説明

炭化・ガス化方法並びにシステム

【課題】炭化・ガス化方法並びにシステムにおいて、ガス化性能を向上させる。また、バイオマスを連続して安定的にガス化することを可能とする。
【解決手段】バイオマス燃料1を炭化処理して炭化物4を生成すると共にバイオマス燃料1の炭化処理時に発生する可燃性熱分解ガス3を二段式ガス化炉7のガス化・燃焼部8及びガス改質部9の両方に送り込み、炭化物4を二段式ガス化炉7のガス化・燃焼部8に供給して燃焼とガス化とを行う共にガス改質部9に送り込まれた可燃性熱分解ガス3を改質して可燃性ガス11を生成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化・ガス化方法並びにシステムに関する。さらに詳述すると、本発明は、ガスエンジン等で発電する技術と組み合わせて用いて好適であって、木質系バイオマスや都市ゴミ等の廃棄物系バイオマス並びにこれらの混合バイオマス等のバイオマス燃料を熱分解して炭化し更にガス化するバイオマスの炭化・ガス化方法並びにシステムに関する。
【0002】
本明細書において、バイオマス燃料とは、農林資源とその残渣物及び建築廃材等の木質系バイオマス、畜産・水産資源とその残渣物及び食品廃棄物や汚泥等の廃棄物系バイオマス、並びにこれらの混合バイオマスを意味するものとして用いている。また、炭化・ガス化方法並びにシステムとは、バイオマス燃料を炭化装置を用いて熱分解して炭化し、さらにガス化炉を用いてガス化する方法並びにシステムを意味するものとして用いている。
【背景技術】
【0003】
バイオマスや有機性廃棄物に対して適用可能な従来の炭化・ガス化方法に関する技術としては、例えば、バイオマス又は有機性廃棄物を300℃ないし800℃で炭化処理して得た炭化物と、水蒸気と、空気とを熱分解ガス化炉内に投入し、水性ガス化反応により可燃性ガスを得る熱分解ガス化装置がある(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−35837号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の熱分解ガス化装置では、炭化物を部分燃焼させて水性ガス化反応により可燃性ガスを得るために炭化物をガス化炉内に投入する際に、炭化装置による炭化処理で得られた炭化物をそのままガス化炉内に投入するので、ガス化炉に投入される炭化物の大きさにばらつきがあり、ガス化炉内での燃焼や反応にばらつきが生じる。このため、ガス発熱量が大きいなど品質が高水準の可燃性ガスを継続的に生成するというガス化性能を発揮することが保証されているとは言い難い。
【0006】
また、例えばガスエンジンを用いた発電設備など連続運転が要求される設備や施設に対して可燃性ガスを供給する場合には、ガス発熱量など品質が高水準且つ一定に保たれている可燃性ガスを連続して安定的に供給することが必要とされる。
【0007】
そこで、本発明は、ガス化性能を向上させることができる炭化・ガス化方法並びにシステムを提供することを目的とする。さらに、本発明は、バイオマスを連続して安定的にガス化することができる炭化・ガス化方法並びにシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の炭化・ガス化方法は、バイオマス燃料を炭化処理して炭化物を生成すると共にバイオマス燃料の炭化処理時に発生する可燃性熱分解ガスを二段式のガス化炉のガス化・燃焼部及びガス改質部の両方に送り込み、炭化物を二段式のガス化炉のガス化・燃焼部に供給して燃焼とガス化とを行うと共にガス改質部に送り込まれた可燃性熱分解ガスを改質して可燃性ガスを生成するようにしている。
【0009】
さらに、請求項9記載の炭化・ガス化システムは、バイオマス燃料を炭化処理して炭化物を生成する炭化装置と、炭化物の燃焼とガス化とを行うガス化・燃焼部及びバイオマス燃料の炭化処理時に発生する可燃性熱分解ガスの改質を行うガス改質部を有する二段式のガス化炉と、可燃性熱分解ガスを炭化装置から二段式のガス化炉のガス化・燃焼部及びガス改質部のそれぞれに送り込む分岐管を備えたガス供給配管とを有するようにしている。
【0010】
したがって、この炭化・ガス化方法並びにシステムによると、可燃性熱分解ガスを二段式ガス化炉のガス改質部のみならずガス化・燃焼部(高温ガス化部とも呼ばれる)にも供給するようにしているので、ガス化・燃焼部内に十分な熱量が投入される。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の炭化・ガス化方法において、炭化物を粉砕して微粉状炭化物を生成し、この微粉状炭化物を噴出して二段式のガス化炉のガス化・燃焼部に供給するようにしている。
【0012】
さらに、請求項3記載の炭化・ガス化方法は、バイオマス燃料を炭化処理して炭化物を生成すると共にバイオマス燃料の炭化処理時に発生する可燃性熱分解ガスをガス化炉に送り込み、さらに、炭化物を粉砕して微粉状炭化物を生成すると共にこの微粉状炭化物を噴出してガス化炉に供給し、可燃性熱分解ガスを改質して可燃性ガスを生成するようにしている。
【0013】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の炭化・ガス化システムにおいて、炭化物を粉砕して微粉状炭化物を生成する粉砕機と、微粉状炭化物を噴出して二段式のガス化炉のガス化・燃焼部に供給する粉体噴出手段とを更に有するようにしている。
【0014】
請求項11記載の炭化・ガス化システムは、バイオマス燃料を炭化処理して炭化物を生成する炭化装置と、バイオマス燃料の炭化処理時に発生する可燃性熱分解ガスの改質を行うガス化炉と、炭化物を粉砕して微粉状炭化物を生成する粉砕機と、微粉状炭化物を噴出してガス化炉に供給する粉体噴出手段とを有するようにしている。
【0015】
この場合には、炭化物を微粉体に粉砕してからガス化炉に供給するようにしているので、原料のバイオマス燃料の種類によっては生成された炭化物の燃焼速度が遅い場合であっても、炭化物がガス化炉(請求項2及び10の場合は具体的には二段式ガス化炉のガス化・燃焼部)内で燃え残ることなく十分に燃焼される。さらに、炭化装置から排出される炭化物をそのままガス化炉に供給する場合と比べ、炭化物の大きさが細かく且つ炭化物が噴出して供給されるのでガス化炉(請求項2及び10の場合は具体的には二段式ガス化炉のガス化・燃焼部)内全体に炭化物が拡散されると共に、炭化物の大きさが細かく且つ一定に保たれるのでガス化炉内全体に亘って炭化物が均一に拡散される。
【0016】
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一つに記載の炭化・ガス化方法において、バイオマス燃料の炭化処理を炭化装置を複数用いて行うと共にこれら複数の炭化装置による炭化処理が交互に終了するようにしている。
【0017】
請求項12記載の発明は、請求項9から11のいずれか一つに記載の炭化・ガス化システムにおいて、バイオマス燃料の炭化処理が交互に終了するように設定された炭化装置を複数有するようにしている。
【0018】
この場合には、複数の炭化装置の間で炭化処理が所定の間隔で交互に終了するように設定されているので、ガス化炉に炭化物が途切れることなく連続して供給される。さらに、バイオマス燃料の炭化処理を複数の炭化装置で行い、複数の炭化装置からガス化炉に炭化物を供給するようにしているので、一台の炭化装置における一回当たりの炭化処理後の炭化物の量のばらつきが緩和されて一定量の炭化物が連続して安定的にガス化炉に供給される。
【0019】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか一つに記載の炭化・ガス化方法において、バイオマス燃料の炭化処理の初期に発生する可燃性熱分解ガスはガス化炉に供給しないようにしている。
【0020】
請求項13記載の発明は、請求項9から12のいずれか一つに記載の炭化・ガス化システムにおいて、バイオマス燃料の炭化処理の初期に発生する可燃性熱分解ガスを燃焼処理するフレアースタックを更に有するようにしている。
【0021】
この場合には、バイオマス燃料の炭化処理の初期に発生し水分を多く含んで燃焼性能が低い可燃性熱分解ガスがガス化炉内に送り込まれることが防止される。
【0022】
また、請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか一つに記載の炭化・ガス化方法において、炭化処理を行う前にバイオマス燃料を乾燥させるようにしている。
【0023】
請求項14記載の発明は、請求項9から13のいずれか一つに記載の炭化・ガス化システムにおいて、バイオマス燃料を乾燥させる乾燥機構を更に有するようにしている。
【0024】
この場合には、バイオマス燃料中の水分が予め低減されるので、バイオマス燃料の炭化処理中に発生する可燃性熱分解ガスに含まれる水分が低減される。
【0025】
また、請求項7並びに15記載の発明は、請求項1から6のいずれか一つに記載の炭化・ガス化方法並びに請求項9から14のいずれか一つに記載の炭化・ガス化システムにおいて、ガス化炉に送り込むガス化剤として酸素を混ぜた空気を用いるようにしている。この場合には、ガス化炉内において酸素富化運転が行われる。
【0026】
また、請求項8並びに16記載の発明は、請求項1から7のいずれか一つに記載の炭化・ガス化方法並びに請求項9から15のいずれか一つに記載の炭化・ガス化システムにおいて、ガス化炉に送り込むガス化剤の温度を予め上昇させるようにしている。この場合には、ガス化炉内の温度の低下を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0027】
請求項1並びに9記載の炭化・ガス化方法並びにシステムによれば、可燃性熱分解ガスを二段式ガス化炉のガス改質部のみならずガス化・燃焼部にも供給するようにしているので、ガス化・燃焼部内に十分な熱量を投入することが可能であり、ガス化性能の向上を図ることができる。
【0028】
さらに、請求項2及び3並びに10及び11記載の炭化・ガス化方法並びにシステムによれば、生成された炭化物の燃焼速度が遅い場合でも炭化物をガス化炉(請求項2及び10の場合は具体的には二段式ガス化炉のガス化・燃焼部)内で十分に燃焼させることが可能であり、ガス化性能の向上を図ることができる。また、ガス化炉(請求項2及び10の場合は具体的には二段式ガス化炉のガス化・燃焼部)内全体に炭化物を拡散させると共にガス化炉内全体に亘って炭化物を均一に拡散させることが可能であり、ガス化性能の向上を図ることができる。
【0029】
さらに、請求項4並びに12記載の炭化・ガス化方法並びにシステムによれば、ガス化炉に炭化物を途切れることなく連続して供給することが可能であり、可燃性ガスの連続的且つ安定的な生成を行うことができる。また、一定量の炭化物を連続して安定的にガス化炉に供給することが可能であり、可燃性ガスの連続的且つ安定的な生成を行うことができる。
【0030】
さらに、請求項5並びに13記載の炭化・ガス化方法並びにシステムによれば、水分を多く含んで燃焼性能が低い可燃性熱分解ガスがガス化炉内に送り込まれることを防止することが可能であり、ガス化炉内の温度を高温に保つことができるのでガス化性能の向上が図られると共に、ガス化生成ガス(可燃性ガス)中の水分の低減が図られることから、水分の多い燃料の利用が可能になる。
【0031】
さらに、請求項6並びに14記載の炭化・ガス化方法並びにシステムによれば、バイオマス燃料の炭化処理中に発生する可燃性熱分解ガスに含まれる水分を低減することが可能であり、ガス化炉内の温度を高温に保つことができるのでガス化性能の向上が図られると共に、ガス化生成ガス(可燃性ガス)中の水分の低減が図られる。また、炭化機投入前に水分を除去することで一回の炭化処理において生成される炭化物並びに熱分解ガスの量が増加するため、ガス化炉内の温度を高温に保つことができるのでガス化性能の向上が図られ、水分の多い燃料の利用が可能になる。
【0032】
さらに、請求項7並びに15記載の炭化・ガス化方法並びにシステムによれば、ガス化炉内で酸素富化運転を行ってガス化炉内の温度を高温に保つことができるのでガス化性能の向上が図られ、これにより発熱量の低い燃料や水分の多い燃料の利用を可能として燃料種の拡大を図ることができる。
【0033】
さらに、請求項8並びに16記載の炭化・ガス化方法並びにシステムによれば、ガス化炉内の温度の低下を防ぐことができるのでガス化性能の向上が図られ、これにより発熱量の低い燃料や水分の多い燃料の利用を可能として燃料種の拡大を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0035】
図1及び図2に、本発明の炭化・ガス化方法並びにシステムの実施形態の一例を示す。なお、本実施形態では、ガス化炉として、下部のガス化・燃焼部と上部のガス改質部とを有する二段式ガス化炉を用いる場合を例に挙げて説明する。この炭化・ガス化方法は、バイオマス燃料1を炭化処理して炭化物4を生成すると共にバイオマス燃料1の炭化処理時に発生する可燃性熱分解ガス3を二段式ガス化炉7のガス化・燃焼部8及びガス改質部9の両方に送り込み、炭化物4を二段式ガス化炉7のガス化・燃焼部8に供給して燃焼とガス化とを行う共にガス改質部9に送り込まれた可燃性熱分解ガス3を改質して可燃性ガス11を生成するようにしている。
【0036】
上記炭化・ガス化方法は、本発明の炭化・ガス化システムとして装置化される。本実施形態の炭化・ガス化システムは、バイオマス燃料1を炭化処理して炭化物4を生成する炭化装置2と、炭化物4を粉砕して微粉状炭化物4’を生成する粉砕機6と、微粉状炭化物4’の燃焼とガス化とを行うガス化・燃焼部8及びバイオマス燃料1の炭化処理時に発生する可燃性熱分解ガス3の改質を行うガス改質部9を有する二段式ガス化炉7と、可燃性熱分解ガス3を炭化装置2から二段式ガス化炉7のガス化・燃焼部8及びガス改質部9のそれぞれに送り込む分岐管12a及び12bを備えたガス供給配管12とを備える。
【0037】
なお、二段式ガス化炉(以下、単にガス化炉と呼ぶ)7で生成される可燃性ガス11は、例えばガスエンジン、ガスタービン、燃料電池等(以下、生成ガス利用装置と呼ぶ;図示省略)に供給されて発電等に利用される。
【0038】
炭化装置2は、バイオマス燃料1をバイオマス燃料1中の水分及び揮発分を含んだ可燃性熱分解ガス3と固定炭素や灰分を主成分とした炭化物4とに分離して炭化処理を行うものである。具体的には、バイオマス燃料1を加熱し、外気から遮断された無酸素状態の中で水分の蒸発と有機物の熱分解反応とにより炭化処理を行う。本発明で用いられる炭化装置は特に限定されるものではなく、上述のような炭化処理が可能であればどのような炭化装置であっても良い(炭化装置については例えば株式会社オカドラ製カーボナイザー等)。なお、本実施形態では、炭化装置2としてバッチ式の炭化装置を用いているが、本発明で用いられる炭化装置はバッチ式のものに限られない。
【0039】
ここで、バイオマス燃料1の種類によっては含水率が高い場合があり、その場合には炭化処理中に発生する可燃性熱分解ガス3に水分が多く含まれることになる。そして、水分が多く含まれる可燃性熱分解ガス3がガス化炉7に送り込まれると、ガス化炉7内の温度が低下し、発熱量が低減するなど可燃性ガス11の品質が悪化してしまうおそれがある。
【0040】
そこで、含水率が高いバイオマス燃料を原料として用いる場合には、炭化装置2に投入する前に乾燥機(図示省略)を用いてバイオマス燃料1を予め乾燥させるようにしても良い。具体的には、好ましくは40W%を下回るまで、更に好ましくは20W%(以下、含水率基準値という)を下回るまで乾燥させる。
【0041】
ここで、炭化装置2を、バイオマス燃料1を熱分解させて炭化させる内側部分とこの内側部分を囲繞する外側のジャケット部とからなる二層構造とすると共に、生成ガス利用装置から排出される例えば600℃程度の高温の排ガスをジャケット部に送り込んでバイオマス燃料1を加熱するようにしても良い。このように、ガス化炉7で生成される可燃性ガス11を利用して稼働する生成ガス利用装置から排出される高温の排ガスを利用してバイオマス燃料1の炭化処理を行う構成とすることにより、生成ガス利用装置まで含めたシステム全体としてエネルギーの有効活用を図ることができる。
【0042】
ガス化炉7は、二室二段の噴流床方式のガス化炉である。ガス化炉7は、炭化装置2で生成される炭化物を下段のガス化・燃焼部8で燃焼させて1500℃程度の高温ガス10にして上段のガス改質部9に送り出すと共に、ガス改質部9において高温ガス10と炭化装置2における炭化処理で発生する可燃性熱分解ガス3とを接触させる。そして、シフト反応(具体的には、CO+HO←→CO+H)を主とした改質反応並びに可燃性熱分解ガス3中のタールの分解により一酸化炭素(CO)と水素(H)とを主成分とした可燃性ガス11を生成する。なお、可燃性熱分解ガス3中のタールを分解するために、ガス化炉7上段のガス改質部9に送り込まれて可燃性熱分解ガス3と接触した段階でガス改質部9内のガス温度は1100℃以上であることが必要とされる。すなわち、ガス化炉7が良好なガス化性能を発揮するためには、ガス化・燃焼部8に十分な熱量が投入される必要がある。
【0043】
ガス化炉7のガス化・燃焼部8には、ガス化剤供給手段14によってガス化剤5が送り込まれて燃焼反応が起こされる。ガス化剤5としては例えば空気又は酸素を適量混ぜた空気が用いられる。空気に酸素を適量混ぜてガス化剤5として用いる場合、空気に混ぜる酸素の量は特に限定されるものではなく、生成ガス利用装置によって決定される可燃性ガス11の必要カロリーや可燃性ガス11中のガス性状等に応じて適宜設定される。具体的には例えば、ガス化剤5中の酸素濃度が25〜50vol%になるように設定されることが考えられる。ガス化剤5としての空気に酸素を適量混ぜることによりガス化・燃焼部8内では酸素富化運転が行われ、ガス化・燃焼部8内の温度を上昇させてガス化性能の向上が図られ、これにより発熱量の低い燃料や水分の多い燃料の利用を可能として燃料種の拡大を図ることができる。
【0044】
また、ガス化剤5の温度を予め上昇させてからガス化・燃焼部8内に送り込むようにしても良い。この場合のガス化剤5の温度は、特に限定されるものではなく、炭化・ガス化システムを構成する配管等の耐熱性能の範囲で高ければ高いほど良い。具体的には例えば、ガス化剤5の温度を300℃〜400℃程度に上昇させることが考えられる。これにより、ガス化性能の向上を図ることができる。そして、ガス化剤5の温度を上昇させる場合、本発明の炭化・ガス化システム並びに生成ガス利用装置まで含めたシステム内の余剰熱を用いることによりエネルギーの有効活用を図ることができる。システム全体のうちのいずれの構成の余剰熱を利用するかは特に限定されるものではないが、本実施形態の場合には、生成ガス利用装置から排出される高温の排ガスであって炭化装置2による炭化処理の熱源として利用された高温ガスを用いてガス化剤5の温度を上昇させる。
【0045】
ガス化剤供給手段14は、具体的には、空気等を送り込む送気装置や配管などから構成される。
【0046】
炭化装置2とガス化炉7との間にはガス供給配管12が設けられる。ガス供給配管12は、一端が炭化装置2の上部に接続され、炭化処理時に発生する可燃性熱分解ガス3をガス化炉7に送り込む。なお、ガス供給配管12内周面へのタールの付着を防ぐため、必要な場合には、ガス供給配管12を保温材で覆ったりヒータやシステム中の余剰熱を利用して温めるなどの処置が適宜施される。
【0047】
本発明では、ガス供給配管12のガス化炉7側が分岐管12aと分岐管12bとの二つに分岐し、可燃性熱分解ガス3をガス化炉7のガス化・燃焼部8及びガス改質部9の両方に供給可能な構成となっている。このように、従来はガス改質部9のみに供給されていた可燃性熱分解ガス3をガス化・燃焼部8にも供給可能とすることにより、従来の場合と比べてガス化・燃焼部8の温度を十分に上昇させてガス化・燃焼部8に供給される炭化物4を完全に燃焼させることが可能となり、ガス化炉7のガス化性能を向上させることができる。なお、可燃性熱分解ガス3のガス化・燃焼部8への供給は常時でなくても良く、ガス改質部9のみに供給することを基本としつつ、例えばガス化・燃焼部8内の温度が低下した場合など所定の場合にはガス化・燃焼部8にも供給するようにしても良い。
【0048】
ここで、バイオマス燃料1の種類によっては、炭化装置2による炭化処理の初期段階に発生する可燃性熱分解ガス3に水分が多く含まれている場合がある。そして、水分が多く含まれる可燃性熱分解ガス3がガス化炉7に送り込まれると、ガス化炉7内の温度が低下し、発熱量が低減するなど可燃性ガス11の品質が悪化してしまうおそれがある。
【0049】
そこで、本実施形態の炭化・ガス化システムは、炭化処理の初期段階に発生する可燃性熱分解ガス3をガス化炉7には送り込まずに別途処理する仕組みを有する。具体的には、炭化装置2とガス化炉7との間に設けられたガス供給配管12の中間にバルブ26を有すると共に、バルブ25aを備える導管25bがガス供給配管12のバルブ26の炭化装置2側に連接されたフレアースタック25を備える。
【0050】
なお、炭化処理で発生する可燃性熱分解ガス3をガス化炉7に送り込むか否かの判断の方法は特に限定されるものではなく、使用する炭化装置2の特性や用いるバイオマス燃料1の特性などを考慮して適宜設定される。例えば、炭化装置2による炭化処理の開始から一定の時間は発生する可燃性熱分解ガス3をガス化炉7に送り込まないようにすることが考えられる。この場合には、実際に使用される炭化装置2とバイオマス燃料1との組み合わせで炭化処理を試験的に予め行い、排出される可燃性熱分解ガス3に含まれる水分量を経時的に計測し、この計測結果に基づいて可燃性熱分解ガス3をガス化炉7には送らないようにする一定の時間を決定しても良い。
【0051】
または、可燃性熱分解ガス3をガス化炉7に送り込むか否かの判断方法として、炭化装置2から排出される可燃性熱分解ガス3に含まれる水分の計測を継続して行い、含有水分量が一定量を超えた場合には可燃性熱分解ガス3をガス化炉7には送らないようにすることが考えられる。さらにまた、バイオマス燃料1を投入すると炭化装置2内の温度が急激に低下し、その後水分の蒸発が終了すると上昇に転じるので、バイオマス燃料1を投入した時から炭化装置2内の温度が上昇に転じるまでは可燃性熱分解ガス3をガス化炉7には送らないようにすることが考えられる。
【0052】
また、本実施形態の炭化・ガス化システムは、炭化物4を粉砕して微粉状炭化物4’を生成する粉砕機6を有する。粉砕機6は、炭化装置2から投入された炭化物4をミクロンオーダーに粉砕するものである。本発明で用いられる粉砕機は特に限定されるものではなく、炭化物をミクロンオーダーに粉砕可能であればどのような粉砕機であっても良い。本実施形態では、粉砕機6として、ピン状の衝撃柱が2〜3周列放射状に取り付けられた回転盤とこれに噛み合うように取り付けられた固定盤とから構成されるものが用いられる。そして、粉砕機6は、回転盤と固定盤との中心部から炭化物4を取り込み、空気の流れと共に拡散させて衝撃柱と固定柱とによって衝撃を与えると共に外周部に装着されたスクリーンで整粒した後、微粉状炭化物4’として排出する。
【0053】
炭化装置2と粉砕機6との間には炭化物供給手段13が設けられる。炭化物供給手段13は、一端が炭化装置2の底部に接続され、炭化処理によって生成され炭化装置2の底部に残る炭化物4を取り出して搬送するものである。炭化物供給手段13としては、具体的には例えば、スクリューフィーダが用いられる。
【0054】
ここで、図1では、システム全体構成の説明の簡単のためにバイオマス燃料1の供給並びに炭化物4及び微粉状炭化物4’の生成及び運搬の処理系統を一系統で示しているが、これらの処理系統は、一系統には限られず、複数の系統によって構成しても良い。
【0055】
本実施形態では、図2に示すように、バイオマス燃料1の供給並びに炭化物4及び微粉状炭化物4’の生成及び運搬を複数の系統で行うようにしている。
【0056】
具体的には、まず、原料受入ホッパ30に投入され溜められたバイオマス燃料1を原料受入ホッパ30から取り出す原料取出手段31と、原料取出手段31によって取り出されたバイオマス燃料1を二系統に分配する分配手段32と、分配されたバイオマス燃料1を定量供給ホッパ29まで運搬する移送手段33とを有する。なお、原料取出手段31としては例えば原料受入ホッパ30の底部に設けられたスクリューフィーダとバケットコンベアとからなる機構が用いられ、分配手段32としては例えば分配スクリューコンベアが用いられ、移送手段33としては例えばスクリューコンベアが用いられる。
【0057】
そして、定量供給ホッパ29は、溜められたバイオマス燃料1を二系統に分配しつつ炭化装置2の処理能力等を踏まえて予め設定された量のバイオマス燃料1を排出する。
【0058】
本実施形態の炭化・ガス化システムは、定量供給ホッパ29から分配され排出されたバイオマス燃料1を炭化装置2に供給する燃料供給手段20を有する。燃料供給手段20としては例えばスクリューフィーダが用いられる。
【0059】
以上より、本実施形態は、原料受入ホッパ30に溜められたバイオマス燃料1をまず二系統に分配し、それぞれの系統を更に二系統に分配しているので、合計四機の炭化装置2を用いて炭化処理を行う構成となっている。
【0060】
なお、炭化装置2を複数用いて炭化処理を行う場合には、各炭化装置2にガス供給配管12が設けられると共にこのガス供給配管それぞれにバルブ26が設けられる。これにより、可燃性熱分解ガス3をガス化炉7に送るかフレアースタック25に送るかの制御が炭化装置2毎に行われる。そして、炭化装置2を複数用いて炭化処理が行われると共に可燃性熱分解ガス3の送る先の制御が個別に行われることによって、ガス化炉7に対して可燃性熱分解ガス3が連続して送られる。
【0061】
さらに、本実施形態では、これら四機の炭化装置2による炭化処理開始のタイミングをずらし、四機の炭化装置2が交互に炭化処理を終了するように調整される。具体的には、炭化装置2各機は、一回当たりの処理量や出力を調整することによって一回の炭化処理が例えば30分や40分など一時間以内に終了するように調整される。さらに、四機の炭化装置2が、一時間の間に15分ずつずれて炭化処理が終了するように調整される。これにより、システム全体では、15分間隔で途切れることなく連続して炭化物4の生成が行われる。
【0062】
そして、炭化物供給手段13は、炭化装置2二機分の炭化物4をまとめて粉砕機供給ホッパ28(図1においては図示省略)まで運搬する。そして、粉砕機供給ホッパ28に溜められた炭化物4は、炭化物供給手段13によって粉砕機6に供給されて微粉状炭化物4’に加工される。
【0063】
このように、炭化装置2二機分の炭化物4を一旦まとめて溜めてから粉砕機6に供給する構成にすることによって、炭化装置2単機による一回当たりの炭化処理によって生成される炭化物4の量にばらつきがあった場合でも、粉砕機6には連続して安定的に一定量の炭化物4を供給することができる。すなわち、ガス化炉7に対して一定量の微粉状炭化物4’の供給を継続して行うことが可能であり、バイオマス燃料1を連続的且つ安定的にガス化して安定した量の可燃性ガス11を生成することができる。
【0064】
そして、本実施形態の炭化・ガス化システムは、粉砕機6により生成される微粉状炭化物4’を気流搬送するための気流搬送機構21を有する。気流搬送機構21は、サイクロン17及びバグフィルタ18と各種配管22,23,24とからなる。
【0065】
サイクロン17及びバグフィルタ18は、気流搬送される微粉状炭化物4’を気流中から回収するものである。
【0066】
気流搬送配管22は、粉砕機6とサイクロン17との間に設けられ、粉砕機6から排出される微粉状炭化物4’を気流搬送するものである。なお、微粉状炭化物4’は、酸化反応を防止するために窒素19を用いて気流搬送される。
【0067】
気流配管23は、サイクロン17とバグフィルタ18との間に設けられ、サイクロン17で回収できなかった微粉状炭化物4’をバグフィルタ18に送り込むものである。
【0068】
窒素配管24は、バグフィルタ18と粉砕機6との間に設けられ、サイクロン17とバグフィルタ18とによって微粉状炭化物4’が回収されて窒素19のみとなった気流を粉砕機6に送り込むものである。
【0069】
気流搬送機構21において、窒素19は、粉砕機6と気流搬送配管22とサイクロン17と気流配管23とバグフィルタ18と窒素配管24との間を循環する。また、気流搬送配管22中及び気流配管23中の気流には微粉状炭化物4’と窒素19とが含まれ、窒素配管24中の気流は窒素19のみとなっている。
【0070】
さらに、本実施形態の炭化・ガス化システムは、ガス化炉7のガス化・燃焼部8に微粉状炭化物4’を供給する仕組みとして、ガス化炉供給ホッパ16と粉体噴出手段15とを有する。
【0071】
ガス化炉供給ホッパ16は、サイクロン17及びバグフィルタ18によって回収された微粉状炭化物4’を溜めるものである。なお、サイクロン17及びバグフィルタ18によって回収された微粉状炭化物4’は、例えば、重力によって落下させられてサイクロン17及びバグフィルタ18の直下に設置されたガス化炉供給ホッパ16に集められるようにしても良いし、サイクロン17及びバグフィルタ18からスクリューフィーダによってガス化炉供給ホッパ16に集められるようにしても良い。
【0072】
粉体噴出手段15は、ガス化炉供給ホッパ16に溜められる微粉状炭化物4’をガス化炉7のガス化・燃焼部8内にガス化剤等の気体と共に噴出するものである。粉体噴出手段15としては、具体的には例えば、粉体バーナが用いられる。本実施形態の粉体バーナ15は、中心にLPガスのパイロット火炎が形成されると共にその周囲にLPガスの燃焼火炎が形成される。そして、ガス化・燃焼部8への微粉状炭化物4’の供給が開始されると周囲のLPガス燃焼火炎は消火され、その後、微粉状炭化物4’が安定して供給される場合には中心のパイロット火炎も消火される。なお、微粉状炭化物4’は粉体バーナ15でガス化剤と予め混合され、粉体バーナ15の先端で火炎を形成する。
【0073】
上述した本実施形態の炭化・ガス化システムの動作を以下に説明する。
【0074】
まず、バイオマス燃料1の含水率が高い場合には、含水率が含水率基準値を下回るまで乾燥機(図示省略)によるバイオマス燃料1の乾燥処理を行う。乾燥処理を行った場合にはその後、乾燥処理を行わない場合にはそのまま、バイオマス燃料1が原料受入ホッパ30に溜められる。
【0075】
原料取出手段31が原料受入ホッパ30からバイオマス燃料1を取り出して分配手段32に送り、分配手段32が二系統の移送手段33にバイオマス燃料1を分配する。
【0076】
続いて、移送手段33がバイオマス燃料1を定量供給ホッパ29まで運搬し、定量供給ホッパ29が二系統の燃料供給手段20にバイオマス燃料1を分配する。
【0077】
そして、炭化装置2が、例えば600℃程度の温度で十分に時間を費やし、燃料供給手段20によって供給されたバイオマス燃料1の熱分解と共に炭化処理を行う。
【0078】
炭化装置2は、バイオマス燃料1の炭化処理で発生する可燃性熱分解ガス3をガス供給配管12へと排出する。
【0079】
炭化装置2による炭化処理の初期段階において、可燃性熱分解ガス3が水分を多く含む場合には、ガス供給配管12のバルブ26は閉じられ、フレアースタック25の導管25bに設けられたバルブ25aが開かれる。これにより、可燃性熱分解ガス3はフレアースタック25に供給される。
【0080】
炭化装置2による炭化処理が進み、可燃性熱分解ガス3に含まれる水分が減少したところで、フレアースタック25のバルブ25aは閉じられ、ガス供給配管12のバルブ26が開かれる。
【0081】
可燃性熱分解ガス3は、ガス供給配管12が分岐した分岐管12bを通じてガス改質部9へと送り込まれる。そして、ガス化・燃焼部8内の温度が低温になった場合、具体的には例えばガス改質部9の温度がタールの分解温度の目安である1100℃を下回る場合には分岐管12aを通じて可燃性熱分解ガス3がガス化・燃焼部8にも送り込まれる。
【0082】
また、炭化装置2が、炭化処理により、固定炭素、灰及び若干の揮発分を含んだ炭化物4を生成する。
【0083】
そして、炭化物供給手段13が、炭化装置2で生成された炭化物4を取り出して粉砕機供給ホッパ28に運搬する。
【0084】
続いて、粉砕機供給ホッパ28と粉砕機6との間の炭化物供給手段13が、粉砕機供給ホッパ28に一旦溜められた炭化物4を粉砕機6へと供給する。
【0085】
粉砕機6が、供給された炭化物4をミクロンオーダーまで粉砕して微粉状炭化物4’を生成する。
【0086】
気流搬送機構21が粉砕機6により生成された微粉状炭化物4’を気流搬送し、気流搬送機構21のサイクロン17及びバグフィルタ18が気流中から微粉状炭化物4’を回収する。そして、回収された微粉状炭化物4’はガス化炉供給ホッパ16に集められ溜められる。
【0087】
粉体噴出手段15が、ガス化炉供給ホッパ16に溜められた微粉状炭化物4’をガス化炉7下段のガス化・燃焼部8内に噴出する。
【0088】
また、ガス化剤供給手段14が、ガス化剤5として、高温にされると共に酸素が適量混ぜられた空気をガス化・燃焼部8内に送り込む。
【0089】
ガス化・燃焼部8は、供給された微粉状炭化物4’を燃料とすると共に送り込まれた高温にされ酸素が適量混ぜられた空気をガス化剤5として燃焼とガス化とを行い、1500℃程度の高温ガス10を発生させる。
【0090】
そして、ガス化炉7上段のガス改質部9が、ガス化・燃焼部8から供給される高温ガス10を熱源とし、炭化装置2から送り込まれた可燃性熱分解ガス3中に含まれるタール分を分解してガス改質を行う。
【0091】
このとき、微粉状炭化物4’の供給量に対してガス改質部9に送り込まれるおよそ400〜600℃程度の可燃性熱分解ガス3の流量が極めて多い場合には、ガス化・燃焼部8から供給される1500℃程度の高温ガス10の温度がガス改質部9において急減に低下し、タール分解温度である1100℃よりも低くなる場合がある。しかしながら、本発明では、可燃性熱分解ガス3をガス化・燃焼部8にも送り込んで燃焼させるようにしているので、ガス化・燃焼部8に十分な熱量が投入され、ガス改質部9の温度がタールを分解可能な1100℃以上に保たれる。
【0092】
ここで、ガス化炉7における反応の様子を化学式を用いて表すと以下のようになる。ガス化・燃焼部8における燃焼反応として化学式1から3で示す反応が生じる。
(化1)C+O→CO
(化2)C+1/2O→CO
(化3)H+1/2O→H
【0093】
さらに、ガス化反応として化学式4及び5で示す反応が生じる。
(化4)C+CO→2CO
(化5)C+HO→CO+H
【0094】
燃焼反応及びガス化反応の後、CO、CO、H、HO、N、固定炭素、灰分がガス化・燃焼部8からガス改質部9へと移動する。その後、ガス改質部9において化学式6で示すシフト反応が生じる。
(化6)CO+HO←→CO+H
【0095】
なお、ガス化・燃焼部8における燃焼反応及びガス化反応の結果生じる灰分は、灰の融点がガス化・燃焼部8内の温度よりも低い場合には溶融スラグとなってガス化炉7の底部から取り出される。
【0096】
ガス化炉7は、生成した可燃性ガス11をガス改質部9から排出する。
【0097】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0098】
例えば、本実施形態では、ガス化炉が二段式ガス化炉である場合について主に説明したが、バイオマス燃料の炭化処理時に発生する可燃性熱分解ガスを二段式ガス化炉のガス化・燃焼部及びガス改質部の両方に送り込む点を除いては、本実施形態のガス化炉の形態に限られることなく本発明は適用可能であることは言うまでもない。
【0099】
また、本実施形態では、二段式ガス化炉として下部のガス化・燃焼部と上部のガス改質部とを有する形式の二段式ガス化炉を用いる場合について説明したが、二段式ガス化炉の形式はこれに限られるものではなく、ガス化・燃焼部とガス改質部とが横方向に連接する形式のものであっても良いし、ガス化・燃焼部とガス改質部とが分離して構成されたものであっても良い。
【0100】
また、本実施形態では、粉砕機6を用いて炭化物4を粉砕して微粉状炭化物4’としてからガス化炉7に供給するようにしているが、これに限られず、粉砕機6を用いない構成としても良い。
【0101】
また、本実施形態では、フレアースタック25を用いて水分を多く含む可燃性熱分解ガス3を燃焼処理するようにしているが、これに限られず、フレアースタック25を用いない構成としても良い。例えば、環境上等の問題がない場合には、大気中に単に放出するようにしても良い。さらに、炭化装置2から排出される可燃性熱分解ガス3をフレアースタックに送るようにしたり大気中に放出するようにしたりするための切り替え機構を有さない構成としても良い。
【0102】
また、本実施形態では、含水率が高いバイオマス燃料を原料として用いる場合に、炭化装置2に投入する前に乾燥機を用いてバイオマス燃料1を予め乾燥させるようにしているが、バイオマス燃料1を乾燥させる仕組みはこれに限られるものではなく、バイオマス燃料1を溜める原料受入ホッパ30自体を加熱して乾燥させたり、バイオマス燃料1を原料受入ホッパ30から炭化装置2まで運搬する設備によって加熱して乾燥させるようにしても良い。さらに、バイオマス燃料1を予め乾燥させる仕組みを有さない構成としても良い。
【0103】
また、本実施形態では、ガス化炉7に送り込むガス化剤5としての空気に酸素を混ぜるようにしているが、酸素を混ぜることなくそのままガス化炉7に送り込むようにしても良い。
【0104】
また、本実施形態では、生成ガス利用装置から排出される高温の排ガスであって炭化装置2による炭化処理の熱源として利用された高温ガスを用いてガス化剤5の温度を上昇させるようにしているが、ガス化剤5の温度を上昇させる方法はこれに限られるものではなく、例えば、ガス化炉7の出口の可燃性ガス11を用いても良いし、ガス化炉7から排出された可燃性ガス11を精製するガス生成装置(図示省略)の熱を利用しても良い。さらに、ガス化剤5の温度を予め上昇させる仕組みを有さない構成としても良い。
【0105】
また、本実施形態では、バイオマス燃料1の供給並びに炭化物4及び微粉状炭化物4’の生成及び運搬の処理系統について、原料受入ホッパ30に溜められたバイオマス燃料1をまず二系統に分配すると共にそれぞれの系統を更に二系統に分配して四機の炭化装置2によって炭化処理を行うようにしているが、バイオマス燃料1の供給系統数や炭化物4及び微粉状炭化物4’の生成及び運搬の処理系統数はこれに限られず、炭化・ガス化システムの規模に応じてこれより少なくても良いし多くても良い。
【0106】
さらに、本実施形態では、四機の炭化装置を用い、一回の炭化処理が一時間以内に終了するように調整されると共に15分ずつずれて炭化処理が終了するように調整され、これによりシステム全体では途切れることなく連続して炭化物の生成が行われるようにしているが、用いる炭化装置の数並びに一回の炭化処理時間や炭化処理終了の間隔はこれらに限られるものではない。具体的には例えば、三機の炭化装置を用いて一回の炭化処理時間を30分以内に調整すると共に炭化処理終了の間隔を10分に調整するようにしても良いし、六機の炭化装置を用いて一回の炭化処理時間を二時間以内に調整すると共に炭化処理終了の間隔を20分に調整するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の炭化・ガス化方法を装置化した場合の炭化・ガス化装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態の炭化・ガス化装置の燃料供給並びに炭化物等の生成及び運搬処理系統の概略構成図である。
【符号の説明】
【0108】
1 バイオマス燃料
2 炭化装置
3 可燃性熱分解ガス
4 炭化物
4’ 微粉状炭化物
6 粉砕機
7 二段式ガス化炉
8 ガス化・燃焼部
9 ガス改質部
11 可燃性ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス燃料を炭化処理して炭化物を生成すると共に前記バイオマス燃料の炭化処理時に発生する可燃性熱分解ガスを二段式のガス化炉のガス化・燃焼部及びガス改質部の両方に送り込み、前記炭化物を前記二段式のガス化炉のガス化・燃焼部に供給して燃焼とガス化とを行うと共に前記ガス改質部に送り込まれた前記可燃性熱分解ガスを改質して可燃性ガスを生成することを特徴とする炭化・ガス化方法。
【請求項2】
前記炭化物を粉砕して微粉状炭化物を生成し、該微粉状炭化物を噴出して前記二段式のガス化炉のガス化・燃焼部に供給することを特徴とする請求項1記載の炭化・ガス化方法。
【請求項3】
バイオマス燃料を炭化処理して炭化物を生成すると共に前記バイオマス燃料の炭化処理時に発生する可燃性熱分解ガスをガス化炉に送り込み、さらに、前記炭化物を粉砕して微粉状炭化物を生成すると共に該微粉状炭化物を噴出して前記ガス化炉に供給し、前記可燃性熱分解ガスを改質して可燃性ガスを生成することを特徴とする炭化・ガス化方法。
【請求項4】
前記バイオマス燃料の炭化処理を炭化装置を複数用いて行うと共にこれら複数の炭化装置による炭化処理が交互に終了することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の炭化・ガス化方法。
【請求項5】
前記バイオマス燃料の炭化処理の初期に発生する前記可燃性熱分解ガスは前記ガス化炉に供給しないことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の炭化・ガス化方法。
【請求項6】
前記炭化処理を行う前に前記バイオマス燃料を乾燥させることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の炭化・ガス化方法。
【請求項7】
前記ガス化炉に送り込むガス化剤として酸素を混ぜた空気を用いることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の炭化・ガス化方法。
【請求項8】
前記ガス化炉に送り込むガス化剤の温度を予め上昇させることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の炭化・ガス化方法。
【請求項9】
バイオマス燃料を炭化処理して炭化物を生成する炭化装置と、前記炭化物の燃焼とガス化とを行うガス化・燃焼部及び前記バイオマス燃料の炭化処理時に発生する可燃性熱分解ガスの改質を行うガス改質部を有する二段式のガス化炉と、前記可燃性熱分解ガスを前記炭化装置から前記二段式のガス化炉のガス化・燃焼部及びガス改質部のそれぞれに送り込む分岐管を備えたガス供給配管とを有することを特徴とする炭化・ガス化システム。
【請求項10】
前記炭化物を粉砕して微粉状炭化物を生成する粉砕機と、前記微粉状炭化物を噴出して前記二段式のガス化炉のガス化・燃焼部に供給する粉体噴出手段とを更に有することを特徴とする請求項9記載の炭化・ガス化システム。
【請求項11】
バイオマス燃料を炭化処理して炭化物を生成する炭化装置と、前記バイオマス燃料の炭化処理時に発生する可燃性熱分解ガスの改質を行うガス化炉と、前記炭化物を粉砕して微粉状炭化物を生成する粉砕機と、前記微粉状炭化物を噴出して前記ガス化炉に供給する粉体噴出手段とを有することを特徴とする炭化・ガス化システム。
【請求項12】
前記バイオマス燃料の炭化処理が交互に終了するように設定された前記炭化装置を複数有することを特徴とする請求項9から11のいずれか一つに記載の炭化・ガス化システム。
【請求項13】
前記バイオマス燃料の炭化処理の初期に発生する前記可燃性熱分解ガスを燃焼処理するフレアースタックを更に有することを特徴とする請求項9から12のいずれか一つに記載の炭化・ガス化システム。
【請求項14】
前記バイオマス燃料を乾燥させる乾燥機構を更に有することを特徴とする請求項9から13のいずれか一つに記載の炭化・ガス化システム。
【請求項15】
前記ガス化炉に送り込むガス化剤として酸素を混ぜた空気を用いることを特徴とする請求項9から14のいずれか一つに記載の炭化・ガス化システム。
【請求項16】
前記ガス化炉に送り込むガス化剤の温度を予め上昇させることを特徴とする請求項9から15のいずれか一つに記載の炭化・ガス化システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−138031(P2008−138031A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323695(P2006−323695)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年6月 財団法人 電力中央研究所発行の「社団法人 国土緑化推進機構助成研究 中山間地域における森林資源のエネルギー利用システム開発に関する研究 平成17年度 成果報告書」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年9月15日 社団法人 日本機械学会発行の「2006年度年次大会講演論文集Vol.3」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年11月15日 財団法人 電力中央研究所発行の「PROCEEDINGS OF THE INTERNATIONAL CONFERENCE ON CLEAN COAL TECHNOLOGY AND FUEL CELLS」に発表
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【出願人】(504113329)株式会社KMコーポレーション (4)
【Fターム(参考)】