゼピニル、オキソジヒドロピリドベンゾオキサゼピニル、ジヒドロジベンゾチアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾチアゼピニル、ジヒドロピリドベンゾチアゼピニル、およびオキソジヒドロピリドベンゾチアゼピニルよりなる群、
R13は、R12と同じ意味を有し、但し、それとは独立して選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、インダニル、インデニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、クロマニル、キノリル、およびテトラヒドロキノリルよりなる群、
G2は、下記残基から選ばれ、
【化18】
式中、置換基R12およびR14は上記の意味を有するか、或いは
−NR12R14基は、下記の群から選ばれた、窒素原子上で結合している窒素含有複素環であり:
・アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、(1H)−テトラヒドロピリジン、ヘキサヒドロアゼピン、(1H)−テトラヒドロアゼピン、オクタヒドロアゾシン、ピラゾリジン、ピペラジン、ヘキサヒドロジアゼピン、モルホリン、ヘキサヒドロオキサゼピン、チオモルホリン、チオモルホリン−1,1−ジオキシド、5−アザビシクロ[2.1.1]ヘキサン、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2−アザビシクロ[2.2.2]オクタン、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン、インドリン、イソインドリン、(1H)−ジヒドロキノリン、(1H)−テトラヒドロキノリン、(2H)−テトラヒドロイソキノリン、(1H)−テトラヒドロキノキサリン、(4H)−ジヒドロベンゾオキサジン、(4H)−ジヒドロベンゾチアジン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[b]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]オキサゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]チアゼピン、1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4−b]インドール、(10H)−ジヒドロアクリジン、1,2,3,4−テトラヒドロアクリダノン、(10H)−フェノキサジン、(10H)−フェノチアジン、(5H)−ジベンゾアゼピン、(5H)−ジヒドロジベンゾアゼピン、(5H)−オクタヒドロジベンゾアゼピン、(5H)−ジヒドロジベンゾジアゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキサゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]チアゼピン、(10H)−ジヒドロジベンゾ[b,f]オキサゼピン、(10H)−ジヒドロジベンゾ[b,f]チアゼピンおよび(5H)−テトラヒドロジベンゾアゾシンよりなる群、
G3は、残基:−SO2−(CH2)rR12 (G3) であり、
G4は、次式で示される残基であり
【化19】
式中、
Ar1およびAr2は、互いに独立してフェニル、ピリジルおよびナフチルから選ばれ、
G5は、残基:−COR15 (G5) であり、ここで、
R15は、トリフルオロメチル、C1〜C6アルコキシ、C3〜C6アルケニルオキシおよびベンジルオキシから選ばれ、
ここで、芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、環または環系の隣接する2つの基は、場合によりメチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよい。
【請求項5】
式中の各基が次の通りである請求項3または4に記載の使用:
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、メトキシ、およびメトキシカルボニルから選ばれ、
R2は、水素またはハロゲンであり、
R3は、水素であり、
R4は、水素、C1〜C3アルキルおよびヒドロキシから選ばれ、
kは、0または1であり、
Aは、場合によりヒドロキシもしくはフッ素により1〜2回置換されていてもよいC2〜C6アルケニレン;場合により1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいC4〜C6アルカジエニレン;ならびに1,3,5−ヘキサトリエニレンから選ばれ、
Dは、場合によりメチルもしくはヒドロキシにより置換されていてもよいC2〜C8アルキレン;場合によりメチルもしくはヒドロキシにより置換されていてもよいC2〜C8アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい);ならびに1〜3個のメチレン単位がO、NH、N(CH3)、N(COCH3)、N(SO2CH3)もしくはCOにより等配電子的に置換されているC2〜C8アルキレンおよびC2〜C8アルケニレンよりなる群、から選ばれ、
Eは、下記残基から選ばれ、
【化20】
ここで上記式中の複素環は場合により1個の二重結合を有していてもよく、
nおよびpは、互いに独立して0、1、2または3であり、但し、n+p≦3であり、
qは、1または2であり、
R10は、水素、メチルおよびヒドロキシルから選ばれ、
R11は、水素または該窒素原子に隣接したオキソ基であり、
Gは、水素、C3〜C8シクロアルキル、メトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、ジフェニルホスフィノイル、ならびに下記残基から選ばれ:
【化21】
ここで、
rは0、1または2であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、インダニル、インデニル、オキソインダニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、オキソテトラヒドロナフチル、フルオレニル、オキソフルオレニル、アントリル、ジヒドロアントリル、オキソジヒドロアントリル、ジオキソジヒドロアントリル、ジベンゾシクロヘプテニル、オキソジベンゾシクロヘプテニル、ジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、およびオキソジヒドロジベンゾシクロヘプテニルよりなる群、ならびに
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾフリル、ジヒドロベンゾフリル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、オキソインドリニル、ジオキソインドリニル、ベンゾオキサゾリル、オキソベンゾオキサゾリニル、ベンゾイソオキサゾリル、オキソベンゾイソオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、オキソベンゾチアゾリニル、ベンゾイソチアゾリル、オキソベンゾイソチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、オキソベンゾイミダゾリニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、オキサゾロピリジル、オキソジヒドロオキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、オキソジヒドロチアゾロピリジル、イソチアゾロピリジル、イミダゾピリジル、オキソジヒドロイミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、チエノピリミジニル、クロマニル、クロマノニル、ベンゾピラニル、クロモニル、キノリル、イソキノリル、ジヒドロキノリル、オキソジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリル、オキソテトラヒドロキノリニル、ベンゾジオキサニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、テトラヒドロカルバゾリル、オキソテトラヒドロカルバゾリル、ピリドインドリル、アクリジニル、オキソジヒドロアクリジニル、フェノチアジニル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、ベンゾシクロヘプタチエニル、オキソベンゾシクロヘプタチエニル、ジヒドロチエノベンゾチエピニル、オキソジヒドロチエノベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、オキソジヒドロジベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾアゼピニル、オクタヒドロジベンゾアゼピニル、ベンゾシクロヘプタピリジル、オキソベンゾシクロヘプタピリジル、ジヒドロピリドベンゾオキセピニル、ジヒドロジベンゾチアゼピニル、およびオキソジヒドロジベンゾチアゼピニルよりなる群、
R13は、水素、メチル、ベンジルおよびフェニルから選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、ナフチル、フリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、インドリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、クロマニル、キノリル、およびテトラヒドロキノリルよりなる群、
ここで、次式
【化22】
における−NR12R14は、場合により、ピロリジン、ピペリジン、(1H)−テトラヒドロピリジン、ヘキサヒドロアゼピン、オクタヒドロアゾシン、ピペラジン、ヘキサヒドロジアゼピン、モルホリン、ヘキサヒドロオキサゼピン、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、インドリン、イソインドリン、(1H)−ジヒドロキノリン、(1H)−テトラヒドロキノリン、(2H)−テトラヒドロイソキノリン、(1H)−テトラヒドロキノキサリン、(4H)−ジヒドロベンゾオキサジン、(4H)−ジヒドロベンゾチアジン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[b]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]オキサゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]チアゼピン、1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4−b]インドール、(10H)−ジヒドロアクリジン、1,2,3,4−テトラヒドロアクリダノン、(5H)−ジヒドロジベンゾアゼピン、(5H)−ジヒドロジベンゾジアゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキサゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]チアゼピン、(10H)−ジヒドロジベンゾ[b,f]オキサゼピン、および(5H)−テトラヒドロジベンザゾシンから選ばれていてもよい。
【請求項6】
式中の各基が次の通りである請求項3〜5のいずれかに記載の使用:
R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、
R2およびR3は、水素であり、
R4は、水素またはヒドロキシであり、
kは、0または1であり、
Aは、場合によりフッ素で置換されていてもよいC2〜C4アルケニレンであり、
Dは、C2〜C6アルキレン;C2〜C6アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい);ならびに1個のメチレン単位がO、NH、N(CH3)もしくはCOで等配電子的に置換されているか、1個のエチレン基がNH−COもしくはCO−NHで等配電子的に置換されているか、もしくは1個のプロピレン基がNH−CO−OもしくはO−CO−NHで等配電子的に置換されているC2〜C6アルキレンおよびC2〜C6アルケニレンよりなる群から選ばれ、
Eは、ピロリジン、ピペリジン、1,2,5,6−テトラヒドロピリジン、ヘキサヒドロアゼピン、モルホリンおよびヘキサヒドロ−1,4−オキサゼピンから選ばれ、ここでこれらの複素環は場合により該窒素原子に隣接したオキソ基により置換されていてもよく
Gは、水素、tert−ブトキシカルボニル、ジフェニルホスフィノイル、ならびに下記残基の1つから選ばれ:
【化23】
ここで、
rは0または1であり、
sは0または1であり、
R12は、水素、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、インデニル、オキソインダニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル、オキソフルオレニル、アントリル、ジヒドロアントリル、オキソジヒドロアントリル、ジオキソジヒドロアントリル、ジベンゾシクロヘプテニル、およびジヒドロジベンゾシクロヘプテニルよりなる群、ならびに
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、フリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、オキソインドリニル、ジオキソインドリニル、ベンゾオキサゾリル、オキソベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、オキソベンゾチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、オキソベンゾイミダゾリニル、ベンゾフラザニル、ベンゾトリアゾリル、オキサゾロピリジル、オキソジヒドロオキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、オキソジヒドロチアゾロピリジル、クロマニル、クロマノニル、ベンゾピラニル、クロモニル、キノリル、イソキノリル、オキソジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリル、オキソテトラヒドロキノリニル、ベンゾジオキサニル、キナゾリニル、アクリジニル、オキソジヒドロアクリジニル、フェノチアジニル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、ベンゾシクロヘプタチエニル、ジヒドロチエノベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、オキソジヒドロジベンゾチエピニル、ジヒドロジベンゾアゼピニル、オキソジヒドロジベンゾアゼピニル、オクタヒドロジベンゾアゼピニル、ベンゾシクロヘプタピリジル、オキソベンゾシクロヘプタピリジルおよびジヒドロジベンゾチアゼピニルよりなる群、
R13は、水素、メチル、ベンジルおよびフェニルから選ばれ、
R14は、水素、ヒドロキシ、メチル、ベンジル、フェニル、ならびに下記の群から選ばれ:
・直接もしくはメチレン基を介して結合されている、ナフチル、フリル、チエニル、ピリジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、クロマニル、キノリル、およびテトラヒドロキノリルよりなる群、
ここで、次式
【化24】
における−NR12R14は、場合により、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサヒドロアゼピン、モルホリン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、インドリン、イソインドリン、(1H)−ジヒドロキノリン、(1H)−テトラヒドロキノリン、(2H)−テトラヒドロイソキノリン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[b]アゼピン、(1H)−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]オキサゼピン、(5H)−テトラヒドロベンゾ[b]チアゼピン、1,2,3,4−テトラヒドロアクリダノン、(5H)−ジヒドロジベンゾアゼピン、(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキサゼピンおよび(11H)−ジヒドロジベンゾ[b,e]チアゼピンから選ばれてもよく、
ここで、芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
ここで、芳香環または環系上の隣接する2つの基は、場合によりメチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよい。
【請求項7】
式中の各基が次の通りである請求項3〜6のいずれかに記載の使用:
R1は、水素、フッ素、メチル、トリフルオロメチルおよびヒドロキシから選ばれ、
R2およびR3は、水素であり、
R4は、水素またはヒドロキシであり、
kは、0であり、
Aは、エテニレンまたは1,3−ブタジエニレンであり、
Dは、C2〜C6アルキレンまたはC2〜C6アルケニレン(ここで、該二重結合は場合により環Eへの結合であってもよい)であり、
Eは、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサヒドロアゼピンおよびモルホリンから選ばれ、
Gは、ベンジル、フェネチル、フルオレニルメチル、アントリルメチル、ジフェニルメチル、フルオレニル、ジヒドロジベンゾシクロヘプテニル、フリルメチル、チエニルメチル、チアゾリルメチル、ピリジルメチル、ベンゾチエニルメチル、キノリルメチル、フェニル−チエニルメチル、フェニル−ピリジルメチル、ジヒドロジベンゾオキセピニル、ジヒドロジベンゾチエピニル、アセチル、ピバロイル、フェニルアセチル、ジフェニルアセチル、ジフェニルプロピオニル、ナフチルアセチル、ベンゾイル、ナフトイル、アントリルカルボニル、オキソフルオレニルカルボニル、オキソジヒドロアントリルカルボニル、ジオキソジヒドロアントリルカルボニル、フロイル、ピリジルカルボニル、クロモニルカルボニル、キノリルカルボニル、ナフチルアミノカルボニル、ジベンジルアミノカルボニル、ベンジルフェニルアミノカルボニル、ジフェニルアミノカルボニル、インドリニル−1−カルボニル、ジヒドロジベンゾアゼピン−N−カルボニル、テトラヒドロキノリニル−N−カルボニル、テトラヒドロベンゾ[b]アゼピニル−N−カルボニル、メタンスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル、ナフチルスルホニル、キノリンスルホニル、およびジフェニルホスフィノイルから選ばれ、
ここで、芳香環系は、場合により、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C6アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、メルカプト、C1〜C6アルキルチオ、カルボキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−C1〜C6アルキルアミノ、およびジ−(C1〜C6アルキル)アミノよりなる群から独立して選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、環または環系の隣接する2つの基は、場合によりメチレンジオキシ架橋を介して追加の環を形成していてもよい。
【請求項8】
前記阻害剤が下記から選ばれた化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の使用:
N−[4−(1−メチルスルホニルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−{4−[1−(2−ナフチルスルホニル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−{4−[1−(2−ナフチルスルホニル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、
N−{4−[1−(1−ナフチルアミノカルボニル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[4−(1−ジフェニルアミノカルボニル−ピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[4−(1−ジフェニルアミノカルボニル−ピペリジン−4−イル)ブチル]−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、
N−{4−[1−(10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]アゼピン−5−イルカルボニル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、および
N−[4−(1−ジフェニルホスフィノイル−ピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、または
これらの薬剤に許容される酸付加塩。
【請求項9】
前記阻害剤が下記から選ばれた化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の使用:
N−[4−(1−アセチルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[4−(1−ジフェニルアセチルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−{4−[1−(3,3−ジフェニルプロピオニル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、および
N−{4−[1−(9−オキソ−9H−フルオレン−4−イル−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、または
これらの薬剤に許容される酸付加塩。
【請求項10】
前記阻害剤が下記から選ばれた化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の使用:
N−{4−[1−(フェニルピリジン−3−イル−メチル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−{4−[1−(フェニルピリジン−4−イル−メチル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−{4−[1−(6,11−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、および
N−{4−[1−(6,11−ジヒドロジベンゾ[b,e]チエピン−11−イル)−ピペリジン−4−イル]ブチル}−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、または
これらの薬剤に許容される酸付加塩。
【請求項11】
前記阻害剤が下記から選ばれた化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の使用:
N−[7−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イル)へプチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[8−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イル)オクチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、
N−[3−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イルオキシ)プロピル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、および
N−[3−(1−ベンジルピペリジン−4−イルオキシ)プロピル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミド、または
これらの薬剤に許容される酸付加塩。
【請求項12】
前記阻害剤が下記から選ばれた化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の使用:
N−[2−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イル)エチル]−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、
N−[4−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イル)ブチル]−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、
N−[5−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イル)ペンチル]−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、および
N−[6−(1−ジフェニルメチルピペリジン−4−イル)ヘキシル]−5−(ピリジン−3−イル)−2,4−ペンタジエン酸アミド、または
これらの薬剤に許容される酸付加塩。
【請求項13】
前記阻害剤が(E)−N−[4−(1−ベンゾイルピペリジン−4−イル)ブチル]−3−(ピリジン−3−イル)−アクリルアミドである、請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
炎症性疾患が慢性関節リウマチである請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
炎症性疾患がエンドトキシン血症である請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
有効量のコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤を炎症性疾患の治療に使用するための使用説明書と共に少なくとも含んでいる薬剤キット。
【請求項17】
慢性関節リウマチの治療用の使用説明書を含んでいる請求項16記載の薬剤キット。
【請求項18】
エンドトキシン血症の治療用の使用説明書を含んでいる請求項16記載の薬剤キット。
【請求項19】
有効量のニコチンアミドアデニルジヌクレオチド生成阻害剤を患者に投与することからなる、炎症性疾患の治療方法。
【請求項20】
前記阻害剤が酵素ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼの非競合的または競合的阻害剤である、請求項19に記載の炎症性疾患の治療方法。
【請求項21】
前記炎症性疾患が慢性関節リウマチである請求項19〜20のいずれか記載の方法。
【請求項22】
前記炎症性疾患がエンドトキシン血症である請求項19〜20のいずれか記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10−1】
【図10−2】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10−1】
【図10−2】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−501639(P2010−501639A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526128(P2009−526128)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059193
【国際公開番号】WO2008/025857
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(509058368)トポタルジェ・スウィツァランド・ソシエテ・アノニム (1)
【氏名又は名称原語表記】TOPOTARGET SWITZERLAND SA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059193
【国際公開番号】WO2008/025857
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(509058368)トポタルジェ・スウィツァランド・ソシエテ・アノニム (1)
【氏名又は名称原語表記】TOPOTARGET SWITZERLAND SA
【Fターム(参考)】
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