説明

炎症性腸疾患の治療のためのシクレソニドの使用

本発明は、炎症性腸疾患の治療におけるシクレソニドの新規の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の適用分野
本発明は、炎症性腸疾患の治療におけるシクレソニドの新規の使用並びにシクレソニドを含有する一定の炎症性腸疾患の治療用の医薬品組成物に関する。
【0002】
公知の技術背景
炎症性腸疾患は、2つの疾患、つまり潰瘍性大腸炎とクローン病とに一般的に適用される用語である。
【0003】
潰瘍性大腸炎は、未知の病因の大腸だけが患う慢性の炎症性疾患であって、非常に重度である場合を除いて、腸粘膜に限定される疾患である。該疾患の経過は、持続性又は再発性であり、軽度又は重度であってよい。結腸癌の危険性が長年の疾患の後に高められることが報告されている。炎症性大腸炎は、結腸全摘出術によって治療可能であり、これは急性で重度の疾患又は慢性で持続的な疾患のために必要となることがある。潰瘍性大腸炎を患う患者の殆どは、施術よりむしろ医薬により管理される。
【0004】
クローン病もまた未知の病因である慢性の炎症性疾患であるが、炎症性大腸炎とは異なって、該疾患は腸の任意の部分にかかりうるものである。病変は表層から開始するが、炎症過程は腸壁を通って流入領域リンパ節へと拡大する。潰瘍性大腸炎と同様に、前記疾患の過程は持続性又は再発性であり、軽度又は重度であることがあるが、潰瘍性大腸炎とは異なって、関連の腸部分の切除によって治療できない。クローン病を患う患者の殆どは、いつかは手術を受けることとなるが、通常は予後に再発があり、持続的な医薬治療が通常なされる。
【0005】
潰瘍性大腸炎の急性発作の治療のために、プレドニゾロン又は酢酸プレドニゾロンのようなグルココルチコステロイドが決まって使用され、そしてこれは通常の急性発作もしくは再発のためには非経口で又は経口的に、又は浣腸により局所的に与えられる。
【0006】
US5643602号は、ブデソニド及び類似のステロイドを含有する、炎症性腸疾患の治療における使用のための経口医薬品組成物に関する。ブデソニドを基礎とする、炎症性腸疾患の治療のための医薬品組成物は市販されている(Entocort(登録商標)及びBudenofalck(登録商標))。
【0007】
シクレソニドは、喘息治療のための新規の吸入用のコルチコステロイドであり、これは臨床評価に供されている。シクレソニドについては、臨床研究において全身性副作用が低いことが観察されている。シクレソニドはグルココルチコステロイド受容体に対して非常に低い親和性を有するが、肺においてエステラーゼによって活性の代謝物のデスイソブチリル−シクレソニドに容易に変換されて、標的器官において局所活性を提供する。この活性化は、シクレソニドのC21位でのエステル分解によって生ずる。グルココルチコステロイド受容体に対するデスイソブチリル−シクレソニドの親和性は、シクレソニドの約100倍高いものである。シクレソニドは、ヒトの系において経口の生物学的利用能が低く、それは1%未満である。
【0008】
シクレソニド及び種々の他の新規のグルココルチコステロイド並びにシクレソニドのための医薬品生剤はUS5482934号に開示されている。
【0009】
WO99/47144号は、肝臓における初期通過代謝少なくとも90%を有するグルココルチコステロイドを、腸内放出のためのその薬理学的有効量を経口又は直腸で投与することによって糸球体腎炎を治療するための医薬品の製造のために使用することに関する。
【0010】
発明の開示
驚くべきことに、ここでシクレソニドが、炎症性腸疾患の治療のために特に適していることが判明した。前記のシクレソニドの特性に関して意想外にも、シクレソニドを特に経口経路によって投与した場合に、これは炎症性腸疾患の治療において非常に高い潜在的な利点を有することが判明した。
【0011】
その高い抗炎症活性及び低い全身活性のため、シクレソニドは、炎症性腸疾患の治療において重大な恩恵及び利点を提供する。更に、シクレソニドは高速な全身クリアランスを示し、これにより多大な全身作用の影響が妨げられる。他のステロイドと比較した上での優れた治療率のため、シクレソニドは治療のために、特に炎症性腸疾患の長期治療のために特に適している。特に、低い全身性効果のため、シクレソニドは、炎症性腸疾患の治療における維持又は長期療法で使用でき、これによりそれを必要とする患者に殆ど副作用をもたらさないという利点がある。
【0012】
従って一態様では、本発明は、炎症性腸疾患の治療のための医薬品(医薬品組成物)の製造におけるシクレソニドの使用に関する。
【0013】
もう一つの態様において、本発明は、患者における炎症性腸疾患の治療方法において、その患者に治療学的に有効量のシクレソニドを投与することを含む方法に関する。
【0014】
シクレソニドは、化学名[11β,16α−(R)]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンを有する有効化合物についてのINNである。本発明によれば、名称“シクレソニド”は、化合物[11β,16α]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンの純粋なRエピマーだけでなく、任意の所望の混合比のR/Sエピマー混合物([11β,16α−(R)]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン及び[11β,16α−(S)]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン)も意味すると解されるが、実質的にRエピマーからなるものが好ましい。本発明によれば、実質的にRエピマーからなるとは、混合物中のSエピマーの割合が5%未満又はそれに等しい、有利には1%未満又はそれに等しいことを意味する。
【0015】
炎症性腸疾患とは、本発明に関連して、胃腸管の慢性的な非特異的な炎症状態を指し、そのうち2つの主要な形がクローン病と潰瘍性大腸炎である。クローン病は、胃腸壁の肥厚領域を特徴とし、その際、炎症が全ての層を通して拡大しており、深部潰瘍があり、そして粘膜に裂傷があり、かつ肉芽腫が存在する;罹患領域は胃腸管の任意の部分に、比較的正常な組織の領域を散在して発生することがある;末端回腸がしばしば関与している。しかしながら症状は疾患部位に依存して、例えば腹痛、下痢、発熱、減量及び直腸出血であることがある。腸管外の発症は、例えば関節炎、皮膚障害、口内炎及び肝疾患であることがある。潰瘍性大腸炎においては疾患は結腸と直腸に制限され、炎症は表層であるが、罹患領域にわたって連続的であり、肉芽腫は稀である。軽度の疾患では、直腸だけが罹患することがあり(直腸炎);重度の疾患では、潰瘍は広範囲であり、かつ多くの粘膜が失われることがあり、その際、結腸の毒性拡張(toxic dilatation)、つまり潜在的に命に関わる合併症の危険性が高まる。症状は、下痢及び直腸出血を含む。腸管外の発症は、クローン病のそれと類似している。患者とは、本発明に関しては、前記の炎症性腸疾患に罹患するヒトを指す。
【0016】
もう一つの態様では、本発明は、治療学的有効量のシクレソニド及び製剤学的に認容性の担体及び/又は賦形剤を含有する医薬品(本願では、医薬品組成物とも呼ぶ)に関する。本発明の有利な一実施態様では、該医薬品組成物は経口投与に適している。挙げることができる医薬品組成物は、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、エマルジョン、懸濁液又はゲル剤である。本発明の有利なもう一つの実施態様では、該医薬品組成物は直腸投与に適している。浣腸、坐剤及びフォーム剤を例えば挙げることができる。好適なフォーム組成物は、例えばEP468555号B2に開示されている。
【0017】
本発明による所望の医薬品組成物に適した賦形剤は、当業者によく知られている。
【0018】
シクレソニドを含有する経口組成物をその腸疾患の治療のために適用可能にするために、該組成物は特定の目的に適合させねばならない。胃腸管中の移動時間は種々の剤形についてよく知られている。該剤形が胃から無くなると、小腸中の移動には3〜5時間かかる。大腸中での滞留時間は、それよりかなり長く、25〜50時間である。理想的には、該剤形が胃中に留まる限りは、放出が生じないことが好ましい。小腸におけるクローン病が治療される場合には、放出は剤形が胃を出た後に開始することが望ましく、必要に応じて、剤形が胃を出た後の約3〜5時間の間、放出が継続することが好ましい。大腸を治療する場合には、理想的には放出は遠位小腸又は盲腸で開始し、引き続きシクレソニドの遅延放出が起こることが望ましい。シクレソニドは、腸の炎症部に十分な濃度で到達し、そして十分に長い時間にわたりその局所的な作用が、クローン病の場合には全腸又は小腸だけに、そして潰瘍性大腸炎の場合には、盲腸、結腸及び直腸にもたらされる機会を得ねばならない。
【0019】
潰瘍性大腸炎では、該組成物は、シクレソニドが有利には直腸を通過する間に放出されるように製剤化することが望ましい。回腸におけるクローン病では、該組成物は、シクレソニドが有利には小腸を通過する間に放出されるように製剤化することが望ましい。
【0020】
炎症性疾患の治療用に設計され、小腸及び結腸に対象とする放出を可能にする製剤は、シクレソニドを含有する単位の腸溶被覆及び/又は遅延放出被覆によって製造することができる。有利にはシクレソニドは、薬剤物質を迅速に放出するコア製剤中に含まれている。かかるコア生剤は顆粒、丸剤又は錠剤であってよい。これらのコア製剤を少なくとも1つの腸溶被覆及び/又は少なくとも1つの遅延放出被覆によって被覆することによって、所望の放出プロフィールを得ることができる。胃液のpHで不溶性であるが、腸内pHで可溶性の腸溶被覆のための製剤学的に認容性の賦形剤は、例えばセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート及びアクリル酸ポリマー、例えば部分エステル化されたメタクリル酸ポリマー、例えばEudragit L、Eudragit L100−55及びEudragit Sである。またアクリルポリマーは、市販の水性分散液、例えばEudragit FS30D、Eudragit L30D55として使用できる。これらのポリマーは単独でも又は互いに組み合わせても使用することができる。適格な被膜をえるために、他の賦形剤、例えば可塑剤、付着防止剤及び消泡剤を添加することもできる。
【0021】
被覆製剤の放出プロフィールは、被覆厚並びに被覆の組成を変更することによって変えることができる。シクレソニドの遅延放出が胃腸管の標準を絞った領域において望まれるのであれば、腸溶被覆と遅延放出被覆との組合せが適用できる。これは、1層の単独被覆層によるか、又は2層以上の別々の層で実施することができる。前記被覆のポリマーは、セルロース誘導体及びメタクリル酸エステルのコポリマー、例えばエチルセルロース及びEudragit NE、Eudragit RL及びEudragit RSから選択することができる。またこれらのポリマーは水性分散液の形で市販されている。適格な被膜をえるために、他の賦形剤、例えば可塑剤、付着防止剤及び消泡剤を添加することもできる。被覆製剤の放出プロフィールは、被覆厚並びに被覆の組成を変更することによって変えることができる。
【0022】
コア製剤は、当業者に公知の賦形剤:充填剤、例えばラクトール、マンニトール、リン酸カルシウム、微結晶性セルロース、スクロース、デンプン、蝋及び脂質、バインダー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、デンプン及びそれらの誘導体並びに湿潤剤、界面活性剤及び崩壊剤を使用して製造することができる。丸剤の場合に、種材料として糖球を使用することができる。
【0023】
これらの製剤の製造は、固体経口投与形の製造に通常使用される方法、例えば高剪断混合による造粒、流動床用の転圧、押出球状化又は種丸剤への成層による丸剤の製造及び粉末圧縮による錠剤の製造によって実施される。被覆は、流動床法で又は水性液体もしくは有機液体の噴霧による慣用のパンコーティング又はドラムコーティングにおいて実施できる。
【0024】
対象とする放出のために適した剤形は、例えばUS5643602号及びDE4332394号に記載されている。
【0025】
前記に定義した腸疾患の治療のための用量範囲は、適宜、腸疾患の治療におけるグルココルチコステロイドについて一般的な用量範囲及び投与計画の範囲内にある。ブデソニドのために適した用量範囲は、例えばUS5643602号に開示されている。しかしながら当業者は、適した用量が、腸疾患の種類、該疾患にかかった患者の種類、グルココルチコステロイドの種類及び投与経路のような要因に依存することを認識している。例えばシクレソニドは、経口で、日用量1〜50mg、有利には2〜25mg、特に有利には10〜20mgで投与できる。日用量は、単一の投与単位において一回で投与でき、又は日用量は幾つかの投与単位の形(例えば一日二回又は一日三回)で投与できる。例えば経口の投与単位は、3、4、5、6、7、8、9又は10mgのシクレソニドを含有してよく、該投与単位は、一日一回、一日二回又は一日三回で投与することができる。
【0026】
炎症性腸疾患の治療における対象とする放出のためのシクレソニドの経口投与形の製造は、以下の実施例で記載している。以下の実施例は本発明をより詳細に説明するものであり、それを制限するものではない。
【0027】
実施例
実施例1
工程1:薬剤含有丸剤の製造
糖球 10kg
ポビドン25 0.1kg
ポリソルベート80 0.01kg
微粉砕シクレソニド 0.1kg
ポビドン25とポリソルベート80とを水(5kg)中に溶解させる。次いでシクレソニドを懸濁させる。この懸濁液を、流動床機器を用いて糖球上に噴霧する。
【0028】
工程2:腸溶被覆
工程1からの薬剤含有丸剤 5.50kg
Eudragit L 1.21kg
ジブチルフタレート 0.12kg
タルク 1.00kg
Eudragit Lとジブチルフタレートをイソプロパノール/水(95:5)15kg中に溶解させる。この溶液にタルクを懸濁させる。被覆用懸濁液を、流動床機器又はコーティングパン/コーティングドラムにおいて薬剤含有丸剤上に噴霧する。
【0029】
実施例2
工程1:薬剤含有丸剤の製造
実施例1の工程1に記載されるのと同様に実施する。
【0030】
工程2:遅延放出被覆
工程1からの薬剤含有丸剤 5.50kg
Eudragit RL 0.06kg
ジブチルフタレート 0.07kg
タルク 0.10kg
Eudragit RLをイソプロパノール/水(9:1)3.66kg中に溶解させる。ジブチルフタレートとタルクを添加する。被覆用懸濁液を、流動床機器又はコーティングパン/コーティングドラムにおいて薬剤含有丸剤上に噴霧する。
【0031】
工程3:腸溶被覆
工程2からの薬剤含有丸剤 5.73kg
Eudragit L 1.21kg
ジブチルフタレート 0.12kg
タルク 1.00kg
Eudragit Lとジブチルフタレートをイソプロパノール/水(95:5)15kg中に溶解させる。この溶液にタルクを懸濁させる。被覆用懸濁液を、流動床機器又はコーティングパン/コーティングドラムにおいて薬剤含有丸剤上に噴霧する。
【0032】
実施例3
工程1:薬剤含有丸剤の製造
実施例1の工程1に記載されるのと同様に実施する。
【0033】
工程2:腸溶及び遅延放出被覆
工程1からの薬剤含有丸剤 5.50kg
ポリソルベート80 0.01kg
Eudragit NE30D 1.00kg
Eudragit S100 0.30kg
タルク 0.30kg
Eudragit NE30D分散液中にポリソルベート80を溶解させる。そこにEudragit S100とタルクを懸濁させる。被覆用懸濁液を、流動床機器又はコーティングパン/コーティングドラムにおいて薬剤含有丸剤上に噴霧する。
【0034】
実施例4
直腸適用のための懸濁液製造用の錠剤と液体
錠剤
ラクトース一水和物 107.4mg
クロスポビドン 8.4mg
微細化シクレソニド 3.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.2mg
全ての成分を配合し、そして引き続き圧縮して錠剤とする。
【0035】
液体
塩化ナトリウム 1.035g
メチルパラベン 0.092g
プロピルパラベン 0.023g
精製水 115g
全ての成分を水中に溶解させる。該溶液をビンに詰める。適用前に、その液体に錠剤を添加する。錠剤の崩壊後に直腸適用のための最終懸濁液が得られる。
【0036】
薬理学的調査
炎症性腸疾患の動物モデルとして、TNBSにより大腸炎が誘発されたラットを用いた。
【0037】
48時間断食したラット(220〜250g体重)に、30%エタノール、30mg/kg(TNBS(トリニトロベンゼンスルホン酸)からなる溶液0.9mlを直腸内に、肛門から口への距離8〜9cmに与えた。化合物投与日は−1〜+2である。2日目に動物を屠殺した。直腸内投与のために、化合物を1%エタノール、10%プロピレングリコール及び20%シクロデキストリン中に溶解した。使用した濃度範囲は、全ての化合物について同一であった。直腸内投与計画:一日二回。使用した化合物:シクレソニドと、比較用にブデソニド及びデキサメタゾン。
【0038】
これらの化合物の薬理学的効果の推定用のパラメータとして、最大結腸幅を使用した。潜在的な副作用の推定のために、胸腺と副腎の重さを記録した。
【0039】
治療効果は、薬剤スクリーニングにおいて、TNBS不使用又はTNBS直腸内投与のいずれかで、それぞれ100〜0%阻害の範囲を達成する対照群を参照して計算した。
【0040】
結果
結果は、指示されたパラメータに関連の程度にまで影響を及ぼす化合物の用量が最も少ないことが示された。
【0041】
【表1】

【0042】
このモデルにおいては、試験された3種の化合物のいずれの用量も100%の効果を達成しなかった。結腸幅において最大で観察された効果は30〜60%である。
【0043】
その結果は、TNBSにより高められた結腸幅の減少が2.3ピコモル/動物で開始するというシクレソニドの効果を裏付けている。6.9ピコモル/動物といった最も高く評価された用量では、TNBSにより低減された胸腺の重さの更なる減少が認められなかった。その代わりに、TNBSにより高められた副腎の重さは、2.3マイクロモル/動物から始まって減少する。
【0044】
それに対して、ブデソニドは2.3マイクロモル/動物から始まって胸腺の重さを更に減少させるように見え、そして評価された薬力学的用量範囲における副腎の重さに対するTNBS治療の阻害効果を逆行させない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性腸疾患の治療用の医薬品の製造におけるシクレソニドの使用。
【請求項2】
炎症性腸疾患がクローン病及び潰瘍性大腸炎から選択される、請求項1記載の使用。
【請求項3】
医薬品が、治療学的有効量のシクレソニド及び経口投与に適した製剤学的に認容性の担体及び/又は賦形剤を含有する、請求項1記載の使用。
【請求項4】
医薬品組成物が、小腸及び/又は結腸においてシクレソニドの対象となる放出を可能とする、請求項1記載の使用。
【請求項5】
医薬品組成物が直腸投与に適している、請求項1記載の使用。
【請求項6】
シクレソニドがそのRエピマーの形で95%まで医薬品中に存在している、請求項1記載の使用。
【請求項7】
治療学的有効量のシクレソニドと、経口投与に適した製剤学的に認容性の担体及び/又は賦形剤とを含有する、小腸及び/又は結腸においてシクレソニドの対象となる放出が可能な医薬品組成物。
【請求項8】
シクレソニドを含有するコア製剤と、小腸及び/又は結腸におけるシクレソニドの対象となる放出を可能とする放出プロフィールを提供する被覆とを含む、請求項7記載の医薬品組成物。
【請求項9】
コア製剤が顆粒剤、丸剤又は錠剤である、請求項7記載の医薬品組成物。
【請求項10】
コア製剤が速放性製剤である、請求項9記載の医薬品組成物。
【請求項11】
少なくとも1層の腸溶被覆及び/又は少なくとも1層の遅延放出被覆を含む、請求項8記載の医薬品組成物。
【請求項12】
1層の腸溶被覆と1層の遅延放出被覆の組合せを含む、請求項11記載の医薬品組成物。
【請求項13】
患者における炎症性腸疾患を治療する方法において、それを必要とする患者に治療学的有効量のシクレソニドを投与することを含む方法。
【請求項14】
炎症性腸疾患がクローン病及び潰瘍性大腸炎から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
シクレソニドを請求項7から12までのいずれか1項記載の医薬品組成物で投与する、請求項12記載の方法。
【請求項16】
シクレソニドを直腸内投与する、請求項13記載の方法。

【公表番号】特表2007−505828(P2007−505828A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525841(P2006−525841)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052170
【国際公開番号】WO2005/025577
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(390019574)アルタナ ファルマ アクチエンゲゼルシャフト (69)
【氏名又は名称原語表記】ALTANA Pharma AG
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2、 D−78467 Konstanz、 Germany
【Fターム(参考)】